JP6423066B2 - 画像処理装置及び磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、画像処理装置及び磁気共鳴イメージング装置に関する。
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数(Larmor frequency)のRF(Radio Frequency)パルスで磁気的に励起し、この励起に伴って発生するNMR(Nuclear Magnetic Resonance)信号から画像を再構成する撮像法である。
従来、この磁気共鳴イメージングの分野において、被検体内を流れる体液(以下、適宜「流体」)である血液の画像を得る手法として、MRA(Magnetic Resonance Angiography)が知られている。また、MRAのうち造影剤を使用しない手法は、非造影MRAなどと称される。非造影MRAにおいては、例えば、Time−SLIP(Spatial Labeling Inversion Pulse)法と呼ばれる、インバージョンリカバリー(IR(Inversion Recovery))パルスを流体に印加することによりラベリング(標識化)を行い、一定時間後にMR画像を撮像する方法が知られている。
本発明が解決しようとする課題は、被検体内の流体の動態を適切に評価することができる画像処理装置及び磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
実施形態に係る画像処理装置は、特定部と、導出部とを備える。前記特定部は、磁気共鳴イメージングを用いてCSF(Cerebrospinal Fluid)が流れる標識化領域に標識化パルスを印加して、時系列に沿って収集された複数時相の画像のうち、それぞれの前記画像内の前記CSFの領域を特定する。前記導出部は、特定された前記CSFの領域に基づき、前記CSFの動態を示す指標値を導出する。前記特定部は、前記複数時相の中における信号強度の時間変化に基づき前記CSFの領域を特定する。
以下、図面を参照しながら、各実施形態に係る画像処理装置、画像表示装置、磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)、及び方法を詳細に説明する。また、以下の実施形態においては、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石101、傾斜磁場コイル102、傾斜磁場電源103、寝台104、寝台制御部105、送信RFコイル106、送信部107、受信RFコイル108、受信部109、シーケンス制御部110、及び計算機システム120を備える。なお、MRI装置100に被検体Pは含まれない。
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石101、傾斜磁場コイル102、傾斜磁場電源103、寝台104、寝台制御部105、送信RFコイル106、送信部107、受信RFコイル108、受信部109、シーケンス制御部110、及び計算機システム120を備える。なお、MRI装置100に被検体Pは含まれない。
静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。傾斜磁場コイル102は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル102は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源103から個別に電流を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102に電流を供給する。ここで、傾斜磁場コイル102によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてNMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてNMR信号の周波数を変化させるために利用される。
寝台104は、被検体Pが載置される天板104aを備え、寝台制御部105による制御のもと、天板104aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル102の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台104は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部105は、計算機システム120による制御のもと、寝台104を駆動して天板104aを長手方向及び上下方向へ移動する。
送信RFコイル106は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、送信部107からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部107は、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信RFコイル106に供給する。
受信RFコイル108は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられるNMR信号を受信する。受信RFコイル108は、NMR信号を受信すると、受信したNMR信号を受信部109へ出力する。
受信部109は、受信RFコイル108から出力されるNMR信号に基づいてk空間データを生成する。具体的には、受信部109は、受信RFコイル108から出力されるNMR信号をデジタル変換することによってk空間データを生成する。k空間データには、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grによって、PE(Phase Encode)方向、RO(Read Out)方向、SE(Slice Encode)方向の空間周波数の情報が対応付けられている。また、受信部109は、生成したk空間データをシーケンス制御部110へ送信する。なお、受信部109は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル102などを備える架台装置側に備えられていてもよい。
シーケンス制御部110は、計算機システム120から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源103、送信部107及び受信部109を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源103が傾斜磁場コイル102に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部107が送信RFコイル106に送信するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部109がNMR信号を検出するタイミングなどが定義される。
なお、シーケンス制御部110は、傾斜磁場電源103、送信部107及び受信部109を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部109からk空間データを受信すると、受信したk空間データを計算機システム120へ転送する。
計算機システム120は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行い、インタフェース部121、画像再構成部122、記憶部123、入力部124、表示部125、及び制御部126を有する。
インタフェース部121は、シーケンス情報をシーケンス制御部110へ送信し、シーケンス制御部110からk空間データを受信する。また、インタフェース部121は、k空間データを受信すると、受信したk空間データを記憶部123に格納する。
画像再構成部122は、記憶部123によって記憶されたk空間データに対して、フーリエ変換処理などの再構成処理を施すことによって、スペクトラムデータや画像データを生成する。記憶部123は、インタフェース部121によって受信されたk空間データや、画像再構成部122によって生成された画像データなどを記憶する。例えば、記憶部123は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどである。入力部124は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部124は、例えば、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチなどの選択デバイス、あるいはキーボードなどの入力デバイスである。表示部125は、制御部126による制御のもと、スペクトラムデータや画像データなどの各種の情報を表示する。表示部125は、例えば、液晶表示器などの表示デバイスである。
制御部126は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、制御部126は、入力部124を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部110に送信することによって撮像を制御する。また、制御部126は、撮像の結果としてシーケンス制御部110から送られるk空間データに基づいて行われる画像の再構成を制御したり、表示部125による表示を制御したりする。例えば、制御部126は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
ここで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、流体が流れる標識化領域に標識化パルスを印加して時系列に沿った複数時相の画像を収集し、収集した画像それぞれを解析することで、流体の動態を示す指標を導出する。また、第1の実施形態においては、流体として、脳脊髄液(以下、適宜「CSF(Cerebrospinal Fluid)」)を想定する。かかる処理は、制御部126が備える各部を中心に実現される。例えば、図1に示すように、制御部126は、データ収集部126aと、CSF画像生成部126bと、CSF領域特定部126cと、指標導出部126dと、表示制御部126eとを備える。
図2は、第1の実施形態に係る制御部126を示すブロック図である。データ収集部126aは、複数時相のCSF画像を収集する。例えば、データ収集部126aは、シーケンス制御部110などを制御し、CSFが流れる標識化領域に標識化パルスを印加して、複数時相のk空間データを収集する。また、データ収集部126aは、収集したk空間データをCSF画像生成部126bへ送る。
ここで、データ収集部126aは、例えば、Time−SLIP(Spatial Labeling Inversion Pulse)法(以下、適宜「t−SLIP法」と称する)を用いて造影剤を使用せずに複数時相のCSF画像を収集する。
図3、4A、及び4Bは、第1の実施形態におけるパルスシーケンスを示す図である。なお、図3、4A、及び4Bにおいて、横軸は時間である。t−SLIP法は、撮像領域に流出又は流入する流体を、この撮像領域とは独立の標識化領域で標識化し、撮像領域に流出又は流入する流体の信号値を高く又は低くすることで、流体を選択的に描出する、すなわち流体を可視化する手法である。
図3に示すように、t−SLIP法においては、例えば、反転回復パルス(以下、適宜「IR(Inversion Recovery)パルス」)が標識化パルスとして印加されることで、標識化領域を流れる流体が標識化される。また、標識化パルスが印加されたタイミングからTI(Traveling Time)時間経過後にデータ(「echo」)が収集される。このTI時間は、標識化領域の設定位置や、流体を描出しようとしている撮像領域の設定位置、背景部分における縦磁化の緩和時間などの撮像条件に応じて、適切に設定される。また、図3に示すように、標識化パルスには、領域非選択IRパルスP1と、領域選択IRパルスP2とがあり、両者は略同時に印加される。但し、領域非選択IRパルスP1は、印加の有無を選択することができる。また、領域選択IRパルスP2の印加領域となる標識化領域は、撮像領域とは独立に任意に設定することができる。なお、複数の標識化パルスが印加されるように撮像条件を設定してもよい。
ここで、t−SLIP法によるイメージングには、flow−in法とflow−out法とがある。flow−in法は、領域選択IRパルスを撮像領域に印加して撮像領域における縦磁化を反転させ、撮像領域の外部から撮像領域に流入する標識化されていない流体を描出する手法である。一方、flow−out法は、領域非選択IRパルスを撮像領域に印加して縦磁化を反転させるとともに標識化領域に領域選択IRパルスを印加して標識化領域内における流体の縦磁化を正値に反転させ、標識化領域から撮像領域に流出する標識化された流体を選択的に描出する手法である。例えば、flow−in法では、標識化領域が撮像領域に設定され、flow−out法では、標識化領域が撮像領域内に設定される。なお、flow−in法及びflow−out法の定義は上述に限られるものではなく、定義の仕方によっては、その逆の名称や他の名称で呼ばれてもよい。また、撮像領域や標識化領域の設定も、撮像目的などに応じて任意に変更することが可能である。
