以下、添付図面を参照しながら本発明による濃度測定装置及び濃度測定方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る濃度測定装置1の概念図である。この濃度測定装置1は、頭部51(被測定部位)の総ヘモグロビン(cHb)濃度、酸素化ヘモグロビン(O2Hb)濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン(HHb)濃度それぞれの、初期量からの時間的な変動(相対変化量)を測定し、その測定結果を表示部15に表示するものである。濃度測定装置1は、頭部51に固定されたプローブ20から所定の光入射位置に所定波長(λ1、λ2、λ3)の光を入射し、頭部51における所定の光検出位置から出射される光の強度を検出することにより、酸素化ヘモグロビン(O2Hb)及び脱酸素化ヘモグロビン(HHb)による光への影響を調べ、これに基づいて酸素化ヘモグロビン(O2Hb)及び脱酸素化ヘモグロビン(HHb)の時間的な相対変化量を繰り返し算出する。また、その算出結果である時系列データに対してフィルタ処理を施し、低周波数成分を除去する。これにより、短周期の時間変動分が抽出され、その後の必要な処理が行われる。また、その時間変動分をより見易く表示することができる。なお、所定波長の光としては、例えば近赤外光が用いられる。
図2(a)は、プローブ20の構成を示す平面図である。また、図2(b)は、図2(a)のII−II線に沿った側断面図である。プローブ20は、光入射部21と光検出部22とを有している。光入射部21と光検出部22とは、互いに例えば5cmの間隔をあけて配置され、柔軟な黒色のシリコンゴム製のホルダー23によって実質的に一体化されている。なお、この間隔は、概略3〜4cm以上あれば良い。
光入射部21は、光ファイバー24とプリズム25とから成り、濃度測定装置1の本体部10から伝送される測定光を、頭部の皮層に対してほぼ垂直に入射する構造となっている。測定光は、例えばパルス状のレーザ光であり、本体部10から送られる。
光検出部22は、頭部の内部を伝搬した測定光を検出し、測定光の強度に応じた検出信号を生成する。光検出部22は、例えば一次元の光センサであり、光入射部21からの距離方向に並べられたN個のアレイ状の光検出素子26を有している。また、光検出部22は、光検出素子26から出力される光電流を積分し、増幅するプリアンプ部27を更に有している。これにより、微弱な信号を感度良く検出して検出信号を生成し、この信号を本体部10へケーブル28を介して伝送することができる。なお、光検出部22は二次元の光センサであってもよく、また、電荷結合素子(CCD)によって構成されてもよい。プローブ20は、例えば毛髪の無い前額部に、粘着テープや伸縮性のバンド等によって固定される。
図3は、濃度測定装置1の構成例を示すブロック図である。図3に示された濃度測定装置1は、上述したプローブ20に加えて、本体部10を備えている。本体部10は、発光部11、サンプルホールド回路12、A/D変換回路13、CPU14、表示部15、ROM16、RAM17、及びデータバス18を備えている。
発光部11は、レーザダイオードおよび該レーザダイオードを駆動する回路によって構成されている。発光部11は、データバス18に電気的に接続されており、同じくデータバス18に電気的に接続されているCPU14からレーザダイオードの駆動を指示するための指示信号を受ける。指示信号には、レーザダイオードから出力されるレーザ光の光強度や波長(例えば波長λ1、λ2、λ3のうちいずれかの波長)などの情報が含まれている。発光部11は、CPU14から受けた指示信号に基づいてレーザダイオードを駆動し、光ファイバー24を介してプローブ20へレーザ光を出力する。なお、発光部11の発光素子はレーザダイオードでなくてもよく、近赤外領域の複数波長の光を順次出力できるものであればよい。また、光入射部21として、プローブ20に内臓させたLEDなどの発光ダイオードを用いてもよい。
サンプルホールド回路12及びA/D変換回路13は、プローブ20からケーブル28を介して伝送される検出信号を入力してこれを保持し、デジタル信号化を行ってCPU14に出力する。サンプルホールド回路12は、N個の検出信号の値を同時に保持(ホールド)する。サンプルホールド回路12は、データバス18に電気的に接続されており、検出信号を保持するタイミングを示すサンプル信号をCPU14からデータバス18を介して受け取る。サンプルホールド回路12は、サンプル信号を受けると、プローブ20から入力されたN個の検出信号を同時に保持する。サンプルホールド回路12は、A/D変換回路13に電気的に接続されており、保持したN個の検出信号それぞれをA/D変換回路13へ出力する。
A/D変換回路13は、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するための手段である。A/D変換回路13は、サンプルホールド回路12から受けたN個の検出信号を順にデジタル信号に変換する。A/D変換回路13は、データバス18に電気的に接続されており、変換した検出信号をデータバス18を介してCPU14へ出力する。
