JP6411099B2 - 地盤注入工法 - Google Patents
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Description
単管ロッド工法、二重管ストレーナ工法及び二重管ダブルパッカ工法の注入速度は8L/分以上、結束細管多点注入工法の注入速度は6L/分程度である。透水係数が5×10-4cm/sec〜1×10-3cm/sec程度の細粒分を多く含む砂地盤において、浸透注入を確保するための注入速度は、Maagの理論などによると、4.5L/分以下である。構造物近傍において、これを超える注入速度で注入を行った場合、割裂注入により所定範囲外に薬液が逸走し、構造物に変位を生じさせることになる。
二重管ストレーナ工法の単相式及び複相式は、瞬結材を使用するが、瞬結材は10秒程度で固まるため、一瞬にして応力を発生し、近接構造物に影響を及ぼす。
二重管ストレーナ工法の地山パッカ方式は、パッカ装置を用いて地山とシールを行うことで注入材の逸走を防止し、注入材の吐出部の長さを1mと長くしてポンプ吐出量を多くした工法である。崩壊性地盤においては、外径100mm程度のケーシングパイプによる先行削孔を必要とするため非効率である。さらに、砂シルト互層地盤においては、吐出部の長さが長いため、特定の層だけに注入材が逸走することが懸念される。また、パッカ装置が介在砂層に設置された場合、当該層は改良できない。
したがって、工期を短縮する必要がある場合は、ボーリングマシンの台数を増やして対応する必要があるが、空頭制限下(内空高さ2.5m以下)の構造物や、10m2以下の小断面トンネル、樋管などの小断面構造物内においては、台数を増やすことができない。
注入外管は、注入内管の挿入を阻害しない程度に剛性を有しており、空頭制限下(内空高さ2.5m以下)の構造物や、10m2以下の小断面トンネル、樋管などの小断面構造物内においては、削孔穴に注入外管を挿入する際、注入外管が長すぎる場合には挿入が困難である。注入外管を短く加工して、これを接続しながら削孔穴に挿入する場合、施工が煩雑で施工歩掛かりが著しく低下する。
一箇所に設置される結束細管を構成する細管の本数は、注入ステップ数と同じであり、細径のケーシングパイプを用いることができない。
さらに、結束細管多点注入工法は、薬液のゲルタイムが数十分〜10時間程度の緩結材を使用するのが標準である。構造物直下や外周に空洞がある場合、空洞に充填するためにゲルタイムが数十秒〜数分の中結材を用いると、結束細管を構成する細管の本数が二倍必要となり、結束細管束が太くなるため、削孔穴がさらに大きくなり、躯体の損傷が大きくなる。
「10m2以下の小断面トンネル内」の施工にあっては、単管ロッド工法、二重管ストレーナ工法、二重管ダブルパッカ工法は、歩掛かりが低下し、地盤注入工法の施工費が増大する。また、地盤注入工法の工程遅延により、トンネル掘削など全体工程の遅延に繋がり、工事全体の施工費が増大する。
供用中の「樋管内」の施工にあっては、仮排水管による水替え施工が必要であり、さらに出水期は施工不可であり、施工時期が渇水期に限定されるため、単管ロッド工法、二重管ストレーナ工法、二重管ダブルパッカ工法は工期を短縮することができず、渇水期に施工を完了させることが困難である。
さらに、二重管ダブルパッカ工法、結束細管多点注入工法は、削孔による躯体の損傷が大きくなるため、その補修に日数を要することになる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の地盤注入工法において、前記注入管は、内径が6mm〜12mmで、前記注入管への前記中結材の逆流を防ぐ逆止弁機能を有することを特徴とする。
本発明によれば、注入材に中結材のみを使用し、同一ステップの中で注入を中断するので、硬化物の品質は格段に向上する。
本発明によれば、切羽の自立性が確保できない線路の沈下や線路直下地盤の陥没を防止する薬液注入工による止水対策に適用すると、注入に伴う線路の隆起を防止しながら、対象地盤全体を確実に改良できる。
本発明によれば、切羽の自立性が確保できない線路の沈下を防止する薬液注入工による地盤強化に適用すると、注入に伴う線路の隆起を防止しながら、対象地盤全体を確実に改良できる。
本発明によれば、細径で削孔して削孔穴に注入管を挿入する工程と、注入材を注入する工程とを分離して注入材を注入し、変位を与えることなく短期間に確実な地盤改良効果を得ることができる。
