JP6387116B2 - 内部抵抗測定装置、蓄電池装置、および内部抵抗値導出方法 - Google Patents

内部抵抗測定装置、蓄電池装置、および内部抵抗値導出方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、内部抵抗測定装置、蓄電池装置、および内部抵抗値導出方法に関する。
従来、多数の蓄電池を有する蓄電システムにおいて、蓄電池の経時的劣化を診断する技術が提案されている。この蓄電システムは、蓄電池の経時的劣化を診断するために蓄電池の内部抵抗を検知する必要がある。しかしながら、この蓄電システムは、蓄電池が接続された回路のインピーダンスにより、蓄電池の劣化に伴う内部抵抗を高い精度で検知できない場合があった。
特開平07−72225号公報 特開2010−164441号公報 特開2013−29412号公報 特開平07−312233号公報 特開平11−318033号公報 特開2013−037859号公報 特開2014−160592号公報
本発明が解決しようとする課題は、蓄電池の内部抵抗を高い精度で検知することができる内部抵抗測定装置、蓄電池装置、および内部抵抗値導出方法を提供することである。
実施形態の内部抵抗測定装置は、信号供給部と、検出部と、制御部と、を持つ。信号供給部は、蓄電池の一方端と他方端とを接続するコンデンサを介した閉ループ線路に交流信号を供給する。検出部は、閉ループ線路における交流信号の信号値を検出する。制御部は、閉ループ線路の抵抗値を変更する抵抗値変更部に対して抵抗値を変更するように指示した前後における検出部により検出された信号値の差に基づいて、蓄電池の内部抵抗値を導出する。
第1の実施形態における内部抵抗測定装置を含む蓄電システム1の構成を示すブロック図。 第1の実施形態における組電池ユニット12および内部抵抗測定装置60の構成を示すブロック図。 第1の実施形態における磁気結合部の構造を示す図。 第1の実施形態の内部抵抗測定装置60が組電池ユニット12に接続されてない状態を示すブロック図。 第1の実施形態の内部抵抗測定装置60における磁気結合部が組電池ユニット12に接続されていない状態を示す図。 第1の実施形態の内部抵抗測定装置60における磁気結合部が組電池ユニット12に接続された状態を示す図。 第1の実施形態における閉ループ線路130に交流信号を供給したときに検出される交流信号の振幅値と周波数との関係のシミュレーション結果を示す図。 第1の実施形態において、閉ループ線路130における合計抵抗値と、検出交流信号の振幅との関係を示す図。 第2の実施形態の内部抵抗測定装置60により主回路51の内部抵抗値Rmを導出する動作手順を示すフローチャート。 第5の実施形態における交流信号の振幅の変化率βと主回路51の内部抵抗値Rmとの関係を示す図。 第6の実施形態の組電池ユニット12の構成を示すブロック図。 第6の実施形態の組電池ユニット12の他の構成を示すブロック図。 第7の実施形態の内部抵抗測定ユニット150の構成を示すブロック図。 実施形態の変形例の蓄電システム1の構成を示すブロック図。
以下、実施形態の内部抵抗測定装置、蓄電池装置、および内部抵抗値導出方法を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における内部抵抗測定装置を含む蓄電システム1の構成を示すブロック図である。図2は、第1の実施形態における組電池ユニット12および内部抵抗測定装置60の構成を示すブロック図である。図1において電力線は実線で描かれ、通信線は破線により描かれ、図2において、電力線は太線で描かれ、通信線は細線により描かれている。蓄電池ユニット10は、蓄電池装置11−1〜11−n(以下、総称する場合には単に「蓄電池装置11」と呼ぶ。)を備える。nは、例えば16である。
蓄電池装置11−1〜11−nは、それぞれ同じ構成を有する。蓄電池装置11は、組電池ユニット12−1〜12−m(以下、総称する場合には単に「組電池ユニット12」と呼ぶ。)を備える。mは、例えば16である。組電池ユニット12は、並列に接続されている。
組電池ユニット12は、例えば、それぞれが同じ構成を有する組電池ユニットである。
組電池ユニット12は、図2に示すように、電池モジュール13−1〜13−k(以下、総称する場合には単に「電池モジュール13」と呼ぶ。)と、電流センサ部16と、BMU17とを備える。kは、例えば22である。
電池モジュール13−1〜13−kは、それぞれ、電池セル部15−1〜15−k(以下、総称する場合には単に「電池セル部15」と呼ぶ。)と、電池セル部15−1〜15−kの温度及び電圧を監視するCMU14−1〜14−k(以下、総称する場合には単に「CMU14」と呼ぶ。)とを備える。電池セル部15は、例えばリチウムイオン電池である。なお、以下の説明において、電池モジュール13−1〜13−kおよび当該電池モジュール13−1〜13−kを接続する電力線50を含む回路を「主回路51」とも呼ぶ。
電池モジュール13における電池セル部15は、それぞれ、電力線50と接続されている。同様に、電流センサ部16は、電力線50に接続されている。電池セル部15は、電力線50を介して供給された電力を充電し、電力線50を介して電力を放電させる。電池モジュール13における電池セル部15は、複数の電池セルを有し、複数の電池セルを並列及び又は直列に接続させる。
CMU14は、信号線121に接続されている。同様に、BMU17は、信号線121に接続されている。これによって、CMU14とBMU17とは、それぞれ、信号線121を介した通信を行うことができる。
CMU14は、電池モジュール13の電池セル部15の端子間の電圧と、電池セル部15の温度と、電池モジュール13の内部空間の温度とを監視する。CMU14は、監視の結果を表すデータを、信号線121を介してBMU17に送信する。なお、CMU14は、他の電池モジュール13のCMU14にデータを送信してもよい。
また、CMU14は、信号線121を介して、BMU17から送信されたデータを受信する。また、CMU14は、他の電池モジュール13のCMU14から送信されたデータを受信してもよい。
電流センサ部16は、電池モジュール13−1〜13−kと直列して、電力線50に設けられる。電流センサ部16は、電力線50に流れる充放電電流の値を測定し、測定した充放電電流値を表すデータを、信号線121を介してBMU17に送信する。
スイッチ回路18(コンタクタ)は、電力線50に接続されると共に、信号線121を介してBMU17に接続される。スイッチ回路18は、自回路を有する組電池ユニット12を、他の組電池ユニット12に接続することができる。また、スイッチ回路18は、自回路を有する組電池ユニット12を、他の組電池ユニット12から切り離すことができる。スイッチ回路18は、BMU17から供給された制御信号に応じて開閉動作する。なお、スイッチ回路18は、手動で開閉操作が可能であってもよい。
