JP6374752B2 - 耐火物とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温環境で使用し得る耐火物に関する。より詳細には、耐火性鋳型材料などとして好適な耐火物とその製造方法に関する。
産業用ガスタービン動静翼(タービンブレード)や、ジェットエンジン、ターボチャージャーなど高温環境(例えば、1100℃以上)で使用される耐熱構造用部品には、Ti基合金,Ni基合金あるいはCo基合金等の超耐熱合金が広く使用されている。これらの耐熱構造用部材のうち、例えば、タービンブレードには、その強度を維持しつつ冷却効果を高めるために、複雑かつ高精度に設計された空気流路である中空孔を備えることが知られている。
かかる中空孔を有する耐熱構造用部品は、典型的には、ロストワックス精密鋳造法等により製造することができる。具体的には、当該部品の外形に対応する空洞を備えた鋳型と、所望の中空孔に対応する形状の中子とを用い、かかる鋳型と中子とにより形成される空洞(キャビティ)に、溶融状態の上記超耐熱合金(溶湯)を流し入れ、凝固させた後、中子を溶かして中空孔を形成することで製造されている。そしてかかる鋳型および中子には、セラミックからなる耐火物が一般に使用されている。この中子に関する従来技術として、特許文献1〜4が挙げられる。
特許第2663392号 特開平07−232236号公報 特許第2772090号 特開2003−048041号公報
ところで、上記の超耐熱合金の溶湯は、一般に1300℃を超える高温(例えば1500℃程度)となり得る。また、中子は、自身の成形に際して焼失性のバインダを使用すること、鋳造後にはアルカリ溶液等で溶かし出して鋳造品から除去する必要があること、或いは、耐熱性を高める等の理由から、気孔率が20〜40%程度の多孔質体として形成されている。したがって、中子には、多孔質体でありながらも、1300℃を超える高温で焼き縮まないような、寸法安定性(典型的には、低収縮性)が求められる。そこで、中子用材料としては、比較的焼き縮みが小さく、難燃性の耐火性セラミックスとして知られる、アルミナ、イットリア、ジルコニア、ハフニア、ムライト、ジルコン等の難燃性のセラミック材料が主体として用いられている。
一方で、鋳型の内部に配置される中子は、注湯時に流動する高比重の溶湯によって所定の流動方向に作用する応力を受ける。したがって、中子には、かかる1300℃を超える高温で作用する応力に対して変形を生じない形状安定性(典型的には、耐高温クリープ特性)が求められる。
しかしながら、従来の中子では、精密鋳造に要求される寸法精度を満足できるほどの十分な耐高温クリープ特性を達成するのは困難であった。
本発明は、上記の従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えばロストワックス精密鋳造法に用いる中子等として有用な、1300℃を超える高温環境で使用し得る寸法安定性を備える耐火物を提供することである。また、本発明は、他の側面として、かかる耐火物の製造方法を提供する。
上記解決するために、ここに開示される発明が提供する耐火物は、セラミック粒子と、該セラミック粒子よりも平均粒子径が小さいセラミック微小粒子とが焼結されてなる焼結体と、上記焼結体の気孔に未焼結の状態で配置されたセラミックからなる未焼結粒子と、を含む。そして上記セラミック微小粒子は、平均粒子径が500nm以下であることを特徴としている。換言すると、上記の焼結体は、一の粒度分布を有するセラミック粒子(より詳細には、セラミック粒子群であり得る。)と、これより細かい一の粒度分布を有するセラミック微小粒子(より詳細には、セラミック微小粒子群であり得る。)との焼成物である。
ここで、焼結体においては、原料として使用するセラミック粒子の平均粒子径が小さくなるほど焼結性が高まる傾向がある。したがって、所定の粒度のセラミック粒子に、より微小な粒度のセラミック微小粒子を混合して焼結することで、焼成後の焼結体は強度が高められる。そしてその反面、かかるセラミック微小粒子に由来する微小寸法部分はより緻密に焼き締まり得る為、かかる焼結体を再度高温に晒したときの収縮量が大幅に増大され得る。このため、従来より、このような微小粒子を含む焼結体は、高温での寸法安定性を要求される耐火物としての使用に適さないと考えられてきた。
これに対し、ここに開示される耐火物は、例えば、通常の大きさのセラミック粒子と、500nm以下とより粒径の微小なセラミック微小粒子とを組み合わせて焼結体を形成している。そしてさらに、この焼結体の気孔に、未焼結状態で未焼結粒子を配置させている。この未焼結粒子と、焼結体におけるセラミック微小粒子部分とは、互いの協働により、かかる耐火物を再び高温に晒した場合にその焼結の進行と収縮とを抑制するよう機能する。これにより、1300℃を超える高温環境で使用した場合に、低収縮性および耐高温クリープ特性等の寸法安定性が実現される耐火物が提供される。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様においては、上記セラミック粒子は、平均粒子径が10μm以上であることを特徴としている。この種の耐火物においては、焼き縮みを避ける目的で、平均粒子径が10μm以上程度(典型的には、10μm以上150μm以下程度)の平均粒子径を有するセラミック粒子を用いることができる。ここに開示される技術においては、相対的に平均粒子径が大きいセラミック粒子として、従来用いていたのと同様のセラミック粒子、すなわち平均粒子径が10μm程度以上のセラミック粒子を好適に用いることができる。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記未焼結粒子は、平均粒子径が20nm以下であることを特徴としている。かかる微小な粒径の未焼結粒子が存在することで、耐火物を構成する粒子としてセラミック微小粒子を含む場合に、さらに強度と、高温における低収縮性および耐クリープ特性がバランスよく向上された耐火物が提供される。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記焼結体は、70質量%以上が非晶質であることを特徴としている。耐火物が結晶質を主体に構成されていると、高温の溶湯を注湯した際に焼成体に割れが生じ易くなる。かかる構成によると、高温での使用の際にも割れが生じ難い耐火物が提供される。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記焼結体は、70質量%以上がシリカ(二酸化ケイ素;SiO)からなることを特徴としている。