図を通じて、同じ参照番号は、同じ要素、特徴、および構造を指す。
本明細書で例示される事項は、添付の図面を参照して本発明の例示的な実施形態を包括的に理解するのを助けるために提供されるものである。したがって、当業者は、本明細書において説明される例示的な実施形態のさまざまな変更および改変が、特許請求される本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく加えられ得ることを理解するであろう。また、よく知られている機能および構造の説明は、明確に分かりやすくするために省略され得る。
図1は、本発明の例示的な実施形態による注射ペン11の斜視図である。図示するように、注射ペン11は、複数の用量設定および注射構成要素を収容するペン上側本体またはハウジング1を含む。上側本体1は、図1および図3に示されるように、薬剤カートリッジ18を収容するカートリッジハウジング17に連結される。注射ペン11はまた、注射ペン11が使用されないときにカートリッジ18およびカートリッジハウジング17を覆うための下側ペンキャップ(図示せず)を含むこともできる。図示されるように、注射ペン11は、所望の用量を設定するためにユーザによって回転されるノブ様部分4を含む用量設定ノブ2を含む。用量設定ノブ2はまた、図2に示されるように、投与量単位の数に対応する複数の数表示も含み、これらの数表示は、図8Aに示されるように、上側本体1上に設けられた窓13を通して見ることができる。ユーザは、所望の量が窓13内で見ることできるまで用量設定ノブ2を回転させる。上側ペン本体1は、設定用量を正確に示す矢印、または他のインジケータ14を含むことができる。所望の用量が設定された後、ユーザは、設定投与量が完全に注射されるまでボタン3を押さえる。
プッシュボタン3は、図4に示されるように、ユーザに最も近く、上側ペン本体1の針(図示せず)から最も遠い近位端部に設けられる。プッシュボタン3は、好ましくは、用量設定ノブ2のノブ様部分4の内部表面上に設けられた対応する環状溝6と係合する環状ビードまたはリム5を含む。環状リム/溝連結は、好ましくは摩擦嵌合であり、この摩擦嵌合は、プッシュボタン3を、ボタンばね10の力の下で用量設定ノブ2上の付勢された位置に維持するが、設定用量を注射するためにプッシュボタン3を用量設定ノブ2内に押し込むことを可能にする。図4に示されるように、用量設定ノブ2のノブ様部分4内の溝6は、軸方向に延びて、注射中、プッシュボタン3を用量設定ノブ2に押し込むことを可能にする。ボタン3の内部は、セットバック部材9の近位端部にある内部表面上に載置するセットバック軸受インサート8を収容する。図4に示されるように、軸受インサート8は、セットバック部材9の近位端部16に隣接する環状溝13(図5C)によって受け入れられる環状リム12を有する。プッシュボタン3は、セットバック軸受インサート8上で自由に回転するように設計される。
セットバック部材9は、図2および図5A〜5Cに示されるように、用量設定ノブ2と同軸であり、これによって取り囲まれる円筒状の部材である。セットバック部材9は、図3および図4に示されるように、ドライバ21の周りに同軸に設けられ、このドライバ21は、セットバック部材9に回転可能に固定され、セットバック部材9に対して軸方向に移動可能である。ドライバ21は、図3および図4に示されるように、送りねじ23を同軸に取り囲む。セットバック部材9は、遠位端部26において内面25から内方向に延びるキー24の組を含み、このキーは、ドライバ21の外面28上に軸方向に延びる長穴27と係合してドライバ21をセットバック部材9に対して回転可能に係止する。ドライバ21は、図6Cに示されるように、ドライバ21の遠位端部においてその内面30の一部分上にねじ山29を有する。ドライバ21は、送りねじ23を同軸に取り囲み、この送りねじ23は、図2、9A、および9Bに示されるように、送りねじ23の軸方向長さのほぼ全体に沿って配設された複数のねじ山セグメント31を含む。複数のねじ山セグメント31は、それらの間に平坦化された部分32が配設された状態で対向して配設される。フランジ33が、ドライバ21の遠位端部に配設されて、カートリッジ18内に配設されたストッパ34と係合する。