以下で、本発明の実施形態をインスリン注射デバイスに関して説明する。しかしながら、本発明は、そのような適用に限定されるものではなく、他の薬剤を放出する注射デバイス、または他のタイプの医療デバイスと共に、等しく良好に配置される。
図1は、注射デバイス1の分解図であり、例えばSanofiのSolostar(登録商標)インスリン注射ペンを表すことができる。
図1の注射デバイス1は、ハウジング10を含み、かつ針15を取り付け可能なインスリン容器14を含む充填済み使い捨て注射ペンである。針は、内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17により保護され、外側ニードルキャップ17はキャップ18により覆われる。注射デバイス1から放出されるインスリン用量を、用量ノブ12を回すことにより選択することができ、その後、選択用量が、用量窓13を通して、例えば、いわゆる国際単位(IU)の倍数で表示される。ここで、1IUは、約45.5マイクログラムの純粋結晶インスリン(1/22mg)と生物学的に等価である。用量窓13に表示された選択用量の例は、例えば、図1に示すように30IUである。選択用量が等しく良好に異なって表示されることに留意されたい。ラベル(図示せず)がハウジング10上に設けられる。ラベルは、薬剤を識別する情報を含む、注射デバイス内に含まれる薬剤についての情報を含む。薬剤を識別する情報は、文字の形であってよい。薬剤を識別する情報は、色の形であってもよい。薬剤を識別する情報は、バーコード、QRコード(登録商標)などにコード化してもよい。薬剤を識別する情報は、黒白パターン、色パターンまたは濃淡の形であってもよい。
用量ノブ12を回すことにより、機械クリック音が生じて、ユーザに音響フィードバックを与える。用量窓13に表示される数字は、ハウジング10に含まれ、かつインスリン容器14内のピストンと機械的に相互作用するスリーブに印刷されている。針15が患者の皮膚部分に穿刺された後に注射ボタン11が押されると、表示窓13に表示されたインスリン用量が注射デバイス1から放出される。注射ボタン11が押された後、注射デバイス1の針15が皮膚部分にある時間残ると、高い割合の用量が患者の身体に実際に注射される。インスリン用量の放出によっても、機械クリック音が生じるが、これは用量ノブ12の使用時に生じる音とは異なる。
インスリン容器14が空になるか、注射デバイス1の使用期限(例えば、最初の使用から28日)に達するまで、注射デバイス1をいくつかの注射プロセスに使用することができる。
さらに、注射デバイス1を初めて使用する前に、例えばインスリンの2つの単位を選択することにより、かつ針15を上方に向けて注射デバイス1を保持しながら注射ボタン11を押すことにより、インスリン容器14および針15から空気を除去するための、いわゆる「プライムショット」を行う必要があり得る。
説明を簡単にするために、放出用量が注射用量に略対応するので、例えば、次に注射予定の用量を提案するとき、この用量は注射デバイスにより放出されなければならない用量に等しいことが、以下で例示的に想定される。それにもかかわらず、放出用量と注射用量との差(例えば損失)を、当然考慮することができる。
図1bは、注射デバイス1の端部の拡大図である。この図は、観察窓13および用量ノブ12の間に位置する位置決めリブ70を示す。
図2aは、図1の注射デバイス1に解放可能に取り付け予定の補助デバイス2の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、図1の注射デバイス1のハウジング10を囲むように構成された嵌合ユニットを有するハウジング20を含み、補助デバイス2が注射デバイス1のハウジング10にぴったりと着座し、それにもかかわらず、例えば注射デバイス1が空になり交換しなければならないときに、注射デバイス1から取り外し可能であるようになっている。図2aは非常に概略的なものであり、図2bを参照して、以下で物理的配置の詳細を説明する。
補助デバイス2は、注射デバイス1から情報を集めるための光学センサおよび音響センサを含む。この情報の少なくとも一部、例えば、選択用量(および場合により、この用量の単位)が、補助デバイス2のディスプレイユニット21を通して表示される。注射デバイス1の用量窓13は、注射デバイス1に取り付けられたとき補助デバイス2によって塞がれる。
補助デバイス2は、ボタン22として概略的に示される3つのユーザ入力トランスデューサをさらに含む。これらの入力トランスデューサ22により、ユーザは、補助デバイス2をオン/オフして、動作を生じさせる(例えば、別のデバイスとの連結もしくはペアリングを確立する、および/または補助デバイス2から別のデバイスへの情報伝達を生じさせる)、あるいは何かを確認することができる。
図2bは、図1の注射デバイス1に解放可能に取り付け予定の補助デバイス2の第2の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、図1の注射デバイス1のハウジング10を囲むように構成された嵌合ユニットを有するハウジング20を含み、補助デバイス2が注射デバイス1のハウジング10にぴったりと着座し、それにもかかわらず注射デバイス1から取り外し可能であるようになっている。
補助デバイス2のディスプレイユニット21を通して情報が表示される。注射デバイス1の用量窓13は、注射デバイス1に取り付けられたとき補助デバイス2によって塞がれる。
補助デバイス2は、3つのユーザ入力ボタンまたはスイッチをさらに含む。第1のボタン22は電源オン/オフボタンであり、これにより、補助デバイス2を、例えばオンおよびオフすることができる。第2のボタン33は通信ボタンである。第3のボタン34は確認ボタンまたはOKボタンである。ボタン22、33、34は、任意の適切な形の機械スイッチであってよい。これらの入力ボタン22、33、34により、ユーザは、補助デバイス2をオン/オフして、動作を生じさせる(例えば、別のデバイスとの連結もしくはペアリングを確立する、および/または補助デバイス2から別のデバイスへの情報伝達を生じさせる)、あるいは何かを確認することができる。
図2cは、図1の注射デバイス1に解放可能に取り付け予定の補助デバイス2の第3の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、図1の注射デバイス1のハウジング10を囲むように構成された嵌合ユニットを有するハウジング20を含み、補助デバイス2が注射デバイス1のハウジング10にぴったりと着座し、それにもかかわらず注射デバイス1から取り外し可能であるようになっている。
補助デバイス2のディスプレイユニット21を通して情報が表示される。注射デバイス1の用量窓13は、注射デバイス1に取り付けられたとき補助デバイス2によって塞がれる。
補助デバイス2は、タッチセンサ式入力トランスデューサ35をさらに含む。また、補助デバイス2は、単一のユーザ入力ボタンまたはスイッチ22を含む。ボタン22は電源オン/オフボタンであり、これにより、補助デバイス2を、例えばオンおよびオフすることができる。タッチセンサ式入力トランスデューサ35を使用して、動作を生じさせる(例えば、別のデバイスとの連結もしくはペアリングを確立する、および/または補助デバイス2から別のデバイスへの情報伝達を生じさせる)、あるいは何かを確認することができる。
図3aおよび図3bは、補助デバイス(図2aおよび図2bの補助デバイスなど)を注射デバイスと共に使用するときの、デバイス間の考えられる機能分配を示す。
図3aの配置(constellation)4では、補助デバイス41(図2aおよび図2bの補助デバイスなど)が、注射デバイス40からの情報を判定し、この情報(例えば注射予定の薬剤のタイプおよび/または用量)を血糖モニタリングシステム42に(例えば、有線または無線接続により)提供する。
血糖モニタリングシステム42(例えば、デスクトップコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、ネットブック、またはウルトラブックとして具体化される)は、(例えば放出用量および注射用量が同一であると想定することにより、または放出用量に基づいて注射用量を判定することにより、例えば放出用量の所定の割合を患者が完全には受けていないと想定することにより、放出用量に基づいて)患者がこれまでに受けた注射を記録する。血糖モニタリングシステム42は、例えば、この患者の次の注射について、インスリンのタイプおよび/または用量を提案することができる。この提案は、患者が受けた1つまたはそれ以上の過去の注射、および、血糖測定器43により測定され、(例えば有線または無線接続により)血糖モニタリングシステム42に提供される現在の血糖値についての情報に基づくものであってもよい。ここで、血糖測定器43を、患者の(例えばキャリア材料上の)小型の血液プローブを受けて、この血液プローブに基づいて患者の血糖値を判定するように構成された別個のデバイスとして具体化することができる。しかしながら、血糖測定器43は、患者、例えば、患者の目または皮下に少なくとも一時的に植え込まれたデバイスであってもよい。