ここに開示される耐火物は、上述した特徴的な構成によって、高温での優れた寸法安定性を得るようにしている。したがって、高強度を発現し得るものの焼結しやすいシリカを用いた場合であっても上記の寸法安定性を実現することができ、さらに、シリカを用いることによって一層高強度な耐火物が実現され得る。また、かかる構成によると、アルカリ溶液での溶融除去の容易な耐火物が提供される。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記シリカ成分は、5質量%以上30質量%以下がクリストバライトであることを特徴としている。シリカは多形のうちでも、クリストバライトがかかる割合で含まれることで、注湯時に割れが生じ難く、かつ、クリープ強度を高く維持することができる点で好ましい。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記セラミック粒子と上記セラミック微小粒子との合計に占める、上記セラミック微小粒子の割合は、0.01質量%以上15質量%以下であることを特徴としている。かかる構成によると、例えば、成形性良く焼結体を形成することができるため、所望の微細形状を有する耐火物を好適に実現することができる。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記焼結体と上記未焼結粒子との合計に占める、上記未焼結粒子の割合は、5質量%以上20質量%以下であることを特徴としている。かかる構成により、高温でのクリープ変形を好適に抑制することができる。
ここに開示される耐火物の好ましい一態様において、上記焼結体の気孔率は、25%以上40%以下であることを特徴としている。かかる構成によると、成形性、強度、アルカリ液溶解性等がバランスよく好適に実現された耐火物を得ることができる。
他の側面において、ここに開示される技術は、耐火物の製造方法を提供する。かかる製造方法は、セラミック粒子と、該セラミック粒子よりも平均粒子径が小さいセラミック微小粒子とが焼結されてなる焼結体を用意すること、セラミックからなる未焼結粒子が分散媒に分散された分散液を用意すること、上記焼結体の気孔に上記分散液を浸透させて分散液含浸焼結体とすること、上記分散液含浸焼結体から上記分散媒を除去すること、を含むことを特徴としている。これにより、高温での寸法安定性に優れた耐火物を簡便かつ好適に製造することができる。
一実施形態に係る耐火物の構成を説明する断面模式図である。
以下、本発明の好適な一実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、耐火物の成形方法やその使用方法など)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
図1は、ここで開示される耐火物1の構成を説明する断面模式図である。かかる耐火物1は、本質的に、多孔質構造の焼結体2と、この焼結体2の気孔5に未焼結の状態で配置されたセラミックからなる未焼結粒子6とを含んでいる。ここで、焼結体2は、主たる骨格を構成するセラミック粒子3と、該セラミック粒子3よりも平均粒子径が小さいセラミック微小粒子4とが焼結されることで構成されている。したがって、かかる耐火物1の断面構造を詳細に確認することで、比較的粗大なセラミック粒子3と比較的微小なセラミック微小粒子4とが、焼結により互いに結合し、焼結体2を構成しているのを確認することができる。そしてまた、これらの粒子3,4の間隙(すなわち気孔5)に、未焼結の状態で、未焼結粒子6が存在しているのを確認することができる。
このように、焼結体2にセラミック微小粒子4に由来する微小寸法部分が存在すると、かかる部位はその他の部位と比較して、高温環境に晒されたときに焼結が進行しやすくなり得る。すなわち、焼結体2は、融点以下の温度であっても、かかる微小粒子4に由来する微小寸法部分において、融液の生成が促進されて、焼結およびこれに伴う焼結体2の収縮が進行しやすい。また、かかる融液が生成した状態で、溶湯などによる外部応力が作用すると、焼結体2は微小寸法部分を起点として変形しやすい状態であり得る。
ここで、詳細な機構は明らかではないが、焼結体2の気孔5の内部の表面に、とりわけ微小粒子4に由来する微小寸法部分に、未焼結粒子6が存在することで、このような微小寸法部分における融液の生成や変形が抑制されるものと考えられる。これにより、高温でも高強度を有しつつ、形状並びに寸法安定性(例えば、耐高温クリープ特性、低収縮性)に優れた耐火物1が実現される。
なお、焼結体2を構成するのに用いられるセラミック粒子3の平均粒子径は、目的とする耐火物の肌理や強度、気孔率等を考慮して適宜決定することができる。
例えば、セラミック粒子3は、焼結体2の骨格を形成する目的で、従来と同様に比較的粒径の大きなものを好ましく用いることができる。平均粒子径が小さすぎると、成形時の成形性が低下する傾向にあり、また、焼成前のグリーン成形体が緻密になって焼成時に収縮(焼き縮み)量が大きく、所望の形状を保てなくなるおそれがある。一方、平均粒子径が大きすぎると、最終製品の用途によっては欠けが生じ易い場合があり得る。そこで、例えば、多孔質構造を有する耐火物1を作製する場合は、セラミック粒子3の平均粒子径を、1μm以上90μm以下、典型的には10μm以上80μm以下、好ましくは15μm以上75μm以下、より好ましくは20μm以上70μm以下程度にするとよい。
なお、セラミック粒子3は、例えば、後述のセラミック微小粒子4との作用効果を明瞭に区別するために、粒度分布において所定の粒径以下の粒子を排除して用いることもできる。例えば、0.5μm以下(例えば、0.1μm以下)の粒径の粒子をカットして用いることも可能である。
かかる大きさのセラミック粒子3を用いることで、例えば、成形性および骨格強度を高く保ちつつ、焼成時の焼き縮みを小さく抑えることが可能となる。このような平均粒子径を有するセラミック粒子3を用いて焼成体2を構築することで、例えば、気孔率が25%以上40%以下程度の多孔質構造を有する焼結体2を好適に得ることができる。なお、このようにして得られる焼結体2の微細組織において、水銀圧入法に基づく細孔径分布は、凡そ0.1μm以上50μm以下の範囲となる。
なお、セラミック粒子3に関する「平均粒子径」は、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布における、積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;D50)を意味する。
