JP6375385B2 - 溶解と非溶解両方のビスマスを含む導電性基材のための水性ディップコーティング組成物 - Google Patents

溶解と非溶解両方のビスマスを含む導電性基材のための水性ディップコーティング組成物 Download PDF

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Description

本発明は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするために、pHが4.0〜6.5の範囲であり、少なくとも1つのカソード析出性の結合剤(A1)と、(A)中の溶液の形態での少なくとも30ppmのBi(A3)および(A)中の非溶液の形態での少なくとも100ppmのBiを含む、(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのBiと、Biを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤(A5)とを含み、(A5)が(A)中に存在するBiの全量に対して少なくとも5モル%の割合で(A)中に存在する水性コーティング組成物(A)に、(A)を生成するための方法に、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするために(A)を使用する方法に、対応するコーティング方法に、本方法によって取得可能な少なくとも部分的にコートされた基材に、およびコーティング方法中にコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)の濃度を設定および/または維持するための方法に関する。
自動車部門内の通常の要件は、製造に使用される金属部品の腐蝕を防止しなければならないということである。腐蝕の防止に関して実現すべき要件は、非常に厳しい。その理由は、特に、製造会社が、錆による孔あきに対して長年にわたる保証を与える場合が多いからである。かかる腐蝕の防止は、通常、その製造で用いられる部品または基材を目的に適した少なくとも1つのコーティングでコートすることによって実現される。
自動車業界内で用いられる公知の方法に特に影響を与える公知のコーティング法の欠点は、こうした方法が通常リン酸塩前処理工程を前提とすることである。この工程では、コーティング用の基材は、任意の清浄化工程後で析出コーティング工程の前に、適切な腐食防止を保証するために、リン酸塩処理工程でリン酸亜鉛などの金属リン酸塩で処理される。この前処理は、通常、多様に加熱された複数の多様なディッピングタンクにおける複数の方法内工程の実行を伴う。さらに、かかる前処理の実行中に廃棄物のスラッジが生成するので、これが環境に重荷を負わせ、これを廃棄しなければならない。したがって、環境および経済の立場から、かかる前処理工程を省略しても、公知の方法を使用して実現されるのと少なくとも同程度の腐食防止を実現することを可能にすることが特に望ましい。
それぞれ欧州特許出願公開第2405035A1号および特開第2011−057944A号には、それぞれ100〜1000ppmおよび100〜5000ppmの3価ビスマスイオン、それぞれの場合の3価ビスマスイオンのモル濃度に対してそれぞれ0.5〜10倍および0.1〜5倍のモル濃度のアミノポリカルボン酸を含む電気泳動析出性コーティング組成物が開示されている。そこに開示されたコーティング組成物内では、3価ビスマスイオンは溶解形態である。しかし、欧州特許出願公開第2405035A1号および特開第2011−057944A号から知見されるコーティング組成物の欠点は、ビスマス酸化物などの水不溶性ビスマス前駆体化合物および錯化剤としての適切なアミノポリカルボン酸から出発して、3価ビスマスイオンの放出が可能な対応する水溶性ビスマス含有化合物を製造するための独立した上流の方法内工程が最初に必要になることである。こうして製造されたこの水溶性ビスマス含有化合物が、次いで、コーティング組成物に添加されるだけである。さらに、水溶液中のこの種のビスマス塩も欧州特許出願公開第1000985A1号で公知であり、このビスマス塩はその製造後に100〜400Vの範囲の電圧の印加によって電気泳動で析出可能であるコーティング組成物に添加される。
一段階のコーティング工程で適切な基材上に析出できるカソード析出性のビスマス含有コーティング組成物は、例えば、国際公開第2009/021719A2号、国際公開第WO2004/018580A1号、国際公開第2004/018570A2号、欧州特許第0642558B2号、および国際公開第95/07319A1号で公知である:電気泳動析出性コーティング組成物への水不溶性次硝酸ビスマスの添加は、国際公開第2009/021719A2号で公知である。使用される次硝酸ビスマスは、この場合、架橋触媒として働く。国際公開第2004/018580A1号では、コーティング組成物中での水不溶性次サリチル酸ビスマスの使用が開示されている。コーティング組成物における次サリチル酸ビスマスまたはエチルヘキサン酸ビスマスの殺菌剤としての使用は、国際公開第2004/018570A2号に記載されている。さらに、水溶性ビスマス化合物は、欧州特許第0642558B2号および国際公開第95/07319A1号で公知である。
特に通常実行されるリン酸塩前処理工程を省略するという見地から、使用されている従来のコーティング組成物よりも経済的および環境にやさしいコーティング法を可能にし、なおかつ少なくとも同程度にかかる組成物に必要な腐食防止効果を実現するのに適した、電着材料を用いて導電性基材を少なくとも部分的にコートするための電気泳動析出性コーティング組成物に対する必要性が存在する。
欧州特許出願公開第2405035A1号 特開第2011−057944A号 欧州特許出願公開第1000985A1号 国際公開第2009/021719A2号 国際公開第2004/018580A1号 国際公開第2004/018570A2号 欧州特許第0642558B2号 国際公開第95/07319A1号
したがって、本発明の目的は、従来技術で公知のコーティング組成物を超える利点を有する、導電性基材を少なくとも部分的にコートするためのコーティング組成物を提供することである。詳細には、本発明の目的は、使用されている従来のコーティング組成物よりも経済的なおよび/または環境にやさしいコーティング法を可能にするコーティング組成物を提供することである。さらに、詳細には、本発明の目的は、従来のコーティング方法よりも経済的なおよび/または環境にやさしいコーティングを可能にする、換言すれば、例えば、析出コーティングの前にも金属リン酸塩によって通常実施しなければならないリン酸塩処理を省略することが可能になるが、それでも、通常の方法と少なくとも同じであり、より具体的には、通常の方法より強化された腐食防止効果を実現できる方法を提供することである。
本目的は、特許請求の範囲記載の主題によって、およびまた以下の詳細な説明に記載の主題の好ましい実施形態によって実現される。
したがって、本発明の第1の主題は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするために、
(A1)少なくとも1つのカソード析出性の結合剤、および
(A2)任意に少なくとも1つの架橋剤
を含み、pHが4.0〜6.5の範囲である水性コーティング組成物(A)であって、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含み、
(A5)ビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤をさらに含み、
少なくとも1つの錯化剤(A5)が、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して少なくとも5モル%の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する水性コーティング組成物(A)である。
したがって、本発明の水性コーティング組成物(A)は、導電性基材の基材面上に電着を生成するために役立つ。
驚くべきことに、特に、電着材料を導電性基材に少なくとも部分的にコートするための方法で使用される場合に、本発明の水性コーティング組成物(A)によって、析出コーティング、より具体的には電着の前に通常実施が必要な工程、すなわち、基材上に金属リン酸塩層を形成するためにリン酸亜鉛などの金属リン酸塩を少なくとも部分的にコートするために導電性基材を前処理する工程を省略することが可能になり、それによって、問題のコーティング法が従来の方法より全体として経済的になる、より具体的には短時間になるおよび低コストになるのみならず、環境にやさしくなることが可能になることが判明した。
詳細には、驚くべきことに、本発明のコーティング組成物(A)によって、従来法にしたがってコートされた基材に比較して、腐食防止効果の点で少なくとも決して不利でない、詳細には、有利である電着材料で少なくとも部分的にコートされた導電性基材を提供することが可能になることが判明した。
さらに驚くべきことに、本発明のコーティング組成物を使用する導電性基材を少なくとも部分的にコートするための方法によって、より具体的には、2段階工程(1)を介して、本工程(1)内では段階(1a)を介して基材の優れたBiコーティング、詳細には、10mg/mBi以上のコーティングを取得することが可能になることが判明した。
さらに驚くべきことに、本発明のコーティング組成物(A)によって、コーティング組成物の製造、すなわちコーティング組成物に単に通常添加されるべきである水溶性ビスマス含有化合物の製造のために通常必要である独立の方法内工程を省略することが可能になることが判明した。
さらに驚くべきことに、本発明のコーティング組成物(A)によって、コーティング組成物(A)中での錯化剤(A5)の蓄積を防止することが可能になることが判明した。コーティング組成物中への錯化剤(A5)のかかる蓄積の生成によって、通常、ディッピング浴の安定性に関する課題がもたらされる場合がある。驚くべきことに、これは、詳細には、コーティング組成物(A)中の成分(A4)の割合を増加することによって対抗することができる。これは、詳細には、本発明のコーティング法の実行中に本発明のコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)の濃度を設定および/または維持するための方法によって可能にすることができる。
一つの好ましい実施形態では、例えば本発明の水性コーティング組成物(A)に関連する場合のような本発明の意味での「含む」という用語は、「からなる」という意味を有する。この好ましい実施形態での本発明のコーティング組成物(A)に関しては、(A1)、(A3)、(A4)、(A5)、および水、ならびにまた任意により(A2)の他に、例えば、任意の成分(A6)および/または(A7)および/または(A8)、ならびにまた任意により存在する有機溶媒などの、以下で識別され、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)中に任意に存在する1つまたは複数のさらなる成分もコーティング組成物(A)中に存在することができる。本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)中の上記および以下で識別されるこうした成分すべては、それぞれその好ましい実施形態で存在することができる。
基材
本発明にしたがって使用される適切な導電性基材は、日常的に用いられる当業者に公知の導電性基材のすべてである。本発明にしたがって使用される導電性基材は、好ましくは、鋼、好ましくは、冷延鋼板、ディップ亜鉛メッキ鋼、合金メッキ鋼(例えば、Galvalume、Galvannealed、またはGalfanなど)およびアルミナイズド鋼などのメッキ鋼からなる群から選択される鋼、アルミニウム、およびマグネシウムからなる群から選択される;メッキ鋼およびアルミニウムが、特に適している。さらに、熱間圧延鋼、高強度鋼、Zn/Mg合金、およびZn/Ni合金が基材として適している。特に適した基材は、自動車生産用のボディーまたは完全ボディーの部材である。本発明の方法はまた、コイルコーティング用に使用することができる。当該の導電性基材が使用される前に、基材は、好ましくは、清浄化および/または脱グリースされる。
本発明にしたがって使用される導電性基材は、少なくとも1つの金属リン酸塩で前処理された基材であってよい。さらに、本発明にしたがって使用される導電性基材は、クロメート基材であってよい。基材が清浄化された後、およびディップコートされる前に通常実施されるリン酸塩処理またはクロメート処理によるかかる前処理は、詳細には、自動車業界内で日常的な前処理工程である。本文脈では、任意に実施される前処理が環境および/または経済面から見て有利であるように設計されることが特に望ましい。したがって、例えば、通常のトリカチオンリン酸塩処理の代わりにニッケル成分が除外され、代わりにジカチオンリン酸塩処理(亜鉛およびマンガンカチオンを含み、ニッケルカチオンを含まない)が、水性コーティング組成物(A)によるコーティングの前に本発明にしたがって使用される導電性基材上に実施される任意の前処理工程が可能である。
しかし、本発明の具体的な目的は、例えばリン酸亜鉛などの金属リン酸塩によるリン酸塩処理によるか、またはクロメート処理による少なくとも部分的なコーティングのための導電性基材のかかる前処理を省略することが可能になることである。したがって、一つの好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用される導電性基材は、かかるリン酸塩またはクロメート基材ではない。
本発明の水性コーティング組成物(A)でコートされる前に、本発明にしたがって使用される導電性基材は、少なくとも1つのTi原子および/または少なくとも1つのZr原子を含む少なくとも1つの水溶性化合物を含み、少なくとも1つのフッ素イオンを含むフッ化物イオン源としての少なくとも1つの水溶性化合物を含む水性前処理組成物、あるいは少なくとも1つのTi原子および/または少なくとも1つのZr原子を含む少なくとも1つの水溶性化合物と、少なくとも1つのフッ素イオンを含むフッ化物イオン源としての少なくとも1つの水溶性化合物との反応によって取得可能な水溶性化合物を含む水性前処理組成物を用いて前処理することができる。
この場合の少なくとも1つのTi原子および/または少なくとも1つのZr原子は、好ましくは、酸化状態+4を有する。水性前処理組成物が含む成分のために、およびさらに、好ましくは、こうした成分の適切に選択された割合のために、水性前処理組成物は、好ましくは、ヘキサフルオロ金属塩などのフッ素錯体、すなわち、詳細には、ヘキサフルオロチタン酸塩および/または少なくとも1つのヘキサフルオロジルコン酸塩を含む。前処理組成物は、好ましくは、2.5・10−4モル/L以上であるが2.0・10−2モル/Lを超えない元素Tiおよび/またはZrの全濃度を有する。かかる前処理組成物の製造および導電性基材の前処理におけるその使用は、例えば、WO2009/115504A1で公知である。
前処理組成物は、好ましくは、銅イオン、好ましくは、銅(II)イオン、また任意にCa、Mg、Al、B、Zn、MnおよびWならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属イオンを含む、1つまたは複数の水溶性および/または水分散性化合物、好ましくは、少なくとも1つのアルミノシリケート、より具体的には、少なくとも1:3のAlとSiの原子比を有するものとをさらに含む。かかる前処理組成物の製造および導電性基材の前処理におけるその使用は、例えば、WO2009/115504A1で公知である。アルミノシリケートは、好ましくは、動的光散乱によって決定可能な1〜100nmの範囲の粒径を有するナノ粒子の形態で存在する。動的光散乱によって決定可能な1〜100nmの範囲の、かかるナノ粒子の平均粒径は、DIN ISO 13321(日付:2004年10月1日)にしたがって決定される。
しかし、一つの好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用される導電性基材は、かかる前処理組成物のいかなるものによっても前処理されていない基材である。
成分(A1)および任意の成分(A2)
本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、成分(A1)としての少なくとも1つのカソード析出性の結合剤および任意に成分(A2)としての少なくとも1つの架橋剤とを含む。
コーティング組成物(A)の一部としての「結合剤」という用語は、本発明では、好ましくは、本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)のうちのカソード析出性のポリマー性樹脂、すなわち、膜形成の役割をする樹脂を包含するが、存在する架橋剤のいずれもが結合剤の概念中には含まれない。したがって、本発明の意味での「結合剤」は、ポリマー性樹脂であるが、存在する架橋剤のいずれもが結合剤の概念中には含まれない。さらに、詳細には、存在するいずれの顔料およびフィラーが、結合剤の概念中には含まれない。好ましくは、さらに、成分(A5)がポリマー性錯化剤を含んでいても、その成分は、結合剤の概念中には含まれない。
本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)は、好ましくは、少なくとも1つのカソード析出性の結合剤(A1)および任意に存在する少なくとも1つの架橋剤(A2)を含む水性分散液または水溶液、より好ましくは、少なくとも1つの水性分散液を使用して製造される。(A1)および任意に(A2)を含むこの水性分散液または水溶液は、好ましくは、この水性分散液または水溶液のそれぞれの場合の全質量に対して25〜60質量%の範囲、より好ましくは、27.5〜55質量%の範囲、非常に好ましくは、30〜50質量%の範囲、さらにより好ましくは、32.5〜45質量%の範囲、具体的には、35〜42.5質量%の範囲の非揮発性画分、すなわち、固体含量を有する。
固体含量を決定するための方法は、当業者に公知である。固体含量は、好ましくは、DIN EN ISO 3251(日付:2008年6月1日)によって、詳細には、この標準によって180°C30分間にわたって決定される。
当業者は、カソード析出性の結合剤(A1)について公知である。非常に好ましくは、結合剤は、カソード析出性の結合剤である。本発明で用いられる結合剤は、好ましくは、水中に分散性または溶解性の結合剤である。
当業者に公知の通常のカソード析出性の結合剤はすべて、本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の結合剤成分(A1)として本明細書において適している。
結合剤(A1)は、好ましくは、架橋反応を可能にする反応性官能基を有する。本明細書における結合剤(A1)は、自己架橋結合剤または外部架橋結合剤、好ましくは、外部架橋結合剤である。したがって、架橋反応を可能にするために、コーティング組成物(A)は、好ましくは、少なくとも1つの結合剤(A1)に加えて少なくとも1つの架橋剤(A2)をさらに含む。
コーティング組成物(A)中に存在する結合剤(A1)または任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、熱架橋性である。結合剤(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、室温超、すなわち18〜23℃超の温度までの加熱で架橋性である。結合剤(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、好ましくは、≧80°C、より好ましくは、≧110°C、非常に好ましくは、≧130°C、特に好ましくは、≧140°Cのオーブン温度でのみ架橋性である。特に有利には、結合剤(A1)および任意に存在する架橋剤(A2)は、100〜250°C、より好ましくは、125〜250°C、非常に好ましくは、150〜250°Cにおいて架橋性である。
コーティング組成物(A)は、好ましくは、架橋反応を好ましくは少なくとも1つの架橋剤(A2)と組み合わせて可能にする反応性官能基を有する少なくとも1つの架橋剤(A1)を含む。