図1乃至図20は、本実施形態に係る注入工法を樋管10内から樋管直下の対象地盤12を改良する場合に適用した例を示す。樋管直下の対象地盤12は、適用土質が砂質土主体であるため、孔壁の自立性が悪くなっている。
先ず、図1、図2に基づいて、本実施形態に係る注入工法を実施するための注入装置Aについて説明する。
注入装置Aは、削孔時にはケーシングパイプで樋管直下の対象地盤12を削孔するロータリーボーリングマシン11の運転を制御し、注入時にはケーシングパイプで削孔した孔に挿入する注入管40の運転を制御する。削孔時に水を注入し、注入時に注入材を注入する注入ホース18が接続されている。
注入装置Aは、図1、図2に示すように、応力や変位などの挙動に応じて注入ポンプ20の回転数の制限、停止指示判断を行う動態管理装置24と、動態管理装置24にLANを介して接続されるローカルエリア接続部31,32とで構成される動態管理装置システムが用いられている。
流量・検出器19は、LANを介して注入管理装置22に接続されている。注入管理装置22はインバータ通信でインバータ盤23を介して注入ポンプ20に接続されている。注入ポンプ20はグラウトミキサー21に接続されている。
注入管理装置22は、LANを介して動態管理装置24に接続され、圧力・瞬間流量・積算流量の表示と記録、流量に応じた注入ポンプ20の回転数の決定、複相制御を行っている。動態管理装置24は観測データ記録PC25に接続され、観測データ記録PC25は対象地盤12に設けた樋管10の天井側壁面10b上に配置した測定器26に接続されている。
ローカルエリア接続部31は、LANを介して複数のひずみ計などの測定器26からの変位データを動態管理装置24に送ることができる。また、ローカルエリア接続部32は、LANを介して動態管理装置24から送られて来る注入ポンプ20の回転数の制限・停止指示信号(逓倍率)を受け取ることができる。
ローカルエリア接続部32は、流量圧力、瞬時流量、積算流量の表示と記録、流量に応じた注入ポンプ20の回転数の決定、複相制御を行う注入管理装置22を備え、動態管理装置24とLANで接続されている。
注入管理装置22は、インバータ盤23を介して複数の注入ポンプ20に接続されている。インバータ盤23には、注入管理装置22からインバータ通信で注入ポンプ20のON/OFF及び周波数制御信号が送られ、インバータ盤23は複数の注入ポンプ20に対しインバータ出力を行うことができる。
注入管理装置22は、設定流量を維持するように注入ポンプ20の回転数を調整しているが、規制指示があると設定流量に逓倍率を掛けた数値で量調整を行う。
注入口中間部41は、注入口41bを設けたボス部41aと、ボス部41aの両端に連接する接続部41d,41eと、注入口41bを覆うシールゴム41cとで構成されている。
ここで、注入装置Aは、本実施形態の他に、単管ロッド工法、二重管ストレーナ工法、二重管ダブルパッカ工法、結束細管多点注入工法の、削孔時の送水および注入時の注入材の送液にも用いることができる。
接続部42dは、それぞれ山形の環状突起42f,42gを設けている。山形の環状突起42f,42gは、ホースが挿入される方向(図中左側)に向けて先細となるテーパー形状である。そのため、山形の環状突起42f,42gは、ホース44c内に圧入される際には、障害とならず、挿入後にホース44cを引き抜こうとすると、山形の環状突起42f,42gがホース44c内面に食い込んで引き抜かれないように作用する。
ここで、注入管本体43、ホース44a〜44cを構成するホースは、曲げ半径100mm以上で、破壊圧力2MPa以上であれば、材質は特に制限しない。注入口中間部41及び注入口先端部42は、注入管本体43及びホース44a〜44cを構成するホース内に圧入される際に、変形しない程度に剛性を有していればよく、材質は特に制限しない。
注入管40の深度方向の注入口41b,42bの間隔は、介在砂層の分布に対応するように0.1m〜2.0mの範囲で設定されている。
従来工法の二重管ダブルパッカ工法、結束細管多点注入工法の削孔の直径は100mm以上である。
本実施形態では、外径40.5mm〜66mmのケーシングパイプを使用する。外径が66mmを超えると、樋管10の躯体の損傷面積低減の効果が十分に得られない。また、外径が40.5mm未満では、ケーシングパイプ内に注入管40を挿入することができない。
外径が16mm〜19mmの注入管40は、ケーシングパイプ内側との摩擦抵抗が大きくなり、挿入が困難である。
