JP6385644B2 - 目的遺伝子を発現させるための光学スイッチ用コンストラクト - Google Patents

目的遺伝子を発現させるための光学スイッチ用コンストラクト Download PDF

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Description

本発明は、植物物質生産のための光化学系スイッチに関するものであり、その遺伝子の光化学系スイッチを導入した形質転換植物、目的遺伝子のみの発現を光により制御し、さらに目的遺伝子を葉緑体に蓄積させる方法に関する。なお、本技術は、induction of gene via photosystem(iGPS)と呼ぶことにする。
植物細胞には、核、葉緑体、およびミトコンドリアに遺伝情報(DNA)が存在する。これらのうち、核ゲノムへの外来遺伝子導入技術が先行し、現在日本に輸入が認可されているすべての遺伝子組換え農作物は、核ゲノムの遺伝子操作により作出されたものである(非特許文献1)。
遺伝子組換えにおいては、植物に新たな形質あるいはタンパク質生産能を付与する「目的遺伝子」に加えて、遺伝子導入植物体(形質転換体)の選抜に「選択マーカー遺伝子」が不可欠となる。これには、土壌細菌や腸内細菌由来の抗生物質耐性や除草剤耐性遺伝子が用いられて来た(非特許文献2)。これらに代わり、消費者の遺伝子組換え農作物への忌避意識回避には、「植物由来選択マーカー遺伝子」の開発が望まれる(非特許文献2)。
葉緑体は、通常の栽培植物では花粉に取り込まれないため、外来遺伝子の花粉を介しての飛散が防止できる。さらに葉緑体には、植物の可溶性タンパク質の半分にも及ぶ含量のタンパク質[fraction−1 protein: 後にribulose−1,5−bisphosphate carboxylase/oxygenase (Rubisco)と判明]が存在するため、外来タンパク質の蓄積にも適すると考えられてきた。このように、葉緑体ゲノムの遺伝子操作は、核ゲノムのそれよりも利点を有するが、技術的には核ゲノムの遺伝子操作ほど容易ではない。なお、ミトコンドリア・ゲノム遺伝子操作の成功例は未だ報告されていない。葉緑体形質転換および外来遺伝子維持の技術が研究されている(非特許文献3)。
これまでの葉緑体ゲノム遺伝子操作では、以下の文献に述べられている通り、有用タンパク質の葉緑体での生産が植物の生育を阻害する場合が多い。具体的には、破傷風毒素(用途:ワクチン)(非特許文献4)、バクテリオファージ溶原化タンパク質(用途:タンパク質性抗生物質)(非特許文献5)、マルトース結合タンパク質(用途:融合タンパク質として発現させた外来タンパク質の回収)(非特許文献6)、プラスチド/プラストキノール末端酸化酵素(用途:光合成機能の向上)(非特許文献7)等が挙げられる。したがって、植物が生育した後、「光化学系スイッチ」により外来タンパク質の生産を始め蓄積させることが望ましい。
従来の植物の遺伝子発現誘導系としては、(1)ヒートショックタンパク質誘導系(非特許文献8)、(2)光受容体(フィトクロムあるいはクリプトクロム)を介した誘導系(非特許文献9)、あるいは(3)動物ステロイドホルモン誘導系(非特許文献10)の導入が知られている。
(1)と(2)は、目的遺伝子以外の多くの内在遺伝子の発現が影響を受ける。したがって、処理中に植物体の受けるダメージが大きい。一方、(3)において圃場におけるステロイドホルモンの散布は、そのコストが高くまた環境汚染が懸念される。
厚生労働省: 安全性審査が終了し公表された遺伝子組換え食品及び添加物リスト (平成25年1月31日現在版). http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list.pdf Ahmad A, Kaji I, Murakami Y, Funato N, Ogawa T, Shimizu M, Niwa Y, Kobayashi H: Transformation of Arabidopsis with plant-derived DNA sequences necessary for selecting transformants and driving an objective gene. Biosci. Biotechnol. Biochem., 73, 936-938, 2009 Shimizu M, Goto M, Hanai M, Shimizu T, Izawa N, Kanamoto H, Tomizawa K, Yokota A, Kobayashi H.: Selectable tolerance to herbicides by mutated acetolactate synthase genes integrated into the chloroplast genome of tobacco. Plant Physiol., 147, 1976-1983, 2008 Tregoning JS, Nixon P, Kuroda H, Svab Z, Clare S, Bowe F, Fairweather N, Ytterberg J, van Wijk KJ, Dougan G, Maliga P: Expression of tetanus toxin fragment C in tobacco chloroplasts. Nucleic Acids Res., 31, 1174-1179, 2003 Oey M, Lohse M, Kreikemeyer B, Bock R: Exhaustion of the chloroplast protein synthesis capacity by massive expression of a highly stable protein antibiotic. Plant J., 57, 436-445, 2009 Ahmad N, Michoux F, McCarthy J, Nixon PJ: Expression of the affinity tags, glutathione-S-transferase and maltose-binding protein, in tobacco chloroplasts. Planta, 235, 863-871, 2012 Ahmad N, Michoux F, Nixon PJ: Investigating the production of foreign membrane proteins in tobacco chloroplasts: expression of an algal plastid terminal oxidase. PLoS One, 7, e41722, 2012 Saidi Y, Finka A, Goloubinoff P: Heat perception and signalling in plants: a tortuous path to thermotolerance. New Phytol. 190, 556-565, 2011 Gyula P, Schafer E, Nagy F: Light perception and signalling in higher plants. Curr Opin Plant Biol., 6, 446-452, 2003 Aoyama T, Chua NH: A glucocorticoid-mediated transcriptional induction system in transgenic plants. Plant J., 11, 605-612, 1997 Shimizu M, Kato H, Ogawa T, Kurachi A, Nakagawa Y, Kobayashi H.: Sigma factor phosphorylation in the photosynthetic control of photosystem stoichiometry. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 10760-10764, 2010 Boichenko VA: Action spectra and functional antenna sizes of photosystems I and II in relation to the thylakoid membrane organization and pigment composition. Photosynth. Res., 58, 163-174, 1998 Kanamoto H, Yamashita A, Asao H, Okumura S, Takase H, Hattori M, Yokota A, Tomizawa K: Efficient and stable transformation of Lactuca sativa L. cv. Cisco (lettuce) plastids. Transgenic Res. 15, 205-217, 2006 Brixey PJ, Guda C, Daniell H: The chloroplast psbA promoter is more efficient in Escherichia coli than the T7 promoter for hyperexpression of a foreign protein. Biotechnology Letter., 19, 395-399, 1997 Hirise T, Sugiura M: Functional Shine-Dalgarno-like sequences for translational initiation of chloroplast mRNAs. Plant Cell Physiol., 45, 114-117, 2004
植物細胞内における外来タンパク質の生産・蓄積は、植物の生育を阻害し、植物体としては生育できなくなることが想定される。しかしながら、植物体の生育後に、外来遺伝子の発現を開始すれば、植物体の枯死を回避し、多量の外来タンパク質の蓄積が期待される。したがって、植物体の生育後に、外来遺伝子を発現させることができるシステムが望まれている。