第1の充放電端子22は、蓄電池装置11の正極側の端子である。第1の充放電端子22は、スイッチ回路18を介して、電池モジュール13の正極側端子に接続される。また、第1の充放電端子22は、電池端子盤30の遮断機31−1の正極側端子に接続される。
第2の充放電端子23は、蓄電池装置11の負極側端子である。第2の充放電端子23は、電池モジュール13の負極側端子に接続される。また、第2の充放電端子23は、電池端子盤30の遮断機31−1の負極側端子に接続される。
電力線50には、分岐電力線122が接続される。分岐電力線122の一方端は、電池モジュール13−1の正極側端子に接続され、分岐電力線122の他方端は、電池モジュール13−kの負極側端子に接続される。分岐電力線122には、コンデンサ132と、スイッチ部(抵抗値変更部)134と、抵抗部136とが設けられる。分岐電力線122は、電池モジュール13の一方端と他方端とを接続する閉ループ線路130を形成する。
閉ループ線路130には、電力線50、電池モジュール13、分岐電力線122、コンデンサ132、スイッチ部134および抵抗部136が含まれる。
コンデンサ132、スイッチ部134および抵抗部136は、電池モジュール13と閉ループ線路130に沿って直列に接続される。コンデンサ132に対してスイッチ部134および抵抗部136は直列に接続される。抵抗部136は、スイッチ部134に対して並列に接続される。スイッチ部134は、内部抵抗測定装置60により開閉状態が制御される。スイッチ部134は、閉状態(導通状態)において抵抗部136の両端を短絡させ、開状態(遮断状態)において抵抗部136の両端を開放させる。
BMU17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部(不図示)に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
BMU17は、スイッチ回路18の開閉状態を制御するための制御信号を出力する。BMU17は、例えばCAN(Control Area Network)通信線などの多重通信線を介して、他の組電池ユニット12と、関門制御装置19(ゲートウェイ装置)と、計測コンピュータ20との通信を実行する。
関門制御装置19は、BMU17から受信したデータを、多重通信線を介して、電池端子盤30の制御コンピュータ32に転送する。また、関門制御装置19は、制御コンピュータ32から受信したデータを、多重通信線を介して、BMU17などに転送する。
計測コンピュータ20は、電池モジュール13の電池セル部15の端子間の電圧と、温度と、電流センサ部16が測定した値と、CMU14又はBMU17によって測定された電池セル部15の充電率(SOC : State Of Charge)などのデータを、BMU17から受信する。なお、計測コンピュータ20は、主回路51の内部抵抗の値を算出してもよい。
直流電源装置21は、PCS40(Power Conditioning System)から供給される電力を、BMU17とCMU14−1〜14−kとに供給する。
電池端子盤30は、蓄電池ユニット10をPCS40に接続する。電池端子盤30は、蓄電池装置11−1〜11−nを備える。蓄電池装置11−1は、遮断機31−1に対応する。蓄電池装置11−nは、遮断機31−nに対応する。遮断機31−1〜31−nは、例えば手動で開閉操作される。
遮断機31−1〜31−nの正極側の端子に接続された複数の電力線は、一つに纏められてPCS40に接続される。PCS40に接続された電力線の直流電圧は、例えば、490〜778(V)程度である。遮断機31は、スイッチ回路18が溶着した場合でも、蓄電池装置11−1〜11−nを、蓄電システム1から安全に切り離すことができる。
制御コンピュータ32は、CPU等のプロセッサを備える。制御コンピュータ32は、遮断機31−1〜31−nの状態を監視する。制御コンピュータ32は、PCS40から受信したデータを、蓄電池ユニット10に転送する。制御コンピュータ32は、蓄電池ユニット10から受信したデータを、PCS40に転送する。
PCS40は、CPU等のプロセッサと、通信インターフェースとを備える。PCS40は、この通信インターフェースを介して、外部の制御コントローラ(不図示)と通信する。PCS40は、蓄電池ユニット10から電池端子盤30を介して入力された直流電圧から、交流電圧を生成する。また、PCS40は、発電装置(不図示)から入力される交流電圧を直流電圧に変換し、蓄電池ユニット10の電池モジュール13−1〜13−kに充電する。なお、PCS40によって生成された交流電圧は、トランスによって昇圧されてもよい。
内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130の一部を形成する分岐電力線122に接続される。内部抵抗測定装置60は、円環部602、608と、配線604、610とを有する。また、内部抵抗測定装置60は、配線604が接続された送信部606と、配線610が接続された受信部612と、制御部614とを有する。
円環部602と配線604、および円環部608と配線610は、それぞれ、分岐電力線122と磁気的に結合する磁気結合部を構成する。この磁気結合部は、分岐電力線122に電気的に非接触である。この磁気結合部は、直流的に絶縁した状態で分岐電力線122に交流信号を供給し、分岐電力線122に重畳されている交流信号を検出する。
図3は、第1の実施形態における磁気結合部の構造を示す図である。円環部602、608は、フェライトなどの磁性材料からなる円環部材である。円環部602、608の穴部には、分岐電力線122が円環部602、608に通される。また、円環部602、608には、予め定められた回数だけ配線604、610が巻きつけられる。この巻きつけの回数は、交流信号を分岐電力線122に供給又は検出する際に後述の内部抵抗導出性能を考慮して定められる。
送信部606は、円環部602および配線604を介して、交流信号を分岐電力線122に重畳させる(信号供給部)。受信部612は、円環部608および配線610を介して、分岐電力線122に重畳された交流信号を検出する(検出部)。以下、内部抵抗測定装置60により分岐電力線122に供給する交流信号を「供給交流信号」と呼び、内部抵抗測定装置60により分岐電力線122から検出した交流信号を「検出交流信号」と呼ぶ。
この供給交流信号は、主回路51の内部抵抗を導出して電池セル部15の状態を診断するために送受信される信号である。供給交流信号は、例えば、キロヘルツオーダー以上の高周波信号である。交流信号は、閉ループ線路130における充放電電流信号に重畳し、充放電電流信号から分離して取り出すことができる信号であればよい。
