JP6362669B2 - 粒子状物質の浮遊特性測定方法及び浮遊特性測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子状物質の浮遊特性を測定するための浮遊特性測定方法及び浮遊特性測定装置に関するものである。
粒子状物質は、空気中に浮遊する性質を有し、人が吸い込んで気管や肺に沈着するおそれがあることから、呼吸器系を中心とした健康被害の原因となることが懸念されている。特に、粒子径2.5μm以下の微小粒子状物質(PM2.5)は、肺胞に至るおそれがあることから、重大な健康被害を及ぼす可能性がある。
従来、このような粒子状物質に汚染された空気の状態を把握するために、吸引装置により吸引された空気中の粒子状物質をサイクロン式の分粒ユニットにより分粒した上で捕集し、この捕集された粒子状物質の濃度を測定する気中粉塵濃度測定方法が知られている(特許文献1)。特許文献1の気中粉塵濃度測定方法によれば、様々な大きさの種々の粒子状物質を含有する空気における、特定の大きさの粒子状物質の濃度を測定することが可能となるため、測定対象となる大きさの粒子状物質が生体に有害なものであると予め特定できている場合には、大気汚染の有無等を判断するための有効な手段となり得るものである。
特開2016−121913号公報
ところで、粒子状物質については、有機化合物についての蒸気圧のような、生体に侵入する影響を示すリスク評価指標が存在しない。このため、従来は、粒子状物質の大きさ(粒子径)に基づいて漠然と有害性の判断をすることしかできず、様々な種類の粒子状物質のそれぞれについて、生体に対する有害性を個別に特定することまではできないという問題がある。
この点は、特許文献1の気中粉塵濃度測定方法においても同様である。すなわち、特許文献1の気中粉塵濃度測定方法では、大気中の粉塵を捕集してその濃度を測定し、漠然と大気汚染の有無を判断することしかできず、大気汚染の原因となった粒子状物質の特定及び該粒子状物質の有害性の程度を測定することまではできないという問題がある。
そこで、本発明は、粒子状物質のリスク評価指標となり得る浮遊特性を測定することが可能な粒子状物質の浮遊特性測定方法及びこの浮遊特性測定方法に用いられる浮遊特性測定装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る粒子状物質の浮遊特性測定方法は、測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流を発生させる気体流発生工程と、前記気体中から前記粒子状物質を捕集する捕集工程と、前記捕集工程により捕集された前記粒子状物質の濃度を測定する濃度測定工程と、前記濃度測定工程により測定された濃度を、基準となる対照物質の濃度と比較することで、粒子状物質の浮遊係数を測定する浮遊係数測定工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る粒子状物質の浮遊特性測定方法は、前記捕集工程の前に、前記気体流を旋回流とすることによって極微粒子を分粒する分粒工程を更に備え、前記捕集工程は、前記分粒工程により分粒された極微粒子を前記粒子状物質として捕集する工程であることが好ましい。
また、本発明に係る浮遊特性測定装置は、上述した浮遊特性測定方法に用いられる浮遊特性測定装置であって、前記粒子状物質を収容可能な収容容器と、前記収容容器内に旋回流を生成可能な旋回流生成手段と、前記収容容器の上部に設けられ、前記旋回流の中心部の気体及び該気体中の前記粒子状物質を吸引可能な吸引手段と、前記吸引手段により吸引された前記粒子状物質を捕集可能な捕集手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る浮遊特性測定装置において、前記収容容器は、その内部を外部から視認可能に構成されることが好ましい。
また、本発明に係る浮遊特性測定装置において、前記旋回流生成手段は、前記収容容器の内部に配置されたマグネット式攪拌翼と、前記収容容器の外部に配置され、磁力により前記マグネット式攪拌翼を回転させることが可能なマグネチックスターラとを備えることが好ましい。
