JP6424807B2 - 水処理システム、および水処理方法 - Google Patents

水処理システム、および水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機性物質を含有する廃水などの水を処理する水処理システム、および水処理方法に関するものである。
有機物を含有する廃水などの水を処理する方法として、標準活性汚泥法などの微生物を利用した処理方法が広く用いられている。微生物を利用した処理方法では、水の処理に伴い微生物が増殖して大量の余剰汚泥が発生し得る。
余剰汚泥は、水処理に不必要な汚泥であるため、水処理系外へと排出され、産業廃棄物として焼却、埋め立て処分される。そのような余剰汚泥の処分には、多大なエネルギー、コスト、および新たな用地を必要とするため、余剰汚泥の発生量の低減が求められている。
余剰汚泥の発生量を低減する方法のひとつとして、オゾンを利用した汚泥減容化処理が知られている。具体的には、微生物等が集まった余剰汚泥にオゾンを供給して分解し、余剰汚泥を減容化する処理が知られている。
オゾンを利用した汚泥減容化処理方法には、大きく分けてライン注入型とバッチ型との2種類の方法が提案されている。ライン注入型の処理方法とは、例えば、沈殿槽から曝気槽へ汚泥含有処理水を返送する配管内にオゾンを直接注入する方法であり、バッチ型の処理方法とは、例えば、曝気槽から引き抜きいた汚泥含有処理水を貯留槽内で一定時間オゾンと接触させながら循環させる方法である。
ライン注入型の方法では、沈殿槽にある処理すべき処理水から分離され濃縮された汚泥含有処理水を、曝気槽に返送する配管の途中でオゾンと接触させ、汚泥含有処理水に含まれる余剰汚泥を分解する(例えば、特許文献1参照)。
バッチ型の方法では、曝気槽から汚泥含有処理水を貯留槽に引き抜き、引き抜かれた汚泥含有処理水を貯留槽内で一定時間循環させる。その循環の途中で汚泥含有処理水とオゾンとを繰り返し接触させることによって、汚泥含有処理水に含まれる余剰汚泥を分解する。このとき、曝気槽から引き抜いた汚泥含有処理水ではなく、沈殿槽において処理水から分離された濃縮汚泥含有処理水に対してオゾンを接触させてもよい(例えば、特許文献2参照)。また、汚泥含有処理水が貯留された反応槽の液相接触域にオゾンを吹き込んで、余剰汚泥を酸化分解するとともに発泡させて、液相接触域の上部に泡沫接触域を形成させ、効率的に余剰汚泥をオゾン処理するバッチ型の方法も考案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平9−150185号公報 特開2001−191097号公報 特開平7−232184号公報
しかしながら、オゾンを利用した従来の汚泥減容化処理方法には改善の余地がある。微生物等が集まった余剰汚泥にオゾンを反応させた場合、微生物等を含む固形成分が分解され、核酸、高分子タンパク等を含む微生物内成分(溶解性有機物)が処理水中に現れる。固形成分の分解により生じた溶解性有機物は、微生物等の基質となるため、余剰汚泥発生の原因となる微生物等の増殖を過度に促す虞がある。
従来のライン注入型の汚泥減容化処理方法では、汚泥含有処理水中にオゾンを一回的に供給して処理を行っている。そのため、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとが反応することになるが、固形成分の分解によって生じる溶解性有機物は未分解のまま残存する虞がある。未分解の溶解性有機物を含む処理後の処理後水が廃水処理系(曝気槽)に返送された場合、余剰汚泥発生の原因となる微生物等の増殖を過度に促す虞がある。未分解の溶解性有機物を減少させるべく一回的に供給するオゾンの量を増加させた場合、固形成分の分解によって生じる溶解性有機物も見越した上でのオゾン供給量を予測することは容易でないため、必要以上のオゾンを供給することによって水質悪化を招く虞がある。つまり、従来のライン注入型の汚泥減容化処理方法では、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上での適度な量のオゾン供給を行うことが困難であった。
従来のバッチ型の汚泥減容化処理方法では、オゾン処理の循環過程によってオゾンを複数回供給して処理を行っているが、従来のライン注入型の汚泥減容化処理方法と同様に、固形成分の分解によって生じる溶解性有機物は未分解のまま残存する虞がある。未分解の溶解性有機物を含む処理後の処理後水が廃水処理系(曝気槽)に返送された場合、余剰汚泥発生の原因となる微生物等の増殖を過度に促す虞がある。未分解の溶解性有機物を減少させるべく供給する一回当たりのオゾンの量を増加させた場合、又は循環過程におけるオゾン供給回数を増加させた場合、固形成分の分解によって生じる溶解性有機物も見越した上でのオゾン供給量を予測することは容易でないため、必要以上のオゾンを供給することによって水質悪化を招く虞がある。つまり、従来のバッチ型の汚泥減容化処理方法でも、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上での適度な量のオゾン供給を行うことが困難であった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能な水処理システム、および水処理方法を提供することを目的とする。
本発明に係る水処理システムは、第1オゾン処理部と、貯留槽と、輸送部と、第2オゾン処理部とを備え、処理すべき水を流入した曝気槽内にある汚泥含有処理水にオゾンを接触させて汚泥含有処理水を分解する。第1オゾン処理部は、曝気槽から引き抜いた汚泥含有処理水に第1オゾン処理を行う。貯留槽は、第1オゾン処理を行った汚泥含有処理水を貯留する。輸送部は、貯留槽に貯留した汚泥含有処理水の一部を貯留槽の下方側から引き抜いて貯留槽の上方側に流入する輸送処理を複数回行う。第2オゾン処理部は、輸送処理を複数回行った後に貯留槽の下方側から引き抜いた汚泥含有処理水に、第1オゾン処理とは異なる第2オゾン処理を行う。
本発明に係る水処理方法は、第1オゾン処理工程と、貯留工程と、輸送工程と、第2オゾン処理工程とを備え、処理すべき水を流入した曝気槽内にある汚泥含有処理水にオゾンを接触させて前記汚泥含有処理水を分解する。第1オゾン処理工程では、曝気槽から引き抜いた汚泥含有処理水に第1オゾン処理を行う。貯留工程では、第1オゾン処理を行った汚泥含有処理水を貯留槽に貯留する。輸送工程では、貯留槽に貯留した汚泥含有処理水の一部を貯留槽の下方側から引き抜いて貯留槽の上方側に流入する輸送処理を複数回行う。第2オゾン処理工程では、輸送処理を複数回行った後に貯留槽の下方側から引き抜いた汚泥含有処理水に、第1オゾン処理とは異なる第2オゾン処理を行う。
本発明によれば、貯留槽に貯留した汚泥含有処理水の一部を貯留槽の下方側から引き抜いて貯留槽の上方側に流入する輸送処理を複数回行うことによって、貯留槽の上方側に生じた泡に汚泥含有処理水中の固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽の下方側に分離し得る。また、分離のタイミングは検知部で検知し得る。そのため、固形成分に適したオゾン処理と溶解性有機物に適したオゾン処理とを実施することが可能となり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。
実施の形態1に係る水処理システムの構成を示す模式図である。 制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る水処理システムの構成を示す模式図である。 実施の形態3に係る水処理システムの構成を示す模式図である。 実施の形態4に係る水処理システムの構成を示す模式図である。 実施の形態5に係る水処理システムの構成を示す模式図である。 実施の形態6に係る水処理システムの構成を示す模式図である。
以下、添付図面を参照して、本願が開示する水処理システム、および水処理方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る水処理システムについて説明する。図1は、本実施の形態1に係る水処理システムの機器構成、制御系統構成、フロー系統構成等を示す模式図である。
図1に示す水処理システムは、曝気槽1、散気装置2、貯留槽8、溶解性有機物オゾン処理槽16、固形成分含有泡貯留槽17、検知部18、制御装置19等を備えている。
曝気槽1には、有機物を含んだ廃水4が流入される。廃水4は、処理すべき水の一例である。
散気装置2には、空気供給装置3が接続してある。散気装置2は、空気供給装置3から取得した空気を曝気槽1内に供給し、曝気槽1を好気性条件とする。曝気槽1では、細菌や微生物の集合体である活性汚泥によって廃水4が好気性条件で処理され、汚泥含有処理水が生成する。空気供給装置3としては、必要空気供給量によって異なるが、ブロア、コンプレッサ、及びポンプ等が用いられる。