図3bは、図3aの血糖測定器43が図3aの血糖モニタリングシステム42に含まれることにより、図3bの修正された血糖モニタリングシステム42’をもたらす、修正された配置4’である。図3aの注射デバイス40および補助デバイス41の機能は、この修正によって影響されない。また、血糖モニタリングシステム42’に組み合わされた血糖モニタリングシステム42および血糖測定器43の機能は、両者が同一のデバイスに含まれるようになったために、これらのデバイス間の外部有線または無線通信が必要なくなることを除いて、基本的に変化しない。しかしながら、血糖モニタリングシステム42と血糖測定器43との通信はシステム42’内で行われる。
図4は、図1の注射デバイス1に取り付けられた状態にある、図2aの補助デバイス2の概略図である。
補助デバイス2のハウジング20には、複数の部材が含まれる。これらは、例えばマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などとすることができるプロセッサ24により制御される。プロセッサ24は、プログラムメモリ240に記憶されたプログラムコード(例えば、ソフトウェアまたはファームウェア)を実行し、メインメモリ241を使用して、例えば中間結果を記憶する。メインメモリ241を使用して、行われた放出/注射についてのログブックを記憶することもできる。プログラムメモリ240は、例えば読取り専用メモリ(ROM)であってよく、メインメモリは、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であってよい。
図2bに示すような実施形態では、プロセッサ24が第1のボタン22と相互作用し、これにより補助デバイス2を例えばオンおよびオフすることができる。第2のボタン33は通信ボタンである。第2のボタンを使用して、別のデバイスとの連結を確立する、または別のデバイスへの情報伝達を生じさせることができる。第3のボタン34は確認ボタンまたはOKボタンである。第3のボタン34を使用して、補助デバイス2のユーザに示された情報を承認することができる。図2cに示すような実施形態では、2つのボタン33、34が省略される。代わりに、1つまたはそれ以上の容量センサまたは他のタッチセンサが設けられる。
プロセッサ24は、液晶ディスプレイ(LCD)として現在具体化されているディスプレイユニット21を制御する。ディスプレイユニット21を使用して、補助デバイス2のユーザに、例えば注射デバイス1の現在の設定または行う予定の次の注射についての情報を表示する。またディスプレイユニット21を、例えば、ユーザ入力を受けるためのタッチスクリーンディスプレイとして具体化してもよい。
また、プロセッサ24は、光学式文字認識(OCR)読取装置として具体化される光学センサ25を制御する。OCR読取装置は、(用量窓13を通して見える、注射デバイス1に含まれるスリーブ19上に印刷された数字により)現在の選択用量が表示される用量窓13の画像を取り込み可能である。OCR読取装置25は、さらに、取込み画像から文字(例えば数字)を認識し、この情報をプロセッサ24に提供することができる。あるいは、補助デバイス2のユニット25は、画像を取り込んで、取込み画像についての情報をプロセッサ24に提供するための光学センサ、例えばカメラのみであってもよい。その後、プロセッサ24は、取込み画像のOCRの実行に関与する。
また、プロセッサ24は、発光ダイオード(LED)29などの光源を制御して、現在の選択用量が表示される用量窓13を照明する。例えば1枚のアクリルガラスから作られた拡散器を、光源の前で使用してもよい。さらに、光学センサは、例えば2つの非球面レンズを含むレンズシステムを含むことができる。倍率(対象サイズに対する画像サイズの比)は1未満とすることができる。倍率は、0.05〜0.5の範囲であってよい。一実施形態では、倍率が0.15であってよい。
プロセッサ24は、注射デバイス1のハウジング10の光学特性、例えば色または濃淡を判定するように構成された光度計26をさらに制御する。光学特性は、ハウジング10の特定の部分のみにあるもの、例えばスリーブ19もしくは注射デバイス1に含まれるインスリン容器の色または色コーディングであってよく、この色または色コーディングは、例えば、ハウジング10(および/またはスリーブ19)のさらなる窓を通して見えるものであってもよい。その後、この色についての情報がプロセッサ24に提供されて、プロセッサ24は、注射デバイス1のタイプまたは注射デバイス1に含まれるインスリンのタイプを判定することができる(例えば、紫色のSoloStar Lantusおよび青色のSoloStar Apidra)。あるいは、カメラユニットを光度計26の代わりに使用することができ、その後、ハウジング、スリーブ、またはインスリン容器の画像がプロセッサ24に提供されて、画像処理によりハウジング、スリーブ、またはインスリン容器の色を判定することができる。さらに、光度計26の読取りを向上させるために、1つまたはそれ以上の光源を設けてもよい。光源は、ある波長またはスペクトルの光を与えて、光度計26による色検出を向上させることができる。光源を、例えば用量窓13による望ましくない反射を避けるか減少させるように配置することができる。例示的な実施形態では、光度計26の代わりに、または光度計26に加えて、カメラユニットを配置して、注射デバイスおよび/または注射デバイス内に含まれる薬剤に関連したコード(例として、例えば1次元または2次元バーコードであるバーコード)を検出することができる。このコードは、いくつか例を挙げると、例えば、ハウジング10、または注射デバイス1に含まれる薬剤容器に位置していてもよい。このコードは、例えば、注射デバイスおよび/もしくは薬剤のタイプ、ならびに/またはさらなる特性(例えば使用期限)を示すことができる。
プロセッサ24は、注射デバイス1が発生した音を感知するように構成された音響センサ27をさらに制御する(および/または音響センサ27からの信号を受信する)。そのような音は、例えば用量ノブ12を回すことにより用量をダイヤル計量するとき、および/または注射ボタン11を押すことにより用量を放出/注射するとき、および/またはプライムショットを行うときに発生し得る。これらの動作は、機械的に類似しているが、それにもかかわらず異なる音を発する(これは、このような動作を示す電子音にも当てはまり得る)。音響センサ27および/またはプロセッサ24を、これらの異なる音を区別して、例えば(プライムショットのみではなく)注射が行われたことを安全に認識することができるように構成することができる。
プロセッサ24は、音響信号発生器23をさらに制御し、この音響信号発生器23は、例えば注射デバイス1の動作状態に関連する音響信号を、例えばユーザへのフィードバックとして発生させるように構成される。例えば、音響信号は、注射予定の次の用量の合図として、または例えば誤使用の場合の警告信号として、音響信号発生器23により発生される。音響信号発生器は、例えば、ブザーまたはスピーカとして具体化される。音響信号発生器23に加えて、または音響信号発生器23の代わりに、触覚信号発生器(図示せず)を使用して、例えば振動により触覚フィードバックを与えてもよい。
プロセッサ24は、情報を別のデバイスに対して無線で送受信するように構成された無線ユニット28を制御する。そのような伝送は、例えば、無線伝送または光伝送に基づくものであってもよい。一部の実施形態では、無線ユニット28がBluetooth(登録商標)トランシーバである。あるいは、別のデバイスに対して、例えばケーブルまたはファイバ接続を介した有線で情報を送受信するように構成された有線ユニットにより、無線ユニット28を置き換えることができ、または補足することができる。データが送信されると、伝達されたデータ(値)の単位が明確にまたは暗黙的に定義される。例えば、インスリン用量の場合、国際単位(IU)を常に使用することができ、あるいは、使用した単位を、例えばコードの形で明確に伝達することができる。
プロセッサ24は、注射ペン1があるか否かを検出する、すなわち補助デバイス2が注射デバイス1に連結されているか否かを検出するように動作可能なペン検出スイッチ30から入力を受ける。
バッテリ32が、電源31により、プロセッサ24および他の部材に電力を供給する。
したがって、図4の補助デバイス2は、注射デバイス1の状態および/または使用に関連する情報を判定することができる。この情報は、デバイスのユーザが使用するようにディスプレイ21に表示される。情報は、補助デバイス2自体によって処理することも、少なくとも部分的に別のデバイス(例えば、血糖モニタリングシステム)に提供することもできる。
