[第1実施形態]
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する)に係る一実施形態を、図1〜図58に基づいて説明する。なお、以下の説明において「左右」とは、パチンコ遊技機10を正面から見たときの左右である。
<パチンコ遊技機10の前面側の概要構造について>
パチンコ遊技機10は、図2に示す遊技盤11の前面にガイドレール12で囲まれた略円形の遊技領域Rを備え、その遊技領域Rを、パチンコ遊技機10の前面に備えた前面窓10W(図1参照)を通して視認することができる。
図1に示すように、パチンコ遊技機10の前面の下部には、遊技者が操作可能な操作ボタン10B(本発明の「操作部」に相当する)や遊技球を貯留可能な球受け皿13が設けられている。球受け皿13の右側方には、発射ハンドル14が備えられ、この発射ハンドル14を回動操作することで、図示しない発射装置から遊技領域Rに向かって遊技球が発射される。また、発射ハンドル14の回動操作量に応じて、遊技球の発射強度を任意に調節することができる。
図2に示すように、遊技盤11のうち遊技領域Rの中央には、異形の表示窓が貫通形成され、その表示窓に表示装飾枠20が前側から嵌め込まれている。そして、表示装飾枠20を通して、遊技盤11の裏面側のディスプレイ15が前方に臨んでいる。また、表示装飾枠20は遊技盤11の前面から突出していて、ディスプレイ15の前方を遊技球が流下することを禁止している。そして、遊技領域Rが表示装飾枠20により、左右方向で左側流下領域Raと右側流下領域Rbとに分けられ、上下方向で上部連絡通路23と下部流下領域Rcとに分けられている。
表示装飾枠20の下辺部の上面は、左右方向の両端部から中央に向かって下り傾斜したステージ21になっており、表示装飾枠20の左側辺には、左側流下領域Raを流下する遊技球を、表示装飾枠20の内側に取り込むためのワープ路(図示せず)が形成されている。ワープ路を通過した遊技球は、ステージ21の左端から放出されて、ステージ21上を左右に転動する。また、ステージ21上で転動し終えた遊技球は、ステージ21の中央部から下部流下領域Rcに流下する。
左側流下領域Raの上部には、発射装置(図示せず)から発射された遊技球を、遊技領域Rに進入させるための球打出口16が設けられている。また、表示装飾枠20の上端面は、ガイドレール12に沿って円弧状に延びた内側ガイド面22となっており、上部連絡通路23は、それらガイドレール12と内側ガイド面22との間に挟まれて円弧状をなし、左側流下領域Raの上部と右側流下領域Rbの上部とを連絡している。
比較的弱い発射強度で発射された遊技球は、表示装飾枠20や左側流下領域Raに設けられた障害釘に衝突し、上部連絡通路23に進入することなく左側流下領域Raを流下する。一方、比較的強い発射強度で発射された遊技球は、球打出口16からそのままガイドレール12に沿って上部連絡通路23を通過し、右側流下領域Rbを流下する。以下、遊技球が左側流下領域Raを流下するように発射強度を調整して行う遊技のことを「左打ち遊技」といい、遊技球が右側流下領域Rbを流下するように発射強度を調整して行う遊技のことを「右打ち遊技」という。
<左側流下領域Raについて>
左側流下領域Raには、全体に亘って複数の障害釘が分散配置されており、左側流下領域Raの下部には、風車17と、複数の一般入賞部18とが設けられている。一般入賞部18はポケット構造をなしており、その上面には、常時開放の一般入賞口18Aが形成され、その一般入賞口18Aに遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。そして、一般入賞口18Aに入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。
<下部流下領域Rcについて>
下部流下領域Rcには、ステージ21の中央部の真下にセンター入賞部31が設けられている。センター入賞部31は、一般入賞部18と同様のポケット構造をなし、その上面に常時開放のセンター始動口31Aを有し、そのセンター始動口31Aに遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。そして、センター始動口31Aに入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。また、下部流下領域Rcには、風車17からセンター入賞部31に向かって複数の障害釘が一列に配設されており、その障害釘列によって、左側流下領域Raを流下した遊技球の一部が、センター始動口31Aに向かうように構成されている。また、右側流下領域Rbを流下した遊技球は、殆どセンター始動口31Aに入賞しないように障害釘や表示装飾枠20等によって流下方向が規制されている。
下部流下領域Rcのうちセンター入賞部31の右側方位置には、特別始動口33Aが設けられている。特別始動口33Aは、遊技盤11の前面(遊技領域R)に向かって開放しており、始動口扉33Tによって開閉可能となっている。始動口扉33Tは、特別始動口33Aの下端部を中心にして前後に回動可能となっており、常には、起立姿勢に保持されて、特別始動口33Aを閉鎖している。そして、始動口扉33Tが前側に倒されて特別始動口33Aを開放し、その倒れた始動口扉33Tを案内にして遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。また、特別始動口33Aに遊技球が入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。
<右側流下領域Rbについて>
右側流下領域Rbの下寄り位置には、サイド入賞部32が設けられている。図3に示すように、サイド入賞部32は、一般入賞部18と同様のポケット構造をなし、その上面に常時開放のサイド始動口32Aを有し、そのサイド始動口32Aに遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。そして、サイド始動口32Aに入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。
右側流下領域Rbのうちサイド入賞部32より下流側には、始動ゲート30が配置されている。始動ゲート30は、サイド入賞部32の右斜め下方に離して配置されており、遊技球が1つずつ内側を鉛直下方に向かって通過することができるようになっている。
始動ゲート30より下流側には、第2アタッカー口35Aが設けられている。第2アタッカー口35Aは、始動ゲート30の真下位置よりやや左側でかつ、サイド入賞部32の真下位置よりやや右側にずれた位置に配置されており、始動ゲート30を通過した遊技球が入賞可能となっている。第2アタッカー口35Aは、特別始動口33Aと同様、遊技盤11の前面(遊技領域R)に向かって開放しており、アタッカー扉35Tによって開閉可能となっていて、前側に倒れたアタッカー扉35Tを案内にして遊技球が1球ずつ入賞することができる(アタッカー扉35Tによって閉鎖された入賞不能または困難状態と、アタッカー扉35Tが前側に倒れた入賞可能または容易状態に切り替わる)。その第2アタッカー口35Aに入賞した遊技球は、一度、遊技盤11の裏側を通って次述する大入賞ブロック34内に排出される。また、第2アタッカー口35Aの右隣には球受突壁37が設けられ、その球受突壁37に受け止められた遊技球が、前側に倒れたアタッカー扉35Tに受け渡されるようになっている。
<大入賞ブロック34について>
遊技領域Rの右下部分には、右側流下領域Rbを流下してきた遊技球の大部分を受け止めるガイド上面34Bを有した大入賞ブロック34が設けられている。そのガイド上面34Bは左下がりに傾斜していて、受け止めた遊技球を特別始動口33Aへと案内する。なお、左側流下領域Raを流下した遊技球は、殆ど特別始動口33Aに入賞しないように障害釘や表示装飾枠20等によって流下方向が規制されている。
大入賞ブロック34のガイド上面34Bのうち第2アタッカー口35Aより特別始動口33A側にずれた部分には、遊技球の直径の2〜4倍の範囲に亘って第1アタッカー口34Aが形成されかつ通常はシャッター板34Tにて閉塞されている。これにより、通常は、ガイド上面34B上を遊技球が右端から左端まで転動して上述の如く特別始動口33Aに案内される。そして、シャッター板34Tが遊技盤11の前面より後方に引っ込むように開いて第1アタッカー口34Aが開放状態になると、右側流下領域Rbを流下してガイド上面34Bの右端部分で受け止められた遊技球の大部分が、第1アタッカー口34Aに入賞する(シャッター板34Tによって閉鎖された入賞不能または困難状態と、シャッター板34Tが後方に引っ込むように開いた入賞可能または容易状態に切り替わる)。
図3に示すように、大入賞ブロック34の内部には、通常口36CとV確定口36Aと内部排出口35Hとが設けられている。通常口36Cは、大入賞ブロック34内の下部左寄り位置に配置されている。そして、第1アタッカー口34Aを通して大入賞ブロック34に入球した遊技球は、全て通常口36Cから遊技盤11の後側に取り込まれる。また、遊技球が第1アタッカー口34Aから通常口36Cを経て遊技盤11の後方に取り込まれる度に、一般入賞口18Aや始動口31A,32A,33Aへの入賞時より多くの賞球が払い出される。
内部排出口35Hは、進入規制部材36Bの右斜め上方に配置されている。そして、第2アタッカー口35Aに入賞した遊技球が内部排出口35Hから大入賞ブロック34内に排出される。V確定口36Aは、大入賞ブロック34内の下部右寄り位置に配置され、そのV確定口36Aの上方には、V確定口36Aへの遊技球の入球を禁止した閉位置とV確定口36Aへの入球を許容した開位置との間で前後動する進入規制部材36Bが備えられている。そして、第2アタッカー口35Aを通して大入賞ブロック34に入球した遊技球は、進入規制部材36Bが開いていれば、殆どがV確定口36Aから遊技盤11の後側に取り込まれる。また、進入規制部材36Bが閉じていると、第2アタッカー口35Aを通して大入賞ブロック34に入球した遊技球は、進入規制部材36B上を通過して大入賞ブロック34内を左側に移動し、通常口36Cから遊技盤11の後側に取り込まれる。そして、遊技球が第2アタッカー口35Aに入賞してから通常口36C又はV確定口36Aの何れかを通過して遊技盤11の後方に取り込まれる度に、一般入賞口18Aや始動口31A,32A,33Aへの入賞時より多くの賞球が払い出される。
なお、大入賞ブロック34のうちガイドレール12に沿った外縁部分には、右側流下領域Rbと下部流下領域Rcとを連絡するアウト通路39が形成されており、サイド始動口32Aや第2アタッカー口35Aに入賞せず、ガイド上面34Bの上にも落下しなかった遊技球は、このアウト通路39を通過して、遊技領域Rの最下部に設けられたアウト口19に回収される。
<右側流下領域Rbの流下経路について>
右側流下領域Rbの上部には、その右側流下領域Rbを流下する遊技球の全てが通過する共通基幹経路50が設けられている。共通基幹経路50は、遊技球が1つだけ通過可能は幅をなして上下方向に延び、その共通基幹経路50の下端部に、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52とが二股状に連絡されている。
図3に示すように、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52との分岐部には、振分部材53が設けられている。振分部材53は、遊技盤11の前面に対して垂直な回動軸J1を中心にして、第1案内位置(図3に示す状態)と第2案内位置(図4に示す状態)との間で傾動可能となっている。そして、振分部材53は、遊技球の自重によって第1案内位置と第2案内位置とに切り替わり、共通基幹経路50に進入した遊技球を、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52とに自動的に1球ずつ振り分ける。
第2基幹流下経路52は、第1基幹流下経路51との分岐部から遊技領域Rの外縁部に沿って下方に延びており、その下端部の排出口52Bが、始動ゲート30に向かって左斜め下方に開放している。また、第2基幹流下経路52は、遊技球をサイド始動口32Aに入賞させないように案内して、始動ゲート30や、その下流側に配置された特別始動口33A、第1及び第2のアタッカー口34A,35Aに向かわせる。
図3に示すように、第1基幹流下経路51は、第2基幹流下経路52との分岐部から、大きく左右に蛇行しながら下方に向かって延びており、遊技球が通過する通過時間が、第2基幹流下経路52よりも長くなるように構成されている。第1基幹流下経路51の下流側には、サイド始動口32A、特別始動口33A、始動ゲート30等が設けられている。
第1基幹流下経路51の途中には、球遊転部材57が備えられている。図5に示すように、球遊転部材57は、遊技球を受ける受壁57Aと、受壁57Aを上下に貫通し、遊技球が1つずつ通過可能な排出孔57Bとを有している。球遊転部材57は、所謂、「クルーン」のように、遊技球を排出孔57Bの周りで周回させてから排出孔57Bに転落させることができ、第1基幹流下経路51における遊技球の通過時間を不規則に変化させる。
図6に示すように、第1基幹流下経路51の下端部には、遊技球をサイド始動口32Aに入賞させるように案内する第1案内流下経路61と、遊技球をサイド始動口32Aに入賞させないように案内して(第1案内流下経路61を流下しなかった場合)、始動ゲート30や、その下流側に配置された特別始動口33A等に向かわせる第2案内流下経路62とが連絡されている。なお、サイド始動口32Aは、第1基幹流下経路51を通過した遊技球が特別始動口33Aに到達するよりも早く到達するように配置され、サイド始動口32Aに到達した遊技球はサイド始動口32A入賞することで下流側に流下しないように構成されている。