制御部614は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部(不図示)に記憶されているプログラムを実行することによって機能するソフトウェア機能部である。また、制御部614は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってよい。
制御部614は、送信部606を用いて分岐電力線122に対して供給交流信号を送信させる。また、制御部614は、受信部612によって検出された検出交流信号に基づいて、主回路51の内部抵抗を導出する。制御部614は、主回路51の内部抵抗値に基づいて、電池モジュール13の劣化を診断する。
第1の実施形態の内部抵抗測定装置60は、組電池ユニット12に対して着脱可能な構成を有する。
図4は、第1の実施形態の内部抵抗測定装置60が組電池ユニット12に接続されてない状態を示す組電池ユニット12のブロック図である。図5は、第1の実施形態の内部抵抗測定装置60における磁気結合部が組電池ユニット12に接続されていない状態を示す図である。図6は、第1の実施形態の内部抵抗測定装置60における磁気結合部が組電池ユニット12に接続された状態を示す図である。
内部抵抗測定装置60は、図4に示すように組電池ユニット12における閉ループ線路130に接続されていない状態から、図2に示したように閉ループ線路130に接続される。内部抵抗測定装置60は、制御部614とスイッチ部134との間が信号線616により接続される。制御部614とスイッチ部134とは、例えば信号線616の先端に設けられたコネクタとスイッチ部134におけるコネクタとにより接続される。
また、内部抵抗測定装置60は、図5に示すように、円環部602、608における間隙部620を開状態とし、クランプ動作により分岐電力線122に対して円環部602、608を挟み込む。これにより円環部602、608の内部に分岐電力線122を配置させる。そして、図6に示すように、間隙部620を閉状態とすることにより非接触で円環部602、608と分岐電力線122とを位置決めする。さらに、内部抵抗測定装置60は、間隙部620を開状態とすることにより、組電池ユニット12から切り離される。これにより、内部抵抗測定装置60は組電池ユニット12に対して着脱可能となる。
図5および図6に示した円環部602、608は、例えばエアギャップ付の分割型トロイダルコアを採用することができる。
以下、制御部614により実行される主回路51の内部抵抗の導出処理について説明する。
上述した第1の実施形態において、閉ループ線路130には、円環部602、608が接続された状態において、円環部602、608によって生じるインダクタンスLと、コンデンサ132のキャパシタンスCとが直列に接続されたLC共振回路が形成される。このLC共振回路は、所定の周波数領域において共振を発生させる。このLC共振回路の共振周波数をfrとすると、frは以下の式1により表される。
fr=1/[2π×(LC)0.5] (式1)
このLC共振回路における共振の程度を表すQ値は、以下の式2により表される。
Q=(1/R)×(L/C)0.5 (式2)
LC共振回路における抵抗値Rは、式1には含まれないが、式2には含まれる。したがって、LC共振回路における抵抗値Rは、Q値に関係する。
図7に、第1の実施形態における閉ループ線路130に供給交流信号を供給したときに検出される検出交流信号の振幅値と周波数との関係のシミュレーション結果を示す図である。この図7に示す交流信号(検出交流信号)の特性は、閉ループ線路130の構成を条件設定し、所定振幅の正弦波信号を閉ループ線路130に供給したときに検出される電圧波形をシミュレーションした結果である。また、このシミュレーションは、スイッチ部134を常時閉状態と設定し(すなわち、抵抗部136の抵抗値=0)、主回路51の内部抵抗値をr1、r2、r3、r4(r1<r2<r3<r4)にそれぞれ変化させたときの電圧波形の周波数に対する振幅値をそれぞれ計算した。r1、r2、r3、r4は、例えば1×10−1Ωオーダーである。
なお、主回路51の他の抵抗値が閉ループ線路130の全体の抵抗値に対して充分に小さい場合には、閉ループ線路130の内部抵抗値は、主回路51の内部抵抗値とみなすことができる。したがって、主回路51を含む閉ループ線路の内部抵抗値を制御部614が導出した場合、この導出された内部抵抗値は、主回路51の内部抵抗値と等しいとみなすことができる。主回路51の他の抵抗値が閉ループ線路130の全体の抵抗値に対して充分に小さいとみなせない場合には、予め主回路51の他の抵抗値を実測しておいて、導出された内部抵抗値から減ずるように補正してもよい。
図7によれば、主回路51の内部抵抗値が変化しても単一の周波数frにおいて検出交流信号の振幅のピークが存在し、主回路51の内部抵抗値が低いほど検出交流信号の振幅のピーク値は高くなることが分かる。すなわち、共振周波数frが含まれる周波数領域においては、主回路51の内部抵抗値の相違により、検出交流信号の振幅に顕著な相違が現れることが分かる。
図8は、第1の実施形態において、閉ループ線路130における合計抵抗値Rtと、検出交流信号の振幅との関係を示す図である。共振周波数fr付近における検出交流信号の振幅Vrは、下記の式3に示すように、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtに反比例する。
Vr=α/Rt (式3)
上記式3におけるαの値は、円環部602、608のインダクタンスL、およびコンデンサ132のコンデンサ容量Cに依存する。これらのインダクタンスLおよびコンデンサ容量Cは、長期的には変動するが、例えば主回路51の内部抵抗値を測定する数秒程度の短期間では一定値とみなせる。したがって、上記式3より、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtと、検出交流信号の振幅Vrとの関係は、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtが低いほど検出交流信号の振幅は高くなり、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtが高いほど検出交流信号の振幅は低くなる。
上述したように、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtは、スイッチ部134を閉状態にした場合において、主回路51の内部抵抗値Rmとなる。閉ループ線路130の合計抵抗値RtがRmの状態において、閉ループ線路130に所定振幅の共振周波数frの交流信号を供給した場合における検出交流信号の振幅をVr1とする。