図5a〜図5cは、本発明による方法の実施形態のフローチャートである。これらの方法は、例えば、補助デバイス2(図2bおよび図4参照)のプロセッサ24により、また図2bの補助デバイス3のプロセッサにより実行され、かつ、例えば図6の有形記憶媒体60の形を取ることのできる、例えば補助デバイス2のプログラムメモリ240に記憶される。
図5aは、注射デバイス40から補助デバイス41により読み取られた情報が血糖モニタリングシステム42または42’に提供され、血糖モニタリングシステム42または42’から戻る情報を受信することのない、図3aおよび図3bに示す状況で実行される方法工程を示す。
フローチャート500は、例えば、補助デバイスをオンにするか他の方法で起動させると開始する。工程501では、注射デバイスにより供給された、あるタイプの薬剤、例えばインスリンが、例えば、前述したように、色認識に基づいて、または注射デバイスもしくはその部材に印刷されたコードの認識に基づいて判定される。患者が同一タイプの薬剤を常用しており、この1つのタイプの薬剤と共に注射デバイスを使用するだけである場合には、薬剤タイプの検出は必要でなくてもよい。さらに、薬剤タイプの判定を、他の方法で(例えば、補助デバイスが、この1つのタイプの薬剤のみを供給できる1つの特定の注射デバイスのみと共に使用可能である、図4に示すキーおよび凹部の対により)確実に行ってもよい。
工程502では、例えば前述した注射デバイスの用量窓に示される情報のOCRにより、現在の選択用量が判定される。その後、この情報は、工程503で注射デバイスのユーザに表示される。
工程504では、放出が行われたか否かを、例えば、前述したように音認識により確認する。ここで、注射デバイスにより発生されたそれぞれ異なる音に基づいて、および/または放出用量に基づいて、プライムショットを(人への)実際の注射から区別することができる(例えば、所定量のユニット、例えば4または3ユニット未満の小さい用量は、プライムショットに属していると考えられるが、より大きい用量は実際の注射に属していると考えられる)。
放出が行われると、判定されたデータ、すなわち、選択用量および、必要に応じて、薬剤(例えばインスリン)のタイプが、メインメモリ241に記憶され、ここから後で別のデバイス、例えば血糖モニタリングシステムに送信される。放出の性質に関して区別が行われた場合、例えば、放出がプライムショットまたは実際の注射として行われた場合、この情報も、メインメモリ241に記憶され、場合により後で送信される。注射が行われた場合、工程505で、用量がディスプレイ21に表示される。注射直後、0分または1分である、最後の注射からの時間も表示される。最終用量からの時間は断続的に表示される。例えば、時間は、注射された薬剤の名前または他の識別、例えばApidraもしくはLantusと交互に表示される。
放出が工程504で行われなかった場合、工程502および503が繰り返される。
送達された用量および時間データの表示後、フローチャート500が終了する。
図5bは、光学センサのみの使用に基づいて選択用量が判定されたとき実行される、より詳細な例示的な方法工程を示す。例えば、これらの工程は、図5aの工程502で実行される。
工程901で、サブ画像が、補助デバイス2の光学センサ25などの光学センサにより取り込まれる。取り込まれたサブ画像は、例えば、現在の選択用量が(例えば、注射デバイス1のスリーブ19に印刷された、用量窓13を通して見える数字および/または目盛りにより)表示される、注射デバイス1の用量窓13の少なくとも一部の画像である。例えば、取り込まれたサブ画像は、低い解像度を有し、かつ/または用量窓13を通して見えるスリーブ19の部分の一部のみを示すことができる。例えば、取り込まれたサブ画像は、用量窓13を通して見える注射デバイス1のスリーブ19の部分に印刷された数字または目盛りを示す。画像は、取り込まれた後、例えば、以下のようにさらに処理される:
前に取り込まれた背景画像による分割;
画像をビニングして、さらなる評価のために画素数を減らす;
画像を正規化して、照明の強度変動を減らす;
画像の方向変え(sheering);および/または
一定の閾値を比較することにより、画像を2値化。
例えば十分に大きい光学センサ(例えば、十分に大きい画素を有するセンサ)が使用される場合に、該当すれば、これらの工程の一部または全部を省略してもよい。
工程902で、取り込まれたサブ画像に変化があるか否かを判定する。変化があるか否かを判定するために、例えば、現在の取込みサブ画像を、前に取り込まれたサブ画像と比較することができる。ここで、前に取り込まれたサブ画像との比較は、現在のサブ画像が取り込まれる直前に取り込まれた、前に取り込まれたサブ画像のサブ画像、および/または現在のサブ画像が取り込まれる前の特定の期間(例えば0.1秒)内に取り込まれた、前に取り込まれたサブ画像のサブ画像に限定される。比較は、現在の取込みサブ画像および前に取り込まれたサブ画像で実行されるパターン認識などの画像分析技術に基づくものであってもよい。例えば、用量窓13を通して見え、かつ現在の取込みサブ画像および前に取り込まれたサブ画像に示される目盛りおよび/または数字のパターンが変化したか否かを分析することができる。例えば、あるサイズおよび/またはアスペクト比を有する画像のパターンを検索し、これらのパターンを前に保存したパターンと比較することができる。工程901、902は、取込み画像の変化の検出に対応できる。
工程902で、サブ画像に変化があると判定された場合、工程901が繰り返される。そうでなければ、工程903で、補助デバイス2の光学センサ25などの光学センサにより、画像が取り込まれる。例えば、取込み画像は、(例えば、用量窓13を通して見える、注射デバイス1のスリーブ19上に印刷された数字および/または目盛りにより)現在の選択用量が表示される、注射デバイス1の用量窓13の画像である。例えば、取込み画像は、取込みサブ画像の解像度よりも高い解像度を有することができる。取込み画像は、少なくとも、用量窓13を通して見える、注射デバイス1のスリーブ19上に印刷された数字を示す。
工程904では、注射デバイス1のスリーブ19上に印刷された、用量窓13を通して見える数字を認識するために、工程903で取り込まれた画像上で光学文字認識(OCR)が実行される。これらの数字が(現在の)選択用量に対応するからである。認識された数字に従って、例えば選択用量を表す値を認識された数字に設定することにより、選択用量が判定される。
工程905では、判定された選択用量に変化があるか否か、場合により、判定された選択用量がゼロでないか否かを判定する。例えば、変化があるか否かを判定するために、現在判定されている選択用量を、前に判定された選択用量と比較することができる。ここで、前に判定された選択用量との比較を、現在の選択用量が判定されるより前の特定の期間(例えば3秒)内に判定された、前に判定された選択用量に限定することができる。判定された選択用量に変化がなく、場合により、判定された選択用量がゼロでない場合、現在判定されている選択用量が、さらなる処理のために(例えばプロセッサ24に)戻される/向けられる。
したがって、用量ノブ12の最後の回転から3秒を超えると、選択用量が判定される。用量ノブ12がこの3秒以内または3秒後に回転され、新しい位置が3秒を超えて変わらないままである場合、この値を、判定された選択用量とする。
図5cは、音響センサおよび光学センサの使用に基づいて選択用量が判定されたとき実行される、より詳細な方法工程を示す。例えば、これらの工程は、図5aの工程502で実行される。
工程1001では、補助デバイス2の音響センサ27などの音響センサにより、音が取り込まれる。
工程1002では、取込み音がクリック音であるか否かを判定する。取込み音は、例えば、注射デバイス1の用量ノブ12を回転することにより用量をダイヤル計量するとき、および/または注射ボタン11を押すことにより用量を放出/注射するとき、および/またはプライムショットを行うときに発生するクリック音であってよい。取込み音がクリック音でない場合、工程1001が繰り返される。そうでなければ、工程1003で、補助デバイス2の光学センサ25などの光学センサにより、画像が取り込まれる。工程1003は、フローチャート900の工程903に対応する。
工程1004では、工程1003で取り込まれた画像上でOCRが実行される。工程1004は、フローチャート900の工程904に対応する。
工程1005では、判定された選択用量に変化があるか否か、および場合により、判定された選択用量がゼロでないか否かを判定する。工程1005は、フローチャート900の工程905に対応する。
補助デバイスの電力消費に関して、図5cに示す音響手法のわずかな利点がある。図5bに示すような画像またはサブ画像を恒久的に取り込むことは、一般的に、マイクロフォンなどの音響センサを聴くことよりも電力を消費するからである。