注入管40の外径が20mmを超えると、ケーシングパイプ内に挿入できない。
外径が40.5mmのケーシングパイプの内径は20mmであり、これに抵抗なく挿入できる注入管40の内外径は、外径15mm、内径12mmが最大径である。
外径4mm、内径2mmの注入管40を用いることも可能であるが、内径が小さいほど注入時の圧力損失が大きくなるため、外径8mm、内径6mmとすることが望ましい。
本実施形態は、図9に示す施工フローに基づいて、図1、図2に示す注入装置Aとロータリーボーリングマシン11とを用いて樋管10内から樋管直下の対象地盤12の改良を行う。
先ず、図9、図10に示すように、ロータリーボーリングマシン11にて樋管10の底部10aを削孔径100mmでコア削孔を行う(ステップS1)。図10において、10aは削孔軌跡を表す。
次に、図9、図12、図13に示すように、ケーシングパイプ内にシール材を充填する(ステップS3)。
ここで、シール材は、セメントスラリー、セメントベントナイトスラリーなどの懸濁液型グラウトの中から選択される。シール材を充填する目的は、注入管40と地山とを密着させて、注入管40に沿った注入材の逸走を防止するためである。
次に、図9、図12、図13に示すように、注入管40を残してケーシングパイプを引き抜く(ステップS5)。
以上のステップS1〜S5が削孔工程である。
次に、図9、図15、図16、図18に示すように、注入管40にそれぞれ注入ホース18を接続し、注入装置Aを用いて樋管10の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を樋管直下の対象地盤12に同時に注入する1st注入を行う(ステップS7)。
次に、図9、図15、図16、図18に示すように、注入ポンプ20を15秒〜90秒停止した後、注入装置Aを用いて樋管10の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を樋管直下の対象地盤12に同時に注入する2nd注入を行う(ステップS8、S9)。
次に、図9、図15、図16、図18に示すように、注入ポンプ20を15秒〜90秒停止した後、注入装置Aを用いて樋管10の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を樋管直下の対象地盤12に同時に注入する2nd注入を行う(ステップS11、S12)。
次に、図17に示すように、所定回数の注入が終了すると、注入管40を切断し、モルタルで孔埋めを行う(ステップS13)。
以上のステップS6〜S13が注入工程である。
所定の注入が完了すると、終了する(ステップS14)。
本実施形態では、ステップS10に戻り、ステップS11、ステップS12を行う操作を繰り返した場合について説明したが、この繰り返し操作は、対象地盤12によって異なるから、繰り返さない場合やさらに数度繰り返す場合もある。
先ず、動態管理装置24は、図9におけるステップS7での1st注入、ステップS9での2nd注入、ステップS10での1st注入、ステップS12での2nd注入において、注入を開始する指令を出力する(ステップS21)。
次に、ローカルエリア接続部31では、樋管10の天井側壁面10b上に配置した測定器26からの計測値がこれに連なるスイッチボックス28、データロガー29を経由して観測データ記録PC25に送られ、LANで連なるルータ又はハブ30からLANを介して計測データを動態管理装置24に送られる(ステップS22)。
次に、動態管理装置24は、ステップS23において計測値が一次管理値以内であると判断すると、注入速度100%を維持・回復し(ステップS24)、ステップS22に戻る。
次に、動態管理装置24は、ステップS23において計測値が一次管理値以内ではないと判断すると、注入速度75%に減速させた(ステップS25)後、注入速度75%で注入を継続する(ステップS26)。
次に、動態管理装置24は、ステップS27において計測値が二次管理値以内であると判断すると、注入速度75%を維持・回復し(ステップS28)、ステップS22に戻る。
次に、動態管理装置24は、ステップS27において計測値が二次管理値以内ではないと判断すると、注入速度50%に減速させた(ステップS29)後、注入速度50%で注入を継続する(ステップS30)。