ドライバ内部ねじ山29は、送りねじ23上に設けられた外部の送りねじのねじ山31とねじ式係合状態にある。以下でさらに説明されるように、ドライバ21とのねじ式係合により、送りねじ23は、注射中、カートリッジ18内に移動されてカートリッジ18の内側に設けられたストッパ34を押し進め、それによって薬剤の用量を放出する。図2および3に示されるような波型クリップ35が、ブレーキ部材36の遠位端部とカートリッジ18の近位端部の間に設けられてカートリッジ18を遠位方向に付勢して、注射中のカートリッジ18の移動を実質的に防止し、こうして精密な用量が注射されることを確実にする。
ブレーキ部材36は、図3および図4に示されるように、ペン上側本体1内に配設される。ブレーキ部材36は、壁38が軸方向に外方向にそこから延びるほぼ平面の基部37を有するほぼ円筒状の部材である。基部37内の開口部39は、送りねじ23を受け入れる。ばね部材41が、ブレーキ部材36の基部の内面42上に配設される。ラチェットディスク43が、ばね部材41上に配設される。ラチェットディスク43は、好ましくは、送りねじ23を受け入れるための開口部44を中に備えた円形のものである。キー45の対が、ラチェットディスク43から外方向に延びてブレーキ部材36内の長穴40と係合する。長穴40は、ラチェットディスク43の軸方向の移動を可能にしながら、ラチェットディスク43の回転式の移動を実質的に防止する。複数の歯46が、ラチェットディスク43の上側表面47から上方向に延びる。各々の歯46は、上側表面47と鈍角を形成する傾斜した表面48と、上側表面47に対してほぼ垂直に配設された停止表面49とを有する。
第1の例示的な実施形態の注射ペン装置を用いて用量を設定するために、ユーザは、用量設定ノブ2のノブ様部分4をペン上側本体1に対して回転させる。用量設定ノブ2の外面は、図2および7Aに最適に示されるようにねじ山50を含み、このねじ山は、図2および図8Cに示されるように、上側ペン本体1の内部表面52上に設けられた複数のねじ山51とねじ式係合状態にある。したがって、用量設定ノブ2が上側ペン本体1に対して回転するにつれて、用量設定ノブ2は、上側ペン本体1から出るように一定の距離を回り、または前進する。用量設定ノブ2は、図7Aおよび図7Bに示されるように、近位端部近くのその内部表面上に環状ショルダまたはリム52を含む。環状ショルダ52は、図2、図5A、および図5Cに示されるようなセットバック部材9の拡張された部分またはヘッド53と係合する。用量設定ノブ2の環状ショルダ52は好ましくは一連の歯または畝部54を含み、この一連の歯または畝部54は、セットバック部材9の拡張されたヘッド53上に設けられた、複数の同じように成形された歯または畝部55と係合する。用量設定中、用量設定ノブ2は、セットバック部材9に対して時計周りおよび反時計周り方向の両方に自由に回転する。これが起こるとき、用量設定ノブ2の複数の歯または畝部54は、セットバック部材9の拡張されたヘッド部分53上に設けられた歯55を滑って過ぎ、それによって投与量単位の設定を示す触知性信号またはクリック音を与える。以下でさらに説明されるように、セットバック部材9が用量設定ノブ2と一緒に設定方向に回転することを防止する一方向ラチェットにより、用量設定ノブ2は、設定中にセットバック部材9に対して回転することが可能にされる。
用量設定ノブ2の用量設定方向の回転は、図3に示されるように、ドライバ21とラチェットディスク43の間の一方向ラチェットにより、セットバック部材9には伝えられない。セットバック部材9は、その遠位端部近くに、図2および図5Cに示されるように、キー24の対を含む。キー24の対は、図2および図6Aに示すように、ドライバ21内の長穴27の対と係合する。キー24および長穴27は、セットバック部材9の軸方向の移動を可能にしながら、セットバック部材9およびドライバ21を一緒に回転式に係止する。ドライバ21の遠位端部に配設されたフランジ56は、その下側表面上に配設された複数の歯57を有する。ドライバの歯57は、図6Aに示されるように、傾斜した表面58および停止表面59を有する。