JP6437390B2 - 自動分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、サンプルに含まれる被測定物質の濃度を測定する自動分析装置に関する。
血液や尿などの生体試料(サンプル)中に含まれるタンパク質、ホルモン、ウイルスなどを高感度に定量する方法に、ラテックス凝集比濁法が存在する。ラテックス凝集比濁法は、試薬に含まれる不溶性担体であるラテックス粒子の凝集反応を光学的な変化として捉え定量する手法である。試薬中のラテックス粒子表面には、サンプル中の被測定抗原と免疫学的に反応する抗体を感作させる。サンプルと試薬とを混合すると、混合した反応液中で抗原抗体反応により被測定抗原を介してラテックス粒子同士が凝集する。濃度定量は、予め被測定抗原の濃度が分かっているサンプルを測定し、そのシグナル変化量をプロットしたキャリブレーションカーブと比較することで行う。
ラテックス粒子の凝集変化を光学的に大きなシグナル変化量として捉えることができれば、高感度化につながる。また、単に低濃度側の測定範囲を広げる高感度化だけでなく、高濃度側の測定範囲を広げるダイナミックレンジ拡大やサンプルと試薬とが混合した反応液の必要最小液量を微量化することも求められている。
近年、散乱光を用いた高感度化・ダイナミックレンジ拡大についての技術開発がなされている。例えば、特許文献1には自動分析装置上で散乱光測定を実施する装置構成が開示されている。特許文献2には散乱光測定を用いた高感度化構成や試薬組成案が開示されている。特許文献3には、高感度化とダイナミックレンジ拡大のための散乱光測定におけるデータ処理方法が開示されている。特許文献4には、散乱光測定と吸光度測定の同時計測システムにおける散乱光測定を用いた高感度化が開示されている。
特許第5318206号公報 特開2013−64705号公報 特開2012−237691号公報 特開2014−6160号公報
本発明の目的は、反応液の必要最小液量を微量化することと、測定範囲のダイナミックレンジを拡大することにある。
反応液の必要最小液量微量化のためには、通常、反応液をおさめたセルの体積を小さくし、それに合わせて、スリットを用いてセルに入射する光線幅を小さくする。その場合、セルに入射する光量(パワー)が減少し、SN比が低下して感度が低下するため、光源の光量を上げてセルに入射するパワーを補わなければ感度を維持できない。従って、反応液量微量化は、光源のパワーにより制限される。また、ダイナミックレンジ拡大を図るためには、高濃度領域においても粒子の粒径変化に伴うシグナル変化量が得られることが必要である。
サンプル中のたんぱく質の測定に用いられる装置である自動分析装置では主に吸光光度計が使用されている。散乱光度計は吸光光度計に比べ高感度であるもののダイナミックレンジが狭いため、吸光光度計と散乱光度計を併用する装置構成が望ましい。そのような場合に、従来の吸光光度計を生かしながら、散乱光度計においてどのような粒径のラテックス粒子を用いた試薬で、どのような角度で散乱光を受光すればダイナミックレンジ拡大が可能になるかはこれまで分かっていなかった。また、低角度の散乱光を測定しようとする場合、透過光が迷光となりSN比が低下するという課題があった。
特許文献1には、ラテックス凝集反応において多数の角度に受光器を配置した構成が示されている。しかし、具体的にどの角度がダイナミックレンジ拡大に好適かは示されていない。特許文献2には、ラテックス凝集反応における粒径と密度について装置及び試薬の条件が示されている。しかし、低濃度側の高感度化のための条件であり、ダイナミックレンジ拡大については言及していない。また散乱光受光角度も20°のみと限定的である。特許文献3には、高感度化もしくはダイナミックレンジを拡大する角度を選択する技術が示されている。しかし、散乱光測定の角度ごとの比較であり、吸光光度計との比較はない。そのため、散乱光度計を吸光光度計と併用する場合にどのような粒径に対してどのような受光角度を選択すればよいのかは示されていない。特許文献4には、低濃度側では高感度化のために散乱光測定を用い、高濃度側では吸光度測定を用いる技術が示されている。しかし、ダイナミックレンジ拡大のためにどのような試薬粒径に対してどのような角度を選べばよいかは記載されていない。
本発明による自動分析装置は、サンプルと試薬とが混合した反応液を納めるセルと、セル内の反応液を一定温度に制御するための恒温槽と、セルに光を照射する光源と、セルに納められた反応液と相互作用した後の散乱光をそれぞれ異なる受光角度で受光する複数の散乱光受光器と、セルに納められた反応液を透過した後の透過光を受光する透過光受光器と、恒温槽の光源側に設けられたスリットと、光源とスリットとの間に配置された第1の集光レンズと、スリットとセルとの間かつ恒温槽中に配置された第2の集光レンズと、を有する。
一例として、散乱光受光器は、照射光の光軸から17.5°未満の角度の散乱光を受光する第1の散乱光受光器と、照射光の光軸から17.5°以上の角度の散乱光を受光する第2の散乱光受光器を含み、複数の散乱光受光器と透過光受光器による受光量の経時変化を反応液の凝集反応の反応過程データとして測定し、低濃度側は第2の散乱光受光器によるキャリブレーションカーブを用い、中濃度域は透過光受光器によるキャリブレーションカーブを用い、高濃度側は第1の散乱光受光器によるキャリブレーションカーブを用いて前記サンプル中の被測定物質を定量する。