次に、動態管理装置24は、ステップS31において計測値が三次管理値以内であると判断すると、注入速度50%を維持・回復し(ステップS32)、ステップS22に戻る。
次に、動態管理装置24は、ステップS31において計測値が三次管理値以内ではないと判断すると、注入速度10%に減速させた(ステップS33)後、注入速度10%で注入を継続する(ステップS34)。
次に、動態管理装置24は、ステップS35において計測値が許容値以内ではないと判断すると、注入中断又は注入中断の警告を行う(ステップS36)。
また、本実施形態によれば、注入材に中結材のみを使用し、同一ステップの中で注入を中断するので、硬化物の品質は格段に向上する。
また、本実施形態によれば、樋管10及びこれに隣接する構造物に許容値を超える応力が作用するのを自動的に回避することができる。
また、本実施形態は、注入方式を下降式(ステップダウン)とするので、樋管10内からの施工に好適である。
また、本実施形態によれば、樋管10の天井側壁面10bに生じる応力を測定器26で測定し、注入管理装置22と連動させることにより、変位が生じるよりも先に応力が上昇した時点で注入速度を自動的に制御し、樋管10及び近接する構造物に与える影響を低減することができる。
本実施形態では、従来工法の削孔の直径100mmに対してケーシングパイプの外径を40.5mm〜66mmとすることにより、樋管10の躯体の損傷面積が約20%〜50%に低減できる。
図20に示す制御パターンは、先ず、注入速度を100%で注入し、注入に伴い上昇する応力が一次管理値(F100%)に到達すると、注入速度を75%に減じて注入し、注入に伴い上昇する応力が二次管理値(F75%)に到達すると、注入速度を50%に減じて注入し、注入に伴い上昇する応力が三次管理値(F50%)に到達すると、注入速度を25%に減じて注入し、注入に伴い上昇する応力が許容値Fb(Fmax)に到達すると、注入速度を0%に減じるように構成されている。
そして、規制値は、間隙水圧値、変位値、変形値、応力値、などから1つ、または複数を選択できる。
また、本実施形態によれば、ゲルタイム30秒〜6分程度の中結材を使用し、注入時に15秒〜30秒の間隔のインターバルを設けることで、前半の注入が、粗詰め注入(瞬結材)の役目を果たし、後半の注入の浸透する割合が良いバランスを築くことができる、
既設排水樋管は、河川堤防直下−3mの位置に河川堤防と交差して設置されており、堤防天端には供用中の国道がある。
既設排水樋管の内空断面はW=1.6m×H=1.9mであり、既設排水樋管直下に位置する対象地盤の断面積は、W=4.0m×H=2.5mである。
地盤改良対象範囲の延長は、既設排水樋管の軸方向に約24mである。
1断面当りの注入管設置本数は2本であり、既設排水樋管の軸方向に2m間隔で12列設置されている(2本/断面×12列=24本)。
既設排水樋管内の天井部4箇所にトータルステーション及び反射プリズムが設置され、既設排水樋管外の樋管と接しない構造物2箇所にも反射プリズムが設置されている。
平面位置は、図21に示すように、測点Aの位置がトータルステーションであり、測点B,C,D及び基準1,2は反射プリズムである。
注入は1/20から1/27の日中に断続的に行われ、その時期は、図22の動態観測結果図の「→注入」で示す範囲である。
注入中の変位量は、1次管理値±32mmに対して最大−9mm〜+8mmであり、既設排水樋管及び交差する国道に影響は無かった。
注入完了後に2週間の養生期間を経て改良地盤に対して既設排水樋管内から孔内載荷試験を実施したところ、改良後地盤は均一に改良されかつ、必要強度を有することが確認できた。
図23乃至図27は、本実施形態に係る注入工法を10m2以下の小断面トンネル50内からトンネル直下の対象地盤51の改良を行う場合に適用した例を示す。トンネル直下の対象地盤51は、適用土質が粘性土主体であるため、孔壁の自立性が良い。
図23は、10m2以下の小断面トンネル50の壁面に測定器26を設置し、10m2以下の小断面トンネル50内にロータリーボーリングマシン11を配置した削孔時の状態を示す。注入装置Aは、実施形態1と同じ装置を使用する。従って、注入装置A及び注入管40の詳細説明は省略する。
先ず、図23、図24、図25に示すように、10m2以下の小断面トンネル50直下の対象地盤51に所定の深度までロータリーボーリングマシン11によって外径の66mmケーシングパイプを土中に削孔する(ステップS31)。