ドライバの歯57の停止表面59は、ラチェットディスク歯46の停止表面49と係合し、それによってドライバ21の回転を防止する。ばね部材41は、ラチェットディスク43をドライバフランジと係合するように付勢して、ドライバ21の回転を防止するのを容易にする。したがって、ドライバ21が回転するのを防止することは、セットバック部材9が回転することも防止する。用量設定ノブ2が、用量設定中、ペン上側本体1から出るように回転されるとき、セットバック部材9の拡張されたヘッド部分53と用量設定ノブ2のショルダ52の間の係合は、キー24がドライバの長穴27内で摺動するにつれてセットバック部材9を軸方向に移動させる。上記で指摘されたように、用量設定ノブの歯54は、用量設定中、セットバック部材の歯55を滑って過ぎてクリック音を与えて、用量が設定されていることをユーザに示す。
高く設定され過ぎた可能性がある設定用量を修正するために、ユーザは、用量設定ノブ2を反対方向に回転させて戻す。この方向の用量設定ノブ2の回転は、図3に示されるように、(セットバック部材9が回転式に固定される)ドライバ21と、ラチェットディスク43の間の一方向のラチェットにより、セットバック部材9には伝えられない。用量設定ノブ2およびセットバック部材9の歯54と歯55の間の摩擦は、ドライバフランジ56とばね付勢されたラチェットディスク43の間の摩擦に打ち勝つほど十分な大きさではない。したがって、用量設定ノブ2は、設定用量を修正するために回転されて戻ることができ、このときこの方向のセットバック部材9の回転は引き起こさないが、セットバック部材9は、ドライバ長穴27内のセットバック部材キー24の係合により、軸方向に移動する。したがって、用量設定ノブの歯54は、回転することが防止されるセットバック部材の歯55を滑って過ぎて、それによって通常の用量設定中のように、用量のダイヤル戻し中にクリック音を与える。
用量設定ノブ2が、用量の設定中、上側本体1から出るように回りまたは軸方向に前進するとき、セットバック部材9もまた、対応する距離だけ本体から外に軸方向に移動させられる。この軸方向の移動は、ペン上側本体1から外への移動中、用量設定ノブ2上の環状ショルダ52がセットバック部材9の拡張されたヘッド部分53を押し付ける係合によって引き起こされる。所望の用量が設定された後、ユーザは、セットバック部材9に軸方向に連結されたセットバック軸受インサート8に結合されたプッシュボタン3を押す。ユーザがプッシュボタン3を押さえることによってかけられた力の下、セットバック部材9は、セットバック部材9および用量設定ノブ2のそれぞれ上に設けられたそれぞれの歯または畝部55および54の噛み合いによって用量設定ノブ2と係止または噛み合い係合になるように移動される。ユーザがプッシュボタン3を押さえ続けるとき、用量設定ノブ2は、用量設定ノブ2上のねじ山50とペン上側本体1内のねじ山51との間のねじ式係合によって回転させられ、回されてペン上側本体1内へと下方に戻る。用量設定ノブ2の回転は、このとき、その係止または噛み合わされた係合により、セットバック部材9に伝えられる。ユーザがボタン3を押さえる力は、ディスクラチェット43とドライバフランジ56の間の摩擦に打ち勝つのに十分であり、その結果、セットバック部材9は、この方向に回転することが可能にされる。
注射中に可能にされるセットバック部材9の回転は、次いで、ドライバ21に伝えられ、ドライバ21は、ドライバ21とセットバック部材9の間にもたらされたキー溝連結によってセットバック部材9に回転可能に固定されている。図5Bおよび図5Cに示されるように、セットバック部材9の内部表面25は、内方向に延びるキー24を有し、このキー24は、図3に示されるように、ドライバ21内の軸方向に延びる長穴27と係合する。セットバック部材9は、好ましくは、ドライバ21内の2つの対向して配設された長穴27と係合するための2つの対向して配設されたキー24を含む。セットバック部材9は、用量設定中および用量修正中、図3に示されるようなキー24および長穴27の相互連結によってドライバ21に対して軸方向に移動する。ドライバ21内の長穴27の長さは、単一回の注射において注射される最大許容の用量に対応するように形作られ得る。ドライバ21は、横断方向壁60によってペン上側本体1に対して軸方向に固定される。フランジ56の上側表面61は、ペン上側本体1の横断方向壁60と当接する。ばね部材41は、ドライバフランジ56を横断方向壁60に接触させるようにラチェットディスク43を介して付勢する。