本発明は、葉緑体ゲノム遺伝子操作において、有用物質を高蓄積するために「光化学系スイッチ」技術を導入するものである。「光化学系スイッチ」の概念図を図1に示す。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、以下の葉緑体発現用コンストラクトを用いた上記課題の解決法を提供する。
[1]以下に記載のポリヌクレオチドを含む、目的遺伝子を発現させるための光学スイッチ用コンストラクト;
(a)光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsaA)、
(b)前記光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの制御下に作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列であって、前記目的遺伝子の発現を阻害する転写産物をコードするポリヌクレオチド配列。
[2]前記光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターが、配列番号1で示されるヌクレオチド配列を有する、前記[1]に記載のコンストラクト。
[3]前記コンストラクトが一過性遺伝子発現用コンストラクトである、前記[1]または[2]に記載のコンストラクト。
[4]前記DNA組み換えタンパク質の発現を阻害するポリヌクレオチド配列が、
RNAi(RNA interference)、あるいはリプレッサーによって、目的遺伝子の発現を阻害する、前記[1]〜[3]に記載のコンストラクト。
[5]更に、植物由来の変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(mALS)をコードするポリヌクレオチドを含む、前記[1]〜[4]に記載のコンストラクト。
[6] 前記[1]〜[5]に記載のコンストラクトを含有するベクター。
[7]前記[6]に記載のベクターが導入された植物由来の形質転換体。
[8]近赤外光照射により、目的遺伝子の発現量を変化させる方法であって、前記[6]に記載のコンストラクトを導入した形質転換体に、440nm〜450nm、または690nm〜710nmの波長領域内の波長成分を含む光を照射する方法。
[9]前記波長領域内の波長成分の光量子束密度が、70μmol m−2−1〜300μmol m−2−1の範囲内である、前記[8]に記載の方法。
[10]前記近赤外光照射を1日間〜2日間行うことを特徴とする前記[8]または[9]に記載の方法。
[11] 以下に記載のポリヌクレオチドを含むコンストラクトの、目的遺伝子を発現させる光学スイッチとしての使用;
(a)光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsaA)、
(b)前記光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの制御下に作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列であって、前記目的遺伝子の発現を阻害する転写産物をコードするポリヌクレオチド配列。
遺伝子発現「光スイッチ」の働きを示す図である。 近赤外光による葉緑体PS I反応中心タンパク質遺伝子 (psaA) の選択的発現制御機構を示す図である。 葉緑体において光化学系I(PS I)はPS IIよりも長波長(近赤外光:690〜700nm)により励起される。この際、プラストキノン(PQ)は酸化型になる。これをシグナルとして、σ因子SIG1(σ)がリン酸化され、選択的にPS I反応中心タンパク質遺伝子(psaA)の発現が抑制される。 PS II,光化学系 II;PS I,光化学系I;PQ,酸化型プラストキノン;PQH,還元型プラストキノン;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;PpsaA,PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(Shimizu et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA,107, 10760-10764, 2010) 近赤外光によるrbcLの選択的発現制御機構を示す図である。 葉緑体において光化学系I(PS I)はPS IIよりも長波長(近赤外光:690〜700nm)により励起される。この際、プラストキノン(PQ)は酸化型になる。これをシグナルとして、σ因子SIG1(σ)がリン酸化され、選択的にrbcLの発現が抑制される。 PS II,光化学系 II;PS I,光化学系I;PQ,酸化型プラストキノン;PQH,還元型プラストキノン;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;rbcL,Rubisco Lサブユニット遺伝子 植物における有用物質生産のための葉緑体遺伝子発現「光化学系スイッチ」の模式図(方法1)である。 PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsaA)の制御下に目的遺伝子のRNA干渉(RNA interference,RNAi)コンストラクトを置く。また、目的遺伝子は光波長非依存的発現プロモーター[PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsbA)]の制御下に置く。昼光色ではRNAiが発現して、目的タンパク質は産生されない。一方、近赤外発光ダイオード(LED)の照射により、プラストキノン(PQ)が酸化型になり、σ因子SIG1(σ)がリン酸化する。P−σにより、PpsaAの活性が抑制され、その制御下に置いたRNAiが発現せず、目的タンパク質が産生される。なお、葉緑体の形質転換維持には、植物由来の変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(mALS)を用いる。 P,リン酸基;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;PpsaA,PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター (P−σで特異的に転写が抑制される);RNAi,目的遺伝子のRNAiコンストラクト;目的遺伝子,光波長非依存的発現プロモーター [PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター (PpsbA) ] の制御下に置かれた目的遺伝子;mALS,変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(形質転換維持マーカー) 植物における有用物質生産のための葉緑体遺伝子発現「光化学系スイッチ」の別の態様を示す図である。 PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsaA)の制御下に大腸菌lacリプレッサー遺伝子(I)を置く。また、目的遺伝子は光波長非依存的発現プロモーター[PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsbA)]と大腸菌lacオペレーター(O)の制御下に置く。昼光色ではIが発現して、lacリプレッサーが目的遺伝子の発現を押さえていて、目的タンパク質は産生されない。一方、近赤外発光ダイオード(LED)の照射により、プラストキノン(PQ)が酸化型になり、σ因子SIG1(σ)がリン酸化する。P−σにより、PpsaAの活性が抑制され、その制御下に置いたIが発現せず、目的タンパク質が産生される。なお、葉緑体の形質転換維持には、植物由来の変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(mALS)を用いる。 P,リン酸基;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;PpsaA,PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(P−σで特異的に転写が抑制される);I,大腸菌lacリプレッサー遺伝子;O,光波長非依存的発現プロモーターPpsbAと連結された大腸菌lacオペレーター(O)配列;目的遺伝子,目的遺伝子タンパク質コード領域;mALS,変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(形質転換維持マーカー) 大腸菌lacリプレッサー遺伝子(I):NCBI Reference Sequence NC_007779.1大腸菌lacオペレーター(O)配列:5’−TGTTGTGTGGAATTGAGAGCGGATAACAATTTCACACA−3’ psaAプロモーターの光制御およびpsaAプロモーターの光波長非依存性。リアルタイムRT−PCRによる各波長光照射時のpsaAおよびpsbA発現量の変化を示す図である。 psbAプロモーター活性測定のための葉緑体一過性発現用pLD26−PpsbA−CBRlucおよびpLD26−PpsbA−CBG68lucコンストラクト作製の流れを示す図である。 pLD26をSphI、pCBRおよびpCBG68をそれぞれNcoI/XbaIでそれぞれ処理し、平滑末端化した後ライゲーション(連結)した。 平滑末端連結の正否を確認した実験例を示す図である。 (A)pLD26−PpsbA−CBRlucの連結産物(レーン1)あるいはpLD26−PpsbA−CBG68lucの連結産物(レーン2)を鋳型としてPCRを行った。プライマー:レーン1,pLD6 fd/CBRluc rv(産物サイズ1.1kbp);レーン2,pLD6 fd/CBG68luc rv (産物サイズ1.1kbp) (B)コロニーPCRにてポジティブな結果が出たものから、少量調製法にてプラスミドを抽出し、制限酵素処理を行った結果。レーン1,pLD26プラスミド;レーン2,pLD26−PpsbA−CBG68lucをそれぞれNspVにて消化した結果。レーン2に目的のバンドが確認できる。 世界の大型医薬品売り上げランキングを示す図である。 高価な医薬品のランキングを示す図である。 タンパク質製剤(免疫グロブリンA)の生産コストを示す図である。
