JP6371687B2 - 燃料油の防カビ性および潤滑性を向上させる組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関、外燃機関における燃料油の添加剤に関する。さらに詳しくは、防カビ性および潤滑性に優れる添加剤に関する。
軽油やA重油を船舶の燃料油タンク内において、常温で長期間放置する場合、燃料油タンク内に結露水が発生したり、カビ胞子が入り込んだりすることがある。そのため、燃料油と結露水の界面において、カビが繁殖することがある。このカビが大きな塊となって燃料油系統に流れ込むと、燃料油フィルターがカビの塊で閉塞され、燃料油の燃焼室への供給が止まり、エンジンが停止することがある。
そこで、船舶においては、カビの繁殖を抑制するために、防カビ剤を燃料油に添加することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載されているような、ハロゲン化フェノール化合物や有機錫化合物などの防カビ剤は、人体に対する急性および慢性の毒性が強く、また難分解性であることから、体内への蓄積による二次公害の懸念があり、使用に適さないという問題があった。
また、特許文献1に記載されているような有機ハロゲン系化合物も、防カビ剤として挙げられるが、そのような化合物は、燃料貯蔵設備やエンジン自体を損傷させてしまうといった欠点を有しているという問題があった。
その他の防カビ剤として、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−ブロモ−2−ニトロジオキサン、2−クロロ−N−ヒドロキシメチルアセトアミド、1,3,5−トリス−2−(ヒドロキシエチル)−1,3,5−ヘキサヒドロトリアジン、1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン、4,4−ジメチル1,3−オキサゾリジン等が挙げられるが、これらは製品中でホルムアルデヒドを放出するため、近年その使用が問題視されてきている。
他方、環境汚染対策として、船舶において使用する燃料油中の硫黄分濃度が規制され、低硫黄燃料油を使用する必要性が生じている。また、近年、国内外の特定の海域内において、停泊中の船舶に限らず、運航している船舶に対しても、燃料油中の硫黄分濃度の規制が設けられることとなっている。しかし、低硫黄燃料油は、一般に潤滑性が低いため、燃料噴射ポンプなどの摩耗の原因となる。そのため、低硫黄燃料油の潤滑性を向上させるために、潤滑剤を添加剤として燃料油に添加することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、防カビ剤と潤滑剤は別々に燃料油に混合されていたが、この場合、防カビ剤の配合量と潤滑剤の配合量を取り違える危険性があり、このような配合量の取り違えによって、燃料油の燃焼性等が損なわれると、船舶が海洋上で故障して停止してしまうなど、海上における交通や運送に重大な問題を生じることとなる。そのような問題を未然に防止する観点から、防カビ剤と潤滑剤とが予め配合された添加剤組成物が以前から望まれていた。
しかし、特許文献2に記載されているような潤滑剤は、一般に脂肪酸であり、アニオン性の化合物である。そのため、アニオン性の潤滑剤をカチオン系の防カビ剤と混合すると、防カビ剤のカチオン性官能基と脂肪酸のカルボキシ基とがイオン間相互作用によって反応し、防カビ剤と潤滑剤とが凝集塊を形成したり、あるいは防カビ剤や潤滑剤が失活したりしてしまうという問題があった。そのため、両成分を配合した添加剤組成物を製造しようとすると、添加剤組成物による防カビ性や潤滑性が損なわれてしまうという問題があった。
特開平6−228571号公報 特開平8−183983号公報
本発明は上記課題を解決するものであり、貯蔵安定性に優れ、燃料油に添加することによって、燃料油の防カビ性および潤滑性を向上させることのできる組成物を提供することを目的とする。
本発明は、カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶剤とを含む組成物であり、カチオン系界面活性剤が、3級アミノ基を有し、カチオン系界面活性剤のHLB値が、3.0〜12.0であり、脂肪酸の酸価が、100〜300mgKOH/gである、組成物に関する。
本発明は、さらに、カチオン系界面活性剤がアルキレンオキサイド基を含む、組成物であることが好ましい。
本発明は、さらに、カチオン系界面活性剤が、化学式(I):
(式中、Rは、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を表す。RおよびRは、エチレン基またはプロピレン基を表す。mおよびnは、1〜10の範囲にある。)で表される化合物である、組成物であることが好ましい。
本発明は、カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶剤とを含む組成物であり、カチオン系界面活性剤が、アルキレンオキサイド基を含む4級アンモニウム化合物であり、脂肪酸の酸価が、100〜300mgKOH/gである、組成物に関する。