このため、流体が撮像領域に流入した後にデータの収集が開始されるようにデータ収集タイミングを決定することができる。また、領域非選択IRパルスによって背景部分の縦磁化を反転させた場合には、縦緩和によって背景部分の縦磁化の絶対値がゼロ付近となるタイミングでデータの収集が開始されるようにデータ収集タイミングを決定してもよい。
なお、図3、4A、及び4Bにおいて、イメージングデータの収集用のシーケンスとしては、SSFP(Steady State Free Precession)シーケンスや、FASE(Fast Asymmetric Spin Echo又はFast Advanced Spin Echo)シーケンスなどの任意のシーケンスが使用できる。
また、流体を識別するための標識化は、標識化パルスを標識化領域又は撮像領域に印加することにより行うことができる。標識化パルスとして利用可能なパルスとしては、IRパルス、SAT(saturation)パルス、SPAMM(Spatial Modulation Of Magnetization)パルス、及び、ダンテ(DANTE)パルスが知られている。
領域選択的なSATパルスは、選択されたスラブ領域の磁化ベクトルを90°倒して縦磁化を飽和させるパルスである。また、単一のみならず複数のSATパルスが印加されるように、撮像条件を設定することもできる。複数のSATパルスを印加する場合には、複数の選択スラブ領域を放射状やストライプ状のパターンに設定することができる。
SPAMMパルスは、Rest grid pulseとも呼ばれ、元々心臓の動きをモニタリングするために開発されたものである。SPAMMパルスは、領域非選択的に印加されるパルスであり、傾斜磁場の調整により、ストライプパターン、グリッドパターン(格子状のパターン)、放射状のパターンなどの所望のパターンで飽和された領域を形成することができる。そして、飽和パターンが位置マーカとして機能するため、SPAMMパルスの印加を伴うイメージングによって、体液の流れを示す画像を得ることができる。
ダンテパルスも、ストライプパターンやグリッドパターンや放射状のパターンなどの所望のパターンで飽和された領域を形成するラベリングパルスである。SPAMMパルス及びダンテパルスは、同時刻に印加される複数のSATパルスと等価のパルスである。
更に、単一または複数のIRパルス又はSATパルスと、SPAMMパルス又はダンテパルスとを組合せて標識化パルスとして印加されるように撮像条件を設定することもできる。
また、IRパルス、SATパルス、SPAMMパルス、及びダンテパルスなどの標識化パルスの印加タイミングを、トリガ信号に基づいて決定する場合、トリガ信号としては、例えば、ECG(electro cardiogram)信号、呼吸センサによる同期信号(呼吸同期)、脈波同期(PPG(Peripheral Pulse Gating)信号などの生体信号や、クロック信号などの任意の信号を用いることができる。ECG信号やPPG信号を用いる場合には、ECGユニットやPPG信号検出ユニットがMRI装置100に接続される。
第1の実施形態に係るデータ収集部126aは、CSFの動態を評価する目的のために複数時相のデータを収集するが、その手法として、例えば、以下の2つの手法を実行することができる。まず、第1の手法において、データ収集部126aは、図4Aに示すように、標識化領域に標識化パルスを印加し、所定の時間(TI時間)経過後、撮像領域のデータを「1時相分」収集する。また、データ収集部126aは、図4Aに示すように、TI時間を「TI1」、「TI2」、「TI3」、・・・と変更しながら、それぞれ「1時相分」のデータを収集する。こうして、データ収集部126aは、複数時相のデータ、すなわち、各時刻に対応する複数フレーム分のデータを収集することができる。なお、TI時間を小刻みに多数設定することで、より細かな時間変化に対応するCSFの動態を観察することができる。
また、第2の手法において、データ収集部126aは、図4Bに示すように、標識化領域に標識化パルスを印加した後、連続的に複数回に亘るデータ収集(例えば、データ収集1、データ収集2、データ収集3、・・・)を繰り返す。複数回に亘り時間的に連続して収集された各データは、TI時間が、「TI11」、「TI12」、「TI13」、・・・と異なる。こうして、データ収集部126aは、1回の標識化パルスの印加後、複数時相のデータ、すなわち、各時刻に対応する複数フレーム分のデータを収集することができる。なお、第2の手法においても、TI時間を小刻みに多数設定することで、より細かな時間変化に対応するCSFの動態を観察することができる。
図2に戻り、CSF画像生成部126bは、複数時相のCSF画像を生成する。例えば、CSF画像生成部126bは、画像再構成部122などを制御し、データ収集部126aから送られたk空間データを用いて画像再構成を行い、複数時相のCSF画像を生成する。また、CSF画像生成部126bは、生成した複数時相のCSF画像を、CSF領域特定部126c及び表示制御部126eそれぞれへ送る。
CSF領域特定部126cは、複数時相のCSF画像それぞれの中で、CSFが存在する領域(以下、適宜「CSF領域」)を特定する。例えば、CSF領域特定部126cは、CSF画像生成部126bから送られた複数時相のCSF画像それぞれを解析し、CSF領域を特定する。また、CSF領域特定部126cは、複数時相のCSF画像とCSF領域情報とを指標導出部126dへ送る。なお、CSF領域特定部126cによる処理の詳細は後述する。
指標導出部126dは、CSF領域それぞれに基づき、CSFの動態を示す指標を導出する。例えば、指標導出部126dは、CSF領域特定部126cから送られた複数時相のCSF画像とCSF領域情報とを用いて、CSF領域それぞれの中で所定の特徴量(例えば、CSFの位置やCSF領域の面積など)を特定し、特定した特徴量の変動軌跡を複数時相のCSF画像に亘って追跡することで、所定時間毎のCSFの位置やCSF領域の面積、複数時相に亘る平均としてのCSFの速度情報などの指標を導出する。また、指標導出部126dは、導出した指標を表示制御部126eへ送る。なお、指標導出部126dによる処理の詳細は後述する。
表示制御部126eは、指標導出部126dによって導出された指標を表示部125に表示する。例えば、表示制御部126eは、時系列に沿って導出された所定時間毎のCSFの位置を、時系列に沿って表示部125に表示する。なお、表示制御部126eによる処理の詳細は後述する。
次に、図5は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。なお、上述したように、第1の実施形態において、処理対象の部位は、脳内に存在するCSFである。図6は、第1の実施形態において、脳内の特徴的な部位の解剖学的な位置を示す図である。図6においては、脳を左右に分ける面(「矢状断面」若しくは「サジタル(Sagittal)面」などと称される)で撮像した画像(以下、適宜「サジタル画像」)を示す。図6に示すサジタル画像は、側脳室601、モンロー孔602、第三脳室603、中脳水道604、第四脳室605、中心管606を含む。
図5に示すように、MRI装置100において、まず、制御部126が、入力部124を介して操作者からt−SLIP法による撮像の撮像条件を受け付ける(ステップS501)。
図7は、第1の実施形態における撮像領域及び標識化領域を示す図である。図7に示すように、第1の実施形態において、撮像領域は、CSFの移動方向や拡散方法に沿って、CSFを視認できるように設定される。図7に示すサジタル画像の場合、典型的には、第三脳室603から中脳水道604、中脳水道604から第四脳室605へと流れ出るCSFなどが視認される。また、第1の実施形態において、標識化領域701は、撮像領域内に設定される。例えば、図7に示すように、標識化領域701は、撮像領域内でCSFが流れ出る開始点に位置付けられる第三脳室603上に設定される。また、撮像領域は、必ずしも、側脳室601、モンロー孔602、第三脳室603、中脳水道604、第四脳室605、及び中心管606の全てを含むように設定される必要はない。例えば、撮像領域は、側脳室601や、中脳水道604のみを含むように設定されてもよい。上述したように、撮像領域は、CSFの移動方向や拡散方法に沿ってCSFを視認可能に設定されればよく、脳内の特徴的な部位のうちどの部位を含むように撮像領域を設定するかは、撮像の目的などに応じて任意に変更可能である。なお、標識化領域701以外から標識化領域701にCSFが流れる様子が視認される場合もある。
図5に戻り、操作者によって撮像開始が指示されると、データ収集部126aが、t−SLIP法によるパルスシーケンスのシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部110に送信することによって、NMR信号に基づくk空間データを収集する(ステップS502)。そして、CSF画像生成部126bが、ステップS501において収集されたk空間データに対して離散2次元フーリエ変換などの再構成処理を施すことによって、複数時相のCSF画像から構成されるCSF画像列を生成する(ステップS503)。
図8は、第1の実施形態におけるCSF画像列の一例を示す図である。図8において、フレーム801、フレーム802、フレーム803、・・・は、図4A及び4Bに示されるように、異なるTI時間でデータ収集を行ったk空間データを再構成した一連のCSF画像列である。図8に示すように、CSF画像列は、時刻や撮像タイミング、フレーム番号に応じて並べられる。また、図8に示すCSF画像列においては、標識化領域701にて標識化されたCSF領域250及びCSF領域250aが、第三脳室603から中脳水道604、中脳水道604から第四脳室605へと流れ出る様子が観察される。
図5に戻り、続いて、CSF領域特定部126cが、ステップS503において生成された複数時相のCSF画像それぞれの中で、CSF領域を特定する(ステップS504)。
例えば、CSF領域特定部126cは、k平均法や判別分析法による解析を行うことで、CSF画像それぞれの中でCSF領域250を特定する。例えば、CSF領域特定部126cは、この解析において、標識化されて流れ出たCSF領域250とその他の領域との画像信号の強度差を利用する。なお、その他の領域とは、例えば、中脳水道604、第四脳室605といった標識化されていない領域や、図示されてない脳実質領域のことである。
その他、CSF領域特定部126cは、入力部124を介して操作者によって手動で指定されることでCSF領域250を特定してもよい。例えば、CSF領域特定部126cは、CSF画像生成部126bによって生成されたCSF画像列を表示部125に表示し、各CSF画像列上で、操作者による手動で、CSF領域250の指定を受け付けてもよい。
また、例えば、CSF領域特定部126cは、時間経過に伴う画像信号強度の遷移、分散、平均値によるクラスタリングを用いた解析を行うことで、CSF領域250を特定してもよい。標識化領域であるか否か、CSFが存在するか否かに応じて、時間経過に伴う画像信号強度の遷移が異なるため、この特性を利用すると効果的である。また、例えば、CSF領域特定部126cは、ACM(Active Counter Model)、ASM(Active Shape Model)を用いた解析を行うことで、CSF領域250を特定してもよい。この場合、例えば、CSF領域特定部126cは、CSF領域250が概ね矩形であるという形状情報を利用する。また、例えば、CSF領域特定部126cは、CSFが通過するであろうと推測される生物学的な構造の知識を用いた解析を行うことで、CSF領域250を特定してもよい。この場合、例えば、CSF領域特定部126cは、第三脳室603の下方に第四脳室605があり、両者の間を中脳水道604が結んでいるといった生物学的な構造の知識を利用する。また、例えば、CSF領域特定部126cは、他の断面画像や、マルチスライス撮像で収集された断面画像などを用いて、3Dの解析を行うことで、CSF領域250を特定してもよい。また、CSF領域特定部126cは、上述した複数の手法を組み合わせてCSF領域250を特定してもよい。
そして、指標導出部126dが、ステップS504において特定されたCSF領域250それぞれに基づき、CSFの動態を示す指標を導出する(ステップS505)。
図9A及び9Bは、第1の実施形態における指標の導出を示す図である。図9Aは、図8で示されるフレーム802の一部を拡大したものを示す。まず、指標導出部126dは、フレーム802内のCSF領域250のうち、水平方向及び垂直方向に最少となる位置を基準位置901aとし、次に、基準位置901aからの距離が最も大きいCSF領域250内の位置901bを、CSF位置として特定する。すなわち、この場合、CSFの動態を示す指標として用いられるCSF位置は、CSF領域の対向する端部からの距離である。なお、指標導出部126dは、基準位置901aからの距離として、市街地距離やユークリッド距離など、任意の距離尺度を用いてもよく、また、任意の直線(例えば、中脳水道に沿う直線)に射影した方向成分を用いてもよい。また、CSF位置は、基準位置からの距離が大きい画素の位置に限られず、例えば、CSF領域内の重心の画素の位置でもよい。
