以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による位置検出システム1の構成を示す図である。同図に示すように、位置検出システム1は、スタイラス2と、電子機器3とを備えて構成される。このうち電子機器3は例えばタブレット型のコンピュータであり、タッチ面3tを構成するセンサ30と、センサコントローラ31と、これらを含むセンサコントローラ31の各部を制御するシステムコントローラ32とを有している。
スタイラス2及びセンサコントローラ31はそれぞれ、互いに互換性を有しない方式A(第1の方式)及び方式B(第2の方式)に対応するデュアルスタイラス及びデュアルコントローラである。方式A,Bはともに、スタイラス2とセンサコントローラ31の間の双方向通信に対応している。方式A,Bには優先順位が付与されており、方式Aに、方式Bより高い優先順位が設定される。
図1中の破線矢印C1〜C5は、ユーザがスタイラス2を操作する典型的なサイクルを示している。また、図1に示したセンシング範囲SRは、センサコントローラ31が送信するアップリンク信号USをスタイラス2が受信することにより、又は、スタイラス2が送信するダウンリンク信号DSをセンサコントローラ31が受信することにより、スタイラス2及びセンサコントローラ31のいずれか一方が他方を検出可能な範囲を示している。
ユーザは、スタイラス2を使用してタッチ面3t上に線を描く際、スタイラス2をセンシング範囲SRの外からセンシング範囲SR内に移動(ダウン)させ(C1,C2)、タッチ面3t上で所望の軌跡を描くように動かした後(C3)、センシング範囲SR内からセンシング範囲SR外に移動(アップ)させる(C4,C5)、という一連のサイクルを繰り返す。本明細書では、ダウン操作中にスタイラス2がセンシング範囲SRに入ったことを第1ペンダウンPD1と称し、さらにスタイラス2がタッチ面3tに接触したことを第2ペンダウンPD2と称する。
スタイラス2は、図1に示すように、芯体20、電極21、筆圧検出部22、スイッチ23、信号処理部24、電源25、及びインジケータ26を有している。
芯体20は、その長手方向がスタイラス2のペン軸方向と一致するように配置される棒状の部材であり、スタイラス2のペン先を構成する。芯体20の先端部の表面には導電性材料が塗布され、電極21を構成している。芯体20の後端部は、筆圧検出部22に当接される。筆圧検出部22は、センサコントローラ31のタッチ面3t等にスタイラス2のペン先を押し当てたときに芯体20の先端に加わる圧力(芯体20に加えられた筆圧)に応じた筆圧レベルを検出するもので、具体的な例では、筆圧に応じて静電容量の変化する可変容量モジュールにより構成される。
電極21は、芯体20の近傍に設けられる導電体であり、配線により信号処理部24と電気的に接続されている。スタイラス2がセンサコントローラ31に向けてダウンリンク信号DSを送信するとき、信号処理部24から電極21に対してダウンリンク信号DSが供給され、これに応じて、ダウンリンク信号DSの内容に応じた電荷が電極21に誘導される。これにより後述するセンサ30内の静電容量に変化が生じ、センサコントローラ31は、この変化を検出することによりダウンリンク信号DSを受信する。また、センサコントローラ31が送信しているアップリンク信号USが電極21に到来すると、電極21には、到来したアップリンク信号USに応じた電荷が誘導される。信号処理部24は、こうして電極21に誘導された電荷を検出することにより、アップリンク信号USを受信する。
スイッチ23は、例えばスタイラス2の筐体の側面に設けられたサイドスイッチであり、ユーザによる操作を受け付け可能に構成された入力部として機能する。具体的には、ユーザによる操作の状態(押下状態)に応じて、自身の押下状態を示すスイッチ情報を信号処理部24に出力するよう構成される。スイッチ情報は、例えばオンとオフの2つの状態のいずれか一方を示す情報である。
信号処理部24は、センサコントローラ31が方式A又は方式Bによって送信するアップリンク信号USを電極21を介して受信する機能と、方式A又は方式Bによってダウンリンク信号DSを生成し、センサコントローラ31に向け、電極21を介して送信する機能と、筆圧検出部22によって検出される筆圧レベルに基づいて第2ペンダウンPD2(タッチ面3tへの接触)を検出する機能とを有する。信号処理部24が方式A,Bのいずれを用いるかはスタイラス2の動作モードに応じて決定されるが、この点については後述する。
後述するように、アップリンク信号USは各種のコマンドを含む場合があり、その場合における信号処理部24は、受信したアップリンク信号USを復調及び復号することによってコマンドを取得し、取得したコマンドに従ってダウンリンク信号DSの生成を行う。具体的には、コマンドによる指示に基づき、筆圧検出部22によって検出される筆圧レベル、スイッチ23から出力されるスイッチ情報等の各種情報を含むダウンリンク信号DSを生成する。
また、信号処理部24は、図示しないメモリ内にスタイラス2の固有IDを保持している。固有IDは、スタイラス2が対応している複数の方式(この場合には方式A,B)のいずれにおいても共通に使用される情報であり、スタイラス2が対応している複数の方式を示す情報を含んでいる。信号処理部24は、アップリンク信号US内に含まれていたコマンドにより指示された場合に、又は、アップリンク信号USの受信や第2ペンダウンPD2を含む何らかの契機に応じたタイミングで自発的に、ダウンリンク信号DS内にこの固有IDの全部又は一部(少なくとも、スタイラス2が方式Aに対応していることをセンサコントローラ31が把握するために十分な情報を含む)を含む機能情報を含めて送信するよう構成される。
電源25は、信号処理部24に動作電力(直流電圧)を供給するためのもので、例えば円筒型のAAAA電池により構成される。
インジケータ26は、スタイラス2に関する各種の情報をユーザに通知するための表示手段であり、例えば発光ダイオードにより構成される。このインジケータ26については、後述する第3の実施の形態で詳しく説明する。
図2は、センサコントローラ31の構成を示す図である。同図には、センサ30の構成も示している。同図に示すように、センサ30は複数の線状電極30Xと複数の線状電極30Yとがマトリクス状に配置された構成を有しており、これら線状電極30X,30Yによってスタイラス2と容量結合する。このセンサ30は、スタイラス2だけでなく指の検出にも使用される。また、センサコントローラ31は、送信部60、選択部40、受信部50、ロジック部70、及びMCU80を有して構成される。
送信部60は、方式A又は方式Bによってアップリンク信号USを生成し送信するための回路であり、例えば、パターン供給部61、スイッチ62、拡散処理部63、符号列保持部64、及び送信ガード部65を含んで構成される。なお、ここで説明する送信部60の具体的な構成は例示であり、方式によって異なる場合がある。また、方式A,Bが互いに異なる構成の送信部60を必要とする場合、それぞれの構成を1つの送信部60内に併設し、選択的に動作させることとすればよい。送信部60が方式A,Bのいずれを用いるかはセンサコントローラ31の動作モードに応じて決定されるが、この点については後述する。
パターン供給部61は検出パターンc1を保持しており、ロジック部70から供給される制御信号ctrl_t1の指示に従って、所定の連続送信期間(例えば、3msec)の間、検出パターンc1に対応する信号(あるいはビット列)を連続して繰り返し出力する機能を有する。また、この連続送信期間の終了直後、あるいは、後述する制御情報c2の送信開始時に、所定の区切りパターンSTPを少なくとも2回連続して出力する機能も有している。なお、図2ではパターン供給部61を送信部60内に設けているが、MCU80内に設けることとしてもよい。
検出パターンc1は、スタイラス2がセンサコントローラ31の存在を検出するために用いられるシンボルの値のパターンであり、事前に(スタイラス2がセンサコントローラ31を検出する前に)スタイラス2に既知にされている。シンボルは、送信処理においては変調に用いる情報の単位(送信信号が表現する情報の単位)であり、受信処理においては受信信号である1シンボルを復調して得られる情報の単位である。シンボルの値は、ビット列に変換される値(以下、「ビット列対応値」と称する)と、シンボルを受信したスタイラス2によってビット列に変換されない値(以下、「ビット列非対応値」と称する)とを含むことができる。後述の表1に示すように、前者にかかるシンボルは2のべき乗の個数の値をとり、「0001」などのビット列に対応付けることができる。こうしてビット列により表記される各シンボルのビット長は、拡散処理部63の仕様により決定される。一方、後者にかかるシンボルは1個以上(例えば2個)の値をとり、後述の表1に示すように「P」「M」などと表記されるビット列に対応付けられない値を取る。後述の表1に示す一例では、「P」と「M」はそれぞれ、所定の拡散符号列とその反転符号列とに対応付けられる。