本発明は、さらに、カチオン系界面活性剤が、化学式(II):
(式中、RおよびRは、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を表す。RおよびRは、エチレン基またはプロピレン基を表す。mおよびnは、1〜10の範囲にある。Xは、任意の陰イオンを表す。)で表される化合物である、組成物であることが好ましい。
本発明は、カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶剤とを含む組成物であり、カチオン系界面活性剤が、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミンまたは2級アミンであり、脂肪酸の酸価が、100〜300mgKOH/gである、組成物に関する。
本発明は、さらに、脂肪酸が炭素数10〜26の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を少なくとも1つ有する、組成物であることが好ましい。
本発明は、さらに、カチオン系界面活性剤15〜35質量%と、脂肪酸25〜70質量%と、有機溶剤10〜60質量%とを含む、組成物であることが好ましい。
本発明は、さらに、組成物中の、カチオン系界面活性剤と脂肪酸の質量比が、1/7〜1/0.5である、組成物であることが好ましい。
本発明は、有機溶剤に、カチオン系界面活性剤または酸価が100〜300mgKOH/gである脂肪酸のいずれか一方を混合した後に、前記カチオン系界面活性剤または前記脂肪酸のいずれか他方を混合する組成物の製造方法であり、カチオン系界面活性剤が、3級アミノ基を有し、HLB値が3.0〜12.0であるカチオン系界面活性剤、4級アンモニウム化合物であり、アルキレンオキサイド基を含むカチオン系界面活性剤、または、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミン若しくは2級アミンであるカチオン系界面活性剤である、製造方法に関する。
実施例・比較例で用いたカビ菌糸Xを倍率60倍で観察した顕微鏡写真を示す図である。 カビ培養液を、カビ菌糸XまたはYを含有した軽油、およびカビ菌糸XまたはYを含有した実施例1の改良軽油Aに添加した直後のサンプルの外観を示す図である。 カビ培養液を、カビ菌糸Xを含有した軽油、およびカビ菌糸Xを含有した実施例1の改良軽油Aに添加した直後のサンプルを30℃で1.5ヶ月放置した場合の外観を示す図である。 カビ培養液を、カビ菌糸Yを含有した軽油、およびカビ菌糸Yを含有した実施例1の改良軽油Aに添加した直後のサンプルを30℃で1.5ヶ月放置した場合の外観を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明に用いるカチオン系界面活性剤は、3級アミノ基を有し、HLB値が3.0〜12.0であるカチオン系界面活性剤、4級アンモニウム化合物であり、アルキレンオキサイド基を含むカチオン系界面活性剤、または炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミン若しくは2級アミンであるカチオン系界面活性剤である。上記のカチオン系界面活性剤のいずれかを脂肪酸と混合することにより、貯蔵安定性に優れ、防カビ性および潤滑性を両立した添加剤組成物を作製することができる。
HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値とは、水と油に対する界面活性剤の親和性の程度を表す値である。HLB値が低いほど疎水性が強く、HLB値が高いほど親水性が強い。HLB値が3.0〜12.0程度の界面活性剤は疎水性が強く、一般にエマルジョンを形成し、乳化剤として用いられる。
本発明で用いる3級アミノ基を有するカチオン系界面活性剤のHLB値は、3.0〜12.0であり、3.5〜11.5であることが好ましく、4.0〜10.0であることがより好ましい。3級アミノ基を有するカチオン系界面活性剤のHLB値が3.0未満のものは、分子中のアミノ基含有量が少なく、防カビ性が低下する傾向にある。3級アミノ基を有するカチオン系界面活性剤のHLBが12.0を超えるものは、親水性が強く、組成物の貯蔵安定性や燃料油への溶解性が低下する傾向にある。
