JP6375192B2 - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents

樹脂組成物および樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、青色光を適切に除去(カット)するのに好適な樹脂組成物、および樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体に関する。
光源の一種であるLED(Light Emitting Diode)照明は、長寿命、低消費電力であり、蛍光灯のように水銀を使用することが無いために環境汚染を生じない等の特徴から、各種機器、例えば、各種照明機器、或いはパソコンや携帯電話、タブレット等の各種表示機器の液晶パネルのバックライト等に幅広く用いられるようになっている。LED照明は、明るさを出すために450nmの波長を中心とした(波長400nm〜500nmの)青色光(ブルーライト)を多く発生するようになっており、それゆえ、他の光である黄−緑光および赤色光よりも光量が多い。例えば、昼光色(5000K)用途のLED照明では、青色光の光量は、他の光の光量と比較して約30%多い。この青色光は、高エネルギー可視光線と称され、加齢黄班変性の原因であると言われる等、昨今、眼(網膜)への傷害が問題となっている。LED照明を使用するPC(Personal Computer)や携帯電話等の画面を長時間見続けると眼に傷害を起こすのは、青色光が原因である。
そこで、青色光を適切に除去(カット)して眼を保護するための方法として、下記方法が知られている。
・青色光吸収特性を有する反応性染料をシリコーン樹脂と反応させて、保護層を有するコンタクトレンズ等の眼内レンズを得る方法(特許文献1)
・アゾ系黄色染料をアクリル樹脂と反応させて、保護層を有する眼内レンズを得る方法(特許文献2)
・青色光吸収特性を有する反応性染料をアクリル樹脂と反応させて、保護層を有するコンタクトレンズ等の眼内レンズを得る方法(特許文献3)
・黄色或いは橙色のソルベントカラー(油溶性染料)やディスパースカラー(分散染料)をアクリル樹脂或いはシリコーン樹脂に添加し、着色して、保護層を有する青視症補正用眼内レンズを得る方法(特許文献4)
・青色光を除去、反射する成分(金属酸化物)を表面に蒸着させて、保護層を有するPC用レンズを得る方法(特許文献5)。
即ち、従来の方法として、樹脂と反応する性質を備えた特定の染料を使用したり、アクリル樹脂やシリコーン樹脂に油溶性の黄色染料を添加したりすることで、有害な青色光を適切に除去する方法が知られている。
特表2007−504855 特開2012−40401 特表2001−517324 特開平7−24052 特開2013−97160
しかしながら、樹脂と反応する性質を備えた特定の染料を使用する場合には、樹脂着色物を作製するのに手間が掛かって煩雑であり、得られる眼内レンズ等は高価となるため、経済的な問題点を有している。また、使用することができる染料は、樹脂と反応する性質を備えた特定の染料に限定される。
一方、油溶性の黄色染料をアクリル樹脂等に用いると、青色光を適切に除去することはできるものの、着色された樹脂組成物は眼に対する感度の高い強い黄色を呈する。このため、最終製品が劣化していると消費者に認識され、好まれないため実用的ではない。それゆえ、黄色を感じさせない、透明な自然色の樹脂組成物で青色光を適切に除去することが強く要求されている。
即ち、光源の一種であるLED照明において多く発生している、450nmの波長を中心とした青色光(ブルーライト)を適切に除去(カット)しつつ、黄色を殆ど感じさせない、透明な自然色の樹脂組成物、および当該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体が求められている。
本発明は上記課題を考慮してなされたものであり、その主たる目的は、自然な色調を損なわないで青色光(ブルーライト)を適切に除去(カット)することができる樹脂組成物、および当該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る樹脂組成物は、樹脂と染料とを含む樹脂組成物であって、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%であり、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、L***表色系におけるb*値が10.0以下であることを特徴としている。
上記樹脂組成物は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%であることがより好ましい。
上記樹脂組成物は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、L***表色系におけるb*値が4.0以下であることがより好ましい。
上記樹脂組成物は、上記染料が、油溶性染料および/または分散染料であることがより好ましい。
上記樹脂組成物は、上記染料が、黄色染料と、紫色染料、青色染料および赤色染料のうちの少なくとも2種類の染料とが配合されてなることがより好ましい。
上記樹脂組成物は、上記染料が、C.I.ソルベント イエロー157、C.I.ソルベント イエロー33、C.I.ディスパース イエロー160、C.I.ソルベント バイオレット13、C.I.ディスパース バイオレット28、C.I.ソルベント ブルー104、C.I.ソルベント レッド135、C.I.ソルベント レッド145、C.I.ソルベント レッド179、C.I.ディスパース レッド60、およびC.I.ディスパース レッド191からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
上記樹脂組成物は、上記樹脂が、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、またはポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る樹脂成形体は、上記樹脂組成物を成形してなることを特徴としている。
