JP2004154481A - 筋肉疲労度合い測定装置又は方法 - Google Patents

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照正 東
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Abstract

【課題】筋肉疲労度合いを定量的に測定できる簡易な装置を構築する。
【解決手段】経皮的電気刺激手段と、身体内の一定領域の酸素化ヘモグロビンの量と脱酸素化ヘモグロビンの量とを連続して測定する無侵襲酸素量計測手段と、演算部とを含む筋肉疲労度合い測定装置を提供する。該装置において、経皮的電気刺激手段により、通電期間と休止期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に電気刺激を周期的に与え、同時に、上記の電気刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、無侵襲酸素量計測手段により、酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量とを連続して所定時間測定する。そして、上記無侵襲酸素量計測手段により計測されたデータを上記演算部で記録し、更に上記演算部により、複数の連続するサイクルにおける脱酸素化ヘモグロビンの増減波と酸素化ヘモグロビン増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筋肉疲労・肩こりの度合いを、定量的に測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
そもそも人体における「疲れ」には、肉体的要因のみならず精神的要因も寄与する。その中から「筋肉疲労」を科学的に捉えるのは難しい。
【0003】
仮に、例えばスポーツ競技者が疲労、特に筋肉疲労を早めに的確に科学的に捉えることができれば、オーバートレーニングの予防に繋げられるが、現状では可能とはいえない。
【0004】
同様に、「肩こり」も自覚症状であるがゆえに定量的に捉えることが困難である。仮に、筋肉の凝り具合を定量的に捉えることができれば、医師や整体師等が加療する際の基準を提示することも可能になる。また、「肩こり」で悩む人は自らの状態を客観的且つ的確に理解できる。これは心因的な負担を除去することに繋がり得る。しかしかような技術は現状十分なものでなはい。
【0005】
従来、筋肉疲労を捉える方法として血液中の乳酸濃度を測定する、というものがある。この方法は、乳酸濃度と筋肉の疲労度とには相応の相関関係が存在することを利用する。但し、血液中の乳酸濃度を測定するためには、少ないとはいえ身体への侵襲を伴う。そうすると測定可能な周囲の状況や、測定可能な身体の部位は、自ずと限定されてしまうことになる。
【0006】
また従来、肩こりを捉える装置として、筋肉を皮膚表面から押さえて強ばりを測定する硬度計がある。ただし、このような装置も即物的に身体の硬度を測定するのみであり、疲労具合の把握の目安とはなり得ても「疲労」を定量的に提示するものとは言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、筋肉疲労・肩こりの度合いを、定量的に測定できる簡易な装置を構築することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために為されたものである。本発明に係る請求項1に記載の筋肉疲労度合い測定装置は、
身体の一部の筋肉を周期的に圧迫し得る筋肉圧迫手段と、
身体内の一定領域の動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して測定する血液量変化計測手段と、
データを記録し演算する演算部とを含む。その筋肉疲労度合い測定装置において、
筋肉圧迫手段により、身体の一部の筋肉を圧迫する筋肉圧迫期間とその圧迫を解消する筋肉圧迫解消期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に圧迫刺激を周期的に与え、
上記の圧迫刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、血液量変化計測手段により、動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して所定時間測定し、
上記血液量変化計測手段により計測されたデータを上記演算部で記録し、
上記の記録された計測データから、上記演算部により、複数の連続するサイクルにおける動脈血の増減波と静脈血の増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する。