また、本明細書における「気孔率」は、アルキメデス法または水銀圧入法に基づき測定される細孔量から算出される値である。
そして、ここに開示される技術では、このようなセラミック微小粒子4として、平均粒子径が500nm以下の極微小な粒子群を使用するようにしている。セラミック微小粒子4は、未焼結粒子6との協働により、高温に晒された焼結体2の強度を高めるとともに耐高温クリープ特性を向上させ得る。セラミック微小粒子4の平均粒子径が上記範囲にあることで、上記のセラミック粒子3とは十分に区別され、高温環境下での焼結体の強度と耐クリープ特性とを十分に確保する効果を発揮することができる。かかるセラミック微小粒子4は、平均粒径が小さければ小さいほど、より少量の添加で上記の効果を発現することができる。かかる観点から、セラミック微小粒子4の平均粒子径は、典型的には400nm以下とすることができ、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、例えば50nm以下程度の極微細なものにするのが好ましい。セラミック微小粒子4の平均粒径の下限については特に制限はなく、条件の許す限り微小の平均粒子径(典型的には5nm以上)のものを用いることができる。なお、例えば、平均粒径が100nmより小さいセラミック微小粒子4を用いる場合は、かかるセラミック微小粒子4の分散性を高めて微小な粒径の作用を発現させるために、本発明の目的を阻害しない範囲において、セラミック微小粒子4に表面処理(例えば、分散剤やカップリング剤等による表面処理)を施しても良い。
なお、セラミック微小粒子4は、例えば、上述のセラミック粒子3との作用効果を明瞭に区別するために、粒度分布において所定の粒径以上の粒子を排除して用いることもできる。例えば、1μm以上(例えば、0.75μm以上)の粒径の粒子をカットして用いることも可能である。
ここで、セラミック微小粒子4に関する「平均粒子径」は、特記しない限り、BET法(例えばBET1点法)等により得られるセラミック微小粒子4の比表面積から算出される平均粒子径を意味する。この平均粒子径は、当該セラミック微小粒子の一次粒子径が、比表面積を実現し得る球形状粒子の直径(球相当径)に一致すると仮定して算出される値である。この平均粒子径Dは、例えば、セラミック微小粒子4の比表面積をS、当該セラミック微小粒子4の密度をρとしたとき、次式;D=6/(ρS)に基づき求めることができる。
なお、セラミック粒子3とセラミック微小粒子4との合計に占める、セラミック微小粒子4の割合は、焼結体2の成形性、強度および耐高温クリープ特性等のバランス等を考慮して適宜決定することができる。例えば、平均粒径が比較的小さなセラミック微小粒子4の過剰な配合は、焼結体2の成形性を低下させ得る点から好ましくない。したがって、セラミック微小粒子4の割合は、使用する両粒子の平均粒子径等にもよるため一概には言えないが、例えば、具体的には、20質量%未満とすることができ、例えば0.01質量%以上15質量%以下(典型的には0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下)とすることが凡その目安として示される。
かかる耐火物1において、焼結体2を構成するセラミックの組成、換言すると、セラミック粒子およびセラミック微小粒子を構成するセラミックの組成については、特に制限されない。これらのセラミックは、例えば、具体的には、アルミナ(Al),ジルコニア(ZrO),マグネシア(MgO),シリカ(SiO),チタニア(TiO),セリア(CeO),イットリア(Y),ハフニア(HfO),チタン酸バリウム(BaTiO),二酸化マンガン(MnO),石灰(CaO),酸化亜鉛(ZnO),ベンガラ(Fe),ジルコン(ZrSiO),ムライト(Al13Si)等の酸化物系セラミックであっても良いし、窒化ケイ素(Si),窒化ホウ素(BN),窒化アルミニウム(AlN),炭化ケイ素(SiC),炭窒化ホウ素等の非酸化物系セラミックであっても良いし、もしくはこれらのようなセラミックを少なくとも1種以上含む複合材料などであっても良い。これらのセラミックは、耐火物の用途や求められる特性等に応じて、いずれか1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、難燃性に優れる点で、アルミナ,ジルコン,ハフニア,イットリア,ジルコニア,シリカ等の使用が好ましい。なお、上記物質名の後の括弧内に示された化学式は、当該物質の代表組成を示すものであり、実際のセラミックの組成がかかる化学式のものに限定されることを意図したものではない。
また、かかる耐火物1における焼結体2は、全て(100質量%)が結晶質であると、温度変化により体積膨張または収縮を生じ易くなるために割れやすい。とくに高温(1300℃を超える)環境に晒された場合に割れが発生しがちになり得る。したがって、焼結体2(典型的には、セラミック粒子3およびセラミック微小粒子4の合計)のうちの70質量%以上(典型的には75質量%以上)を非晶質としておくことが好ましい。換言すると、結晶質の割合を30質量%以下(典型的には25質量%以下)に抑えておくのが好ましい。かかる構成とすることで、高温での使用に際しても、割れ等の生じ難い耐火物1が提供される。焼結体2は、非晶質が100質量%(結晶質が0質量%)であると、高温での耐クリープ特性が著しく低下してしまうために好ましくない。かかる観点から、焼結体2は、非晶質が95質量%以下(結晶質が5質量%以上)程度であることが好ましい。
なお、ここに開示される耐火物1は、上記のとおり、その構造によって高温での強度および寸法安定性が確保されている。したがって、例えば、高温での焼結性が高く焼き縮む傾向が強いために、従来は高精度な形状安定性が求められる用途の耐火物での使用が避けられていたシリカを、上記焼結体2(典型的には、セラミック粒子3およびセラミック微小粒子4)として特に好適に使用することができる。
そこで焼結体2は、全て(100質量%)をシリカにより構成しても良いし、その一部をシリカ以外の材料により構成しても良い。しかしながら、シリカが100質量%であると、用途によっては十分な耐熱性が得られない場合があり得る。そのような場合は、シリカとシリカ以外の材料とを併用することができる。例えば、耐熱性が求められる用途においては、焼結体2に含まれるシリカの上限は、95質量%以下程度とすることが好ましい。この場合、焼結体2(典型的には、セラミック粒子3およびセラミック微小粒子4の合計)に対して70質量%以上(例えば75質量%以上、好ましくは80質量%以上)をシリカにより構成することができる。なお、セラミック成分としてシリカを用いることで、例えば、耐火物1を中子として用いた時に、鋳造後にアルカリ溶液にて容易かつ短時間で溶解除去できるために好ましい。シリカは、より精密に粒度調整されたものを比較的安価で簡便に入手できることからも好ましい。