曝気槽1で活性汚泥によって処理された汚泥含有処理水は、曝気槽1に接続している後処理部201に流出する。後処理部201では、汚泥含有処理水が生物処理水6と濃縮汚泥含有処理水とに分離される。なお、図1においては、煩雑さを回避するために図示していないが、本実施の形態に係る水処理システムには、後処理部201において分離された濃縮汚泥含有処理水を返送配管106を介して曝気槽1に返送するポンプが設けられている。
貯留槽8は、引き抜き配管101を介して曝気槽1に接続されている。引き抜き配管101上には、引き抜きポンプ5、エジェクタ7、および遮断電磁弁23が配置してある。貯留槽8の下方側にある底部には引抜部11が設けてあり、貯留槽8の上方側にある天井部には流入部12が設けてある。引抜部11と流入部12とは、輸送配管102を介して接続してある。貯留槽8には、後述する第1オゾン処理を行った汚泥含有処理水が貯留される。
輸送配管102上には、輸送ポンプ13と輸送方向電磁弁14とが設けてある。そのため、輸送配管102と輸送ポンプ13と輸送方向電磁弁14との組み合わせは、後で詳細に述べるが、貯留槽8に貯留した汚泥含有処理水の一部を貯留槽8の下方側から引き抜いて貯留槽8の上方側に流入する輸送処理を複数回行う輸送部として機能する。また、輸送配管102は、返送方向切替弁15を介して溶解性有機物配管103と泡貯留配管104とに接続してある。溶解性有機物配管103上には、フローメーター22がある。溶解性有機物配管103は、溶解性有機物オゾン処理槽16を介して返送配管106に接続してある。返送配管106上には、消泡部24と返送ポンプ26とが設けてある。泡貯留配管104は、固形成分含有泡貯留槽17を介して泡配管105に接続してある。泡配管105上には、泡ポンプ25が設けてある。
貯留槽8の上方には、未反応で空気中に放出されたオゾンガスを排出する排オゾン配管112が設けてある。貯留槽8の下方側には、貯留槽8の下方側に貯留された汚泥含有処理水10の物性を検出する検知部18が設けてある。検知部18は、検知用配管107を介して貯留槽8と接続してあり、検知部出力線108を介して制御装置19と接続してある。
エジェクタ7と溶解性有機物オゾン処理槽16とは、切替弁21に接続してある。切替弁21は、第1注入配管110を介してエジェクタ7に接続してあり、第2注入配管111を介して溶解性有機物オゾン処理槽16に接続してある。また切替弁21は、オゾン供給配管109を介してオゾン発生器20に接続してある。
オゾン発生器20は、制御装置19の指令に基づいて動作を行い、必要とされるオゾン濃度及びオゾン供給量のオゾンを発生させる。なお、図1においては煩雑さを回避するために図示していないが、制御装置19はシーケンス制御で連動して輸送方向電磁弁14、返送方向切替弁15、切替弁21、及びフローメーター22等の動作する全ての機器に接続されている。オゾン発生器20は、本発明に係るオゾン発生部として機能し、後述する第1オゾン処理に使用する第1オゾンと第2オゾン処理に使用する第2オゾンとを発生することができる。
オゾン発生器20に供給されるオゾン原料は、特に限定さない。例えば、液体酸素、又はPSA(Pressure Swing Adsorption)、若しくはPVSA(Pressure Vacuum Swing Adsorption)で生成した酸素を用いることができる。必要に応じ、供給される酸素流量に対して0.05〜5%の窒素、空気、又は二酸化炭素を添加する添加ガス供給部を配置しても良い。
オゾン発生器20には、冷却配管113を介して冷却部202が接続してある。冷却部202は、オゾン発生器20を冷却するための冷却媒体を輸送させる輸送ポンプと、オゾン発生器20において発生した熱を吸収して温度が上昇した冷却媒体を冷却する冷却器とを備えている。冷却器としては、液体―液体型及び液体―気体型から選択した熱交換型冷却器、又は液体―フロン冷媒型のチラー等を用いることができる。また、極低温下の冷却を行う場合には、冷凍機を用いることもできる。冷却媒体としては、一例として、一般的な水道水を用いる。その他、不凍液又はスケール除去剤等が混入された水、イオン交換水、又は純水を用いても良く、エチレングリコール又はエタノール等を用いても良い。
実施の形態1の水処理システムにおける余剰汚泥減量プロセスについて説明する。曝気槽1に流入した廃水4は、曝気槽1内において生物処理され汚泥含有処理水となる。このときは、輸送方向電磁弁14、返送方向切替弁15、及び遮断電磁弁23は閉の状態である。
曝気槽1に廃水4が流入した後、一定の周期で遮断電磁弁23が開き、引き抜きポンプ5が起動し、曝気槽1から汚泥含有処理水が引き抜かれる。引き抜かれた汚泥含有処理水は、引き抜き配管101、エジェクタ7、及び流入部12を介して貯留槽8に貯留される。
オゾン発生器20は、ガス状のオゾンを発生する。発生したオゾンは、第1注入配管110を介してエジェクタ7に送られる。貯留槽8に貯留される汚泥含有処理水は、エジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分においてオゾンと接触し、反応する(第1オゾン注入方法)。この処理は、本発明に係る第1オゾン処理の一例であり、エジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分は、曝気槽1から引き抜いた前記汚泥含有処理水に第1オゾン処理を行う第1オゾン処理部として機能する。
第1オゾン注入方法について説明する。第1オゾン注入方法では、エジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分に小さいガス流量で高い濃度のオゾンを注入して汚泥含有水と反応させることで、汚泥含有水中の固形成分を過不足のないオゾン注入量で効率的に分解できる。ここで「過不足のない」とは、未反応として残存している処理対象物量を可及的にゼロに近づけ、注入したが未反応となっているオゾン量も可及的にゼロに近づけた状態を言う。汚泥含有水中形成分(細胞、微生物)は凝集してフロックと呼ばれる塊を形成しているが、エジェクタ7においてフロックをばらばらにし、オゾンとの接触面積を増大させることで効率的にオゾンと固形成分を反応させることができる。つまりエジェクタ7では、高圧の汚泥含有水の水流がノズル部で減圧され、吸引したガス状のオゾンが供給され、オゾンと汚泥含有水とが接触するようになっており、接触する際の物理的な衝撃力で、汚泥含有水中の固形成分が形成するフロックを破砕してばらばらにする。
第1オゾン注入方法を用いた場合、オゾンと接触する固形成分の表面積が大きくなるため、オゾンと固形成分との反応効率が向上する。また、接触するオゾンの濃度が高いほど汚泥含有処理水中の固形成分との反応が効率的になるため、オゾンの濃度が高いほど、少ないオゾン注入量で高い固形成分の分解を実現することができる。ここで、オゾン注入量とは以下の式(1)で表される値であり、オゾン濃度とオゾン流量とを乗じた値を、汚泥含有水中の固形成分濃度と流量(引き抜きポンプ5の流量)とを乗じた値で除したものである。
オゾン注入量[mgO/gSS]=(オゾン濃度[mgO/L]×オゾン流量 [L/min])÷(汚泥含有水の固形成分濃度[gSS/L]×汚泥含有水の流量[L/min])・・・式(1)
上で示した式(1)では、オゾンの濃度が高いほど、必要なオゾン注入量が小さくなる。したがって、第1オゾン注入方法では、小さいガス流量で高い濃度のオゾンをエジェクタ7を介して注入し、汚泥含有水中の固形成分に適したオゾン注入量を実現できる。
第1オゾン注入方法において、オゾン発生器20からエジェクタ7を介して注入するオゾンの濃度は、汚泥含有処理水中の固形成分を効率的に分解できれば、特に限定されない。しかしながら分解効率を考慮した場合、100mg/L以上400mg/L以下が好ましく、250mg/L以上400mg/L以下がより好ましい。オゾン濃度が高いほど汚泥含有処理水中の固形成分の分解効率が高くなるため、オゾン濃度が上記範囲よりも低い場合、汚泥含有処理水中の固形成分の分解が不十分となり、曝気槽1において余剰汚泥を減量させることができない可能性があるからである。また現状では、オゾン発生器20で発生させることのできるオゾン濃度は、400mg/Lが限界だからである。
エジェクタ7における気液流量比(オゾン流量/汚泥含有処理水の流量、以下「G/L比1」とする)は、汚泥含有処理水中の固形成分を十分に分解できれば、特に限定されない。しかしながら、注入した高濃度オゾンを効率的に反応させるためにはG/L比1を小さくする必要があり、0.01以上0.3以下が好ましく、0.05以上0.12以下がより好ましい。G/L比1が上記範囲よりも大きい場合、エジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分において、オゾンが汚泥含有処理水中の固形成分と効率的に反応せず、未反応のオゾンが発生し、過剰なオゾン注入となる虞があるからである。一方、G/L比1が上記範囲よりも更に小さい場合、オゾン注入量が小さく、汚泥含有処理水中の固形成分を十分に分解できない虞もあるからである。
汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとが反応した場合、その反応により泡が生じるため、貯留槽8内部では、上方に泡9が、下方に汚泥含有処理水10が存在する状態となる。貯留槽8内部で上方に泡9が存在して下方に汚泥含有処理水10が存在する状態になった後、遮断電磁弁23を閉め、引き抜きポンプ5の動作及びオゾン発生器20の動作を停止させる。引き抜きポンプ5の動作及びオゾン発生器20の動作を停止させた後、輸送方向電磁弁14を開き、輸送ポンプ13を起動して、引抜部11から輸送配管102を介して貯留槽8の下方にある汚泥含有処理水10を引き抜く。引き抜いた汚泥含有処理水10を再び流入部12から貯留槽8内へと輸送して循環させる。この輸送処理を複数回行うことによって、汚泥含有処理水10中の固形成分(細胞、微生物)を泡9にトラップし、固形成分と溶解性有機物(核酸や高分子タンパク等)との分離を促す。分離後の貯留槽8内部では、上方の泡9中に固形成分がトラップされて溶解性有機物が下方に存在する泡トラップ状態となる。
固形成分と溶解性有機物とを分離させる際の輸送ポンプ13の流量については、固形成分と溶解性有機物とを分離できればよく、特に限定されない。しかしながら、分離性能を考慮した場合、貯留槽8内に貯留する汚泥含有水の液相部の容量a[L]に対し、0.1a[L/min]以上0.7a[L/min]以下が好ましく、0.3a[L/min]以上0.4a[L/min]以下がより好ましい。上記範囲よりも小さい場合、分離に時間を要するため、処理の効率が低下する虞があるからである。上記範囲よりも大きい場合、流入部12から貯留槽8に流入する固形成分の量が過剰となり、固形成分が十分に泡9に捕捉されず、固形成分と溶解性有機物とが適切に分離できない虞があるからである。輸送ポンプ13の流量が上記範囲であれば、5a[L]以上8a[L]以下の汚泥含有水を輸送させることによって、貯留槽8内で固形成分と溶解性有機物との分離を促すことができる。
貯留槽8内部で上方の泡9中に固形成分がトラップされて下方に溶解性有機物が存在する泡トラップ状態になったか否かは、検知部18によって検知される。泡トラップ状態になったことを検知部18が検知した場合、検知部18は、泡トラップ状態を示す出力信号を制御装置19に送信する。
貯留槽8内の汚泥含有水中の固形成分と溶解性有機物との分離を検知部18によって検知する検知機構について説明する。検知部18として、貯留槽8下方の汚泥含有水中の固形成分の濃度を光学的に直接検出するSS濃度計、又は貯留槽8下方の汚泥含有水中の固形成分の濃度を間接的に検出する濁度計などの検知器を設置している。
汚泥含有水10を引抜部11から輸送ポンプ13を用いて引き抜き、流入部12を介して貯留槽8へ再度流入させて循環した場合、貯留槽8上方に形成される泡9に汚泥含有水中の固形成分がトラップされ、貯留槽8下方の汚泥含有水中の固形成分濃度が徐々に減少していく。水処理システムには、貯留槽8の下方にある汚泥含有水中の固形成分の濃度を検知する検知部18が設置してあるため、検知した濃度に基づき、貯留槽8内の汚泥含有水中の固形成分と溶解性有機物とが十分に分離されたか否かを検知することができる。検知部18の検知結果に基づいて、溶解性有機物オゾン処理槽16におけるオゾン処理が実行される。十分に分離された泡トラップ状態になったことを検知部18が検知するための基準となる固形成分の濃度は、溶解性有機物オゾン処理槽16において溶解性有機物とオゾンとを選択的に反応させることができれば、特に限定されない。しかしながら、反応効率を考慮した場合、SS濃度ならば1000mg/L以下、濁度ならば10度以下が好ましく、SS濃度ならば500mg/L以下、濁度ならば5度以下がより好ましい。上記の範囲よりも大きい場合、貯留槽8の下方にある汚泥含有水中に含まれる固形成分量が大きくなり、溶解性有機物オゾン処理槽16におけるオゾンと溶解性有機物との反応が効率的に起こらない虞があるからである。
泡トラップ状態を示す出力信号を受けた制御装置19は、オゾン発生器20を起動し、輸送方向電磁弁14を閉め、返送方向切替弁15を溶解性有機物配管103側に開く。制御装置19は更に切替弁21を切り替え、オゾン供給配管109と第2注入配管111とを接続する。この状態になった場合、輸送ポンプ13によって下方の溶解性有機物が溶解性有機物配管103を介して溶解性有機物オゾン処理槽16に送られ、オゾン発生器20が発生したオゾンも溶解性有機物オゾン処理槽16に送られる。溶解性有機物オゾン処理槽16では、散気式の第2オゾン注入方法を用いてオゾンと溶解性有機物とを接触させて反応させる。この処理は、本発明に係る第2オゾン処理の一例であり、溶解性有機物オゾン処理槽16は、第1オゾン処理とは異なる第2オゾン処理を行う第2オゾン処理部として機能する。
溶解性有機物をオゾン処理する場合、固形成分をオゾン処理する場合と異なり、接触するオゾンの濃度が高くても必要なオゾン注入量が小さくならない。また、溶解性有機物をオゾン処理する場合は更に、オゾンの濃度が高いほど反応の効率が悪化して未反応のオゾン量が大きくなる可能性がある。ここで、オゾン注入量とは以下の式(2)で表される値であり、オゾン濃度とオゾン流量と処理時間とを乗じた値を、汚泥含有水中の溶解性有機物濃度と処理水量(溶解性有機物オゾン処理槽16内の溶解性有機物の容量)とを乗じた値で、除したものである。
オゾン注入量[mgO/gCOD]=(オゾン濃度[mgO/L]×オゾン流量[L/min]×処理時間[min])÷(汚泥含有水の溶解性有機物濃度[gCOD/L]×処理水量[L])・・・式(2)
上述した理由により、第2オゾン注入方法では、低い濃度のオゾンを大きいオゾン流量で溶解性有機物に接触させる。第2オゾン注入方法におけるオゾン注入手段としては、例えば、散気式、エジェクタ式、機械攪拌式、下方注入式などのオゾン供給手段を用いることができる。しかしながら、大きいガス流量でも効率的に溶解性有機物と反応させる必要があるため、散気式、あるいは下方注入式が好ましい。大きいガス流量で低い濃度のオゾンを散気式で注入することによって、過不足のないオゾン注入量で溶解性有機物を効率的に分解できる。
オゾン発生器20から溶解性有機物オゾン処理槽16に注入するオゾンは、溶解性有機物オゾン処理槽16において溶解性有機物が分解される際に生じる未反応のオゾンの濃度が十分に低く、反応効率が高ければ、特に限定されない。しかしながら反応効率を考慮した場合、50mg/L以上300mg/L以下が好ましく、100mg/L以上200mg/L以下がより好ましい。また、溶解性有機物オゾン処理槽16における気液流量比(オゾンの流量/処理水量、以下「G/L比2」とする)は、短時間で必要なオゾン注入量が確保できれば低濃度オゾンであっても特に限定されない。しかしながら反応効率を考慮した場合、0.1以上0.5以下が好ましく、0.2以上0.3以下がより好ましい。オゾン濃度が上記範囲よりも小さい場合、あるいはG/L比2が上記範囲よりも小さい場合、オゾン注入量が小さく、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を十分に分解できない虞があるからである。一方、オゾン濃度が上記範囲よりも大きい、あるいはG/L比2が上記範囲よりも大きい場合、注入したオゾンが溶解性有機物と効率的に反応せず、未反応のオゾンが生じる虞があるからである。
煩雑さを回避するために図1に図示していないが、本実施の形態に係る水処理システムは、溶解性有機物オゾン処理槽16において生じた未反応のオゾンを排気する排オゾン配管が溶解性有機物オゾン処理槽16上部に設けられている。
フローメーター22は、溶解性有機物配管103内の泡9(スラグフロー、あるいはミストフロー)を検知している。そのため、上方の泡が溶解性有機物配管103に送られることをフローメーター22が検知した場合、返送方向切替弁15を泡貯留配管104側に開き、上方の泡9を固形成分含有泡貯留槽17に貯留する。
溶解性有機物オゾン処理槽16におけるオゾン注入が終了した後、泡ポンプ25、および返送ポンプ26を起動する。返送ポンプ26は、溶解性有機物オゾン処理槽16における処理後の処理後水を消泡部24に送液する。泡ポンプ25は、返送ポンプ26によって消泡部24に送液される処理後水に、固形成分含有泡貯留槽17に貯留した泡9を注入する。返送ポンプ26によって送液される処理後水に含まれる溶存オゾンが、泡ポンプ25によって注入される泡9に含まれる固形成分と反応して消費される。泡9に含まれる固形成分との反応で溶存オゾンが消費された処理後水は、曝気槽1に返送される。
固形成分含有泡貯留槽17に貯留した泡9は、固形成分を含んでいる。そのため、再度エジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分へ送り第1オゾン注入方法を用いたオゾン処理を再度行っても良い。