スリットとセルの間かつ恒温槽中にセル通過後の光線幅を最小にする集光レンズを配置することにより、光源とスリットを変えることなくセルに入射するパワーを維持しながら光線幅を狭めることができるため、反応液の必要最小液量を微量化することができる。更に低角度散乱光測定における迷光を低減し、低角度散乱光をSN比良く測定できるようになり、17.5°よりも低角度の散乱光を受光する散乱光測定を精度よく行うことで、吸光光度計と併用しダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
散乱光測定部の構成例を示す概略図。 光線幅の指標である1/10照度幅の定義を説明する図。 散乱光測定部の比較例を示す概略図。 散乱光測定部の比較例を示す概略図。 散乱光測定部の比較例を示す概略図。 光線幅とパワーの関係を示す図。 ラテックス粒子の2波長吸光度差の粒径依存性を示す図。 ラテックス粒子の散乱光量の粒径依存性を示す図。 ラテックス粒子の散乱光量と2波長吸光度差の規格化シグナルを示す図。 自動分析装置の全体構成例を示す模式図。 吸光度測定部の構成例を示す概略図。 反応過程データの例を示す図。 散乱光測定部の構成例を示す概略図。 散乱光測定と吸光度測定の高濃度側のキャリブレーションカーブの例を示す図。 散乱光測定と吸光度測定の低濃度側のキャリブレーションカーブの例を示す図。 合成したキャリブレーションカーブの例を示す図。
本発明では、散乱光測定部の光学系における集光レンズの形状や位置、枚数を変更した場合のセルに入射する光線のパワーや光線幅についてモンテカルロ法を用いた光線追跡による光学シミュレーションにより検討した。その結果、光源とスリットの間に集光レンズを配置した構成における光線パワーと光線幅のトレードオフ関係を、スリットとセルの間に集光レンズを追加することで超えることができることを見出した。これにより、光源とスリットを変えることなくセルに入射するパワーを維持しながら光線幅を狭めることができるため最小反応液微量化に繋がり、更に低角度散乱光測定における迷光を低減し、低角度散乱光をSN比良く測定できるようになる。
低角度散乱光については、吸光度及び散乱光受光角度とラテックス試薬組成を変更した場合の理論検討及び反応測定実験を行った結果、受光角度が20°よりも低い、例えば受光角度10°の低角度散乱光を受光することにより、吸光度測定を併用した測定においてダイナミックレンジ拡大の方法を得た。なお、本明細書中に記載の角度は空気中での角度である。
まず、本発明による光学系の形態について説明する。ここでは本発明による光学系を散乱光測定部に適用した例を説明するが、これに限定されるものではない。散乱光測定部に適用した場合は、反応液の必要最小液量微量化の効果と低角度散乱光測定におけるSN比の向上効果が得られ、吸光度測定部に適用した場合は、反応液の必要最小液量微量化の効果が得られる。吸光度測定部に適用した場合の形態については後述する。
図1は、本発明による散乱光測定部の構成例を示す概略図である。光源1には、例えばLED光源ユニットを使用するが、レーザ光源、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いても良い。光源1から射出された照射光2は、光源1と恒温槽40の光源側に設けられたスリット4との間に配置された集光レンズ3により集光され、スリット4を通過する。スリット4を通過した光は、スリット4とセル6の間で恒温槽40中に配置された集光レンズ5により集光され、その光路上に位置するセル6に照射される。集光レンズ5は、恒温槽40のセル側の壁面に配置されている。セル6中の反応液7を透過した透過光9は透過光受光器11で受光され、セル6中の反応液7と相互作用した後の散乱光10a,10b,10cは複数の散乱光受光器12a,12b,12cによりそれぞれ異なる受光角度で受光される。
照射光2の波長には、例えば700nmを使用する。セル6は、温度及び流量が制御された恒温槽40内の恒温流体8に浸漬されている。恒温槽40によってセル内の反応液は一定温度に制御されている。恒温流体8には例えば水や油が用いられる。散乱光受光器12aは、照射光2又は透過光9の光軸に対し、空気中において角度10°だけ離れた方向の散乱光10aを受光する。散乱光受光器12bは、照射光2又は透過光9の光軸に対し、空気中において角度20°だけ離れた方向の散乱光10bを受光する。また、散乱光受光器12cは、照射光2又は透過光9の光軸に対し、空気中において角度30°だけ離れた方向の散乱光10cを受光する。散乱光受光器12a,12b,12cの受光角度は受光範囲の中心角度がそれぞれ10°,20°,30°であるが、具体的にはそれぞれ7.5〜12.5°,17.5〜22.5°,27.5〜32.5°などである。透過光受光器11及び散乱光受光器12a,12b,12cは、例えばフォトダイオードで構成する。
図1では、受光角度10°,20°,30°にそれぞれ対応するように散乱光受光器12a,12b,12cを配置する場合について説明したが、受光器を内部に多数保持する単体のリニアアレイを配置し、複数角度の散乱光を一度に受光する構成であってもよい。リニアアレイを用いることにより、受光角度の選択肢を広げることができる。また、受光器でなく光ファイバやレンズなどの光学系をセル6の近くに配置し、別位置に配置された散乱光受光器に光を導いても良い。