なお、シリカには、非晶質シリカの他、クリストバライト、トリジマイト、石英、コーサイト、ステショバイトなどの計8種の結晶質の多形が存在する。ここに開示される耐火物1においては、結晶質シリカはクリストバライトであることが好ましい。クリストバライトは焼結しないため、焼結による収縮を好適に防止し、特に優れた寸法および形状安定性を得ることができる。
なお、シリカに占めるクリストバライトの割合は、常法に基づき、例えば、X線回折(XRD)分析法における回折パターンに基づき算出することができる。具体的には、X線回折パターンにおいて、クリストバライトに基づく回折ピークは2θ=21.9°に現れることから、このピークの回折強度(例えば、ピーク高さを積分して求められるピーク面積(積分強度)であり得る)を算出し、検量線法等により定量することができる。
また、焼結体2の気孔の内部に配置される未焼結粒子6についても、上記と同様のセラミックからなる微小粒子を用いることができる。具体的には、例えば、シリカ,アルミナ,ジルコニア,イットリアを用いるのが好ましく、シリカを用いるのがより好ましい。なお、かかる未焼結粒子6についても、非晶質が70質量%以上であることが好ましく、実質的に100質量%が非晶質であることがより好ましい。
かかる未焼結粒子6は、セラミック粒子3とセラミック微小粒子4とが焼結により一体化した部分に配置されている場合に、特に、高温での焼結の進行を抑制し、耐高温クリープ特性を高められて好ましい。未焼結粒子6は、焼結体2の気孔の内部に存在し得る大きさのものであれば特に制限されないが、セラミック粒子3とセラミック微小粒子4との連結部分に好適に配置し得るとの観点から、より粒径の小さなものであることが好ましい。例えば、未焼結粒子6は、平均粒子径が20nm以下のものを好適に用いることができる。典型的には15nm以下、好ましくは12nm以下、より好ましくは10nm以下程度とすることができる。未焼結粒子6の平均粒径の下限については特に制限はなく、条件の許す限り微小の平均粒子径(例えば1nm以上、典型的には5nm以上)のものを用いることができる。
なお、未焼結粒子の平均粒子径については、電子顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡;TEM)等の観察手段により観察される複数(例えば2以上)の観察視野あるいは観察像内で選定された粒子の100個以上の粒子の円相当径の算術平均値として求めることができる。
かかる未焼結粒子6の割合は、焼結体2と未焼結粒子6との合計に対し、5質量%以上20質量%以下程度であることが好ましい。未焼結粒子6の割合が5質量%に満たないと、耐火物1の高温での強度および寸法安定性等を良好に保つことができないために好ましくない。また、未焼結粒子6の割合が20質量%を超過すると、気孔率が低下するために好ましくない。したがって、未焼結粒子6の割合は、7質量%以上18質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
以上のここに開示される耐火物は、その製造方法は特に制限されないが、例えば、以下に説明する耐火物の製造方法によって好適に作製することができる。すなわち、かかる耐火物の製造方法は、以下の工程を包含する。
(1)セラミック粒子と、該セラミック粒子よりも平均粒子径が小さいセラミック微小粒子とが焼結されてなる焼結体を用意すること。
(2)セラミックからなる未焼結粒子が分散媒に分散された分散液を用意すること。
(3)上記焼結体の気孔に上記分散液を浸透させて分散液含浸焼結体とすること。
(4)上記分散液含浸焼結体から上記分散媒を除去すること。
1.焼結体の用意
まず、上述のセラミック粒子と、セラミック微小粒子とを焼結した焼結体を用意する。かかる焼結体は、常法に従って、例えば、セラミック粒子と、セラミック微小粒子とを適切な分散媒に分散させた成形用組成物を調製し、かかる成形用組成物を所望の形状に成形してグリーン成形体を作製した後、該グリーン成形体を焼成することで用意することができる。成形用組成物は、採用する成形方法に応じて適切なものを調製すればよい。成形方法については特に制限されず、例えば、冷間静水圧加圧成形(Cold Isostatic Pressing;CIP)法,熱間静水圧加圧成形(Hot Isostatic Pressing;HIP)法等の加圧成形法、押出成形法、射出成形法、鋳込成形法等を採用することができる。
以下、複雑かつ精密な耐火物を作成するのに好適な実施形態として、射出成形法を利用してグリーン成形体を作製する場合を例に、本発明について説明する。
まず、耐火物を実質的に構成するセラミック粒子およびセラミック微小粒子(以下、これらを併せて単に「セラミック粉末」と称する場合がある。)を用いて、射出成形用材料を調製する。これらのセラミック粉末の組成や性状、配合等については、上記に詳しく説明したため説明は省略する。そして、これらのセラミック粉末をワックスと混合することで、常温で固化状態を保ちながら、溶融状態において良好な流動性を示す射出成形用材料を用意する。ワックスの配合量は、例えば、グリーン成形体の加熱処理(脱脂処理および焼成処理)時の保形性、目的とするセラミック製品の気孔率等を考慮して決定することができる。これに限定されるものではないが、例えば、セラミック粉末とワックスとの合計に占めるセラミック粉末の割合が、およそ60質量%以上90質量%以下(典型的には65質量%以上80質量%以下)となるよう調整することが例示される。
バインダ成分としては、この種の射出成形法においてバインダとして使用し得る各種の材料を用いることができる。好適な一例として、熱可塑性樹脂を実質的に含まず、常温領域(例えば45℃未満、典型的には25±5℃)において固体であって、45℃未満の所定の温度にまで加熱されることにより溶融(軟化)し、45℃以上の溶融状態において高い流動性を示し得るバインダを用いることが挙げられる。より具体的には、かかるバインダとして、石油系ワックスと、非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤との混合材料が例示される。