図6は、プログラムコード602を有するコンピュータプログラム601を含む有形記憶媒体600(コンピュータプログラム製品)の概略図である。このプログラムコードを、例えば、補助デバイスに含まれるプロセッサ、例えば図2および図4の補助デバイス2のプロセッサ24により実行することができる。例えば、記憶媒体600は、図4の補助デバイス2のプログラムメモリ240を表すことができる。記憶媒体600は、固定式メモリ、または、例えばメモリスティックもしくはカードなどの着脱式メモリであってよい。
詳細に前述したように、本発明の実施形態により、標準的な注射デバイス、特にインスリンデバイスを、血糖モニタリングシステムに、有用かつ生産的な方法で接続できるようになる。
本発明の実施形態は、この接続を可能にするために、血糖モニタリングシステムが無線または他の通信機能を有することを想定して、補助デバイスを導入する。そのような補助デバイスを設ける利点は、例えば特許文献1に記載されている。
本明細書で使用される「薬物」または「薬剤」という用語は、例えば特許文献1に記載されたような、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味する。
次に、図8〜図14を参照しながら、補助デバイス2の機械的配置および注射デバイス1に取り付けられる方法について説明する。
図8から最もよくわかるように、補助デバイス2は、ディスプレイ21が図示した向きで最上部にある状態において(図8〜図14のすべてについて同様である)、用量ノブ12近くで注射ペン1に取り付けられる。ディスプレイ21の平面は、注射デバイス1の長手方向軸に対して略横方向に位置し、図8、図9、図10、図12、図13、図14の紙面に垂直である。
閉鎖部68がヒンジの軸59から延び、注射ペンの下側で延びる。閉鎖部68は、補助デバイス2に右側で(図を見る人に注射ボタンが最も近い状態で、注射デバイス1を見て)連結され、注射ペン1の下側で延び、左側で補助デバイスに連結する。
これらの図示した実施形態の補助デバイス2は、注射デバイス1上での補助デバイス2の正しい位置合わせに寄与する2つの機能と、補助デバイス2を注射デバイス1に固定する1つの機能とを含む。注射デバイス1上での補助デバイス2の正しい位置合わせに寄与する機能は、位置合わせ配置と呼ぶことができる。注射デバイス1に対する補助デバイス2の固定に寄与する機能を、固定配置と呼ぶことができる。
注射デバイス1上での補助デバイス2の正しい位置合わせによって、OCR読取装置25が用量窓13に確実に正しく位置合わせされる。正しい位置合わせにより、正しい動作および確実な読取りが可能になる。使用時に補助デバイス2と注射デバイス1とを確実に正しく位置合わせできることにより、特に、デバイス1、2間の異なる位置合わせに対応可能に設計する必要がないため、OCR読取装置25のより簡単な設計が可能になる。
第1の位置合わせ機能は位置決めチャネル71である。位置決めチャネル71は、補助部材の本体と閉位置にあるときの閉鎖部68との間で画成される注射デバイス受けチャネル58の最上部に位置する。
位置決めチャネル71は、図11aおよび図11bに最もよく示される。ここから、補助デバイス2が注射デバイス1に装着されたとき、用量ノブ12に最も近い補助デバイスの端部に位置決めチャネルが形成されることがわかるであろう。
図1bで最もよくわかるように、位置決めリブ70が表示窓13と用量ノブ12との間に位置する。この例では、位置決めリブ70は、表示窓13と用量ノブ12との間の距離全体に延びる。他の例では、位置決めリブは、より短い。位置決めリブ70は、用量ノブ12に隣接する端部で高く、表示窓13との接合部では高さがゼロになるようにテーパ状になっている。図1bからわかるように、位置決めリブ70の最上縁部のテーパがわずかに湾曲している。テーパの勾配は、用量ノブ12に最も近い位置決めリブ70の部分でより小さく、表示窓13の位置まで位置決めリブに沿って大きくなる。位置決めリブ70の形状は、用量ノブ12に隣接する位置決めリブ70の位置から表示窓13に隣接する位置決めリブ70の位置まで動くにつれて、勾配が連続して増加するようになっている。
注射デバイス1の本体周囲の寸法である位置決めリブ70の厚さは、位置決めリブ70の長さに沿って変化する。位置決めリブ70の厚さは、用量ノブ12に隣接する端部で最も大きく、表示窓13に隣接する端部で最も小さい。位置決めリブ70の厚さは、用量ノブ12に隣接する位置決めリブの端部から表示窓13に隣接する位置決めリブの端部まで動くにつれて、徐々に減少する。
注射ペン1の長手方向軸に垂直に取った断面である位置決めリブの横断面は、角丸の三角形である。位置決めリブ70の横断面は、全長について略同一であるが、当然大きさは異なる。
位置決めチャネル71は、注射ペン1上にある位置決めリブ70の形状および大きさに密接に対応するように寸法決めされる。
位置決めチャネル71は、位置決めリブ70の大きさおよび形状に密接に対応する大きさおよび形状を有する。位置決めチャネル71は、位置決めリブを位置決めチャネル71内に確実に位置させることができるように、位置決めリブよりもわずかに大きい。位置決めリブ70が位置決めチャネル71内にあるとき、対応する大きさにより、2つの機能が確実に嵌合する。これにより、注射デバイス1上で補助デバイス2を確実に正しく位置させることを助ける。
次に、2つのデバイス間の正しい位置合わせを確実にするのを助ける補助デバイス2および注射ペン1の他の機能について説明する。図1bで最もよくわかるように、注射ペン1は、用量ノブ12に近い位置で、本体の両側に凹みを備える。図1bでは、左側の凹み52が示される。図10および図12に示される右の凹み51は、注射ペン1の右側の対応する位置にある。
右および左凹み51、52は、比較的浅い窪みである。凹み51、52は傾斜側部を有し、すなわち凹み51、52の側部は平行ではない。また、凹み51、52は、注射ペン1の長手方向軸に対して半径方向ではない。これらの実施形態では、右および左凹み51、52の側部の傾斜が、凹みの異なる部分について異なる。特に、凹みの側部の傾斜の勾配は、表示窓13から最も遠い凹みの部分でより小さく、表示窓13に最も近い凹み51、52の部分で最も大きい。これらの例では、凹みの傾斜がこれら2つの端部間で、例えば直線的に変化する。
凹みの側部の傾斜は、例えば、表示窓13から最も遠い部分で30〜70度であってよい。傾斜は、例えば、表示窓13に最も近い部分について60〜80度であってよい。表示窓13により近い部分で傾斜角度が大きいほど、注射デバイス1の長手方向軸に対して半径方向への補助デバイス2の取り外しに対する抵抗をいくらかもたらすようにして、凹み51、52内への突起面の係合を助ける。
図10および図11で最もよくわかるように、右および左突起53、54が、右および左凹み51、52のそれぞれの形状に対応するように形成される。このようにして、補助デバイス2が注射ペン1上に正しく位置するとき、右および左突起53、54が右および左凹み51、52のそれぞれの内部に嵌合する。右および左突起53、54の外寸は、突起がそれぞれの凹みの内部に確実に嵌合するように、右および左凹み51、52の内寸よりもわずかに小さい。
これらの実施形態では、右突起53は右凹み51の形状に密接に対応するように形成される。このようにして、補助デバイス2が注射ペン1上に正しく位置するとき、右突起53が右凹み51内にぴったりと嵌合する。左突起54は右突起53と同様に形成されるが、右突起53よりも低くなっている。言い換えると、左突起54は右突起53と同様であるが、上部がないか、切り取られている。これが、左突起54の端面が右突起53よりも大きい面積を有することの理由である。突起53、54の大きさが異なることにより、突起が凹み51、52内に係合することを助ける。右突起53が主であり、左突起が従であると考えてもよい。
図11bに最もよく示すように、右突起53は右アーム55の端部に位置する。
図11aでわかるように、左突起54は左アーム56の端部に位置する。
図10で最もよくわかるように、右および左アーム55、56は、補助デバイス2の本体20から略垂直に垂下する。したがって、右および左アーム55、56は、注射デバイス受けチャネル58の両側に形成される。
U字形ばねの形の付勢機能67が、右および左アーム55、56の各々に連結される。ばね67の効果は、右および左アームをある位置に付勢することである。右および左アーム55、56が付勢される位置は、右および左突起53、54の最内面間の距離が、右および左凹み51、52の底部間の距離よりもわずかに小さいような位置である。ばね67の効果は、突起53、54およびアーム55、56の互いに離れる方向への動きに抵抗することである。