当業者に公知である通常の架橋性で反応性の官能基のいずれもが本明細書で企図されている。結合剤(A1)は、好ましくは、任意に置換される第1級アミノ基、任意に置換される第2級アミノ基、置換される第3級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、例えば、ビニル基や(メタ)アクリラート基などの少なくとも1つのC=C二重結合を有する基、およびエポキシド基からなる群から選択される反応性官能基を有し、第1級および第2級アミノ基が、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルなどのC1〜6脂肪族基からなる群から選択される1個または2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に置換されることが可能であり、こうしたC1〜6脂肪族基が、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、およびN(C1〜6アルキル)からなる群から選択される1個、2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に任意に置換されることが可能である。任意に置換される第1級アミノ基、任意に置換される第2級アミノ基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される反応性官能基を有する少なくとも1つの結合剤(A1)が特に好ましく、第1級および第2級アミノ基が、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルなどのC1〜6脂肪族基からなる群から選択される1個または2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に任意に置換されることが可能であり、こうしたC1〜6脂肪族基が、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、およびN(C1〜6アルキル)からなる群から選択される1個、2個または3個の置換基によってそれぞれの場合、互いに独立に任意に置換されることが可能である。本明細書の反応性官能基、特に、任意に置換される第1級および第2級アミノ基は、少なくとも部分的にプロトン化形態で任意に存在することができる。
特に好ましくは、結合剤(A1)は、少なくとも部分的にプロトン化形態で任意に存在する第3級アミノ基、非常に好ましくは、少なくとも1個のみヒドロキシル基によってそれぞれ置換される少なくとも2つのC1〜3アルキル基をそれぞれの場合、互いに独立に有する、より具体的には、2つのヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、または1つのヒドロキシプロピル基と1つのヒドロキシエチル基をそれぞれの場合、互いに独立に有する第3級アミノ基を有し、結合剤(A1)が、好ましくは、少なくとも1つのポリマー性樹脂である。かかる結合剤は、例えば、JP2011−057944Aに記載されている方法によって取得できる。
コーティング組成物(A1)中に存在する結合剤(A1)は、好ましくは、少なくとも1つのアクリラート系ポリマー性樹脂および/または少なくとも1つのエポキシド系ポリマー性樹脂、より具体的には、少なくとも1つのカチオン性エポキシド系およびアミン修飾樹脂である。この種のカチオン性アミン修飾エポキシド系樹脂の製造は、公知であり、例えば、DE3518732、DE3518770、EP0004090、EP0012463、EP0961797B1、およびEP0505445B1に記載されている。カチオン性エポキシド系アミン修飾樹脂とは、好ましくは、少なくとも1つの任意に修飾されたポリエポキシド、すなわち、2つ以上のエポキシド基を有する少なくとも1つの任意に修飾されたポリエポキシドと少なくとも1つの好ましくは水溶性アミン、好ましくは、少なくとも1つのかかる第1級および/または第2級アミンとの反応生成物であると理解されよう。特に好ましくは、ポリエポキシドは、ポリフェノールのポリグリシジルエーテルであり、ポリフェノールおよびエピハロヒドリンから製造される。使用できるポリフェノールとして、詳細には、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールFが挙げられる。他の適切なポリエポキシドは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、および2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテルである。修飾ポリエポキシドは、いくつかの反応性官能基が少なくとも1つの修飾化合物と反応したようなポリエポキシドである。かかる修飾化合物の例は、以下の通りである:
a)飽和もしくは不飽和モノカルボン酸(例えば、安息香酸、アマニ油脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸)、多様な鎖長を有する脂肪族、脂環式および/または芳香族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、または二量体脂肪酸)、ヒドロキシアルキルカルボン酸(例えば、乳酸、ジメチロールプロピオン酸)、およびカルボキシル含有ポリエステルスなどのカルボキシル基を含む化合物、あるいは
b)ジエチルアミンまたはエチルヘキシルアミンまたは第2級アミノ基を有するジアミン、例えば、ジメチルエチレンジアミンなどのN,N’−ジアルキルアルキレンジアミン、N,N’−ジメチルポリオキシプロピレンジアミンなどのN,N’−ジアルキルポリオキシアルキレンアミン、ビス−N,N’−シアンエチル−エチレンジアミンなどのシアンアルキル化アルキレンジアミン、ビス−N,N’−シアンエチルポリオキシプロピレンジアミンなどのシアンアルキル化ポリオキシアルキレンアミン、バーサミドなどのポリアミノアミド、例えば、特にジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)、ポリカルボン酸、特に二量体脂肪酸、およびモノカルボン酸、特に脂肪酸のアミノ末端反応生成物、または1モルのジアミノヘキサンと2モルのモノグリシジルエーテル、またはモノグリシジルエステル、特にバーサチック酸などのα−分枝脂肪酸のグリシジルエステルとの反応生成物などのアミノ基を含む化合物、あるいは
c)ネオペンチルグリコール、ビスエトキシル化ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバラート、ジメチルヒダントイン−N−N’−ジエタノール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,1−イソプロピリデンビス(p−フェノキシ)−2−プロパノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、またはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどのアミノアルコール、またはアミノメチルプロパン−1,3−ジオールメチルイソブチルケチミンもしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンシクロヘキサノンケチミンなどのヒドロキシル含有アルキルケチミン、およびまた多様な官能基および分子量を有するポリグリコールエーテル、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクタムポリオールなどのヒドロキシル基を含む化合物、あるいは
d)ナトリウムメトキシドの存在下でエポキシ樹脂のヒドロキシル基によってエステル交換される飽和もしくは不飽和脂肪酸メチルエステル。
使用できるアミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミンなどのモノーおよびジアルキルアミン、例えば、メチルエタノールアミンもしくはジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、および例えばジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、もしくはジメチルアミノプロピルアミンなどのジアルキルアミノアルキルアミンである。使用できるアミンはまた、他の官能基も含むことができるが、ただしこうした基がアミンと任意に修飾されたポリエポキシドのエポキシド基との反応を妨害せず、また反応混合物のゲル化をもたらさないという条件下においてである。第2級アミンが、好ましくは、使用される。水との稀釈性および電気的析出のために必要である電荷は、水溶性酸(例えば、ホウ酸、ギ酸、酢酸、乳酸、好ましくは酢酸)によるプロトン化によって生成することができる。カチオン基を任意に修飾されるポリエポキシド内に導入するためのさらなる可能性は、ポリエポキシド中のエポキシド基とアミン塩との反応に存在する。
少なくとも1つのカソード析出性の結合剤(A1)の他に、コーティング組成物(A)は、好ましくは、結合剤(A1)の反応性官能基との架橋反応を可能にする少なくとも1つの架橋剤(A2)を含む。
フェノール性樹脂、多官能性マンニッヒ塩基、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシド、遊離ポリイソシアナートおよび/またはブロック化ポリイソシアナート、特にブロック化ポリイソシアナートなどの当業者に公知の通常の架橋剤(A2)はすべて使用することができる。
特に好ましい架橋剤(A2)は、ブロック化ポリイソシアナートである。利用できるブロック化ポリイソシアナートは、例えば、ジイソシアナートなど任意のポリイソシアナートであり、その場合、イソシアナート基は、化合物と反応しており、そのために、形成されたブロック化ポリイソシアナートは、室温、すなわち、18〜23°Cの温度で詳細には、第1級および/または第2級アミノ基などのヒドロキシルおよびアミノ基に関して安定であるが、例えば、≧80°C、より好ましくは、≧110°C、非常に好ましくは、≧130°C、特に好ましくは、≧140°Cで、または90°C〜300°Cで、または100〜250°Cで、より好ましくは、125〜250°Cで、非常に好ましくは、150〜250°Cのような高目の温度で反応する。
ブロック化ポリイソシアナートの製造では、架橋に適している任意の所望の有機ポリイソシアナートを使用することが可能である。使用されるイソシアナートは、好ましくは、(ヘテロ)脂肪族、(ヘテロ)脂環式、(ヘテロ)芳香族、または(ヘテロ)脂肪族−(ヘテロ)芳香族イソシアナートである。2〜36個、より具体的には、6〜15個の炭素原子を含むジイソシアナートが好ましい。好ましい例は、1,2−エチレンジイソシアナート、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、2,2,4(2,4,4)−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、1,9−ジイソシアナト−5−メチルノナン、1,8−ジイソシアナト−2,4−ジメチルオクタン、1,12−ドデカンジイソシアナート、ω,ω’−ジイソシアナトジプロピルエーテル、シクロブテン1,3−ジイソシアナート、シクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアナート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアナート(イソホロンジイソシアナート、IPDI)、1,4−ジイソシアナトメチル−2,3,5,6−テトラメチルシクロヘキサン、デカヒドロ−8−メチル−1,4−メタノナフタレン−2(または3),5−イレンジメチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−インダン−1(または2),5(または6)−イレンジメチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1(または2),5(または6)−イレンジイソシアナート、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアナート(H6−TDI)、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアナート(TDI)、ペルヒドロ−2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(H12MDI)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルジシクロヘキシルメタン、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジイソシアナトメチル−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン(MPDI)、2−エチル−1,4−ジイソシアナトブタン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,5−ジイソシアナトヘキサン、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、およびまたこうした化合物の任意の混合物である。高級イソシアナート官能性を有するポリイソシアナートもまた使用することができる。その例は、三量体化ヘキサメチレンジイソシアナートおよび三量体化イソホロンジイソシアナートである。さらに、ポリイソシアナートの混合物もまた、利用することができる。本発明のために架橋剤(A2)として企図された有機ポリイソシアナートはまた、例えば、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを含めたポリオールから誘導されるプレポリマーであってよい。2,4−トルエンジイソシアナートおよび/または2,6−トルエンジイソシアナート(TDI)、および/または2,4−トルエンジイソシアナートおよび2,6−トルエンジイソシアナート、および/またはジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の異性体混合物が特に好ましい。
好ましくは、ポリイソシアナートのブロック化のために、任意の所望の適切な脂肪族、脂環式または芳香族アルキルモノアルコールを使用することができる。その例は、メチル、エチル、クロロエチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、3,3,5−トリメチルヘキシル、デシル、およびラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール;シクロペンタノールおよびシクロヘキサノールなどの脂環式アルコール;フェニルカルビノールおよびメチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルコールである。他の適切なブロック化剤は、エタノールアミンなどのヒドロキシルアミン、メチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム、およびシクロヘキサノンオキシムなどのオキシム、ならびにジブチルアミンおよびジイソプロピルアミンなどのアミンである。
本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)における少なくとも1つの結合剤(A1)と任意に存在する少なくとも1つの架橋剤(A2)の相対的な質量比は、それぞれの場合においてコーティング組成物(A)中の少なくとも1つの結合剤(A1)および少なくとも1つの架橋剤(A2)の固体含量に対して、好ましくは、4:1〜1.1:1の範囲、より好ましくは、3:1〜1.1:1の範囲、非常に好ましくは、2.5:1〜1.1:1の範囲、より具体的には、2.1:1〜1.1:1の範囲である。
別の好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)における少なくとも1つの結合剤(A1)と任意に存在する少なくとも1つの架橋剤(A2)の相対的な質量比は、それぞれの場合においてコーティング組成物(A)中の少なくとも1つの結合剤(A1)および少なくとも1つの架橋剤(A2)の固体含量に対して、4:1〜1.5:1の範囲、より好ましくは、3:1〜1.5:1の範囲、非常に好ましくは、2.5:1〜1.5:1の範囲、より具体的には、2.1:1〜1.5:1の範囲である。
コーティング組成物(A)
本発明の水性コーティング組成物(A)は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするのに適しており、このことは、この組成物(A)が、導電性基材の基材面に電着の形態で少なくとも部分的に施用されるのに適していることを意味する。好ましくは、本発明の水性コーティング組成物(A)全体が、カソード析出性である。
本発明の水性コーティング組成物(A)は、液体稀釈剤として水を含む。
コーティング組成物(A)に関連して「水性」という用語は、好ましくは、液体稀釈剤の主成分として、すなわち、液体溶媒および/または分散媒体として水を含む液体コーティング組成物(A)を指す。しかし、任意に、コーティング組成物(A)は、少ない割合で少なくとも1つの有機溶媒を含むことができる。かかる有機溶媒の例として、ヘテロ環式、脂肪族または芳香族炭化水素、モノーもしくは多価アルコール、特にメタノールおよび/またはエタノール、エーテル、エステル、ケトン、および例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド、トルエン、キシレン、ブタノール、エチルグリコールおよびブチルグリコールならびにまたそのアセタート、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、イソホロン、またはその混合物が挙げられる。こうした有機溶媒の割合は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)中に存在する液体稀釈剤、すなわち、液体溶媒および/または分散媒体の全割合に対して20.0質量%以下、より好ましくは、15.0質量%以下、非常に好ましくは、10.0質量%以下、より具体的に、5.0質量%以下または4.0質量%以下または3.0質量%以下、さらにより好ましくは、2.5質量%以下または2.0質量%以下または1.5質量%以下、最も好ましくは、1.0質量%以下または0.5質量%以下である。
本発明のコーティング組成物(A)中に含まれる全成分の質量%割合、換言すれば、コーティング組成物(A)の全質量に対する(A1)、(A3)、(A4)、(A5)、および水、ならびにまた任意に(A2)および/または(A6)および/または(A7)および/または(A8)および/または有機溶媒の割合は、好ましくは、合計で100質量%になる。
水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、それぞれの場合水性コーティング組成物(A)の全質量に対して5〜45質量%の範囲、より好ましくは、7.5〜35質量%の範囲、非常に好ましくは、10〜30質量%の範囲、さらにより好ましくは、12.5〜25質量%の範囲または15〜30質量%の範囲または15〜25質量%の範囲、より具体的には、17〜22質量%の範囲の固体含量を有する。固体含量を決定するための方法は、当業者に公知である。固体含量は、好ましくは、DIN EN IS O3251(日付:2008年6月1日)にしたがって決定される。
本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、水性分散液または水溶液、好ましくは、水性分散液である。