【0009】
本発明に係る請求項2に記載の筋肉疲労度合い測定装置は、
経皮的電気刺激手段と、
身体内の一定領域の酸素化ヘモグロビンの量と脱酸素化ヘモグロビンの量とを連続して測定する無侵襲酸素量計測手段と、
データを記録し演算する演算部とを含む。その筋肉疲労度合い測定装置において、
経皮的電気刺激手段により、電気を通す通電期間と電気を通さない休止期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に電気刺激を周期的に与え、
上記の電気刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、無侵襲酸素量計測手段により、酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量とを連続して所定時間測定し、
上記無侵襲酸素量計測手段により計測されたデータを上記演算部で記録し、
上記の記録された計測データから、上記演算部により、複数の連続するサイクルにおける脱酸素化ヘモグロビンの増減波と酸素化ヘモグロビン増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する。
【0010】
本発明に係る請求項3に記載の筋肉疲労度合い測定方法は、
身体の一部の筋肉を周期的に圧迫し得る筋肉圧迫手段と、
身体内の一定領域の動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して測定する血液量変化計測手段と、
データを記録し演算する演算部とを含む、筋肉疲労度合い測定装置において、
・筋肉圧迫手段が、身体の一部の筋肉を圧迫する筋肉圧迫期間とその圧迫を解消する筋肉圧迫解消期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に圧迫刺激を周期的に与える工程1と、
・上記工程1と同時に、上記の圧迫刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、血液量変化計測手段が、動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して所定時間測定する工程2と、
・上記工程2と同時に、上記血液量変化計測手段が計測したデータを上記演算部が記録する工程3と、
・上記の記録された計測データを基にして、上記演算部が、複数の連続するサイクルにおける動脈血の増減波と静脈血の増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する工程4と
を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る請求項4に記載の筋肉疲労度合い測定方法は、
経皮的電気刺激手段と、
身体内の一定領域の酸素化ヘモグロビンの量と脱酸素化ヘモグロビンの量とを連続して測定する無侵襲酸素量計測手段と、
データを記録し演算する演算部とを含む、筋肉疲労度合い測定装置において、
・経皮的電気刺激手段が、電気を通す通電期間と電気を通さない休止期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に電気刺激を周期的に与える工程1と、
・上記工程1と同時に、上記の電気刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、無侵襲酸素量計測手段が、酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量とを連続して所定時間測定する工程2と、
・上記工程2と同時に、上記無侵襲酸素量計測手段が計測したデータを上記演算部が記録する工程3と、
・上記の記録された計測データを基にして、上記演算部が、複数の連続するサイクルにおける脱酸素化ヘモグロビンの増減波と酸素化ヘモグロビン増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する工程4と
を含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態を説明する。
【0013】
1.筋肉疲労度合い測定装置の全体構成について
図1は、本発明の好適な実施形態に係る筋肉疲労度合い測定装置2の概略の全体構成図である。該筋肉疲労度合い測定装置2は、大きく3つの部位、即ち、近赤外線分光装置4、低周波電気刺激装置22及び計算機8から構成される。
【0014】
