JP6422385B2 - 端子付き電線及びその製造方法、並びにワイヤハーネス - Google Patents

端子付き電線及びその製造方法、並びにワイヤハーネス Download PDF

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Description

本発明は、電線と端子を圧着接続してなる端子付き電線、及びその製造方法、並びに当該端子付き電線を組み込んだワイヤハーネスに関する。
従来から、例えば車両に搭載されるワイヤハーネスには、端子をかしめて電線に圧着する接続構造を備えた端子付き電線が用いられる。この種の端子付き電線において、露出した線材及び端子の内壁の間の接続部分に水分を含む液体が付着すると、接続部分及びその近傍の表面の酸化が進み、電気抵抗の増加又は腐食の発生が起こる場合がある。
近時、ワイヤハーネスの軽量化を図るべく、例えば、アルミニウム合金からなる線材と銅合金からなる端子を組み合わせた端子付き電線が開発されている。このように、異なる種類の金属同士が接触する端子付き電線の一形態として、有底筒状の圧着部を備えるクローズドバレル型端子による、防水性が高い接続構造が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2014−164913号公報
ところで、本発明者の鋭意検討によれば、互いに対向する2つの方向からクローズドバレル型端子をかしめる際に、電線の被覆材が無視できない程度に塑性変形し、軸心方向或いは周方向に沿って不均一に延伸することを見出した。
図10(a)は圧着前の電線1が備える被覆材2の原形を示す概略図であり、図10(b)は圧着後の電線4が備える被覆材5の変形状態を示す概略図である。説明の便宜上、図10(b)では、電線4に圧着した端子の図示を省略している。
図10(a)のグリッド線3は、被覆材2に予め付した目印であり、圧着前における外周面上の位置を示す。本図から理解されるように、縦線及び横線で囲まれる領域はそれぞれ、面積が互いに等しい矩形状である。一方、図10(b)に示すように、圧着後のグリッド線6は、格子線3と比べて、軸心方向及び周方向に歪んだ形状を有する。
このように、電線に端子をかしめることで、本来的には均一であった被覆材の厚さに分布を生じさせる。この「厚さの不均一性」により、1つの端子付き電線には、電線と端子の密着性が相対的に高い部位と低い部位が併存する。具体的には、被覆材が薄い部位にて端子に与える反発力(つまり圧着力)が低下するので、この密着性が低くなる傾向がみられる。
そうすると、電線と端子の密着性が相対的に低い部位に僅かな隙間が生じ、この隙間を通じて、外部からの液体が上記の接続部位に浸入する可能性がある。特に、被覆材が全体的に薄肉化された電線の場合、電線と端子の密着性が十分に確保できない可能性があり、この浸入の懸念が一層顕在化する。つまり、この種の端子付き電線には、止水性の観点で改良の余地が十分に残されている。
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、きわめて簡易な構造を採用しながら電線と端子の間の止水性を向上可能な端子付き電線及びその製造方法、並びにワイヤハーネスを提供することを目的とする。
本発明に係る「端子付き電線」は、導電性の線材と、該線材を被覆する絶縁性の被覆材とを有し、前記被覆材の剥離により前記線材の先端側が露出する露出部が形成された電線と、有底筒状の圧着部を有し、少なくとも前記露出部を前記圧着部に挿入させて前記電線と圧着接続した端子とを備え、前記被覆材の外周面の一部には、前記被覆材の剥離端又は該剥離端の周辺の位置に、他の領域と比べて摩擦係数が小さい低摩擦領域が1つ又は複数形成され、前記圧着部の内壁面の一部には、前記低摩擦領域に対して前記圧着部の開口端側の位置に、他の領域と比べて表面粗さが大きい粗化領域が1つ又は複数形成される。
被覆材は、端子側からの圧縮応力を受けることで、圧着部と一体となり塑性変形する。このとき、圧着部は、内壁面の形状或いは被覆材との接触状態によって、被覆材の剥離端を巻き込みながら変形する場合がある。また、電線には被覆材の有無による段差があるため、被覆材は、圧着部の内側(段差がなす空間側)に逃げ込む挙動を示す。つまり、剥離端の周辺にある被覆材が薄くなる傾向がみられる。
そこで、外周面の剥離端又はその周辺の位置に低摩擦領域を設けたので、当該低摩擦領域内にて滑り易くなり、圧着部の変形挙動に影響され難くなる。このように、上記の巻き込み現象によって被覆材が先端方向に延伸するのを抑制できる。
これと同時に、被覆材は、端子側からの圧縮応力を受けることで、圧着部の内壁面に沿って外側に押し出され、圧着部の外側(電線の基端側)に逃げ込む挙動を示す。つまり、圧着部に囲まれた被覆材が全体的に薄くなる傾向がみられる。そこで、圧着部の内壁面に粗化領域を設けたので、当該粗化領域内にて摩擦力が増加し、被覆部の変形挙動が抑制される。このように、上記の押し出し現象によって被覆材が基端方向に延伸するのを抑制できる。
以上に述べたように、被覆材が先端方向及び基端方向に延伸するのを同時に抑制可能となり、被覆材の厚さの不均一性が解消され、電線と端子の密着性が十分に確保できる。これにより、きわめて簡易な構造を採用しながら電線と端子の間の止水性を向上できる。
