JP6363956B2 - 細胞および組成物の調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬、輸血、および移植における診断用途および治療的用途のために、インビトロで成人赤血球を調製する方法に関連する。本発明はまた、その方法によって調製されたそのような細胞を含む血液組成物を提供する。
全血由来の赤血球(red blood cell)(RBC)または赤血球(erythrocyte)は、貧血のための救命治療として、および輸血のための適合血液の選択を可能にするために、患者血清に存在する同種抗体の特異性を検出および決定するための試薬として、医薬、輸血、および手術において広範囲に使用されている。現在、成人赤血球の主な供給源は、それらを成人血液ドナーによって提供された全血から単離することである。現在、特に珍しい血液型表現型を有する、およびより一般的に、患者の必要量が提供によって入手可能な血液を超える場合に、輸血のための血液の入手不足をカバーするために、成人表現型の培養細胞の代替供給の必要性が存在する。
全ての赤血球は、主な成分としてヘモグロビンを有する。ヘモグロビンは、呼吸のために必須である酸素運搬タンパク質である。ヘモグロビンA、ヘモグロビンA2、およびヘモグロビンFを含む、ほとんどの型の通常ヘモグロビンは、4つのタンパク質サブユニットおよび4つのヘム補欠分子族から構成されるテトラマーである。成人ヘモグロビン(HbA)は、2つのアルファサブユニットおよび2つのベータサブユニットから構成されるが、胎児ヘモグロビン(HbF)は、2つのアルファサブユニットおよび2つのガンマサブユニットから構成され、通常α2γ2と示す。胎児ヘモグロビンにおけるその存在のために、ガンマサブユニットは通常「胎児」ヘモグロビンサブユニットと呼ばれる。
胎児から成人ヘモグロビンへの移行は、誕生後最初の4〜6ヶ月の間に起こる。HbFは、HbAよりも高い酸素親和性を有し、そしてそのことは母親から胎児への酸素の移動を促進するので、この性質は子宮内の胎児に有利である。しかし、HbF由来の酸素は、組織へより放出されにくいので、この性質は、成人においては最適でない。
第11染色体上のヒトβ−グロビン遺伝子座は、胚性(ε)、胎児(GγおよびAγ)、および成人(β)グロビン遺伝子を含み、それらは発生の間逐次発現する。その遺伝子座の上流の、遺伝子座調節領域(LCR)として公知である、シス調節エレメントが、グロビン遺伝子の高レベル発現のために必須である[1−4]。LCRとグロビン遺伝子との相互作用は、長い範囲の相互作用、および活発に発現するグロビン遺伝子のプロモーターをLCRと空間的に近くする染色体ループ形成によって達成される[5]。LCRは1度に1つの遺伝子だけをアップレギュレートし、グロビン遺伝子はお互いに、LCRとの相互作用に関して競合する、相互作用の1つの決定因子は、LCRから相対的な遺伝子距離である[6]。成人細胞において、胎児βグロビン遺伝子からより遠いβグロビン遺伝子への最終的なスイッチングは、胎児遺伝子のアクティブサイレンシングによって達成される[7−9]。この胎児グロビンから成人グロビンへのスイッチングは、その臨床的な重要性のために集中的な研究の対象となっており、そして現在まで成人細胞における反応性γ−グロビンの発現が、鎌状赤血球症およびβ−サラセミアのような異常β−ヘモグロビン症の重症度を寛解させる治療に、多くの仕事が焦点をあわせた。しかし、そのスイッチングを調節する分子メカニズムは、解明にはほど遠い。
輸血目的のためのインビトロにおけるRBCの生成は、感染性因子のリスクが低い輸血製品の補充可能な供給を提供する可能性、ならびに複雑な同種免疫問題および珍しい血液型の製品の入手可能性を解決する可能性を有するので、そのような技術は、世界的に公共医療の大きな目的である。近年、インビトロで赤血球を生成するためのシステムの開発における進歩は、末梢血、臍帯血、およびヒト多能性幹細胞(胚性幹細胞(ESC)、および人工多能性幹細胞(iPSC))から単離された前駆細胞を用いて、急速に進歩した。
全ての前駆細胞供給源由来の細胞を、赤血球経路に分化するように効率的に誘導し得る。しかし、臍帯血から単離された前駆細胞は、末梢血から単離されたものよりもより高い増幅能力という明確な利点を有する[10]。ESCおよびiPSCは、大きな体積のRBCを生成するための前駆細胞の無尽蔵の供給源を提供する可能性、ならびに輸血目的のための同種および珍しい血液型製品の革新的な開発を促進する可能性を有する[11、12]。しかし、臍帯血、ESCおよびiPSCは、魅力的および現実的な治療可能性を提供するが、依然として未解決の1つのハードルは、γグロビン発現からβグロビン発現へのスイッチングを受ける赤芽球の分化の失敗であり、胎児グロビンを主に、またはそれのみを発現する赤血球を生じる。
末梢血由来の赤血球前駆細胞の限られた増殖能力は、インビトロ培養法によって得ることができる赤血球の数を制限し、そしてこの供給源から治療的な量の赤血球を産生する経済的実行可能性に大きな影響を与える。ドナーから得られる従来の赤血球製品は、異なる年齢の赤血球の混合物を含む。対照的に、培養赤血球は、全て発生期のものであり、そしておそらく末梢循環において同じ長期間生存する。規則的な輸血を必要とする患者(例えば鎌状赤血球症、サラセミア、骨髄異形成症候群を有する患者)は、反復する輸血による鉄の過負荷の結果として、臓器の損傷を患う。培養赤血球のインビボにおける寿命の増加のために、このタイプの患者に必要な輸血回数が減少し、そして従って鉄の過負荷の問題が改善されることが予期され得る。インビトロで生成された赤血球を用いることによって、ウイルス混入およびプリオンの存在のような、ドナー血液に関連するリスクを回避し得る。
WO2007/095064は、ヒト胚性幹細胞から得られた赤血球細胞を開示し、それは培地で30日間培養された場合、PCRによって決定されるように、成人および胎児ヘモグロビンをどちらも内因的に発現する。
国際公開第2007/095064号
本発明は、この分野における困難のいくつかに取り組もうとする。
本発明によって、供給源から幹細胞または細胞系を得る工程、その細胞を規定の培地中で培養する工程、および当該細胞をインビトロにおいて1つまたはそれより多くの転写因子で改変して胎児グロビンを成人グロビンに変換する工程を含む、成人赤血球を調製する方法が提供される。
その方法は、成人β−グロビンの発現を増加させ得るかもしくは誘導し得る、および/または胎児γ−グロビンの発現を抑制し得る。
その得られる細胞は、胎児ヘモグロビンを発現し得る。
その方法はさらに、胎児表現型から成人表現型への細胞の変換を含み得る。
その方法は、細胞の除核の追加工程を有し得、ここでその細胞は人工多能性幹細胞(iPSC)またはESC細胞由来である。
その供給源から選択または単離された細胞は、表面抗原CD34を発現し得る。その細胞を、1つまたはそれより多くの転写因子を発現するよう改変し得る。
その転写因子を、BCL11A、BCL11Aの他のアイソフォーム、EKLF、タギング形態のEKLF、GATA1、FOG1、SCL、SOX6およびそのあらゆるバリアントから選択し得る。その細胞を、臍帯血、人工多能性幹細胞、赤血球幹細胞(erythropoetic stem cell)、または赤血球生成(erythropoetic)細胞系から得ることができる。
1つの実施態様において、BCL11AおよびEKLFの組み合わせを使用して、臍帯血由来細胞において胎児グロビンを成人グロビンへ変換する。
その細胞培養および改変を、インビトロで行い得る。
その培養培地は、血清、ウシ胎仔血清、インスリン、ヘパリン、トランスフェリンのうちの少なくとも1つを含む。その培地にさらに、SCF、EPO(エリスロポエチン)、または鉄飽和トランスフェリンのうちの少なくとも1つを補充し得る。
本発明のさらなる局面において、本方法によって調製した赤血球が提供される。
本発明の別の局面によれば、成人表現型を有し、除核され、かつ未改変の細胞と比較して増加したβ−グロビン発現を有するようにインビトロで改変された培養幹細胞から構成される、成人表現型を有する赤血球が提供される。