CPU14は、本実施形態における演算部であり、A/D変換回路13から受けた検出信号に基づいて、頭部の内部に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb、第1の相対変化量)および脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb、第2の相対変化量)を演算し、更に、必要に応じてこれらの和である総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)を演算する。更に、CPU14は、これらの時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)に対してフィルタ処理を施し、これらに含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することにより、時間変動分を抽出する。CPU14は、算出した時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)を示す時系列データをデータバス18を介して表示部15へ送る。なお、検出信号に基づく時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)の演算方法やフィルタ処理の方法については後述する。表示部15は、データバス18に電気的に接続されており、データバス18を介してCPU14から送られた結果を表示する。
また、CPU14は、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との相関係数を更に求める。また、CPU14は、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との散布図における回帰直線の傾きの極性を更に求める。なお、これら相関係数や回帰直線の傾きの極性を演算する方法については後述する。表示部15は、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)を示す時系列データと、これら相関係数の値および回帰直線の傾きの極性とを併せて表示する。或いは、表示部15は、相関係数の値および回帰直線の傾きの極性に代えて、これらに相当する別の表示要素(たとえばグラフやアイコン等)を表示してもよい。特に、相関係数については数字及びグラフのうち少なくとも一方により表示することが好ましい。
次に、濃度測定装置1の動作を説明する。併せて、本実施形態による濃度測定方法について説明する。図4は、本実施形態による濃度測定方法を示すフローチャートである。
まず、発光部11は、CPU14からの指示信号に基づいて、波長λ1〜λ3のレーザ光を順次出力する。これらのレーザ光は、光ファイバ24を伝搬して額部の光入射位置に達し、光入射位置から頭部内へ入射する(光入射ステップ、S11)。頭部内に入射されたレーザ光は、頭部内において散乱するとともに被測定成分に吸収されながら伝搬し、一部の光が額部の光検出位置に達する。光検出位置に達したレーザ光は、N個の光検出素子26によって検出される(光検出ステップ、S12)。各光検出素子26は、検出したレーザ光の強度に応じた光電流を生成する。これらの光電流は、プリアンプ部27によって電圧信号(検出信号)に変換され、これらの電圧信号は本体部10のサンプルホールド回路12に送られて保持されたのち、A/D変換回路13によってデジタル信号に変換される。
ここで、図5(a)は、波長λ1〜λ3のレーザ光の入射タイミングを示す図であり、図5(b)は、A/D変換回路13からのデジタル信号の出力タイミングを示す図である。図5に示されるように、波長λ1のレーザ光が入射すると、N個の光検出素子26に対応するN個のデジタル信号D1(1)〜D1(N)が順次得られる。続いて、波長λ2のレーザ光が入射すると、N個の光検出素子26に対応するN個のデジタル信号D2(1)〜D2(N)が順次得られる。このようにして、A/D変換回路13からは(3×N)個のデジタル信号D1(1)〜D3(N)が出力される。
続いて、CPU14が、デジタル信号D(1)〜D(N)に基づいて、ヘモグロビン酸素飽和度(TOI)を算出する。また、CPU14は、デジタル信号D(1)〜D(N)の中から少なくとも1つのデジタル信号を用いて、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)、及びこれらの和である総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)を演算する(演算ステップ、ステップS13)。そして、これらの相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)に含まれる周波数成分のうち、所定周波数より小さい周波数成分をフィルタ処理によって除去する(演算ステップ、S14)。
なお、本実施形態において、「所定周波数より小さい周波数成分を除去するフィルタ処理」とは、所定周波数より小さい周波数成分の割合を、胸骨圧迫に起因する周波数成分が十分に識別可能な程度に現れるまで小さくする処理をいい、所定周波数より小さい周波数成分を完全に除去するような処理に限られるものではない。