石油系ワックスとしては、JIS K 2235(1991)にて規定される各種のワックスを利用することができる。具体的には、石油系ワックスとしては、減圧蒸留留出油から分離精製したパラフィンワックスと、減圧蒸留の残査油または重質留出油から分離精製したマイクロワックス(マイクロクリスタリンワックス)が好適な例として挙げられる。かかる石油系ワックスは、特に制限されるものではないが、パラフィンワックスで重量平均分子量が500以下、マイクロワックスで重量平均分子量が1000以下程度のものが、比較的低温での加熱により容易に溶融させることができるために好ましい。
上記の石油系ワックスは、比較的融点が低いものであり得るが、例えば、100℃以下で上記のセラミック粉末を良好に分散させつつ射出成形するに十分な流動性を発現するためには融点がまだ高いといえる。また、上記の石油系ワックスは、一般的な水や有機溶媒等の溶媒等と比較して、分子構造が極めて単純なために相溶性に乏しい物質であり得る。そこで、上記バインダ成分は、石油系ワックスと共に、非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤を含むようにしている。かかる非水溶性のポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤を石油系ワックスに加えることで、該石油系ワックスと均一に混合しつつ、該石油系ワックスの融点を低下させて、該射出成形用材料に十分な流動性を付与することができる。
かかる非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤は、石油系ワックスと均一に混ざり合い、石油系ワックスの融点を十分に低下させ得るものであれば、特に制限なく用いることができる。本発明者らの検討によると、かかる界面活性剤としては、一般に提供されている(市販の)ポリオキシエチレン(POE)型の非イオン性界面活性剤であって、さらに非水溶性のものを用いることができる。
POE型の非イオン性界面活性剤としては、代表的には、次式:RO(CHCHO)Hで示されるエーテル型のPOE型非イオン性界面活性剤や、次式:RCOO(CHCHO)Hで示されるエステル型(エーテルエステル型を包含する)のPOE型非イオン性界面活性剤、さらには、次式:RCON(CHCHOH)で表される含窒素型のPOE型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。ここで、上式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を示し、nはエチレンオキサイド単位の繰り返し数を示し2〜100の整数であり得る。エーテル型のPOE型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,ポリオキシエチレンステアリルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルエーテル,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル,ポリオキシエチレンベヘニルエーテル,ポリオキシエチレンコレステリルエーテル,ポリオキシエチレンイソセチルエーテル,ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル,ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル,ポリオキシエチレン水添ダイマージリノレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体等が挙げられる。エステル型(エーテルエステル型)のPOE型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル,イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル,ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル,ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。含窒素型のPOE型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。また、非水溶性のPOE型非イオン性界面活性剤としては、これらの中でも、非水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび/またはポリオキシエチレン脂肪酸エステルを好ましく用いることができる。かかる非水溶性POE型非イオン性界面活性剤は、上記のいずれか1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いるようにしても良い。
また、上記の非水溶性POE型非イオン性界面活性剤は、自身が非水溶性であることで、上記の石油系ワックスとの相溶性が備えられ、また、セラミック粉末を親和性良く分散し得る。なお、このような非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤は、固化状態におけるバインダ成分の強度を適度に保つ観点から、20℃〜25℃の温度範囲において固体状であるものを用いるのがより好ましい。
なお、本明細書においてかかるPOE型非イオン性界面活性剤の液性を示す「非水溶性」とは、例えば、以下の手法により確認することができる。すなわち、POE型非イオン性界面活性剤と水とを、質量比で25:75の割合で秤量し、50℃に加温する。そして、かかる温度において界面活性剤が水に対して溶解するか否かを観察する。ここで、界面活性剤が水に均一に溶解した場合を「水溶性」、界面活性剤が水中で僅かでも分離していたら「非水溶性」と判断することができる。なお、POE型非イオン性界面活性剤には水系溶媒に対し乳化する性質のものが存在する。本明細書においてかかる「乳化」は、不溶、すなわち「非水溶性」の概念に包含される。かかる手法によると、水に対して、上記のとおり比較的多量のPOE型非イオン性界面活性剤を混合するため、目視によっても明確に、非水溶性か否かの判定を行うことができる。
以上のバインダ成分が射出成形用材料に占める割合は、5質量%以上35質量%未満とすることができる。また、かかるバインダ成分が燃えぬけることで、例えば、気孔率が5%以上(5%以上45%以下)、典型的には10%以上45%以下、例えば25%以上40%以下の多孔質なセラミック製品を好適に製造することができる。