セットバック部材9が、注射中、用量設定ノブ2と共に回転するとき、ドライバ21は、セットバック部材9と共に回転される。ドライバの歯57およびラチェットディスクの歯46の傾斜した表面58および48、ドライバ21が、ラチェットディスク43に対して回転するように係合する。ばね部材41は、ラチェットディスク43をドライバフランジ56に接触させるように付勢し、それによってドライバの歯57がラチェットディスクの歯46の上方を滑るときに触知性信号および/またはクリック音を生成する。ラチェットディスク43の外方向に延びるキー45は、ブレーキ部材の長穴40内に受け入れられ、それによってラチェットディスク43の回転を防止する。
上記で説明されたように、送りねじ23は、図3に示されるように、部分的にねじ切りされたドライバ21のねじ山29とねじ式係合状態にある複数のねじ山セグメント31を含む。好ましくは、図6Cに示されるように、わずかなねじ山セグメントだけが、ドライバ21の遠位端部に設けられる。送りねじ23ブレーキ部材36内の開口部39によって上側ペン本体1に対して回転不能に保持される。開口部39は、平坦化された側部である、送りねじ23状に対応する形状を有し、それにより、送りねじ23ブレーキ部材36に対して回転することが防止される。ブレーキ部材36は、図3、8B、および8Cに示されるように、ブレーキ部材36内の長穴40と、横断方向壁60遠位方向に延びる、軸方向に延びるリブ62との間の係合により、ペン上側本体1に対する回転が防止される。軸方向に固定されたドライバ21の回転は、送りねじ23を、その間のねじ式係合によって回転させ、それによって送りねじ23を遠位方向にカートリッジ18内へと駆動する。送りねじ23の軸方向移動は、ストッパ34を遠位方向にカートリッジ18内へと押し込み、それによって中に保存された薬剤を放出する。
組み立て中、ドライバ21は、遠位端部からペン上側本体1内に挿入される。ブレーキアセンブリ68は、図10〜12に示されるように、ブレーキ部材36、ばね部材41、およびラチェットディスク43を含む。ブレーキアセンブリ68は、遠位端部からペン上側本体1内に挿入される。送りねじ23は、ブレーキ部材36内の開口部39およびドライバ21内の開口部69を通って挿入される。ドライバ21は、次いで、回転されて送りねじ23を近位方向に引き出す。ブレーキ部材36内の長穴40は、ブレーキ部材36をペン上側本体1に回転式に固定する。ブレーキ部材の開口部39の平坦化された側部62は、送りねじのねじ山31の平坦化された部分32を受け入れて送りねじ23の回転を防止し、送りねじを軸方向の移動に限定する。
送りねじ23は本体1に対して回転不能であるため、ドライバ21が、セットバック部材9との回転式結合により、上記で説明されたように注射中に回転させられるとき、送りねじ23は、ドライバ21とのねじ式係合により、遠位方向に移動させられて薬剤カートリッジ18内に配設されたストッパ34を押さえ付け、それによって液体薬剤をそこから放出する。送りねじ23は、ドライバ21とブレーキ部材36のラチェットディスク43との間の一方向のラチェットにより、(結果的に送りねじ23の遠位方向を生じさせる)単一の方向のみに回転可能であるため、送りねじ23は近位方向に移動することが防止される。したがって、送りねじ23は、注射の合間、ストッパ34との係合を維持するため、精密な投与が確実にされ得る。機械的利点が好ましくはもたらされ、それにより、用量設定ノブ2は、注射中、送りねじ23より遠くに軸方向に移動して、ユーザによってかけられなければならない注射力を低減する。これは、好ましくは、用量設定ノブ2とペン上側本体1の間のねじ式連結およびドライバ21と送りねじ23の間のねじ式連結に異なるピッチを与えることによって達成される。ねじ山ピッチ間の比は、液体薬剤および予想される用量の量によってさまざまになることができる。たとえば、ピッチ比は、4.35:1または3.25:1になることができるが、これに限定されない。