第1基幹流下経路51の下端部には、遊技球が転動するように右下がりに傾斜した転動傾斜面56が備えられている。転動傾斜面56における遊技球の転動先には、第1案内流下経路61への進入口61Aが上方に向かって開口している。また、第1案内流下経路61への進入口61Aより下流側に、第2案内流下経路62が延びており、その第2案内流下経路62の下端部と第2基幹流下経路52の下端部とが合流している。ここで、第2案内流下経路62の下端部の排出口62Bは、第2基幹流下経路52の排出口52Bより始動ゲート30の真上に近い位置に配置されている。
第1案内流下経路61への進入口61Aには、スライド板64が備えられている。そのスライド板64は、転動傾斜面56における転動方向に直動し、図6に示すように進入口61Aを開放した開放状態と、図7に示すように、進入口61Aを塞いだ閉鎖状態とに自動的に交互に切り替わる。さらに、スライド板64の開閉周期は、発射装置による遊技球の連続的な発射周期(連続的に発射を継続した場合の間隔)と異なるように設定されていて、スライド板64の閉鎖状態で遊技球が進入口61A上を通過するタイミングになるように意図的に遊技球の発射タイミングを合わせることができないようになっていて、遊技の公平性を保つことができる。なお、本実施形態の発射装置は、0.6秒の1球の割合で遊技球を発射する仕様となっており、スライド板64は、0.5秒に1回の割合で、不利開放状態から有利閉鎖状態に切り替わる仕様となっている。
図6に示すように、サイド始動口32Aは、第1案内流下経路61への進入口61Aの真下に離して配置され、進入口61Aから第1案内流下経路61に転落した遊技球の殆どはサイド始動口32Aに入賞するようになっている。なお、まれなケースではあるが、進入口61Aから第1案内流下経路61に転落しながら進入口61Aとサイド始動口32Aとの間から逸脱した遊技球は、始動ゲート30や特別始動口33Aに向かう。
なお、上述した振分部材53及びスライド板64を設けたことにより、サイド始動口32Aとセンター始動口31Aとを比較すると、遊技状態(高確率状態と低確率状態と)にかかわらず、サイド始動口32Aの方がセンター始動口31Aよりも、遊技球が入賞し難い構成となっている。
<当否判定権について>
上記した始動ゲート30、センター始動口31A、サイド始動口32A及び特別始動口33Aに遊技球が入賞すると当否判定権が発生し、その当否判定権を使用した当否判定が行われる。これら当否判定について以下説明する。
<小当り当否判定権について>
遊技球が始動ゲート30を通過すると「小当り当否判定権」が発生し、その小当り当否判定権を使用して、特別始動口33Aを開放状態とする「小当り遊技」を行うか否かの「小当り当否判定」が行われる。その小当り当否判定の判定結果は、表示装飾枠20の一部に設けられた小判定報知部30X(図23参照)で報知される。小判定報知部では、予め定められた「小判定演出期間」に亘って小当り報知演出を行った後で、小当り当否判定の判定結果を報知する。また、「小判定演出期間」中に、始動ゲート30を遊技球が通過した場合には、その分の「小当り当否判定権」が予め定められた上限数(例えば最大4つ)まで保留され、それ以上は「小当り当否判定権」は発生しない。そして、保留された「小当り当否判定権」は、発生順(古い順)に使用される。
<第1の当否判定権について>
センター始動口31A及びサイド始動口32Aにそれぞれ遊技球が入賞すると第1の当否判定権がそれぞれ発生し、それら第1の当否判定権を使用して大当り当否判定が行われる。第1の当否判定権を使用して行われた大当り当否判定の結果は、ディスプレイ15の例えば画面左上部分に設けられた第1判定報知部15G(図2参照)で報知される。その第1判定報知部15Gは、例えば0〜9の範囲で変化する判定図柄を3つ横並びに配置してなり、大当り当否判定の結果を報知する際には、それら判定図柄を上下方向に変動表示(例えば、スクロール)してから停止表示するという報知演出を行う。そして、大当り当否判定が当りの場合には、停止表示された3つの判定図柄の組み合わせが、当りを意味する当り図柄組み合わせ(例えば、ぞろ目の3桁数)となり、外れの場合には、外れを意味する外れ図柄組み合わせ(例えば、ぞろ目以外の3桁数)になる。また、第1の当否判定権に基づく判定報知演出(第1判定報知部15Gの変動表示)を行っている間、及び、後述の大当り遊技を行っている間に、センター始動口31A,サイド始動口32Aに遊技球が入賞した場合には、その分の第1の当否判定権が、予め定められた上限数である例えば最大4つまで保留され、それ以上は第1の当否判定権は発生しない。そして、保留された第1の当否判定権は、発生順(古い順)に使用される。
<第2の当否判定権について>
特別始動口33Aに遊技球が入賞すると第2の当否判定権が発生し、その第2の当否判定権を使用して大当り当否判定が行われる。その第2の当否判定権を使用して行われる大当り当否判定の結果は、表示装飾枠20の右下部に一体に設けられた第2判定報知部25で報知される。第2判定報知部25では、判定報知演出を行った後、大当り当否判定の結果を表示する。その第2判定報知部25は、複数のLEDで構成された判定図柄で、判定報知演出はLEDの点滅(変動表示)にて行う。そして、大当り当否判定が当りの場合には、判定報知演出の後で全てのLEDが点灯状態になり、外れの場合には、判定報知演出の後で、一部又は全部のLEDが消灯状態になる。
第2の当否判定権に基づく判定報知演出(LEDの点滅)を行っている間、及び、後述の大当り遊技を行っている間に、特別始動口33Aに遊技球が入賞した場合には、その分の第2の当否判定権が、予め定められた上限数である例えば最大4つまで保留され、それ以上は第2の当否判定権は発生しない。そして、保留された第2の当否判定権は、発生順(古い順)に使用される。また、上記したように第1の当否判定権同士の間及び第2の当否判定権同士の間では、発生順に当否判定権を使用して判定報知演出が開始され、第1又は第2の一方の当否判定権の判定報知演出が実行中か否かとは無関係に他方の当否判定権の判定報知演出が開始される。以下、適宜、第1の当否判定権に基づく判定報知演出のことを「第1の判定報知演出」といい、第2の当否判定権に基づく判定報知演出のことを「第2の判定報知演出」という
<大当りの種類について>
下記表1に示すように、第1の当否判定権を使用した「大当り当否判定」の当りには、「特典無し大当り」と「特典付き大当り」との2種類があり、第2の当否判定権を使用した「大当り当否判定」の当りには、「特典付き大当り」のみがある。つまり、第2の当否判定権の当り(つまり、特別始動口33Aに入賞したときの大当り)で、「特典付き大当り」になる確率は100%である。これに対し、第1の当否判定権で当り(つまり、センター始動口31A又はサイド始動口32Aに入賞したときの大当り)で、「特典付き大当り」になる確率は例えば1/5(即ち、20%)、「特典無し大当り」になる確率は4/5(即ち、80%)に設定されている。
上記表1に示した何れの大当りであっても大当りになると、第1又は第2のアタッカー口34A,35Aを開放状態にする「大当り遊技」が実行される。その「大当り遊技」は、2ラウンドで構成され、第1ラウンドで第1アタッカー口34Aのみが開放状態になり、第2ラウンドで第2アタッカー口35Aのみが開放状態になる。また、第1及び第2のアタッカー口34A,35Aの開放は、予め定められた規定の開放期間(例えば、15秒間)を上限とし、その開放期間中に予め定められた規定数(例えば、10球)の遊技球が入賞すると直ちに閉鎖する。なお、上記配置により第1又は第2のアタッカー口34A,35Aに遊技球を入賞させるには右打ちを行う必要があるので、より多くの賞球を望む遊技者にとって「大当り遊技」中は「右打ち遊技」が必須になる。
第2ラウンド中には、予め設定された態様でアタッカー扉35Tが作動して第2アタッカー口35Aが開放する。「特典付き大当り」では、普通に右打ちを行っていれば第2アタッカー口35Aに遊技球が入球する(例えば、1秒間の開放を複数回繰り返す)一方、「特典無し大当り」では、右打ちを行っても通常は第2アタッカー口35Aに遊技球が入球しない(例えば、1秒間の開放を1回のみ行う)ように設定されている。即ち、「特典無し大当り」の大当り遊技中に、遊技球がV確定口36Aに入球することは実質的にはない設定になっている。なお、V確定口36Aを開閉する進入規制部材36Bの動きは、「特典付き大当り」か「特典無し大当り」かに拘らず一定となっている。
大当り遊技中にV確定口36Aに入球したか否かにより、その大当り遊技後の「大当りの判定確率」及び「小判定演出期間の長さ」の一方又は両方が通常時に比べて変更されるようになっている。
<確率について>
「大当り当否判定の確率」に関しては、通常時より当りとなる確率が高い「高確率状態」と通常通りの「低確率状態」との2つの設定がある。ここで、「低確率状態」から「高確率状態」に切り替わることが「確変」と呼ばれ、「高確率状態」が「確変状態」と呼ばれている。以下の説明では、「低確率状態」を適宜「非確変状態」と呼ぶこととする。本実施形態では、「大当りとなる判定確率」は、「高確率状態」で1/10、「低確率状態」で1/99に設定されている。また、「大当りとなる判定確率」は、センター始動口31A、サイド始動口32A及び特別始動口33Aのいずれも同じであるが、前述したように第2の当否判定権の当り、つまり特別始動口33Aに入賞した場合の当りは、100%の確率で「特典付き大当り」であるのに対し、第1の当否判定権の当り、つまりセンター始動口31A又はサイド始動口32Aに入賞した場合の当りは、1/5の確率で「特典付き大当り」、4/5の確率で「特典無し大当り」になるので、最も遊技者が望む「特典付き大当り」を引く確率は、特別始動口33Aに入賞した場合は、高確率状態で1/10、低確率状態で1/99となる一方、センター始動口31A又はサイド始動口32Aに入賞した場合は、高確率状態で1/50、低確率状態で1/495ということになる。
<時短について>
また、「小判定演出期間」に関しても、比較的短い「時短状態」(例えば、1秒)と、比較的長い「非時短状態」(例えば、10秒)との2つの設定がある。時短状態になると非時短状態に比べて前述した「小当り当否判定」の実行頻度が高くなり、「小当り」となる頻度も高くなる。また、時短状態で小当りとなったときには、非時短状態で小当りとなったときより特別始動口33Aの開放時間が長くなるように設定され(例えば、時短状態で小当りとなったときは、2秒間の開放を3回繰り返し、非時短状態で小当りとなったときは、1秒間の開放を1回だけ行う)、非時短状態で右打ち遊技を行っても特別始動口33Aにほとんど入賞することはないが、時短状態で右打ち遊技を行えば特別始動口33Aに多くの遊技球が入賞するようになっている。なお、本実施形態では、時短状態のときの方が非時短状態のときよりも「小当り当否判定」において「小当りとなる確率」が高くなるように設定されている。
<V確定口36Aへの入球の有無について>
大当り遊技後に「大当りの判定確率」,「小判定演出期間の長さ(変動時間の長さ)」が変更されるか否かは、その大当り遊技中にV確定口36Aに遊技球が入球したか否かによって確定される。具体的には、前記した表1に示したように、第1の当否判定権か第2の当否判定権かに拘わらず、「特典付き大当り」となった場合には、その大当り遊技中にV確定口36Aに遊技球が入球すれば、その大当り遊技後に「確変状態」でかつ「時短状態」(以下、これを適宜「確変有り時短状態」という)になり、V確定口36Aに遊技球が入球しなければ、「確変状態」ではない「時短状態」(以下、これを適宜「確変無し時短状態」という)になる。また、「特典無し大当り」となった場合には、その大当り遊技中にV確定口36Aに遊技球が入球すれば、その大当り遊技後に「時短状態」ではない「確変状態」(以下、これを適宜「時短無し確変状態」という)になり、V確定口36Aに遊技球が入球しなければ、「確変状態」ではなく「時短状態」でもない「通常状態」になる。これら遊技状態の決定は、現状が「通常状態」か「確変有り時短状態」か「確変無し時短状態」か「時短無し確変状態」かに拘わらず行われる。但し、「確変無し時短状態」だけは、大当り当否判定で当りになる前に行われた大当り当否判定の外れ回数が、予め定められた大当り判定上限回数に達した時点で終了して「通常状態」に移行する。
<遊技状態に応じた左打ち遊技と右打ち遊技の選び方について>
前述したように、「特典付き大当り」の大当り遊技中では、普通に右打ちを行っていればV確定口36Aに遊技球が入球し、「特典無し大当り」では、V確定口36Aに遊技球が入球することは実質的にはないように第2アタッカー口35Aの開放タイミングとV確定口36Aの開放タイミングとが設定されているので、「大当り当否判定」で「特典付き大当り」になれば、極めてまれなケースを除いて、「確変有り時短状態」になり、「大当り当否判定」で「特典無し大当り」になれば、「確変」でも「時短」でもない「通常状態」になる。そして、「通常状態」では、前述したように右打ち遊技を行っても特別始動口33Aにほとんど入賞することはなく、また、サイド始動口32Aよりセンター始動口31Aの方が入賞し易い構造になっているので、「通常状態」で遊技を始めて、より多くの賞球を得るべく「大当り当否判定」を行わせるためには、センター始動口31Aへの入賞を狙って左打ち遊技を行うことが好ましい打ち方になる。その結果、大当り当否判定が行われて当りとなり、大当り遊技が実行されたときには、第1アタッカー口34A及び第2アタッカー口35Aに入賞させるために右打ち遊技を行うことが好ましい打ち方になる。