以上のバインダ成分において、上記石油系ワックスと上記POE型非イオン性界面活性剤(以下、単に「界面活性剤」と示す場合がある。)との合計に占める上記界面活性剤の割合は、使用する石油系ワックスと界面活性剤との組み合わせにもよるため一概には言えないが、概ね0質量%を超えて35質量%未満とすることが例示される。界面活性剤が少しでも含有されることで、溶融状態におけるバインダ成分の融点は低下されて、射出成形用材料に十分な流動性が付与されるまでに低下される。しかしながら、かかる界面活性剤の割合が過剰となると、固化状態におけるバインダ成分の強度が低下されて、加熱処理時のグリーン成形体の形状をセラミック粉末の焼結が十分に進行するまで好適に維持することが困難となるために好ましくない。
[任意添加物]
また、射出成形用材料には、必須ではないものの、セラミック粉末やバインダ成分の他に、任意添加物を添加することができる。かかる任意添加物としては、カップリング剤,滑剤,可塑剤,離型剤,カーボン等が代表的なものとして挙げられる。かかる任意添加物は、上記の本発明の特徴を損ねない範囲において、例えば、射出成形用材料の10質量%以下の割合で添加することができる。
なお、カップリング剤は、溶融状態の射出成形用材料の流動性を向上させるために添加される。また、上述のように、セラミック微小粒子の射出成形用材料中での分散性を高めるために、セラミック微小粒子の表面処理剤として含まれていても良い。カップリング剤には、バインダとの接合性が良好な高分子化合物を好ましく用いることができる。このような高分子化合物は、バインダ成分と結合することにより、セラミックス粒子とバインダ成分との黍離性を強くするため、溶融状態の射出成形用材料の流動性を向上させることができる。射出成形用材料全体に対するカップリング剤の質量割合は、0質量%(無添加)以上10質量%以下、例えば、5質量%以上15質量%以下であるとよい。
以上の射出成形用材料を、上記バインダ成分が溶融する温度域(典型的には、50℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃)まで加熱して溶融状態にする。かかるバインダを溶融させるための加熱温度は、混合材料に含まれるバインダ(典型的には、石油系ワックス)の種類に応じて適宜変更することができる。例えば、溶融のための加熱温度は、(石油系ワックスの融点+5〜50)℃程度とすることができ、より好ましくは70℃±20℃に設定することが例示される。また、このときの加熱時間は、0.1時間〜4時間程度、典型的には0.1時間〜1時間程度、例えば0.5時間程度に設定するとよい。上述の条件で混合材料を加熱することによってバインダ成分を好適に溶融させることができ、均一な組成の複合材料を得ることができる。
なお、混合材料を溶融状態にするための加熱処理は、ロールミル、ミキサーなどを用い、1rpm〜100000rpmの攪拌速度で混練しながら行ってもよい。これによって、セラミック粉末が好適に分散した状態の複合材料を得ることができる。
次いで、上記射出成形用材料を、所望の形状を有した成形用金型(雌型)のキャビティへ射出する。かかる射出処理では、射出成形用材料を溶融状態にした後に、任意の射出成形機を用いて該溶融状態の射出成形用材料を上記キャビティ内に射出する。この時、成形用金型は、バインダ成分が硬化するような温度に維持される。これにより、射出された溶融状態の射出成形用材料が放熱固化(若しくは冷却固化)されることによって、上記成形用金型のキャビティに対応する形状を有した未焼成の成形体(グリーン成形体)が得られる。
次に、上記グリーン成形体を成形用金型から取り出し(離型)、グリーン成形体からバインダ成分を除去する脱脂処理を行う。具体的には、バインダ成分を構成する石油系ワックスが熱分解される程度の温度でグリーン成形体を加熱する。この脱脂処理における加熱条件(温度、時間)は、バインダ成分の種類や含有割合に応じて適宜変更することができる。ここで、加熱温度をできるだけ低く設定するとともに加熱時間を長く設定すれば、グリーン成形体の体積が急激に縮小することを防止することができ、クラックの発生を抑制できるために好ましい。例えば、上記グリーン成形体全体に対して10質量%の割合でパラフィンワックスが含まれている場合、50℃〜100℃、好ましくは60℃〜90℃、より好ましくは70℃±5℃の範囲内に加熱温度を設定するとよい。また、このときの加熱雰囲気は、酸化雰囲気に設定するとよい。
上述のようにして、脱脂処理が行われると、熱分解によってバインダ成分がグリーン成形体から除去される。
次に、バインダ成分を除去したグリーン成形体に対して焼成処理を行う。当該焼成処理における加熱条件(温度、時間、雰囲気)については、セラミック粉末の種類や粒径、目的とするセラミック製品の密度等に応じて適宜変更することができる。例えば、気孔率20%程度の多孔質構造のセラミック製品を製造する場合、焼成温度は1000℃〜1500℃(好ましくは1100℃〜1300℃)に設定するとよい。また、焼成中の雰囲気は酸化雰囲気若しくは不活性雰囲気に設定するとよい。かかる焼結によって、成形体の外形寸法は小さくなり、焼結体全体として見た密度、強度等は高められる。なお、焼結の過程においてセラミック粒子およびセラミック微小粒子は、融液を形成するものの、完全な液体にはならないため、焼結体の形状は加熱前の成形体の形状を概ね維持することができる。これにより、所望する形状の焼結体2を得ることができる。
2.分散液の用意
次いで、セラミックからなる未焼結粒子が分散媒に分散された分散液を用意する。かかる分散液の形態を介して、未焼結粒子を焼結体の気孔に好適に導入することができる。なお、未焼結粒子の気孔への導入を容易に行うために、かかる分散液は、未焼結粒子が凝集することなく独立して分散媒中に均一に浮遊あるいは懸濁した、コロイド状態にある(すなわち、コロイド溶液である)ことが好ましい。なお、このコロイド溶液とは、ゾル、サスペンジョン等を包含する用語である。
未焼結粒子の組成や性状等については、上記に詳しく説明したため説明は省略する。そして、かかる未焼結粒子を適切な分散媒に分散させる。分散媒については特に制限されず、水系溶媒または非水系溶媒のいずれを用いても良い。水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒であることが好ましい。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均質に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒(例えば水)が挙げられる。また、必要に応じて、分散液は、分散剤、増粘剤等の添加剤(安定剤)を含むようにしてもよい。