検出パターンc1はビット列非対応値のパターンにより表される。具体的には、「PMPMPM・・・」のように2つのビット列非対応値「P」「M」の繰り返しにより構成される。
区切りパターンSTPは、上記連続送信期間の終了をスタイラス2に通知するためのシンボルのパターンであり、検出パターンc1の繰り返し中に現れないシンボルのパターンによって構成される。一例を挙げると、上記のように検出パターンc1を「PMPMPM・・・」のように2つのビット列非対応値「P」「M」の繰り返しで構成する場合、区切りパターンSTPは、ビット列非対応値「P」を2回連続させてなるパターン「PP」により構成することができる。区切りパターンSTPと検出パターンc1との構成を逆にして、区切りパターンを「PM」により構成して検出パターンc1を「PP」により構成してもよい。
スイッチ62は、ロジック部70から供給される制御信号ctrl_t2に基づいてパターン供給部61及びMCU80のいずれか一方を選択し、選択した一方の出力を拡散処理部63に供給する機能を有する。スイッチ62がパターン供給部61を選択した場合、拡散処理部63には検出パターンc1又は区切りパターンSTPが供給される。一方、スイッチ62がMCU80を選択した場合、拡散処理部63には、MCU80から制御情報c2が供給される。
制御情報c2は、スタイラス2への指示内容を示すコマンドを含む情報であり、MCU80によって生成される。制御情報c2は可変長のビット列に対応付けられるシンボルの値(例えば0〜15)を含み、スタイラス2との間でその値が事前に共有されていない点で、検出パターンc1とは異なっている。また、制御情報c2は、上述した所定ビット長の2のべき乗の個数(8値)の値を示す値「D」により示される点で、値「P」「M」とを含む検出パターンc1と異なっている。
符号列保持部64は、ロジック部70から供給される制御信号ctrl_t3に基づき、自己相関特性を有する11チップ長の拡散符号PNを生成して保持する機能を有する。符号列保持部64が保持している拡散符号PNは、拡散処理部63に供給される。
拡散処理部63は、スイッチ62を介して供給されるシンボルの値(拡散処理部63の処理により送信信号により表現される情報)に基づいて符号列保持部64によって保持される拡散符号PNを変調することにより、12チップ長の送信チップ列を得る機能を有する。以下、この機能について、具体例を挙げて説明する。
以下で説明する例では、検出パターンc1、区切りパターンSTP、制御情報c2のそれぞれを、ビット列対応値0〜15(対応ビット列「0000」〜「1111」)及びビット列非対応値「P」「M」の組み合わせによって構成するものとする。また、符号列保持部64が保持している拡散符号PNは「00010010111」であるとする。この場合、拡散処理部63は、以下の表1に従って、各シンボルの値(0〜15並びにP及びM)を送信チップ列に変換する。
表1に示すように、この例では、まずシンボルの値「P」は、拡散符号PN「00010010111」の先頭に「1」を付けてなる送信チップ列に変換される。またシンボルの値「0」〜「7」はそれぞれ、拡散符号PN「00010010111」を表1に示したシフト量で巡回シフトさせてなる符号列の先頭に「1」を付けてなる送信チップ列に変換される。その他のシンボルの値「M」「8」〜「15」はそれぞれ、シンボルの値「P」「0」〜「7」に対応する送信チップ列を反転させてなる送信チップ列に変換される。
拡散処理部63は、以上のような変換処理によって送信チップ列を取得し、送信ガード部65に供給するよう構成される。
送信ガード部65は、ロジック部70から供給される制御信号ctrl_t4に基づき、アップリンク信号USの送信期間と、スタイラス2からの信号を受信する受信期間との間に、送信動作と受信動作を切り替えるために送信と受信の両方を行わない期間であるガード期間を挿入する機能を有する。
選択部40は、ロジック部70の制御に基づいて、センサ30から信号を送信する送信期間と、センサ30により信号を受信する受信期間とを切り替えるスイッチである。具体的に説明すると、選択部40は、スイッチ44x,44yと、導体選択回路41x,41yとを含んで構成される。スイッチ44xは、ロジック部70から供給される制御信号sTRxに基づき、送信期間には、送信部60の出力端を導体選択回路41xの入力端に接続し、受信期間には、導体選択回路41xの出力端を受信部50の入力端に接続するよう動作する。スイッチ44yは、ロジック部70から供給される制御信号sTRyに基づき、送信期間には、送信部60の出力端を導体選択回路41yの入力端に接続し、受信期間には、導体選択回路41yの出力端を受信部50の入力端に接続するよう動作する。導体選択回路41xは、ロジック部70から供給される制御信号selXに基づき、複数の線状電極30Xのうちの1つ又は複数を選択し、選択したものをスイッチ44xに接続するよう動作する。導体選択回路41yは、ロジック部70から供給される制御信号selYに基づき、複数の線状電極30Yのうちの1つ又は複数を選択し、選択したものをスイッチ44yに接続するよう動作する。導体選択回路41x,41yによって複数の線状電極30X又は複数の線状電極30Yが選択されるのは、例えば、タッチ面3tの全面からアップリンク信号USを送信する場合である。
受信部50は、ロジック部70の制御信号ctrl_rに従い、方式A又は方式Bによってダウンリンク信号DSを受信するための回路であり、具体的には、増幅回路51、検波回路52、及び、アナログデジタル(AD)変換器53を含んで構成される。なお、ここで説明する受信部50の具体的な構成も例示であり、方式によって異なる場合がある。また、方式A,Bが互いに異なる構成の受信部50を必要とする場合、それぞれの構成を1つの受信部50内に併設し、選択的に動作させることとすればよい。受信部50が方式A,Bのいずれを用いるかはセンサコントローラ31の動作モードに応じて決定されるが、この点については後述する。
増幅回路51は、選択部40から供給されるダウンリンク信号DSを増幅して出力する。検波回路52は、増幅回路51の出力信号のレベルに対応した電圧を生成する回路である。AD変換器53は、検波回路52から出力される電圧を所定時間間隔でサンプリングすることによって、デジタル信号を生成する回路である。AD変換器53が出力するデジタル信号は、MCU80に供給される。
ロジック部70及びMCU80は、送信部60及び受信部50等の送受信動作を制御する制御部である。具体的に説明すると、MCU80は、内部にROMおよびRAMを有し、所定のプログラムに基づき動作するマイクロプロセッサである。一方、ロジック部70は、MCU80の制御に基づき、上述した各制御信号を出力するよう構成される。MCU80はまた、AD変換器53から供給されるデジタル信号に基づいてスタイラス2の位置を示す座標データx,y等を導出し、システムコントローラ32に対して出力する処理と、AD変換器53から供給されるデジタル信号が何らかのデータを示している場合には、そのデータを取得し、システムコントローラ32に対して出力する処理とを行うよう構成される。
図3は、本実施の形態におけるスタイラス2及びセンサコントローラ31のモード遷移図である。同図に示すように、本実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31は、未確定モードP、方式Aでの通信を行う動作モードA(第1の動作モード)、方式Bでの通信を行う動作モードB(第2の動作モード)のいずれかで動作するよう構成される。このうち未確定モードPは、通信相手となる装置を未だ検出していない状態を意味する。未確定モードPでは動作モードA,Bのいずれで動作すべきかが決定されておらず、後述するように、方式A,Bによる信号の送受信が交互に繰り返される。未確定モードPは、方式A,Bなどの複数の動作モードで交互に動作するデュアルモードと呼ぶこともできるし、いずれか1つのセンサコントローラ31又はスタイラス2を検出しているモードとしてディスカバリモードと呼ぶこともできる。なお、スタイラス2は、これら動作モードの遷移に応じてインジケータ26の表示を切り替える処理を行ってもよい。この点については、後述する第3の実施の形態で説明する。
