JP6430445B2 - バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療 - Google Patents

バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療 Download PDF

Info

Publication number
JP6430445B2
JP6430445B2 JP2016155495A JP2016155495A JP6430445B2 JP 6430445 B2 JP6430445 B2 JP 6430445B2 JP 2016155495 A JP2016155495 A JP 2016155495A JP 2016155495 A JP2016155495 A JP 2016155495A JP 6430445 B2 JP6430445 B2 JP 6430445B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
baclofen
acamprosate
composition
combination
day
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016155495A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017008078A (ja
Inventor
ダニエル コーアン
ダニエル コーアン
イリヤ チュマコフ
イリヤ チュマコフ
セルゲイ ナビロシュカン
セルゲイ ナビロシュカン
エマニエル ヴィアル
エマニエル ヴィアル
ミカエル ゲージュ
ミカエル ゲージュ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pharnext SA
Original Assignee
Pharnext SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pharnext SA filed Critical Pharnext SA
Publication of JP2017008078A publication Critical patent/JP2017008078A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6430445B2 publication Critical patent/JP6430445B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、神経疾患および障害の治療に対する組合せおよび方法に関しており、より詳しくは、本発明は、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せに基づいた、神経障害に対する新しい併用療法に関わる。
アルツハイマー病(AD)は、記憶障害に特徴づけられる原型的な皮質認知症であり、皮質連合野の関与に起因する不全失語症(発話および聴覚理解に対する機能障害を有する言語障害)、協調運動障害(運動または知覚機能の欠乏により、特定の意図を持つ動作および身ぶりを調和させ、行う能力の欠如)、並びに失認(もの、ひと、音、かたち、または匂いを認識する能力の欠如)を伴う。痙性対麻痺(下肢を侵す衰弱)などの特殊な症状を伴うこともあり得る(参考文献1〜4)。
アルツハイマー病の発症率は、年齢とともに急激に増加する。現在、アルツハイマー病(AD)は認知症の最も一般的な病因である。臨床的には、認知機能の全体的な低下として特徴づけられており、徐々に進行し、末期患者は寝たきり、および失禁するようになり、療護が必要になる。発症後、平均して9年で死に至る(参考文献5)。
アルツハイマー病(AD)の発症率は、年齢とともに急激に増加する。国際連合の人口予測では、80歳以上の人口は、2050年までに370万人に達すると推定されている。現在は、85歳以上の人口の50%が、ADに苦しめられると予測されている。そのため、全世界で100万人以上の人々が、50年以内に、認知症に罹るであろう。継続的な介護、および他のサービスを必要とする多数の人々が、医療上、経済上、および人的資源に深刻な影響を与えると思われる(参考文献6)。
記憶障害は、疾患の初期症状であり、エピソード記憶(日々の出来事の記憶)に関連する。意味記憶(言語および視覚の理解からくる記憶)は、疾患の後期に関わる。これに対し、作業記憶(情報を一時的に記憶し操作するために使用される構造およびプロセスを含む短期記憶)並びに手続き記憶(スキルおよび手順の長期記憶である無意識の記憶)は、後期まで保持されている。疾患が進行するにつれて、言語機能障害、視知覚および視空間認知の欠如、失認並びに行動不能の追加症状が現れる。
アルツハイマー病の古典的な状態は、約80%のケースを特定できる程十分に特徴的である(参考文献7)。ところが、臨床的な異質性はあり、これは臨床的な管理に重要なだけではなく機能的に異なる種類に対する特定の投薬治療の可能性を提供する(参考文献8)。
ADの病理学的特徴は、β‐アミロイド(Abeta)と、タウ、ニューロンおよびシナプスの機能障害および低下を含む神経原線維変性(NFT)とを含有するアミロイド斑を含む(参考文献9〜11)。この10年間で、ADの病因に対する2つの主要な仮説が示された。その1つである「アミロイド・カスケード説」は、神経変性プロセスが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の異常プロセスにより引き起される一連のイベントであることを提示しており(参考文献12)、もう1つの「ニューロン細胞骨格変性説」(参考文献13)は、細胞骨格の変化がイベントのきっかけになることを示す。AD進行の説明として最も広く受け入れられている仮説は、依然として「アミロイド・カスケード説」のままであり(参考文献14〜16)、AD研究者は、主に、Abetaタンパク質に付随する毒性の根本的なメカニズムを特定することに集中している。その結果、微小血管透過性およびリモデリング、血管新生異常、並びに血液脳関門の機能停止が、アミロイド・カスケードにおいて、APP毒性の原因となる主要なイベントであると特定された(参考文献17)。それに対し、タウタンパク質は、アミロイドの機能および実用性への関心から、アミロイドに比べ、医薬産業ではあまり重要視されてこなかった。さらに、シナプス密度の変化は、他の2つより、認知障害に関係の深い病変である。コリン作動性末端は最も弱く現れ、続いてはグルタミン酸末端、最後はGABA性末端である神経伝達物質の特異的様式において、アミロイド病変は進行するようであるということが、研究により明らかになった(参考文献11)。グルタミン酸塩は、哺乳類の神経系において、最も豊富な興奮性神経伝達物質である。病的状態のもとでは、シナプス間隙のグルタミン酸異常蓄積は、グルタミン酸受容体の過剰活性を引き起す(参考文献18)。シナプス間隙のグルタミン酸異常蓄積は、グルタミン酸受容体の過剰活性を引き起し、病的プロセス、および最終的にニューロン細胞死という結果になる。このプロセスは興奮毒性と名付けられ、急性および慢性的な神経障害において、一般的に、ニューロン組織に見られる。
興奮毒性は、様々な病因における複数の障害の発病に関わるということが明らかになってきており、その障害とは、多発性硬化症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、およびハンチントン病などの神経変性疾患、並びに脊髄損傷、脳卒中、外傷性脳損傷、聴力損失、アルコール依存症、アルコール離脱症、アルコール性神経障害、または神経因性疼痛などである(参考文献19〜21)。これらの疾患に対する効果的な治療法の開発は、疾患の発生率および治癒的治療の欠如から、主要な公衆衛生の問題点として残っている。
いくつかのアセチルコリンエステラーゼ修飾薬およびNMDAグルタミン酸塩受容体の遮断薬を用意する2種類の投薬がADの症状を改善または遅らせるために使用される(参考文献26〜27)。
受容体の様々な部位を標的とするNMDARアンタゴニストは、興奮毒性を中和するためにテストされてきた。非競合のNMDARアンタゴニストは、イオンチャネル細孔を標的とし、カルシウムのシナプス後ニューロンへの侵入を減少させる。いくつかのNMDARアンタゴニストは、承認状況に至った。例として、メマンチンは、現在、中等度から重度のアルツハイマー病への使用が承認されている。また、興奮毒性成分を有する他の適応症において臨床試験されており、その対象は、アルコール依存(第2段階)、筋萎縮性側索硬化症(第3段階)、パーキンソンに伴う認知症(第2段階)、てんかん、ハンチントン病(第4段階)、多発性硬化症(第4段階)、パーキンソン病(第4段階)、および外傷性脳損傷(第4段階)などである。しかしながら、ほとんどのアルツハイマー病患者にとって、その分子の効果は限定的であり、それは、わずかな症状への効果しか持たないためである。興奮毒性を抑える他の方法は、グルタミン酸塩のシナプス前放出を抑制することからなる。現在、筋萎縮性側索硬化症に対して承認されているリルゾールは、虚血および外傷性脳損傷モデルに対し、励みになる結果を示している(参考文献22〜25)。初期の多発性硬化症、パーキンソン病(プラセボほどの結果は示していない)、および脊髄損傷に対する第2段階のテストは、現在行われている。リルゾールは、1995年に筋萎縮性側索硬化症の治療の、および1996年にはハンチントン病の治療のためのオーファンドラッグになるに至った。鬱病を治療するためのメマンチン、フェルバメート、アカンプロセート、およびMRZ2/579などのNMDA受容体アンタゴニストの使用も米国特許出願公開第2010076075号明細書において提案されている。
国際公開第2009133128号、国際公開第2009133141号、国際公開第2009133142号、および国際公開第2011054759号に、ADの治療において使用するための薬剤組合せが記載されている。
この分野の活発な研究にかかわらず、神経障害に対する代替または改良された効果的な治療が依然として必要とされており、その神経障害は、特に、グルタミン酸塩、および/またはアミロイドベータ毒性と関連した神経障害のことである。本発明は、そのような中枢神経系(CNS)、および末梢神経系(PNS)の神経疾患のための新しい治療法を提供する。
本発明の目的は、神経障害の治療のための新しい治療法および組成物を提供することである。特に、本発明は、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せに基づく、グルタミン酸塩および/またはアミロイドベータ毒性に関連する神経障害を治療するための組成物および方法に関する。
とりわけ、本発明は、発明者らによる、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せがアルツハイマー病を患う患者に実質的且つ予期せぬ利益をもたらす、という予期せぬ発見に端を発するものである。また、発明者らは、驚くべきことに、この組合せがグルタミン酸塩毒性に関連する神経障害において引き起こされる様々な損傷からのニューロン細胞の実質的且つ予期せぬ保護をもたらす、ということを発見した。したがって、バクロフェンおよびアカンプロセートのこの組合せは、神経障害を患っている、その素因のある、またはそれを患う疑いのある患者のための効果的な治療の1つである。
したがって、本発明の目的は、神経障害の治療において使用するための、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せを含む組成物に関し、神経障害とは、特に、ADおよび関連障害、多発性硬化症(MS)、萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症またはアルコール離脱症、ハンチントン病(HD)、脊髄損傷を含む。
本発明の組成物は、唯一の活性成分としてバクロフェンおよびアカンプロセートを含んでいてもよい。あるいは、この組成物は、追加の活性成分を1つまたは複数含んでいてもよい。これに関し、本発明のさらなる目的は、バクロフェンと、アカンプロセートと、スルフィソキサゾール、メチマゾール、プリロカイン、ジフィリン、キナクリン、カルベノキソロン、アミノカプロン酸、カベルゴリン、ジエチルカルバマジン、シナカルセト、シンナリジン、エプレレノン、フェノルドパム、レフルノミド、レボシメンダン、スロデキシド、テルビナフィン、ゾニサミド、エトミデート、フェンホルミン、トリメタジジン、メキシレチン、イフェンプロジル、モキシフロキサシン、ブロモクリプチン、またはトルセミドから選択される少なくとも1つの第三の化合物とを含む、神経障害の治療においてそれを必要とする対象者に使用するための組成物に関する。
本願においてさらに開示されるように、本発明の併用療法における化合物は、対象者に同時に、個別に、連続して、および/または繰り返して投与されてもよい。
本発明は、上で定義したような少なくとも2つの化合物の組合せをそれ自体が含む任意の医薬組成物にも関する。
本発明の組成物は、典型的には、1つまたは複数の薬学的に許容可能な賦形剤または担体を更に含む。また、本発明において使用される化合物は、塩、水和物、エステル、エーテル、酸、アミド、ラセミ化合物、または異性体の形態であってもよい。化合物は、徐放性製剤の形態であってもよい。これら化合物のプロドラッグまたは誘導体を用いてもよい。
好ましい実施形態において、化合物はそのまま使用されるか、または、塩、水和物、エステル、エーテル、若しくはその徐放性形態で使用される。本発明において使用するための特に好ましい塩は、アカンプロセートカルシウムである。
他の好ましい一実施形態では、プロドラッグまたは誘導体が使用される。
本発明のさらなる目的は、医薬組成物の製造方法であり、バクロフェンおよびアカンプロセートの、薬学的に許容可能な賦形剤または担体への混合を含む方法である。
本発明の他の目的は、神経障害の治療を必要とする哺乳類対象者、好ましくはそれを必要とするヒト対象者におけるその治療方法であって、有効量の本発明の組合せを上記対象者に投与することを含む方法に関する。
本発明の他の目的は、アルツハイマーまたは関連障害の治療を必要とする哺乳類対象者、好ましくはそれを必要とするヒト対象者におけるその治療方法であって、有効量の本発明の組合せを上記対象者に投与することを含む方法に関する。
本発明の好ましい目的は、神経障害の治療を必要とする哺乳類対象者、好ましくはそれを必要とするヒト対象者におけるその治療方法であって、有効量のバクロフェンおよびアカンプロセートを上記対象者に同時に、個別に、または連続して投与することを含む方法に関する。
本発明のより好ましい目的は、アルツハイマーまたは関連障害の治療を必要とする哺乳類対象者、好ましくはそれを必要とするヒト対象者におけるその治療方法であって、有効量のバクロフェンおよびアカンプロセートを上記対象者に同時に、個別に、または連続して投与することを含む方法に関する。
本発明は、神経障害を治療するために、あらゆる哺乳類対象者、好ましくはヒト対象者に対し、疾患のいかなる段階において使用されてもよい。実施例に開示されるように、本発明の組成物は、上記対象者の病的状態を改善することができる。
薬剤スクリーニングに用いられる内皮細胞に対するヒトβアミロイドの毒性の実験モデルの検証。1時間、10nMでのVEGF前処理は、このアミロイド障害から毛細管網を有意に保護した(アミロイド中毒と比較して、毛細管網の+70%)。 ベータアミロイド中毒化したHBMEC培養物における毛細管網の全長に対するバクロフェン(BCL)およびアカンプロセート(ACP)の併用療法の作用。ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−42、2.5μM)は、ビヒクルで処理した細胞と比較して、40%を超える重大な中毒を引き起こす。この中毒は、アカンプロセートおよびバクロフェンの組合せ(図A)で有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のアカンプロセート(図B)およびバクロフェン(図C)は、中毒に対する有意な作用を有しない。◎:p<0.05、Aβ1−42中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある;「ns」有意差無し(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 ベータアミロイド中毒化したHBMEC培養物における毛細管網の全長に対するバクロフェン(BCL)およびテルビナフィン(TBN)の併用療法の作用。ヒトアミロイドペプチド凝集体(Aβ1−42、2.5μM)は、ビヒクルで処理した細胞と比較して、40%を超える重大な中毒を引き起こす。この中毒は、テルビナフィンおよびバクロフェンの組合せで有意に抑えられる。*:p<0.05:対照(中毒なし)と有意差がある。 薬剤スクリーニングに用いられるニューロン細胞に対するヒトβアミロイドの毒性の実験モデルの検証。1時間のエストラジオール(150nM)またはBDNF(50ng/mL)前処理は、アミロイド障害からニューロンを有意に保護した(−94%)。これは神経保護作用の陽性対照群と考えられる。*:p<0.05:対照(中毒なし)と有意差がある。◎:p<0.05、Aβ1−42中毒と有意差がある。 ラットの一次皮質細胞のヒトAβ1−42毒性におけるLDH放出に対する、アカンプロセート(ACP)およびバクロフェン(BCL)の併用療法の作用。ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−42、10μM)は、ビヒクルで処理したニューロンと比較して、重大な中毒を引き起こす。この中毒は、アカンプロセートおよびバクロフェンの組合せ(図A)で有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のアカンプロセート(図B)およびバクロフェン(図C)は、中毒に対する有意な作用を有しない。◎:p<0.05、Aβ1−42中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある;「ns」有意差し。(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 ラットの一次皮質細胞のヒトAβ1−42毒性におけるLDH放出に対する、シナカルセト(CNC)およびスルフィソキサゾール(SFX)の併用療法の作用。ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−42、10μM)は、ビヒクルで処理したニューロンと比較して、重大な中毒を引き起こす。この中毒は、シナカルセトおよびスルフィソキサゾールの組合せで抑えられる。*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある。 ベータアミロイド中毒化した皮質ニューロンにおける神経突起網の全長に対するアカンプロセート(ACP)およびバクロフェン(BCL)の併用療法の作用。ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−42、2.5μM)は、ビヒクルで処理した細胞と比較して、15%を超える重大な中毒を引き起こす。この中毒は、アカンプロセートおよびバクロフェンの組合せで有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のアカンプロセートおよびバクロフェンは、中毒に対する有意な作用を有しない。◎:p<0.05、Aβ1−42中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 Y迷路試験により定義される行動に対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。アミロイドペプチドは、交替反応率により測定される認知の有意な低下を引き起こす(53.8%対73.5%)。この有害作用は、アカンプロセート(0.2mg/kg/day)およびバクロフェン(3mg/kg/day)の組合せにより有意に抑えられる(48.2%の保護)。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 受動的回避(脱出待ち時間)により定義される記憶に対するアカンプロセートおよびバクロフェン併用療法の作用。アミロイドペプチドは、対照と比較して、脱出待ち時間により測定される記憶性能の有意な低下を引き起こす。この有害作用は、アカンプロセート(0.2mg/kg)およびバクロフェン(3mg/kg)の組合せにより有意に抑えられる(完全な保護)。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnの試験)。 受動的回避(ステップスルー待ち時間)により定義される記憶に対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。アミロイドペプチドは、対照と比較して、44%を上回る、ステップスルー待ち時間により測定される記憶性能の有意の低下を引き起こす。