その赤血球はさらに、未改変細胞と比較して減少したγ−グロビン発現を有し得る。
その培養幹細胞を、転写因子BCL11AおよびEKLFまたはその任意のバリアントでコトランスフェクトすることによって改変し得る。
本発明はさらに、本明細書中で記載されたように調製された赤血球、および薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む組成物を提供する。
本発明による赤血球を備える輸血パックも調製され得る。
その転写因子を、BCL11A、(BCL11A−XLおよび他のアイソフォーム)、EKLF、またはHA−EKLFのような改変またはタグ化バージョン、およびβ−グロビンの発現を増加させる、および/またはγ−グロビンの発現を抑制するという望ましい効果を有するその任意のバリアントから選択し得る。グロビンのスイッチングおよび赤血球成熟に関与する他の転写因子をまた、単独で、または例えばGATA1、FOG1、SCL−および他のものと組み合わせて使用し得る。特に、EKLFおよびBCL11Aと相互作用する、または複合体を形成する他の転写因子、例えばGATA1、FOG1、SOX6。
その赤血球を、臍帯血、iPSC、またはESCおよびこれらの幹細胞供給源のいずれか由来の赤血球生成(erythropoetic)細胞系、およびこれらの供給源由来ではないが胎児グロビンを発現する赤血球生成(erythropoetic)細胞系、または任意の供給源由来の前駆細胞から得ることができる。好ましくは、細胞の供給源はヒト由来である。
本発明の別の局面によって、臍帯血細胞をBCL11AおよびEKLFから選択される1つまたはそれより多くの転写因子で改変することを含む、赤血球においてβ−グロビンの発現を増加させる方法が提供される。
さらなる局面によって、未改変細胞と比較して、β−グロビンおよび成人表現型を有する赤血球で通常発現する他の赤血球タンパク質の発現が増加した改変赤血球を含む組成物が提供される。別の局面によれば、β−グロビンの発現が増加し、そしてγ−グロビンの発現が減少した改変赤血球が提供される。
プラスミド、ウイルス性もしくは他のベクター、または発現因子、ペプチド、ペプチド模倣物の添加を用いて、適切な遺伝子を細胞に挿入することによって細胞を改変して、胎児グロビンから成人グロビンへのスイッチングをし得る、および胎児表現型から成人表現型へ発達させ得る、そしてiPSCおよびESCの場合、成人表現型の除核赤血球の産生を促進し得る。
臍帯血、胚性幹細胞(ESC)およびiPSCのような供給源由来の幹細胞から生成した赤芽球は、治療目的のためのインビトロにおけるRBCの生成に関して、より高い増幅可能性ならびに同種および珍しい血液型の製品の革新的な開発の促進のような、末梢血幹細胞に対する多くの利点を有する。しかし、これらの細胞は、主に成人(β)グロビンではなく胎児(γ)グロビンを発現し、それらは異なる生化学的性質および分子的性質を有する。その細胞は、非胚性供給源由来であり得る。
培養ヒト赤血球の生成に臍帯血、iPSCまたはESC由来の幹細胞の増殖能力を利用するために、発明者らは、培養赤血球細胞において胎児ヘモグロビンから成人ヘモグロビンへのスイッチングを誘導するための条件を見出した。本発明は、ガンマグロビンからベータグロビンへのスイッチングを、胎児グロビンを発現する臍帯血前駆細胞、iPSCまたはESCおよび赤血球生成(erythropoetic)細胞系(例えばK562細胞)由来の赤血球細胞の、2つの転写因子(BCL11AおよびEKLF(KLF1))でのコトランスフェクションまたは共形質導入によって行い得ることを示す。EKLFは、グロビン遺伝子に加えて、多くの赤血球遺伝子に影響を与える、赤血球成熟の重要な制御因子である(Tallack MR、Perkins AC、IUBMB Life 2010;62(12):886−890)。それによって本発明はまた、胎児表現型を発現する赤血球前駆細胞を、成人表現型へ変換する一般的な方法を提供する。
本発明者らは以前に、胎児グロビンを発現する赤血球生成(erythropoetic)細胞系(K562細胞)を、γグロビンからβ−グロビンへのスイッチング、β−グロビンの発現の誘導、および赤血球生成(erythropoetic)細胞の発達に必須であることが公知である転写因子EKLFでトランスフェクトした。しかし、誘導されたβ−グロビンのレベルは、最小限であった。2番目の転写因子BCL11Aは、より最近に、成人赤芽球における胎児γ−グロビンの抑制に必須であり、γ−グロビンからβ−グロビンへのスイッチングを促進することが示された。発明者らは、K562細胞を、EKLFおよびBCL11Aの両方でコトランスフェクトし、そしてそれらは、組み合わせでβ−グロビン発現への確固としたスイッチングを誘導することを見出した。発明者らはまた、臍帯血由来の赤芽球を、BCL11A−XLおよびEKLFでコトランスフェクトし、そしてβ−グロビンの発現の著明な増加を誘導した。
γ−グロビンからβ−グロビンへのスイッチングの調節に関与することが公知である、非常に少数の転写因子のうち、同定された2つの決定的なプレイヤーは、BCL11AおよびEKLFである。
BCL11Aは、HbFレベルの遺伝的関連研究から同定されたジンクフィンガー(ZF)転写因子であり[13−16]、そしてヒトにおけるγ−グロビン発現の決定的な制御因子であることが示された[17]。BCL11Aの複数のバリアントが発現されるが、報告される3つの主な形態は、BCL11A−XL、BCL11A−LおよびBCL11A−Sである[17、18]。全てのバリアントは、共通のエキソン1、2、および3およびエキソン4の一部を共有し、各形態において可変数のZFを生じる;エキソン4は、6個のZFをBCL11A−XLに、3個をBCL11A−Lに、そして1個をBCL11A−Sに与え、これらはエキソン2によってコードされる単一のZFに全て付加される。それに加えて、BCL11A−Lおよび−Sは、さらなるエキソン5を有し、それはBCL11A−XLに存在しない。
ヒト赤芽球の発生分析は、BCL11Aの全長形態は、成人細胞において活発に発現し、胎児細胞においてかなり低いレベルであり、そして原始的な赤芽球において欠如していることを示し[17]、これらの細胞における胎児グロビン(HbF)の発現と逆の関係である。成人赤血球細胞において、全長BCL11Aは、LCRのHS3およびAγ−グロビンおよびδ−グロビン遺伝子の間の遺伝子間領域を含む、ヒトβ−グロビンクラスター内で、いくつかの別々の領域を占める[17]。BCL11Aはまた、これらの細胞において、NURD抑制複合体の成分と会合している[17]。ヒトの最終的な赤芽球におけるBCL11Aのノックダウンは、HbFの発現の増加[17]およびγ遺伝子が優先的にLCRと会合するようにβ−グロビン遺伝子座における3Dクロマチンループ形成の再配置を引き起こす[19]。それに加えて、BCL11Aノックアウトマウスへのヒトβ遺伝子座導入遺伝子の導入は、最終的な赤血球系統におけるγ−遺伝子の損なわれたサイレンシングを引き起こした[20]。これらのデータは合わせて、γ−グロビンサイレンシングおよびHbFグロビンから成人(HbA)グロビンへの発生的なスイッチングの決定的なメディエーターとしてのBCL11Aの役割を支持する。よってBCL11Aは、異常β−ヘモグロビン症(hemaglobinopathies)を有する患者において、HbFの再活性化の潜在的な標的を表す。確かに、そのような効果がSCDトランスジェニックマウスにおいて最近実証され、それによってBCL11Aの不活性化が、HbFの誘導によって、SCDに関連する血液学的および病理学的な欠損を修正する[21]。
EKLF(KLF1)は、β−グロビン発現、最終的な赤血球生成、およびHbFからHbAへのスイッチングに必須の赤血球特異的転写因子である[22−24]。β−グロビン発現におけるEKLFの役割が、広範囲に研究された[25]。EKLFヌルマウスは、胎児肝臓赤血球生成中のβ−グロビン遺伝子発現の失敗のために、胎生期14〜15日目あたりに子宮内で死亡する[22]。β−グロビンの発現はまた、ヒトβ遺伝子座導入遺伝子を含むEKLFヌルマウスにおいて存在しないが、一方γ−グロビンは増加する[24]。同様に、成人赤芽球におけるEKLFのノックダウンは、γ−グロビン対β−グロビン比の増加を引き起こし、そしてBCL11Aの発現を顕著に抑制する[26]。蓄積するデータは、EKLFはまた、多くの他の赤血球遺伝子も制御し、そして従って赤血球生成において決定的および中心的な役割を果たすことを示す[22、27−30]。