さらに、本発明は、上記樹脂成形体と、基材とを積層してなる積層体、並びに、上記樹脂成形体を含む各種照明機器、レンズおよび各種表示機器も包含する。
上記樹脂組成物は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1〜3mmの場合に、消費者に黄色を感じさせない、殆ど無色〜淡いグレー色ないしは淡いオリーブ色となる。従って、本発明によれば、自然な色調を損なわないで青色光(ブルーライト)を適切に除去(カット)することができる樹脂組成物、および当該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。尚、本出願において、「A〜B」とは、A以上、B以下であることを示している。
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂と染料とを含む樹脂組成物であって、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%であり、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、L***表色系におけるb*値が10.0以下である構成である。
<樹脂>
本発明における樹脂は、好ましくは透明性を備えた樹脂である。透明性を備えた樹脂とは、光、特に可視光を透過し得る透光性を備えた樹脂を指す。そして、透光性とは、波長380〜780nmの光線に対する透過率(視感透過率)が70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である特性を指す。即ち、本発明における樹脂は、視感透過率が好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である樹脂を指す。上記視感透過率は、公知の方法で容易に測定することができる。
尚、本発明に係る樹脂組成物をフィルム状の樹脂成形体に成形加工する場合や、樹脂組成物を溶剤に溶解してなる溶液を基材に塗布して乾燥させることによって積層体を製造する場合には、樹脂の視感透過率は、より高い(より透明である)ことが望ましい。
上記樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、およびポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
ポリスチレンとしては、市販のポリスチレンを用いることができ、具体的には、例えば、PSJポリスチレン(登録商標)HF77(PSジャパン株式会社製)等が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、および脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられる。このうち、芳香族ポリカーボネートがより好ましい。また、市販のポリカーボネートを用いることができ、具体的には、例えば、マクロロン(登録商標)2405(バイエルマテリアルサイエンス株式会社製)等が挙げられる。
ポリアクリレートとしては、具体的には、例えば、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、およびステアリルアクリレート等のモノマーの重合体、これらモノマーの共重合体、或いは、これらモノマーの少なくとも一種類と、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤との共重合体等が挙げられる。
ポリメタクリレートとしては、具体的には、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリ2−エチルヘキシルメタクリレート、ポリノニルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、およびポリステアリルメタクリレート、或いは、これらポリメタクリレートを構成するモノマーの少なくとも一種類と、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤との共重合体等が挙げられる。このうち、ポリメチルメタクリレートがより好ましい。また、市販のポリメタクリレートを用いることができ、具体的には、例えば、デルペット(登録商標)60N(旭化成株式会社製)等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、およびポリエステルがより好ましく、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、およびポリエチレンテレフタレートがさらに好ましい。これら樹脂は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
<染料>
本発明における染料は、上記樹脂と均一に混合または分散させることができ、かつ当該樹脂の成形温度に耐え得る(耐熱性を備えた)染料であればよく、特に限定されるものではないが、ソルベントカラー(油溶性染料)、およびディスパースカラー(分散染料)がより好ましい。また、本発明における染料は、黄色染料と、紫色染料、青色染料および赤色染料のうちの少なくとも2種類の染料とを、その成分(色素)として配合されてなることがより好ましい。以下、各成分に関して説明する。
<黄色染料>
黄色染料としては、カラーインデックス(C.I.)に記載されている、C.I.ソルベント イエロー(Solvent Yellow)、C.I.ソルベント オレンジ(Solvent Orange)、およびC.I.ソルベント グリーン(Solvent Green)等の油溶性染料、並びに、C.I.ディスパース イエロー(Disperse Yellow)、およびC.I.ディスパース オレンジ(Disperse Orange)等の分散染料、等が挙げられる。