3級アミノ基としては、例えば、窒素原子に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基が結合したものが挙げられる。尚、窒素原子には、同じものが結合していてもよく、異なったものが結合していてもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、またはn−ステアリルが挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、または9−オクタデセニルが挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル、2−プロピニル、または2−ブチニルが挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、またはシクロへキシルが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニルまたはナフチルが挙げられる。ヘテロ環基としては、環骨格を構成するヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を少なくとも1個有するものや、5員環または6員環が挙げられ、例えば、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ジオキサン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環またはピラゾール環が挙げられる。
3級アミノ基を有し、HLB値が3.0〜12.0であるカチオン系界面活性剤としては、アルキルアミンエーテル系カチオン界面活性剤が好ましく、POEラウリルアミン、N−ラウリルビス(2―ヒドロキシエトキシエチル)アミン、N−ステアリルジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン等が挙げられる。具体的な製品としては、花王株式会社製アミート102、アミート302、アミート105、アミノーンPK−02S、アミノーンL−02、ライオン株式会社製エソミンC/12、エソミンO/12、エソミンO/15、エソミンT/12、エソミンT/15、エソミンHT/12、エソミンHT/14等が挙げられる。
化学式(I)で表される化合物としては、POEラウリルアミン、N−ラウリルビス(2―ヒドロキシエトキシエチル)アミン、N−ステアリルジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン等が挙げられる。これらを含有する製品としては、例えば、花王株式会社製アミート102、アミート302、アミート105、アミノーンPK−02S、アミノーンL−02、ライオン株式会社製エソミンC/12、エソミンO/12、エソミンO/15、エソミンT/12、エソミンT/15、エソミンHT/12、エソミンHT/14、一方社油脂工業株式会社製ビスノールUP−10、などが挙げられる。
化学式(II)で表される化合物としては、塩化オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、塩化ポリオキシエチレンヤシアルキルメチルアンモニウム、塩化ヤシアルキルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。これらを含有する製品としては、例えば、ライオン株式会社製エソカードC/12、エソカードC/25、エソカードO/25などが挙げられる。
本発明のカチオン系界面活性剤は、エチレンオキサイド基等のアルキレンオキサイド基を有するアルキルアミンであることが好ましい。カチオン系界面活性剤は、燃料油中において燃料油と結露水の界面に存在して、その界面に発生するカビの繁殖を抑えることによって、防カビ性を発揮する。
また、カチオン系界面活性剤を、エチレンオキサイド基等のアルキレンオキサイド基を有するアルキルアミンとすると、カチオン系界面活性剤のカチオン性が相対的に低下するため、カチオン系界面活性剤と脂肪酸とを混合しても、イオン間相互作用が生じにくくなり、組成物の貯蔵安定性が向上する傾向にある。
本発明のカチオン系界面活性剤におけるエチレンオキサイド基等のアルキレンオキサイド基は、少なくとも1つ以上含まれることが好ましく、2つ含まれることがより好ましく、3つ含まれていてもよい。エチレンオキサイド基が多いほど、上記の特徴が顕著となり防カビ性および組成物の貯蔵安定性が向上する傾向にある。
アルキレンオキサイド基は、防カビ性および組成物の貯蔵安定性が向上するという観点から、炭素数が2〜20であることが好ましく、炭素数が2〜16であることがより好ましい。
燃料油の保管中に結露水が発生した際においては、カチオン系界面活性剤の窒素原子に結合しているアルキル基が短鎖アルキル基である場合は、カチオン系界面活性剤の疎水性が低くなるため、結露水中に拡散しやすくなる傾向にある。一方、カチオン系界面活性剤の窒素原子に結合しているアルキル基が長鎖アルキル基である場合は、カチオン系界面活性剤の疎水性が高くなるため、燃料油中に拡散しやすくなる傾向にある。そのため、窒素原子に結合しているアルキル基の炭素数が適切でないと、カチオン系界面活性剤が最適な防カビ性を発揮するための親水性と疎水性のバランスが崩れ、結露水と燃料油の界面付近に存在するカチオン系界面活性剤が少なくなり、防カビ性を十分に発揮できなくなる。
ところで、市場で流通しているカチオン系界面活性剤は、窒素原子に結合したアルキル基の炭素数が、製品内で分布を有している場合があり、同一の製品であっても製造ロットが異なれば、その分布の範囲が異なる場合もある。そのために、同一の製品であっても製造ロットが異なれば、最適な防カビ性を発揮するための親水性と疎水性のバランスが崩れてしまう場合がある。