本発明のコーティング組成物(A)は、4.0〜6.5の範囲のpHを有する。本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、4.2〜6.5の範囲、より具体的には、4.4〜6.5の範囲または4.6〜6.5の範囲、特に好ましくは、4.8〜6.4の範囲、最も好ましくは、5.0〜6.2または5.2〜6.0または5.5〜6.0の範囲のpHを有する。水性組成物中のpH水準を調整するための方法は、当業者に公知である。所望のpHは、好ましくは、少なくとも1つの酸、より好ましくは、少なくとも1つの無機および/または少なくとも1つの有機酸の添加によって設定される。適切な無機酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸および/または硝酸である。適切な有機酸の例は、プロピオン酸、乳酸、酢酸および/またはギ酸である。あるいはまたはさらにはおよびまた好ましくは、以下に述べる成分が目的のために適切である、すなわち、例えば、カルボキシル基および/またはフェノール性OH基などの少なくとも1つの脱プロトン性官能基を例えば有するのであれば、pH水準を調整するためにコーティング組成物(A)中の少なくとも1つの成分(A5)を使用することも可能である。
好ましくは、本発明のコーティング組成物(A)は、
任意に成分(A6)から(A8)および任意に(A1)および/または(A2)の少なくとも1つの存在下で、少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物を、この化合物とビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤(A5)との部分反応によって、水中で部分的に転換して少なくとも1つの水溶性ビスマス化合物(A3)にしてコーティング組成物(A)の少なくとも成分(A3)、(A4)、および(A5)ならびにまた任意に成分(A6)から(A8)および/または任意に(A1)および/または(A2)の少なくとも1つを含む混合物を得、および
任意に成分(A6)から(A8)の少なくとも1つの存在下で、任意に生成混合物を少なくとも成分(A1)および任意に成分(A2)と混合してコーティング組成物(A)を得ることによって取得可能である。
使用される水不溶性ビスマス化合物は、好ましくは、少なくとも1つの顔料(A6)を含む顔料ペーストの一部である。
本発明のコーティング組成物(A)は、好ましくは、成分(A3)の水溶液を別個に製造することを全く必要とせずに取得可能である。これは、時間およびコストを節減し、成分(A3)の任意のかかる水溶液を添加する場合、具体的にはコーティング組成物が導電性基材を少なくとも部分的にコートするためにディップコーティング浴で使用される場合に、コーティング組成物(A)の安定性に関して発生する恐れのある問題を未然に防ぐ。
コーティング組成物(A)は、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含む。
具体的に、コーティング組成物(A)中および成分(A3)およびまた任意に(A4)中のビスマス全量に関連しての「ビスマス」という用語は、本発明の意味において、多様な価数を有する例えば、正荷電カチオン性ビスマス原子などの任意に電荷を有するビスマスを好ましくは指すと理解されよう。この場合のビスマスは、3価の形態(Bi(III))であってよいが、あるいはまたはさらにはまた他の酸化状態で存在してもよい。ビスマス量は、それぞれの場合、ビスマス金属として計算される。
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して、少なくとも150ppmまたは少なくとも175ppmまたは少なくとも200ppm、より好ましくは、少なくとも300ppm、非常に好ましくは、少なくとも500または少なくとも750ppm、より具体的には、少なくとも1000ppmまたは少なくとも1500ppmまたは少なくとも2000ppmである。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して、それぞれの場合、20000ppm以下、より好ましくは、15000ppm以下、非常に好ましくは、10000ppm以下または7500ppm以下、より具体的には、5000ppm以下または4000ppm以下である。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、水性コーティング組成物(A)の全質量に対して、好ましくは、10ppm〜20000ppmの範囲、より好ましくは、50ppm〜15000ppmの範囲、非常に好ましくは、100ppm〜10000ppmの範囲、特に好ましくは、500ppm〜10000ppmの範囲または500ppm〜20000ppmの範囲または1000ppm〜10000ppmの範囲または1000ppm〜5000ppmの範囲または500ppm〜3000ppmの範囲である。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量は、好ましくは、それぞれの場合、(A3)と(A4)の総和である。金属として計算されるビスマス量は、以下の方法(ICP−OES)によって決定することができる。
成分(A3)
本発明のコーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含む。
成分(A3)および(A5)は、好ましくは、コーティング組成物(A)中で成分(A3)および(A5)の錯体および/または塩の形態である。したがって、コーティング組成物(A)中に成分(A3)として溶液形態で存在する少なくとも30ppmのビスマスは、好ましくは、コーティング組成物(A)中の溶液のビスマス化合物の形態、より具体的には、成分(A3)および(A5)の少なくとも1つの溶解塩および/または錯体の形態で成分(A5)と一緒に存在する。あるいはおよび/またはさらには、例えば、成分(A3)はまた、水和3価ビスマスの形態であってもよい。
成分(A3)として、好ましくは、少なくとも一部の3価ビスマスが存在する。それは、詳細には、(A5)と一緒に、水和形態および/または少なくとも1つの溶解塩および/もしくは錯体の形態であってよい。
本発明のコーティング組成物(A)の成分(A3)と関連し「溶液で存在する形態において」という用語は、好ましくは、成分(A3)が18〜40℃の範囲のコーティング組成物(A)温度でコーティング組成物(A)中に溶液形態で存在することを意味する。成分(A3)は、好ましくは、水溶性である。
成分(A3)は、好ましくは、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビスマス化合物から取得可能である。少なくとも1つのかかるビスマス化合物は、好ましくは、少なくとも1つの錯化剤(A5)の存在下水中で部分的に反応して成分(A3)を得る。
コーティング組成物(A)は、好ましくは、コーティング組成物(A)中の溶液形態の成分(A3)として、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも50ppm、より好ましくは、少なくとも75ppm、非常に好ましくは、少なくとも100ppmまたは少なくとも200ppm、より具体的には、少なくとも250ppmのビスマスを含む。当業者には、コーティング組成物(A)が、コーティング組成物(A)の非溶液形態で、コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマスを含むので、したがって、コーティング組成物(A)は、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して全量でそれぞれ少なくとも150ppmまたは175ppmまたは200ppmまたは300ppmまたは350ppmのビスマスを含むことは明白である。成分(A3)として溶液中に存在するビスマス量は、それぞれの場合、金属ビスマスとして計算される。
コーティング組成物(A)中の成分(A3)の割合は、以下の決定法によって決定することができる。
成分(A4)
本発明のコーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含む。
コーティング組成物(A)中に成分(A4)として非溶液形態で存在する少なくとも100ppmのビスマスは、好ましくは、コーティング組成物(A)中に非溶液であるビスマス化合物の形態、より具体的には、少なくとも1つの非溶解ビスマス塩、水酸化物および/または酸化物の形態で存在する。
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の、すなわち、コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の成分(A4)のモル割合は、好ましくは、少なくとも10モル%、より好ましくは、少なくとも20モル%または少なくとも30モル%、非常に好ましくは、少なくとも40モル%または少なくとも50モル%または少なくとも60モル%または少なくとも70モル%である。コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の成分(A4)の割合は、好ましくは、それぞれの場合、98モル%以下、非常に好ましくは、97モル%以下または96モル%以下、特に好ましくは、95モル%以下である。
コーティング組成物(A)中に存在するビスマス全量内の成分(A4)のモル%の割合は、好ましくは、成分(A3)のモル%の割合超である。
本発明のコーティング組成物(A)の成分(A4)と関連して「非溶液の形態で存在する」という用語は、好ましくは、成分(A4)が18〜40℃の範囲のコーティング組成物(A)温度でコーティング組成物(A)中に非溶液形態で存在することを意味する。成分(A4)は、好ましくは、非水溶性である。
成分(A4)は、好ましくは、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性硝酸塩(次硝酸塩)、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩(次サリチル酸塩)、ならびにまたその混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのビスマス化合物から取得可能であり、より好ましくは、次硝酸ビスマスから取得可能である。
コーティング組成物(A)は、好ましくは、成分(A4)として、コーティング組成物(A)中の非溶液形態でそれぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも150ppm、より好ましくは、少なくとも200ppm、非常に好ましくは、少なくとも250ppmまたは少なくとも300ppm、より具体的には、少なくとも500ppmのビスマスを含む。当業者には、コーティング組成物(A)が、コーティング組成物(A)の溶液で存在する形態(A3)において、コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマスを含むので、したがって、コーティング組成物(A)は、それぞれの場合コーティング組成物(A)の全質量に対して全量でそれぞれ少なくとも180ppmまたは少なくとも230ppmまたは少なくとも280ppmまたは少なくとも330ppmまたは少なくとも530ppmのビスマスを含むことは明白である。成分(A4)として非溶液で存在するビスマス量は、それぞれの場合、金属ビスマスとして計算される。
コーティング組成物(A)中の成分(A4)の割合は、以下の決定法によって決定することができる。
好ましくは、コーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも200ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも300ppmのビスマスを含む。
より好ましくは、コーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも150ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも250ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも400ppmのビスマスを含む。
非常に好ましくは、コーティング組成物(A)は、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも200ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも300ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも500ppmのビスマスを含む。
成分(A5)
本発明の水性コーティング組成物(A)は、成分(A5)としてビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤を含み、少なくとも1つの錯化剤(A5)が、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して少なくとも5モル%の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する。
本明細書の成分(A5)は、(A3)と(A4)の両方を錯化するのに適している。コーティング組成物(A)中に成分(A5)が存在する結果として、好ましくは、成分(A4)が部分的に転換されて成分(A3)になる。したがって、好ましくは、少なくとも1つの錯化剤(A5)は、水性コーティング組成物(A)中に存在する成分(A3)と塩および/または錯体を形成するのに適している。
好ましくは、10〜90°Cの範囲または20〜80°Cの範囲、より好ましくは、30〜75°Cの範囲の温度で水中の成分(A4)を水溶性形態(A3)に転換可能である錯化剤が、成分(A5)として特に適している。
具体的な成分または化合物が、本発明にしたがって使用される少なくとも二座の錯化剤(A5)として適切であるか否かは、当業者が以下の決定方法によって証明することができる事項である:いずれの錯化剤も含まないコーティング組成物中に存在する成分(A3)および(A4)またはその画分の全量が以下の方法によって決定される。この組成物に対して、錯化に対する適性を調査すべき化合物が、組成物中の成分(A4)に対するこの化合物のモル比が厳密に1になるような量で添加される。生成混合物が、18〜23°Cで24時間撹拌され、次いで、組成物中に存在する成分(A3)量が以下に記載の方法によって決定される。限外ろ過によって決定される成分(A3)量が、該成分または化合物が添加される前に決定された(A3)量に対して少なくとも50%、好ましくは、少なくとも100%増加する場合、次いで、該成分または化合物は、本発明に適した錯化剤(A5)である。
水性コーティング組成物(A)では、少なくとも1つの錯化剤(A5)は、好ましくは、それぞれの場合コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して、少なくとも7.5モル%または少なくとも10モル%の割合、より好ましくは、少なくとも15モル%または少なくとも20モル%の割合、非常に好ましくは、少なくとも30モル%または少なくとも40モル%の割合、より具体的には、少なくとも50モル%の割合で存在する。本発明にしたがって使用される錯化剤(A5)のそれぞれの量は、例えば、(A5)のハプト数および/または(A5)の錯化強度によって決まる。しかし、少なくとも1つの錯化剤(A5)は、コーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマスがコーティング組成物(A)中に非溶液の形態で存在しても本方法を確実にするような割合で存在する。
錯化剤(A5)は、好ましくは、結合剤成分(A1)ではなく、詳細には、また結合剤(A1)を製造するために使用されない。
錯化剤(A5)は、少なくとも二座である。当業者は、「ハプト数」という概念について公知である。この用語は、錯化剤(A5)1分子によって、錯化すべきビスマスイオンおよび/またはビスマス原子など、錯化すべき原子と形成できる可能な結合数を指す。好ましくは、(A5)は、二座、三座または四座、より具体的には二座である。
錯化剤(A5)は、例えば、有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸のアニオンなど、アニオンの形態を取ることができる。
錯化剤(A5)は、好ましくは、少なくとも2つのドナー原子、すなわち、原子価殻中に少なくとも1つの遊離電子対を有する少なくとも2つの原子を有する。好ましいドナー原子は、N、S、およびO原子、ならびにまたその混合物からなる群から選択される。特に好ましい錯化剤(A5)は、少なくとも1つの酸素ドナー原子と少なくとも1つの窒素ドナー原子とを有する、または少なくとも2つの酸素ドナー原子を有するものである。特に好ましい錯化剤(A5)は、少なくとも2つの酸素ドナー原子を有するものである。
Oおよび/またはSドナー原子が、錯化剤(A5)中に存在する場合、こうした少なくとも2つのドナー原子のそれぞれは、好ましくは、それ自体がドナー原子でない炭素原子などの別の担体原子に結合する。少なくとも2つのNドナー原子が、錯化剤(A5)中に存在する場合、こうした少なくとも2つのNドナー原子のそれぞれは、例えば、グアニジンまたは尿素の場合のように、それ自体がドナー原子でない同じ担体原子に結合することができる。
例えば、少なくとも2つのOドナー原子などのOおよび/またはSドナー原子が、錯化剤(A5)中に存在する場合およびこうした少なくとも2つのドナー原子のそれぞれが、それ自体がドナー原子でない炭素原子などの別の担体原子に結合する場合、こうした少なくとも2つの担体原子は、互いに直接結合することができる、すなわち、例えば、シュウ酸、乳酸、ビシン(N,N‘−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、EDTA、またはα−アミノ酸の場合のように隣接することができる。次いで、2つのドナー原子、互いに結合した2つの担体原子、および錯化すべきイオンおよび/または原子は、5員環を形成することができる。あるいは、2つの担体原子は、アセチルアセトンの場合のように、または例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸中の担体原子としてのリン原子に関して、さらなる単一原子を介して互いに橋かけすることもできる。その場合、2つのドナー原子、2つの担体原子、こうした担体原子を橋かけする原子、および錯化すべきイオンおよび/または原子は、6員環を形成することができる。さらに、少なくとも2つの担体原子は、例えば、マレイン酸の場合のようにさらなる2つの原子によって互いに結合することができる。担体原子を互いに結合する2つの原子の間に二重結合が存在する場合、次いで、2つの担体原子は、錯化すべきイオンおよび/または原子との7員環の形成を可能にするために互いにcis位置になければならない。2つの担体原子が芳香族系の一部である場合、またはこうした担体原子が最大2つまでのさらなる担体原子によって互いに結合する場合、例えば、没食子酸、Tiron、サリチル酸、またはフタール酸の場合など、芳香族系における1,2−および1,3−位の位置が好ましい。さらに、ドナー原子はまた、それ自体、例えば、8−ヒドロキシキノリンの場合のように脂肪族または芳香族環系の一部であってもよい。
特に好ましい錯化剤(A5)は、少なくとも2つの酸素ドナー原子を有するものである。この場合、少なくとも1つの酸素ドナー原子は、例えば、アセチルアセトナートの場合のように負電荷を有してもよく、または例えば、カルボン酸基、ホスホン酸基、またはスルホン酸基などの酸基の一部であってもよい。任意に、酸基の酸素原子が、カルボキシラート基、ホスホナート基、またはスルホナート基の脱プロトン化および形成の場合など、負電荷を帯びることも同様にまたはあるいは可能である。
少なくとも1つのドナー原子がN原子である場合、次いで、さらなるドナー原子は、好ましくは、負電荷を帯びるO原子であるか、または酸基(カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基など)の一部である。