一方、スイッチ部134を開状態にした場合において、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtは、主回路51の内部抵抗値Rmに加えて、抵抗部136の抵抗値Rrefを加えたRm+Rrefとなる。閉ループ線路130の合計抵抗値RtがRm+Rrefの状態において、閉ループ線路130に所定振幅の共振周波数frの交流信号を供給した場合における検出交流信号の振幅をVr2とする。
Vr1およびVr2は、式3より、下記のように、
Vr1=α/Rm (式4)
Vr2=α/(Rm+Rref) (式5)
となる。Vr1とVr2との比は、閉ループ線路130の抵抗値が変化する前後における検出交流信号の振幅の変化率βであり、
β=Vr1/Vr2
となり、式4および式5より、
β=(Rm+Rref)/Rm
=1+(Rref/Rm) (式6)
となる。この式6より、主回路51の内部抵抗値Rmは、
Rm=Rref/(β−1) (式7)
となる。この式7より、主回路51の内部抵抗値Rmは、抵抗部136の抵抗値Rrefと、検出交流信号の振幅の変化率βとから導出されることが分かる。すなわち、主回路51の内部抵抗値Rmは、抵抗部136の抵抗値Rrefと、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtを変更した前後における検出交流信号の差に基づいて導出される。
以上より、内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130の合計抵抗値RtをRmとRm+Rrefとの間で変更させ、変更させた前後における検出交流信号の振幅の変化率βを算出する。そして、内部抵抗測定装置60は、算出した検出交流信号の振幅の変化率βと抵抗部136の抵抗値Rrefとを式7に代入して、主回路51の内部抵抗値Rmを導出することができる。
なお、主回路51の内部抵抗値Rmは、測定時の電池セル部15のSOC、電池モジュール13の温度によって変動する。このため、制御部614は、上記式7により導出した主回路51の内部抵抗値Rm_MOL(Middle of Life)(SOC:x%、摂氏y度)を、標準条件(例えばSOC:50%、摂氏25度)に換算してもよい。
また、制御部614は、測定精度を高くするため、電池セル部15の充放電電流がゼロである期間において主回路51の内部抵抗値Rmの測定を実施してもよい。分岐電力線122に充放電電流値が高いほど円環部608が受ける磁束密度が高くなり、検出交流信号に影響を与える。なお、分岐電力線122に最大充放電電流が流れても円環部608において磁気飽和しないように円環部608を設計すれば、内部抵抗測定装置60は検出交流信号を検出することができる。
以上説明したように、第1の実施形態の内部抵抗測定装置60によれば、閉ループ線路130の抵抗値を変更するように指示した前後における検出交流信号の振幅の変化に基づいて、主回路51の内部抵抗値Rmを導出する制御部614を持つので、主回路51の内部抵抗値Rmが変化するほど検出交流信号の振幅の変化が大きくなることを利用して、主回路51の内部抵抗を高い精度で測定することができる。
また、第1の実施形態によれば、組電池ユニット12に対して内部抵抗測定装置60を着脱可能に構成しているので、複数の組電池ユニット12に対して単一の内部抵抗測定装置60を順次着脱して各組電池ユニット12における主回路51の内部抵抗値Rmを測定することができる。これにより、第1の実施形態によれば、蓄電システム1が複数の組電池ユニット12を有していても、単一の内部抵抗測定装置60で各組電池ユニット12における内部抵抗値Rmの測定を実現することができ、蓄電システム1全体としての劣化診断に必要な回路構成およびコストを削減することができる。
さらに、第1の実施形態によれば、第1の抵抗値(略0)と第2の抵抗値(Rref)との間で抵抗値を変更するよう指示し、検出交流信号の差と第2の抵抗値とに基づいて主回路51の内部抵抗値Rmを導出することができ、受動部品であるコンデンサ132、スイッチ部134、および抵抗部136という簡単な構成を組電池ユニット12に有するだけで、高い精度で主回路51の内部抵抗の測定することができる。
さらに、第1の実施形態によれば、閉ループ線路130に流れる充放電電流に検出交流信号を重畳させて主回路51の内部抵抗を測定するので、電池モジュール13の動作を停止させる必要が無く、電池モジュール13の充放電動作と独立して主回路51の内部抵抗の測定を実施することができる。
さらに、第1の実施形態によれば、測定対象である主回路51に接続された閉ループ線路130に検出交流信号を供給して主回路51の内部抵抗を測定するので、組電池ユニット12の劣化度合いがばらついていて、特定の組電池ユニット12の内部抵抗が高くなっている状態であっても当該組電池ユニット12の劣化を検出することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。図9は、第2の実施形態の内部抵抗測定装置60により主回路51の内部抵抗値Rmを導出する動作手順を示すフローチャートである。
内部抵抗測定装置60は、円環部602、608が分岐電力線122に磁気結合が可能な状態であり、制御部614が信号線616によりスイッチ部134に接続された状態において、ステップS100以降の処理を開始する。先ず、制御部614は、閉ループ線路130に供給する供給交流信号の周波数fを所定のスイープ下限周波数fLに設定し(ステップS100)、送信部606および円環部602により閉ループ線路130に周波数fLの供給交流信号を供給させる(ステップS102)。
次に制御部614は、スイッチ部134を閉状態(オン)に切り替え(ステップS104)、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtを、主回路51の内部抵抗値Rmに切り替え、円環部608および受信部612により閉ループ線路130に重畳されている検出交流信号を検出させ、検出交流信号の振幅(Von(fL))を記憶する(ステップS106)。
次に制御部614は、スイッチ部134を開状態(オフ)に切り替え(ステップS108)、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtを、主回路51の内部抵抗値Rm+Rrefに切り替え、円環部608および受信部612により閉ループ線路130に重畳されている検出交流信号を検出させ、検出交流信号の振幅(Voff(fL))を記憶する(ステップS110)。