突起53、54の側部の傾斜が凹み51、52の側部に一致するため、アーム55、56の遠位端の突起53、54の傾斜側部は比較的浅い。これにより、補助デバイスが装着されるとき、注射ペン1の本体10の外面上で突起53、54を摺動させることを助ける。これは、図10および図12を参照して最もよく示される。
図10に示すように、補助デバイス2は、右および左アーム55、56の端部、特に突起53、54が、注射ペン1のハウジング10にちょうど接触するように、注射ペン1に対して位置する。突起53、54は、ここで、表示窓13の左側および右側でハウジングに接触する。
右および左アーム55、56は、右側および左側で補助デバイス2から垂下するフラップ60の裏側にある。図10からわかるように、フラップまたは保護壁60は、アームよりもさらにわずかに下方に延びる。フラップ60は、透明材料から形成される。これにより、ユーザは、凹み51、52に対するアーム55、56の位置を見ることができるため、補助デバイス2を注射デバイス1上に正しく位置させるのに役立つ。
補助デバイス2を注射デバイス1に嵌合させるために、ユーザは、まず、図10に示すように、補助デバイス2を注射デバイス1に対して配置し、その後、補助デバイス2に下方への力を加えると同時に、注射デバイス1に上方への力を加える。これにより、突起53、54、およびしたがって右および左アーム55、56に力が加わる。注射デバイス1と補助デバイス2とが近付くと、力によって、ばね67の弾性に対抗してアームが離れる。これにより、ばね67が反力を加え、注射デバイス1が注射デバイス受けチャネル58に入るのに抵抗する。しかしながら、突起53、54が、注射デバイス1の長手方向軸に直接一致する注射ペン1の位置に到達すると、注射デバイス1と補助デバイス2とが共にさらに動くときに、ばね67により与えられる反力が増加しなくなる。この後、注射デバイス受けチャネル58内への注射ペン1の動きが、ばね67の弾性により補助される。
さらなる動きの後、突起53、54が右および左凹み51、52に位置合わせされ、ばね67の弾性により、凹みに係合する。係合により、突起53、54が凹み51、52にクリック留めされるか、またはカチッと留まるとき、触覚および音声フィードバックを与える。フィードバックは、ばね67の弾性により与えられる力によって強化される。突起53、54が凹み51、52に嵌合すると、一部には突起53、54および凹み51、52の対応する形状により、ならびに一部にはばね67によりアーム55、56が共に付勢することにより、注射デバイス1に対する補助デバイス2のさらなる動きに大きな抵抗が生じる。
補助デバイス2および注射デバイス1が共に動くときに、凹み51、52の一方が他方よりも高い場合、突起53、54の一方は、突起の他方が他方の凹みに到達する前に、高い方の凹みに係合する。この場合、最初に接触する突起および凹みが係合し、その凹みに対するその突起のさらなる動きに対して大きな抵抗を生じさせる。この場合、他方の凹みが他方の突起に接触するように、当然、注射デバイス1が補助デバイスに対して回転される傾向がある。他方の凹みが他方の突起に接触すると、これらは嵌合して、補助デバイス2に対する注射ペン1のさらなる動きに対して、かなりの抵抗が生じる。他方の突起がそれぞれの凹みに接触する前に、突起の一方が凹みに接触する状況では、ユーザにとって、注射ペン1と補助デバイス2とが、最初にほとんどまたはまったく回転せずに共に動くように思われる。その後、第1の突起が対応する凹みに接触するとき触覚および音声フィードバックが与えられ、この後、注射デバイス1は、他方の突起が他方の凹みに受けられるまで、注射デバイス受けチャネル58内の定位置に入り、この時点で、さらなる触覚および音声フィードバックがユーザに与えられると思われる。
突起53、54が凹み51、52内に嵌合すると、図12に示すように、注射デバイス1が注射デバイス受けチャネル58内に完全に位置する。ここで、表示窓13の最外面が、補助デバイス2の上部の最下面に略位置合わせされることがわかるであろう。この補助デバイス2は、注射デバイス1が注射デバイス受けチャネル58内にぴったりと嵌合し、補助デバイスおよび注射ペン1がこの相対位置にあるとき、注射デバイス1のハウジング10の外面と補助デバイス2の最下面とが接触する複数の点または領域があるように形成される。この時点で突起53、54が凹み51、52に嵌合していなくても、ユーザは、注射ペン1が補助デバイス2内のこの位置に着座することが当然の傾向であることに気付くであろう。
右および左突起53、54が右および左凹み51、52内にそれぞれ位置するように、補助デバイス2が注射ペン1に対して位置すると、位置決めリブ70が位置決めチャネル71内に係合する。これにより、注射デバイス1に対する補助デバイス2の正しい位置合わせが、2つの方法:第1に、位置決めリブ70を位置決めチャネル71内に位置決めすることにより、および第2に、突起53、54を凹み51、52内に位置決めすることによりもたらされる。
補助デバイス2が図8に示す位置のわずかに右にあるような位置で、ユーザが補助デバイス2を注射ペン1に配置する場合、位置決めリブ70は位置決めチャネル71内に嵌合しない。この場合、位置決めリブ70が、位置決めチャネル71内の正しい位置から何らかの形で遠位にある補助デバイス2の表面に載置されることにより、補助デバイス2は注射ペン1上に完全には位置することができない。しかしながら、この位置で、突起53、54の端部は、注射デバイス1のハウジング10の周囲の中間点を通過するため、ばね67によって、注射デバイス1が、注射デバイス受けチャネル58内に位置するように補助デバイス2側へ付勢される。ユーザは、突起53、54と凹み51、52との嵌合からの触覚フィードバックを受けていないため、補助デバイス2が注射ペン1に正しく嵌合しなかったことがわかる。また、ユーザは、用量ノブ12に最も近い補助デバイスの端部が注射ペン1から離れる距離が、用量ノブ12から遠位の補助デバイス2の端部で補助デバイス2が注射ペン1から離れる距離よりも大きいことに気付くであろう。この状況で、ユーザは、単に補助デバイス2と注射ペン1とに対して力を及ぼして、補助デバイス2を図8に示す方向で左側に動かすことにより、補助デバイス2と注射ペン1とを係合させることができる。これは、片手または両手で行うことができる。補助デバイス2と注射デバイス1とが互いに対して動くと、位置決めリブと位置決めチャネルとがより一層係合する。ばね67により与えられるばね力は、補助デバイス2と注射デバイス1とのこのような相対運動を助けることができる。位置決めリブ70と位置決めチャネル71とがさらに係合すると、用量ノブ12に最も近い補助デバイス2の端部が注射デバイス1側へ下がる。この動きは、位置決めリブ70が位置決めチャネル71内に完全に入るまで続き、この時点で、右および左突起53、54も右および左凹み51、52にそれぞれ係合する。この時点で、突起53、54と凹み51、52との嵌合により触覚フィードバックが与えられ、ユーザは、補助デバイス2と注射デバイス1とが互いに対して適切に位置していることを判定することができる。
補助デバイスが図8に示す位置よりも左にあるように、ユーザが補助デバイスを注射ペン1上に位置させると、補助デバイス2と注射ペン1とは嵌合しない。この場合、位置決めリブ70は、補助デバイス2が注射ペン1に対して平らに位置することの妨げにはならない。ユーザは、これに気付き、補助デバイス2が用量ノブ12から遠すぎることがわかるであろう。ユーザは、単に補助デバイス2を注射デバイス1に対して動かして、補助デバイス2を図8に示す方向で右側に動かすことにより、補助デバイス2を注射ペン1に係合させることができる。
位置決めリブ70の端部が表示窓13に最も近いときに位置決めリブ70が位置決めチャネル71に位置合わせされると、位置決めリブ70の最小端部が、位置決めチャネル71の大きな開口端である口に入る。この段階で、補助デバイスは依然として注射デバイス1の表面に位置し、注射デバイス1は注射デバイス受けチャネル58内に完全に位置する。ばね67の作用により、注射デバイス1が、この段階で補助デバイス2に対して注射デバイス受けチャネル58内に付勢される。
位置決めリブ70と位置決めチャネル71とが正確に位置合わせされない場合、位置決めリブ70の最も狭い端部が位置決めチャネルの側部に係合する。補助デバイス2と注射デバイス1との長手方向へのさらなる相対運動により、位置決めリブと位置決めチャネル71の壁との間に反力が加えられ、補助デバイス2および注射デバイス1を完全に位置合わせするように付勢する。これは、位置決めリブ70が位置決めチャネル71内に完全に係合するまで行われ、その時点で、右および左突起53、54も右および左凹み51、52に係合する。この時点で、補助デバイス2および注射デバイス1が互いに完全に係合する。
補助デバイス2は閉鎖部68を備え、この閉鎖部68は、2つのデバイスが互いに嵌合するとき補助デバイス2を注射ペン1に締結するという主な機能を有する。
図13および図14で最もよくわかるように、閉鎖部68は仮想円筒の湾曲面に一致する最内面を有する。円筒の直径は、注射デバイス1のハウジング10の外寸と同一である。このようにして、閉鎖部68は、補助デバイス2が注射デバイス1上で定位置にあるとき、注射デバイス1のハウジング10の最下部にぴったりと嵌合する。
閉鎖部68は、図13に示す開位置と図14に示す閉位置との間で運動可能である。
図8でわかるように、閉鎖部68は、アーム保護壁60の、用量ノブ12とは反対方向で、アーム保護壁60に隣接して位置する。閉鎖部68は、補助デバイス2の長さ寸法の約60%である寸法を、注射ペン1の長手方向軸に有する。他の例では、注射ペン1の長手方向における閉鎖部68の長さが、補助デバイス2の長さの30〜80%、好ましくは補助デバイス2の長さの40〜70%のいずれかの値を取ることができる。
閉鎖部68の材料は、略均一な厚さを有する。このようにして、補助デバイス2が注射ペン1に嵌合するときの注射ペン1の長手方向軸から最も遠い面である閉鎖部68の外面は、略円筒形であり、または少なくとも円筒の一部の形状を取る。
閉鎖部68は、2つの切欠き72、73を備える。切欠き72、73は、補助デバイス2の他側に形成されたヒンジの軸59から最も遠い閉鎖部68の縁部から延びる。切欠き72、73は、この縁部から、注射ペン1に対して略周方向である方向に延びる。切欠きの長さは、閉鎖部68が略位置する円の円周の約1/6または1/5に等しい。切欠き72、73はタブ61を画成する。タブ61は、切欠き72、73の最下端部間の位置で閉鎖部68の主部に連結される。タブ61の自由端63は、切欠き72、73の最上端部間に位置する。図9で最もよくわかるように、タブ61の自由端63は、切欠き72、73間の中心の点で、注射ペン1の長手方向軸からより大きく離れて延びるように湾曲している。これにより、ユーザは、より良好にタブ61の自由端63に指を置いて、自由端63を図14の左下方向に引くことができる。
図9、図13、および図14で最もよくわかるように、タブ61の内面には、掛止縁部64が設けられる。掛止縁部64は、掛止面と別の面との接合部に設けられる。掛止縁部64は、タブ61の幅だけ延びる。図14に示すように、掛止面は、閉鎖部68が閉位置にあるとき、注射ペン1の長手方向軸に対して略半径方向に延びる平面である。この位置で、掛止縁部64は、補助デバイス2の最上部の一部として設けられた、すなわち閉鎖部68の一部でない補助デバイス2の一部として設けられた掛止係合面66に係合する。掛止係合面66は、閉鎖部68が閉位置にあるとき、掛止面の平面と略同一の向きである平面に設けられる。
ユーザが補助デバイス2を注射ペン1に嵌合させる、特に、位置決めリブ70を位置決めチャネル71内に嵌合させ、突起53、54を凹み51、52内に位置させると、ユーザは補助デバイス2を注射ペン1に固定することができる。これは、注射デバイス受けチャネル58が開いて注射ペン1を内部に含む、図9に示す位置から、ユーザが閉鎖部68を動かし、閉鎖部68をヒンジの軸59の周りで回転させてタブ61の自由端63を掛止係合面側へ動かすことによって達成される。掛止縁部64の最内部が、掛止係合面66の真下に位置する(図示したように)ガイド面65に接触するまで、動きが続けられる。ガイド面65は、注射ペン1のハウジング10の外面に対して略接線方向に傾斜する。
この時点で、閉鎖部68が図13に示す形状を採用する傾向により、タブ61の端部とガイド面65とのばね力がもたらされる。ユーザが閉鎖部68にさらなる力を及ぼすと、閉鎖部68は弾性変形して、タブ61の自由端63とヒンジ59との分離を大きくする。これにより、掛止縁部64の縁部がガイド面65上を摺動することができる。これは、掛止縁部64がガイド面65と掛止係合面66との間の縁部に位置合わせされるまで続き、位置合わせされた時点で、掛止縁部64と掛止面とが、掛止係合面66に形成されたチャネル内に係合する。この時点で、閉鎖部68の弾性によって、掛止縁部64および掛止係合面66が互いに係合し、この時点で、部材は図14に示す位置にある。この位置で、閉鎖部68の最内面が注射ペン1のハウジング10の最外面にぴったりと接していることがわかるであろう。この時点で、閉鎖部68により、注射ペン1が注射デバイス受けチャネル58内にしっかりと含まれ、閉鎖部68により定位置に保持されることが確実になる。
この配置により、図14の平面において補助デバイス2に対する注射デバイス1の動きが防止されることが理解されよう。
注射ペン1の長手方向軸に沿った補助デバイス2の動きが、突起53、54と凹み51、52との嵌合により阻止される。加えて、図8に示すような補助デバイス2の右方向への動きが、補助デバイス2の本体20に作用する位置決めリブ70によってさらに防止される。
一部の実施形態では、位置決めリブ70および位置決めチャネル71がない。これらの実施形態では、補助デバイス2と注射ペン1との正しい位置合わせが、突起53、54と凹み51、52との嵌合によりもたらされる。
一部の他の実施形態では、右および左アーム55、56ならびに突起53、54がない。これらの実施形態では、補助デバイス2と注射ペン1との正しい位置合わせが、位置決めリブ70および位置決めチャネル71によりもたらされる。
当然、補助デバイス2と注射ペン1との正しい相対位置を確保するための他の代替配置が、当業者により想定されるであろう。そのような代替形態は、特許請求の範囲の文言により明確に除外される場合を除いて、すべて本発明の範囲内に含まれる。
また、当業者は、例えば、正しい相対位置が達成されると、補助デバイス2を注射ペン1に締結する代替固定配置に気付くであろう。そのような代替形態は、タブまたはアームなどの弾性部材を伴う様々な他の掛止機構を含み、複雑な運動部材を含まない。他のそのような実施形態は、例えばツイストロック機構によるクランプ、張力クリップ、および他のそのような機構などの、より複雑な運動部材を伴う。ヒンジは、閉鎖部材を有する補助デバイスの本体を連結する比較的簡単な方法であるが、代替連結配置が当業者により想定されるであろう。適切な連結配置は、摺動機構、クリップなどを含むことができる。
図15は、注射ペン1の軸に垂直な方向の、補助デバイス2および注射ペンの横断面図である。横断面は、カメラの形のOCR読取装置25を通るものである。カメラ25をセンサと呼んでもよい。図15は、横断面の外にある第3および第4のLED29c、29dが見えている点で、真の横断面ではない。
図15で、用量窓13は横断面において均一な厚さであり、円筒環の一部を形成する形状を有することがわかる。用量窓13が位置する円筒の軸は注射ペン1の軸である。用量窓13は、軸方向にわずかに円錐形であってよい。
図15では、補助デバイス2が注射ペン1に係合し、ぴったりと嵌合する。さらに、突起53、54が凹み51、52内に嵌合し、位置決めリブ70と位置決めチャネル71とが嵌合することにより、補助デバイス2と注射ペン1とが正しく位置合わせされる。この位置で、カメラ25は用量窓13を向く。
カメラ25と用量窓13との間に保護窓80がある。窓80は、図16および図18にも示される。図15から最もよくわかるように、保護窓80は、注射ペン1の軸に位置合わせされる軸を有する円筒の湾曲面に位置する最下面を含む。保護窓80の最上面は、より小さい半径を有する。したがって、保護窓80は、カメラ25と注射ペン1の軸とのちょうど間の経路である中心部の厚さが、縁部の厚さよりも大きい。したがって、保護窓80は屈折力を有する。保護窓80は、カメラ25の撮像システムの一部をレンズ25aと共に形成するように構成される。これらの実施形態におけるレンズ25sは2つのレンズを有するが、説明を簡単にするために1つのレンズとして言及する。保護窓80の屈折力が、図16aの端面図および図16bの横断面図でわかる。保護窓80の屈折力は、短い軌道長を可能にし、コンパクトな配置に寄与する。
他の実施形態では、保護窓80が屈折力を有しておらず、言い換えるとゼロの屈折力を有する。そのような配置は同様に良好に機能するが、コンパクトではなくなる可能性がある。
保護窓は、適切な、光学的に透明な材料から形成される。例えば、保護窓は、光学グレードのプラスチック、例えば光学グレードのポリカーボネートまたはPMMA(ポリメチルメタクリレートアクリル)から形成される。
窓81の左縁部には、補助デバイス2の本体20の一部を形成する左窓支持部83に連結する機能が設けられる。窓の右縁部の機能82は、補助デバイス2の本体20の一部を形成する右窓支持部84に載置されるように同様に構成される。左および右窓支持部83、84は、補助デバイス2の他の部材に対して正しい位置で保護窓80を支持するように働く。図16bに示すように、保護窓80は、窓の左右端部に機能を有するが、この機能は、補助デバイス2の機能との機械的連結を可能にするように働くものであり、光学システムに関連しないためここでは説明しない。