(A5)がドナー原子としてのN原子のみを有する場合、この成分はまた、例えば、1,2−または1,3−ジオキシムアニオンの場合のように、アニオンとして存在することもできる。この場合の好ましい担体原子は、C原子である。ドナー原子としてのN原子は、好ましくは、第1級、第2級、または第3級アミノ基の形態であるか、またはオキシム基として存在する。
(A5)がドナー原子としてS原子および/またはO原子のみを有する場合、次いで、この場合の好ましい担体原子は、C原子、S原子、およびP原子、より具体的には、C原子である。ドナー原子としてのO原子は、好ましくは、少なくとも比例的にアニオン形態で(例えば、アセチルアセトナート)、またはカルボキシラート基、ホスホナート基、またはスルホナート基の形態で存在する。ドナー原子としてのS原子は、好ましくは、例えば、システインでなどのチオールの形態で存在する。
錯化剤(A5)は、好ましくは、無窒素で好ましくは少なくとも単独にヒドロキシル置換される有機モノカルボン酸、無窒素で任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換される有機ポリカルボン酸、任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるアミノポリカルボン酸、任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるアミノモノカルボン酸およびスルホン酸、およびまたこれらそれぞれのアニオン、ならびにさらに、好ましくは任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるモノアミンおよび任意に少なくとも単独にヒドロキシル置換されるポリアミン、および少なくとも2つのOドナー原子を含み、例えば、8−ヒドロキシキノリンおよびアセチルアセトンなどこの列挙内で記載された化合物内に含まれない化合物からなる群から選択される。
適切な錯化剤(A5)の例は、窒素原子(複数可)および/またはそのアニオンを好ましくは含まない少なくとも1つの有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸である。
本発明の意味において「ポリカルボン酸」という用語は、好ましくは、例えば、2、3、4、5、または6つのカルボキシル基など2つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸を指す。より好ましくは、ポリカルボン酸は、2つまたは3つのカルボキシル基を有する。2つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸は、ジカルボン酸であり、3つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸は、トリカルボン酸である。本発明にしたがって使用されるポリカルボン酸は、芳香族、部分的に芳香族、脂環式、部分的に脂環式または脂肪族、好ましくは、脂肪族であってよい。本発明にしたがって使用されるポリカルボン酸は、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、より具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。ポリカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、粘液酸、およびリンゴ酸である。
本発明の意味において「モノカルボン酸」という用語は、好ましくは、厳密に1つの−C(=O)−OH基を有する好ましくは脂肪族モノカルボン酸を指す。本発明にしたがって使用されるモノカルボン酸は、好ましくは、1〜64個の炭素原子、より好ましくは、1〜36個、具体的には、2〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。本明細書でのモノカルボン酸は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。
使用される錯化剤(A5)が、無窒素(複数可)および/またはそのアニオンを好ましくは有する少なくとも1つの有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸を含む場合、少なくとも1つの有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸および/またはそのアニオンは、好ましくは、1つ〜8つの炭素原子を有する有機基に結合している少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシラート基を有し、有機基は、ヒドロキシル基、エステル基およびエーテル基からなる群から選択される少なくとも1つの、好ましくは少なくとも1つのまたは少なくとも2つの置換基によって任意に置換されることが可能である。
有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸は、好ましくは、少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシラート基に対するα−、β−、またはγ−位に1つまたは2つのアルコール性ヒドロキシル基(複数可)またはエステル基(複数可)またはエーテル基(複数可)を有するモノカルボン酸およびポリカルボン酸および/またはそのアニオンからなる群から選択される。かかる酸の例は以下の通り:グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)、乳酸、γ−ヒドロキシプロピオン酸、α−メチロールプロピオン酸、α,α’−ジメチロールプロピオン酸、酒石酸、ヒドロキシフェニル酢酸、リンゴ酸、クエン酸、ならびに例えば、グルコン酸および粘液酸などの糖酸である。環式または芳香族カルボン酸は、カルボキシル基に対するヒドロキシル、エステル、またはエーテル基の配置が錯体の形成を可能にする場合に、同様に適している。かかるものの例は、サリチル酸、没食子酸、ヒドロキシ安息香酸、および2,4−ジヒドロキシ安息香酸である。エーテル基またはエステル基を含む適切なカルボン酸の例は、メトキシ酢酸、メチルメトキシアセタート、イソプロピルメトキシアセタート、ジメトキシ酢酸、エトキシ酢酸、プロポキシ酢酸、ブトキシ酢酸、2−エトキシ−2−メチルプロパン酸、3−エトキシプロパン酸、ブトキシプロパン酸およびそのエステルス、ブトキシ酪酸、ならびにα−またはβ−メトキシプロピオン酸である。乳酸などの任意に活性なカルボン酸は、L−型で、D−型で、またはラセミ体として使用することができる。乳酸(光学活性形態で、好ましくは、L−型として、またはラセミ体として)および/またはジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。
しかし、窒素原子を有する錯化剤(A5)として有機モノカルボン酸またはポリカルボン酸および/またはそのアニオン、特にアミノモノカルボン酸および/またはアミノポリカルボン酸および/またはそのアニオンを使用することも可能である。
本発明の意味において「アミノポリカルボン酸」という用語は、好ましくは、例えば、2、3、4、5、または6つのカルボキシル基など2つ以上のカルボキシル基を有し、およびまた例えば、少なくとも1つの第1級および/または第2級および/または第3級アミノ基のように少なくとも1つのアミノ基、より具体的には、少なくとも1つのもしくは少なくとも2つの第3級アミノ基を有するカルボン酸を指す。本発明にしたがって使用されるアミノポリカルボン酸は、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。アミノポリカルボン酸の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、アスパラギン酸、メチルグリシジン二酢酸(MGDA)、β−アラニン二酢酸(β−ADA)、イミドスクシナート(IDS)、ヒドロキシエチレンイミノジアセタート(HEIDA)、およびN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸(HEDTA)である。
本発明の意味において「アミノモノカルボン酸」という用語は、好ましくは、厳密に1つのカルボキシル基を有し、さらに、例えば、少なくとも1つの第1級および/または第2級および/または第3級アミノ基のように少なくとも1つのアミノ基、より具体的には、少なくとも1つのもしくは少なくとも2つの第3級アミノ基を有するカルボン酸を指す。本発明にしたがって使用されるアミノモノカルボン酸は、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、より具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。このアミノモノカルボン酸は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。アミノモノカルボン酸の一例は、ビシン(N,N‘−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)である。他の例は、グリシン、アラニン、リシン、システイン、セリン、トレオニン、アスパラギン、β−アラニン、6−アミノカプロン酸、ロイシンおよびジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)およびまたパントテン酸である。
適切な錯化剤(A5)の別の例は、少なくとも1つのポリアミンまたはモノアミンである。
本発明の意味において「ポリアミン」という用語は、好ましくは、第1級または第2級または第3級アミノ基などの少なくとも2つのアミノ基を有する化合物を指す。アミノ基はまた、オキシム基の形態をとることもできる。しかし、全体として、ポリアミンは、好ましくは、10までのおよび10を含めたアミノ基、すなわち、少なくとも2つのアミノ基に加えて、8つまでのおよび8つを含めたさらなるアミノ基、つまり、1、2、3、4、5、6、7、または8つ、好ましくは5つまでのおよび5つを含めたさらなるアミノ基を有することができ、これらは、好ましくは、第1級または第2級または第3級アミノ基である。ポリアミンは、好ましくは、ジアミンまたはトリアミン、より好ましくは、ジアミンである。本発明にしたがって使用されるポリアミンは、好ましくは、2〜64個の炭素原子、より好ましくは、2〜36個、より具体的には、3〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。炭素原子のうちの少なくとも1つは、好ましくは、ヒドロキシル基によって置換される。したがって、特に好ましいのは、ヒドロキシアルキルポリアミンである。ポリアミンの例は、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(Quadrol)、グアニジン、ジエチレントリアミンおよびジフェニルカルバジド、およびまたジアセチルジオキシムである。
本発明の意味において「モノアミン」という用語は、好ましくは、例えば、厳密に1つの第1級または第2級または詳細には、第3級アミノ基など、厳密に1つのアミノ基を有する好ましくは脂肪族モノアミンを指す。本発明にしたがって使用されるモノアミンは、好ましくは、1〜64個の炭素原子、より好ましくは、1〜36個、より具体的には、2〜18個または3つ〜8つの炭素原子を有する。このモノアミンは、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。モノアミンの一例は、トリイソプロパノールアミンである。
例えば、少なくとも1つのスルホン酸が、錯化剤(A5)としてさらに適切である。適切なスルホン酸の例は、タウリン、1,1,1−トリフルオロメタンスルホン酸、Tiron、およびアミドスルホン酸である。
一つの好ましい実施形態では、成分(A5)としてビスマスを錯化するために適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤は、一般式(1)の化合物または前記化合物のアニオンである
Figure 0006375385
[式中、Rは、少なくとも1つのOH基で置換されるC1〜6脂肪族基であり、
mは0または1であり、
およびRは、それぞれの場合互いに独立に、Hおよび少なくとも1つのOH基で任意に置換されるC1〜6脂肪族基からなる群から選択され、
、R、R、およびRは、それぞれの場合互いに独立に、Hであるか、または少なくとも1つのOH基で任意に置換されるC1〜6脂肪族基であり、
nは1または2であり、
oは1または2であり、
pは0、1、2、または3であり、
は、C(=O)OH、S(=O)OH、P(=O)(OH)、NRまたは少なくとも1つのOH基で置換されるC1〜6脂肪族基であり、
ここでRおよびRは、それぞれの場合互いに独立に、Hおよび少なくとも1つのOH基で任意に置換されるC1〜6脂肪族基からなる群から選択され、
ただし、基RおよびRのうちの少なくとも1つの基は、少なくとも1つのOH基で任意に置換されるC1〜6脂肪族基である。]。
本発明の意味において「C1〜6脂肪族基」という表現は、好ましくは、非環式飽和もしくは不飽和、好ましくは飽和脂肪族炭化水素基、すなわち、それぞれ分枝または非分枝であり、また非置換または任意に、少なくとも1つの、任意にまた2つまたは3つのOH基(複数可)によって任意に、例えば、二重または三重のように少なくとも単独に、しかし好ましくは単独に置換されてもよく、1つ〜6つ、すなわち、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの炭素原子を有するC1〜6脂肪族基、すなわち、C1〜6アルカニル、C2〜6アルケニルおよびC2〜6アルキニルを包含する。本明細書のアルケニルは、少なくとも1つのC−C二重結合を有し、本明細書のアルキニルは、少なくとも1つのC−C三重結合を有する。より好ましくは、C1〜6脂肪族基は、C1〜6アルカニルである。好ましくは、C1〜6脂肪族基は、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn−ヘキシルを包含する群から選択される。エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、およびsec−ブチル、より具体的には、エチル、n−プロピル、および2−プロピルを包含する群から選択されるC1〜6脂肪族基が特に好ましい。C1〜4脂肪族基は、本発明の意味において、C1〜6脂肪族基におよび、かかる基に対して上で具体化した好ましい実施形態に対応するが、この種のC1〜4脂肪族基は、1つ〜4つの炭素原子のみ、すなわち、1つ、2つ、3つ、または4つの炭素原子を有する点が相違している。
成分(A5)は、より好ましくは、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、N,N‘−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、およびN,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミンからなる群から選択される。
エチレンジアミン四酢酸および/またはそのアニオンが錯化剤(A5)として使用される場合、それは、それぞれの場合、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して、好ましくは、<100モル%の範囲、より好ましくは、20〜60モル%の範囲の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する。ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンが錯化剤(A5)として使用される場合、それは、それぞれの場合、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して、好ましくは、<900モル%の範囲、より好ましくは、100〜700モル%の範囲の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する。N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミンが錯化剤(A5)として使用される場合、それは、それぞれの場合、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して、好ましくは、100〜600モル%の範囲の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する。N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンが錯化剤(A5)として使用される場合、それは、それぞれの場合、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して、好ましくは、50〜300モル%の範囲の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する。
水性コーティング組成物(A)中に存在する任意の少なくとも1つのアミノポリカルボン酸、より具体的には、成分(A5)として使用されるアミノポリカルボン酸のモル割合は、好ましくはそれぞれの場合水性コーティング組成物(A)の全量に対して、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、好ましくは、少なくとも1/15または1/20未満、より好ましくは、少なくとも1/30または1/40または1/50または1/60または1/70または1/80または1/90または1/100または1/1000未満である。かかる酸の存在は、ディッピング浴内のこうした化合物の蓄積の結果として、ディッピング浴の安定性および廃水処理に関する問題をもたらす恐れがある。
コーティング組成物(A)のさらなる任意の成分
さらに、所望の用途に応じて、本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)は、少なくとも1つの顔料(A6)を含むことができる。
水性コーティング組成物(A)中に存在するこの種の顔料(A6)は、好ましくは、有機および無機、着色および体質顔料からなる群から選択される。
この少なくとも1つの顔料(A6)は、コーティング組成物(A)を製造するために使用され、成分(A1)および任意に(A2)を含む水溶液または水性分散液の一部として存在することができる。
少なくとも1つの顔料(A6)は、あるいは、使用されたものと異なるさらなる水性分散液または水溶液の形態でコーティング組成物(A)内に組み込むこともできる。この実施形態では、対応する顔料含有水性分散液または水溶液は、少なくとも1つの結合剤をさらに含むこともできる。この種の分散液または溶液は、好ましくは、成分(A4)をさらに含む。
適切な無機着色顔料(A6)の例は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、二酸化チタン、酸化アンチモン、またはリトポンなどの白色顔料;カーボンブラック、鉄マンガンブラック、またはスピネルブラックなどの黒色顔料;コバルトグリーンもしくはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルーもしくはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットもしくはコバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、モリブダートレッド、またはウルトラマリンレッドなどのクロム顔料;ブラウン酸化鉄、混合ブラウン、スピネル相およびコランダム相;あるいは黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、またはビスマスバナダートである。適切な有機着色顔料の例は、モノアゾ顔料、ジサゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンゾイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、またはアニリンブラックである。適切な体質顔料またはフィラーの例は、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクやカオリンなどのシリケート、シリカ、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの酸化物、またはテキスタイルファイバ、セルロースファイバ、ポリエチレンファイバまたはポリマー粉末などの有機フィラーである;さらなる詳細についてはRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998年、250ff頁.「Fillers」を参照されたい。