翻訳後修飾によって調節されて、EKLFは、他のタンパク質および複合体との相互作用によって、クロマチンリモデリングおよび転写活性の両方を調節する[31−34]。EKLFは、インビボで、LCRのHS2およびHS3と、およびβ−グロビン近位プロモーターと相互作用することが示された[35]。EKLFがβ−グロビン発現を調節する正確なメカニズムはまだ完全には解明されていないが、データは、EKLFが、成人赤血球細胞においてβ−グロビン発現を引き起こす、LCRと近位β−グロビンプロモーターとの相互作用の促進において中心的な役割を果たすことを示す[36]。よって、鎌状赤血球症およびβ−サラセミアを有する個体において、HbFを活性化する戦略として、EKLFの標的化ノックダウンも提案された。
EKLFおよびBCL11Aは、成人β様グロビンへのスイッチング、およびその発現に決定的であるので、本発明者らは、驚くべきことに、胎児グロビンを固有に発現する赤血球細胞は、これらの転写因子の発現が存在しない、または低減していることを見出した。2番目に、EKLFまたはBCL11Aのいずれかのノックダウンは、胎児グロビンの同時増加を伴うグロビンスイッチングの逆転を引き起こし得るので、本発明者らは、驚くべきことに、胎児グロビンを固有に発現する細胞における、逆に誘導された、または増加したこれらの転写因子の発現は、成人グロビン発現へのスイッチングを誘導することを見出した。
産生された赤血球細胞は、成人グロビンではなく胎児グロビンを発現し、それは異なる生化学的性質を有するので、グロビンのスイッチングは、臍帯、ヒト胚性幹細胞(hESC)、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)および他の非成人造血幹細胞からの、ヒト赤血球の商業的製造の大きな障壁である。それに加えて、そのような幹細胞供給源由来の赤血球細胞は、より未熟な表現型を有し、成人RBCとはいくつかの細胞表面抗原の発現が異なり、そして不完全な、または低い除核率を有する。EKLFおよびBCL11Aは両方とも、胎児(γ)グロビンから成人(β)グロビンへの発生スイッチング、および最終的な赤血球生成に必須であり、EKLFは、細胞骨格タンパク質、膜タンパク質、および細胞周期調節に関与するものを含む、多くの必須の赤血球遺伝子を調節する。
上記の幹細胞供給源から生成された赤血球細胞の、EKLFおよびBCL11Aによる形質導入は、γ−グロビンからβ−グロビンへのスイッチングを誘導することが示されており、そして産生された赤血球の、成人赤血球表現型への成熟を誘導し得る。これは、インビトロで低レベルの除核が観察される、hESCおよびhiPSCからの赤血球の産生によって現在起きる大きな問題を解決する利点を有する。これらのハードルを克服することは、治療的および診断的適用のために、そのような成人表現型の培養改変赤血球の使用を可能にする。
本発明は、以下の実施例および付随する図面において、例証としてのみ説明される。
図1は、K562細胞におけるBCL11AおよびEKLFの発現を示す。(A)BCL11AバリアントBCL11A−XL、BCL11A−L、およびBCL11A−Sの転写物を、PCRによって、K562細胞および末梢血前駆細胞から分化した赤芽球において比較した。BCL11A−SおよびBCL11A−Lに関して2つのプライマーセットを用いた。(B)BCL11A抗体でプローブした、K562細胞由来の20μgのタンパク質のウェスタンブロット。末梢血前駆細胞から分化した赤芽球由来の全タンパク質を、ポジティブコントロールとして使用した。(C)K562細胞およびポジティブコントロール(赤血球コントロール)としての培養9日目における末梢血由来赤芽球における、EKLF転写物(左側パネル)およびタンパク質(右側パネル)。膜をはがし、そしてタンパク質量のコントロールとして、チューブリンに対する抗体で再プローブした。 図2は、K562細胞のEKLFおよびBCL11Aによるトランスフェクションは、β−グロビンの発現を誘導することを示す。K562細胞を、5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)、5μgのpBp HA−EKLF(E)でトランスフェクトした、または5μgの各プラスミドでコトランスフェクトした。トランスフェクションの20時間後、細胞を回収した。(A)BCL11AおよびHA−タグ抗血清(EKLFに対する)でプローブした、トランスフェクトおよびK562コントロール(Ctrl)細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。(B)qPCRによって分析した、トランスフェクト細胞およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビン発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(C)β−グロビン抗体でプローブした、トランスフェクトおよびK562コントロール細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。全てのウェスタンブロットをはがし、そしてタンパク質量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。 図2は、K562細胞のEKLFおよびBCL11Aによるトランスフェクションは、β−グロビンの発現を誘導することを示す。K562細胞を、5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)、5μgのpBp HA−EKLF(E)でトランスフェクトした、または5μgの各プラスミドでコトランスフェクトした。トランスフェクションの20時間後、細胞を回収した。(A)BCL11AおよびHA−タグ抗血清(EKLFに対する)でプローブした、トランスフェクトおよびK562コントロール(Ctrl)細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。(B)qPCRによって分析した、トランスフェクト細胞およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビン発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(C)β−グロビン抗体でプローブした、トランスフェクトおよびK562コントロール細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。全てのウェスタンブロットをはがし、そしてタンパク質量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。 図3は、β−グロビンの転写物レベルは、BCL11AおよびEKLFの発現とパラレルであることを示す。K562細胞を、5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)および5μgのpBp HA−EKLF(E)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの24および48時間後、細胞を回収した。(A)トランスフェクションの24および48時間後における、コトランスフェクトした、およびK562コントロール(Ctrl)細胞におけるBCL11A、EKLFおよびβ−グロビンの転写物。培養7日目の、末梢血前駆細胞から分化した赤芽球を、ポジティブコントロール(Erythroid Ctrl)として使用した。EKLF転写物のPCR増幅のために、前向きプライマーをHAタグ領域内でデザインした。