1.1. 葉緑体発現用コンストラクト
本発明のコンストラクトは、目的遺伝子を葉緑体中で発現させるスイッチとして用いることができる。
1.2. 光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子
本発明は、近赤外光が選択的に光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子(psaA)の発現を抑制するという知見に基づいている(図2A:文献11)。
また、同様の機構により、近赤外光は選択的に、rbcLプロモーターの制御にも関与することが知られている(図2B)。
図2Aは、葉緑体において光化学系I(PS I)はPS IIよりも長波長(近赤外光:690〜700nm)により励起されることを示す。この際、プラストキノン(PQ)は酸化型になる。これをシグナルとして、σ因子SIG1(σ)がリン酸化され、選択的にPS I反応中心タンパク質遺伝子(psaA)の発現が抑制される。
また、図2A中の略号は以下のとおりである。
PS II,光化学系II;PS I,光化学系I;PQ,酸化型プラストキノン;PQH,還元型プラストキノン;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;PpsaA,PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(Kobayashi et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 10760-10764, 2010)
また、図2Bは、葉緑体において、長波長(近赤外光:690〜700nm)により、選択的にrbcLの発現も抑制されることを示す。
1.3. 光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター配列
本発明は、上記に記載されるような、PS I反応中心タンパク質遺伝子(psaA)のプロモーター(光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター)を光学スイッチとして利用するものである。
光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター配列(PpsaA)は、配列番号:1において示される。
配列番号1:
5’-AAGCATTTATTGAAATAGGATAATATTATCTATAAAAAAAATAGGCTACATTTCGGAACTTAATAATTGAAATATGAATACACTCGATTAGGTTATAAAAAAAGCTCTTTGTGTACCAATGTAAAGGCGCTAAAACTTTTTTTAATTATAAAAAAGGGTCCGTTGAGCACCCTATGGATATGTCATAATAGATCCG-3’
ここで、3’側の最後のGが転写開始点である。
psaAプロモーターとしては、上記のシロイヌナズナpsaAプロモーター配列およびそれと相同性の高い配列を用いることができる。
また、本願において、rbcLプロモーターとは、以下のシロイヌナズナrbcLプロモーター配列(配列番号2)およびそれと相同性の高い配列である。
配列番号2:
5’-TTGTTTTTCATTTTCATGGATGAATTCCGCATATTGTCATATCTAGGATTTACATATACAACAGATATTACTGTCAAGAGTGATTTTATTAATATTTTAATTTTAATATTAAATATTTGGATTTATAAAAAGTCAAAGATTCAAAACTTGAAAAAGAAGTATTAGGTTGCGCTATACATATGAAAGAATATACAATAATGA-3’
ここで、3’側の最後のAが転写開始点である。
しかし、用いる配列は、配列番号1や配列番号2に示される配列を有するものに限定されるものではなく、これらの配列と同等な機能(プロモーターの下流に位置する光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子またはRubisco Lサブユニット遺伝子を転写させる機能)を有する他のポリヌクレオチドを含む。機能的に同等なポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号1または2の塩基配列と約80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ上記プロモーター活性を有する配列が挙げられる。上記相同性の数値は一般的に大きい程好ましい。
本発明に関係するポリヌクレオチドおよびその等価物について
本発明に係るポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得る。
また、本発明は、配列番号1または2の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ近赤外光によりプロモーター活性が低下するポリヌクレオチドも包含する。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えばMolecular Cloning 3rd Ed.、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1987-1997などに記載されている方法を利用することができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたポリヌクレオチド(例えば、DNA)を検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、FASTA、BLASTなどの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメーターを用いて計算したときに、配列番号:1のポリヌクレオチドと80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するポリヌクレオチドをあげることができる。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 2264-2268, 1990; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J. Mol. Biol. 215: 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
本発明において、葉緑体発現用コンストラクトは一過性遺伝子発現用コンストラクトであってもよい。
本発明において「一過性遺伝子発現」とは、葉緑体に導入されたDNAが葉緑体内で分解されるまでの間、遺伝子が発現されることを意味する。
1.4. 目的遺伝子
本発明のDNA組み換えタンパク質(目的遺伝子)としては、例えば、リツキシマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、エポエチン アルファ、ベバシズマブ、トラスツズマブ、アダリムマブ、ソリリス(Soliris)(登録商標)、エラプラーゼ(Elaprase)(登録商標)、ナグラザイム(Naglazyme)(登録商標)、シンライズ(Cinryze)、ミオザイム(Myozyme)、アーカリスト(Arcalyst)、ファブラザイム(Fabrazyme)、セレザイム(Cerezyme)、アウドラザイム(Aldurazyme)等の医療製剤用タンパク質、および免疫グロブリンA等の抗体タンパク質が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのタンパク質製剤は、大型医薬品として世界での売り上げが多額であり(図7、図8)、これらの組み換えタンパク質を植物体内で生産する手法は、大幅な生産コストの削減に貢献し、医薬品生産の増大にも貢献するものと考えられる(図9)。また更に、特に、植物体の成長が著しく困難となる目的遺伝子を選択した場合には、本発明のコンストラクトが非常に有用になると考えられる。
また、本発明のコンストラクトは、目的遺伝子のための独立したプロモーターを含んでもよい。このようなプロモーターとしては、葉緑体内で活性を有し、光波長非依存的発現プロモーターである必要がある。PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsbA)やリボゾーマルRNA遺伝子プロモーター、さらに細菌由来のプロモーターであってもよい。
光波長非依存的発現プロモーターPpsbAの配列は、以下のシロイヌナズナpsbAプロモーター配列およびそれと相同性の高い配列である。
配列番号3:
5’-AAAAAATATTCCTAGAGCAATTCTATTTCTATGTATGTGGATTCGCTTCTAATTTATTTCATCGATTACAAAAAATTTTTTATGAATCTAAACTAAAAGGATCTTATCCATTTTACATTGGTTGACATGGCTATATAAGTCATGTTATACTGTTTC-3’
ここで、3’側の最後のCが転写開始点となる。
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子発現」とは、ゲノム遺伝子を鋳型として、プロモーター配列の制御下でmRNAを発現する過程(転写)、および/またはこのmRNAを鋳型としてタンパク質を合成する過程(翻訳)を含む。本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」、「遺伝子」、「核酸」または「核酸分子」はそれぞれと交換可能に使用され得る。本明細書中で使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。また、「配列番号:1の塩基配列を含むポリヌクレオチドまたはそのフラグメント」とは、配列番号:1の各デオキシヌクレオチドA、G、Cおよび/またはTによって示される配列を含むポリヌクレオチドまたはその断片部分が意図される。
