JP6365779B2 - 酸解離定数の計算方法、及び計算装置、並びにプログラム - Google Patents

酸解離定数の計算方法、及び計算装置、並びにプログラム Download PDF

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Description

本件は、酸解離定数を計算する方法、酸解離定数を計算する装置、及び酸解離定数を計算するプログラムに関する。
pKaは酸解離の平衡状態(酸性度)を表す定数であり、生体分子内の化学反応で重要な、プロトン(H)の存在を決める指標などの用途に用いられる。そのため、pKaについて、様々な予測手法が検討されてきた。その手法は大きく分けて2種類ある。1つは、熱力学の理論に基づく手法(例えば、非特許文献1参照)である。もう一つは、物性値を変数とした関数で近似する手法である(例えば、非特許文献2及び3参照)。
前者の手法では、理論に則って計算することが可能になった。後者の手法では、基本的に高速な予測が可能となった。
しかし、熱力学の理論に基づく手法では、対象分子の周囲に配置する水分子の数や位置により大きく影響を受けるだけでなく、良い結果を得るためには、高精度な計算が必要である。その結果として、高速に予測することは未だ不可能である。そのため巨大分子や、大量データのスクリーニングへの適用は困難である。
また、物性値を変数とした関数で近似する手法では、高精度な予測を可能にするために、様々な物性値が検討されている。例えば、プロトンとして解離する水素原子(H)と、Hと直接結合する酸素原子(O)について、電荷やOH間の距離などを変数に用いる手法などがある。しかし、これらの変数では、対象分子の酸の種類等によって別の関数式が必要であり、しかも全ての関数式で高精度な結果を得ることはできていない。
そのため、新規に構築した分子などへの適用は困難である。
そこで、本発明者は、pKaの予測値に関し、巨大分子への適用、大量データのスクリーニング、新規に構築した分子などへの適用を可能とする技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−157020号公報
Junming Ho, Michelle L. Coote, "A universal approach for continuum solvent pKa calculations: are we there yet?", Theor Chem Acc, 2010, pp.3−21 Jahanbakhsh Ghasemi, Saadi Saaidpour, Steven D. Brown, "QSPR study for estimation of acidity constants of some aromatic acids derivatives using multiple linear regression (MLR) analysis", Journal of Molecular Structure, THEOCHEM, 2007, pp.27−32 Mario J. Citra, "ESTIMATING THE pKa OF PHENOLS, CARBOXYLIC ACIDS AND ALCOHOLS FROM SEMI−EMPIRICAL QUANTUM CHEMICAL METHODS", Chemosphere, 1999, Vol.38, No.1, pp.191−206
特許文献1の技術では、OHからのプロトン解離については、分子の種類に関わらず高精度な結果が得られる。しかし、アミンのプロトン解離の場合、pKa予測精度が低下する。
本件は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本件は、pKaの予測値に関し、巨大分子への適用、大量データのスクリーニング、新規に構築した分子などへの適用を可能し、更にはアミンの計算でも予測値の低下が生じない、酸解離定数の計算方法、酸解離定数の計算装置、及び酸解離定数を計算するプログラムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
開示の酸解離定数の計算方法は、コンピュータを用いた、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数を計算する酸解離定数の計算方法であって、
前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される指標数値と、
前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される係数数値と、
を用いた関数であり、かつ
前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基からの前記水素原子の解離を計算する場合、
前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度と、
前記窒素原子と前記水素原子との結合距離と、
前記計算対象分子の分子軌道エネルギーと、
を更に用いた関数を用いて、前記酸解離定数を計算する。