次に制御部614は、交流信号の周波数fに所定の微小な周波数Δfを加算し(ステップS112)、加算した周波数(f+Δf)が、所定のスイープ上限周波数fHを超えているか否かを判定する(ステップS114)。加算した周波数がスイープ上限周波数fHを超えていない場合には(ステップS114:NO)、加算した周波数を供給交流信号の周波数fに設定してステップS102以降の処理を繰り返す。
これにより、制御部614は、スイープ下限周波数fLからスイープ上限周波数fHまで供給交流信号の周波数fをスイープして、Von(fL)〜Von(fH)およびVoff(fL)〜Voff(fH)を記憶する。
一方、加算した周波数がスイープ上限周波数fHを超えた場合には(ステップS114:YES)、制御部614は、記憶したVon(fL)〜Von(fH)のうちの最大値Von_max、およびその時の周波数(共振周波数)frを求める(ステップS116)。最大値Von_maxは、閉ループ線路130における共振周波数frに近い周波数の供給交流信号を閉ループ線路130に供給したときに検出された検出交流信号の振幅(Von(fr))となる。
次に制御部614は、求められた最大値Von(fr)と共振周波数frに対応したVoff(fr)との比(Von(fr)/Voff(fr))を、検出交流信号の振幅の変化率βとして算出する(ステップS118)。
次に制御部614は、算出された検出交流信号の振幅の変化率βと、抵抗部136の抵抗値Rrefとを用いて式7(Rref/(β−1))の演算を行って、主回路51の内部抵抗値Rmを導出する(ステップS120)。
上述した主回路51の内部抵抗値Rmを導出する動作において、スイープ下限周波数fLおよびスイープ上限周波数fHは、予め設定される。閉ループ線路130における回路要素の特性パラメータが既知であれば、検出交流信号の周波数特性は、図7に示したように演算することができる。また、閉ループ線路130における共振周波数frは、主回路51の内部抵抗値Rmには依存しない。
そこで、第2の実施形態の内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130における回路要素の特性(インダクタンスおよびキャパシタンス)、および円環部602、608のインダクタンスに基づいて共振周波数frを含む周波数範囲をスイープ下限周波数fLおよびスイープ上限周波数fHに設定する。この設定されたスイープ下限周波数fLおよびスイープ上限周波数fHは、制御部614の記憶部に記憶しておく。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、スイープ下限周波数fLおよびスイープ上限周波数fHの範囲で次第に供給交流信号の周波数を変更させることにより、供給交流信号の周波数を閉ループ線路130の共振周波数frに近づけるよう変更するので、閉ループ線路130における合計抵抗値Rtを変化させた前後における検出交流信号の差を高くすることができ、高い精度で主回路51の内部抵抗値Rmを測定することができる。
また、第2の実施形態によれば、供給交流信号の周波数を次第に変更させると共に検出交流信号を検出させ、検出交流信号のうち最大の信号値を用いて主回路51の内部抵抗値Rmを導出するので、閉ループ線路130における共振周波数frが不明であっても、閉ループ線路130の共振周波数frに近い供給交流信号を重畳させたときの検出交流信号を用いて主回路51の内部抵抗値Rmを導出でき、高い精度で主回路51の内部抵抗値Rmを測定することができる。
なお、制御部614は、主回路51の内部抵抗値Rmを導出する動作を行った後、最大値Von(fr)と最大値Voff(fr)を得たときに閉ループ線路130に供給する交流信号の周波数を閉ループ線路130の共振周波数frの情報として記憶しておいてもよい。
これにより、制御部614は、記憶された閉ループ線路130の共振周波数情報に基づいて閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の周波数を制御することができる。これにより、制御部614は、短時間の動作で、検出交流信号の振幅の変化率βを高くすることができ、さらに主回路51の内部抵抗値Rmの精度を高めることができる。
また、制御部614は、記憶された閉ループ線路130の共振周波数情報に基づいてスイープ下限周波数fLおよびスイープ上限周波数fHの範囲を狭く変更することができ、閉ループ線路130の共振周波数に近い周波数を探索する期間を短くすることができる。
さらに、制御部614は、複数の組電池ユニット12の劣化状態を診断するため、組電池ユニット12ごとに閉ループ線路130の共振周波数情報を記憶してもよい。制御部614は、組電池ユニット12の識別情報と共振周波数情報とを対応づけて記憶しておき、内部抵抗測定装置60が組電池ユニット12に接続された状態で手動または自動で組電池ユニット12に対応した閉ループ線路130の共振周波数情報を読み出して、閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の周波数を制御することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第3の実施形態の内部抵抗測定装置60は、電池モジュール13における充放電電流値、電池セル部15の温度、電池セル部15の充電率の何れか一つ、または何れか二つ、または全てが所定の範囲内である場合に、主回路51の内部抵抗値Rmを測定する。すなわち、第3の実施形態の内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130に供給交流信号を重畳させる際の電池モジュール13の充放電電流値、温度、充電率の条件に制約を加える点で、上述した実施形態と相違する。
電池モジュール13の充放電電流値、電池セル部15の温度、および電池セル部15の充電率は、検出交流信号の振幅に影響する。このため、第3の実施形態の内部抵抗測定装置60は、電池モジュール13の充放電電流値、電池セル部15の温度、電池セル部15の充電率の何れか一つが所定の範囲内である場合に、交流信号を供給する。所定の範囲とは、温度に関しては、例えば、摂氏15〜50度の範囲である。また、所定の範囲とは、充電率に関しては、例えば、20〜80(%)である。さらに、所定の範囲とは、充放電電流に関しては、例えば、±10(A)の範囲である。
第3の実施形態において、内部抵抗測定装置60は、BMU17と通信を行うために、BMU17との間が信号線で接続される。内部抵抗測定装置60は、組電池ユニット12に接続された場合において、制御部614により、BMU17から充放電電流値、電池セル部15の充電率、または電池セル部15の温度を受信する。
制御部614は、受信したBMU17から充放電電流値、電池セル部15の充電率、または電池セル部15の温度が所定の範囲内である場合に、閉ループ線路130に供給交流信号を重畳させて、検出交流信号を検出する。