C.I.ソルベント イエローとしては、具体的には、例えば、C.I.ソルベント イエロー16、C.I.ソルベント イエロー29、C.I.ソルベント イエロー33、C.I.ソルベント イエロー44、C.I.ソルベント イエロー56、C.I.ソルベント イエロー77、C.I.ソルベント イエロー93、C.I.ソルベント イエロー3、C.I.ソルベント イエロー14、C.I.ソルベント イエロー104、C.I.ソルベント イエロー105、C.I.ソルベント イエロー110、C.I.ソルベント イエロー112、C.I.ソルベント イエロー113、C.I.ソルベント イエロー114、および、C.I.ソルベント イエロー157等が挙げられる。
C.I.ソルベント オレンジとしては、具体的には、例えば、C.I.ソルベント オレンジ60、C.I.ソルベント オレンジ67、C.I.ソルベント オレンジ68、C.I.ソルベント オレンジ79、C.I.ソルベント オレンジ80、およびC.I.ソルベント オレンジ86等が挙げられる。
C.I.ソルベント グリーンとしては、具体的には、例えば、C.I.ソルベント グリーン5等が挙げられる。
C.I.ディスパース イエローとしては、具体的には、例えば、C.I.ディスパース イエロー54、およびC.I.ディスパース イエロー160等が挙げられる。
C.I.ディスパース オレンジとしては、具体的には、例えば、C.I.ディスパース オレンジ47等が挙げられる。
これら黄色染料のうち、C.I.ソルベント イエロー157、C.I.ソルベント イエロー114、C.I.ソルベント イエロー93、C.I.ソルベント イエロー33、C.I.ソルベント イエロー16、C.I.ソルベント グリーン5、C.I.ディスパース イエロー54、およびC.I.ディスパース イエロー160がより好ましく、C.I.ソルベント イエロー157、C.I.ソルベント イエロー33、およびC.I.ディスパース イエロー160がさらに好ましく、C.I.ソルベント イエロー33、およびC.I.ディスパース イエロー160が特に好ましい。これら黄色染料は、可視光である波長400nm〜500nmの青色光を吸収し、かつ、水晶体の紫外線吸収領域である波長300〜400nmの光を同時に吸収することができるという利点を有しているため、特に好適である。
<紫色染料>
紫色染料としては、カラーインデックス(C.I.)に記載されている、C.I.ソルベント バイオレット等の油溶性染料、および、C.I.ディスパース バイオレット等の分散染料、等が挙げられる。
C.I.ソルベント バイオレットとしては、具体的には、例えば、C.I.ソルベント バイオレット13等が挙げられる。
C.I.ディスパース バイオレットとしては、具体的には、例えば、C.I.ディスパース バイオレット28等が挙げられる。
これら紫色染料のうち、C.I.ディスパース バイオレット28がより好ましい。
<青色染料>
青色染料としては、カラーインデックス(C.I.)に記載されている、C.I.ソルベント ブルー等の油溶性染料、および、C.I.ディスパース ブルー等の分散染料、等が挙げられる。
C.I.ソルベント ブルーとしては、具体的には、例えば、C.I.ソルベント ブルー104、C.I.ソルベント ブルー35、およびC.I.ソルベント ブルー36等が挙げられる。
これら青色染料のうち、C.I.ソルベント ブルー104がより好ましい。
<赤色染料>
色相を調整するために用いる赤色染料としては、カラーインデックス(C.I.)に記載されている、C.I.ソルベント レッド等の油溶性染料、および、C.I.ディスパース レッド等の分散染料、等が挙げられる。
C.I.ソルベント レッドとしては、具体的には、例えば、C.I.ソルベント レッド135、C.I.ソルベント レッド145、C.I.ソルベント レッド179、C.I.ソルベント レッド151、およびC.I.ソルベント レッド52等が挙げられる。
C.I.ディスパース レッドとしては、具体的には、例えば、C.I.ディスパース レッド60、およびC.I.ディスパース レッド191等が挙げられる。
これら赤色染料のうち、C.I.ソルベント レッド135、C.I.ソルベント レッド145、C.I.ソルベント レッド179、C.I.ディスパース レッド60、およびC.I.ディスパース レッド191がより好ましく、C.I.ソルベント レッド179、およびC.I.ディスパース レッド60がさらに好ましい。
そして、本発明においては、上記染料が、C.I.ソルベント イエロー157、C.I.ソルベント イエロー33、C.I.ディスパース イエロー160、C.I.ソルベント バイオレット13、C.I.ディスパース バイオレット28、C.I.ソルベント ブルー104、C.I.ソルベント レッド135、C.I.ソルベント レッド145、C.I.ソルベント レッド179、C.I.ディスパース レッド60、およびC.I.ディスパース レッド191からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
<組み合わせ、配合量>
上記黄色染料、紫色染料、青色染料および赤色染料の組み合わせおよび配合量は、青色光を適切に除去することができ、かつ、L***表色系におけるb*値を特定の値以下にすることができる組み合わせおよび配合量であればよく、特に限定されるものではない。
本発明における染料は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%となるように、より好ましくは、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%となるように、黄色染料と、紫色染料、青色染料および赤色染料のうちの少なくとも2種類の染料とが配合される。尚、上記青色光の除去率が30%を超えると、明るさを出すための青色光を除去し過ぎることになるので、樹脂組成物や樹脂成形体を透過した光の明るさが失われてしまう。
さらに、本発明における染料は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、L***表色系におけるb*値が10.0以下となるように、より好ましくは、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、L***表色系におけるb*値が4.0以下となるように、黄色染料と、紫色染料、青色染料および赤色染料のうちの少なくとも2種類の染料とが配合される。