また、図9Bは、図8で示されるフレーム803の一部を拡大したものを示す。フレーム803の場合、CSF領域は、CSF領域250とCSF領域250aとに示されるように、不連続に存在する。かかる場合、例えば、指標導出部126dは、基準位置902aと連続するCSF領域250のうち、基準位置902aからの距離が最も大きいCSF領域250内の位置を、特徴量であるCSFの位置(以下、適宜「CSF位置」)として特定する。この場合、図9Bにおいて902bで示される位置が、CSF位置として特定される。また、例えば、指標導出部126dは、基準位置902aと連続しないCSF領域250aのうち、基準位置902aからの距離が最も大きいCSF領域250a内の位置をCSF位置として特定してもよい。この場合、図9Bにおいて902cで示される位置が、CSF位置として特定される。なお、後者の場合、例えば、指標導出部126dは、CSF領域250とCSF領域250aとが一定の連続の関係にあるか否かを、閾値を用いて判定し、一定の連続の関係にあると判定したことを条件として、CSF領域250a内の位置をCSF位置として特定してもよい。
また、第1の実施形態において、指標導出部126dは、CSFの動態を示す指標として、更に、複数フレームの平均としての速度情報を導出する。例えば、指標導出部126dは、フレーム(時刻に相当する)をX軸、CSF位置をY軸にプロットした際に、以下の(1)式で示される回帰直線を計算する。なお、指標導出部126dは、全フレーム又は一部のフレームで回帰直線を計算すればよい。
(1)式において、Xはフレーム番号(時刻)、Yは時刻Xに対応するCSF位置の距離、aは回帰直線の傾き、bはオフセットである。aは、フレーム当たりのCSF位置の移動量であるので、フレーム間の時間(フレームレート)を用いてフレームを時刻に変換することにより、単位時間におけるCSF移動量、つまり複数フレームの平均としての速度が計算される。
また、例えば、指標導出部126dは、CSFの動態を示す指標として、CSF領域の面積を用いてもよい。指標導出部126dは、CSF領域の面積を、画素数若しくは平方メートル単位で、フレーム毎に計算する。CSF位置と同様に、(1)式のXをフレーム番号(時刻)、YをCSF領域の面積として、回帰直線の傾きaを計算することにより、単位時間におけるCSF領域の広がりや拡散の速度、つまり複数フレームの平均としてのCSF領域の広がりや拡散の速度が計算される。
また、例えば、指標導出部126dは、(1)式に示される回帰直線の傾きaの他、以下に示す(a)〜(f)のいずれかの統計量を、CSFの動態を示す指標として用いてもよい。特に、(a)に示す単位時間の全変動ノルムは、(1)式に示される回帰直線の傾きaと同様、複数フレームの平均としての速度に相当するため、有用である。
(a)CSF画像の収集時刻に対応するCSF位置の全変動ノルム若しくは全変動ノルムの平均値
(b)CSF画像の収集時刻に対応するCSF位置の時間方向分散
(c)CSF画像の収集時刻に対応するCSF領域の面積との関係を示す回帰直線の傾き
(d)CSF画像の収集時刻に対応するCSF領域の面積の全変動ノルム若しくは全変動ノルムの平均値
(e)CSF画像の収集時刻に対応するCSF領域の面積の時間方向分散
(f)複数のCSF画像の収集時刻に対応するCSF位置の移動量及び収集時刻で正規化した単位移動量
(a)CSF画像の収集時刻に対応するCSF位置の全変動ノルム若しくは全変動ノルムの平均値
(b)CSF画像の収集時刻に対応するCSF位置の時間方向分散
(c)CSF画像の収集時刻に対応するCSF領域の面積との関係を示す回帰直線の傾き
(d)CSF画像の収集時刻に対応するCSF領域の面積の全変動ノルム若しくは全変動ノルムの平均値
(e)CSF画像の収集時刻に対応するCSF領域の面積の時間方向分散
(f)複数のCSF画像の収集時刻に対応するCSF位置の移動量及び収集時刻で正規化した単位移動量
図5に戻り、そして、表示制御部126eが、ステップS505において指標導出部126dから導出された指標を表示部125に表示する(ステップS506)。
図10A〜Cは、第1の実施形態における表示例を示す図である。第1の実施形態に係る表示制御部126eは、指標導出部126dによって導出された指標を表示部125に表示するように制御する。例えば、表示制御部126eは、図10A〜Cに示すように、時間の経過とともに推移するCSFの位置やCSF領域の面積の変化量を所定の時間毎に示すプロット図1001を表示部125に表示する。
例えば、図10Aにおいて、X軸はフレーム番号(「Frame No.」)であり、Y軸はCSFの位置(「CSF position」)である。表示制御部126eは、フレーム毎のCSFの位置をプロットするとともに(図10Aにおいて黒色菱形)、上記(1)式に示される回帰直線1002、及び、回帰直線の傾きaに相当する速度情報1003を表示する。かかる表示を観察する観察者は、フレーム毎のCSF位置や、複数フレームの平均としての速度情報を容易に把握することができ、フレーム毎のCSFの動態、及び、複数フレームの平均としてのCSFの動態を適切に評価することができる。すなわち、CSF位置とは、上述したように、例えば、基準位置からの距離が最も大きいCSF領域内の位置である。図10Aには、必ずしも一定の方向に移動し続けるのではなく、基準位置から離れる方向と基準位置に近付く方向とを行き来するように動きつつ、全体としては、時間の経過とともに徐々に基準位置から離れる方向に移動するCSFの動態が、具体的な数値情報とともに表示されている。
また、例えば、図10Bに示すように、X軸は、例えば、最初のフレームが収集された時点を起点とする時刻でもよい。また、X軸は、例えば、TI時間(例えば、IRパルスの印加から励起パルスの印加までの時間)を起点とする経過時間でもよい。また、例えば、図10Cに示すように、Y軸は、CSF領域の面積でもよい。表示制御部126eは、所定の時間毎のCSF領域の面積をプロットするとともに(図10Cにおいて黒色菱形)、上記(1)式に示される回帰直線1002、及び、回帰直線の傾きaに相当する速度情報1003を表示する。かかる表示を観察する観察者は、時間毎のCSF領域の面積や、複数フレームの平均としてのCSF領域の拡散速度情報を容易に把握することができ、フレーム毎のCSFの動態、及び、複数フレームの平均としてのCSFの動態を適切に評価することができる。すなわち、図10Cには、必ずしも拡散し続けるのではなく、拡散したり収縮したりを繰り返しつつ、全体としては、時間の経過とともに徐々に拡散するCSFの動態が、具体的な数値情報とともに表示されている。
なお、時間毎のCSFの動態や複数フレームの平均としてのCSFの動態を表示する手法は、上述した手法に限られるものではない。例えば、表示制御部126eは、プロット図1001、回帰直線1002、及び速度情報1003のうち、少なくとも1つを表示すればよい。また、X軸やY軸も適宜選択や組合せが可能である。
図11は、第1の実施形態における他の表示例を示す図である。第1の実施形態に係る表示制御部126eは、指標導出部126dによって導出された指標を表示するとともに、CSF画像生成部126bによって生成された複数時相のCSF画像のうち少なくとも1つのCSF画像を表示部125に更に表示し、そのCSF画像上に、CSF位置やCSF領域を重畳表示してもよい。例えば、表示制御部126eは、図11に示すように、CSF位置254やCSF領域253が重畳表示された重畳画像1101と、プロット図1010とを並べて表示部125に表示する。また、例えば、表示制御部126eは、図11に示すように、基準位置からCSF位置254への距離を可視化するため、バー1102を表示する。
ここで、例えば、表示制御部126eは、複数時相のCSF画像に対応する複数時相の重畳画像1101を、所定の時間間隔に従って動画表示すればよい。また、例えば、表示制御部126eは、重畳画像1101を動画表示する場合に、プロット図1010のプロット1001を、重畳画像1101が切り換えられるタイミングと同期するように、更新しながら表示すればよい。例えば、プロット図1010において、時間経過に伴って徐々にプロット数が増えていってもよい。なお、表示制御部126eは、重畳画像1101を動画表示する場合に、プロット図1010のプロット1001全てを初めから表示してもよい。
また、例えば、表示制御部126eは、複数時相のCSF画像のうち、ある時相のCSF画像を選択し、選択した時相のCSF画像に対応する重畳画像1101を、静止画表示してもよい。例えば、表示制御部126eは、複数時相のCSF画像のうち、先頭時相のフレームや最終時相のフレームを選択して静止画表示すればよい。例えば、先頭時相のフレームを選択した場合、重畳画像1101上には、標識化されたばかりの標識化領域701が視認可能に表示される。このため、観察者は、標識化領域701とCSFとの関係を認識することが可能である。また、例えば、最終時相のフレームを選択した場合、標識化領域701の縦磁化は回復するため、重畳画像1101上で標識化領域701は殆ど視認できない。このため、観察者は、標識化領域701が表示されないCSF画像を観察することができ、例えば診断画像としては好ましい場合がある。なお、例えば、表示制御部126eは、別途撮像された他のCSF画像を表示してもよい。
また、例えば、表示制御部126eは、重畳画像1101を静止画表示する場合には、重畳画像1101上にフレーム毎のCSF位置254を表示したり、各フレームにおいて特定されたCSF位置254の軌跡を表示したりしてもよい。また、例えば、表示制御部126eは、更に、CSF位置254やCSF領域253が重畳されていないCSF画像そのものを動画表示又は静止画表示してもよい。また、例えば、表示制御部126eは、必ずしも、重畳画像1101とプロット図1010とを並べて同時に表示する必要はなく、いずれか一方を表示してもよい。また、例えば、表示制御部126eは、重畳画像1101、CSF画像、プロット図1010の表示を切り替えてもよい。
また、例えば、表示制御部126eは、CSF領域253やCSF位置254の表示態様を変化させてもよい。例えば、CSF位置254やCSF領域253が重畳されていないCSF画像そのものがグレースケール画像であり、全ての画素位置のRGB値が「gray」であるとする。この場合、表示制御部126eは、CSF領域253を「赤」で表示させるために、CSF領域253に相当する画素位置のRGB値を、以下の(2)式で定義する。(2)式において、Rmaxは、「赤」を示すR値の最大値(典型的には255)であり、rateはグレースケールの画像列に対するカラー成分の透過率を示す。
また、表示制御部126eは、CSF位置254を「緑」で表示させるために、CSF位置254に相当する画素位置のRGB値を、以下の(3)式で定義する。(3)式において、Rmaxは、「赤」を示すG値の最大値(典型的には255)である。
これにより、重畳画像1101上で、CSF領域253が「赤」、CSF位置254が「緑」で表されるとともに、画素位置の信号強度に応じて輝度値が変化するので、操作者は、フレーム毎のCSF位置254の変化を容易に把握することができるようになる。なお、ここでは、表示制御部126eが、CSF領域253を「赤」、CSF位置254を「緑」で表す場合について説明したが、例えば他の色で表してもよいし、カラーではなくグレースケールで表してもよい。また、バー1102も、距離の大きさに応じて着色されてもよい。
上述してきたように、第1の実施形態においては、CSF領域特定部126cが、標識化された領域から流れ出る流体の信号を検出して画像を再構成するt−SLIP法によって得られた複数の画像それぞれについてCSF領域を特定する。また、指標導出部126dが、CSF位置やCSF領域の面積を用いて、CSFの動態を示す指標を導出する。そして、表示制御部126dが、導出された指標を表示部125に表示する。したがって、第1の実施形態によれば、フレーム間、単位時間といった局所的な流体の変化や、速度情報を取得することができる。すなわち、被検体内の流体の動態を適切に評価することができる。
臨床的に換言すれば、動きが停止している流体の場合には停止していることを確実に判定できる。また、流体がどのように動くかを可視化することができる。例えば、流体をCSFとすると、水頭症(hydrocephalus)は、部位によりCSFの動きが速くなったり、遅くなったりと速度の変化が生じる。従って、第1の実施形態に係るMRI装置100によれば、水頭症と非水頭症との判別支援が可能である。
CSFなどの流体には、心周期のような周期性がなく、データ収集タイミングごとに流体の流れが大きく変化する。流体の動態を観測する目的は様々であるが、例えば、流体の循環の有無、一見閉鎖された腔内への流体の交通があるか否かなどを精密に調べる場合がある。その場合には、最大流速や平均流速などの速度値がどの程度か、また、ある部分の流体がある時間内にどこまで到達しているかが重要である。この点、第1の実施形態によれば、上述したように、流速変化に周期性がない流体であっても、その流体の動態を適切に評価することが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においては、まず、CSFが流れる解剖学的形態に対応する形態領域を撮像領域内で特定した後に、CSF領域を特定する点が第1の実施形態と異なる。なお、第2の実施形態に係るMRI装置100は、以下に特に言及する点を除き、概ね第1の実施形態に係るMRI装置100と同様の構成を有するので、説明を適宜省略することとする。