1.5. DNA組み換えタンパク質の発現を阻害する機構
さらに、本発明の「目的遺伝子の発現を阻害する転写因子をコードするポリヌクレオチド」は、(i)目的遺伝子をコードするポリヌクレオチド(DNA)の転写産物に対して相補的な塩基配列を有するRNAをコードするポリヌクレオチド;(ii)目的遺伝子をコードするポリヌクレオチド(DNA)の発現をRNAi効果により抑制するRNAをコードするポリヌクレオチド;(iii)目的遺伝子をコードするポリヌクレオチド(DNA)の転写産物を特異的に切断する活性を有するRNAをコードするポリヌクレオチド;及び(iv)目的遺伝子をコードするポリヌクレオチド(DNA)の発現を共抑制効果により抑制するRNAをコードするポリヌクレオチドを含む。これらのポリヌクレオチドは、葉緑体発現用コンストラクトと共にベクターに組込まれ、さらにそのベクターが導入された形質転換細胞において上記(i)〜(iv)のポリヌクレオチド(DNA)の発現を抑制することができる。したがって、上記ポリヌクレオチド(例えば、DNA)の発現を抑制することが好ましい場合に好適に利用することができる。
本明細書中、「DNAの転写産物に対して相補的な塩基配列を有するRNAをコードするポリヌクレオチド」とは、いわゆるアンチセンスDNAのことをいう。アンチセンス技術は、特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方法として公知であり、種々の文献に記載されている(例えば、平島および井上:新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現(日本生化学会編,東京化学同人)pp.319−347,1993などを参照)。アンチセンスDNAの配列は、内在性遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に抑制できる限りにおいて、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンスDNAの長さは少なくとも15塩基以上であり、また100塩基以上であり、さらに500塩基以上であってもよい。
本明細書中、「DNAの発現をRNAi効果により抑制するRNAをコードするポリヌクレオチド」とは、RNA interference(RNAi)によって内在性遺伝子の発現を抑制するためのポリヌクレオチドのことをいう。「RNAi」とは、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二重鎖RNAを細胞内に導入すると、導入した外来遺伝子および標的内在性遺伝子の発現がいずれも抑制される現象のことを指す。ここで用いられるRNAとしては、例えば、21〜25塩基長のRNA干渉を生ずる二重鎖RNA、例えば、dsRNA(double strand RNA)、siRNA(small interfering RNA)又はshRNA(short hairpin RNA)が挙げられる。このようなRNAは、リポソームなどの送達システムにより所望の部位に局所送達させることも可能であり、また上記二重鎖RNAが生成されるようなベクターを用いてこれを局所発現させることができる。このような二重鎖RNA(dsRNA、siRNA又はshRNA)の調製方法、使用方法などは、多くの文献から公知である(特表2002-516062号公報; 米国公開許第2002/086356A号; Nature Genetics, 24(2), 180-183, 2000 Feb.; Genesis, 26(4), 240-244, 2000 April; Nature, 407:6802, 319-20, 2002 Sep. 21; Genes & Dev., Vol.16, (8), 948-958, 2002 Apr.15; Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 99(8), 5515-5520, 2002 Apr. 16; Science, 296(5567), 550-553, 2002 Apr. 19; Proc Natl. Acad. Sci. USA, 99:9, 6047-6052, 2002 Apr. 30; Nature Biotechnology, Vol.20 (5), 497-500, 2002 May; Nature Biotechnology, Vol. 20(5), 500-505, 2002 May; Nucleic Acids Res., 30:10, e46,2002 May 15等参照)。
本明細書中、「DNAの転写産物を特異的に切断する活性を有するRNAをコードするポリヌクレオチド」とは、一般に、リボザイムのことをいう。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子のことをいい、ターゲットとするDNAの転写産物を切断することにより、その遺伝子の機能を阻害する。リボザイムの設計についても種々の公知文献を参照することができる(例えば、FEBS Lett. 228: 228, 1988; FEBS Lett. 239: 285, 1988; Nucl. Acids. Res. 17: 7059, 1989; Nature 323: 349, 1986; Nucl. Acids. Res. 19: 6751, 1991; Protein Eng 3: 733, 1990; Nucl. Acids Res. 19: 3875, 1991; Nucl. Acids Res. 19: 5125, 1991; Biochem Biophys Res Commun 186: 1271, 1992など参照)。また、「DNAの発現を共抑制効果により抑制するRNAをコードするポリヌクレオチド」とは、「共抑制」によって、ターゲットとなるDNAの機能を阻害するヌクレオチドをいう。
本明細書中、「共抑制」とは、細胞中に、標的内在性遺伝子と同一もしくは類似した配列を有する遺伝子を形質転換により導入することにより、導入した外来遺伝子および標的内在性遺伝子の発現がいずれも抑制される現象のことをいう。共抑制効果を有するポリヌクレオチドの設計についても種々の公知文献を参照することができる(例えば、Smyth DR: Curr. Biol. 7: R793, 1997、Martienssen R: Curr. Biol. 6: 810, 1996など参照)。
RNA interference(RNAi)によって目的遺伝子の発現を抑制するためのポリヌクレオチドは、目的遺伝子の配列に基づいて設計することができる(特表2002-516062号公報; 米国公開許第2002/086356A号; Nature Genetics, 24(2), 180-183, 2000 Feb.; Genesis, 26(4), 240-244, 2000 April; Nature, 407:6802, 319-20, 2002 Sep. 21; Genes & Dev., Vol.16, (8), 948-958, 2002 Apr.15; Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 99(8), 5515-5520, 2002 Apr. 16; Science, 296(5567), 550-553, 2002 Apr. 19; Proc Natl. Acad. Sci. USA, 99:9, 6047-6052, 2002 Apr. 30; Nature Biotechnology, Vol.20 (5), 497-500, 2002 May; Nature Biotechnology, Vol. 20(5), 500-505, 2002 May; Nucleic Acids Res., 30:10, e46,2002 May 15等参照)。
例えば、目的遺伝子とその発現を抑制するRNAiの組合せとしては、次のようなものが例示される。
緑色発光ルシフェラーゼをコードするCBG68luc(Promega)を使った場合、このコード領域を以下のようなsiRNA最適配列予測サイト(例えばhttp://www.idtdna.com/Scitools/Applications/RNAi/RNAi.aspxや、http://bioinfo.clontech.com/rnaidesigner/sirnaSequenceDesignInit.do)で配列を予測させると,以下のCBG68lucのタンパク質コード領域の83〜109の27塩基のアンチセンスがベストとして上がる。

配列4:5’−TCCGAGCACTGCGTAAACATAGTCACC−3’

したがって、CBG68lucのタンパク質コード領域の83〜109の27塩基(以下)を含むCBG68lucのDNA塩基配列(GenBank:AY258593.1)のアンチセンスを好適に用いることができる。
また、本願発明では、大腸菌の「lacリプレッサー」のような遺伝子発現抑制系を用いることもできる。さらに「lacオペレーター」を併用することもできる。
本発明において、リプレッサーとは、特異的なオペレーターを認識し、これに結合することによって、そのオペレーターを含むプロモーターに連なる遺伝子群、すなわちオペロンの発現を抑制し、負の調節を行うタンパク質を意味する。また、オペレーターとは、リプレッサーの結合部位を意味する。オペレーターは、プロモーターとオペロンの構造遺伝子との中間、又はプロモーターと一部重なり合ってオペロンの上流に存在する。すなわち、オペレーターは、プロモーターと存在位置が重複する場合がある。本発明において使用できるリプレッサー遺伝子/プロモーター(オペレーターを含む)としては、既知のものを用いることが出来る。
2.光化学系スイッチ
「光化学系スイッチ」として、図3Aに示すような系があげられる。
PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsaA)の制御下に目的遺伝子のRNA干渉(RNA interference,RNAi)コンストラクトを置く。また、目的遺伝子は光波長非依存的発現プロモーター[PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsbA)]の制御下に置く。昼光色ではRNAiが発現して、目的タンパク質は産生されない。一方、近赤外発光ダイオード(LED)の照射により、プラストキノン(PQ)が酸化型になり、σ因子SIG1(σ)がリン酸化する。P−σにより、PpsaAの活性が抑制され、その制御下に置いたRNAiが発現せず、目的タンパク質が産生される。なお、葉緑体の形質転換維持には、植物由来の変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(mALS)を用いる。
なお、図3A中における略号は以下のとおりである。
P,リン酸基;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;PpsaA,PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(P−σで特異的に転写が抑制される);RNAi,目的遺伝子のRNAiコンストラクト;目的遺伝子,光波長非依存的発現プロモーター[PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsbA)]の制御下に置かれた目的遺伝子;mALS,変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(形質転換維持マーカー)
なお、この態様においては、以下のような3つのパターンのコンストラクトであればPpsaA、RNAi、TpsbA、目的遺伝子、およびmALSの各配置の順番は変わっても問題なく実施が可能である。なお、以下で「T」は「ターミナーター」を表わす。

PpsaA−RNAi−TpsbA
PpsbA−目的遺伝子−TpsbA
PpsbA−mALS−TpsbA
また、別の態様の光工学系スイッチとして、図3Bに示す系が挙げられる。
図3Bの系において、「近赤外光」(690〜710nm)では、psaAの発現が抑制されるため、大腸菌の「lac レプレッサー」のような遺伝子発現抑制系をpsaAプロモーター(PpsaA)の制御下に置き,「近赤外光」で目的遺伝子の発現抑制が解除される。
ここで、PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsaA)の制御下に大腸菌lacリプレッサー遺伝子(I)が置かれる。また、目的遺伝子は光波長非依存的発現プロモーター[PS II反応中心タンパク質遺伝子プロモーター(PpsbA)]と大腸菌lacオペレーター(O)の制御下に置かれる。
昼光色ではIが発現して、lacリプレッサーが目的遺伝子の発現を押さえていて、目的タンパク質は産生されない。
一方、近赤外発光ダイオード(LED)の照射により、プラストキノン(PQ)が酸化型になり、σ因子SIG1(σ)がリン酸化する。P−σにより、PpsaAの活性が抑制され、その制御下に置いたIが発現せず、目的タンパク質が産生される。なお、葉緑体の形質転換維持には、植物由来の変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(mALS)用いる。
なお、図3B中における略号は以下のとおりである。
P,リン酸基;σ,RNAポリメラーゼσ因子SIG1;PpsaA,PS I反応中心タンパク質遺伝子プロモーター (P−σで特異的に転写が抑制される);I,大腸菌lacリプレッサー遺伝子;O,光波長非依存的発現プロモーターPpsbAと連結された大腸菌lacオペレーター(O)配列;目的遺伝子,目的遺伝子タンパク質コード領域;mALS,変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子 (形質転換維持マーカー)
大腸菌lacリプレッサー遺伝子 (I):NCBI Reference Sequence NC_007779.1
大腸菌lacオペレーター(O1)配列:5’-TGTTGTGTGGAATTGAGAGCGGATAACAATTTCACACA-3’
なお、この態様においては、以下のような3つのコンストラクトのパターンであればPpsaA、I、TpsbA、O、目的遺伝子、およびmALSの各配置の順番は変わっても問題なく実施が可能である。なお、以下で「T」は「ターミナーター」を表わし、Iは大腸菌lacリプレッサーを、Oは大腸菌lacオペレーターを表わす。
PpsaA−I−TpsbA
PpsbA−O−目的遺伝子−TpsbA
PpsbA−mALS−TpsbA
従来技術に対し、本発明は、目的遺伝子のみの発現を光により制御し、さらに外来タンパク質を葉緑体に蓄積させるものである。したがって、植物体にダメージを与えず、外来タンパク質が生産・蓄積し得る。
2.1. 照射波長
本発明の葉緑体発現用コンストラクトを導入した植物において、目的遺伝子を葉緑体に蓄積させる場合に用いる波長は、光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの活性を抑制できるものであればよく、特に制限はない。例えば、青色帯(435nm〜480nm)および近赤色帯(610nm〜750nm)において効率的である。また、上記光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの活性抑制の観点からは、好ましくは、約440nm〜約450nm、または約690nm〜約710nmの波長領域内の波長成分を含む光が挙げられる。
2.2. 本発明で使用される光の光量子束密度について
光量子束密度としては、光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの活性を抑制できるものであればよく、特に制限はない。これら遺伝子の発現促進効率の観点からは、上記波長領域または波長の波長成分の光量子束密度は、好ましくは70μmol m−2−1〜300μmol m−2−1の範囲内である。
2.3. 本発明で使用される光の照射時間
光照射時間は、照射する光の光量子束密度によっても異なるが、光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの活性を抑制できるものであればよく、特に制限はないが、連続照射であるのが好ましい。これら遺伝子の発現促進効率の観点からは、光量子束密度が70μmol m−2−1〜300μmol m−2−1の範囲内である場合には、光照射時間は、好ましくは1日間〜2日間程度である。
2.4. 光源
本発明で用いられる光源としては、人工光源を用いる場合には、なるべく光化学系(PS)I反応中心タンパク質遺伝子プロモーターの活性を抑制する効率の高い波長成分の光のみを用いるのが、エネルギー効率の観点からは好ましい。好ましくは、上記に示される特定の波長を発する光源が挙げられる。
本発明で用いられる光源としては、上記の例示的な条件の光照射に用いることができるものであればよく、特に制限はない。例えば、発光ダイオード(LED)、白色蛍光灯、放電ランプ(例、水銀灯、キセノンランプなど)、さらに、回折格子、プリズムなどとの組み合わせにより取り出された特定の波長の光などを適宜用いることができる。過剰な光による植物の障害(光合成能の低下、組織傷害など)を抑制するために目的以外の波長成分、例えば755nm〜3000nmの波長領域内の波長成分を減少させるためには、所望の波長選択性を有するフィルター(例、色ガラスフィルター、ゼラチンフィルター、干渉フィルターなど)を使用することができる。また、LEDやレーザーは、不要な波長領域の波長成分を含まず、かつ、好ましい光量子束密度を有する光を得るために好ましく用いることができる。
また、安価な発光ダイオード(LED)が光源として利用できるため、費用対効果も高い。また、LEDは一般に、従来の他の照明器具と比較して、
(1) 発熱がほとんど無い
(2) 発光ダイオード単体が小さいため、光源としての発光機器はその形状を自由に変化させることできる
(3) 発光ダイオードはそれぞれの種類によって光の波長域が狭く(スペクトル幅が小さく)、その組み合わせによって自由に目的の波長域を得ることができるので、植物の栽培に適した波長域を容易に設定して照射を行なうことができる、
などの特徴および効果を有している。すなわち、LEDは、スペクトル幅の小さな単色光/低電圧で駆動可能/コンパクト/発熱が少ないという特性を有しており、植物に必要な波長の光を組み合わせて照射を行なうことにより、小さなエネルギーで効率よく特定の植物生理機能や形態形成を促すことが可能になるとともに、植物の要部に対する近接照射を容易に行なうことが可能である。さらに、高輝度LEDを利用することによって、より強い光量子束密度を提供することが可能であり、このことによって、より強い生合成を植物に誘導させることが可能である。
したがって、好ましくは本発明において使用される光源は、青色LED(440〜450nm)または赤色LED(610〜750nm)が望ましい。高輝度LEDを使用して比較的強い光量子束密度を提供することがさらに好ましい。高輝度LEDは各種波長のものが入手可能であり、それらを用いることが出来る。
3.ベクター
本発明の組換えベクターは、本発明の上記DNAを適当なベクターに挿入することによって作成することができる。ベクターとしては、pBluescript系のベクター、pBI系のベクター、pUC系のベクターなどが使用できる。
pBluescript系のベクター、pBI系のベクターなどのバイナリーベクターは、アグロバクテリウムを介して植物に目的のDNAを導入できるという点で好ましい。pBluescript系のベクターとしては、例えば、pBluescript SK(+)、pBluescript SK(−)、pBluescript II KS(+)、pBluescript II KS(−)、pBluescript II SK(+)、pBluescript II SK(−)などがあげられる。pBI系のベクターとしては、例えば、pBI121、pBI101、pBI101.2、pBI101.3、pBI221などがあげられる。
