JP6392622B2 - 粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法 - Google Patents

粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6392622B2
JP6392622B2 JP2014204997A JP2014204997A JP6392622B2 JP 6392622 B2 JP6392622 B2 JP 6392622B2 JP 2014204997 A JP2014204997 A JP 2014204997A JP 2014204997 A JP2014204997 A JP 2014204997A JP 6392622 B2 JP6392622 B2 JP 6392622B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
observation
tin
electron microscope
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014204997A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016075525A (ja
Inventor
祐 三嶋
祐 三嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2014204997A priority Critical patent/JP6392622B2/ja
Publication of JP2016075525A publication Critical patent/JP2016075525A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6392622B2 publication Critical patent/JP6392622B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Description

本発明は、粒子を電子顕微鏡で観察するための観察用試料の新規な作製方法であり、また、該測定試料を用いた粒子の新規な電子顕微鏡観察方法に関する。
粉末試料(粒子)の形状や内部構造を確認するには、電子顕微鏡による観察が行われる。
例えば、透過型電子顕微鏡(以下、TEMという)による粒子の観察では、電子線が透過するために観察対象試料の厚みはおおよそ100nm以下の厚みが必要となる。そのため、有機薄膜を有するシートメッシュ上に粉末試料を分散固定する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、電子線の透過性の観点から、粉末試料の粒径が100nm以下と微小であるか、電子線が透過するに十分に薄い試料端部等に限り観察が可能であった。
また、走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)による粒子の観察では、導電テープや適当な試料台の上に粒子をばら撒き、観察する方法が一般的である。この方法では、粒子表面の粗さや粒径の評価は可能であるが、粒子内部の情報を得ることができなかった。
そのため、粒径が100nmを超える粒子のTEMによる観察では試料の薄片化が必要であり、SEMによる粒子の内部構造の観察には、断面を露出させるための加工が必要であった。
近年、GaイオンやArイオンを照射することで試料形状を加工できるイオンエッチング装置(イオンビームを照射する装置)が開発され、粉末試料の電子顕微鏡観察用試料作製に用いられている。粉末試料のTEM観察用試料作製では、ガリウム(Ga)イオンの照射により対象物の任意の部分の薄膜化が可能な集束イオンビーム(Focused Ion Beam)加工装置(以下、FIB装置という)が用いられることが多い。また、粉末試料のSEM観察では、FIB装置だけでなく、アルゴン(Ar)イオンの照射により、平滑な断面を作製するイオンミリング装置が用いられる。どちらの試料作製方法においても、粒径が十分に大きく、例えば、粒子径が100μmを超える粒子であれば、一粒子をピンセットで摘む等単独で取り扱えるため、無機バルク試料と同様に試料作製が可能である。
これに対して、単独粒子としては取り扱えず、且つ粒径が100nmを超える粒子では、この粒子を直接電子顕微鏡で観察した場合、TEM観察では電子線が透過せず、SEM観察では、表面形状しか観察できない。そのため、通常は、粒子を固定するために樹脂等に混合し、この混合物をイオンエッチング装置により加工して、得られた加工物を観察している。この加工物を電子顕微鏡で観察することにより粒子の形状、内部構造を観察することができる。