開示のプログラムは、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数の計算を実行させるプログラムであって、
前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される指標数値と、
前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される係数数値と、
を用いた関数であり、かつ
前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基からの前記水素原子の解離を計算する場合、
前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度と、
前記窒素原子と前記水素原子との結合距離と、
前記計算対象分子の分子軌道エネルギーと、
を更に用いた関数を用いて、前記酸解離定数の計算を実行させる。
開示の酸解離定数の計算装置は、記憶部を有し、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数を計算する酸解離定数の計算装置であって、
前記記憶部が、データとして、
前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される指標数値と、
前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される係数数値と、
を有し、
前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基からの前記水素原子の解離を計算する場合、
前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度と、
前記窒素原子と前記水素原子との結合距離と、
前記計算対象分子の分子軌道エネルギーと、
を更に有する。
開示の酸解離定数の計算方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、pKaの予測値に関し、巨大分子への適用、大量データのスクリーニング、新規に構築した分子などへの適用を可能し、更にはアミンの計算でも予測値の低下が生じない。
開示のプログラムによると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、pKaの予測値に関し、巨大分子への適用、大量データのスクリーニング、新規に構築した分子などへの適用を可能し、更にはアミンの計算でも予測値の低下が生じない。
開示の酸解離定数の計算装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、pKaの予測値に関し、巨大分子への適用、大量データのスクリーニング、新規に構築した分子などへの適用を可能し、更にはアミンの計算でも予測値の低下が生じない。
図1は、酸解離定数pKaを説明するための図である。 図2は、記憶部の一例を示す図である。 図3は、原子ペアを説明するための図である。 図4は、酸解離定数の計算方法の一例のフローチャートである。 図5Aは、酸解離定数の計算方法の一例における計算対象のアミン(プロトン化したアミン)である。 図5Bは、酸解離定数の計算方法の一例における計算対象のアミン(脱プロトン後のアミン)である。 図6は、開示の酸解離定数の計算装置の構成例である。 図7は、開示の酸解離定数の計算装置の他の構成例である。 図8は、開示の酸解離定数の計算装置の他の構成例である。 図9は、実施例1の結果を示すグラフである。 図10は、比較例1の結果を示すグラフである。 図11は、比較例2の結果を示すグラフである。
先ず、関連技術としての、酸解離定数pKaの予測方法について説明する。
図1は、酸解離定数pKaを説明するための図である。図1に示すように、pKaは、酸解離の平衡状態を表す定数であり、下記数式(1)、及び平衡式(1)で表される。
ここで、前記数式(1)、及び前記平衡式(1)中、AHは酸を表し、AはAHの共役塩基を表し、Hはプロトンを表す。
pKaは、生体分子内の化学反応で重要なプロトン(H)の存在を決める指標となる。
本発明者は、以前、pKaの予測値に関し、巨大分子への適用、大量データのスクリーニング、新規に構築した分子などへの適用を可能とする技術を提案している(特開2014−157020号公報参照)。この提案の技術では、分子の酸解離定数pKaについて、原子間結合の電子密度に基づく指標を用いることで、酸素酸におけるOHからのプロトン解離については、分子の種類に関わらず、高速かつ高精度にpKaを予測可能としている。
しかし、本発明者は、更に検討を重ねた結果、前述の技術では、アミンのプロトン解離の場合、pKa予測精度が低下することを見出した。
本発明者は、その原因について検討を行った結果、(1)アミンのプロトン解離前後における立体障害の変化による反応性の変化、及び(2)アミンのプロトン解離前後における電子構造の共鳴安定化の変化による反応性の変化、が影響して、pKa予測精度が低下していることを見出した。
以上を踏まえ、本発明者は検討を重ねて、以下の開示の技術に至った。
(酸解離定数の計算方法、酸解離定数の計算装置、及びプログラム)
開示の酸解離定数の計算方法は、コンピュータを用いて行われる。