溶解性有機物オゾン処理槽16におけるオゾン注入が終了した後、切替弁21は、オゾン供給配管109と第1注入配管110とを接続する。オゾン供給配管109と第1注入配管110とが接続された後、エジェクタ7は、曝気槽1から引き抜かれた汚泥含有水のオゾン処理を第1オゾン注入方法を用いて再び開始し始める。上記の全工程は、つまり、エジェクタ7を介した第1オゾン注入方法を用いてオゾン処理を行ってから再度オゾン処理を行うまでの工程は、所定時間連続して繰り返される。
曝気槽1に返送された泡9内の固形成分は、第1オゾン注入方法を用いたオゾン処理によって、効率的に易分解性物質に改質され生分解性が高められる。そのため、曝気槽1内で生物処理されて炭酸ガスとなり、余剰汚泥量の減少が促される。さらに、曝気槽1に返送される溶解性有機物は、固形成分との分離によって溶解性有機物が第2オゾン注入方法で効率的にオゾン処理されているため、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する汚泥量の減少が導かれる。したがって、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。
第1オゾン注入方式では、オゾン注入量を30mgO/gSS以上100mgO/gSSとなるようにオゾン発生器20を制御するのが好ましい。第2オゾン注入方式では、10mgO/gCOD以上100mgO/gCOD以下となるようにオゾン発生器20を制御するのが好ましく、30mgO/gCOD以上60mgO/gCOD以下となるようにオゾン発生器20を制御するのがより好ましい。上記の範囲であれば、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくできるからである。
曝気槽1から汚泥含有処理水を引き抜いてオゾン処理後の汚泥含有処理水を曝気槽1へ返送する工程は、周期的かつ間欠的に行うことが望ましい。周期的かつ間欠的に引き抜き・返送工程を行うことによって、曝気槽1内の微生物の基質となる有機物量を減らしすぎることなく、曝気槽1内の微生物が担う有機物分解負荷の増大を抑制できるからである。つまり、曝気槽1内の生物活性低下を抑制しつつ、処理水質の悪化を防止することができるからである。
周期的かつ間欠的に行う引き抜き・返送工程の間隔は、曝気槽1における微生物の有機物負荷、余剰汚泥発生量などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。しかしながら生物活性維持と余剰汚泥減容との両立を考慮した場合、1時間以上24時間以下が好ましく、2時間以上12時間以下がより好ましく、4時間以上6時間以下が更に好ましい。周期的かつ間欠的に行う引き抜き・返送工程の間隔が上記範囲よりも小さい場合、曝気槽1での廃水処理に寄与する微生物も引き抜くことになるため、廃水処理に寄与する微生物の量が不足して微生物活性が低下し、曝気槽1での廃水処理が十分に行われず水質の悪化を招く虞があるからである。一方、周期的かつ間欠的に行う引き抜き・返送工程の間隔が上記範囲よりも大きい場合、オゾン処理によってもたらされる余剰汚泥の減少量よりも、廃水に含まれる有機物を基質として消費して増加した微生物の増殖量の方が大きくなり、全体として余剰汚泥量を減少できない虞があるからである。
1日あたりのオゾン処理汚泥量を1日あたりの余剰汚泥発生量で除した値として、「処理汚泥比」を定義する。実施の形態1に係る水処理システムでは、曝気槽1における微生物の有機物負荷、余剰汚泥発生量等に応じ、この処理汚泥比を適宜設定すればよい。この処理汚泥比は、特に限定されないが、0.5以上5以下が好ましく、2以上3以下がより好ましい。処理汚泥比が0.5未満である場合、オゾン注入に起因した汚泥の減少量が小さく、余剰汚泥量を十分に減少させることができない虞があるからである。処理汚泥比が5を超えた場合、曝気槽1内の微生物量が過度に減少して微生物活性が低下し、処理水質が悪化する虞があるからである。一方、処理汚泥比が2以上3以下の範囲である場合、曝気槽1内の微生物活性を維持しつつ、効率的に余剰汚泥を減量させることができる。
本実施の形態1に係る水処理システムの動作について説明する。図2は、制御装置19の処理手順を示すフローチャートである。
制御装置19は、オゾン発生器20等に指令を行い、第1オゾン注入方法に使用する比較的小流量で高濃度のオゾンと、第2オゾン処理で使用する比較的低濃度で大流量のオゾンとを準備する。
制御装置19は、第1オゾン注入方法を用い、曝気槽1から引き抜いた汚泥含有処理水と比較的小流量で高濃度のオゾンとをエジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分にて反応させる指令を行う(ステップS1)。制御装置19は、第1オゾン注入方法を用いて第1オゾン処理を行った汚泥含有処理水を貯留槽8に貯留する指令を行う(ステップS2)。
制御装置19は、循環方向電磁弁14および循環ポンプ13等に指令を行い、貯留槽8に貯留した汚泥含有処理水の一部を引抜部11を用いて貯留槽8の下方側から引き抜き、循環配管102を介して貯留槽8の上方側に流入する輸送処理を複数回行い、汚泥含有処理水を循環させる(ステップS3)。汚泥含有処理水の循環中、制御装置19は検知部18に指令を行い、貯留槽8の下方側に貯留された汚泥含有処理水の物性を検知させる。検知部18は、検知結果を示す出力信号を制御装置19に送信する。
制御装置19は、検知部18から送信された出力信号に基づき、貯留槽8内が泡トラップ状態になったか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、汚泥含有処理水の固形成分が貯留槽8内の上方の泡9中に十分トラップされ、汚泥含有処理水の溶解性有機物が固形成分から分離されて貯留槽8内の下方に存在する泡トラップ状態になったか否かを判断する。
泡トラップ状態になっていないと判断した場合(S4:NO)、制御装置19は、処理手順をステップS3へと戻し、輸送処理を更に行って再び第1オゾン処理を行い汚泥含有処理水を循環させ、固形成分と溶解性有機物との分離を促す指令を行う。泡トラップ状態になったと判断した場合(S4:YES)、制御装置19は、循環ポンプ13等に指令を行い、貯留槽8内の下方に存在する溶解性有機物を溶解性有機物配管103を介して溶解性有機物オゾン処理槽16へ送り、切替弁21等に指令を行い、オゾン発生器20が発生した比較的低濃度で大流量のオゾンを溶解性有機物オゾン処理槽16へ送り、第2オゾン注入法を用いてオゾン処理槽16にて汚泥含有処理水とオゾンとを反応させ(ステップS5)、処理を終了する。
本実施の形態1に係る水処理システムによれば、上述したように、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとの反応によって貯留槽の上方側に生じた泡9に固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽の下方側に分離することができ、かつ、その分離状況を検知することができる。そのため、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。溶解性有機物も効率的に分解することによって、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する余剰汚泥の量を減少させることができる。
本実施の形態1に係る水処理システムは、上述したように、適切な分離状況になったことを検知したタイミングで、異なるオゾン注入方法を用いてオゾン処理を行う機構を備える。そのため、小流量かつ高濃度のオゾンで固形成分を効率的に分解し、固形成分が分離された溶解性有機物を大流量かつ低濃度のオゾンで効率的に分解することができる。したがって、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とをそれぞれに適したオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができる。つまり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る水処理システムについて説明する。実施の形態2に係る水処理システムでは、基本的な構成および動作が実施の形態1と同様であるが、エジェクタ7と遮断電磁弁23との間に連続処理配管114が設けられている点が異なる。
図3は、本実施の形態2に係る水処理システムの機器構成、制御系統、フロー系統等を示す模式図である。図中、実施の形態1に係る水処理システムと同様の構成機器及び部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