近赤外線分光装置4は、現在商業的に入手可能な無侵襲の酸素モニタである。該装置4は、NIRS(Near Infra−Red Spectroscopy;近赤外分光法)プローブ20と本体部6とを含み、それらNIRSプローブ20と本体部6は第1のケーブル18により接続される。
【0015】
図2(1)は、NIRSプローブ20の身体に接触する面の概略図である。よく知られているように、NIRSプローブ20には発光部30及び受光部32が備わる。第1のケーブル18を介して本体部6から送られる近赤外線が、その発光部20から発出される。発出された近赤外線の一部は、(身体内での)反射の後受光部32にて受光され、第1のケーブル18を介して本体部6に送られる。
【0016】
図2(2)は、NIRSプローブ20と身体との関係を示す断面図である。NIRSプローブ20は発光部30及び受光部32を身体側に向け身体の一部に密着して設定される。血液中の酸素化(OxyHb)ヘモグロビンと脱酸素化(DeoxyHb)ヘモグロビンとは近赤外光吸収特性において、違いが存在する。このことを利用して、本体部6はNIRSプローブ20の発光及び受光を分析し酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンとの量乃至濃度を連続的に測定するが、そのような測定技術は公知の技術である。つまり、NIRSプローブ6は、幅数cm(例えば3cm)深さ数cm(例えば3cm)の領域の測定を行うように設計されており、その領域での酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの量(ひいては濃度)を測定することになる(図3参照)。図3の下部は、皮膚、組織及び身体内の毛細血管を模式的に示す。黒点は模式的に表されたヘモグロビンである。また、「連続的に測定する」のであるが、通常は単位時間(例えば、1秒)おきに続けて測定される。
【0017】
更に、動脈血のヘモグロビンは主として酸素化ヘモグロビンであり静脈血のヘモグロビンは主として脱酸素化ヘモグロビンであるから、NIRSプローブ20測定領域における動脈血の量は、酸素化ヘモグロビン量の変動と相関して変動するといえる。同様に、同領域における静脈血の量は、脱酸素化ヘモグロビン量の変動と相関して変動するといえる。
【0018】
再び図1に戻る。低周波電気刺激装置22はやはり商用装置であり、いわゆる「低周波マッサージ器」として一般に販売されている。例えば、電源電圧12V、出力電流14mA(1kΩ抵抗負荷)などであり、通電時間、休止時間、刺激強度、温度は自由に設定され得るものである。該低周波電気刺激装置22は、2個のTES(Transcutaneous Electric Stimulation)プローブ26と操作部22とを備え、図1に示すように第2のケーブル24で繋がれている。上記の通電時間、休止時間、刺激強度、温度は、操作部22にて設定される。
【0019】
計算機8は、通常のパソコン(パーソナルコンピュータ)であり、表示部12、入力部14及び制御部10などを備える。制御部10は、通常の計算機と同様に、演算、記録及び通信操作などを行なう。
【0020】
近赤外線分光装置4の本体部6と、計算機8の制御部10とは、第3のケーブル16により接続している。本体部6はプロセッサの機能を備えており、よって所与の制御操作及びデータ演算・記録を行うことができる。但し、それらの機能は豊富なものではなく、例えば大量又は複雑なデータ演算やデータ記録は、計算機8で行う。そのデータの運搬のために上記第3のケーブル16が設定されている。
【0021】
ここでの、近赤外線分光装置4の本体部6と計算機8の制御部10とのデータの遣り取りは、ケーブルを介さずに例えばフロッピーディスクで行うようにしてもよい。
【0022】
図4は、NIRSプローブ20と2個のTESプローブ26の測定時の概略の(身体への)配置例を示す。図4では、右肩僧帽筋にNIRSプローブ20が当てられ、それを挟むようにTESプローブ26が貼付されている。
【0023】
図4の状態で、TESプローブ26を通じて低周波電気刺激が右僧帽筋上部の一部分に加えられる。低周波刺激は、通電時間を数秒(例えば、3.5秒、6.5秒、10.5秒)、休止時間を相対的に短い数秒(例えば、1.5秒、3.5秒、5.5秒)として、両者を組み合わせて(例えば数分間)繰り返される。
【0024】