用量停止部材71(図2および図4)が、最終用量管理のために設けられて、カートリッジ18内の薬剤の残りの量より多い用量の設定を防止することができる。用量停止部材71は、図2、図5A、および図5Bに示されるように、軸方向に摺動可能であるが、セットバック部材の外面64上に設けられたスプライン63の対間に配置されることによってセットバック部材9に対して回転式に固定される。用量停止部材71は、好ましくは、その外面が複数のねじ山72でねじ切りされた半ナット様要素である。用量停止部材のねじ山72は、図7A〜図7Cに示されるような、用量設定ノブ2の内面66上に設けられた対応するねじ山65と係合するように形作られる。最初、用量停止部材71は、用量設定ノブ2上に設けられたねじ山65の最も近位のねじ山の1つまたは2つにねじ式に係合される。用量設定中、用量設定ノブ2がセットバック部材9、したがって用量停止部材71に対しても回転するとき、用量停止部材71は、用量設定ノブ2内のねじ山65との係合により、設定用量に対応する距離だけ遠位方向に摺動させられる。
注射中、セットバック部材9および用量設定ノブ2は、上記で論じられたように回転式に結合されるため、用量停止部材71は、用量設定ノブ2のねじ山65に対するその位置を維持する。用量停止部材71は、用量設定中、用量停止部材71の遠位縁72(図4)が、図7Bおよび図7Dに示されるような、用量設定ノブ2の内面66上に設けられた内方向に向けられたキー67に当接するまで遠位方向に移動する。この位置では、用量停止部材71は、遠位方向にさらに移動することが防止され、それによって追加の用量を設定するための用量設定ノブ2のさらなる回転も防止する。最終位置では、用量停止部材71は、用量設定ノブ2内に設けられたねじ山65の最も遠位のねじ山の約2つにねじ式係合で係合される。図7Bに示されるように、用量停止部材71によって、その初期位置から、それが用量設定ノブ2上に設けられたキー67と当接するときのその最終位置まで進行される総距離は、用量停止部材71および用量設定ノブ2上のそれぞれに設けられたねじ山部分の両方の長さより大きい。
図13〜図19Dは、第1の例示的な実施形態に類似する機能を有する注射ペンの第2の例示的な実施形態を示している。同じ参照番号が、示された構成要素がほぼ同じである場合に含まれており、その説明は、簡潔にするために反復されない。
セットバック部材9は、図13に示されるように、用量設定ノブ2と同軸であり、これによって取り囲まれた円筒状の部材である。セットバック部材9は、図13および図14に示されるように、セットバック部材9に回転可能に固定されたブレーキ塔121の周りに同軸に設けられる。セットバック部材9は、ブレーキ塔121に対して軸方向に移動可能である。ブレーキ塔121は、図13および図14に示されるように、送りねじ123の周りを軸方向に取り囲む。セットバック部材9は、遠位端部26において内面25から内方向に延びるキー24の組を含み、このキー24の組は、ブレーキ塔121の外面128上で軸方向に延びる長穴127と係合してブレーキ塔121をセットバック部材9に回転可能に係止する。ブレーキ塔121は、ブレーキ塔121と送りねじ123の間に配設されたピストンロッド161を同軸に取り囲む。送りねじ123は、図16Aおよび図16Bに示されるように、部分的にねじ切りされ、送りねじ123の遠位端部134にその軸方向長さの一部分に沿って配設された複数のねじ山セグメント131を有する。複数のねじ山セグメント131は、それらの間に平坦化された部分132が配設された状態で対向して配設される。フランジ133が、図14および図16A〜図16Cに示されるように、送りねじ123の遠位端部に配設されてブレーキ塔121と係合する。ピストンロッドは、図18A〜図18Cに示されるように、好ましくはその内面の全体に沿って延びる内部ねじ山162を有する。ピストンロッド161の内部ねじ山162は、送りねじ123上に設けられた外部の送りねじのねじ山131とねじ式係合状態にある。以下でさらに説明されるように、ブレーキ塔121とのねじ式係合により、送りねじ123は、注射中、カートリッジ18(図2)内へと移動されてカートリッジ18の内側に設けられたストッパ34(図2)を押し進め、それによって薬剤の用量を放出する。図13〜図15に示されるような波型クリップ35が、ブレーキ部材136の遠位端部とカートリッジ18の近位端部の間に設けられてカートリッジ18を遠位方向に付勢して、注射中のカートリッジ18の移動を実質的に防止し、こうして精密な用量が注射されることを確実にする。