即ち、本発明における染料は、少なくとも、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%となるように、かつ、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、L***表色系におけるb*値が10.0以下となるように、黄色染料と、紫色染料、青色染料および赤色染料のうちの少なくとも2種類の染料とが配合される。
より好ましくは、樹脂がポリスチレンである場合には、本発明における染料は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、上記b*値が2.0以下となるように、或いは、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、上記b*値が5.0以下となるように、樹脂に配合される。
また、より好ましくは、樹脂がポリカーボネートである場合には、本発明における染料は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、上記b*値が4.0以下となるように、或いは、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが2mmの場合に、上記b*値が7.0以下となるように、樹脂に配合される。
また、より好ましくは、樹脂がポリメチルメタクリレートである場合には、本発明における染料は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、上記b*値が3.5以下となるように、或いは、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが2mmの場合に、上記b*値が6.0以下となるように、樹脂に配合される。
黄色染料、紫色染料、青色染料および赤色染料の特に好ましい組み合わせは、C.I.ソルベント イエロー33またはC.I.ディスパース イエロー160と、C.I.ディスパース バイオレット28と、C.I.ソルベント ブルー104と、必要に応じて色相を調整する赤色染料との組み合わせである。そして、本発明においてさらに好ましい染料は、C.I.ソルベント イエロー33またはC.I.ディスパース イエロー160が20〜40質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が10〜40質量%、C.I.ソルベント ブルー104が30〜40質量%、および赤色染料が0〜20質量%の割合で配合された(但し、合計は100質量%である)混合物である。
さらに、本発明において最も好ましい染料は、(1) C.I.ディスパース イエロー160が30%、C.I.ディスパース バイオレット28が35%、C.I.ソルベント ブルー104が35%の割合で配合された(但し、合計は100質量%である)混合物;(2) C.I.ディスパース イエロー160が20質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が40質量%、C.I.ソルベント ブルー104が35質量%、C.I.ソルベント レッド179が5質量%の割合で配合された(但し、合計は100質量%である)混合物;(3) C.I.ソルベント イエロー33が35質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が35質量%、C.I.ソルベント ブルー104が30質量%の割合で配合された(但し、合計は100質量%である)混合物;および、(4) C.I.ソルベント イエロー33が35質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が10質量%、C.I.ソルベント ブルー104が40質量%、C.I.ディスパース レッド60が15質量%の割合で配合された(但し、合計は100質量%である)混合物;であり、これら例示のうちでも、上記(3) および(4) で示される混合物が特に好ましい。
色相を表現するL***表色系(国際照明学会CIEで規定)におけるb*値(黄味/青味)を特定の値以下(下限値は「0」)にすることにより、上記樹脂組成物は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1〜3mmの場合に、目視の色相が、消費者に黄色を感じさせない、殆ど無色〜淡いグレー色ないしは淡いオリーブ色となる。従って、本発明によれば、自然な色調を損なわないで青色光(ブルーライト)を適切に除去(カット)することができる樹脂組成物を提供することができる。
黄色染料と、紫色染料、青色染料および赤色染料のうちの少なくとも2種類の染料とが係る割合で配合されてなる染料を含む樹脂組成物は、自然な色調を損なわずに、青色光を適切に除去することができる。
樹脂に対する染料の添加量は、樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体の厚さに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂100質量部に対して、通常、0.0005〜0.05質量部(樹脂に対する染料の添加量が0.0005〜0.05質量%)であり、より好ましくは0.001質量部である。また、樹脂成形体の厚さが1mmの場合には、染料の添加量は、0.001〜0.005質量部であることが好ましく、0.001〜0.003質量部であることがより好ましい。さらに、樹脂成形体の厚さが100μm(フィルム状)の場合には、染料の添加量は、0.1〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.05質量部であることがより好ましく、0.01〜0.03質量部であることがさらに好ましい。
<樹脂組成物>