前記酸解離定数の計算方法は、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数を計算する。
前記計算対象分子としては、例えば、酸素酸、アミンなどが挙げられる。
前記酸解離定数の計算方法では、酸素酸、1級アミンのみならず、2級アミン、3級アミン、芳香族アミンなどでも、高速かつ高精度の計算が可能である。
開示のプログラムは、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数の計算を実行させるプログラムである。
前記酸解離定数の計算方法においては、関数を用いて、前記酸解離定数を計算する。
前記プログラムにおいては、関数を用いて、前記酸解離定数の計算を実行させる。
前記関数は、指標数値と、係数数値とを用いる。
前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される。
前記係数数値は、前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される。
前記酸解離定数の計算方法が、前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基における前記水素原子の解離を計算する場合、前記関数は、更に、電子密度と、結合距離と、分子軌道エネルギーとを用いる。
前記電子密度は、前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度〔以下、「電子密度(DNfree)」と称することがある。〕である。
前記結合距離は、前記窒素原子と前記水素原子との結合距離である。
前記分子軌道エネルギーは、前記計算対象分子の分子軌道エネルギーである。
ここで、本明細書において、酸解離定数の計算対象となる水素原子を「ターゲットプロトン」と称することがある。前記1つのアミノ基における前記水素原子は、ターゲットプロトンに該当する。
前記酸解離定数の計算装置は、記憶部を有する。
前記記憶部は、以下のデータを有する。
・前記指標数値
・前記係数数値
また、前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基における前記水素原子の解離を計算する場合、更に、前記記憶部は、更に以下のデータを有する。
・前記電子密度(DNfree
・前記結合距離
・前記分子軌道エネルギー
ここで、前記記憶部の一例を図2に示す。
図2に示す記憶部は、以下のデータを有する。この記憶部のデータは、アミンのアミノ基の酸解離定数を計算する際のデータである。
・分子構造データ
・分子の電子密度(Dall
・電子密度(DNfree
・結合指標含有データ(BD)
・結合指標グループ含有データ(GD)
・分子軌道エネルギー
・QSPR係数データ
・pKaデータ
結合指標含有データ(BD)は、以下のデータを有する。
・指標数値データ(B)
・原子ペア識別番号(N)
・結合指標グループ識別番号(G)
・フラグ(F)
結合指標グループ含有データ(GD)は、以下のデータを有する。
・結合指標グループ識別番号(G)
・係数数値データ(C)
・指標数値データ(B)
なお、QSPRとは、定量的構造物性相関の略号であり、QSPR係数データとは、QSPRにおいて構造を表現する数量の寄与する度合いを決めるために、該数量にかかる係数である。
その他の個々のデータについては、以下において説明する。
前記酸解離定数の計算方法が、前記関数の変数として、前記電子密度(DNfree)と、前記結合距離と、前記分子軌道エネルギーとを用いることで、特開2014−157020号公報の技術と比べて、酸素酸の酸解離定数の計算精度は維持したままで、アミンの酸解離定数の計算精度を高くすることができる。
<指標数値>
前記指標数値は、前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される。
前記指標数値(Bab)は、例えば、前記2つの原子(a,b)の間の電子密度行列(Dij)から決定される。その数式は、例えば、以下の数式(2)で表される。
なお、以下において、前記2つの原子の組を、「原子ペア」と称することがある。
また、データ構造を説明する際には、指標数値を「指標数値データ(B)」と称することがある。
前記電子密度行列(Dij)は、前記計算対象分子全体の電子密度を求めることで得られる。
前記指標数値は、前記計算対象分子の任意に選択した2つの原子の組(原子ペア)全てに対して設定されてもよいが、計算精度を低下させずに、計算速度を早くする点から、以下の原子ペアに対して設定されることが好ましい。
・前記水素原子と、前記水素原子と直接結合する第1原子との組
・前記第1原子と、前記第1原子と直接結合する第2原子(ただし、前記水素原子を除く。)との組
・前記水素原子と、前記第2原子との組
ここで、図3を用いて、上記原子ペアについて説明する。
・ターゲットプロトン<H>と、前記ターゲットプロトン<H>と直接結合する原子<X>との組。即ち、ターゲットプロトン<H>と、原子<X>との組(ペア種別PT1)。
・前記ターゲットプロトン<H>と直接結合する原子<X>と、前記原子<X>と直接結合する、前記ターゲットプロトン<H>以外の原子<Y>との組。即ち、原子<X>と、原子<Y>との組(ペア種別PT2)。