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においては、まず、CSFが流れる解剖学的形態に対応する形態領域を撮像領域内で特定した後に、CSF領域を特定する点が第1の実施形態と異なる。なお、第2の実施形態に係るMRI装置100は、以下に特に言及する点を除き、概ね第1の実施形態に係るMRI装置100と同様の構成を有するので、説明を適宜省略することとする。
図12は、第2の実施形態に係る制御部126を示すブロック図である。図12に示すように、第2の実施形態に係る制御部126は、形態領域特定部126fを更に有する。また、これに伴い、指標導出部126dも、第1の実施形態とは異なる手法で指標を導出する。
形態領域特定部126fは、CSFが流れる解剖学的形態に対応する形態領域を撮像領域内で特定する。例えば、形態領域特定部126fは、CSF画像生成部126bから送られた複数時相のCSF画像それぞれを解析し、形態領域を特定する。また、形態領域特定部126fは、複数時相のCSF画像と形態領域情報とをCSF領域特定部126cへ送る。例えば、形態領域は、典型的には、中脳水道領域、第三脳室領域・第四脳室領域、橋前槽領域といった、CSFが存在する領域である。
図13は、第2の実施形態における形態領域の一例を示す図である。図13は、脳のサジタル画像を示す。第2の実施形態において、形態領域特定部126fは、CSF領域特定部126cによる特定の処理と同様の手法によって、形態領域よりも更に大きい大領域1301を撮像領域1300内で特定した後に、特定した大領域1301内で形態領域1250を特定する。なお、CSF領域特定部126cで採用する手法と、形態領域特定部126fで採用する手法とが異なってもよい。
例えば、形態領域特定部126fは、入力部124を介して操作者によって手動で指定されることで大領域1301を特定してもよい。例えば、形態領域特定部126fは、CSF画像生成部126bによって生成されたCSF画像列を表示部125に表示し、各CSF画像列上で、操作者による手動で、大領域1301の指定を受け付けてもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、k平均法や判別分析法による解析を行うことで、撮像領域1300の中で大領域1301を特定する。また、例えば、形態領域特定部126fは、時間経過に伴う画像信号強度の遷移、分散、平均値によるクラスタリングを用いた解析を行うことで、大領域1301を特定してもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、ACM、ASMを用いた解析を行うことで、大領域1301を特定してもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、生物学的な構造の知識を用いた解析を行うことで、大領域1301を特定してもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、他の断面画像や、マルチスライス撮像で収集された断面画像などを用いて、3Dの解析を行うことで、大領域1301を特定してもよい。また、形態領域特定部126fは、上述した複数の手法を組み合わせて大領域1301を特定してもよい。
なお、形態領域特定部126fは、全てフレームにおいて大領域1301を特定する必要はなく、一部のフレームにおいてのみ特定してもよい。また、形態領域特定部126fは、フレーム全領域(撮像領域1300全領域)を大領域1301としてもよい。すなわち、形態領域特定部126fは、大領域1301を特定する処理を省略することも可能である。
続いて、形態領域特定部126fは、特定した大領域1301内で形態領域1250を特定する。例えば、形態領域特定部126fは、入力部124を介して操作者によって手動で指定されることで形態領域1250を特定してもよい。例えば、形態領域特定部126fは、CSF画像生成部126bによって生成されたCSF画像列を表示部125に表示し、各CSF画像列上で、操作者による手動で、形態領域1250の指定を受け付けてもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、k平均法や判別分析法による解析を行うことで、大領域1301の中で形態領域1250を特定する。また、例えば、形態領域特定部126fは、時間経過に伴う画像信号強度の遷移、分散、平均値によるクラスタリングを用いた解析を行うことで、形態領域1250を特定してもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、ACM、ASMを用いた解析を行うことで、形態領域1250を特定してもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、生物学的な構造の知識を用いた解析を行うことで、形態領域1250を特定してもよい。また、例えば、形態領域特定部126fは、他の断面画像や、マルチスライス撮像で収集された断面画像などを用いて、3Dの解析を行うことで、形態領域1250を特定してもよい。また、形態領域特定部126fは、上述した複数の手法を組み合わせて形態領域1250を特定してもよい。
なお、図13に示される大領域1303は、標識化された標識化領域1305を含むが、形態領域特定部126fは、形態領域1250として、標識化領域1305を除外した領域を特定してもよい。また、形態領域特定部126fが、標識化パルスを印加した後に収集されたCSF画像を用いて大領域1301や形態領域1250を特定する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、形態領域特定部126fは、位置決め用の画像として収集されたサジタル画像を用いて大領域1301や形態領域1250を特定し、その特定の結果を、標識化パルスを印加した後に収集されたCSF画像に流用してもよい。なお、この場合には、位置決め用の画像とCSF画像との間で位置合わせを行うことが好ましい。
CSF領域特定部126cは、形態領域特定部126fから送られた複数時相のCSF画像それぞれを解析してCSF領域を特定する場合に、形態領域までその解析範囲を絞り込んでから、形態領域内でCSF領域を特定する。
指標導出部126dは、第1の実施形態と同様、CSF領域それぞれに基づき、CSFの動態を示す指標を導出するが、第1の実施形態と異なり、形態領域内を通る直線若しくは曲線を用いて指標を導出する。
次に、図14は、第2の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。なお、以下では、図5を用いて説明した第1の実施形態における処理手順と異なる箇所を中心に説明する。具体的には、図14におけるステップS1401からS1403については、図5におけるステップS501からS503と同一の処理であるため説明を省略する。
さて、図14に示すように、ステップS1403に続き、形態領域特定部126fが、撮像領域1300内で形態領域1250を特定する(ステップS1404)。
なお、形態領域特定部126fによる処理は、全てのフレームに対して適用する必要はなく、一部のフレームに適用し、結果をその他のフレームにコピーするなどして適用してもよい。例えば、形態領域特定部126fは、最終時相のフレームに対してのみ形態領域特定処理を適用して形態領域1250を特定し、その他のフレームについては、最終時相のフレームを用いて特定された形態領域1250の位置をコピーしてもよい。この場合、全てのフレームに対して形態領域特定部126fの処理を適用することなく、後段の処理を適用できる。また、複数のフレームに対し、同一画素位置で時間方向にMIP(Maximum/Minimum Intensity Projection)処理やフィルタリング処理を適用することで1枚の合成画像を作成し、この合成画像に対して形態領域特定部126fによる処理を適用してもよい。
その後、CSF領域特定部126cが、形態領域1250内でCSF領域を特定する(ステップS1405)。なお、CSF領域特定部126cによるCSF領域の特定処理は、形態領域1250内で特定されることを除いて第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
そして、指標導出部126dが、ステップS1405において特定されたCSF領域それぞれに基づき、CSFの動態を示す指標を導出する(ステップS1406)。第2の実施形態においては、形態領域1250が特定されているので、例えば、指標導出部126dは、形態領域1250の上端位置を基準位置としてCSF位置の距離を導出してもよい。すなわち、この場合、CSFの動態を示す指標として用いられるCSF位置は、形態領域1250の上端位置からの距離である。
また、第1の実施形態において、指標導出部126dは、市街地距離やユークリッド距離などの距離尺度を用いて基準位置901aからの距離を計算したが、実施形態はこれに限られるものではない。第2の実施形態に係る指標導出部126dは、形態領域1250を利用して、距離を計算するための基準線を求め、この基準線に沿って距離を計算する。
図15A及び15Bは、第2の実施形態における指標の導出を示す図である。また、図15Aは、第2の実施形態における距離の計算手法の一例を示す。図15Aは、脳のサジタル面で撮像した場合の撮像例を示しており、基準線1505は、形態領域1250の中心を通過するように設定される。例えば、指標導出部126dは、まず、形態領域1250を通過する直線1502を等間隔に配置する。この直線1502は、典型的には水平線や垂直線であるが、各直線1502が平行であれば、いずれの角度であってもよい。図15Aにおいては、直線1502は水平線の例を示している。次に、指標導出部126dは、直線1502と形態領域1250との交差点1503のペア(例えば、1503a及び1503b)をそれぞれ求める。次に、指標導出部126dは、交差点1503のペアの中点1504をペア毎にそれぞれ求める(例えば、1504a、1504b、・・・)。最後に、指標導出部126dは、ペア毎の中点1504を直線で接続することで、基準線1505を設定する。上記中点1504が3点以上存在する場合には、指標導出部126dは、スプライン曲線など、任意の点補間方式を利用して基準線1505を設定してもよい。なお、基準線の求め方は上述した手法に限られるものではなく、指標導出部126dは、他の技術を用いて基準線を求めてもよい。
次に、指標導出部126dは、CSF領域1506に属する画素位置1508から、基準線1505へ垂線1507を引き、基準線1505と垂線1507との交点1509を求める。次に、指標導出部126dは、基準線1505上であって基準点1500と交点1509との間の距離を計算することで、基準線1505に沿った距離を導出する。そして、指標導出部126dは、CSF領域1506内の画素位置1508のうち、距離が最も大きい画素位置をCSF位置として特定する。
また、指標導出部126dは、形態領域1250の長さを用いて、CSF領域1506の長さとの比を、指標として導出してもよい。例えば、指標導出部126dは、図15Bに示すように、形態領域1250の上端から下端までの長さ1510を基準とし、CSF領域1506の上端から下端までの長さ1511との比を、以下の(4)式を用いて計算する。なお、CSF位置比の変化量を示す指標は、第1の実施形態における「CSF位置」を「CSF位置比」と置き換えればよいので、説明を省略する。
(CSF位置比)[%]=(CSF領域の長さ)/(形態領域の長さ)・・・(4)
(CSF位置比)[%]=(CSF領域の長さ)/(形態領域の長さ)・・・(4)
また、指標導出部126dは、フレーム毎のCSF位置を特定するのではなく、CSF領域の面積を特定してもよい。指標導出部126dは、以下の(5)式を用いて、CSF領域の面積比を計算する。なお、CSF面積比の変化量を示す指標は、第1の実施形態における「CSF面積」を「CSF面積比」と置き換えればよいので、説明を省略する。
(CSF領域面積比)[%]=(CSF領域の面積)/(形態領域の面積)・・・(5)
(CSF領域面積比)[%]=(CSF領域の面積)/(形態領域の面積)・・・(5)
そして、表示制御部126eが、ステップS1406において指標導出部126dから導出された指標を表示部125に表示する(ステップS1407)。表示制御部126eの動作は、第1の実施形態の表示制御部126eと同様の動作であるが、CSF画像列に対し、CSF領域250に加えて、形態領域1250を特定色で重畳表示することで、形態領域1250とCSFの変化とを同時に観察することができる。
上述してきたように、第2の実施形態においては、CSF領域特定部126cが、標識化された領域から流れ出る流体の信号を検出して画像を再構成するt−SLIP法によって得られた複数の画像それぞれについてまず注目領域を特定し、更に注目領域内のCSF領域を特定する。また、指標導出部126dが、CSF位置やCSF領域の面積を用いて、CSFの動態を示す指標を導出する。そして、表示制御部126eが、導出された指標を表示部125に表示する。したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、フレーム間、単位時間といった局所的な流体の変化や、速度情報を取得することができる。すなわち、被検体内の流体の動態を適切に評価することができる。また、第2の実施形態によれば、まず注目領域を特定してからCSF領域を特定するので、効率的な処理が可能である。