ここで、演算ステップS13及びS14における、CPU14による上記演算について詳細に説明する。
或る光検出位置において、時刻T0におけるレーザ光波長λ1〜λ3それぞれに応じた検出信号の値をDλ1(T0)〜Dλ3(T0)、同じく時刻T1における値をDλ1(T1)〜Dλ3(T1)とすると、時刻T0〜T1における検出光強度の変化量は、次の(1)〜(3)式のように表される。
ただし、(1)〜(3)式において、ΔOD1(T1)は波長λ1の検出光強度の時間的変化量、ΔOD2(T1)は波長λ2の検出光強度の変化量、ΔOD3(T1)は波長λ3の検出光強度の時間的変化量である。
また、時刻T0から時刻T1までの間における酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンの濃度の時間的相対変化量をそれぞれΔO2Hb(T1)及びΔHHb(T1)とすると、これらは次の(4)式によって求めることができる。
ただし、(4)式において、係数a11〜a23は、波長λ1、λ2、及びλ3の光に対するO2Hb及びHHbの吸光係数から求まる定数である。また、頭部内の総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量ΔcHb(T1)は、次の(5)式によって求めることができる。
CPU14は、N個の光検出位置の中の1つの検出信号について上記の演算を行い、酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、及び総ヘモグロビン濃度の各時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)を算出する。更に、CPU14は、こうして算出した時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)に対して、例えば以下に示される何れかのフィルタ処理を行ってもよい。
(1)デジタルフィルタによるフィルタ処理
所定の周期で得られた、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)に関するデータ列をX(n)とする。但し、nは整数である。このデータ列X(n)に対し、n=0を時間中心として、例えば以下のフィルタ係数A(n)を各データに乗ずることによって、非巡回型の線形位相デジタルフィルタが実現される。
A(0)=3/4
A(3)=A(−3)=−1/6
A(6)=A(−6)=−1/8
A(9)=A(−9)=−1/12
更に詳細に説明すると、データ列X(n)の遅延演算子は、次の(6)式によって表される。なお、fは時間周波数である(単位は1/sec)。また、ωは角周波数であり、ω=2πfである。なお、Tはデータ列X(n)が得られる周期であり、毎分150回(2.5Hz)程度までの変動波形を測定する為に、例えば1/20秒といった周期に設定される。
このとき、上述したフィルタ係数A(n)を用いた場合のデジタルフィルタ特性は、次の(7)式によって記述される。
このように、デジタルフィルタは、データ列X(n)と対応する各係数との積和演算によって表される。そして、この(7)式の時間周波数fを、毎分での時間周波数F(単位は1/min)に変換すると、次の(8)式が求められる。
図6は、このR(F)をグラフ表示したものであり、デジタルフィルタのフィルタ特性を示している。図6において、横軸は1分間あたりの心拍数であり、縦軸はR(F)の値である。また、図7は、図6に示されるデジタルフィルタを用いて、酸素化ヘモグロビンの時間的な相対変化量(ΔO2Hb)に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去し(低減し)、胸骨圧迫の繰り返しに疑似する自発心拍に起因する時間変動分を抽出した結果を示すグラフである。なお、図7において、グラフG31はフィルタ処理前の相対変化量(ΔO2Hb)を示しており、グラフG32はフィルタ処理前の相対変化量(ΔO2Hb)に含まれる長周期成分(所定周波数より小さい周波数成分)を示しており、グラフG33はフィルタ処理後の相対変化量(ΔO2Hb)を示している。図7に示されるように、上述したデジタルフィルタによって、自発心拍や胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を好適に抽出することができる。
(2)平滑演算(最小2乗誤差カーブフィッティング)によるフィルタ処理
上述したデータ列X(n)においてn=0を時間中心とし、その前後の所定時間(例えば3秒間、5拍分)の間に得られたデータ列X(n)に対して、高次関数(例えば4次関数)を用いた最小2乗誤差カーブフィッティングを行う。そして、得られた高次関数の定数項を、n=0における平滑成分(所定周波数より小さい周波数成分)と見なす。すなわち、この平滑化された周波数成分を元のデータX(0)から差し引くことによって、相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去し、胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を分離・抽出することができる。