・前記ターゲットプロトン<H>と、前記原子<X>と直接結合する、前記ターゲットプロトン<H>以外の原子<Y>との組。即ち、ターゲットプロトン<H>と、原子<Y>との組(ペア種別PT3)。
なお、原子<X>(第1原子)は、ターゲットプロトン<H>と直接結合する原子である。例えば、前記計算対象分子が、酸素酸の場合、Xは、酸素原子(O)となり、アミンの場合、Xは、窒素原子(N)となる。
また、原子<Y>(第2原子)は、前記原子<X>と直接結合する原子であり、かつ、ターゲットプロトン<H>以外の原子である。
以上のように、前記指標数値を決定する際には、ターゲットプロトン、前記ターゲットプロトンに直接結合する原子(第1原子)、前記原子に直接結合する原子(第2原子)に着目して、これらの中から2つの原子の組(原子ペア)を選択して、計算に用いることにより、より高速な計算が可能となる。
前記計算対象分子の電子密度は、例えば、分子軌道計算により求めることができる。前記分子軌道計算としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子軌道法による分子軌道計算が挙げられる。前記分子軌道計算としては、例えば、非経験的分子軌道計算(ab initio分子軌道計算)、半経験的分子軌道計算などが挙げられる。
前記非経験的分子軌道計算の方法論としては、例えば、ハートリー−フォック法、電子相関法などが挙げられる。
前記半経験的分子軌道計算の方法論としては、例えば、CNDO、INDO、AM1、PM3などが挙げられる。
前記非経験的分子軌道計算のプログラムとしては、例えば、Gaussian03、GAMESS、ABINIT−MP、Protein DFなどが挙げられる。
前記半経験的分子軌道計算のプログラムとしては、例えば、MOPACなどが挙げられる。
<係数数値>
前記係数数値は、前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される。
前記係数数値は、前記指標数値の重み付けに使用される数値である。
前記係数数値は、例えば、予備的なpKaの計算に基づいて決定される。
以下では、係数数値を係数数値データ(C)と称し、指標数値を指標数値データ(B)と称することがある。
前記関数においては、前記指標数値と前記係数数値との積が用いられることが好ましい。即ち、前記指標数値は、前記係数数値を用いて重み付けされることが好ましい。
前記酸解離定数の計算装置は、前記記憶部の前記データを用いて酸解離定数を計算する計算部を更に有し、前記計算部において、前記指標数値と前記係数数値との積が計算されることが好ましい。
前記係数数値は、以下の組にそれぞれ設定されることが好ましい。
・前記水素原子と、前記第1原子との1つの組
・前記第1原子と、前記第2原子との組であって、前記第2原子の元素の種類の数だけある組
・前記水素原子と、前記第2原子との組であって、前記第2原子の元素の種類の数だけある組
例えば、前記2つの原子の組(原子ペア)を、前記原子ペアを構成する元素の種類に基づいてグループ化する。そして、各グループに対してそれぞれの係数数値を設定する。
前記グループ化は、例えば、以下のように行われる。
ターゲットプロトンと、前記ターゲットプロトンに直接結合する原子との組は、単独で1つのグループを構成する。即ち、前記ペア種別PT1は、それ単独で、1つのグループを構成する。
前記ペア種別PT2は、Yの元素の種類の分だけグループ化する。
前記ペア種別PT3は、Yの元素の種類の分だけグループ化する。
なお、以下において、係数数値を設定する際の1つのグループにおける原子の組を「元素ペア」と称することがある。
前記記憶部は、例えば、計算に使用される原子ペアそれぞれに対して、結合指標含有データ(BD)を有する。
前記結合指標含有データ(BD)のぞれぞれは、原子ペアに応じた以下のデータを有する。
・原子ペア毎に設定される指標数値データ(B)
・原子ペアを識別するために原子ペア毎に付与される原子ペア識別番号(N)(原子ペア毎に異なる番号となる)
・原子ペアを構成する元素の種類に基づいてまとめられたグループを識別するために、グループ毎に付与される結合指標グループ識別番号(G)(グループ毎に異なる番号となる)
・原子ペアを区別するためのフラグ(F)
前記記憶部は、例えば、前記グループ毎に結合指標グループ含有データ(GD)を有する。
前記結合指標グループ含有データ(GD)のそれぞれは、グループに応じた以下のデータを有する。
・結合指標グループ識別番号(G)(グループ毎に異なる番号となる)
・元素ペア毎に設定される係数数値データ(C)
・グループに属する原子ペアに対応する指標数値データ(B)
結合指標含有データ(BD)及び結合指標グループ含有データ(GD)をデータ構造として有することにより、より高速な計算が可能となる。
前記係数数値による前記指標数値の重み付けは、例えば、以下のとおりである。
・結合指標グループ識別番号(G)に属する結合指標グループ含有データ(GD)を、以下のように表す。
GD[G]
・結合指標グループ識別番号(G)に属する結合指標グループ含有データ(GD)の指標数値データ(B)を、以下のように表す。
GD[G]→B
・原子ペア識別番号(N)に属する結合指標含有データ(BD)を、以下のように表す。
BD[N]
