JP6417477B2 - Ala−pdt又はala−pddにおける光線力学的効果の増強剤 - Google Patents

Ala−pdt又はala−pddにおける光線力学的効果の増強剤 Download PDF

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Description

本発明は、ALA−PDT又はALA−PDDにおける光線力学的効果の増強剤に関する。
抗がん剤治療や放射線療法とは異なるがん治療の選択肢の1つとして、光線力学的治療(Photodynamic therapy;PDT)が挙げられる。PDTによるがん治療は、がん細胞に集積する性質を有する光感受性物質(光増感剤)を対象に投与し、がん組織に特定の波長の光を照射することによりがんの治療を行う治療方法であり、低侵襲かつ治療跡が残りにくい治療法であるため、近年注目を集めている。
また、近年、がん、イボ、ニキビのような疾患組織の診断方法として、光線力学的診断(Photodynamic diagnosis、以下、PDDと略す)が注目されている。PDDは、標的組織に集積する性質を有する光感受性物質(光増感剤)を対象に投与し、特定の波長の光を照射することにより標的箇所の特定を行う診断方法であり、これまでの診断法と比較して、低侵襲で副作用が少ないため、患者に対する負担が少ないという利点がある。
上述のとおり、PDTやPDDにおいては、治療または検出の対象となる組織に集積する性質をもつ、光に反応する化合物(光増感剤)を利用する。PDTやPDDにおいて好適に用いられる光増感剤については、様々なものが検討されているが、近年、ポルフィリンの前駆物質であり、生体物質である5−アミノレブリン酸類(本明細書において、「ALA類」ともいう)を対象に投与し、PDTまたはPDDと組み合わせる、「ALA−PDT」または「ALA−PDD」が注目されている(例えば、特許文献1)。
ALA類それ自体には光感受性はないものの、ALA類は、細胞内で、ヘム生合成経路の一連の酵素群により代謝活性化されてポルフィリン(主としてプロトポルフィリンIX(PpIX))となる。ポルフィリン類は腫瘍細胞に取り込まれて蓄積される性質を有し、また、PpIXは、410nm、510nm、545nm、580nm、630nm等にピークを有する光増感剤であるため、PDTまたはPDDに利用することができる。ALAは生体内で代謝され、48時間以内に排泄されるため、全身の光感受性にはほとんど影響しないという特徴がある。
特開平11−12197号公報
ALA−PDT又はALA−PDDにおいては、対象にALA類を投与し、治療又は検出の対象となる組織にPpIXが蓄積することにより、光線力学的反応を用いた治療又は検出が可能となる。しかし、本発明者らは、臨床現場においてALA−PDT又はALA−PDDを実施する際に、対象の体質や体調等によっては、対象となる組織にPpIXが十分蓄積せず、光線力学的反応の効果が満足に得られない場合があるという課題の存在に気付いた。
また、これまでの方法では、ALA類を生理食塩水等に溶解させて対象へ経口投与していたが、ALA類には苦みがあり、投与後に対象が嘔吐してしまうなど、対象への負担が大きかった。そこで、本発明者らは、ALA類と併用することでALA類の苦みを軽減することができ、さらに、ALA−PDT又はALA−PDDの効果を増強させる(すなわち、上記の2つの課題を同時に解決し得る)効果を有する食品や飲料を鋭意検討した。
本発明者らは、驚くべきことに、ALA類と柑橘類エキスとを併用することにより、ALA類を単独で用いる場合と比較して、PDT又はPDDにおける、光線力学的反応が増強されることを見出した。さらに、本発明者らは、前述の効果を引き起こす因子を探るため、柑橘類エキスに含まれる成分をスクリーニングしたところ、柑橘類エキスに含まれるノビレチンが、組織におけるPpIXの蓄積を増強させ、それによりPDT又はPDDにおける、光線力学的反応が増強されることを見出した。
すなわち本発明は、一実施形態において、光線力学的治療又は光線力学的診断における、光線力学的反応を増強させるための医薬であって、前記医薬は、下記式(I)で示される化合物:
(式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)又はその塩、を含み、前記医薬は、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物と併用されることを特徴とする。
また、本発明の他の実施形態は、光線力学的治療又は光線力学的診断における、光線力学的反応を増強させるための医薬であって、(A)下記式(I)で示される化合物:
(式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)又はその塩と、(B)ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを含むことを特徴とする、医薬に関する。
また、本発明の他の実施形態は、光線力学的治療又は光線力学的診断における、光線力学的反応を増強させるための、同時又は異時に投与される、組み合わせ医薬であって、(A)下記式(I)で示される化合物:
(式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)又はその塩と、(B)ノビレチン又はノビレチンを含む組成物、との組み合わせ医薬に関する。
また、本発明の一実施形態においては、上記の医薬において、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルカノイル基、及び、炭素数7〜14のアロイル基からなる群から選択され、Rが、水素原子、直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、及び、炭素数7〜15のアラルキル基からなる群から選択されることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態においては、上記の医薬において、R及びRが、水素原子であることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態においては、上記の医薬において、前記ノビレチンを含む組成物が、柑橘類抽出物を含む組成物であることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態においては、上記の医薬において、前記柑橘類抽出物が、ミカン属、キンカン属、カラタチ属、クリメニア属、エレモシトラス属及びミクロシトラス属からなる群から選択される柑橘類の抽出物であることを特徴とする。
また、本発明の一実施形態においては、上記の組み合わせ医薬において、前記(A)と前記(B)とが、キットとして準備されることを特徴とする。
なお、上記に述べた本発明の一又は複数の特徴を任意に組み合わせた発明も、本発明の範囲に含まれる。
図1は、1mg/mL柑橘エキス溶液のクロマトグラムを示す。 図2は、癌細胞へ柑橘類エキスとALAを投与した場合の、PpIXの蓄積を測定したグラフを示す(n=3)。 図3は、癌細胞へノビレチンとALAを投与した場合の、PpIXの蓄積を測定したグラフを示す(n=3)。 図4は、癌細胞へノビレチンとALAを投与した場合の、PDTの効果(細胞生存率)を測定したグラフを示す(n=3)。 図5は、腫瘍移植鶏卵におけるノビレチンのALA−PDT増強効果を評価する実験の方法を示す。 図6は、腫瘍移植鶏卵におけるノビレチンのALA−PDT増強効果を評価する実験の結果を示す。
本明細書において、ALA類とは、ALA若しくはその誘導体又はそれらの塩をいう。
本明細書において、ALAは、5−アミノレブリン酸を意味する。ALAは、δ−アミノレブリン酸ともいい、アミノ酸の1種である。
ALAの誘導体としては、下記式(I)で表される化合物を例示することができる。式(I)において、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。なお、式(I)において、ALAは、R及びRが水素原子の場合に相当する。
ALA類は、生体内で式(I)のALA又はその誘導体の状態で有効成分として作用すればよく、生体内の酵素で分解されるプロドラッグ(前駆体)として投与することもできる。
式(I)のRにおけるアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ベンジルカルボニル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルカノイル基や、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル基等の炭素数7〜14のアロイル基を挙げることができる。
式(I)のRにおけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。
式(I)のRにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、1−シクロヘキセニル基等の飽和、又は一部不飽和結合が存在してもよい、炭素数3〜8のシクロアルキル基を挙げることができる。
式(I)のRにおけるアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル基等の炭素数6〜14のアリール基を挙げることができる。
式(I)のRにおけるアラルキル基としては、アリール部分は上記アリール基と同じ例示ができ、アルキル部分は上記アルキル基と同じ例示ができ、具体的には、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル基等の炭素数7〜15のアラルキル基を挙げることができる。
好ましいALA誘導体としては、Rが、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル基等である化合物が挙げられる。また、好ましいALA誘導体としては、上記Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基等である化合物が挙げられる。また、好ましいALA誘導体としては、上記RとRの組合せが、(ホルミルとメチル)、(アセチルとメチル)、(プロピオニルとメチル)、(ブチリルとメチル)、(ホルミルとエチル)、(アセチルとエチル)、(プロピオニルとエチル)、(ブチリルとエチル)の各組合せである化合物が挙げられる。
ALA類のうち、ALA又はその誘導体の塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等を挙げることができる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の各無機酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩等の各有機酸付加塩を例示することができる。金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム塩等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩を例示することができる。アンモニウム塩としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩等を例示することができる。有機アミン塩としては、トリエチルアミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩、トルイジン塩等の各塩を例示することができる。なお、これらの塩は使用時において溶液としても用いることができる。
以上のALA類のうち、もっとも望ましいものは、ALA、及び、ALAメチルエステル、ALAエチルエステル、ALAプロピルエステル、ALAブチルエステル、ALAペンチルエステル等の各種エステル類、並びに、これらの塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩である。とりわけ、ALA塩酸塩、ALAリン酸塩を特に好適なものとして例示することができる。
上記ALA類は、例えば、化学合成、微生物による生産、酵素による生産など公知の方法によって製造することができる。また、上記ALA類は、水和物又は溶媒和物を形成していてもよく、またALA類を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
上記ALA類を水溶液として調製する場合には、ALA類の分解を防ぐため、水溶液がアルカリ性とならないように留意する必要がある。アルカリ性となってしまう場合は、酸素を除去することによって分解を防ぐことができる。
本明細書において、ALA−PDTとはALA類を用いる光線力学的治療(PDT)を意味し、最も典型的には、ALAを用いるPDTを意味する。また、ALA−PDDとはALA類を用いる光線力学的診断(PDD)を意味し、最も典型的には、ALAを用いるPDDを意味する。
上記ALA−PDTは、標的組織に集積する性質を有する光感受性物質(光増感剤)を対象に投与し、特定の波長の光線を照射することにより標的箇所を治療するPDTを行う際に、それ自身は光増感作用を有さないALA類を対象へ投与する。対象の体内において、色素生合成経路を経てALA類から誘導されたポルフィリン(主にPpIX)を標的箇所に集積させ、集積したPpIXを励起させることで、周囲の酸素分子を光励起させる。その結果生成する一重項酸素が、その強い酸化力による殺細胞効果を有する。ALA−PDTには、例えば、400nm〜420nmにピークを持つ光線、又は、600nm〜650nmにピークを持つ光線を用いるのが好ましい。
一方、上記ALA−PDDは、標的組織に集積する性質を有する光感受性物質(光増感剤)を対象に投与し、光線を照射することにより標的箇所を治療するPDDを行う際に、それ自身は光増感作用を有さないALA類を対象へ投与する。対象の体内において、色素生合成経路を経てALA類から誘導されたポルフィリン(主にPpIX)を標的箇所に集積させ、集積したPpIXを励起させて蛍光を検出することで、標的組織の存在の有無を検出もしくは診断する。ALA−PDDには、例えば、400nm〜420nmにピークを持つ光線を用いるのが好ましい。
ノビレチンは、柑橘類の果皮等に多く含まれるフラボノイドであり、下記式(II)によって示される化合物である。
本発明において用いられるノビレチンを含む組成物は、液体(例えば、飲料として調製されたもの)であってもよく、固体(例えば、粉末状)であってもよい。
本発明において用いられる柑橘類抽出物は、ノビレチンを含むものであれば、どのような柑橘類のエキスであってもよいが、例えば、ミカン属、キンカン属、カラタチ属、クリメニア属、エレモシトラス属及びミクロシトラス属からなる群から選択される柑橘類の抽出物であることが好ましい。
本発明において用いられる最も好ましい柑橘類はミカン属の柑橘類であり、ミカン属の柑橘類の例としては、メキシカンライム(Mexican lime)、タヒチライム(Tahiti lime)、ベルガモット(Bergamot)、ビロロ(Biroro)、シトロン(Citron)、ユーレカレモン(Eureka lemon)、スイートレモン(Sweet lemon)、ルミー(Lumie)、ヒラドブンタン(Hirado buntan)、シャテンユ(Shaten yu)、マーシュグレープフルーツ(Marsh grapefruit)、キヌカワ(Kinukawa)、ハッサク(Hassaku)、ナツダイダイ(Natsudaidai)、サンボウカン(Sanbokan)、サワーオレンジ(Sour orange)、バレンジアオレンジ(Valencia)、モリタネーブル(Morita navel)、イヨカン(Iyo)、ヒュウガナツ(Hyuganatsu)、シュンコウカン(shunkokan)、ユズ(Yuzu)、スダチ(Sudachi)、カボス(Kabosu)、キング(King)、サツマ(ウンシュウ)(Satsuma)、ヤツシロ(Yatsushiro)、ケラジ(Keraji)、オートー(Oto)、ポンカン(Ponkan)、ダンシータンゼジェリン(Dancy tangerine)、クレメンティン(Clementine)、ジミカン(Jimikan)、シカイカン(Shikaikan)、タチバナ(Tachibana)、コベニミカン(Kobenimikan)、キシュウ(Kishu)、サンキツ(Sunki)、シークワーサー(Shiikuwasha)、コウジ(Koji)、シキキツ(Shikikitsu)、等が挙げられる。
本発明はALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物との組み合わせに関するが、その組み合わせの態様は特に限定されず、PDTまたはPDDの実施態様に応じて、当業者が様々な方法でALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを組み合わせることができる。
本発明において、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とは、同時又は異時に対象に投与してもよい。また、本発明において、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とは、それぞれを含む配合剤として準備し、対象へ投与してもよい。また、本発明において、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを、それぞれを別々に備えるキットとして準備し、使用時にそれぞれを同時に又は異時に対象に投与してもよい。
本発明において、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物を同時に投与する態様としては、例えば、ノビレチンを含む液体(例えば、柑橘類の果汁、または、精製されたノビレチンを溶解させた液体)にALA類を溶解させて対象へ投与する態様であってよく、ALA類を含む液体にノビレチンを含む組成物(例えば、柑橘類エキス粉末、精製されたノビレチン)を溶解させて対象へ投与する態様であってよく、ノビレチンを含む液体とALA類を含む液体とを混合させて対象へ投与する態様であってよく、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを含む配合剤を対象へ投与する態様であってもよい。
本発明において、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物を異時に投与する態様としては、例えば、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを、時間をずらしてそれぞれ投与する態様であってよく、また、例えば、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを異なる投与経路から投与する態様であってよい。
本発明におけるALA類の投与経路、及び、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物の投与経路は、いずれも限定されず、全身投与であっても、局所投与であってもよい。投与経路としては、例えば、舌下投与も含む経口投与、あるいは吸入投与、カテーテルによる、標的組織又は臓器に対する直接投与、点滴を含む静脈内投与、貼付剤等による経皮投与、座薬、又は、経鼻胃管、経鼻腸管、胃ろうチューブ若しくは腸ろうチューブを用いる強制的経腸栄養法による投与等の非経口投与などを挙げることができる。また、上述のとおり、ALA類と、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物とを、別々の経路から投与してもよい。
本発明において用いられる、ALA類、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物、または、これらを組み合わせた配合剤、の剤型は、前記投与経路に応じて適宜決定してよく、限定はされないが、注射剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ等に溶解した水剤、貼付剤、座薬剤等を挙げることができる。
本発明に係る医薬は、必要に応じて他の薬効成分、栄養剤、担体等の他の任意成分を加えることができるのは言うまでもない。任意成分として、例えば結晶性セルロース、ゼラチン、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物性及び動物性脂肪、油脂、ガム、ポリアルキレングリコール等の、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、溶剤、分散媒、増量剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。
本発明における、ALA類の対象への投与量は、PDTまたはPDDの実施態様に応じて、当業者が適宜決定することができる。限定はされないが、ALA換算で対象の体重1kgあたり、1mg〜1,000mg、好ましくは5mg〜100mg、より好ましくは10mg〜30mg、さらに好ましくは15mg〜25mg投与することができる。
ALA類の投与頻度としては、一日一回〜複数回の投与又は点滴等による連続的投与を例示することができる。
ALA類の投与期間は、例えば、対象の、予防又は治療しようとする症状又は状態等に鑑みて、種々の臨床学的指標等に基づいて、当該技術分野の薬理学者や臨床医が既知の方法により決定することができる。
本発明において、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物は、ALA類が代謝されて精製されるPpIXの対象組織への蓄積を増強させる目的で投与されることから、ALA類を投与する際にあわせて投与することが好ましいが、必ずしも完全に同時に投与する必要はない。
本発明における、ノビレチン又はノビレチンを含む組成物の投与量は、PDTまたはPDDの実施態様に応じて、当業者が適宜決定することができる。限定はされないが、ノビレチン換算で対象の体重1kgあたり、0.01mg〜100mg、好ましくは0.05mg〜20mg、より好ましくは0.1mg〜10mg投与することができる。
本発明を用いたALA−PDTまたはALA−PDDは、例えば、腫瘍の治療又は診断、感染症の治療又は診断に好適に用いることができる。本発明を腫瘍の治療又は診断に用いる場合、腫瘍の種類は特に限定されないが、例えば、PDTの対象としては、疣、子宮頸部がん、皮膚がん、甲状腺がん、悪性脳腫瘍などの表在性のがんや皮下性のがん、中でも皮下数mmのがんを好適に例示することができ、PDDの対象としては、センチネルリンパ節を好適に例示することができる。また、PDDにより摘出前リンパ節転移診断を行うことが可能になる。本発明を感染症の治療または診断に用いる場合、例えば、感染症は、細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症または寄生虫感染症であってよく、好ましくは、細菌感染症に対して用いることができ、さらに好ましくは、黄色ブドウ球菌感染症または緑膿菌感染症に用いることができる。
本明細書において用いられる用語は、特に定義されたものを除き、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
実施例1:柑橘類(柑橘エキス粉末)中のノビレチン含量の定量
本発明者らは、ALA類と併用することでALA類の苦みを軽減することができ、さらに、ALA−PDT又はALA−PDDの効果を増強させる効果を有する食品や飲料を鋭意検討した。
上記検討過程において、本発明者らは、ALAを溶解させる溶媒を生理食塩水から柑橘類エキス(オレンジジュース)に代えて患者に投与したところ、飲みやすくなり、患者の負担が減少しただけでなく、驚くべきことに、ALAを単独で投与する場合よりも、ALA−PDDおよびALA−PDTの感度が向上することを見出した(データ図示せず)。
本発明者らは、上記の知見を基に、ALAとの併用によりALA−PDDおよびALA−PDTの感度を向上させる因子を探索するため、まずは、柑橘類エキスに含まれる物質をスクリーニングした。
本実施例においては、柑橘類成分として、柑橘エキス粉末(「温州ミカンエキス−P」、オリザ油化株式会社製)を用いた。柑橘エキス粉末を1g秤量し、ジメチルスルフォキシド(DMSO、和光純薬社製)5mLを加え、撹拌、超音波処理により完全に溶解させた。その後、DMSOで10mLにメスアップしたものを100mg/mL柑橘エキス溶液、さらにメタノール(和光純薬社製、HPLCグレード)で100倍に希釈したものを本実施例において用いる1mg/mL柑橘エキス溶液とし、これをHPLCに5μL注入した。
HPLCは、Agilent社製のAgilent1290シリーズ、検出器は同社の1290DADを用い、波長280nmでの吸収を測定した。移動相はA液をアセトニトリル、B液をmilliQ水、流速は1mL/minとし、0〜10分はA液22%で保持、10〜35分はリニアグラジエントでA液61%、35〜40分はリニアグラジエントでA液100%、40〜40.1分はリニアグラジエントでA液22%、40.1〜55分はA液22%で保持した。カラムはSymmetry C18(3.9mm×150mm、5μm、wates社製)を用い、カラム温度は25℃とした。
1mg/mL柑橘エキス溶液のクロマトグラムを図1に示した。図1に示すとおり、1mg/mL柑橘エキス溶液からは6つのピークが得られた。6つのピークのうち、保持時間24.1分である「ピーク4」はノビレチンであることが判明した。また、1mg/mL柑橘エキス溶液中のノビレチン含量は3.8μM(1.52μg/mL)であり、柑橘エキス粉末1gあたり1.52mgのノビレチンを含有することがわかった。なお、定量のためのノビレチン標準品は、和光純薬社製の生化学用試薬を用いた。溶媒はメタノールとし、2mM−ノビレチン標準液を作成し、標準添加法により1mg/mL柑橘エキス溶液中のノビレチン含量を求めた。
これらの結果から、柑橘類エキスに含まれるノビレチンが、ALAとの併用によりALA−PDDにおける癌診断の感度を向上させた要因であった可能性が示唆された。
実施例2:柑橘類成分の癌細胞内PpIX蓄積に対する増強効果
実験方法
癌細胞として、ヒト胃がん細胞株であるTMK−1を用いた。培地は、RPMI−1640(Wako社製)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%添加したものを用いた(以下RPMI培地と表記する)。柑橘類成分として、柑橘エキス粉末(温州ミカンエキス、オリザ油化株式会社製)を用いた。
柑橘エキス粉末1gに対してジメチルスルフォキシド(DMSO、Wako社製)5mLを加え、混合後、超音波処理で溶解し、200mg/mL柑橘エキス溶液とした。200mg/mL柑橘エキス溶液を等量のDMSOで段階希釈し希釈系列を7点作製した。これらの柑橘エキス溶液をRPMI培地、または、1mMアミノレブリン酸(ALA)塩酸塩を含むRPMI培地1mlに対して10μl添加し、柑橘エキス含有培地(柑橘エキス最終濃度0−1mg/mL)を作成した。Fumitremorgin C(FTC、フナコシ社製、商品コード BVT−0189−C250)をDMSOに溶解し1mM FTC溶液を作成後、1mM ALA塩酸塩を含むRPMI培地で希釈、1mM ALA塩酸塩+10μM FTC培地を作製し、これをポジティブコントロール(PC)とした。なお、FTCはABCG2(PpIXを細胞外に排出する際のトランスポーター)の阻害剤であり、PpIXの細胞外排出阻害効果(PpIX蓄積増強効果)を検討する際のポジティブコントロールとして用いることができる。
癌細胞を96well plateに2×10cells/wellの密度で播種し、37℃で一晩培養した。一晩培養した癌細胞の96well plateから培養上清を除去後、各wellに上記の柑橘エキス含有培地を100μL添加し、37℃で4.5時間培養した。続いて培養上清を除去し、細胞をりん酸緩衝生理食塩水(PBS、Wako社製)で洗浄後、wellあたり100μLの1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、Wako社製)水溶液を加えて可溶化、細胞内分画とした。プロトポルフィリンIX標品(PpIX、商品コードP562−9、フナコシ社製)をDMSOに溶解し1mM PpIXストック溶液とした。1mM PpIXストック溶液を1%SDS溶液で最終濃度0−500nMに希釈し、細胞内PpIX標準液とした。これらのPpIX標準液をそれぞれ、細胞内分画のプレートの未使用wellに100μLずつ添加した。マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて、これらのプレートの各Wellの蛍光強度を、励起波長405nm、測定波長635nmの条件で測定した。測定後、PpIX標準液の蛍光強度から検量線を作成、各wellのPpIX量を検量線から算出した。結果を図2に示す。
結果
図2に示すように、ALA塩酸塩単独処理と比べて、柑橘エキスを併用すると、添加量依存的に細胞内PpIXが増加し、ALA塩酸塩+1mg/mL柑橘エキス(ノビレチン3.8μM相当量)の添加により、最大で2倍増加した。この結果から、ALAと柑橘類成分の併用により、ALA単独使用の場合と比較して、細胞内PpIXの蓄積が増強されることが示された。また柑橘エキスはノビレチンを含んでいることから、柑橘エキス中のノビレチンがPpIX蓄積増強効果に関与している可能性が示唆された。
実施例3:ノビレチンの癌細胞内PpIX蓄積に対する増強効果
方法
癌細胞としてヒト胃がん細胞株であるTMK−1を用いた。ノビレチン(Wako社製)はDMSOに溶解し、1mMノビレチン溶液とした。1mMノビレチン溶液を等量のDMSOで希釈、2倍希釈系列を作成し、ノビレチン溶液とした。これらのノビレチン溶液をRPMI培地、または、2.3 mM ALA塩酸塩を含むRPMI培地で100倍希釈し、0−10μMノビレチン含有培地を作成した。FTCをDMSOに溶解し1mM FTC溶液を作成後、2.3 mM ALA塩酸塩を含むRPMI培地で希釈し、2.3 mM ALA塩酸塩+10μM FTC培地を作製しこれをポジティブコントロール(PC)とした。
癌細胞を96well plateに2×10cells/wellの密度で播種し、37℃で一晩培養した。一晩培養した癌細胞の96well plateから培養上清を除去後、各wellに上記の0−10μMノビレチン含有培地、10μM FTC含有培地を100μL添加し、37℃で4時間培養した。続いて培養上清を除去した後、細胞を、PBSで洗浄、wellあたり100μLの1%SDS水溶液を加えて可溶化し細胞内分画とした。PpIX標準品を、DMSOに溶解し1mM PpIXストック溶液とした。1mM PpIXストック溶液を1%SDSで最終濃度0−500nMに希釈し、細胞内PpIX標準液とした。これらのPpIX標準液をそれぞれ、細胞内分画のプレートの未使用wellに100μLずつ添加した。マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて、これらのプレートの各Wellの蛍光強度を、励起波長405nm、測定波長635nmの条件で測定した。測定後、PpIX標準液の蛍光強度から検量線を作成、各wellのPpIX量を検量線から算出した。結果を図3に示す。
結果
図3から明らかなように、ALA塩酸塩単独添加と比べて、ノビレチンを併用すると細胞内PpIXが濃度依存的に増加し、10μMノビレチンの添加により最大で2倍増加した。この結果から、ALAとノビレチンとの併用により、ALA単独使用の場合と比較して、細胞内PpIXの蓄積が増強されることが示された。
実施例4:ノビレチンの癌細胞の光線力学治療(PDT)に対する増強効果
方法
癌細胞としてヒト胃がん細胞株であるTMK−1を用いた。癌細胞は5×10cells/wellを96well plateに播種後、37℃で一晩培養した。培養後、13.8mM ALA塩酸塩を含むRPMI培地と、60μMノビレチンを含むRPMI培地とを1/6量ずつ添加し、2.3mM ALA塩酸塩と10μMノビレチン共存下で4時間培養した。4時間培養後、培養上清を除去、細胞をPBSで洗浄し、100μLのRPMI培地を各ウェルに添加、PDT照射装置を用いて波長631nmにて5分間照射し、PDTを行った。
殺細胞効果の測定は、Cell−Counting Kit−8(同仁化学研究所社製)を用い下記のように行った。RPMI培地とCell counting kit−8溶液を10:1の割合で混合しWST−8反応液を作成した。ALA−PDT処理24時間培養後のプレートから、培地を除去、100μLのPBSで洗浄後、WST−8反応液を各wellに110μL分注し、さらにCO2インキュベーター内で37℃にて培養した。マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて、WST−8ホルマザン色素の450nmの吸光度を、吸光度が1付近になるまで経時的に測定した。各処理区の細胞生存率は、薬剤未処理サンプルの吸光度に対する相対値から算出した。結果を図4に示す。
結果
図4から明らかなように、PDT処理群の細胞生存率は、2.3mM ALA塩酸塩単独処理区が63%であったのに対し、2.3mM ALA塩酸塩+10μMノビレチン併用処理区は18%と顕著に低下していた。一方、PDT未処理群は、いずれの処理区も95%以上の細胞生存率を示した。この結果から、ALAとノビレチンとの併用により、ALA単独使用の場合と比較して、ALA−PDTの殺細胞効果が増強されることが示された。
実施例5:腫瘍移植鶏卵モデルに対するノビレチンのALA―PDT増強効果
実験方法
癌細胞として、マウスの乳腺腫瘍であるEMT−6を用いた。培地は、Waymouth’s MB 752/1 Medium,Liquid(Life Technologies社製)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%添加したものを用いた(以下Waymouth’s培地と表記する)。ノビレチンは、ノビレチン粉末(フナコシ社製)を用いた。
腫瘍移植鶏卵モデルを用いた試験のスケジュール及び処理区の条件の概要を図5に示す。
白色有精卵(後藤鶏卵場)の卵殻を70%エタノール綿で消毒後、37℃のインキュベーターに卵を縦置き(気室部位を上)にしてDay 11までインキュベートした。培養中、適時転卵を行った。
Day 11の発育鶏卵の気室部からライトをあて、卵殻下の漿尿膜に存在している太い血管とその周囲の約2×2cmの枠をマークした。卵殻を70%エタノール綿で消毒後、グラインダーで枠の一か所に深い切り込みを入れた後、枠に沿って卵殻にグラインダーで浅く切り込みを入れた。深く削った部位から卵殻をピンセットで除いた後、漿尿膜と卵殻膜をピンセットで剥離し人工気室を作成した。気室部位を覆うようにオプサイト(Smith&Nephew社製)を張り付けた後、開口部のオプサイトのみをはさみで除去した。
血管の分岐部位にテフロンリングを置いた後、テフロンリング内に20μLのEMT−6の細胞懸濁液(1.25×10Cells/mL)を添加し、2.5×10Cells/eggで細胞を鶏卵に移植した。開口部をテガダーム(3M社製)で覆った後、鶏卵をインキュベーターに戻し2日間培養した。EMT−6細胞懸濁液移植2日後、テフロンリングの除去を行い、再びインキュベーターに戻した。
ノビレチン粉末81.21mgに対してジメチルスルフォキシド(DMSO、Wako社製)1mLを加え、混合後、37℃で加熱して溶解し、81mg/mLノビレチン溶液とした。ALA塩酸塩10mgに対して生理食塩水を850μL、8.4%炭酸水素ナトリウムを150μL添加し、10mg/mL ALA塩酸塩溶液とした。81mg/mLノビレチン溶液10μLと、10mg/mL ALA塩酸塩溶液1000μLとを混合し、10mg/mL ALA塩酸塩+810μg/mLノビレチン溶液とした。生理食塩水1mLにDMSO10μLを添加してControl溶液とした。Control溶液、10mg/mL ALA塩酸塩溶液、10mg/mL ALA塩酸塩+810μg/mLノビレチン溶液をシリンジで採取し、Day15の腫瘍移植鶏卵の血管に100μL/eggで静脈注射した。鶏卵をインキュベーターに戻して4時間培養後、100mW/cm、250秒、光照射し、再度培養した。光照射3日後(Day18)に腫瘍を摘出し、微量電子天秤で腫瘍重量を測定した。
結果
図6に示すように、ALA塩酸塩単独処理と比べて、ノビレチンを併用すると、腫瘍重量が減少した。この結果から、ALAとノビレチンの併用により、ALA単独使用の場合と比較して、ALA−PDTによる抗腫瘍効果が増強されることが示された。

Claims (4)

  1. 光線力学的治療又は光線力学的診断における、光線力学的反応を増強させるための医薬であって、
    前記医薬は、5−アミノレブリン酸(ALA)またはその塩、ALAメチルエステル、ALAエチルエステル、ALAプロピルエステル、ALAブチルエステル、または、ALAペンチルエステル
    を含み、
    前記医薬は、ノビレチンと併用されることを特徴とする、
    医薬。
  2. 光線力学的治療又は光線力学的診断における、光線力学的反応を増強させるための医薬であって、
    (A)5−アミノレブリン酸(ALA)またはその塩、ALAメチルエステル、ALAエチルエステル、ALAプロピルエステル、ALAブチルエステル、または、ALAペンチルエステル、と、
    (B)ノビレチンと
    を含むことを特徴とする、
    医薬。
  3. 光線力学的治療又は光線力学的診断における、光線力学的反応を増強させるための、同時又は異時に投与される、組み合わせ医薬であって、
    (A)5−アミノレブリン酸(ALA)またはその塩、ALAメチルエステル、ALAエチルエステル、ALAプロピルエステル、ALAブチルエステル、または、ALAペンチルエステル、と
    (B)ノビレチンと
    の組み合わせ医薬。
  4. 請求項3に記載の組み合わせ医薬であって、
    前記(A)と前記(B)とが、キットとして準備されることを特徴とする、
    組み合わせ医薬。
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