(B)BCL11AおよびHA−タグ(EKLF抗血清に関して)でプローブした、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そして添加量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(C)qPCRによって分析した、トランスフェクションの24および48時間後の、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビン転写物のレベル。相対的なβ−グロビン発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(D)トランスフェクションの24および48時間後の、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞における、全βおよびγ−グロビンに対する比としての、βおよびγ−グロビン発現プロファイル。 図3は、β−グロビンの転写物レベルは、BCL11AおよびEKLFの発現とパラレルであることを示す。K562細胞を、5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)および5μgのpBp HA−EKLF(E)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの24および48時間後、細胞を回収した。(A)トランスフェクションの24および48時間後における、コトランスフェクトした、およびK562コントロール(Ctrl)細胞におけるBCL11A、EKLFおよびβ−グロビンの転写物。培養7日目の、末梢血前駆細胞から分化した赤芽球を、ポジティブコントロール(Erythroid Ctrl)として使用した。EKLF転写物のPCR増幅のために、前向きプライマーをHAタグ領域内でデザインした。(B)BCL11AおよびHA−タグ(EKLF抗血清に関して)でプローブした、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そして添加量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(C)qPCRによって分析した、トランスフェクションの24および48時間後の、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビン転写物のレベル。相対的なβ−グロビン発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(D)トランスフェクションの24および48時間後の、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞における、全βおよびγ−グロビンに対する比としての、βおよびγ−グロビン発現プロファイル。 図3は、β−グロビンの転写物レベルは、BCL11AおよびEKLFの発現とパラレルであることを示す。K562細胞を、5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)および5μgのpBp HA−EKLF(E)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの24および48時間後、細胞を回収した。(A)トランスフェクションの24および48時間後における、コトランスフェクトした、およびK562コントロール(Ctrl)細胞におけるBCL11A、EKLFおよびβ−グロビンの転写物。培養7日目の、末梢血前駆細胞から分化した赤芽球を、ポジティブコントロール(Erythroid Ctrl)として使用した。EKLF転写物のPCR増幅のために、前向きプライマーをHAタグ領域内でデザインした。(B)BCL11AおよびHA−タグ(EKLF抗血清に関して)でプローブした、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そして添加量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(C)qPCRによって分析した、トランスフェクションの24および48時間後の、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビン転写物のレベル。相対的なβ−グロビン発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(D)トランスフェクションの24および48時間後の、コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞における、全βおよびγ−グロビンに対する比としての、βおよびγ−グロビン発現プロファイル。 図4は、BCL11AおよびEKLFの増加したレベルによる、β−グロビン転写物のアップレギュレーションを示す。K562細胞を、10μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)または10μgのpBp HA−EKLFでトランスフェクトし(E)、または5μgもしくは10μgの両プラスミドそれぞれでコトランスフェクトした。トランスフェクションの17時間後に細胞を回収した。(A)BCL11A、HA−タグ(EKLFに関して)、(D)β−グロビン抗血清および(E)チューブリンでプローブした、コトランスフェクトした、およびK562コントロール(Ctrl)細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(B)qPCRによって分析した、トランスフェクトした、およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビンの発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(C)コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞における、全βおよびγ−グロビンに対する比としての、βおよびγ−グロビン発現プロファイル。 図4は、BCL11AおよびEKLFの増加したレベルによる、β−グロビン転写物のアップレギュレーションを示す。K562細胞を、10μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)または10μgのpBp HA−EKLFでトランスフェクトし(E)、または5μgもしくは10μgの両プラスミドそれぞれでコトランスフェクトした。トランスフェクションの17時間後に細胞を回収した。(A)BCL11A、HA−タグ(EKLFに関して)、(D)β−グロビン抗血清および(E)チューブリンでプローブした、コトランスフェクトした、およびK562コントロール(Ctrl)細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(B)qPCRによって分析した、トランスフェクトした、およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビンの発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(C)コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞における、全βおよびγ−グロビンに対する比としての、βおよびγ−グロビン発現プロファイル。 図4は、BCL11AおよびEKLFの増加したレベルによる、β−グロビン転写物のアップレギュレーションを示す。K562細胞を、10μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)または10μgのpBp HA−EKLFでトランスフェクトし(E)、または5μgもしくは10μgの両プラスミドそれぞれでコトランスフェクトした。トランスフェクションの17時間後に細胞を回収した。