また、前記粗化領域は、前記低摩擦領域と離間した位置に形成されることが好ましい。粗化領域及び低摩擦領域を互いに干渉しない位置関係下に配置することで、それぞれの延伸抑制機能を効果的に発揮できる。
また、前記粗化領域は、前記開口端の周辺の位置に形成されることが好ましい。これにより、剥離端から開口端の手前までの広い範囲にある被覆材が基端方向に延伸するのを抑制できる。また、開口端の位置を粗化領域から除外することで、この粗化領域が液体の浸入口として作用するのを防止できる。
また、1つの前記粗化領域及び1つの前記低摩擦領域は、前記電線の軸心に沿って延びる、前記外周面にある同一の仮想線の上に形成されることが好ましい。1つずつの粗化領域及び低摩擦領域による作用方向が一致するので、作用方向の捻れに起因する被覆材の塑性変形の歪みが発生するのを防止可能であり、被覆材の厚さの均一性を確保し易くなる。
また、前記粗化領域及び前記低摩擦領域はそれぞれ2つであり、第1粗化領域及び第1低摩擦領域は、第1仮想線の上に形成され、第2粗化領域及び第2低摩擦領域は、前記第1仮想線とは異なる第2仮想線の上に形成され、前記第1仮想線及び前記第2仮想線は、前記電線の軸心を挟んで互いに対向することが好ましい。通常、互いに対向する2つの方向から外力が加わるので、2箇所の作用点に近い位置に対して粗化領域及び低摩擦領域をそれぞれ配置できる。
また、前記端子の圧着方向は、前記第1仮想線及び前記第2仮想線を包摂する仮想平面に平行することが好ましい。互いに対向する2つの圧着方向から外力が加わるので、2箇所の作用点に近い位置に対して粗化領域及び低摩擦領域をそれぞれ配置できる。
また、前記内壁面には、前記電線の軸心に対して傾斜する傾斜領域が、前記剥離端の周辺の位置に設けられることが好ましい。傾斜領域は電線の軸心に対して傾斜するので、圧着部が変形する際に、傾斜領域がなす面に倣って被覆材の剥離端が巻き込まれる可能性が高くなる。すなわち、低摩擦領域を設けた場合の延伸抑制効果がより顕著に現われる。
また、前記第1仮想線は、前記傾斜領域がなす面の傾斜角が相対的に大きい位置に存在し、前記第2仮想線は、前記傾斜領域がなす面の傾斜角が相対的に小さい位置に存在し、前記第1低摩擦領域における前記電線の軸心方向に沿った幅は、前記第2低摩擦領域の幅よりも大きいことが好ましい。傾斜角が大きいほど剥離端を巻き込む程度が大きくなる傾向を考慮して、傾斜角が相対的に大きい側の低摩擦領域がなす面を一層滑り易くすることで、被覆材が先端方向に延伸するのを一層効果的に抑制できる。
また、前記第1仮想線は、前記傾斜領域がなす面の傾斜角が最大となる位置にあることが好ましい。傾斜角が最大となる位置に低摩擦領域及び粗化領域を配置することで、被覆材の延伸を最も効果的に抑制できる。
また、前記低摩擦領域における前記電線の軸心方向に沿った幅は、前記電線の外径に応じて異なることが好ましい。低摩擦領域の幅を適切に設定することで、電線の外径に適した延伸抑制効果が得られる。
また、前記低摩擦領域は、前記電線の軸心方向に関して、前記剥離端の位置から前記電線の外径の1/3を超えない範囲にて形成されることが好ましい。低摩擦領域の範囲を適切に設定することで、電線の外径に適した延伸抑制効果が得られる。
また、前記低摩擦領域は、前記剥離端を含む範囲にて形成されることが好ましい。剥離により角部が形成された剥離端の摩擦係数を小さくすることで、剥離端を起点として被覆材が巻き込まれる可能性を一層低減できる。
本発明に係る「端子付き電線の製造方法」は、導電性の線材と、該線材を被覆する絶縁性の被覆材とを有し、前記被覆材の剥離により前記線材の先端側が露出する露出部が形成された電線と、有底筒状の圧着部を有し、少なくとも前記露出部を前記圧着部に挿入させて前記電線と圧着接続した端子とを備える端子付き電線を製造する方法であって、前記圧着部を有底筒状に成形する前に、前記圧着部の内壁面の一部に他の領域と比べて表面粗さが大きい粗化領域を1つ又は複数形成する粗化工程と、前記電線を圧着接続する前に、前記被覆材の外周面の一部に他の領域と比べて摩擦係数が小さい低摩擦領域を1つ又は複数形成する低摩擦化工程とを備え、前記低摩擦化工程では、前記端子を圧着接続する際における、前記被覆材の剥離端又は該剥離端の周辺の位置に対応する部位に前記低摩擦領域を形成し、前記粗化工程では、前記端子を圧着接続する際における、前記圧着部の開口端側の位置に対応する部位に前記粗化領域を形成する。
本発明に係る「ワイヤハーネス」は、上記したいずれかの端子付き電線を複数束ねてなる。
本発明に係る端子付き電線及びその製造方法、並びにワイヤハーネスによれば、きわめて簡易な構造を採用しながら電線と端子の間の止水性を向上できる。
この実施形態に係る端子付き電線の斜視図である。 図1に示す端子付き電線の部分拡大縦断面図である。 図1に示す端子付き電線における、電線の軸心に沿った断面図である。 電線の外周面をなす被覆材の展開図である。 低摩擦領域及び粗化領域による延伸抑制効果を説明する概略図である。 被覆材の延伸モデルの一例を説明する概略図である。 図1に示す端子付き電線の製造方法を説明するフローチャートである。 ステップS5の圧着工程を説明する概略図である。 図1に示す端子付き電線を組み込んだワイヤハーネスの斜視図である。 圧着前後における被覆材の変形状態を示す概略図である。
以下、本発明に係る端子付き電線について、その製造方法及びワイヤハーネスとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
