JP6371063B2 - 悪性腫瘍の検査方法および抗腫瘍剤 - Google Patents
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Description
1.被検者の生体検体中の抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価を測定することを特徴とする、悪性腫瘍の検査方法。
2.悪性腫瘍の予後予測のための、前項1に記載の検査方法。
3.生体検体が、血液である、前項1又は2に記載の検査方法。
4.抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価が、抗GluR4抗体価である、前項1〜3のいずれか1に記載の検査方法。
5.悪性腫瘍が、非小細胞肺癌である、前項1〜4のいずれか1に記載の検査方法。
6.抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価を測定するための抗原を含む、悪性腫瘍検査用試薬。
7.抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価を測定するための抗原および免疫学的手法に必要な試薬を含む、悪性腫瘍検査用試薬キット。
8.AMPA型グルタミン酸受容体を阻害する物質を有効成分として含有する、肝癌治療剤。
9.AMPA型グルタミン酸受容体を阻害する物質が、細胞周期を停止させることにより、肝癌細胞の増殖を抑制する、前項8に記載の肝癌治療剤。
10.細胞周期の停止が、Aktシグナル伝達カスケード、MAPK/Erkシグナル伝達カスケード、SAPK/JNKシグナル伝達カスケード、及びAMPKシグナル伝達カスケードの少なくともいずれか1つを阻害することによるものである、前項9に記載の肝癌治療剤。
11.肝癌細胞において、少なくともサブユニットGluR4を含むAMPA型グルタミン酸受容体が発現している、前項8〜10のいずれか1に記載の肝癌治療剤。
また本発明の肝癌治療剤は、AMPA型グルタミン酸受容体を阻害する物質を有効成分として含有するものであり、肝癌の新規分子標的薬を提供し得る。AMPA型グルタミン酸受容体を阻害することによる肝癌細胞の増殖抑制は、本来生体内に備わっていると考えられる生体防御機構に基づくものであることから、本発明の肝癌治療剤は生体にとって安全性が高い薬剤であり、有用である。
本発明は、生体内の抗AMPA型受容体抗体を測定することで、悪性腫瘍の発症予測や、発症後の予後予測が可能であると考えられる。当該抗体の検査は、定量的に行うのが好ましい。具体的には、生体検体中の抗AMPA型受容体抗体を測定することによる。本発明は、生体検体中の抗AMPA型受容体抗体を指標することを特徴とする悪性腫瘍の検査方法にも及ぶ。本発明の検査方法における抗AMPA型受容体抗体は、好ましくは、抗GluR4抗体である。
本発明において「AMPA型グルタミン酸受容体を阻害する物質」とは、当該物質自体がAMPA型受容体の機能を直接阻害し得る機能を有する物質であってもよいし、生体内に既に存在するAMPA型受容体の機能を阻害する物質(例えば、AMPA型受容体の機能を阻害し得る抗AMPA型受容体抗体)を活性化もしくは増強し得る物質であってもよい。AMPA型受容体の機能を直接阻害し得る機能を有する物質は、AMPA型受容体に結合するAMPA型受容体アンタゴニストであってもよいし、AMPA型受容体に結合はしないがAMPA型受容体の機能を阻害する物質であってもよい。AMPA型受容体アンタゴニストは非競合的アンタゴニストであってもよいし、競合的アンタゴニストであってもよい。AMPA型グルタミン酸受容体は、グルタミン酸による細胞内シグナル伝達を司り、リガンドであるグルタミン酸を受容することにより、ナトリウムイオン、カルシウムイオンといった陽イオンを透過させる機能を有する。AMPA型グルタミン酸受容体を阻害する物質は、グルタミン酸の細胞内シグナル伝達を阻害するものである。
本参考例では血清中IgGによる肝癌細胞株Huh7の増殖抑制効果を検討した。
倫理委員会の承認を得、自己免疫性疾患患者の血清中に存在する自己抗体について解析を行った。まず、自己免疫性肝炎(AIH)患者から得た血清試料について、抗体精製用アフィニティー担体であるプロテインG(Invitrogen Dynal AS, Oslo, Norway)を添加し、血清中のIgGを非特異的に吸着させた。常法に従いプロテインGを洗浄液(0.1M Na-Phosphate Buffer, pH 7.4)で洗浄し、溶出液(50 mM Glycine Buffer, pH 2.8)でプロテインGに非特異的に吸着したIgGを溶出させ、自己免疫性肝炎(AIH)のヒト血清中から抽出したIgG含有溶液を得た。