一方、カチオン系界面活性剤が、エチレンオキサイド基等のアルキレンオキサイド基を有するものである場合は、該アルキレンオキサイド基とは別に窒素原子に結合したアルキル基の炭素数が多少変化しても、アルキレンオキサイド基の影響により、カチオン系界面活性剤の親水性と疎水性のバランスは大きく変化しない傾向にある。同様に、該アルキレンオキサイド基の繰り返し単位数が多少変化しても、カチオン系界面活性剤の親水性と疎水性のバランスは大きく変化しない傾向にある。
そのため、アルキレンオキサイド基を有するカチオン系界面活性剤は、製造ロットによって、最適な防カビ性を発揮するための親水性と疎水性のバランスが崩れてしまうというようなことがなく、アルキレンオキサイド基を有するカチオン系界面活性剤を使用することで、安定して防カビ性の高い組成物を提供することが可能となる。
炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミンとしては、ココナッツアミン、カプリルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する2級アミンとしては、ジステアリルアミン、ジオレイルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミンなどが挙げられる。
本発明に用いるカチオン系界面活性剤の組成物中の含有量は、組成物に対して10〜40質量%であることが好ましく、14〜38質量%であることがより好ましく、16〜36質量%であることがさらに好ましい。カチオン系界面活性剤の組成物中における含有量が10質量%未満であると、防カビ性が低下する傾向にある。カチオン系界面活性剤の組成物中における含有量が40質量%を超えると、組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にある。
本発明のカチオン系界面活性剤は、1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸の酸価は、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するために必要な水酸化カリウム(KOH)のmg数で定義される。すなわち、脂肪酸の酸価は、脂肪酸全体のカルボキシル基が呈するアニオン性の指標となる数値のひとつであり、脂肪酸の酸価が低いほど、脂肪酸中のカルボキシル基の水素が遊離して、脂肪酸全体のアニオン性が高くなっている傾向にあり、脂肪酸の酸価が高いほど、脂肪酸中のカルボキシル基の水素は遊離しておらず、脂肪酸全体のアニオン性が低くなっている傾向にある。
本発明で用いる脂肪酸の酸価は、100〜300mgKOH/gであり、120〜250mgKOH/gであることが好ましく、150〜220mgKOH/gであることがより好ましい。脂肪酸の酸価が100mgKOH/g未満であると、脂肪酸全体のアニオン性が高く、組成物の貯蔵安定性や燃料油への溶解性が低下したりする傾向にある。脂肪酸の酸価が300mgKOH/gを超えると、脂肪酸全体のアニオン性が低く、金属表面に吸着する能力が乏しくなり、潤滑性が低下する傾向にある。
脂肪酸の酸価の測定方法は特に限定されないが、JIS K 2501に規定の指示薬滴定法、電位差滴定法、指示薬光度滴定法などが挙げられる。
本発明で用いる脂肪酸の種類は、特に限定されないが、直鎖状または分岐状の脂肪酸や、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、またはテトラコサペンタエン酸などが挙げられる。
本発明に用いる脂肪酸は、そのカルボキシル基を金属表面に吸着させることにより、金属表面にアルキル基の膜を形成して、金属同士の摺動部分における潤滑性を向上する。脂肪酸のアルキル基の炭素数は、10〜26であることが好ましく、14〜22であることがより好ましく、16〜20であることがさらに好ましい。脂肪酸のアルキル基の炭素数が10未満であると、金属表面におけるアルキル基の膜形成が不十分となり、潤滑性が低下する傾向にある。脂肪酸のアルキル基の炭素数が26を超えると、カルボキシル基が金属表面へ吸着しにくくなり、潤滑性が低下するとともに、組成物中において脂肪酸が固化・分離・析出等を起こしやすくなり、組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にある。
本発明に用いる脂肪酸は、組成物の貯蔵安定性を向上させる観点からは、融点の低いものを用いることが好ましい。本発明において用いる脂肪酸の融点は、−50〜90℃であることが好ましく、−10〜50℃であることがより好ましい。
