JP6402755B2 - ドライブトレインの試験システム及びドライブトレインの試験方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1実施形態に係る試験システム1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
試験システム1は、車両のドライブトレインである供試体Wと、この供試体Wの入力軸WIとその回転軸21が同軸に連結された入力側動力計2と、供試体Wの出力軸WOとその回転軸31が同軸に連結された出力側動力計3と、回転軸21の回転を検出する回転検出器4と、回転検出器4の出力信号を用いて入力側動力計2で発生させるトルクに対する指令に相当するトルク指令信号を生成するトルク指令生成装置5と、トルク指令信号に応じた駆動電流を入力側動力計2に供給するインバータ6と、回転軸21の軸トルクを検出する軸トルクメータ7と、を備える。試験システム1では、供試体Wが搭載される車両のエンジンを模した駆動トルクを入力側動力計2で発生し、これを供試体Wの入力軸WIに入力しながら、供試体Wの出力を出力側動力計3によって吸収することにより、供試体Wの耐久性能や品質等を評価する試験が行われる。
トルク指令生成装置5では、図示しない処理によって定められた直流のベーストルク指令信号に加振信号生成部51によって定められた交流の加振トルク信号を、加算部52によって重畳することによって、実エンジンにおける周期的なトルク変動を模したトルク指令信号を生成する。
図3は、試験システム1における供試体Wの試験手順を示すフローチャートである。
始めにS1の供試体連結工程では、作業者は、供試体Wを入力側動力計2にセットする。より具体的には、作業者は、供試体Wの入力軸WIにおいて予め定められた基準位置と、入力側動力計2の回転軸21において予め定められた基準位置とが一致するように、軸の位置合わせをしながら入力軸WIを回転軸2に同軸で連結する。この位置合わせの作業は、例えば、図1に示すように入力軸WI及び回転軸21に各々の基準位置を示す目印W3,22を予め記しておき、これら目印W3,22が一致するように入力軸WI及び回転軸21を連結することによって行われる。
(1)試験システム1では、回転検出器4によってモータ機械角を取得し、このモータ機械角を用いて、モータ機械角の次数倍の周期を有する信号と同期して変動するトルク指令信号を生成し、これを用いることによって入力側動力計で発生させた駆動トルクを入力軸WIに入力する。これにより、実エンジンの機械的な位相と同期して変動する駆動トルクを供試体Wに入力することができる。またモータ機械角を用いることにより、トルク指令信号の位相がモータの回し始めの位相によって変化したり、誤差が蓄積することによって変化したりすることもない。また実エンジンの機械的な位相と同期して変動する駆動トルクを供試体Wに入力することにより、上述のようにエンジンの機械的な位相と同期してその性能を発揮するように設計された供試体Wの性能を適切に評価できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る試験システム1Aについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の試験システム1Aの説明において、第1実施形態の試験システム1と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(5)試験システム1Aでは、回転軸21が回転するとその回転変位量に応じたパルス信号を発生するインクリメンタルエンコーダである回転検出器4Aと、この回転検出器4Aのパルス信号を用いてモータ機械角を算出し、これを用いてトルク指令信号を実現するように入力側動力計2に駆動電流を供給するインバータ6Aと、を用いる。すなわち、試験システム1Aではインバータ6Aにおける演算によって得られるモータ機械角を用いることにより、アブソリュートエンコーダのように通常の試験システムには搭載されていない特別な装置を設けることなく、モータ機械角を取得することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る試験システム1Bについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の試験システム1Bの説明において、第1実施形態の試験システム1と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(6)試験システム1Bでは、モータ機械角と気筒数とを用いてシリンダ機械角を気筒毎に算出し、気筒毎のシリンダ機械角と回転速度とを用いてガス圧トルクTg及び慣性トルクTiを気筒毎に算出し、さらに気筒毎のガス圧トルク及び慣性トルクを合算したものをトルク指令信号とする。これにより、モータ機械角の次数倍の周期を有しかつ実エンジンのトルク変動に近い態様で変動するトルク指令信号を生成することができる。これにより、実エンジンに近い環境下で供試体Wの試験を行うことができる。
次に、本発明の第4実施形態に係る試験システム1Cについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の試験システム1Cの説明において、第1実施形態の試験システム1と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
トルク指令生成装置5Cでは、図示しない処理によって定められた直流のベーストルク指令信号に加振信号生成部58Cによって定められた加振トルク信号を、加算部52によって重畳することによって、実エンジンにおける周期的なトルク変動を模したトルク指令信号を生成する。
図7は、試験システム1Cにおける供試体Wの試験手順を示すフローチャートである。
始めにS11の供試体連結工程では、作業者は、供試体Wの入力軸WIを、入力側動力計2の回転軸21に同軸で連結する。なお、図3を参照して説明したように、試験システム1では、入力軸WIを回転軸21に連結する際、互いの基準位置を一致させる位置合わせの作業が必要であったが、本実施形態の試験システム1Cでは、連結時にはこのような位置合わせの作業は不要である。
(7)上述のように、ドライブトレインに用いられる部品には、エンジンの機械的な位相と同期して初めてその性能を発揮するように設計されるものが用いられる場合があるが、このようなドライブトレインは、実エンジンに取り付ける際に各々の基準位置が一致するように位置合わせして取り付けられる。このため、このようなドライブトレインをドライブトレインの試験システムで試験する際には、供試体Wの入力軸WIの基準位置と入力側動力計2の回転軸21の基準位置とが一致するように位置合わせする必要がある。試験システム1Cでは、次数とモータ機械角とを乗算することで基準位相角を算出し、さらにこの基準位相角から補正位相角を減算することによって位相角を算出し、この位相角に応じた正弦波と加振振幅とを乗算したものをトルク指令信号の交流成分とする。これにより、供試体Wの入力軸WIの基準位置と入力側動力計2の回転軸21の基準位置とがずれて接続された場合であっても、このずれを、補正位相角を介して事後的に補うことができる。
次に、本発明の第5実施形態に係る試験システム1Dについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の試験システム1Dの説明において、第3実施形態の試験システム1Bと同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(9)試験システム1Dでは、モータ機械角から補正位相角を減算することによって位相角を算出し、さらにこの位相角と気筒数とを用いてシリンダ機械角を気筒毎に算出し、気筒毎のシリンダ機械角と回転速度とを用いて発生トルクを気筒毎に算出し、さらに気筒毎の発生トルクを合算したものをトルク指令信号とする。これにより、モータ機械角の次数倍の周期を有しかつ実エンジンのトルク変動に近い態様で変動するトルク指令信号を生成できる。また、供試体Wの入力軸WIの基準位置とモータの回転軸の基準位置とがずれて接続された場合であっても、このずれを、補正位相角を介して事後的に補うことができる。
W…供試体
WI…入力軸
2…入力側動力計(モータ)
21…回転軸
4,4A…回転検出器(機械角取得手段)
5,5A,5B,5C,5D…トルク指令生成装置
6,6A…インバータ(機械角取得手段)
Claims (9)
- 車両のドライブトレインの入力軸に接続されるモータと、
前記モータで前記車両のエンジンを模したトルクを発生させるためのトルク指令信号を生成するトルク指令生成装置と、を備えるドライブトレインの試験システムであって、
前記モータの回転軸の基準位置からの絶対位置に相当するモータ機械角を取得する機械角取得手段を備え、
前記トルク指令生成装置は、前記機械角取得手段によって取得された前記モータ機械角を用いることにより、当該モータ機械角の所定の次数倍の周期を有する信号と同期して変動するトルク指令信号を生成することを特徴とするドライブトレインの試験システム。 - 前記機械角取得手段は、前記モータ機械角に応じた信号を発生するアブソリュートエンコーダを備えることを特徴とする請求項1に記載のドライブトレインの試験システム。
- 前記機械角取得手段は、前記回転軸が回転するとその回転変位量に応じたパルス信号を発生するインクリメンタルエンコーダと、前記インクリメンタルエンコーダのパルス信号を用いて前記モータ機械角を算出し、当該モータ機械角を用いて前記トルク指令信号を実現するように前記モータに駆動電流を供給するインバータと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のドライブトレインの試験システム。
- 前記トルク指令生成装置は、前記次数と前記モータ機械角とを乗算することによって位相角を算出し、当該位相角に応じた正弦波又は余弦波と所定の加振振幅とを乗算したものを前記トルク指令信号の交流成分とすることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のドライブトレインの試験システム。
- 前記トルク指令生成装置は、前記モータ機械角と前記エンジンの気筒数とを用いてピストンの位置に相当するシリンダ機械角を気筒毎に算出し、前記気筒毎のシリンダ機械角と前記モータ機械角を用いて算出される前記回転軸の回転速度とを用いて発生トルクを気筒毎に算出し、前記気筒毎の発生トルクを合算したものを前記トルク指令信号とすることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のドライブトレインの試験システム。
- 前記トルク指令生成装置は、前記次数と前記モータ機械角とを乗算することによって基準位相角を算出し、当該基準位相角から所定の補正位相角を減算することによって位相角を算出し、当該位相角に応じた正弦波又は余弦波と所定の加振振幅とを乗算したものを前記トルク指令信号の交流成分とすることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のドライブトレインの試験システム。
- 前記トルク指令生成装置は、前記モータ機械角から所定の補正位相角を減算することによって位相角を算出し、当該位相角と前記エンジンの気筒数とを用いてピストンの位置に相当するシリンダ機械角を気筒毎に算出し、前記気筒毎のシリンダ機械角と前記モータ機械角を用いて算出される前記回転軸の回転速度とを用いて発生トルクを気筒毎に算出し、前記気筒毎の発生トルクを合算したものを前記トルク指令信号とすることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のドライブトレインの試験システム。
- 供試体であるドライブトレインの入力軸に、請求項4又は5に記載のドライブトレインの試験システムを用いて前記モータで発生させた駆動トルクを入力することにより前記供試体の性能を評価するドライブトレインの試験方法であって、
前記入力軸の基準位置と前記回転軸の基準位置とが一致するように、前記入力軸を前記回転軸に位置合わせしながら連結する供試体連結工程と、
前記トルク指令生成装置によって生成したトルク指令信号を用いて前記モータを駆動しながら前記供試体の性能を評価する試験工程と、を備えることを特徴とするドライブトレインの試験方法。 - 供試体であるドライブトレインの入力軸に、請求項6又は7に記載のドライブトレインの試験システムを用いて前記モータで発生させた駆動トルクを入力することにより前記供試体の性能を評価するドライブトレインの試験方法であって、
前記入力軸を前記回転軸に連結する供試体連結工程と、
前記モータを回転させながら前記入力軸の回転位置がその基準位置になった時における前記モータ機械角を取得し、当該取得したモータ機械角を前記補正位相角として設定する補正位相角設定工程と、
前記トルク指令生成装置によって生成したトルク指令信号を用いて前記モータを駆動しながら前記供試体の性能を評価する試験工程と、を備えることを特徴とするドライブトレインの試験方法。
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