ここで、セル6と透過光受光器11との間において透過光9の光軸と垂直な仮想的な受光面13を置き、シミュレーションにより透過光9の2次元照度分布とパワーを測定する。散乱光受光器12a,12b,12cが配置されている方向と同じ方向の1次元の照度分布を取り出すと光線幅を定義できる。ここでは、散乱光受光器12a,12b,12cは、光軸に対して垂直方向に配置されているので、光軸中心を位置0として垂直方向の照度分布が得られる。照度分布の例を図2に示す。照度の最大値をI0と定義し、I0/10となる2点間の距離を1/10照度幅と定義する。I0/10となる点が複数ある場合は、1/10照度幅が最も大きくなるように2点を選ぶ。1/10照度幅は、透過光9の光線幅の指標となるほか、セル6に入射する光線幅の指標にもなる。透過光9の光線幅が狭いほど、低角度な散乱光測定における透過光9による迷光の影響を減らしてSN比良く測定でき、セル6に入射する光線幅が狭いほど、セル6の小型化、即ち必要な最小反応液の微量化に繋がる。
図1における光源とスリットとの間の集光レンズ3とスリットとセルとの間の集光レンズ5の両方とも無い図3に示す構成、スリットとセルとの間の集光レンズ5が無い図4に示す構成、スリットとセルとの間の集光レンズ5をスリットの光源側に隣接したレンズ15に置き換えた図5に示す構成を比較例として考え、本発明の構成と比較例の構成を用いた場合における1/10照度幅とパワーの関係を図6に示す。なお、図1の構成については、光源とスリットとの間の集光レンズ3の光軸方向の位置を変化させて、スリットとセルとの間の集光レンズ5の曲率半径を1/10照度幅が最小となるように選んだ。図4の構成については、光源とスリットとの間の集光レンズ3の曲率半径と光軸方向の位置を変化させた。図5の構成については、光源とスリットとの間の集光レンズ3の光軸方向の位置を変化させて、スリット光源側に隣接したレンズ15の曲率半径を1/10照度幅が最小となるように選んだ。
図3の構成と図4の構成を比較すると、光源1とスリット4との間に集光レンズ3を配置することにより、1/10照度幅を維持したままパワーを増加させることや、パワーを維持したまま1/10照度幅を狭めることができる。しかし、図6中の点線で示すように、パワーと1/10照度幅にはトレードオフの関係があり、図5の構成のように光源1とスリット4との間に更にレンズを追加してもこのトレードオフを超えてパワーを上げたり、1/10照度幅を狭めたりすることはできない。
一方、図1の構成では、図4及び図5の構成における光線パワーと光線幅のトレードオフ関係を超えることができた。この効果は、スリットとセルの間に集光レンズ5があることで、セル6により近い位置で集光できることや、集光レンズ5が恒温槽40内の恒温流体8に接しており、恒温流体8が水や油の場合は、空気よりも屈折率が高いため、空気の場合よりも高い集光効果が得られることに基づく。スリットとセルの間の集光レンズ5と接する恒温流体8の屈折率が高いほど、1/10照度幅を最小にする集光レンズ5の曲率半径は小さくなる。
以上のように、光源1とスリット4の間に集光レンズ3を配置することに加えて、スリット4とセル6の間にセル通過後の光線幅を最小にする集光レンズ5を配置することにより、光源1とスリット4を変えることなくセル6に入射するパワーを維持しながら光線幅を狭めることができるため必要な最小反応液量の微量化に繋がり、更に低角度散乱光測定における迷光を低減し、低角度散乱光をSN比良く測定できるようになる。
次に、低角度の散乱光を受光する散乱光測定を行うことで、吸光光度計と併用しダイナミックレンジを拡大することが可能となることを説明する。
本発明における試薬は、一例として平均粒径が0.05〜1.0μmのラテックス粒子を含有するものであり、ラテックス粒子には被測定抗原を認識する抗体が感作されている。このラテックス粒子に感作された抗体と被測定抗原との間に生じる粒子凝集を散乱光のシグナル変化量もしくは吸光度の変化量として測定する。
粒子の光学的なシグナル、すなわち吸光度及び散乱光量の粒径依存性から、ダイナミックレンジ拡大のために適した散乱光度計の光学系条件を選定した。ここでは凝集体をおおむね球状とみなし、凝集体は単一粒子の二倍の粒径の粒子と同じ性質を示すと考え評価する。
図7に、“C. F. Bohren, D. R. Huffman, Absorption and Scattering of Light by Small Particles, J. Wiley & Sons, 1983”(参考文献)に従って算出した水中のポリスチレンの単一粒子(屈折率1.59)に主波長570nmと副波長800nmの2波長吸光度差を用いて吸光度測定した場合の吸光度の粒径依存性を示す。図7より、粒径(凝集体径)が大きくなるとともにシグナル変化量は増大し、直径約1.3μm相当の凝集体径を超えるとシグナル変化量は逆に減少することが分かる。シグナル変化量が増大から減少に転じた場合、あるシグナル変化量に対して凝集体径が2種類以上存在するために1つに定まらず、濃度定量に用いることは難しい。そのことから吸光光度計での上記2波長吸光度差の測定方法では凝集体径の変化は概ね直径1.3μm相当までしか濃度定量に用いることができず、測定方法としての制限があると分かる。