ここで、図4及び図5を参照しながら、方式A,Bに対応するスタイラス2及びセンサコントローラ31が本発明の背景技術による動作を行うとした場合に生ずる課題について説明する。なお、図4及び図5を参照して説明するスタイラス2及びセンサコントローラ31の動作は、後に特に説明する点を除き、本実施の形態による動作においても実行される。
図4は、スタイラス2及びセンサコントローラ31が本発明の背景技術による動作を行うとした場合に、スタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図の例では、時刻t0で第1ペンダウンPD1が発生し、時刻t1で第2ペンダウンPD2が発生している。第1ペンダウンPD1が発生する前の時点でのスタイラス2及びセンサコントローラ31それぞれの動作モードは、図4に示すように、原則としていずれも未確定モードPとなる。
未確定モードPでは、スタイラス2は、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作及び方式Bによるアップリンク信号USの受信動作を交互に繰り返し、センサコントローラ31は、方式Aによるアップリンク信号USの送信動作、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作、方式Bによるアップリンク信号USの送信動作、及び方式Bによるダウンリンク信号DSの受信動作を順に繰り返す。ここで、各信号の受信動作及び送信動作は、それぞれについて予め定められた所定時間にわたって継続して実行される。この点は、後述する各信号の受信動作及び送信動作についても同様である。また、方式ごとに、センサコントローラ31によるアップリンク信号USの送信動作の周期とスタイラス2によるアップリンク信号USの受信動作の周期とは、いずれか一方が他方の倍数にならないように構成される。センサコントローラ31が送信したアップリンク信号USがスタイラス2に届いているにも関わらず、スタイラス2がいつまでもそれを受信できないという事態の発生を回避するためである。また、各方式による受信動作の継続時間(上記所定時間)は、後述する図6において時刻t1からスタイラス2が実行するアップリンク信号USの受信動作の継続時間と同じく、少なくとも対応するアップリンク信号USの送信周期(センサコントローラ31による送信の周期)以上の時間とすることが好ましい。また、スタイラス2の受信動作は、電源25(図1)の節約のため、図4にも示すように、受信動作が実行されない休止期間をおいて繰り返し実行されることが好ましい。
第1ペンダウンPD1及び第2ペンダウンPD2が発生することによるスタイラス2及びセンサコントローラ31のモード遷移として最も好ましいのは、時刻t0と時刻t1の間(つまり、第2ペンダウンPD2が発生する前)に、スタイラス2及びセンサコントローラ31がともに動作モードAとなることである。これは、スタイラス2が方式Aによるアップリンク信号USを受信し、それによって動作モードAでの動作を開始したスタイラス2により送信されるダウンリンク信号DSをセンサコントローラ31が受信し、それによってセンサコントローラ31も動作モードAでの動作を開始する、という一連の処理が時刻t0と時刻t1の間になされることによって実現される。
しかしながら、ユーザがスタイラス2を素早く操作し、時刻t0と時刻t1の間が短くなった場合などには、図4に例示するように、時刻t1を過ぎてもしばらくの間、スタイラス2がアップリンク信号USを受信できないという事態が発生し得る。図4の例では、時刻t1後の時刻t2になってようやくスタイラス2が方式Aによって送信されたアップリンク信号USを受信し、その結果としてスタイラス2が動作モードAとなり、その後の時刻t3で、方式Aによって送信されたダウンリンク信号DSを受信したセンサコントローラ31が動作モードAとなって、方式Aによるスタイラス2とセンサコントローラ31の間の通信が開始される。つまり、時刻t1で第2ペンダウンPD2が発生してから時刻t3で方式Aによるスタイラス2とセンサコントローラ31の間の通信が開始されるまでに、時間t3−t1分の遅延が発生してしまっている。この遅延の発生が、本実施の形態の背景技術における課題のひとつである。
図5も、スタイラス2及びセンサコントローラ31が本発明の背景技術による動作を行うとした場合に、スタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図の例は、スタイラス2の受信動作のタイミング(センサコントローラ31の送信動作に対する相対的なタイミング)の点で、図4に示した例と異なっている。
上記相違の結果として、図5の例では、時刻t2でスタイラス2が方式Bによって送信されたアップリンク信号USを受信し、動作モードBとなっている。これを受け、時刻t3ではセンサコントローラ31も動作モードBとなり、方式Bによってスタイラス2とセンサコントローラ31の間の通信が開始される。方式Bは方式Aに比べ優先順位が低いため、方式A,Bの両方に対応するスタイラス2及びセンサコントローラ31の間でこのように方式Bによる通信が開始されてしまうことは好ましくなく、早期に方式Aによる通信に切り替えることが望まれる。これが、本実施の形態の背景技術における課題の他のひとつである。
図6は、スタイラス2及びセンサコントローラ31が本実施の形態による動作を行うとした場合に、スタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図には特に、上述した遅延を回避するためのスタイラス2の動作を示している。
図6に示すように、スタイラス2は、時刻t1で第2ペンダウンPD2を検出した後、自身の動作モードが未だ未確定モードPであれば、直ちに方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を開始する。この受信動作は、方式Aによるアップリンク信号USを受信するまで、少なくともセンサコントローラ31の送信周期(図示した周期SP1)以上の時間にわたって継続される。これにより、もしセンサコントローラ31が方式Aによるアップリンク信号USを送信するものであるならば、スタイラス2は、センシング範囲SR(図1)から離脱しない限り、確実に方式Aによるアップリンク信号USを受信できることになる。しかも、第2ペンダウンPD2の発生後直ちに方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を開始しているので、第2ペンダウンPD2から方式Aによる通信が開始されるまでの遅延も最小限に止めることができる。
図7も、本実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図には特に、優先順位の低い方式Bによる通信が開始されてしまった後、優先順位の高い方式Aによる通信への切り替えるためのスタイラス2及びセンサコントローラ31の動作を示している。このような事態は、スタイラス2及びセンサコントローラ31が本実施の形態による動作を行う場合においても、例えば、時刻t0と時刻t1の間にスタイラス2が方式Bによるアップリンク信号USを受信した場合などに発生し得る。
図7に示すように、動作モードBでの動作を開始したスタイラス2は、任意の時刻t4で固有IDを含むダウンリンク信号DS(D1。第1の信号)を送信する。この任意の時刻t4は、センサコントローラ31からのアップリンク信号US又はその中に含まれるコマンドに応じた時刻としてもよいし、スタイラス2が動作モードBでの動作を開始した時刻t2に応じた時刻としてもよい。センサコントローラ31は、このダウンリンク信号DS(D1)を受信すると、復調及び復号によってその中に含まれる固有IDを取得する。そして、取得した固有IDに基づいてスタイラス2が方式Aにも対応しているか否かを判定し、対応していると判定した場合に、時刻t5で、動作モードAへの切り替え指示を示すコマンドを含むアップリンク信号US(D2。第2の信号)を送信する。スタイラス2は、時刻t6でこのアップリンク信号US(D2)を受信すると、復調及び復号によってその中に含まれる上記切り替え指示を取得する。そして、取得した切り替え指示に応じて、時刻t7で自身の動作モードを動作モードAに切り替える。