ところで、電池材料や半導体材料などで使用される粒子は、耐熱性、耐水性等の性能を向上させるために、粒子表面に様々な処理を施し、粒子表面に表面処理層を形成させることがある。求める機能の発現には、表面処理層は所望の厚みで均一となることが望ましく、表面処理層の構造を詳細に評価することが重要となる。
表面処理層の構造を観察するに当たり、上記樹脂に混合する観察用試料作製方法では、表面処理層が有機物であった場合、樹脂中での硬化時に、表面処理層の溶出、剥離等が起こることがあり、表面処理層の厚みを適切に評価することができなかった。そのため、有機物によって表面が被覆された粒子の観察では、表面処理層の構造に影響を与えることなく、粒子を固定する方法が望まれていた。
これに対して、樹脂のような有機高分子材料ではないもので粒子を固定化して粒子の形状、断面を測定する方法が検討されている。具体的には、粒子状の微小隕石の分析の際に、粉末試料(粒子状の微小隕石)と金とを圧接させ、これをFIB装置により加工し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この方法によれば、金を用いることで成分が未知である隕石(粒子)であっても、変質を回避してTEM観察することができる。また、粉末試料の傍に金属が存在していることになるため、FIB装置による加工前に必要な導電処理を省くことができ、非常によい試料作製方法である。
しかしながら、包埋金属として金は非常に高価であり、日常的に用いることは困難である。さらに、金は常温で比較的硬い金属であるため、微小隕石(粒子)と金とを圧接させるには、焼きなましを行うなど、試料作製に多くの手間と時間がかかっており、改善の余地があった。また、焼きなましを行うと、例えば、有機物で表面処理された粒子などは、その表面の有機物が変質してしまうおそれがあり、様々な粒子へ適用するという点においても、更なる改良が必要であった。
特開平2−262226号公報
野口 高明、初期太陽系における鉱物−水−有機物相互作用 惑星と生命の起源物質初期進化 平成26年8月22日研削 インターネット<URL:http://www-sys.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~nagahara-kaken/members/noguchi/index.html>
従って、本発明の目的は、従来の方法では電子顕微鏡での観察が難しかった特定の粒子径を有する粒子を容易に電性顕微鏡で観察できる観察用試料の作製方法と、該粒子の観察方法とを提供することにある。特に、樹脂包埋により構造破壊が起こりやすい有機物による表面処理が施された粒子であっても、内部構造及び表面処理層に損傷がない電子顕微鏡観察用試料の作製方法と、該粒子の観察方法とを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。そして、本発明者等は、金に代わる、安価で加工性のよい材料を探索した結果、常温において金よりも軟らかい錫を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の発明は、粒子を電子顕微鏡で観察するために作製する観察用試料の作製方法であって、
該粒子が、表面が有機物で被覆された無機粒子であり、
該粒子の平均粒子径が100nmを超え100μm以下であり、
該粒子と錫とを圧接することにより、該粒子と錫とが接触した部分を有する観察用試料を作製する方法である。
第1の発明においては前記粒子の表面が有機物で被覆された無機粒子であるため、表面の有機物を変質(構造破壊等)させることなく、該粒子の観察ができる。そのため、非常に有用な方法となる。
さらに、第1の発明においては、観察用試料は錫上に前記粒子から形成される層を含み、該層の最も厚い部分の厚みは前記粒子の平均粒子径の3倍以上であることが好ましい。こうすることにより、粒子の観察可能な視野数を増やすことができる。
また、第1の発明においては、前記観察用試料が、錫上に前記粒子を圧接させた圧接物にイオンビームを照射して断面を露出させたものである場合に優れた効果を発揮する。すなわち、錫上に粒子を固定化するため、イオンビームによって観察用試料断面(粒子断面)を容易に露出させることができる。
第2の発明は、上述した方法にて作製した電子顕微鏡観察用試料を、電子顕微鏡にて観察する方法である。