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂に染料を均一に混合または分散させることによって製造することができる。具体的には、例えば、加熱溶融させた樹脂に染料を加え、混合または分散させて着色加工する方法、樹脂を構成するモノマーまたはその溶液に染料を加えて混合または分散させた後、モノマーを重合させる方法、等が挙げられる。つまり、染料は、ペレット状等の固形の樹脂を加熱溶融させた後、溶融樹脂に添加して混練することにより混合または分散させてもよく、モノマーの重合前や重合時に添加して混合または分散させてもよく、或いは、樹脂を溶剤に溶解してなる溶液に添加して混合または分散させてもよい。染料を溶融樹脂に添加して混練する場合の混練温度は、樹脂の融点に応じて適宜調整すればよいが、通常、100〜350℃である。また、混練時間は、通常、2〜5分間である。尚、染料を樹脂の溶液に添加する場合には、混合または分散させた後、溶剤を除去すればよい。
上記樹脂組成物は、樹脂および染料の他に、必要に応じて、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。樹脂組成物が紫外線吸収剤を含むことにより、水晶体の紫外線吸収領域である波長300〜400nmの光を吸収することができるので、眼(網膜)に対して有害な光線をより低減することができる。
上記紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(チヌビン(登録商標)326)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チヌビン(登録商標)P)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チヌビン(登録商標)320)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(チヌビン(登録商標)327)、および2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(チヌビン(登録商標)328)(何れも日本チバガイギー株式会社製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、およびp−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;等が挙げられる。
樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量は、樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体の厚さや用途に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂100質量部に対して、通常、0.5〜0.001質量部(樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量が0.5〜0.001質量%)であり、より好ましくは0.05〜0.001質量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.001質量部である。
<樹脂成形体>
本発明に係る樹脂成形体は、上記樹脂組成物を成形してなる。樹脂組成物の成形方法や加工方法は、上述した樹脂の公知の成形方法や加工方法を採用することができ、特に限定されるものではない。成形方法としては、例えば、射出成型機等の一般的な成型機を用いた溶融成形法が挙げられる。
樹脂組成物を樹脂成形体に成形加工することにより、青色光の適切な除去を必要とする種々の製品を製造することができる。樹脂成形体としては、具体的には、例えば、各種照明機器のフード、眼鏡等のレンズ、或いはパソコンや携帯電話、タブレット等の各種表示機器の液晶パネルの表示画面等が挙げられる。
また、用途に応じて、樹脂組成物をフィルム状の樹脂成形体に成形加工してもよい。樹脂組成物をフィルム状の樹脂成形体に成形加工することにより、基材と積層して積層体を製造することができる。フィルム状の樹脂成形体の厚さは、用途に応じて設定すればよいが、1mm以下であることが好ましい。本発明における基材は、好ましくは透明性を備えた基材であり、より好ましくは上述した視感透過率が70%以上の基材を指す。上記基材としては、具体的には、例えば、本発明における樹脂を成形してなる成形体、ガラス等が挙げられる。また、上記基材として、既存の各種照明機器のフード、眼鏡等のレンズ、或いは各種表示機器の液晶パネルの表示画面等を用いることもできる。つまり、フィルム状の樹脂成形体をこれら既存の基材に保護層として積層することにより、青色光の除去機能を有する照明機器や眼鏡、表示機器等を容易に得ることができる。フィルム状の樹脂成形体と基材との積層は、例えば接着剤を介して行うことができる。
また、本発明に係る樹脂組成物を溶剤に溶解してなる溶液を、基材に塗布して乾燥させることにより、基材の表面をコーティングした積層体を製造することもできる。つまり、例えば、樹脂組成物の溶液を既存の基材に塗布して乾燥させて層状の樹脂成形体を形成することにより、青色光の除去機能を有する照明機器や眼鏡、表示機器等を容易に得ることができる。
樹脂成形体の具体例としては、LED照明のカバーとして好適な、アクリル樹脂に染料を0.002〜0.003質量%添加してなる、厚さ2〜3mmの板状の樹脂成形体;LED照明管等のカバーとして好適な、ポリエチレンテレフタレート(PET)に染料を0.02〜0.04質量%添加してなる、厚さ100μm程度のフィルム状の樹脂成形体;ポリカーボネート(PC)の保護フィルムや、携帯電話等の各種表示機器の表示画面の保護フィルムとして好適な、アクリル樹脂のメチルエチルケトン(MEK)溶液に染料をアクリル樹脂に対して1〜2質量%溶解してなる溶液を、PETフィルムの表面に塗布して厚さ3μm程度の膜としたフィルム状の樹脂成形体;が挙げられる。