(他の実施形態)
実施形態は、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態に限られるものではない。
実施形態は、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態に限られるものではない。
[撮像断面について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、MRI装置100が、被検体の脳のサジタル面を撮像断面としてサジタル画像(例えば、図6など)を撮像する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。MRI装置100は、任意の撮像部位を対象に任意の撮像断面を撮像し、上述した構成及び処理を適用することができる。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、MRI装置100が、被検体の脳のサジタル面を撮像断面としてサジタル画像(例えば、図6など)を撮像する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。MRI装置100は、任意の撮像部位を対象に任意の撮像断面を撮像し、上述した構成及び処理を適用することができる。
図16は、他の実施形態における撮像断面を示す図である。図16においては、被検体の額及び体軸の両方に平行な面(「冠状断面」若しくは「コロナル(coronal)面」などと称される)を示す。図16に示すコロナル面は、脳実質1600の他に、CSFが存在する脳内の特徴的な部位の解剖学的な位置を示しており、側脳室1601、モンロー孔1602、第三脳室1603を含む。
図17は、他の実施形態におけるCSF画像を示す図である。図17に示すコロナル画像は、図16に示すコロナル面を撮像領域として設定し、撮像領域内に標識化領域1701を設定した上で、t−SLIP法による撮像によって収集されたCSF画像である。図17に示すように、このCSF画像においては、第三脳室1603から側脳室1602に流れ出るCSF領域1702が視認される。よって、MRI装置100は、サジタル画像と同様、CSF画像の中でCSF領域1702を特定し、特定したCSF領域1702に基づき、CSF位置やCSF領域の面積などを特定し、CSFの動態を示す指標を算出することができる。言い換えると、MRI装置100は、CSFの移動若しくは拡散の方向に沿ってCSFを視認できるように、撮像断面を設定すればよい。
その他、MRI装置100は、例えば、脊椎や頸椎などを対象に、例えば、サジタル面、コロナル面、又は被検体の体軸に垂直な断面(「体軸断面」若しくは「アキシャル(axial)面」などと称される)を撮像してもよい。この場合も同様、MRI装置100は、CSFの移動若しくは拡散の方向に沿ってCSFを視認できるように、撮像断面を設定すればよい。すなわち、MRI装置100は、必ずしも、側脳室1601、モンロー孔1602、及び第三脳室1603の全てを含むように撮像断面を設定する必要はなく、例えば、側脳室1601のみを含むように撮像断面を設定してもよい。例えば、MRI装置100は、脊椎を撮像する場合に、CSFの移動若しくは拡散の方向に沿ってCSFを視認できる適切な撮像断面と撮像領域とを設定すればよい。
[基準位置について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSFの動態を示す指標としてCSF位置を導出した。また、このCSF位置は、第1の実施形態及び第2の実施形態において、CSF領域や形態領域の上端位置を基準位置とした場合の距離であった。もっとも、基準位置は上述した実施形態に限られるものではない。例えば、標識化領域の位置情報を取得できる場合には、指標導出部126dは、標識化領域内の所定位置を基準位置としてもよい。なお、標識化領域の位置情報は、撮像計画段階において設定される情報であるので、例えば、指標導出部126dは、撮像条件を記憶する記憶部123からこの情報を取得することができる。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSFの動態を示す指標としてCSF位置を導出した。また、このCSF位置は、第1の実施形態及び第2の実施形態において、CSF領域や形態領域の上端位置を基準位置とした場合の距離であった。もっとも、基準位置は上述した実施形態に限られるものではない。例えば、標識化領域の位置情報を取得できる場合には、指標導出部126dは、標識化領域内の所定位置を基準位置としてもよい。なお、標識化領域の位置情報は、撮像計画段階において設定される情報であるので、例えば、指標導出部126dは、撮像条件を記憶する記憶部123からこの情報を取得することができる。
図18A及び18Bは、他の実施形態における基準位置を示す図である。図18Aは、サジタル面が撮像された画像上の基準位置を示し、図18Bは、コロナル面が撮像された画像上の基準位置を示す。なお、図18A及び18Bにおいて、各画像は、それぞれ適宜拡大されたものである(特に、図18A)。
図18Aにおいて、形態領域1802の上方に標識化領域1800が設定されている。ここで、一般に、CSFなどの流体は、標識化領域から形態領域内に流出する、若しくは形態領域から標識化領域内に流入する傾向がある。このため、指標導出部126dは、例えば、図18Aに示すように、標識化領域1800と形態領域1802との境界位置を、基準位置1801とすることが好ましい。また、図18Bにおいては、形態領域1802の下方に標識化領域1800が設定されている。このため、指標導出部126dは、例えば、図18Bに示すように、標識化領域1800と形態領域1802との境界位置を、基準位置1801とすることが好ましい。例えば第1の実施形態のように、CSF領域の上端位置を基準位置とした場合、CSF領域全体の移動に伴い、基準位置である上端位置そのものも移動することがある。これに対し、標識化領域1800と形態領域1802との境界位置を基準位置1801とすることで、より正確に距離を求めることが可能となり、その結果、指標の正確さも向上する。なお、基準位置は、標識化領域と形態領域との境界線上に位置付けられる画素のうち、例えば、中央に位置する画素や、重心に位置する画素であることが好ましい。また、第2の実施形態において、距離の計算手法を、図15を用いて説明したが、この計算手法は、標識化領域と形態領域との境界位置を基準位置とする場合にも、同様に適用することができる。
[CSF領域・形態領域の特定について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSF領域や形態領域を、CSF画像に対する各種解析などによって特定したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、標識化領域の位置情報を取得できる場合には、CSF領域特定部126cは、CSF領域や形態領域の特定に、この位置情報を活用してもよい。なお、標識化領域の位置情報は、撮像計画段階において設定される情報であるので、例えば、CSF領域特定部126cは、撮像条件を記憶する記憶部123からこの情報を取得することができる。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSF領域や形態領域を、CSF画像に対する各種解析などによって特定したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、標識化領域の位置情報を取得できる場合には、CSF領域特定部126cは、CSF領域や形態領域の特定に、この位置情報を活用してもよい。なお、標識化領域の位置情報は、撮像計画段階において設定される情報であるので、例えば、CSF領域特定部126cは、撮像条件を記憶する記憶部123からこの情報を取得することができる。
撮像領域は、標識化領域と、非標識化領域(CSF領域、形態領域、その他の領域)とを含む領域であるといえる。ここで、例えば、標識化領域は、標識化パルスの印加によって全体的にその縦磁化が反転(若しくは飽和)されるので、この標識化領域内の信号強度は、組織に応じて多少の差はあるものの、ある一定範囲の値を示すと考えられる。そこで、例えば、CSF領域特定部126cは、標識化領域の位置情報を用いて、CSF画像内で標識化領域内の平均信号強度を予め計算する。そして、CSF領域特定部126cは、非標識化領域内で、この平均信号強度からある閾値内の値を示す画素を、標識化領域から非標識化領域へと流れ出たCSF領域として特定すればよい。なお、「閾値」は、例えば、縦磁化の回復を考慮して設定される。
また、例えば、CSF領域特定部126cは、標識化領域のみならず、非標識化領域に含まれる、CSF領域、形態領域、及びその他の領域内の信号強度がそれぞれ異なることを利用して、信号強度に基づいたセグメンテーション法(例えば、k平均法や判別分析法)を適用し、これらの領域をそれぞれ特定してもよい。
[標識化領域の上下に流れ出る流体の指標について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、標識化領域に対して一方向に流体が流れ出る場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。標識化領域に対して複数方向に流体が流れ出る場合にも、流体の動態を示す指標を導出することができる。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、標識化領域に対して一方向に流体が流れ出る場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。標識化領域に対して複数方向に流体が流れ出る場合にも、流体の動態を示す指標を導出することができる。
図19Aは、他の実施形態における指標の導出を示す図である。図19Aにおいては、脳のサジタル面を撮像領域として収集されたCSF画像を示す。このCSF画像においては、橋前槽領域1902の略中心に標識化領域1901が設定されており、標識化領域1901に対して上下方向に、CSF領域1903a及び1903bが流れ出ている。この場合、指標導出部126dは、例えば、図19Aに示すように、標識化領域1901と形態領域1902との境界位置を、基準位置1904a及び1904bとする。そして、指標導出部126dは、標識化領域1901の上方向に位置するCSF領域1903a内の位置であって、基準位置1904aからの距離が最も大きいCSF領域1903a内の位置1905aを、CSF位置として特定すればよい。また、指標導出部126dは、標識化領域1901の下方向に位置するCSF領域1903b内の位置であって、基準位置1904bからの距離が最も大きいCSF領域1903b内の位置1905bを、CSF位置として特定すればよい。そして、指標導出部126dは、2つのCSF位置それぞれから回帰直線を計算し、その回帰直線の傾きから、複数フレームの平均としての速度情報を、標識化領域1901に対して上下2方向についてそれぞれ計算すればよい。なお、いずれか一方の回帰直線の傾きを、複数フレームの平均としての速度情報としてもよいし、2つの速度情報のうちの最大値、あるいは、2つの速度情報の平均値を、複数フレームの平均としての速度情報としてもよい。
図19Bは、他の実施形態における表示例を示す図である。例えば、表示制御部126eは、図19Bに示すように、プロット図1906上において、標識化領域1901に対して下方向に位置するCSF位置のプロット線1907aを表示するとともに、標識化領域1901に対して上方向に位置するCSF位置のプロット線1907bを表示する。また、例えば、表示制御部126eは、図19Bに示すように、それぞれの回帰直線1908a及び1908bを表示する。また、例えば、表示制御部126eは、回帰直線の傾きから求められた速度情報を更に表示してもよい。すなわち、表示制御部126eは、プロット図、回帰直線、及び速度情報のうち、少なくとも1つを表示すればよい。また、X軸やY軸も適宜選択や組合せが可能である。
[ノイズ除去などの画像処理について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態において、CSF領域特定部126cなどに入力されるCSF画像列には、それぞれ、ガウシアンフィルタに代表されるノイズ除去や、バイラテラルフィルタに代表される信号保存型のノイズ除去、エッジ強調など、いずれの画像処理が適用されていてもよい。また、処理によって、ノイズ除去の有無やノイズ除去の強度を、任意に変更することも可能である。例えば、第2の実施形態において、形態領域特定部126fによる処理ではノイズ除去を適用し、続くCSF領域特定部126cによる処理ではノイズ除去を適用しない、といった対応も可能である。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態において、CSF領域特定部126cなどに入力されるCSF画像列には、それぞれ、ガウシアンフィルタに代表されるノイズ除去や、バイラテラルフィルタに代表される信号保存型のノイズ除去、エッジ強調など、いずれの画像処理が適用されていてもよい。また、処理によって、ノイズ除去の有無やノイズ除去の強度を、任意に変更することも可能である。例えば、第2の実施形態において、形態領域特定部126fによる処理ではノイズ除去を適用し、続くCSF領域特定部126cによる処理ではノイズ除去を適用しない、といった対応も可能である。