図4のようにして低周波刺激が繰り返し与えられている際に、近赤外分光装置4により近赤外分光法が施され、計測対象領域の酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの量の推移が計測される。ここで、通電時間においては動脈静脈を含む計測対象の筋肉領域は圧迫を受ける。従って、通電時間(即ち、圧迫期間)には血管(動脈、静脈)の収縮により(計測対象領域における)血液が減る。逆に、休止時間では圧迫が解消され、血管(動脈、静脈)の復元により(計測対象領域における)血液量が回復する。酸素化ヘモグロビン(OxyHb)量と脱酸素化ヘモグロビン(DeoxyHb)量も、その繰り返しに略同調して、図5に示すような周期毎の増減を繰り返す。図5には、酸素化ヘモグロビン(OxyHb)量と脱酸素化ヘモグロビン(DeoxyHb)量の変動の例を示す。
【0025】
2.筋肉疲労と位相差の発生
ところで、計測対象の筋肉が低周波刺激を数多く累積的に受ける程、DeoxyHbの増減とOxyHbの増減とに時間的な「ずれ」が生じることを、発明者は把握した。しかもその「ずれ」は、DeoxyHb量がOxyHb量に位相上先行する、というものである。図5の変動グラフでは、約1/3周期(約1.6秒)DeoxyHb量がOxyHb量に先行している。
【0026】
発明者は、まず、DeoxyHbの増減及びOxyHbの増減を形成する低周波刺激そのものが、DeoxyHbの増減とOxyHbの増減との位相差を形成することに関し、以下のような実験(2−(1)実験1)を行った。
【0027】
2−(1)実験1(TESによる慢性的な疲労での検討)
実験対象たる被験者は、健常青年女子3名である。何れの対象にも、図4のように、右肩僧帽筋の筋腹にNIRSプローブ20と2個のTESプローブ26を貼った。電気刺激は、1サイクルが通電時間3.5秒と休止時間1.5秒で構成される。この電気刺激を1日あたり40分間、3日間に渡り、略同時刻に与え、その間のDeoxyHbの増減とOxyHbの増減とを観察した。上記の刺激40分のうち、図6(1)示すように始め5分間(0〜5分)と終わり5分間(35から40分)において、Deoxy量とOxy量とを計測・解析した。
【0028】
その解析では、1回の刺激(1回/5秒)に応答するDeoxyHb(の増減)波とOxyHb(の増減)波との、各々の最高点間の時間差を、多数の刺激に関して計測した。それら計測値を0.5秒毎のグループに分類し、図6(2)のようにヒストグラム化した。図6(2)のヒストグラムで、夫々のグループの値の範囲は、次の表1の通りである。
【表1】
Figure 2004154481
【0029】
図6(2)から明白なように、日が進むに連れて「ずれ」の時間の平均値が大きくなっている。被験者においては筋肉痛の自覚症状が認められた。即ち、被験者は肩の腫脹を訴え、客観的にも腫れが示されていた。更に、日を追うごとに筋肉痛の自覚症状が明確化していた。
【0030】
従って、TES(経皮的電気刺激)の運動負荷による慢性的な疲労から、「ずれ」時間の拡大が生じていると言える。
【0031】
上記の「ずれ」の発生は次のように説明され得る。まず、筋肉が疲労していない状態では、経皮的電気刺激(TES)による筋収縮で動脈と静脈とは同時に圧迫される。このときずれは発生しない。一方、筋疲労状態では、筋肉は浮腫によって既に圧迫された状態になっている。ここで、動脈に比べて弾力性に乏しい静脈は、疲労していないときに比べ弱い刺激でも圧迫により変形を始めることになる。他方で動脈は、弾力性があるという特性から、かような浮腫による影響を受けにくく圧迫により変形する時点が静脈より遅れることになる。
【0032】
続いて、発明者は、ダンベル運動のような集中的な運動による筋肉への負荷が、DeoxyHbの増減とOxyHbの増減との位相差を形成することに関し、以下のような実験(2−(2)実験2)を行った。
【0033】
2−(2)実験2(ダンベル運動による急性的な疲労での検討)
実験対象たる被験者は、健常青年女子2名である。一方の被験者(被験者A)は図8(1)に示されるダンベル持ち上げ運動を(i)180回(ii)100回行い、他方の被験者(被験者B)は図8(2)に示されるダンベル抱え込み運動を(i)150回(ii)100回行った。かようなダンベル運動の前と後とに、低周波電気刺激装置による刺激を5分間ずつ掛け、そのとき同時に近赤外線分光装置によりDeoxyHbの増減とOxyHbの増減とを観察しデータの解析を行った。解析法は実験1と同様であり、結果を図7のヒストグラムに示す。
【0034】
なお、NIRSプローブ20と2個のTESプローブ26の貼付位置も上記実験1と同じである。電気刺激における通電時間と休止時間も、上記実験1と同様に夫々、3.5秒及び1.5秒である。
【0035】
図7(1)はダンベル運動前の状態のヒストグラム、図7(2)はダンベル運動後の状態のヒストグラムである。図7(1)(2)から明白なように、運動後に「ずれ」の時間の平均値が大きくなっている。被験者においては運動後に筋肉痛の自覚症状が認められた。即ち、急性的な運動を行った実験2においても、被験者は肩の腫脹を訴えたのであり、客観的にも腫れが見られた