本発明に係る樹脂成形体における波長400nm〜500nmの青色光の除去率は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、10〜30%であり、より好ましくは20%〜30%である。また、波長510nm〜580nmの黄色光の除去率は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、好ましくは12%〜25%であり、より好ましくは15%〜23%である。
また、本発明に係る樹脂成形体におけるL***表色系におけるb*値は、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、10.0以下であり、より好ましくは、樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、4.0以下である。
青色光の除去率、およびL***表色系におけるb*値を上記範囲にすることにより、自然な色調を損なわないで青色光(ブルーライト)を適切に除去(カット)することができる樹脂組成物、および当該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体を提供することができる。本発明に係る樹脂組成物、および当該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体は、それ自身が自然な色調を呈し、かつ、それを透過する光も自然な色調を呈する。上記青色光の除去率、およびL***表色系におけるb*値は、染料における黄色染料、紫色染料、青色染料および赤色染料の配合比や、樹脂成形体の厚さを調整することによって容易に調整することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
<青色光の透過率、および色相、明度、彩度の測定>
樹脂成形体であるプレートの、波長400nm〜500nmの青色光の透過率および波長400nm〜700nmの光の透過率を、分光光度計(UV−3101PC、株式会社島津製作所製、光源:WIランプ、D2ランプ、Ref:空気)を用いて測定した。
そして、青色光の平均透過率から、青色光の平均除去率を算出した。また、波長400nm〜700nmの光の透過率から、L***表色系における測色値であるL*値、a*値、およびb*値を算出することにより、色相、明度および彩度を数値化した。また、目視の色相も確認した。
〔実施例1〕
樹脂としてポリスチレン(PSJポリスチレンHF77(PSジャパン株式会社製))1000gを用いた。この樹脂に、染料としてスミプラスト(登録商標)オリーブMR−G(C.I.ディスパース イエロー160(C.I.Disperse Yellow 160) が30質量%、C.I.ディスパース バイオレット28(C.I.Disperse Violet 28) が35質量%、C.I.ソルベント ブルー104(C.I.Solvent Blue 104) が35質量%の混合物)(住化ケムテックス株式会社製)0.01g(樹脂に対する染料の添加量は0.001%)を加え、タンブラーを用いて5分間混合して樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて成型温度200℃、2分間のサイクルの成型条件で成型し、樹脂成形体として2段階の厚さ(3mm、1mm)を有するプレートを作製した。
そして、作製したプレートにおける青色光の透過率、および色相、明度、彩度を上述の方法で測定した。結果を表1に示す。プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで14.4%、厚さ3mmで21.4%)することができた。また、赤色味/緑色味を示すa*値、および黄色味/青色味を示すb*値は何れも小さく、黄色味は殆ど示さなかった。目視の色相は、厚さ1mmではほぼ無色であり、厚さ3mmでは極淡いグレー色であった。
〔実施例2〕
染料を、スミプラストオリーブMR−Gから、スミプラスト(登録商標)オリーブMR−K(C.I.ディスパース イエロー160が20質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が40質量%、C.I.ソルベント ブルー104が35質量%、C.I.ソルベント レッド179(C.I.Solvent Red 179) が5質量%の混合物)(住化ケムテックス株式会社製)0.01gに変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製したプレートの各種物性を測定した。結果を表1に示す。プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで14.5%、厚さ3mmで21.8%)することができた。また、また、赤色味/緑色味を示すa*値、および黄色味/青色味を示すb*値は何れも小さく、黄色味は殆ど示さなかった。目視の色相は、厚さ1mmではほぼ無色であり、厚さ3mmでは極淡いグレー色であった。
〔実施例3〕
染料を、スミプラストオリーブMR−Gから、スミプラスト(登録商標)オリーブMR−L(C.I.ソルベント イエロー33(C.I.Solvent Yellow 33) が35質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が35質量%、C.I.ソルベント ブルー104が30質量%の混合物)(住化ケムテックス株式会社製)0.01gに変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製したプレートの各種物性を測定した。結果を表1に示す。プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで15.5%、厚さ3mmで21.4%)することができた。また、赤色味/緑色味を示すa*値、および黄色味/青色味を示すb*値は何れも小さく、黄色味は殆ど示さなかった。目視の色相は、厚さ1mmではほぼ無色であり、厚さ3mmでは極淡いグレー色であった。
〔実施例4〕