図8は、このようなフィルタ処理を用いて、総ヘモグロビンの時間的な相対変化量(ΔcHb)に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去し(低減し)、胸骨圧迫の繰り返しに疑似する自発心拍に起因する時間変動分を抽出した結果を示すグラフである。なお、図8において、グラフG41はフィルタ処理前の相対変化量(ΔcHb)を示しており、グラフG42はフィルタ処理前の相対変化量(ΔcHb)に含まれる長周期成分(所定周波数より小さい周波数成分)を示しており、グラフG43はフィルタ処理後の相対変化量(ΔcHb)を示しており、グラフG44はフィルタ処理後の相対変化量(ΔcHb)における5秒間の平均振幅を示している。図8に示されるように、上述した平滑演算によるフィルタ処理によって、自発心拍や胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を好適に抽出することができる。
再び図4を参照すると、本実施形態の濃度測定装置1は、次の動作を行う。すなわち、上述した方法によって算出された酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との相関係数が、CPU14によって算出される。更に、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との散布図における回帰直線の傾きの極性(正又は負)が、CPU14によって算出される(演算ステップ、S15)。その後、時間的相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)を示す時系列データと、相関係数及び回帰直線の傾きの極性とが、表示部15に併せて表示される(表示ステップ、S16)。本実施形態における濃度測定装置1および濃度測定方法では、上述したステップS11〜S16が繰り返される。
ここで、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との相関係数、並びにこれらの散布図における回帰直線の傾きの極性の算出目的および算出方法について詳細に説明する。
図9(a)〜図13(a)は、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)の時系列データの実測値を示すグラフである。図9(a)〜図13(a)において、グラフG61は酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)の時系列データを示しており、グラフG62は脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)の時系列データを示している。また、図9(a)〜図13(a)において、横軸は時間(単位:秒)を表し、縦軸は時間的相対変化量の振幅(任意単位)を表している。図9(a)〜図13(a)における時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)の位相ずれ(位相差)は、それぞれ0°、45°、90°、135°、及び180°である。
また、図9(b)〜図13(b)それぞれは、図9(a)〜図13(a)それぞれに対応する、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)および脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)の散布図を示している。図9(b)〜図13(b)において、縦軸は酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb、任意単位)を表し、横軸は脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb、任意単位)を表している。そして、図9(b)〜図13(b)に描かれた直線Bは、これらの散布図における回帰直線を表している。なお、図9(b)〜図13(b)の散布図は、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)のサンプリングレートを20回/秒として5秒間測定したものであり、100個のプロットを有する。なお、後述する相関係数R2および回帰直線Bの傾きの極性を求める際には、少なくとも1周期分の時系列データがあればよい。
図9を参照すると、位相ずれ(位相差)が0°である場合には、相関係数R2は約0.89といった高い数値を示し、且つ、回帰直線Bの傾き(約1.56)の極性は正である。また、図10を参照すると、位相ずれ(位相差)が45°である場合には、相関係数R2は約0.33といった比較的低い数値を示し、且つ、回帰直線Bの傾き(約0.96)の極性は正である。そして、図11を参照すると、位相ずれ(位相差)が90°である場合には、相関係数R2はほぼゼロとなり、且つ、回帰直線Bの傾きの値もほぼゼロとなる。このように、位相ずれ(位相差)が0°〜90°の間である場合には、回帰直線の傾きの極性が正であり、位相ずれが大きくなるほど相関係数の値が小さくなる。