また、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態において、CSF領域特定部126cなどに入力されるCSF画像列は、位置合わせ処理(「レジストレーション処理」などとも称される)を適用した画像でもよい。また、位置合わせ処理として、平行移動、回転、ズームを補正する処理、画素単位に位置合わせを行うワーピング処理(「FFD(Free Form Deformation)」などとも称される)など、いずれの位置合わせ処理を適用してもよい。
[色の割り当てについて]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSF領域や形態領域などを特定の色で着色してCSF画像列に重畳したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示制御部126eは、CSF領域内の画素の信号強度の大きさに応じて、CSF領域の表示態様を変化させてもよい。例えば、CSF画像生成部126bから送られたCSF画像列がグレースケール画像である場合、表示制御部126eは、CSF領域内の画素の信号強度が大きい場合には「赤」になり、小さい場合には「青」になるように、画素毎に色を選択してCSF領域を着色してもよい。また、例えば、表示制御部126eは、CSF領域内の画素の信号強度の最大値及び最小値を求め、最大値の画素に「赤」を割り当て、最小値の画素に「青」を割り当て、中間の信号強度に対応する画素は、「赤」から「青」へ滑らかに遷移させた対応色に従うように、画素毎に色を選択してCSF領域を着色してもよい。上記対応色は、予めテーブル化(カラーパレット)しておくことで、全ての信号強度に対して任意の色で着色することが可能となる。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSF領域や形態領域などを特定の色で着色してCSF画像列に重畳したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、表示制御部126eは、CSF領域内の画素の信号強度の大きさに応じて、CSF領域の表示態様を変化させてもよい。例えば、CSF画像生成部126bから送られたCSF画像列がグレースケール画像である場合、表示制御部126eは、CSF領域内の画素の信号強度が大きい場合には「赤」になり、小さい場合には「青」になるように、画素毎に色を選択してCSF領域を着色してもよい。また、例えば、表示制御部126eは、CSF領域内の画素の信号強度の最大値及び最小値を求め、最大値の画素に「赤」を割り当て、最小値の画素に「青」を割り当て、中間の信号強度に対応する画素は、「赤」から「青」へ滑らかに遷移させた対応色に従うように、画素毎に色を選択してCSF領域を着色してもよい。上記対応色は、予めテーブル化(カラーパレット)しておくことで、全ての信号強度に対して任意の色で着色することが可能となる。
[複数種類の表示例・複数の撮像領域の表示例について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、ある1種類のCSF画像を解析することで導出された指標や、その1種類のCSF画像などを表示部125に表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。実施形態に係るMRI装置100は、例えば、術前・術後など、複数種類のCSF画像であって複数時相のCSF画像それぞれを解析して指標を導出し、導出した指標やその複数種類のCSF画像などを表示部125に表示してもよい。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、ある1種類のCSF画像を解析することで導出された指標や、その1種類のCSF画像などを表示部125に表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。実施形態に係るMRI装置100は、例えば、術前・術後など、複数種類のCSF画像であって複数時相のCSF画像それぞれを解析して指標を導出し、導出した指標やその複数種類のCSF画像などを表示部125に表示してもよい。
図20は、他の実施形態における表示例を示す図である。例えば、他の実施形態に係る表示制御部126eは、図20に示すように、例えば術前に収集された複数時相のCSF画像列に対応する重畳画像2001と、例えば術後に収集された複数時相のCSF画像列に対応する重畳画像2002とを表示する。また、表示制御部126eは、それぞれに対応するプロット線2004及びプロット線2005、また、それぞれに対応する回帰直線を、同一のウインドウ2003内に表示する。このように、複数種類のCSF画像、及び対応する指標を同時に表示することにより、比較が容易となる。なお、重畳画像2001、重畳画像2002、ウインドウ2003は、必ずしも同時に表示される必要はなく、いずれか1つ及び2つが同時に表示されてもよい。
なお、重畳画像の表示の有無や、重畳画像を動画表示若しくは静止画表示するか否か、また、重畳画像上でCSF領域やCSF位置を着色するか否かは、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様、任意に選択することが可能である。
また、図20において、同一の部位が表示される場合、表示制御部126eは、標識化領域や距離を計算するための基準線を用いて、各CSF画像列の正規化や位置合わせを行ってもよい。例えば、基準線が直線でない場合であって、且つ、複数種類のCSF画像列に描出された部位の形状が一致していない場合、表示制御部126eは、各CSF画像列において、基準線を直線に射影、マッピングするなどし、各CSF画像列を各直線に合わせて変形してもよい。この場合、中脳水道など、直線でない部位が、画像変形により直線となるため、可視性が向上する。
続いて、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、被検体内の「ある撮像領域」について収集された複数時相のCSF画像それぞれを解析して、流体の動態を示す指標を導出し、導出した指標やCSF画像などを表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、データ収集部126aは、CSFの動態を評価するために、同一被検体内の「複数の撮像領域」について複数時相のCSF画像を収集してもよい。すなわち、例えば、第1の実施形態に係るMRI装置100は、脳のサジタル面を撮像領域として複数時相のCSF画像を収集し、これを対象とする解析を行って指標を導出した。これに対し、例えば、MRI装置100は、脳のサジタル面、脳のコロナル面、脳のアキシャル面など、同一被検体の「複数の撮像領域」について複数時相のCSF画像を収集し、これを対象とする解析を行って指標を導出してもよい。
図21は、他の実施形態における表示例を示す図である。例えば、他の実施形態に係る表示制御部126eは、図21に示すように、サジタル面のCSF画像列に対応する重畳画像2101と、コロナル面のCSF画像列に対応する重畳画像2102と、アキシャル面のCSF画像列に対応する重畳画像2103(図示を省略)とを並べて表示する。また、表示制御部126eは、それぞれに対応するウインドウ2104、ウインドウ2105、及びウインドウ2106を表示する。なお、例えば、表示制御部126eは、ウインドウ2104内に、プロット線1001や回帰直線1002、速度情報1013を適宜表示すればよい。このように、同一被検体の異なる撮像領域に対応するCSF画像や指標を同時に表示することにより、CSFの動態を俯瞰することが可能となる。
なお、重畳画像の表示の有無や、重畳画像を動画表示若しくは静止画表示するか否か、また、重畳画像上でCSF領域やCSF位置を着色するか否かは、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様、任意に選択することが可能である。また、表示制御部126eは、重畳画像とウインドウとを全て同時に表示する必要はなく、いずれかを表示してもよい。また、図21の例に限られず、MRI装置100は、臨床的に意味のある他の組合せで複数の撮像領域についてCSF画像を収集し、これを対象とする解析を行って各撮像領域の指標を導出し、導出した各撮像領域の指標それぞれを表示してもよい。例えば、MRI装置100は、脳のサジタル面、脳のコロナル面、脊椎のサジタル面などの組合せでCSF画像を収集してもよい。
[CSF領域内の複数点の指標化について]
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSF領域内のうち、ある1点(例えば、基準位置からの距離が最も大きい下端点)の位置をCSF位置として、その変動軌跡を解析により追跡する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。CSF領域内の複数点をCSF位置として、複数時相のCSF画像に亘って各点の変動軌跡を解析により追跡してもよい。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、CSF領域内のうち、ある1点(例えば、基準位置からの距離が最も大きい下端点)の位置をCSF位置として、その変動軌跡を解析により追跡する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。CSF領域内の複数点をCSF位置として、複数時相のCSF画像に亘って各点の変動軌跡を解析により追跡してもよい。
図22は、他の実施形態における表示例を示す図である。なお、図22は、表示例であるが、以下では、説明の便宜上、指標導出部126dによる処理の説明にも用いることとする。指標導出部126dは、例えば、図22に示すように、CSF領域2205を代表する上端点2201aと、下端点2201cと、その中点2201bとを、CSF位置として特定する。そして、指標導出部126dは、複数時相のCSF画像それぞれを解析し、上端点2201a、中点2201b、及び下端点2201cそれぞれについて、所定の基準位置(例えば、1時相目のフレームにおける中点2201b)からの距離を特定し、指標を導出する。なお、特定の手法や距離の計算手法などは、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態と同様である。また、CSF位置として選択される複数点は、必ずしも上端点、中点、及び下端点の3点が必要となるわけではない。例えば、2点や4点など、数は任意であり、また、位置も、上端点、中点、下端点に限らず、任意の位置を選択することができる。また、指標導出部126dは、指標のひとつとして、上端点から下端点までの距離(CSF領域の範囲)を導出してもよい。
そして、表示制御部126eは、指標導出部126dによって導出された、上端点2201a、中点2201b、及び下端点2201cそれぞれについての指標を表示するとともに、これらのCSF位置やCSF領域が重畳表示されたCSF画像を表示部125に表示する。例えば、表示制御部126eは、図22に示すように、上端点2201a、中点2201b、及び下端点2201cや、CSF領域2205が重畳表示された重畳画像と、プロット図2206とを並べて表示部125に表示する。
ここで、表示制御部126eは、重畳画像上で、上端点2201a、中点2201b、及び下端点2201cを、例えば、記号(+)を使用して表示する。また、表示制御部126eは、CSF領域2205の上端点と下端点とを結ぶバー2204を表示する。また、表示制御部126eは、プロット図2206上に、上端点2201aに対応するプロット線及び回帰曲線2202a、中点2201bに対応するプロット線及び回帰曲線2202b、下端点2201cに対応するプロット線及び回帰曲線2202cを、それぞれ表示する。また、図22に示すように、表示制御部126eは、プロット図2206上で、現在表示しているフレームのフレーム番号や時刻を示す線2203を更に表示する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様、X軸は、フレーム番号のほか、例えば、最初のフレームが収集された時点を起点とする時刻や、TI時間を起点とする経過時間でもよい。また、Y軸は、CSF位置の他、CSF領域の面積でもよい。
なお、図22を用いて説明した表示例は一例に過ぎず、表示制御部126eは、運用の形態などに応じて、表示する情報を適宜選択すればよい。例えば、CSF位置を示す記号は、任意のものでよい。また、上述したように、CSF位置は、典型的にはCSF領域の端点や中点に配置されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、任意の位置に配置されてもよい。また、CSF位置は、中点のみ、上端点のみなど、複数のCSF位置を任意の数や方法で表示されてもよい。