次に吸光度測定ではなく、散乱光測定における制限について解析する。図8(A)(B)に、水中に存在するポリスチレンの単一粒子(屈折率1.59)に波長700nmの光を照射した際に発せられる散乱光量の粒径依存性を、受光角度5°,10°,20°,30°ごとに示す。図8(B)は、図8(A)の縦軸を拡大して示した図である。受光角度は照射光の光軸に対する受光範囲の中心角度で定義される。なお受光範囲は中心角度に対して角度幅±2.5°程度である。これらの計算は、Mie散乱理論を用いて計算した。Mie散乱理論は、例えば前述の参考文献に記載されている。
Mie散乱理論では、散乱体のサイズが大きいほど、散乱光はより前方(照射光進行方向)に放射される性質が知られている。そのため、受光角度が小さくなるほど、受光される散乱光量は粒径が増大すると大きくなる傾向にあり、図8(A)(B)からその様子が分かる。粒子の凝集反応を散乱光で測定するならば、この傾向を利用して、より大きな凝集体をより低角度の散乱光で受光することで、より大きな光量を得ることができることが分かる。しかし、一般的なラテックス試薬(粒径500nm以下)では大きな気泡やごみなどの影響も受光角度10°などの低角度側は受けやすいため、ノイズが大きく、S/N比としては不利になることが多かった。そのため特許文献2,3にあるように20°程度の受光角度が実際には用いられることが多かった。また、吸光光度計で用いられる主波長570nmと副波長800nmの2波長吸光度差の測定範囲と散乱光測定における測定範囲及び受光角度ごとのラテックス粒径もしくは凝集体径との関係は明らかではなかった。散乱光測定により測定範囲を高感度化するためには吸光度測定、散乱光測定のシグナル変化量の凝集体径との関係を比較し、最初のラテックス試薬条件やデータ処理方法などを選択する必要がある。
測定範囲を比較するため、散乱光量と吸光度の光学的なシグナル変化の粒径依存性を、粒径0.05μmから粒径が増大したときにそれぞれ最初にシグナルが増大から減少に転じるときのシグナル最大値で割った規格化シグナルの粒径依存性を図9に示す。
図9より、散乱光測定において空気中換算角度5°,10°,20°,30°の受光角度で測定することでそれぞれ、2.3μm,1.9μm,1.3μm,0.9μmまでの凝集体径までをシグナル変化として捉えることができることが分かった。また吸光度測定(主波長570nm、副波長800nm)においては1.3μmまで測定できることが分かった。このことから吸光度測定と受光角度20°の散乱光測定では、凝集体径に対しても同程度に増大した凝集体までシグナル変化を測定できると考えられる。すなわち高濃度側の測定範囲(ダイナミックレンジ)は、受光角度20°の散乱光測定と吸光度測定(主波長570nm、副波長800nm)では同程度であることが分かる。
これに対して受光角度が20°以下の10°,5°の場合、散乱光測定では従来用いられてきた吸光度測定よりも、さらに大きな粒径の変化まで測定できることが明らかになった。また低角度の散乱光を受光する条件であれば、形成される凝集体を大きくできるため、試薬に最初から含まれるラテックス粒子の粒径として比較的大きな粒径の粒子を用いることや、混合しておく方法が挙げられる。この大粒径粒子が結合して凝集体の一部となることで、凝集体のより大きなサイズ変化に伴う大きなシグナル変化量を期待できる。
高濃度側のダイナミックレンジ拡大には同じラテックス粒径の試薬を用いて多数の角度での散乱光測定及び吸光度測定をした場合、より大きな凝集体径まで測定できることが有利である。これまで吸光度測定と散乱光測定では吸光度測定の方がダイナミックレンジは大きいとされてきたが、本解析により、散乱光測定の受光角度10°及び5°は吸光度測定(主波長570nm、副波長800nm)よりも大きな凝集体径まで測定できることが分かった。そのため例えばラテックス試薬粒径は300nmなどを用いて、低濃度側より受光角度30°の散乱光測定、吸光度測定、受光角度10°の散乱光測定と各濃度範囲で用いるキャリブレーションカーブを変更していくことでダイナミックレンジを拡大することができる。
以上をまとめると、低角度(20°(17.5°〜22.5°)より小さい角度)の受光角度で測定する散乱光度計を用いて、粒子の凝集反応を測定することで、従来の生化学分析装置に用いられてきた吸光度測定よりも、より大きな凝集体の光学的なシグナル変化まで捉えられることが明らかになった。これにより吸光光度計と散乱光度計を併用するシステムにおいては、ダイナミックレンジを拡大できる。
本発明で使用する被測定物質を認識する抗体を感作させる不溶性担体は、平均粒径0.05〜1.0μmのポリスチレン製のラテックス粒子が好ましい。またラテックス粒子の代わりに、金属コロイド、磁性粒子、シリカ粒子などを使用することもできる。不溶性担体への抗体の感作方法としては、一般的に用いられている物理吸着法あるいは化学結合法を適用できる。
本発明において測定される被測定物質を含むサンプルとしては、ヒト又は動物の血液、血漿、血清、尿などが挙げられる。本発明において測定される被測定物質としては、被測定物質を特異的に認識できる物質が存在するものであれば良い。例えば、アルブミン、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、D−ダイマー、C反応性タンパク(CRP)、前立腺特異抗原(PSA)などのタンパク質である。また、その他に脂質や薬剤なども挙げられる。