気孔への未焼結粒子の導入を好適に行うために、分散液における未焼結粒子の配合量(濃度)は、概ね、20質量%以上50質量%以下程度に調整しておくことが好ましい。
かかるセラミックからなる未焼結粒子が分散されたコロイド溶液は、例えば所定の金属塩等と希塩酸とを作用させ透析する等して調製して用いても良いし、市販のものを購入して用いても良い。
3.焼結体の分散液の含浸
次いで、上記で用意した焼結体を、上記分散液に浸漬することで、焼結体の気孔に分散液を含浸させるとともに、気孔の内部に未焼結粒子を導入する。かかる焼結体の分散液への浸漬は、焼結体に形成された機構の形態や、分散液の濃度及び粘度等にもよるため一概には言えないが、例えば、1分間〜1時間程度を目安に実施することができる。これにより、焼結体と未焼結粒子の合計に対し、未焼結粒子を5質量%以上20質量%以下程度の割合で導入することができ、分散液含浸焼結体を用意することができる。
4.分散媒の除去
そして、分散液含浸焼結体から分散媒を除去することで、ここに開示される耐火物を得ることができる。分散媒の除去は、いわゆる乾燥により実現することができる。乾燥の手段は特に制限されず、自然乾燥、送風乾燥、熱風乾燥、加熱炉等を利用した加熱による乾燥、真空乾燥、吸引乾燥、凍結乾燥およびこれらの組み合わせにより行うことができる。
これにより、ここに開示される耐火物を作製することができる。
上記のここに開示される耐火物は、例えば、高温における焼結の進行が抑制されているため、かかる高温での収縮量が小さく抑えられ、また、荷重に対する変形量も小さく抑えられ得る。また、射出成形法等を利用することにより、所望の複雑形状を備えるものとして形成することができる。したがって、例えば、かかる耐火物を、ロストワックス精密鋳造法等における中子として好適に用いることができる。耐火物を中子とする場合には、所定の鋳造温度で不可避的に生じる収縮量を考慮して、大きめの寸法の中子を作製して鋳造に供することができる。かかる中子を利用することで、鋳造温度においても十分な強度、耐クリープ性等の寸法安定性が発揮されて、高度な寸法精度が要求される鋳造品を形成することができる。また、かかる耐火物をシリカを主体として形成することで、アルカリ溶液に浸漬したときにより短時間で鋳造品から溶解除去することができ、内部に所望の寸法の中空部を有する鋳造品を、簡便かつ高精度に作製することができる。
<実施例>
次に、本発明に関する実施例を示し、本発明の特徴を更に説明する。なお、以下で説明する実施例は、本発明を限定することを意図したものではない。
セラミック粒子として、平均粒子径が30μm(粒度分布は0.5μmから200μm)のシリカ粉末、ジルコン粉末およびアルミナ粉末を用意した。そして、シリカ粉末100質量部に対して、ジルコン粉末およびアルミナ粉末をそれぞれ10質量部の割合で配合して用いた。また、セラミック微小粒子として、(1)平均粒子径が10nmの煙霧状シリカ(表1における第1粒子)と、(2)平均粒子径が200nmの微小シリカ粉末(表1における第2粒子)と、の2種類を用意した。これらの粉末を、下記表1のNo.1〜15に示す割合で配合し、かかる混合粉末に対して、ワックスを射出成形に適した流動性となるよう適宜混合(約15〜30質量%)したのち、板状に射出成形した。なお、煙霧状シリカについては、ワックス中での分散性を高めるために、表面をシランカップリング剤で処理したものを用いた。
上記成形体に対し、70℃程度で保持して脱脂処理を行った後、1000℃から1400℃の範囲で焼成することで、No.1〜15の焼結体を得た。
[焼結後寸法精度]
No.1〜15の焼結体の成形から焼成までの寸法精度を評価し、その結果を表1に示した。なお、評価結果は、収縮率が1%未満の場合を「○」、収縮率が1%以上2%未満の場合を「△」、収縮率が2%以上の場合を「×」として示した。なお、本実施形態において「×」の評価はなかった。
[焼結後結晶化度]
No.1〜15の焼結体の結晶化度を、X線回折分析を利用して行った。具体的には、No.1〜15の焼結体のそれぞれについて、粉末X線回折法の検量線法により、SiOの多形(石英、トリジマイト、クリストバライト、非晶質シリカ)のうちクリストバライトの割合を求めることで、結晶化度とした。その結果を、表1に示した。
また、これにより、No.1,3,5,7,9,11および12の耐火物を得た。
次いで、平均粒子径が5nm〜20nmのセラミック微小粒子が30質量%の割合で分散された分散液を用意した。具体的には、上記濃度のコロイド状シリカ溶液、アルミナゾル、イットリアゾルまたはジルコニアゾルを用意した。そして、上記で用意した焼結体のうち、表1に示した所定の焼結体について、上記で用意した所定の分散液に5分間浸漬することで、焼結体の気孔内に分散液を含浸させた。ついで、かかる分散液を含浸させた焼結体を100℃の乾燥炉にて乾燥させることで、分散媒を除去した。これにより、焼結体の気孔内にセラミック微小粒子を含んでいる、No.2,4,6,8,10および13〜15の耐火物を得た。
このように用意したNo.1〜15の耐火物から、幅20mm、長さ120mm、厚み3mmの寸法の試験片を切り出し、高温クリープ試験に供した。具体的には、この試験片の長尺方向の両端部を支点間距離が100mmとなるように支え、中央部に重さ15gの荷重を載置し、1530℃の環境において2時間静置するクリープ試験を行った。そして、2時間後の試験片のクリープ量(たわみ量)を、ハイトゲージを用いて測定し、表1に示した。
Figure 0006374752
[評価]
No.1および2から解るように、焼結体の形成時にセラミック微小粒子を配合しなかった耐火物については、焼成後の焼結体の気孔内に未焼成のセラミック微小粒子を配置させても、させなくても、高温でのクリープ量は1.1mmと変わらなかった。このことから、焼結体の形成時にセラミック微小粒子を配合しない場合は、未焼結状態のセラミック微小粒子は、高温クリープ特性に影響を及ぼさないことが確認できた。
一方で、No.3および4は、焼結体の形成時にセラミック微小粒子を配合した例である。焼成後の焼結体の気孔内に未焼成のセラミック微小粒子を配置させなかったNo.3の耐火物については、高温でのクリープ量が2mmと、No.1および2の場合に比べて大幅に増大した。これは、従来からの知見どおり、焼結体を構成する粒子径が小さくなることで、更なる高温環境に曝された場合に焼結体の焼結が進行し、この焼結の進行に伴いクリープが進行してしまうものと考えられる。一方の、気孔内に未焼成のセラミック微小粒子を配置させたNo.4の耐火物については、高温でのクリープ量が0.9mmと、No.1および2の場合に比べて抑制される結果となった。これは、焼結体の気孔内に未焼結の状態で存在するセラミック微小粒子が、焼結体の更なる焼結の進行や収縮等を阻害する作用を示し、結果としてクリープ変形をも抑制したものと考えられる。