そして、図12を参照すると、位相ずれ(位相差)が135°である場合には、相関係数R2は約0.29といった比較的低い数値を示し、且つ、回帰直線Bの傾き(約−0.89)の極性は負である。また、図13を参照すると、位相ずれ(位相差)が180°である場合には、相関係数R2は約0.89といった高い数値を示し、且つ、回帰直線Bの傾き(約−1.56)の極性は負である。
このように、相関係数および回帰直線の傾きの極性は、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との位相ずれを的確に表す。なお、図14は、位相ずれ(位相差)が0°から180°まで30°刻みで変化したときの、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)のリサージュ図形を示すグラフである。図14において、グラフG71〜G77は、位相ずれがそれぞれ0°、30°、60°、90°、120°、150°、及び180°である場合を示している。位相ずれが0°から大きくなるにつれて楕円が膨らみ相関係数R2が減少していくが、位相ずれが90°を超えると相関係数R2が再び増加し、180°(逆相)において0°と同じ状態になる。一方、回帰直線(楕円の長軸)の傾きの極性は、位相ずれが90°より小さいときは正となるが、90°を超えると負に変化する。
以上のことから、回帰直線Bの傾きの極性と相関係数R2の大きさとを併せて参照することによって、上記した位相ずれを正確に知ることができるので、ヘモグロビン濃度や酸素飽和度の演算の正確性や、大静脈から頭部への逆方向送血の可能性を正確に評価することができる。
ここで、x,yを変数とする散布図において、回帰直線の傾きk及び相関係数R2は、それぞれ次の数式(9)、(10)によって求めることができる。
但し、Sxはxの分散であり、Syはyの分散であり、Sxyはxとyの共分散である。なお、分散Sx及びSy、並びに共分散Sxyは、それぞれ次の数式(11)〜(13)によって求められる。但し、x0及びy0は、それぞれx及びyの平均値である。また、nはサンプル数である。
なお、濃度測定装置1では、演算処理の高速化のため、以下に示す方法によって分散Sx及びSy並びに共分散Sxyを求めてもよい。すなわち、分散Sx及びSy、並びに共分散Sxyは、それぞれ次の数式(14)〜(16)によっても好適に求められる。
したがって、例えば一定時間(例えば5秒間)に得られた酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)の時系列データをx1〜xnとし、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)の時系列データをy1〜ynとして、分散Sx及びSy並びに共分散Sxyと、平均値x0及びy0とを求めるとよい。そして、これらを上述した数式(9)及び(10)に代入することによって、回帰直線の傾きk及び相関係数R2を求めることができる。
なお、酸素飽和度を求める場合は、総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)の時系列データをx1〜xnとし、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)の時系列データをy1〜ynとして、上述した数式(9)により傾きkを求めるとよい。酸素飽和度SO2は、SO2=k×100(%)として算出される。
以上の構成を備える本実施形態による濃度測定装置1および濃度測定方法による効果について、以下に説明する。
[発明が解決しようとする課題]欄で述べたように、近赤外光による酸素化ヘモグロビン濃度や脱酸素化ヘモグロビン濃度についての測定演算の信頼性を高める為には、これらのヘモグロビン濃度が、互いに同位相で変動することが重要である。しかしながら、必ずしも同位相で変動しない。したがって、近赤外光による酸素化ヘモグロビン濃度や脱酸素化ヘモグロビン濃度についての測定演算の正確性が損なわれてしまい、これらに基づいて算出される総ヘモグロビン濃度の振幅や酸素飽和度についても正しい数値を得ることが困難となる。
本実施形態による濃度測定装置1および濃度測定方法では、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)を求めるとともに、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)との相関係数R2、及び、これらの相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)の散布図における回帰直線Bの傾きkの極性(正又は負)を求めている。前述したように、これらの相関係数R2および回帰直線Bの傾きkの極性は、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれを的確に表す。したがって、回帰直線Bの傾きkの極性と相関係数R2の大きさとを併せて参照することによって、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれを正確に知ることができる。すなわち、本実施形態による濃度測定装置1および濃度測定方法によれば、CPU14が回帰直線Bの傾きkの極性と相関係数R2の大きさとを求めることによって、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく、総ヘモグロビン濃度の振幅や酸素飽和度の演算の正確性を容易に評価することができる。