また、「通常状態」でセンター始動口31Aに入賞して当りになった場合、その当りが「特典無し大当り」であったときには「通常状態」が継続されることになる。一方、「特典付き大当り」であったときには、V確定口36Aに入賞させれば、大当り遊技後に「通常状態」から「確変有り時短状態」に昇格することになる。そして、「確変有り時短状態」では、今度は特別始動口33Aへの入賞が容易になるので、右打ち遊技を続けることが好ましい打ち方となる。その「確変有り時短状態」における右打ち遊技中は特別始動口33Aに入賞して当りになれば、その当りは必ず「特典付き大当り」であるので、V確定口36Aに入賞させれば「確変有り時短状態」が継続されることになる。ところが、サイド始動口32Aに入賞して当りになり、その当りの内の4/5の確率の「特典無し大当り」になると、「確変有り時短状態」から「通常状態」に移行することになる。換言すると、「確変有り時短状態」でサイド始動口32Aに入賞したときには、外れになれば「通常状態」に移行する危険性は全くないが、当りになると「移行」する危険性が高まる。つまり、「確変有り時短状態」でサイド始動口32Aに入賞して当りになったときには、4/5の確率で「通常状態」へと「移行」する憂き目にあうロシアンルーレット遊技が実行されることになる。
これにより、「確変有り時短状態」で右打ち遊技を行っている遊技者の心理を、特別始動口33Aには入賞するが、サイド始動口32Aには入賞しないこと、及び、サイド始動口32Aに遊技球が入賞した場合に外れになることを願うように仕向けることができる。また、「確変有り時短状態」における第1の当否判定権の外れを、「通常状態」へと移行しない「擬似当り」と捉えることができる。
<判定報知演出の実行時間について>
大当り当否判定が当りか否かの判定報知演出の実行時間(本発明の「演出時間」に相当する)に関しては、遊技状態に応じて以下のように設定されている。例えば、「通常状態」のときの第1及び第2の判定報知演出の実行時間は、共に15秒〜180秒に設定されている。また、「確変有り時短状態」では、第1の判定報知演出の実行時間は、判定結果が外れであるときは60秒(本発明の「単位時間」に相当する)又は120秒(60秒(本発明の「単位時間」に相当する)の2(本発明の「規定数」に相当する)倍)に設定されている一方、判定結果が当りであるときは2秒に設定されていて、第2の判定報知演出の実行時間は、0.7秒に設定されている。また、前述したように、第1と第2の当否判定権の間では、第1又は第2の一方の判定報知演出が実行中か否かとは無関係に他方の判定報知演出が開始されるので、「確変有り時短状態」で右打ち遊技を行っているときには、例えば、1つの外れの第1の判定報知演出が行われている間(60秒又は120秒)に、第2の判定報知演出が複数回に亘って実行されることがしばしばおこる(図12(B)参照)。なお、演出の実行時間は、その演出に係る当否判定権が発生した時点(即ち、センター始動口31A、サイド始動口32A及び特別始動口33Aに遊技球が入賞した時点)で決定される。
<大当り遊技と判定報知演出との関係について>
第1又は第2の一方の当否判定権に基づいた大当り遊技の実行中は、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出(第1判定報知部15G又は第2判定報知部25による演出)は、継続して行われる。つまり、第1判定報知部15G又は第2判定報知部25が変動し続ける。そして、その大当り遊技の終了後、変動表示が大当り遊技の実行時間分延長して行われ、その後停止される。つまり、当否判定結果の表示(判定図柄の停止表示)が先延ばしにされる。以下に詳細を説明する。
第1の判定報知演出の実行時間は、当初から所定の第1の判定報知演出時間(60秒又は120秒)に設定されていて、第1の判定報知演出として判定図柄の変動表示が実行されると、その演出実行時間がカウントされて、その演出実行時間分が当初の第1の判定報知演出時間から減らされていく。ここで、判定図柄の変動表示中に大当り遊技が実行されると、判定図柄の変動表示は継続して行われる(変動表示が継続して行われているように見せている変動表示が行われる)ものの、演出実行時間のカウントは中断される。換言すれば、大当り遊技の実行中か否かに拘わらず、第1の判定報知演出を実行して(判定図柄の変動表示を実行して)、その演出実行時間をカウントし、第1の判定報知演出中に大当り遊技が実行された場合には、大当り遊技の総実行時間分を、当初の第1の判定報知演出時間の後に加え、第1の判定報知演出時間が大当り遊技の実行時間分だけ実質的に延長される。これにより、判定報知演出は、大当り遊技の実行後、大当り遊技の実行時間分、当初の演出時間から延長して行われることとなる。この構成によれば、大当り遊技の実行中に当否判定結果が表示されるということがなく、遊技者は、他方の判定報知演出の成り行きを気にすることなく、大当り遊技に集中して取り組むことができる。図8から図12にはこの演出実行時間カウントの中断に係る概念が示されている。なお、図8〜図11では、説明の便宜上、第1の当否判定権の判定報知演出の実行時間に対する第2の当否判定権の判定報知演出の実行時間の比率が実際の比率より大きくなっている。
また、本実施形態の判定報知演出は第1又は第2の何れか一方の当否判定権に基づいた大当り遊技の実行中は、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出を継続して、演出実行時間のカウントのみ中断するように構成しているが、必ずしも本実施形態と同様の構成にする必要はなく、例えば演出実行時間のカウントが中断した時点で他方の判定報知演出も同時に中断、或いは停止し(表示していた変動表示の態様を消したり、仮停止状態にするなど)、演出実行時間のカウントの再開と同時に中断した判定報知演出を再開、或いは新たな判定報知演出を実行するように構成してもよい。
ここで、外れの第1の判定報知演出を行っている間に、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始されると、その大当り遊技の実行時間分、第1の判定報知演出が延長され、その分、保留されている第1の当否判定権の消化を遅らすことができる。特に、「確変有り時短状態」であって、保留された第1の当否判定権の中に「当り」が含まれている場合には、将来、その当りによる大当り遊技の実行後に、現在の「確変有り時短状態」が「通常状態」へと「移行」する可能性がある。従って、「確変有り時短状態」のときに第2の当否判定権で当りを引き当てることで「通常状態」に移行し得るピンチの到来を、遅らせることが可能になる。
<当りの重複排除について>
図8及び図9に示すように判定結果が当りとなる一方の当否判定権に基づく判定報知演出(つまり、大当り遊技の直前に行われる判定報知演出)の実行時間中に、他方の当否判定権に基づく判定報知演出が開始されたときには、他方の当否判定権に基づく判定報知演出の判定結果は、必ず、強制的に外れになるように制御されている(本実施例では当否判定を行わずに外れになるように構成されている)。これにより、第1又は第2の一方の当否判定権に基づく大当り遊技の実行中に、他方の当否判定権の大当り遊技を開始しなければならないような事態の発生を防いでいる。また、第1及び第2の当否判定権は発生後に直ちに使用されるか保留されるかに拘わらず、発生直後に直ちに当りか否かが先読み判定されるようになっている。
また、図10及び図11に示すように、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出の中断無しに大当り遊技が開始され、その大当り遊技の実行中に第1及び第2の当否判定権の両方の保留が揃った状態になったときには、いずれの保留が先に生じたかに拘わらず、大当り遊技の終了後に、第1の当否判定権、第2の当否判定権の順番で判定報知演出が開始されるように制御されている。このとき、第1の当否判定権の大当り当否判定が当りであれば、その当りに基づいて大当り遊技が行われ、第2の当否判定権に基づく判定報知演出の判定結果は、実際の当否とは無関係に強制的に外れにされる。これにより、大当り遊技後に第1と第2の当否判定権の両方の判定報知演出が開始し得る状況になったときに、遊技者にドキドキ感を与えることができる。
また、第2の当否判定権の当りでは、遊技状態が「確変有り時短状態」から「通常状態」へと移行することはないが、第1の当否判定権の当りでは、遊技状態が「確変有り時短状態」から「通常状態」に移行する可能性があるから、「確変有り時短状態」で、第1と第2の当否判定権の両方の判定報知演出が開始し得る状況になったときに、遊技状態を変化し易くすることができる。
<確変有り時短状態の演出について>
上述したように、「確変有り時短状態」で右打ち遊技を行っているときには、1つの外れの第1の判定報知演出が行われている間に、第2の判定報知演出が複数回実行されるため、1つの外れの第1の判定報知演出が行われている間に、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が複数回行われることが起こり得る。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、「確変有り時短状態」で外れの第1の判定報知演出が行われる間に、本発明の「特別演出」が実行される。この「特別演出」の一連の流れについて、60秒の第1の判定報知演出が選択された場合を例にして説明する。
まず、「通常状態」でセンター始動口31Aに入賞して当りになり(図12中の※1。図13(A)参照)、大当り遊技が行われて(図13(B)参照)、「確変有り時短状態」になると、「確変突入」という文字が表示される(図13(C)参照)。その後、例えば、60秒の外れの第1の判定報知演出が開始される(図12中の※2)。この外れの第1の判定報知演出の実行中に、実行時間が第1の判定報知演出(60秒)よりも短い第2の判定報知演出(0.7秒)が複数回行われ、当り報知されると、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始される。
このとき、第2の判定報知演出が当りで停止表示されてから大当り遊技が開始されるまでに所定時間のオープニングが設けられていて、このオープニングに「操作演出」が行われる(図12中の※3)。「操作演出」では、まず、図13(D)に示すように、操作ボタン10Bを操作することを示唆する操作示唆画像15Sが3つ横並びに表示される。そして、遊技者が操作ボタン10Bを操作していくと、操作示唆画像15Sが1つずつ文字に置き換わる。本実施形態では、図14(A)〜(C)に示すように、1回目の操作で、左の操作示唆画像15Sが「ボー」という文字に置き換わり、2回目の操作で中の操作示唆画像15Sが「ナ」という文字に置き換わり、3回目の操作で右の操作示唆画像15Sが「ス」という文字に置き換わる。つまり、操作ボタン10Bを3回操作すると、ディスプレイ15に「ボーナス」の文字が揃う。
その後、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始されると共に、図14(D)に示すように、ディスプレイ15に「第1回目ボーナスタイム」という文字が表示される「特別演出」が開始される(図12中の※4)。この「特別演出」では、大当り遊技の実行回数が、大当り遊技が行われる度に「1回」、「2回」、「3回」、というようにカウントアップされて表示される「カウントアップ演出」が行われる。そして、外れの第1の判定報知演出の終了時に、第1判定報知部15Gの判定図柄が外れの組み合わせで停止表示され(図15(A)参照)、「第1回目ボーナスタイム終了」という文字が表示されて「特別演出」が終了する(図12中の※5)。なお、図示されていないが、「特別演出」では、時間経過と共に背景の色が青、緑、赤と変化していき、「特別演出」の終了(つまり、外れの第1の判定報知演出の終了)が近づいていることが示唆される。
このように、本実施形態では、1つの60秒の外れの第1の判定報知演出中に、1回目の第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始される際に「操作演出」が行われ、その後、その判定報知演出の最後まで「特別演出」が行われる。そして、この「特別演出」が実行されている間に、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が複数回実行され得る。即ち、「特別演出」が実行されている間は、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が複数回実行され得る「特定当り状態」であると捉えることができる。また、1つの「特定当り状態」において実行される1回又は複数回の第2の当否判定権に基づく大当り遊技から本発明の「特別当り遊技」が構成される。
1回目の第1の判定報知演出が終了すると、次の第1の当否判定権の判定報知演出が開始される。この第1の当否判定権が「特典無し当り」である場合は、判定報知演出の開始後すぐに、上述した「操作演出」が行われる(図15(B)参照。図12中の※6)。このときの「操作演出」では、図15(C)に示すように、右の操作示唆画像15Sが「×」となって「ボーナス」の文字が揃わずに、「特別演出」が行われないことが示唆される。その後、第1判定報知部15Gの判定図柄が当りの組み合わせで停止表示され(図15(D)参照)、第1の当否判定権に基づく大当り遊技が行われた後、遊技状態が「通常状態」に移行する。
以降、「ボーナス」の文字が揃う「操作演出」(外れの第1の判定報知演出中に行われる操作演出)を「操作演出(成功)」とする一方、「ボーナス」の文字が揃わない「操作演出」(当りの第1の判定報知演出中に行われる操作演出)を「操作演出(失敗)」として両者を区別する。なお、この「操作演出(成功)」が本発明の「開始演出」に相当する。また、第1の当否判定権の判定結果が「特典無し当り」である場合のみ「操作演出(失敗)」を行う構成であってもよいし、「特典無し当り」である場合と「特典付き当り」である場合との両方で「操作演出(失敗)」を行う構成であってもよい。
さて、上述したように、本実施形態のパチンコ遊技機10では、「確変有り時短状態」における外れの第1の判定報知演出として、演出時間が60秒のもの(本発明の「短期演出」に相当する)と120秒のもの(本発明の「長期演出」に相当する)とが存在する。そして、演出時間が60秒のものでは、1つの第1の判定報知演出中に「特別演出」が1回だけ実行されるのに対し、演出時間が120秒のものでは、1つの第1の判定報知演出中に「特別演出」が2回実行されるように構成されている(図16参照)。このとき、「特別演出」が2回連続して実行されることで、「特定当り状態」での遊技が2回連続で実行されたと感じさせることができる。