ここで、電池セル部15の内部抵抗値は、電池セル部15の温度の変化に対して非直線性が強い。また、電池セル部15の内部抵抗値は、電池セル部15の充電率の変化に対しても非直線性が強い。このため、閉ループ線路130に供給交流信号を重畳させる際の電池セル部15の充電率および電池セル部15の温度に制約を設ける。これにより、より正確に主回路51の内部抵抗値Rmを導出することができる。
さらに、内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130に供給交流信号を重畳する際の充放電電流の値の条件に制約を設ける。充放電電流値に制約を設けることにより、円環部608における磁界が高くなることによる磁気飽和を抑制することができる。
以上説明した第3の実施形態によれば、電池モジュール13の充放電電流値、電池セル部15の温度、電池セル部15の充電率の何れか一つ、または何れか二つ、または全てが所定の範囲内である場合に、主回路51の内部抵抗値Rmを測定する。これにより、第3の実施形態によれば、電池モジュール13の充放電電流値が高い場合や、電池セル部15の温度または電池セル部15の充電率が異常な場合に主回路51の内部抵抗値Rmを計測することを抑制でき、より高い精度で主回路51の内部抵抗値Rmを導出することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第4の実施形態の内部抵抗測定装置60は、検出交流信号の振幅が所定の範囲となるように閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の振幅を変更させる。すなわち、上述した実施形態においては閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の振幅を一定値に設定して主回路51の内部抵抗値Rmを測定したが、第4の実施形態の内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の振幅を制御する点で、上述した実施形態と相違する。
第1の実施形態において説明したように、主回路51の内部抵抗値Rmは、検出交流信号の振幅の変化率βに基づいて導出される(式7を参照)。したがって、閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の振幅は一定である必要はなく、制御部614は、スイッチ部134が閉状態である場合において検出交流信号の振幅が所定の範囲内となるように供給交流信号の振幅を調整する。なお、制御部614は、スイッチ部134に対して閉ループ線路130の抵抗値を変更させる前後において閉ループ線路130に重畳させる供給交流信号の振幅を一定にすればよい。
以上説明した第4の実施形態によれば、所定の範囲内の振幅の検出交流信号を用いて検出交流信号の振幅の変化率βを算出することができるので、閉ループ線路130における抵抗値を変更する前後における検出交流信号の振幅の値を一定レベル以上に確保することができ、主回路51の内部抵抗値Rmをより高い精度で導出することができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第5の実施形態の内部抵抗測定装置60は、主回路51の内部抵抗値Rmの変化に対する式7の導出値の感度を高めるように抵抗部136の抵抗値が設定される点で、上述した実施形態と相違する。
第1の実施形態において説明したように、主回路51の内部抵抗値Rmは、検出交流信号の振幅の変化率βに基づいて導出される(式7を参照)。以下、式7における検出交流信号の振幅の変化率βを変化させたときの主回路51の内部抵抗値Rmを試算する。
β=5の場合、Rm=0.25×Rref
β=4の場合、Rm=0.333×Rref
β=3の場合、Rm=0.5×Rref
β=2.5の場合、Rm=0.667×Rref
β=2の場合、Rm=1×Rref
β=1.5の場合、Rm=2×Rref
β=1.333の場合、Rm=3×Rref
β=1.25の場合、Rm=4×Rref
上記の試算結果から(β−1)とRmとは反比例の関係にあることがわかる。図10は、第5の実施形態における検出交流信号の振幅の変化率βと主回路51の内部抵抗値Rmとの関係を示す図である。主回路51の内部抵抗値Rmに対する導出精度が最大となるように、抵抗部136の抵抗値Rrefを決定することについて検討する。
(1)Rm(BOL)<<Rrefの場合
主回路51に劣化がない時の内部抵抗値Rm(BOL)に対して抵抗部136の抵抗値Rrefが大きすぎると、検出交流信号の振幅の変化率βが高くなるため主回路51の劣化に対する検出交流信号の振幅の変化率βの変化は検出しやすくなるが、抵抗部136の抵抗値Rrefの誤差に対する主回路51の内部抵抗値Rmの比率が高くなる。
(2)Rm(BOL)>>Rrefの場合
内部抵抗値Rm(BOL)に対して抵抗部136の抵抗値Rrefが小さすぎると、検出交流信号の振幅の変化率βが1に近づくので、式7における分母である(β−1)の有効桁数が減り、主回路51の内部抵抗値Rmの推定誤差が大きくなる。
以上より、抵抗部136の抵抗値Rrefは主回路51の内部抵抗値Rm(BOL)に対して大きすぎる場合および小さすぎる場合の双方において主回路51の内部抵抗値Rmの測定精度が低下する。このため、抵抗部136の抵抗値Rrefは適切な範囲がある。
すなわち、検出交流信号の振幅の変化率βは、1に近過ぎず、且つ大きくなり過ぎない範囲が望ましく、2〜3の範囲が望ましい。
Rm(EOL)=2×Rm(BOL)、すなわち、主回路51の内部抵抗値Rmが使用初期の2倍になった時点が寿命であるとすると、
Rref=2×Rm(BOL)、すなわち主回路51の使用初期においてはβ=3
とすると、
Rref=Rm(EOL、)、すなわち主回路51の劣化状態においてはβ=2
となり、主回路51の使用初期から劣化するまでにおいて検出交流信号の振幅の変化率βは2〜3の範囲となる。すなわち、抵抗部136の抵抗値Rrefは、主回路51の初期状態における内部抵抗値Rmの2倍程度、或いは主回路51の劣化状態における内部抵抗値Rmの1倍程度が望ましい。また、抵抗部136の抵抗値Rrefは、主回路51の内部抵抗値Rmに対して概ね0.5倍〜4倍の範囲内であればよい。
以上説明したように、第5の実施形態によれば、抵抗部136の抵抗値Rrefを主回路51の内部抵抗値Rmに対して0.5倍から4倍の範囲内にしたので、主回路51の内部抵抗値Rmの変化に対する式7の導出値の感度を高めることができ、より高い精度で主回路51の内部抵抗値Rmを測定することができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第6の実施形態の内部抵抗測定装置60は、閉ループ線路130の共振周波数frを変更させ、変更された共振周波数frの供給交流信号を閉ループ線路130に重畳させる点で、上述した実施形態と相違する。