水性コーティング組成物(A)の顔料含量は、所期の使用および含量(A6)の性質にしたがって変更することができる。その量は、それぞれの場合、水性コーティング組成物(A)の全質量に対して、好ましくは、0.1〜30質量%の範囲または、0.5〜20質量%の範囲、より好ましくは、1.0〜15質量%の範囲、非常に好ましくは、1.5〜10質量%の範囲、より具体的には、2.0〜5.0質量%の範囲、または2.0〜4.0質量%の範囲、または2.0〜3.5質量%の範囲である。
所望の用途に応じて、コーティング組成物(A)は、1つまたは複数の通常用いられる添加剤(A7)を含むことができる。こうした添加剤(A7)は、好ましくは、湿潤剤、好ましくは成分(A8)を含まない乳化剤、分散剤、界面活性剤などの表面活性剤、流動制御補助剤、可溶化剤、消泡剤、レオロジー補助剤、酸化防止剤、安定剤、好ましくは熱安定剤、加工安定剤、およびUVおよび/もしくは光安定剤、触媒、フィラー、ワックス、可とう化剤、可塑剤、ならびに上記の添加剤の混合物からなる群から選択される。添加剤含量は、インテンシブな使用によって非常に広く変更することができる。量は、水性コーティング組成物(A)の全質量に対して、好ましくは、0.1〜20.0質量%、より好ましくは、0.1〜15.0質量%、非常に好ましくは、0.1〜10.0質量%、特に好ましくは、0.1〜5.0質量%、より具体的には、0.1〜2.5質量%である。
本明細書の少なくとも1つの添加剤(A7)は、コーティング組成物(A)を製造する場合に使用され、成分(A1)および任意に(A2)を含む水溶液または水性分散液の一部として存在することができる。
あるいは、少なくとも1つの添加剤(A7)はまた、例えば、少なくとも1つの顔料(A6)およびさらに任意に少なくとも1つの結合剤およびさらに任意に(A4)を含む水性分散液または水溶液内のように、使用されたものと異なるさらなる水性分散液または水溶液の形態でコーティング組成物(A)内に組み込むことができる。
好ましい実施形態では、本発明にしたがって使用されるコーティング組成物(A)は、少なくとも1つのカチオン性乳化剤(A8)を含むカソード析出性のミニエマルションである。「ミニエマルション」という用語は、例えば、I.M.Grabsら、Macromol.Symp.2009年、275〜276、133〜141頁から当業者にはおなじみである。したがって、ミニエマルションは、粒子が5〜500nmの範囲平均径を有するエマルションである。かかる粒子の平均径を決定するための方法は、当業者にはおなじみである。平均径のかかる決定は、好ましくは、DIN ISO 13321(日付:2004年10月1日)による動的光散乱法によって実施される。こうした種類のミニエマルションは、例えば、WO82/00148A1から公知である。少なくとも1つのカチオン性乳化剤は、好ましくは、HLB≧8を有する乳化剤であり、これは、当業者に公知であるGriffin法によって好ましくは、決定される。この乳化剤は、反応性官能基を有することができる。企図されたかかる反応性官能基は、結合剤(A1)も有し得るのと同じ反応性官能基である。この乳化剤は、好ましくは、親水性頭部基を有しており、これは、好ましくは、例えば、1〜10個の炭素原子を有する有機基などの4つの有機、好ましくは、脂肪族基に結合した第4級窒素原子と親油性尾部基とを有する。こうした有機基のうちの少なくとも1つのは、好ましくは、ヒドロキシル基を有する。
(A)中の任意のさらなる金属イオン
水性コーティング組成物(A)中に任意に存在するジルコニウムイオンのモル割合は、好ましくは、それぞれの場合水性組成物(A)の全質量に対して、水性コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、好ましくは、少なくとも1/100未満、好ましくは、少なくとも1/200未満、より好ましくは、少なくとも1/300または1/400または1/500または1/600または1/700または1/800または1/900または1/1000未満である。さらに特に好ましくは、コーティング組成物(A)は、ジルコニウムイオンを含まない。
腐食防止性を改善するためにコーティング組成物中で通常用いられるジルコニウム化合物は、しばしば、ジルコニウムイオン、より具体的には、[ZrF2−イオンを含む塩または酸の形態で使用される。しかしビスマスイオンが、同時に存在する場合、かかる[ZrF2−イオンの使用は、フッ化ビスマスの沈殿をもたらす。したがって、コーティング組成物(A)中のジルコニウム化合物の使用は、避けるべきである。
さらに、好ましくは、水性コーティング組成物(A)中に任意に存在し、希土類金属のイオンからなる群から選択されるイオンのモル割合は、好ましくはそれぞれの場合水性組成物(A)の全質量に対して、水性コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、少なくとも1/100未満、非常に好ましくは、少なくとも1/200または1/300または1/400または1/500または1/600または1/700または1/800または1/900または1/1000未満である。具体的には、コーティング組成物(A)は、希土類金属のイオンを含まない。かかるイオンの存在によって、本発明の方法がより高価になり、廃水処理がより困難になる。希土類金属のかかるイオンは、好ましくは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gb、Td、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択される。
コーティング組成物(A)を製造するための方法
本発明のさらなる主題は、本発明の水性コーティング組成物(A)を製造するための方法であり、その方法は、少なくとも工程(0):
(0)任意に、成分(A6)から(A8)のうちの少なくとも1つおよび任意に(A1)および/または(A2)の存在下で、少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物を、この化合物とビスマスが錯化されるのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤(A5)との部分反応によって、水中で部分的に転換して少なくとも1つの水溶性ビスマス化合物(A3)にしてコーティング組成物(A)の少なくとも成分(A3)、(A4)、および(A5)、およびまた任意に、成分(A6)から(A8)のうちの少なくとも1つおよび/または任意に(A1)および/または(A2)を含む混合物を得る工程を含む。
水不溶性ビスマス化合物は、好ましくは、少なくとも1つの顔料(A6)を含む顔料ペーストの一部である。
工程(0)が実施された後、本発明の方法は、任意に、以下:
工程(0)を実施した後に得られた混合物を、少なくとも成分(A1)および任意に成分(A2)およびまた任意に、成分(A6)から(A8)のうちの少なくとも1つと混合してコーティング組成物(A)を得る工程のような少なくとも1つのさらなる工程を含む。
工程(0)の期間は、好ましくは、少なくとも2または少なくとも4または少なくとも6または少なくとも8または少なくとも10または少なくとも12または少なくとも14または少なくとも16または少なくとも18または少なくとも20または少なくとも22または少なくとも24時間である。工程(0)は、好ましくは、18〜23℃の範囲の温度で撹拌しながら実施される。
本発明のコーティング組成物(A)は、好ましくは、成分(A3)の水溶液を別個に製造することを全く必要とせずに取得可能である。これは、時間およびコストを節減し、成分(A3)の任意のかかる水溶液をコーティング組成物(A)の残りの成分に添加する場合、特にコーティング組成物が導電性基材を少なくとも部分的にコートするためにディップコーティング浴中で使用される場合に、コーティング組成物(A)の安定性に関して発生する恐れのある問題を防ぐ。
本発明の水性コーティング組成物(A)に関連して上に記載された好ましい実施形態はすべてまた、その生成に関連して本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
コーティング組成物(A)の使用
本発明のさらなる主題は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための、本発明のコーティング組成物(A)、または導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするために本発明の方法で使用される水性コーティング組成物(A)の使用である。
本発明の水性コーティング組成物(A)に関連して上に記載された好ましい実施形態はすべてまた、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするためのその使用に関連して本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
導電性基材をコーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートするための方法
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの工程(1):
(1)カソードとして接続された導電性基材を本発明の水性コーティング組成物(A)に接触させる工程を含む、
導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための方法である。
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの工程(1):
(1)カソードとして接続された導電性基材を本発明の水性コーティング組成物(A)に、
すなわち、pHが4.0〜6.5の範囲であり、以下の成分:
(A1)少なくとも1つのカソード析出性の結合剤、および
(A2)任意に少なくとも1つの架橋剤
とを含み、
(A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
(A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含み、
(A5)ビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤をさらに含み、
前記少なくとも1つの錯化剤(A5)が、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全質量に対して少なくとも5モル%の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在する水性コーティング組成物に、
接触させる工程であって、工程(1)が少なくとも2つの連続する段階(1a)および(1b):
(1a)少なくとも5秒間にわたり印加される1〜50Vの範囲の印加電圧での段階、および
(1b)50〜400Vの範囲の印加電圧での段階であり、ただし、段階(1b)で印加される電圧が段階(1a)で印加される電圧より少なくとも10V大であることを条件とする段階
で実施される工程を含む、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための方法である。
本発明の水性コーティング組成物(A)に関連して上に記載された好ましい実施形態はすべてまた、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法の工程(1)におけるその使用に関連して本発明にしたがって使用される水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
工程(1)
導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法は、少なくとも1つの工程(1)を含み、これは、カソードとして接続された導電性基材を水性コーティング組成物(A)と接触させる工程である。
本発明の意味において「接触させる工程」は、好ましくは、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材を使用される水性コーティング組成物(A)内に浸漬する工程、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材にスプレーする工程、またはコーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材へロール施用する工程を指す。より具体的には、本発明の意味において「接触させる工程」という用語は、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコーティングすることを意図して基材を使用される水性コーティング組成物(A)内に浸漬する工程を指す。
本発明の方法は、好ましくは、自動車製造においておよび/またはそのために導電性基材を少なくとも部分的にコートするための方法である。その方法は、例えば、コイルコーティング法においてなどストリップコーティング操作の形態で連続的に、または不連続的に実施することができる。
本発明の方法の工程(1)の場合、基材は、このコーティング組成物の基材面上への電気泳動析出によって本発明の水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされる。
工程(1)は、基材と少なくとも1つの対電極の間に電圧を印加することによって実施される。本発明の方法の工程(1)は、好ましくは、ディップコーティング浴で実施される。この場合、対電極は、ディップコーティング浴内に位置することができる。あるいはまたはさらに、対電極はまた、ディップコーティング浴と別個に、例えば、アニオンに対して透過性であるアニオン交換膜を介して存在することもできる。この場合、ディップコーティング中に形成されるアニオンは、コーティング材料から膜を通ってアノード液内に輸送され、それによって、ディップコーティング浴中のpHを調整または一定に維持することが可能になる。対電極は、好ましくは、ディップコーティング浴とは別個にある。
本発明の方法の工程(1)では、好ましくは、基材全表面上へ完全に電気泳動析出させることによって基材が水性コーティング組成物(A)によって完全にコーティングされる。
好ましくは、本発明の方法の工程(1)では、少なくとも部分的なコーティングが意図された基材は、ディップコーティング浴内に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に導入され、工程(1)は、このディップコーティング浴内で実施される。
本発明の方法の工程(1)の目的は、水性コーティング組成物(A)の少なくとも部分的な電気泳動析出による基材の少なくとも部分的なコーティングである。この場合の水性コーティング組成物(A)は、基材面上に電着材料として析出する。
本発明の水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、導電性アノードおよびカソードとして接続された導電性基材と接触する。あるいは、水性コーティング組成物(A)は、アノードが、例えば、ディップコーティング浴と別個に、例えば、アニオンに対して透過性であるアニオン交換膜を介して存在する場合、導電性アノードと直接接触する必要はない。
アノードとカソードの間の電流の通過は、カソード上、すなわち、基材上への固く接着した塗膜の析出を伴う。
本発明の方法の工程(1)は、好ましくは、20〜45℃の範囲、より好ましくは、22〜42℃の範囲、非常に好ましくは、24〜41℃の範囲、特に好ましくは、26〜40℃の範囲、より特に好ましくは、例えば、28〜38℃の範囲などの27〜39℃の範囲のディップ浴温度で実施される。本発明の方法の別の好ましい実施形態では、工程(1)は、40℃以下、より好ましくは、38℃以下、非常に好ましくは、35℃以下、特に好ましくは、34℃以下または33℃以下または32℃以下または31℃以下または30℃以下または29℃以下または28℃以下のディップ浴温度で実施される。本発明の方法のさらなる多様な好ましい実施形態では、工程(1)は、例えば、≦31°Cまたは≦30°Cまたは≦29°Cまたは≦28°Cまたは≦27°Cまたは≦26°Cまたは≦25°Cまたは≦24°Cまたは≦23°Cなどの≦32°Cのディップ浴温度で実施される。
本発明の方法の工程(1)では、本発明の水性コーティング組成物(A)は、好ましくは、生成電着膜が、5〜40μm、より好ましくは、10〜30μm、特に好ましくは、20〜25μmの範囲の乾燥膜厚を有する。
工程(1)内の段階(1a)および(1b)
本発明の方法の工程(1)は、以下のような少なくとも2つの連続する段階(1a)および(1b):
(1a)少なくとも5秒間にわたり印加される1〜50Vの範囲の印加電圧での段階、および
(1b)50〜400Vの範囲の印加電圧での段階であり、ただし、段階(1b)で印加される電圧が段階(1a)で印加される電圧より少なくとも10V大であることを条件とする段階で実施される。
本発明の方法の工程(1)内の段階(1a)および(1b)は、好ましくは、コーティング組成物(A)を含む使用されるディップコーティング浴内で実施される。
段階(1a)
段階(1a)の実行中では、対応するビスマス富化層が、導電性基材上の予備析出層として形成され、これは、例えば、蛍光X線分析によって検出可能であり、定量可能である。本明細書でのビスマスは、好ましくは、金属ビスマス(0)の形態であるが、あるいはまたはさらには、3価の形態および/または他の酸化状態で存在することもできる。この予備析出層は、詳細には、コーティング組成物中に存在する成分(A1)および任意に(A2)および/または(A5)および/または(A6)をほとんど含まない。適切に形成されたビスマス富化層は、好ましくは、腐食防止効果を発揮し、この効果の優秀性は、付加ビスマス相に比例している(表面積1m当りのビスマスのmgでの)。好ましい付加層は、表面積1m当り少なくとも10または少なくとも20または少なくとも30、より好ましくは、少なくとも40または少なくとも50、より具体的には、少なくとも100または少なくとも180mgのビスマス(金属として計算された)である。
段階(1a)は、好ましくは、1〜45Vの範囲または1〜40Vの範囲または1〜35Vの範囲または1〜30Vの範囲または1〜25Vの範囲または1〜20Vの範囲または1〜15Vの範囲または1〜10Vの範囲または1〜5Vの範囲の印加電圧で実施される。別の好ましい実施形態では、段階(1a)は、2〜45Vの範囲または2〜40Vの範囲または2〜35Vの範囲または2〜30Vの範囲または3〜25Vの範囲または3〜20Vの範囲または3〜15Vの範囲または3〜10Vの範囲または3〜6Vの範囲の印加電圧で実施される。
段階(1a)で印加される電圧は、少なくとも5秒、好ましくは、少なくとも10または少なくとも15または少なくとも20または少なくとも25または少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50秒、より好ましくは、少なくとも60または少なくとも70または少なくとも80または少なくとも90または少なくとも100秒、非常に好ましくは、少なくとも110または少なくとも120秒の期間にわたって印加される。本明細書での期間は、好ましくは、300秒以下、より好ましくは、250秒以下、より具体的には、150秒以下である。この期間は、それぞれの場合、当該の電圧が段階(1a)の実行中に維持される時間間隔を指す。