実施の形態2に係る水処理システムでは、エジェクタ7と遮断電磁弁23との間に連続処理配管114を設けてあり、遮断電磁弁23が所定時間開閉する。そのため、引き抜きポンプ5によって引き抜かれエジェクタ7においてオゾンと接触した汚泥含有処理水の送り先として、曝気槽1と貯留槽8とを選択できる。具体的には、遮断電磁弁23が閉状態の場合、エジェクタ7においてオゾンと接触して反応した汚泥含有処理水が連続処理配管114を介して曝気槽1に返送され、遮断電磁弁23が開状態の場合、エジェクタ7においてオゾンと接触して反応した汚泥含有処理水が遮断電磁弁23を介して貯留槽8へ送られる。貯留槽8へ送られた汚泥含有処理水は、貯留槽8でのオゾン処理後、曝気槽1に返送される。
連続配管114を通過して曝気槽1に返送される汚泥含有水では、エジェクタ7のオゾンによって固形成分が分解されるが、固形成分の分解によって生じた溶解性有機物は効率的な分解が促されていない。一方、貯留槽8を介して曝気槽1に返送される汚泥含有水では、実施の形態1で記載したように、固形成分だけでなく溶解性有機物もオゾンによって効率的に分解される。
上記のような構造を備える実施の形態2の水処理システムでは、汚泥含有水に含まれる固形成分の優先的な分解と汚泥含有水に含まれる固形成分及び溶解性有機物両成分の効率的な分解とを柔軟に選択することができる。そのため、曝気槽1内に含まれる固形成分量と溶解性有機物量とを調整し、曝気槽1内の微生物の有機物負荷を適正な値に維持することができる。したがって、処理水質の悪化を更に柔軟に抑制することができる。具体的には、曝気槽1内の微生物の有機物負荷が小さい場合、遮断電磁弁23を閉状態とし、固形成分が優先的に分解された汚泥含有水が曝気槽1に返送される割合を大きし、曝気槽1に返送される未分解の溶解性有機物の量を増加させ、曝気槽1内の有機物負荷を増加させることができる。また、曝気槽1内の微生物の有機物負荷が大きい場合、固形成分と溶解性有機物との両成分が効率的に分解された汚泥含有水が曝気槽1に返送される割合を大きし、曝気槽1に返送される未分解の溶解性有機物の量を減少させ、曝気槽1内の有機物負荷を減少させることができる。
固形成分と溶解性有機物との両成分がともに分解される汚泥含有水の量の割合は、曝気槽1内の微生物の有機物負荷が小さい場合であっても、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。上記範囲よりも小さい場合、本発明の効果が十分に得られず、未分解の溶解性有機物によって曝気槽1内で新たに発生する余剰汚泥の量が大きくなり、十分に余剰汚泥を減量できない虞があるからである。
本実施の形態2に係る水処理システムによれば、上述したように、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとの反応によって貯留槽8の上方側に生じた泡9に固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽8の下方側に分離することができ、かつ、その分離状況を検知することができる。そのため、分離後の溶解性有機物をオゾンによって効率的に分解することができる。したがって、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する汚泥の量を減少させることができる。さらに、溶解性有機物を効率的に分解するオゾン注入方法を泡トラップ状況の検知タイミングで使用する機構を備えるため、小流量かつ高濃度のオゾンで固形成分を効率的に分解し、大流量かつ低濃度のオゾンで溶解性有機物を効率的に分解することができる。したがって、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができる。また、連続配管114の使用によって、曝気槽1内の微生物の有機物負荷に応じて、固形成分が優先的に分解された汚泥含有水と固形成分及び溶解性有機物の両成分が効率的に分解された汚泥含有水との割合を変化させることができる。そのため、曝気槽1内の微生物の有機物負荷を適正な値に維持することができ、処理水質の悪化を効率よく抑制することができる。つまり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る水処理システムについて説明する。本実施の形態3に係る水処理システムでは、基本的な構成、および動作が実施の形態2と同様であるが、エジェクタ7の上流側に汚泥破砕エジェクタ27が設けられている点が異なる。
図4は、本実施の形態3に係る水処理システムの機器構成、制御系統、フロー系統等を示す模式図である。図中、実施の形態2に係る水処理システムと同様の構成機器、部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
実施の形態3においては、引き抜きポンプ5が引き抜いた汚泥含有水をエジェクタ7においてオゾンと接触させる前の処理として、引き抜きポンプ5が引き抜いた汚泥含有水を汚泥破砕エジェクタ27において空気と接触させる。すなわち、高圧の汚泥含有水の水流が汚泥破砕エジェクタ27のノズル部で減圧され、減圧された汚泥含有水が空気と接触するようになっている。そのため汚泥含有水中の固形成分には微生物の集合体が数mm程度の綿くず状になったフロックが含まれるが、空気と接触する際の物理的な衝撃力によってそのフロックが破砕されてばらばらになる。
上記のような構造を備える水処理システムの余剰汚泥減量プロセスでは、引き抜きポンプ5によって引き抜かれた汚泥含有水は、エジェクタ7においてオゾンと接触するときには既に、固形成分を含んで形成されるフロックが破砕されることになる。そのため、フロック状の固形成分と比較し、オゾンと接触する固形成分の表面積が大きくなり、より効率的にオゾンと固形成分を反応させることができる。
本実施の形態3に係る水処理システムによれば、上述したように、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとの反応によって貯留槽8の上方側に生じた泡9に固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽8の下方側に分離することができ、かつ、その分離状況を検知することができる。そのため、分離後の溶解性有機物をオゾンによって効率的に分解することができる。したがって、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する汚泥の量を減少させることができる。さらに、溶解性有機物を効率的に分解するオゾン注入方法を泡トラップ状況の検知タイミングで使用する機構を備えるため、小流量かつ高濃度のオゾンで固形成分を効率的に分解し、大流量かつ低濃度のオゾンで溶解性有機物を効率的に分解することができる。したがって、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができる。また、連続配管114の使用によって、曝気槽1内の微生物の有機物負荷に応じて、固形成分が優先的に分解された汚泥含有水と固形成分及び溶解性有機物の両成分が効率的に分解された汚泥含有水との割合を変化させることができる。そのため、曝気槽1内の微生物の有機物負荷を適正な値に維持することができ、処理水質の悪化を効率よく抑制することができる。また、汚泥含有水中の固形成分とオゾンとがエジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分において反応する前に、固形成分を含んで形成されたフロックを汚泥破砕エジェクタ27においてばらばらにし、オゾンと接触する固形成分の表面積を大きくすることができる。そのため、より効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。したがって、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量をさらに向上させることができる。つまり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る水処理システムについて説明する。本実施の形態4に係る水処理システムでは、基本的な構成、および動作が実施の形態3と同様であるが、オゾン発生器20と切替弁21との間にオゾン濃縮器28が設けられている点が異なり、オゾン発生器20とオゾン濃縮器28とが酸素ガス返送配管115を介してオゾン供給配管109に接続されている点が異なる。
図5は、本実施の形態4に係る水処理システムの機器構成、制御系統、フロー系統等を示す模式図である。図中、実施の形態3に係る水処理システムと同様の構成機器、部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
実施の形態4に係る水処理システムは、オゾン発生器20の下流側にオゾン濃縮器28を備える。オゾン発生器20が発生させたオゾンは、オゾン濃縮器28によって濃縮される。濃縮されたオゾンは、エジェクタ7を介して汚泥含有水に注入される。