染料を、スミプラストオリーブMR−Gから、スミプラスト(登録商標)オリーブMR−M(C.I.ソルベント イエロー33が35質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が10質量%、C.I.ソルベント ブルー104が40質量%、C.I.ディスパース レッド60(C.I.Disperse Red 60) が15質量%の混合物)(住化ケムテックス株式会社製)0.01gに変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製したプレートの各種物性を測定した。結果を表1に示す。プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで14.2%、厚さ3mmで21.0%)することができた。また、赤色味/緑色味を示すa*値、および黄色味/青色味を示すb*値は何れも小さく、黄色味は殆ど示さなかった。目視の色相は、厚さ1mmではほぼ無色であり、厚さ3mmでは極淡いオリーブ色であった。
Figure 0006375192
〔実施例5〕
樹脂を、ポリスチレンから、ポリカーボネート(ユーピロン(登録商標)S3000R(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製))1000gに変更した以外は、実施例1〜4の操作と同様の操作を行って、用いた染料が互いに異なる4種類の樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて成型温度280℃、1分間のサイクルの成型条件で成型し、樹脂成形体として3段階の厚さ(3mm、2mm、1mm)を有する4種類のプレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製した各プレートの各種物性を測定した。結果を表2に示す。各プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで14.8〜17.9%、厚さ2mmで19.0〜24.0%、厚さ3mmで22.8〜29.4%)することができた。また、赤色味/緑色味を示すa*値、および黄色味/青色味を示すb*値は何れも小さく、黄色味は殆ど示さなかった。目視の色相は、厚さ1mmではほぼ無色ないし極淡いオリーブ色であり、厚さ2mmおよび厚さ3mmでは極淡いオリーブ色、極淡いグレー色ないし淡いオリーブ色であった。
Figure 0006375192
Figure 0006375192
〔実施例6〕
樹脂を、ポリスチレンから、ポリメチルメタクリレート(アクリペット(登録商標)MH011(三菱レイヨン株式会社製))1000gに変更した以外は、実施例1〜4の操作と同様の操作を行って、用いた染料が互いに異なる4種類の樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて成型温度250℃、1分間のサイクルの成型条件で成型し、樹脂成形体として3段階の厚さ(3mm、2mm、1mm)を有する4種類のプレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製した各プレートの各種物性を測定した。結果を表3に示す。各プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで12.4〜14.0%、厚さ2mmで16.9〜19.7%、厚さ3mmで21.0〜24.7%)することができた。また、赤色味/緑色味を示すa*値、および黄色味/青色味を示すb*値は何れも小さく、黄色味は殆ど示さなかった。目視の色相は、厚さ1mmではほぼ無色ないし極淡いオリーブ色であり、厚さ2mmおよび厚さ3mmでは極淡いオリーブ色、極淡いグレー色ないし淡いオリーブ色であった。
Figure 0006375192
Figure 0006375192
〔比較例1〕
染料を、スミプラストオリーブMR−Gから、スミプラスト(登録商標)レモンイエローHL(C.I.ソルベント イエロー33(住化ケムテックス株式会社製))0.01gに変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。
また、染料を、スミプラストオリーブMR−Gから、プラストイエロー8050(C.I.ディスパース イエロー160(有本化学工業株式会社製))0.01gに変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製した2種類のプレートの各種物性を測定した。結果を表4に示す。各プレートは、青色光を適切に除去(厚さ1mmで19.3〜22.1%)することができているものの、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きく、目視の色相は、黄色ないし濃い黄色を呈した。
Figure 0006375192
〔実施例7〕
表5に示したように、実施例1,5,6にて用いた樹脂および実施例1〜4にて用いた染料と同様の樹脂および染料を組み合わせ、実施例1〜4の操作と同様の操作を行って、用いた染料が互いに異なる12種類の樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて実施例1,5,6の成型条件と同様の(対応する)成型条件で成型し、樹脂成形体として厚さ3mmを有する12種類のプレートを作製した。
そして、実施例1と同様にして、作製した各プレートの黄色光の平均除去率を測定した。また、比較のために、比較例1と同様にして作製した2種類のプレートの黄色光の平均除去率も測定した。結果を表5に示す。
Figure 0006375192
〔実施例8〕
アクリル樹脂のメチルエチルケトン(MEK)溶液に、実施例4にて用いた染料と同様の染料をアクリル樹脂に対して1質量%溶解してなる溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に塗布して厚さ3μmの膜を形成し、フィルム状の樹脂成形体を作製した。
そして、実施例1と同様に、作製した樹脂成形体の各種物性を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0006375192
〔参考例1〕