本発明で使用する抗体としては、上記の被測定物質を特異的に認識できるものであれば良い。一般的には、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ由来のポリクローナル抗体やモノクローナル抗体を用いることができる。特異性を考慮するならばモノクローナル抗体の使用が好ましい。本発明で使用する緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、グリシン緩衝液、グッド緩衝液などが好適に用いられる。
次に、測定を行う分析システムについて説明する。本発明では、粒子凝集のシグナル変化を吸光あるいは散乱光で測定する。
図10は、本発明における自動分析装置の全体構成例を示す模式図である。なお、図10に示す自動分析装置の構成は、本発明の基本概念を説明するためのみに用いられる。本実施例の自動分析装置は、サンプルディスク18、試薬ディスク21、反応ディスク22の3種類のディスクと、これらのディスク間でサンプルや試薬を移動させる分注機構23,24と、これらを制御する制御回路29、サンプルと試薬とを混合した反応液7の吸光度を測定する吸光度測定回路30、反応液7からの散乱光を測定する散乱光測定回路31、各測定回路で測定されたデータを処理するデータ処理部32、データ処理部32とのインタフェースである入力部33及び出力部34を有する。
なお、データ処理部32は、データ格納部3201と解析部3202を有する。データ格納部3201には、制御データ、測定データ、データ解析に用いるデータ、解析結果データ等が格納される。入力部33及び出力部34は、データ格納部3201との間でデータを入出力する。図10の例では、入力部33がキーボードの場合を表しているが、タッチパネル、テンキーその他の入力装置でも良い。
サンプルディスク18の円周上には、サンプル16の収容容器であるサンプルカップ17が複数配置される。サンプル16は上記に示したサンプル例の通りである。試薬ディスク21の円周上には、抗体試薬19の収容容器である抗体試薬ボトル20が複数配置される。反応ディスク22の円周上には、サンプル16と試薬19を混合させた反応液7の収容容器であるセル6が複数配置される。
サンプル分注機構23は、サンプルカップ17からセル6にサンプル16を一定量移動させる際に使用する機構である。サンプル分注機構23は、例えば溶液を吐出又は吸引するノズルと、ノズルを所定位置に位置決め及び搬送するロボット、溶液をノズルから吐出又はノズルに吸引するポンプで構成される。試薬分注機構24は、試薬ボトル20からセル6に試薬19を一定量移動させる際に使用する機構である。試薬分注機構24も、例えば溶液を吐出又は吸引するノズルと、ノズルを所定位置に位置決め及び搬送するロボット、溶液をノズルから吐出又はノズルに吸引するポンプで構成される。
撹拌部25は、セル6内で、サンプル16と試薬19を撹拌し混合させる機構部である。洗浄部27は、分析処理が終了したセル6から反応液7を排出し、その後、セル6を洗浄する機構部である。洗浄終了後のセル6には、再び、サンプル分注機構23から次のサンプル16が分注され、試薬分注機構24から新しい試薬19が分注され、別の反応処理に使用される。
反応ディスク22において、セル6は、温度及び流量が制御された恒温槽内の恒温流体8に浸漬されている。このため、セル6及びその中の反応液7は、反応ディスク22による移動中も、その温度は一定温度に制御される。本実施例の場合、恒温流体8として水を使用し、その温度は制御回路29により37±0.1℃に温度調整される。勿論、恒温流体8として使用する媒体や温度は一例である。
反応ディスク22の円周上の一部には、吸光度測定部26と散乱光測定部28が配置される。
図11は、吸光度測定部26に本発明による光学系を適用した構成例を示す概略図である。図11に示す吸光度測定部は、反応ディスク22の回転中に光源1から射出された光をセル6に照射し、セル6中の反応液7を透過した透過光9を回折格子35で分光し、フォトダイオードアレイ36で受光する構造を有している。セル6が浸漬されている恒温槽40はスリット4を有しており、光源1と恒温槽に接したスリット4との間に集光レンズ3が配置されており、更にスリット4とセル6との間に集光レンズ5が配置されている。集光レンズ5は恒温槽中に配置されている。光源1には例えばハロゲンランプを使用する。フォトダイオードアレイ36で受光する波長は、例えば340nm,405nm,450nm,480nm,505nm,546nm,570nm,600nm,660nm,700nm,750nm,800nmである。これら受光器による受光信号は、吸光度測定回路30を通じ、データ処理部32のデータ格納部3201に送信される。ここで、吸光度測定回路30は、一定時間毎に各波長域の受光信号を取得し、取得された光量値をデータ処理部32に出力する。
散乱光測定部28の構成例は、本発明による光学系を適用した概略図として図1にて説明した。散乱光受光器12a,12b,12cの受光信号は、散乱光測定回路31を通じ、データ処理部32のデータ格納部3201に送信される。散乱光測定回路31も、一定時間毎に受光角度が異なる3つの受光信号を取得し、取得された光量値をデータ処理部32に出力する。散乱光受光器12a,12b,12cは、反応ディスク22の回転によるセル6の移動方向に対して概ね垂直である面内に配置される。ここでは、受光角度の基準位置(散乱の起点)を、セル6内を通過する光の光路の中央部に設定している。