本発明によれば、粒子状物質のリスク評価指標となり得る浮遊特性を測定することが可能な粒子状物質の浮遊特性測定方法及びこの浮遊特性測定方法に用いられる浮遊特性測定装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る浮遊特性測定装置の概略構成を示す概略構成図である。 本実施形態に係る浮遊特性測定装置を用いて粒子状物質の旋回流(エアロゾル)を発生させて分粒した状態を示す概念図であり、図2(a)は、収容容器の径方向に沿った断面を示し、図2(b)は、収容容器の軸方向に沿った断面を示している。 本実施形態に係る浮遊特性測定方法の流れを示すフローチャートである。 実施例1に係る試料A〜D及び対照物質の測定結果を示す表である。 実施例1に係る試料A〜D及び対照物質の浮遊係数を示すグラフである。 実施例1に係る試料E〜H及び対照物質の測定結果を示す表である。 実施例1に係る試料E〜H及び対照物質の浮遊係数を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態に係る浮遊特性測定装置1は、図1に示すように、測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流(エアロゾル)を発生させると共に、該気体流を旋回流とすることによって粒子状物質を分粒させるサイクロン式分粒機構2と、旋回流の中心部の気体及び該気体中の粒子状物質を吸引する吸引手段30と、吸引手段30により吸引された粒子状物質を捕集する捕集手段40と、浮遊特性を特定するための種々の演算処理を実行する演算処理部(図示せず)とを備えている。
サイクロン式分粒機構2は、粒子状物質(粉体、粉塵)を収容可能な収容容器10と、収容容器10の内部に旋回流を生成可能な旋回流生成手段20とを備えている。
収容容器10は、上面が開放された有底円筒状の容器本体12と、容器本体12の上面を閉塞可能な蓋体14とを備えており、容器本体12に蓋体14が取り付けられることにより、内部に密閉空間が形成されるよう構成されている。収容容器10は、例えばガラスやステンレス等の静電気により粒子状物質が付着しにくい材質から形成されるか、又は、その内面に帯電防止加工が施されている。また、収容容器10は、透明な材質から形成されるか、又は、その一部に透明な覗き窓等が形成されることにより、その内部を外部から視認可能に構成されている。
蓋体14には、収容容器10の内部に粒子状物質を流入させるための流入部16と、収容容器10の内部の気体流(エアロゾル)及び該気体流中の粒子状物質を収容容器10の外部に流出させるための流出部18とが形成されている。流出部18は、蓋体14の略中心に形成されており、後述する旋回流の略中心部分の気体及び粒子状物質を流出可能に構成されている。また、流出部18には、捕集手段40が設けられており、流出部18から流出される気体中の粒子状物質を捕集手段40によって捕集させることが可能に構成されている。
旋回流生成手段20は、収容容器10の内部に配置されたマグネット式攪拌翼22と、収容容器10の外部に配置され、磁力によりマグネット式攪拌翼22を回転させることが可能なマグネチックスターラ24とを備えており、マグネチックスターラ24の磁力によってマグネット式攪拌翼22を回転させることにより、収容容器10の内部に旋回流(サイクロン)を発生させるよう構成されている。
マグネット式攪拌翼22は、マグネチックスターラ24の磁力により回転する略円盤状の回転基部22aと、該回転基部22aに略十字となるよう立設された攪拌羽根部22bとを備えている。本実施形態では、回転基部22aがステンレスから形成され、攪拌羽根部22bがアルマイト加工の施されたアルミ等から形成されているが、これらに限定されず、種々の材料から形成することが可能である。なお、マグネット式攪拌翼22は、種々の公知の羽根型攪拌子を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
