JP6428683B2 - 回路遮断器の引き外し装置、およびこの回路遮断器の引き外し装置を用いた保護対象回路 - Google Patents
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Description
以上のように、事故が発生すると他の健全な回路への給電までもが停止してしまうのが一般的であった。
そこで、分岐回路で発生する事故への対策として、事故に直接関係する回路遮断器のみが動作して他の健全な回路はそのまま給電を継続させる保護方式である選択遮断方式が採用されている。同方式では、主回路遮断器と分岐回路遮断器の両者の動作特性曲線を考慮する必要がある。下位回路遮断器である分岐回路遮断器の接続点で事故が発生した場合、同回路遮断器が事故電流を遮断するまで、上位回路遮断器である主回路遮断器の開極動作を遅らせなければならない。両回路遮断器の動作特性曲線の両者の特性が交差していなければ、過電流の全領域で選択遮断が可能であると言える。
例えば、特許文献1において、電路1に短絡電流が流れると、電路1の磁束により可動片3は復帰バネ5からの抗力に反して吸引され、軸4を中心に反時計方向に回動し始める。そして、回動途中で可動片3が復帰バネ6に衝突することで抗力が新たに加わり、さらに過電流が電流零点に向かう領域に入り、磁気吸引力が弱まるため、可動片3は一旦その位置で停滞する。その後、再び電流が増大し始めると、可動片3は初期位置よりも電路1に近い位置にあるため、復帰バネ5および6の効力を十分に押し切ることが可能となり、可動片がトリップバーを回動させることで、回路遮断器のリンク機構を動かし、接点を開極させる。この技術を用いた引き外し装置を用いた回路遮断器においては、過電流の最初の0.5サイクルで開極動作に至ることはない。
また、可動片に回動を抑制する抗力を付与する部材が増えることから、部材のばらつきにより、引き外し装置の動作ばらつきが大きくなるという課題があった。
第一の回路遮断器と第一の回路遮断器に接続された第二の回路遮断器との選択遮断を行わせる第一の回路遮断器における回路遮断器の引き外し装置であって、
過電流が流れる導体部と、
導体部に過電流が流れて発生する磁力によって回動して引き外し動作を行う磁性材料からなる可動片と、
可動片の一端に引き外し動作と反対方向の抗力を付与する抗力手段とを備え、
可動片は、引き外し動作において、第一の回動中心を中心として回動後、第二の回動中心を中心として回動し、
第二の回動中心と可動片の一端との距離は、第一の回動中心と可動片の一端との距離よりも長いものである。
第一の回路遮断器と第一の回路遮断器に接続された第二の回路遮断器との選択遮断を行わせる第一の回路遮断器における回路遮断器の引き外し装置であって、
過電流が流れる導体部と、
前記導体部に前記過電流が流れて発生する磁力によって回動して引き外し動作を行う磁性材料からなる可動片と、
可動片の一端に前記引き外し動作と反対方向の抗力を付与する抗力手段とを備え、
可動片は、第一の回路遮断器の開極動作を開始させるラッチを回動して引き外すトリップバーの作用点を押し、
可動片は、引き外し動作において、第一の回動中心および第二の回動中心毎に回動し、
第二の回動中心と可動片の一端との距離は、第一の回動中心と可動片の一端との距離よりも長く、
第二の回動中心は、作用点と可動片とを含む平面内において、第一の回動中心と作用点とを結ぶ直線と、引き外し動作の開始位置にあるときの可動片との間にあるものである。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における回路遮断器の引き外し装置が適用される保護対象回路を示す接続図である。
図1において、電源側に比較的容量の大きい主回路遮断器であるブレーカーB1が接続されている。この主回路遮断器の負荷側に複数個の分岐回路遮断器であるブレーカーB2およびB3が並列に接続されている。これら回路遮断器は、負荷や配線を過電流および短絡電流から保護するために設けられている。過電流が流れると回路遮断器に組み込まれた引き外し装置がトリップ動作して回路遮断器の接点が開極動作を行い、電流を遮断して負荷や配線の保護が行われる。
また、ブレーカーB2の負荷側S2の地点で事故が発生した場合には、事故電流がブレーカーB1およびB2に流れる。その際、ブレーカーB1がトリップ動作してしまうと、健全な回路であるブレーカーB3への給電が停止してしまう。健全な回路への給電停止を防ぐために、ブレーカーB1のトリップ動作よりも先にブレーカーB2をトリップ動作させる選択遮断動作が行われる。
図3は、本実施の形態における回路遮断器が閉極状態の引き外し装置の断面図である。図4は、本実施の形態における回路遮断器が動作途中の引き外し装置の断面図である。図5は、本実施の形態における回路遮断器が開極状態の引き外し装置の断面図である。
導体1は、過電流が流れる導体部であり、図示しない回路遮断器の接点に機械的に接続されている。また、導体1は、可動片3に対向して配置されている。そして、導体1は、底部1a、中央部1bおよび上部1cを有し、Z字状の形状で形成されている。中央部1bと底部1aとの角度は、90°より小さい鋭角となっている。また、中央部1bは、図3に示す位置にある可動片3の長さ方向に平行な形状となっている。回路遮断器接点を開離するための引き外し装置100のフレーム2は、導体1に対向して取り付けられている。
なお、図3から図5において、導体1は、上記のようなZ字状の形状に限らず、過電流時に可動片3を反時計方向、すなわち、引き外し動作方向に回転させる構成であればよい。
なお、バネ6については、実施するに当たり可動片3に対して抗力を付与できるものならば、板バネ、コイルバネ等、バネの種類を問わない。
また、図3から図5において、軸4である第一の回動中心と作用点20との距離は、軸5である第二の回動中心と作用点20との距離よりも長い。
また、図3に示すように、引き外し動作を開始するときには、可動片3と第一の回動中心である軸4との距離は、可動片3と第二の回動中心である軸5との距離よりも短くなっている。