この有害作用は、アカンプロセート(0.2mg/kg)およびバクロフェン(3mg/kg)の組合せにより有意に抑えられる(78.8%の保護効果)が、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のアカンプロセートおよびバクロフェンは、中毒に対する有意な作用が比較的低い。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnの試験)。 海馬におけるニューロンの密度に対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。アミロイドペプチドは、対照と比較して、21%を上回る、海馬におけるミリメートル当たりのニューロンの数により測定されるニューロン密度の有意な低下を引き起こす。このニューロン損傷は、アカンプロセート(0.2mg/kg)およびバクロフェン(3mg/kg)の組合せにより有意に抑えられる(損傷したニューロンの63.2%が保護された)。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 脳血液関門の完全性に対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。アミロイドペプチドは、対照と比較して、51%を上回る、脳血液関門(BBB)に対し、その浸透性の有意な上昇を含め、影響を及ぼす。脳血液関門に対するこれらの損傷は、アカンプロセート(0.2mg/kg)およびバクロフェン(3mg/kg)の組合せにより有意に抑えられる(66.6%の完全性が回復した)。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 シナプトフィジン濃度により反映されるシナプスの密度に対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。アミロイドペプチドは、対照と比較して、34%を上回る、シナプス機能に対し、脳におけるシナプトフィジン濃度の有意の低下を含め、影響を及ぼす。シナプスの密度に対するこれらの損傷は、アカンプロセート(0.2mg/kg/day)およびバクロフェン(3mg/kg/day)の組合せにより有意に抑えられる(76%)。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 海馬における酸化ストレスに対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の防御作用。アミロイドペプチドは、対照と比較して、59%を上回る、脂質過酸化により測定される海馬における酸化ストレスの有意な上昇を誘発する。この酸化ストレスは、アカンプロセート(0.2mg/kg/day)およびバクロフェン(3mg/kg/day)の組合せにより有意に抑えられる(65.9%)。○:p<0.05、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.05、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 ニューロンの皮質細胞に対するグルタミン酸塩毒性に抗するバクロフェンおよびアカンプロセートの併用療法の作用。グルタミン酸塩中毒は、バクロフェン(400nM)およびアカンプロセート(1.6nM)の組合せで有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のバクロフェンおよびアカンプロセートは、中毒に対する有意な作用を有しない。○:p<0.001、グルタミン酸塩中毒と有意差がある;(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 Y迷路試験により定義される行動および認知の性能に対するドネペジル、アカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。アミロイドペプチドは、交替反応率により測定される認知の有意の低下を引き起こす(51.5%対71.8%)。この有害作用は、ドネペジル(0,25mg/kg/day)、アカンプロセート(32μg/kg/day)およびバクロフェン(480μg/kg/day)の組合せにより有意に抑えらえる(98%の保護)が、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のこれら薬剤は、有意な作用を有しない。○:p<0.01、Aβ25−35中毒と有意差がある;*:p<0.01、ビヒクルと有意差がある(ANOVA+Dunnettポストホックテスト)。 ラットの一次皮質細胞のヒトAβ1−42毒性分析で、アカンプロセートおよびその誘導体であるホモタウリン前処理の防御作用の比較。Aβ1−42は、ビヒクルで処理したニューロンと比較して、重大な中毒を引き起こす。この中毒は、ホモタウリンおよびアカンプロセート(99%、8nM)で等しく有意に抑えられる。○:p<0.0001:Aβ1−42中毒と有意差がある。 臨床スコアにより定義される慢性進行性の実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の進行に対するアカンプロセートおよびバクロフェンの併用療法の作用。免疫は、臨床スコアにより測定される物理的特性の有意な低下を誘発する。この有害作用は、アカンプロセート(2mg/kg/day)およびバクロフェン(30mg/kg/day)の組合せにより有意に抑えられる(p−値<0.01)。
本発明は、神経障害の治療のための新しい方法および組成物を提供する。本発明は、そのような疾患を効果的に改善し、かつあらゆる哺乳類対象者に使われうる新しい薬剤組合せを開示している。
本発明は、中枢または末梢を問わず、あらゆる神経障害の治療に適しており、特に神経またはニューロンの損傷、βアミロイド、BBB機能停止またはグルタミン酸塩興奮毒性が関わる障害の治療に適する。そのような障害の具体的な例は、神経変性疾患、ニューロパシー、脊髄損傷およびアルコール依存症などの物質乱用障害を含む。
神経変性障害とは、ニューロンの機能の進行性消失および死を含む、アルツハイマーおよび関連障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)などの疾患のことを指す。
ニューロパシーは、末梢神経系の神経の損傷状態に関し、これは、遺伝因子、炎症性疾患、または薬剤(ビンクリスチン、オキサリプラチン、エチルアルコール)を含む化学物質から引き起される末梢神経系の損傷を含む。また、ニューロパシーの治療は、神経因性疼痛の治療を含む。
本発明は、特に、ADおよび関連障害に適している。本発明の文脈では、「関連障害」という用語は、アルツハイマー型老年性認知症(SDAT)、レビー小体型認知症、血管性認知症、軽度認知機能障害(MCI)、および加齢性記憶障害(AAMI)を含む。
ここで用いられる「治療」は、上記疾患もしくは障害の原因から引き起された、もしくは原因を引き起した症状の治療、防止、予防、遅延、または低減を含む。治療という用語は、特に、病気の進行および関連症状の管理を含む。特に、治療という用語は、治療の対象者において、i)アミロイドベータを原因とする毒性に対する防御、または、前記毒性の低減もしくは遅延、および/または、ii)グルタミン酸塩興奮毒性に対する防御、または、前記毒性の低減もしくは遅延を含む。また、治療という用語は、認知症状の改善またはニューロン細胞の保護を示す。
本発明の文脈内では、特定の薬剤または化合物の指示は、前記具体的に名前をあげた分子だけでなく、薬学的に許容されるすべての、そして任意の化学的純度の、塩、水和物、誘導体、異性体、ラセミ化合物、複合体、プロドラッグ、またはそれらの誘導体を含むことを意図している。
「併用、または、併用治療/療法」という用語は、ある生物学的作用を引き起こすために少なくともバクロフェンおよびアカンプロセートを対象に共に投与する治療を指す。本発明の併用療法では、少なくとも2種の薬剤を一緒にまたは個別に、同時にまたは連続して投与することができる。また、少なくともバクロフェンおよびアカンプロセートは、異なる経路およびプロトコルにより投与することができる。結果として、これらは、一緒に製剤化することも、組合せる薬剤を個別に製剤化することもできる。
ここで使用される「プロドラッグ」という用語は、本発明の化合物における、あらゆる機能の誘導体(または前駆体)を示し、その誘導体(または前駆体)は、生体系に投与されると、例えば、自然化学反応、酵素触媒化学反応、および/または、代謝化学反応の結果として、前述の化合物を生成する。通常、プロドラッグは、不活性であるか、または、生じる薬剤よりも低活性であり、例えば、薬剤の物理化学的特性の改善、薬剤の特定組織への標的化、薬剤の薬剤動態、および薬理学的特性の改善、および/または、望ましくない副作用の低減に使用可能である。プロドラッグのデザインに適している共通の官能基のいくつかは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミン基、リン酸/ホスホン基およびカルボニル基を含むが、これに限らない。これらの基の修飾から典型的には製造されるプロドラッグは、エステル類、炭酸塩類、カルバメート類、アミド類およびリン酸塩類を含むが、これには限らない。適するプロドラッグの選択のための具体的な技術ガイダンスは、一般常識である(参考文献29〜33)。加えて、プロドラッグは、当業者に知られている従来の方法によって準備することができる。他のプロドラッグを合成するために使用可能な方法は、この題目の数多くの調査に示されている(参考文献30;4〜40)。例を挙げると、アルバクロフェン・プラカルビルは、ChemID plus Advanceデータベース(ウェブサイト:chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/)に載っており、アルバクロフェン・プラカルビルは、バクロフェンのプロドラッグとしてよく知られている(参考文献41〜42)。
ある化合物の「誘導体」という用語は、該化合物に、機能上および/または構造上関連するあらゆる分子を含み、そのような化合物の酸、アミド、エステル、エーテル、アセチル化変異体、ヒドロキシル化変異体、またはアルキル化(C1−C6)変異体などのことである。また、誘導体という用語は、先に挙げたような1つ以上の置換基を失った状態の構造上関連した化合物を含む。例としては、ホモタウリンはアカンプロセートの脱アセチル化誘導体である。既知の方法によると、ある化合物の好ましい誘導体は、該化合物にかなりの程度の類似性を持つ分子である。類似化合物は、親分子との類似性の指標とともに、PubChem(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/search/)またはDrugBank(http://www.drugbank.ca/)など、数多くのデータベースに見られる。より好ましい実施形態では、誘導体は、親薬剤に対する谷本類似係数が、0.4を超え、好ましくは0.5を超え、より好ましくは0.6を超え、さらにより好ましくは0.7を超えるほうがよい。谷本類似係数は、2分子間の構造的類似の程度を測定するために広く用いられている。谷本類似係数は、インターネット(http://www.ebi.ac.uk/thornton-srv/software/SMSD/)上で使用可能なthe Small Molecule Subgraph Detector(参考文献43〜44)などのソフトウェアにより解析可能である。好ましい誘導体は、構造上並びに機能上の両面において、親化合物に関連するべきであり、言い換えれば、誘導体はまた、少なくとも親薬剤の活性の一部を保持すべきであり、より好ましくは、誘導体はAβまたはグルタミン酸毒性に対する防御作用を保持すべきである。
用語「誘導体」はまた、薬剤の代謝物を含む。例として、組織への投与後に通常は特別な酵素系を通る前述の薬剤における、(生化学の)変形または作用の結果としての分子、およびその薬剤の生物活性を示し、保持する分子が挙げられる。代謝物は親薬剤の治療効果の多くを担っていることが開示されている。具体的な実施形態では、ここで使用される「代謝物」は、変形または作用後の薬剤を示し、その変形または作用後の薬剤は、親薬剤の活性の少なくとも一部を保持し、好ましくはAβ毒性またはグルタミン酸毒性に対する防御作用を持つ。
用語「塩」は、本発明における化合物の、医薬的に許容された、比較的非毒性の、無機または有機酸付加塩を示す。医薬塩の形成は、酸性、塩基性、または双性イオン性の薬剤分子を反対イオンと対形成させて薬剤の塩型を作成することである。幅広い種類の化学種を、中和反応において使用することができる。このように、本発明の医薬的に許容される塩は、塩基として機能する主化合物を、塩を形成するための無機または有機酸と反応させることにより得られる塩を含み、例として、酢酸、硝酸、酒石酸、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、またはクエン酸の塩が挙げられる。また、本発明の医薬的に許容される塩は、酸として機能する主化合物を適切な塩基と反応させた塩を含む。例として、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩またはコリン塩が挙げられる。一定の活性成分の大部分の塩は生物学的に同等であるが、とりわけ、一部の塩は溶解性および生物学的利用能が増加する可能性がある。現在、塩の選択は、H. Stahl and C.G Wermuthのハンドブックによる指導を受けた薬剤開発の過程において、一般的な標準作業になっている(参考文献45)。
好ましい一実施形態において、化合物の示名は、その化合物自体、および、そのあらゆる薬学的に許容可能な塩、水和物、異性体、ラセミ化合物、エステルまたはエーテルを示すことを意味する。
より好ましい一実施形態において、化合物の示名は、特異的に示された化合物自体、および、そのあらゆる薬学的に許容可能な塩を示すことを意味する。
特別な一実施形態において、この化合物の徐放性製剤が使用される。
上記の通り、本発明は、神経障害に関わる複数の生物学的プロセスに対し、予想外の強い効果がある特定の薬剤組合せに関する。したがって、これらの薬剤組合せは、神経障害の治療に対する新しい方法を提示しており、その神経障害とは、アルツハイマー病および関連障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、および脊髄損傷などである。より具体的には、本発明は、アカンプロセートと組合せてバクロフェンを含む、神経障害に対するインビボでの有意な効果をもたらす組成物を開示する。
実際、本発明は、実施例の項目において、バクロフェンおよびアカンプロセートを含む併用療法が神経障害に苦しむ患者の状態を実質的に改善できる、いうことを示す。特に、発明者らは、驚くべきことに、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せが毛細管網の長さ、または、ベータアミロイド中毒神経細胞におけるLDH放出に対して予期しなかった強い影響を有し、ADの新しい治療方法を示す、ということを発見した。また、実施例は、本発明の併用療法においてバクロフェンは80nM以下の用量で効果があり、アカンプロセートは1nM以下の用量で効果があるということを示す。これらの結果は、驚くべきことであり、特に有利である。なぜなら、このような低い用量では、あらゆる考えられる副作用が回避されるからである。
さらに、これらの組合せは、ニューロン細胞をグルタミン酸塩毒性、酸化ストレスなどの様々な苦痛から効果的に保護し、複数の神経障害に関連するBBB透過化またはニューロン細胞により誘発されるアポトーシスを防止する。
したがって、本発明は、バクロフェンおよびアカンプロセート組成物に基づく、神経障害の新しい治療を提供する。したがって、より具体的には、本発明は、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せに基づく、アルツハイマー病および関連障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、および脊髄損傷の新しい治療を提供する。
これに関し特定の実施形態では、本発明は、バクロフェンおよびアカンプロセートを含む組成物に関する。
さらなる一実施形態において、本発明は、AD、AD関連障害、MS、PD、ALS、HD、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷の治療に使用するバクロフェンおよびアカンプロセートを含む組成物に関する。
さらなる一実施形態において、本発明は、AD、AD関連障害、MS、PD、ALS、HD、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷の治療のための医薬の製造のためのバクロフェンおよびアカンプロセートの使用に関する。
バクロフェンおよびアカンプロセートの例示的CAS番号は下記表1に示す。また表1は、本発明の組成物に使用される化合物の一般的な塩、ラセミ化合物、プロドラッグ、代謝物または誘導体を提示する。
バクロフェンのプロドラッグの具体的な実施例は、Hanafi et al、2011年(参考文献41)に掲載されており、具体的には、中枢神経系(CNS)を対象に特定指向するバクロフェンエステルおよびバクロフェンエステルカルバメートが挙げられている。故に、そのようなプロドラッグは、本発明の組成物に特に適している。前述したバクロフェン・プラカルビルも既知のプロドラッグであり、本発明の組成物におけるバクロフェンの代替
に使用してもよい。バクロフェンのその他のプロドラッグは以下の特許出願に見受けられる:国際公開第2010/102071号、米国特許出願公開第2009/0197958号明細書、国際公開第2009/096985号、国際公開第2009/061934号、国際公開第2008/086492号、米国特許出願公開第2009/0216037号明細書、国際公開第2005/066122号、米国特許出願公開第2011/0021571号明細書、国際公開第2003/077902号、国際公開第2010/120370号。
アカンプロセートの有効なプロドラッグである、パントイン酸エステルネオペンチルスルホニルエステル、ネオペンチルスルホニルエステルプロドラッグ、または潜在性カルボキシレートネオペンチルスルホニルエステルプロドラッグなどは、特に、以下に記載されている:国際公開2009033069号、国際公開2009033061号、国際公開2009033054号、国際公開2009052191号、国際公開2009033079号、米国特許出願公開第2009/0099253号明細書、米国特許出願公開第2009/0069419号明細書、米国特許出願公開第2009/0082464号明細書、米国特許出願公開第2009/0082440号明細書、および米国特許出願公開第2009/0076147号明細書。
バクロフェンおよびアカンプロセートは、単独で使用されてもよいし、または、追加の化合物とさらに組み合わせて使用されてもよい。これに関し、特定の一実施形態において、本発明の組成物は、スルフィソキサゾール、メチマゾール、プリロカイン、ジフィリン、キナクリン、カルベノキソロン、アミノカプロン酸、カベルゴリン、ジエチルカルバマジン、シナカルセト、シンナリジン、エプレレノン、フェノルドパム、レフルノミド、レボシメンダン、スロデキシド、テルビナフィン、ゾニサミド、エトミデート、フェンホルミン、トリメタジジン、メキシレチン、イフェンプロジル、モキシフロキサシン、ブロモクリプチンまたはトルセミドから選択される少なくとも1つの化合物をさらに含んでいてもよい。これらの化合物の各々についての例示的CAS番号を以下の表2に示す。
特定の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病または関連疾患の治療のために、その治療を必要とする対象者においてこの組合せを使用することに関する。
特定の実施形態では、本発明は、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷の治療のために、その治療を必要とする対象者においてこの組合せを使用することに関する。
実施例において開示のとおり、少なくともバクロフェンおよびアカンプロセートを用いる組成物療法は、ニューロンの損傷につながる生物学的過程に対して強い予期せぬ作用を有している。さらに、これらの組合せは、神経障害の症状を補正する非常に効率的な能力も生体内で示した。したがって、これらの組合せは、神経障害の治療に対するする新しい方法を提示しており、その神経障害とは、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、および脊髄損傷などである。これらの組成物は、ニューロン細胞に対するアミロイドβ(Aβ)ペプチドの毒性またはグルタミン酸塩興奮毒性を効率的に防止する。また、これらの組成物は、生体内で、複数の認知症状を改善し、ニューロン細胞を保護することとなる。それゆえ、これらの組成物は、このような障害の治療に対して新しく且つ有効な方法を示している。