(A)BCL11A、HA−タグ(EKLFに関して)、(D)β−グロビン抗血清および(E)チューブリンでプローブした、コトランスフェクトした、およびK562コントロール(Ctrl)細胞由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(B)qPCRによって分析した、トランスフェクトした、およびK562コントロール細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビンの発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてK562コントロールに対して較正した。(C)コトランスフェクトした、およびK562コントロール細胞における、全βおよびγ−グロビンに対する比としての、βおよびγ−グロビン発現プロファイル。 図5は、臍帯血および末梢血RBCにおけるグロビンアイソフォーム、および臍帯血および末梢血前駆細胞から培養した赤芽球におけるBCL11AおよびEKLFの発現を示す。(A)成熟臍帯血および成人RBCにおけるグロビンアイソフォームを示すゲル。(B)BCL11AおよびEKLF抗血清でプローブした、6、8、および11日目の臍帯血および末梢血由来赤芽球由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そしてタンパク質量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(C)臍帯血(CB)および末梢血(PB)由来赤芽球のエキソビボ培養中に観察された細胞型%を示すグラフ。 図5は、臍帯血および末梢血RBCにおけるグロビンアイソフォーム、および臍帯血および末梢血前駆細胞から培養した赤芽球におけるBCL11AおよびEKLFの発現を示す。(A)成熟臍帯血および成人RBCにおけるグロビンアイソフォームを示すゲル。(B)BCL11AおよびEKLF抗血清でプローブした、6、8、および11日目の臍帯血および末梢血由来赤芽球由来の全タンパク質のウェスタンブロット。ブロットをはがし、そしてタンパク質量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(C)臍帯血(CB)および末梢血(PB)由来赤芽球のエキソビボ培養中に観察された細胞型%を示すグラフ。 図6は、臍帯血由来赤芽球の、EKLFおよびBCL11Aによるコトランスフェクションは、β−グロビンの発現を増加させることを示す。臍帯血前駆細胞から培養した赤芽球を、それぞれ5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)およびpBp HA−EKLF(E)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの17時間後に細胞を回収した。(A)BCL11AおよびHA−タグ(EKLFに関して)抗血清でプローブし、次いではがし、そしてβ−グロビン抗血清で再プローブした、コトランスフェクトした(BX−L:E)および偽(DNA無し)トランスフェクトコントロール臍帯血由来赤芽球由来の全タンパク質のウェスタンブロット。そのブロットを再びはがし、そしてタンパク質量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(B)qPCRによって分析した、コトランスフェクトした細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビンの発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてコントロール(DNAなし)トランスフェクト臍帯血細胞に対して較正した(n=2)。(C)チューブリン発現に対して標準化し、そして偽(DNAなし)トランスフェクトコントロール細胞に対して較正した、単独およびコトランスフェクト細胞における、相対的なβ−グロビンタンパク質発現(n=3)。 図6は、臍帯血由来赤芽球の、EKLFおよびBCL11Aによるコトランスフェクションは、β−グロビンの発現を増加させることを示す。臍帯血前駆細胞から培養した赤芽球を、それぞれ5μgのpCDNA3 Flag−BCL11A−XL(B−XL)およびpBp HA−EKLF(E)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの17時間後に細胞を回収した。(A)BCL11AおよびHA−タグ(EKLFに関して)抗血清でプローブし、次いではがし、そしてβ−グロビン抗血清で再プローブした、コトランスフェクトした(BX−L:E)および偽(DNA無し)トランスフェクトコントロール臍帯血由来赤芽球由来の全タンパク質のウェスタンブロット。そのブロットを再びはがし、そしてタンパク質量のコントロールとしてチューブリンに対する抗体で再プローブした。(B)qPCRによって分析した、コトランスフェクトした細胞におけるβ−グロビンの転写物。相対的なβ−グロビンの発現を、PABPC1の発現に対して標準化し、そしてコントロール(DNAなし)トランスフェクト臍帯血細胞に対して較正した(n=2)。(C)チューブリン発現に対して標準化し、そして偽(DNAなし)トランスフェクトコントロール細胞に対して較正した、単独およびコトランスフェクト細胞における、相対的なβ−グロビンタンパク質発現(n=3)。 図7は、EKLFおよびBCL11A−XLによる2重形質導入の48時間後のK562細胞を示す。K562細胞を、レンチウイルス構築物pXLG3−mcherry−EKLFおよびpXLG3−eGFP−BCL11A−XLで形質導入した。以下の共焦点画像は、EKLFを発現する細胞を赤で示し(A)、BCL11A−XLを発現する細胞を緑で示し(B)、そしてEKLFおよびBCL11Aを両方発現する細胞を、オレンジ/黄色で示す(C)。
方法
実施例1−プラスミド構築
野生型(WT)EKLF発現プラスミドpBabe puro HAII WT EKLFは、Belinda Singleton博士から親切に提供された。簡単には、全長EKLFを、以下のプライマーを用いて増幅し:5’−GATTACGCTGAATTCTCATGGCCCACAGCCGAGACC−3’(配列番号1)および5’−GATACTCGAGAATTCTCAAAGGTGGCGCTTCATG−3’(配列番号2)、pCR(登録商標)2.1−TOPOベクターにクローニングし、続いてpBabe puro HAII(プラスミド14738、Addgene Inc.、Cambridge、MA、US Dr.Adrienne Coxの研究室の好意)のEcoRI部位にサブクローニングした。
BCL11A発現プラスミドpCDNA3−Flag−BCL11A−XL、pCDNA3−Flag−BCL11A−LおよびpCDNA3−Flag−BCL11A−Sは、P.Tucker博士およびBaeck−Seung Lee博士(Section of Molecular Genetics and Microbiology and Institute of Cellular and Molecular Biology、University of Texas)の親切な寄贈であった。
実施例2−細胞培養およびヌクレオフェクション
MiniMacsTM 磁気ビーズ分離システム(Miltenyi Biotech Ltd、Surrey、UK)を用いて臍帯血から単離したCD34細胞を、以前に記載された3段階赤血球培養法[37];3%(v/v)のAB血清(Sigma)、2%(v/v)のウシ胎仔血清(Hyclone、Fisher Scientific UK Ltd)、10μg/mlのインスリン(Sigma)、3U/mlのヘパリン(Sigma)、200μg/mlのトランスフェリン(R&D Systems)を含むIMDM(Source BioScinece)を用いて、エキソビボで5〜8日間培養した。第1段階において(0〜8日目)、これに10ng/mlのSCF(幹細胞因子)、1ng/mlのIL−3、および3U/mlのEPO(エリスロポエチン)を;第2段階において(8〜11日目)、10ng/mlのSCF、3U/mlのEPOおよびさらに800μg/mlの鉄飽和トランスフェリンを、および最後の段階において(11〜20日目)、3U/mlのEPO、およびさらなる800μg/mlの鉄飽和トランスフェリンを補充した。