保護窓80は、本体に対して封止される。これにより、本体20にごみ、埃、および他の破片が入ることを防止し、かつカメラ25および光学システムの他の部材の正しい動作を維持するのを助ける。したがって、保護窓80は、補助デバイスの本体20の機械的構成の一部および光学システムの一部を形成する。これにより、全体の配置をコンパクトにするのを助ける。
図1aで最もよくわかるように、用量窓13は、注射ペン1に対して正方形ではない。代わりに、用量窓は傾斜しているため、用量スリーブ19が数字を螺旋状に示すことができ、ユーザが用量ダイヤル12を回転すると数字が用量窓13に現れ、用量が送達される。Sanofiにより製造されたSoloStar注射ペンでは、用量窓13および用量スリーブ19上のマーキングが13度傾斜している。
図17および図18から最もよくわかるように、カメラ25および第1〜第4のLED29a〜29dを含む光学配置が、注射デバイス1の主軸に対して傾斜している。光学部材を傾斜させて、傾斜した板材(lumber)スリーブ19および用量窓13に位置合わせする。SoloStar注射ペンの場合、傾斜量は13度である。
図17および図18から最もよくわかるように、第1〜第4のLED29a〜29dは、カメラ25のレンズ25aから分離される。この例では、LED29a〜29dはレンズ25aの周りに分散される。LED29a〜29dは、用量スリーブ19を照明して、用量スリーブ上のマーキングをカメラ25により読み取ることができるように構成される。図15から最もよくわかるように、LED29a〜29dは、用量窓13の中心側に傾斜し、または傾いている。これにより、用量スリーブ19がより効果的に照明され、照明の全体的な効率を上げることができる。他の実施形態では、LEDが傾斜せず、すべてのLEDが、LEDの位置する平面から共通の方向に放射する。
光学システムは、おそらく、図19から最もよく理解される。図19は、図15に密接に対応する横断面図であるが、背面図であり、すなわち図15の右が図19の左になるように反対方向に取られている。
図19は、第3および第4のLED29c、29dの照明パターンを実線で縁取って示す。これらは概略的なものにすぎない。実際には、用量スリーブ19の実際の照明は、保護窓80および用量窓13によって生じる屈折のため異なる。図19では、説明を助けるために、用量窓13の厚さが誇張されている。
また、図19はカメラ25の視野を示し、視野はカメラレンズ25aに収束する。カメラ25の視野が用量スリーブ19の幅全体を覆うことがわかるであろう。図19には見えないが、カメラ25の視野は、用量スリーブ19の長さの十分な部分を覆い、用量スリーブに示されたマーキングが、動作中にカメラ25によって取り込まれる。
第1〜第4のLED29a〜29dからの照明が、注射ペン1の保護窓80および用量窓13を通過して、用量数のマーキングがある用量スリーブ19を照明する。カメラ25は、保護窓80および用量窓13により生じる屈折を考慮して用量スリーブ19を見るように配置される。前述したように、保護窓80は、カメラ25の撮像システムの一部である。
LED29a〜29dは、用量スリーブの略均一な照明を達成するように配置される。これは、画成された角度および空間範囲内に略均一な照明パターンを有するLED29a〜29dを使用して達成される。LED29a〜29dは、保護窓80および用量窓13の光学的効果を考慮して、均一な照明パターンが用量スリーブ19で得られるように位置する。
第1〜第4のLED29a〜29dの各々が、それぞれのLED29に最も近い用量スリーブ19の象限全体を含み、かつカメラレンズ25aの直下の用量スリーブ19の中心点を含む、用量スリーブ19の部分を照明する。一部の実施形態では、LED29の各々が、それぞれの象限のみを照明し、隣接する象限までわずかに延びることができる。他の実施形態では、LED29の各々が、用量スリーブのより大きい割合を照明する。例えば、各LEDが、用量スリーブの60%超、70%超、または80%超を照明することができる。LED29の各々により照明される領域が大きいほど、用量スリーブ19の照明が良好になる。
LED29の各々は、カメラレンズの平面においてカメラレンズ25から比較的離れて位置する。LED29は略カメラレンズ25aの平面にあるが、図15からわかるように、この特定の例では、LED29はカメラレンズ25aの平面よりわずかに下にある。これは、補助デバイス2をコンパクトにすることに寄与する。また、カメラレンズ25aの鏡胴などの他のデバイス機能を通る光の吸収を妨げる。したがって、より良好な均一性と全体的な輝度レベルにも寄与する。
図17からわかるように、第1〜第4のLED29a〜29dは、用量窓13の真上には位置していない。代わりに、LED29a〜29dはわずかに側部に位置する。これは、LED29a〜29dが用量窓13側へ延びる照明パターンを有するため、光学配置に影響しない。
図18から最もよくわかるように、保護窓80は、LED29a〜29dと用量窓13との間に延びる。保護窓80は、用量窓13の領域全体または略全体を覆う。
LED29および保護窓80は、光路が、空気と光学部材との境界に、境界に対する全内部反射の角度よりも小さい角度で接触するように配置される。保護窓80は、全内部反射の角度よりも小さい角度で入射する比較的少ない光を反射する材料から形成される。
図16bで最もよくわかるように、光分散部材85、86が保護窓80に設けられる。光分散部材85、86は、LED29からの光が用量窓13からカメラレンズ25aに直接反射する可能性を妨げる位置に設けられる。LED29a〜29dの所与の1つについて、光がカメラ上に直接反射する領域が用量窓13の最下面にある。領域は、点として近似され、点または小さい領域と呼ばれる。各LED29について、光がカメラ25上に直接反射する領域が用量窓の最上面にもある。この反射された光を反射作用と呼ぶことができる。用量スリーブ19に最も近い面である、用量窓13の最下面からの反射作用は、カメラ25による正しい撮像に、より関連する。これらの実施形態では、光分散部材85、86が、用量窓13の最下面からの反射作用を防止するように位置する。用量窓13が非反射被覆で被覆されていないため、大きな反射作用が生じる。用量窓13は、通常、比較的反射する面を有する、比較的低コストのポリカーボネートから作られる。
用量窓13の最下面に、第4のLED29dからの光がカメラレンズ25aに反射する点がある。この点を、第4のLED29dの反射点と呼ぶことができる。第4のLED29dの反射点で、LED29dからの光が、空気から保護窓80の材料内への1つの境界を通過し、保護窓80の材料から空気への別の境界を通過している。保護窓80が屈折力を有するため、用量窓13の最上面への光線の入射方向は、第4のLED29dから出るときの同一の光線の方向とは異なる。用量窓13の最上面に到達した光は、空気と用量窓13との境界により再び屈折され、用量窓13の最下面側へ進み続ける。第4のLED29dの反射点から、反射光は、カメラレンズ25aに到達する前に、用量窓13の最上面および保護窓80の2つの面により設けられた3つの境界で屈折する。このようにして、かつ保護窓80が屈折力を有し、用量窓13の最上面で屈折が生じるため、用量窓13の最下面から出る反射光線の行程の方向は、カメラレンズ25aに入射するときの光線の行程の方向とは異なる。
第4のLED29dの反射点では、用量窓13の最下面に垂直な第1の線が第1の平面にあり、この第1の平面には、第4のLED29dから入射する光およびカメラレンズ25aに反射する光もあり、かつ第1の線から、第4のLED29dから入射する光を反射点に結合する第2の線までの角度が、第1の線から、反射点をカメラレンズ25aへ進む光に結合する第3の線までの角度と同一である。
第1の光分散部材85は、入射する光を分散、散乱、または拡散させることにより、第1の光分散部材85がない場合に通るであろう光路に沿って光が進み続けることを防止するように構成される。通るであろう光路に沿って光が進み続けることを防止することは、光路に沿ったすべての入射光、または少なくともほぼすべての入射光に特に有利に当てはまる。第1の光分散部材85は少量の光の減衰を生じさせるが、有利なことに、減衰は最小限である。第1の光分散部材85は、ブラックアウトスポットなどではない。
第1の光分散部材85は、例えば、複数の光分散構造を並んで含むことができる。適切な光分散構造は、屈折により光を分散させるプリズムを含む。プリズムの使用により、入射光をその成分波長(component wavelength)に分割することができるが、LED光源の場合には、分割が容易に観察されるスペクトルの幅が不十分である。光分散構造は保護窓と一体形成されるか、または保護窓80とは別個に製造された後に保護窓80に取り付けられる。
図20aは、保護窓80と一体のプリズムを含む光分散部材85の横断面図である。図20bは、同平面図である。図20bでは、実線が、光分散部材85の領域を満たす細長いプリズムの山および谷である。