さらに、実験の項では、上記に述べた組成物は、i)グルタミン酸興奮毒性から生体外神経細胞を相乗的に保護し、そしてii)グルタミン酸興奮毒性に関する疾患に対し、生体モデルで臨床効果をもたらす、という点で、また効果的であるということを提示している。
本組成物は、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷の併用療法を必要とする対象者におけるその併用療法のための2、3、4または5つの異なる薬剤、より好ましくは2、3または4つの異なる薬剤を含んでいてもよい。好ましい実施形態では、本発明の薬剤は、最大の効果を得るために、同時、個別または連続投与のための1つまたは複数の組み合わせとして使用される。
本発明の好ましい組成物は、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などの神経障害の治療に用いられ、同時、個別または連続の投与として、下記薬剤組合せの1つに含まれる:
−バクロフェンおよびアカンプロセート、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびジエチルカルバマジン、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびシナカルセト、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびスルフィソキサゾール、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびトルセミド、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびイフェンプロジル、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびメキシレチン、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびエプレレノン、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびレボシメンダン、
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびテルビナフィン、または
−バクロフェンおよびアカンプロセートおよびレフルノミド。
実験の項で開示しているように、本発明の前記併用療法は、ヒト対象者におけるアルツハイマー病または関連障害を改善するために実質的に治療的および生体的な作用をもたらす。これらの併用療法は、βアミロイド毒性に対する強力な神経保護作用を誘引し、行動特性および生体の生化学アッセイの有効な結果を示す。この結果は、本発明の組成物はi)生体において、βアミロイド凝集体が引き起こす分子経路を効果的に改善し、ii)ニューロン生存またはシナプス統合性として、罹患動物に見られる神経生理学的機能障害の改善を導く。
さらに、本結果はまた、グルタミン酸興奮毒性(図15)に対し、すなわち、アルツハイマー病(AD)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などの様々な神経疾患に関する経路に対し、前記併用療法が重要な相乗神経保護作用を示すことを表す。前記併用療法は、これら疾患の生体内または体外モデルで有効な結果を示している。
加えてまた、生体内の結果は、本発明の組成物が効果的に血液脳関門の完全性を回復し、アポトーシス始動を防止、遅延、または低減することを示し、これはいくつかの神経疾患の障害になるとして知られる。
さらに、これらの2つの薬剤について観察された特に高い相乗的相互作用により、薬剤を単回薬剤治療において使用する場合は、無影響の薬剤濃度を使用できる。また、実験の項において示されるように、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、他の治療的組合せと比較して、アルツハイマー病に対して向上した治療的効果がある。これらの組成物は、効率的に、ヒト細胞に対する、および、体内モデルにおけるアミロイドβタンパク質またはペプチドの毒作用を防止し、このような障害の治療に対する新しく且つ有効な方法を示す。
本発明の目的は、このようにまた、上記に定義したような、神経障害の治療に対する組成物にあり、その神経障害とは、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などである。
既に示したように、本発明の併用療法において、化合物または薬剤は、一緒に製剤化しても、または、個別に製剤化してもよく、まとめて投与しても、個別に投与しても、または、連続して投与してもよい。
本発明のさらなる目的は、上記に定義したような、神経障害の治療に対する製剤のための組成物の使用にあり、その神経障害とは、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などである。
加えて本発明は、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などの神経障害の治療方法であって、その治療を必要とする対象者に、上記に開示した有効量の組成物を投与することを含む方法を提供する。
本発明の更なる目的は、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などの神経障害の治療に対する方法であり、その治療を必要とする対象者に、上記に開示した有効量の組成物を、同時に、個別にまたは連続して投与することを含む方法である。
好ましい実施形態では、本発明は、アルツハイマー病(AD)およびAD関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷のなどの神経障害の治療を必要とする対象者における、その治療方法であって、対象者に有効量のバクロフェンおよびアカンプロセートを、同時に、個別にまたは連続して投与することを含む方法に関する。
本発明の組成物は、典型的には、1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む。また、本発明における使用のために、この薬剤または化合物は、通常は、薬学的に許容可能な賦形剤または担体と混合される。
この点に関し、本発明のさらなる目的は、医薬組成物の製造方法であり、上記化合物を適切な賦形剤または担体へ混合することを含む方法である。
特別な一実施形態において、本方法は、バクロフェンおよびアカンプロセートを適切な賦形剤または担体に混合することを含む。
本発明の好ましい実施形態によると、上述の通り、化合物は、そのまま使用されるか、または、薬学的に許容可能塩、プロドラッグ、誘導体、またはその徐放製剤の形態で使用される。
当発明の併用療法は、体外および体内で、対象者または特定の状態により、大変効果的であるが、当発明の併用療法は、対象者の神経状態の治療に有益な添加薬剤または治療とさらに同時に、関連して、または併用して用いるとよい。
本発明にかかる薬剤または併用薬剤とともに用いられるほかの療法は、アルツハイマー病(AD)、アルツハイマー病(AD)の関連障害、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、ニューロパシー(例としては、神経因性疼痛またはアルコール性神経障害)、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、もしくは脊髄損傷の症状を改善する1つ以上の薬剤、またはこれらの障害の苦痛一時緩和治療に使用されうる1つ以上の薬剤を含むとよい。例えば、結果は、上記併用療法は、ドネペジル(図16)と組み合わされた場合、重要な相乗的な神経保護作用も示す。したがって、本発明の組合せと共に使用できる例示的な療法は、ドネペジル(CAS:120014−06−4)、ガバペンチン(CAS:478296−72−9;60142−96−3)、リバスチグミン(123441−03−2)またはメマンチン(CAS:19982−08−2)である。
これに関し、特別な一実施形態において、本発明に係る1つまたは複数の薬剤または組成物は、イチョウエキスとさらに組合せられてもよい。適切なエキスは、イチョウエキス、改良イチョウエキス(例えば、活性成分が濃縮されたもの、または、混入物が減らされたもの)、または、イチョウエキスを含むあらゆる薬剤を含むがこれらに制限されない。
本発明の療法は、家庭で提供されても、医局で提供されても、診療所でも、病院の外来部門でも、または病院で提供されてもよく、その結果、医者は、療法の効果を詳しく観察することができ、そして、必要な調製を行うことができる。
本発明の療法の継続期間は、治療する疾患の段階、患者の年齢および状態、並びにその患者の治療に対する反応の様子に依拠する。組合せの各成分の投与量、頻度および様式は、独立して制御することができる。例えば、1つの薬剤を経口投与し、第2の薬剤を筋肉注射で投与してもよい。併用療法は、患者の身体があらゆる予期せぬ副作用から回復する時間がとれるように、休止期間をはさんだ断続的周期で行われてもよい。またこの薬剤は、1回の投薬ですべての薬剤を送達するように、一緒に製剤してもよい。
組合せの各薬剤の投与は、他の成分との組合せで、患者の状態を改善することができる、または疾患もしくは障害を効果的に治療できる薬剤の濃度を生じるあらゆる適切な手段で行われるとよい。
組合せの薬剤を、純粋な化学物質として投与することは可能であるが、それらを医薬組成物(この文脈では、医薬製剤ともいう)として提供することが好ましい。可能な組成物としては、経口投与、直腸投与、局所投与(経皮、頬側および舌下投与を含む)、または非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内および皮内投与を含む)に適切なものを含む。
更に一般には、これらの医薬製剤は、幾つかの投与単位を含む「患者用パック」にして、または個別の治療期間の使用のために単一包装(通常はブリスターパック)した計量単位用量の投与のための他の手段で患者に処方される。患者用パックは、患者が常に患者用パックに含まれる添付文書を利用できる(従来処方では普通は紛失している)という点で、薬剤師が医薬の患者供給分をバルク供給分から分割する従来処方よりも利点がある。添付文書の封入は、医師の指示の患者コンプライアンスを改善することを示した。したがって、本発明は、前述の製剤に適切な包装材料を組み合わせた、本明細書に前記の医薬製剤を更に含む。このような患者用パックでは、併用療法のための製剤の使用目的は、その治療に最も適切に製剤を使用するための指示、施設、設備、適応および/または他の手段により推察することができる。このような評価基準により、患者用パックは、本発明の組合せでの治療のための使用に、特に適切であり、そして適応している。
薬剤は、任意の適量で任意の適切な担体物質中に含まれていてもよい。この薬剤は、組成物の総重量の最大99重量%の量で存在しうる。この組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸内、経皮、鼻内、膣内、吸入、皮膚(パッチ)、又は眼内の投与経路に適した投与剤形として提供することができる。すなわち、本組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ヒドロゲルを含むゲル剤、泥膏、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、飲薬、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、噴霧剤、又はエアゾール剤の剤形を取りうる。
本医薬組成物は、従来の製薬の実務により製剤化することができる(例えば、Remington:TheScience and Practice of Pharmacy (20th ed.)、ed.A.R.Gennaro、Lippincott Williams & Wilkins、2000およびEncyclopedia of PharmaceuticalTechnology、eds. J.Swarbrick and J.C.Boylan、1988-1999、Marcel Dekker、New Yorkを参照のこと)。
本発明にかかる医薬組成物は、投与直後に、又は投与後の任意の所定の時点若しくは期間に、十分に活性薬剤を放出するように製剤化することができる。
放出制御製剤は、(i)長時間にわたり体内で薬剤の実質的に一定濃度をもたらす製剤;(ii)所定の遅延時間後に長時間にわたり体内で薬剤の実質的に一定濃度をもたらす製剤;(iii)活性薬剤物質の血漿レベルの変動に関連する望ましくない副作用を最小限に抑えると共に、体内で比較的一定の有効薬剤レベルを維持することにより、所定の期間、薬剤作用を持続する製剤;(iv)例えば、患部組織もしくは臓器の近く、又はその中に放出制御組成物を空間配置することにより、薬剤作用を局在化させる製剤;および(v)薬剤を特定の標的細胞型に送達するための担体又は化学的誘導体を使用することにより、薬剤作用を標的化する製剤、を含む。
放出制御製剤での薬剤の投与は、その薬剤が、(i)低い治療指数(すなわち、有害な副作用又は毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度との間の差が小さい;一般には、治療指数、TIは、50%致死量(LD50)に対する50%有効量(ED50)の比として定義される);(ii)狭い消化管吸収域;または(iii)非常に短い生物学的半減期(これにより、血漿レベルを治療レベルに維持するために1日に頻回の投与が必要となる)を有する場合に特に好ましい。
問題の薬剤の放出速度が代謝速度を上回る放出制御を得るために、多数の方策のいずれも追求することができる。放出制御は、例えば、様々なタイプの放出制御組成物およびコーティングを包含する、種々の製剤パラメータおよび成分の適切な選択により得られる。すなわち、当該薬剤は、適切な賦形剤と共に、投与により薬剤を制御放出する医薬組成物へと製剤化される(単一、または複数単位の錠剤またはカプセル剤組成物で、油性液剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソーム)。
<経口使用のための固体投与剤形>
経口使用のための製剤は、本発明の組成物を医薬的に許容しうる非毒性の賦形剤との混合物中に含む錠剤を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、ショ糖、微結晶性セルロース、バレイショデンプンを包むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);顆粒剤および崩壊剤(例えば、微結晶性セルロースを含むセルロース誘導体、バレイショデンプンを包含するデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギネイト、またはアルギン酸);結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール);並びに潤滑剤、滑剤、および粘着防止剤(例えば、ステアリン酸、シリカ、またはタルク)であろう。他の医薬的に許容しうる賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであってよい。
錠剤は、素錠であっても、または場合により消化管での崩壊および吸収を遅延させることにより長時間にわたり持続作用を提供するために、既知の手法によりコーティングされていてもよい。コーティングは、活性薬剤物質を既定のパターン(例えば、放出制御製剤を得るための)で放出するようにつくるか、または胃の通過後まで活性薬剤物質を放出しないようにつくる(腸溶性コーティング)ことができる。コーティングは、糖衣、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレート共重合体、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンに基づく)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、および/またはエチルセルロースに基づく)であってよい。時間遅延物質として、例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどを利用することができる。
固体の錠剤組成物は、組成物を不要な化学変化(例えば、活性薬剤物質の放出に先立つ化学分解)からの保護に適したコーティングを含んでもよい。このコーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載された方法と同様に固体投与剤形に適用することができる。
数種の薬剤が、錠剤中で混合されていても、または仕切られていてもよい。例えば、第1の薬剤の放出前に第2の薬剤の大部分が放出されるように、第1の薬剤は錠剤の内側に、そして第2の薬剤は外側に含まれる。
経口使用のための製剤はまた、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、バレイショデンプン、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合したチュアブル錠として、もしくは硬ゼラチンカプセル剤として、または、活性成分を水もしくは油性媒体、例えば、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合した軟ゼラチンカプセル剤として提示することができる。散剤および顆粒剤は、錠剤およびカプセル剤について上記で述べた成分を用いて、従来法で調製することができる。
経口使用のための放出制御組成物は、例えば、活性薬剤物質の溶解および/または拡散を制御することにより活性薬剤を放出するように構成することができる。
溶解制御放出または拡散制御放出は、薬の錠剤製剤、カプセル剤製剤、ペレット製剤、もしくは顆粒製剤に適切なコーティングを施すことにより、又は薬剤を適切なマトリックスに組み込むことにより得ることができる。放出制御コーティングは、上記で挙げられているコーティング物質のうちの1種以上、および/または、例えば、セラック、ミツロウ、グリコワックス(glycowax)、硬化ヒマシ油(castor wax)、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/または、ポリエチレングリコールを含み得る。放出制御マトリックス製剤において、マトリックス物質はまた、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウおよびステアリルアルコール、カーボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/または、ハロゲン化フルオロカーボンを含み得る。
本特許請求における組合せのうち1種以上の薬剤を含む放出制御組成物はまた、浮揚性錠剤またはカプセル剤(すなわち、経口投与されると、一定時間、胃の内容物上に浮いている錠剤またはカプセル剤)の剤形であってもよい。薬剤の浮揚性錠剤の製剤は、賦形剤および20%〜75%(w/w)の親水コロイド(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)との薬剤の混合物を顆粒化することにより調製することができる。得られる顆粒は次に、錠剤へと圧縮することができる。この錠剤は、胃液と接触すると、その表面周囲に、実質上水不透過性のゲルバリアを形成する。このゲルバリアは、1未満の密度を維持することに関与し、それによって錠剤が胃液中で浮揚性を保持できる。
<経口投与用液剤>
水の添加により水性懸濁液の調製に適している散剤、分散性散剤、または顆粒剤は、経口投与に便利な投与剤形である。懸濁液としての製剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1種以上の保存料との混合物で活性成分を提供する。適切な懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
<非経口投与用組成物>
本医薬組成物はまた、注射、点滴又は注入(implantation)(静脈内、筋肉内、皮下など)により、従来の非毒性の薬学的に許容される担体およびアジュバントを含む、投与剤形、製剤で、または適切な送達装置もしくはインプラントを介して非経口投与してもよい。このような組成物の製剤設計および調製法は、医薬品製剤の当業者には周知である。