好ましい実施形態では、段階(1a)で印加される電圧は、少なくとも5〜500秒または5〜500秒または10〜500秒または10〜300秒または少なくとも20〜400秒または少なくとも30〜300秒または少なくとも40〜250秒または少なくとも50〜200秒の範囲、より好ましくは、少なくとも60〜150秒または少なくとも70〜140秒または少なくとも80〜130秒の範囲の期間にわたり印加される。
少なくとも10秒間にわたり段階(1a)の実行中に印加される1〜50Vの範囲の電圧は、定電流的(一定に調整された電流)に設定することができる。あるいは、この設定はまた、定電位的(一定に調整された電圧)に実施することもできるが、段階(1a)は、析出電流で、または1〜50Vの範囲の対応する電圧に対応する析出電流範囲で実施することもできる。この種の析出電流は、好ましくは、20〜400mAの範囲、より好ましくは、30〜300mAの範囲または40〜250mAの範囲または50〜220mAの範囲、より具体的には、55〜200mAの範囲である。段階(1a)内のかかる析出電流は、好ましくは、300〜500cm、より具体的には、350〜450cmまたは395〜405cmの範囲の表面積を有する基材を用いる場合に使用される。
段階(1a)の析出電流密度は、好ましくは、少なくとも1A/m、より好ましくは、少なくとも2A/m、より具体的には、少なくとも3A/m、しかし好ましくは、それぞれの場合、20A/m以下、より好ましくは、それぞれの場合、10A/m以下である。
析出電流密度または本明細書での段階(1a)の析出電流は、好ましくは、少なくとも5または少なくとも10秒、好ましくは、少なくとも15または少なくとも20または少なくとも25または少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50秒、より好ましくは、少なくとも60または少なくとも70または少なくとも80または少なくとも90または少なくとも100秒、非常に好ましくは、少なくとも110または少なくとも120秒間にわたり印加される。本明細書での期間は、好ましくは、300秒以下、より好ましくは、250秒以下、より具体的には、150秒以下である。別の好ましい実施形態では、析出電流密度または段階(1a)で印加される析出電流は、少なくとも10〜500秒または少なくとも20〜400秒または少なくとも30〜300秒または少なくとも40〜250秒または少なくとも50〜200秒の範囲、より好ましくは、少なくとも60〜150秒または少なくとも70〜140秒または少なくとも80〜130秒の範囲の期間にわたり印加される。
電圧または析出電流または析出電流密度は、本明細書において記載の期間中一定に維持することができる。しかし、あるいは、電圧または析出電流または析出電流密度は、1〜50Vの範囲の記載の最小および最大値内で段階(1a)内の析出期間中に多様な値をとることもでき、例えば、最小から最大析出電圧まで往復しながら振れることができるまたは傾斜形態でもしくは段階形態で上昇することができる。
段階(1a)の実行中における電圧または析出電流または析出電流密度の設定は、「突然に」、換言すれば、例えば、整流器に適切に切り替えることによって実施することができるが、これには、標的電圧に到達するためにある種の技術的に関連する最小期間が必要である。あるいは、設定は、傾斜形態で、換言すれば、少なくとも概略連続的におよび好ましくは直線的に、例えば、最大10、20、30、40、50、60、120、または300秒の期間などの選択可能な期間にわたって実施することもできる。最大120秒、より好ましくは、最大60秒の傾斜が好ましい。段階的な電圧増加も本明細書で可能であり、その場合、好ましくは、例えば、1、5、10、または20秒の電圧のある種の保持時間が、こうした電圧段階のそれぞれに対して観察される。傾斜と段階の組合せもまた可能である。
段階(1a)における電圧または析出電流または析出電流密度の設定はまた、無電流の時間を備えたまたは2つのパルスの間の最小レベル未満の電圧を備えたパルス形態で調整することもできる。パルス期間は、例えば、0.1〜10秒の範囲に存在することができる。したがって、析出に対する「期間」は、好ましくは、段階(1a)を実行する場合、析出電圧が前述の最大と最小値内にある期間の総和であるとみなされる。傾斜とパルスはまた、互いに合わせることもできる。
段階(1a)の実行中、錯化剤(A5)は、好ましくは、少なくとも部分的に、より具体的には、完全に、再度放出される。その理由は、(A5)によって錯化された成分(A3)が析出するからである。コーティング組成物(A)中の成分(A4)の存在の観点から、放出された錯化剤(A5)は、成分(A4)を少なくとも部分的に(A)中の溶液形態に転換するために利用することができる、つまり、(A5)は、(A3)の適切な貯留の存在を保証する目的で(A3)を連続的に生成するために使用することができる。
段階(1b)
段階(1b)の実行中では、実際のディップワニスコーティングが、ディップワニス成分、より具体的には、(A1)および任意に(A2)および/または(A5)の析出によって、段階(1a)後に得られた予備析出層上に形成される。このコーティングも、ビスマスを含み、このビスマスは、3価の形態またはあるいはもしくはさらに他の酸化状態で存在してもよい。このビスマスは、本発明の方法の下流の任意の養生工程または架橋工程(6)における触媒として働くことができる。したがって、コーティング組成物(A)の生成において、好ましくは、かかる触媒の組み込みを省略することも可能である。
段階(1b)は、好ましくは、55〜400Vの範囲または75〜400Vの範囲または95〜400Vの範囲または115〜390Vの範囲または135〜370Vの範囲または155〜350Vの範囲または175〜330Vの範囲または195〜310Vの範囲または215〜290Vの範囲の印加電圧で実施される。
段階(1b)では、好ましくは、段階(1a)の実行の終了後0〜300秒の範囲の間の間隔で、好ましくは不活性対電極に対して、ただし、段階(1b)で印加されるこの電圧が段階(1a)でその前に印加された電圧より少なくとも10V大きいという条件で、50〜400Vの範囲の電圧が印加される。段階(1b)を実行する間、この電圧は、好ましくは、10〜300秒の範囲、好ましくは、30〜240秒の範囲の間、上に記載の条件で、50〜400Vの記載の電圧範囲内の値以上で維持される。
段階(1b)で印加される電圧は、好ましくは、少なくとも10秒または少なくとも15または少なくとも20または少なくとも25または少なくとも30または少なくとも40または少なくとも50秒、より好ましくは、少なくとも60または少なくとも70または少なくとも80または少なくとも90または少なくとも100秒、非常に好ましくは、少なくとも110または少なくとも120秒の期間にわたって印加される。本明細書での期間は、好ましくは、300秒以下、より好ましくは、250秒以下、より具体的には、150秒以下である。この期間は、それぞれの場合、当該の電圧が段階(1b)の実行中に維持される時間間隔を指す。
一つの好ましい実施形態では、段階(1b)で印加される電圧は、少なくとも10〜500秒または少なくとも20〜400秒または少なくとも30〜300秒または少なくとも40〜250秒または少なくとも50〜200秒の範囲、より好ましくは、少なくとも60〜150秒または少なくとも70〜140秒または少なくとも80〜130秒の範囲の期間にわたり印加される。
段階(1a)から段階(1b)への電圧増加は、「突然に」、換言すれば、例えば、整流器に対応する切り替えによって実施することができるが、これには、標的電圧に到達するためにある種の技術的に関連する最小時間が必要である。あるいは、電圧増加は、傾斜形態で、換言すれば、少なくとも概略連続的に、例えば、最大10、20、30、40、50、60、120、または300秒などの選択可能な期間にわたって実施することもできる。好ましい傾斜は最大120秒、より好ましくは、最大60秒である。段階的な電圧増加も可能であり、その場合、好ましくは、例えば、1、5、10、または20秒の電圧のある種の保持時間が、こうした電圧段階のそれぞれに対して観察される。傾斜と段階の組合せもまた可能である。
50〜400Vの範囲の段階(1b)における電圧の印加に対する、例えば、10〜300秒の範囲の期間などの期間の指示は、この電圧が記載の期間中一定に保持されることを意味し得る。しかし、あるいは、その電圧はまた、50〜400Vの範囲の記載の最小および最大値内で段階(1b)内の析出期間中に多様な値をとることもでき、例えば、最小から最大析出電圧まで往復で振れることができるまたは傾斜でもしくは段階で上昇することができる。
段階(1b)における電圧、すなわち、析出電圧はまた、無電流の時間を備えたまたは2つのパルスの間の最小レベル未満の電圧を備えたパルス形態で調整することもできる。パルス期間は、例えば、0.1〜10秒の範囲に存在することができる。したがって、析出に対する「期間」は、好ましくは、段階(1b)を実行する場合、析出電圧が前述の最大と最小値内にある期間の総和であるとみなされる。傾斜とパルスはまた、互いに合わせることもできる。
さらなる任意の方法内工程
本発明の方法は、任意に、上に記載されたように2つの段階、(1a)および(1b)を伴う、好ましくは、工程(1)に続く以下のような工程(2):
(2)析出したコーティング組成物(A)を養生する前に、コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を水性ゾルーゲル組成物に接触させる工程
をさらに含む。
当業者は、「ゾルーゲル組成物」、「ゾルーゲル」という用語、ならびにゾルーゲル組成物およびゾルーゲルの製造について、例えば、D.Wangら、Progress in Organic Coatings 2009年、64、327〜338頁またはS.Zhengら、J.Sol−Gel.Sci.Technol.2010年、54、174〜187頁から公知である。
本発明の意味において水性「ゾルーゲル組成物」は、好ましくは、加水分解および縮合によって少なくとも1つの出発化合物を水と反応させることによって製造される水性組成物であり、この出発化合物は、例えばMおよび/またはMなどの少なくとも1つの金属原子および/または準金属原子を有し、例えば2つの加水分解性基Xなどの少なくとも2つの加水分解性基を有し、さらに、任意に、例えば、Rなどの少なくとも1つの非加水分解性有機基を有する。本明細書での少なくとも2つの加水分解性基は、好ましくは、それぞれの場合単結合によって、少なくとも1つの出発化合物に存在する少なくとも1つの金属原子および/または少なくとも1つの準金属原子にそれぞれ直接結合する。例えば、Rなどの非加水分解性有機基が存在するために、本発明にしたがって使用されるこの種のゾルーゲル組成物はまた、「ゾルーゲル混成組成物」とも呼ばれる。
任意の工程(2)で本発明にしたがって使用される水性ゾルーゲル組成物は、好ましくは、
少なくとも1つの化合物Si(X(R
[式中、その中のRは、第1級アミノ基、第2級アミノ基、エポキシド基、およびエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する非加水分解性有機基である]、
より具体的には、少なくとも1つの化合物Si(X(R
[式中、その中のRは、反応性官能基として少なくとも1つのエポキシド基を有する非加水分解性有機基であり、Xは、例えば、O−C1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、およびさらに、
任意に少なくとも1つのさらなる化合物Si(X(R
[式中、その中のRは、第1級アミノ基および第2級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する非加水分解性有機基であり、Xは、例えば、O−C1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、
および任意に少なくとも1つの化合物Si(X
[式中、Xは、例えば、O−C1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、
および任意に少なくとも1つの化合物Si(X(R
[式中、その中のRは、例えば、C1〜10アルキル基などの反応性官能基を有さない非加水分解性有機基であり、Xは、例えば、O−C1〜6アルキル基などの加水分解性基である]、
および任意に少なくとも1つの化合物Zr(X
[式中、Xは、例えば、O−C1〜6アルキル基などの加水分解性基である]と水との反応
によって取得可能である。
本発明の方法は、好ましくは、工程(1)または工程(2)に好ましくは続く、以下のような:
(3)工程(1)または工程(2)の後に取得可能である、水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を水および/または限外ろ過液ですすぐ工程
のような工程(3)をさらに含む。
具体的には電着コーティングに関連しての「限外ろ過液」または「限外ろ過」という用語は、当業者におなじみであり、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag 1998年で定義されている。
工程(3)の実行によって、工程(1)後に少なくとも部分的にコートされた基材上に存在する本発明で用いる水性コーティング組成物(A)の過剰な構成成分をディップコーティング浴内に循環することが可能になる。
本発明の方法は、好ましくは、工程(1)または(2)または(3)に続く任意の工程(4)、
(4)工程(1)または工程(2)または工程(3)後に取得可能である水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を、好ましくは30秒から最長1時間にわたって、より好ましくは、30秒から最長30分間にわたって水および/または限外ろ過液と接触させる
という工程(4)をさらに含むことができる。
本発明の方法は、好ましくは、工程(1)、より具体的には、段階(1b)、または(2)または(3)または(4)に続く任意の工程(4a)、
(4a)工程(1)または工程(2)または工程(3)または工程(4)後に取得可能である水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた基材を、水溶液または水性分散液、好ましくは、少なくとも1つの架橋触媒(V)、好ましくは、結合剤(A1)の反応性官能基を架橋するのに適している少なくとも1つの架橋触媒(V)、より具体的には、結合剤(A1)として使用されるエポキシド系ポリマー樹脂および/またはアクリラート系ポリマー樹脂の水溶液と接触させる
という工程(4a)をさらに含むことができる。
少なくとも1つの架橋触媒(V)の水溶液は、好ましくは、例えば、3価のビスマスを含む化合物を含む水溶液などのビスマス化合物の水溶液である。任意の工程(4a)の実行中、アノードに対するカソード電圧は、好ましくは、使用される導電性基材に対して、より好ましくは、4V〜100Vの範囲で印加される。工程(4a)を実施することによって、工程(1)の段階(1a)の実行後に成分(A3)の量がコーティング組成物中に少ししか残留していないので段階(1b)で析出できない場合に効果的な架橋が可能になる。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、以下のような:
(5)本発明で用いる水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされ、工程(1)および/または(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)後に取得可能な基材に少なくとも1つのさらなるコーティング膜を施用する
工程のような、好ましくは、工程(1)および/または(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)に続き、好ましくは、任意の工程(6)の前に実施される少なくとも1つの工程(5)をさらに含む。
工程(5)によって、1つまたは複数のさらなるコーティング膜が、水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされ、工程(1)および/または(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)後に取得可能な基材に施用することが可能である。2つ以上のコートを施用しなければならない場合、工程(5)は、しばしば適切に反復することができる。施用するためのさらなるコーティング膜の例は、例えば、ベースコート膜、表面膜および/または単コートもしくは複コート膜である。任意に、工程(2)における水性ゾルーゲル組成物による続いてのすすぎおよび/または水および/または限外ろ液による任意のすすぎ(工程(3)における)にかけた後に、および/または工程(4)および/または工程(4a)を実施した後に、工程(1)によって施用される水性コーティング組成物(A)は、養生することができ、この養生は、ベースコート膜、表面膜および/または単コートもしくは複コート膜などのさらなるコートが施用される前に、工程(6)で以下に記載されるように実施される。しかし、あるいは、任意に、工程(2)における水性ゾルーゲル組成物による続いてのすすぎおよび/または水および/または限外ろ液による任意のすすぎ(工程(3)における)にかけた後におよび/または工程(4)および/または工程(4a)を実施した後に、工程(1)によって施用される水性コーティング組成物(A)は、養生しなくてもよいが、代わりに、最初に、ベースコート膜、表面膜および/または単コートもしくは複コート膜などのさらなるコートを施用することもできる(「湿−オン−湿法」)。この場合、このもしくはこれらのさらなるコート(複数可)の施用に続いて、こうして得られた全体の系は、養生されるが、この養生は、好ましくは工程(6)にしたがって以下に記載のように実施することが可能である。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、以下のような:
(6)工程(1)および/または任意に(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)の後に基材に少なくとも部分的に施用された水性コーティング組成物(A)、または工程(1)および/または任意に(2)および/または(3)および/または(4)および/または(4a)および/または(5)の後に基材に少なくとも部分的に施用されたコーティングを養生する
工程のような少なくとも1つの工程(6)をさらに含む。
本発明の方法の工程(6)は、工程(1)または任意に(2)の後に、または任意に少なくとも1つのさらなる工程(5)のみの後に、好ましくはベーキングによって実施される。工程(6)は、好ましくは、オーブンで実施される。本明細書での養生は、好ましくは、140℃〜200℃の範囲、より好ましくは、150℃〜190℃の範囲、非常に好ましくは、160℃〜180℃の範囲の基材温度で実施される。工程(6)は、好ましくは、少なくとも2分〜2時間にわたって、より好ましくは、少なくとも5分〜1時間にわたって、非常に好ましくは、少なくとも10分〜30分の期間にわたって実施される。
少なくとも部分的にコートされた基材
本発明のさらなる主題は、本発明の水性コーティング組成物(A)で少なくとも部分的にコートされた導電性基材、または導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法によって取得可能である少なくとも部分的にコートされた導電性基材である。
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つのかかる基材から生成する好ましくは金属部品または好ましくは金属物品である。
かかる物品は、例えば、金属片である。この種の部品は、例えば、自動車、トラック、オートバイ、バス、および長距離バスなどの車両のボディーおよびボディー部品、ならびに家庭用電気製品の部品、または装置の金属被覆材、ファサード金属被覆材、天井金属被覆材、もしくは窓枠の分野での他の部品であってよい。