センサコントローラ31がアップリンク信号US(D2)を送信してからスタイラス2が動作モードAに移行するまでの所要時間は、スタイラス2の仕様の一部として予め決定しておくことができる。したがって、センサコントローラ31は、切り替え指示を受けたスタイラス2が動作モードAに移行する時刻t7を予め知ることができるので、時刻t7に合わせて自身の動作モードを動作モードAに切り替える処理を行う。これにより、スタイラス2とセンサコントローラ31の間で、優先順位の高い方式Aによる通信が開始される。
図8〜図10は、本実施の形態によるスタイラス2の動作を示す処理フロー図である。以下、これらの図を参照しながら、本実施の形態によるスタイラス2の動作について、より詳しく説明する。
図8に示すように、スタイラス2はまず、自身の動作モードを未確定モードPとする(ステップS11)。そして、方式Aでの受信開始タイミングの到来、方式Bでの受信開始タイミングの到来、第2ペンダウンの発生のそれぞれを検出する(ステップS12,S14)。方式Aでの受信開始タイミングが到来した場合、及び、第2ペンダウンが発生した場合、スタイラス2は、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS13)。第2ペンダウンが発生した場合のこの受信動作は、上述したように、方式Aによるアップリンク信号USを受信するまで、少なくともセンサコントローラ31の送信周期(図6に示した周期SP1)以上の時間にわたって継続される。また、方式Bでの受信開始タイミングが到来した場合には、スタイラス2は、方式Bによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS15)。
スタイラス2はまた、ステップS13又はステップS15で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたか否かを判定し(ステップS16)、ステップS13で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたと判定した場合(すなわち、方式Aによるアップリンク信号USが受信された場合)には自身の動作モードを動作モードAに切り替え(ステップS17)、ステップS15で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたと判定した場合(すなわち、方式Bによるアップリンク信号USが受信された場合)には自身の動作モードを動作モードBに切り替える(ステップS18)。
図9は、動作モードAでの動作を開始した後のスタイラス2の動作を示している。同図に示すように、スタイラス2は、送信開始タイミングの到来、受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS21,S23)。そして、送信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるダウンリンク信号DSの送信動作を起動し(ステップS22)、受信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS24)。
スタイラス2はまた、ステップS24で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたか否かを判定し(ステップS25)、受信されたと判定した場合には、ステップS21に戻って処理を繰り返す。一方、受信されなかったと判定した場合には、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS26)、処理を図8のステップS12に戻す。この処理は、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、スタイラス2を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
図10は、動作モードBでの動作を開始した後のスタイラス2の動作を示している。同図に示すように、スタイラス2は、送信開始タイミングの到来、受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS31,S33)。そして、送信開始タイミングが到来した場合には方式Bによるダウンリンク信号DSの送信動作を起動し(ステップS32)、受信開始タイミングが到来した場合には方式Bによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS34)。
スタイラス2はまた、ステップS34で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたか否かを判定し(ステップS35)、受信されたと判定した場合には、その中に動作モードAへの切り替え指示が含まれているか否かを判定する(ステップS36)。その結果、含まれていると判定した場合には、自身の動作モードを動作モードAに切り替え(ステップS37)、処理を図9のステップS21に移す。一方、含まれていないと判定した場合には、ステップS31に戻って処理を繰り返す。
ステップS35で受信されなかったと判定した場合には、スタイラス2は、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS38)、処理を図8のステップS12に戻す。この処理は、図9のステップS26と同様、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、スタイラス2を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
図11〜図13は、本実施の形態によるセンサコントローラ31が行う処理を示す処理フロー図である。以下、これらの図を参照しながら、本実施の形態によるセンサコントローラ31の動作について、より詳しく説明する。
図11に示すように、センサコントローラ31はまず、自身の動作モードを未確定モードPとする(ステップS41)。そして、方式Aでの受信開始タイミングの到来、方式Aでの送信開始タイミングの到来、方式Bでの受信開始タイミングの到来、方式Bでの送信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS42,S44,S46,S48)。方式Aでの受信開始タイミングが到来した場合、センサコントローラ31は、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS43)。同様に、センサコントローラ31は、方式Aでの送信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるアップリンク信号USの送信動作を起動し(ステップS45)、方式Bでの受信開始タイミングが到来した場合には方式Bによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動し(ステップS47)、方式Bでの送信開始タイミングが到来した場合には方式Bによるアップリンク信号USの送信動作を起動する(ステップS49)。
センサコントローラ31はまた、ステップS43又はステップS47で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定する(ステップS50)。そして、ステップS43で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたと判定した場合(すなわち、方式Aによるダウンリンク信号DSが受信された場合)には自身の動作モードを動作モードAに切り替え(ステップS51)、ステップS47で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたと判定した場合(すなわち、方式Bによるダウンリンク信号DSが受信された場合)には自身の動作モードを動作モードBに切り替える(ステップS52)。
図12は、動作モードAでの動作を開始した後のセンサコントローラ31の動作を示している。同図に示すように、センサコントローラ31は、送信開始タイミングの到来、受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS61,S63)。そして、送信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるアップリンク信号USの送信動作を起動し(ステップS62)、受信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS64)。