サンプル16に含まれる被測定物質の濃度の定量は、次の手順により行われる。まず、制御回路29は、洗浄部27においてセル6を洗浄する。次に、制御回路29は、サンプル分注機構23により、サンプルカップ17内のサンプル16をセル6に一定量分注する。次に、制御回路29は、試薬分注機構24により、試薬ボトル20内の試薬19(第一試薬)をセル6に一定量分注する。各溶液の分注時、制御回路29は、それぞれに対応する駆動部により、サンプルディスク18、試薬ディスク21、反応ディスク22を回転駆動させる。この際、サンプルカップ17、試薬ボトル20、セル6は、それぞれに対応する分注機構の駆動タイミングに応じ、所定の分注位置に位置決めされる。すなわち、サンプルディスク18、試薬ディスク21、反応ディスク22は、制御回路29の制御下にそれぞれ回転と停止を繰り返す。
続いて、制御回路29は、撹拌部25を制御して、セル6内に分注された被測定物質を含むサンプル16と試薬19とを撹拌し、反応液7を生成する。試薬は、典型的には被測定物質を認識する抗体を感作させたラテックス試薬である。反応ディスク22の回転により、反応液7を収容するセル6は、吸光度測定部26が配置された測定位置と散乱光測定部28が配置された測定位置をそれぞれ通過する。反応ディスク22の回転中にセル6が測定位置を通過するたび、反応液7からの透過光又は散乱光は、それぞれ対応する吸光度測定部26及び散乱光測定部28を介して測定される。各測定時間は例えば約10分である。吸光度測定部26及び散乱光測定部28による受光量の経時変化を表す測定データはデータ格納部3201に順次出力され、反応過程データとして蓄積される。この反応過程データの蓄積の間に、典型的には5分後に、試薬19としてもう一種類の試薬(第二試薬:被測定物質を認識する抗体を感作したラテックス粒子を含有する試薬)を試薬分注機構24によりセル6に追加で分注し、撹拌部25により撹拌して凝集反応を生じさせ、さらに一定時間(約5分間)測定する。これにより、一定の時間間隔で取得された反応液の凝集反応の反応過程データが、データ格納部3201に格納される。
図12は、散乱光度計で取得された反応過程データの一例を示す図である。図12の横軸に示す測光ポイントは、反応過程データが測定された順番を表している。一方、図12の縦軸は散乱光測定回路31により測定された散乱光量を示している。図12は、ある受光角度に対応する反応過程データを表しているが、この例では散乱光測定回路31からは、受光角度10°に対応する反応過程データと、受光角度20°に対応する反応過程データと、受光角度30°に対応する反応過程データが別々に出力される。また吸光光度計で取得された反応過程データも別に出力される。
解析部3202は、不図示の分析設定画面を通じて指定される一定時間内の光量変化を演算値として算出する。ここで、演算値の算出に使用される一定期間は、測光ポイントの中から演算開始ポイントと演算終了ポイントを指定することで規定される。なお、演算値は、演算開始ポイントにおける光量と演算終了ポイントにおける光量の差分として計算される。この演算値が本明細書中のシグナル変化量に相当する。
データ格納部3201には、ここでの演算値の他に、予め既知濃度の被測定物質を測定したときの演算値が検量線データとして保持されている。解析部3202は、計算された演算値と検量線データとを照合し、被測定物質の濃度を定量する。定量された濃度値は出力部34に表示される。
なお、各部の制御・分析に必要なデータは、入力部33からデータ格納部3201に入力される。データ格納部3201に格納された各種のデータ、測定結果、分析結果、アラーム等は出力部34に表示される。
[実施例1]
本発明による光学系を適用した散乱光測定部の構成例とその効果を説明する。散乱光測定部の構成例について、図1に基づいて説明する。光源1に発光波長700nmの砲弾型LEDを用い、その光軸上で77mm離れた位置がセルの中心となるようにセルを配置する。セル6の材質は透明な樹脂で、光軸方向の厚さは0.7mm、反応液7の光路長は5mmとした。光源1から72mmの位置から84mmの位置までが恒温槽内であり、恒温槽の光源側壁面には1.5mm角の開口を有するスリット4が設けられている。光源とスリットの間の集光レンズ3としては、直径10mm、焦点距離24.6mmの両凸レンズを配置し、恒温槽の内側の光源側壁面にはスリットとセルの間の集光レンズ5として直径7mm、焦点距離7.7mmの平凸レンズを平たい側が恒温槽の壁面に接するように配置した。集光レンズ5の配置位置としては、光源1とスリット4の間の集光レンズ3の結像位置が望ましいが、集光レンズ3の結像位置から集光レンズ3の焦点距離の±20%以内にあれば、本発明による効果は得られる。
セル6及び平凸レンズ5は温度及び流量が制御された恒温流体8に浸漬されている。本実施例では恒温流体は水とし、温度は37.0±0.1℃に制御した。光源1から93mm離れた光軸上に、光軸に対して垂直な受光面13を配置し、パワーと光軸に対して垂直方向の1/10照度幅を測定した。尚、本実施例における反応液7は水に置き換えて透過光の1/10照度幅を評価した。