非経口使用の組成物は、単位投与剤形として(例えば、単回投与用アンプルとして)、または数回の用量を含むバイアルとして提供することができ、そしてその中に適切な保存料を加えることができる(以下を参照のこと)。この組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、点滴装置、もしくはインプラント用の送達装置の剤形をとることが可能であり、または使用前に水もしくは別の適切なビヒクルで再構成するドライパウダーとして提供されてもよい。活性薬剤の他に、本組成物は、適切な非経口投与に許容しうる担体および/または賦形剤を含むことができる。活性薬剤は、放出制御のためにマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、またはリポソームなどを組み込むことができる。本組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、および/または分散剤を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、無菌注射に適した剤形であり得る。このような組成物を調製するために、適切な活性薬剤を非経口投与に許容される液体ビヒクルに溶解または懸濁する。利用可能で許容され得るビヒクルおよび溶媒には、水、適切なpHに調整するために適量の塩酸、水酸化ナトリウムもしくは適切な緩衝剤を添加した水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。本水性製剤はまた、1種以上の保存料(例えば、メチル、エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)を含んでもよい。薬剤の1つが水にやや溶けにくいか溶けにくい場合は、溶解増強剤もしくは可溶化剤を添加することができ、あるいはこの溶媒は10%〜60%(w/w)のプロピレングリコールなどを含むことが可能である。
放出制御非経口組成物は、水性懸濁剤、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マイクロスフェア、油性液剤、油性懸濁剤、または乳剤の剤形であってもよい。あるいは、活性薬剤は、生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または点滴装置に組み込むことができる。マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製に使用する物質は、例えば、ポリグラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)などの、生分解性/生浸食性ポリマーである。放出制御非経口製剤を製剤化するときに使用できる生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。インプラントに使用する物質は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)、または生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)もしくはポリ(オルトエステル))であり得る。
<その他の経路>
好ましさ、便利さには欠けるが、他の投与経路、およびそれによる他の製剤は考慮され得る。これに関して、直腸内適用では、組成物に適する投与剤形は、坐剤(乳剤または懸濁剤型)、および直腸用ゼラチンカプセル剤(液剤または懸濁剤)を含む。典型的な坐剤製剤では、活性薬剤は、適切な薬学的に許容される坐剤基剤(カカオバター、エステル化脂肪酸、グリセリンゼラチンなど)およびポリエチレングリコールのような種々の水溶性または分散性基剤と合わせられる。種々の添加剤、増強剤、または界面活性剤を組み込んでもよい。
本医薬組成物はまた、マイクロスフェアおよびリポソームを含む、従来の非毒性の薬学的に許容される担体および賦形剤を含有する投与剤形又は製剤として、経皮吸収のために皮膚上に局所投与することができる。この製剤は、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、液剤、懸濁剤、スティック剤、噴霧剤、泥膏、硬膏剤、および他の種類の経皮薬物送達システムを含む。薬学的に許容される担体または賦形剤は、乳化剤、酸化防止剤、緩衝剤、保存料、保湿剤、浸透促進剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料、および皮膚保護剤を含んでもよい。
保存料、保湿剤、浸透促進剤は、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルのようなパラベン類、および塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などであってよい。
皮膚への局所投与のための上記の医薬組成物はまた、治療すべき身体の部分への、またはその近くへの局所投与に関連して使用することができる。本組成物は、直接適用として、または特別な薬物送達手段による適用に適合でき、その特別な薬物送達手段とは、包帯、または代替的な硬膏、パッド、スポンジ、ストリップ、もしくは他の形態の適切な柔軟性のある材料などである。
<用量および治療の期間>
組合せの薬剤は、同一もしくは異なる医薬品製剤のいずれかで同時に、または連続して投与するとよいであろう。連続投与であるならば、第2の(または追加の)活性成分を投与する際の遅延時間は、活性成分の組合せの有効な作用の恩恵を失わないようにすべきである。本説明の組合せにとって最小限の要件は、この組合せが、活性成分の組合せの有効作用の恩恵を持つ組合せ使用を目的とすることである。組合せの使用目的は、本発明の組合せの使用を助けるための施設、設備、適応および/または他の手段により推察することができる。
本発明の組合せにおける治療的に有効量の薬剤は、例えば、アルツハイマー病の症状を低減する、その病が一旦臨床的に明らかになったときはその進行を停止もしくは遅延させる、または、その病の発症のリスクを防止もしくは低下させる量を含む。
本発明の活性薬剤は、分割用量で、例えば、1日2回または3回投与することができるが、組合せの各薬剤の1日1回服用が好ましく、単一医薬組成物(単位投与剤形)にした全ての薬剤の1日1回服用が最も好ましい。
投与が1日1〜数回、数日〜数年にわたることはあり得ることで、患者の生涯にわたることさえある。長期投与または少なくとも定期的に反復する長期投与が、多くの症例において示されている。
「単位投与剤形」という用語は、ヒト対象のための単位用量に適した物理的に個別のユニット(カプセル剤、錠剤、または充填済み注射シリンジなど)に関し、各単位は、望ましい治療効果を生み出すように算出された所定量の活性物質(単数または複数)を、必要な製剤担体と一緒に含む。
好ましい単位用量組成物における各薬剤の量は、投与方法、患者の体重および年齢、疾患の段階、治療を受ける人の一般的健康状態を考慮した潜在的副作用のリスクを含む複数の因子に依存している。さらには、特定の患者に対する薬理ゲノミクス(治療薬の薬物動態、薬力学または有効性プロファイルに及ぼす遺伝子型の影響)情報が、使用する用量に影響しうる。
特に機能低下した場合の対応時を除いて、高用量が必要とされうる際に、組合せの各薬剤の好ましい用量は、通例、長期維持療法に通常処方されるか、または第3段階臨床試験において安全が証明された量を超えない用量の範囲内である。
本発明の1つの注目に値する利点は、併用療法で、共同して実質的な臨床効果を患者にもたらしながら、各化合物を低用量で使用できることである。併用療法は、実際に、化合物が個々には低い効果しか持たないか、または、効果を持たない用量で有効なことがある。したがって、本発明の特別な利点は、各化合物の準最適用量、すなわち、通常処方される治療用量より低い用量、好ましくは治療用量の1/2、より好ましくは治療用量の1/3、1/4、1/5、または更により好ましくは治療用量の1/10を使用できることにある。特定の例においては、治療用量の1/20、1/30、1/50、1/100の低用量で、またはさらに低い用量で用いられる。
このような準治療用量では、化合物は副作用を示さないかもしれないが、一方、本発明の組合せはアルツハイマー病の治療において十分に効果がある。
好ましい用量は、長期維持療法に通常処方される量の1%〜50%の量に相当する。
最も好ましい用量は、長期維持療法に通常処方される量の1%〜10%の量に相当するとよい。
本発明の使用薬剤用量の具体例を以下に提供する:
−アカンプロセート、1日当たり1mgを上回り1000mg未満、好ましくは1日当たり400mg未満、より好ましくは1日当たり200mg未満、さらにより好ましくは1日当たり50mg未満、このような用量は特に経口投与に適している。
−バクロフェン、1日当たり0.01mgを上回り150mg未満、好ましくは1日当たり100mg未満、より好ましくは1日当たり50mg未満、さらにより好ましくは1日当たり25mg未満、このような用量は特に経口投与に適している。
−アミノカプロン酸、経口、1日当たり約0.1gmg〜2.4g、
−ブロモクリプチン、経口、1日当たり約0.01mg〜10mg、
−ジエチルカルバマジン、経口、1日当たり約0.6mg〜600mg、
−カベルゴリン、経口、1日当たり約1mg〜10μg、
−シナカルセト、経口、1日当たり約0.3mg〜36mg、
−シンナリジン、経口、1日当たり約0.6mg〜23mg、
−ジフィリン、経口、1日当たり約9mg〜320mg、
−エプレレノン、経口、1日当たり約0.25mg〜10mg、
−イフェンプロジル、経口、1日当たり約0.4mg〜6mg、
−レフルノミド、経口、1日当たり約0.1mg〜10mg、
−レボシメンダン、経口、1日当たり約0.04mg〜0.8mg、
−メキシレチン、経口、1日当たり約6mg〜120mg、
−モキシフロキサシン、経口、1日当たり約4mg〜40mg、
−フェンホルミン、経口、1日当たり約0.25mg〜15mg、
−キナクリン、経口、1日当たり約1mg〜30mg、
−スルフィソキサゾール、経口、1日当たり約20mg〜800mg、
−スロデキシド、経口、1日当たり約0.05mg〜40mg、
−テルビナフィン、経口、1日当たり約2.5mg〜25mg、
−トルセミド、経口、1日当たり約0.05mg〜4mg、
−トリメタジジン、経口、1日当たり約0.4mg〜6mg、
−ゾニサミド、経口、1日当たり約0.5mg〜50mg。
組成物が、活性成分として、バクロフェンおよびアカンプロセートのみを含む場合、これらの2つの化合物は、異なる比率で、例えば、アカンプロセート/バクロフェンが0.05〜1000(W:W)の間、好ましくは0.05〜100(W:W)の間、より好ましくは0.05〜50(W:W)の間に含まれる重量比で使用されてもよい。
実際に投与する薬剤の量は、治療すべき症状、投与する的確な組成物、個々の患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重症度、並びに選択する投与経路を含む関連する状況に照らして、医師により決定されるべきである。したがって、上記用量範囲は、本明細書における教示のための一般的なガイダンスおよびサポートを提供するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実施例は、例示を目的として述べるもので、限定する目的ではない。
[実施例]
実験と同じく、動物の維持と管理は、I.A.S.P.の研究・倫理問題委員会のガイドライン(1983)に準じて行った。
(A)Aβ毒性に関する疾患の治療
この一連の実験では、候補組合せを、ヒトAβ1−42の毒性作用を阻止または縮小するその能力について試験した。Aβ1−42は、ADに苦しむヒト患者の生体組織検査に見られる凝集体を構成する完全長ペプチドである。効果は、ADの異なる生理学的特徴を示す体外モデルにおいて、その組合せの活性をさらに例証するために、種々の細胞型で測定する。また、生体内研究は、i)動物の認知行動、およびii)ADの分子特徴(アポトーシス誘発、酸化ストレス誘発、炎症経路誘発)において、組合せの作用を検証することで、ADについての防御作用を確認するために、マウスモデルで行われる。
1.体外でのヒトAβ1−42の毒性を阻止するバクロフェン−アカンプロセートの併用療法
1-1. ヒトHBME細胞に対するヒトAβ1−42ペプチドの毒性に対する作用
ヒトの脳微小血管内皮細胞培養は、Aβ1−42毒性の候補化合物による保護研究に用いられた。
ヒトの脳微小血管内皮脳細胞(HBMEC、ScienCell社 Ref:1000、移動時凍結10)は、+37℃の水浴で急速に解凍された。その上澄みは、直ちに、10%のウシ胎児血清(FCS; GIBCO社 ref 10270-106)を含む9mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM; Pan Biotech社 ref:P04-03600)に入れられた。細胞懸濁液は、+4℃で10分間、180xgで、遠心分離され、そして、ペレットはCSC無血清培地(CSC serum free、Cell System社、Ref:SF-4Z0-500-R、Batch 51407-4)で、1.6%の無血清RocketFuel(Cell System社、Ref:SF-4Z0-500-R、Batch 54102)、2%、10.000U/mlのペニシリンおよび10mg/mlのストレプトマイシン(PS ; Pan Biotech社 ref:P06-07100 batch133080808)とともに懸濁し、100μlの最終量で、96ウェルプレート(matrigel layerbiocoat angiogenesis system、BD社、Ref 354150、Batch A8662)の、ウェ
ルにつき20,000細胞の密度で播種した。マトリゲルの補助により、血管内皮脳細胞は、毛細管網の形態形成プロセスを自然に開始した(参考文献33)。
3つの異なる培養は、条件毎に行われ、1つの条件は6ウェルで行われる。
<試験化合物およびヒトアミロイド‐β1−42治療>
Aβ1−42ペプチド(Bachem社、ref:H1368 batch 1010533)は、一時的に、20μM(母液)で既定培地において再構成され、そして暗所で3日間、+37℃で、ゆっくりと振動させた。対照培地は、同じ条件で調製された。
3日後、このヒトアミロイドペプチドは、対照培地において、2.5μMに希釈して、HBMECに用いられた(最適培養時間)。Aβ1−42ペプチドは、18時間のインキュベーションのために、マトリゲル上でのHBMEC播種後2時間で加えられた。
マトリゲルへのHBMEC播種後1時間で、テスト化合物およびVEGF−165は培地(+0.1%DMSO)に溶解し、そして、Aβ1−42適用前に、HBMECで1時間、プレインキュベートした(培養ウェルにつき100μlの最終量で)。さらなる薬剤希釈を避けるために、テスト化合物またはVEGFインキュベーション後1時間(マトリゲルへの細胞播種後2時間)で、テスト化合物またはVEGFのある対照培地の2.5μM希釈の最終濃縮物に、100μlのAβ1−42ペプチドを加えた(200μl全量/ウェルになる)。
<培養プレートの編成>
VEGF−Aの血管新生促進アイソフォームとして知られるVEGF−165は、この研究において、参照化合物としてすべての実験に用いられた。VEGF−165は、血管新生に関わる、最も豊富なVEGFアイソフォームうちの1つである。VEGFは参考テスト化合物として、10nMで用いられた(図1)。
次の条件で評価した
−陰性対照群:単独培地+0.1%DMSO
−中毒性:アミロイド‐β1−42(2.5μM)18時間
−陽性対照群:VEGF−165(10nM)(1参照化合物/培養)18時間のインキュベーション時間のためのAβ1−42(2.5μM)添加前の1時間
−テスト化合物:18時間のインキュベーション時間のためのAβ1−42(2.5μM)添加前の1時間の1つまたは複数のテスト化合物
<毛細管網の定量化>
ウェル毎に、InCell AnalyzerTM 1000(GE Healthcare社)を用いて、光透過にて、4倍のレンズで2枚の写真が撮影された。すべての画像は同じ条件で撮影された。血管新生網分析は、開発ソフトウェア(GE Healthcare社)を用いて行われ、毛細管網の全長が測定された。
<データ処理>
データを、アミロイド障害を表すために、対照条件(中毒無し、アミロイド無し=100%)の割合で表した。すべての値は、3培養の平均+/−標準誤差(s.e.mean)として表す(n=条件に付き6)。統計分析は、様々な条件(一元配置分散分析、可能なら続いてDunnettテスト、Statview software version 5.0)でなされた。
<結果>
バクロフェン−アカンプロセートの組合せは、図2に示すように、HBMECモデルにおけるヒトAβ1−42ペプチドの毒性に対する有意な防御作用を提供する(24%のAβ1−42ペプチド障害の低減が観察される)。この結果は、ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)による中毒がこの薬剤組合せによって有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のこれらの薬剤のでは上記の実験条件において中毒に対する有意な効果は有していない、ということを明らかに示す。
逆に、(本明細書では比較のためのだけに示す)バクロフェンとテルビナフィンとの組合せは、Aβ1−42に対する比較的弱い防御を提供する(15%のAβ1−42ペプチド障害の低減が観察される)(図3)。
したがって、これらの2つの組合せは、Aβ1−42に対する防御を可能にするが、バクロフェン−アカンプロセートの組合せは明らかに傑出している。実際、単独では効果を有さない濃度のこれらの薬剤は、組み合わせて使用した場合、Aβ1−42に対してヒトHBME細胞を有意に防御できる。さらに、このバクロフェン−アカンプロセートの組合せは、バクロフェン−テルビナフィンの組合せよりも効果的である。バクロフェンおよびアカンプロセートのこのような組合せは、例えば、バクロフェン−テルビナフィンの組合せの効果と比較して、60%の顕著な改善を示す。
また、バクロフェン−アカンプロセートの組合せにおいて使用されるバクロフェンの濃度は、バクロフェン−テルビナフィンの組合せにおいて使用されるバクロフェンの濃度よりも著しく低い(25分の1)。
1-2. 一次皮質神経細胞におけるヒトAβ1−42ペプチドの毒性に対する作用
<一次皮質ニューロンの培養>
ラットの皮質ニューロンは、Singer、他(参考文献47)の記述に添って培養を行なった。短時間で、妊娠後15日の妊娠期間の雌のラット(ウィスターラット)を、頚椎脱臼により安楽死させ、そしてその胎児は子宮から取り出した。皮質は取り出され、そして、2%のペニシリン10.000U/mlおよびストレプトマイシン10mg/mlと、1%のウシ血清アルブミン(BSA)とを含む、氷温のLeibovitz(L15)の培地に配置した。皮質はトリプシンにより、20分間、37℃で解離した(0.05%)。反応は、DNase1グレードIIおよび10%のウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の添加により停止した。その後細胞は、10mlピペットを用いて3連続継代で、機械的に解離し、そして+4℃で、10分間、515xgで遠心分離をした。上澄みは廃棄され、細胞のペレットは、B27(2%)、L−グルタミン(0.2mM)、2%PS溶液、および10ng/mlのBDNFで補完したNeurobasalからなる既定培地に再懸濁した。生存細胞は、トリパンブルー排除法を用いて、Neubauerサイトメータで数えられた。細胞は、96ウェルプレート(ウェルは、ポリ‐L‐リジン(10μg/ml)であらかじめコーティングした)を用いて、30,000cells/wellの密度で播種し、そして加湿空気(95%)/CO(5%)環境において、+37℃で培養した。
条件ごとに3つの独立培養を行い、1つの条件は6ウェルで行われる。
<試験化合物およびヒトアミロイド−β1−42処理>
Aβ1−42ペプチドは、一時的に、40μM(母液)で既定培地において再構成され、そして暗所で3日間、+37℃で、ゆっくりと振動させた。対照培地は、同じ条件で調製された。
3日後、溶液は次のように一次皮質ニューロンに用いられた:
ニューロン培養の10日後に、試験化合物が、培地に溶解され(+0.1%DMSO)、そして、Aβ1−42適用前に、ニューロンともに1時間プレインキュベートした(培養ウェルにつき100μlの最終量で)。さらなる試験化合物希釈を避けるために、試験化合物インキュベーション後1時間で、薬剤で10μM希釈の最終濃縮物に、100μlのAβ1−42ペプチドを加えた。皮質ニューロンは24時間で中毒になった。3つの異なる培養は、条件毎に行われ、1つの条件は6ウェルで行われた。
BDNF(50ng/ml)およびエストラジオール‐β(150nM)は、それぞれ陽性対照群および参照化合物として用いられた。3つの個別の培養を条件ごとに行い、1つの条件は12ウェルで行われる。
<培養プレートの編成> 150nMのエストラジオール‐βは、陽性対照群として用いられた(図4)。
エストラジオール‐βを培地に溶解させ、アミロイド‐β1−42適用前に1時間プレインキュベートした。
次の条件で評価した:
−対照群プレート:12ウェル/条件
・陰性対照群:単独培地+0.1%DMSO
・中毒性:アミロイド‐β1−42(10μM)24時間
・参照化合物:エストラジオール(150nM)1時間
−薬剤プレート:6ウェル/条件