[他の表示例について]
図23は、他の実施形態における表示例を示す図である。例えば、表示制御部126eは、重畳画像を表示部125に表示する場合に、図23に示すように、基準位置2303からCSF位置2301を結ぶ矢印2302を表示してもよい。この場合、例えば、表示制御部126eは、重畳画像を動画表示し、次の時相のCSF画像への切り替えに応じて、矢印2302を切り替えて表示してもよい。
図23は、他の実施形態における表示例を示す図である。例えば、表示制御部126eは、重畳画像を表示部125に表示する場合に、図23に示すように、基準位置2303からCSF位置2301を結ぶ矢印2302を表示してもよい。この場合、例えば、表示制御部126eは、重畳画像を動画表示し、次の時相のCSF画像への切り替えに応じて、矢印2302を切り替えて表示してもよい。
また、他の実施形態に係るMRI装置100は、CSF領域の特定結果や、導出された指標に応じて、撮像のやり直しを行うように制御してもよい。CSF領域の特定が正常に行われない場合や、速度情報などの指標が定められた範囲を超える場合などには、MRI装置100は、表示部125にその旨を表示して、操作者に撮像のやり直しやタイミングをずらした撮像を促すことが可能である。
また、図24は、他の実施形態における修正及び削除を示す図である。図24には、3つの表示例が示されている。上段の表示例においては、CSF画像上に、あるフレームのCSF位置2402aが「+」記号で重畳表示され、また、プロット図上に、対応するプロット点2403a(バーで表示)が示されている。ここで、表示制御部126eは、CSF位置2402aやプロット点2403aの指定を、マウスなどの任意の手法により操作者から受け付けることで、表示対象とするCSF位置の修正や、CSF位置の削除を受け付けてもよい。中段の表示例は、CSF位置2402aを新しいCSF位置2402bに修正した例を示す。この場合、表示制御部126eは、プロット点2403aを、新しいCSF位置2402bに対応するよう修正してもよい。また、その反対に、例えば、表示制御部126eは、プロット点2403aをプロット点2403bに変更する指示を受け付ける。この場合、表示制御部126eは、この変更に対応するように、CSF位置2402aをCSF位置2402bに変更してもよい。
また、下段の表示例は、CSF位置2402aを削除する例を示す。例えば、表示制御部126eは、CSF画像上でCSF位置2402aの削除を受け付けると、これに対応するプロット点2403aも同様に削除してもよい。すなわち、図24に示す2403cの位置のプロット点が削除される。
[信号遷移を用いた形態領域の特定]
上述した第2の実施形態においては、まず、形態領域を特定した後に、特定した形態領域内で、更に「標識化された」CSFのCSF領域を特定する例を説明した。以下では、この2段階の処理の一例として、まず、標識化の有無に関係なく単にCSFが存在するCSF領域を特定し、その後、この特定した領域内で、「標識化された」CSFのCSF領域を特定する例を詳細に説明する。
上述した第2の実施形態においては、まず、形態領域を特定した後に、特定した形態領域内で、更に「標識化された」CSFのCSF領域を特定する例を説明した。以下では、この2段階の処理の一例として、まず、標識化の有無に関係なく単にCSFが存在するCSF領域を特定し、その後、この特定した領域内で、「標識化された」CSFのCSF領域を特定する例を詳細に説明する。
図25は、ある実施形態における形態領域特定部126fを示すブロック図である。図25に示すように、形態領域特定部126fは、画素位置判定部126gと、信号最大値計算部126hと、信号分散計算部126iと、信号遷移一致度計算部126jと、CSF尤度計算部126kと、CSF形態領域特定部126lとを有する。
画素位置判定部126gは、複数時相のCSF画像を受け付け、画素毎に、この画素が、標識化領域内であるのか、又は標識化領域外であるのか、その画素位置を判定する。標識化領域の位置情報は、撮像計画段階において設定される情報である。そこで、例えば、画素位置判定部126gは、撮像条件を記憶する記憶部123から標識化領域の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、各画素の画素位置を判定する。
信号最大値計算部126hは、画素位置判定部126gによって標識化領域内の画素であると判定された画素について、CSF画像を複数時相に亘って解析し、複数時相の中における信号強度の最大値を求める。
信号分散計算部126iは、画素位置判定部126gによって標識化領域外の画素であると判定された画素について、CSF画像を複数の時相に亘って解析し、時間方向における信号強度の遷移態様を表わす定量的な値(信号強度が時間経過とともにどのように遷移しているかを定量的に示す値)を計算する。例えば、信号分散計算部126iは、分散を計算する。分散が大きいということは、例えば、信号強度が高・低を頻繁に繰り返す状況を意味する。そこで、ここでは、標識化されたCSFが行き来した領域である可能性が高いと考え、分散が大きければ大きいほど、CSFらしさが高いと考える。
信号遷移一致度計算部126jは、画素位置判定部126gによって標識化領域外の画素であると判定された画素について、CSF画像を複数時相に亘って解析し、CSFであるか否かの一致の度合いを示す一致度を計算する。ここで、信号遷移一致度計算部126jは、例えば、次の(6)式を用いて、一致度を計算する。
この(6)式は、「標識化されていない」CSFの信号強度が、時間経過とともにどのように遷移するかという特性に着目し、画素毎にCSFらしさを求める式である。
図26は、CSFの信号強度の遷移の特性を説明するための図である。図3を用いて説明したように、t−SLIP法において、典型的には、領域非選択IRパルス、及び、領域選択IRパルスの両者が略同時に印加される。図26では、IRパルスが略同時に印加されたときの信号強度の遷移を、画素毎に示している。ここで、標識化領域内で2つのIRパルス両方を印加されたCSF(「標識化されたCSF」)は、領域非選択IRパルスの印加で縦磁化成分を一旦反転させた後に、領域選択IRパルスの印加で再び縦磁化成分を反転させるので、図26に示すように、信号強度はやや高い値を維持しながら遷移する。一方、標識化領域外で領域非選択IRパルスのみを印加されたCSF(「標識化されていないCSF」)は、領域非選択IRパルスの印加で縦磁化成分を一旦反転させた後に、徐々にその縦磁化成分を回復する。この場合、絶対値である信号強度は、図26に示すように、回復過程において概ね単調に下降し、CSFのT1値であり、縦磁化成分が「0」になるヌルポイント(null point)に到達した後、再び、概ね単調に上昇する。なお、フレーム「fn」は、縦磁化成分(絶対値)が最も小さいフレームである。
一方、(6)式を説明すると、「p」は、画素を示し、「f」は、フレームを示す。ここで、「tp(f)」は、フレームfnよりも時間方向で前のフレームについては、自フレームの信号強度が1つの前のフレームの信号強度よりも小さい場合に、『1』となる。図26で示した単調な下降に対応する。また、「tp(f)」は、ヌルポイントにあたるフレームfnよりも時間方向で後のフレームについては、自フレームの信号強度が1つの前のフレームの信号強度よりも大きい場合に、『1』となる。図26で示した単調な上昇に対応する。また、「tp(f)」は、これらの条件を満たさない場合に、『0』となる。
各画素の一致度「Tp」は、この「tp(f)」を時間方向で積算した値であり、値が大きければ大きいほど、CSFらしさが高いことを示す。
また、一致度の他の導出方法としてCSFの信号遷移のモデルとの差で表現しても良い。例えば、信号遷移一致度計算部126jは、次の(7)式や(8)式を用いて一致度を計算する。
ここで、「Of」は、フレームfにおけるCSFの信号遷移のモデルであり、「tp」は、絶対値誤差((7)式)や二乗誤差((8)式)を用いて計算したその誤差である。
CSF尤度計算部126kは、信号最大値計算部126h、信号分散計算部126i、及び信号遷移一致度計算部126jで得られた各値を用いて、画素毎にCSF尤度を求める。
ここで、CSF尤度計算部126kは、例えば、次の(9)式を用いて、CSF尤度を計算する。
(9)式を説明すると、「αp」や「1−αp」の係数は、画素位置判定部126gの判定結果が反映されるものである。すなわち、画素位置判定部126gによって標識化領域内の画素であると判定された場合、「αp=1」になり、(9)式右辺の第1項のみがCSF尤度の計算に反映される。一方、画素位置判定部126gによって標識化領域外の画素であると判定された場合、「αp=0」になり、(9)式右辺の第2項のみがCSF尤度の計算に反映される。
また、第1項の「Sm,p」は、信号最大値計算部126hによって計算された信号強度の最大値である。また、第2項の「Sv,p」は、信号分散計算部126iによって計算された分散である。また、第2項の「Tp」は、信号遷移一致度計算部126jによって計算された一致度である。なお、分散と一致度との線形和の重み係数「β」は、適宜設定される。
(9)式によって算出されたCSF尤度は、値が大きければ大きいほど、その画素のCSFらしさが高いことを示す。
CSF形態領域特定部126lは、CSF尤度計算部126kによって計算されたCSF尤度に対して、例えば閾値処理を行うことで、CSF領域を特定する。このとき、CSF領域は、若干離れた位置に点在する可能性もある。そこで、CSF形態領域特定部126lは、特定したCSF領域に対して更にリージョングローイング等の画像処理を行う。こうしてCSF形態領域特定部126lによって特定されたCSF領域は、標識化の有無に関係なく、単にCSFが存在するCSF領域である。
ここで、図27は、標識化領域内で標識化されたCSFを示す図である。図27においては、説明の便宜上、標識化されて信号強度が高いCSFを、パターンの重畳表示で示す。また、図28は、形態領域特定部126fによって特定された形態領域を示す図(マップ)である。図28に示す形態領域には、「標識化された」CSF領域と「標識化されていない」CSF領域とが含まれるが、形態領域として特定された段階では、この両者の区別はなされていない。
この後、例えば、上述した実施形態において説明したCSF領域特定部126cは、このように特定されたCSF領域の中から、「標識化された」CSFのCSF領域を特定する。
例えば、図26からも分かるように、少なくともCSFのヌルポイント付近の一定範囲では、「標識化された」CSFと、「標識化されていない」CSFとの間に、信号強度の有意な差(コントラスト)が生じている。そこで、CSF領域特定部126cは、形態領域として特定されたCSF領域に対して、例えば、信号強度の差に基づく閾値処理を行い、「標識化された」CSFのCSF領域と、「標識化されていない」CSFのCSF領域とをセグメンテーションする。
なお、上述した(6)式〜(9)式の計算式は、適宜変更することができる。例えば、標識化領域内の画素についても、その分散をCSFらしさの判定に取り込むように、(9)式を変更してもよい。
また、(9)式には、空間的な構造物判定を行い、判定に取り込むように、(9)式を変更してもよい。構造物判定の例としてエッジ強度がある。エッジ強度が大きいところは体内構造物の境界と考えられるためCSFらしさは小さいことを示す。また、エッジ強度が小さいところは体内構造物の内部であると考えられるためCSFらしさは大きいことを示す。また、ACM(Active Counter Model)、ASM(Active Shape Model)を用いても良い。
また、信号強度の最大値や分散、一致度を計算する画素は予め平滑化処理やエッジ強調処理が施されていてもよい。
なお、形態領域特定部126fに含まれる各部が1画素毎に処理を行う例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。形態領域特定部126fに含まれる一部又は全ての部は、複数画素を含む画像領域毎に処理を行ってもよい。
[標識化領域内のCSF/背景組織の分離表示]
上述したように、標識化領域内の画素については、CSF画像を複数時相に亘って解析し、複数時相の中における信号強度の最大値を計算することで、対象の画素が、CSFであるのか、CSF以外の背景組織であるのかを分離することができる。
上述したように、標識化領域内の画素については、CSF画像を複数時相に亘って解析し、複数時相の中における信号強度の最大値を計算することで、対象の画素が、CSFであるのか、CSF以外の背景組織であるのかを分離することができる。
そこで、指標導出部126dは、この標識化領域内のCSFについても、指標導出の対象とすることができる。また、表示制御部126eも、CSF画像上にCSF位置やCSF領域を重畳表示する場合に、標識化領域内のCSF領域についても、標識化領域外のCSF領域とともに、重畳表示することができる。
図29は、他の実施形態における表示例を示す図である。表示制御部126eは、例えば、図11に示した表示例においてCSF画像を表示する場合に、図29に示すように、標識化領域内であって標識化されたCSFと、標識化領域外であって標識化されたCSFとに、1つの色を割り当てて、例えば、これらを1つの連続したCSF領域として、重畳表示する。