[端子付き電線10の構成]
<全体構成>
図1は、この実施形態に係る端子付き電線10の斜視図である。詳しくは、図1(a)は電線20と端子40とを圧着接続した後の全体斜視図であり、図1(b)は電線20と端子40とを圧着接続する前の分解斜視図である。
図2は、図1に示す端子付き電線10の部分拡大縦断面図であり、詳しくは、電線20に圧着接続した圧着部41の圧着形状を示す。
図3は、図1に示す端子付き電線10における、電線20の軸心25に沿った断面図である。詳しくは、図3(a)は後述する低摩擦領域26、27に対応する位置での端子付き電線10の断面形状を示し、図3(b)は後述する粗化領域53、54に対応する位置での端子付き電線10の断面形状を示す。
図1及び図2に示すように、端子付き電線10は、電線20と、端子40とを基本的に備えている。電線20は、導電性の線材21と、線材21を被覆する絶縁性の被覆材22とを有してなる。
線材21は、素線21eを複数本撚り合わせてなる撚り線である。素線21eは、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅或いは銅合金からなる金属材料からなる。線材21の形態は、撚り線に限られることなく単線であってもよい。
被覆材22は、線材21を外部から絶縁する物質であれば材料の種類は問わない。被覆材22は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋ポリエチレンを含む絶縁樹脂からなる。
被覆材22の一部が剥離されることで、電線20には、線材21の先端側が露出する露出部23aが形成されている。なお、電線20を構成する露出部23aを除く部位、すなわち、被覆材22が剥離されずに残っている部位を「被覆部23b」と称する。また、被覆材22の剥離により形成される端面、すなわち、露出部23aと被覆部23bとの境界面の位置を「剥離端24」と称する。
説明の便宜のため、端子40の延在方向を「X方向」、端子40の圧着側を「矢印X1側」、端子40の非圧着側を「矢印X2側」とそれぞれ定義する。また、X方向は、電線20の軸心25に沿った方向(以下、軸心方向)に一致するとの前提の下に説明する。
電線20がなす外周面、つまり被覆材22の外周面30の一部には、2つの低摩擦領域26、27がX方向に沿って形成されている。ここで、「低摩擦領域」とは、剥離端24から開口端49までの範囲にある他の領域と比べて摩擦係数が小さい領域を意味する。
「摩擦係数」は、例えば測定対象が樹脂フィルムである場合、JIS K7125(1999)にて定義される物理量である。つまり、低摩擦領域26、27は、静止摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μd)のうちの少なくとも1つが相対的に大きい領域ともいえる。
図3(a)に示すように、低摩擦領域26、27は、被覆材22の外周面30上に低摩擦化処理(ここでは、潤滑剤29の塗布)が施されてなる。潤滑剤29は、例えば、シリコングリース、フッ素グリース、ポリフェニルエーテルを基油に使用したグリースからなる。なお、この低摩擦化処理には、上記した塗布処理の他、表面改質処理が含まれる。
図1に戻って、被覆材22の外周面30には、低摩擦領域26、27とは別に、1つの調整用マーク28が更に形成されている。調整用マーク28は、電線20を圧着部41に挿入する際、電線20の周方向(角度θ)を調整するための「向き決め用マーク」として機能する。
端子40は、クローズドバレル型の雌型圧着端子であり、略筒状の圧着部41と、中空四角柱状のボックス部42とを有する。圧着部41とボックス部42との間には、両者を機械的及び電気的に接続する所定の長さのトランジション部43が位置する。圧着部41、ボックス部42及びトランジション部43は、一体的に端子40を構成する。端子40は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条で構成されている。
ボックス部42は、図示しない雄型圧着端子が備える挿入タブの挿入を受容する。ボックス部42は、底面部60、側面部61、62、上面部63を有する。弾性接触片64は、底面部60を矢印X1側に向かって内側に折り曲げてなり、雄型圧着端子を挿入する際に上記した挿入タブに接触する。
圧着部41は、少なくとも露出部23aを挿入した電線20を圧着する部位である。圧着部41は、周方向全体において連続する形状、具体的には有底筒状に形成されている。圧着部41は、矢印X2側に閉端する底部44と、露出部23aを圧着する第1筒状部45と、被覆部23bを圧着する第2筒状部46と、矢印X1側に開口する開口部47を備える。圧着部41の内側には、内部空間を区画する1つの内壁面48が形成されている。
底部44は、矢印X2側において略平板状に押し潰すように変形されて、上下方向に対向する所定部分が互いに重なり合った扁平形状である。また、底部44から開口端49の位置にわたって、X方向に沿って延びる突き合わせ部50が設けられている。
露出部23aと被覆部23bの間には、被覆材22の厚さ程度の段差があるため、第1筒状部45が強く圧縮される傾向がある。これにより、第1筒状部45から第2筒状部46への移行部は、第1筒状部45が強く押し込まれた形状になっている。後述のように、被覆材22の塑性変形が抑制されるため、剥離端24の周辺には空間51(図2)が残存する。