・BD[N]の指標数値データ(B)を、以下のように表す。
BD[N]→B
・BD[N]のフラグ(F)を、以下のように表す。
BD[N]→F
・BD[N]が属する結合指標グループ識別番号(G)を、以下のように表す。
BD[N]→G
・結合指標グループ識別番号(G)に属する係数数値データ(C)を、以下のように表す。
GD[G]→C
・結合指標グループ含有データ(GD)の指標数値データ(B)は、以下のように決定される。
そして、係数数値データ(C)による指標数値データ(B)の重み付けは、以下のように表される。
GD[G]→C*GD[G]→B
前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基における前記水素原子の解離を計算する場合、更に、以下の第2電子密度〔電子密度(DNfree)〕と、結合距離と、分子軌道エネルギーとが、前記関数に用いられる。
前記関数においては、前記第2電子密度と、前記結合距離と、前記分子軌道エネルギーとが、線型結合されることが好ましい。
前記酸解離定数の計算装置においては、前記計算部において、前記第2電子密度と、前記結合距離と、前記分子軌道エネルギーとが、線型結合されることが好ましい。
<第2電子密度〔電子密度(DNfree)〕>
前記第2電子密度は、前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない電子密度(DNfree)である。
前記電子密度(DNfree)は、例えば、以下のようにして得られる。
前記計算対象分子全体の電子密度(Dall)を求める。次に、得られた電子密度(Dall)から、ターゲットプロトンと直接結合する窒素原子が関わる要素を抽出する。次に、抽出された前記要素から、前記窒素原子と他の原子との結合に関連する要素を除去する。そうすることにより、前記電子密度(DNfree)が得られる。
ここで、DNfreeは、例えば、以下の数式(3)を用いて求めることができる。
ここで、前記数式(3)中、Dijは、電子密度(Dall)のうち、ターゲットプロトンと直接結合する窒素原子が関わる要素(電子密度行列)を表す。i、及びjは、それぞれ電子密度行列における行成分、及び列成分を表す。Bは、指標数値を表し、Xは、窒素原子(N)と結合する他の原子を表す。
<結合距離>
前記結合距離は、前記窒素原子と前記水素原子(ターゲットプロトン)との結合距離(R)である。
前記結合距離は、例えば、分子軌道計算により、求めることができる。
<分子軌道エネルギー>
前記分子軌道エネルギー(Emo)における分子軌道としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アミンの反応性との関係が大きい点で、最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital)、最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が好ましい。
前記分子軌道エネルギーの計算方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、量子力学(QM)計算などが挙げられる。前記量子力学計算としては、例えば、分子軌道法による分子軌道計算が挙げられる。前記分子軌道計算としては、例えば、非経験的分子軌道計算(ab initio分子軌道計算)、半経験的分子軌道計算などが挙げられる。各計算方法の方法論、プログラムとしては、例えば、前述した方法論、プログラムなどが挙げられる。
<その他>
前記酸解離定数の計算方法においては、更に、前記計算対象分子の生成熱、前記計算対象分子からターゲットプロトンが脱離してなる分子(以下、「プロトン脱離分子」と称することがある。)の生成熱、前記プロトン脱離分子の電子密度(DNfree)、及び前記プロトン脱離分子の分子軌道エネルギーの少なくともいずれかを用いることが、計算精度がより高くなる点で好ましい。
これらのパラメータにおいては、適宜設定した係数で重み付けすることが好ましい。
前記酸解離定数を計算する際の前記関数としては、例えば、以下の関数が挙げられる。
以下の関数においては、それぞれの係数で重み付けした前記結合距離(R)、前記分子軌道エネルギー(Emo)、及び前記電子密度(DNfree)が、線型結合されている。
ここで、aは、係数数値を表す。
図4に、酸解離定数の計算方法の一例のフローチャートを示す。
このフローチャートに従った計算方法について以下に説明する。このフローチャートでは、計算対象分子としてプロトン化したアミンを用いている。
まず、QSPR係数をセットする。
次に、プロトン化したアミンの初期構造をセットする。
次に、前記プロトン化したアミンの構造の最適化を行う。構造の最適化は、一般的な構造最適化計算方法に従って行う。前記初期構造では、結合長、結合角、二面角などが化学的に不自然な場合が多い。そこで、構造最適化計算を行って、分子の構造歪みを解消する。前記構造最適化計算は、例えば、一般的な分子軌道計算プログラムを用いて行うことができる。
次に、分子軌道計算(MO)を行い、分子の電子状態を評価し、以下の項目を算出する。
・原子ペア毎の指標数値(B)
・電子密度(DNfree
・分子軌道エネルギー(EMO)(例えば、LUMO)
・結合距離(R)