pUC系のベクターは、植物にDNAを直接導入することができるという点で好ましい。
ベクターは、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター)を有するベクターや、外的な刺激(例えば、乾燥、紫外線の照射、塩ストレス)により誘導的に活性化されるプロモーターを有していてもよい。このようなプロモーターとしては、例えば、乾燥によって誘導されるシロイヌナズナのrab16遺伝子のプロモーター(Nundy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 1406 (1990))、紫外線の照射によって誘導されるパセリのカルコン合成酵素遺伝子のプロモーター(Schulze-Lefert et al., EMBO J. 8, 651 (1989))、塩ストレスによって誘導されるプロモーターなどがあげられる(Shinozaki, K. and Yamaguchi-Shinozaki, K., Curr. Opin. Plant Biol. 3, 217-223 (2000))。
さらに、本発明のベクターには、必要に応じて、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリA付加シグナルなどを連結してもよい。
プロモーターとしては、植物細胞において機能することができれば植物由来のものでなくてもよい。具体的には、CaMV35Sプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来のユビキチンプロモーター、イネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来のPRタンパク質プロモーターなどがあげられる。さらに、前述の外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターもあげられる。
エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域があげられる。
ターミネーターとしては、前述のプロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよく、具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、CaMVポリAターミネーターなどがあげられる。
本発明のDNAをベクターに挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入する方法などが用いられる。
4.本発明の非ヒト形質転換体(形質転換植物細胞、形質転換植物体など)
本発明の形質転換植物細胞は、本発明の組換えベクターを植物細胞に導入することによって得ることができる。組換えベクターの植物細胞への導入は、従来公知の方法、例えば、植物に感染するウイルスや細菌を介して導入する方法(I. Potrylkus, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 42, 205 (1991))、外来DNAを直接導入する方法などがあげられる。具体的には、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法、エレクトロポレーション法などを用いることができる。これらの方法は、例えば、形質転換する宿主植物の種類などに応じて適宜決定できる。
植物に感染するウイルスとしては、カリフラワーモザイクウイルス、ジェミニウイルス、タバコモザイクウイルス、プロムモザイクウイルスなどが使用できる。細菌としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、アグロバクテリウム・リゾジェネスなどが使用できる。
アグロバクテリウムへのベクターの移行は、エレクトロポレーション法によって行うことができる。
植物細胞に外来DNAを直接導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、融合法、高速バリスティックペネトレーション法等の従来公知の方法があげられる(I. Potrykus, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 42, 205 (1991)参照)。エレクトロポレーション法は、例えば、プロトプラストの培養が安定かつ容易であり、再生が容易な植物細胞に適用することが好ましい。また、パーティクルガン法は、宿主の限定を受けないため、例えば、アグロバクテリウムに感染し難い植物細胞や、プロトプラストの調製が困難な植物細胞に適用することが好ましい。なお、このようにエレクトロポレーション法を行う場合、前記組換えベクターを構成するベクターとしては、例えば、pUC18、pUC19、pBR322、pBR325、pBluescript 等が好ましい。単子葉植物の多くやアグロバクテリウムの感染しにくい双子葉植物に対しては、DNA導入法として汎用されているアグロバクテリウムを用いた間接導入法が使用できないため、これらの直接導入法が有効である。
次に、本発明のベククーを導入したアグロバクテリウム等から植物へT−DNAを導入して、植物の形質転換を行う。例えば、上述のようにしてベクターを導入したアグロバクテリウム株を植物細胞のカルスまたは組織片と数分間程度共存させた後、2N6−ASまたはN6COなどの培地中で、25〜28℃で3日間程度共存培養する。ここで共存培養する植物としては、共存培養の難易度に差があるものの種子植物が用いられる。特に、これまで形質転換の困難であった単子葉作物、すなわち、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、シバなど、さらに樹木(ポプラやユーカリなど)なども対象となり得る。
上記のアグロバクテリウムとの共存培養の後、カルスまたは組織片は、適当な抗生物質を含む培地で選択培養を行う。例えば、ベクターに選択マーカーとしてハイグロマイシン耐性遺伝子を導入した場合には、ハイグロマイシン(10〜100μg/mL)とアグロバクテリウム除去のためのセフォタキシム(25μg/mL)またはカルベニシリン(500μg/mL)とを含む2N6−CHまたはN6Se培地を用いて、1〜3週間選択培養を行うことにより、形質転換したカルス体を選択的に得ることができる。選択的に得たカルス体を、N6S3−CH、MSreなどの適当な再分化培地を用いて再分化を誘導し、再分化個体を得る。以上のようにして、本発明のベクターを用いてDNA断片を植物に導入し形質転換することができる。
組換え個体の選抜は、マーカー遺伝子で抗生物質耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン遺伝子)の発現を調べることによって行うことができる。また、得られた形質転換植物細胞および形質転換植物体の染色体DNAをそれぞれ調製し、例えば、目的DNA配列に特異的なプライマーやプローブを用いたPCRやサザンブロッティング法等により、前記目的DNAの発現が確認されれば、所望の形質転換植物細胞および形質転換植物体が得られたこととなる。
なお、本発明においては、ターゲットとする上記遺伝子(DNA)を破壊することによって、上記ポリヌクレオチド(例えば、DNA)の発現または上記タンパク質の発現を抑制することができる。遺伝子の破壊は、ターゲットとする遺伝子における遺伝子産物の発現に関与する領域、例えば、コード領域やプロモーター領域の内部へ単一あるいは複数の塩基を付加あるいは欠失させたり、これらの領域全体を欠失させることにより行うことができる。このような遺伝子破壊の手法は、公知の文献を参照することができる(例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76, 4951(1979) 、Methods in Enzymology, 101, 202(1983)、特開平6-253826号公報など参照)。
形質転換植物体が得られれば、その植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることができ、公知の方法によりクローンを得ることもできる。また、その植物体、その子孫もしくはクローンから、さらに子孫もしくはクローンを得ることもできる。
植物体
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドが導入されることで形質転換される植物としては、特に制限はなく、下等植物から高等植物まで全て含む。本発明で形質転換される植物としては、例えば、種子植物、シダ植物、コケ植物、地衣植物、多細胞の植物、作物植物、蔬菜植物、花卉植物、木本植物、観賞用植物、樹木植物(例えば、針葉樹、落葉樹など)などを挙げることができる。本発明の形質転換された植物は、単子葉または双子葉植物であってよい。農作物としては、例えば、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ダイズ、(インゲン)マメ、エンドウ、チコリー、トマト、ミカン、イチゴ、ワタ、タバコ、コーヒーノキ、チャ、ナタネ、ジャガイモ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、ゴムノキ、カンショ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ペッパー、セルリー、カボチャ、ペポカボチャ、アサ、ズッキーニ、リンゴ、ナシ、マルメロ、メロン、スモモ、サクランボ、モモ、ネクタリン、アンズ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ソルガム、クローバー、ニンジン、アルファルファ、ナス、キュウリ、アラビドプシスなどが挙げられる。観賞用植物としては、例えば、キク、カーネーション、バラ、キンギョソウ、ラン、トルコギキョウ、フリージア、グラジオラス、カスミソウ、カランコエ、ユリ、ペラルゴニウム、ゼラニウム、シクラメン、カトレア、ペチュニア、トレニア、チューリップ、ガーベラ、アヤメ、ヤシ、スゲなどが挙げられる。樹木植物としては、例えば、例えば、マツ、トウヒ、モミ、ツガ、イチイ、イチョウが挙げられる。コケ植物としては、例えば、ヒメツリガネゴケが挙げられる。