内壁面48には、剥離端24の周辺の位置に、電線20の軸心25に対して傾斜する領域(以下、傾斜領域52)が設けられる。図2の例では、圧着部41の上側において傾斜領域52がなす面の傾斜角が最大であり、圧着部41の下側において傾斜領域52がなす面の傾斜角が最小である。
圧着部41がなす内壁面48の一部には、2つの粗化領域53、54がX方向に沿って形成されている。ここで、「粗化領域」とは、剥離端24から開口端49までの範囲にある他の領域と比べて表面粗さが大きい領域を意味する。
「表面粗さ」は、JIS B 0601(1994)、JIS B 0031(1994)にて定義される物理量である。つまり、粗化領域53、54は、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)、凹凸の平均間隔(Sm)、局部山頂の平均間隔(S)及び負荷長さ率(tp)のうちの少なくとも1つが相対的に大きい領域ともいえる。
図3(b)に示すように、粗化領域53、54は、圧着部41の内壁面48上に粗化処理が施されてなる。この粗化処理には、例えば、放電処理、ブラスト処理、レーザ加工処理が含まれる。
<被覆材22の外形的特徴>
2つの低摩擦領域26、27は、互いに同じ形状、詳しくは、平面視にて矩形状を有するとともに、電線20の軸心25に対して線対称となる位置に形成されている。
図4は、電線20の外周面30をなす被覆材22の展開図であり、説明の便宜のため二次元グラフを用いて位置を表現する。グラフの横軸は剥離端24を基準とする軸心方向の相対位置X(単位:μm)であり、剥離端24の位置を0μmとし、矢印X1側を正の方向とする。また、グラフの縦軸は周方向の角度θ(単位:度)であり、突き合わせ部50の位置を0度(360度)とし、矢印X2側から電線20を見て時計回りを正の方向とする。
低摩擦領域26は、剥離端24から隙間G1[μm](正値又はゼロ値)だけ離れ、かつ、θ=0度を中心とする位置に配されている。また、低摩擦領域26は、軸心方向の幅がWa1[μm]であり、かつ、周方向の幅がWc1[度](正値)である。つまり、低摩擦領域26は、軸心方向ではG1〜(G1+Wa1)[μm]の範囲に、周方向では−0.5・Wc1〜0.5・Wc1[度]の範囲に存在する。
低摩擦領域27は、剥離端24から隙間G2[μm](正値又はゼロ値)だけ離れ、かつ、θ=180度を中心とする位置に配されている。また、低摩擦領域27は、軸心方向の幅がWa2[μm]であり、かつ、周方向の幅がWc2[度]である。つまり、低摩擦領域27は、軸心方向ではG2〜(G2+Wa2)[μm]の範囲に、周方向では(180−0.5・Wc2)〜(180+0.5・Wc2)[度]の範囲に存在する。
低摩擦領域26、27はそれぞれ、開口端49よりも剥離端24に近い位置、すなわち、剥離端24又は剥離端24の周辺の位置に形成されている。剥離端24の位置はG1(G2)=0μmを意味し、周辺の位置は概ね0<G1(G2)≦100μmを意味する。
剥離端24と開口端49の間の距離をLとすると、θ=0度、X=L+ΔX[μm](ΔX>0)の位置、つまり開口端49よりも矢印X1側の位置に、調整用マーク28が併せて形成されている。
本図では、被覆材22の外周面30上に、2つの粗化領域53、54の投影位置を併せて表記している。2つの粗化領域53、54は、互いに同じ形状、詳しくは、平面視にて矩形状を有するとともに、電線20の軸心25に対して線対称となる位置に形成されている。
粗化領域53は、開口端49の周辺(矢印X2側)であって、θ=0度を中心とする位置に配されている。また、粗化領域54は、開口端49の周辺(矢印X2側)であって、θ=180度を中心とする位置に配されている。具体的には、粗化領域53、54はそれぞれ、開口端49から隙間G3(>0)[μm]だけ矢印X2側に離れている。
粗化領域53及び低摩擦領域26は、互いに離間した位置に、かつ、X方向に沿って延びる仮想線56(第1仮想線)の上に配されている。同様に、粗化領域54及び低摩擦領域27は、互いに離間した位置に、かつ、X方向に沿って延びる仮想線57(第2仮想線)の上に配されている。ここで、仮想線56、57は、電線20の軸心25を挟んで互いに対向する位置関係下にある。
なお、粗化領域53、54及び低摩擦領域26、27はいずれも、別の仮想線58、59を跨がないように配置される点に留意する。別の仮想線58(第3仮想線)はθ=90度を中心とする位置にあり、別の仮想線59(第4仮想線)はθ=270度を中心とする位置にある。つまり、別の仮想線58、59はそれぞれ、2本の仮想線56、57の周方向に沿った中心線に相当する。
<端子付き電線10による延伸抑制効果>
この実施形態に係る端子付き電線10は、以上のように構成される。続いて、低摩擦領域26、27及び粗化領域53、54による延伸抑制効果について、図5を参照しながら説明する。図5(a)は低摩擦領域26、27及び粗化領域53、54が存在しない場合を示し、図5(b)は低摩擦領域26、27及び粗化領域53、54が存在する場合を示す。
図5(a)に示すように、被覆材22は、端子40側からの圧縮応力を受けることで、圧着部41と一体となり塑性変形する。このとき、圧着部41は、傾斜領域52の形状等によって、剥離端24を巻き込みながら変形する場合がある。また、電線20には被覆材22の有無による段差があるため、被覆材22は、矢印X2側(図2の空間51)に逃げ込む挙動を示す。その結果、剥離端24の周辺にある被覆材22が薄くなる傾向がみられる。