ここで、図15(a)は、図9(a)に示された時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)にノイズを混入させた時系列データを示すグラフである。グラフG81は酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)の時系列データを示しており、グラフG82は脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)の時系列データを示している。また、図15(b)は、図15(a)に対応する、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)の散布図を示している。なお、図15(b)に描かれた直線Bは回帰直線を表している。図15を参照すると、位相ずれ(位相差)が0°であっても、ノイズの混入によって、相関係数R2が約0.22といった低い数値を示している。このように、本実施形態の濃度測定装置1および濃度測定方法によれば、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)にノイズが混入した場合における演算の信頼性を評価することも可能である。
また、CPU14は、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)に基づいて総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)を更に求め、表示部15は、この時間的相対変化量(ΔcHb)と、相関係数R2及び回帰直線Bの傾きkの極性とを併せて表示してもよい。これにより、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく、総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)の演算の正確性を容易に確認することができる。そして、この場合、表示部15は、相関係数R2を例えば数字やグラフで表示するとよい。
また、CPU14は、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb)に基づいて酸素飽和度SO2を更に求め、表示部15は、酸素飽和度SO2と、相関係数R2及び回帰直線Bの傾きkの極性とを併せて表示してもよい。これにより、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく、酸素飽和度SO2の演算の正確性を容易に確認することができる。そして、この場合においても、表示部15は、相関係数R2を例えば数字やグラフで表示するとよい。
本発明による濃度測定装置及び濃度測定方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態に係る濃度測定装置1および濃度測定方法では、総ヘモグロビン濃度、酸素化ヘモグロビン濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)を求めているが、本発明に係る濃度測定装置及び濃度測定方法では、総ヘモグロビン濃度及び酸素化ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb)のうち少なくとも一方を求めることによって、胸骨圧迫が適切に行われているか否かに関する客観的な判断材料を提示することができる。
また、本発明に係る濃度測定装置及び濃度測定方法におけるフィルタ処理は、上記実施形態に例示したものに限られず、相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb)から所定周波数より小さい周波数成分を除去することが可能なフィルタ処理であれば、本発明において好適に用いられる。
また、本発明では、総ヘモグロビン濃度、酸素化ヘモグロビン濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)と同様に近赤外分光分析によって求められるヘモグロビン酸素飽和度(TOI)についても、グラフ若しくは数値としてこれらと共に表示部に表示してもよい。これにより、胸骨圧迫による脳酸素状態の改善を確認することができ、施行者のモチベーションを維持することができる。なお、このTOIは、所定時間(例えば5秒間)の平均値であってもよい。
なお、以上に説明した濃度測定装置及び濃度測定方法では、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく演算の正確性等を、相関係数及び回帰直線の傾きの極性によって評価する。しかしながら、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれそのものを算出することでも、演算の正確性等を評価することが可能である。酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれは、例えば以下の第1及び第2の方法のうちいずれかによって好適に算出される。