K562細胞を、European Collection of Cell Cultures(Salisbury、UK)から得て、そして10%のウシ胎仔血清を加えたL−グルタミンを含むイスコフのダルベッコ改善培地において、2×10細胞/mlで、培養中で維持した。
臍帯血細胞およびK562細胞を、Amaxa(登録商標)Human CD34 Cell Nucleofector(登録商標)Kit およびAmaxa(登録商標) Cell Line Nucleofector(登録商標) Kit Vをそれぞれ有する、Amaxa Nucleofection(登録商標)システム(Lonza Cologne AG、Cologne、Germany)を用いて、製造会社のプロトコールに従ってトランスフェクトした。簡単には、各ヌクレオフェクション反応に関して、1.5−2×10細胞を、補充物を含む100μlのAmaxa(登録商標) Nucleofector(登録商標)溶液に穏やかに再懸濁し、5〜10μgのBCL11Aおよび/または野生型EKLFプラスミドDNAと混合し、そして前もって決定したプログラムでパルスした(臍帯血細胞に関してはU−008、およびK562細胞に関してはT−016)。トランスフェクトした細胞を、サンプルあたり2ml(最終的な容積)の培地を有する、12穴プレートのウェルに移し、そして5%CO加湿インキュベーターにおいて37℃に維持した。
実施例3−標準および定量的ポリメラーゼ連鎖反応分析
最低で5×10細胞を、1×ハンクス緩衝化食塩水溶液(HBSS、Sigma−Aldrich)で2回洗浄し、そしてRNA Later中で凍結した。全RNAを抽出し、そして収量を定量した。SuperScript II逆転写酵素(Invitrogen、Paisley)を用いて、400ngのRNAをcDNAへ逆転写した。BCL11AおよびEKLF発現を、標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって分析し、一方β−グロビンおよびγ−グロビンの遺伝子発現を、定量的(q)PCRによって分析した。全ての方法は、以前に記載された[38]。PCRおよびqPCRで使用する配列は、以下の通りである:
qPCR分析に関して、全ての標的遺伝子配列を、PABPC1に対して標準化し、そして図の凡例に示されるコントロールに対して較正した。
実施例4−ウェスタンブロット分析
細胞ペレットを1×HBSSで2回洗浄し、次いで可溶化緩衝液(20mMのTris HCl pH7.5、150mMのNaCl、10%のグリセロール、1%のTriton、0.1%のSDS、1×完全プロテアーゼ阻害剤、および2mMのPMSF)中で1時間細胞全体を溶解し、続いて12.5UのBenzonase(登録番号)ヌクレアーゼ(Novagen、Damstadt、Germany)で1時間処置することによって、トランスフェクトしたK562細胞および臍帯血細胞を、ウェスタンブロット分析のために調製した。BioRad Protein Assay Dye試薬によって定量したタンパク質(3〜15μg)を、8%、12%、または18%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分離し、そしてPVDF膜に移した。以下の抗体と最低1時間インキュベートすることによって、EKLF、BCL11Aおよびβ−グロビンを検出した;HA.II(16B12 Covance、Crawley、UK)またはEKLF(H−210、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)、Ctip1(14B5、Abcam、Cambridge、UK)、およびHemoglobinβ(37−8 Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)。タンパク質のバンドを、BIORAD Quantity Oneソフトウェアバージョン4.5.1を用いて定量した。
実施例5−レンチウイルスの調製および細胞形質導入
EKLFおよびBCL11A−XLコード領域をPCRによって増幅し、そしてIn−Fusionクローニングシステム(Clontech)を用いて、pXLG3−eGFPまたはpXLG3−mcherryレンチウイルスベクターに挿入した。HEK293T細胞を、ポリエチレンイミン(PEI)を用いて、構築物pMDG2(ウイルスコート)、pCMVR8.91(パッケージングタンパク質)およびpXLG3−eGFP−BCL11A−XLおよびpXLG3−mcherry−EKLFでトランスフェクトした。PEI/DNA溶液を、細胞と4時間インキュベートし、その後培地を交換した。48時間後、ウイルスを含む培地をろ過し、そしてアリコートに分けた。赤血球細胞を、8μg/mlのポリブレンを添加した1mlのウイルスとインキュベートした。細胞を48時間目に回収し、そして4%のパラホルムアルデヒドでポリ−L−リジンでコーティングしたカバーガラスに固定し、そして共焦点顕微鏡を用いて画像化した。
結果
実施例6−K562細胞におけるBCL11Aの発現
BCL11A−XL、BCL11A−LおよびBCL11A−Sの転写物の発現を、K562細胞、HbEおよびHbFを発現するがHbAは発現しない赤血球生成(erythropoetic)細胞系、およびポジティブコントロールとして培養9日目の末梢血CD34細胞から培養した赤芽球において、各BCL11Aバリアントに特異的なプライマーを用いたPCRによって決定した。3つのBCL11Aバリアント全ての転写物を、赤芽球において検出したが、K562細胞においては転写物を検出しなかった(図1A)。それに加えて、全長BCL11Aタンパク質を、赤血球において容易に検出したが、K562細胞においてはBCL11Aタンパク質の全長または短いバリアントのどちらも検出されなかった(図1B)。K562細胞においてKLF−1の転写物が検出されたが、9日目の赤芽球と比較して低いレベルであり、しかしKLF−1タンパク質は検出されなかった(図1C)。従ってK562細胞は、EKLFに関してヌルであると考えられる。従って、K562細胞におけるβ−グロビンの発現の欠如は、BCL11AおよびEKLFの欠如と関連している。
実施例7−K562細胞のEKLFおよびBCL11A−XLによるトランスフェクションは、β−グロビンの発現を誘導する
K562細胞を、pCDNA3−Flag−BCL11A−XL(BCL11A−XL;5μg)、pBp HA−EKLF(HA−EKLF;5μg)で一時的にトランスフェクトした、または両方のプラスミド(それぞれ5μg)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの20時間後、細胞を回収し、そしてBCL11A、EKLF、およびβ−グロビンの発現に関して分析した。BCL11A−XLまたはHA−EKLFでトランスフェクトした細胞は、それぞれのタンパク質を発現し、コトランスフェクトした細胞は、両方のタンパク質を発現した(図2A)。次いで単独またはコトランスフェクトした細胞におけるβ−グロビン転写物のレベルを、qPCRによって分析した。BCL11Aでトランスフェクトした細胞において、わずかなβ−グロビンの転写物が検出され、一方HA−EKLFトランスフェクタントにおいて少しの増加(トランスフェクトしていないK562細胞の3倍)が検出された(図2B)。しかし、BCL11A−XLおよびHA−EKLFでコトランスフェクションすると、β−グロビンの転写物レベルは、トランスフェクトしていない細胞と比較して168倍増加し(図2B)、β−グロビンタンパク質のレベルが著しく増加した(チューブリンに対して標準化し、そしてトランスフェクトしていないK562細胞と比較した場合7.9倍;図2C)。
実施例8−β−グロビンの発現は、BCL11AおよびEKLFの発現レベルとパラレルである