あるいは、第1の光分散部材85は、散乱または拡散構造を含むことができる。例えば、第1の光分散部材85は、保護窓80の表面の粗化を含むことができる。そのような粗化は、適切な方法で、例えば、動きの方向に対して垂直に力を加えながら、保護窓の表面を横切って研磨材料を動かすことにより達成される。適切な研磨材料はサンドペーパである。あるいは、粗化は、保護窓80の材料と反応してその表面トポグラフィを変化させる化学物質、例えば酸または他の活性化学物質を選択的に塗布することにより達成される。さらにあるいは、粗化は、エネルギーを加えて表面トポグラフィを変化させることにより達成される。例えば、加熱要素は、熱放射または加熱流体(例えば空気)担体を用いて熱を伝えることにより、保護窓80の表面を部分的に溶解させることができる。散乱または拡散構造は、一般的に、何らかの方法で屈折を用いて、そのような機能を達成する。
あるいは、第1の光分散部材85は、例えば接着剤もしくは熱接着により保護窓の表面に固定された散乱もしくは拡散材料のフィルムまたは層を含むことができる。これには、例えば、プラスチック拡散シートまたはフィルムが含まれる。
図20bを用いて光分散部材85のこれらの他の形を示すこともできる。ここで、実線は拡散または散乱構造を表すハッチングである。
第1の光分散部材85は、他の適切な形を取ることもできる。
第1の光分散部材85は、第4のLED29dと用量窓13の最下面の第4のLED29dの反射点との間の光路上で、保護窓80の最上面に位置する。反射作用をもたらす光路が、図17に88、89で示される。第1の光分散部材85をこの位置に置くことにより、第4のLED29dからの光が反射点に直接到達することを防止し、したがって、光が反射点からカメラレンズ25a上に直接反射されることを防止する。しかしながら、他のLED29a〜29cの照明パターンおよび配置により、光分散部材85の陰になって第4のLED29dにより照明されない用量スリーブ19の部分が、少なくとも1つの他のLEDにより照明される。したがって、用量スリーブ19のその部分を、カメラ25により読み取ることができる。
加えて、第1の光分散部材85が入射する光を分散、散乱、または拡散するため、保護窓80を通る通常の光路を通るであろう光のほとんどまたはすべてが、異なる方向に向けられる。この光の多くは、用量スリーブ19に入射して、第1の光分散部材85の代わりにブラックアウトスポットを使用した場合に達成されるものよりもさらに、用量スリーブ19を照明する。
散乱または拡散部材を使用する利点は、プリズムまたは他の通常の構造を使用する場合と比べて光がより均一に分散され、用量スリーブ19の照明の均一性が高まることである。
さらに、光分散部材85は、カメラレンズ25aと用量スリーブ19との間に位置しない。第1の光分散部材85がカメラレンズ25aと用量スリーブ19との間に位置しないのは、主に、光分散部材85が第4のLED29dの比較的近くに位置し、第4のLED29dがカメラレンズ25aの面において相当の距離だけ離れているためである。保護窓80の最上面に第1の光分散部材85を配置するため、および第4のLED29dが保護窓80の比較的近くに位置するため、第4のLED29dに近い第1の光分散部材85の位置が可能である。
代替実施形態では、光分散部材が保護窓80の最下面に位置する。保護窓80の最下面に位置する光分散部材85は、補助デバイス2の使用または保管中に損傷を受けやすいため、光分散部材を保護窓80の最上面に位置させることが好ましい。
第2の光分散部材86は、第3のLED29cに対して同様に位置する。特に、第2の光分散部材86は、保護窓80の最上面で、第3のLED29cと、光がカメラレンズ25a上に直接反射する用量スリーブ上の領域との間の光路上にある領域に位置する。ここで、第2の光分散部材86は第1の光分散部材85と同一の形を有するが、異なる形を有してもよい。
光路上の第1および第2の光分散部材85、86の位置は、図19で最も容易にわかる。
LED29が保護窓80の周りに傾斜して配置されるため、保護窓80の最上面は、第4のLED29dよりも第3のLED29cに近い。したがって、カメラレンズの面における第4のLED29dと第1の光分散部材85との分離は、その面における第3のLED29cと第2の光分散部材86との分離とは異なる。
光分散部材85、86の大きさおよび形状は、用量窓13の表面によりカメラレンズ25aに反射されるそれぞれのLED29c、29dからの光の光路のすべての部分を遮るように選択される。LED29a、29cが点光源ではないため、かつカメラレンズ25aがゼロ以外の面積を有するため、光分散部材85、86は、LEDから用量窓の関連部分へ直接進む光を効果的に遮断するように、ゼロ以外の直径を有する。これらの実施形態では、LED29が数10分の1ミリメートルの直径の発光面を有し、カメラレンズ25の直径が数ミリメートルであり、カメラレンズ25の開口絞りの直径が数10分の1ミリメートルである。これらの実施形態では、光分散部材85、86が0.5ミリメートルの直径を有し、これにより効果的な遮断をもたらす。光分散部材85、86が大きすぎると、光分散部材によって用量スリーブ19上に形成された影が、用量スリーブ上の数字のマーキングを認識するカメラ25の能力に影響するおそれがある。言い換えると、光分散部材85、86が大きすぎる場合、光分散部材によって用量スリーブ19上に形成された影により、用量スリーブ19の関連部材の照明の均一性が不十分になる。
光分散部材85、86の大きさおよび形状、ならびに光分散部材の位置は、カメラレンズ25aに直接反射をもたらす用量窓13の最上面の点に、影を生じさせるように選択される。
光分散部材85、86を配置する位置は、光学設計シミュレーションから導き出される。光分散部材85、86の大きさおよび形状も、光学設計シミュレーションから導き出される。
本実施形態では光分散部材85、86が円形であるが、他の実施形態では異なる形状を取る。例えば光分散部材85、86は長円形もしくは楕円形であってもよく、正方形もしくは長方形であってもよく、または任意の他の適切な形状をとってもよい。光分散部材85、86は、明確に画成された縁部を有することができ、この縁部で、保護窓80の表面への拡散または散乱効果が、非常に短い距離にわたって高から低(もしくはゼロ)へ変化する。あるいは、低(もしくはゼロ)分散、拡散または散乱から高分散、拡散または散乱へ徐々に推移するように、光分散部材85、86の縁部を曖昧にしてもよい。
光分散部材85、86の主な要件は、光を分散、拡散または散乱させること、および用量窓13の表面(特に最下面、および最上面)からカメラレンズ25aへの反射が妨げられる光路内に位置することである。
図、特に図16bから、光分散部材が、第1および第2のLED29a、29bについては設けられていないことがわかるであろう。これらのLED29a、29bに関し、反射作用が生じる、すなわち、LEDからの光が用量窓13の表面からカメラレンズ25aへ直接反射するが、これらの実施形態の用量スリーブ19および特定の配置のため、このような反射作用はカメラ25により検出された画像を乱すことはない。
一般的に言うと、複数の光源があるシステムにおいて、光分散部材を、すべての光源に関連して、または光源の一部または1つのみに関連して設けることができる。
これらの実施形態では、LED29c、29d、カメラレンズ25a、および用量スリーブ19の相対位置が予め定められ、補助デバイス2および注射ペン1の機械的配置により確実になる場合にのみ、光分散部材85、86の使用が可能である。補助デバイス2および注射ペン1の相対位置は、これらの実施形態で、凹み51、52内への突起53、54の嵌合および位置決めチャネル71内への位置決めリブ70の嵌合により確実になる。しかしながら、注射ペン1に対する補助デバイス2の正しい位置合わせを確保するための代替配置も本発明の範囲内にあることを理解されたい。
様々な代替形態が当業者に明らかであり、そのような代替形態は、特許請求の範囲により除外されない限り、すべて本発明の範囲内に含まれる。
例えば、LEDの代わりに、任意の他の適切な光源を使用してもよい。適切な光源としては、電球、レーザダイオード、および有機LEDが挙げられる。
図示した実施形態には4つの光源が含まれているが、他の実施形態では、1つ、2つ、5つ、または6つ以上の光源がある。光源の数の選択は、選択される特定の光源のタイプ、輝度、効率およびコスト要件に応じて決めることができる。ほとんどの場合、4つの光源により、比較的小さいハードウェアを備えながら、用量スリーブの十分な照明がもたらされる。
また、上記実施形態において、補助デバイス2が注射ペン1上で定位置にあるとき、保護窓80が用量窓13近くに位置しているが、代わりに、これらは相当な距離だけ離れていてもよい。保護窓80を用量窓13近くに設けることは、コンパクトな配置の提供に寄与する。