なお、重畳するCSF領域に1つの色を割り当てる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、標識化領域の内外に応じて異なる色を割り当ててもよい。
[撮像タイミングの範囲設定]
図30は、撮像タイミングの範囲設定を説明するための図である。図26を用いて説明したように、「標識化された」CSFと、「標識化されていない」CSFとの信号強度の差は、CSFのヌルポイント付近で最も大きくなる。そこで、例えば、データ収集部126aは、図30に示すように、CSFのヌルポイントを基準にし、撮像タイミングをヌルポイント付近の一定範囲(図30において、白抜き矢印3001で示す範囲)に限定してもよい。
図30は、撮像タイミングの範囲設定を説明するための図である。図26を用いて説明したように、「標識化された」CSFと、「標識化されていない」CSFとの信号強度の差は、CSFのヌルポイント付近で最も大きくなる。そこで、例えば、データ収集部126aは、図30に示すように、CSFのヌルポイントを基準にし、撮像タイミングをヌルポイント付近の一定範囲(図30において、白抜き矢印3001で示す範囲)に限定してもよい。
図31は、他の実施形態におけるデータ収集部126aの構成を示す図である。データ収集部126aは、撮像タイミング設定部126lを更に備える。撮像タイミング設定部126lは、操作者から、撮像タイミングの範囲設定を受け付けるためのGUIを表示部125に表示し、撮像タイミングの範囲設定を受け付ける。すると、データ収集部126aは、撮像タイミング設定部126lによって設定を受け付けた撮像タイミングの範囲で、データ収集を行う。なお、このGUIは、典型的には、通常の撮像計画段階にて表示部125に表示される。
図32は、撮像タイミングの範囲設定を受け付けるGUIを説明するための図である。
例えば、撮像タイミング設定部126lは、撮像対象の流体の種別(『fluid』)と、BBTI(Black-Blood Time to Inversion)時間の増加分(『BBTI increment』)と、BBTI時間として設定する範囲(『range』)とを受け付けるGUIを表示する。ここで、BBTI時間とは、IRパルスを印加してからデータ収集が開始されるまでの時間である。また、BBTI時間の増加分とは、例えば、図4Aや図4Bで説明した、『TI1』と『TI2』との間の差分である。また、BBTI時間として設定される範囲とは、複数時相のCSF画像を収集する場合に、最初の時相のBBTI時間から、最後の時相のBBTI時間までの範囲のことである。
例えば、撮像タイミング設定部126lは、撮像計画段階において選択された流体の種別に応じて、GUI上で、BBTI時間として設定可能な範囲の下限値と上限値とを変更する。例えば、撮像対象の流体として『CSF』が選択された場合には、撮像タイミング設定部126lは、『CSF』のT1値(ヌルポイントまでのTI時間)に応じた下限値と上限値とを、GUI上に表示し、その範囲を超える設定については受け付けないようにする。例えば、CSFのT1値が『3000msec』であるとすると、撮像タイミング設定部126lは、図32に示すように、下限値『2500』、上限値『3500』等を表示し、この範囲内でのみ、設定を受け付ける。
また、例えば、撮像対象の流体として『血液』が選択された場合には、撮像タイミング設定部126lは、『血液』のT1値(例えば、『1200』)に応じた下限値と上限値とをGUI上に表示し、その範囲を超える設定については受け付けないようにする。一般に、CSFのT1値は長く、血液のT1値は短い。
なお、上述では、下限値と上限値とを超える設定については受け付けないようにする手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、下限値と上限値とを超える設定については、警告を表示してもよい。
また、ここでは、「標識化された」CSFと、「標識化されていない」CSFとの信号強度の差に着目して、撮像タイミングをCSFのヌルポイント付近の一定範囲に限定する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。
例えば、第1の実施形態においては、形態領域を特定する段階を踏まずに、ダイレクトに、標識化されたCSFが存在するCSF領域を特定する例を説明した。このような場合には、標識化されたCSF領域と、その他の背景組織との信号強度に、有意な差が生じることが望ましいとも考えられる。
そこで、例えば、撮像タイミング設定部126lは、CSFのヌルポイントに替えて、背景組織のヌルポイントを基準に、背景組織のヌルポイント付近の一定範囲に、撮像タイミングの範囲を限定してもよい。ここで、背景組織とは、例えば、中脳水道や、第四脳室等である。
[その他]
上述した実施形態においては、MRI装置100によって撮像された画像を用いる場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置やX線診断装置、超音波診断装置など、他の医用画像診断装置によって撮像された画像を用いる場合にも、上述した各種処理を同様に適用することができる。すなわち、被検体内を流れる流体の画像であって相互に関連する複数の画像が他の医用画像診断装置によって撮像された場合にも、上述した各種処理を同様に適用することができる。
上述した実施形態においては、MRI装置100によって撮像された画像を用いる場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置やX線診断装置、超音波診断装置など、他の医用画像診断装置によって撮像された画像を用いる場合にも、上述した各種処理を同様に適用することができる。すなわち、被検体内を流れる流体の画像であって相互に関連する複数の画像が他の医用画像診断装置によって撮像された場合にも、上述した各種処理を同様に適用することができる。
また、上述した実施形態においては、医用画像診断装置であるMRI装置100が各種処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置100に替わり、画像処理装置や画像表示装置が上述した各種処理を実行してもよい。ここで、画像処理装置や画像表示装置とは、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)やビューワ、電子カルテシステムの各種装置などである。この場合、例えば、画像処理装置や画像表示装置は、MRI装置100によって収集された複数の画像を、MRI装置100から、若しくは、画像サーバからネットワーク経由で受信することで、あるいは、記録媒体を介して操作者から入力されることなどで、受け付ける。そして、画像処理装置や画像表示装置は、この複数の画像を対象として、上述した各種処理を実行すればよい。なお、上述した実施形態においては、重畳画像やプロット図などを表示部125に表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、指標を導出した後、表示することなく処理を終了してもよい。この場合、例えば、画像処理装置によって導出された指標は、他の装置によって利用される。
また、上述した実施形態においては、被検体内を流れる流体としてCSFを例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、流体は、例えば、血液、膵液やリンパ液などでもよい。
また、上述した実施形態における処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態に係るMRI装置100による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述の実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記録媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態に係るMRI装置100と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記録媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークなどのMW(ミドルウェア)などが、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
更に、実施形態における記録媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネットなどにより伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記録媒体も含まれる。また、上記各実施形態の処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。また、記録媒体は1つに限られず、複数の媒体から上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記録媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記録媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコンなどの1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステムなどの何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコンなども含み、プログラムによって上述した実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
また、上述した実施形態は、適宜組み合わせて実施することができる。例えば、表示制御部126eが表示部125に表示する内容は、運用の形態に応じて、各実施形態にて説明した内容を、適宜組み合わせることができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の画像処理装置及び磁気共鳴イメージング装置によれば、被検体内の流体の動態を適切に評価することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
100 MRI装置
126 制御部
126a データ収集部
126b CSF画像生成部
126c CSF領域特定部
126d 指標導出部
126e 表示制御部
126 制御部
126a データ収集部
126b CSF画像生成部
126c CSF領域特定部
126d 指標導出部
126e 表示制御部
Claims (8)
- 磁気共鳴イメージングを用いてCSF(Cerebrospinal Fluid)が流れる標識化領域に標識化パルスを印加して、時系列に沿って収集された複数時相の画像のうち、それぞれの前記画像内の前記CSFの領域を特定する特定部と、
特定された前記CSFの領域に基づき、前記CSFの動態を示す指標値を導出する導出部とを備え、
前記特定部は、前記複数時相の中における信号強度の時間変化に基づき前記CSFの領域を特定する、画像処理装置。 - 前記CSFの領域は、前記標識化パルスによって標識化されたCSFと、前記標識化パルスによって標識化されていないCSFとが含まれる、請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記特定部は、前記複数時相の中における信号強度の時間変化を表す値として複数種類の値を組み合わせて前記CSFの領域を特定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 前記特定部は、前記複数時相の中における信号強度の時間変化を表す値として、前記複数時相の中における信号強度の最大値を用いる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
- 前記特定部は、前記複数時相の中における信号強度の時間変化を表す値として、前記複数時相の中において信号強度が時間経過とともにどのように遷移しているかを表す定量的な値を用いる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
- 前記特定部は、前記定量的な値として、信号強度の分散の値を用いる、請求項5に記載の画像処理装置。
- 前記指標値をプロットしたグラフを表示する表示制御部とを更に備える、請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像処理装置。
- 磁気共鳴イメージングを用いてCSF(Cerebrospinal Fluid)が流れる標識化領域に標識化パルスを印加して、時系列に沿って複数時相の画像を収集する収集部と、
前記複数時相の画像のうち、それぞれの前記画像内の前記CSFの領域を特定する特定部と、
特定された前記CSFの領域に基づき、前記CSFの動態を示す指標値を導出する導出部とを備え、
前記特定部は、前記複数時相の中における信号強度の時間変化に基づき前記CSFの領域を特定する、磁気共鳴イメージング装置。
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