図11は、第6の実施形態の組電池ユニット12の構成を示すブロック図である。この組電池ユニット12は、コンデンサ132に代えて、閉ループ線路130の共振周波数frを変更させる共振回路部140を設ける。この共振回路部140は、スイッチ部134および抵抗部136に対して直列して接続される。共振回路部140は、閉ループ線路130における共振周波数frを変更させる構成として、コンデンサまたはインダクタ、コンデンサおよびインダクタの双方を含む。共振回路部140は、制御部614からの制御信号に基づいて、キャパシタンスまたはインダクタンスが調整される。
図12は、第6の実施形態の組電池ユニット12の他の構成を示すブロック図である。
共振回路部140は、例えば、閉ループ線路130に接続されたスイッチ部142と、スイッチ部142に対して並列接続されたコンデンサ144、146とを有する。コンデンサ144とコンデンサ146とは異なるキャパシタンスを有する。スイッチ部142は、制御部614からの制御信号に基づいて、閉ループ線路130に対してコンデンサ144またはコンデンサ146の一方を選択的に分岐電力線122に接続させる。これにより、制御部614は、式1におけるC成分を変更させて、閉ループ線路130の共振周波数frを変更させる。
制御部614は、共振回路部140を制御したときの閉ループ線路130における共振周波数frを予め記憶する。制御部614は、コンデンサ144が閉ループ線路130に接続された状態における閉ループ線路130の共振周波数fr1およびコンデンサ144が閉ループ線路130に接続された状態における閉ループ線路130の共振周波数fr2を記憶する。
制御部614は、閉ループ線路130の共振周波数をfr1に制御している状態において、周波数がfr1の供給交流信号を閉ループ線路130に重畳させて検出交流信号を得る。これにより、制御部614は、共振周波数fr1における主回路51の内部抵抗値Rmを計測することができる。同様に、制御部614は、閉ループ線路130の共振周波数をfr2に制御している状態において、周波数がfr2の供給交流信号を閉ループ線路130に重畳させて検出交流信号を得る。これにより、制御部614は、共振周波数fr2における主回路51の内部抵抗値Rmを計測することができる。
共振回路部140は、図12に示した構成に限らず、複数のインダクタンス間で切り替え可能な構成を有していてもよい。例えば、共振回路部140は、スイッチ部142により巻き線数が変更可能な可変コイルを有する。これにより、制御部614は、スイッチ部142によって選択的に閉ループ線路130のインダクタンスを切り替えさせ、式1に従って閉ループ線路130の共振周波数frを変更することができる。
以上説明したように、第6の実施形態によれば、閉ループ線路130の共振周波数frを変更させ、当該変更された共振周波数frの供給交流信号を重畳させるので、変更された共振周波数frに対する主回路51の内部抵抗値Rmを測定することができる。これにより、第6の実施形態によれば、主回路51の内部抵抗が周波数特性を有する複素インピーダンスであり周波数に対するインピーダンスが異なる場合であっても、周波数毎のインピーダンスを測定して、電池セル部15の劣化状態をより詳しく測定することができる。
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。図13は、第7の実施形態の内部抵抗測定ユニット150の構成を示すブロック図である。
第7の実施形態は、分岐電力線122に内部抵抗測定装置60、コンデンサ132、スイッチ部134、および抵抗部136を含む内部抵抗測定ユニット150が、電力線50に対して着脱可能に構成される。
第7の実施形態において、分岐電力線122の両端には、コネクタ部122a−1、122a−2が設けられる。一方、電力線50には、コネクタ部122a−1、122a−2に対して着脱可能なコネクタ部50a−1、50a−2が設けられる。主回路51の内部抵抗値Rmの測定時において、コネクタ部122a−1はコネクタ部50a−1と接続され、コネクタ部122a−2はコネクタ部50a−2と接続される。これにより、分岐電力線122と電力線50とは、電気的に接続される。
なお、分岐電力線122における両端および電力線50には、上述した図5および図6に示した円環部602、608および配線604、610と同様の構成を有する磁気結合部152、154が設けられてもよい。この場合、電力線50と分岐電力線122とは、磁気的結合を介して電力および信号を送信する。
以上説明したように、第7の実施形態の内部抵抗測定ユニット150によれば、閉ループ線路130における抵抗値を変更する抵抗値変更部(134、136)と、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtを変更するように指示した前後における検出交流信号の差に基づいて主回路51の内部抵抗値Rmを導出する制御部614とを持つので、主回路51の内部抵抗値Rmの変化が検出交流信号の振幅比の変化に表れることを利用して、主回路51の内部抵抗値Rmを高い精度で測定することができる。
また、第7の実施形態によれば、主回路51に対して内部抵抗測定ユニット150を着脱可能に構成しているので、複数の組電池ユニット12に対して単一の内部抵抗測定ユニット150を順次着脱して主回路51の内部抵抗値Rmを測定することができる。これにより、蓄電システム1が複数の組電池ユニット12を有していても、単一の内部抵抗測定ユニット150で主回路51の内部抵抗値Rmの測定を実現することができ、蓄電システム1全体としての劣化診断に必要な回路構成およびコストを削減することができる。
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。なお、第8の実施形態は、その構成が図1と同様であるので、図示を省略する。
第8の実施形態は、分岐電力線122に内部抵抗測定装置60、コンデンサ132、スイッチ部134、および抵抗部136を含む内部抵抗測定ユニットが、電力線50に対して固定的に接続される。
この第8の実施形態によれば、閉ループ線路130の合計抵抗値Rtを変更するように指示した前後における検出交流信号の差に基づいて、主回路51の内部抵抗値Rmを導出する制御部614を持つので、主回路51の内部抵抗を高い精度で測定することができる。
(変形例)