マグネチックスターラ24は、収容容器10が載置される筐体24aと、筐体24aの内部に配置された回転マグネット部24bと、回転マグネット部24bを回転させるモータ等の駆動源24cと、駆動源24cの動作を制御する回転制御部(図示せず)とを備えている。回転マグネット部24bは、駆動源24cにより回転するよう構成された円盤状の回転盤と、該回転盤上に設けられたマグネットとを備えており、駆動源24cによって回転された際に、マグネットの磁力によってマグネット式攪拌翼22の回転基部22aを回転させるよう構成されている。回転制御部は、回転マグネット部24bの回転数を任意に設定可能に構成されており、該設定された回転数で回転マグネット部24b及びマグネット式攪拌翼22が回転するように、駆動源24cの動作を制御する。回転マグネット部24bの回転数は、粒子状物質の目的とする分粒精度に応じて任意に設定可能である。なお、マグネチックスターラ24は、種々の公知のマグネチックスターラを採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
吸引手段30は、設定された所定の流量で気体を吸引するポンプ等からなり、収容容器10の蓋体14の流出部18に接続されたホース32を介して、収容容器10の内部の気体流(エアロゾル)及び該気体流中の粒子状物質を収容容器10の外部に排出させるよう構成されている。なお、吸引手段30は、種々の公知の吸引手段を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
捕集手段40は、収容容器10の蓋体14の流出部18に取り付け可能に構成されたサンプリングホルダ42と、サンプリングホルダ42に保持されたフィルタ(図示せず)とを備えている。フィルタは、浮遊特性の測定対象となる粒子状物質を略100%捕集可能なフィルタであれば、種々の公知のフィルタを採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
演算処理部は、例えばパーソナルコンピュータ等の種々の演算処理装置からなり、測定者により入力された粒子状物質の捕集量(後述する秤量値)と、捕集時の流量とに基づいて、粒子状物質の濃度を算出するよう構成されている。また、演算処理部は、算出した粒子状物質の濃度と、後述する基準試料(対照物質)の濃度とに基づいて、粒子状物質の浮遊係数を算出するよう構成されている。
以上の構成を備える浮遊特性測定装置1は、旋回流生成手段20によって収容容器10の内部に旋回流を生成することにより、収容容器10の内部に粒子状物質が含まれる気体流(エアロゾル)を発生させると共に、該収容容器10の内部において該粒子状物質を分粒するよう構成されている。具体的には、浮遊特性測定装置1は、測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流を収容容器10の内部において発生させ、これを旋回流Fとするよう構成されている。また、浮遊特性測定装置1は、旋回流Fの遠心力を利用して、図2(a)及び図2(b)に示すように、質量が大きい粒子4a,4bを収容容器10の径方向外側かつ下方に移動させ、質量が小さい粒子4cを収容容器10の径方向内側かつ上方に移動させることで、大きさが異なる粒子を分粒するよう構成されている。なお、このようなサイクロン式の分粒原理は、公知であるため、その詳細な説明を省略する。また、図2(a)及び図2(b)においては、理解を容易にするために、粒子状物質(粒子4a,4b,4c)の大きさを誇張して表示している。また、図2(a)及び図2(b)においては、説明に不要な構成の図示を省略している。
次に、本実施形態に係る浮遊特性測定装置1を用いて、粒子状物質のリスク評価指標となり得る浮遊特性を測定する方法(浮遊特性測定方法)について、説明する。
本実施形態に係る浮遊特性測定方法は、概略的には、図3に示すように、測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流を発生させる気体流発生工程(S1)と、測定対象となる粒子状物質をその大きさに基づいて分粒する分粒工程(S2)と、分粒された粒子状物質の中から、質量の小さい粒子状物質のみを捕集する捕集工程(S3)と、捕集された粒子状物質の濃度を測定する濃度測定工程(S4)と、濃度測定工程により測定された濃度を基準となる対照物質の濃度と比較することで、測定対象となる粒子状物質の浮遊係数を測定する浮遊係数測定工程(S5)とを備えている。以下、これらの工程について、詳述する。