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1の当否判定権の判定結果において外れが連続したり、120秒の外れの第1の判定報知演出が選択されたりして、「特別演出」が連続して実行される際に、先に実行される「特別演出」の実行中に、後に再び「特別演出」が実行されることを示唆する「ストック演出」(本発明の「連続示唆演出」に相当する)が実行されることがある。以下、120秒の外れの第1の判定報知演出と60秒の外れの第1の判定報知演出とが連続して実行される場合を例にして、「ストック演出」を含む「特別演出」の一連の流れについて説明する。
図16に示すように、「確変有り時短状態」になり、120秒の外れの第1の判定報知演出が開始された後、1回目の第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始されると、60秒の外れの第1の判定報知演出中と同様に、「操作演出(成功)」が実行され(図17(A)参照)、1回目の「特別演出」が実行される(図17(B)参照)。この1回目の「特別演出」中に、「ストック演出」が実行される。「ストック演出」では、「ボーナスストックチャンス」という文字とともに操作示唆画像15Sが1つ表示され(図17(C)参照)、遊技者が操作ボタン10Bを操作すると、例えば「ストック1」という文字が表示される(図17(D)参照)。なお、「ストック演出」の実行中は、「第1回目ボーナスタイム」という文字と大当り遊技回数のカウントとは、ディスプレイ15の右上隅に表示されている。
「ストック演出」が終了すると、「ボーナスストックチャンス」という文字が消えて、ディスプレイ15の左下隅に「ストック1」という文字が表示される(図18(A)参照)。
120秒の外れの第1の判定報知演出の開始から60秒が経過すると、「第1回目ボーナスタイム終了」という文字が表示されて1回目の「特別演出」が終了する(図16中の※1。図18(B)参照)。その後、ディスプレイ15に「ストック使用」という文字が表示されるとともに、「ストック1」が「ストック0」に変わり(図18(C)参照)、2回目の「操作演出(成功)」が実行される(図18(D)、図19(A)参照)。このときの「操作演出」では、「ボーナス」の文字が揃うこと(即ち、後に「特定当り状態」になること)を示唆する「ボーナスGET」という文字が表示される。そして、「第2回目ボーナスタイム」という文字が表示され、2回目の「特別演出」が開始される(図19(B)参照)。このとき、「第1回目ボーナスタイム」、「第2回目ボーナスタイム」、と「特別演出」の回数をカウントすることで、新たな「特別演出」が実行されていると感じさせること(即ち、新たに「特定当り状態」となったと感じさせること)ができ、このような演出により、ここでいう「ストック」が「特別演出」のストック、即ち、「特定当り状態」での遊技のストックであると感じさせることができる。
その後、2回目の「特別演出」中に、さらに「ストック演出」が行われ、「ストック1」という文字が表示された(図19(C)参照)後、120秒の外れの第1の判定報知演出が終了すると、「第2回目ボーナスタイム終了」という文字が表示されて2回目の「特別演出」が終了する(図19(D)参照)。
そして、120秒の外れの第1の判定報知演出の次に、保留されていた60秒の外れの第1の判定報知演出が開始されると、その演出中における1回目の大当り遊技が実行される際に、「ストック」が使用され、「操作演出(成功)」が実行されたのち(図16中の※3)、「第3回目ボーナスタイム」という文字が表示されて、「確変有り時短状態」に突入後3回目の「特別演出」が実行される(図20(A)参照)。その後、60秒の外れの第1の判定報知演出の終了と共に、「第3回目ボーナスタイム終了」という文字が表示されて「特別演出」が終了する(図20(D)参照)。
「ストック演出」において表示される「特別演出」の回数は、1つずつであってもよいし、「特別演出」複数回分をまとめて先出し表示されてもよい。例えば、図21及び図22に示される例では、120秒の外れの第1の判定報知演出における1回目の「特別演出」中に、120秒の外れの第1の判定報知演出における2回目の「特別演出」と、60秒の外れの第1の判定報知演出における「特別演出」と、の2回分の「特別演出」を先出しして、「ストック2」と表示される。
また、連続して実行される「特別演出」のうちの最後の「特別演出」において、「ストック失敗演出」が行われることがある(図16中の※4)。この「ストック失敗演出」は以下のとおりである。即ち、図20(B)に示すように、「ストック演出」と同様に「ボーナスストックチャンス」という文字と操作示唆画像15Sとが表示され、遊技者が操作ボタン10Bを操作すると、「特別演出」のストックが発生しないことを示唆する「ストック失敗」という文字が表示される(図20(C)参照)。
なお、「確変有り時短状態」になった後、60秒の外れの第1の判定報知演出が1度だけ実行されて、すぐに第1の判定報知権が当りになり「通常状態」に戻る場合等にも「ストック失敗演出」が行われてもよい。また、「特別演出」がその後も連続して実行される場合でも、途中で「ストック失敗演出」を実行し、その後、また「特別演出」が実行される構成であってもよい。この場合、「第1回目ボーナスタイム」、「第2回目ボーナスタイム」、とカウントされている「特別演出」の実行回数を一旦リセットし、再度カウントし直す構成であってもよいし、続けてカウントする構成であってもよい。つまり、「確変有り時短状態」中に実行される「特別演出」全ての実行回数をカウントする構成であってもよいし、「ストック」によって連続している「特別演出」の実行回数をカウントする構成であってもよい。
<本実施形態のパチンコ遊技機10における作用・効果について>
以上が、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御フロー以外の説明である。次に、本実施形態のパチンコ遊技機10における作用・効果について説明し、その後に制御フローに関しては詳説することとする。
本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、サイド始動口32Aに入賞して当りになった場合、「特典付き大当り」にならないこともある一方、特別始動口33Aに入賞して当りになった場合、必ず「特典付き大当り」になる、つまり、特別始動口33Aとサイド始動口32Aとの間で「特典付き大当り」の当選確率が異なるので、特別始動口33Aとサイド始動口32Aとの間で「特典付き大当り」の当選確率を同一にした場合に比べて、趣向性を向上させることが可能となる。
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、上述したように、外れの第1の判定報知演出中において、1回目の第2の当否判定権による大当り遊技が開始されてから所定時間後まで「特別演出」が行われる。これにより、第2の当否判定権による複数回の大当り遊技に亘って一連の流れの「特別演出」が実行され得るという、従来の遊技機にはない演出構成となっているので、趣向性を向上させることができる。また、第2の当否判定権による大当り遊技が実行される度に演出が行われ、短い演出が断続的に実行される構成と比べて、遊技者に「演出が細切れに実行されている」と感じさせて興ざめさせてしまうことも抑制できる。
また、外れの第1の判定報知演出中に、「特定当り状態」での遊技が行われた、と遊技者に感じさせることができる。しかも、「特別演出」の前に「操作演出(成功)」を実行することで「特別演出」の区切りを分かりやすくすることができると共に、「操作演出」において自分で操作を行って「成功」させたことにより「特定当り状態」での遊技が開始されたと遊技者に感じさせ、高揚感を感じさせることができる。
ところで、一般的なパチンコ遊技機では、1回の大当り遊技中にアタッカー口(本実施形態における第1アタッカー口34A及び第2アタッカー口35A)が複数回開放状態になるが、その開放状態になる回数はいわゆる「ラウンド」として表される。このため、本実施形態のように、「特別演出」において1つの外れの第1の判定報知演出中に実行される大当り遊技の実行回数をカウントアップして表示することで、大当り遊技の実行回数のカウントを、いわゆる「ラウンド」のカウントと感じさせ、「特別演出」中の遊技を、1回の大当り遊技であるように遊技者に感じさせることができる。以降、「特別演出」中の遊技を大当り遊技であるように感じさせたもの(「特別当り遊技」に相当する)を、本当の大当り遊技と区別するために「擬似大当り遊技」という。
また、「特別演出」の前に行われる「操作演出」が「ボーナス」の文字が揃う「操作演出(成功)」と揃わない「操作演出(失敗)」との2種類あるため、「操作演出(成功)」が行われた場合は、「操作演出」の抽選に当たったと感じさせることができ、さらに、「操作演出」の抽選に当たった結果、擬似大当り遊技が実行されるように遊技者に感じさせることができる。
さらに、外れの第1の判定報知演出として、演出時間が60秒のものと、120秒のものとがあり、60秒のものでは「特別演出」が1回だけ実行される一方、120秒のものでは「特別演出」が2回実行されるので、120秒のものが選択された場合には、擬似大当り遊技が2回連続して行われたと感じさせることができる。
しかも、「特別演出」が連続する際には、「ストック演出」が行われるので、擬似大当り遊技中にさらに擬似大当り遊技が追加されてストックされていると遊技者に感じさせることができる。また、上述したように、外れの第1の判定報知演出が連続しやすいので、「特別演出」が連続して実行されやすく、擬似大当り遊技が複数回分追加されたと遊技者に感じさせることができる。
<パチンコ遊技機10の電気的構成について>
次に、パチンコ遊技機10の電気的制御について説明する。図23に示すように、パチンコ遊技機10は、CPU60A、RAM60B及びROM60Cを実装した主制御基板60と、CPU70A、RAM70B及びROM70Cを実装したサブ制御基板70とを備えている。そして、主制御基板60のCPU60Aが図24に示したメイン処理PG1を実行すると共に、サブ制御基板70のCPU70Aが図52に示したメイン処理PG2を実行して遊技の制御を行う。なお、以下の説明では、上述の構成における「小判定報知部」を「普通図柄」といい、上述の構成における「第1判定報知部15G」を「特図1(特別図柄1)」といい、上述の構成における「第2判定報知部25」を「特図2(特別図柄2)」という。そして、それぞれの図柄での「判定報知演出」のことを「変動」という。また、「特典無し大当り」と「特典付き大当り」をあわせて「大当り」という。
図24に示すように、メイン処理PG1では、パチンコ遊技機10の電源投入後に初期設定(S1)を行ってから、割込禁止(S2)、乱数カウンタ更新処理(S3)及び割込許可(S4)を繰り返して行うループに入る。そのループで乱数カウンタ更新処理(S3)が実行される度に、上限値と下限値とを有する複数の乱数生成カウンタが更新されていき、上限値に達すると、下限値に戻って更新が繰り返される。また、複数の乱数生成カウンタの上限値は相互に異なっているため、乱数生成カウンタ同士のカウンタ値は相互に異なった値になっていく。
主制御基板60のCPU60Aは、上記したメイン処理PG1のループに対して、主制御基板割込処理(S5)を所定周期(例えば、4msec周期)で割り込ませて実行する。。図25に示すように、主制御基板割込処理(S5)では、まず、コマンド処理(S10)を行う。コマンド処理(S10)では、以下説明する各処理により主制御基板60の出力バッファに記憶された各種コマンドを、サブ制御基板70等に出力する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S11)は、上記した主制御基板メインプログラムPG1のループ処理内で行われている乱数カウンタ更新処理(S3)と同じである。即ち、各種カウンタ値の更新処理は、主制御基板割込処理(S5)の実行期間内と、その残余処理期間(主制御基板割込処理(S5)の終了後、次の主制御基板割込処理(S5)が開始されるまでの期間)の両方で行われている。
<入賞時の処理について>
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S11)に次いで、始動入賞口スイッチ検出処理(S12)が実行される。始動入賞口スイッチ検出処理(S12)では、始動ゲート30を遊技球が通過したときに、普図判定用の乱数が取得されてRAM60Bに格納され、センター始動口31A、サイド始動口32Aに遊技球が入賞したときに、特図1判定用の乱数が取得されてRAM60Bに格納され、特別始動口33Aに遊技球が入賞したときに、特図2判定用の乱数が取得されてRAM60Bに格納される。なお、RAM60Bの特図判定用の乱数記憶領域には、入賞時に取得された特別図柄関連の乱数をそれぞれ保留の上限である「4つ」ずつまで記憶可能となっている。
<普通図柄による当否判定及び入賞口の開閉制御について>
図25に示すように、始動入賞口スイッチ検出処理(S12)に次いで、普通動作処理(S13)を行う。この処理(S13)では、始動ゲート30の通過を条件に取得した普通図柄当否判定用乱数値に基づいて「小当り遊技」を行うか否かの「小当り判定」を行うと共に、その判定結果が「小当り」である場合には、特別始動口33Aに設けられた始動口扉33Tを開閉させる。このとき、時短状態であるか否かによって、始動口扉33Tの開閉時間等が異なる。
<特別図柄による当否判定の制御について>
図25に示すように、普通動作処理(S13)に次いで、特別動作処理(S14)を行う。この処理(S14)は、図26に示されており、特図1に係る動作状態を表す特図1動作ステータスと、特図2に係る動作状態を表す特図2動作ステータスを判定し、大当り動作中の場合には、特図1大当り動作処理(S131A)又は特図2大当り動作処理(S131B)を実行する。大当り動作中でない場合には、特図1の変動処理及び大当り判定処理(S135)、特図2の変動処理及び大当り判定処理(S140)を順に行う。
詳細には、まず、大当り動作中か否かを判定する(S130)。大当り動作中の場合(S130でYes)は、特図1による大当り動作中であった場合には特図1大当り動作処理(S131A)を実行し、特図2による大当り動作中であった場合には特図2大当り動作処理(S131B)を実行して、この処理(S14)を抜ける。なお、特図1による大当り動作と特図2による大当り動作とが同時に発生することはない。大当り動作中でない場合(S130でNo)には、特図2が「大当り確定」であるか否か(特図2動作ステータスが「3」であるか否か)を判定する(S132)。特図2が「大当り確定」でない場合(S132でNo)には、特図1が変動中でないか否か(特図1動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S133)、特図1が変動中の場合(S133でNo)には、特図1動作タイマ(特図1の変動時間)を減算(本実施例では4[ms]減算)する(S134)。次いで、ステップS133の判定でYesになった後(特図1が変動中でない場合)、及び特図1動作タイマの減算処理(S134)を行った後に、特図1変動動作処理(S135)を実行する。このときの特図1動作ステータスは「0」〜「3」の何れかになっている。次いで、大当り動作中か否かを判定し(S136)、大当り動作中の場合(S136でYes)には、この処理(S14)を抜ける。
ステップS132の判定でYesになった後(特図2が「大当り確定」である場合)、及び特図1変動動作処理(S135)の後で大当り動作中でない場合(S136でNo)には、特図1が「大当り確定」であるか否か(特図1動作ステータスが「3」であるか否か)を判定し(S137)、特図1が「大当り確定」である場合(S137でYes)には、この処理(S14)を抜ける。特図1が「大当り確定」でない場合(S137でNo)には、特図2が変動中でないか否か(特図2動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S138)、特図2が変動中の場合(S138でNo)には、特図2動作タイマを4[ms]減算する(S139)。次いで、ステップS138の判定でYesになった後(特図2が変動中でない場合)、及び特図2動作タイマの減算処理(S139)を行った後に、特図2変動動作処理(S140)を実行する。このときの特図2動作ステータスは「0」〜「3」の何れかになっている。その後、この処理(S14)を抜ける。
このような処理構成とすることで、特図1と特図2とを同時変動させつつ、一方の特図で大当りが発生した場合には、大当り確定から大当り動作が終了するまでの間は他方の特図の変動が延長(変動時間の計測を行わないことで当該変動が終了しないように構成し、変動が終了しないことで次の当否判定を行わないようにしている)されるので、両方の特図で大当りが発生することがないようにすることが可能になる。また、特図2での大当り判定より特図1の大当り判定を優先的に処理することが可能になる。
<特別図柄1による当否判定について>
図27に示される特図1変動動作処理(S135)では、特図1動作ステータスを判定し(S150)、処理を分岐する。特図1動作ステータスが「0」である場合(S150で「0」)には特図1待機処理(S151)を行い、特図1動作ステータスが「1」である場合(S150で「1」)には特図1変動処理(S152)を行い、特図1動作ステータスが「2」である場合(S150で「2」)には特図1外れ確定処理(S153)を行い、特図1動作ステータスが「3」である場合(S150で「3」)には特図1大当り確定処理(S154)を行う。以下、これら各処理(S151,S152,S153,S154)を順に説明する。
図28に示される特図1待機処理(S151)では、特図1の保留が存在する場合には、最も古い特図1の保留の情報を利用して、特図1による大当りの判定及び特図1の変動表示に必要な情報の設定を行い、特図1の保留が存在しない場合には待機画面の設定を行う。詳細には、まず、特図1の保留があるか否か(特図1保留球数が「0」でないか否か)を判定する(S200)。特図1の保留がない場合(S200でNo)には、ディスプレイ15が待機画面になっている(例えば、待機中フラグがON)か否かをチェックする(S201)。そして、待機画面である場合(S201でYes)には、直ちにこの処理(S151)を抜ける一方、待機画面でない場合(S201でNo)には、待機画面設定処理(S202。例えば、待機中フラグをON)を行ってから、この処理(S151)を抜ける。
特図1の保留がある場合(S200でYes)には、特図2が当否判定結果が当りとなる変動中(以下、大当り変動中という)であるか否か(特図2大当りフラグがONであるか否か)を判定する(S203)。特図2が大当り変動中の場合(S203でYes)には、特図1大当りフラグをOFFにする(S204)。即ち、特図2の大当り変動中に消化された特図1保留球は全て強制的に外れとなる。特図2が大当り変動中でない場合(S203でNo)は、特図1大当り判定処理(S205)を行う。
図29に示すように、特図1大当り判定処理(S205)では、まず、センター始動口31A又はサイド始動口32Aへの入賞時に取得(RAMの乱数記憶領域に記憶)した特図1判定用の乱数値をロードする(S300)。次いで、現状が高確率状態か否かをチェックし(S301)、高確率状態ではない場合(S301でNo)は、特図1判定用の乱数値が低確率状態時の判定値と一致した「大当り」か否かをチェックする(S302)。特図1判定用の乱数値が何れの判定値とも一致しなかった場合、即ち、「外れ」である場合(S302でNo)には、特図1大当りフラグをOFFにして(S303)、この処理(S205)を抜ける。また、高確率状態である場合(S301でYes)には、特図1判定用の乱数値が、高確率状態時の判定値の何れかと一致した「大当り」か否かをチェックする(S304)。特図1判定用の乱数値が何れの判定値とも一致しなかった場合、即ち、「外れ」である場合(S304でNo)には、特図1大当りフラグをOFFにして(S305)、この処理(S205)を抜ける。上述したように、センター始動口31A、サイド始動口32Aへの入賞から「大当り」に当選する確率は、高確率状態で1/10であり、低確率状態で1/99である。
一方、各ステップS302,S304において、特図1判定用の乱数値が予め設定された判定値と一致した場合、即ち「大当り」に当選した場合(S302でYes又はS304でYes)には、特図1大当りフラグをONにして(S306)、その「大当り」の種別が、V確定口36Aへの遊技球の通過を許容する「特典付き大当り」であるか否かを判定し、当りコマンドを設定する(S307)。具体的には、例えば、大当り図柄乱数値が予め定めた値である場合に「特典付き大当り」であると判定し、その値以外である場合に「特典付き大当り」ではないと判定する。「特典付き大当り」の場合には、第2大当りフラグをONし、「特典付き大当り」ではない(「特典無し大当り」である)場合には第2大当りフラグをOFFする。その後、この処理(S205)を抜ける。本実施形態では、ステップS307において、20%の確率で「特典付き大当り」と判定されるように設定されている。
<特別図柄1の変動内容の決定について>
図28に示すように、ステップS204及び特図1大当り判定処理(S205)に次いで、第1判定報知部15Gに停止表示させる判定図柄を大当り図柄乱数値等の図柄決定用の乱数に基づいて決定する特図1図柄選択処理(S206)、大当り当否判定の結果やリーチの有無等に基づいて判定図柄が停止表示するまでの変動表示態様(変動時間等を含む)に関するデータを選択する特図1変動態様選択処理(S207)が順に行われ、特別図柄1の変動内容が決定される。
ここで、ステップS342で設定される「確変大当り」の変動時間は2秒、ステップS344,S345で設定される「確変リーチ外れ」、「確変リーチ無し外れ」の変動時間は60秒又は120秒、ステップS347,S349,S350で設定される「通常大当り」、「通常リーチ外れ」、「通常リーチ無し外れ」の変動時間は15〜180秒になるよう設定されている。
<特別図柄1の保留繰り上げについて>
図28に示すように、特図1変動態様選択処理(S207)に続いて、特図1乱数シフト処理(S208)を行う。この処理(S208)では、最も古い特図1の保留の情報を処理した後に、残りの特図1の保留の情報を繰り上げる処理を行う。具体的には、特図1保留球数を1減算し、RAMの特図1保留記憶に対応する乱数記憶領域に記憶されている各種乱数を1つずつ下位側の乱数記憶領域にシフトさせて、最上位(4個目)の乱数記憶領域をクリアする。
<特別図柄1の変動の制御について>
図28に示すように、特図1乱数シフト処理(S208)に続いて、特図1変動開始処理(S209)を行う。特図1変動開始処理(S209)では、特図1変動態様選択処理(S207)で選択された変動態様の変動時間を特図1変動開始コマンドに設定し、特図1変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットする。
図28に示すように、特図1変動開始処理(S209)に続いて、特図1動作ステータスを「1(変動)」に設定する処理(S210)を行い、時短回数の減算判定処理(S211)を行う。時短回数の減算判定処理(S211)では、低確率状態かつ時短状態の場合に設定される時短カウンタを用いて、時短回数の減算を行い、時短カウンタが「0」になったときに時短状態を終了する。その後、特図1待機処理(S151)を抜ける。以上が、特図1待機処理(S151)の説明である。
次に、特図1変動動作処理(S135)(図27参照)における特図1変動処理(S152)を、図30に基づいて説明する。この処理(S152)では、特図1の変動表示が終わった後で、特図1の当否判定結果が外れの場合には特図1動作ステータスを「外れ確定」に設定し、大当りの場合には特図1動作ステータスを「大当り確定」に設定する。詳細には、まず、特図1が変動中でないか否か(特図1動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S380)、変動中の場合(S380でNo)には、この処理(S152)を抜ける。特図1が変動中でない場合(S380でYes)には、確定処理の基本設定(例えば、特図1動作タイマの設定)を行い、特図1動作ステータスに「2(外れ確定)」を設定する(S381)。次いで、特図1大当りフラグがONか否かを判定し(S382)、特図1大当りフラグがONでない場合(S382でNo)には、この処理(S152)を抜ける。特図1大当りフラグがONの場合(S382でYes)には、特図1動作ステータスに「3(大当り確定)」を設定し(S383)、この処理(S152)を抜ける。
次に、特図1変動動作処理(S135)(図27参照)における特図1外れ確定処理(S153)を、図31に基づいて説明する。この処理(S153)では、外れの変動確定後、特図1動作ステータスを「待機」に戻す処理を行う。詳細には、まず、所定の時間が経過したか否か(特図1動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S390)、経過していない場合(S390でNo)には、この処理(S153)を抜ける。所定の時間が経過した場合(S390でYes)には、待機処理の基本設定を行い、特図1動作ステータスに「0(待機)」を設定し(S391)、この処理(S153)を抜ける。
次に、特図1変動動作処理(S135)(図27参照)における特図1大当り確定処理(S154)を、図32に基づいて説明する。この処理(S154)では、大当りの変動確定後、特図1動作ステータスを「大当り開始」に設定する。詳細には、まず、所定の時間が経過したか否か(特図1動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S400)、経過していない場合(S400でNo)には、この処理(S154)を抜ける。所定の時間が経過した場合(S400でYes)には、大当りオープニングコマンド(以下、適宜「大当りOPコマンド」という)をRAMの出力バッファにセットするなど、大当り動作の設定を行い、特図1大当りフラグをOFFして、特図1動作ステータスに「4(大当り開始)」を設定し(S401)、この処理(S154)を抜ける。
<特別図柄2による当否判定について>
次に、図33〜図38を用いて特図2の変動動作処理について説明する。特図2の変動動作処理は、参照及び設定するパラメータが特図2に係るものであることと、特別図柄及び変動態様の選択処理(S506,S507)が特図1の場合と異なることを除けば、図27〜図32に示した特図1の変動動作処理と同じである。
図33に示される特図2変動動作処理(S140)では、特図2動作ステータスを判定し(S160)、処理を分岐する。特図2動作ステータスが「0」である場合(S160で「0」)には特図2待機処理(S161)を行い、特図2動作ステータスが「1」である場合(S160で「1」)には特図2変動処理(S162)を行い、特図2動作ステータスが「2」である場合(S160で「2」)には特図2外れ確定処理(S163)を行い、特図2動作ステータスが「3」である場合(S160で「3」)には特図2大当り確定処理(S164)を行う。以下、これら各処理(S161,S162,S163,S164)を順に説明する。
図34に示される特図2待機処理(S161)では、特図2の保留が存在する場合には、最も古い特図2の保留の情報を利用して、特図2による大当りの判定及び特図2の変動表示に必要な情報の設定を行い、特図2の保留が存在しない場合には待機画面の設定を行う。詳細には、まず、特図2の保留があるか否か(特図2保留球数が「0」でないか否か)を判定する(S500)。特図2の保留がない場合(S500でNo)には、ディスプレイ15が待機画面になっている(例えば、待機中フラグがON)か否かをチェックする(S501)。そして、待機画面である場合(S501でYes)には、直ちにこの処理(S161)を抜ける一方、待機画面でない場合(S501でNo)には、待機画面設定処理(S502。例えば、待機中フラグをON)を行ってから、この処理(S161)を抜ける。
特図1の保留がある場合(S500でYes)には、特図1が大当り変動中であるか否か(特図1大当りフラグがONであるか否か)を判定する(S503)。特図1が大当り変動中の場合(S503でYes)には、特図2大当りフラグをOFFにする(S504)。即ち、特図1の大当り変動中に消化された特図2保留球は全て強制的に外れとなる。特図1大当りフラグがONでない場合(S503でNo)は、特図2大当り判定処理(S505)を行う。
図35に示すように、特図2大当り判定処理(S505)では、まず、特別始動口33Aへの入賞時に取得(RAMの乱数記憶領域に記憶)した特図2判定用の乱数値をロードする(S600)。次いで、現状が高確率状態か否かをチェックし(S601)、高確率状態ではない場合(S601でNo)は、特図2判定用の乱数値が低確率状態時の判定値と一致した「大当り」か否かをチェックする(S602)。特図2判定用の乱数値が何れの判定値とも一致しなかった場合、即ち、「外れ」である場合(S602でNo)には、特図2大当りフラグをOFFにして(S603)、この処理(S605)を抜ける。また、高確率状態である場合(S601でYes)には、特図2判定用の乱数値が、高確率状態時の判定値の何れかと一致した「大当り」か否かをチェックする(S604)。特図2判定用の乱数値が何れの判定値とも一致しなかった場合、即ち、「外れ」である場合(S604でNo)には、特図2大当りフラグをOFFにして(S605)、この処理(S505)を抜ける。上述したように、特別始動口33Aへの入賞から「大当り」に当選する確率は、高確率状態で1/10であり、低確率状態で1/99である。
一方、各ステップS602,S604において、特図2判定用の乱数値が予め設定された判定値と一致した場合、即ち「大当り」に当選した場合(S602でYes又はS604でYes)には、特図2大当りフラグをONにして(S606)、その「大当り」の種別が、V確定口36Aへの遊技球の通過を許容する「特典付き大当り」であるか否かを判定し、当りコマンドを設定する(S607)。具体的には、例えば、大当り図柄乱数値が予め定めた値である場合に「特典付き大当り」であると判定し、その値以外である場合に「特典付き大当り」ではないと判定する。「特典付き大当り」の場合には、第2大当りフラグをONし、「特典付き大当り」ではない(「特典無し大当り」である)場合には第2大当りフラグをOFFする。その後、この処理(S505)を抜ける。本実施形態では、ステップS607において、「特典付き大当り」と判定される確率は100%に設定されている。つまり、特別始動口33Aへの入賞から発生する大当りは、全て「特典付き大当り」である。
<特別図柄2の変動内容の決定について>
図34に示すように、特図2大当り判定処理(S505)に次いで、大当り当否判定の結果やリーチの有無等に基づいて、特図2の表示内容を決定する特図2図柄選択処理(S506)、特図2の変動表示態様に関するデータを選択する特図2変動態様選択処理(S507)が順に行われ、特別図柄1の変動内容が決定される。
ここで、ステップS642,S644,S645で設定される「確変大当り」、「確変リーチ外れ」、「確変リーチ無し外れ」の変動時間は0.7秒、ステップS647,S649,S650で設定される「通常大当り」、「通常リーチ外れ」、「通常リーチ無し外れ」の変動時間は15〜180秒になるよう設定されている。
<特別図柄2の保留繰り上げについて>
図34に示すように、特図2変動態様選択処理(S507)に続いて、特図2乱数シフト処理(S508)を行う。この処理(S508)では、最も古い特図2の保留の情報を処理した後に、残りの特図2の保留の情報を繰り上げる処理を行う。具体的には、特図2保留球数を1減算し、RAMの特図2保留記憶に対応する乱数記憶領域に記憶されている各種乱数を1つずつ下位側の乱数記憶領域にシフトさせて、最上位(4個目)の乱数記憶領域をクリアする。
<特別図柄2の変動の制御について>
図34に示すように、特図2乱数シフト処理(S508)に続いて、特図2変動開始処理(S509)を行う。詳細には、特図2変動態様選択処理で選択された変動態様の変動時間を特図2変動開始コマンドに設定し、特図2変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットする。
図34に示すように、特図2変動開始処理(S509)に続いて、特図2動作ステータスを「1(変動)」に設定する処理(S510)、時短回数の減算判定処理(S511)等、特図2の変動開始に必要な処理を行ってから、特図2待機処理(S161)を抜ける。この時短回数の減算判定処理(S511)は、特図1変動開始処理(S209)で実行される時短回数の減算判定処理(S211)と同じである。以上が、特図2待機処理(S161)の説明である。
次に、特図2変動動作処理(S140)(図33参照)における特図2変動処理(S162)を、図36に基づいて説明する。この処理(S162)では、特図2の変動表示が終わった後で、特図2の当否判定結果が「外れ」の場合は特図2動作ステータスを「外れ確定」に設定し、大当りの場合は特図2動作ステータスを「大当り確定」に設定する。詳細には、まず、特図2が変動中でないか否か(特図2動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S680)、変動中の場合(S680でNo)には、この処理(S162)を抜ける。特図1が変動中でない場合(S680でYes)には、確定処理の基本設定(例えば、特図2動作タイマの設定)を行い、特図2動作ステータスに「2(外れ確定)」を設定する(S681)。次いで、特図2大当りフラグがONか否かを判定し(S682)、特図2大当りフラグがONでない場合(S682でNo)には、この処理(S162)を抜ける。特図2大当りフラグがONの場合(S682でYes)には、特図2動作ステータスに「3(大当り確定)」を設定し(S683)、この処理(S162)を抜ける。
次に、特図2変動動作処理(S140)(図33参照)における特図2外れ確定処理(S163)を、図37に基づいて説明する。この処理(S163)では、外れの変動確定後、特図2動作ステータスを「待機」に戻す処理を行う。詳細には、まず、所定の時間が経過したか否か(特図2動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S690)、経過していない場合(S690でNo)には、この処理(S163)を抜ける。所定の時間が経過した場合(S690でYes)には、待機処理の基本設定を行い、特図2動作ステータスに「0(待機)」を設定し(S691)、この処理(S163)を抜ける。
次に、特図2変動動作処理(S140)(図33参照)における特図2大当り確定処理(S164)を、図38に基づいて説明する。この処理(S164)では、当りの変動確定後、特図2動作ステータスを「大当り開始」に設定する。詳細には、まず、所定の時間が経過したか否か(特図2動作タイマが「0」であるか否か)を判定し(S700)、経過していない場合(S700でNo)には、この処理(S164)を抜ける。所定の時間が経過した場合(S700でYes)には、大当り動作の設定を行い、特図2大当りフラグをOFFして、特図2動作ステータスに「4(大当り開始)」を設定し(S701)、この処理(S164)を抜ける。
<大当り動作の制御の概要について>
図26に示す特図1大当り動作処理(S131A)を、図39に基づいて説明する。同図に示すように、この処理(S131A)では、まず、特図1上大入賞口内処理(S170)を実行し、次いで、特図1動作ステータスを判定し(S171)、処理を分岐する。特図1動作ステータスが「4」である場合(S171で「4」)には特図1大当り開始処理(S172)を行い、特図1動作ステータスが「5」である場合(S171で「5」)には特図1大入賞口開放処理(S173)を行い、特図1動作ステータスが「6」である場合(S171で「6」)には特図1大入賞口閉鎖1処理(S174)を行い、特図1動作ステータスが「7」である場合(S171で「7」)には特図1大入賞口閉鎖2処理(S175)を行い、特図1動作ステータスが「8」である場合(S171で「8」)には特図1大当り終了処理(S176)を行う。
特図2大当り動作処理(S131B)を、図40に基づいて説明する。同図に示すように、この処理(S131B)では、まず、特図2上大入賞口内処理(S180)を実行し、次いで、特図2動作ステータスを判定し(S181)、処理を分岐する。特図2動作ステータスが「4」である場合(S181で「4」)には特図2大当り開始処理(S182)を行い、特図2動作ステータスが「5」である場合(S181で「5」)には特図2大入賞口開放処理(S183)を行い、特図2動作ステータスが「6」である場合(S181で「6」)には特図2大入賞口閉鎖1処理(S184)を行い、特図2動作ステータスが「7」である場合(S181で「7」)には特図2大入賞口閉鎖2処理(S185)を行い、特図2動作ステータスが「8」である場合(S181で「8」)には特図2大当り終了処理(S186)を行う。
以下、これら各処理(S170,S180,S172,S173,S174,S175,S176,S182,S183,S184,S185,S186)を順に説明する。以降の処理では、特図1による大当りと特図2による大当りとで同じ処理になるので、「特図1上大入賞口内処理」、「特図1動作ステータス」など特図1と特図2に関連した文言は、「上大入賞口内処理」、「動作ステータス」など「特図1」、「特図2」を省略して表記する。
<大当り動作の設定及び上大入賞口の制御について>
図41に示される上大入賞口内処理(S170,S180)では、遊技球が第2アタッカー口35A(フローチャートでは「上大入賞口」と表記する)に入賞した後に、V確定口36A(フローチャートでは「確変領域」と表記する)を通過したかどうかの判定を行う。詳細には、まず、第2アタッカー口35Aに入賞可能か否か(大当り動作中かつ、ラウンドカウンタが「2」か否か)を判定し(S710)、第2アタッカー口35Aに入賞可能でない場合(S710でNo)はこの処理(S170,S180)を抜ける。第2アタッカー口35Aに入賞可能の場合(S710でYes)は、確変領域ソレノイド動作処理(S711)を実行する。
図42に示される確変領域ソレノイド動作処理(S711)では、進入規制部材36B(フローチャートでは「確変領域ソレノイド」と表記する)の開閉動作及び、V確定口36A通過の検出を行うか否かの設定を行う。進入規制部材36Bは大当り遊技の開始後、アタッカー扉35Tの開閉状態とは連動しない、時間経過による開閉動作を行う。また、V確定口36A通過の検出を行うか否かも時間経過により切り替わる。この開閉動作及び検出判定をまとめたものが表2である。開閉状態及び検出判定の有効無効は確変領域動作カウンタにより決定され、確変領域動作カウンタは確変領域実行時間が経過することによりカウントアップされる。
図42に示される確変領域ソレノイド動作処理(S711)について詳細に説明する。確変領域ソレノイド動作処理(S711)では、まず、確変領域動作カウンタをRAMからロードし(S720)、進入規制部材36Bの動作が完了しているか否か(確変領域動作カウンタが「10」以上か否か)を判定し(S721)、進入規制部材36Bの動作が完了している場合(S721でYes)には、この処理(S711)を抜ける。進入規制部材36Bが動作中の場合(S721でNo)には、現在の動作の残り時間があるか否か(確変領域実行時間が「0」でないか否か)を判定し(S722)、残り時間がある場合(S721でYes)には、この処理(S711)を抜ける。現在の動作の残り時間がない場合(S722でNo)には、確変領域動作カウンタを1加算し(S723)、加算後の確変領域動作カウンタをRAMからロードする(S724)。次いで、V確定口36Aが遊技球の通過を検出するか否か(確変領域動作カウンタに対応した通過判定が有効か否か)を判定し(S725)、検出しない場合(S725でNo)には、この処理(S711)を抜ける。V確定口36Aが遊技球の通過を検出する場合(S725でYes)には、確変領域有効フラグをONし(S726)、この処理(S711)を抜ける。
図42に戻り、上大入賞口内処理(S170、S180)では、確変領域ソレノイド動作処理(S711)に次いで、遊技球がV確定口36Aを通過したか否か(確変領域スイッチを検知したか否か)を判定する(S712)。V確定口36Aを通過していない場合(S712でNo)には、この処理(S170、S180)を抜ける。遊技球がV確定口36Aを通過した場合(S712でYes)には、V確定口36Aが遊技球の通過を検出するか否か(確変領域有効フラグがONか否か)を判定し(S713)、遊技球の通過を検出しない場合(S713でNo)には、この処理(S170、S180)を抜ける。V確定口36Aが遊技球の通過を検出する場合(S713でYes)には、確変領域通過フラグをONし(S714)、この処理(S170、S180)を抜ける。即ち、遊技球がV確定口36Aを通過し、かつV確定口36Aが遊技球の通過を検出する状態になっている場合にのみ、遊技球のV確定口36A通過は有効になる。
次に、特図1大当り動作処理(S131A)(図39参照)における特図1大当り開始処理(S172)及び、特図2大当り動作処理(S131B)(図40参照)における特図2大当り開始処理(S182)を、図43に基づいて説明する。この処理(S172,S182)では、大当り遊技のラウンド設定及びラウンドに対応した大入賞口の設定を行う。詳細には、まず、オープニング時間が終了したか否か(大当りオープニングを開始してから大当りオープニングコマンドに設定された所定の時間が経過したか否か)を判定する(S730)。オープニング時間が終了していない場合(S730でNo)には、この処理(S172,S182)を抜ける。オープニング時間が終了した場合(S730でYes)には、ラウンド設定処理(S731)を行う。
図44に示すように、ラウンド設定処理(S731)では、まず、ラウンドが残っているか否か(ラウンド有効回数が1以上か否か)を判定し(S740)、ラウンドが残っていない場合(S740でNo)には、この処理(S731)を抜ける。ラウンドが残っている場合(S740でYes)には、ラウンド回数を1加算し(S741)、ラウンド有効回数を1減算して(S742)、この処理(S731)を抜ける。本実施形態では、ラウンド回数の初期値は「0」に、ラウンド有効回数の初期値は「2」に設定されている。
図43に示すように、ラウンド設定処理(S731)に次いで、大入賞口動作設定処理(S732)を行う。この処理(S732)では、図45に示すように、まず、ラウンド数に対応して、開放する大入賞口の設定を行う(S750)。具体的には、ラウンド回数が「1」の場合には下大入賞口(第1アタッカー口34A、シャッター板34T)の設定を行い、ラウンド回数が「2」の場合には上大入賞口(第2アタッカー口35A、アタッカー扉35T)の設定を行う。次いで、大当りの種類に対応した大入賞口ラウンドの設定を行う(S751)。具体的には、第2大当りフラグがON(特典付き大当り)かつラウンド回数が「2」(上大入賞口)の場合にはロング大当りの設定(表3参照)をRAMに行い、第2大当りフラグがOFF(特典無し大当り)かつラウンド回数が「2」(上大入賞口)の場合にはショート大当りの設定(表4参照)をRAMに行う。ラウンド回数が「1」(下大入賞口)の場合には、下大入賞口用の設定をRAMに行う。
表3及び表4に示したように、特典付き大当り時には、アタッカー扉35Tは1秒間の開放後に0.1秒の閉鎖を行うという動作を22回繰り返す。これに対し、特典無し大当り時にはアタッカー扉35Tは1秒間の開放を1回だけ行う。また、表2に示したように、V確定口36Aへの進入を規制する進入規制部材36Bは大当り開始0.1秒後から約0.1秒間開放され、その後は約3秒間閉鎖された後、約26秒間開放される。これにより、特典付き大当り時には第2アタッカー口35Aに進入した遊技球はV確定口36Aを高確率で通過可能になる。これに対して、特典無し大当り時には遊技球が第2アタッカー口35Aに進入可能なタイミングのほとんどで進入規制部材36Bが閉鎖されており、遊技球がV確定口36Aを通過することがない(困難になる)ように構成されている。
大入賞口ラウンドの設定(S751)に次いで、大入賞口ラウンドの設定で設定した大入賞口が上大入賞口か否か(ラウンド回数が「2」か否か)を判定する(S752)。上大入賞口の設定を行っていない場合(S752でNo)には、この処理(S732)を抜ける。大入賞口ラウンドの設定で上大入賞口の設定を行った場合(S752でYes)には、RAMから確変領域動作カウンタ値をロードし(S753)、進入規制部材36Bの動作時間(表2の確変領域動作カウンタに対応した実行時間)をRAMに設定する(S754)。このとき、確変領域動作カウンタは初期値「0」になっている。その後、この処理(S732)を抜ける。
図43に戻り、大入賞口動作設定処理(S732)に次いで、動作ステータスを「5(大入賞口開放)」に設定して(S733)、大当り開始処理(S172,S182)を抜ける。以上が、大当り開始処理(S172,S182)の説明である。
次に、特図1大当り動作処理(S131A)(図39参照)における特図1大入賞口開放処理(S173)及び、特図2大当り動作処理(S131B)(図40参照)における特図2大入賞口開放処理(S183)を、図46に基づいて説明する。この処理(S173,S183)では、ラウンドの終了判定と、アタッカー扉35Tの開閉動作の設定を行う。詳細には、まず、大入賞口スイッチ検出処理(S760)を行う。大入賞口スイッチ検出処理(S760)では、図47に示すように、遊技球が大入賞口に入賞したか否かを判定し(S770)、遊技球が大入賞口に入賞していない場合(S770でNo)には、この処理(S760)を抜ける。遊技球が大入賞口に入賞した場合(S770でYes)は大入賞口入賞個数を1加算し(S771)、この処理(S760)を抜ける。
<大当り動作の終了について>
図46に示すように、大入賞口スイッチ検出処理(S760)に次いで、大入賞口入賞個数が規定個数に達したか否か(10個以上か否か)を判定し(S761)、規定個数に達していない場合(S761でNo)には、ラウンド時間が経過したか否かを判定する(S762)。
大入賞口入賞個数が規定個数に達しておらず、かつラウンド時間が経過していない場合(S761でNo、かつS762でNo)、即ちラウンド継続中の場合には、第2アタッカー口35Aの設定がされているか否か(ラウンド回数が「2」か否か)を判定し(S763)、第2アタッカー口35Aの設定がされている場合(S763でYes)には、第2アタッカー口35Aの動作時間が経過しているか判定する(S764)。第2アタッカー口35Aの動作時間が経過している場合(S764でYes)には、上大入賞口動作カウンタを1減算し(S765)、上大入賞口での大当り遊技が終了したか否か(上大入賞口動作カウンタが「0」か否か)を判定する(S766)。上大入賞口での大当り遊技が継続している場合(S766でNo)には、上大入賞口開閉設定処理(S767)を行う。上大入賞口開閉設定処理(S767)では、図48に示すように、上大入賞口動作カウンタをロードし(S780)、上大入賞口動作カウンタ及び大当りの種類に対応した第2アタッカー口35Aの動作時間を設定し(S781)、上大入賞口開閉設定処理(S767)を抜ける。
図46に示すように、第2アタッカー口35Aの設定がされていない、又は第2アタッカー口35Aの動作時間が経過していない、又は上大入賞口動作カウンタが「0」の場合(S763でNo、又はS764でNo、又はS766でYes)、には、大入賞口開放処理(S173,S183)を抜ける。また、大入賞口入賞個数が規定個数に達する、又はラウンド時間が経過した場合(S761でYes又はS762でYes)には、ラウンドが終了したものとして、大入賞口閉鎖1のデータ(例えば、大入賞口閉鎖1時間)を設定し(S768)、動作ステータスに「6(大入賞口閉鎖1)」を設定して(S769)、この処理(S173,S183)を抜ける。以上が、大入賞口開放処理(S173,S183)の説明である。
次に、特図1大当り動作処理(S131A)(図39参照)における特図1大入賞口閉鎖1処理(S174)及び、特図2大当り動作処理(S131B)(図40参照)における特図2大入賞口閉鎖1処理(S184)を、図49に基づいて説明する。この処理(S174,S184)では、所定の時間待機を行う。詳細には、この処理(S174,S184)では、まず、大入賞口閉鎖1時間が終了したか否か(大入賞口閉鎖1時間を設定してから、大入賞口閉鎖1のデータに設定された所定の時間が経過したか否か)を判定する(S790)。大入賞口閉鎖1時間が終了していない場合(S790でNo)には、この処理(S174,S184)を抜ける。大入賞口閉鎖1時間が終了した場合(S790でYes)には、大入賞口閉鎖2のデータ(例えば、大入賞口閉鎖2時間)を設定し(S791)、動作ステータスに「7(大入賞口閉鎖2)」を設定して(S792)、この処理(S174,S184)を抜ける。
次に、特図1大当り動作処理(S131A)(図39参照)における特図1大入賞口閉鎖2処理(S175)及び、特図2大当り動作処理(S131B)(図40参照)における特図2大入賞口閉鎖2処理(S185)を、図50に基づいて説明する。この処理(S175,S185)では、残ラウンドがある場合には次ラウンドの設定を行い、残ラウンドがない場合は大当りエンディングに必要な設定を行う。詳細には、まず、大入賞口閉鎖2時間が終了したか否か(大入賞口閉鎖2時間を設定してから、大入賞口閉鎖2のデータに設定された所定の時間が経過したか否か)を判定する(S800)。大入賞口閉鎖2時間が終了していない場合(S800でNo)には、この処理(S175,S185)を抜ける。
大入賞口閉鎖2時間が終了した場合(S800でYes)には、ラウンドが残っているか否か(ラウンド有効回数が「0」か否か)を判定し(S801)、ラウンドが残っている場合(S801でNo)には、次ラウンドの設定として、ラウンド設定処理(S802)を行い、大入賞口動作設定処理(S803)を行い、動作ステータスに「5(大入賞口開放)」を設定して(S804)、この処理(S175,S185)を抜ける。このラウンド設定処理(S802)及び大入賞口動作設定処理(S803)は、上記した大当り開始処理(S172,S182)におけるラウンド設定処理(S731)及び大入賞口動作設定処理(S732)と同じである。
ラウンドが残っていない場合(S801でYes)には、大当りエンディングコマンド(以下、適宜「大当りEDコマンド」という)にデータを設定し(S805)、動作ステータスに「8(大当り終了)」を設定し(S806)、大当りEDコマンドをRAMの出力バッファにセットして(S807)、この処理(S175,S185)を抜ける。以上が、大入賞口閉鎖2処理(S175,S185)の説明である。
次に、特図1大当り動作処理(S131A)(図39参照)及び、特図2大当り動作処理(S131B)(図40参照)における特図1大当り終了処理(S176)及び、特図2大当り終了処理(S186)を、図51に基づいて説明する。この処理(S176,S186)では、大当りエンディングの終了後に、大当り遊技後の遊技状態の設定を行い、大当り動作で使用したフラグやカウンタの初期化を行う。詳細には、まず、大当りエンディングが終了したか否か(大当りエンディングを開始してから大当りEDコマンドに設定された所定の時間が経過したか否か)を判定する(S810)。大当りエンディングが終了していない場合(S810でNo)には、この処理(S176,S186)を抜ける。
<大当り遊技後の遊技状態の決定について>
大当りエンディングが終了している場合(S810でYes)には、大当りが「特典付き大当り」であったか否か(第2大当りフラグがONか否か)を判定し(S811)、「特典付き大当り」であった場合(S811でYes)には、V確定口36Aに遊技球が入球したか否か(確変領域通過フラグがONか否か)を判定する(S812)。V確定口36Aに遊技球が入球した場合(S812でYes)には、高確率時短有りのデータ設定を行い(S813)、入球しなかった場合(S812でNo)には、低確率時短有りのデータ設定を行う(S814)。「特典付き大当り」でなかった場合(S811でNo)には、V確定口36Aに遊技球が入球したか否か(確変領域通過フラグがONか否か)を判定し(S815)、V確定口36Aに遊技球が入球した場合(S815でYes)には、高確率時短無しのデータ設定を行い(S816)、入球しなかった場合(S815でNo)には、低確率時短無しのデータ設定を行う(S817)。本実施形態では、低確率時短有り(特典付き大当りでV確定口36Aに遊技球が入球せず)の場合(S814)のみ、時短回数に係る設定を行っている(例えば、時短フラグをONし、時短カウンタに90回を設定する)。
大当り遊技後の遊技状態の設定(S813,S814,S816,S817)を行った後に、大当り動作に使用したフラグやカウンタの初期化を行い(S818)、主制御状態コマンドをRAMの出力バッファにセットし(S819)、動作ステータスに「0(待機)」を設定して(S820)、この処理(S176,S186)を抜ける。以上が、主制御基板割込処理(S5)における特別動作処理(S14)の説明である。
<保留球数のサブ制御基板への通知等について>
図25に戻って説明を続けると、上述した特別動作処理(S14)に次いで保留球数処理(S15)が行われる。この処理(S15)は、特図1保留球数(特別図柄1の変動表示の保留回数)、特図2保留球数(特別図柄2の変動表示の保留回数)、及び普通図柄保留球数(普通図柄の変動表示の保留回数)をRAMからロードし、それら保留球数のデータを、保留コマンドとしてRAMの出力バッファにセットする。
保留球数処理(S15)に次いで、本発明に深く関連しないその他の処理(S16)を実行して、主制御基板割込処理(S5)から抜ける。そして、図24に示すように、次に割り込みパルスが入力するまで、ステップS2〜S4の処理を繰り返し実行し、割り込みパルスの入力を起因(約4msec後)に、再度、主制御基板割込処理(S5)を実行する。すると、上述の如く、前回の主制御基板割込処理(S5)においてRAMの出力バッファにセットされた各種コマンドが、次に実行された主制御基板割込処理(S5)のコマンド処理(S10)において出力される。以上が、主制御基板60の内部処理に関する説明である。
<サブ制御基板メインプログラムについて>
次に、サブ制御基板が実行するサブ制御基板メインプログラムPG2の処理について、図52〜図58を参照しつつ詳説する。図52に示すように、サブ制御基板70のCPU70Aで実行されるメイン処理PG2においても、主制御基板60のCPU60Aで実行されるメイン処理PG1と同様に、初期設定(S21)を行ってから、割込禁止(S24)、乱数カウンタ更新処理(S25)及び割込許可(S26)を繰り返して行うループに入る。そして、そのループに対して、受信割込処理(S27)、2msタイマ割込処理(S28)、10msタイマ割込処理(S29)を割り込んで実行する。
受信割込処理(S27)では、図53に示すように、ストローブ信号をチェックし(S271)、ストローブ信号がオンでなければ(S271でNo)、直ちにこの処理(S27)を抜け、ストローブ信号がオンであれば(S271でYes)、主制御基板60からサブ制御基板70に送られたコマンドや制御データを取り込んでRAM70Bに格納してから(S272)、この処理(S27)を抜ける。