本発明によれば、粒子と錫とを圧接して観察用試料を作製するため、容易に粒子を固定化できるため、該粒子の電子顕微鏡観察が容易となる。具体的には、直接観察しようとすると電子線が透過せず内部構造が観察できなかった平均粒子径が100nmを超え100μm以下の粒子であっても、錫に圧接した観察用試料とするため、該観察用試料を容易に加工することができる。例えば、該観察用試料は、イオンビームを照射することによって容易に断面を露出することができるため、粒子の電子顕微鏡観察が容易となる。
さらに、錫を用いることにより、平均粒子径が100nmを超え100μm以下であり、かつ有機物で表面処理された粒子であっても、内部構造及び表面処理層に損傷がなく、容易に電子顕微鏡観察用試料が作製できる。その結果、該電子顕微鏡観察試料を測定することにより、該粒子の内部のみならず、粒子表面の表面処理層の構造を容易に観察することができる。
粉末試料と錫からなる圧接物の概念図 実施例1で測定したラウリルリン酸処理したAlN粉末(表面を有機物で処理した粉末)のTEM写真
本発明は、粒子を電子顕微鏡で観察するために作製する観察用試料の作製方法である。そして、該粒子の平均粒子径は100nmを超え100μm以下であり、本発明は、該粒子と錫とを圧接することにより、該粒子と錫とが接触した部分を有する観察用試料を作製するものである。そして、該観察用試料を電子顕微鏡で観察することにより、該粒子の形状(表面の状態等)、内部構造を電子顕微鏡で観察する方法である。以下、順を追って本発明について説明する。
(測定の対象となる粒子)
本発明において、観察の対象となる粒子は、平均粒子径が100nmを超え100μm以下のものである。平均粒子径が100nmを超え100μm以下の粒子は、そのまま電子顕微鏡で観察すると電子線が透過せず、粒子内部の構造が観察できない問題があったり、そのまま断面を露出させようとした場合、取扱いが困難であるため、本発明の方法が好適に適用できる。そのため、観察の対象となるより好適な粒子は、平均粒子径が100nmを超え50μm以下のものである。さらに、観察方法に適した粒子径としては、SEM観察を行うには、多くの粒子を観察できることから、平均粒子径が100nmを超え10μm以下である粒子が好ましい。また、TEM観察を行うには、TEM観察の観察領域を考慮すると、平均粒子径が500nm以上5μm以下である粒子が好ましい。
なお、本発明において、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により測定した粒度分布(体積分布)の中間値に対応する球相当径(直径)を意味するものである。レーザー回折散乱法による粒度分布の測定は、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(例えば日機装(株)製MT3300)によって行うことができる。
また、粒子の粒度分布がシャープである、例えば、平均粒径がRとしたとき、試料に含まれる粒子の最小粒径が0.4R以上、最大粒径が2.5R以下を満足する粒子を対象とする場合に、本発明の方法は好適に採用できる。粒径が0.4R〜2.5Rの粒子は、錫と圧接した際に粒子と粒子間に隙間が多くなるため、粒子の表面状態(断面を露出した際の表面の状態を含む)を観察するための視野が増えるため好適である。
該粒子は、平均粒子径が100nmを超え100μm以下の範囲である要件を満足すれば、特に制限されるものではなく、有機粒子(粉末)、無機粒子(粉末)であってもよい。中でも、表面を有機物で被覆した無機粒子は、樹脂で包埋する際の問題等があるため、本発明の対象物として好適である。ただし、錫の粒子は、圧接させる錫と一体化されないようなものに限られる。
無機粒子を例示すれば、樹脂に混合される無機フィラーを挙げることができ、具体的にはシリカ、アルミナ、III族窒化物、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の公知のものが挙げられる。その中でも、表面を有機物、例えば、界面活性剤のようなアルキルスルホン酸、アルキルホスホン酸、アルキルリン酸、アルキルアンモニウム、アルキルイミダゾリウムならびにこれらの塩や、有機基を有するシランカップリング剤のようなものが挙げられる。なお、表面が上記有機物で被覆された無機粒子は、有機物で被覆された状態の平均粒子径が100nmを超え100μm以下の範囲を満足すればよい。
(錫)
本発明において、上記粒子と圧接させる錫は、工業用に市販されているものであれば、いずれも使用できるが、純度が高いほど好適である。これは錫と粉末との化学反応による変性を防ぐためである。具体的な純度としては、99.99%以上であるものが好ましい。
