JP6418608B2 - 情動の計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体サンプルに含まれるマーカーの量を測定することにより、恐怖や嫌悪を含む各種の情動を計測する方法に関する。
情動とは食欲、母性、性、恐怖、嫌悪などのヒトや動物が生存する上で欠かすことのできない本能を呼び起こす脳や心の機能である。ヒトや動物の情動を測定する技術は医薬品、製品、サービスの開発や性能計測の目的に有用である。しかし、情動を客観的に測定する技術は確立されていない。
ヒトや動物のストレスレベルを計測する方法として、血液や尿のACTH(副腎皮質刺激ホルモン)や糖質コルチコイド等のストレスホルモンを計測する方法(非特許文献1)や、唾液のアミラーゼを計測する方法(非特許文献2)などが知られている。ヒトや動物は視覚、聴覚、嗅覚などの様々な種類の感覚刺激に対してストレスを感じる。本発明者らはマウスにおいて悪臭や天敵臭に対する忌避行動が背側嗅覚神経回路によって先天的に制御されることを初めて解明した(非特許文献3)。本発明者らは、マウスなどのげっ歯類動物やその他の哺乳類動物に対して、これまでに知られていた天然物由来の匂い分子に比較して、極めて強力に先天的な恐怖情動に伴う行動や情動を誘発する人工物由来の匂い分子群を発見した。ここで発見した匂い分子群を恐怖臭と呼ぶ。
恐怖臭は、有害野生動物の農地や住居などへの侵入を防ぐことを目的とした、忌避剤の原料として活用できる。これまでにも匂いを用いた忌避剤は製品化されていたが、動物が容易に馴化してしまい効果が持続しないという欠点を克服することが困難であった。これに対して、恐怖臭はマウスにおいて脳の恐怖中枢である扁桃体中心核を強力に活性化し、繰り返し嗅がせても馴化しないという性質があることが判明している。恐怖臭は馴化の問題を克服した強力な忌避剤として利用できる(特許文献1)。
WO2011/096575
ギャノング生理学 23版、p.413 (2011)、丸善株式会社 Psychoneuroendocrinology 34, p.486-496 (2009) Nature 450, p.503-508 (2007)
本発明の目的は、情動を客観的に測定する方法を提供することにある。
マウスにおいて恐怖情動はフリージングと呼ばれるすくみ行動や血液中のコルチゾールやコルチコステロンなどのストレスホルモンの量などを指標にして計測される。本発明者らは、恐怖臭を用いて先天的に誘発した恐怖情動と、匂い分子と電気ショックとの関連学習によって後天的に誘発した恐怖情動とを比較解析した。恐怖臭によって誘発される恐怖情動は、体表面温度と体深部温度の3℃以上の低下や、数分以内の心拍数の半減というこれまでに知られていなかった強力な生理応答を伴うことが明らかになった。これらの生理応答は後天的な恐怖においては認められなかった。先天的と後天的な恐怖情動では共にフリージング行動やストレスホルモンの分泌が誘導される。従って、これまでに知られていた、フリージング行動やストレスホルモンの濃度を指標にした方法では、先天的と後天的に誘発した恐怖情動を区別することはできない。先天的な恐怖においてのみ誘発される生理指標の変化を指標にすることで先天的と後天的な恐怖とを分離して計測することが初めて可能になった。
恐怖臭によって誘発される先天的な恐怖情動はこれまでに知られていない生理応答を伴う新たな種類の情動である。先天的な恐怖情動を向精神薬のスクリーニングに活用できる可能性を検証した。恐怖臭によって誘発した先天的な恐怖に伴う、1.フリージング行動、2.体深部温度の低下、3.心拍数の低下の各指標の向精神薬に対する応答性を解析した。その結果、先天的な恐怖に伴うフリージング行動と体温の低下、心拍数の低下は、それぞれが異なる特異性で向精神薬に対して明確な応答を示した。この結果は、恐怖臭によって誘発される先天的恐怖に伴う行動や生理応答を制御する分子ターゲットは、精神病患者や健常者の精神状態に影響を与える向精神薬の分子ターゲットと共通することを示唆している。従って、恐怖臭を用いて先天的な恐怖情動を誘発する技術は、向精神薬の新たなスクリーニング技術としても利用できる。この技術は、これまでの後天的な恐怖に伴うフリージング行動などを指標にした方法や、複数の行動実験を行う行動バッテリーを用いた方法に比較して、簡便性、高再現性、特異性において優れる。
本発明者らは、恐怖臭によって誘発される恐怖情動は後天的な恐怖情動とは異なるメカニズムで処理されていることを明らかにした。ストレスホルモンであるコルチコステロンやコルチゾールの血中濃度は、先天的と後天的な恐怖情動の両者で共に上昇する。従って、先天的と後天的な恐怖とをストレスホルモンの計測技術では分離することができない。両者の恐怖情動を区別する新たな技術である「分解恐怖マーカー」を開発することで、恐怖情動を複数の種類に分解して計測することが初めて可能になる。本発明者らは、先天的と後天的な恐怖情動を区別する血液や唾液の成分を探索した。その結果、血液や唾液中の無機リン酸又は無機リンは先天的な恐怖においては有意に上昇するのに対して、後天的な恐怖では有意に低下することが明らかになった。血液や唾液中の無機リンの濃度は既存の方法で簡単に計測することができる。本発明者らは、血液や唾液などの生体サンプル中の無機リン酸又は無機リンの濃度を分析することで、先天的と後天的な恐怖情動を区別して計測する技術を開発した。無機リン酸又は無機リンを分解恐怖マーカーとして用いることで、ヒトや動物の情動をこれまでにない精度で計測することが初めて可能になった。
血液メタボローム解析からは、リン酸又は無機リン以外にも先天的と後天的な恐怖情動の双方で、あるいは片方で血液中の濃度が変動する情動マーカーが検出された。これらの情動マーカーも恐怖情動などの情動計測に有益である。
本発明は、血液、唾液、尿などの非侵襲的に採取できる生体サンプルや、組織片などの侵襲的に採取できる生体サンプルに含まれるリン酸やリン酸類又は無機リンの濃度を計測することにより、恐怖や嫌悪を含む各種の情動を計測する新たな方法を提供する。
また、本発明は、生体サンプル中のγ−アミノ酪酸(GABA)、5−オキソプロリン(5-Oxoproline)、アセチルコリン(Acetylcholine)、カルバコール(Carbachol)、α−リポアミド若しくは5−メトキシインドール酢酸又はα−リポアミドと5−メトキシインドール酢酸の混合物(α-lipoamide 5-Methoxyindoleacetate)、3−ウレイドプロピオン酸(3-Ureidopropionate)及びtrans−アコニット酸(trans-Aconitate)から選択されるマーカーの濃度を計測することにより、恐怖や嫌悪を含む各種の情動を計測する新たな方法を提供する。
本発明は、
[1]被験対象から得た生体サンプル中の(1)無機リン酸又は無機リン、(2)γ−アミノ酪酸、(3)5−オキソプロリン、(4)アセチルコリン、(5)カルバコール、(6)α−リポアミド若しくは5−メトキシインドール酢酸又はα−リポアミドと5−メトキシインドール酢酸の混合物、(7)3−ウレイドプロピオン酸及び(8)trans−アコニット酸から選択される少なくとも1つのマーカーの量を測定することを特徴とする、被験対象の情動を計測する方法;
[2]マーカーが無機リン酸又は無機リンである、[1]記載の方法;
[3]無機リン酸が二リン酸及び三リン酸から選択される少なくとも1つである、[2]記載の方法;
[4]マーカーが(1)γ−アミノ酪酸、(2)5−オキソプロリン、(3)アセチルコリン、(4)カルバコール、(5)α−リポアミド若しくは5−メトキシインドール酢酸又はα−リポアミドと5−メトキシインドール酢酸の混合物、(6)3−ウレイドプロピオン酸及び(7)trans−アコニット酸から選択される少なくとも1つのマーカーである、[1]記載の方法;
[5]生体サンプルが血液、唾液、尿又は組織である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の方法;
[6]情動が恐怖情動である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の方法;
[7]被験対象から得た血液又は唾液サンプル中の無機リン酸又は無機リンの量を測定し、
測定値が正常値と比較して有意に高い場合、測定値と正常値の差を先天的恐怖情動の指標とすることを特徴とする、
被験対象の先天的恐怖情動を測定する方法;
[8]被験対象から得た血液又は唾液サンプル中の無機リン酸又は無機リンの量を測定し、
測定値が正常値と比較して有意に高い場合、先天的恐怖情動と判定し、測定値が正常値と比較して有意に低い場合、後天的恐怖情動と判定することを特徴とする、
被験対象の先天的恐怖情動と後天的恐怖情動を区別する方法を提供するものである。
本発明によれば、無機リン酸又は無機リンを分解恐怖マーカーとして用いることで、ヒトや動物の情動をこれまでにない精度で計測することが初めて可能になった。また、血液メタボローム解析からは、リン酸又は無機リン以外にも先天的と後天的な恐怖情動の双方で、あるいは片方で血液中の濃度が変動する情動マーカーが検出された。これらの情動マーカーも恐怖情動などの情動計測に有益である。
図1は、リン酸(2量体)、リン酸(3量体)のそれぞれに関して、オイゲノールの匂いを提示したマウスの血漿中に含まれるリン酸量の平均を100%としたときのリン酸量の平均±標準誤差を棒グラフで示す(実施例1)。 図2は、マウスの唾液中に含まれる無機リンの量の平均±標準誤差を棒グラフで示す(実施例2)。 図3は、マウスの脳、肝臓、褐色脂肪細胞、白色脂肪細胞、心臓、筋肉、小腸、腎臓の各臓器に含まれるリン酸(2量体)の量の平均±標準誤差を棒グラフで示す(実施例3)。 図4は、マウスの血漿サンプル中のメタボローム量の平均±標準誤差を棒グラフで示す(実施例4)。 図5は、匂い呈示前からの血中コルチゾールと血中無機リンの変動量の平均±標準誤差を折れ線グラフで示す(実施例5)。 図6は、匂い呈示前からの血漿無機リンの変動量の平均±標準誤差を棒グラフで示す(実施例6)。
本発明の計測方法について、以下、詳細に説明する。
被験対象としては、ヒトの他に、マウス、ラット、モルモット、ハムスターなどのげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、サル、ブタ、ウシ、ウマ、その他のほ乳類が挙げられる。被験対象の雌雄、年齢、体重については、特に制限はない。
本発明において使用される生体サンプルとしては、血液、唾液、尿、組織などが挙げられる。組織としては、脳、肝臓、褐色脂肪細胞、白色脂肪細胞、心臓、筋肉、小腸、腎臓などの組織が挙げられる。非侵襲的に採取できる血液、唾液、尿などの生体サンプルを使用することが好ましい。
無機リン酸としては、二リン酸、三リン酸が挙げられる。二リン酸とは、リン酸の2量体であり、ピロリン酸とも呼ばれる。三リン酸とは、リン酸の3量体であり、トリポリリン酸とも呼ばれる。
α−リポアミド(α-lipoamide)と5−メトキシインドール酢酸(5-Methoxyindoleacetate)は分子量が同じで検出時間も同じであるため、α−リポアミドと5−メトキシインドール酢酸の総量として検出される。本明細書において、α−リポアミド若しくは5−メトキシインドール酢酸又はα−リポアミドと5−メトキシインドール酢酸の混合物を、「α−リポアミド 5−メトキシインドール酢酸」(“α-lipoamide 5-Methoxyindoleacetate”)という。
先天的な恐怖情動と後天的な恐怖情動を区別して計測する場合、無機リン酸(二リン酸、三リン酸)、無機リン、5−オキソプロリン、3−ウレイドプロピオン酸及びtrans−アコニット酸から選択される少なくとも1つのマーカーを測定することが好ましい。特に、血液又は唾液中の無機リン酸(二リン酸、三リン酸)、無機リン、小腸中の無機リン酸(二リン酸、三リン酸)、無機リン、血液中の5−オキソプロリン、3−ウレイドプロピオン酸、trans−アコニット酸を測定することが好ましい。
生体サンプル中のマーカーの量(濃度)を測定する方法は、特に限定されず、酵素的測定法、CE−MS(キャピラリー電気泳動−質量分析法)、LC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析法)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析法)、CE(キャピラリー電気泳動)、LC(液体クロマトグラフィー)、GC(ガスクロマトグラフィー)、MS(質量分析)、NMR(核磁気共鳴)、イオンクロマトグラフィーなどの各種分析方法を使用することができる。CE−MS(キャピラリー電気泳動−質量分析法)としては、CE−TOFMS(キャピラリー電気泳動−飛行時間型質量分析法)が挙げられる。CE−MS又はCE−TOFMSによれば、複数のマーカーを一度に測定することが可能である。CE−TOFMSによる測定は、後述する実施例に記載の方法により、又はSoga, T. et al. Anal. Chem. 81, 6165-6174, 2009に記載の方法に準じて行うことができる。
本発明の方法の計測対象である情動には、恐怖、嫌悪、不安などの情動が含まれる。本発明の方法は、特に、恐怖情動を計測するのに好適である。
本発明の方法においては、被験対象から得た生体サンプル中のマーカーの量(濃度)を測定する。マーカーの測定値と正常値との差を、情動変動の値として計測することができる。マーカーの測定値が、正常値と比較して、有意な差があるとき、情動変動があると判定される。
正常値は、例えば、コントロールの匂い分子であるオイゲノールに曝露した個体から得た生体サンプル中のマーカーの値、あるいは匂い分子に曝露していない個体から得た生体サンプル中のマーカーの値として設定することができる。
マーカーとして血液又は唾液中の無機リン酸(二リン酸、三リン酸)又は無機リンを使用する場合、マーカーの測定値が正常値と比較して、有意に高いとき、先天的に誘発された恐怖情動と判定され、マーカーの測定値が正常値と比較して、有意に低いとき、後天的に誘発された恐怖情動と判定される。
マーカーとして小腸組織中の無機リン酸(二リン酸、三リン酸)又は無機リンを使用する場合、マーカーの測定値が正常値と比較して、有意に低いとき、先天的に誘発された恐怖情動と判定され、マーカーの測定値が正常値と比較して、有意に高いとき、後天的に誘発された恐怖情動と判定される。
マーカーとして血液中の5−オキソプロリン、3−ウレイドプロピオン酸及びtrans−アコニット酸から選択される少なくとも1つを使用する場合、マーカーの測定値が正常値と比較して、有意に低いとき、先天的に誘発された恐怖情動と判定される。
マーカーとして血液中のγ−アミノ酪酸、アセチルコリン、カルバコール及びα−リポアミド 5−メトキシインドール酢酸から選択される少なくとも1つを使用する場合、マーカーの測定値が正常値と比較して、有意に低いとき、先天的又は後天的に誘発された恐怖情動と判定される。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1
マウスを一晩テストケージ内で、個飼いで馴らし飼育を行った後に、オイゲノール(Eugenol)、2−メチル−2−チアゾリン(2MT)、アニソール(Anis)のいずれかの匂い分子を270.6 μmolしみこませた濾紙を提示し、20分間それぞれの匂いを嗅がせた。アニソールの匂いを嗅がせた群に関しては、事前にオイゲノールを提示した際には何も刺激を与えず、アニソールを提示した際にのみ電気ショックを与えるという学習を行った。この条件では、マウスは本来怖くないアニソールの匂いに対してすくみ行動を示すことが確認されている。匂い提示20分後に眼窩採血を行い、EDTA血漿を調製後、CE-TOFMS法により、リン酸(2量体及び3量体)の量を検出した。リン酸(2量体)、リン酸(3量体)のそれぞれに関して、オイゲノールの匂いを提示したマウスの血漿中に含まれるリン酸量の平均を100%としたときのリン酸量の平均±標準誤差を棒グラフで示した(図1)。また、リン酸(2量体)、リン酸(3量体)のそれぞれに関して、オイゲノールを提示した際のリン酸量と2MT、アニソールを提示した際のリン酸量に関してStudent-t検定を行った。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001で、それぞれ有意差があることを表す。リン酸(2量体)、リン酸(3量体)ともに先天的な恐怖情動を誘発する2-メチル-2-チアゾリンを嗅がせた個体ではコントロール(オイゲノールを嗅がせた群)に比較してリン酸量が有意に増加し、逆に後天的な恐怖情動を誘発するアニソールを嗅がせた個体ではリン酸量が有意に減少することが明らかになった。
実施例2
マウスをテストケージに1ケージあたり1匹となるように移した。テストケージは空気のみ(control)又は2−メチル−2−チアゾリンを含んだ空気(2MT)を送り込んだ。2MTのケージはテストケージ内の2MTの濃度が約20 ppmとなるように吸気と排気を調節した。一晩テストケージで飼育後、マウスを、ペントバルビタールナトリウムを用いて麻酔をかけ、その後、ピロカルピン溶液を腹腔内に注射することで、唾液の分泌を促した。分泌された唾液を採取し、唾液中に含まれる無機リンの量を、酵素的測定法を用いて測定した。測定された無機リン量の平均±標準誤差を棒グラフで示した(図2)。Controlと2MTを嗅がせた際の唾液中のリン量に関してStudent-t検定を行った。*はp<0.05で、有意差があることを示す。2MTを嗅がせた個体ではcontrolと比較して唾液中においてもリン量が有意に増加することが明らかになった。
実施例3
マウスを一晩テストケージ内で、個飼いで馴らし飼育を行った後に、オイゲノール(EG)、2−メチル−2−チアゾリン(2MT)、アニソール(Anis)のいずれかの匂い分子を270.6 μmolしみこませた濾紙を提示し、20分間それぞれの匂いを嗅がせた。アニソールの匂いを嗅がせた群に関しては、事前にオイゲノールを提示した際には何も刺激を与えず、アニソールを提示した際にのみ電気ショックを与えるという学習を行った。この条件では、マウスは本来怖くないアニソールの匂いに対してすくみ行動を示すことが確認されている。匂い提示20分後に脳(Brain)、肝臓(Liver)、褐色脂肪細胞(BAT)、白色脂肪細胞(WAT)、心臓(Heart)、筋肉(Muscle)、小腸(Intestine)、腎臓(Kidney)を採取し、CE-TOFMS法により、各臓器に含まれるリン酸(2量体)の量を検出し、それぞれの平均±標準誤差を棒グラフで示した(図3)。臓器ごとにオイゲノールを嗅がせた際のリン酸量と2−メチル−2−チアゾリン、アニソールを嗅がせた際のリン酸量とに関してStudent-t検定を行った。*はp<0.05で有意差が存在することを示す。解析を行った臓器のうち、小腸のみが、先天的な恐怖を誘発する2-メチル-2-チアゾリンを嗅がせた際にリン酸量が有意に減少し、後天的な恐怖を誘発するアニソールを嗅がせた際にリン酸量が増加しており、血漿中のリン酸量とは逆の挙動を示すことが明らかになった。
実施例4
マウスを一晩テストケージ内で、個飼いで馴らし飼育を行った後に、オイゲノール(EG)、2-メチル-2-チアゾリン(2MT)、アニソール(Anis)のいずれかの匂い分子を270.6 μmolしみこませた濾紙を提示し、20分間それぞれの匂いを嗅がせた。アニソールの匂いを嗅がせた群に関しては、事前にオイゲノールを提示した際には何も刺激を与えず、アニソールを提示した際にのみ電気ショックを与えるという学習を行った。この条件では、マウスは本来怖くないアニソールの匂いに対してすくみ行動を示すことが確認されている。匂い提示20分後に眼窩採血を行い、EDTA血漿を調製後、CE-TOFMS法により、各サンプルに含まれるメタボローム量を網羅的に解析した。メタボロームごとにコントロールであるオイゲノールの匂いを嗅がせたマウスの血漿サンプルと先天的な恐怖情動を誘発する2-メチル-2-チアゾリンの匂いを嗅がせたマウスの血漿サンプル中のメタボローム量に関してStudent-t検定を行い、量が有意に変化していたメタボロームに関して、各サンプル中のメタボローム量の平均±標準誤差を棒グラフで示した(図4)。オイゲノールを嗅がせたマウスの血漿サンプルと2−メチル−2−チアゾリンあるいはアニソールを嗅がせたマウスの血漿サンプルに関してStudent-t検定を行った結果を併せて図中に示した。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001で、それぞれ有意差があることを表す。
γ−アミノ酪酸(GABA)、アセチルコリン(Acetylcholine)、カルバコール(Carbachol)及びα−リポアミド 5−メトキシインドール酢酸(α-lipoamide 5-Methoxyindoleacetate)は、先天的な恐怖を誘発する2−メチル−2−チアゾリンを嗅がせた群と、後天的な恐怖を誘発するアニソールを嗅がせた群の双方で、血中濃度が有意に減少した。一方、5−オキソプロリン(5-Oxoproline)、3−ウレイドプロピオン酸(3-Ureidopropionate)及びtrans−アコニット酸(trans-Aconitate)は、先天的な恐怖を誘発する2−メチル−2−チアゾリンを嗅がせた群で、血中濃度が有意に減少したが、後天的な恐怖を誘発するアニソールを嗅がせた群では、有意な差は認められなかった。
実施例における測定試料の処理方法、分析条件を以下に示す。
1. 測定試料の処理方法
(1) 血清から代謝物質の抽出
血清(40 μl)を標準物質入りのメタノール400 μlに入れ、酵素を失活させ、代謝の亢進を止めた。120 μlの超純水、400 μlのクロロホルムを加えた後、4℃で5分間、4,600 gで遠心した。静置後、分離した水-メタノール相300 μlを分画分子量5 kDaの遠心限外ろ過フィルターを通過させ、除タンパクした。ろ液を凍結乾燥後、Milli-Q水20 μlを加え、それをCE-TOFMS測定に供した。
(2) 組織からの代謝物質の抽出
組織(30-60 mg)は直ちに内部標準物質入りのメタノール500 μlに入れ、多検体破砕機でホモジナイズし、酵素を失活させ、代謝の亢進を止めた。200 μlのMilli-Q水、500 μlのクロロホルムを加え良く攪拌後、さらに4℃で15分間、4,600 gで遠心した。静置後、分離した水-メタノール相300 μlを分画分子量5 kDaの遠心限外ろ過フィルターを通過させ、除タンパクした。ろ液を凍結乾燥後、Milli-Q水50 μlを加え、それをCE-TOFMS測定に供した。
2. キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析装置(CE-TOFMS)による血清中の代謝物測定
CE-TOFMS分析条件
(1)測定装置
Agilent社製HP1600 CE(キャピラリー電気泳動)にAgilent G3250AA LC/MSD TOF飛行時間型質量分析計を接続した。
(2)キャピラリー電気泳動(CE)の分析条件
代謝物分離用キャピラリーには、ナカライテスク社のCOSMO(+)キャピラリー(内径50 μm、外径350 μm、全長100 cm)を用いた。泳動緩衝液には、50 mM酢酸アンモニウム水溶液(pH 8.5)を用いた。印加電圧は、-30 kV、キャピラリー温度は20℃で測定した。試料は、加圧法を用いて50 mbarで30秒間(約30 nl)注入した。
(3)飛行時間型質量分析計(TOFMS)の分析条件
負イオンモードを用い、イオン化電圧は3.5 kV、フラグメンター電圧は100 V、スキマー電圧は50 V、OctRFV電圧は200 Vに設定した。乾燥ガスには窒素を使用し、温度300℃、流速7 L/minに設定した。シース液は質量較正用に0.1 μM Hexakis(2,2-difluoroethoxy)phosphazene(Hexakis)を含んだ5 mM酢酸アンモニウム-50%メタノール溶液を用い、10 μl/minで送液した。酢酸二量体の脱水素イオン(m/z 120.03841)、Hexakisの酢酸イオン(m/z 680.03554)の質量数を用いて得られた全てのデータを自動較正した。詳細な装置の構成、分析条件はSoga, T. et al. Anal. Chem. 81, 6165-6174, 2009を参照。
実施例5
ストレスに対する応答は血中コルチゾール量によって評価できることが知られている。しかしながら、血中コルチゾール量は、日周変動を示すこと、また、個体間のばらつきが多いという問題がある。これに対して、無機リンは、先天的な恐怖と後天的な恐怖のように、ストレスの種類を分類できること、また個体間のばらつきが少ないことから、特異性と定量性に優れた計測指標であることが明らかになった。本実施例では、ヤギに対して2−メチル−2−チアゾリン(2MT)又はコントロールの匂いを嗅がせ、体内温度・心拍数・血漿中のコルチゾールと無機リンの計測を行った。6匹のヤギを2群に分け、1番目の群は1日目にコントロールの匂い、2日目に2MTの匂いを提示した。2番目の群は1日目に2MTの匂い、2日目にコントロールの匂いを呈示した。匂いの呈示方法としては、紙コップの中に2MTをしみこませた脱脂綿を入れ、紙コップをヤギの鼻先に呈示した。コントロールでは、匂いをしみこませていない脱脂綿の入った紙コップを提示した。血液サンプルを採取し、血中無機リン濃度を、酵素的測定法を用いて測定した。匂い呈示前からの血中コルチゾールと血中無機リンの変動量の平均±標準誤差を折れ線グラフで示した(図5)。黒丸が、匂いストレス(2MT)を提示した群の結果を示す。それぞれの時間における計測値に関して、Student-t検定を行った。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001で、それぞれ有意差があることを表す。実験を行った結果、2MTを嗅がせた個体では匂いの呈示中に心拍数の上昇が見られ、体温の変化は見られなかった。また、2MTを嗅がせた群では、匂いを嗅がせていないコントロールの群と異なり、血漿中のコルチゾールの上昇と無機リンの低下が見られた。心拍数および体温の変化から、2MTはヤギに対しては先天的な恐怖は与えず、嫌な匂いとして後天的恐怖と同様のストレスを与えていると考えられる。コルチゾールの上昇からは2MTが先天的な恐怖を与えているのか、単なる嫌な匂いとして認識されているのかは区別がつかないが、無機リンの低下は2MTが先天的な恐怖ではなく、嫌な匂いとして後天的恐怖と同様のストレスを与えていることを示しており、無機リンの変動によりヤギにおいても両者の情動が区別できることが明らかになった。また、コルチゾールに比較して個体間のばらつきが少ないことも明らかになった。
実施例6
ブタ(n=3)を移動用ケージに入れて馴化後、匂い刺激をしない条件と2−メチル−2−チアゾリン(2MT)を嗅がせた条件の前後で血液サンプルを採取し、血漿無機リン濃度を、酵素的測定法を用いて測定した。匂い呈示前からの血中無機リンの変動量の平均±標準誤差を棒グラフで示した(図6)。匂いなしと2MTを嗅がせた際の血中無機リン変動量に関してStudent-t検定を行った。**はp<0.005で、有意差があることを示す。2MTはブタに対してFreezing様行動やストレス行動である犬座をとらせ、また体深部温度の低下を誘発することから、2MTはブタに対して先天的恐怖を与えると考えられる。2MTを嗅がせた際にはブタの血漿無機リンの濃度が有意に上昇することから、先天的恐怖による血中無機リン濃度の上昇はブタにおいても観察されることが明らかになった。マウスやヤギに加えてブタでも匂いストレスによる無機リン濃度の変動が確認された。
情動を計測する技術の産業上の利用可能性
情動とは嫌悪、恐怖、食欲、性、母性などの人や動物が生存する上で欠かすことのできない本能を呼び起こす脳の機能であると定義できる。正常な情動は人や動物の行動を生存に適した方向へと動機付ける役割がある。例えば、空腹時には食欲情動が適切な食べ物の摂食を促したり、母性情動は子供が生存できるように授乳行動や養育行動を促したりする。情動に異常が生じると、行動が生存に適さない方向へと向けられることにもなりかねず、様々なレベルの精神病の原因となる可能性が生じる。情動とは人や動物の心理的な状態を規定する根源的な要素であり、正常な行動と異常な行動に影響を与える。情動を計測する技術は、容易には窺い知ることのできない人や動物の内面や心理を客観的に測定する方法として、医薬品の開発及び効果計測、商品及びサービスの開発などの分野での産業上の有用性がある。
医薬品の開発及び効果測定
情動の異常は様々な疾患を誘発する可能性がある。例えば、食欲情動の異常は摂食障害、肥満などの原因となる。恐怖情動の異常は強迫性障害やPTSDなどの様々な種類の精神疾患の原因となる。情動状態を計測する技術が開発できれば様々な種類の疾患の有無や疾患の程度などを、客観的指標をもとに正確に判断することが可能になる。また、情動測定技術は精神疾患治療薬の投与効果を検証するためにも利用できる。治療薬の投与前後において情動指標の変動を計測すれば、どの種類の治療薬がどの程度効果を与えたのかを客観的に判断することが可能になる。
医薬品の開発の過程で候補物質の効果を検証する必要性がある。効果の検証は試験管内、細胞、組織、モデル動物、ヒトの被験者などの様々な段階で実施される。情動の計測技術はモデル動物やヒトを対象とした試験のレベルにおいて医薬品の効果の測定方法として用いることができる。
向精神薬の開発などの過程でモデル動物に対して実験的なストレスを与え、そのストレス応答に対する薬剤の効果を検証する方法が用いられる。再現性の高い実験を行うためには、動物に与えるストレスのレベルを一定に保つ必要がある。同じ操作で動物にストレスを与えたとしても、動物の内面の状態や記憶などの影響によって心理的なストレスレベルは個体毎や実験操作毎に異なる可能性がある。個体毎にどの程度のストレスを感じているのかを測定するために情動測定技術が利用できる。
商品及びサービスの開発
商品を効率的に販売するためには消費者が望む商品を開発・製造することが有効である。生活必需品や誰もが明らかに購入したがる商品が市場で望まれているのであれば、製造者や販売者は購入者の望む商品を容易に予測して販売することができる。先進各国では消費者の購入心理が成熟し収入の増加に応じて購買し続けるという意欲が低下した。このような成熟市場では購入者を望む商品やサービスを創造することが重要である。しかし、消費者の心の内面を予測することは一般に困難である。情動マーカーを用いて情動を計測することで人や動物の内面を客観的に知ることができる。特定の物質、建築物、サービス、環境などの商品一般が人や動物に対して与える影響を、情動マーカーを用いて計測することで、商品の開発者や販売者は購入者が商品に対してどのような印象を持っているのかを計測することができる。
恐怖情動の計測
恐怖情動計測技術を用いることで、ヒトや動物がある対象に対してどの程度の恐怖を抱いているのかを計測することができる。恐怖感を誘発すること自体を目的としたサービスには遊園地などのスリルのある遊具やお化け屋敷など、テレビや映画などのホラー作品などが挙げられる。これらのサービスによって得られる恐怖感を、情動計測技術を用いて計測することで、サービスの開発や宣伝などの段階で定量データを活用することが可能になる。
恐怖情動を低下や緩和させることを目的としたサービスや商品には様々な種類がある。家畜のストレスや恐怖感を低く保つことは動物福祉の観点からも、家畜の健康や品質を保持するためにも価値がある。どのような飼育環境や方法がよりストレスや恐怖感を低く保つのかを計測する方法として情動計測技術が活用できる。愛玩動物に対して安心感を与えるサービスや商品を開発するために情動計測技術が活用できる。
動物とは異なり人は、どのようなストレスや恐怖感を感じているのかを言葉で表現できる。しかし、自分自身のことであってもどの程度のストレスや恐怖を感じているのかを正確に感じることは容易ではないし、言葉で表現することも難しい。従って、人を対象にした場合でも情動の定量測定技術は有益である。
通常、ストレスや恐怖刺激は先天的又は後天的に誘発されるが、両者は異なるメカニズムで制御される。このうち、先天的なストレスや恐怖は鬱、双極性障害、PTSDなどの精神疾患を引き起こすが、後天的な恐怖は精神疾患の誘発には関与しない。従って、先天的な恐怖と後天的な恐怖を区別しない既存のストレスマーカー(ストレスホルモン、アミラーゼなど)では精神疾患を診断することができない。従って、先天的恐怖を計測することで、人の精神疾患の症状の計測や、精神疾患治療薬の効果の計測が可能になる。
正常な人では、精神疾患の原因となる先天的なストレスと容易に回復できる後天的なストレスにさらされている。このうちの先天的なストレスを計測することが、病気発症以前の精神疾患の診断マーカーとなる。
本発明の方法によれば、先天的恐怖情動と後天的恐怖情動を区別して測定することが可能である。また本発明の方法は、既存のストレスマーカーを使用する方法に比べ、個体差が少なく、コストが安いという利点を有する。
本出願は、日本で出願された特願2013−94653を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。

Claims (6)

  1. 被験対象から得た生体サンプル中の無機リン酸又は無機リンの量を測定することを特徴とする、被験対象の情動を計測する方法。
  2. 無機リン酸が二リン酸及び三リン酸から選択される少なくとも1つである、請求項記載の方法。
  3. 生体サンプルが血液、唾液、尿又は組織である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 情動が恐怖情動である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 被験対象から得た血液又は唾液サンプル中の無機リン酸又は無機リンの量を測定し、
    測定値が正常値と比較して有意に高い場合、測定値と正常値の差を先天的恐怖情動の指標とすることを特徴とする、
    被験対象の先天的恐怖情動を測定する方法。
  6. 被験対象から得た血液又は唾液サンプル中の無機リン酸又は無機リンの量を測定し、
    測定値が正常値より有意に高い場合、先天的恐怖情動であり、測定値が正常値より有意に低い場合、後天的恐怖情動であるという基準と比較することにより、被験対象の恐怖情動を分析する方法。
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