コーティング組成物(A)の成分(A3)および/または(A4)の濃度を調整および/または維持するための方法
本発明のさらなる主題は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法の実行中に本発明のコーティング組成物(A)の成分(A3)および/または(A4)の濃度を調整および/または維持するための方法である。
本発明の水性コーティング組成物(A)および導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法に関連して上に記載の好ましい実施形態はすべてまた、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法の実行中に本発明のコーティング組成物(A)の成分(A3)および/または(A4)の濃度を調整および/または維持するための本発明の方法におけるその使用の文脈においての本発明の水性コーティング組成物(A)の好ましい実施形態である。
本発明のコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)の濃度を調整および/または維持するための本発明の方法では、本発明の(コーティング)方法の実行中、
事前に選択した時間間隔でコーティング組成物(A)の全質量に対してのコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)のppm割合の決定を実施し、
および
コーティング組成物(A)中の成分(A5)の割合を、成分(A3)のppm割合がコーティング組成物(A)中のこの成分に対する事前に選択した設定点の値より低くなる前に増加させる、
または
コーティング組成物(A)中の成分(A4)の割合を、成分(A4)のppm割合がコーティング組成物(A)中のこの成分に対する事前に選択した設定点の値より低くなる前に増加させることが想定される。
本発明の方法によって、それぞれ成分(A5)および/または(A4)を独立に計測することが可能になり、したがって、さらにこうしたパラメータを所望の値に設定する場合に柔軟に対応し、容易に実行することが可能になる。
コーティング組成物(A)中の成分(A3)の事前に選択した設定点の値は、コーティング組成物(A)の全質量%に対してこの成分の最小ppm量であってよい。本発明のコーティング組成物の成分(A3)の最小量は、コーティング組成物(A)の全質量%に対して少なくとも30ppmのビスマスである。さらに、(A)中の(A3)の最小量は、コーティング組成物(A)に関連する好ましい実施形態で上に記載した成分(A3)のすべての最小量を包含する。
コーティング組成物(A)中の成分(A4)の事前に選択した設定点の値は、コーティング組成物(A)の全質量%に対してこの成分の最小ppm量であってよい。本発明のコーティング組成物の成分(A4)の最小量は、コーティング組成物(A)の全質量%に対して少なくとも100ppmのビスマスである。さらに、(A4)の最小量は、コーティング組成物(A)に関連する好ましい実施形態で上に記載した成分(A4)のすべての最小量を包含する。
コーティング組成物(A)中の成分(A3)および(A4)の事前に選択した設定点のppm値は、あるいはまた、それぞれの場合、(A)中の成分(A3)および(A4)の最小量より大きくてもよい。(A)中の成分(A3)の設定点の値は、好ましくは、それぞれの場合、コーティング組成物(A)の全質量%に対して40ppmまたは100ppmまたは200ppmまたは300ppmまたは500ppmまたは1000ppmである。(A)中の成分(A4)の設定点の値は、好ましくは、それぞれの場合、コーティング組成物(A)の全質量に対して500ppmまたは1000ppmまたは1600ppmまたは2600ppmである。
本発明の方法によって、より具体的には、コーティング組成物(A)中の錯化剤(A5)の蓄積を防止し得ることが可能になる。錯化剤(A5)は、導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための本発明の方法の段階(1a)の実行中に、コーティング組成物中に存在する成分(A3)の析出後(および、その結果として「消費」後に)、好ましくは、ディップコーティング浴中にまたはコーティング組成物(A)中に放出される。コーティング組成物(A)中の錯化剤(A5)の蓄積の生成は、ディップコーティング浴の安定性に関する問題をもたらす恐れがある。この問題は、コーティング組成物(A)中の成分(A4)の割合を上げることによって対抗することができる。逆に、コーティング組成物(A)中の(A5)の割合、したがってまた(A3)の割合が低くなり過ぎる場合(例えば、アノード液回路を介しての連行損失または限外ろ過中の損失の結果として)、これは、コーティング組成物(A)中の成分(A5)の割合を上げることによって対抗することができる。
本発明の意味において、「事前に選択した時間間隔で」という表現は、好ましくは、適切であり、当業者に公知であり、時間、日、または週の範囲に存在できる任意の時間間隔を指す。コーティング組成物(A)の全質量に対するコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)のppm割合が毎日または毎週、詳細には、毎週決定されることが特に好ましい。
決定の方法
1.DIN EN ISO 9227 NSSによる塩散布ミスト試験
塩散布ミスト試験は、基材上のコーティングの耐食性を決定するために使用される。DIN EN ISO 9227 NSS(日付:2012年9月1日)にしたがって、塩散布ミスト試験が、発明のコーティング組成物または比較のコーティング組成物でコートされた導電性基材である冷間圧延鋼(CRS)に対して実施される。この試験では、分析下の試料は、6.5〜7.2の範囲の制御pHで504または1008時間にわたり温度35℃で強度5%の通常の塩溶液による連続的なミスト雰囲気が存在するチャンバ内に存在する。分析下の試料上にミストが堆積し、塩水の腐食性膜で試料を覆う。
未だDIN EN ISO 9227 NSSによる塩散布ミスト試験を実施しない前に、分析下の試料上のコーティングが、刃による切開で基材まで分割されると、試料は、DIN EN ISO 4628−8(日付:2013年3月1日)による膜下の腐食(穿掘)水準を調査することができる。その理由は、基材は、DIN EN ISO 9227 NSS塩散布ミスト試験中に分割ラインに沿って腐食するからである。この調査は、塩散布ミスト試験が、504時間実施された後に行われる。腐食の進行過程の結果として、コーティングは、試験中に多かれ少なかれ穿掘される。穿掘[mm]の程度は、コーティング組成物の耐食性の尺度である。
2.DIN EN 3665による糸状腐食
糸状腐食の決定は、基材上のコーティングの耐食性を確認するのに使用される。この決定は、発明のコーティング組成物または比較のコーティング組成物でコートされた導電性基材のアルミニウム(ALU)に対してDIN EN 3665(1997年8月1日)によって1008時間にわたり実施される。この時間の経過で、当該のコーティングは、コーティングに対して付けられた損傷ラインから出発してラインまたは糸の形態を取る腐食によって穿掘される。最大糸長[mm]が、DIN EN 3665(方法3)にしたがって測定される。平均糸長[mm]が、PAPP WT 3102(Daimler)(日付:2006年12月21日)にしたがって決定される。最大および平均糸長は、コーティングの耐食性の尺度である。
3.VDA 621−415[German automakers association]によるVDA交互気候試験
この交互気候試験は、基材上のコーティングの耐食性を試験するのに使用される。交互気候試験は、適切にコートされた冷間圧延鋼(CRS)基材に対して実施される。交互気候試験は、10サイクルで実施される。本明細書の1サイクルは、全部で168時間(1週間)からなり、
a)24時間のDIN EN ISO 9227 NSS(日付:2012年12月1日)による塩散布ミスト試験、
b)続いての8時間の2005年9月、AHT法のDIN EN ISO 6270−2による加熱を含めた貯蔵、
c)続いての16時間の2005年9月、AHT法のDIN EN ISO 6270−2による冷却を含めた貯蔵、
d)b)およびc)の3倍の反復(したがって全部で72時間)、および
e)48時間の2005年9月、AHT法のDIN EN ISO 6270−2による通気気候チャンバを用いる冷却を含めた貯蔵
を包含する。
未だ交互気候試験を実施しない前に、分析下の試料上のそれぞれのベークされたコーティングが、刃による切開で基材まで分割されると、試料は、DIN EN ISO 4628−8(日付:2013年3月1日)による膜下の腐食水準を調査することができる。その理由は、基材は、交互気候試験の実施中に分割ラインに沿って腐食するからである。腐食の進行過程の結果として、コーティングは、試験中に多かれ少なかれ穿掘される。穿掘[mm]の程度は、コーティング組成物の耐食性の尺度である。
4.膜質量決定のための蛍光X線分析(XFA)
調査下のコーティングの膜質量(表面積1m当りのmgで)は、DIN 51001(日付:2003年8月)による波長分散型蛍光X線分析(XFA)によって決定される。この方法では、例えば、コーティングのビスマス含量または、本発明の方法の工程(1)の段階(1a)後に得られるコーティングなどのビスマス含量またはビスマス付加層を決定することができる。同様に、例えば、ジルコニウムなどの他の元素のそれぞれの量を決定することも可能である。蛍光X線分析を実施した場合に得られる信号は、コートされない参照試料の別個に測定された基材に対する値によって補正される。全カウント数(1秒当たりのキロカウント)が、ビスマスなどの分析下のそれぞれの元素に対して決定される。参照試料(コートされない基材)のそれぞれの元素の全カウント数が、当該の試料に対してこの方法で決定されたそれぞれの全カウント数から差し引かれて分析下の元素に対する正味のカウント数が得られる。元素に特有の変換関数(較正測定から得られる)を使用してこれらが膜質量(mg/cm)に変換される。多数のコートが施用される場合は、それぞれの膜質量が、それぞれの施用後に決定される。次いで、続いてのコートに対して、それぞれの場合の先行膜の全カウント数が参照として用いられる。この決定方法は、本発明の方法の工程(1)の段階(1a)後に得られるコーティングのビスマス含量を決定するのに使用される。
5.(A)中の(A3)および(A4)の量およびまたコーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量を決定するための原子発光分光法(ICP−OES)
例えば、ビスマス含量などの分析下の試料中のある種の元素量は、DIN EN ISO 11885(日付:2009年9月1日)による誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP−OES)を使用して決定される。使用される試料は、例えば、限外ろ過液試料などのそれぞれの試料の溶液である。この場合の限外ろ過は、1時間で実施される(回路における限外ろ過;限外ろ過メンブラン、Nadir、PVDF、RM−UV 150T)。試料は、浸透液または限外ろ過液から採取される。この試料は、高周波場によって発生するアルゴンプラズマ中の熱励起にかけられ、電子遷移のための発光が、対応波長のスペクトル線として可視化され、光学系を使用して分析される。発光強度とビスマスなどの当該元素濃度の間には直線関係が存在する。実行する前に、公知の元素標準(参照標準)を使用して、較正測定が、分析下の特定試料の関数として実施される。こうした較正は、限外ろ過液中の(A3)量の濃度などの未知溶液の濃度を決定するのに使用することができる。本明細書では、(A)中に溶解形態で存在する成分(A3)は、完全に限外ろ過液内に移されることが仮定される。
しかし、この決定方法は、コーティング組成物(A)中の成分(A3)量のみならず、コーティング組成物(A)中のビスマスの全量、すなわち、(A3)と(A4)の和を決定するのにも使用される。このためには、コーティング組成物(A)の試料が、採取され、この試料が、マイクロウエーブによって消化されてICP−OES分析に適した試料溶液を得る:ここで、コーティング組成物(A)または比較組成物の試料が秤量され、この試料の揮発性構成成分が、1時間にわたり18°C〜130°Cまでの直線的な温度上昇による加熱によって除去される。この生成試料の最大0.5g量が、硝酸(強度65%)と硫酸(強度96%)(前記酸それぞれ5ml)の1:1混合物と混合される。次いで、Berghof(Speedwave IV instrument)からの装置を使用して、マイクロ波分解が実施される。分解中に、試料混合物は、20〜30分にわたり温度250°Cまで加熱され、この温度が10分間維持される。分解後は、残留試料混合物は、固体画分を含まない清澄な溶液でなければならない。DIN EN ISO 11885によるICP−OESを使用して、次いで試料中のビスマス全量が、確認される。(A3)の画分は上で説明したように決定されているのでその(A3)画分をこの量から差し引くと、その結果が、分析下の試料中に存在する成分(A4)の画分である。
続く実施例は、本発明を明瞭にするのに役立つが、いかなる制限をも課すものではない。
別段の指示のない限り、以下のパーセントの数字は、それぞれの場合、質量パーセンテージである。
発明および比較例
1.発明の水性コーティング組成物および比較のコーティング組成物の生成
以下の例示的な発明の水性コーティング組成物および比較のコーティング組成物V1を生成するために使用されるBASFからのCathoGuard(登録商標)520およびCathoGuard(登録商標)800顔料ペーストは、次硝酸ビスマスを含む。当業者には、かかる顔料ペーストの生成は例えば、DE 10 2008 016 220 A1(7頁、表1、バリアントB)から公知である。
比較のコーティング組成物V1
結合剤および架橋剤の水性分散液(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)、顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)、および脱イオン水画分を合わせて比較のコーティング組成物V1を形成し、室温(18〜23°C)で撹拌混合する。全部でCathoGuard(登録商標)520 2275g、CathoGuard(登録商標)520顔料ペースト295g、および脱イオン水2430gを使用する。
コーティング組成物Z1
エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム塩2.29gを脱イオン水961gに溶解して溶液L1を製造する。溶液L1を室温(18〜23°C)で撹拌しながら顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)118gと混合して混合物M2を得る。混合物M2を室温(18〜23°C)で24時間撹拌する。その後、この生成混合物を結合剤と架橋剤(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)の水性分散液886gと混合してコーティング組成物Z1を得る。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とEDTAのモル比は、1:0.25である。
コーティング組成物Z2
コーティング組成物Z2をコーティング組成物Z1に関して記載された方法と類似の方法で生成するが、ただし、結合剤と架橋剤の水性分散液の添加後に、生成混合物に二フッ化水素アンモニウム0.6g(コーティング組成物の全質量に対してフッ化物200ppmに相当する)をさらに添加する点が相違している。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とEDTAのモル比は、1:0.25である。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とフッ素のモル比は、1:0.87である。
コーティング組成物Z3
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)1.8gを脱イオン水961gに導入して混合物M1を生成する。続いて混合物M1を室温(18〜23°C)で撹拌しながら顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)118gとさらに混合して混合物M2を得る。さらに、混合物M2を酢酸の添加によって酸性化し、次いで室温(18〜23°C)で5日間にわたり撹拌する。続いてこの生成混合物を結合剤と架橋剤の水性分散液886g(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)と混合する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とEDTAのモル比は、1:0.25である。
コーティング組成物Z4
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)9gを脱イオン水2402.5gに導入して混合物M1を生成する。続いて混合物M1を室温(18〜23°C)で撹拌しながら顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)295gとさらに混合して混合物M2を得る。混合物M2を室温(18〜23°C)で20時間にわたり撹拌する。続いてこの生成混合物を結合剤と架橋剤の水性分散液2215g(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)と混合する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とEDTAのモル比は、1:0.5である。
コーティング組成物Z5
コーティング組成物Z5をコーティング組成物Z4に関して記載された方法と類似の方法で生成するが、ただし、EDTAの代わりに、市販の製品Quadrol(N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン)を使用する点が相違している。さらに、結合剤と架橋剤の水性分散液を添加する前に、混合物M2を室温(18〜23°C)で26時間にわたり撹拌し、次いで、結合剤と架橋剤の水性分散液の添加に続いて、生成混合物をpH5.7にするような酢酸量と混合する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とQuadrolのモル比は、1:0.5である。
コーティング組成物Z6
コーティング組成物Z6をコーティング組成物Z4に関して記載された方法と類似の方法で生成するが、ただし、EDTAの代わりに、市販の製品ビシン(N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)を使用する点が相違している。さらに、結合剤と架橋剤の水性分散液を添加する前に、混合物M2を室温(18〜23°C)で26時間にわたり撹拌し、次いで、結合剤と架橋剤の水性分散液の添加に続いて、生成混合物をpH5.7にするような酢酸量と混合する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とBicine(登録商標)のモル比は、1:0.5である。
表1aは、生成した発明のコーティング組成物Z1〜Z6およびまた比較のコーティング組成物V1の概観を提供する。
Figure 0006375385
表1aのそれぞれのpH値および伝導度は、確認される場合18〜23℃の範囲の温度でそれぞれの場合決定される。それぞれのコーティング組成物のpHが後で酸添加によって調整される場合、使用した酸の量は上の表に記載されていない。
コーティング組成物Z7