錫は、常温においてブリネル硬さが5.3と非常に柔らかく、低い圧力によって粒子と圧接することができる。そのため、粒子自体が壊れ易かったり、変形し易い有機粒子・無機粒子であったとしても、固定化が容易となり、電子顕微鏡用観察試料(例えば、断面を露出させたもの)を作製し易い。さらには、表面が有機物で被覆された無機粒子であっても、その有機物層の構造を変形・変質させることなく、電子顕微鏡用観察試料を作製できる。
加えて、粒子と錫とを圧接することで、粒子の近傍に錫が存在するようになり、FIB装置による加工に先立ち実施する導電処理を省くことができる。また、錫を使用して電子顕微鏡観察試料を作製することにより、イオンミリング装置を用いて露出させた断面をSEMによって観察する際にも、導電処理を省くことが可能である。これにより蒸着等を用いた導電処理時に発生する表面処理層へのダメージを除くことができる。
粒子と圧接させる錫の形状は、特に制限されるものではないが、圧接前の錫の厚みがあまりに薄い場合、得られる圧接物が非常に薄くなり、操作性が低下するため、ある程度の厚みを有するもの使用することが好ましい。例えば、錫のインゴットから切り分けた数mm程度の錫片や、直径数mm程度の球状の錫を用いることが好ましい。具体的には、直径1mm〜5mmの大きさである球状の錫を粒子との圧接に使用することが好ましい。
(粒子と錫とを圧接して圧接物(観察用試料)を作製する方法)
粒子と錫とを圧接して圧接物を作製する方法は、特に制限されるものではない。具体的には、錫と粒子とを接触させ、その接触物に圧力をかければよい。具体的には、接触物に垂直に圧力をかける機構を有し、錫よりも硬く、平滑な材料によって圧接できる装置を使用することができる。
具体的に圧接物を作製する方法を例示すると、以下の方法が挙げられる。先ず、球状の錫を使用する場合、圧接する際には事前に錫表面を、例えば、油圧プレス機によって平坦化する。次いで、その平坦化した錫上に粒子を乗せ、再び油圧プレス機によって粒子の少なくとも一部を錫内に押し込む。この時の圧力は、粒子を錫に押し込めるに十分な圧力であればよい。錫を使用するため、小さな圧力で圧接物を作製できる。なお、この方法では、錫上に粒子の一部が接触した圧接物とするものであるが、錫と粒子とを混合するように圧接して、錫中に粒子が分散された圧接物を作製してもよい。
圧接時の最適な圧力は、対象となる粒子の性質、形状、得られる圧接物の取扱い易さを考慮して、所望の形状を有する圧接物となるように適宜決定すればよい。過度の圧力で圧接した場合には、圧接物が薄くなり過ぎるため、取り扱いを困難にするだけでなく、粉末同士の接触により表面処理層へのダメージの原因となり得る。なお、圧接時には、粒子表面の有機物に影響を与えない範囲であれば、加熱によって錫を軟らかくし、圧接することも可能である。
得られる圧接物は、錫と粒子とが混合されたものであってもよいが、粒子の表面構造を観察するためには、錫上に粒子から形成される層を含み、該層の最も厚い部分の厚みが前記粒子の平均粒子径の3倍以上となるものが好ましい。この圧接物は、錫上に粒子を乗せ、圧接することにより作製できる。錫上に構成される粒子の最も厚い部分の層厚みが該粒子の平均粒子径の3倍以上となることにより、電子顕微鏡での測定点を多く増やすことができる。特に、該層は、隙間を有するものであることから、粒子の表面を観察する場合に好適に適用できる圧接物となる。なお、粒子の層の厚みの上限値は、平均粒子径の10倍である。この上限値を超えると、圧接物から粒子が脱離し易くなり、操作性が低下する傾向にある。なお、粒子から形成される層厚みは、SEM観察やTEM観察により確認できる。なお、この圧接物には、下記に詳述するが、TEM観察を行う場合には、粒子から形成される層上に、例えば、タングステンからなる保護層を形成することもできる。
(圧接物を加工する方法(観察用試料を作製する方法)、および電子顕微鏡での観察方法)
前記方法で作製した圧接物は、その形状によればそのままSEMで観察することの可能である。ただし、測定の対象となる圧接物は、電子顕微鏡観察の方法に応じて、次の方法で加工して観察用試料とすることもできる。例えば、イオンビームにより断面を露出した圧接物を観察用試料とすることにより、粒子の表面状態、表面と内部との界面の状態、内部構造等を観察することできる。
圧接物を、FIB装置を用いてTEM観察用試料を作製する場合について説明する。この場合、公知の方法が適用でき、本発明の測定対象物である粒子では、マイクロサンプリング法が適している。
具体的には、圧接物表面の任意の場所において、FIB装置により、表面デポジション処理(例えば、タングステンデポジション)を施し、先ず保護層を形成する。この保護層は加工時の状態のまま、所定の電子顕微鏡観察用試料作製処理を行う。こうすることにより、錫の上に、粒子からなる層と、さらに上に加工時のイオンビームのフレアから保護するための保護層(タングステン)とで構成されたものが得られる。なお、保護層はタングステンに限らず、粒子の表面に施された表面処理層と異なる組成であるものであれば、何ら制限なく使用できる。