そして、No.5,7および9から解るように、気孔内に未焼成のセラミック微小粒子を配置させない焼結体の場合、焼結体の形成時に配合したセラミック微小粒子の粒径が小さくなると、僅か0.01質量%の割合(No.5)で配合した場合であっても、そのクリープ量は1.5mmと、大幅に増大することがわかった。また、その配合量が多くなるほど、高温でのクリープ変形量がより一層増大することがわかった。これは、焼結体を構成するセラミック粒子に、より微小な寸法部分が多くなるほど、高温での更なる焼結が容易に進行し易く、クリープ変形も発生しやすいことを示している。
これとは対照的に、No.6,8および10から解るように、気孔内に未焼成のセラミック微小粒子を配置させた焼結体の場合は、焼結体の形成時に配合するセラミック微小粒子の粒径が小さく、またその量が僅か0.01質量%(No.6)と少量であっても、No.1および2の場合に比べて高温でのクリープ量を抑制できることが確認された。また、そのクリープ量は、焼結体の形成時に配合するセラミック微小粒子の割合が0.5質量%(No.8)近傍で極小となり、15質量%(No.10)まで増加すると高温クリープ量が若干の増大に転じることがわかった。すなわち、気孔内に未焼成のセラミック微小粒子を配置させることで、例えば従来は4mm程度生じ得た高温クリープ変形を、1/10の0.4mm程度にまで抑制し得ることが確認できた。
なお、この実施形態で用いた組成や粒径のセラミック粒子の場合、焼結体の形成時に配合するセラミック微小粒子の割合が20質量%程度(No.11,12)にまで増大すると、その比表面積の増加の影響から、射出成形性が著しく劣り、射出成形が可能な粘度を実現するために大幅にワックスを増大する必要が生じた。そのため、焼成後の焼結体は気孔率が増大してしまい、所定の成形体形状を維持することができなかった。また、クリープ試験においては試験中に試験片が破断してしまった。したがって、射出成形による成形を行う場合は、焼結体の形成時に配合するセラミック微小粒子の割合を15質量%以下程度に抑えるのが好ましいことがわかった。
また、No.8,13〜15から解るように、焼結体の気孔内に配置させる未焼成のセラミック微小粒子の組成は特に制限されず、シリカ,アルミナ,イットリアおよびジルコニアのいずれであっても高温クリープ特性を改善する効果が得られることがわかった。しかしながら、なかでもシリカ微小粒子を用いた場合は、高温でのクリープ量を40〜50%程度に低減することができ、より効果的であることが確認できた。
[気孔率]
なお、上記の耐火物の気孔率を、水銀圧入計に基づく細孔径分布測定の結果から算出した。その結果、例えば、耐火物の気孔率は、38%(No.1)、36%(No.2)、36%(No.7)、34%(No.8,13〜15)であった。ここに開示される技術による耐火物(No.8,13〜15)は、セラミック粒子や未焼結粒子の配合量から他の耐火物(No.1,2,7)に比較して気孔率が若干の大きいものの、精度よく気孔が形成されていることがわかった。また、このように気孔率の大きい耐火物であっても、セラミック微小粒子と未焼結粒子との存在により、焼き縮みを防いで寸法精度よく成形できることが確認できた。
[アルカリ溶解性]
また、No.8の耐火物を、幅20mm、長さ25mm、厚み3mmの寸法に切り出し、25質量%のNaOH水溶液に浸漬し、100℃のオートクレーブにて15分間保持した。その結果、かかる耐火物はアルカリ溶液に50%以上溶解したことが確認された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 耐火物
2 焼結体
3 セラミック粒子
4 セラミック微小粒子
5 気孔
6 未焼結粒子

Claims (7)

  1. セラミック粒子と、該セラミック粒子よりも平均粒子径が相対的に小さいセラミック微小粒子とが焼結されてなる焼結体と、
    前記焼結体の気孔に未焼結の状態で配置されたセラミックからなる未焼結粒子と、を含み、
    前記セラミック粒子は、平均粒子径が15μm以上75μm以下であって、
    前記セラミック微小粒子は、平均粒子径が500nm以下であり、前記セラミック粒子と前記セラミック微小粒子との合計に占める、前記セラミック微小粒子の割合は、0.01質量%以上15質量%以下である、
    前記焼結体は、70質量%以上95質量%以下の割合でシリカを含み、
    前記未焼結粒子が前記焼結体に焼結されていない状態で中子として使用される、耐火物。
  2. 前記未焼結粒子は、平均粒子径が20nm以下である、請求項1に記載の耐火物。
  3. 前記焼結体は、前記シリカの70質量%以上が非晶質である、請求項1または2に記載の耐火物。
  4. 前記焼結体における前記シリカは、5質量%以上30質量%以下がクリストバライトである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火物。
  5. 前記焼結体と前記未焼結粒子との合計に占める、前記未焼結粒子の割合は、5質量%以上20質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火物。
  6. 前記焼結体の気孔率は、25%以上40%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火物。
  7. 平均粒子径が500nm以下のセラミック微小粒子と、
    平均粒子径が15μm以上75μm以下のセラミック粒子とが焼結されてなる焼結体であって、前記セラミック微小粒子と前記セラミック粒子との合計に占める前記セラミック微小粒子の割合が0.01質量%以上15質量%以下であって、70質量%以上95質量%以下の割合でシリカを含む焼結体を用意すること、
    セラミックからなる未焼結粒子が分散媒に分散された分散液を用意すること、
    前記焼結体の気孔に前記分散液を浸透させて分散液含浸焼結体とすること、
    前記分散液含浸焼結体から前記分散媒を除去すること、
    を含む、前記未焼結粒子が前記焼結体に焼結されていない状態で中子として使用される耐火物の製造方法。
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