オゾン濃縮器28は、オゾン発生器20が発生したオゾンを吸着濃縮する装置であり、オゾンを吸着し得る材料を収容している。オゾンを吸着し得る材料としては、特に限定するものではないが、シリカゲルなどの吸着剤を用いることができる。
オゾン発生器20は、ランニングコストの観点から、オゾン濃度150mg/L以上310mg/L、好ましくは190mg/L以上290mg/L以下で動作させるのがよい。実施の形態1〜3の水処理システムでは、更に高濃度のオゾンを供給することが困難である。しかしながら本実施の形態4の水処理システムでは、オゾン濃縮器28を備えることによって、オゾン濃度を最大2000mg/Lまで濃縮できるようになり、供給するオゾンの高濃度化を実現できる。
オゾン濃縮器28においては、吸着剤が収納される吸着塔の温度と圧力とを制御することによって、最適な吸着条件と最適な脱着条件とを形成することができ、所望の濃度のオゾンを発生させ得る。また、オゾン発生器20が発生したオゾンをオゾン濃縮器28に吸着濃縮させる工程において、吸着されなかった副産物である酸素ガスを酸素ガス返送配管115によってオゾン発生器に返送させることによって、オゾン発生器20で用いられる原料ガスとして再利用することができ、ランニングコストを減少させ得る。
本実施の形態4の水処理システムでは、上述したように、実施の形態1で示したオゾン発生器20単独で発生させることのできるオゾン濃度400mg/Lを超える超高濃度のオゾンをエジェクタ7において汚泥含有水中の固形成分と反応させることができる。そのため、さらに効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。オゾン濃縮器28によって得られるオゾン濃度は、オゾンを吸着させた吸着塔内部への酸素ガスのパージ量で制御することができる。
汚泥含有水中の固形成分とオゾンとをエジェクタ7において反応させて固形成分を分解させる第1オゾン注入方法では、オゾンを吸着させた吸着塔内部への酸素ガスのパージ量を小さくすることによって、小流量かつ超高濃度のオゾンを汚泥含有水中の固形成分と反応させ、過不足のないオゾン注入量で効率的に余剰汚泥を分解できる。汚泥含有水中の固形成分と溶解性有機物との分離状況が検知部18によって検知され、泡トラップ状況を示す出力信号が制御装置19に送られた場合、第2オゾン注入方法を用いて溶解性有機物オゾン処理槽16でオゾン処理を行う。第2オゾン注入方法では、酸素ガスのパージ量を大きくすることによって、溶解性有機物オゾン処理槽16において、大流量かつ低濃度のオゾンを汚泥含有水中の溶解性有機物と反応させ、過不足のないオゾン注入量で効率的に余剰汚泥を分解できる。
第1オゾン注入方法において、オゾン濃縮器28からエジェクタ7に注入するオゾンの濃度は、汚泥含有処理水中の固形成分を効率的に分解できれば、特に限定されない。しかしながら、装置の動作性能を考慮した場合、600mg/L以上2000mg/L以下が好ましく、800mg/L以上1500mg/L以下がより好ましい。オゾン濃度1500mg/Lを超えるオゾンを発生させるためには、より低温・低圧な環境が必要になるため、オゾン濃縮器28の制御が現状では困難となり、水処理システムのコストが増大する虞が生じ得る。したがって、オゾン濃度の上限は1500mg/Lであることが好ましい。
エジェクタ7におけるG/L比1は、汚泥含有処理水中の固形成分を十分に分解できれば、特に限定されないが、オゾン濃縮器28で発生させた超高濃度オゾンを効率的に反応させるために小さくする必要があり、0.01以上0.12以下が好ましく、0.04以上0.1以下が好ましい。G/L比1が上記範囲よりも小さい場合、オゾン注入量が小さく、汚泥含有処理水中の固形成分を十分に分解できない虞があるからである。一方、G/L比1が上記範囲よりも大きい場合、超高濃度オゾンがエジェクタ7において汚泥含有処理水中の固形成分と効率的に反応せず、未反応のオゾンが発生し、過剰なオゾン注入を招く虞があるからである。
第2オゾン注入方法において、オゾン濃縮器28から溶解性有機物オゾン処理槽16へ注入するオゾンの濃度は、溶解性有機物オゾン処理槽16において溶解性有機物が分解される際に生じる未反応のオゾンの濃度が十分に低く、反応効率が高ければ、特に限定されないが、50mg/L以上300mg/L以下が好ましく、100mg/L以上200mg/L以下がより好ましい。また、G/L比2は、低濃度オゾンであっても短時間で必要なオゾン注入量が確保できれば特に限定されないが、0.1以上0.5以下が好ましく、0.2以上0.3以下がより好ましい。オゾン濃度が上記範囲よりも大きい場合、又はG/L比2が上記範囲よりも大きい場合、注入したオゾンが溶解性有機物と効率的に反応せず、未反応のオゾンが生じる虞があるからである。一方、オゾン濃度が上記範囲よりも小さい場合、又はG/L比2が上記範囲よりも小さい場合、オゾン注入量の不足を招き、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を十分に分解できない虞があるからである。
第1オゾン注入方式では、オゾン注入量を15mgO/gSS以上50mgO/gSSとなるようにオゾン濃縮器28を制御するのが好ましく、第2オゾン注入方式では、10mgO/gCOD以上100mgO/gCOD以下となるようにオゾン濃縮器28を制御するのが好ましく、30mgO/gCOD以上60mgO/gCOD以下となるようにオゾン濃縮器28を制御するのがより好ましい。上記の範囲であれば、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができるからである。
本実施の形態4に係る水処理システムによれば、上述したように、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとの反応によって貯留槽8の上方側に生じた泡9に固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽8の下方側に分離することができ、かつ、その分離状況を検知することができる。そのため、分離後の溶解性有機物をオゾンによって効率的に分解することができる。したがって、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する汚泥の量を減少させることができる。さらに、溶解性有機物を効率的に分解するオゾン注入方法を泡トラップ状況の検知タイミングで使用する機構を備えるため、小流量かつ高濃度のオゾンで固形成分を効率的に分解し、大流量かつ低濃度のオゾンで溶解性有機物を効率的に分解することができる。したがって、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができる。また、連続配管114の使用によって、曝気槽1内の微生物の有機物負荷に応じて、固形成分が優先的に分解された汚泥含有水と固形成分及び溶解性有機物の両成分が効率的に分解された汚泥含有水との割合を変化させることができる。そのため、曝気槽1内の微生物の有機物負荷を適正な値に維持することができ、処理水質の悪化を効率よく抑制することができる。また、汚泥含有水中の固形成分とオゾンとがエジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分において反応する前に、固形成分を含んで形成されたフロックを汚泥破砕エジェクタ27においてばらばらにし、オゾンと接触する固形成分の表面積を大きくすることができる。そのため、より効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。また、オゾン濃縮器28を設けることによって、オゾン発生器20単独で発生可能なオゾン濃度400mg/Lを超える超高濃度のオゾンを、汚泥含有水中の固形成分と反応させることができる。そのため、さらに効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。したがって、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量をさらに大きくすることができる。つまり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上で適度な量のオゾン供給を行うことが可能となる。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る水処理システムについて説明する。本実施の形態5に係る水処理システムでは、基本的な構成、および動作が実施の形態4と同様であるが、冷却部202が削除してある点が異なり、後処理部201とオゾン発生器20とが接続してある点が異なる。
図6は、本実施の形態5に係る水処理システムの機器構成、制御系統、フロー系統等を示す模式図である。図中、実施の形態4に係る水処理システムと同様の構成機器、部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