次に、図23、図24、図25に示すように、ケーシングパイプ内に注入管40を挿入する(ステップS32)。
次に、図23、図24、図25に示すように、ケーシングパイプの削孔穴内にシール材を充填する(ステップS34)。
ここで、シール材は、セメントスラリー、セメントベントナイトスラリーなどの懸濁液型グラウトの中から選択される。シール材を充填する目的は、注入管40と地山とを密着させて、注入管40に沿った注入材の逸走を防止するためである。
以上のステップS31〜S34が削孔工程である。
ここで、使用する注入材は、特に制限は無いが、例えば、水ガラス系溶液型及び懸濁液型、土壌浄化材の中から要求される性能を満足する中結材を選択する。注入材のゲルタイムは30秒以上である必要があるが、砂質土においては、30秒〜6分とすることが望ましい。
次に、図25、図26、図27に示すように、注入装置Aを用いて10m2以下の小断面トンネル50の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を10m2以下のトンネル直下の対象地盤51に同時に注入する1st注入を行う(ステップS35)。
次に、ステップS38に戻り、ステップS39、ステップS40を行う操作を所定回数繰り返す。
次に、図17に示すように、所定回数の注入が終了すると、注入管40を切断し、モルタルで孔埋めを行う(ステップS41)。
所定の注入が完了すると、終了する(ステップS42)。
この工程において、動態管理装置24では、実施形態1と同様に、図19に示す制御パターンに基づいて図20に示す制御運転を行った。
本実施形態によれば、注入材に中結材のみを使用し、同一ステップの中で注入を中断することで、従来の瞬結材の役割である、粗詰め、パッキング効果を期待できる。
また、本実施形態によれば、注入材に中結材のみを使用し、同一ステップの中で注入を中断するので、硬化物の品質は格段に向上する。
また、本実施形態によれば、全てのステップを同時に注入可能でかつ、注入材が注入管40に逆流することを防ぐ逆止弁機能を有するので、確実な注入を行うことができる。
また、本実施形態によれば、細径で削孔して削孔穴に注入管を挿入する工程と、注入材を注入する工程とを分離して注入材を注入するので、変位を与えることなく短期間に確実な地盤改良効果を得ることができる。
本実施形態は、併設した2本のトンネル間を小規模な開削あるいは非開削で掘削、セグメントを切り開き、分岐合流部躯体をRC構造により構築するものとして知られている大断面シールドトンネル切り開きに適用するものである。
本実施形態は、シールドトンネル60の切り開きに伴うパイプルーフ63内からの止水注入を行う地盤注入工法である。
図28、図29、図30に示すように、本実施形態で適用するシールドトンネル60は、本線シールドセグメント61の側方に切り開き部62を形成し、パイプルーフ63内から止水注入範囲64に止水注入を行う。
本実施形態において、パイプルーフ63の内径は1.2mである。
次に、本実施形態の作用を説明する。
先ず、図32に示すように、パイプルーフ63内のグラウトホールより、コアドリルにて外径66mmケーシング削孔を行う(ステップS51)。
次に、図32に示すように、所定深度まで削孔後に、注入管40を挿入し、ケーシングを引抜く(ステップS52、S53)。
ここで、シール材は、セメントスラリー、セメントベントナイトスラリーなどの懸濁液型グラウトの中から選択される。シール材を充填する目的は、注入管40と地山とを密着させて、注入管40に沿った注入材の逸走を防止するためである。
以上のステップS51〜S54が削孔工程である。
次に、図29、図30、図31、図32に示すように、注入管40にそれぞれ注入ホース18を接続し、注入装置Aを用いてパイプルーフ63の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を止水注入範囲64に同時に注入する1st注入を行う(ステップS55)。
次に、図29、図30、図31、図32に示すように、注入ポンプ20を15秒〜90秒停止した後、注入装置Aを用いてパイプルーフ63の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を止水注入範囲64に同時に注入する2nd注入を行う(ステップS56、S57)。