センサコントローラ31はまた、ステップS64で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定し(ステップS65)、受信されたと判定した場合には、ステップS61に戻って処理を繰り返す。一方、受信されなかったと判定した場合には、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS66)、処理を図11のステップS42に戻す。この処理は、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、センサコントローラ31を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
図13は、動作モードBでの動作を開始した後のセンサコントローラ31の動作を示している。同図に示すように、センサコントローラ31は、送信開始タイミングの到来、受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS71,S73)。そして、送信開始タイミングが到来した場合には方式Bによるアップリンク信号USの送信動作を起動し(ステップS72)、受信開始タイミングが到来した場合には方式Bによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS74)。
センサコントローラ31はまた、動作モードAへの切り替え指示をアップリンク信号USに含めて送信したか否かを判定し(ステップS75)、送信したと判定した場合には、スタイラス2が動作モードAに移行するタイミングに合わせて、自身の動作モードを動作モードAに切り替える(ステップS76)。その後は、図12のステップS61に移って処理を継続する。
ステップS75で送信していないと判定した場合、次にセンサコントローラ31は、ステップS74で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定する(ステップS77)。ここで受信されなかったと判定した場合、センサコントローラ31は、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS78)、処理を図11のステップS42に戻す。この処理は、図12のステップS66と同様、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、センサコントローラ31を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
ステップS77で受信したと判定した場合、センサコントローラ31は、受信したダウンリンク信号DSにスタイラス2が方式Aに対応していることを示す機能情報が含まれるか否かを判定する(ステップS79)。機能情報は、具体的には、上述したようにスタイラス2の固有IDの全部又は一部を示す情報である。ダウンリンク信号DSにスタイラス2が方式Aに対応していることを示す機能情報が含まれていると判定した場合、センサコントローラ31は、アップリンク信号USにより送信する情報のひとつとして、動作モードAへの切り替え指示を含むコマンドを設定する(ステップS80)。こうして設定されたコマンドは、次にステップS72が実行されるときに送信されることになる。そして、その後のステップS75では、動作モードAへの切り替え指示をアップリンク信号USに含めて送信したと判定される。これらの処理の結果として、スタイラス2及びセンサコントローラ31の双方が動作モードAに移行することになる。
以上説明したように、本実施の形態によるスタイラス2により実行される方法によれば、スタイラス2は、タッチ面3tへの接触後直ちに、方式Aによる信号の受信動作を起動することができる。したがって、タッチ面3tに接触してからスタイラス2が動作モードAに設定されるまでの時間を短縮することが可能になる。
また、本実施の形態によるスタイラス2とセンサコントローラ31とにより実行される方法によれば、スタイラス2の動作モードが方式Bによる信号の送受信を行う動作モードBであったとしても、スタイラス2が方式Aに対応していることを把握したセンサコントローラ31の指示により、スタイラス2の動作モードを動作モードAに切り替えることができる。したがって、スタイラス2とセンサコントローラ31の間で、方式Aによる通信を開始することが可能になる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31は、方式Bに代え、スタイラス2からセンサコントローラ31への一方向通信に対応する方式Cに対応している点で第1の実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31と異なり、その他の点では同様であるので、以下では相違点に着目して説明する。なお、方式Aには、方式Cより高い優先順位が設定される。
図14は、本実施の形態におけるスタイラス2及びセンサコントローラ31のモード遷移図である。同図に示すように、本実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31は、未確定モードP、方式Aでの通信を行う動作モードA(第1の動作モード)、方式Cでの通信を行う動作モードC(第2の動作モード)のいずれかで動作するよう構成される。
ここで、図15を参照しながら、方式A,Cに対応するスタイラス2及びセンサコントローラ31が本発明の背景技術による動作を行うとした場合に生ずる課題について説明する。なお、図15を参照して説明するスタイラス2及びセンサコントローラ31の動作は、後に特に説明する点を除き、本実施の形態による動作においても実行される。
図15は、スタイラス2及びセンサコントローラ31が本発明の背景技術による動作を行うとした場合に、スタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図の例でも、図4等の例と同様、時刻t0で第1ペンダウンPD1が発生し、時刻t1で第2ペンダウンPD2が発生している。第1ペンダウンPD1が発生する前の時点でのスタイラス2及びセンサコントローラ31それぞれの動作モードは、図15に示すように、原則としていずれも未確定モードPとなる。
未確定モードPでは、スタイラス2は、方式Cによるダウンリンク信号DSの送信動作と、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作とを交互に繰り返すよう構成される。ただし、図15の例では、消費電力低減のため、2回に1回の割合で、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作が省略されている。本発明では、このような動作も「方式Cによるダウンリンク信号DSの送信動作と、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作とを交互に繰り返す」動作に含まれる。また、センサコントローラ31は、方式Aによるアップリンク信号USの送信動作、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作と、方式Cによるダウンリンク信号DSの受信動作とを順に繰り返すよう構成される。ここで、スタイラス2が方式Cによるダウンリンク信号DSを送信する周期と、センサコントローラ31が方式Cによるダウンリンク信号DSを受信する周期とは、いずれか一方が他方の倍数にならないように構成される。スタイラス2が方式Aによるアップリンク信号USを受信する周期と、センサコントローラ31が方式Aによるアップリンク信号USを送信する周期とについても同様である。これは、一方の装置が送信した信号が他方の装置に届いているにも関わらず、他方の装置がいつまでもそれを受信できないという事態の発生を回避するためである。
図15の例でも、第1ペンダウンPD1及び第2ペンダウンPD2が発生することによるスタイラス2及びセンサコントローラ31のモード遷移として最も好ましいのは、時刻t0と時刻t1の間(つまり、第2ペンダウンPD2が発生する前)に、スタイラス2及びセンサコントローラ31がともに動作モードAとなることである。これは、図4の場合と同様に、スタイラス2が方式Aによるアップリンク信号USを受信し、それによって動作モードAでの動作を開始したスタイラス2により送信されるダウンリンク信号DSをセンサコントローラ31が受信し、それによってセンサコントローラ31も動作モードAでの動作を開始する、という一連の処理が時刻t0と時刻t1の間になされることによって実現される。
しかしながら、ユーザがスタイラス2を素早く操作し、時刻t0と時刻t1の間が短くなった場合やスタイラス2がアップリンク信号USを検出できなかった場合などには、図15に例示するように、時刻t1に至ってもスタイラス2がアップリンク信号USを受信できないままである、という事態が発生し得る。そこで、背景技術による動作によれば、スタイラス2は、動作モードAに移行しないまま時刻t1が経過した場合、直ちに自身の動作モードを動作モードCに切り替える。これにより、スタイラス2がもっぱら方式Cによるダウンリンク信号DSの送信動作を行うことになるので、センサコントローラ31もいずれ動作モードCに移行し、方式Cによるスタイラス2とセンサコントローラ31の間の通信が開始されることになる(時刻t2)。方式A,Cの両方に対応するスタイラス2及びセンサコントローラ31の間でこのように方式Cによる通信が開始されてしまうことは好ましくないので、そもそも方式Cによる通信が開始されないようにするか、又は、方式Cによる通信が開始されてしまったとしても早期に方式Aによる通信に切り替えることが望まれる。これらが、本実施の形態の背景技術における課題である。
図16は、スタイラス2及びセンサコントローラ31が本実施の形態による動作を行うとした場合に、スタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図には特に、動作モードAに移行しないまま時刻t1が経過したとしても、方式Cによる通信が開始されないようにするためのスタイラス2の動作を示している。
図16に示すように、スタイラス2は、時刻t1で第2ペンダウンPD2を検出した後、自身の動作モードが未だ未確定モードPであったとしても、動作モードCに移行することなく、直ちに方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する。この受信動作は、方式Aによるアップリンク信号USを受信するまで、少なくともセンサコントローラ31の送信周期(図示した周期SP2)以上の時間にわたって継続される。これにより、もしセンサコントローラ31が方式Aによるアップリンク信号USを送信するものであるならば、スタイラス2は、センシング範囲SR(図1)から離脱しない限り、確実に方式Aによるアップリンク信号USを受信できることになる。したがって、方式Cによる通信が開始されることはなく、方式Aによる通信を開始させることが可能になる。
図17も、本実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31の間で送受信される信号を示す図である。同図には特に、優先順位の低い方式Cによる通信が開始されてしまった後、優先順位の高い方式Aによる通信に切り替えるためのスタイラス2及びセンサコントローラ31の動作を示している。本実施の形態によるスタイラス2及びセンサコントローラ31を用いれば、図16を参照して説明したように方式Cによる通信が開始されることはないので、基本的にはここで説明する動作が必要となる場合はないはずであるが、何らかの理由によりスタイラス2がアップリンク信号USの受信に失敗してしまい、その結果として方式Cによる通信が開始されることもあり得る(例えば、後述する図18において、センサコントローラ31が方式Aによるアップリンク信号USを送信しているにも関わらず、スタイラス2がステップS108でその受信に失敗し、ステップS111で自身の動作モードを動作モードCと決定する場合など)ので、ここで説明する動作が必要となる。なお、ここではスタイラス2が動作モードCで動作していることを前提とするが、以下で説明する動作は、スタイラス2が未確定モードPで動作している場合においても同様である。
図17に示すように、動作モードCで動作しているスタイラス2は、自身が方式A,Cに対応していることを示す機能情報(具体的には、固有IDの全部又は一部)を含むダウンリンク信号DS(D3。第1の信号)を継続的に送信する。
第1ペンダウンPD1が発生した時刻t0の後の時刻t1でセンサコントローラ31がダウンリンク信号DS(D3)を受信すると、センサコントローラ31の動作モードが動作モードCに変化する。このとき、センサコントローラ31は、ダウンリンク信号DS(D3)内に含まれる固有IDに基づき、スタイラス2が対応している方式を判定する。そして、スタイラス2が方式Aに対応していると判定した場合、センサコントローラ31はそれ以後、ダウンリンク信号DSの送信が途切れる度に一時的に自身の動作モードを動作モードAに切り替え、方式Aによるアップリンク信号US(第2の信号)の送信を実行する。こうして送信されるアップリンク信号USは、動作モードAへの切り替え指示としての役割を有している。
スタイラス2は、センサコントローラ31が上記動作を行うのであればアップリンク信号USを送信するであろうタイミングで、方式Aによるアップリンク信号USの受信を試みる。具体的には、ダウンリンク信号DSの送信インターバルで、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を行えばよい。ただし、送信インターバルで必ず受信動作を行うこととすると電源25(図1)の消耗が大きくなるので、図17に示すように、例えば第2ペンダウンPD2(時刻t2)を検出した直後のダウンリンク信号DSの送信インターバル(時刻t3と時刻t4の間)で、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を行うようにすることが好適である。もちろん、第2ペンダウンPD2を検出する前の段階(第1ペンダウンPD1と第2ペンダウンPD2の間を含む)で方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を行うこととしてもよく、そうすることでスタイラス2は、時刻t2の到来前に方式Aによるアップリンク信号US(図17において時刻t1より後ろに位置する方式Aのアップリンク信号US)を検出することが可能になる。
スタイラス2は、時刻t4で方式Aによるアップリンク信号USを受信すると、自身の動作モードを動作モードAに切り替える。一方、センサコントローラ31は、方式Aによるアップリンク信号USを何度か送信した後、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信を試みる。図17の例では、2回目の送信の後にこの試行を実施しているが、1回目の送信の後に実行してもよいし、3回目以降の送信の後に実行してもよい。また、複数回にわたって、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信を試みることとしてもよい。こうして方式Aによるダウンリンク信号DSの受信を試みた結果、時刻t5で実際に方式Aによるダウンリンク信号DSを受信したセンサコントローラ31は、それに応じて自身の動作モードを動作モードAに切り替え、それ以降、動作モードAで動作を行う。これにより、スタイラス2とセンサコントローラ31の間で方式Aによる通信が開始される。
図18〜図20は、本実施の形態によるスタイラス2の動作を示す処理フロー図である。以下、これらの図を参照しながら、本実施の形態によるスタイラス2の動作について、より詳しく説明する。
図18に示すように、スタイラス2はまず、自身の動作モードを未確定モードPと決定する(ステップS101)。そして、方式Aでの受信開始タイミングの到来、方式Cでの送信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS102,S104)。方式Aでの受信開始タイミングが到来した場合、スタイラス2は、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS103)。また、方式Cでの送信開始タイミングが到来した場合、スタイラス2は、方式Cによるダウンリンク信号DSの送信動作を起動する(ステップS105)。
スタイラス2はまた、ステップS103で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたか否かを判定し(ステップS106)、受信されたと判定した場合(すなわち、方式Aによるアップリンク信号USが受信された場合)には自身の動作モードを動作モードAに切り替える(ステップS110)。
スタイラス2は、ステップS106による判定と並行して第2ペンダウンPD2が発生したか否かも判定し(ステップS107)、発生したと判定した場合には、ステップS103における定期的な受信動作とは別に、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS108)。この受信動作は、上述したように、方式Aによるアップリンク信号USを受信するまで、少なくともセンサコントローラ31の送信周期(図16に示した周期SP2)以上の時間にわたって継続される。そして、この受信動作によりアップリンク信号USが受信されたか否かを判定し(ステップS109)、受信されたと判定した場合には、自身の動作モードを動作モードAに切り替える(ステップS110)一方、受信しなかったと判定した場合には、自身の動作モードを動作モードCに切り替える(ステップS111)。ステップS107で第2ペンダウンPD2が発生していないと判定した場合には、ステップS102に戻って処理を続ける。
図19は、動作モードAでの動作を開始した後のスタイラス2の動作を示している。同図に示すように、スタイラス2は、送信開始タイミングの到来、受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS121,S123)。そして、送信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるダウンリンク信号DSの送信動作を起動し(ステップS122)、受信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS124)。
スタイラス2はまた、ステップS124で開始した受信動作によりアップリンク信号USが受信されたか否かを判定し(ステップS125)、受信されたと判定した場合には、ステップS121に戻って処理を繰り返す。一方、受信されなかったと判定した場合には、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS126)、処理を図18のステップS102に戻す。この処理は、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、スタイラス2を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
図20は、動作モードCでの動作を開始した後のスタイラス2の動作を示している。同図に示すように、スタイラス2は、送信開始タイミングの到来の検出を行い(ステップS131)、送信開始タイミングが到来した場合に方式Cによるダウンリンク信号DSの送信動作を起動する(ステップS132)。
スタイラス2はまた、ステップS131による検出と並行して第2ペンダウンPD2が発生したか否かの判定も行い(ステップS133)、発生したと判定した場合に、センサコントローラ31によるアップリンク信号USの送信が期待されるタイミングで、方式Aによるアップリンク信号USの受信動作を起動する(ステップS134)。この期待されるタイミングは、例えば方式Cによるダウンリンク信号DSの送信インターバルである。そして、方式Aによるアップリンク信号USを受信した場合には、自身の動作モードを動作モードAに切り替え(ステップS136)、処理を図19のステップS121に移す。方式Aによるアップリンク信号USを受信しなかった場合には、ステップS131に戻って動作モードCでの処理を続ける。ステップS133で第2ペンダウンPD2が発生していないと判定した場合にも、ステップS131に戻って処理を続ける。
図21〜図24は、本実施の形態によるセンサコントローラ31が行う処理を示す処理フロー図である。以下、これらの図を参照しながら、本実施の形態によるセンサコントローラ31の動作について、より詳しく説明する。
図21に示すように、センサコントローラ31はまず、自身の動作モードを未確定モードPと決定する(ステップS141)。そして、方式Aでの受信開始タイミングの到来、方式Aでの送信開始タイミングの到来、方式Cでの受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS142,S144,S146)。方式Aでの受信開始タイミングが到来した場合、センサコントローラ31は、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS143)。同様に、センサコントローラ31は、方式Aでの送信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるアップリンク信号USの送信動作を起動し(ステップS145)、方式Cでの受信開始タイミングが到来した場合には方式Cによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS147)。
センサコントローラ31はまた、ステップS143又はステップS147で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定し(ステップS148)、ステップS143で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたと判定した場合(すなわち、方式Aによるダウンリンク信号DSが受信された場合)には、自身の動作モードを動作モードAに切り替える(ステップS149)。一方、ステップS147で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたと判定した場合(すなわち、方式Cによるダウンリンク信号DSが受信された場合)には、自身の動作モードを動作モードCに切り替えたうえで(ステップS150)、そのダウンリンク信号DSにスタイラス2が方式Aに対応していることを示す機能情報(具体的には、固有IDの全部又は一部)が含まれるか否かを判定する(ステップS151)。ダウンリンク信号DSにスタイラス2が方式Aに対応していることを示す機能情報が含まれていないと判定した場合、センサコントローラ31は処理を図23のステップS171に移し、方式Cによる通常動作を開始する。一方、含まれていると判定した場合には、処理を図24のステップS181に移し、スタイラス2を動作モードAに移行させるための処理を実行する。
図22は、動作モードAでの動作を開始した後のセンサコントローラ31の動作を示している。同図に示すように、センサコントローラ31は、送信開始タイミングの到来、受信開始タイミングの到来のそれぞれを検出する(ステップS161,S163)。そして、送信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるアップリンク信号USの送信動作を起動し(ステップS162)、受信開始タイミングが到来した場合には方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS164)。
センサコントローラ31はまた、ステップS164で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定し(ステップS165)、受信されたと判定した場合には、ステップS161に戻って処理を繰り返す。一方、受信されなかったと判定した場合には、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS166)、処理を図21のステップS142に戻す。この処理は、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、センサコントローラ31を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
図23は、動作モードCでの動作を開始した後のセンサコントローラ31の動作を示している。同図に示すように、センサコントローラ31は、受信開始タイミングの到来を検出する(ステップS171)。そして、受信開始タイミングが到来した場合に、方式Cによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS172)
センサコントローラ31はまた、ステップS172で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定し(ステップS173)、受信されたと判定した場合には、ステップS171に戻って処理を繰り返す。一方、受信されなかったと判定した場合には、自身の動作モードを未確定モードPに戻すとともに(ステップS174)、処理を図21のステップS142に戻す。この処理は、図22のステップS166と同様、スタイラス2がタッチ面3tから離れた場合に、センサコントローラ31を未確定モードPに戻すために実行されるものである。
図24は、図21のステップS150で、スタイラス2が方式Cによって送信したダウンリンク信号DSにスタイラス2が方式Aに対応していることを示す機能情報(具体的には、スタイラス2が方式Aに対応していることを示す固有ID)が含まれていた場合のセンサコントローラ31の動作を示している。この場合、上述したように、センサコントローラ31はスタイラス2を動作モードAに移行させるための動作を行う。
具体的には、センサコントローラ31はまず、方式Cによるダウンリンク信号DSの受信開始タイミングの到来を検出する(ステップS181)。そして、受信開始タイミングが到来した場合に、方式Cによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS182)。
センサコントローラ31はまた、ダウンリンク信号DSの送信が途切れたか否かについての判定を行う(ステップS183)。センサコントローラ31は、ダウンリンク信号DSの受信が終了したときにこの判定を行い、その時点で次のダウンリンク信号DSの受信開始タイミングが始まるまでの間に所定時間以上の間がある場合に、送信が途切れたと判定する。
ステップS183で送信が途切れていないと判定した場合、センサコントローラ31は、ステップS181に戻って処理を続ける。一方、送信が途切れたと判定した場合には、自身の動作モードを動作モードAに切り替え(ステップS184)、方式Aによるアップリンク信号の送信動作を起動する(ステップS185)。そして、この送信動作による送信回数が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS186)。
ステップS186で所定回数に達したと判定した場合、センサコントローラ31は、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信開始タイミングの到来を検出する(ステップS187)。このタイミングは、方式Aによるアップリンク信号USを受信したスタイラス2が、方式Aによるダウンリンク信号DSの送信を開始するタイミングである。センサコントローラ31は、受信開始タイミングが到来した場合に、方式Aによるダウンリンク信号DSの受信動作を起動する(ステップS188)。
続いてセンサコントローラ31は、ステップS188で開始した受信動作によりダウンリンク信号DSが受信されたか否かを判定し(ステップS189)、受信されたと判定した場合には、自身の動作モードを動作モードAに切り替えた後(ステップS192)、処理を図22のステップS161に移す。これにより、スタイラス2とセンサコントローラ31との間で方式Aによる通信が開始される。
ステップS186で所定回数に達していないと判定した場合、又は、ステップS189で受信されなかったと判定した場合、センサコントローラ31は自身の動作モードを動作モードCに切り替える(ステップS190)。そして、ステップS188で受信動作を試みた回数が所定回数に達したか否かを判定し(ステップS191)、達したと判定した場合には、処理を図23のステップS171に移す。これは、いつまでも方式Aによるダウンリンク信号DSが受信されないことからセンサコントローラ31が方式Aによる通信を断念した場合に相当し、スタイラス2とセンサコントローラ31との間で方式Cによる通信が開始される。一方、ステップS190で達していないと判定した場合、センサコントローラ31はステップS181に戻って処理を継続する。
以上説明したように、本実施の形態によるスタイラス2により実行される方法によっても、スタイラス2は、タッチ面3tへの接触後直ちに、方式Aによる信号の受信動作を起動することができる。したがって、タッチ面3tに接触してからスタイラス2が動作モードAに設定されるまでの時間を短縮することが可能になる。
また、本実施の形態によるスタイラス2とセンサコントローラ31とにより実行される方法によれば、スタイラス2の動作モードが方式Cによる信号の一方向送信を行う動作モードCであったとしても、スタイラス2が方式Aに対応していることを把握したセンサコントローラ31の指示(具体的には、方式Aによるアップリンク信号USの送信)により、スタイラス2の動作モードを動作モードAに切り替えることができる。したがって、スタイラス2とセンサコントローラ31の間で、方式Aによる通信を開始することが可能になる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態によるスタイラス2は、自身の動作モードに応じてインジケータ26の表示内容が制御可能とされている点で、第1及び第2の実施の形態によるスタイラス2と相違する。その他の点及びセンサコントローラ31の構成については第1又は第2の実施の形態と同様であるので、以下では相違点に着目して説明する。
本実施の形態によるスタイラス2の信号処理部24は、第1及び第2の実施の形態で説明したようにして決定した動作モードによって異なる表示を行うよう、インジケータ26を制御する。つまり、第1の方式による信号を送信する第1の動作モードで動作を行う場合と、第2の方式による信号を送信する第2の動作モードで動作する場合とで異なる表示を行うよう、インジケータ26を制御する。また、第1の動作モードで動作を行うか、又は、第2の動作モードで動作するかを決定する前の段階、すなわち、上述した未確定モードで動作する場合においては、第1及び第2の動作モードのいずれとも異なる表示を行うようにインジケータ26を制御する。これによれば、例えば第1の方式によるアップリンク信号USを受信した場合の信号処理部24は、自身の動作モードが第1の動作モードとなることによって、第1の動作モードに対応する表示を行うようにインジケータ26を制御することになる。
第1及び第2の実施の形態で説明したようにスタイラス2の動作モードがアップリンク信号USや筆圧を検出する都度切り替わるとすれば、ユーザは、今どの動作モードで動いているのかを把握することが困難になる。例えば、電子機器3とスタイラス2とが同じ動作モードであるにもかかわらず動かない場合など、何が起こっているのか把握することができない。本実施の形態によるスタイラス2によれば、ユーザは、インジケータ26を確認することによって、スタイラス2(及びセンサコントローラ31)が今どの動作モードで動作しているのかを知ることが可能になる。
インジケータ26の具体的な表示内容としては、種々のものが考えられる。例えば、インジケータ26が複数色で発光可能な発光ダイオードである場合であれば、未確定モードPのときに赤色点灯し、第1の動作モードのとき青色点灯し、第2の動作モードのときに緑色点灯する、というように動作モードごとに異なる色で点灯するようにインジケータ26の表示内容を制御することが考えられる。また、インジケータ26が単色で発光可能な発光ダイオードである場合であれば、未確定モードPのときには所定周期でオンオフを繰り返し、第1の動作モードのときには、第1の動作モードに切り替わったタイミングで上記所定周期より短い間隔で2回オンオフしてその後は消灯し、第2の動作モードのときには、第2の動作モードに切り替わったタイミングで1回だけオンオフしてその後は消灯する、というように、点滅と消灯を組み合わせてンジケータ26の表示内容を制御することが考えられる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
例えば、上記実施の形態においては、スタイラス2は電極21(図1)を通じてアップリンク信号USを受信するものとしたが、例えばBlueTooth(登録商標)等の別途の無線通信手段により、アップリンク信号USを受信するものとしてもよい。また、アップリンク信号US(第1の方式による信号)は、スタイラス2が検出できる信号であればよく、送信電極と受信電極との相互容量を利用した指タッチの検出を実行するセンサコントローラ31が送信電極に供給する送信信号をアップリンク信号USとして利用するような場合も含まれる。
また、上記実施の形態では、スタイラス2及びセンサコントローラ31は、ある動作モードで動作を始めた後、受信されるべき信号が受信されない場合に直ちに未確定モードPに戻ることとした(図9のステップS26、図10のステップS38、図12のステップS66、図13のステップS78、図19のステップS126、図22のステップS166、図23のステップS174)が、直ちに未確定モードPに戻るのではなく、例えば所定回数にわたって受信されない場合に未確定モードPに戻ることとしてもよい。
上記実施の形態では、複数の方式を最適化するように切り替えることを説明したが、本発明は、第2の方式として古いバージョンで動作する動作モードから、機能情報を用いてより新しいバージョンで動作する他の動作モードに切り替えるような場合にも適用可能であることは言うまでもない。