(第1の方法)
まず、酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、及び総ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)の振幅AΔO2Hb、AΔHHb、及びAΔcHbを求める。ここで、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相差をθとすると
AΔcHb 2=AΔO2Hb 2+AΔHHb 2+2AΔO2HbAΔHHbCOSθ
であるから、位相差は、次の演算式
θ=COS−1{(AΔcHb 2−AΔO2Hb 2−AΔHHb 2)/2AΔO2HbAΔHHb}
により算出される。したがって、例えば、過去5秒間における各相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)の平均振幅から位相差θを求め、この位相差θを例えば1秒毎に更新して表示部に表示するとよい。また、位相差θのおおよその目安を示すパラメータとして、AΔcHbと(AΔO2Hb+AΔHHb)との比であるAΔcHb/(AΔO2Hb+AΔHHb)を表示してもよい。ΔO2HbとΔHHbとが互いに同位相のときこの値は1となり、位相差が大きくなるに従い減少する。
(第2の方法)
まず、数式(17)に示される酸素化ヘモグロビン濃度O2Hb(t)と脱酸素化ヘモグロビン濃度HHb(t)との相互相関関数z(τ)を、注目している1回のデータ解析範囲T(例えば5秒間)に亘って(t=0〜T)演算する。この時、τを0から測定周期(例えば1/20秒)の刻みで変化させ、少なくとも変動周期(t0)に亘ってZ(τ)を計算する。
次に、相互相関関数z(τ)がピークとなる時間(τ=T0)を求める。そして、関係式θ=360×(T0/t0)を用いて、位相差θを算出する。例えば、過去5秒間における酸素化ヘモグロビン濃度O2Hb(t)と脱酸素化ヘモグロビン濃度HHb(t)を用いて時間T0及び位相差θを求め、これらを例えば1秒毎に更新して表示部に表示するとよい。
なお、表示部において位相差θを表示する際、例えば酸素化ヘモグロビン濃度O2Hb(t)と脱酸素化ヘモグロビン濃度HHb(t)の実波形を表示する方法や、位相差θを数字(0°、20°など)で表示する方法等がある。また、位相差θが所定値を超えた場合には、総ヘモグロビン濃度の振幅値や酸素飽和度値の表示と併せて注意表示を行うとよい。例えば、位相差θが30°以上(COSθ<0.86)ずれた時には数字を黄色で点滅させ、60°以上(COSθ<0.50)ずれた時には数字を赤色で点滅させるとよい。
また、胸骨圧迫の繰り返しに起因して変動する、頭部の酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量を測定する濃度測定装置および濃度測定方法において、演算部は、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な第1の相対変化量と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な第2の相対変化量の該相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去するフィルタ処理手段(フィルタ処理ステップ)を備えることが好ましい。これにより、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を好適に抽出することができる。
(付記)
上述した実施形態の濃度測定装置及び濃度測定方法は、以下に記す課題をも解決することができる。
近年の救急救命分野における主要な対象患者は、病院外での心肺停止者である。病院外での心肺停止者は年間10万人を超えており、これらの患者の救命は大きな社会的要請となっている。病院外での心肺停止者に対する必須の処置は、人工呼吸と併用して行われる胸骨圧迫である。胸骨圧迫とは、胸骨の下半分を他者の手で周期的に圧迫することにより、停止している心臓に人工的な拍動を与える行為である。胸骨圧迫の主要な目的は、心肺停止者の脳へ血液酸素を供給することである。したがって、胸骨圧迫が適切に行われているか否かは、心肺停止者の生死を大きく左右する。故に、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを客観的に判断するための有用な方法や装置が望まれている。
例えば、頭部の酸素化ヘモグロビン濃度の相対変化量を、近赤外光による濃度測定装置を用いて心拍周波数より十分速い周波数で測定すると、胸骨圧迫において胸骨を周期的に圧迫する毎に、頭部の内部(すなわち脳)の酸素化ヘモグロビン濃度や脱酸素化ヘモグロビン濃度に一定の変化が生じる。この現象は、胸骨圧迫により脳内の血流が増加することに起因すると考えられ、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを判断するための客観的な材料になり得る。