融点の低い脂肪酸としては、不飽和結合を1つ以上有する不飽和脂肪酸が好ましく、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸およびエイコサトリエン酸などが挙げられる。これらの脂肪酸は、単体または混合物として用いても、2種以上を組み合わせて用いても構わない。上記のような脂肪酸を含有する製品としては、例えば、日油株式会社製NAA−142、NAA−160、NAA−172、NAA−173K、NAA−174、NAA−175、または三洋化成工業社製サンフリックFM−6等が挙げられる。上記のような製品には、脂肪酸の他に、1〜40質量%の炭化水素系等の有機溶剤が含まれていてもよい。なお、サンフリックFM−6等の脂肪酸は、アルカリ性物質やアルコール類と混合すると、それらと化学反応を起こして、十分な性能を発揮しなくなることがあるため、通常はアルカリ性物質やアルコール類とは混合しないことが好ましい。
本発明で用いる脂肪酸の組成物中の含有量は、組成物に対して25〜70質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましく、35〜60質量%であることがさらに好ましい。脂肪酸の含有量が組成物に対して25質量%未満であると、燃料油への実用的な添加率では潤滑性が低下し、燃料ポンプ、燃料噴射装置、燃料弁等の摺動部品の焼付き等、機関の不具合が発生する傾向にある。脂肪酸の含有量が組成物に対して70質量%を超えると、組成物中のカチオン系界面活性剤量が低下し、防カビ性が低下する傾向にある。
本発明で用いる有機溶剤は、カチオン系界面活性剤と脂肪酸を燃料油に安定して溶解させることができ、燃料油の燃焼時に弊害を生じさせないものであれば、その種類は特に限定されない。このような有機溶剤としては、炭化水素系の溶媒を用いることができる。
上記炭化水素の溶媒は、カチオン系界面活性剤と脂肪酸を燃料油に容易に溶解させ、組成物の貯蔵安定性を向上させるという観点から、飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素であることが好ましい。また、同様の観点から、上記炭化水素の炭素数は、6〜20であることが好ましく、8〜18であることがより好ましい。なお、上記炭化水素には、アルコール、ケトン、エステル、エ−テル等の官能基が含まれていてもよい。
そのような炭化水素系の溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキセン、オクタン、オクテン、デカン、デセン、ドデカン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、イソパラフィン、シクロパラフィン、流動パラフィン等が挙げられる。また、炭化水素系の溶媒を含む製品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー株式会社製0号ソルベント、フォッグソルベント、ベースソルベント21、出光興産株式会社社製ジイソブチレン、IPソルベント、イプゾール100、イプゾール150、出光石油化学株式会社製リニアレン6、リニアレン8、リニアレン10、リニアレン12、リニアレン14、リニアレン16、リニアレン18、エクソンモービル社製ソルベッソ150、ソルベッソ200等が挙げられる。
本発明で用いる有機溶剤の組成物中の含有量は、組成物に対して1〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。有機溶剤の含有量が組成物に対して1質量%未満であると、組成物の粘度が高くなりすぎて、添加剤成分が燃料油に均一に混合できなくなったり、添加剤成分を燃料油に均一に混合するのに長時間を要したりする傾向にある。有機溶剤の含有量が組成物に対して60質量%を超えると、組成物中の添加剤の濃度が低くなりすぎ、実用上の添加量における有効成分量の低下により潤滑性、防カビ性がともに低下する傾向にある。
本発明の組成物中のカチオン系界面活性剤と脂肪酸の質量比は、1/7〜1/0.5であることが好ましく、1/5〜1/0.7であることがより好ましく、1/4〜1/1であることがさらに好ましい。組成物中の上記質量比が1/7未満であると、防カビ性が低下する傾向にある。組成物中の上記質量比が1/0.5を超えると、潤滑性が低下する傾向にある。
本発明の組成物は、有機溶剤に、カチオン系界面活性剤または酸価が100〜300mgKOH/gである脂肪酸のいずれか一方を混合した後に、前記カチオン系界面活性剤または前記脂肪酸のいずれか他方を混合することにより、製造される。この場合、カチオン系界面活性剤は、3級アミノ基を有し、HLB値が3.0〜12.0であるカチオン系界面活性剤、4級アンモニウム化合物であり、アルキレンオキサイド基を含むカチオン系界面活性剤、または、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミン若しくは2級アミンであるカチオン系界面活性剤である。
なお、カチオン系界面活性剤を添加した有機溶剤と、脂肪酸を添加した有機溶剤とを別々に作製し、それらを混合することによって組成物を製造する方法も、上記製造方法に含まれる態様の一つである。
前記カチオン系界面活性剤および前記脂肪酸を有機溶剤に同時に混合したり、前記カチオン系界面活性剤および前記脂肪酸を直接混合してから有機溶剤にそれらを混合すると、前記カチオン系界面活性剤と前記脂肪酸とがイオン間相互作用による凝集や発熱を起こし、防カビ性や潤滑性が損なわれる傾向にある。
本発明の組成物を製造するための混合撹拌装置は、特に限定されないが、通常の攪拌機能を備えた乳化装置、ホモミキサー、ディスパーミキサー、高剪断力の高圧ホモジナイザー、超音波乳化機、SPG膜乳化機、スタティック型ラインミキサー、コロイドミル等を用いることができる。
前記カチオン系界面活性剤または前記脂肪酸と有機溶剤とを混合する工程における温度は、0〜50℃であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましい。上記の混合工程における温度が0℃未満であると、組成物中の添加剤が凍結したり析出したりする傾向にある。上記の混合工程における温度が50℃を超えると、有機溶剤が揮発する傾向にある。
本発明の組成物は、船舶等の燃料油に混合して使用することができる。本発明の組成物と燃料油とを混合する方法は、特に限定されないが、本発明の組成物を燃料タンクに直接投入する方法や、本発明の組成物と少量の燃料油とを事前に混合撹拌した後に燃料タンクに投入する方法などが挙げられる。
本発明の組成物と燃料油とを混合する工程における温度は、−10〜60℃であることが好ましく、−5〜50℃であることがより好ましい。混合工程における温度が−10℃未満であると、組成物中の添加剤が凍結したり析出したりする傾向にある。混合工程における温度が60℃を超えると、有機溶剤が揮発する傾向にある。
本発明の組成物と燃料油との配合比率は1/20000〜1/500であることが好ましく、1/10000〜1/1000であることがより好ましい。組成物と燃料油との配合比率が1/20000未満であると、組成物を混合した燃料油の防カビ性や潤滑性が低下する傾向にある。組成物と燃料油との配合比率が1/500を超えると、過剰性能となり経済性が損なわれる傾向になる。
本発明の組成物を添加することのできる燃料油の種類は、特に限定されないが、例えば、灯油、軽油、A重油、低硫黄燃料油、バイオ燃料等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
[脂肪酸の酸価の測定方法]
脂肪酸の酸価の測定には、JIS K 2501に規定の指示薬滴定法を用いた。
(実施例1)
[組成物の製造]
カチオン系界面活性剤(防カビ剤)としてPOEラウリルアミン(花王株式会社製、アミート102)25部を、有機溶剤としての石油系脂肪族溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製、ベースソルベント21)18部に混合して希釈した。POEラウリルアミンを混合した石油系脂肪族溶剤に、潤滑剤としての高級脂肪酸A(平均炭素数が18の脂肪酸混合物、石油系芳香族溶剤を20質量%含む。)57部を混合し、回転式撹拌機(株式会社島崎エンジニアリング製、アジターAG10型)を用いて撹拌して、組成物Aを得た。
得られた組成物Aと軽油(JIS K2204規格種類2号)を1:2500の質量比で混合して、改良軽油Aを得た。なお、以下単に軽油と称するものには、JIS K2204規格種類2号の軽油を用いた。
得られた組成物Aと灯油(JIS K2203規定1号灯油)を1:2500の質量比で混合して、改良灯油Aを得た。なお、以下単に灯油と称するものには、JIS K2203規定1号灯油を用いた。
(実施例2)
POEラウリルアミン25部を、石油系脂肪族溶剤(ベースソルベント21)29.4部に混合して希釈した。POEラウリルアミンを混合した石油系脂肪族溶剤に、潤滑剤としてオレイン酸45.6部を混合した以外は、実施例1と同じ方法で、組成物Bならびに改良軽油Bおよび改良灯油Bを得た。
(実施例3)
POEラウリルアミン16.5部を、石油系脂肪族溶剤(ベースソルベント21)33.5部に混合した以外は、実施例1と同じ方法で、組成物Cならびに改良軽油Cおよび改良灯油Cを得た。
(実施例4)
POEラウリルアミン11部を、石油系脂肪族溶剤(ベースソルベント21)39部に混合した以外は、実施例1と同じ方法で、組成物Dならびに改良軽油Dおよび改良灯油Dを得た。
(比較例1)
POEラウリルアミンと軽油を1:1000の質量比で混合して、改良軽油Eを得た。
(比較例2)
高級脂肪酸と軽油を1:2500の質量比で混合して、改良軽油Fを得た。
[組成物の貯蔵安定性の評価]
実施例および比較例で得られた組成物80gを100mlガラス容器に密閉し、0℃、室温(25℃前後)、40℃、50℃のそれぞれの温度下で、暗所にて保管した。各温度にて2ヶ月経過後に、組成物における性状劣化の有無(沈殿、析出、濁り、分離)と、組成物における色調変化の有無(褐色変化)を目視にて評価した。結果を表1および表2に示す。