ブレーキ部材136は、図14および図15に示されるように、ペン上側本体1内に配設される。ブレーキ部材136は、図19A〜19Eに示されるように、壁138が軸方向に外方向にそこから延びるほぼ平面の基部137を有するほぼ円筒状の部材である。基部137内の開口部139は、ピストンロッド161を受け入れる。ほぼ円周方向に延びる可撓性アーム141の対が、ブレーキ部材136の壁138に連結される。フック143が、可撓性アーム141の自由端部から径方向に内方向に延びる。各々のフック143は、可撓性アーム141と鈍角を形成する傾斜した表面148と、可撓性アーム141に対してほぼ垂直に配設された停止表面149とを有する。長穴144が、開口部内に形成されて、ピストンロッド161の外面164に沿って径方向に延びるキー163を受け入れる(図18A)。長穴140が、ブレーキ部材136の壁138内に形成されてペン上側本体1の軸方向リブ62(図8B)を受け入れ、それによってブレーキ部材136のペン上側本体1に対する回転移動を実質的に防止する。可撓性アーム141のフック143は、ブレーキ塔121の径方向に延びる歯と係合して、それらの間に一方向のラチェットシステムをもたらす。
第2の例示的な実施形態の注射ペン装置を用いて用量を設定するために、ユーザは、用量設定ノブ2のノブ様部分4をペン上側本体1に対して回転させる。用量設定ノブ2の外面は、図7Aおよび図13に最適に示されるようにねじ山50を含み、このねじ山は、図2、図8Cおよび図13に示されるような、上側ペン本体1の内部表面52上に設けられた複数のねじ山51とねじ式係合状態にある。したがって、用量設定ノブ2が上側ペン本体1に対して回転されるにつれて、用量設定ノブ2は、上側ペン本体1から出るように一定の距離を回り、または前進する。用量設定ノブ2の環状ショルダ52は、図15に示されるように、セットバック部材9の拡張された部分53と係合する。用量設定ノブ2の環状ショルダ52は、好ましくは、一連の歯または畝部54を含み、この一連の歯または畝部54は、セットバック部材9の拡張されたヘッド53上に設けられた複数の同じように成形された歯または畝部55と係合する。用量設定中、用量設定ノブ2は、セットバック部材9に対して時計周りおよび反時計周り方向の両方に自由に回転する。これが起こるとき、用量設定ノブ2の複数の歯または畝部54は、セットバック部材9の拡張されたヘッド部分53上に設けられた歯55を滑って過ぎ、それによって投与量単位の設定を示す触知性信号またはクリック音を与える。以下でさらに説明されるように、用量設定ノブ2は、セットバック部材9が用量設定ノブ2と共に設定方向に回転することを防止する一方向ラチェットにより、設定中にセットバック部材9に対して回転することが可能にされる。
用量設定ノブ2の用量設定方向の回転は、図14および図15に示されるように、ブレーキ塔121とブレーキ部材136の間の一方向ラチェットにより、セットバック部材9には伝えられない。セットバック部材のキー24は、ブレーキ塔121内の長穴127と係合する。キー24および長穴127は、セットバック部材9およびブレーキ塔121を一緒に回転式に係止する。ブレーキ塔121の遠位端部に配設されたフランジ156は、そこから径方向で外方向に延びる複数の歯157を有する。ブレーキ塔の歯157は、図17Bに示されるように、傾斜した表面158および停止表面159を有する。ブレーキ塔の歯157の停止表面159は、ブレーキ部材のフック143の停止表面149と係合し、それによってブレーキ塔121の回転を防止する。したがって、ブレーキ塔121が回転することを防止することは、セットバック部材9が回転することを防止する。用量設定ノブ2が、用量設定中、ペン上側本体1から出るように回転されるとき、セットバック部材9の拡張されたヘッド部分53と用量設定ノブ2のショルダ52の間の係合は、キー24がブレーキ塔の長穴127内で摺動するにつれてセットバック部材9を軸方向に移動させる。用量設定ノブの歯54は、用量設定中、セットバック部材の歯55を滑って過ぎて、クリック音を与えて用量が設定されていることをユーザに示す。
高く設定され過ぎた可能性がある設定用量を修正するために、ユーザは、用量設定ノブ2を反対方向に回転させて戻す。この方向の用量設定ノブ2の回転は、図14および図15に示されるように、(セットバック部材9が回転式に固定される)ブレーキ塔121とブレーキ部材136の間の一方向のラチェットにより、セットバック部材9には伝えられない。用量設定ノブ2およびセットバック部材9の歯54と歯55の間の摩擦は、ブレーキ塔の歯157とブレーキ部材のフック143の間の摩擦に打ち勝つほど十分な大きさではない。したがって、用量設定ノブ2は、設定用量を修正するために回転されて戻ることができ、このときこの方向のセットバック部材9の回転は引き起こさないが、セットバック部材9は、ブレーキ塔の長穴127内のセットバック部材キー24の係合により、軸方向に移動する。したがって、用量設定ノブの歯54は、回転することが防止されるセットバック部材の歯55を滑って過ぎ、それによって通常の用量設定中のように、用量のダイヤル戻し中にクリック音を与える。
用量設定ノブ2が、用量の設定中、上側本体1から出るように回り、または軸方向に前進するとき、セットバック部材9もまた、対応する距離だけ本体から外に軸方向に移動させられる。この軸方向の移動は、ペン上側本体1の外への移動中、用量設定ノブ2上の環状ショルダ52がセットバック部材9の拡張されたヘッド部分53を押し付ける係合によって引き起こされる。所望の用量が設定された後、ユーザは、セットバック部材9に軸方向に連結されたセットバック軸受インサート8に結合されたプッシュボタン3を押す。ばね部材10が、図2に示されるように、プッシュボタン3と軸受インサート8の間に配設され得る。ユーザがプッシュボタン3を押さえることによってかけられた力の下、セットバック部材9は、セットバック部材9および用量設定ノブのそれぞれ上に設けられたそれぞれの歯または畝部55および54の噛み合いによって用量設定ノブ2と係止または噛み合い係合になるように移動される。ユーザがプッシュボタン3を押さえ続けるとき、用量設定ノブ2は、用量設定ノブ2上のねじ山50とペン上側本体1内のねじ山51との間のねじ式係合によって回転させられ、遠位置方向に移動させられてペン上側本体1内に戻る。用量設定ノブ2の回転は、このとき、その係止または噛み合わされた係合により、セットバック部材9に伝えられる。ユーザがボタン3を押さえる力は、ブレーキ部材のフック143とブレーキ塔の歯157の間の摩擦に打ち勝つのに十分であり、その結果、セットバック部材9は、この方向に回転することが可能にされる。
注射中に可能にされるセットバック部材9の回転は、次いで、ブレーキ塔121に伝えられ、ブレーキ塔121は、ブレーキ塔121とセットバック部材9の間にもたらされたキー溝連結によってセットバック部材9に回転可能に固定される。図5Bおよび図5Cに示されるように、セットバック部材9の内部表面25は、図15に示されるように、ブレーキ塔121内の軸方向に延びる長穴127と係合する、内方向に延びるキー24を有する。セットバック部材9は、好ましくは、ブレーキ塔121内の2つの対向して配設された長穴127と係合するための、2つの対向して配設されたキー24を含む。セットバック部材9は、用量設定中および用量修正中、図15に示されるようなキー24および長穴127の相互連結によってブレーキ塔121に対して軸方向に移動する。ブレーキ塔121内の長穴127の長さは、単一回の注射において注射される最大用量に対応するように形作られ得る。ブレーキ塔121は、横断方向壁60によってペン上側本体1に対して軸方向に固定される。ブレーキ塔121のフランジ156の上側表面118は、図14および15に示されるように、ペン上側本体1の横断方向壁60と当接して、ブレーキ塔121の近位方向の軸方向移動を防止する。ペン上側本体1にねじ込み可能に連結されたカートリッジ18およびカートリッジハウジング17は、ブレーキ塔121の遠位方向の軸方向移動を防止する。
セットバック部材9が、注射中、用量設定ノブ2と共に回転するとき、ブレーキ塔121は、セットバック部材9と共に回転される。ブレーキ塔の歯157およびブレーキ部材のフック143の傾斜した表面158および148は係合し、ブレーキ塔121をブレーキ部材136に対して回転させる。用量送達を示す触知性信号および/またはクリック音が、ブレーキ塔の歯157がブレーキ部材のフック143の上方を滑るときに生成される。ブレーキ部材136の長穴140は、ペン上側本体1のリブ62を受け入れ、それによってブレーキ部材136の回転を防止する。
上記で説明されたように、送りねじ123は、図14および図15に示されるように、ピストンロッド161のねじ山162とねじ式係合状態にある複数のねじ山セグメント131を含む。好ましくは、図16Aおよび図16Bに示されるように、わずかなねじ山セグメントだけが送りねじ123の遠位端部に設けられる。ピストンロッド161は、ブレーキ部材136の開口部139内の長穴144内に受け入れられた軸方向に延びるキー163によってペン上側本体1に対して回転不能に保持される。キー163は、長穴144内に受け入れられて、ブレーキ部材136内のピストンロッド161の回転を防止し、ブレーキ部材136は、ブレーキ部材の長穴140がペン上側本体1のリブ62を受け入れることによって、ペン上側本体1内で回転することが防止される。軸方向に固定されたブレーキ塔121の回転は、軸方向に固定された送りねじ123を、その間のキー式連結によって回転させる。軸方向に延びるキー171は、図16Aに示されるように、送りねじ123のフランジ133の上側表面172から延びる。開口部174が、図17Bおよび図17Cに示されるように、ブレーキ塔121の近位端部において内方向に延びるフランジ175内に形成される。ブレーキ塔開口部174は、図16Aおよび図17Cに示されるように、送りねじキー171に対応するように成形される。送りねじフランジ133の上側表面172は、送りねじ123の近位移動を防止する。ブレーキ塔121の回転は、送りねじ123を、送りねじキー171とブレーキ塔の開口部174の間のキー式連結によって回転させる。送りねじのねじ山131とピストンロッド161の内部ねじ山162との間のねじ式係合は、ピストンロッド161を遠位方向にカートリッジ18内へと駆動する。ピストンロッド161の軸方向移動は、ストッパ34を遠位方向にカートリッジ18内に押し込み、それによって中に保存された薬剤を放出する。
ピストンロッド161はペン上側本体1に対して回転不能であるため、送りねじ123が、セットバック部材9に回転式に結合されたブレーキ塔121との回転式結合により、上記で説明されたように注射中に回転させられるとき、ピストンロッド161は、送りねじ123とのねじ式係合により、遠位方向に移動させられて薬剤カートリッジ18内に配設されたストッパ34を押さえ付け、それによって液体薬剤をそこから放出する。送りねじ123は、ブレーキ部材136とブレーキ塔121の間の一方向のラチェットにより、(結果的にピストンロッド161の遠位方向を生じさせる)単一の方向のみに回転可能であるため、ピストンロッド161は近位方向に移動することが防止される。したがって、ピストンロッド161は、注射の合間、ストッパ34との係合を維持するため、精密な投与が確実にされ得る。
本発明は、特定の実例となる実施形態を参照して示され説明されてきたが、これは、そのような例示的な実施形態によって制限されず、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ制限されるものとする。当業者が、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、例示的な実施形態を変更または改変できることを理解されたい。