但し、近赤外光による酸素化ヘモグロビン濃度や脱酸素化ヘモグロビン濃度を用いた演算(例えば酸素飽和度の演算)の信頼性を高める為には、これらのヘモグロビン濃度が、胸骨圧迫のタイミングと同期して互いに同位相で変動することが重要である。しかしながら、本発明者の知見によれば、自発心拍では同位相で変動するが、心停止患者への胸骨圧迫においては必ずしも同位相で変動しない。自発心拍では、左右の心房と心室の系統的な収縮・拡張により逆流防止弁が機能的に働き、大静脈から大動脈へ一方向的に血液が送られるが、胸骨圧迫では、停止した心臓全体を押しつける形で血流を生じさせるため、大静脈からの逆方向の送血が生じ易く、これが頭部における酸素化ヘモグロビン濃度の位相と脱酸素化ヘモグロビン濃度の位相とのずれの一因となるからである。
こうした状況では、酸素化ヘモグロビン濃度や脱酸素化ヘモグロビン濃度を用いた演算の正確性が損なわれてしまい、総ヘモグロビン濃度の振幅や酸素飽和度についても正しい数値を得ることができない。また、大静脈から脳への逆方向の送血そのものも好ましいものではない。しかしながら、従来の濃度測定装置には、これらの状況を評価し得るものが存在しなかった。
上述した課題を解決するために、上記実施形態による濃度測定装置は、胸骨圧迫の繰り返しに起因して変動する、頭部の酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量を測定する濃度測定装置であって、頭部に測定光を入射する光入射部と、頭部の内部を伝搬した測定光を検出し、該測定光の強度に応じた検出信号を生成する光検出部と、検出信号に基づいて、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な第1の相対変化量と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な第2の相対変化量との位相ずれを表す数値を求める演算部とを備える。
また、上記実施形態による濃度測定方法は、胸骨圧迫の繰り返しに起因して変動する、頭部の酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量を測定する濃度測定方法であって、頭部に測定光を入射する光入射ステップと、頭部の内部を伝搬した測定光を検出し、該測定光の強度に応じた検出信号を生成する光検出ステップと、検出信号に基づいて、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な第1の相対変化量と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な第2の相対変化量との位相ずれを表す数値を求める演算ステップとを備える。
これらの濃度測定装置および濃度測定方法では、演算部若しくは演算ステップにおいて、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量を求めるとともに、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量(第1の相対変化量)と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量(第2の相対変化量)との位相ずれを表す数値を求めている。これにより、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく、総ヘモグロビン濃度の振幅や酸素飽和度の演算の正確性、及び大静脈から頭部への逆方向送血の可能性を容易に評価することができる。
また、これらの濃度測定装置および濃度測定方法では、演算部若しくは演算ステップが、第1及び第2の相対変化量に基づいて総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量を更に求め、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、位相ずれを表す数値とを併せて表示する表示部若しくは表示ステップを更に備えてもよい。これにより、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の正確性を胸骨圧迫の施行者等が容易に確認することができる。この場合、表示部若しくは表示ステップは、位相ずれを表す数値を数字及びグラフのうち少なくとも一方により表示してもよい。
また、これらの濃度測定装置および濃度測定方法では、演算部若しくは演算ステップが、第1及び第2の相対変化量に基づいて酸素飽和度を更に求め、酸素飽和度と、位相ずれを表す数値とを併せて表示する表示部若しくは表示ステップを更に備えてもよい。これにより、酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度との位相ずれに基づく、酸素飽和度の正確性を胸骨圧迫の施行者等が容易に確認することができる。この場合、表示部若しくは表示ステップは、位相ずれを表す数値を数字及びグラフのうち少なくとも一方により表示してもよい。