・陰性対照群:単独培地+0.1%DMSO
・中毒性:アミロイド‐β1−42(10μM)24時間
・試験化合物:1つまたは複数の試験化合物、1時間、続いてアミロイド‐β1−42(10μM)24時間
<乳酸脱水素酵素(LDH)活性分析>
中毒後24時間で、上澄みを取り出し、そして細胞毒性検出キット(LDH、Roche Applied Science社、ref:11644793001、batch:11800300)で分析した。細胞毒性の定量化のための比色分析は、上澄み中へ死細胞のサイトゾルから放出された乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定に基づく。
<データ処理>
データを、アミロイド障害を表すために、対照条件(中毒無し、アミロイド無し=100%)の割合で表した。すべての値は、3培養の平均+/−標準誤差(s.e.mean)として表す(n=条件に付き6)。統計分析は、様々な条件(一元配置分散分析、可能なら続いてDunnettテスト、Statview software version 5.0)でなされた。
<結果>
バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、図5に示すように、一次皮質神経細胞におけるヒトAβ1−42ペプチドの毒性に対する有意な防御作用を有する(34%の細胞生存の改善)。この結果は、ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−4210μM)による中毒は、この組合せによって有意に抑えられるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のバクロフェンまたはアカンプロセートは、中毒に対する有意な効果は有していない、ということを明らかに示す。
逆に、スルフィソキサゾールおよびシナカルセトの組合せは、このモデルにおいて活性であるが、Aβ1−42に対して比較的弱い防御を提供する(19%、図6)。
したがって、これらの2つの組合せは、Aβ1−42に対する防御を可能にするが、バクロフェン−アカンプロセートの組合せは明らかに傑出している。実際、単独では効果を有さない濃度のこれらの薬剤は、組み合わせて使用した場合、Aβ1−42に対してヒト一次皮質神経細胞を有意に防御する。さらに、このバクロフェン−アカンプロセートの組合せは、スルフィソキサゾール−シナカルセトの組合せよりもより効果的である。バクロフェンおよびアカンプロセートのこのような効果は、例えば、スルフィソキサゾールおよびシナカルセトの組合せの効果と比較して、60%の顕著な改善を示す。
まとめると、これらの結果は、アルツハイマー病のいくつかの体内モデルにおいてバクロフェン−アカンプロセートの組合せの予期しない顕著な良い作用を示す。観察された作用は、他のバクロフェンに基づく併用療法(例えば、バクロフェン−テルビナフィン)または、他の活性併用療法(スルフィソキサゾール−シナカルセト)により引き起こされる作用よりも非常に優れている。
皮質細胞に対するアカンプロセートおよびホモタウリン保護作用の比較を行った(図17)。これらの結果は、ホモタウリンと呼ばれるアカンプロセートの誘導体はAβ1−42に対する効果的な防御を可能にする、ということを示した。したがって、本発明の文脈において、バクロフェン又はアカンプロセートは、これらの誘導体が本願に記載のアッセイにおいて効率的である限り、それらの誘導体によって置換され得る。
1-3. 神経突起成長およびシナプス機能性のモデルにおけるAβ1−42の毒性に対する防御
ラットの皮質ニューロンは、Singer、他(参考文献35)の記述に添って培養を行なった。短時間で、妊娠後15日の妊娠期間の雌のラット(ウィスターラット)を、頚椎脱臼により安楽死させ、そしてその胎児は子宮から取り出した。皮質は取り出され、そして、2%のペニシリン10.000U/mlおよびストレプトマイシン10mg/mlと、1%のウシ血清アルブミン(BSA)とを含む、氷温のLeibovitz(L15)の培地に配置した。皮質はトリプシンにより、20分間、37℃で解離した(0.05%)。反応は、DNase1グレードIIおよび10%のウシ胎児血清(FCS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の添加により停止した。その後細胞は、10mlピペットを用いて3連続継代で、機械的に解離し、そして+4℃で、10分間、515xgで遠心分離をした。上澄みは廃棄され、細胞のペレットは、B27(2%)、L−グルタミン(0.2mM)、2%PS溶液、および10ng/mlのBDNFで補完したNeurobasalからなる既定培地に再懸濁した。生存細胞は、トリパンブルー排除法を用いて、Neubauerサイトメータで数えられた。細胞は、96ウェルプレート(ウェルは、ポリ‐L‐リジン(10μg/ml)であらかじめコーティングした)を用いて、30,000cells/wellの密度で播種し、そして加湿空気(95%)/CO(5%)環境において、+37℃で培養した。
培養の10日後、細胞は薬剤とともにインキュベートされる。1時間後、細胞は、BDNFではなく薬剤とともに既定の培地で、2.5μMのベータアミロイド(1−42;Bachem社)により中毒になる。皮質ニューロンは24時間中毒状態に置かれる。BDNF(10ng/ml)は陽性(神経保護)対照群として用いられる。3つの異なる培養は、条件毎に行われ、1つの条件は6ウェルで行われた。
<神経突起長およびシナプス定量化>
24時間の中毒化の後、上澄みを取り出し、そして皮質ニューロンを、低温のエタノール(95%)および酢酸(5%)溶液で、5分間処理する。0.1%のサポニンで浸透後、細胞は、1%のウシ胎児血清を含むPBSで、2時間遮断した。その後、シナプスを定量化するために、細胞を、モノクローナル抗体である抗微小管結合タンパク質2(MAP−2;Sigma社)または抗シナプトフィジン(SYN、S5798、Sigma社)で、抗PSD95(P246、Sigma社)抗体と共にインキュベートする。これらの抗体は、ニュー
ロン(MAP2)のニューロンの細胞体および神経突起またはシナプス前部および後部のエレメント(それぞれ、SYNおよびPSD95)を特異的に染色する。
これらの抗体はAlexa Fluor 488 goat anti-mouse IgG(分子プローブ)で明らかになる。ニューロンの核は蛍光マーカ(Hoechst solution、SIGMA社)で標識した。
ウェル毎に、InCell AnalyzerTM 1000(GE Healthcare社)を用いて、20倍で10枚の写真が撮影された。すべての画像は同じ条件で撮影された。神経突起網分析は、開発ソフトウェア(GE Healthcare社)を用いて行われ、神経突起網の全長が測定された。
<結果>
バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、図7に示すように、一次皮質ニューロン細胞において、ヒトAβ1−42ペプチド毒性に対する有意な防御作用を有している(神経突起網を80%改善)。この結果は、ヒトアミロイドペプチド(Aβ1−422.5μM)による中毒が、この組合せにより有意に抑止されるが、一方で、組合せの場合で使用したのと同じ濃度で単独のバクロフェンまたはアカンプロセートは、中毒に対して有意な効果を有していないことを明らかに示す。
さらに、この組合せにより治療された神経突起網の全長は、対照とはより顕著に異なる。したがって、この組合せは、ヒトAβ1−42ペプチド毒性に対して、皮質ニューロン細胞を効果的に保護し、健全な皮質ニューロン細胞に匹敵する神経突起成長もさせる。
2.生体においてヒトAβ25−35毒性を抑えるバクロフェン−アカンプロセート併用療法
動物
オスのスイスマウスはこの研究全体で用いられる。動物は、行動実験時を除き、実験室の飼料と水に、自由に行き来できるプラスチックのおりで飼育し、そして12時間ごとの明暗周期下、管理環境で飼育した(午前8時に点灯)。実験は、防音で空調された実験室で行われ、マウスは、各実験の少なくとも30分前にこの実験室に慣らされている。
併用治療
1または複数の薬剤を、チューブで(経口で)毎日投与する。β25-35ペプチドおよび凝集β25-35ペプチド(対照)は、殺菌2重蒸留水に溶解し、そして、使用するまで−20℃で保管した。その後、β‐アミロイドペプチドを脳室内(i.c.v.)投与した。手短に述べると、各マウスに、エーテルで軽く麻酔をかけ、そして、規格のステンレス鋼針を、各眼球から等距離の正中線の右に、両眼球および両耳から等距離のところ、並びに頭蓋骨の平面に垂直に、1mm一方的に挿入する。ペプチドまたはビヒクルは、約3秒以内で次第に送達する。マウスは、注射後、1分以内で通常行動を示す。投与場所は、予備実験で、墨汁を注入して確かめる。針の挿入も、またはビヒクルの注入も、生存、行動反応もしくは認知機能に有意な影響を与えない。
薬剤治療
前日、つまりAβ25-35ペプチド注入前の24時間で、薬剤組合せ、またはビヒクル溶液は、1日に2回、強制経口投与される(午前8時および午後6時)。
当日(午前10時に)、マウスのi.c.v.に、Aβ25-35ペプチドまたは凝集Aβ25-35ペプチド(対照群)を、3μl(3mM)の最終量で注入する。
当日から7日目まで、薬剤、薬剤組合せ、またはビヒクル溶液は、1日に1回または2回、強制経口投与される(午前8時および午後6時)。1つの動物群は、ドネペジル(参照化合物 1mg/kg/day)を、1回の注入で、強制経口投与される(午前8時に)。薬剤は、各強制投与直前に水に溶かし、新しく調整する。
7日目に、すべての動物について、空間作業記憶の指標として、Y迷路試験で自発的交替行動をテストする。
7日目および8日目に、動物の文脈的長期記憶を、ステップダウン型受動的回避法を用いて評価した。
8日目に、動物を屠殺した。動物の脳を解剖し、さらなる分析のために−80℃で保存した。
<中毒状態の動物における行動および認知の性能を増進する組合せ>
自発的交替行動‐Y迷路試験
7日目に、すべての動物について、空間作業記憶の指標として、Y迷路試験で自発的交替行動をテストする。Y迷路は灰色でポリ塩化ビニル製である。各アームは、床が長さ40cm、高さ13cm、幅3cm、天井は幅10cmで、角度は等しくなっている。各マウスは、アームの端に置かれ、8分間のテスト期間中は、迷路の中を自由に動き回れる。一連のアーム進入で、同じアームに戻る可能性も含み、視覚的に確認する。交替反応は3つのアームすべてに連続して進入する場合と定める。したがって、最大の交替回数は、アームへの総進入回数引く2であり、交替反応率は、(実際の交替/最大の交替)×100で算出される。パラメータは交替反応率(記憶指標)および、アームへの総進入回数(探査指標)を含む。極端な行動を示す動物は除く(交替反応率<25%、もしくは、>85%もしくはアームへの進入回数<10)。通常、動物のうち0〜5%を占める。このテストは、Aβ25-35注入によりマウスに引き起こされる影響および記憶喪失作用の行動レベルの分析に、付随的に役立つ。
受動的回避テスト
この器具は2つの区画に仕切られた(15cm×20cm×15cm)箱で、1区画は白いポリ塩化ビニルの壁で明るく、もう1区画は黒いポリ塩化ビニルの壁で暗くなっており、格子状の床を持つ。ギロチン戸は各区画を隔てている。器具の40cm上に配置された60Wの照明は、実験中に白い区画を照らす。格子状床には、shock generator scrambler(LafayetteInstruments、Lafayette、USA)を用いて、無作為のフットショック(0.3mAで3秒)が行われうる。訓練期間中に、ギロチン戸は、最初は閉じられている。各マウスは白い区画に配置される。5秒後、戸が上がる。マウスが暗い区画に入り、四肢が格子床に着いたとき、戸は閉まり、そして3秒間のフットショックが行われる。ステップスルー待ち時間、つまり、この待ち時間は、暗い区画に入るのにかかる時間のことであり、そして発声回数を記録する。記憶テストは、訓練後の24時間で行われる。各マウスは、再び白い区画に配置される。5秒後に戸が上がり、ステップスルー待ち時間および脱出待ち時間、すなわち、白い区画内に戻るのにかかる時間を、300秒上限で記録する。
行動性能およびβ25−35ペプチドicv注射の7日後に行った生物化学的アッセイにおいて有益な結果が観られる。
バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、図8、図9、および図10に示すように中毒状態の動物の行動および認知の性能に対して有意な保護作用を含む。
図8において、中毒状態のマウスはたった53.8%の交替で、対照と比較して、空間的作業記憶が非常に低下している。対照と比較したこれらの交替反応率の48%を上回る改善で、上記低下は、バクロフェンおよびアカンプロセートによって治療したマウスにおいては有意に抑えられている。
同様に、図9および図10は、中毒状態の動物は、脱出待ち時間およびステップスルー待ち時間のそれらのスコアにしたがってそれぞれ低下した行動および認知の性能を示す、ということを示す。両方の試験において、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せにより、この低下を有意に修正できる。この組合せで治療されたマウスの脱出待ち時間は、対照のマウス(図9)とは有意に異なり、ステップスルー待ち時間(図10)は、薬剤単独と比較して、組合せの上昇した効果で、本発明の組み合わせにより有意に上昇した。
記憶低下はアルツハイマー病の初期の特徴であり、これらの結果は、行動および認知の性能(記憶を含む)に対するアミロイドペプチドの毒作用が本発明の組合せによって有意に抑えられている、ということを明らかに示している。
さらに、図16は、非常に低用量のバクロフェン(480μg/kg/day)、アカンプロセート(32μg/kg/day)、およびドネペジル(0,25mg/kg/day)を組み合わせて、Y迷路試験により測定されるようなマウスの行動および認知の性能を完全に保護できる、ということを示す。ドネペジルは、この濃度では、空間的作業記憶に対して有意な効果(32%保護)を有していないが、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せと共に使用された場合、中毒化されたマウスの認知性能の完全な保護(98%)が可能である。したがって、本発明の組合せは、他の療法とその作用を促進するためにさらに組み合わせることができる。
<組合せは神経疾患の神経生理学問題を改善する>
Aβ中毒の生体モデルにおいて、併用療法をテストする。神経疾患に影響するいくつかのパラメータにおける併用療法の作用を評価する。
−アポトーシスの指標とみなされる、カスパーゼ3および9の発現レベル、
−酸化ストレスレベルのマーカとみなされる、脂質過酸化反応、
−脳の炎症レベルのマーカとみなされる、GFAP発現分析、
−血液脳関門の完全性、
−シナプス全体の完全性(シナプトフィジンELISA)。
−CA1における可変ニューロンの定量化。
血液脳関門の完全性
Aβによる中毒の動物についての実験設計は、3部と同様である。
血液脳関門(BBB)の完全性における併用療法の潜在的保護作用は、脳室内(i.c.v.)に、オリゴマーβ‐アミロイド25−35ペプチド(Aβ25−35)、または凝集Aβ25−35対照群ペプチド(Sc.Aβ)を注入したマウスを用い、注入後7日で分析した。
Aβ25−35注入後7日目で、EB(エバンスブルー)法を用いて、BBB完全性を評価するため、動物をテストした。EB染色は、末梢への注入後、血清アルブミンと結合することで知られており、血清アルブミントレーサとして使用されてきた。
EB染色(生理食塩水で2%、4ml/kg)は、経心臓灌流に3時間先立ち、腹腔内(i.p.)に注入される。その後、マウスは、前混合した200μlのケタミン80mg/kg、キシラジン10mg/kgでi.p.を麻酔され、開胸される。マウスは、右心房からの流動体が無色になるまで、約15分間、250mlの生理食塩水で経心臓灌流する。頚椎を切り離した後、脳は取り除かれ、大脳皮質(左+右)、海馬(左+右)、間脳の3部位に解剖される。そして、各脳の部位は、EB‐アルブミン溢出の定量測定を行う。
サンプルは、リン酸塩緩衝剤生理食塩水溶液で均質化し、60%トリクロロ酢酸を添加後ボルテックスミキサーにかけてタンパク質を沈殿させる。サンプルは、4℃に冷却され、そして、4℃、10,000gで、30分間遠心分離する。上澄みは、分光光度計を用いて、EBの吸収度を610nmで測定する。
EBは、以下の両方で定量化する。
既知のEB‐アルブミン濃度から得た標準曲線を用いた、脳組織のμg/mg。
タンパク質のμg/mg。
シナプス全体の完全性(シナプトフィジンELISA)
シナプトフィジンは、シナプスの完全性のマーカとして選択されており、市販のELISAキット(USCN、Ref.E90425Mu)を用いて分析される。サンプルは海馬組織から準備し、製造業者および参考文献に具体的に記述されている抽出緩衝剤で均質化する。
組織は、余分な血液を完全に取り除くため、氷温のPBS(0.02mol/l、pH7.0〜7.2)ですすがれ、窒素凍結し、−80℃で保管する前に、重量を測る。組織は、小片に切り分けられ、ガラスホモジナイザーを用い、1mlの氷温リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液で均質化する。生じた懸濁液は、超音波細胞破砕器で分解されるか、または細胞膜をさらに破壊するため2回の凍結‐解凍循環にかける。そして、ホモジネートは、5000gで5分間遠心分離され、上澄みは直ちに分析される。
すべてのサンプルは3重分析される。
タンパク質の定量化は、抽出実績を評価し、標準化するため、Pierce BCA(ビシンコニン酸)タンパク質分析キット(Pierce、Ref♯23227)で行われる。
そして、総タンパク質濃度は、希釈標準曲線から算出され、ELISAの結果の標準化に使用される。
CA1における可変ニューロンの定量化
8日目に、各マウスは、前混合した200μのケタミン80mg/kgおよびキシラジン10mg/kgでi.p.で麻酔され、100mlの食塩水水溶液で、そして、続いて100mlの4%パラホルムアルデヒドで経心灌流した。脳を取り出し、4%パラホルムアルデヒド水溶液に4℃で24時間後固定した。
後固定の後、脳をリン酸塩緩衝食塩水(PBS)水溶液で洗浄し、小脳を取り出し、前脳をスライシングのための振動プラットフォームに置いた(LeicaVT100OS, Leica, Wetzlar, Germany)。
脳を、ビブラトーム(LeicaVT100OS,Leica,Wetzlar,Germany)を用いて、対照断片に分割した(20μm厚)。一連の断片を、24ウェルのプレートにPBSと共に置いた。その後、それらを、海馬体を含むように選択し、9つの断片をゼラチン被覆されたガラスストリップに入れた(クレシルバイオレット用動物毎に1つのスライド)。全てのスライドを、室温で48時間乾燥させて剥がれを防止する。これらのスライドを、クレシルバイオレット染色まで室温で保管した。
断片を0.2%クレシルバイオレット試薬(Sigma-Aldrich社)で染色し、その後、等級付けされたエタノールで脱水し、トルエンで処理し、そして、Mountex媒体(BDH Laboratory Supplies, Poole, Dorset, UK)で搭載した。
搭載後、スライドをRTで保持して24時間乾燥させた。CA1エリアの試験を、光学顕微鏡(Dialux22、Leitz)を用いて、スライスをNIHImageRv1.63software(NIH)によるCCDカメラ(SonyXC-77CE、Sony、Paris、France)でデジタル化して行った。CA1測定および錐体細胞カウントを、ImageJ(登録商標)(NIH)を用いて処理した。データを、各グループ(左および右海馬CA1カウント)についてミリメートル当たりCA1錐体細胞の9つのスライスの平均として表す(参考文献49)。
酸化ストレス分析
マウスを、頚椎切断により屠殺し、その後両海馬をすばやく取り除き、重量を測定、分析まで液体窒素で保存した。解凍後、海馬は冷メタノール(1/10w/v)で均質化し、1、000gで5分間遠心分離し、eppendorf社製チューブに上澄みを入れる。各ホモジネートの反応量は、1mMのFeSO、0.25MのHSO、1mMのキシレノールオレンジに添加し、室温で30分間インキュベートする。吸収度を580nm(A580 1)で観測後、1mMのクメンヒドロペルオキシド(CHP)を10μl、サンプルに添加し、最大酸化レベルを測定するため、室温で30分間インキュベートする。吸収度は580nm(A580 2)で測定される。脂質過酸化反応レベルはCHP当量(CHPE)として次のように測定される:CHPE=A580 1/A580 2 x [CHP]、組織の重量毎のCHP当量および対照群データの割合として表される。
カスパーゼ経路の誘発分析およびGFAP発現分析