実施の形態1〜4の水処理システムでは、冷却部202によってオゾン発生器20が冷却されるように構成されている。しかしながら、本実施の形態5の水処理システムでは、後処理部201を流出した生物処理水6によってオゾン発生器20が冷却される。後処理部201とオゾン発生器20との間は、図示を省略した輸送ポンプを介して接続してある。
実施の形態1〜4の水処理システムにおける余剰汚泥減量プロセスでは、熱交換型冷却器又は水道水等を使用したチラー等の冷却部202が設けられていた。しかしながら、本実施の形態5の水処理システムにおける余剰汚泥減量プロセスでは、そのような冷却部202が不要となる。そのため、機器のイニシャルコスト、動力コスト、および水道代といった付加コストを削減することができ、経済的である。オゾン発生器20の冷却に使用できる水質は、少なくとも、pHが極端に高くはなく、また極端に小さくもなく、さらに、残留塩素濃度が高くなく、構成機器の溶接個所を腐食させなければよい。
本実施の形態5に係る水処理システムによれば、上述したように、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとの反応によって貯留槽8の上方側に生じた泡9に固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽8の下方側に分離することができ、かつ、その分離状況を検知することができる。そのため、分離後は溶解性有機物をオゾンによって選択的に分解することができる。したがって、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する汚泥の量を減少させることができる。さらに、溶解性有機物を効率的に分解するオゾン注入方法を泡トラップ状況の検知タイミングで使用する機構を備えるため、小流量かつ高濃度のオゾンで固形成分を効率的に分解し、大流量かつ低濃度のオゾンで溶解性有機物を効率的に分解することができる。したがって、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができる。また、連続配管114の使用によって、曝気槽1内の微生物の有機物負荷に応じて、固形成分が優先的に分解された汚泥含有水と固形成分及び溶解性有機物の両成分が効率的に分解された汚泥含有水との割合を変化させることができる。そのため、曝気槽1内の微生物の有機物負荷を適正な値に維持することができ、処理水質の悪化を効率よく抑制することができる。また、汚泥含有水中の固形成分とオゾンとがエジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分において反応する前に、固形成分を含んで形成されたフロックを汚泥破砕エジェクタ27においてばらばらにし、オゾンと接触する固形成分の表面積を大きくすることができる。そのため、より効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。また、オゾン濃縮器28を設けることによって、オゾン発生器20単独で発生可能なオゾン濃度400mg/Lを超える超高濃度のオゾンを、汚泥含有水中の固形成分と反応させることができる。そのため、さらに効率的にオゾンと固形成分を反応させることができる。したがって、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量をさらに大きくすることができる。また、曝気槽1から流出して後処理部201で分離された処理水をオゾン発生器20の冷却に使用するため、経済的である。つまり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮した上での適度な量のオゾン供給を、より経済的に行うことが可能となる。
実施の形態6.
本発明の実施の形態6に係る水処理システムについて説明する。本実施の形態6に係る水処理システムは、基本的な構成、および動作が実施の形態5と同様であるが、後処理部201が削除してある点が異なり、曝気槽1内に膜モジュール203及び膜モジュール散気装置29を設けてある点が異なり、曝気槽1外に膜面洗浄用ブロワ30を設けてある点が異なる。
図7は、本実施の形態6に係る水処理システムの機器構成、制御系統、フロー系統等を示す模式図である。図中、実施の形態5に係る水処理システムと同様の構成機器、部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
本実施の形態6の水処理システムは、下水道、工場排水などの廃水4を膜分離活性汚泥法(MBR)で処理するため、膜モジュール203、膜モジュール散気装置29及び膜面洗浄用ブロワ30を含んだ膜分離活性汚泥処理機構を備える。
膜モジュール203を構成する濾過膜の種類は、特に限定されず、精密濾過(MF)膜、限外濾過(UF)膜などの当該技術分野において公知の各種濾過膜を用いることができる。
膜モジュール203を構成する濾過膜の平均孔径は、特に限定されないが、0.001μm〜1μmが好ましく、0.01μm〜0.8μmがより好ましい。濾過膜の形状は、特に限定されず、中空糸、平膜などの当該技術分野において公知の形状とすることができる。また、膜モジュール203は、浸漬型、ケーシング型、モノリス型などを採用することができる。さらに、膜モジュール203の濾過方式は、全量濾過方式又はクロスフロー濾過方式のいずれのものでも用いることができる。
実施の形態6の水処理システムにおける余剰汚泥減量プロセスでは、MLSS(活性汚泥浮遊物)濃度3000〜20000mg/Lの活性汚泥が曝気槽1内に充填される。下水道、工場排水などの廃水4を曝気槽1内に供給する場合、活性汚泥を用いた生物学的処理が曝気槽1内で行われる。生物学的処理の後、膜モジュール203を用いた濾過処理を行うことによって、生物処理水6(濾過水)を得ることができる。膜面洗浄用ブロワ30が膜モジュール散気装置29に接続してあり、膜モジュール散気装置29から膜モジュール203に空気が供給されるため、曝気槽1内の活性汚泥の膜面流動が生じ、膜モジュール203による濾過処理を安定して行うことができる。
膜モジュール203を用いた濾過処理は、連続的に行ってもよい。また、オゾン処理した汚泥含有処理水を曝気槽1に返送するタイミングで一定時間停止してもよい。オゾン処理した汚泥含有処理水を曝気槽1に返送するタイミングで濾過処理を停止する場合、曝気槽1内の微生物の有機物負荷の増加に依存した生物処理水6の水質悪化をさらに抑制することができる。
本実施の形態6では、1つの曝気槽1内に膜モジュール203を浸漬した場合を例示した。しかしながら、曝気槽1を2つ以上に分割し、下流側の曝気槽1に膜モジュール203を浸漬させてもよい。また、ケーシングした膜モジュール203を曝気槽1の外部に設け、ケーシングした膜モジュール203と曝気槽1との間で活性汚泥を輸送させながら濾過処理を行ってもよい。いずれにしても、本発明の効果を阻害しない範囲において、実施の形態6に係る水処理システムの構成を修正することできる。
本実施の形態6に係る水処理システムによれば、上述したように、汚泥含有処理水中の固形成分とオゾンとの反応によって貯留槽8の上方側に生じた泡9に固形成分がトラップされ、汚泥含有処理水中の溶解性有機物を貯留槽8の下方側に分離することができ、かつ、その分離状況を検知することができる。そのため、分離後は溶解性有機物をオゾンによって選択的に分解することができる。したがって、溶解性有機物を炭素源として新たに発生する汚泥の量を減少させることができる。さらに、溶解性有機物を効率的に分解するオゾン注入方法を泡トラップ状況の検知タイミングで使用する機構を備えるため、小流量かつ高濃度のオゾンで固形成分を効率的に分解し、大流量かつ低濃度のオゾンで溶解性有機物を効率的に分解することができる。したがって、汚泥含有処理水中の固形成分と溶解性有機物とを共に過不足のないオゾン注入量で効率的に分解し、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量を大きくすることができる。また、連続配管114の使用によって、曝気槽1内の微生物の有機物負荷に応じて、固形成分が優先的に分解された汚泥含有水と固形成分及び溶解性有機物の両成分が効率的に分解された汚泥含有水との割合を変化させることができる。そのため、曝気槽1内の微生物の有機物負荷を適正な値に維持することができ、処理水質の悪化を効率よく抑制することができる。また、汚泥含有水中の固形成分とオゾンとがエジェクタ7と流入部12との間に位置する機構部分において反応する前に、固形成分を含んで形成されたフロックを汚泥破砕エジェクタ27においてばらばらにし、オゾンと接触する固形成分の表面積を大きくすることができる。そのため、より効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。また、オゾン濃縮器28を設けることによって、オゾン発生器20単独で発生可能なオゾン濃度400mg/Lを超える超高濃度のオゾンを、汚泥含有水中の固形成分と反応させることができる。そのため、さらに効率的にオゾンと固形成分とを反応させることができる。したがって、オゾン注入量あたりの余剰汚泥減少量をさらに大きくすることができる。また、曝気槽1から流出して後処理部201で分離された処理水をオゾン発生器20の冷却に使用するため、経済的である。また、膜分離活性汚泥処理機構を更に備えるため、処理後に得られる処理水の水質が更に向上する。つまり、余剰汚泥の固形成分だけでなく溶解性有機物も考慮し適度な量のオゾン供給をより経済的に行い、水質の向上した処理水を得ることが可能となる。