また、引き外し装置100の軸4、軸5、および作用点20を、図6の過電流波形に基づいて配置することで、上述したように、この引き外し装置100が組み込まれた上位回路遮断器としての主回路遮断器を構成するブレーカーB1が、領域R1である過電流の最初の0.5サイクルで開極動作に至らないようにできる。
この構成によって、可動片3にバネ6以外の回動を抑制する抗力を付与する部材を新たに追加する必要がなく、簡素な構造により、引き外し動作を実現できる。
この構成によっても、上述と同様に、可動片3にバネ6以外の回動を抑制する抗力を付与する部材を新たに追加する必要なく、簡素な構造により、引き外し動作を実現できる。
この発明を実施するための実施の形態2における回路遮断器の引き外し装置100の構成および動作を図8から図10を用いて説明する。
図8は、本実施の形態における回路遮断器が閉極状態の引き外し装置の断面図である。図9は、本実施の形態における回路遮断器が動作途中の引き外し装置の断面図である。図10は、本実施の形態における回路遮断器が開極状態の引き外し装置の断面図である。
なお、図8から図10において、導体1は、上記のようなZ字状の形状に限らず、過電流時に可動片3を時計方向、すなわち、引き外し動作方向に回転させる構成であればよい。
また、図8から図10において、軸4である第一の回動中心と作用点20との距離は、軸5である第二の回動中心と作用点20との距離よりも短い。
この構成によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
この発明を実施するための実施の形態3における回路遮断器の引き外し装置100の構成および動作を図11から図13を用いて説明する。
図11は、本実施の形態における回路遮断器が閉極状態の引き外し装置の断面図である。図12は、本実施の形態における回路遮断器が動作途中の引き外し装置の断面図である。図13は、本実施の形態における回路遮断器が開極状態の引き外し装置の断面図である。
可動片3は、ヨーク部10からの磁力を集中させるための突起部3aを有する。すなわち、可動片3の突起部3aは、ヨーク部10と対向している。また、突起部3aは、軸4よりも軸5の方が可動片の突起部3aの近くに配置されている。すなわち、軸5である第二の回動中心と突起部3aとの距離は、軸4である第一の回動中心と突起部3aとの距離よりも短い。
図14は、この発明を実施するための実施の形態4における回路遮断器が閉極状態の引き外し装置の断面図である。
Claims (6)
- 第一の回路遮断器と前記第一の回路遮断器に接続された第二の回路遮断器との選択遮断を行わせる前記第一の回路遮断器における回路遮断器の引き外し装置であって、
過電流が流れる導体部と、
前記導体部に前記過電流が流れて発生する磁力によって回動して引き外し動作を行う磁性材料からなる可動片と、
前記可動片の一端に前記引き外し動作と反対方向の抗力を付与する抗力手段とを備え、
前記可動片は、前記引き外し動作において、第一の回動中心を中心として回動後、第二の回動中心を中心として回動し、
前記第二の回動中心と前記可動片の一端との距離は、前記第一の回動中心と前記可動片の一端との距離よりも長い回路遮断器の引き外し装置。 - 第一の回路遮断器と前記第一の回路遮断器に接続された第二の回路遮断器との選択遮断を行わせる前記第一の回路遮断器における路遮断器の引き外し装置であって、
過電流が流れる導体部と、
前記導体部に前記過電流が流れて発生する磁力によって回動して引き外し動作を行う磁性材料からなる可動片と、
前記可動片の一端に前記引き外し動作と反対方向の抗力を付与する抗力手段とを備え、
前記可動片は、前記第一の回路遮断器の開極動作を開始させるラッチを回動して引き外すトリップバーの作用点を押し、
前記可動片は、前記引き外し動作において、第一の回動中心および第二の回動中心毎に回動し、
前記第二の回動中心と前記可動片の一端との距離は、前記第一の回動中心と前記可動片の一端との距離よりも長く、
前記第二の回動中心は、前記作用点と前記可動片とを含む平面内において、前記第一の回動中心と前記作用点とを結ぶ直線と、前記引き外し動作の開始位置にあるときの前記可動片との間にある回路遮断器の引き外し装置。 - 前記導体部は、前記導体部を覆うヨーク部を有し、
前記可動片は、前記ヨーク部に対向し前記導体部側に突出する突起部を有し、前記第二の回動中心と前記突起部との距離は、前記第一の回動中心と前記突起部との距離よりも短いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路遮断器の引き外し装置。 - 前記第一の回動中心と前記第二の回動中心との距離が、前記引き外し動作に要する時間に応じて調整可能となっている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路遮断器の引き外し装置。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回路遮断器の引き外し装置を有する前記第一の回路遮断器と、
複数の前記第二の回路遮断器とを備え、
前記複数の第二の回路遮断器は、互いに並列に接続されている保護対象回路。 - 前記第一の回路遮断器が有する前記回路遮断器の引き外し装置を第一の回路遮断器の引き外し装置としたとき、
前記第二の回路遮断器は、第二の回路遮断器の引き外し装置を有し、
前記第二の回路遮断器の引き外し装置は、
前記第一の回路遮断器の引き外し装置における前記可動片が、前記引き外し動作におい
て、第一の回動中心のみを中心として回動する回路遮断器の引き外し装置である請求項5
に記載の保護対象回路。
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Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2016045946A Active JP6428683B2 (ja) | 2016-03-09 | 2016-03-09 | 回路遮断器の引き外し装置、およびこの回路遮断器の引き外し装置を用いた保護対象回路 |
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