なお、本発明において、詳細な実験操作は、特に述べる場合を除き、モレキュラー・クローニング第3版、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M. and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法などの公知の方法により、または市販のキットの取扱い説明書に記載の方法により行うことができる。
5.本発明のコンストラクトを導入した形質転換体を用いて目的物質を生産する方法
本発明のコンストラクトを導入した形質転換体を用いて目的物質を生産する方法は、例えば以下の手順が示されるが、本発明の範囲はこの手順に限定されるものではない。
葉緑体の「一過性発現」については、公知の文献をもとに実施が可能であり、例えば、Yoshimoto K, Sakaiya M, Isono K, Kobayashi H: Comparison of strength of endogenous and exogenous gene promoters in Arabidopsis chloroplasts. Plant Biotech., 18, 135-142, 2001等の文献をもとにして実施が可能である。
また、葉緑体の「形質転換」については、出願人らの論文(3. Shimizu M, Goto M, Hanai M, Shimizu T, Izawa N, Kanamoto H, Tomizawa K, Yokota A, Kobayashi H.: Selectable tolerance to herbicides by mutated acetolactate synthase genes integrated into the chloroplast genome of tobacco. Plant Physiol., 147, 1976-1983, 2008)の記載をもとに手順を組み立て、実施をすることができる。
材料および方法
1. 種子の滅菌、播種
1.5mLチューブにシロイヌナズナ種子(ecotype: Columbia)を分注し、70%エタノール1mLを加え、1分間振とう後、遠心し上清を捨てた。滅菌溶液を1mL加えて、10分間振とうした。以後の操作は、無菌的に行うため、クリーンベンチを使用した。軽く遠心し、上清を捨て、1mL滅菌水で洗浄した。洗浄を5回繰り返し、0.1%アガロース溶液1mLを加え、アルミホイルに包み、4℃で2〜3日春化処理を行った。その後、ムラシゲ・スクーグ(MS)培地に播種した。
2. 植物の育成条件
人工気象機(RIOTRON NC220, 日本医化器械製作所)を用い、温度20℃、湿度40−60%、照度2,000−3,000luxの白色蛍光灯下、16時間−明、8時間−暗で育成させた。
3. 各波長の光照射時のpsaAおよびpsbAの発現量測定
3−1. 近赤外光の照射
3週間育成させたシロイヌナズナを3日間アルミホイルにて遮光し、各波長の光を2日間から2週間照射した。
3−2. シロイヌナズナからRNA抽出
約100mgシロイヌナズナ葉を採取し(近赤外光照射のものは遮光条件下で行った)、液体窒素にて氷結粉砕した。その後、RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)を用い、操作はその取扱説明書に従った。
3−3. DNaseI処理
抽出したRNAからDNAを取り除くためDNase処理を行った。10 X DNase Buffer 5μL、7μg分のRNAが含まれた抽出液、DNase 3μL加え、Milli−Q水で50μLにメスアップした後、37℃で30分反応させた。反応後、Milli−Q水で100μLにメスアップした。そこに等量のクロロホルムを加えて5分間ボルテックスし、室温で15,000rpm、10分間遠心し、上層を回収した。1/10倍量の3M酢酸ナトリウム、2.5倍量の100%エタノールを加え、1分間ボルテックスし、−80℃で1時間放置した。その後、4℃、15,000rpm、10分間遠心し上清を取り除いた。70%エタノールを150μL加え、4℃、15,000rpm、3分間遠心し、上清を完全に取り除いた。得られたペレットを風乾させ、10μLのMilli−Q水に溶かした。
3−4. cDNAの合成
逆転写反応は、Transcriptor First Stand cDNA Synthesis Kit(Roche)を用いて行った。
3−5. High Fidelity PCR
忠実性の高いPCRを行う際は、KOD−Plus DNA polymerase(TOYOBO)を使用した。10 X KOD−Plus Buffer 5 μL、2 mM dNTPs 5μL、25mM MgSO 2μL、プライマー(各10μM) 1.5μL、KOD−Plus DNA polymerase 1μL、鋳型 DNA 50ngを混合し、Milli−Q水で50 μLに調製した。基本反応条件は、94℃ 2分間→(94℃ 30秒、58℃ 30秒、68℃ 1分/kb)X 30cycle→68℃ 5分間とした。
3−6. リアルタイムPCR
リアルタイム PCRはLightCycler (Roche) を使用した。SYBER Premix ExTaq (TaKaRa) 10μL、プライマー(各10 pmol)0.4μL、鋳型cDNA 2μLを混合、Milli−Q水で20μLにメスアップしたものをキャピラリーに入れ、LightCyclerに供した。プライマーは20〜25−merの長さで、測定する遺伝子に対して特異性が高く、かつゲノムDNAの混入を確認するために、イントロンを挟むように設計し、産物が150〜250bp程度のサイズになるように作製した。発現量を内部標準遺伝子ACT2によって補正し、3日間暗処理したものとの相対値で表した。
4. タバコ葉緑体におけるルシフェラーゼアッセイのためのコンストラクト作製
4−1. 使用培地組成
4−2. プラスミドDNAの少量調製法
抗生物質 (アンピシリン50μg/mL)を含む2mLの液体LB培地中で、大腸菌を37℃で12−16時間振とう培養した。2mLチューブに移し入れ、12,000rpm、10分間遠心し菌体を集め、Plasmid Miniprep Kit(ORIGENE)により調製した。
4−3. 制限酵素処理
回収したプラスミドは目的に応じた制限酵素で消化した。処理後、アガロース電気泳動を行い、目的のものとして正しいか確認、ゲルからのDNA回収を行った。
4−4. アガロースゲルからのDNA回収
Nucleo Spin Extract II (MACHEREY−NAGEL) を使用した。アガロース電気泳動後、目的のDNA断片をメスで切り出して回収した。切り出したゲルにNT Bufferを200μL加え、50℃、15分間インキュベートし、ゲルを溶かす。溶かした溶液を付属カラムに移し入れ、10,000rpm、1分間遠心した。NT3 Wash Buffer 600μL加えて10,000rpm、1分間遠心し、液は捨てた。10,000rpm、5分間遠心し、カラムを乾燥させた。新しいチューブにカラムを移し、NT Elusion Buffer 30μLを加えて、室温で1分間放置後、10,000rpm、1分間遠心した。
4−5. クローニング
a. DNA末端の平滑化
DNA依存性DNAポリメラーゼで、鋳型DNAおよびdNTPs存在下で3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持ち、5→3’にはエキソヌクレアーゼ活性は持たずポリメラーゼ活性を有するT4 DNA polymerase (TaKaRa) から構成されるDNA Blunting Kit (TaKaRa) を用いた。反応液は10 μL [鋳型DNA 0.1−10 pmol、10 X Buffer (dNTP含む)] 1 μLをMilli−Q水で9 μLにメスアップし70℃、5分間処理後、T4 DNA polymerase 1 μLを加え、37℃で5分間反応させた。ボルテックスにて激しく撹拌し、氷中に置き反応を停止させた。
b. ライゲーション(Ligation−Convenience Kit:NIPPON GENE、Ligation Kit ver2.1:TaKaRa )
ベクター:インサート=1:5〜1:10 (モル比)、平滑末端の場合は1:10〜1:20となるようにそれぞれのDNA溶液を調製し、2 X Ligation Mix (NIPPON GENE) もしくはEnzyme Solution (TaKaRa) をDNA溶液と等量加え、16℃、30分間反応させた。平滑末端のライゲーションの場合、14℃、一晩反応させた。
c. 形質転換
Competent High JM109およびDH5α (TOYOBO) を使用した。コンピテントセルを氷上で融解して、ライゲーションした溶液を加え穏やかに混ぜ (ライゲーション溶液は、コンピテントセル溶液の1/10量より少なくする)、氷上で30分放置した。42℃のヒートショックを30秒間行い、氷上で2分間冷却した。SOC培地を加えて、37℃で1時間振とう培養した後、LBプレート上に適量播いた。
d. コロニーPCR (96穴プレート使用)
鋳型となるDNAを大腸菌のコロニーのまま爪楊枝を用いて、PCR反応液に入れ、94℃で10分間の熱処理により大腸菌を破壊し、鋳型DNAを溶出させ、ExTaq DNA Polymerase (TaKaRa) を用い増幅させた。反応液の組成は、10 X ExTaq Buffer 250μL、2.5mM dNTP mixture 180μL、プライマー(各5 pmol)100μL、Milli−Q水1,440μLを調製し、21μLずつ分注した。そこに鋳型DNAを加え、ExTaq DNA Polymeraseを4μL(0.125 U)づつ分注し、穏やかにピペッティングした。PCR反応条件は、通常のものと同様に行った。
e. DNA塩基配列決定