培養開始12時間後に、前述のAIH患者血清中から抽出したIgG含有溶液(IgG含量として0.5 μg)を各wellに添加(5 μg/ml)。コントロールには、IgGを含有していない溶出液のみを同量添加した。
培養開始60時間後に、 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT:5 mg/ml in phosphate buffered saline) 溶液10 μlを各wellに添加した。MTT添加4時間後に培養液を除去し、DMSO 100 μlを各wellに添加した。ELISAリーダー (Model 680 Microplate Reader: Bio-Rad Laboratories Ltd., Tokyo, Japan) で、570 nmの吸光度を測定した。細胞増殖率を各条件における吸光度をコントロールに対する比率で表した。
本参考例では、参考例1で確認された肝癌細胞株Huh7の増殖を抑制するIgGの対応抗原について、解析を行った。
ProteoJETTM Membrane Protein Extraction Kit (Thermo Fischer Scientific Inc., IL, USA)を使用して、肝癌細胞株Huh7より膜タンパク質を抽出した。
AIH患者から得た血清試料について、抗体精製用アフィニティー担体であるプロテインG(Invitrogen Dynal AS, Oslo, Norway)を添加し、血清中のIgGを非特異的に吸着させた。
プロテインGを洗浄液により洗浄後、抗原として肝癌細胞株Huh7の膜タンパク質抽出物を含む溶液に加えて1時間処理し、プロテインGに非特異的に吸着された血清中IgGと抗原とを反応させた。血清中に膜タンパク質に対する抗体が存在する場合に抗原との間で抗原抗体反応が生じ、抗原抗体複合体が形成される。
洗浄液にて洗浄後、溶出液(50 mM Glycine Buffer, pH 2.8)でプロテインGに吸着したタンパク質を溶出させた。溶出したタンパク質をProteoExtractTM All-in-One Trypsin Digestion Kit (Calbiochem, Darmstadt, Germany)を使用し、トリプシン消化し、質量分析計(LC/MS)で測定した。測定結果をデータベースSwiss-Protで検索した。
ヒト肝癌細胞株(Huh7, PLC/PRF/5, Hep3B, HepG2, HLE, HLF, SK-Hep-1)を10cm dishに播種した。なお、培養液はDMEM (Invitrogen Co., Carlsbad, CA) + 10% heat-inactivated FBS (Vitromex, Vilshofen, Germany) + 1% L-Glutamine solution (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% non-essential amino acid (Sigma chemical, MO) + 1% sodium pyruvate (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% penicillin/streptomycin solution (Sigma-Aldrich Co., MO)とし、37℃で5% CO2下に培養した。
各種細胞が80%コンフルエントになった時点で、培養液を除去し、cold DPBS, Ca(-), Mg(-)(Invitrogen Co., Carlsbad, CA)にて洗浄後、 Pierce IP Lysis Buffer (Thermo Fisher Scientific Inc., IL) 1mlをdishに添加した。 5分間氷上攪拌した後、セルスクレイパーで回収し、ビーズ破砕機(TAITEC, Saitama、Japan)で細胞を破砕。その後、13,000gで10分間遠沈し、上澄を回収した。上澄を2×サンプルバッファー(20% Glycerol, 4% SDS, 125mM Tris-HCl / pH6.8, 10% メルカプトエタノール, 0.004%BPB)と1:1で混合した後、5分間煮沸し、各種肝癌細胞株より抽出したタンパク質溶液を作製した。なお、コントロールとしてHuman Whole Normal Brain tissue lysate(Novus-Biologicals, LLC)を用いた。