平凸レンズ5が無い場合、1/10照度幅が3.77mmであったのに対し、平凸レンズ5を加えると1/10照度幅は3.18mmとなった。尚、平凸レンズの有無により、パワーは変化していない。従って、パワーを維持しながら、光線幅を約16%小さくすることができ、10°以下の低角度散乱光測定におけるSN比を大幅に改善することができ、従来ではSN比が高いために精度良く測定できなかった低角度散乱光の測定ができるようになる。
本実施例では、スリット4とセル6の間の集光レンズ5を平凸レンズとしたが、これは平たい側を恒温槽壁面に接することを容易にするためであり、集光レンズ5は両凸レンズでも構わない。集光レンズ5として両凸レンズを用いる場合、図13のように光路に影響を与えない支持部材14を用いて設置してもよい。また、本実施例では光源1とスリット4の間の集光レンズ3を両凸レンズとしているが、平凸レンズでも構わない。
本実施例では、恒温流体8に屈折率1.33の水を用いたが、屈折率の高い物質を用いると1/10照度幅を更に小さくすることができる。但し、その場合、1/10照度幅を最小にするスリットとセルの間の集光レンズ5の焦点距離も小さくなる。恒温流体8に屈折率1.38の食塩水を用いた場合は、スリットとセルの間の平凸レンズの焦点距離を5.6mmとしたとき、1/10照度幅は3.17mmとなった。
また、恒温流体8が流れる反応槽内にレンズを浸漬するため、浸漬しない場合よりも恒温流体の流れに乱れが生じる。恒温流体の流れの乱れが測定に影響する場合は、恒温槽内に整流板を設置する。
[実施例2]
市販のCRP測定用試薬としてナノピアCRP試薬(積水メディカル社製)を用いて、上記に示した吸光度測定部及び散乱光測定部を搭載した自動分析装置で吸光度及び散乱光を測定した。吸光光度計の測定波長は主波長が570nmm、副波長が800nmである。散乱光の受光角度は10°,20°,30°である。サンプルにはCRPキャリブレーター(積水メディカル社製)を使用した。それぞれの液量は、第一試薬(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール緩衝液)120μL、第二試薬(抗CRP抗体を感作させたラテックス試薬)120μL、サンプル2.4μLとした。サンプルと第一試薬を混合、撹拌した後、第二試薬を添加した。第二試薬添加の約45秒後と約300秒後のシグナル変化量を算出した。
図14は、吸光度測定及び散乱光測定におけるCRP濃度とシグナル変化量の関係の例を示す図であり、高濃度側のキャリブレーションカーブの例を示す図である。CRPキャリブレーターの濃度は42mg/dLまでであったので、84mg/dLの濃度はサンプル4.8μLを加え増量し測定した。グラフの縦軸はシグナル変化量(任意単位)としたが、吸光度測定(主波長570nm、副波長800nm)では吸光度、散乱光測定では散乱光量である。図14から分かるように、本実施例によれば、吸光度と受光角度20°の散乱光によるキャリブレーションカーブ(検量線データ)は形状が同じであり、高濃度領域の測定範囲は同じであることが分かる。受光角度10°の散乱光によるキャリブレーションカーブは受光角度20°の散乱光や吸光光度計のキャリブレーションカーブよりもよりシグナル変化量が大きく、84mg/dLまで直線性がある。そのため凝集体径が大きな粒子に対してもシグナル変化量としてより大きく捉えることができていると分かる。このような大きな凝集体径でも受光角度10°ではシグナル変化量が大きい。これは図9で示した凝集体径と規格化シグナルの関係から推定できる測定レンジの傾向と同じであり、実測と一致していることが分かる。
図15は、散乱光測定と吸光度測定の低濃度側のキャリブレーションカーブの例を示す図である。受光角度10°,20°,30°の散乱光測定は吸光度よりもキャリブレーションカーブの形状としてより高濃度側で大きなシグナル変化量として捉えることができていることが分かる。また、図15より受光角度10°によるシグナル変化量が20°や30°のシグナル変化量よりも大きく、低濃度側の濃度定量にも好適であると読み取れるが、受光角度が15°以下になると反応液や恒温流体中の気泡やごみの影響を受けやすいため、低濃度側の濃度定量には適さない。一方、図14に示した高濃度側の濃度定量においては、シグナル変化量が大きく、相対的に気泡やごみの影響が少ないため、受光角度10°が適する。
図14、図15のキャリブレーションカーブの傾向及び、低角度における気泡やごみの影響を考慮し、散乱光測定の受光角度20°を低濃度側、吸光度測定を通常濃度の中濃度域、散乱光測定の受光角度10°を高濃度側の濃度定量に用いて、新たなキャリブレーションカーブ(検量線データ)を図16のように合成した。本実施例では、CRP濃度0〜0.3mg/dLまでの低濃度側は受光角度20°の散乱光測定によるキャリブレーションカーブを用い、CRP濃度0.3〜42mg/dLまでの中濃度域は吸光度測定によるキャリブレーションカーブを用い、42〜84mg/dLまでの高濃度側は受光角度10°の散乱光測定によるキャリブレーションカーブを用いて濃度定量を行った。これによりシグナル変化量が散乱光受光角度20°で71と算出された場合0.01mg/dLと濃度定量され、吸光光度計で503と算出された場合0.6mg/dLと濃度定量され、散乱光受光角度10°で12880と算出された場合84mg/dLと濃度定量される。どちらのキャリブレーションカーブを用いるか迷わないように、つなぎ合わせの濃度、例えば0.3mg/dLでは吸光度側のキャリブレーションカーブを用いるなど優先順位を設けた。