次いで、この保護層を形成した圧接物にGaイオンを照射して、圧接物の断面を露出させると共に、100nm程度の膜厚に切り出して観察用試料とすることができる。この際の加工条件は、特に制限されるものではなく、公知の条件を採用することができる。このようにして、得られた電子顕微鏡観察用試料に含まれる粒子からなる層は、錫と接触した部分の粒子、タングステンなどの保護層と接触した部分の粒子、さらに粒子同士でしか接触していない粒子の部分に分類できる。この中で、粒子の内部構造を観察するには、いずれの領域においても観察が可能である。粒子表面の表面処理層を観察するには、粒子からなる層の中間に存在する、粒子同士でしか接触していない部分の観察が適している。中でも、粒子と粒子とが接触した際に形成する隙間を観察することで、表面が有機物で被覆された無機粒子であっても、その被覆状態を確認することができる。
また、表面に有機物を被覆した無機粒子を観察する場合には、表面処理層の厚みによって、電子顕微鏡の種類を適宜選択することもできる。例えば、膜厚が数十nm以下と非常に薄い場合にはTEM観察が適している。その際、粒子と表面処理層の平均原子番号差が大きい場合には、TEM観察法の一つであるSTEM観察(走査型TEM)から得られるZコントラスト像による観察が適している。粒子が結晶性である場合は、TEM観察で得られる格子像により、粒子と表面処理層を区別することが可能である。その他、二次電子像や反射電子像、さらに電子線入射によって発生するX線や、試料との相互作用によって特定のエネルギーを損失した電子線の強度マップからも表面処理層の可視化が可能である。
以上の方法は、TEMにより観察する方法であるが、本発明の方法により得られた観察用試料は、SEM観察にも使用できる。例えば、FIB装置やイオンミリング装置により圧接物の断面を露出させることにより、粒子の断面を露出させることができるため、SEM観察に適用できる。SEM観察用の観察用試料とするとする方法は、特に制限されるものではなく、一般的に知られている加工条件を採用すればよい。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(圧接物の作製)
観察対象粒子として、界面活性剤であるドデシルリン酸によって表面が被覆された、平均粒子径1000nmの窒化アルミニウム(AlN)粉末(粒子)を使用した。平均粒子径とは、日機装(株)製マイクロトラックHRAにより、粒度分布(体積分布)の中間値として求めた。錫は、三津和化学薬品株式会社製 純度99.9999%の球状(粒子径 2.5mm)の錫を使用した。
球状錫500mgを東邦マシナリー株式会社製油圧成形機 TM-26にセットし、上面を平滑化させた後、表面処理を実施した前記AlN粉末を0.5mgふり掛けた。再び油圧プレス成型機により粉末と錫とを圧接した(図1 参照)。圧接物自体の厚みは1mm程度、粒子の層の最も厚い部分は4μm程度であり、圧接時には油圧プレス成型機付属の圧力計の指針が動くことはなかった。こうすることにより、錫と粒子とが接触した部分を有する圧接物を作製した。
(観察用試料の作製)
次に、TEM観察用の薄片試料を得るために、FIB装置(SII製SMI3050)を使用した。
FIB装置にて観察される2次イオン顕微鏡(SIM)像により、圧接物の表面において、AlN粉末が露出した任意の箇所にてW(CO)6ガスを用いてタングステン保護膜を形成した。その後、FIB装置に装備されているマイクロプロ―ビングシステムを用いて、圧接体の一片を抽出した。抽出した圧接体の一片をTEM観察用ナノメッシュ(SIIナノテクノロジー社製)に固定し、薄片加工を行った。
薄片加工はFIB装置を用い、加速電圧30kVのGaイオンを照射して行った。試料に対するダメージを抑えるため、ビーム電流値は3nAを超えないよう対物絞りを調整し、切片厚みがおおよそ100nmになるまで薄くした。こうすることにより電子顕微鏡観察用試料を作製した。
(電子顕微鏡観察)
得られた観察用試料の観察をTEM装置(FEI社製Tecnai F20)によって行った。観察はTEM装置の機能の一つである、広角環状暗視野検出器を用いたSTEM観察によるZコントラスト像である。その結果を図2に示す。
このような手法によると、AlN粒子の外観、特に表面付近の観察が容易にできた。図2に示す通り、AlN粒子の表面に有機物(ドデシルリン酸)の層が観察されている。
1 無機粒子(AlN粉末)、
2 錫