【0036】
従って、ダンベル運動負荷による急性的な疲労からも、TESの刺激負荷による慢性的な疲労と同様に、「ずれ」時間が生じていると言える。
【0037】
3.位相差の存在及び大小と筋肉疲労
上記の実験1及び実験2から明白なように、DeoxyHbの増減とOxyHbの増減の位相差を、筋肉疲労の指標値とすることが可能である。
【0038】
しかも、実験1からは疲労が進む程、位相差も拡大することが把握できる。但し、筋肉の浮腫状態の限度、動脈の弾性力、静脈の弾性力、及び1サイクルの時間長から、上記位相差(「ずれ」)の大きさには限度があることは明白である。
【0039】
従って、位相差の段階値を、筋肉疲労の段階的な指標値とすることもできる。例えば、1.5秒が位相差の上限値であるならば、0秒から1.5秒を
(段階0)0.0秒以上〜0.2秒未満、
(段階1)0.2秒以上〜0.8秒未満、
(段階2)0.8秒以上〜1.2秒未満、
(段階3)1.2秒以上〜1.5秒以下
の4つの段階に分け、
・(段階0)であるならば、「殆ど疲労は無い」とし、
・(段階1)であるならば、「少し疲労している」とし、
・(段階2)であるならば、「非常に疲労している」とし
・(段階3)であるならば、「危険な状態にまで疲労している」として、
医師や整体師の加療や、スポーツ競技者のコンディショニングでの参考値にできる。例えば、スポーツ競技者であれば、段階1に到ればトレーニング量を半分にし、段階2に到ればトレーニングを休止し、段階3に到れば医師に相談する、などの行動を起こす際の参考にできる。
【0040】
また、実験1及び実験2において、経皮的電気刺激の1サイクルは通電時間3.5秒と休止時間1.5秒で構成される。DeoxyHbの増減とOxyHbの増減の計測は、5分間を単位に行われた。もちろん、電気刺激の内容や観察期間の長さはそれらに限定されるものではない。例えば、1サイクルが通電時間3.4秒と休止時間1.6秒で構成される電気刺激を1分間与え、そこからDeoxyHbの増減の最高点とOxyHbの増減の最高点との差の平均値を求め、それを指標値とする等してもよい。
【0041】
さらに、毎日の位相差の値を計算機8に記録し、位相差の値の変化率を算出することもできる。かような変化率を算出・検討することにより、同じ筋肉疲労の段階(即ち、略同じ位相差の値)にあっても回復傾向であるのか、若しくは疲労蓄積傾向であるのかの差異から、トレーニング指針や加療指針に変化を持たせることも可能である。
【0042】
上記のような変化率は、毎時の位相差の値から(即ち、1時間おきの位相差の計測値から)算出することも可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明を利用することにより、筋肉疲労・肩こりの度合いを、定量的に測定できる簡易な装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る筋肉疲労度合い測定装置の概略の全体構成図である。
【図2】(1)は、NIRSプローブの身体に接触する面の概略図である。(2)は、NIRSプローブと身体との関係を示す断面図である。
【図3】発光部、受光部、皮膚、組織及び身体内の毛細血管を示す模式図である。
【図4】NIRSプローブと2個のTESプローブの測定時の概略の(身体への)配置例を示す。
【図5】酸素化ヘモグロビン(OxyHb)量と脱酸素化ヘモグロビン(DeoxyHb)量の変動の例を示す。
【図6】(1)実験1の条件と、(2)実験1の解析結果である。
【図7】実験2の解析結果であり、(1)はダンベル運動前の状態のヒストグラム、(2)はダンベル運動後の状態のヒストグラムである。
【図8】実験2の条件を模式的に示す。
【符号の説明】
2・・・筋肉疲労度合い測定装置、4・・・近赤外線分光装置、8・・・計算機、20・・・NIRSプローブ、22・・・低周波電気刺激装置、26・・・TESプローブ、30・・・発光部、32・・・受光部。

Claims (4)

  1. 身体の一部の筋肉を周期的に圧迫し得る筋肉圧迫手段と、
    身体内の一定領域の動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して測定する血液量変化計測手段と、
    データを記録し演算する演算部とを含む、筋肉疲労度合い測定装置において、
    筋肉圧迫手段により、身体の一部の筋肉を圧迫する筋肉圧迫期間とその圧迫を解消する筋肉圧迫解消期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に圧迫刺激を周期的に与え、