BigDye Terminator v3.1 Cycle sequencing Kit(Applied Biosystems)を用いた。反応液の組成は、鋳型DNA 200−1,000ng、5 X Sequence Buffer 1μL、プライマー (3.2 pmol) 0.5μLを滅菌Milli−Q水で8μLにメスアップした。最後に2 μLのSequence Taqを加え全体で10μLとした。反応条件を96℃ 1分間→ (96℃ 10秒→50℃ 5秒→60℃ 4分間 X 25 サイクル→4℃) とし、T gradient(Biometra)を用いて反応を行った。反応の終わったサンプルをエタノール沈殿により精製し、PRISM3100/3100−Avant Genetic Analyzer(Applied Biosystems)によりDNA塩基配列を決定した。
結果と考察
1.各種波長光照射によるpsaAおよびpsbA発現量の変化
PSIとPSIIの吸収スペクトルの差が大きく見られる波長は450nmと700nm付近である(文献12)。したがって、これら波長のうちpsaAとpsbAの発現量の差が最も大きく見られる、つまりpsaAの発現が最も抑制される波長とその照射時間の特定を目的とした。各種波長の光を照射し、psaAおよびpsbAの発現量をリアルタイムRT−PCRにて測定した。RT−PCRにおいては転写産物量が測定されるが、内在性のpsaAおよびpsbA転写産物量が高いと各種波長照射による増大が評価しにくいことが想定される。したがって、3週間育成させたシロイヌナズナを3日間暗処理することにより、psaAおよびpsbAの転写産物量を一旦減少させた。その後、白昼光、450nm、690nm、700nm、705nm、710nm、730nmの各波長光を一定期間照射し、シロイヌナズナからRNA抽出を行った。また、3日間暗処理直後のものをコントロールとして使用した。転写産物量は、DNaseI処理、cDNA合成を経て、リアルタイムRT−PCRにて測定した(図4)。
近赤外光を照射した時、どの照射期間でも、psbAおよびpsaAの発現量がともにコントロール(3日間暗処理直後のもの)よりも低下している結果となった。690nmの光を1日、3日、2週間に分けて照射した際には、長期間光を照射するにつれpsbAの発現量は低下し、psaAの発現量は増加傾向にあった。つまりpsbA/psaA値をみると、短期間照射の方がその値が大きいことから、psaAの発現は短期間の690nm光の照射で最も抑制されることが明らかになった。700〜710nmの近赤外光を2日間照射した際には、長波長になるにつれpsbAの発現量は徐々に増大し、psaAの発現量にはあまり変化が見られなかった。psbA/psaAの値をみると、長波長になるにつれ、その値は増大し、710nmにて今回照射した全波長の中で最大の値を示した。730nm照射の際は、どちらの照射期間でもpsbAの発現はあまり差が見られないが、psaAの発現量は日数を経るにつれ増大していった。これらの結果から、710nm、2日間の近赤外光照射でpsaAとpsbAの発現の差が最も大きくなり、これが、本光制御に最適な波長および照射時間であることが判明した。
2.葉緑体における遺伝子発現を評価するコンストラクトの作製
遺伝子発現をモニターするには、レポーター遺伝子が有効である。本実験においては、葉緑体形質転換(葉緑体ゲノムへの遺伝子導入)に先立ち、一過性遺伝子発現(パーティクルガンにより葉緑体に打ち込まれたDNAが葉緑体内で分解されるまでの間の遺伝子発現)により評価する。一過性遺伝子発現は感度が要求され、また目的の遺伝子発現の評価には打ち込み効率の補正が必要となる。したがって、同時に測定可能な複数の高感度レポーター遺伝子が不可欠となる。Chroma−GloLuciferase Assey System(Promega)が本目的を満たすと考えた。Chroma−GloLuciferaseのうち、赤に発光するCBRlucと緑に発光するCBG68lucを実験供した。これらのコドン使用(codonusage)は、葉緑体のそれから大きく外れていなかったため、利用可能と判断した。しかしながら、CBRlucおよびCBG68lucの葉緑体での発現について報告がないため、まずは、これらをpsbAプロモーターの制御下で発現させることとした。
ベクターとして、葉緑体形質転換に用いられるpLD6(文献13)の改良版であるpLD26を用いた(図5)。SphIで切断し、電気泳動で確認後、アガロースゲルから目的のバンドのみを切り出して精製、平滑化した。また、同様にインサートであるpCBRlucあるいはpCBG68lucをNcoI/XbaIで切断し、目的のDNA断片のみを切り出し精製、平滑化した。これらを連結し、大腸菌JM10に形質転換した。スクリーニングは、ベクターとインサートを挟むように設計したプライマー(pLD6fd、CBRlucrvとpLD6fd、CBG68lucrv)を用い、コロニーPCRを行い、約1,100bpの目的産物を確認した(図6)。また、コロニーPCRにてスクリーニングされた大腸菌から少量調製法にてプラスミドを回収し、pLD26−PpsbA−CBRlucはKpnI/NspVで切断し4.2kbp/2.1kbp付近の、pLD26−PpsbA−CBG68lucはNspVで切断し6.0kbp/300bp付近の目的DNA断片を確認した。その後、制限酵素処理で確認されたものにプライマー(pLD6fd、pLD6rv)によってDNA塩基配列決定を行った。
今回用いたCBRlucあるいはCBG68lucを発現させるpsbAプロモーターは、大腸菌内でも発現することが知られており、大腸菌でよく用いられているT7プロモーターに対して18倍発現が高いと報告されている(文献14)。さらにこのコンストラクトにはSD配列 (文献15)が組み込まれており、タンパク質の発現効率が高いことが想定される。したがって、組み込んだCBRlucあるいはCBG68lucがpsbAプロモーターによって強力に発現され、それが大腸菌の生育に何らかの悪影響を及ぼし、形質転換体の取得を難しくしていた。一方、葉緑体の一過性発現は線状DNA (linear DNA)でも可能なことが知られている。
CBRlucおよびCBG68lucからの発光は、IVIS Lumina (Caliper LifeSciences) あるいはルミノメーターARVOsx (パーキンエルマー社) を使用した。この際、赤色検出レインジにCBG68lucの発光の一部が入る。これは別途実施した実測値に基づいて補正した。
これらの発光が葉緑体における遺伝子発現に起因することを葉緑体遺伝子転写阻害剤rifampicin、葉緑体転写阻害剤翻訳阻害剤lincomycin、核遺伝子転写阻害剤α-amanitin、細胞質基質の翻訳阻害剤cycloheximideを用いた実験系で確認することが出来る。
本発明によれば、植物体の生育後に、所定の波長の光を照射するだけで外来遺伝子の発現を開始させることができるので、植物体の枯死を回避し、多量の外来タンパク質を植物体内(例えば、葉緑体内)に蓄積させることができる。本発明を利用すれば、植物を用いて目的タンパク質を生産できるので、製造コストの大幅な削減が可能となる。
配列番号1 : PsaA Promter
配列番号2 : Rubisco L Subunit Promoter
配列番号3 : PsbA Promoter
配列番号4 : CBG68luc antisense
配列番号5 : lac operator sequence

Claims (5)

  1. 近赤外光照射により、目的遺伝子の発現量を変化させる方法であって、
    光化学系スイッチ用コンストラクトを導入した形質転換植物細胞を提供すること、および
    前記形質転換植物細胞白色光の照射による生育の後690nm〜710nmの波長領域内の波長成分を含む光を1〜2日間照射して前記目的遺伝子を発現させること
    を含み、
    前記光化学系スイッチ用コンストラクトが、以下:
    (a)光化学系I反応中心タンパク質遺伝子のプロモーターであって、配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列を有するプロモーター、または配列番号1で示されるポリヌクレオチド配列と90%以上の同一性を有し、前記形質転換植物細胞において近赤外光(690〜710nm)によりプロモーター活性が低下するプロモーター
    (b)前記プロモーター(a)の制御下に作動可能に連結されたポリヌクレオチドであって、前記目的遺伝子の発現を阻害する転写産物をコードするポリヌクレオチド、
    (c)光化学系II反応中心タンパク質遺伝子のプロモーターであって、配列番号3で示されるポリヌクレオチド配列を有するプロモーター、または配列番号3で示されるポリヌクレオチド配列と90%以上の同一性を有し、前記形質転換植物細胞において光波長非依存的なプロモーター活性を有するプロモーター、および
    (d)前記プロモーター(c)の制御下に作動可能に連結された前記目的遺伝子のポリヌクレオチド
    を含む、方法。
  2. 前記コンストラクトが一過性遺伝子発現用コンストラクトである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリヌクレオチド(b)が、
    RNAiによって目的遺伝子のポリヌクレオチド配列(d)の発現を抑制するためのポリヌクレオチド、あるいは
    前記プロモーター(c)と作用するように連結されたlacオペレーターに対する、lacリプレッサータンパク質をコードするポリヌクレオチド
    によって、前記目的遺伝子のポリヌクレオチド(d)の発現を阻害する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記目的遺伝子のポリヌクレオチド(d)が、植物由来の変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記波長領域内の波長成分の光量子束密度が、70μmol m−2−1〜300μmol m−2−1の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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