マウスを、頚椎切断により屠殺し、その後両海馬をすばやく取り除き、余分な血液を完全に取り除くため、氷温のPBS(0.02mol/l、pH7.0〜7.2)ですすがれ、重量を測定、分析まで液体窒素で保存した。組織は、小片に切り分けられ、ガラスホモジナイザーを用い、1mlの氷温PBSで均質化する。生じた懸濁液は超音波細胞破砕器で分解されるか、または細胞膜をさらに破壊するため、2回の凍結‐解凍循環にかける。そして、ホモジネートは、5,000gで5分間遠心分離され、上澄みは直ちに分析される。
実験は、市販の分析キットで行われる:Caspase-3(USCN‐E90626Mu)、Caspase-9(USCN‐E90627Mu)、GFAP(USCN‐E90068)。
タンパク質の定量化は、抽出実績を評価し、標準化するため、Pierce BCA(ビシンコニン酸)タンパク質分析キット(Pierce、Ref♯23227)で行われる。
バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、図11、図12、図13、および図14に示すように中毒状態の動物の神経生理学の機能に対して有意な保護作用を含んでいる。
無治療の中毒状態の動物と比較して60%を上回る保護で、この組合せは、ニューロンの保護(図11)およびシナプスの密度(図13)について有効である。
同様に、図12は、無治療の中毒状態の動物と比較して、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せはBBB完全性を保護(76%)する、ということを示す。
最終的に、この併用療法は、無治療の中毒状態の動物と比較して、治療された動物の脳におけるAβにより誘発される全体的酸化ストレスを低下させるのに効率的である(図14)。
実施例のパートAに示すように、アルツハイマー病および関連障害などの神経変性障害を含む多数の精神障害において低下したいくつかの神経機能は、バクロフェン−アカンプロセートの組合せにより、保護され、症状は遅延または低減されている。
(B)ニューロン細胞のグルタミン酸塩毒性の抑止
このさらなる実験一式で、候補化合物の、ニューロン細胞におけるグルタミン酸塩毒性の毒性作用を抑止または低減する能力をテストした。グルタミン酸塩毒性は、神経疾患または障害の病因に関わり、その神経疾患または障害とは、多発性硬化症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、ニューロパシー、アルコール依存症もしくはアルコール離脱症、または脊髄損傷などである。薬剤は、最初に個別にテストされ、続いて組合せ作用の分析をする。
<方法>
本発明の薬剤組合せの効能は、一次皮質ニューロン細胞で評価される。これらの分析で使用するプロトコルは、上記A.1−2項の記述と同様である。
グルタミン酸塩毒性分析
化合物の神経保護作用は、特にグルタミン酸作動性ニューロンを示す神経突起網(ニューロフィラメント免疫染色(NF))の定量化により評価される。
ニューロン培養の12日後、候補組合せの薬剤を培地(+0.1%DMSO)に溶解する。そして、候補組合せは、グルタミン酸塩損傷の前に、ニューロンとともに1時間プレインキュベートする。さらなる薬剤希釈を避けるため、インキュベーション後1時間で、候補組合せにおいて、40μMの最終濃縮物に、グルタミン酸塩を20分間加える。インキュベーションの最後に、培地を、グルタミン酸塩を除いた候補組合せの培地に変える。培養は、グルタミン酸塩損傷後24時間行われ、MK801(ジゾシルピン水素マレイン酸塩(Dizocilpinehydrogen maleate))、77086−22−7、20μM)は陽性対照群として用いられる。
サポニン(Sigma社)で浸透後、細胞は、10%のヤギ血清を含むPBSで2時間遮断し、その後、細胞は、ニューロフィラメント抗体(NF、Sigma社)に対するマウスモノクローナル一次抗体で培養する。この抗体はAlexaFluor 488 goat anti-mouse lgGで示される。
細胞核は、蛍光マーカ(Hoechst solution、SIGMA社)より標識化され、神経突起網が定量化される。3つの異なる培養で、条件毎に6ウェルがニューロン生存評価に使用される。
<結果>
バクロフェン−アカンプロセートの組合せは、グルタミン酸塩毒性に対する防御効果を皮質ニューロン細胞に与える。図15で例示するように、本発明の組合せは、上記記載の実験の条件下で、グルタミン酸塩毒性からニューロンを強力に保護する。単独で使用される薬剤が低い保護作用を有する薬剤濃度を用いても有効保護があることが分かったことは注目すべきである。バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、単独のアカンプロセートと比較して、200%を上回る改善、そして、単独のバクロフェンと比較して47%を上回る改善をもたらす。
(C)本発明の組合せを用いたグルタミン酸塩興奮毒性に関する他の障害の改善
上記に記述した、本発明の薬剤および薬剤組合せのグルタミン酸塩毒性に対する生体保護作用は、いくつかのADモデルに例示した保護作用と同時に起こり、発明者に、MS、ALSおよび神経因性疼痛などのグルタミン酸塩毒性も関連する病因において、他の疾患のいくつかのモデルでこれら薬剤および組合せのテストを促した。
1.多発性硬化症の生体モデルにおける組合せの保護作用
慢性の進行性EAEを有する、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質免疫化(MOG免疫化)したマウスは、多発性硬化症治療における本発明の組成物の有益な作用を示すために用いられた。
<動物と化学物質>
C57L/6Jの雌マウス(生後8週)をJanvier(France)から購入する;2週間の馴化後、雌マウス(生後10週)は、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)ペプチドで免疫付与後、慢性麻痺状態になる。実験上の脳脊髄炎は、EAE誘導のためのHooke kit MOG35-55/CFA Emulsion PTX(百日咳毒素)で誘導する。対照群キットはCK−0115(Hooke laboratories社)である。
<実験手順>
実験上の脳脊髄炎は次の手順により誘導する:
実験当日、各0.1mlの2回の皮下注射が行われ、1つはマウスの背中の上部、もう1つはマウスの背中の下部に行われる。各注射は100μgのMOG35−55ペプチド(MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK)、200μgの不活性ヒト結核菌H37Raを含み、フロイント完全アジュバント(CFA)(Hooke laboratories社)で乳化する。この乳化剤は、MOG特定自己免疫型T細胞の感作および区別に必要な抗原を提供する。
PBS(Hooke kit)において、500ngの百日咳毒素の2回の腹腔内注射は、MOG注射後2時間(当日)、および24時間(1日目)で行われる。百日咳毒素は、添加アジュバントによりEAE誘導を促進する。
マウスは免疫付与後8日でEAEを発症し、そして実験期間中、慢性麻痺状態になる。免疫付与後、ブラインド試験でマウスの臨床症状を毎日観測する。動物は、従来型無菌施設で飼育され、すべての実験は、生命倫理学の現地常設委員会により規定および認定されたガイドラインに従って行われる。
<実験群および薬剤治療>
開示した雌のマウス群は、免疫付与の前に体重により均一化する:
−対照群:EAEマウスの条件と同様にビヒクルを注射(実験前日より28日目まで、プラセボを毎日投与)。
−EAE群:MOG注射(当日)+百日咳毒素を注射(当日および1日目)〜実験前日より28日目まで、プラセボを毎日経口投与。
−EAE+陽性対照群:MOG注射(当日)+百日咳毒素を注射(当日および1日目)〜実験前日より28日目まで、デキサメタゾンを毎日経口投与。
−EAE+治療群:MOG注射(当日)+百日咳毒素を注射(当日および1日目)。治療は免疫付与の1日前に始め、28日目まで続く。
臨床スコアは当日、5日目、8日目、9日目、12日目、14日目、16日目、19日目、21日目、23日目、26日目、28日目に測定される。
Statistica software(StatsoftInc.)は、統計分析全体に利用される。ANOVA分析およびスチューデントt検定は臨床疾患スコア分析に使用される。P<0.05で有意差と考えられる。
疾患出現の遅延、臨床スコアおよび死亡の遅延は、カプランマイヤー曲線およびコック
スモデル(Rパッケージ「survival」)で、各群間と対象「免疫」群を比較した。結果のp値は、一側性であり、対象「免疫」群よりよいという仮説の検証である。
総臨床スコアは、下記記載の尾スコア、後肢スコア、前肢スコアおよび膀胱スコアから成る。
尾スコア
後肢スコア
前肢スコア
膀胱スコア
各動物についての全体スコアは、上記カテゴリのすべての合計により決定される。生きている動物についての最高スコアは10である。
<結果―併用療法はMSモデルにおいて効果的>
全体臨床スコアの顕著な改善が、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せについて、「EAE+治療群」のマウスにおいて観察される。
バクロフェン(30mg/kg/day)およびアカンプロセート(2mg/kg/day)の組合せは、慢性進行性EAEの発症に対する有意な防御効果を引き起こし、それゆえ、多発性硬化症治療における組成物の有効な効果を確認した(図18)。症状の30%を上回る低下により、この結果は、前記組合せが13日目から疾患進行を有意に抑えることをはっきりと示す。この結果は、脱髄およびその関連を含むニューロンの保護に対するバクロフェン−アカンプロセート組合せの顕著な良い効果を確認する。
まとめると、これらの結果は、この組合せが、βアミロイド、BBB機能停止、グルタミン酸塩興奮毒性、または脱髄などの、神経疾患の発症に関連する多くのストレスに対してニューロンを効果的に保護することができる、ということを示す。
2.ALSのモデルにおける組合せの保護作用
ALSに対する本発明に係る併用療法の作用は、ALSの体外、共培養モデル、生体内、マウスモデルにおいて実証されている。プロトコルおよび結果をこの項目に示す。
2-1. 神経−筋肉の共培養の一次培養におけるグルタミン酸塩毒性に対する防御効果
<神経および筋肉の細胞の一次共培養>
ヒト筋肉を、健康な被験者の生検の部分から先述の方法にしたがって用意する(参考文献48)。筋肉細胞を、解離細胞(1ウェルにつき10000細胞)から株化し、48ウェルのプレート上に0.1%ゼラチン被覆で固定し、MEM媒体とM199媒体との混合からなる増殖媒体において成長させる。
外套細胞融合の直後に、生後13日目のウィスターラットの後根神経節(DRG)付胚脊髄の全体横断面を、筋肉単層上に、1ウェルにつき1外植片(中央エリアに)置く。DRGは、神経支配の良好な比率を達成するために必要である。神経支配された培養物は、混合媒体に保持される。通常の共培養における24時間後、脊髄外植片から伸びる神経炎が観察される。神経炎は、8日後に管状筋細胞に接触して最初の収縮を引き起こす。その直後から、脊髄外植片の付近に位置する神経支配された筋肉繊維は、実質的には連続的に収縮している。神経支配された繊維は、神経支配されていないものとは形態学的および空間的に異なり、それらから簡単に区別される。
1つの共培養を行う(1つの条件につき6ウェル)。
<グルタミン酸塩損傷>
27日目に、共培養物を、グルタミン酸塩中毒(60μM)の1時間前に、候補化合物またはリルゾールと共に20分間インキュベートする。その後、共培養物を、洗浄し、候補化合物またはリルゾールを、更に48時間の間加える。このインキュベーション時間の後、固定されていない共培養物を、濃度500nmol/LでAlexa488と結合したα−ブンガロトキシンによって、室温で15分インキュベートする。その後、共培養物は、室温で20分間PFAによって固定される。0.1%のサポニンで透過化後、共培養物を、抗ニューロフィラメント抗体(NF)によってインキュベートする。
これらの抗体は、Alexa Fluor 568 goadanti-mouse IgG(分子プローブ)により検出される。ニューロンの原子核は、蛍光マーカー(Hoechstsolution)によって標識化される。
エンドポイントは、運動ニューロンの生存および機能性の指標である(1)総神経突起長、(2)運動単位の数、(3)総運動単位面積である。
各条件について、InCell AnalyzerTM1000(GE Healthcare社)を用いて、20倍の拡大率で、1ウェルにつき2×10画像を撮影する。全ての画像を同じ条件で撮影する。
<結果>
バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、共培養モデルにおける運動ニューロンおよび運動単位を効果的に保護する。
2-2. 併用療法は、ALSマウスモデルにおいて効果的
実験はオスのマウスに行う。遺伝子組み換えのオスのマウスB6SJL-Tg(SOD1)2Gur/Jマウスと、それらの対照(JacksonLaboratories、BenHarbor、USAの、および、FranceのCharlesRiverにより卸された、それぞれSN2726およびSN2297)を模擬ALSのためのこのセットの実験において選択する。
罹患マウスは、その内因性ヒトSOD1プロモーターにより駆動される突然変異体ヒトSOD1遺伝子(コドン93におけるアラニンへグリシンの単一アミノ酸置換)によって設計された、SOD1−G93Aトランス遺伝子を発現する。対照マウスは、対照ヒトSOD1遺伝子を発現する。
<動物のランダム化>
動物の割り当てグループおよびランダム化は、体重に基づいており;各グループについて、ランダム化は、第1治療の1日前に行う。
<薬剤投与>
マウスに、生後60日目から死ぬまでビヒクルにおいて希釈した候補薬剤治療を行った。薬剤候補の希釈用液は、投与の直前に室温で水によって用意される。
飲料水中:
リルゾールを、飲料水に、5%シクロデキストリン中6mg/ml(各グループに対して平均体重に調整した)の最終濃度で添加する。マウスは1日につき約5ml飲むので、推定投与量は30mg/kg/dayであり、これは、マウスの生存を上昇させることを示した用量である。
−シクロデキストリンを、原液(シクロデキストリン20%)から室温において水で希釈された、5%の最終濃度でビヒクルとして使用する。
経口投与(per os):
−薬剤組合せを毎日per osで投与する。
−シクロデキストリンを、原液(シクロデキストリン20%)から室温において水で希釈された、5%の最終濃度でビヒクルとして使用する。
<臨床観察>
各マウスを、治療の最初の日(生後60日目)から死ぬ(または屠殺)まで毎日臨床観察する。臨床観察は、行動試験の研究にある:麻痺の開始、「開脚の損失」、「正向反射の損失」、および、一般的な歩行観察:
−麻痺の開始:この観察は、各肢の麻痺観察からなる。麻痺の開始は、麻痺の最初の兆候の日に対応する。
−開脚の損失の試験は、振戦またはふるえが示されること、および、マウスを尾で吊るしたときの後肢の位置(垂れ下がっている、または、開脚している)からなる。
−正向反射の損失の試験は、どちらかの側に倒されたとき30秒以内に自分自身を立ち直らせるマウスの能力を評価する。マウスが自分自身を立ち直らせることができない場合、正向反射は失われている。正向反射の損失は、疾患の最終段階を決定する:自分自身を立ち直らせることのできないマウスは安楽死させられる。
<結果―併用療法は、ALS生体内モデルにおいて効果的>
疾患の改善は、バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せのために治療された罹患動物について観察される
〈3) 神経因性疼痛についての生体モデルとしてのオキサリプラチン誘発ニューロパシーにおける組合せの保護作用
本発明の併用療法は、生体内で試験され、末梢ニューロパシーの適切なモデル、すなわち、オキサリプラチン誘発ニューロパシーの急性モデルおよびオキサリプラチン誘発ニューロパシーの慢性モデルにおいて試験される。動物、プロトコル、結果をこの項目において示す。
<動物畜産>
Sprague−Dawleyラット(CERJ、France)、オキサリプラチン治療の実験の開始時(D0)において体重150g〜175gを使用する。動物を、アクセスが限定された動物施設において飼育し、温度(19.5℃〜24.5℃)および相対湿度(45%−65%)が制御された部屋で、12時間ずつの明暗サイクルで、固形飼料および水には実験中不断にアクセスできるようにして入れる。動物は、1つの檻毎に4から5匹入れられ、1週間の順化期間が各試験前に観察される。
<実験設計>
4つの以下のグループのラットを全ての実験で使用する:
<<対照群>>
群1:オキサリプラチン(蒸留水)のビヒクル、i.p.で/候補組合せ(蒸留水)のビヒクル、p.o.で毎日。
群2:オキサリプラチン(蒸留水)、i.p.で/候補組合せ(蒸留水)のビヒクル、p.o.で毎日。
群3:オキサリプラチン3mg/kgをi.p.で/蒸留水における単一薬剤、p.o.で毎日x9。
<<試験された組成物の群>>
群4:オキサリプラチン3mg/kgをi.p.で/蒸留水における候補組合せ、p.o.で、毎日x9。
群5:オキサリプラチン3mg/kgをi.p.で/蒸留水におけるガバペンチン(100mg/kg)、p.o.で、試験の日に(すなわち、D1およびD8);
ビヒクルおよび試験項目は、D1〜D7(試験最終日の前日)まで毎日与える一方で、ガバペンチンは、試験の日に(試験の120分前に)投与する。
全ての治療は、可能な場合はコードされたランダムな順番で行う。用量は、活性物質について表す。
<ニューロパシー誘発>
急性ニューロパシーは、オキサリプラチン(3mg/kg)の単回の腹腔内注射により誘発される。
慢性末梢ニューロパシーは、0日目、2日目、4日目、および7日目にオキサリプラチン(3mg/kg、i.p.)の繰り返し腹腔内注射により誘発される(CD=12mg/kg、i.p.)。ヒトにおける慢性ニューロパシーは、同様に累積的であり、ラットにおける累積用量としての〜15mg/kgに相当する、オキサリプラチン≧540mg/m2の総用量を受けた患者に最も一般的にみられる(Cersosimo R.J.2005)。
ラットにおけるオキサリプラチン誘発された疼痛性ニューロパシーは、オキサリプラチン治療された患者における疼痛症状を再現する:
熱的な痛覚過敏は、最初の症状である。これは、アセトン試験または尾部浸漬試験により測定できる。
機械的な痛覚過敏は後になって表れる。これは、Von Frey試験または足圧試験によって定量化できる。
<動物用量および試験>
全ての薬剤組合せを、オキサリプラチン3mg/kgの最初の腹腔内注射の前日(D−1)から投与し、D7まで経口で毎日続けた。試験日の間(すなわち、D1とD7)、これらの薬剤組合せを、試験の後に投与する。基準治療グループ(ガバペンチン)の動物は、試験日だけ投与される。
<アセトン試験>
冷感異痛を、熱的な非侵害受容刺激に対する反応を測定することによりアセトン試験を用いてD1(オキサリプラチン3mg/kgの最初の注射後約24時間(オキサリプラチンの急性作用)、および、D8(オキサリプラチンの慢性作用)に評価する。
アセトン試験において、両後肢の足底面に一滴のアセトンを適用した後、後肢引き離しの待ち時間(反応時間)を測定し、反応の強さをスコア化する(コールドスコア)。アセトンの冷却作用に対する反応時間を、アセトンの適用後、20秒以内(カットオフ)で測定する。アセトンに対する反応も以下の4点スケールで等級付けされる:0(反応無し);1(迅速な引き離し、肢の振り払い);2(肢の長期にわたる引き離しまたは振り払い);3(舐め、又は、噛みつきを伴う肢の繰り返しの振り払い).
各実験グループについて、結果は以下のように現れた:
−肢反応を引き起こすのに必要とされる、秒単位で表される時間として定義される反応
時間(各ラットを一緒にして6回測定の平均±SEM)。
−各ラットを一緒にして6スコアの合計として定義される累積コールドスコア±SEM。最小スコアは0(6回のトライアルのいずれも反応無し)、および、最大可能スコアは18(6回のトライアルの各々において肢の繰り返しの振り払いおよび舐め、または噛みつき)。
<統計分析>
スチューデント検定、一側性、タイプ3を行う。有意レベルをp<0.05と設定し;全てのグループを罹患+ビヒクルグループ(オキサリプラチン治療グループ)と比較する。平均および標準エラー誤差を図に示す。
<結果>
オキサリプラチンは、アセトン適用(罹患グループ+ビヒクル)後、時間的経過中に、肢の引き離しの反応時間の顕著な低下を誘発した。この低下は、1日目(オキサリプラチン誘発ニューロパシーの急性モデル)から8日目(慢性モデル)まで、ビヒクルグループと比較して、進行性があり、顕著である。
<オキサリプラチン誘発ニューロパシーの急性モデルおよび慢性モデルにおける抗アロディニア作用>
バクロフェンおよびアカンプロセートの組合せは、オキサリプラチン誘発ニューロパシーの両モデルにおいて試験される。それは、オキサリプラチン−ビヒクル治療グループと比較して、累積コールドスコアの顕著な低下と反応時間の顕著な増加を引き起こす。結論として、この薬剤組合せは、慢性および急性のニューロパシーをから保護する。

Claims (14)

  1. 多発性硬化症の治療において、その治療を必要とする対象者に使用するためのバクロフェンまたはその薬学的に許容可能な塩、およびアカンプロセートまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物であって、
    スルフィソキサゾール、メチマゾール、プリロカイン、ジフィリン、キナクリン、カルベノキソロン、アミノカプロン酸、カベルゴリン、ジエチルカルバマジン、シナカルセト、シンナリジン、エプレレノン、フェノルドパム、レフルノミド、レボシメンダン、スロデキシド、テルビナフィン、ゾニサミド、エトミデート、フェンホルミン、トリメタジジン、メキシレチン、イフェンプロジル、モキシフロキサシン、ブロモクリプチン若しくはトルセミド、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含む組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の組成物であって、
    以下の化合物の組合せ:
    バクロフェンおよびアカンプロセート、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびジエチルカルバマジン、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびシナカルセト、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびスルフィソキサゾール、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびトルセミド、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびイフェンプロジル、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびメキシレチン、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびエプレレノン、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびレボシメンダン、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびテルビナフィン、若しくは
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびレフルノミドの組合せ、または
    上記化合物の組合せにおいて、各化合物のうちのいずれかがその薬学的に許容可能な塩である組合せ、
    の少なくとも1つを含む組成物。
  4. 請求項1に記載の組成物であって、
    ドネペジル、ガバペンチン、リバスチグミン若しくはメマンチン、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含む組成物。
  5. 請求項4に記載の組成物であって、
    以下の化合物の組合せ:
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびドネペジル、
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびリバスチグミン、若しくは
    バクロフェンおよびアカンプロセートおよびメマンチンの組合せ、または、
    上記化合物の組合せにおいて、各化合物のうちのいずれかがその薬学的に許容可能な塩である組合せ、
    の少なくとも1つを含む組成物。
  6. 請求項1に記載の組成物であって、
    バクロフェンまたはそれらの薬学的に許容可能な塩、およびアカンプロセートまたはその薬学的に許容可能な塩のみを活性薬剤として含む組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物であって、
    薬学的に許容可能な担体又は賦形剤をさらに含む組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物であって、
    前記組成物における前記化合物は、一緒に、個別に、または連続して製剤化され、または、投与される組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物であって、
    対象者へ繰り返し投与される組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物であって、
    アカンプロセート/バクロフェンの比率(W:W)は、0.05と1000との間に含まれる組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物であって、
    バクロフェンの用量は、100mg/day未満である組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物において、
    アカンプロセートの用量は、1000mg/day未満である組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物であって、
    アカンプロセートのカルシウム塩が使用される組成物。
  14. ハンチントン病、神経因性疼痛、アルコール性神経障害、アルコール離脱症又は脊髄損傷の治療において、その治療を必要とする対象者に使用するためのバクロフェンまたはその薬学的に許容可能な塩、およびアカンプロセートまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物。
JP2016155495A 2011-03-01 2016-08-08 バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療 Expired - Fee Related JP6430445B2 (ja)

Applications Claiming Priority (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP11305217.9 2011-03-01
EP11305217 2011-03-01
US201161468658P 2011-03-29 2011-03-29
US61/468,658 2011-03-29
US201161493606P 2011-06-06 2011-06-06
EP11305687 2011-06-06
EP11305687.3 2011-06-06
US61/493,606 2011-06-06

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013555881A Division JP5987008B2 (ja) 2011-03-01 2012-03-01 バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017008078A JP2017008078A (ja) 2017-01-12
JP6430445B2 true JP6430445B2 (ja) 2018-11-28

Family

ID=57763187

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016155495A Expired - Fee Related JP6430445B2 (ja) 2011-03-01 2016-08-08 バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6430445B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3560496A1 (en) * 2008-04-29 2019-10-30 Pharnext Combination compositions for treating alzheimer disease and related disorders with zonisamide and acamprosate
WO2009133141A2 (en) * 2008-04-29 2009-11-05 Pharnext New therapeutic approaches for treating alzheimer disease and related disorders through a modulation of angiogenesis

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017008078A (ja) 2017-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5987008B2 (ja) バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療
US10434109B2 (en) Compositions for treating neurological disorders
JP6328428B2 (ja) 神経疾患の治療のための新しい組成物
US9931326B2 (en) Composition comprising torasemide and baclofen for treating neurological disorders
JP7027318B2 (ja) 神経障害の新規の併用療法
JP2019504101A5 (ja)
JP6430445B2 (ja) バクロフェンおよびアカンプロセートに基づく神経疾患の治療
IL256992A (en) Treatment of neurological disorders based on baclofen and acamprosate
NZ614184B2 (en) Baclofen and acamprosate based therapy of neurogical disorders

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180403

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180601

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180817

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6430445

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees