以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下では、アプリケーションプログラムを、略して、「アプリ」と称する。
<システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に従う通信システムの全体構成を示す図である。図1を参照して、通信システムは、たとえば、LTEに対応する通信システムである。通信システムは、通信端末装置(以下、単に「端末」と称する。)11,21〜23と、サーバ30と、無線基地局(以下、単に「基地局」と称する。)50とを含む。基地局50は、セル500を構成する。端末11,21〜23の各々は、セル500に在圏している。
端末11,21〜23の各々は、LTEなどの無線アクセス技術に従った無線通信を実行するUEである。具体的には、端末11,21〜23の各々は、基地局を介さずに、近くに存在する他の端末と、D2D通信(端末間通信)を行なうことが可能であり、D2Dディスカバリ機能を有するLTE端末(LTE規格に準拠した携帯端末装置)である。典型的には、端末11,21〜23の各々は、スマートフォンである。
端末11,21〜23の各々には、D2Dディスカバリサービスを利用するアプリケーションプログラム(以下、「D2D対応アプリ」とも称する)が予めインストールされている。なお、D2D対応アプリとは、上述したように、D2D Proximity Serviceを利用することが可能なアプリである。D2D対応アプリの例としては、たとえば、SNS、ゲーム、広告、コミュニケーションアプリなどのアプリが挙げられる。また、端末11,21〜23の各々には、たとえば、D2D Proximity Servicesを実行可能な端末の識別子として“ProSe UE ID”が割り振られている。
端末11,21〜23の各々は、基地局50からの無線リソースプールの情報に基づき、D2Dのディスカバリ信号を送信するための無線リソースを任意に選択する。また、端末11,21〜23の各々は、基地局50を介さずにディスカバリ信号の送受信を行なうことが可能である。端末11,21〜23の各々は、任意に選択したディスカバリ信号送信用の無線リソースを用いて、自端末の存在を周りの端末に通知するためのディスカバリ信号を送信する。ディスカバリ信号には、典型的には、アプリを識別するためのProSe Application ID、および端末を識別するProSe UE IDが含まれている。
<システムの動作概要>
図1〜3を参照して、システムの動作概要について説明する。具体的には、図1は、本実施の形態において、端末11を発見するための第1の局面を示す図である。図2は、図1に示した第1の局面の後の第2の局面を示す図である。図3は、通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図1〜図3における説明では、端末21〜23の各々のユーザが、遭難した端末11のユーザを捜索している場面を想定する。すなわち、端末11が発見待ち(発見される側の)端末であり、端末21〜23が捜索(発見する側の)端末である。
図1,図3を参照して、端末11,21〜23の各々は、自端末のおおよそ(精度が低い)の現在地を表す位置情報を基地局50に送信する(図3のシーケンスSQ2,SQ4,SQ6,SQ8)。端末11,21〜23の各々は、通常通信(基地局50を介した通信)およびD2D通信に必要な制御情報を基地局50から受信する(シーケンスSQ10,SQ12,SQ14,SQ16)。制御情報は、無線通信網を利用したD2D通信を許可するための許可情報、およびD2D通信に必要となる通信環境の設定情報を含む。設定情報には、通常通信およびD2D通信で許容される周波数帯などの無線リソースの他に、無線信号の電波強度、端末の発信タイミング(D2D通信の実行タイミング)、相手(着信側)端末の識別子(電話番号、端末識別子および加入者識別子など)を含んでいてもよい。
これらの処理の後に、端末11が災害により遭難し、端末21〜23が端末11を発見するための処理を実行する。
端末21〜23の各々は、緊急用のエクスプレッションを送信する(シーケンスSQ20,SQ22,SQ24)。具体的には、端末21〜23の各々は、緊急事態に関連する緊急情報(たとえば、災害の発生を通知するための情報、人の捜索を通知するための情報、人の安否を確認するための情報など)を、自端末の存在を相手端末に通知するためのディスカバリ信号に含めて送信する。すなわち、緊急用のエクスプレッションには、上述したProSe Application IDおよび端末を識別するProSe UE IDと、緊急情報とが含まれる。本実施の形態では、災害が発生して端末11が遭難している場合を想定するため、緊急情報は、災害発生の通知情報であるとする。そのため、緊急情報を含むディスカバリ信号を、「災害エクスプレッション」とも称する。
ここで、図1を参照して、端末21、端末22および端末23から送信された災害エクスプレッションの到達範囲が、それぞれ範囲210、範囲220および範囲230で示されている。たとえば、範囲210は、端末21から半径500m圏内であり、範囲220は、端末22から半径500m圏内であり、範囲230は、端末23から半径500m圏内である。図1の例では、端末11は、範囲210および範囲220内には存在しているが、範囲230内には存在していない。そのため、端末11は、端末21,22の各々から送信された災害エクスプレッションを受信し、端末23から送信された災害エクスプレッションを受信しない。
端末11は、端末21,22の各々から受信した災害エクスプレッションのコードをサーバ30に問い合わせる(シーケンスSQ26,SQ28)。具体的には、端末11は、基地局50を介して、端末21,22の各々から受信した災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。端末11は、災害エクスプレッションを受信した場合には、自動的に(強制的に)当該災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。なお、ユーザの操作により当該問い合わせ情報の送信が行われる場合であってもよい。問い合わせ情報は、自端末(ここでは、端末11)の識別情報(たとえば、ProSe UE ID)と、災害エクスプレッションのコードを要求するための情報と、災害エクスプレッションを送信した端末(ここでは、端末21〜23)の識別情報(たとえば、ProSe UE ID)とを含む。サーバ30は、災害エクスプレッションを送信した端末の識別情報に基づいて、端末21〜23のうちどの端末から送信された災害エクスプレッションに対する問い合わせなのかを判断することができる。
サーバ30は、端末21,22の各々から送信された災害エクスプレッションのコードを端末11に送信する。サーバ30は、端末11から受信した問い合わせ情報に応じたフィードバック情報を端末21〜23に送信する(シーケンスSQ30)。
具体的には、サーバ30は、端末21,22の各々が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を端末11から受信した旨を、フィードバック情報として端末21〜23に通知する。この通知により、端末21〜23は、端末11が端末21,22の各々から送信された災害エクスプレッションを受信したことを把握できる。端末21〜23は、端末11が、端末21および端末22の近傍に存在し、かつ端末23の近傍には存在しないと推定する。
そこで、図2に示すように、端末21は端末22の方へ移動し、端末22は端末21の方へ移動し、端末23は端末21および端末22の中間地点の方へ移動する。以降、端末21〜23は、再度、災害エクスプレッションを送信することによりサーバ30からのフィードバック情報を受信し、端末11の捜索エリアを絞り込んでいく。なお、端末21〜23は、互いに、現在の位置情報をやり取りしているものとする。たとえば、端末21〜23の各々は、GPS((Global Positioning System)信号に基づく現在の自端末の位置情報を他の端末に送信する。あるいは、端末21〜23の各々のユーザが、電話などでお互いの位置を知らせてもよい。また、端末21〜23の各々の端末が、D2D通信を用いてお互いの位置を知らせてもよい。
なお、上記シーケンスSQ30において、サーバ30は、フィードバック情報として、端末21,22の各々から送信された災害エクスプレッションを端末11が受信した旨を、端末21〜23に通知してもよい。すなわち、フィードバック情報は、端末21〜23側で、自端末(あるいは他の端末)が送信した災害エクスプレッションが端末11に届いているのかを判断できるような情報であればよい。
上記構成によると、発見待ち端末(端末11)は、捜索端末(端末21〜23)から送信された災害エクスプレッションを受信すると、当該受信に応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した問い合わせ情報に応じたフィードバック情報を捜索端末に送信する。
このように、捜索端末は、自端末による災害エクスプレッションの送信に対するフィードバックを確実に受けることができる。そのため、捜索端末は、発見待ち端末が自端末(あるいは他の端末)の近傍に存在するのか否かを迅速に判断できる。さらに、捜索端末は、他の端末による災害エクスプレッションの送信に対するフィードバックを取得することにより、より精度よく迅速に発見待ち端末の位置を推定することができる。
また、上記構成は、特に、災害が発生して発見待ち端末(端末11)自身がGPS等の高精度な位置情報の取得が困難な場合に、特に有用である。たとえば、災害発生時において、地下街やショッピングモール内では、崩落事故などの影響により精度の高い位置情報取得は難しい可能性が高い。また、GPSを用いた位置情報の取得は、消費電力が大きく、端末の電力がすぐになくなってしまう可能性もある。しかしながら、上記構成によると、発見待ち端末は受信した災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信するだけで、捜索端末による発見待ち端末の捜索が可能となる。そのため、発見待ち端末はGPS等の高精度な位置情報を取得する必要がなく、また当該取得による電力消費を避けることもできる。
また、発見待ち端末は、災害エクスプレッションを受信すると、当該災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報を自動的に送信する。そのため、発見待ち端末のユーザが、災害発生時の怪我などにより端末を操作できない場合であっても、問い合わせ情報がサーバ30に送信される。これにより、捜索端末はサーバ30からフィードバック情報を受信することができるため、発見待ち端末を捜索することができる。また、発見待ち端末が防水性を有する場合には、当該端末が水没している場合であっても捜索端末により捜索が可能となる。
<機能構成>
(端末)
図4は、端末11の機能構成を説明するための機能ブロック図である。図4を参照して、端末11は、アプリ実行部151と、D2D管理部152と、GUI(Graphical User Interface)部153と、記憶部154と、受信部155と、送信部156とを含む。GUI部153は、表示部1531と入力部1532とを有する。受信部155は、D2Dディスカバリ信号受信部1551を有する。送信部156は、ディスカバリ信号送信部1561を有する。
アプリ実行部151は、記憶部154に予め記憶されているD2D対応の災害情報アプリ#1,アプリ#2,アプリ#3,…を記憶部154から読出し、各々のアプリを実行する。なお、災害情報アプリ#1は、災害に関連する情報(災害関連情報)を配信したり、受信したりすることができる緊急用のアプリである。
アプリ実行部151は、ユーザ操作を受け付けてアプリを起動する。アプリ実行部151は、外部装置からの起動指示を受信した場合にアプリを自動的に起動してもよい。なお、以下では、D2D通信を行なうための設定(ユーザIDやProSe Application ID等の設定)がされている構成を例に挙げて説明する。実行中の各アプリ#1,#2,#3,…は、ディスカバリ信号の送受信が必要となった場合、ディスカバリ信号の送受信要求をD2D管理部152に送る。
D2D管理部152は、D2D通信に関する各種の処理を管理する。たとえば、D2D管理部152は、各アプリ#1,#2,#3,…から送信された、ディスカバリ信号の送受信要求を受信すると、ディスカバリ信号の送受信を管理(制御)する。また、D2D管理部152は、自端末の通信モードを、基地局50を介する通常通信のモード(以下、「通常モード」とも称する)からD2D通信のモード(以下、「D2Dモード」とも称する)に切り替える。たとえば、D2D管理部152は、他の端末または基地局50から、自端末をD2Dモードに変更するための指示を受け付けると、当該切り替えを実行する。
GUI部153の表示部1531は、各種の情報を表示する。入力部1532は、ユーザから各種の入力を受け付ける。
受信部155は、基地局(図1の場合には基地局50)から送信されるデータ、および他の端末(図1の場合には端末21〜23)から送られてくる各種のデータ(ユーザデータ等)を受信する。特に、受信部155のディスカバリ信号受信部1551は、他の端末から送信されてくるディスカバリ信号(たとえば、災害エクスプレッション)等を受信する。
送信部156は、基地局(図1の場合には基地局50)に対して、あるいはD2D通信の場合には他の端末に対して、データ(ユーザデータ等)を送信する。特に、ディスカバリ信号送信部1561は、ディスカバリ信号(たとえば、災害エクスプレッション)を送信する。たとえば、各アプリに対応するディスカバリ信号は、各アプリが起動し、実行されていることを条件に、マルチキャスト送信される。
なお、端末21〜23も、端末11と同様の機能的構成を有するため、端末21〜23の機能構成については説明を繰り返さない。
(基地局)
図5は、基地局の機能構成を説明するための図である。図5を参照して、基地局50は、主制御部251と、記憶部252と、通信制御部253と、無線通信部254と、アンテナ255とを含む。
主制御部251は、基地局50の全体の動作を制御する。主制御部251は、CPUに対応する。より詳しくは、CPUがOS(Operating System)および各種のプログラムを実行することにより、主制御部251が実現される。
記憶部252は、OS、各種のプログラム、各端末から受信(取得)した各種のデータを記憶する。記憶部252は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される。
通信制御部253は、基地局50が構成するセル500に在圏する端末との間の通信と、サーバ30との通信とを制御する。無線通信部254は、アンテナ255からデータを送信するため各種の処理、アンテナ255で受信した信号を受信するための各種の処理を行なう。無線通信部254は、典型的には、ベースバンド変換等を行なう。
<処理手順>
端末11,端末21〜23,サーバ30の各装置で行なわれる処理について具体的に説明する。
(端末21〜23)
図6は、捜索側の端末21において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、図6は、端末22,23において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートでもある。ここでは、サーバ30は、端末11から受信した問い合わせ情報に応じたフィードバック情報を端末21〜23すべてに送信するものとする。
図6を参照して、端末21は、災害エクスプレッションの到達範囲を設定する(ステップS2)。具体的には、端末21は、災害エクスプレッションの送信パワー(送信電力)を調整して当該到達範囲を設定する。たとえば、端末21は、自端末から半径500mまで災害エクスプレッションが到達可能なように送信パワーを調整する。
端末21は、災害エクスプレッションを送信する(ステップS4)。具体的には、端末21のユーザは、災害情報アプリ#1を起動する。ユーザにより、当該アプリのUIを用いた送信指示が選択されると、災害エクスプレッションが送信される。
端末21は、サーバ30からフィードバック情報を受信したか否かを判断する(ステップS6)。端末21は、フィードバック情報を受信しない場合には(ステップS6においてNO)、ステップS4からの処理を繰り返す(すなわち、端末21は、災害エクスプレッションを再送信する)。なぜなら、端末21がフィードバック情報を受信しないということは、端末11が、端末21〜23のうちのどの端末からも災害エクスプレッションを受信していないということである。すなわち、端末11は、端末21〜23のどの端末の近傍(災害エクスプレッションの到達範囲内)にも存在しない。そのため、端末21のユーザは、捜索エリアを移動して、再度、災害エクスプレッションの送信指示を端末21に与える必要がある。
端末21は、フィードバック情報を受信した場合には(ステップS6においてYES)、フィードバック情報に基づいて端末11の位置を推定する(ステップS8)。たとえば、フィードバック情報は、端末21,22の各々が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を、サーバ30が端末11から受信した旨の通知情報であるとする。この場合、端末21は、フィードバック情報に基づいて、端末11が端末21および端末22の近傍に存在し、かつ端末23の近傍には存在しないと推定する。
他の例として、フィードバック情報は、端末22が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を、サーバ30が端末11から受信した旨の通知情報であるとする。この場合、端末21は、端末11が端末22の近傍にのみ存在し、端末21および端末22の近傍には存在しないと推定する。端末21は、推定結果を自端末のディスプレイに表示したり、スピーカから出力することによりユーザに報知したりしてもよい。
端末21のユーザは、推定結果に基づいて移動する。端末21は、端末11を発見した旨の指示をユーザから受け付けたか否かを判断する(ステップS10)。端末21は、当該指示を受け付けていない場合には(ステップS10においてNO)、ステップS4からの処理を繰り返す。すなわち、端末21は、再度、災害エクスプレッションを送信する。一方、端末21は、当該指示を受け付けた場合には(ステップS10においてYES)、処理を終了する。
(サーバ30)
図7は、サーバ30において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートである。図7を参照して、サーバ30は、災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を端末11から受信したか否かを判断する(ステップS20)。サーバ30は、問い合わせ情報を受信していない場合には(ステップS20においてNO)、ステップS20の処理を繰り返す。
サーバ30は、問い合わせ情報を受信した場合には(ステップS20においてYES)、当該問い合わせ情報が、端末21〜23のうちのどの捜索端末が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報なのかを特定する(ステップS22)。具体的には、サーバ30は、問い合わせ情報に含まれる端末の識別情報に基づいて当該特定を行なう。たとえば、問い合わせ情報に端末21の識別情報が含まれている場合には、当該問い合わせ情報は、端末21が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報であると特定する。
サーバ30は、端末11の捜索を行なっている端末21〜23にフィードバック情報を送信する(ステップS24)。サーバ30は、たとえば、端末21が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報のみを受信している(すなわち、端末22,23が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を受信していない)場合を考える。この場合、サーバ30は、端末21が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を端末11から受信した旨を、フィードバック情報として端末21〜23に通知する。
そして、サーバ30は、ステップS20からの処理を繰り返す。すなわち、サーバ30は、災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を端末11から受信する度に、端末21〜23にフィードバック情報を送信する。
(端末11)
図8は、発見待ちの端末11において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートである。図8を参照して、端末11は、災害エクスプレッションを受信したか否かを判断する(ステップS32)。端末11は、災害エクスプレッションを受信していない場合には(ステップS32においてNO)、ステップS32の処理を繰り返す。
端末11は、災害エクスプレッションを受信した場合には(ステップS32においてYES)、当該受信した災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する(ステップS34)。端末11は、災害エクスプレッションの詳細内容をサーバ30から受信する(ステップS36)。具体的には、端末11は、災害エクスプレッションのコードの詳細内容(すなわち、この災害エクスプレッションのコードが、災害の発生を通知するためのコードであること)を受信する。
ただし、端末11は、災害エクスプレッションを受信した場合に、そのコードを確認することにより、災害エクスプレッションが緊急用のエクスプレッションであることは把握できるものとする。そのため、端末11は、D2Dモードに設定されていない場合であっても、緊急用のエクスプレッション(ここでは、災害エクスプレッション)を受信したときには、当該受信したエクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。
<変形例>
次に、通信システムの変形例について説明する。
(第1の変形例)
図1,図9〜図11を参照して、本実施の形態の第1の変形例に従う通信システムについて説明する。具体的には、第1の変形例における、端末11を発見するための第1の局面は、上述した図1の局面と同じである。図9は、本実施の形態の第1の変形例において、図1に示した第1の局面の後の第2の局面を示す図である。図10は、図9に示した第2の局面の後の第3の局面を示す図である。図11は、本実施の形態の第1の変形例に従う通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図1,図9〜図11における説明では、端末21〜23の各々のユーザが、遭難した端末11のユーザを捜索している場面を想定する。
図11を参照して、シーケンスSQ2〜SQ30の処理は、それぞれ図3の処理と同じであるため、ここでは説明を繰り返さない。
シーケンスSQ30において、サーバ30は、端末21,22の各々が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を端末11から受信した旨を、フィードバック情報として端末21〜23に通知している。そのため、端末21〜23は、端末11が端末21および端末22の近傍に存在し、かつ端末23の近傍には存在しないことを把握している。
そこで、自端末の近傍に端末11が存在している端末21,22の各々は、到達範囲を小さくして災害エクスプレッションを送信する(シーケンスSQ42,SQ44)。一方、自端末の近傍に端末11が存在しない端末23は、到達範囲を変更せずに災害エクスプレッションを送信する(シーケンスSQ46)。
具体的には、第2の局面における範囲210および範囲220(図9参照)は、それぞれ第1の局面における範囲210および範囲220(図1参照)よりも小さくなる。一方、図9に示す範囲230と、図1に示す範囲230とは同じ大きさである。図9を参照すると、端末11は、範囲210内にのみ存在し、範囲220および範囲230には存在していないことがわかる。そのため、端末11は、端末21から送信された災害エクスプレッションを受信するが、端末22,23の各々から送信された災害エクスプレッションを受信しない。
端末11は、端末21から受信した災害エクスプレッションのコードをサーバ30に問い合わせる(シーケンスSQ48)。サーバ30は、端末21から送信された災害エクスプレッションのコードを端末11に送信する。サーバ30は、端末21〜23にフィードバック情報を送信する(シーケンスSQ50)。具体的には、サーバ30は、端末21が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報を端末11から受信した旨を、フィードバック情報として端末21〜23に通知する。端末21〜23は、範囲210内に端末11が存在し、かつ範囲220および範囲230内には存在しないと推定する。
そこで、図10に示すように、端末21は待機し、端末22は端末21の方へ移動し、端末23は端末21の方へ移動する。以降、端末21〜23は、再度、災害エクスプレッションを送信することによりサーバ30からのフィードバック情報を受信し、端末11の捜索エリアを絞り込んでいく。特に、第1の変形例においては、端末21〜23の各々は、フィードバック情報に基づいて、自端末の近傍(災害エクスプレッションの到達範囲内)に端末11が存在すると判断した場合には、災害エクスプレッションの到達範囲を小さくする。
図12は、本実施の形態の第1の変形例において、端末21において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、図12は、端末22,23において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートでもある。ここでは、サーバ30は、端末11から受信した問い合わせ情報に応じたフィードバック情報を端末21〜23すべてに送信するものとする。
図12を参照して、ステップS2,S4の処理は、図6の処理と同じであるため、説明を繰り返さない。端末21は、フィードバック情報として、自端末が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせがあった旨をサーバ30から受信したか否かを判断する(ステップS102)。
当該フィードバック情報を受信した場合には(ステップS102においてYES)、端末21は、災害エクスプレッションの到達範囲を小さくして(ステップS104)、ステップS4からの処理を繰り返す。このように、端末21が、災害エクスプレッションの送信電力を弱めて再送信する理由は、端末11の位置をさらに絞り込むためである。
具体的には、端末21が当該フィードバック情報を受信した(ステップS102においてYES)ということは、自端末の近傍(現在の範囲210内)に端末11が存在することを意味する。そこで、端末11が自端末からどの程度の距離に存在しているのかをさらに絞り込むため、端末21は、災害エクスプレッションの到達範囲を、前回(当該フィードバック情報を受信する前に)設定した到達範囲よりも小さくして、再度、災害エクスプレッションを送信する。すなわち、端末21は、フィードバック情報(自端末が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせがあった旨)を受信した場合、ディスカバリ信号の到達範囲を、当該フィードバック情報を受信していない場合の当該到達範囲よりも小さくする。たとえば、ステップS2において、自端末から半径500mまで災害エクスプレッションが到達するように送信電力が設定されている場合には、今回の送信電力は、自端末から半径250mまで災害エクスプレッションが到達するように調整される。
一方、当該フィードバック情報を受信していない場合には(ステップS102においてNO)、端末21は、フィードバック情報として、他の端末(ここでは、端末22および端末23の少なくとも一方)が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせがあった旨をサーバ30から受信したか否かを判断する(ステップS106)。当該フィードバック情報を受信していない場合には(ステップS106においてNO)、端末21は、災害エクスプレッションの到達範囲を小さくしたか否かを判断する(ステップS108)。すなわち、端末21は、ステップS104の処理を実行したか否かを判断する。
端末21は、当該到達範囲を小さくしている場合には(ステップS108においてYES)、ステップS106からの処理を繰り返す。この場合、端末21は、端末11が前回の災害エクスプレッションの到達範囲内(端末21から半径500m圏内)には存在し、今回の当該到達範囲内(端末21から半径250m圏内)には存在しないことを推定できる。ただし、端末21は、端末11が存在する方向の推定までは難しい。そこで、端末21は、他の端末が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせがあった旨をサーバ30から受信するまで待機する。
端末21は、当該到達範囲を小さくしていない場合には(ステップS108においてNO)、ステップS4からの処理を繰り返す。なぜなら、この場合、端末11は、端末21〜23のどの端末の近傍にも存在しない。そのため、端末21のユーザは、捜索エリアを移動して、再度、災害エクスプレッションの送信指示を端末21に与える必要がある。
ステップS106において、端末21は、他の端末が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせがあった旨をサーバ30から受信した場合には(ステップS106においてYES)、端末11の位置を推定する(ステップS110)。たとえば、端末21は、端末22が送信した災害エクスプレッションに対する問い合わせがあった旨をサーバ30から受信したとする。また、端末21は、災害エクスプレッションの到達範囲を500mから250mに小さくしているとする。この場合、端末21は、端末11が自端末から250m〜500mの範囲内かつ端末22の近傍に存在し、端末23の近傍には存在しないと推定する。
端末21のユーザは、推定結果に基づいて移動する。そして、端末21は、ステップS10の処理を実行する。ステップS10の処理は、図6の処理と同じであるため、説明を繰り返さない。
上記構成によると、捜索端末は、自端末による災害エクスプレッションの到達範囲内に発見待ち端末が存在する場合には、災害エクスプレッションの到達範囲を小さくして、当該災害エクスプレッションを再送信する。そのため、捜索端末は、自端末と発見待ち端末との距離をより精度よく把握できるため、発見待ち端末をより迅速に発見することが可能となる。
なお、上記では、端末21(捜索端末)が災害エクスプレッションの到達範囲を小さくしながら、自端末と端末11(発見待ち端末)との距離を把握する構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、端末21は、到達範囲が500mに設定された災害エクスプレッションを送信した場合にはフィードバック情報を受信したが、到達範囲を小さくした(たとえば、250m)災害エクスプレッションを送信した場合にはフィードバック情報を受信できなかったとする。この場合、端末21は、端末11が自端末から250m〜500mの範囲内に存在すると推定できるため、到達範囲を250mから375mに大きくして、再度、災害エクスプレッションを送信してもよい。端末21は、フィードバック情報を受信した場合には端末11が自端末から250m〜375mの範囲内に存在すると推定できるし、フィードバック情報を受信しなかった場合には端末11が自端末から375m〜500mの範囲内に存在すると推定できる。端末21は、フィードバック情報の受信の有無に応じて到達範囲の変更を繰り返すことにより、自端末と端末11との距離をより精度よく推定することができる。
このように、端末21は、フィードバック情報の受信の有無に基づいて、災害エクスプレッションの到達範囲を大きくしたり、小さくしたりしながら自端末と端末11との距離を推定することもできる。すなわち、端末21は、フィードバック情報を受信した場合には、災害エクスプレッションの到達範囲を、前回(当該フィードバック情報を受信する前に)設定した到達範囲とは異なるように変更して、再度、災害エクスプレッションを送信する。これにより、端末21は、端末11をより迅速に発見することが可能となる。
(第2の変形例)
本実施の形態の第2の変形例では、災害などにより基地局50が停止した場合に、端末11を発見する構成について説明する。
図13は、本実施の形態の第2の変形例において、端末11を発見するための第1の局面を示す図である。図14は、図13に示した第1の局面の後の第2の局面を示す図である。図13および図14では、基地局50が停止(通信不能な状態)しており、基地局50に隣接する基地局51が生存(通信可能な状態)しているものとする。
停止した基地局50が構成するセル500内の端末11,21〜23は、基地局50との通信が途絶えて圏外になると、通信モードを、通常モードから基地局50を介さないD2Dモードに切り替える。また、端末11,21〜23の各々は、ディスカバリ信号を出して周囲に存在する他の端末を検索(サーチ)し、応答してきた(サーチによって発見された)端末とD2D通信を確立する。たとえば、端末21は、端末11とD2D通信を確立する。このとき、端末21が割当てた無線リソースで端末11とD2D通信を行うように構成してもよい。
なお、生存する基地局51が構成するセル510内の端末25は、基地局51からD2D通信の指示を受けてもよい。たとえば、基地局51は、複数の基地局の動作を監視する監視装置などによって基地局50が停止したことを示す通知情報を受信する。端末25は、ディスカバリ信号を出して他の端末をサーチし、応答してきた端末24とD2D通信を確立する。このとき、基地局51が割当てた無線リソースで端末25が端末24とD2D通信を行うように、通信システムを構成してもよい。
セル510内に存在する端末11とのD2D通信が確立した端末21は、さらにD2D通信可能な他の端末をサーチする。そして、端末21は、サーチされた端末24とD2D通信を確立する。同様に、端末24は、端末25との間でD2D通信を確立する。これにより、基地局50が停止した場合であっても、端末11は、端末21および端末24を経由して、生存している基地局51が構成するセル510に在圏する端末25との通信が可能となる。
そのため、基地局50が停止した場合であっても、端末11は、端末21〜23の各々から送信される災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報をサーバ30に送信することができる。図13の例では、端末11は、災害エクスプレッションを受信した場合、端末21、端末24、端末25および基地局51を介して、受信した災害エクスプレッションに対する問い合わせ情報をサーバ30に送信する。
具体的には、D2D通信を用いて、問い合わせ情報が「端末11→端末21→端末24」のルートを経由して端末25まで送信される。セル510に在圏する端末25は、基地局51を介して、端末24から受信した問い合わせ情報をサーバ30に送信する。
同様に、端末21〜23の各々は、少なくとも基地局51および端末25を介して、サーバ30からフィードバック情報を受信する。図13の例では、端末21は、基地局51、端末25および端末24を介して、サーバ30から送信されるフィードバック情報を受信する。
端末21〜23の各々は、サーバ30からのフィードバック情報を受信することにより、端末11の位置を推定することができる。たとえば、端末21〜23の各々は、端末11が、端末21および端末22の近傍に存在し、端末23の近傍には存在しないと推定したとする。この場合、図14に示すように、端末21は端末22の方へ移動し、端末22は端末21の方へ移動し、端末23は端末21および端末22の中間地点の方へ移動する。以降、端末21〜23は、再度、災害エクスプレッションを送信することによりサーバ30からのフィードバック情報を受信して、端末11の捜索エリアを絞り込んでいく。
上記構成によると、端末が在圏するセルを構成する基地局が停止した場合であっても、当該端末は、D2D通信を用いることにより、生存する基地局を介してサーバに接続することができる。そのため、発見待ち端末が災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバに送信可能であるとともに、捜索端末がフィードバック情報をサーバから受信することができる。
(第3の変形例)
図15〜図18を参照して、本実施の形態の第3の変形例について説明する。図15は、本実施の形態の第3の変形例において、端末11を発見するための第1の局面を示す図である。図16は、図15に示した第1の局面の後の第2の局面を示す図である。図17は、図16に示した第2の局面の後の第3の局面を示す図である。図18は、本実施の形態の第3の変形例に従う通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図15〜図18における説明では、端末21〜23の各々のユーザが、遭難した端末11のユーザを捜索している場面を想定する。
図18を参照して、図18のシーケンスSQ2〜SQ24の処理は、それぞれ図3の処理と同じであるため、ここでは説明を繰り返さない。なお、図15では、端末21〜23の各々が、災害エクスプレッションを送信する(シーケンスSQ20,SQ22,SQ24)までの局面が示されている。図15に示すように、端末11は、範囲210および範囲220内に存在し、範囲230内には存在しない。そのため、端末11は、端末21,22の各々から送信された災害エクスプレッションを受信するが、端末23から送信された災害エクスプレッションを受信しない。
端末11は、端末21,22の各々から受信した災害エクスプレッションに対する応答用のエクスプレッションを送信する(シーケンスSQ52,SQ54)。具体的には、端末11は、災害エクスプレッションの受信に対する応答情報をディスカバリ信号に含めて送信する。すなわち、応答用のエクスプレッションには、上述したProSe Application IDおよび自端末を識別するProSe UE IDと、災害エクスプレッションの受信を通知するための情報(災害情報エクスプレッションに含まれる相手端末のProSe UE IDなど)とが含まれる。以下の説明では、応答情報を含むディスカバリ信号を、「応答エクスプレッション」とも称する。
ここで、図16を参照して、端末11から送信された応答エクスプレッションの到達範囲が、範囲110で示されている。たとえば、範囲110は、端末11から半径500m圏内であり、端末21〜23の各々から送信される災害エクスプレッションの到達範囲と同じである。これによると、端末11から送信された応答エクスプレッションは、範囲110内に存在する端末21,22により受信され、端末23には受信されない。
端末21〜23の各々は、基地局50を介した通常通信(あるいは、D2D通信)により、この応答結果(端末21,22は応答エクスプレッションを受信したが、端末23は応答エクスプレッションを受信しなかったこと)を共有する。これにより、端末21〜端末23の各々は、端末11が、端末21および端末22の中間地点付近に存在すると推定する。
この推定結果に基づいて、端末21〜23の各々は、端末11の捜索エリアを絞り込む。具体的には、図17に示すように、端末21は端末22の方へ移動し、端末22は端末21の方へ移動し、端末23は端末21および端末22の中間地点の方へ移動する。以降、端末21〜23は、再度、災害エクスプレッションを送信して端末11から応答エクスプレッションを受信することにより、端末11の捜索エリアをさらに絞り込んでいく。
図19は、本実施の形態の第3の変形例において、端末21において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートである。また、図19は、第3の変形例において、端末22,23において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートでもある。
図19を参照して、ステップS2,S4の処理は、図6の処理と同じであるため、説明を繰り返さない。端末21は、自端末が送信した災害エクスプレッションに対する応答エクスプレッションを受信したか否かを判断する(ステップS112)。
端末21は、応答エクスプレッションを受信した場合には(ステップS112においてYES)、他の端末(ここでは、端末22,23)に対して、当該受信を報告する(ステップS114)。端末21は、他の端末が応答エクスプレッションを受信した旨の報告(受信報告)を当該他の端末から受けたか否かを判断する(ステップS116)。端末21は、受信報告を受けていない場合には(ステップS116においてNO)、ステップS114の処理を繰り返す。なぜなら、この場合、端末21は、端末11が自端末の近傍(災害エクスプレッションの到達範囲内)に存在することまでは推定できるが、端末11が存在する方向までは推定できない。そこで、端末21は、応答エクスプレッションの受信報告を他の端末から受けるまで待機する。
端末21は、他の端末から応答エクスプレッションの受信報告を受けた場合には(ステップS116においてYES)、端末11の位置を推定する(ステップS120)。たとえば、端末21は、端末22から応答エクスプレッションの受信報告を受けているとする。この場合、端末21は、自端末と端末22との中間点付近に端末11が存在すると推定する。端末21のユーザは、推定結果に基づいて自端末と端末22との中間点付近に向かって移動する。そして、端末21は、ステップS10の処理を実行する。ステップS10の処理は、図6の処理と同じであるため、説明を繰り返さない。
ステップS112において、端末21は、応答エクスプレッションを受信しない場合には(ステップS112においてNO)、応答エクスプレッションの受信報告を他の端末から受けたか否かを判断する(ステップS118)。端末21は、当該受信報告を受けていない場合には(ステップS118においてNO)、ステップS4からの処理を繰り返す。なぜなら、この場合、端末11は、端末21〜23のどの端末の近傍にも存在しない。そのため、端末21のユーザは、捜索エリアを移動して、再度、災害エクスプレッションの送信指示を端末21に与える必要がある。
端末21は、当該受信報告を受けた場合には(ステップS118においてYES)、端末11の位置を推定する(ステップS120)。たとえば、端末21は、端末22から応答エクスプレッションの受信報告を受けているとする。この場合、端末21は、自端末の近傍には端末11が存在せず、端末22の近傍に存在していると推定する。端末21のユーザは、推定結果に基づいて端末22の方向に向かって移動する。そして、端末21は、ステップS10の処理を実行する。
図20は、本実施の形態の第3の変形例において、端末11において行われる処理の流れを説明するためのフローチャートである。図20を参照して、ステップS32の処理は、図8の処理と同じであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
端末11は、災害エクスプレッションを受信した場合には(ステップS32においてYES)、当該受信した災害エクスプレッションに対する応答エクスプレッションを送信して(ステップS312)、ステップS32からの処理を繰り返す。すなわち、端末11は、災害エクスプレッションを受信する度に応答エクスプレッションを送信する。
上述したように、端末11は、災害エクスプレッションを受信した場合に、そのコードを確認することにより、災害エクスプレッションが緊急用のエクスプレッションであることは把握できる。そのため、端末11は、D2Dモードに設定されていない場合であっても、緊急用のエクスプレッション(ここでは、災害エクスプレッション)を受信したときには、当該受信したエクスプレッションに対する応答エクスプレッションを送信する。
上記構成によると、捜索端末が送信した災害エクスプレッションに対する応答エクスプレッションが発見待ち端末から送信される。捜索端末は、応答エクスプレッションを受信することにより、発見待ち端末の位置を推定できる。そのため、たとえば、サーバ(あるいは基地局)が停止している場合であっても、捜索端末は発見待ち端末の位置を絞り込むことが可能となる。
(第4の変形例)
本実施の形態の第4の変形例では、あるエリア内に存在する複数の発見待ち(発見される側の)端末を捜索する構成について説明する。
図21は、本実施の形態の第4の変形例に従う通信システムの全体構成を示す図である。図21を参照して、端末11,12,13が発見待ち端末であり、端末21,22が捜索端末である。端末11〜13は、あるエリア内に存在していることは既知であるとする。たとえば、登山中に端末11〜13の各ユーザが遭難し、端末21,22のユーザは、当該各ユーザが山のどこかに存在することは把握している場面が想定される。なお、端末12,13は、端末11と同じ機能および構成を有する。
端末21が送信する災害エクスプレッションの到達範囲である範囲210内には端末11,12が存在し、端末22が送信する災害エクスプレッションの到達範囲である範囲220内には端末12,13が存在している。そのため、端末11は、端末21が送信した災害エクスプレッションを受信し、当該災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。同様に、端末12は、端末21,22の各々が送信した災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。端末13は、端末22が送信した災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報をサーバ30に送信する。
端末21,22は、サーバ30からのフィードバック情報を受信することにより、端末11が端末21の近傍に存在し、端末12が端末21および端末22の近傍に存在し、端末13が端末22の近傍に存在すると推定する。これにより、端末21および端末22は、範囲210と範囲220とを含む捜索範囲内に、3つの端末が存在することを把握することができる。
ここで、あるエリア内に端末11〜13が存在していることは既知(たとえば、端末11〜13が端末21,22の紙面上方向に存在していることは既知)であるため、端末21および端末22は、推定結果に基づいて移動していく。たとえば、端末12を捜索する場合、端末21および端末22は、端末21および端末22の中間地点かつ上方向を目指して移動していく。以降、端末21,22は、再度、災害エクスプレッションを送信することによりサーバ30からのフィードバック情報を受信して、端末11〜13の捜索エリアを絞り込んでいく。
このように、発見待ち端末があるエリア内に存在するが既知である場合には、捜索端末の数が少ない場合であっても、発見待ち端末の位置を推定することができる。
<ハードウェア構成>
(端末)
図22は、端末11のハードウェア構成を表わすブロック図である。図22を参照して、端末11は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)352と、メモリ354と、タッチパネル356と、ディスプレイ358と、無線通信インターフェイス(I/F)360と、メモリインターフェイス(I/F)364と、スピーカ366と、GPS(Global Positioning System)コントローラ368と、バッテリ370とを含む。なお、端末12,13、端末21〜25のハードウェア構成は、端末11のハードウェア構成と同じである。
CPU352は、メモリ354に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、端末11の各部の動作を制御する制御部として機能する。CPU352は、当該プログラムを実行することによって、上述した端末11の処理(ステップ)の各々を実現する。
メモリ354は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどによって実現される。メモリ354は、CPU352によって実行されるプログラム、またはCPU352によって用いられるデータなどを記憶する。
タッチパネル356は、表示部としての機能を有するディスプレイ358上に設けられており、たとえば、静電容量方式タイプである。タッチパネル356は、所定時間毎に外部物体によるタッチパネル356へのタッチ操作を検知し、タッチ座標をCPU352に入力する。
無線通信インターフェイス360は、通信アンテナ362に接続されている。通信アンテナ362および無線通信インターフェイス360は、たとえば、基地局50を介した通常通信や他の端末とのD2D通信に用いられる。
メモリインターフェイス364は、外部の記憶媒体365からデータを読み出す。CPU352は、メモリ354からデータを読み出して、メモリインターフェイス364を介して当該データを外部の記憶媒体365に格納する。なお、記憶媒体365としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカードなどの不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
スピーカ366は、CPU352からの指示に従って音声を出力する。たとえば、スピーカ366は、ユーザに推定結果を報知するための音声を出力する。
GPSコントローラ368は、GPS信号または基地局からの位置信号(測位信号)を受信して端末11の位置情報を取得する。GPSコントローラ368は、取得した端末11の位置情報をCPU352に入力する。
バッテリ370は、充放電可能な電力貯蔵要素であり、代表的にはリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池で構成される。
端末11は、ユーザからの指示を受け付けるためのボタン、端末11に対する発話を受け付けるマイクを含んでいてもよい。
(基地局)
図23は、基地局のハードウェア構成を示すブロック図である。図23を参照して、基地局50は、主たる構成要素として、各種処理を実行するためのCPU402と、CPU402によって実行されるプログラム、データなどを格納するためのメモリ404と、無線通信網を介してセル500に在圏する装置と各種データを送受信するための無線通信(I/F)406および通信アンテナ408と、他の装置と有線通信するための有線通信インターフェイス(I/F)410とを含む。CPU402は、メモリ404に格納されたプログラムを実行することによって、基地局50の処理の各々を実現する。なお、基地局51のハードウェア構成は、基地局50のハードウェア構成と同じである。
(サーバ)
サーバ30は、上述するような情報処理を全体として提供できればよく、そのハードウェア構成については公知のものを採用することができる。たとえば、サーバ30は、各種処理を実行するためのCPUと、プログラムやデータなどを格納するためのメモリと、基地局50,51と各種データを送受信するための通信インターフェイスと、管理者からの指示を受け付けるための入力インターフェイス(I/F)とを含む。
[その他の実施の形態]
上述した実施の形態において、災害エクスプレッションのコードの個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。たとえば、災害エクスプレッションのコードの個数が複数である場合には、複数の端末21〜23のそれぞれから送信される複数の災害エクスプレッションのコードが、互いに異なるように構成されていてもよい。
具体例として、端末21から送信される災害エクスプレッションのコードが「AAAA」、端末22から送信される災害エクスプレッションのコードが「AAAB」、端末23から送信される災害エクスプレッションのコードが「AAAC」であるとする。サーバ30は、端末21、端末22および端末23を、それぞれ災害エクスプレッションのコード「AAAA」、「AAAB」および「AAAC」と予め関連付けて記憶しておく。
これにより、サーバ30は、たとえば、端末11から災害エクスプレッションのコード問い合わせを受けた場合に(問い合わせ情報を受信した場合に)、災害エクスプレッションのコードが「AAAA」であれば、当該災害エクスプレッションを送信した端末が端末21であると特定することができる。すなわち、サーバ30は、端末11からの当該問い合わせが、端末21〜23のうちどの端末から送信された災害エクスプレッションに対する問い合わせなのかを判断することができる。
上述した実施の形態では、災害エクスプレッションを全方位に向けて送信する構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、災害エクスプレッションは、ビームフォーミングアンテナなどの指向性アンテナを用いて、特定の方向に向けて送信される構成であってもよい。具体的には、端末21〜23は、端末11が存在する方向を推定する場合に、ビームフォーミング技術を用いて、災害エクスプレッションを特定の方向に向けて送信する。
たとえば、端末21は、全方位に向けて災害エクスプレッションを送信した結果、サーバ30からのフィードバック情報に基づいて、自端末の近傍に端末11が存在することまでは推定できたものとする。この場合、端末21は、端末11が存在する方向を特定するために、指向性を有する災害エクスプレッションを東、西、南、北の順に送信する。そして、端末21は、たとえば、南方向に災害エクスプレッションを送信したときに、サーバ30からフィードバック情報(自端末が送信した災害エクスプレッションを端末11が受信したことを示すフィードバック)を受信したとする。この場合、端末21は、端末11が南方向に存在すると推定することができる。
このように、端末21〜23の各々は、端末11が存在する方向を特定できるため、捜索側の端末が少ない(たとえば、1台または2台)場合であっても、端末11の捜索エリアを絞り込むことができる。
上述した実施の形態では、サーバ30は、端末11から受信した問い合わせ情報に応じたフィードバック情報を端末21〜23すべてに送信する構成について説明したが、当該構成に限られない。たとえば、サーバ30は、端末21が送信した災害エクスプレッションに応じた問い合わせ情報を端末11から受信したとする。この場合、サーバ30は、当該問い合わせ情報を端末11から受信した旨を、フィードバック情報として端末21にのみ通知してもよい。
上述した実施の形態において、発見待ち端末の捜索センターとして機能する外部装置を設けてもよい。たとえば、複数の捜索端末は、一旦、サーバ30から受けたフィードバック情報を外部装置に送信する。外部装置は、各捜索端末から受信したフィードバック情報に基づいて、発見待ちの位置を推定する(たとえば、端末11が端末21および端末22の近傍に存在し、端末23の近傍には存在しないことを推定する)。そして、外部装置は、その推定結果を各捜索端末に送信する。これにより、複数の捜索端末は、発見待ち端末の捜索をスムーズに行なうことができる。
上述した実施の形態において、端末11は、複数の災害エクスプレッションを受信した場合、当該複数の災害エクスプレッションに応じた複数の問い合わせ情報をまとめて送信してもよいし、時差を設けて1つずつ送信してもよい。
上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
プログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
また、本実施の形態にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
また、上述した実施の形態において、他の実施の形態や変形例で説明した処理や構成を適宜組み合わせて実施する場合であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。