表1および表2に示すように、0℃で放置した組成物においては、高級脂肪酸成分の凍結が認められたが、室温に戻すと、高級脂肪酸成分の凍結は認められなくなり、性状および色調にも劣化は認められなかった。室温で放置した組成物においては、性状および色調に劣化は認められなかった。40℃または50℃で放置した組成物においては、色調がやや褐色化したが、放置開始時の色調である単黄色〜淡褐色の範囲内の色調であり、性状および色調に劣化は認められなかった。
[組成物による軽油の防カビ性向上性能の評価]
A株式会社所有の船舶S丸より採取されたA重油10gを、100メッシュのSUS金網(日本メッシュ工業株式会社製)に通して、微細なカビ菌糸Xを採取した。得られたカビ菌糸Xを、実施例または比較例で得られた改良軽油に5容量%(改良軽油100mlに対して5ml)添加して混合撹拌した。
カビの成長を促進するための養分としてサニスペック標準寒天培地(アズワン株式会社製)を純水に0.05重量%溶解したカビ培養液5mlを調整した。得られたカビ培養液5mlを、カビ菌糸Xを含有した上記改良軽油15mlに添加して混合し、防カビ性評価のためのサンプルを調製した。得られたサンプルを温度30〜35℃の条件下で、2ヶ月間放置し、放置から2ヶ月間経過後に、上記改良軽油中におけるカビの発生状況を目視にて観察した。そして、放置から2ヶ月間経過後のサンプルを、100メッシュのSUS金網でろ過し、得られた残留物(カビ)の乾燥重量(g)を測定した。
上記の残留物(カビ)の乾燥重量(g)を、実施例または比較例で得られた組成物を添加しなかった以外は、上記と同じ方法で得られた残留物(カビ)の乾燥重量(g)で除して、カビXの発生率を算出した。カビXの発生率の結果を表3に示す。
N株式会社管理の船舶KKに使用されている油圧作動油(JXスーパーハイランド46)10gから採取した微細なカビ菌糸Yを用いた以外は、上記と同様の方法で、カビYの培養と改良軽油のサンプル調整を行い、カビYの発生率を算出した。カビYの発生率の結果を表3に示す。
表3に示すように、改良軽油Aにおけるカビ発生率は、改良軽油Eにおけるカビ発生率とほぼ同等であり、改良軽油A中の高級脂肪酸が、POEラウリルアミンのカビ抑制効果に悪影響を及ぼさないことが示された。
図1に、実施例・比較例で用いたカビ菌糸Xを倍率60倍で観察した顕微鏡写真を示す。
図2において11は、カビ培養液を、カビ菌糸Yを含有した軽油に添加した直後の状態である。12は、カビ培養液を、カビ菌糸Xを含有した軽油に添加した直後の状態である。13は、カビ培養液を、カビ菌糸Yを含有した実施例1の改良軽油Aに添加した直後の状態である。14は、カビ培養液を、カビ菌糸Xを含有した実施例1の改良軽油Aに添加した直後の状態である。
図3において21は、カビ培養液を、カビ菌糸Xを含有した軽油に添加して、30℃で1.5ヶ月放置した後の状態である。22は、カビ培養液を、カビ菌糸Xを含有した実施例1の改良軽油Aに添加して、30℃で1.5ヶ月放置した後の状態である。
図4において31は、カビ培養液を、カビ菌糸Yを含有した軽油に添加して、30℃で1.5ヶ月放置した後の状態である。32は、カビ培養液を、カビ菌糸Yを含有した実施例1の改良軽油Aに添加して、30℃で1.5ヶ月放置した後の状態である。
[組成物による灯油の潤滑性向上性能の評価]
潤滑性の評価は、ISO12156―1に規定されるHFRR(High Frequency Reciprocating Rig)試験により行った。試験鋼板の上に試験鋼球を置き、試験鋼板と試験鋼球との接触部を、実施例1で得られた60℃の改良灯油Aで完全に浸漬した状態で、0.2kgf/cmの荷重を試験鋼球にかけて、試験鋼球を振幅1mm、周波数50Hzで75分間往復運動させ、その試験鋼球に発生する摩耗痕径(μm)を測定した。潤滑性向上性能の評価結果を、HFRR摩耗痕径(μm)として、表4に示す。
(実施例5〜11)
防カビ剤として表4に示す防カビ剤を用いた以外は実施例1と同様の方法で、組成物ならびに改良軽油および改良灯油を得た。
実施例1で得られた改良灯油Aの代わりに、実施例5〜11で得られた改良灯油を用いた以外は実施例1と同様の方法で行った潤滑性向上性能の評価結果を表4に示す。
(比較例3)
改良灯油Aの代わりに灯油のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った潤滑性向上性能の評価結果を表4および表8に示す。
実施例1または実施例5〜11で得られた改良軽油についての防カビ性向上性能の評価を、カビ(XまたはY)の発生率(%)として、表4に示す。
(比較例4)
改良軽油Aの代わりに軽油のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った防カビ性向上性能の評価結果を表4および表8に示す。
実施例1または実施例5〜11で得られた組成物を、軽油に配合した直後の状態を表4に示す。

(実施例12〜15、比較例5〜9)
表5に示す防カビ剤と表6に示す潤滑剤を用いて、組成物の組成を表7に示すようにした以外は、実施例1と同様の方法で、組成物ならびに改良軽油および改良灯油を作製した。
50℃の温度下で1ヶ月放置した以外は、実施例1の場合と同様の方法で、実施例12〜15または比較例5〜9で得られた組成物の貯蔵安定性を評価した。結果を表8に示す。
実施例1の防カビ性向上性能の評価における場合と同様の方法で得られた残留物(カビ)の乾燥重量(g)を測定し、実施例12〜15または比較例5〜9で得られた改良軽油のカビ(X)発生率を算出した。結果を表8に示す。
実施例1の場合と同様の方法で、実施例12〜15または比較例5〜9で得られた改良灯油の潤滑性を評価した。結果を表8に示す。
[組成物を混合した灯油の着火性能および燃焼性能の評価]
着火燃焼試験装置(日本油化工業株式会社製、FIA-100/FCA)を用いて、改良灯油Aおよび未処理の灯油について、燃料燃焼性試験(FCA分析)を行い、着火性および燃焼性を評価した。結果を表9に示す。
表9に示すように、改良灯油Aと未処理の灯油とでは、その着火性および燃焼性において、大きな違いは認められず、組成物Aが灯油の燃焼性に悪影響を与えないことが示された。

Claims (10)

  1. カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶剤とを含む燃料油添加用組成物であり、
    カチオン系界面活性剤が、3級アミノ基、並びに、アルキレンオキサイド基及び/又はヒドロキシアルキル基を有し、
    カチオン系界面活性剤のHLB値が、3.0〜12.0であり、
    脂肪酸の酸価が、100〜300mgKOH/gである、燃料油添加用組成物。
  2. カチオン系界面活性剤が、アルキレンオキサイド基を含む、請求項1に記載の燃料油添加用組成物。
  3. カチオン系界面活性剤が、化学式(I):
    (式中、Rは、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を表す。RおよびRは、エチレン基またはプロピレン基を表す。mおよびnは、1〜10の範囲にある。)で表される化合物である、請求項1または2に記載の燃料油添加用組成物。
  4. カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶剤とを含む燃料油添加用組成物であり、
    カチオン系界面活性剤が、アルキレンオキサイド基を含む4級アンモニウム化合物であり、
    脂肪酸の酸価が、100〜300mgKOH/gである、燃料油添加用組成物。
  5. カチオン系界面活性剤が、化学式(II):
    (式中、RおよびRは、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を表す。RおよびRは、エチレン基またはプロピレン基を表す。mおよびnは、1〜10の範囲にある。Xは、任意の陰イオンを表す。)で表される化合物である、請求項4に記載の燃料油添加用組成物。
  6. カチオン系界面活性剤と、脂肪酸と、有機溶剤とを含む燃料油添加用組成物であり、
    カチオン系界面活性剤が、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖または分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミンまたは2級アミンであり、
    脂肪酸の酸価が、100〜300mgKOH/gである、燃料油添加用組成物。
  7. 脂肪酸が、炭素数10〜26の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を少なくとも1つ有する、請求項1〜6のいずれかに記載の燃料油添加用組成物。
  8. カチオン系界面活性剤15〜35質量%と、脂肪酸25〜70質量%と、有機溶剤10〜60質量%とを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の燃料油添加用組成物。
  9. 組成物中の、カチオン系界面活性剤と脂肪酸の質量比が、1/7〜1/0.5である、請求項1〜8のいずれかに記載の燃料油添加用組成物。
  10. 有機溶剤に、カチオン系界面活性剤または酸価が100〜300mgKOH/gである脂肪酸のいずれか一方を混合した後に、前記カチオン系界面活性剤または前記脂肪酸のいずれか他方を混合する燃料油添加用組成物の製造方法であり、
    カチオン系界面活性剤が、
    3級アミノ基、並びに、アルキレンオキサイド基及び/又はヒドロキシアルキル基を有し、
    HLB値が3.0〜12.0であるカチオン系界面活性剤、
    4級アンモニウム化合物であり、アルキレンオキサイド基を含むカチオン系界面活性剤、または、
    炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基、トリル基、フェニル基、ベンジル基、並びに炭素数1〜20のポリエチレンオキサイド基およびポリプロピレンオキサイド基からなる群より選ばれる置換基を有する1級アミン若しくは2級アミンであるカチオン系界面活性剤である、
    製造方法。
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