低濃度側には受光角度20°を用いたが、照射光の光軸から17.5°以上の散乱光を受光すればよく、受光角度30°でもよい。より一般的には、低濃度側の散乱光受光角度は17.5°〜32.5°の角度であればよい。また、高濃度側には散乱光受光角度10°を用いたが、照射光の光軸から7.5〜12.5゜の散乱光を受光すればよい。
散乱光測定と吸光度測定を併用する場合、従来は低濃度側のみが散乱光測定であったが、本実施例では受光角度10°方向の散乱光を受光することで、吸光光度計よりも高濃度側の濃度定量を可能とした。結果、低濃度側及び高濃度側を散乱光測定とし、中濃度域は吸光度測定とした。これにより従来の吸光度測定のみの測定範囲に比べ自動分析装置用のラテックス試薬を用いて高感度でありながら広範囲にダイナミックレンジを拡大し測定できた。
なお特許文献4に記載されているように、吸光度測定は散乱光測定に比べ、検体内の乳びなどの共存物質の影響が少なく、より安定して測定できる傾向がある。そのため散乱光測定と吸光度測定で測定範囲が重なっている場合、吸光度測定で濃度定量する方が好まれる。そのため本実施例では低濃度側と高濃度側は散乱光測定とし、中濃度域は吸光度測定した。
また、本実施例では高濃度側の17.5°未満の散乱光受光角度として1つの角度10°のみを使ったが、より高濃度側で散乱光受光角度5°のデータを加えてキャリブレーションカーブを合成してもよい。その場合はさらにダイナミックレンジが拡大する効果がある。
また、本実施例では吸光度測定に主波長570nm、副波長800nmの2波長吸光度差を用いたが、700nmなどの単波長での吸光度でも同様の傾向を示す。そのため吸光光度計(吸光度測定部)以外に散乱光度計(散乱光測定部)において透過光受光器の受光データから吸光度を算出し吸光度測定部の代わりにしてもよい。その場合は散乱光測定部のみで本実施例と同様の効果が得られるため、吸光度測定部を配置する必要がなくなり、自動分析装置の小型化に有利である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 光源
2 照射光
3 集光レンズ
4 スリット
5 集光レンズ
6 セル
7 反応液
8 恒温流体
11 透過光受光器
12a,12b,12c 散乱光受光器
13 仮想的な受光面
14 支持部材
15 レンズ
16 サンプル
17 サンプルカップ
18 サンプルディスク
19 試薬
20 試薬ボトル
21 試薬ディスク
22 反応ディスク
23 サンプル分注機構
24 試薬分注機構
25 撹拌部
26 吸光度測定部
27 洗浄部
28 散乱光測定部
32 データ処理部
35 回折格子
36 フォトダイオードアレイ
40 恒温槽

Claims (7)

  1. サンプルと試薬とが混合した反応液を納めるセルと、
    前記セル内の反応液を一定温度に制御するための恒温槽と、
    前記セルに光を照射する光源と、
    前記セルに納められた反応液と相互作用した後の散乱光をそれぞれ異なる受光角度で受光する複数の散乱光受光器と、
    前記セルに納められた反応液を透過した後の透過光を受光する透過光受光器と、
    前記恒温槽の光源側に設けられたスリットと、
    前記光源と前記スリットとの間に配置された第1の集光レンズと、
    前記スリットと前記セルとの間かつ前記恒温槽中に配置され且つ恒温流体に浸漬された第2の集光レンズと、
    を有する自動分析装置。
  2. 前記第2の集光レンズが前記恒温槽の前記セル側の壁面に配置されている、請求項1記載の自動分析装置。
  3. 前記第1の集光レンズの結像位置付近に前記第2の集光レンズが配置されている、請求項1記載の自動分析装置。
  4. 前記第2の集光レンズは平凸レンズである、請求項1記載の自動分析装置。
  5. 前記セルを円周上に保持し回転と停止を繰り返す反応ディスクを有し、前記反応ディスクの回転中に前記光源からの照射光が前記セルに照射され、
    前記複数の散乱光受光器は、前記照射光の光軸から17.5°未満の角度の散乱光を受光する第1の散乱光受光器と、前記照射光の光軸から17.5°以上の角度の散乱光を受光する第2の散乱光受光器を含み、
    前記複数の散乱光受光器と前記透過光受光器による受光量の経時変化を前記反応液の凝集反応の反応過程データとして測定し、
    低濃度側は前記第2の散乱光受光器によるキャリブレーションカーブを用い、中濃度域は前記透過光受光器によるキャリブレーションカーブを用い、高濃度側は前記第1の散乱光受光器によるキャリブレーションカーブを用いて前記サンプル中の被測定物質を定量する、請求項1記載の自動分析装置。
  6. 前記第1の散乱光受光器は前記照射光の光軸から7.5〜12.5゜の角度の散乱光を受光し、前記第2の散乱光受光器は前記照射光の光軸から17.5〜22.5゜の角度の散乱光を受光する、請求項5記載の自動分析装置。
  7. 前記第1の散乱光受光器は前記照射光の光軸から7.5〜12.5゜の角度の散乱光を受光し、前記第2の散乱光受光器は前記照射光の光軸から27.5〜32.5゜の角度の散乱光を受光する、請求項5記載の自動分析装置。
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