泳動したタンパク質を常法に従ってPVDFメンブレンにブロッティングした。PVDF Blocking Reagent for Can Get Signal (TOYOBO, Osaka, Japan)で1時間のブロッキング処理後、一次抗体としてラビット抗AMPA受容体(GluR1, GluR2, GluR3, GluR4)抗体(#8850, #5306, #4676, #8070 : Cell Signaling Technology, Inc., MA)、マウス抗β-actin抗体 (Sigma-Aldrich Co., MO)で1時間処理した。
メンブレンを洗浄後、HRP標識抗IgG抗体(RPN2124: GE Healthcare社、UK)を二次抗体として1時間反応させた。
メンブレンを洗浄後、ECL Prime Western Blotting Detection System (RPN2232: GE Healthcare, UK)で発色させ、ルミノメーターで検出した。
肝癌細胞株(Huh7, PLC/PRF/5, HepG2)を5.0x104 cells/ml に調整後、細胞培養用96 wellプレートに100 μl/wellで播種した。なお、培養液はDMEM (Invitrogen Co., Carlsbad, CA) + 10% heat-inactivated FBS (Vitromex, Vilshofen, Germany) + 1% L-Glutamine solution (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% non-essential amino acid (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% sodium pyruvate (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% penicillin/streptomycin solution (Sigma-Aldrich Co., MO)とし、37℃で 5% CO2下に培養した。
培養開始12時間後に、非競合的AMPAアンタゴニストである4-(8-Methyl-9H-1,3-dioxolo[4,5-h][2.3]benzodiazepin-5-yl)-benzenamine dihydrochloride(GYKI 52466 dihydrochloride) (Tocris Bioscience, Bristol, UK)または、1-(4'-Aminophenyl)-3,5-dihydro-7,8-dimethoxy-4H-2,d3-benzodiazepin-4-one (CFM-2) (Tocris Bioscience, Bristol, UK)をDMSO(Sigma-Aldrich Co., MO)で50,000 μMに調整した後に、上記の培養液で希釈し、50 μl/wellで添加し結果に示す濃度になるよう薬剤暴露した。
薬剤を注入した24時間後、48時間後、72時間後に、 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT:5 mg/ml in phosphate buffered saline) 溶液15 μlを各wellに添加した。MTT溶液を添加した3時間後に培養液を除去し、DMSO 100 μlを各wellに添加した。ELISAリーダー (Model 680 Microplate Reader: Bio-Rad Laboratories Ltd., Tokyo, Japan) で、570 nmの吸光度を測定した。細胞増殖率は各条件における吸光度をコントロールに対する比率で表した。
AMPA型受容体アンタゴニストによる肝癌細胞株Huh7の細胞内シグナルの影響を、リン酸化抗体アレイを用いて確認した。
ヒト肝癌細胞株 (Huh7)を10cm dishに播種した。培養液は実施例1と同様であり、37℃で5% CO2下に培養した。
16時間後、細胞が60%〜70%コンフルエントになった時点で培養液を除去し、GYKI 52466、CFM-2を以下の表1のとおりに注入した。なお、薬剤コントロールは薬剤と同量のDMSOを注入したものとした(表1のDMSO)。また、薬剤・DMSOともに注入していないdish(表1のnegative control)を作製し、DMSO注入に対するコントロールとした。
dishをDPBSで洗浄後、付属のlysis bufferにて1.0×107cells/mlに調整、4℃にて30分間 incubateし、14,000×g 5分間遠心、上清を回収した。
メンブレンを1時間ブロッキング処理した後、サンプル溶液を滴下し、室温にて1時間一次抗体を反応させた。
洗浄後、室温で2時間ビオチン標識二次抗体と反応させた後、HRP標識ストレプトアビジン溶液にて30分間 incubateした。
洗浄後、付属のChemi Reagent1, 2で発色させ、ルミノメーターで検出した。
各種リン酸化抗体を用いて、Western blotにより、AMPA受容体阻害による細胞内シグナル伝達への影響を確認した。
ヒト肝癌細胞株 (Huh7)を10cm dishに播種した。なお、培養液は実施例2と同様にし、37℃で5% CO2下に培養した。
70%コンフルエントになった時点で培養液を除去し、上記表1の濃度となるよう培養液にて調整したGYKI 52466、CFM-2を注入した。
薬剤注入 6時間後に、2×サンプルバッファー(20% Glycerol , 4%SDS , 125mM Tris-HCl / pH6.8 , 10% メルカプトエタノール, 0.004%BPB)を添加し、セルスクレイパーで回収し5分間煮沸した。なお、薬剤コントロールは薬剤と同量のDMSOを注入したものとした(表1のDMSO)。また、薬剤・DMSOともに注入していないdish(表1のnegative control)を作製し、DMSO注入に対するコントロールとした。
各条件の細胞から常法に従ってタンパク質を抽出し、抽出したタンパク質を、常法に従ってSDS-PAGEにより電気泳動を行った。
泳動したタンパク質をPVDFメンブレンにブロッティングした。PVDF Blocking Reagent for Can Get Signal (TOYOBO, Osaka, Japan)で1時間のブロッキング処理後、各一次抗体 (#4060:p-Akt(Ser473)、#9101:p-p44/42MAPK(p-ERK1/2)(Thr202/Tyr204)、#9121:p-MEK1/2(Ser217/221)、#9255:p-SAPK/JNK(Thr183/Tyr185)、#9315:pGSK3β(ser9)、#2922:cyclinD1、#5605:c-Myc、#2535:p-AMPK (Cell Signaling Technology, Inc., MA)、または抗β-actin抗体 (Sigma-Aldrich Co., MO)で1時間処理した。
メンブレンを洗浄後、HRP標識抗IgG抗体(RPN2124: GE Healthcare社、UK)を二次抗体として1時間反応させた
洗浄後、ECL Prime Western Blotting Detection System (RPN2232: GE Healthcare, UK)で発色させ、ルミノメーターで検出した。
(1)AMPA型受容体アンタゴニストによる肝癌細胞株の増殖抑制機構として、アポトーシスの関連を、Hoechst 33342染色により確認した。
肝癌細胞株(Huh7)を1.0x105 cells/ml に調整後、細胞培養用6wellプレートに2 ml/wellで播種した。なお、培養液は実施例1と同様であり、37℃で 5% CO2下に培養した。
培養開始12時間後に培養液を吸引した。培養液にDMSOで溶解した非競合的AMPAアンタゴニストであるGYKI 52466、CFM-2を表2に示す濃度で溶解させたものを2 ml/well注入した。
アンタゴニストを注入した48時間後にHoechst 33342, trichloride, trihydrate (Lonza Walkersville, Inc., MD)を5μlずつ各wellに注入した。
Hoechst 33342を注入した10分後に、倒立蛍光顕微鏡 (OLYMPUS 971 :Olympus Optical Co. Ltd, Japan)を使用しUV励起し観察を行い、顕微鏡デジタルカメラ (DP70 :Olympus Optical Co. Ltd, Japan)にて写真撮影をし、各々の条件で3視野あたりの陽性細胞数(%)を評価し比較した。
肝癌細胞株(Huh7)を1.0x105 cells/ml に調整後、細胞培養用6wellプレートに2 ml/wellで播種した。なお培養液は上述の(1)と同様とし、37℃で 5% CO2下に培養した。
培養開始12時間後に培養液を吸引した。培養液にDMSOで溶解した非競合的AMPAアンタゴニストであるGYKI 52466を以下の表3に示す濃度で溶解させたものを2ml/well注入した。
薬剤注入し、各時間培養後、それぞれのwellより培養液を採取。wellをDPBSにて2回洗浄後、0.05% Trypsin-EDTA (Invitrogen Co., Carlsbad, CA) にて3分間 37℃、5% CO2下で処理し、wellに培養液を添加し細胞を採取した。1500rpm、10分間遠心後、DBPS + 1% heat-inactivated FBSにて洗浄し1500rpm、10分間遠心した。
以下の処置にはFITC Annexin V Apoptosis Detection Kit (BD pharmingen, San Jose, Calif)を使用した。Binding buffer(10mM Hepes/NaOH(pH7.4), 0.14M NaCl, 2.5mM CaCl2)にてペレットを溶解し、1.0×106 cells/mlに調整した。
100μl(1.0×105 cells)の細胞溶解液に対し、fluorescein 5(6)-isothiocyanate(FITC) / annexin V 5μl、propidium iodide(PI) 5μl注入した。
注入後、暗所にて15分間 incubateした。
測定はFACS Calibur Flow Cytometer (BD Biosciences, San Jose, Calif)を使用し、解析はFlowJo software (Tree Star Inc., Ashland, Ore)にて行った。
以上の結果から、AMPA受容体アンタゴニストは、肝癌細胞におけるアポトーシスを誘導しないことが示された。
本参考例では、健常者群28例、及びAIH患者群39例の血清について、血清中の抗GluR4抗体価を測定し、各群における抗GluR4抗体価の傾向を確認した。
Protein Detector ELISA Kit (Kirkegaartd & Perry Laboratories)を使用し、下記の如く、間接ELISA法にて血清中anti-GluR IgGを測定した。
96-well C-bottom microtiter plates (Thermo Scientific)を使用し、1μg/μlのリコンビナントGluR4 (H00002893-P01, Abnova) proteinを各wellそれぞれ100μlずつ注入し、室温で1.5時間インキュベーションしてコーティングを行った。
1% bovine-serum albumin (BSA)のPBSを300μlずつ注入し、室温で30分間ブロッキングした。PBS (1% BSA)にて100倍希釈したAIH患者血清を100μl注入し、室温で1時間インキュベーションした。
洗浄後、PBS (1% BSA)にて1μg/mlに希釈したHRP標識anti-Human IgGを100μlずつ注入し、室温で、1時間インキュベーションした。
さらに洗浄後に、発色基質 (ABTS: 2, 2’-azino-di-(3-ethylbenzthiazoline-6-sulfonate))を使用して反応させて発色させ、ELISAリーダー (Model 680 Microplate Reader: Bio-Rad Laboratories Ltd., Tokyo, Japan) で、405 nmの吸光度を測定した。
肝癌培養細胞株Huh7を5.0x104 cell/ml に調整後、細胞培養用96 wellプレートに100 μl/wellで播種した。なお、培養液はDMEM (Invitrogen Co., Carlsbad, CA) + 10% heat-inactivated FBS (Vitromex, Vilshofen, Germany) + 1% non-essential amino acid (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% sodium pyruvate (Sigma-Aldrich Co., MO) + 1% penicillin/streptomycin solution (Sigma-Aldrich Co., MO)とし、37℃で5% CO2下に培養した。
培養開始12時間後に、自己免疫性肝炎患者15例において参考例1と同様の方法で血清中から抽出したIgG 0.5 μgを各wellに添加した(5 μg/ml)。コントロールには、IgGの溶出液のみを同量添加した。
培養開始60時間後に、 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT:5 mg/ml in phosphate buffered saline) 溶液10 μlを各wellに添加した。MTT添加4時間後に培養液を除去し、DMSO 100 μlを各wellに添加した。ELISAリーダー (Model 680 Microplate Reader: Bio-Rad Laboratories Ltd., Tokyo, Japan) で、570 nmの吸光度を測定し、各条件における吸光度をコントロールに対する比で表した。
また血清IgGによる細胞増殖抑制効果が高い症例ほど、有意にPTが低下しており、抗体価が高い症例ほど有意にPTが低下していた。PTは自己免疫性肝炎の重症度を反映している。よって、自己免疫性肝炎では、血清中に存在する抗GluR4抗体が肝細胞増殖、つまり肝再生を抑制することで重症度を悪化させていると考えられる(図17)。
外科的切除術を施行された非小細胞肺癌92例において、血漿中抗GluR4抗体価と予後との関連を検討した。なお、88例で根治的切除が行われ、4例では非根治的切除であった。よって、術後再発については88例、患者死亡については92例で検討した。
1 μg/mlのGluR4(GRIA4)(Human) Recombinant Protein (H00002893-P01: Avnova, Taipei, Taiwan) を96穴マイクロプレートの各wellに100 μl加えて1時間静置し抗原固相化した。1% bovine serum albuminを300 μl加えてブロッキングした。100倍に希釈した血漿100 μlを添加し1時間反応させた。洗浄後、1 μg/mlのHRP標識抗ヒトIgG抗体を100 μl 添加し1時間反応させた。洗浄後、 2,2‘-azino-bis[3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonateを100 μl 添加し十分反応させた。ELISAリーダー (Model 680 Microplate Reader: Bio-Rad Laboratories Ltd., Tokyo, Japan) で、405 nmの吸光度を測定した。
88例において術後再発率と血漿中抗GluR4抗体価の関連を検討した。血漿中抗GluR4抗体価により、中央値(OD405nm:0.270)で低、高の2群に分けて検討した結果を、図19に示し、血漿中抗GluR4抗体価により、低(OD405nm < 0.237)、中(0.237 ≦ OD405nm < 0.345)、高値群(0.345 ≦ OD405nm)の3群に分けて検討した結果を、図20に示す。
92例において術後生存率と血漿中抗GluR4抗体価の関連を検討した。血漿中抗GluR4抗体価により、中央値(OD405nm:0.270)で低、高の2群に分けて検討した結果を、図21に示し、血漿中抗GluR4抗体価により、低(OD405nm < 0.237)、中(0.237 ≦ OD405nm < 0.345)、高値群(0.345 ≦ OD405nm)の3群に分けて検討した結果を図22に示す。
また本発明の肝癌治療剤は、AMPA型グルタミン酸受容体を阻害する物質を有効成分として含有するものであり、肝癌の新規分子標的薬を提供し得る。AMPA型グルタミン酸受容体を阻害することによる肝癌細胞の増殖抑制は、本来生体内に備わっていると考えられる生体防御機構に基づくものであることから、本発明の肝癌治療剤は生体にとって安全性が高い薬剤であり、有用である。医薬として世界で初めてAMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬が開発され、抗てんかん剤として2012年7月に欧州、10月に米国で承認され、現在てんかんを対象に日本でも治験が進行中である。本発明によれば、AMPA型受容体拮抗薬を含むAMPA型受容体を阻害する物質を肝癌治療剤として適用し得ることとなる。
Claims (7)
- 被検者の生体検体中の抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価を測定することを特徴とする、悪性腫瘍の検査方法。
- 悪性腫瘍の予後予測のための、請求項1に記載の検査方法。
- 生体検体が、血液である、請求項1又は2に記載の検査方法。
- 抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価が、抗GluR4抗体価である、請求項1〜3のいずれか1に記載の検査方法。
- 悪性腫瘍が、非小細胞肺癌である、請求項1〜4のいずれか1に記載の検査方法。
- 抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価を測定するための抗原を含む、悪性腫瘍検査用試薬。
- 抗AMPA型グルタミン酸受容体抗体価を測定するための抗原および免疫学的手法に必要な試薬を含む、悪性腫瘍検査用試薬キット。
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