    上記の圧迫刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、血液量変化計測手段により、動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して所定時間測定し、
    上記血液量変化計測手段により計測されたデータを上記演算部で記録し、
    上記の記録された計測データから、上記演算部により、複数の連続するサイクルにおける動脈血の増減波と静脈血の増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する、
    筋肉疲労度合い測定装置。
  2. 経皮的電気刺激手段と、
    身体内の一定領域の酸素化ヘモグロビンの量と脱酸素化ヘモグロビンの量とを連続して測定する無侵襲酸素量計測手段と、
    データを記録し演算する演算部とを含む、筋肉疲労度合い測定装置において、
    経皮的電気刺激手段により、電気を通す通電期間と電気を通さない休止期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に電気刺激を周期的に与え、
    上記の電気刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、無侵襲酸素量計測手段により、酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量とを連続して所定時間測定し、
    上記無侵襲酸素量計測手段により計測されたデータを上記演算部で記録し、
    上記の記録された計測データから、上記演算部により、複数の連続するサイクルにおける脱酸素化ヘモグロビンの増減波と酸素化ヘモグロビン増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する、
    筋肉疲労度合い測定装置。
  3. 身体の一部の筋肉を周期的に圧迫し得る筋肉圧迫手段と、
    身体内の一定領域の動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して測定する血液量変化計測手段と、
    データを記録し演算する演算部とを含む、筋肉疲労度合い測定装置において、
    ・筋肉圧迫手段が、身体の一部の筋肉を圧迫する筋肉圧迫期間とその圧迫を解消する筋肉圧迫解消期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に圧迫刺激を周期的に与える工程1と、
    ・上記工程1と同時に、上記の圧迫刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、血液量変化計測手段が、動脈血の量変化と静脈血の量変化とを連続して所定時間測定する工程2と、
    ・上記工程2と同時に、上記血液量変化計測手段が計測したデータを上記演算部が記録する工程3と、
    ・上記の記録された計測データを基にして、上記演算部が、複数の連続するサイクルにおける動脈血の増減波と静脈血の増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する工程4と
    を含むことを特徴とする筋肉疲労度合い測定方法。
  4. 経皮的電気刺激手段と、
    身体内の一定領域の酸素化ヘモグロビンの量と脱酸素化ヘモグロビンの量とを連続して測定する無侵襲酸素量計測手段と、
    データを記録し演算する演算部とを含む、筋肉疲労度合い測定装置において、
    ・経皮的電気刺激手段が、電気を通す通電期間と電気を通さない休止期間とからなるサイクルを繰り返して、身体の一部に電気刺激を周期的に与える工程1と、
    ・上記工程1と同時に、上記の電気刺激が与えられる身体の一部の内の一定領域に対して、無侵襲酸素量計測手段が、酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量とを連続して所定時間測定する工程2と、
    ・上記工程2と同時に、上記無侵襲酸素量計測手段が計測したデータを上記演算部が記録する工程3と、
    ・上記の記録された計測データを基にして、上記演算部が、複数の連続するサイクルにおける脱酸素化ヘモグロビンの増減波と酸素化ヘモグロビン増減波との上記所定時間での平均位相差を算出する工程4と
    を含むことを特徴とする筋肉疲労度合い測定方法。
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