本発明は、以上のように説明し且つ記述した特定の詳細、および代表的な実施の形態に限定されるものではない。当業者によって容易に導き出すことのできる変形例、および効果も発明に含まれる。したがって、特許請求項の範囲、およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 曝気槽、2 散気装置、3 空気供給装置、4 廃水、5 引き抜きポンプ、6 生物処理水、7 エジェクタ、8 貯留槽、9 泡、10 汚泥含有処理水、11 引抜部、12 流入部、13 輸送ポンプ、14 輸送方向電磁弁、15 返送方向切替弁、16 溶解性有機物オゾン処理槽、17 固形成分含有泡貯留槽、18 検知部、19 制御装置、20 オゾン発生器、21 切替弁、22 フローメーター、23 遮断電磁弁、24 消泡部、25 泡ポンプ、26 返送ポンプ、27 汚泥破砕エジェクタ、28 オゾン濃縮器、29 膜モジュール散気装置、30 膜面洗浄用ブロワ、101 引き抜き配管、102 輸送配管、103 溶解性有機物配管、104 泡貯留配管、105 泡配管、106 返送配管、107 検知用配管、108 検知部出力線、109 オゾン供給配管、110 第1注入配管、111 第2注入配管、112 排オゾン配管、113 冷却配管、114 連続処理配管、115 酸素ガス返送配管、201 後処理部、202 冷却部、203 膜モジュール。

Claims (17)

  1. 処理すべき水を流入した曝気槽内にある汚泥含有処理水にオゾンを接触させて前記汚泥含有処理水を分解する水処理システムにおいて、
    前記曝気槽から引き抜いた前記汚泥含有処理水に第1オゾン処理を行う第1オゾン処理部と、
    前記第1オゾン処理を行った前記汚泥含有処理水を貯留する貯留槽と、
    前記貯留槽に貯留した前記汚泥含有処理水の一部を前記貯留槽の下方側から引き抜いて前記貯留槽の上方側に流入する輸送処理を複数回行う輸送部と、
    前記輸送処理を複数回行った後に前記貯留槽の下方側から引き抜いた前記汚泥含有処理水に、前記第1オゾン処理とは異なる第2オゾン処理を行う第2オゾン処理部とを備える
    ことを特徴とする水処理システム。
  2. 前記第1オゾン処理では、前記第2オゾン処理よりも小流量で高濃度のオゾンを使用する
    ことを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
  3. 前記下方側に貯留された前記汚泥含有処理水の物性を検知する検知部を更に備え、
    前記第2オゾン処理部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記第2オゾン処理を行う ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理システム。
  4. 前記第1オゾン処理を行った前記汚泥含有処理水を前記曝気槽へ返送する連続処理配管と、
    前記第2オゾン処理を行った前記汚泥含有処理水を前記曝気槽へ返送する返送配管と、
    前記第1オゾン処理部と前記連続処理配管と前記貯留槽とに接続してある遮断電磁弁とを更に備える
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理システム。
  5. 前記曝気槽から引き抜いた前記汚泥含有処理水を減圧して空気と接触させ、前記空気と接触させた前記汚泥含有処理水を前記第1オゾン処理部へ送る汚泥破砕エジェクタを更に備える
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水処理システム。
  6. 前記第1オゾン処理に使用する第1オゾンと前記第2オゾン処理に使用する第2オゾンとを発生するオゾン発生部と、
    前記第1オゾンを濃縮した濃縮オゾンを前記第1オゾン処理部に供給するオゾン濃縮器とを更に備える
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水処理システム。
  7. 前記濃縮オゾンの濃度は、800mg/Lから1500mg/Lである
    ことを特徴とする請求項6に記載の水処理システム。
  8. 前記オゾン濃縮器は、酸素ガスをパージするものであり、前記第1オゾンを発生する場合の酸素ガスパージ量を前記第2オゾンを発生する場合の酸素ガスパージ量よりも小さくする
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の水処理システム。
  9. 前記返送配管によって返送された後、前記曝気槽内にある前記汚泥含有処理水から生物処理水を分離する後処理部を更に備え、
    前記後処理部は、前記オゾン発生部と間接的に接続してある
    ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の水処理システム。
  10. 処理すべき水を流入した曝気槽内にある汚泥含有処理水にオゾンを接触させて前記汚泥含有処理水を分解する水処理方法において、
    前記曝気槽から引き抜いた前記汚泥含有処理水に第1オゾン処理を行う第1オゾン処理工程と、
    前記第1オゾン処理を行った前記汚泥含有処理水を貯留槽に貯留する貯留工程と、
    前記貯留槽に貯留した前記汚泥含有処理水の一部を前記貯留槽の下方側から引き抜いて前記貯留槽の上方側に流入する輸送処理を複数回行う輸送工程と、
    前記輸送処理を複数回行った後に前記貯留槽の下方側から引き抜いた前記汚泥含有処理水に、前記第1オゾン処理とは異なる第2オゾン処理を行う第2オゾン処理工程とを備える
    ことを特徴とする水処理方法。
  11. 前記第1オゾン処理で使用するオゾンとして、前記第2オゾン処理で使用するオゾンよりも小流量で高濃度のオゾンを準備する
    ことを特徴とする請求項10に記載の水処理方法。
  12. 前記下方側に貯留された前記汚泥含有処理水の物性を検知する検知工程を更に備え、
    前記検知工程の検知結果に基づいて前記第2オゾン処理を行う
    ことを特徴とする請求項10又は11に記載の水処理方法。
  13. 前記第1オゾン処理を行った前記汚泥含有処理水を前記曝気槽へ返送する連続処理工程と、
    前記第2オゾン処理を行った前記汚泥含有処理水を前記曝気槽へ返送する返送工程と、
    前記連続処理工程と前記返送工程との割合を変更する変更工程とを更に備える
    ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の水処理方法。
  14. 前記曝気槽から引き抜いた前記汚泥含有処理水を減圧して空気と接触させる接触工程を更に備え、
    前記空気と接触させた前記汚泥含有処理水を前記第1オゾン処理に使用する
    ことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の水処理方法。
  15. 前記第1オゾン処理に使用する第1オゾンと前記第2オゾン処理に使用する第2オゾンとを発生するオゾン発生工程を更に備え、
    前記第1オゾンをオゾン濃縮器で濃縮した濃縮オゾンを前記第1オゾン処理に使用する
    ことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の水処理方法。
  16. 前記濃縮オゾンの濃度を800mg/Lから1500mg/Lで設定する濃縮オゾン濃度設定工程を更に備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の水処理方法。
  17. 前記オゾン濃縮器が酸素ガスをパージして前記濃縮オゾンを生成させる工程と、
    前記第1オゾンを発生する場合の前記オゾン濃縮器の酸素ガスパージ量を前記第2オゾンを発生する場合の前記オゾン濃縮器の酸素ガスパージ量よりも小さく設定する酸素ガスパージ量設定工程を更に備える
    ことを特徴とする請求項15又は16に記載の水処理方法。
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