2msタイマ割込処理(S28)は、図54に示されており、2msecの周期で割り込み実行され、先ずは出力処理(S281)で、次述する10msタイマ割込処理(S29)で作成した制御データをディスプレイ15等の制御基板に出力する。次いで、入力処理(S282)で、パチンコ遊技機10の各種スイッチの状態を読み込んでスイッチデータを作成する。そして、ウォッチドックタイマ処理(S283)で、ウォッチドックタイマをリセットする。
10msタイマ割込処理(S29)は、10msecの周期で割り込み実行される。図55に示すように、この処理(S29)では、主に、スイッチ状態取得処理(S41)と受信コマンド解析処理(S42)とが実行される。まず、スイッチ状態取得処理(S41)では、2msタイマ割込処理(S28)で作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとして取り込む。なお、このスイッチデータには、操作ボタン10Bの操作データも含まれている。
<受信コマンド解析処理について>
受信コマンド解析処理(S42)は、図56に詳細が示されている。この処理(S920)では、まず、サブ制御基板70が主制御基板60からコマンドを受信しているかどうかを判定する(S51)。そして、コマンドを受信していた場合(S51でYes)には、受信したコマンド(以下、適宜「受信コマンド」という)の種類を判定し、その内容に基づいて処理を実行する。
具体的には、受信コマンドが特図1変動コマンド(特図1変動を開始するためのコマンド)の場合(S52でYes)には特図1変動コマンド処理(S53)を実行し、大当りOPコマンド(大当り遊技を開始するためのコマンド)の場合(S54でYes)には大当りOPコマンド処理(S55)を実行し、それら以外のコマンドの場合(S54でNo)には、受信コマンドに対応した処理を実行する(S56)。なお、受信コマンドが保留コマンドである場合に実行される保留コマンド処理(図示せず)では、発生した保留を先読み判定し、その先読み判定結果(当否及び演出時間)と共に記憶する。
そして、受信コマンドの種類に基づいた処理が実行された後、この処理(S920)を抜ける。以下、特図1変動コマンド処理(S53)と大当りOPコマンド処理(S55)とについて詳細を説明する。
<特図1変動コマンド処理について>
特図1変動コマンド処理(S53)では、遊技状況、変動が開始される第1の当否判定権の判定結果等に応じて、特図1変動中の演出内容を決定する。詳細には、図57に示すように、まず、現在の遊技状態が「確変有り時短状態」か否かを判定し(S61)、現在の遊技状態が「確変有り時短状態」でない場合(S61でNo)には、受信コマンドに対応するその他の処理を実行して(S64)、この処理(S53)を抜ける。
現在の遊技状態が「確変有り時短状態」の場合(S61でYes)には、変動が開始される第1の当否判定権の判定結果(以降、「当該判定結果」という)が当りであるか否かを判定する(S62)。当該判定結果が外れである場合(S62でNo)は、演出フラグをオン(S63)する。その後、その他処理を実行し(S64)、この処理(S53)を抜ける。
ステップS62において、当該判定結果が当りである場合(S62でYes)は、操作演出(失敗)をセットした(S65)後、その他処理を実行し(S64)、この処理(S53)を抜ける。
<大当りOPコマンド処理について>
大当りOPコマンド処理(S55)では、主に、ディスプレイ15において、操作演出(成功)や特別演出を行うための処理を行う。詳細には、図58に示すように、まず、現在の遊技状態が「確変有り時短状態」か否かを判定し(S81)、現在の遊技状態が「確変有り時短状態」でない場合(S81でNo)には、受信コマンドに対応するその他の処理を実行して(S88)、この処理(S55)を抜ける。
現在の遊技状態が「確変有り時短状態」の場合(S81でYes)には、実行される大当り遊技が特図2の当りによるものか否かを判定する(S82)。特図1によるものである場合(S82でNo)、その他の処理を実行して(S88)、この処理(S55)を抜ける。一方、特図2によるものである場合(S82でYes)、演出フラグがオンになっているか否か(つまり、特図1変動における最初の大当り遊技であるか否か)を判定する(S83)。演出フラグがオフになっている場合(S83でNo)、その他の処理を実行して(S88)、この処理(S55)を抜ける。
演出フラグがオンになっている場合(S83でYes)、操作演出(成功)と特別演出とをセットする(S84及びS85)。このとき、ステップS85では、実行中の特図1変動が、変動時間が60秒のものであるときは、特別演出を1回分セットし、変動時間が120秒のものであるときは、1回目の特別演出と、2回目の操作演出(成功)及び特別演出と、をセットする。その後、演出フラグをオフにする(S86)と共に、変動中及び保留された第1の当否判定権の判定結果やその演出時間に基づき導かれる「特別演出」の連続状況に応じて「ストック演出」をセットし(S87)、その他処理を実行して(S88)、この処理(S55)を抜ける。
なお、操作演出(成功)用のコマンドと特別演出用のコマンドとがセットされると、それらのコマンドがディスプレイ15の制御基板に送信された後直ちに操作演出(成功)が開始され、操作演出(成功)の終了後に特別演出が開始される。
なお、上述した各処理のうち、始動入賞口スイッチ検出処理(S12)を実行しているときのCPU60A及び図示しない保留コマンド処理を実行しているときのCPU70Aが、本発明の「保留先読み手段」に相当し、特図1変動コマンド処理(S53)及び大当りOPコマンド処理(S55)を実行しているときのCPU70Aが、本発明の「特別演出実行手段」に相当する。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、操作演出において「ボーナス」という文字を揃えるための要件が、操作ボタン10Bを複数回操作することであったが、操作ボタン10Bを長押しすることとしてもよい。
(2)上記実施形態では、操作演出が、「ボーナス」という文字が揃う演出であったが、これに限られるものではない。例えば、他の文字が揃う構成であってもよいし、バトルに勝利する構成であってもよい。
(3)上記実施形態では、特別演出の前に操作演出が毎回行われる構成であったが、操作演出を行う場合と行わない場合とが混在する構成であってもよいし、操作演出を全く行わない構成であってもよい。操作演出を行わない場合、例えば、特別演出の開始タイミングを、外れの第1の判定報知演出中における1回目の大当り遊技の開始時としてもよいし、外れの第1の判定報知演出の開始時としてもよい。
特別演出の開始タイミングを、外れの第1の判定報知演出中における1回目の大当り遊技の開始時とする場合、1回目の当りの第2の判定報知演出を、第1判定報知部15Gと同様に、ディスプレイ15に判定図柄を3つ配置して行うように構成してもよい。
なお、操作演出を行わない構成の場合、120秒の外れの第1の判定報知演出においては、1回目の「特別演出」の終了後、すぐに2回目の「特別演出」が実行されることとなる。
また、「ストック」がない状態で実行される特別演出の前には操作演出を行い、「ストック」がある状態で実行される特別演出(つまり、「ストック」を使用して実行される特別演出)の前には操作演出を行わない構成であってもよい。さらに、この場合、「ストック」がある状態で実行される特別演出において、その実行前に、操作演出を行う場合と行わない場合とが混在する構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、「特別演出」の残り時間を背景の色の変化により示唆する構成であったが、「特別演出」の残り時間をディスプレイ15でカウントダウン表示する構成であってもよい。後者の場合、第2の当否判定権による大当り遊技が実行されて第1の判定報知演出が実質的に延長されたときに、その延長分を「+○秒」等と表示して追加していくように構成してもよいし、当所の残り時間(延長分を含まないもの)のカウントダウン終了後に「まもなく終了」等の文字を表示して、延長分の終了時にその文字を削除するように構成してもよい。
(5)上記実施形態では、「特別演出」中に、第2の当否判定権による大当り遊技の実行回数をカウントアップするカウントアップ演出が行われていたが、カウントアップ演出を行わない構成であってもよい。
(6)上記実施形態では、確変状態における外れの第1の判定報知演出として、演出時間中に「特別演出」が1回だけ実行されるものと複数回実行されるものとがあったが、「特別演出」が複数回実行されるもののみであってもよい。このとき、複数回実行されるものが1種類であってもよいし(例えば、演出時間が120秒のもののみ)、複数種類あってもよい(例えば、演出時間が120秒のもの、180秒のもの、240秒のもの等)。
(7)上記実施形態では、確変状態における外れの第1の判定報知演出として、演出時間中に「特別演出」が1回だけ実行されるもの(短期演出)と複数回実行されるもの(長期演出)とが1種類ずつであったが、両方を複数種類ずつにしてもよいし、片方のみを複数種類にしてもよい。
この場合、例えば、短期演出として、演出時間が20秒のもの、40秒のもの、60秒のものの3種類が設けられると共に、長期演出として、演出時間が120秒のものが設けられ、その120秒の長期演出の中で、20秒に対応した特別演出と、40秒に対応した特別演出と、60秒に対応した特別演出とが混在して実行される構成であってもよい。さらにこの場合、例えば40秒の特別演出が、短期演出として機能すると共に、長期演出としても機能する(つまり、40秒の特別演出中に、40秒に対応した特別演出が1回だけ実行される場合と、20秒に対応した特別演出が2回実行される場合とが混在する)構成であってもよい。
(8)確変状態における外れの第1の判定報知演出の開始時から、1回目の第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始されるまでの間に、まもなく「特別演出」が行われ得ることを示唆する演出(例えば、ディスプレイ15に「ボーナスタイム準備中」と表示する等)を行ってもよい。
(9)上記実施形態では、第2判定報知部25が複数のLEDにより構成されていたが、第1判定報知部15Gと同様に、ディスプレイ15に例えば0〜9の範囲で変化する判定図柄を3つ横並びに配置した構成であってもよい。
(10)一方の当否判定権に基づいた大当り遊技の実行中に、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出及びその演出実行時間のカウントを継続する構成であってもよい。
なお、上記実施形態には以下の[1]〜[11]の構成が含まれる。
[1]
互いに異なる判定条件の成立に起因して発生する第1及び第2の当否判定権のそれぞれに基づいて当否判定が行われて、それら当否判定の当り又は外れの判定報知演出が並行して実行され、前記当否判定の結果が当りになると大当り遊技が行われる遊技機であって、
前記第1の当否判定権に基づいた第1の前記判定報知演出の実行中に、前記判定報知演出とは異なる、一連の流れの特別演出を実行する特別演出実行手段を備え、
1つの前記特別演出の実行中に、前記第2の当否判定権に起因する1回又は複数回の前記大当り遊技から構成される1つの特別当り遊技が実行されるように構成され、
前記特別演出実行手段は、前記第1の判定報知演出が1回行われる期間中に、前記特別演出を複数回実行し得る遊技機。
[2]
前記第1の判定報知演出には、演出時間が予め定められた単位期間である短期演出と、演出時間がほぼ前記単位期間の複数である規定数倍である長期演出と、が含まれ、
前記特別演出実行手段は、前記短期演出中には、前記特別演出を1回だけ実行する一方、前記長期演出中には前記特別演出を前記規定数回実行する[1]に記載の遊技機。
[3]
前記特別演出実行手段は、前記特別演出が連続して実行される場合に、先に実行される前記特別演出の実行中に、その後に前記特別演出が再び実行されることを示唆する連続示唆演出を行う[1]又は[2]に記載の遊技機。
[4]
遊技者が操作可能な操作部を備え、
前記特別演出実行手段は、前記連続示唆演出において遊技者に前記操作部を操作させる[3]に記載の遊技機。
[5]
前記第1の判定報知演出中に発生した前記第1の当否判定権を保留すると共に、その前記第1の当否判定権の当否を先読み判定し、その先読み判定結果と、その当否判定権による前記第1の判定報知演出中に実行される前記特別演出の回数と、を記憶する保留先読み手段を備え、
前記特別演出実行手段は、前記特別演出が連続する回数によって前記連続示唆演出の内容を異ならせる[3]又は[4]に記載の遊技機。
[6]
前記第2の当否判定権に基づいた第2の前記判定報知演出の演出時間が、前記第1の判定報知演出の演出時間より短く設定されている[1]乃至[5]の何れか1に記載の遊技機。
[7]
前記大当り遊技を行った後に、通常状態と、前記通常状態よりも前記当否判定の当りの確率が高い確変状態と、を切り替え可能で、
前記特別当り遊技は、前記確変状態中に発生する前記大当り遊技により構成される[1]乃至[6]の何れか1に記載の遊技機。
[8]
前記特別演出実行手段は、前記特別演出を、前記確変状態における外れの前記第1の判定報知演出の実行中に実行する[7]に記載の遊技機。
[9]
前記第1の当否判定権の当りによる前記大当り遊技が実行された場合に、前記第2の当否判定権の当りによる前記大当り遊技が実行された場合よりも前記確変状態から前記通常状態へと移行しやすいように設定されて、
前記確変状態における前記第1の当否判定権の外れを、前記通常状態へと移行しない擬似当りとする[8]に記載の遊技機。
[10]
前記特別演出実行手段は、前記特別演出の前に、前記特別演出が開始されることを示唆するための開始演出を行う[1]乃至[9]の何れか1に記載の遊技機。
[11]
遊技者が操作可能な操作部を備え、
前記特別演出実行手段は、前記開始演出において遊技者に前記操作部を操作させ、前記操作部の操作の結果として前記特別演出を開始する[10]に記載の遊技機。