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。図14は、実施形態の変形例の蓄電システム1の構成を示すブロック図である。変形例の蓄電システム1は、電池モジュール13が接続された電力線50に分岐電力線122を介して内部抵抗測定装置60が接続されると共に、電池モジュール13、電流センサ部16およびBMU17が電力線50に接続される点で、上述した実施形態と異なる。
各電池モジュール13−1〜13−k、電流センサ部16、およびBMU17は、それぞれ、磁気結合部MCT、MCRを備え、電力線50と磁気的に結合されている。なお、MCTは送信側の磁気結合部を、MCRは受信側の磁気結合部を、それぞれ示している。
これによって、CMU14、電流センサ部16、およびBMU17は、電力線50および電池セル部15を介した電力線通信を行うことができる。各磁気結合部MCT、MCRは、例えば、上述した円環部602、608、配線604、610と同じ構造を有している。
この変形例の蓄電システム1は、内部抵抗測定装置60における制御部614が、電力線50および分岐電力線122に流れる充放電電流に供給交流信号を重畳させ、電力線50および分岐電力線122に流れる充放電電流に重畳された交流信号の信号値を検出する。これにより、蓄電システム1は、主回路51における内部抵抗値Rmの測定のための交流信号、および電力線通信(PLC通信)のための信号用を電力線50および分岐電力線122を介して送受信でき、電力線50、分岐電力線122をデータ通信と劣化診断の両者で兼用することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、閉ループ線路130の抵抗値を変更するように指示した前後における検出交流信号の差に基づいて、主回路51の内部抵抗値Rmを導出する制御部614を持つので、主回路51の内部抵抗を高い精度で測定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (13)

  1. 蓄電池の一方端と他方端とを接続するコンデンサを介した閉ループ線路に交流信号を供給する信号供給部と、
    前記閉ループ線路における交流信号の信号値を検出する検出部と、
    前記閉ループ線路の抵抗値を変更する抵抗値変更部に対して抵抗値を変更するように指示した前後における前記検出部により検出された信号値の差に基づいて、前記蓄電池の内部抵抗値を導出する制御部と、
    を有する内部抵抗測定装置。
  2. 前記制御部は、第1の抵抗値と前記第1の抵抗値よりも高い第2の抵抗値との間で抵抗値を変更するよう指示し、前記信号値の差と前記第2の抵抗値とに基づいて前記蓄電池の内部抵抗値を導出する、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  3. 前記信号供給部は、前記交流信号の周波数を、前記閉ループ線路の共振周波数に近づけるよう変更する、
    請求項1または2に記載の内部抵抗測定装置。
  4. 前記制御部は、前記信号供給部により前記交流信号の周波数を次第に変更させると共に前記検出部により前記交流信号の信号値を検出させ、前記検出部により検出された交流信号の信号値のうち最大の信号値を用いて前記蓄電池の内部抵抗値を導出する、
    請求項3に記載の内部抵抗測定装置。
  5. 前記制御部は、前記蓄電池の充放電電流値、温度、充電率の少なくとも何れか一つが所定の範囲内である場合に、前記抵抗値を変更させて前記検出部により信号値を検出させる、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  6. 前記制御部は、前記検出部により検出された信号値が所定の範囲となるように前記信号供給部により前記交流信号の振幅を変更させる、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  7. 前記抵抗値は、前記蓄電池の内部抵抗値の変化に対する導出値の感度を高める値に設定される、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  8. 前記制御部は、前記閉ループ線路の共振周波数を変更させる共振回路部に対して共振周波数を変更するよう指示し、前記信号供給部により前記変更された共振周波数の交流信号を供給させる、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  9. 前記信号供給部および前記検出部は、前記閉ループ線路に対して着脱可能である、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  10. 前記信号供給部および前記検出部は、前記蓄電池が接続された電力線に接続され、
    前記信号供給部は、前記電力線に流れる電流に前記交流信号を重畳させ、
    前記検出部は、前記電力線に流れる電流に重畳された交流信号の信号値を検出する、
    請求項1に記載の内部抵抗測定装置。
  11. 蓄電池の一方端と他方端とを接続するコンデンサを介した閉ループ線路に交流信号を供給する信号供給部、および前記閉ループ線路における交流信号の信号値を検出する検出部と、
    前記閉ループ線路における抵抗値を変更する抵抗値変更部と、
    前記閉ループ線路の抵抗値を変更する抵抗値変更部に対して抵抗値を変更するように指示した前後における前記検出部により検出された信号値との差に基づいて、前記蓄電池の内部抵抗値を導出する制御部と、
    を有する内部抵抗測定装置。
  12. 蓄電池と、
    前記蓄電池の一方端と他方端とをコンデンサを介して接続する閉ループ線路と、
    前記閉ループ線路における抵抗値を変更する抵抗値変更部と、
    前記閉ループ線路に交流信号を供給する信号供給部と、
    前記閉ループ線路における交流信号の信号値を検出する検出部と、
    前記閉ループ線路の抵抗値を変更する抵抗値変更部に対して抵抗値を変更するように指示した前後における前記検出部により検出された信号値との差に基づいて、前記蓄電池の内部抵抗値を導出する制御部と、
    を有する蓄電池装置。
  13. 蓄電池の一方端と他方端とを接続する閉ループ線路の抵抗値が第1の抵抗値である状態で、前記閉ループ線路に交流信号を供給して前記閉ループ線路における交流信号の第1の信号値を検出し、
    前記閉ループ線路の抵抗値が第2の抵抗値である状態で、前記閉ループ線路に交流信号を供給して前記閉ループ線路における交流信号の第2の信号値を検出し、
    前記第1の信号値と前記第2の信号値との差に基づいて、前記蓄電池の内部抵抗値を導出する、
    内部抵抗値導出方法。
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