次に、係数数値(C)を用いて、指標数値(B)の重み付けを行う。
・(GD[G]→C*GD[G]→B)
次に、QSPR法を用いてpKaを計算する。
以下に、前記酸解離定数の計算方法の一例について、説明する。
この一例では、図5Aに示すアミンのpKaを計算する。アミン中に同じ元素が複数ある場合、各原子には、番号を付した。このアミンはプロトン化したアミンである。
<O>
準備段階として、以下の対象について、係数数値を設定する。
・元素ペア
・ターゲットプロトン<H1>と窒素原子<N1>との結合距離(R)
・窒素原子<N1>における、窒素原子<N1>と他の原子との結合に関係しない電子密度(Q)
・前記アミンの分子軌道エネルギー
・プロトン解離前後の生成熱
<I>
前記アミンの分子軌道計算を実施する。
<II>
前記アミンについて、結合指標グループ含有データ(GD)、及び結合指標含有データ(BD)を生成する。具体的には以下の<<II−1>>〜<<II−5>>の処理を行う。
<<II−1>>
結合指標含有データ(BD)の原子ペア識別番号(N)は、ターゲットプロトン<H1>と他の原子とのペア毎に異なる番号となるように設定される。同様に、ターゲットプロトン<H1>に直接結合する窒素原子<N1>と、他の原子とのペアについても、ペア毎に異なる番号になるように設定する。原子ペア識別番号(N)により結合指標含有データ(BD)は、原子ペア毎に区別できる。
前記アミンの原子ベア識別番号(N)は、以下のように設定される。
・N1−C:1
・N1−H1:2
・N1−H2:3
・N1−H3:4
・N1−N2:5
・H1−C:6
・H1−H2:7
・H1−H3:8
・H1−N2:9
<<II−2>>
結合指標グループ含有データ(GD)の結合指標グループ識別番号(G)、及び結合指標含有データ(BD)の結合指標グループ識別番号(G)は、原子ペア識別番号(N)で区別された原子ペアをグループとして設定する。その際、原子ペア識別番号(N)で区別された複数の原子ペアにおいて、原子ペア間を対比して、原子ペアを構成する元素が同じ元素であれば、同じグループに設定する。ただし、ターゲットプロトン<H1>と、それに直接結合する窒素原子<N1>との原子ペアについては、他の窒素原子や水素原子のペアとは異なる、独立したグループに設定する。
この結合指標グループ識別番号(G)により、結合指標グループ含有データ(GD)は原子ペアのグループ毎に区別できる。また、この結合指標グループ識別番号(G)は、結合指標含有データ(BD)のデータ構造体の中でBD[N]→Gと設定され、BDとGD[G]とを関連づけることができる。これにより計算速度が向上する。
前記アミンの結合指標グループ識別番号(G)は、以下のように設定される。
・N1−H1:1
・N1−H:2
・N1−C:3
・N1−N:4
・H1−H:5
・H1−C:6
・H1−N:7
<<II−3>>
前記アミンの分子軌道計算結果の電子密度に基づいて指標数値データ(B)を得る。そして、得られた各指標数値データ(B)を各BD[N]に設定する(BD[N]→B)。
・BD[1]→B=BN1−C
・BD[2]→B=BN1−H1
・BD[3]→B=BN1−H2
・BD[4]→B=BN1−H3
・BD[5]→B=BN1−N2
・BD[6]→B=BH1−C
・BD[7]→B=BH1−H2
・BD[8]→B=BH1−H3
・BD[9]→B=BH1−N2
ここで、BD[N]→Gは、以下のようになる。
・BD[1]→G=3
・BD[2]→G=1
・BD[3,4]→G=2
・BD[5]→G=4
・BD[6]→G=6
・BD[7,8]→G=5
・BD[9]→G=7
また、原子ペアのフラグ(F)を、各BD[N]に設定する(BD[N]→F)。フラグにより、ターゲットプロトン<H1>及び窒素原子<N1>の原子ペアと、その他の原子ペアとを区別できる。
・BD[1,3,4,5,6,7,8,9]→F=2
・BD[2]→F=1
<<II−4>>
BD[N]→Bについて、原子ペアのグループ毎に和を取り、GD[G]→Bを設定する。
・GD[1]→B=BD[2]→B
・GD[2]→B=BD[3]→B + BD[4]→B
・GD[3]→B=BD[1]→B
・GD[4]→B=BD[5]→B
・GD[5]→B=BD[7]→B + BD[8]→B
・GD[6]→B=BD[6]→B
・GD[7]→B=BD[9]→B
<<II−5>>
設定済の元素ペアに対する係数数値データ(C)を、原子ペアのGD[G]→Cに設定する。
<III>
指標数値データ(B)について、係数数値データ(C)による重み付けを行う。
・GD[G]→B*GD[G]→C
<IV>
ターゲットプロトン<H1>と窒素原子<N1>との結合距離(R)を、結合距離(R)に対する係数Cで重み付けする。
・R*C
<V>
窒素原子と他の原子との結合に関係しない電子密度(Q1N1)を、前記電子密度に対する係数(C1N1)で重み付けする。
・Q1N1*C1N1
<VI>
最低空軌道の分子軌道エネルギー(ELUMO1)を、分子軌道エネルギーに対する係数(CLUMO1)で重み付けする。
・ELUMO1*CLUMO1
<VII>
必要に応じて、他のデータにも重み付けを行う。
前記アミンの生成熱(EHoF1)を、生成熱に対する係数(CHoF1)で重み付けする。
・EHoF1*CHoF1
前記アミンの脱プロトン後の分子(図5B、分子2)について、窒素原子<N1>における、窒素原子<N1>と、他の原子との結合に関係しない電子密度(Q2N1)を、電子密度に対する係数(C2N1)で重み付けする。
・Q2N1*C2N1
前記分子2について、最高被占軌道の分子軌道エネルギー(EHOMO2)を、分子軌道エネルギーに対する係数(CHOMO2)で重み付けする。
・EHOMO2*CHOMO2
前記分子2の生成熱(EHoF2)を、生成熱に対する係数(CHoF2)で重み付けする。
・EHoF2*CHoF2
<VIII>
上記のデータを用いて、pKa値を計算する。
ここで、<I>〜<VI>のデータを用いる場合の数式を、下記数式(4)に示す。
また、更に<VII>のデータを追加した数式を以下に示す。以下の数式(5)では、プロトン解離後の分子の電子密度(Q2N1)、及び分子軌道エネルギー、並びにプロトン解離前後の分子の生成熱を考慮しているため、計算精度が更に高くなる。
ここで、両式において、Cは、QSPRの式における定数項を表す。
図6に、開示の酸解離定数の計算装置の構成例を示す。
酸解離定数の計算装置10は、例えば、CPU11(計算部)、メモリ12、記憶部13、表示部14、入力部15、出力部16、I/Oインターフェース部17等がシステムバス18を介して接続されて構成される。
CPU(Central Processing Unit)11は、演算(四則演算、比較演算等)、ハードウエア及びソフトウエアの動作制御などを行う。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのメモリである。前記RAMは、前記ROM及び記憶部13から読み出されたOS(Operating System)及びアプリケーションプログラムなどを記憶し、CPU11の主メモリ及びワークエリアとして機能する。
記憶部13は、各種プログラム及びデータを記憶する装置であり、例えば、ハードディスクである。記憶部13には、CPU11が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OSなどが格納される。
前記プログラムは、記憶部13に格納され、メモリ12のRAM(主メモリ)にロードされ、CPU11により実行される。
表示部14は、表示装置であり、例えば、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置である。
入力部15は、各種データの入力装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス等)などである。
出力部16は、各種データの出力装置であり、例えば、プリンタである。
I/Oインターフェース部17は、各種の外部装置を接続するためのインターフェースである。例えば、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、USBメモリなどのデータの入出力を可能にする。
図7に、開示の酸解離定数の計算装置の他の構成例を示す。
図7の構成例は、クラウド型の構成例であり、CPU11が、記憶部13等とは独立している。この構成例では、ネットワークインターフェース部19、20を介して、記憶部13等を格納するコンピュータ30と、CPU11を格納するコンピュータ40とが接続される。
ネットワークインターフェース部19、20は、インターネットを利用して、通信を行うハードウエアである。
図8に、開示の酸解離定数の計算装置の他の構成例を示す。
図8の構成例は、クラウド型の構成例であり、記憶部13が、CPU11等とは独立している。この構成例では、ネットワークインターフェース部19、20を介して、CPU11等を格納するコンピュータ30と、記憶部13を格納するコンピュータ40とが接続される。
以下、開示の技術について説明するが、開示の技術は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1、比較例1、比較例2)
以下の実施例、及び比較例では、pKaの実測値が既知の分子133種類について、pKa予測値を求めた。そして、実測値と、予測値との相関を確認した。
<実施例1>
開示の技術を用いて、pKa予測値を求めた。そして、実測値と、予測値との相関を確認した。結果を表2及び図9に示した。
なお、予測値の計算には、富士通株式会社製のFUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用い、RM1法(半経験的分子軌道方法)で計算した計算値を使用した。
予測値の計算は、前記数式(4)を用いた。
<比較例1>
pKa予測精度が高いと言われているChemAxon社製のmarvin Sketchを用いて、pKa予測値を求めた。そして、実測値と、予測値との相関を確認した。結果を表2及び図10に示した。
<比較例2>
特開2014−157020号公報に開示の技術を用いて、pKa予測値を求めた。そして、実測値と、予測値との相関を確認した。結果を表2及び図11に示した。
なお、予測値の計算には、富士通株式会社製のFUJITSU Technical Computing Solution SCIGRESSを用い、RM1法(半経験的分子軌道方法)で計算した計算値を使用した。
実施例1、比較例1、及び比較例2のpKa予測計算に用いた133種類の分子を表1−1〜表1−23に示す。
表2からも確認できるように、実施例1は、比較例1及び2と比べてアミンにおいても高精度の予測が可能であることが確認できた。
なお、開示の技術は、酸素酸においても比較例2と同等の高精度予測が可能である。
10 酸解離定数の計算装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶部
14 表示部
15 入力部
16 出力部
17 I/Oインターフェース部
18 システムバス
19 ネットワークインターフェース部
20 ネットワークインターフェース部
30 コンピュータ
40 コンピュータ

Claims (8)

  1. コンピュータを用いた、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数を計算する酸解離定数の計算方法であって、
    前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される指標数値と、
    前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される係数数値と、
    を用いた関数であり、かつ
    前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基からの前記水素原子の解離を計算する場合、
    前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度と、
    前記窒素原子と前記水素原子との結合距離と、
    前記計算対象分子の分子軌道エネルギーと、
    を更に用いた関数を用いて、前記酸解離定数を計算することを特徴とする酸解離定数の計算方法。
  2. 前記指標数値が設定される前記2つの原子の組が、
    前記水素原子と、前記水素原子と直接結合する第1原子との組と、
    前記第1原子と、前記第1原子と直接結合する第2原子(ただし、前記水素原子を除く。)との組と、
    前記水素原子と、前記第2原子との組と、
    である請求項1に記載の酸解離定数の計算方法。
  3. 前記係数数値が、
    前記水素原子と、前記第1原子との1つの組と、
    前記第1原子と、前記第2原子との組であって、前記第2原子の元素の種類の数だけある組と、
    前記水素原子と、前記第2原子との組であって、前記第2原子の元素の種類の数だけある組と、
    にそれぞれ設定される請求項2に記載の酸解離定数の計算方法。
  4. 前記関数において、前記指標数値と前記係数数値との積が用いられる請求項1から3のいずれかに記載の酸解離定数の計算方法。
  5. 前記関数において、前記第2電子密度と、前記結合距離と、前記分子軌道エネルギーとが、線型結合されている請求項1から4のいずれかに記載の酸解離定数の計算方法。
  6. 前記分子軌道エネルギーが、前記計算対象分子の最高被占軌道のエネルギー及び最低空軌道のエネルギーのいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の酸解離定数の計算方法。
  7. 計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数の計算を実行させるプログラムであって、
    前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される指標数値と、
    前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される係数数値と、
    を用いた関数であり、かつ
    前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基からの前記水素原子の解離を計算する場合、
    前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度と、
    前記窒素原子と前記水素原子との結合距離と、
    前記計算対象分子の分子軌道エネルギーと、
    を更に用いた関数を用いて、前記酸解離定数の計算を実行させることを特徴とするプログラム。
  8. 記憶部を有し、計算対象分子からの水素原子の解離における酸解離定数を計算する酸解離定数の計算装置であって、
    前記記憶部が、データとして、
    前記計算対象分子の2つの原子の間の電子密度に基づいて決定される指標数値と、
    前記2つの原子の組の2つの元素の種類に基づいて決定される係数数値と、
    を有し、
    前記計算対象分子が少なくとも1つのアミノ基を有し、前記少なくとも1つのアミノ基中の1つのアミノ基からの前記水素原子の解離を計算する場合、
    前記1つのアミノ基の窒素原子における、前記窒素原子と他の原子との結合に関係しない第2電子密度と、
    前記窒素原子と前記水素原子との結合距離と、
    前記計算対象分子の分子軌道エネルギーと、
    を更に有することを特徴とする酸解離定数の計算装置。
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