コーティング組成物Z7を生成するために、乳酸(D−およびL−乳酸の混合物)8.6gを脱イオン水482.4gと混合する。生成混合物を希薄アンモニア水の添加でpH6.0に調整する。この混合物に結合剤と架橋剤の水性分散液(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)443gおよびまた顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)66gを室温(18〜23℃)で撹拌しながら添加および混合する。さらなる使用の前に、生成コーティング組成物を18〜23℃で24時間にわたり貯蔵する。
コーティング組成物Z8
コーティング組成物Z8を生成するために、乳酸(D−およびL−乳酸の混合物)2.7gを脱イオン水488.3gと混合する。この混合物に結合剤と架橋剤の水性分散液(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)443gおよびまた顔料ペースト(固体含量65.0質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)66gを室温(18〜23℃)で撹拌しながら添加および混合する。さらなる使用の前に、生成コーティング組成物を18〜23℃で24時間にわたり貯蔵する。
コーティング組成物Z10
コーティング組成物Z10をコーティング組成物Z4に関して記載された方法と類似の方法で生成するが、ただし、EDTAの代わりに、THEED(N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシエチルエチレン−ジアミン)7.27gを使用する点が相違している。さらに、結合剤と架橋剤の水性分散液を添加する前に、混合物M2を室温(18〜23°C)で23時間にわたり撹拌する。さらに、結合剤と架橋剤の水性分散液の添加に続いて、酢酸を使用してpH5.7に設定する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とTHEEDのモル比は、1:0.5である。
コーティング組成物Z11
コーティング組成物Z11をコーティング組成物Z4に関して記載された方法と類似の方法で生成するが、ただし、EDTA9gの代わりに、EDTA18gを使用する点が相違している。さらに、結合剤と架橋剤の水性分散液を添加する前に、混合物M2を室温(18〜23°C)で25時間にわたり撹拌する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とEDTAのモル比は、1:1である。
コーティング組成物Z12
コーティング組成物Z12を、コーティング組成物Z6にビシン(N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)のさらなる15.06gを添加することによって生成する。さらに、酢酸を添加することによってpH5.55に設定する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とBicine(登録商標)のモル比は、1:2である。
表1bは、生成した発明のコーティング組成物Z7、Z8およびZ10〜Z12の概観を提供する。
Figure 0006375385
表1bのそれぞれのpH値および伝導度は、確認される場合18〜23℃の範囲の温度でそれぞれの場合決定される。それぞれのコーティング組成物のpHが続いて酸添加によって調整される場合、使用した酸の量は上の表に記載されていない。
コーティング組成物Z13
ビシン(N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)60.24gを脱イオン水2564gに導入して混合物M1を生成する。続いて混合物M1を室温(18〜23°C)で撹拌しながら顔料ペースト(固体含量65質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)800)306gとさらに混合して混合物M2を得る。次いで室温(18〜23°C)で22時間にわたり撹拌する。続いてこの生成混合物を結合剤と架橋剤の水性分散液(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)800)2130gと混合する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とBicineのモル比は、1:6である。
コーティング組成物Z14
THEED87.26gを脱イオン水2564gに導入して混合物M1を生成し、混合物M1のpHを酢酸の添加によって5.7に調整する。続いて混合物M1に室温(18〜23°C)で撹拌しながら顔料ペースト(固体含量65質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)306gを混合して混合物M2を得る。混合物M2を室温(18〜23°C)で22時間にわたり撹拌する。その後この生成混合物を結合剤と架橋剤の水性分散液(固体含量37.5質量%でBASFから市販の製品CathoGuard(登録商標)520)2130gと混合する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とTHEEDのモル比は、1:6である。
コーティング組成物Z15
コーティング組成物Z15をコーティング組成物Z13に関して記載された方法と類似の方法で生成するが、ただし、ビシンの代わりに、Quadrol53.99gを使用し、顔料ペーストの添加に続いて、混合物M2のpHを乳酸の添加によって5.68に調整する点が相違している。さらに、結合剤と架橋剤の水性分散液の添加に続いて、pHを乳酸の使用によって5.7に再度調整する。コーティング組成物中のビスマス(金属として計算された)とQuadrol(登録商標)のモル比は、1:3である。
表1cは、生成した発明のZ13〜Z15の概観を提供する。
Figure 0006375385
表1cのそれぞれのpH値および伝導度は、18〜23℃の範囲の温度でそれぞれの場合決定される。
これらを生成した後、かくして生成したコーティング組成物Z1〜Z8、Z10〜Z15、およびV1のそれぞれをディップコーティング浴内に導入する。コーティング組成物Z2、Z3、Z5、Z6、およびZ10〜Z12を60分間にわたり18〜23℃の範囲の温度で限外ろ過し、次いで、限外ろ過液中の金属として計算されたビスマス含量mg/Lの決定を上に記載の方法にしたがって原子発光分光法(ICP−OES)によって実施した。対応する値を表1dに再現する。
Figure 0006375385
2.発明の水性コーティング組成物のうちの一つまたは比較のコーティング組成物V1によりコートされた導電性基材の生成
水性コーティング組成物Z1〜Z8およびZ10〜Z15およびまたV1それぞれを、ディップコーティングとして多様な基材に施用した。組成物Z1〜Z8およびZ10〜Z15およびV1それぞれを、上で記載したように生成した直後に多様な基材に施用した。
3種類の試験用金属パネルをZ1〜Z6、Z10〜Z15、およびV1用として使用したが、これらは、導電性基材の例としてT1(熱間ディップ亜鉛メッキ鋼(HDG))およびT2(アルミニウム(ALU))およびまたT3(冷間圧延鋼(CRS))である。使用したそれぞれのパネルのそれぞれの2面は、面積が10.5cm・19cmであり、全体の面積が約400cmである。組成物Z7またはZ8のうちの一つでコートした、使用した試験用金属パネルT1、T2、およびT3のそれぞれの2面は、対照的に面積が4cm・10cmであり、全体の面積が80cmである。
最初に、それぞれの場合、これらのパネルを温度62℃で1.5〜3分間、ヘンケルからの市販の製品Ridoline 1565−1(3.0質量%)とRidosol 1400−1(0.3質量%)とまた水(96.7質量%)とを含む水溶液を含む浴内に浸漬することによって清浄化する。これに、機械による清浄化(微細ブラシを使用する)が続き、その後にパネルを1.5分間浴内に再度浸漬する。
このようにして清浄化した基材を続いて水(1分間)および脱イオン水(1分間)ですすぐ。
その直後に、発明で用いた水性コーティング組成物Z1〜Z8およびZ10〜Z15、およびまたV1のうちの一つを、それぞれ、それぞれのパネルT1、T2、およびT3に施用するが、それぞれのパネルを組成物Z1〜Z8およびZ10〜Z15のうちの一つを含む対応するディップコーティング浴に浸漬する。本明細書のディップコーティング浴は、それぞれ温度30℃または32℃(それぞれZ1〜Z6およびZ10〜Z15およびV1の場合32℃;それぞれZ7〜Z8の場合30℃を有する。
ディップコーティング浴中のコーティングを、2段階析出工程およびコーティングによって実施するが、これは2段階(1a)および(1b)を提供し、第一に、等電流的に0.02〜0.32Aの範囲の電流強度、または等電位的に電圧4Vをそれぞれの場合120秒間(段階(1a)に対応して)印加してビスマスを予備析出させる。さらに、ある種の場合、規定の電流強度における析出時間は、変動する。あるいは、段階(1a)のように120秒間にわたる無電解析出をある種の場合比較例として実施する。工程の段階(1a)によるこの予備ビスマス析出の結果を、表2a〜2oに以下で示す。それぞれの場合の本明細書におけるビスマス含量を、蛍光X線(XFA)の上記の決定法にしたがって決定する。
表2a〜2o:
Figure 0006375385
Figure 0006375385
Figure 0006375385
Figure 0006375385
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Figure 0006375385
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Figure 0006375385
Figure 0006375385
Figure 0006375385
Figure 0006375385
続いて、段階(1a)後に得られた基材の一部に対して、本発明の方法の工程(1)の段階(1b)が、等電位的に電圧4Vまたは等電流的に0.12〜0.28Aの範囲の電流強度いずれかの印加によって実施され、それぞれが、傾斜電圧によってそれぞれの場合10秒間にわたり、220〜260Vの領域の電圧まで段階(1b)の過程を通じて連続的および直線的に上昇する。次いで、このそれぞれの電圧を80〜140秒の範囲の間(保持時間)保持してそれぞれのコーティング組成物により乾燥膜厚20μmにおいてそれぞれの基材をコートする。
詳細には、組成物V1、Z3、Z6、Z11、Z12、またはZ13のうちの一つで基材T2またはT3をコートする場合、以下のパラメータを選択する:
V1:
段階(1a):120秒にわたり4V(等電位的に)
段階(1b):傾斜電圧:10秒間にわたり電圧260Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間60秒
Z3:
段階(1a):120秒にわたり0.26A(等電流的に)
段階(1b):傾斜電圧:10秒間にわたり電圧220Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間120秒
Z6:
段階(1a):120秒にわたり0.22A(等電流的に)
段階(1b):傾斜電圧:10秒間にわたり電圧240Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間120秒
Z11:
段階(1a):120秒にわたり0.28A(等電流的に)
段階(1b):傾斜電圧:10秒間にわたり電圧240Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間120秒
Z12:
段階(1a):120秒にわたり0.12A(等電流的に)
段階(1b):傾斜電圧:10秒間にわたり電圧240Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間90秒
Z13:
段階(1a):120秒にわたり0.15A(等電流的に)
段階(1b):傾斜電圧:10秒間にわたり電圧250Vまでの直線的増加およびこの電圧における保持時間120秒
さらに、本明細書での工程(1)は、ディップコーティング浴温度34℃で実施される。
それぞれの場合、その後に続くベーキング工程は、それぞれの場合25分間175℃(オーブン温度)で生成コーティングをベークすることによって実施される。それぞれの基材上にベークされる本発明の水性コーティング組成物の乾燥膜厚は、それぞれの場合20μmである。
3.コートされた基材の耐食性効果の調査
コーティング組成物V1、Z3、Z6、Z11、Z12、またはZ13のうちの一つでコートされた基材T2またはT3が調査される。
以下の試験はすべて前述の決定法および/または対応する標準にしたがって実施した。表3aおよび3b中のそれぞれの値は、二重または三重の決定の平均値(標準偏差を含む)である。
Figure 0006375385
Figure 0006375385
表3aおよび3bから知見できるように、本発明の水性コーティング組成物を用いて本発明の方法によってコートされた基材は、一貫して、比較のコーティング組成物でコートされた基材に比較して改善された耐食効果を示す。

Claims (15)

  1. 導電性基材を電着材料で少なくとも部分的にコートするための方法であって、
    少なくとも工程(1):
    (1)カソードとして接続された導電性基材を
    (A1)少なくとも1つのカソード析出性の結合剤、および
    (A2)任意に少なくとも1つの架橋剤
    を含む水性コーティング組成物(A)に接触させる工程を含み、
    水性コーティング組成物(A)は、4.0〜6.5の範囲のpHを有し、
    (A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも30ppmのビスマス、および
    (A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス
    を含む、コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも130ppmのビスマスを含み、
    (A5)ビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤をさらに含み、
    少なくとも1つの錯化剤(A5)が、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量に対して少なくとも5モル%の割合で水性コーティング組成物(A)中に存在し、
    工程(1)が少なくとも2つの連続する段階(1a)および(1b):
    (1a)少なくとも5秒間にわたり印加される1〜50Vの範囲の印加電圧での段階、および
    (1b)50〜400Vの範囲の印加電圧での段階であり、ただし、段階(1b)で印加される電圧が段階(1a)で印加される電圧より少なくとも10V大であることを条件とする段階で実施され
    コーティング組成物(A)が、任意に成分(A1)および/または(A2)の少なくとも1つの存在下で、少なくとも1つの水不溶性ビスマス化合物を、この化合物とビスマスを錯化するのに適した少なくとも1つの少なくとも二座の錯化剤(A5)との部分反応によって、水中で部分的に転換して少なくとも1つの水溶性ビスマス化合物(A3)にしてコーティング組成物(A)の少なくとも成分(A3)、(A4)、および(A5)ならびに任意に(A1)および/または(A2)を含む混合物を得、
    任意に生成混合物を少なくとも成分(A1)および任意に成分(A2)と混合してコーティング組成物(A)を得ることによって取得可能である方法。
  2. 析出電流密度が少なくとも1A/mになるように電圧が段階(1a)で印加される、請求項1に記載の方法。
  3. 段階(1a)で印加される電圧が少なくとも5〜300秒の範囲にわたり印加される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 50〜400Vの範囲で段階(1b)で印加される電圧が、段階(1a)を実行した後に0〜300秒の時間間隔で実施され、前記50〜400Vの電圧範囲内の値で10〜300秒の範囲の間維持される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. コーティング組成物(A)が、
    (A3)コーティング組成物(A)中に溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも100ppmのビスマス、および
    (A4)コーティング組成物(A)中に非溶液の形態でコーティング組成物(A)の全質量に対して少なくとも200ppmのビスマス
    を含む、
    コーティング組成物(A)の全質量に対して全量で少なくとも300ppmのビスマスを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量内の成分(A4)のモル%の割合が成分(A3)のモル%の割合超である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全量が少なくとも500ppm〜20000ppmの範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 成分(A4)が、ビスマスの酸化物、塩基性酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性硝酸塩、サリチル酸塩、および塩基性サリチル酸塩、ならびにまたその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのビスマス化合物から取得可能である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 成分(A3)および(A5)が、コーティング組成物(A)中で成分(A3)および(A5)の錯体および/または塩の形態で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 成分(A5)が、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、N,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンおよびN,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミンからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記水不溶性ビスマス化合物は、少なくとも1つの顔料(A6)を含む顔料ペーストの一部である、請求項1に記載の方法。
  12. 水性コーティング組成物(A)中に存在する少なくとも1つのアミノポリカルボン酸のモル割合は、コーティング組成物(A)中に存在するビスマスの全モル量の、好ましくは、少なくとも1/15未満である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって取得可能な少なくとも部分的にコートされた導電性基材。
  14. 請求項13に記載の少なくとも1つの基材から生成される物品または部品。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法の実行中にコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)の濃度を設定および/または維持するための方法であって、
    事前選択された時間間隔で、コーティング組成物(A)の全質量に対するコーティング組成物(A)中の成分(A3)および/または(A4)のppm割合が決定され、ならびに
    成分(A3)のppm割合がコーティング組成物(A)中のこの成分に対する事前選択された設定値より低くなる前にコーティング組成物(A)中の成分(A5)の割合が増加されるか、
    または成分(A4)のppm割合がコーティング組成物(A)中のこの成分に対する事前選択された設定値より低くなる前にコーティング組成物(A)中の成分(A4)の割合が増加される、方法。
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