次に、図29、図30、図31、図32に示すように、注入ポンプ20を15秒〜90秒停止した後、注入装置Aを用いて樋管10の応力データなどに基づいて注入材の流量、圧力を制御しながら注入管40の4つの注入口41b、42bから注入材を止水注入範囲64に同時に注入する2nd注入を行う(ステップS59、S60)。
次に、図29、図30、図31、図32に示すように、所定回数の注入が終了すると、注入管40を切断し、モルタルで孔埋めを行う(ステップS61)。
以上のステップS55〜S61が注入工程である。
所定の注入が完了すると、終了する(ステップS62)。
この工程において、動態管理装置24では、実施形態1と同様に、図19に示す制御パターンに基づいて図20に示す制御運転を行った。
また、本実施形態によれば、注入材に中結材のみを使用し、同一ステップの中で注入を中断するので、硬化物の品質は格段に向上する。
また、本実施形態によれば、ゲルタイム30秒〜6分程度の中結材を使用し、注入時に15秒〜30秒の間隔のインターバルを設けることで、前半の注入が、粗詰め注入(瞬結材)の役目を果たし、後半の注入の浸透する割合が良いバランスを築くことができる。
また、本実施形態によれば、細径で削孔して削孔穴に注入管を挿入する工程と、注入材を注入する工程とを分離して注入材を注入するので、変位を与えることなく短期間に確実な地盤改良効果を得ることができる。
11 ロータリーボーリングマシン
12 樋管直下の対象地盤
18 注入ホース
20 注入ポンプ
24 動態管理装置
40 注入管
41 注入口中間部
41a,42a ボス部
41b、42b 注入口
41c、42c シールゴム
41d,41e、42d 接続部
42 注入口先端部
43 注入管本体
44a〜44c ホース
50 10m2以下の小断面トンネル
51 トンネル直下の対象地盤
60 シールドトンネル
61 本線シールドセグメント
62 切り開き部
63 パイプルーフ
64 止水注入範囲
A 注入装置
Claims (6)
- 内空高さ2.5m以下の空頭制限がある構造物、10m 2 以下の小断面トンネル又は樋管のいずれかからなる小断面構造物の内部から、前記小断面構造物に近接する対象地盤の所定の深度まで削孔した削孔穴に、複数の注入口を備えた注入管を挿入する工程と、
前記注入管の前記複数の注入口から中結材を前記対象地盤に注入する第1の注入工程と、
前記第1の注入工程の後で前記中結材の注入を所定時間中断する中断工程と、
前記中断工程の後、前記注入管の前記複数の注入口から前記中結材を前記対象地盤にさらに注入する第2の注入工程と、
を有し、
前記第1の注入工程、前記中断工程及び前記第2の注入工程は、前記第1の注入工程、前記中断工程及び前記第2の注入工程の順で、各注入工程における前記中結材の注入速度を制御しながら、1回又は複数回実行する
ことを特徴とする地盤注入工法。 - 請求項1に記載の地盤注入工法において、
前記第1の注入工程及び前記第2の注入工程は、前記小断面構造物に作用する応力、前記小断面構造物の変位、前記対象地盤における間隙水圧、又は土圧のいずれか1つの測定値と予め設定した複数の閾値とを比較した結果に基づいて、前記対象地盤に注入する前記中結材の注入速度を制御する
ことを特徴とする地盤注入工法。 - 請求項1又は請求項2に記載の地盤注入工法において、
前記削孔穴は、外径が40.5mm〜66mmのボーリングロッド又はケーシングパイプのいずれかを用いた単管削孔により形成される
ことを特徴とする地盤注入工法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地盤注入工法において、
前記注入管の深度方向の前記複数の注入口の間隔は、介在砂層の分布に対応するように0.1m〜2.0mの範囲で設定される
ことを特徴とする地盤注入工法。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の地盤注入工法において、
前記注入管は、内径が6mm〜12mmで、前記注入管への前記中結材の逆流を防ぐ逆止弁機能を有する
ことを特徴とする地盤注入工法。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の地盤注入工法において、
前記中結材は、ゲルタイム30秒〜6分に設定され、
前記中断工程における前記中結材の注入を中断する時間は、15秒〜30秒である
ことを特徴とする地盤注入工法。
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