染料を、スミプラストオリーブMR−Gから、スミプラスト(登録商標)オリーブMR(C.I.ソルベント イエロー33が70質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が30質量%の混合物)(住化ケムテックス株式会社製)0.01gに変更した以外は、実施例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて成型温度190℃、2分間のサイクルの成型条件で成型し、樹脂成形体として2段階の厚さ(3mm、1mm)を有するプレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製したプレートの色相、明度、彩度を測定した。結果を表7に示す。プレートは、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きくなった。
〔参考例2〕
染料の配合量を0.01gから0.05gに変更した以外は、参考例1の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。そして、実施例1と同様に、作製したプレートの色相、明度、彩度を測定した。結果を表7に示す。プレートは、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きくなった。
〔参考例3〕
樹脂を、ポリスチレンから、ポリメチルメタクリレート(デルペット(登録商標)60N(旭化成株式会社製))1000gに変更した以外は、参考例1の操作と同様の操作を行って、樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて成型温度200℃、1分間のサイクルの成型条件で成型し、樹脂成形体として2段階の厚さ(3mm、1mm)を有するプレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製したプレートの色相、明度、彩度を測定した。結果を表7に示す。プレートは、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きくなった。
〔参考例4〕
染料の配合量を0.01gから0.05gに変更した以外は、参考例3の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。そして、実施例1と同様に、作製したプレートの色相、明度、彩度を測定した。結果を表7に示す。プレートは、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きくなった。
〔参考例5〕
樹脂を、ポリスチレンから、ポリカーボネート(マクロロン(登録商標)2405(バイエルマテリアルサイエンス株式会社製))1000gに変更した以外は、参考例1の操作と同様の操作を行って、樹脂組成物を得た。その後、当該樹脂組成物を、射出成型機を用いて成型温度280℃、1分間のサイクルの成型条件で成型し、樹脂成形体として2段階の厚さ(3mm、1mm)を有するプレートを作製した。
そして、実施例1と同様に、作製したプレートの色相、明度、彩度を測定した。結果を表7に示す。プレートは、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きくなった。
〔参考例6〕
染料の配合量を0.01gから0.05gに変更した以外は、参考例5の操作と同様の操作を行って樹脂組成物を得ると共に、プレートを作製した。そして、実施例1と同様に、作製したプレートの色相、明度、彩度を測定した。結果を表7に示す。プレートは、黄色光を吸収することができないために黄色味/青色味を示すb*値が大きくなった。
Figure 0006375192
本発明に係る樹脂組成物および樹脂成形体は、自然な色調を損なわないで青色光(ブルーライト)を適切に除去(カット)することができるので、各種照明機器のフード、眼鏡等のレンズ、或いはパソコンや携帯電話、タブレット等の各種表示機器の液晶パネルの表示画面等の分野において広範に利用することができる。

Claims (9)

  1. 樹脂と染料とを含み、樹脂100質量部に対する染料の添加量が0.0005〜0.05質量%である樹脂組成物であって、
    樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%であり、
    樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが3mmの場合に、L表色系におけるb値が10.0以下であり、
    上記染料が、C.I.ソルベント イエロー33またはC.I.ディスパース イエロー160が20〜40質量%、C.I.ディスパース バイオレット28が10〜40質量%、C.I.ソルベント ブルー104が30〜40質量%、および赤色染料が0〜20質量%の割合で配合された(但し、合計は100質量%である)混合物である、樹脂組成物。
  2. 樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、波長400nm〜500nmの青色光の除去率が10〜30%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 樹脂に対する染料の添加量が0.001質量%で樹脂組成物の厚さが1mmの場合に、L表色系におけるb値が4.0以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 上記樹脂が、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、またはポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる、樹脂成形体。
  6. 請求項に記載の樹脂成形体と、基材とを積層してなる、積層体。
  7. 請求項に記載の樹脂成形体を含む、照明機器。
  8. 請求項に記載の樹脂成形体を含む、レンズ。
  9. 請求項に記載の樹脂成形体を含む、表示機器。
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