まず、気体流発生工程(S1)では、蓋体14により容器本体12を密閉させた状態で、流入部16を介して収容容器10の内部に測定対象となる粒子状物質を流入させると共に、旋回流生成手段20により収容容器10の内部に旋回流を発生させる。これにより、収容容器10の内部において、測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流(エアロゾル)を発生させる。次に、分粒工程(S2)では、旋回流の生成を所定時間継続することにより、該旋回流の遠心力によって、質量が大きい粒子4a,4bを収容容器10の径方向外側かつ下方に移動させ、質量が小さい粒子4cを収容容器10の径方向内側かつ上方に移動させることで、大きさが異なる粒子を分粒する(図2(a)及び図2(b)参照)。
この分粒工程は、生体に害を及ぼす可能性のある大きさの粒子状物質を採取(捕集)するために行われる工程である。すなわち、様々な製品の原材料や実験材料等として一般に市販される粒子状物質(微粉末)は、それに含まれる全てが微粒子であるとは限らず、製造されて出荷される段階では、極微粒子(ナノサイズ)、微粒子(ミクロンサイズ)及び数百ミクロンの粒子が混在している。このような粒子状物質について生体に対する有害性を評価するためには、生体に害を及ぼす可能性が低い大きさの粒子を取り除き、生体に害を及ぼす可能性が高い大きさの粒子(例えば極微粒子)だけを採取する必要があるため、本実施形態に係る浮遊特性測定方法では、分粒工程を実施している。
次に、捕集工程(S3)では、吸引手段30によって収容容器10の径方向中心部かつ上部に形成された流出部18から吸引することで、旋回流の中心部の気体及び該気体中の粒子状物質を収容容器10の外部に流出させ、この流出した粒子状物質を捕集手段40によって捕集する。これにより、生体に害を及ぼす可能性のある大きさの粒子(例えば極微粒子)だけを採取することができる。なお、これら気体流発生工程(S1)、分粒工程(S2)及び捕集工程(S3)は、浮遊特性測定装置1を用いて実行される。
次に、濃度測定工程(S4)では、吸引手段30によって吸引した空気量と、捕集前後のフィルタの重量の変化(秤量値)とに基づいて、捕集点(すなわち、旋回流の中心部)における粒子状物質の濃度を算出する。具体的には、吸引した空気量[L]は、捕集時の流量(捕集流量)[L/min]と、捕集時間[min]との積(「捕集流量」×「捕集時間」)により、算出される。また、秤量値[mg]は、捕集前のフィルタ重量と、捕集後のフィルタ重量の差(「捕集後のフィルタ重量」−「捕集前のフィルタ重量」)により、算出される。さらに、捕集点における粒子状物質の濃度[mg/m]は、秤量値[mg]と、吸引した空気量[L]との商(「秤量値」÷(「空気量」÷1000))により、算出される。なお、粒子状物質の濃度の算出は、パーソナルコンピュータ等の演算処理部を用いて実行される。また、演算処理部に対する空気量[L]及び秤量値[mg]の入力は、吸引手段30や秤量測定手段(図示せず)等を介して自動で入力されるとしても良いし、測定者により手動で入力されるとしても良い。
浮遊係数測定工程(S5)では、濃度測定工程(S4)によって算出された測定対象となる粒子状物質の濃度と、上述した濃度測定工程(S4)と同様の工程によって算出された対照物質の濃度とに基づいて、測定対象となる粒子状物質の浮遊係数を算出する。具体的には、浮遊係数は、測定対象となる粒子状物質の濃度と、基準となる対照物質の濃度との商(「測定対象となる粒子状物質の濃度」÷「対照物質の濃度」)により、算出される。ここで、基準となる対照物質は、(1)入手が容易であること、(2)その粒径から、吸引すると肺に到達する可能性が高いこと(生体への有害性が高いこと)、(3)概ね標準的な浮遊特性を有すること(浮遊係数を1とすることが適切であること)、等を条件として選定することが好ましい。そして、これらの条件を鑑みると、例えば、入手が容易で生体への有害性が懸念され、かつ、浮遊させた時の経験則より、その浮遊係数が概ね中間値に相当する(標準的な浮遊特性を有する)、カーボンブラックを用いることが好適であるが、これに限定されるものではない。なお、浮遊係数の算出は、パーソナルコンピュータ等の演算処理部を用いて実行される。また、対照物質の濃度は、測定対象となる粒子状物質の測定以前に測定され、演算処理部に記憶させておいた対照物質の濃度を用いるとしても良いし、測定者により手動で入力された設定値であるとしても良い。
そして、他の粒子状物質についても浮遊係数を算出する場合には、上述した気体流発生工程(S1)、分粒工程(S2)、捕集工程(S3)、濃度測定工程(S4)及び浮遊係数測定工程(S5)と同じ条件下で、これらの工程を実行する。これにより、種々の粒子状物質について、共通した基準(対照物質)に対する浮遊係数を得ることが可能となるため、生体に対する有害性を互いに比較することが可能となる。
以上説明したとおり、本実施形態に係る浮遊特性測定方法は、測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流を発生させる気体流発生工程(S1)と、気体流中から粒子状物質を捕集する捕集工程(S3)と、捕集工程により捕集された粒子状物質の濃度を測定する濃度測定工程(S4)と、濃度測定工程により測定された濃度を、基準となる対照物質の濃度と比較することで、粒子状物質の浮遊係数を測定する浮遊係数測定工程(S5)とを備えている。
このような浮遊特性測定方法によれば、浮遊係数という定量的な値により、測定対象とした粒子状物質の浮遊特性を示すことが可能となる。そして、この浮遊係数は、粒子状物質の浮遊特性を定量的に示すものであることから、生体に対する有害性(浮遊して生体内に侵入するレベル)の判断基準とすること、すなわち、粒子状物質のリスク評価指標として用いることが可能である。これにより、例えば、様々な製品の原材料や実験材料等とするために粒子状物質を購入する購入者や使用者等に対し、浮遊係数という定量的な値により、該粒子状物質が生体に与える影響を認知させることが可能となる。
また、本実施形態に係る浮遊特性測定方法は、上述したとおり、捕集工程(S3)の前に、気体流(エアロゾル)を旋回流とすることによって極微粒子を分粒する分粒工程(S2)を更に備えている。このような浮遊特性測定方法によれば、生体に害を及ぼす可能性が低い大きさの粒子を取り除き、生体に害を及ぼす可能性が高い大きさの粒子だけを採取して浮遊係数を算出することが可能となるため、より信頼度の高いリスク評価指標とすることが可能である。
さらに、本実施形態に係る浮遊特性測定装置1は、上述したとおり、密閉容器(収容容器10)の内部に配置されたマグネット式攪拌翼22を、該密閉容器(収容容器10)の外部に配置されたマグネチックスターラ24の磁力によって回転させるよう構成されている。このような浮遊特性測定装置1によれば、攪拌翼とモータとを連結するシャフトが不要となり、収容容器に該シャフトを貫通させるための貫通孔を形成する必要がないため、収容容器10からの粒子状物質の漏出を防止することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る浮遊特性測定方法では、捕集工程(S3)の前に、旋回流によって極微粒子を分粒する分粒工程(S2)を実行するものとして説明したが、これに限定されず、分粒工程を行わずに捕集工程(S3)を実行しても良い。また、分粒工程(S2)は、粒子状物質に遠心力を作用させて分粒させる方式(サイクロン方式)に限定されず、例えば、気流中に配置した障害物に粒子状物質を衝突させることで分粒させる方式や、粒子状物質に静電気力や重力を作用させて分粒させる方式等、種々の分粒方式を採用することが可能である。この場合においては、採用した分粒方式に適合した種々の公知の分粒手段を浮遊特性測定装置1に採用することが可能である。
また、上述した実施形態に係る浮遊特性測定方法では、吸引手段30によって吸引した空気量と、捕集前後のフィルタの重量の変化(秤量値)とに基づいて、粒子状物質の濃度を算出するものとして説明したが、これに限定されず、例えば粒子状物質により生じた散乱光に基づいて濃度を計測する散乱光式濃度測定方法等の種々の方法を採用することが可能である。この場合においては、採用した濃度測定方法に適合した種々の公知の手段を浮遊特性測定装置1に採用するか、又は、当該手段を浮遊特性測定装置1に併設させることが可能である。
さらに、本実施形態に係る浮遊特性測定装置1は、上述した浮遊特性測定方法への使用以外にも、エアロゾルを発生させて粒子状物質を分粒・捕集する種々の装置として好適に用いることが可能である。例えば、本実施形態に係る浮遊特性測定装置1によれば、多種類の多層カーボンナノチューブ(MWCNT)等の微小物質を気中から分離して捕集可能であることから、これら微小物質の作業環境測定及び個人曝露測定等に用いることも可能である。
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
粉末状の三酸化アンチモン(Sb)原体試料Aと、この原体試料Aに表面処理を施した試料(B〜D)を用意し、各試料について、浮遊特性測定装置1を用いてエアロゾル生成・分粒・捕集し、対照物質(カーボンブラック)と比較して浮遊係数を算出した。また、原体試料Aとは異なる三酸化アンチモン(Sb)原体試料Eと、この原体試料Eに表面処理した試料(F〜H)を用意し、試料A〜Dと同様に、浮遊特性測定装置1を用いてエアゾル生成・分粒・捕集し、対照物質(カーボンブラック)と比較して浮遊係数を算出した。なお、表面処理の度合は、それぞれ試料B<C<D、試料F<G<Hである。測定手順及び条件は、以下のとおりである。なお、容器本体12には、直径25cm、高さ25cm、容積約10Lのステンレス容器を用いた。また、捕集手段40のフィルタには、37mmφのフッ素樹脂処理ガラス繊維フィルタT60A20(東京ダイレック株式会社製)を用いた。
まず、捕集手段40のフィルタの重量を秤量し、サンプリングホルダ42にセットした。次に、マグネチックスターラ24により1400rpmでマグネット式攪拌翼22(φ90mm、35Hmm)を回転させ、その後、収容容器10の内部に試料Aを0.5g投入した。次に、吸引手段30により、2.75mL/minの吸引流量で、30分間吸引した。サンプリングの終了後、サンプリングホルダ42からフィルタを取り出し、その重量をミクロ天秤で秤量した。そして、これら吸引流量、吸引時間(捕集時間)及び捕集前後のフィルタの重量の差(秤量値)に基づいて、「『捕集点の濃度[mg/m]』=『秤量値[mg]』÷(『捕集流量[L/min]』×『捕集時間[min]』÷1000)」の式により、捕集点(旋回流の中心部)における試料Aの濃度を算出した。最後に、算出した試料Aの濃度と、予め同様の手順により測定したカーボンブラック(JIS試験用粉体1の12種、粒子径分布0.03〜0.20μm、一般社団法人日本粉体工業技術協会製)の濃度とに基づいて、「『浮遊係数』=『試料(測定対象となる粒子状物質)の濃度』÷『対照物質の濃度』」の式により、試料Aの浮遊係数を算出した。また、同様の手順により、試料B〜Hについても、それぞれ浮遊係数を算出した。
以上の手順による試料A〜Dの測定結果をカーボンブラック(対照物質)の測定結果と共に図4及び図5に示し、試料A〜Dの測定結果を同じくカーボンブラック(対照物質)の測定結果と共に図6及び図7に示す。なお、試料の投入量[mg]は小数点以下第1位まで測定し、秤量値[mg]は小数点以下第3位まで測定し、浮遊係数は小数点以下第4位まで計算した。図4〜図7から明らかなとおり、試料の浮遊係数は、それぞれ、原体試料A:0.0779、試料B:0.0058、試料C:0.0007、試料D:0.0080、原体試料E:4.7320、試料F:0.8456、試料G:0.4916、試料H:0.2265であった。この結果から、試料A〜Dの中で、原体試料Aが最も浮遊し易い特性(浮遊特性)を有し、試料B〜Dがいずれも極めて低い浮遊特性を有することが明らかとなった。また、試料E〜Hの中では、原体試料Eが最も浮遊し易い特性(浮遊特性)を有し、続いて、試料F→試料G→試料Hの順で浮遊し易い特性を有することが明らかとなった。試料A〜Dの中で原体試料Aの浮遊係数が最も大きく、また、試料E〜Hの中で原体試料Eの浮遊係数が最も大きい理由としては、原体試料A及びEは表面処理が施されていない原体試料のため浮遊の度合いが大きく、その他B〜D及びF〜Hの試料では、表面処理が施されていることにより浮遊の度合いが抑えられたことが推測される。
[実施例2]
粉末状のナノ酸化チタン(TiO)を7種類(試料A´〜G´)用意し、各試料について、浮遊特性測定装置1を用いてエアロゾル生成・分粒・捕集し、対照物質(カーボンブラック)と比較して浮遊係数を算出した。測定手順及び条件は、容器本体12としてガラス製容器(容積10L)を用いた点及び収容容器10の内部への試料の投入量が0.1gである点を除き、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
測定の結果、試料の浮遊係数は、それぞれ、試料A´:0.04、試料B´:2.01、試料C´:2.68、試料D´:4.26、試料E´:14.08、試料F´:21.94、試料G´:61.61であった。なお、浮遊係数は、小数点以下第2位まで計算した。この結果から、試料G´が最も浮遊し易い特性(浮遊特性)を有し、続いて、試料F´→試料E´→試料D´→試料C´→試料B´→試料A´の順で浮遊し易い特性を有することが明らかとなった。試料G´の浮遊係数が大きい理由としては、SEM観察の結果から、一次粒子間に隙間があるためであると推測される。また、試料A´の浮遊係数が小さい理由としては、SEM観察の結果から、二次粒子が密であるためであると推測される。
1 浮遊特性測定装置、10 収容容器、20 旋回流生成手段、22 マグネット式攪拌翼、24 マグネチックスターラ、30 吸引手段、40 捕集手段

Claims (5)

  1. 測定対象とする粒子状物質が含まれる気体流を発生させる気体流発生工程と、
    前記気体流中から前記粒子状物質を捕集する捕集工程と、
    前記捕集工程により捕集された前記粒子状物質の濃度を測定する濃度測定工程と、
    前記濃度測定工程により測定された濃度を、該濃度測定工程と同様の工程によって測定された基準となる対照物質の濃度と比較することで、前記粒子状物質の浮遊係数を測定する浮遊係数測定工程と
    を備えることを特徴とする粒子状物質の浮遊特性測定方法。
  2. 前記捕集工程の前に、前記気体流を旋回流とすることによって極微粒子を分粒する分粒工程を更に備え、
    前記捕集工程は、前記分粒工程により分粒された極微粒子を前記粒子状物質として捕集する工程である
    ことを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質の浮遊特性測定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の粒子状物質の浮遊特性測定方法に用いられる浮遊特性測定装置であって、
    前記粒子状物質を収容可能な収容容器と、
    前記収容容器内に旋回流を生成可能な旋回流生成手段と、
    前記収容容器の上部に設けられ、前記旋回流の中心部の気体及び該気体中の前記粒子状物質を吸引可能な吸引手段と、
    前記吸引手段により吸引された前記粒子状物質を捕集可能な捕集手段と
    前記粒子状物質の濃度と前記基準となる対照物質の濃度とに基づいて前記粒子状物質の浮遊係数を算出する演算処理部と
    を備えることを特徴とする浮遊特性測定装置。
  4. 前記収容容器は、その内部を外部から視認可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の浮遊特性測定装置。
  5. 前記旋回流生成手段は、
    前記収容容器の内部に配置されたマグネット式攪拌翼と、
    前記収容容器の外部に配置され、磁力により前記マグネット式攪拌翼を回転させることが可能なマグネチックスターラと
    を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の浮遊特性測定装置。
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