Claims (4)

  1. 粒子を電子顕微鏡で観察するために作製する観察用試料の作製方法であって、
    該粒子が、表面が有機物で被覆された無機粒子であり、
    該粒子の平均粒子径が100nmを超え100μm以下であり、
    該粒子と錫とを圧接することにより、該粒子と錫とが接触した部分を有する観察用試料を作製する方法。
  2. 前記観察用試料が、錫上に前記粒子から形成される層を含み、該層の最も厚い部分の厚みが前記粒子の平均粒子径の3倍以上であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 前記観察用試料が、錫上に前記粒子を圧接させた圧接物にイオンビームを照射して断面を露出させたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法で作製した観察用試料を電子顕微鏡で観察することにより、該粒子を電子顕微鏡で観察する方法。
JP2014204997A 2014-10-03 2014-10-03 粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法 Expired - Fee Related JP6392622B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014204997A JP6392622B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014204997A JP6392622B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016075525A JP2016075525A (ja) 2016-05-12
JP6392622B2 true JP6392622B2 (ja) 2018-09-19

Family

ID=55949796

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014204997A Expired - Fee Related JP6392622B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6392622B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6778491B2 (ja) * 2016-03-02 2020-11-04 住友金属鉱山株式会社 粉末試料の観察方法およびその作製方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0765952B2 (ja) * 1986-02-24 1995-07-19 株式会社日立製作所 試料保持方法および装置
JPH09264823A (ja) * 1996-03-29 1997-10-07 Toshiba Corp 試料保持基板およびその試料保持方法
JP2012185014A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Nec Corp 透過電子顕微鏡試料作製方法
US9080089B2 (en) * 2012-09-26 2015-07-14 Uchicago Argonne, Llc Nanoparticles for heat transfer and thermal energy storage

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016075525A (ja) 2016-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Naylor et al. Synthesis and physical properties of phase-engineered transition metal dichalcogenide monolayer heterostructures
Singh et al. Study of surface morphology and grain size of irradiated MgO thin films
Chen et al. Fluorine in Shark Teeth: Its Direct Atomic‐Resolution Imaging and Strengthening Function
Vladár Strategies for scanning electron microscopy sample preparation and characterization of multiwall carbon nanotube polymer composites
JP6392622B2 (ja) 粒子を電子顕微鏡で観察するための試料の作製方法、および粒子を電子顕微鏡で観察する方法
Zagler et al. Beam-driven dynamics of aluminium dopants in graphene
Ould Mohamed et al. Investigation of Microstructure and Texture Evolution in an AZ31/Mg–Gd Alloy Hybrid Metal Fabricated by High‐Pressure Torsion
Datta et al. Evolution of porous network in GaSb under normally incident 60 keV Ar+-ion irradiation
Rajak et al. Unravelling the polarity of InN quantum dots using a modified approach of negative-spherical-aberration imaging
Roviglione et al. Rhombohedral graphite phase in nodules from ductile cast iron
Nayak et al. Inversion of the electrical and optical properties of partially oxidized hexagonal boron nitride
Nagar et al. Radiation induced modification in nanoscale hardness of ZnO cone structures
Kim et al. Ultrafast Na Transport into Crystalline Sn via Dislocation‐Pipe Diffusion
Brodusch et al. About the contrast of δ’precipitates in bulk Al–Cu–Li alloys in reflection mode with a field‐emission scanning electron microscope at low accelerating voltage
JP2013011474A (ja) Mg−Li系合金の微細組織・構造の評価方法
Li et al. Probing interactions at two-dimensional heterointerfaces by boron nitride-wrapped tip
Rashid et al. Interface damage of protective layer in TEM lamella preparation for highly doped Ge substrate
JP6394969B2 (ja) 電子顕微鏡用試料の作製方法および反応生成物金属含有粒子の分析方法
Wang et al. Analysis of surface microstructures formed on Ir substrate under different bias conditions by microwave plasma chemical vapor deposition
Mazilkin et al. Nanostructured Fe–Cr–W Steel Exhibits Enhanced Resistance to Self‐Ion Irradiation
Dubey et al. Investigations of nano size defects in InP induced by swift iron ions
Leveneur et al. Structural and chemical changes during the growth of Fe nanoparticles in SiO 2 under low energy ion implantation
Scott et al. Strategies for transmission electron microscopy specimen preparation of polymer composite
Eriksson et al. Atomically Resolved Interfacial Analysis of Bone‐Like Hydroxyapatite Nanoparticles on Titanium
Anjum et al. Transmission electron microscopy of mercury metal

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180316

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6392622

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees