JP6362816B1 - 到来方向推定装置 - Google Patents

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Abstract

到来方向推定装置(1)は、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況が想定される場合、最尤推定法の評価関数を用いて推定した到来波数と固有値分布から推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。

Description

この発明は、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを適応的に切り替える到来方向推定装置に関する。
到来波の到来方向を推定するアルゴリズムとして、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)およびESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)が知られている。これらは、到来方向を高い分解能で推定することが可能である。
ただし、都市部などでは、反射によって相関のある複数の到来波が受信されることがある。この場合、前述のアルゴリズムでは、相関のある到来波同士を高精度に分離できないため、到来方向の推定精度が劣化する。
この対処方法として、従来から、空間平均法(Spatial Smoothing Preprocessing)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
空間平均法は、アレーアンテナの素子アンテナ配置における空間的な対称性を利用して互いに相似な複数のサブアレーアンテナを定義し、複数のサブアレーアンテナで到来波間の相関を示す相関行列を算出する。そして、これらの相関行列を平均することで、到来波間の相関を抑圧する手法である。
T.J.Shan and T.Kailath, " Adaptive Beamforming for Coherent Signals and Interferences, " IEEE Trans. Acoust., Speech & Signal Processing, vol.ASSP−33, No3, pp.527−536, June 1985.
空間平均法は、相関のある到来波でない場合、かえって推定精度が劣化する。
このように、従来では、相関波で適切な推定が行えるアルゴリズムを採用すると、無相関波における推定精度の劣化が懸念され、無相関波で適切な推定が行えるアルゴリズムを採用すると、相関波における推定精度の劣化が懸念されるという課題があった。
この発明は上記課題を解決するもので、到来方向推定アルゴリズムを、到来波間の相関の有無に応じた適切なアルゴリズムに適応的に切り替えることができる到来方向推定装置を得ることを目的とする。
この発明に係る到来方向推定装置は、第1の推定部、第2の推定部、第1の相関判定部、評価関数算出部、ばらつき算出部、第2の相関判定部および切り替え部を備えている。
第1の推定部は、到来波の相関行列を用いたビームフォーミングで得られたビームのピーク数に基づいて到来波数を推定する。第2の推定部は、相関行列を固有値展開して得られた固有値の数に基づいて到来波数を推定する。第1の相関判定部は、第1の推定部が推定した到来波数と第2の推定部が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。評価関数算出部は、ビームのピーク値に対応する角度を含む角度範囲で最尤推定法の評価関数値を算出する。ばらつき算出部は、評価関数算出部が算出した評価関数値のばらつきの指標値を算出し、指標値に基づいて到来波数を推定する。第2の相関判定部は、第2の推定部が推定した到来波数とばらつき算出部が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。切り替え部は、判定された到来波間の相関の有無に応じて、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える。
この発明によれば、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況が想定される場合、最尤推定法の評価関数を用いて推定した到来波数と固有値分布から推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。これにより、到来波間の相関の有無を精度よく判定できるので、到来方向推定アルゴリズムを、到来波間の相関の有無に応じた適切なアルゴリズムに適応的に切り替えることができる。このようにすることで、到来方向推定アルゴリズムを固定した構成と比較して、到来波の到来方向を精度よく推定でき、到来波同士の分離も精度よく行うことができる。
この発明の実施の形態1に係る到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。 図2Aは、実施の形態1に係る到来方向推定装置の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2Bは、実施の形態1に係る到来方向推定装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態1に係る到来方向推定装置による動作を示すフローチャートである。 到来波間に相関がない場合にビームフォーミングで得られたビームの例を示すグラフである。 到来波間に相関がある場合にビームフォーミングで得られたビームの例を示すグラフである。 到来波間に相関がある場合にビームフォーミングで得られたビームの他の例を示すグラフである。 到来波の相関行列を固有値展開して得られた固有値分布の例を示すグラフである。 図8Aは、到来波が1波であるときのビームの例を示す図である。図8Bは、相関のある複数の到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来したときのビームの例を示す図である。 図9Aは、到来波が1波ずつ複数のピークのそれぞれに到来したときのビームの例を示す図である。図9Bは、相関のある複数の到来波が複数のピークのそれぞれに到来したときのビームの例を示す図である。 図10Aは、相関のない到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来したときのビームの例を示す図である。図10Bは、相関のある到来波の組と相関のない到来波とがビーム幅よりも狭い離角で到来したときのビームの例を示す図である。 到来波が2波であるときの最尤推定法の評価関数算出結果を示すグラフである。 到来波が1波であるときの最尤推定法の評価関数算出結果を示すグラフである。 最尤推定法の評価関数値を算出した3点を、図11中に当てはめた様子を示すグラフである。 最尤推定法の評価関数値を算出した3点を、図12中に当てはめた様子を示すグラフである。 到来波の離角に対する到来角の推定二乗誤差と相関判定成功率との数値シミュレーション結果を示すグラフである。 到来波の離角に対する到来波の分離確率と相関判定成功率との数値シミュレーション結果を示すグラフである。 この発明の実施の形態2に係る到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る到来方向推定装置による動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態3に係る到来方向推定装置による動作を示すフローチャートである。 到来波の相関行列を固有値展開して得られた固有値分布と、空間平均型相関行列を固有値展開して得られた固有値分布とを示すグラフである。
以下、この発明をより詳細に説明するため、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る到来方向推定装置1の構成を示すブロック図である。波源2−1〜2−Kは、到来方向θが未知である信号を放射している信号源、あるいは他の波源から放射された信号を反射している反射体である。
また、K個の波源からの信号が受信アンテナ3−1〜3−Lに到来した場合、到来波の波数はKとなる。
受信アンテナ3−1〜3−Lは、アレーアンテナを構成している素子アンテナであり、到来方向θが未知である信号を受信する。素子アンテナ数はL個である。
信号受信部4は、受信アンテナ3−1〜3−Lにより受信された到来波のRF(Radio Frequency)信号に対して各種の信号処理を行って、デジタル信号であるベースバンド複素信号を生成する。各種の信号処理としては、例えば、信号の増幅処理、帯域通過フィルタ処理、周波数変換処理、A/D変換処理などが挙げられる。
このように生成されたベースバンド複素信号は、信号受信部4から相関行列生成部5に出力される。
相関行列生成部5は、信号受信部4から入力したベースバンド複素信号を用いて到来波の相関行列を生成する。
ビーム形成部6は、上記相関行列とモードベクトルとを用いて、ビームフォーミングを行って受信ビームを形成する。
ピーク数抽出部7は、ビームフォーミングで得られた受信ビームのスペクトルの電力と閾値とを比較して閾値よりも大きな電力のピークを抽出する。このように抽出されたピークの数が到来波数と推定される。
すなわち、相関行列生成部5、ビーム形成部6およびピーク数抽出部7は、この発明における第1の推定部に相当する。
信号固有値抽出部8は、上記相関行列を固有値展開して得られた信号固有値の数に基づいて到来波数を推定する。すなわち、相関行列生成部5と信号固有値抽出部8とが、この発明における第2の推定部に相当する。
相関判定部9は、この発明における第1の相関判定部に相当する構成要素であり、ピーク数抽出部7により推定された到来波数と信号固有値抽出部8により推定された到来波数とに基づいて、到来波間の相関の有無を判定する。
具体的には、前者が後者よりも大きい場合は信号固有値が縮退していると考えられるので、到来波間に相関があると判定する。一方、前者が後者以下の場合は、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況も考えられるので、相関判定を行わない。
なお、ビーム幅とは、アレーアンテナにおける受信ビームの最大放射方向電力の半値になる角度である。
評価関数算出部10は、相関判定部9が判定を行わない場合、受信ビームのピーク値に対応する角度を含む角度範囲で最尤推定法の評価関数値を算出する。
なお、評価関数算出部10は、ばらつき算出部11から設定された到来波数を用いて、評価関数値を算出する。
ばらつき算出部11は、評価関数算出部10が算出した評価関数値のばらつきの指標値を算出し、指標値に基づいて到来波数を推定する。
例えば、ばらつき算出部11は、指標値と閾値とを比較して、指標値が閾値よりも小さい場合、到来波数の推定値が真の到来波数よりも多いと判定して、到来波数の推定値から1を減算した値を最終的な推定値とする。
一方、ばらつき算出部11は、指標値が閾値以上である場合、到来波数の推定値が真の到来波数よりも少ないと判定し、1を加算した推定値を評価関数算出部10に設定する。そして、設定した推定値を用いて評価関数算出部10により算出された評価関数値の指標値を算出し、この指標値と閾値とを比較する。ばらつき算出部11は、これら一連の処理を、到来波数の推定値が真の到来波数よりも多くなるまで繰り返す。
なお、指標値としては、評価関数値の分散値、標準偏差および平均値のうちのいずれかが挙げられる。
相関判定部12は、この発明における第2の相関判定部に相当する構成要素であって、信号固有値抽出部8が推定した到来波数とばらつき算出部11が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。例えば、ばらつき算出部11が推定した到来波数が1、もしくは、ばらつき算出部11が推定した到来波数が2以上でかつ信号固有値抽出部8が推定した到来波数と等しい場合は、到来波間に相関がないと判定される。一方、これらの到来波数が上記以外の値となる場合は、到来波間に相関があると判定される。
切り替え部13は、判定された到来波間の相関の有無に応じて到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える。例えば、相関判定部9もしくは相関判定部12によって到来波間に相関があると判定された場合に、切り替え部13は、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、空間平均型MUSICまたは最尤推定法のアルゴリズムに切り替える。一方、到来波間に相関がないと判定された場合は、切り替え部13は、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、通常のMUSIC、ESPRIT、Root−MUSICまたはCAPONのアルゴリズムに切り替える。
なお、空間平均型MUSICまたは最尤推定法のアルゴリズムでは、到来波が相関波である場合に高い推定精度を確保することができる。また、通常のMUSIC、ESPRIT、Root−MUSICまたはCAPONのアルゴリズムは、到来波間に相関がない場合に高い推定精度を確保することができる。
また、図2Aは、到来方向推定装置1の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2Bは、到来方向推定装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。到来方向推定装置1における信号受信部4は、図2Aおよび図2Bに示す受信装置101であり、到来方向の推定結果は、インタフェース102から表示器などに出力される。
到来方向推定装置1における相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、信号固有値抽出部8、相関判定部9、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12および切り替え部13の各機能は、処理回路により実現される。
すなわち、到来方向推定装置1は、各機能の動作行うための処理回路を備えている。
処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
処理回路が、図2Aに示す専用のハードウェアの処理回路100である場合、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。
また、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、信号固有値抽出部8、相関判定部9、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12および切り替え部13の各機能をそれぞれ処理回路で実現してもよいし、各機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が、図2Bに示すプロセッサ103である場合、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、信号固有値抽出部8、相関判定部9、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12および切り替え部13の各機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
ソフトウェアとファームウェアとは、プログラムとして記述されてメモリ104に格納される。プロセッサ103は、メモリ104に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各機能を実現する。すなわち、到来方向推定装置1は、処理回路により実行されるときに、各機能の動作のステップが結果的に実行されるプログラムを格納するためのメモリ104を備えている。また、これらのプログラムは、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、信号固有値抽出部8、相関判定部9、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12および切り替え部13の手順または方法を、コンピュータに実行させるものである。
メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)といった不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)が該当する。
相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、信号固有値抽出部8、相関判定部9、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12および切り替え部13の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7および信号固有値抽出部8は、専用のハードウェアの処理回路100によりその機能を実現する。そして、相関判定部9、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12および切り替え部13は、プロセッサ103がメモリ104に格納されたプログラム実行することによりその機能を実現する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって前述した機能を実現することができる。
次に動作について説明する。
図3は、到来方向推定装置1による動作を示すフローチャートであり、到来波間の相関の有無に応じて到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える一連の処理を示している。
信号受信部4は、受信アンテナ3−1〜3−Lによって受信された到来波のRF信号に対して各種の信号処理を行い、デジタル信号であるベースバンド複素信号を生成する。
相関行列生成部5は、信号受信部4により生成されたベースバンド複素信号を取得する(ステップST1)。
次に、相関行列生成部5は、ベースバンド複素信号から特定される全ての受信アンテナ3−1〜3−Lの受信信号ベクトルを用いて到来波の相互相関行列を生成する(ステップST2)。ここで、相関行列生成部5は、下記式(1)に従って到来波の相関行列Rxxを生成する。また、受信信号ベクトルをx(t)(={x(t),x(t),・・・,x(t)})とし、受信信号のサンプリング点数をNとする。添え字nはサンプリング時間ごとに付与された番号を示しており、は複素共役転置(エルミート転置)である。
Figure 0006362816
ビーム形成部6は、相関行列生成部5により生成された相関行列Rxxとモードベクトルa(θ)とを用いたビームフォーミングを行って受信ビームを形成する(ステップST3a−1)。ここで、ビームフォーミングで得られた受信ビームのスペクトルPBeamは下記式(2)のように定式化される。
Beam=(a(θ)xxa(θ))/(a(θ)a(θ)) (2)
上記式(2)においてPBeamをθに関して掃引することで、ピーク値に対応するθが到来方向として推定される。例えば、受信アンテナ3−1〜3−Lがリニアアレーであると仮定した場合、上記スペクトルは、到来波が1波のときには下記式(3)、到来波が2波のときには下記式(4)で解析的に表すことができる。
ただし、P、Pは到来波の電力であり、θ、θは到来波の到来方向である。
また、Lは素子アンテナ数であり、dは素子アンテナ間隔である。さらに、λは到来波の波長であり、σは雑音電力である。
このように算出された受信ビームのスペクトルはピーク数抽出部7へ出力される。
Figure 0006362816

Figure 0006362816
次に、ピーク数抽出部7は、上記スペクトルと閾値とに基づいて到来波数を推定する(ステップST3a−2)。すなわち、ピーク数抽出部7は、PBeamと閾値ThBeamとを比較して閾値ThBeamよりも大きな電力値を有するピークの数NBeamを、到来波数の推定値とする。
図4は、ビームフォーミングで得られたビームの例を示すグラフである。
図4のスペクトルは、7個の素子アンテナが等間隔に並ぶリニアアレーに対し、ともにSNRが20dBの互いに相関がない到来波が、到来方向θ=0°、θ=40°から到来している場合を示している。閾値ThBeamは、スペクトルの最大値から−10dBの範囲を示しており、この範囲に含まれるピークが抽出される。
図4から明らかなように、閾値ThBeamを適切に設定することで、到来波数と同数のピークを抽出することができる。なお、前述の到来波数の推定は、到来波間に相関がある場合であっても適用可能である。
例えば、互いに相関がある2波が到来しているとき、到来波間の相関係数ρは、下記式(5)のように大きさρと位相φとを有する値として表すことができる。
ρ=ρexp(iφ) (5)
また、ビームフォーミングで得られた受信ビームのスペクトルPBF(θ)は下記式(6)のように表すことができる。
Figure 0006362816
ここで、上記式(6)における(a(θ)a(θ))(a(θ)a(θ))は、下記式(7)と表され、(a(θ)a(θ))(a(θ)a(θ))は、下記式(8)と表される。
Figure 0006362816

Figure 0006362816
上記式(6)から、到来波間に相関がある場合、スペクトルPBF(θ)は、相関係数の大きさと位相とに依存して変化する。
ここで、上記式(7)を上記式(6)に代入してスペクトルを数値的に算出した結果が図5であり、相関係数が0.5であり、相関係数の位相がπ、π/2、π/3である場合を示している。また、上記式(8)を上記式(6)に代入してスペクトルを数値的に算出した結果が図6であり、相関係数が1(完全相関波)であり、同様に、相関係数の位相がπ、π/2、π/3である場合を示している。さらに、到来方向は、図4と同様にθ=0°、θ=40°と仮定している。
図5および図6から明らかなように、到来波間に相関があっても、スペクトルパターンに多少の揺らぎは生じるが、スペクトルは真値方向にピークを有している。
図4に示した到来波間に相関がない場合と同様の大きさの閾値を設定することにより、到来波数の推定も可能である。
すなわち、ビームフォーミングを用いれば、到来波間の相関の有無によらずに到来波数を推定することができる。
一方、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来していると、到来波同士のピークが結合して到来波数を正確に推定することができない。すなわち、ビームフォーミングで1つのピークを抽出したとき、ピークが結合して1つのピークしか抽出できないのか、そもそも到来波が1波しか到来していないのかを区別することができない。
ピーク数抽出部7は、前述のように推定した到来波数NBeamと、ピーク値に対応する角度Θ=[θ01,θ02,・・・,θ0NBeam]を相関判定部9へ出力する。
なお、ビーム幅θBW(deg)は、下記式(9)で表すことができる。下記式(9)において、λは波長(m)、Dはアレーアンテナの開口径(m)である。
θBW=(180/π)(λ/D) (9)
ステップST3b−1において、信号固有値抽出部8は、相関行列Rxxを固有値展開して得られた固有値の数に基づいて到来波数を推定する。以下に詳細を述べる。
雑音が白色雑音であると仮定すると、相関行列Rxxは、下記式(10)で表すことができる。ここで、Aは、K個のモードベクトルを列とした下記式(11)に示すL×K行列であり、モード行列と呼ばれている。Sは波源相関行列であり、Iは単位行列、σは雑音電力である。
xx=ASA+σI (10)
A=[a(θ),a(θ),・・・,a(θ)] (11)
また、到来波の相関行列Rxxは、下記式(12)から得られる固有値λと、これに対応する固有ベクトルeとを用いて、下記式(13)に示すように固有値展開することができる。行列Eは、下記式(14)に示す行列であり、Λは、下記式(15)で表される。
なお、Rxxは正定値エルミート行列であるので、λ≧λ≧・・・≧λ(≧0)と定義される。
xx=(ASA+σI)e=λ (12)
Figure 0006362816
E=[e,e,・・・,e] (14)
Λ=diag{λ,λ,・・・,λ} (15)
さらに、到来波数Kが素子アンテナ数L未満でかつ到来波間に相関がない場合、上記式(12)から、下記式(16)を導くことができる。固有値λ’は、下記式(17)で表される。
ASA=(λ−σ)e=λ’e (16)
i=1,2,・・・,L
λ’=λ−σ (17)
ここでrank[ASA]=Kとなり、K+1番目以降の固有値は0であることから、固有値λ’の分布は、下記式(18)で表される。
また、上記式(16)と下記式(18)とから、到来波の相関行列Rxxの固有値は、下記式(19)のように分布する。
相関行列Rxxの固有値分布は、到来波数に対応するK個の信号固有値と大きさが雑音電力に等しいL−K個の雑音固有値とに分けられ、これを利用して到来波数Kと雑音電力σとを推定することができる。
λ’≧λ’≧・・・≧λ’≧λK+1’=・・・=λ’=0 (18)
λ≧λ≧・・・≧λ≧λK+1=・・・=λ=σ (19)
信号固有値抽出部8は、固有値と閾値Theineとを比較して、これらの大小関係から信号固有値もしくは雑音固有値の数を判定する。
図7は、到来波の相関行列を固有値展開して得られた固有値分布の例を示すグラフである。図7において、横軸は、固有値ごとに付与された固有値番号であり、縦軸は、固有値の大きさを示す電力(dB)である。相関のない2波が到来した場合を示している。
また、閾値Theineは固有値の最大値から−10dBの範囲を示しており、この範囲に含まれる固有値が抽出される。
図7から明らかなように、閾値Theineを適切に設定することで、到来波数と同数の信号固有値を抽出することができる。すなわち、固有値数に基づいて到来波数を推定することが可能となる。また、この場合、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来していても到来波数を推定することができる。
信号固有値抽出部8は、前述のように推定した到来波数Neineを相関判定部9に出力する。また、信号固有値抽出部8は、後の処理のために、到来波数Neineに加えて、相関行列Rxxも相関判定部9に出力する。
一方、到来波間に相関があると信号固有値が縮退するので、rank[ASA]<Kとなり、信号固有値の数が少なくなって到来波数を正しく推定できない。
従って、信号固有値の数から到来波数を推定する場合、その推定精度は到来波間の相関に大きく依存する点が、ビームフォーミングで得られたピーク数から到来波数を推定する場合と異なる。
次に、相関判定部9は、NBeamとNeineとを比較してNBeamがNeineよりも大きいか否かを確認する(ステップST4)。
BeamがNeineよりも大きい場合(ステップST4;YES)、信号固有値が縮退しているので、相関判定部9は、到来波間に相関があると判定する(ステップST5)。
このとき、相関判定部9は、到来波間に相関があることを示す相関フラグの値を切り替え部13に出力する。
切り替え部13は、相関判定部9から相関フラグを入力することにより、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、空間平均型MUSICまたは最尤推定法といった相関波に対処可能なアルゴリズムに切り替える(ステップST6)。
一方、NBeamがNeine以下、すなわち、NeineがNBeamよりも大きいか、NBeamがNeineに等しい場合(ステップST4;NO)、相関判定部9は、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している複数の状況が想定されるので、相関判定を行わない。
以下、これらの状況について詳細に説明する。
図8Aは、到来波が1波であるときのビームの例を示す図である。図8Bは、相関のある複数の到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来したときのビームの例を示す図である。
Beam=Neine=1である場合、図8Aに示すように、角度θ01のピークに対して1波のみが到来している状況が考えられる(状況a)。しかしながら、図8Bに示すように、互いに相関のあるk波の到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況も考えられる(状況b)。
図9Aは、到来波が1波ずつ複数のピークのそれぞれに到来したときのビームの例を示す図である。図9Bは、相関のある複数の到来波が複数のピークのそれぞれに到来したときのビームの例を示す図である。NBeam=Neine=m(m>1)の場合、図9Aに示すように複数のピークのそれぞれに対して1波ずつが到来している状況が考えられる(状況c)。さらに、図9Bに示すように、複数のピークのそれぞれに対して互いに相関のあるk波の到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況も考えられる(状況d)。
図10Aは、相関のない到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来したときのビームの例を示す図である。図10Bは、相関のある到来波の組と相関のない到来波とがビーム幅よりも狭い離角で到来したときのビームの例を示す図である。
eine>NBeamであると、図10Aに示すように、角度θ01のピークに対して互いに相関がない複数の到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況が考えられる(状況e)。また図10Bに示すように、角度θ01のピークに対して互いに相関のある複数の到来波の組みと相関がない到来波とがビーム幅よりも狭い離角で到来している状況も考えられる(状況f)。
eineがNBeamよりも大きいか、NBeamがNeineに等しい場合、状況a〜fが想定される。前述したようにビームフォーミングで得られたピーク数から到来波数を推定する場合、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来していると推定精度を確保できない。
このため、ビームフォーミングで得られたピーク数から推定した到来波数を用いた相関判定はできない。
そこで、NeineがNBeamよりも大きいか、NBeamがNeineに等しい場合には、最尤推定法の評価関数を用いた到来波数の推定を行う。以下、詳細を説明する。
相関判定部9は、NeineがNBeamよりも大きいか、NBeamがNeineに等しいと判定すると、ピーク数抽出部7から取得したピーク値に対応する角度Θと、信号固有値抽出部8から取得した相関行列Rxxとを、評価関数算出部10に出力する。評価関数算出部10には、ばらつき算出部11によって到来波数pが設定されている。例えば、到来波数の初期値としてp=2が評価関数算出部10に設定される。
ステップST7において、評価関数算出部10は、最尤推定法の評価関数を算出する。
ここで、角度Θでの最尤推定法の評価関数FML(Θ)は、Θ方向のモードベクトルであるAチルダ(A)を用いて下記式(20)のように表すことができる。なお、下記式(20)において、Tr[・]は行列のトレースを表している。
Figure 0006362816
また、Aチルダ(A)は、下記式(21)で表すことができる。
Figure 0006362816
角度Θが、到来波の真の角度(到来方向)の組[θ,θ,・・・,θ]と一致した場合、上記式(19)は下記式(22)となり、最小値Lσをとる。
Figure 0006362816
すなわち、評価関数算出部10は、想定される全てのモード行列の組について上記式(20)で評価関数Fを算出して、評価関数Fが最小となるモード行列を調べる。これにより、到来波数を推定することができる。
なお、評価関数Fの算出には到来波数が必要である。そこで、評価関数算出部10は、ばらつき算出部11から設定された到来波数pを用いる。
一般的に、最尤推定法の評価関数Fを用いたパラメータ推定では、評価対象の全範囲で算出された評価関数値を用いる場合が多い。
これに対して、評価関数算出部10は、ピーク値に対応する角度Θを含む角度範囲から選択した複数の角度で最尤推定法の評価関数を算出する。
そして、ばらつき算出部11が、評価関数算出部10が複数の角度で算出した評価関数値を統計処理して、評価関数値のばらつき具合、すなわち起伏を評価するための指標値を算出する。この指標値を用いて、ばらつき算出部11が到来波数を推定する。
以下、詳細を説明する。
図11は、到来波が2波であるときの最尤推定法の評価関数を示すグラフであり、2波(到来方向θ=0°、θ=30°)が到来している場合の評価関数算出結果を示している。また、図12は、到来波が1波であるときの最尤推定法の評価関数を示すグラフであり、1波(到来方向θ=30°)のみが到来している場合の評価関数算出結果を示している。図11および図12において、白い点線で囲まれた部分は、真値を示している。
すなわち、図11においては、評価により特定された到来波数と真の到来波数とが一致しており、(θ,θ)=(0,30),(30,0)の2点でヌルが形成され、評価関数が最小値となっている。
一方、図12に示すように到来波が1波しか到来していない場合に、到来波数を2波として真値を探索すると、余剰次元方向にヌルが広がることがわかる。このとき、任意の角度αを用いると、(θ,θ)=(α,30),(30,α)で評価関数は最小値となる。すなわち、真の到来波数以上の次元で最尤推定法の評価関数が算出された場合、余剰次元のパラメータが変化しても、真値付近の評価関数値が変化しないことがわかる。
到来方向推定装置1は、この性質を利用して複数の評価点で評価関数値を算出し、評価関数値の分散を評価して到来波数を推定する。
具体的には、評価関数算出部10が、ピーク値に対応する角度Θを含む角度範囲から選択した複数の角度で評価関数値をそれぞれ算出して、これらの算出結果を成分に有するベクトルFをばらつき算出部11に出力する。
例えば、ビームフォーミングで得られたスペクトルのピークが1つであった場合を考える。このとき、Θ=θである。到来波数が2波である場合を想定するので、評価関数算出部10は、(θ,θ)=(θ,θ)に加えて、(θ,θ)=(θ,α),(θ,β)についても評価関数値を算出する。このように算出された値を成分に有するベクトルFを、下記式(23)ように定義する。ベクトルFは、評価関数算出部10からばらつき算出部11に出力される。
F=[FML(θ,θ),FML(θ,α),FML(θ,β)] (23)
図13は、最尤推定法の評価関数を算出した上記3点を、図11中に当てはめた様子を示すグラフであり、FML(θ,θ)≠FML(θ,α)≠FML(θ,β)となる。
また、図14は、最尤推定法の評価関数を算出した上記3点を、図12中に当てはめた様子を示すグラフであり、FML(θ,θ)=FML(θ,α)=FML(θ,β)となる。ばらつき算出部11は、ベクトルFの各成分のばらつきの指標値を算出し、指標値を閾値κと比較することで到来波数を推定する。
例えば、ばらつき算出部11は、ベクトルFの分散V(F)を算出する。V(・)は“・”の分散を表している。
なお、評価関数値のばらつきの指標値として分散を示したが、標準偏差、平均値などであってもよい。すなわち、評価関数値のばらつき具合を示すものであれば、他の統計量を用いてもよい。
ステップST8において、ばらつき算出部11は、評価関数算出部10に到来波数pを設定する。ここで、評価関数算出部10に設定されるpの初期値は、2であるものと仮定する。評価関数算出部10は、p=2を用いて、上記式(23)に示すベクトルFを算出してばらつき算出部11に出力する。
ばらつき算出部11は、ベクトルFの分散V(F)を算出し、分散V(F)と閾値κとを比較して、分散V(F)が閾値κよりも小さいか否かを確認する(ステップST9)。
分散V(F)が閾値κよりも小さい場合(ステップST9;YES)、ばらつき算出部11は、pが真の到来波数よりも多いと判断し、p=p−1を到来波数の推定値NMLとして相関判定部12に出力する(ステップST10)。
分散V(F)が閾値κ以上である場合(ステップST9;NO)、ばらつき算出部11は、pが真の到来波数よりも少ないと判断して、p=p+1を評価関数算出部10に設定する(ステップST11)。この後、ステップST7の処理に戻る。
評価関数算出部10は、ステップST11で設定されたp=p+1を用いてベクトルFを算出してばらつき算出部11に出力する。ばらつき算出部11は、ベクトルFの分散V(F)を算出し、分散V(F)と閾値κとを比較する。
これらの一連の処理は、分散V(F)が閾値κよりも小さくなるまで、すなわち、pが真の到来波数よりも多くなるまで繰り返される。
次に、相関判定部12は、NMLが1、または、NMLが2以上でかつNMLがNeineと等しいか否かを確認する(ステップST12)。なお、Neineは、相関判定部9から、評価関数算出部10およびばらつき算出部11を経由して相関判定部12に送られる。
ML=1またはNML≧2かつNML=Neineの場合(ステップST12;YES)、相関判定部12は、到来波間に相関がないと判定する(ステップST13)。
そして、相関判定部12は、無相関フラグを切り替え部13に出力する。
切り替え部13は、相関判定部12から無相関フラグを入力すると、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、通常のMUSIC、ESPRIT、Root−MUSICまたはCAPONといったアルゴリズムに切り替える(ステップST14)。これらのアルゴリズムは、到来波間に相関がなければ、到来方向を高分解能で推定可能なアルゴリズムである。
また、NMLおよびNeineが、NML=1またはNML≧2かつNML=Neine以外の値となる場合(ステップST12;NO)、ステップST5の処理に戻る。
このとき、相関判定部12は、到来波間に相関があると判定し、相関フラグを切り替え部13に出力する。切り替え部13は、相関判定部12から相関フラグを入力すると、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを相関波に対処可能なアルゴリズムに切り替える(ステップST6)。
なお、ビームフォーミングで得られたスペクトルに複数のピークがある場合、前述した一連の処理をピークごとに行えばよい。
図15は、到来波の離角に対する到来角の推定二乗誤差(deg−rms)と相関判定成功率(%)との数値シミュレーション結果を示すグラフである。
図16は、到来波の離角に対する到来波の分離確率(%)と相関判定成功率(%)との数値シミュレーション結果を示すグラフである。図15および図16は、到来波が1波、無相関波が2波、完全相関波が2波、無相関波が3波および完全相関波3波のいずれかがランダムに到来するものと仮定する。ここで、ビーム幅θBWは約40°である。また、周波数が200MHz、アレーアンテナの開口径が2300mmである。
到来方向推定装置1が推定した到来方向(測角値)に符号aを付し、到来波の分離確率に符号a1を付している。
また、従来例1として、到来方向の推定アルゴリズムを空間平均型MUSICに固定した到来方向推定装置を用意する。この装置により得られた測角値に符号bを付し、到来波の分離確率に符号b1を付している。
さらに、従来例2として、推定アルゴリズムを通常のMUSICに固定した到来方向推定装置を用意する。この装置により得られた測角値に符号cを付し、到来波の分離確率に符号c1を付している。
図15および図16において、符号dを付したシミュレーション結果は、到来方向推定装置1の相関判定成功率である。
測角値の推定二乗誤差が離角の半分である場合、測角に成功したものとして分離確率を算出している。すなわち、分離確率は、測角に成功した回数と到来波の分離成否の数とを用いて算出される。また、測角値の推定二乗誤差は、到来波の分離に成功したときに得られた到来方向の値のみを抽出して算出している。
相関判定成功率は、相関判定回数に対する相関判定の成功回数の比から求められる。
図15および図16から明らかなように、到来方向推定装置1では、ビーム幅の1/4程度の離角(10°程度)で到来波が到来しても、相関判定成功率が90%以上である。
また、到来方向推定装置1では、従来例1および従来例2の場合に比べて測角値の推定二乗誤差が低く、分離確率も向上している。すなわち、到来波の到来方向を精度よく推定でき、到来波同士の分離も精度よく行うことができる。
以上のように、実施の形態1に係る到来方向推定装置1では、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況が想定される場合、最尤推定法の評価関数を用いて推定した到来波数NMLと信号固有値分布から推定した到来波数Neineとに基づいて、到来波間の相関の有無を判定する。これにより、到来波間の相関の有無を精度よく判定できるので、到来方向推定アルゴリズムを、到来波間の相関の有無に応じた適切なアルゴリズムに適応的に切り替えることができる。このようにすることで、到来方向推定アルゴリズムを固定した構成と比較して到来波の到来方向を精度よく推定でき、到来波同士の分離も精度よく行うことができる。
また、実施の形態1に係る到来方向推定装置1において、評価関数算出部10は、受信ビームのピーク値に対応する角度を含む角度範囲から選択した複数の角度で評価関数値を算出する。ばらつき算出部11は、評価関数算出部10によって複数の角度で算出された評価関数値を統計処理して指標値を算出する。なお、ばらつき算出部11は、評価関数値の分散値、標準偏差および平均値のうちのいずれかを指標値として算出する。
このように構成することで、評価対象の全範囲で算出された評価関数値を用いなくても到来波数を推定することができる。
さらに、実施の形態1に係る到来方向推定装置1において、ばらつき算出部11は、指標値と閾値との比較結果に基づいて、到来波数pが真の到来波数よりも多いと判定した場合、到来波数pから1を減算した値を到来波数NMLとする。
また、ばらつき算出部11は、到来波数pが真の到来波数よりも少ないと判定すると、1を加算した到来波数pを評価関数算出部10に設定し、当該到来波数pを用いて評価関数算出部10が算出した評価関数値についての指標値を算出し、算出した指標値と閾値とを比較する一連の処理を、到来波数pが真の到来波数よりも多くなるまで繰り返す。
このように構成することで、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来しても、到来波間の相関の有無を精度よく判定することができる。
実施の形態2.
図17は、この発明の実施の形態2に係る到来方向推定装置1Aの構成を示すブロック図である。図17において、図1と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
到来方向推定装置1Aは、到来方向推定装置1と異なる構成として、相関判定部9A、相関判定部12A、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15を備える。
キュムラント行列生成部14は、到来波のキュムラント行列を生成する。
信号特異値抽出部15は、上記キュムラント行列を特異値分解して得られた特異値の数に基づいて到来波数を推定する。
すなわち、キュムラント行列生成部14と信号特異値抽出部15は、この発明における第3の推定部に相当する。
相関判定部9Aは、この発明における第3の相関判定部に相当する構成要素であって、ピーク数抽出部7により推定された到来波数と信号特異値抽出部15により推定された到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。
具体的には、前者が後者よりも大きければ信号固有値が縮退しているので、到来波間に相関があると判定する。一方、前者が後者以下である場合、到来波がビーム幅よりも狭い離角で到来している状況が想定されるので、相関判定を行わない。
相関判定部12Aは、この発明における第4の相関判定部に相当する構成要素であり、信号特異値抽出部15により推定された到来波数とばらつき算出部11により推定された到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。
例えば、ばらつき算出部11により推定された到来波数が1、もしくは、ばらつき算出部11により推定された到来波数が2以上かつ信号特異値抽出部15により推定された到来波数と等しい場合、到来波間に相関がないと判定される。一方、到来波数の推定値が上記以外の値となる場合は、到来波間に相関があると判定される。
到来方向推定装置1Aにおける、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、相関判定部9A、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12A、切り替え部13、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、到来方向推定装置1Aは、各機能の動作行うための処理回路を備えている。処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行するCPUであってもよい。
処理回路が、図2Aに示した専用のハードウェアの処理回路100である場合に、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、または、これらを組み合わせたものが該当する。また、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、相関判定部9A、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12A、切り替え部13、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15の各機能をそれぞれ処理回路で実現してもよいし、各機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
また、処理回路が、図2Bに示したプロセッサ103である場合、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、相関判定部9A、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12A、切り替え部13、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15の各機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
ソフトウェアとファームウェアとは、プログラムとして記述されてメモリ104に格納される。プロセッサ103は、メモリ104に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各機能を実現する。すなわち、到来方向推定装置1Aは、処理回路により実行されるときに各機能の動作のステップが結果的に実行されるプログラムを格納するためのメモリ104を備えている。
これらのプログラムは、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、相関判定部9A、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12A、切り替え部13、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15の手順または方法をコンピュータに実行させるものである。
相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、相関判定部9A、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12A、切り替え部13、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
例えば、相関行列生成部5、ビーム形成部6、ピーク数抽出部7、キュムラント行列生成部14および信号特異値抽出部15は、専用のハードウェアの処理回路100によってその機能を実現する。そして、相関判定部9A、評価関数算出部10、ばらつき算出部11、相関判定部12Aおよび切り替え部13は、プロセッサ103がメモリ104に格納されたプログラム実行することにより、その機能を実現する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって前述した機能を実現することができる。
次に動作について説明する。
図18は、到来方向推定装置1Aによる動作を示すフローチャートであって、到来波間の相関の有無に応じて到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える一連の処理を示している。図18において、図3と同一処理を行うステップには同一のステップ番号を付して説明を省略する。
キュムラント行列生成部14は、信号受信部4からベースバンド複素信号を入力する。
そして、キュムラント行列生成部14は、ベースバンド複素信号から特定される全ての受信アンテナ3−1〜3−Lの受信信号ベクトルx(t)、およびガイディングセンサを用いて、到来波のキュムラント行列を生成する(ステップST2a)。
ガイディングセンサとは、受信アンテナ3−1〜3−Lのうち、任意に選択した2つの素子アンテナによる受信信号ベクトルx(t)、x(t)である。
具体的には、キュムラント行列生成部14によって、下記式(24)と下記式(25)とでそれぞれ表されるキュムラント行列C,Cが算出される。
=cum(x (t),x(t),x(t),x(t)) (24)
=cum(x (t),x(t),x(t),x(t)) (25)
上記式(24)と上記式(25)とにおいて、cum(*)は下記式(25)によって定義されるキュムラント演算である。ただし、E[*]は、*のアンサンブル平均または時間平均を表している。
cum(z(t),z(t),z(t),z(t))
=E[z(t)z(t)z(t)z(t)]
−E[z(t)z(t)]E[z(t)z(t)]
−E[z(t)z(t)z(t)z(t)]
−E[z(t)z(t)]E[z(t)z(t)] (26)
なお、r,qは、それぞれ1≦r、q≦Lを満たす整数である。
さらに、キュムラント行列生成部14は、キュムラント行列C,Cを結合することによって、下記式(27)で表される新しいキュムラント行列Cを生成する。このように生成されたキュムラント行列Cは、信号特異値抽出部15に出力される。
Figure 0006362816
ステップST3c−1において、信号特異値抽出部15は、キュムラント行列Cを特異値分解し、これにより得られた信号特異値の数に基づいて到来波数を推定する。
例えば、信号特異値抽出部15は、閾値Thsin gularと特異値分布とを比較して、閾値Thsin gularよりも高い値となる特異値を抽出し、抽出した特異値の数を到来波数Nsin gularと推定する。
キュムラント行列Cは、高次のキュムラントからなる。高次のキュムラントは、ガウス性雑音に対する項が理論的にゼロとなる性質があり、雑音分布がガウス分布から大きく乖離しない限り、信号特異値と雑音特異値との間のギャップが非常に大きくなる。
このため、相関行列を用いる場合に比べて閾値Thsin gularのマージンが大きく、到来波数の推定精度の向上が期待できる。
次に、相関判定部9Aは、ピーク数抽出部7により推定された到来波数NBeamと信号特異値抽出部15により推定された到来波数Nsin gularとを比較することによって、NBeamがNsin gularよりも大きいか否かを確認する(ステップST4a)。
BeamがNsin gularよりも大きい場合(ステップST4a;YES)、信号特異値が縮退しているので、相関判定部9Aは、到来波間に相関があると判定する(ステップST5)。
sin gularがNBeamよりも大きいか、または、NBeamがNsin gularに等しい場合(ステップST4a;NO)、実施の形態1で示した状況a〜fが想定される。
そこで、相関判定部9Aは、相関判定を行わず、ステップST7からステップST11までの処理により、最尤推定法の評価関数を用いた到来波数の推定が行われる。
相関判定部12Aは、NMLが1、またはNMLが2以上でかつNMLがNsin gularと等しいか否かを確認する(ステップST12a)。なお、Nsin gularは、相関判定部9Aから、評価関数算出部10およびばらつき算出部11を経由して相関判定部12Aに送られる。このとき、NML=1またはNML≧2かつNML=Nsin gularである場合(ステップST12a;YES)、相関判定部12Aは、到来波間に相関がないと判定する(ステップST13)。そして、相関判定部12Aは無相関フラグを切り替え部13に出力する。
切り替え部13は、相関判定部12Aから無相関フラグを入力することにより、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、通常のMUSIC、ESPRIT、Root−MUSICまたはCAPONといったアルゴリズムに切り替える(ステップST14)。
これらのアルゴリズムは、到来波間に相関がなければ到来方向を高分解能で推定可能なアルゴリズムである。
MLとNsin gularとが、NML=1またはNML≧2かつNML=Nsin gular以外の値である場合(ステップST12a;NO)、ステップST5の処理に戻る。
このとき、相関判定部12Aは、到来波間に相関があると判定して、相関フラグを切り替え部13に出力する。切り替え部13は、相関判定部12Aから相関フラグを入力することにより、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを相関波に対処可能なアルゴリズムに切り替える(ステップST6)。
以上のように、実施の形態2に係る到来方向推定装置1Aでは、キュムラント行列Cを特異値分解して得られた信号特異値の数に基づいて到来波数を推定する。
これによりガウス性雑音が存在する環境での到来波数の推定精度が向上するので、実施の形態1で示した構成と比較して到来波の到来方向の推定と到来波同士の分離とをさらに精度よく行うことができる。
実施の形態3.
図19は、この発明の実施の形態3に係る到来方向推定装置1Bの構成を示すブロック図である。図19において、図1と同一構成要素には同一符号を付している。
到来方向推定装置1Bは、信号受信部4の後段にある構成要素として、相関行列生成部5、信号固有値抽出部8A、相関判定部9B、切り替え部13および相関行列生成部16を備える。
信号固有値抽出部8Aは、この発明における第4の波数推定部に相当する構成要素である。また、信号固有値抽出部8Aは、相関行列生成部5が生成した相関行列を固有値展開して得られた固有値の数に基づいて到来波数を推定し、相関行列生成部16が生成した相関行列を固有値展開して得られた固有値の数に基づいて到来波数を推定する。
相関判定部9Bは、この発明における第5の相関判定部に相当する構成要素である。
また、相関判定部9Bは、空間平均処理を施した相関行列を固有値展開して得られた到来波数NRSSPと通常の相関行列を固有値展開して得られた到来波数Nとを比較する。そして、相関判定部9Bは、前者が後者よりも大きい場合、到来波間に相関があると判定し、前者が後者以下の場合は到来波間に相関がないと判定する。
相関行列生成部16は、この発明における第1の相関行列生成部に相当する構成要素であり、到来波の相関行列をさらに空間平均処理した相関行列を生成する。
空間平均処理では、受信アンテナ3−1〜3−Lの配置における空間的な対称性を利用して互いに相似な複数のサブアレーアンテナが定義され、複数のサブアレーアンテナから相関行列を算出する。そして、これらの相関行列の平均をとることで、到来波間の相関が抑圧される。なお、類似した処理である、Forward/Backward空間平均を利用してもよい。以降では、このような空間平均処理を施した相関行列を空間平均型相関行列と呼ぶ。
また、相関行列生成部5は、この発明における第2の相関行列生成部に相当する構成要素であり、信号受信部4から入力したベースバンド複素信号を用いて到来波の相関行列を生成する。
到来方向推定装置1Bにおける相関行列生成部5、信号固有値抽出部8A、相関判定部9B、切り替え部13および相関行列生成部16の各機能は処理回路により実現される。
すなわち、到来方向推定装置1Bは、各機能の動作行うための処理回路を備えている。処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行するCPUであってもよい。
処理回路が図2Aに示した専用のハードウェアの処理回路100である場合に、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、または、これらを組み合わせたものが該当する。また、相関行列生成部5、信号固有値抽出部8A、相関判定部9B、切り替え部13および相関行列生成部16の各機能をそれぞれ処理回路で実現してもよいし、各機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が図2Bに示したプロセッサ103である場合、相関行列生成部5、信号固有値抽出部8A、相関判定部9B、切り替え部13および相関行列生成部16の各機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアとファームウェアとは、プログラムとして記述されてメモリ104に格納される。プロセッサ103は、メモリ104に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各機能を実現する。すなわち、到来方向推定装置1Bは、処理回路により実行されるときに各機能の動作のステップが結果的に実行されるプログラムを格納するためのメモリ104を備えている。
これらのプログラムは、相関行列生成部5、信号固有値抽出部8A、相関判定部9B、切り替え部13および相関行列生成部16の手順または方法をコンピュータに実行させるものである。
相関行列生成部5、信号固有値抽出部8A、相関判定部9B、切り替え部13および相関行列生成部16の各機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
例えば、相関行列生成部5および相関行列生成部16は、専用のハードウェアの処理回路100によってその機能を実現する。そして、信号固有値抽出部8A、相関判定部9Bおよび切り替え部13は、プロセッサ103がメモリ104に格納されたプログラム実行することにより、その機能を実現する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって前述した機能を実現することができる。
次に動作について説明する。
図20は、到来方向推定装置1Bによる動作を示すフローチャートであり、到来波間の相関の有無に応じて到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える一連の処理を示している。信号受信部4は、受信アンテナ3−1〜3−Lによって受信された到来波のRF信号に対して各種の信号処理を行い、デジタル信号であるベースバンド複素信号を生成する。
相関行列生成部5および相関行列生成部16は、信号受信部4により生成されたベースバンド複素信号を取得する(ステップST1)。
相関行列生成部5は、ベースバンド複素信号から全ての受信アンテナ3−1〜3−Lの受信信号ベクトルを特定し、受信信号ベクトルを用いて到来波の相互相関行列を生成する(ステップST2)。ここで、相関行列生成部5は、実施の形態1と同様に上記式(1)に従って到来波の相関行列Rxxを生成する。
相関行列生成部16は、相関行列生成部5と同様に、受信信号ベクトルを用いて到来波の相互相関行列を生成する。次に、相関行列生成部16は、この相関行列に対してさらに空間平均処理を行うことで、空間平均型相関行列を生成する(ステップST2b)。
具体的には、相関行列生成部16が、選択行列Zおよび相関行列Rxxを用いて、下記式(28)から、空間平均型相関行列RSSPを生成する。下記式(28)において、qはサブアレーアンテナの数である。
Figure 0006362816
また、選択行列Zは、下記式(29)で表すことができる。ただし、eは、大きさがL×Lである単位行列の第1列の列ベクトルを示している。
=[e,el+1,・・・,eL0] (29)
上記式(29)におけるLは、下記式(30)で表すことができる。
=L+l−q (30)
なお、受信アンテナ3−1〜3−Lの配置が空間的な対称性がない場合は、変換行列を用いて仮想的にアレー形状を線形にすることで、空間平均処理を施すことができる。
この場合、空間平均型相関行列RSSPは、線形アレーに変換する変換行列Jを用いて、下記式(31)で表すことができる。
前述したように生成された空間平均型相関行列RSSPは、信号固有値抽出部8Aに出力される。
Figure 0006362816
相関行列に空間平均処理を施すことで到来波間の相関を抑圧することができる。これにより、相関波が到来したときに信号固有値が縮退して実際の到来波数よりも信号固有値の数が少なくなることを防止できる。すなわち、空間平均型相関行列を用いて到来波数を推定しても、到来波間の相関によらずに正確な到来波数を推定することが可能である。
信号固有値抽出部8Aは、相関行列Rxxを固有値展開して得られた信号固有値の数を到来波数Nと推定する(ステップST3b−1)。
さらに、信号固有値抽出部8Aは、空間平均型相関行列RSSPを固有値展開して得られた信号固有値の数を到来波数NRSSPと推定する(ステップST3d−1)。このようにして得られた到来波数NおよびNRSSPは相関判定部9Bに出力される。
図21は、到来波の相関行列Rxxを固有値展開して得られた固有値分布a2と、空間平均型相関行列RSSPを固有値展開して得られた固有値分布b2とを示すグラフである。
また、図21では、4波の完全相関波が到来したときの固有値分布を示しており、閾値Theine−SSPは、固有値の最大値から−15dBの範囲を示している。
空間平均型相関行列RSSPの固有値分布a2では、閾値Theine−SSPの範囲に4つの固有値が存在している。このように適切な閾値Theine−SSPを設定することによって、空間平均型相関行列RSSPの固有値分布a2を用いて到来波数を正しく推定できることがわかる。
これに対して、相関行列Rxxの固有値分布b2では、信号固有値の最大値から−15dBの範囲に信号固有値が1つしか存在しない。すなわち、相関波の到来によって信号固有値が縮退するため、本来は4つあるべき信号固有値が1つに減少している。
従って、空間平均型相関行列RSSPの固有値分布a2から推定された到来波数NRSSPと相関行列Rxxの固有値分布b2から推定された到来波数Nとの大小関係は、到来波間の相関の有無に応じて変化する。
そこで、相関判定部9Bは、NRSSPとNとを比較して、NRSSPがNよりも大きいか否かを確認する(ステップST4b)。
RSSP>Nである場合(ステップST4b;YES)、相関判定部9Bは、到来波間の相関によって相関行列Rxxの固有値が縮退していると判断し、到来波間に相関があると判定する(ステップST5a)。このとき、相関判定部9Bは、到来波間に相関があることを示す相関フラグの値を切り替え部13に出力する。
切り替え部13は、相関判定部9Bから相関フラグを入力することにより、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、空間平均型MUSICまたは最尤推定法といった相関波に対処可能なアルゴリズムに切り替える(ステップST6a)。
RSSP=NまたはNRSSP<Nある場合(ステップST4b;NO)、相関判定部9Bは、到来波間に相関がないと判定する(ステップST7a)。
このとき、相関判定部9Bは、到来波間に相関がないことを示す無相関フラグの値を切り替え部13に出力する。
切り替え部13は、相関判定部9Bから無相関フラグを入力することにより、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを、通常のMUSIC、ESPRIT、Root−MUSICまたはCAPONといったアルゴリズムに切り替える(ステップST8a)。
これらのアルゴリズムは、到来波間に相関がなければ、到来方向を高分解能で推定可能なアルゴリズムである。
なお、NRSSP=Nである場合、相関行列Rxxの固有値の縮退がなく到来波間に相関がない状況、もしくは、到来波間に相関はあるが、相関行列Rxxの固有値分布b2から到来波数の推定が可能な程度の状況であることも考えられる。
一方、NRSSP<Nである場合は、到来波間に相関がなくかつ空間平均の影響が現れている状況が考えられる。空間平均の影響としては、サブアレーアンテナを定義することで、本来のアレーアンテナよりも開口径と素子アンテナ数とが減少して、到来波の離角が相対的に狭くなっていることが挙げられる。
以上のように、実施の形態3に係る到来方向推定装置1Bにおいては、相関判定部9Bが、相関行列Rxxを固有値展開して推定された到来波数Nと空間平均型相関行列RSSPを固有値展開して推定された到来波数NRSSPとに基づいて到来波間の相関の有無を判定する。これにより、固有値分布から推定した到来波数を用いた一回の判定処理で到来波間の相関の有無を判定できる。従って、実施の形態1および実施の形態2で示した各構成と比較して全体の処理を簡略化することができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせあるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
この発明に係る到来方向推定装置は、到来波同士の分離、到来波間の相関判定および到来方向の推定を精度よく行うことができるので、例えば、周囲の電波環境の時間的な変動が激しい都市部などにおける電波の到来方向推定装置に好適である。
1,1A,1B 到来方向推定装置、2−1〜2−K 波源、3−1〜3−L 受信アンテナ、4 信号受信部、5,16 相関行列生成部、6 ビーム形成部、7 ピーク数抽出部、8,8A 信号固有値抽出部、9,9A,9B,12,12A 相関判定部、10 評価関数算出部、11,11A ばらつき算出部、13 切り替え部、14 キュムラント行列生成部、15 信号特異値抽出部、100 処理回路、101 受信装置、102 インタフェース、103 プロセッサ、104 メモリ。

Claims (7)

  1. 到来波の相関行列を用いたビームフォーミングで得られたビームのピーク数に基づいて到来波数を推定する第1の推定部と、
    前記相関行列を固有値展開して得られた固有値の数に基づいて到来波数を推定する第2の推定部と、
    前記第1の推定部が推定した到来波数と前記第2の推定部が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する第1の相関判定部と、
    前記ビームのピーク値に対応する角度を含む角度範囲で最尤推定法の評価関数値を算出する評価関数算出部と、
    前記評価関数算出部が算出した評価関数値のばらつきの指標値を算出し、前記指標値に基づいて到来波数を推定するばらつき算出部と、
    前記第2の推定部が推定した到来波数と前記ばらつき算出部が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する第2の相関判定部と、
    判定された到来波間の相関の有無に応じて、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える切り替え部と
    を備えたことを特徴とする到来方向推定装置。
  2. 前記第1の相関判定部は、前記第1の推定部が推定した到来波数と前記第2の推定部が推定した到来波数とを比較して、前者が後者以下の場合は判定を行わず、前者が後者よりも大きければ到来波間に相関があると判定し、
    前記評価関数算出部は、前記第1の相関判定部が判定を行わない場合に、評価関数値を算出することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  3. 前記評価関数算出部は、前記ビームのピーク値に対応する角度を含む角度範囲から選択した複数の角度で評価関数値を算出し、
    前記ばらつき算出部は、前記評価関数算出部が前記複数の角度で算出した評価関数値を統計処理して前記指標値を算出することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  4. 前記ばらつき算出部は、評価関数値の分散値、標準偏差および平均値のうちのいずれかを前記指標値として算出することを特徴とする請求項3記載の到来方向推定装置。
  5. 前記評価関数算出部は、前記ばらつき算出部から設定された到来波数の推定値を用いて評価関数値を算出し、
    前記ばらつき算出部は、前記指標値と閾値との比較結果に基づいて、到来波数の推定値が真の到来波数よりも多いと判定すると、到来波数の推定値から予め定められた値を減算した値を最終的な推定値とし、到来波数の推定値が真の到来波数よりも少ないと判定した場合は、予め定められた値を加算した到来波数の推定値を前記評価関数算出部に設定し、設定した到来波数の推定値を用いて前記評価関数算出部が算出した評価関数値についての前記指標値を算出し、当該指標値と前記閾値とを比較する一連の処理を、到来波数の推定値が真の到来波数よりも多くなるまで繰り返すことを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  6. 到来波の相関行列を用いたビームフォーミングで得られたビームのピーク数に基づいて到来波数を推定する第1の推定部と、
    到来波のキュムラント行列を特異値分解して得られた特異値の数に基づいて到来波数を推定する第3の推定部と、
    前記第1の推定部が推定した到来波数と前記第3の推定部が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する第3の相関判定部と、
    前記ビームのピーク値に対応する角度を含む角度範囲で最尤推定法の評価関数値を算出する評価関数算出部と、
    前記評価関数算出部が算出した評価関数値のばらつきの指標値を算出し、前記指標値に基づいて到来波数を推定するばらつき算出部と、
    前記第3の推定部が推定した到来波数と前記ばらつき算出部が推定した到来波数とに基づいて到来波間の相関の有無を判定する第4の相関判定部と、
    判定された到来波間の相関の有無に応じて、到来波の到来方向を推定するアルゴリズムを切り替える切り替え部と
    を備えたことを特徴とする到来方向推定装置。
  7. 前記第3の相関判定部は、前記第1の推定部が推定した到来波数と前記第3の推定部が推定した到来波数とを比較して、前者が後者以下の場合は判定を行わず、前者が後者よりも大きければ到来波間に相関があると判定し、
    前記評価関数算出部は、前記第3の相関判定部が判定を行わない場合に、評価関数値を算出することを特徴とする請求項6記載の到来方向推定装置
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