β−グロビンの発現レベルが、トランスフェクション後の時間と共に増加するかどうかを決定するために、BCL11A−XLおよびHA−EKLF(それぞれ5μg)でコトランスフェクトしたK562細胞を、トランスフェクションの24および48時間後に、BCL11A、EKLFおよびβ−グロビンに関して分析した。トランスフェクション後、BCL11AおよびEKLFの転写物およびタンパク質を容易に検出したが、そのレベルはトランスフェクション後24および48時間の間に減少した(図3AおよびB)。β−グロビンの発現は、再びトランスフェクトしていない細胞と比較してコトランスフェクトした細胞において著しく高かったが、転写レベルはトランスフェクション後24から48時間まで減少し、BCL11AおよびEKLFのレベルの減少とパラレルであった(図3AおよびC)。それに加えて、γ対β−グロビン発現の比は、トランスフェクション後減少したが、トランスフェクション後24時間と48時間との間にわずかに増加した(図3D)。
従って、BCL11A−XLおよびEKLFだけのコトランスフェクションは、明らかにこれらに細胞においてβ−グロビンの発現を誘導および調節するために十分である。
実施例9−K562細胞の増加した量のBCL11A−XLおよびEKLFによるトランスフェクションは、β−グロビンの発現をさらに増強する
コトランスフェクトしたK562細胞において、β−グロビンの発現レベルを増加させる試みにおいて、我々は、トランスフェクションに使用するDNAの量を、5μgから10μgの各プラスミドに増加させた。我々はまた、トランスフェクション後異なる時間に転写レベルを比較し、そしてこの実施例において17時間が最適であることを見出した(データは示していない)。より高い濃度のDNAによるコトランスフェクションは、細胞におけるBCL11AおよびEKLFのレベルを増加させた(図4A)。K562細胞を、最初にBCL11A−XL(10μg)またはHA−EKLF(10μg)でトランスフェクトし、そしてトランスフェクションの17時間後に、qPCRによってβ−グロビンの発現を分析した。BCL11A−XLまたはHA−EKLFだけによるトランスフェクションは、トランスフェクトしていないK562細胞と比較して、β−グロビン転写物のレベルをそれぞれ5.9および7.5倍増加させた(図4B)。それぞれ5μgのBCL11A−XLおよびHA−EKLFによるコトランスフェクションは、β−グロビン転写物のレベルを305±156.9倍増加させた(n=2)(図4B)。しかし、それぞれ10μgのBCL11A−XLおよびHA−EKLFによるコトランスフェクションは、β−グロビン転写物のレベルを、トランスフェクトしていないK562細胞と比較して、887±143倍(n=2)増加させた(図4B)。両方の濃度のDNAによるトランスフェクション後、K562細胞においてベータグロビンタンパク質が検出された(図4A)。γ−グロビン対β−グロビン発現の比は、BCL11A−XLおよびEKLFによるコトランスフェクション時に再び減少したが、5μgの各プラスミドと比較して、10μgによるトランスフェクション時に、その比における非常に小さい減少のみが検出された(図4C)。
pCDNA3−Flag−BCL11A−LまたはpCDNA3−Flag−BCL11A−Sと、HA−EKLF(それぞれ10μg)による細胞のコトランスフェクションは、EKLF単独でトランスフェクトした細胞と比較して、β−グロビンの発現レベルを増加させなかった(データは示していない)。
従ってBCL11A−XLおよびEKLFはそれぞれ、β−グロビン発現の誘導に対して中程度の効果を有する。しかし、BCL11A−XLおよびEKLFによるK562細胞のコトランスフェクションは、これらの細胞におけるβ−グロビン発現の誘導に確固とした効果を有する。
実施例10−末梢血前駆細胞と比較した、臍帯血から分化した赤芽球におけるBCL11AおよびEKLFの発現
臍帯血CD34前駆細胞から分化した赤芽球は、通常の成人赤血球細胞と同様に主にHbA(約94%)を発現する末梢血CD34細胞から分化した赤芽球と対照的に、主にHbF(約65%)を発現する。図5Aは、臍帯RBCと比較して、成人RBCに存在するグロビンアイソフォームを示す。
臍帯血赤芽球のグロビン発現プロファイルを、成人赤血球細胞のものへスイッチングすることは、これらの細胞が良好な増幅能力を有し、そして従って輸血目的のためのRBCを生成するためのインビトロシステムの魅力的な前駆細胞であるので、非常に望ましい目的である。
BCL11AおよびEKLFのレベルは、そのグロビン発現プロファイルと一致して、末梢血CD34細胞と比較して、臍帯血由来の赤芽球においてより低いことが示された。臍帯血および末梢血前駆細胞から培養した赤芽球におけるBCL11AおよびEKLFのレベルを、特異的なBCL11AおよびEKLF抗血清によるウェスタンブロットによって、培養中の様々な時点で比較した。臍帯血赤芽球におけるEKLFのレベル(チューブリンコントロールに対して標準化した)は、末梢血赤芽球より、実験した全ての時点で、有意により低く、6、8、および11日目でそれぞれ41、10、および2.5倍であった(図5B)。レベルの差は、11日目までに顕著な、臍帯血由来細胞と比較した、末梢血における、増殖性プレプロおよびプロ正赤芽球の数の減少、および分化した赤芽球の増加と共に、2つの培養の間のシンクロニシティーが減少するにつれて小さくなった(図5C)。培養6および8日目の赤芽球におけるBCL11Aのレベルは、末梢血由来赤芽球と比較して、臍帯においてそれぞれ9および6倍低かった(図5B)。培養11日目に、BCL11Aのレベルは低下し、そして両方の細胞集団において極端に低かった。従って、BCL11AおよびEKLF両方のレベルは、末梢血由来赤芽球と比較して、臍帯血由来赤芽球において、一貫してより低く、それはこれらの細胞におけるγ対β−グロビンの発現比と関連している。
実施例11−臍帯血由来赤芽球の、BCL11A−XLおよびEKLFによるコトランスフェクションは、β−グロビンの発現を増加させる
臍帯血赤芽球においてBCL11AおよびEKLFの発現を増加させることは、成人β−グロビンの発現を増加させることが見出された。
臍帯血前駆細胞から培養された赤芽球を、BCL11A−XLおよびHA−EKLFでコトランスフェクトした。トランスフェクションプログラムは、有意な量の細胞死を引き起こした(約50%)。しかし、トランスフェクション後、BCL11Aタンパク質およびHA−EKLFタンパク質のレベルは、DNAの非存在下でヌクレオフェクションを行った細胞におけるものと比較して、著しく増加した(図6A)。対応して、β−グロビン転写物のレベルが、4.9±1.3増加した(図6B;n=2)。我々はまた、コトランスフェクトした細胞と同様、BCL11A−XLまたはHA−KLF−1だけでトランスフェクトした細胞において、β−グロビンタンパク質のレベルを分析した。BCL11AまたはKLF−1でトランスフェクトした細胞におけるβ−グロビンのレベル(チューブリンコントロールに対して標準化した)は、明らかな増加を示さなかった(コントロール細胞と比較してそれぞれ1.1±0.14および1.23±0.18倍)。しかし、BCL11AおよびKLF−1でコトランスフェクトした細胞は、コントロール細胞と比較して、β−グロビンタンパク質レベルの5.1±2倍(n=3)の増加を示した(図6AおよびC)。
これらのデータは、明らかに、臍帯血由来赤芽球においてBCL11AおよびEKLFの発現を増加させることは、β−グロビンの発現の有意な増加を引き起こすことを示す。得られたβ−グロビンの発現の増加は有意であり、β−グロビンmRNAの5倍の減少が、KLF1ノックアウトで報告された[22]。
実施例12−ウイルス形質導入手順を用いた、EKLFおよびBCL11Aの遺伝子の赤血球細胞への伝達
EKLFおよびBCL11A両方の遺伝子を赤血球細胞へ伝達するための、より効率的なシステムを開発した。レンチウイルスpSEW−GFPプラスミドを用いた、BCL11AおよびEKLF遺伝子両方のためのレンチウイルス構築物を作成した(バックボーンプラスミド、ウイルスパッケージングプラスミド、導入ベクタープラスミドおよび293T細胞は、School of Biochemistryによって提供された)。そのアプローチの実行可能性を確認するために、赤血球生成(erythropoetic)細胞系、K562細胞を、レンチウイルス構築物pXLG3−mcherry−EKLF(図7A)およびpXLG3−eGFP−BCL11A−XL(図7B)で同時に形質導入した。形質導入効率は、慣用的に>80%であった。EKLFおよびBCL11A共焦点画像のオーバーレイは、>40%のその転写因子の二重発現を示した(図7C)。
臍帯血赤芽球を、単離後5日目に、EKLF構築物およびBCL11A構築物で共形質導入した。qPCRおよびウェスタンブロットによるグロビン発現の分析のために、8から9日目に細胞を単離した。
胎児起源である、臍帯血CD34+細胞から生成された赤芽球は、成人CD34+細胞から生成された赤芽球より固有に未熟であり、いくつかの細胞表面RBC抗原の発現が異なり、例えば成人I抗原ではなくiである。
二重形質導入プロトコールの後、細胞を赤血球経路に分化させ、そして形態学的特徴および除核に関して分析し、特異的抗血清のパネルを用いてフローサイトメトリーによってある範囲の細胞表面赤血球抗原に関して、および成人表現型の重要な尺度である酸素結合および放出を含む機能的性質に関してスクリーニングした。EKLFおよびBCL11Aの誘導された発現は、臍帯血細胞の成人表現型への成熟を誘導し、そして除核を促進した。
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(項目1)
成人赤血球を調製する方法であって、
供給源から幹細胞または細胞系を得る工程、
該細胞を規定培地中で培養する工程、および
該細胞を少なくとも1つの転写因子で改変して、胎児グロビンを成人グロビンへと変換する工程
を包含する、方法。
(項目2)
成人グロビンの発現が誘導される、項目1に記載の方法。
(項目3)
成人β−グロビンの発現が増加し、そして/または胎児γ−グロビンの発現が減少する、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
得られる細胞が胎児ヘモグロビンを発現する、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目5)
前記細胞が、胎児表現型から成人表現型へと変換される、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目6)
前記方法が、細胞を除核するさらなる工程を包含し、ここで該細胞が人工多能性幹細胞から誘導される、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目7)
前記細胞が、表面抗原CD34を発現する、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目8)
前記転写因子が、BCL11A、BCL11Aの他のアイソフォーム、EKLF、タギング形態のEKLF、GATA 1、FOG 1、SCL、SOX6およびそれらの任意のバリアントから選択される、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目9)
使用される前記転写因子が、BCL11AとEKLFとの組合せである、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目10)
前記細胞が、臍帯血、人工多能性幹細胞、赤血球生成幹細胞または赤血球生成細胞系から得られる、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目11)
前記培養培地が、血清、胎仔ウシ血清、インスリン、ヘパリン、トランスフェリンのうちの少なくとも1つを含む、いずれかの先行項目に記載の方法。
(項目12)
前記培地に、SCF、EPOまたは鉄飽和トランスフェリンのうちの少なくとも1つが補充され得る、項目11に記載の方法。
(項目13)
項目1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って調製された赤血球。
(項目14)
成人表現型を有し、除核され、かつ未改変細胞と比較してβ−グロビンの発現が増加するようにインビトロで改変された培養幹細胞から構成される、成人表現型の赤血球。
(項目15)
前記細胞が、前記未改変細胞と比較して減少したγ−グロビンの発現をさらに有する、項目14に記載の赤血球。
(項目16)
前記培養幹細胞が、転写因子BCL11AおよびEKLFまたはそれらの任意のバリアントでコトランスフェクトすることにより改変されている、項目14または15に記載の赤血球。
(項目17)
項目13〜16のいずれか一項に記載の赤血球および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含む、組成物。
(項目18)
項目13〜16のいずれか一項に記載の赤血球または項目17に記載の組成物を備える、輸血パック。

Claims (14)

  1. 培養中の成人赤血球を調製する方法であって、
    エキソビボ供給源から幹細胞または細胞系を得る工程、
    該細胞を規定培地中で培養する工程、
    該細胞を転写因子BCL11AおよびEKLFで改変する工程、および
    該細胞中の胎児グロビンを成人グロビンへと変換する工程、
    を包含する、方法であって、該エキソビボ供給源は、臍帯血、人工多能性幹細胞、赤血球幹細胞、または赤血球生成細胞系から選択される、方法。
  2. 成人グロビンの発現が誘導される、請求項1に記載の方法。
  3. 成人β−グロビンの発現が増加し、および/または胎児γ−グロビンの発現が減少する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記細胞が、改変前に胎児ヘモグロビンを発現する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記細胞が、胎児表現型から成人表現型へと変換される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記方法が、細胞を除核するさらなる工程を包含し、ここで該細胞が人工多能性幹細胞から誘導される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記細胞が、表面抗原CD34を発現する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記細胞をBCL11A、タギング形態のEKLF、GATA 1、FOG 1、SCL、SOX6のうちの1つまたはそれより多くで改変する工程をさらに包含する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記培養培地が、血清、胎仔ウシ血清、インスリン、ヘパリン、トランスフェリンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記培地に、SCF、EPOまたは鉄飽和トランスフェリンのうちの少なくとも1つが補充され得る、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法に従って調製された赤血球。
  12. 成人表現型を有し、除核され、かつ未改変細胞と比較してβ−グロビンの発現が増加するようにインビトロで改変された培養幹細胞から分化した、成人表現型の赤血球であって、該培養幹細胞は、臍帯血、人工多能性幹細胞、赤血球幹細胞、または赤血球生成細胞系に由来し、該成人表現型の赤血球が、該未改変細胞と比較して減少したγ−グロビンの発現を有し、該培養幹細胞が、転写因子BCL11AおよびEKLFでコトランスフェクトすることにより改変されている、赤血球。
  13. 請求項11または12のいずれか一項に記載の赤血球および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含む、組成物。
  14. 請求項11または12に記載の赤血球または請求項13に記載の組成物を備える、輸血パック。
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