これと同時に、被覆材22は、端子40側からの圧縮応力を受けることで、圧着部41の内壁面48に沿って外側に押し出され、矢印X1側に逃げ込む挙動を示す。つまり、圧着部41に囲まれた被覆材22が全体的に薄くなる傾向がみられる。
図5(b)に示すように、剥離端24又はその周辺の位置に低摩擦領域26、27を設けることで、低摩擦領域26、27内にて滑り易くなり、圧着部41の変形挙動に影響され難くなる。このように、図5(a)に示す巻き込み現象によって、被覆材22が矢印X2側に延伸するのを抑制できる。
また、内壁面48に粗化領域53、54を設けることで、粗化領域53、54内にて摩擦力が増加し、被覆材22の変形挙動が抑制される。このように、図5(a)に示す押し出し現象によって、被覆材22が矢印X1方向に延伸するのを抑制できる。
この実施形態に係る端子付き電線10は、[1]導電性の線材21と、線材21を被覆する絶縁性の被覆材22とを有し、被覆材22の剥離により線材21の先端側が露出する露出部23aが形成された電線20、及び、[2]有底筒状の圧着部41を有し、少なくとも露出部23aを圧着部41に挿入させて電線20と圧着接続した端子40を備える。
被覆材22の外周面30の一部には、被覆材22の剥離端24又はその周辺の位置に、他の領域と比べて摩擦係数が小さい低摩擦領域26、27が1つ又は複数(ここでは、2つ)形成される。また、圧着部41の内壁面48の一部には、低摩擦領域26、27に対して圧着部41の開口端49側の位置に、他の領域と比べて表面粗さが大きい粗化領域53、54が1つ又は複数(ここでは、2つ)形成される。
以上に述べたように、被覆材22が矢印X1側及び矢印X2側に延伸するのを同時に抑制可能となり、被覆材22の厚さの不均一性が解消され、電線20と端子40の密着性が十分に確保できる。これにより、きわめて簡易な構造を採用しながら電線20と端子40の間の止水性を向上できる。
<被覆材22の延伸モデル>
図6は、被覆材22の延伸モデルの一例を説明する概略図である。詳しくは、図6(a)は向き成分毎の変位量を示すグラフであり、図6(b)は向き成分を合成した変位量を示すである。グラフの横軸は図4と同じ相対位置X(単位:μm)であり、グラフの縦軸は変位量(単位:μm)である。この変位量は、矢印X1側への変位を正の方向とし、矢印X2側への変位を負の方向とする。
図6(a)において、「Pa」は図5(a)の形態での巻き込み現象に起因する被覆材22の変位量を表す関数であり、「Qa」は図5(a)の形態での押し出し現象に起因する被覆材22の変位量を表す関数である。また、「Pb」は図5(b)の形態での巻き込み現象に起因する被覆材22の変位量を表す関数であり、「Qb」は図5(a)の形態での押し出し現象に起因する被覆材22の変位量を表す関数である。
この延伸モデルにおける関数Pa、Pbは、0≦X≦x1の範囲にてKp(X−x1)であり、X>x1の範囲にて常に0である。また、関数Qa、Qbは、0≦X≦x2の範囲にてKq・Xであり、X>x2の範囲にて常にKq・x2である。なお、傾きKp、Kqはいずれも正値であるとする。ここで、低摩擦領域26、27は傾きKpの値を、粗化領域53、54は傾きKqの値を、それぞれ小さくする効果を奏すると仮定する。
図6(b)において、「対策前」は、図5(a)の形態での被覆材22の変位量を表す関数であり、関数の和(Pa+Qa)に相当する。また、「対策後」は、図5(b)の形態での被覆材22の変位量を表す関数であり、関数の和(Pb+Qb)に相当する。本図から理解されるように、「対策後」の変位量は、「対策前」と比べて、位置Xのほぼ全範囲にわたってその絶対値が小さくなっている。
なお、図6(a)に示すR1は、低摩擦領域26、27による延伸抑制機能を効果的に発揮できるX方向の範囲に相当する。また、R2は、粗化領域53、54による延伸抑制機能を効果的に発揮できるX方向の範囲に相当する。換言すれば、低摩擦領域26、27が範囲R1に、粗化領域53、54が範囲R2に収まるように配置するのが好ましい。
<低摩擦領域26、27及び粗化領域53、54の配置・形状>
図4に戻って、粗化領域53(54)は、低摩擦領域26(27)と離間した位置に形成されてもよい。粗化領域53(54)及び低摩擦領域26(27)を互いに干渉しない位置関係下に配置することで、それぞれの延伸抑制機能を効果的に発揮できる。
また、粗化領域53、54は、開口端49の周辺の位置に形成されてもよい。これにより、剥離端24から開口端49の手前までの広い範囲にある被覆材22が矢印X1側に延伸するのを抑制できる。また、開口端49の位置を粗化領域53、54から除外することで、この粗化領域53、54が液体の浸入口として作用するのを防止できる。
また、1つの粗化領域53(54)及び1つの低摩擦領域26(27)は、電線20の軸心25に沿って延びる、外周面30にある同一の仮想線56(57)の上に形成されてもよい。1つずつの粗化領域53(54)及び低摩擦領域26(27)による作用方向が一致するので、作用方向の捻れに起因する被覆材22の塑性変形の歪みが発生するのを防止可能であり、被覆材22の厚さの均一性を確保し易くなる。
また、粗化領域53、54及び低摩擦領域26、27はそれぞれ2つであり、仮想線56、57は、電線20の軸心25を挟んで互いに対向してもよい。通常、互いに対向する2つの方向から外力が加わるので、2箇所の作用点に近い位置に対して粗化領域53、54及び低摩擦領域26、27をそれぞれ配置できる。
また、端子40の圧着方向P1は、仮想線56、57を包摂する仮想平面72(図8)に平行してもよい。互いに対向する2つの圧着方向P1から外力が加わるので、2箇所の作用点に近い位置に対して粗化領域53、54及び低摩擦領域26、27をそれぞれ配置できる。
また、内壁面48には、電線20の軸心25に対して傾斜する傾斜領域52が、剥離端24の周辺の位置に設けられてもよい。傾斜領域52は軸心25に対して傾斜するので、圧着部41が変形する際に、傾斜領域52がなす面に倣って被覆材22の剥離端24が巻き込まれる可能性が高くなる。すなわち、低摩擦領域26、27を設けた場合の延伸抑制効果がより顕著に現われる。
また、仮想線56は、傾斜領域52がなす面の傾斜角が相対的に大きい位置(θ=0度)に存在し、仮想線57は、傾斜領域52がなす面の傾斜角が相対的に小さい位置(θ=180度)に存在し、低摩擦領域26におけるX方向に沿った幅(Wa1)は、低摩擦領域27の幅(Wa2)よりも大きくしてもよい。傾斜角が大きいほど剥離端24を巻き込む程度が大きくなる傾向を考慮して、傾斜角が相対的に大きい側の低摩擦領域26がなす面を一層滑り易くすることで、被覆材22が矢印X2側に延伸するのを一層効果的に抑制できる。
また、仮想線56は、傾斜領域52がなす面の傾斜角が最大となる位置(θ=0度)にあってもよい。傾斜角が最大となる位置に低摩擦領域26及び粗化領域53を配置することで、被覆材22の延伸を最も効果的に抑制できる。
また、低摩擦領域26、27は、剥離端24を含む範囲にて形成されてもよい。剥離によって角部が形成された剥離端24の摩擦係数を小さくすることで、剥離端24を起点として被覆材22が巻き込まれる可能性を一層低減できる。
<端子付き電線10の製造方法>
続いて、上記した端子付き電線10の製造方法について、図7のフローチャート及び図8を参照しながら詳細に説明する。
図7のステップS1である「粗化工程」において、端子40の内壁面48に相当する部位に粗化領域53、54を形成する。具体的には、加工前の金属板の所定位置に、放電処理、ブラスト処理、レーザ加工処理を含む公知の粗化処理を施す。
放電処理には、プラズマ放電、コロナ放電のみならず、火花放電、グロー放電、アーク放電のいずれかの放電原理を利用する処理が含まれる。ブラスト処理は、研磨剤を吹き付ける各種加工を意味し、サンドブラスト等の空気式、ショットブラスト等の機械式、砥粒を混入した液体を噴射するウェットブラスト等の湿式を含む。
例えば、レーザ加工処理の場合、YAGを含む固体レーザを用いてレーザ光線を掃引照射することで、表面に凹凸形状を付与する。この粗化工程により、他の部位と比べて表面粗さが相対的に大きく、平面視にて矩形状である粗化領域53が形成される。同様の手順により、これとは別の粗化領域54が形成される。
なお、粗化領域53、54は、好ましくは、図6(a)の範囲R2内に収まる位置に形成される。これにより、端子40の圧着接続(ステップS5)の際に、押し出し現象によって被覆材22が矢印X1側に延伸するのを効果的に抑制できる。
図7のステップS2である「成形工程」において、ステップS1にて粗化領域53、54が形成された金属板を加工して端子40を形成する。具体的には、所定の形状に打ち抜き加工された金属板を筒状に折り曲げ、ファイバレーザ等を用いて端部同士を溶接し、突き合わせ部50を形成する。その後、突き合わせ部50の裾野部分を潰して底部44を形成し、当該箇所を塞ぐように溶接して封止する。これにより、有底筒状の圧着部41を備える端子40を成形する。
図7のステップS3である「塗布工程」において、シリコングリース等の潤滑剤29を被覆材22の外周面30上に塗布することで、2つの低摩擦領域26、27を形成する。塗布に先立ち、被覆材22の先端側を所定の長さだけ剥離することで、露出部23aが形成された電線20を作製する。また、被覆材22に対して印刷加工、熱処理加工、レーザ加工を含む公知のマーキング処理を施すことで、外周面30上の所定位置に調整用マーク28を形成する。
なお、低摩擦領域26、27は、好ましくは、図6(a)の範囲R1内に収まる位置に形成される。これにより、端子40の圧着接続(ステップS5)の際に、巻き込み現象によって被覆材22が矢印X2側に延伸するのを効果的に抑制できる。
例えば、低摩擦領域26、27におけるX方向に沿った幅(Wa1、Wa2)は、電線20の外径に応じて異ならせてもよい。低摩擦領域26、27の幅を適切に設定することで、電線20の外径に適した延伸抑制効果が得られる。
これと併せて又はこれとは別に、剥離端24の位置から電線20の外径の1/3を超えないX方向の範囲にて低摩擦領域26、27を設けてもよい。低摩擦領域26、27の範囲を適切に設定することで、電線20の外径に適した延伸抑制効果が得られる。
図7のステップS4である「挿入工程」において、ステップS3にて低摩擦領域26、27が形成された電線20を、所定の向きに、所定の長さだけ端子40に挿入する。具体的には、電線20の露出部23aを端子40の開口部47に近づけた上で、被覆材22に形成された調整用マーク28が正しい位置にあるか否かを確認する。ここでは、電線20の調整用マーク28と、端子40の突き合わせ部50との周方向の位置(角度θ)が一致するか否かを確認する。
両者の位置が一致しない場合、両者の差異を小さくする方向に電線20を回動させた後に、両者の位置が一致するか否かを再確認する。一方、両者の位置が一致した場合、その位置関係を保ったまま、電線20の露出部23aを端子40の開口部47から挿入する。
電線20を挿入する際に、圧着部41の外側から低摩擦領域26、27の位置が視認できない場合であっても、調整用マーク28の位置を手掛かりにして、電線20を正しい向きに案内できる。
なお、調整用マーク28は、電線20の挿入量を調整するための位置決め用マークとしても機能する。具体的には、調整用マーク28と、開口端49との軸心方向の位置(相対位置X)に応じて挿入量を決定してもよい。
図7のステップS5である「圧着工程」において、ステップS4にて挿入した電線20を圧着する。以下、図8を参照しながら詳細に説明する。
図8に示すように、圧着接続前の電線20及び端子40を圧着型70にセットし、圧着型70の上方にある圧着型71を下降させる。その後、端子40の圧着部41を圧着方向P1からかしめることで、電線20及び端子40を圧着接続する。ここで、圧着方向P1は、2本の仮想線56、57を包摂する仮想平面72にほぼ平行するとともに、2本の仮想線58、59を包摂する別の仮想平面73にほぼ直交する。この場合、圧着方向P1に対応する周方向の位置(θ=0度、180度)にて圧着力が最大となるとともに、側方向P2に対応する周方向の位置(θ=90度、270度)にて圧着力が最小となる。
このようにして、端子付き電線10の製造は、ステップS1〜S5をもって終了する。この製造方法によれば、圧着部41を有底筒状に成形する前に、圧着部41の内壁面48の一部に他の領域と比べて表面粗さが大きい粗化領域53、54を1つ又は複数形成する粗化工程(ステップS1)と、端子40を圧着接続する前に、被覆材22の外周面30の一部に他の領域と比べて摩擦係数が小さい低摩擦領域26、27を1つ又は複数形成する低摩擦化工程(ステップS4)を備える。
そして、粗化工程(S1)では、端子40を圧着接続する際における、被覆材22の剥離端24又はその周辺の位置に対応する部位に粗化領域53、54を形成する。また、低摩擦化工程(S4)では、端子40を圧着接続する際における、圧着部41の開口端49又はその周辺の位置に対応する部位に低摩擦領域26、27を形成する。これにより、上記した作用効果を奏する端子付き電線10を製造できる。
<端子40の圧着方向P1>
ところで、端子40の圧着方向P1(図8参照)を把握する方法について説明する。
[1]圧着工程(図7のステップS5)に立ち会うことが最も確実な手段である。これに代わって、以下に示すように、製造後の端子付き電線10を分析することで圧着方向P1を推定してもよい。
[2]圧着部41の形状によって圧着方向P1を推定できる場合がある。例えば、金属板を筒状に折り曲げて端部同士を溶接する場合、突き合わせ部50の位置から圧着方向P1を推定できる。
[3]電線20の断面形状によって圧着方向P1を推定できる。なぜならば、電線20及び端子40の圧着工程を経て、電線20の断面形状が異方的に変形するためである。具体的には、圧着方向P1は、軸心25を通る角度方向のうち、電線20の厚さが最小値となる方向に相当する。例えば、電線20の断面形状が楕円である場合、圧着方向P1は短軸方向であると推定できる。
[4]圧着部41におけるバリの発生箇所によって圧着方向P1を推定できる。なぜならば、電線20及び端子40の圧着工程を経て、一対の圧着型70、71(図8)の境界面に沿って圧着部41が塑性変形するためである。具体的には、圧着方向P1は、2本のバリを包摂する別の仮想平面73の法線方向に相当する。なお、バリの発生箇所に代わって、バリを研磨した箇所を用いてもよい。
<応用例>
続いて、この端子付き電線10の応用例について説明する。図9は、図1に示す端子付き電線10を組み込んだワイヤハーネス100の斜視図である。
ワイヤハーネス100は、端子付き電線10、10、10、‥‥と、それらの端部にそれぞれ取り付けられたコネクタ102、102、102、‥‥とで構成される接続構造体104A、104B、104C、‥‥を有している。そして、ワイヤハーネス100は、各接続構造体104A(B、C、‥‥)を図示しない部材と組み合わせ、巻テープ106で束ねた後に、その端部に集合コネクタ108を配置してなる組み電線である。
以上のように、端子付き電線10を複数束ねることで、軽量化及び高い止水性を両立可能なワイヤハーネス100が得られる。例えば、このワイヤハーネス100を車両に搭載すれば、車両の大幅な軽量化を図れるとともに、燃費効率の向上に繋がる。
[備考]
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
この実施形態では、低摩擦領域26、27の個数は2つであるが、これに限られず、1つ或いは3つ以上であってもよい。また、低摩擦領域26、27の形状、位置又はサイズに関しても、上記した延伸抑制機能を発揮可能な範囲にて自由に変更してもよい。
この実施形態では、粗化領域53、54の個数は2つであるが、これに限られず、1つ或いは3つ以上であってもよい。また、粗化領域53、54の形状、位置又はサイズに関しても、上記した延伸抑制機能を発揮可能な範囲にて自由に変更してもよい。
10‥端子付き電線 20‥電線
21‥線材 22‥被覆材
23a‥露出部 23b‥被覆部
24‥剥離端 25‥軸心
26、27‥低摩擦領域 28‥調整用マーク
29‥潤滑剤 30‥外周面
40‥端子 41‥圧着部
44‥底部 45‥第1筒状部
46‥第2筒状部 47‥開口部
48‥内壁面 49‥開口端
50‥突き合わせ部 52‥傾斜領域
53、54‥粗化領域 56‥仮想線(第1仮想線)
57‥仮想線(第2仮想線) 58、59‥別の仮想線
72‥仮想平面 73‥別の仮想平面
100‥ワイヤハーネス

Claims (14)

  1. 導電性の線材と、該線材を被覆する絶縁性の被覆材とを有し、前記被覆材の剥離により前記線材の先端側が露出する露出部が形成された電線と、
    有底筒状の圧着部を有し、少なくとも前記露出部を前記圧着部に挿入させて前記電線と圧着接続した端子と
    を備える端子付き電線であって、
    前記被覆材の外周面の一部には、前記被覆材の剥離端又は該剥離端の周辺の位置に、他の領域と比べて摩擦係数が小さい低摩擦領域が1つ又は複数形成され、
    前記圧着部の内壁面の一部には、前記低摩擦領域に対して前記圧着部の開口端側の位置に、他の領域と比べて表面粗さが大きい粗化領域が1つ又は複数形成される
    ことを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記粗化領域は、前記低摩擦領域と離間した位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 前記粗化領域は、前記開口端の周辺の位置に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子付き電線。
  4. 1つの前記粗化領域及び1つの前記低摩擦領域は、前記電線の軸心に沿って延びる、前記外周面にある同一の仮想線の上に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子付き電線。
  5. 前記粗化領域及び前記低摩擦領域はそれぞれ2つであり、
    第1粗化領域及び第1低摩擦領域は、第1仮想線の上に形成され、
    第2粗化領域及び第2低摩擦領域は、前記第1仮想線とは異なる第2仮想線の上に形成され、
    前記第1仮想線及び前記第2仮想線は、前記電線の軸心を挟んで互いに対向する
    ことを特徴とする請求項4に記載の端子付き電線。
  6. 前記端子の圧着方向は、前記第1仮想線及び前記第2仮想線を包摂する仮想平面に平行することを特徴とする請求項5に記載の端子付き電線。
  7. 前記内壁面には、前記電線の軸心に対して傾斜する傾斜領域が、前記剥離端の周辺の位置に設けられることを特徴とする請求項5又は6に記載の端子付き電線。
  8. 前記第1仮想線は、前記傾斜領域がなす面の傾斜角が相対的に大きい位置にあり、
    前記第2仮想線は、前記傾斜領域がなす面の傾斜角が相対的に小さい位置にあり、
    前記第1低摩擦領域における前記電線の軸心方向に沿った幅は、前記第2低摩擦領域の幅よりも大きい
    ことを特徴とする請求項7に記載の端子付き電線。
  9. 前記第1仮想線は、前記傾斜領域がなす面の傾斜角が最大となる位置にあることを特徴とする請求項7又は8に記載の端子付き電線。
  10. 前記低摩擦領域における前記電線の軸心方向に沿った幅は、前記電線の外径に応じて異なることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の端子付き電線。
  11. 前記低摩擦領域は、前記電線の軸心方向に関して、前記剥離端の位置から前記電線の外径の1/3を超えない範囲にて形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の端子付き電線。
  12. 前記低摩擦領域は、前記剥離端を含む範囲にて形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の端子付き電線。
  13. 導電性の線材と、該線材を被覆する絶縁性の被覆材とを有し、前記被覆材の剥離により前記線材の先端側が露出する露出部が形成された電線と、
    有底筒状の圧着部を有し、少なくとも前記露出部を前記圧着部に挿入させて前記電線と圧着接続した端子と
    を備える端子付き電線を製造する方法であって、
    前記圧着部を有底筒状に成形する前に、前記圧着部の内壁面の一部に他の領域と比べて表面粗さが大きい粗化領域を1つ又は複数形成する粗化工程と、
    前記電線を圧着接続する前に、前記被覆材の外周面の一部に他の領域と比べて摩擦係数が小さい低摩擦領域を1つ又は複数形成する低摩擦化工程と
    を備え、
    前記低摩擦化工程では、前記端子を圧着接続する際における、前記被覆材の剥離端又は該剥離端の周辺の位置に対応する部位に前記低摩擦領域を形成し、
    前記粗化工程では、前記端子を圧着接続する際における、前記圧着部の開口端側の位置に対応する部位に前記粗化領域を形成する
    ことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の端子付き電線を複数束ねてなることを特徴とするワイヤハーネス。
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