以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)と、遊技盤を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域2が形成されている。この遊技領域2には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤の所定位置(図1に示す例では、遊技領域2の右側方)には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。
なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤における遊技領域2の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、画像表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示することなどが含まれてもよい。
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリアが配置されてもよい。始動入賞記憶表示エリアでは、可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や普通可変入賞球装置6B1及び6B2が形成する第2始動入賞口に遊技球が進入(始動入賞)したことに基づき、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームを開始するための開始条件は成立していないときに発生する。
例えば、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)する第1始動入賞の発生により、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの始動条件(第1始動条件)が成立したときに、当該第1始動条件の成立に基づく第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立しなければ、第1特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。また、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)する第2始動入賞の発生により、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの始動条件(第2始動条件)が成立したときに、当該第2始動条件の成立に基づく第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立しなければ、第2特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。これに対して、第1特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)される。
第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した可変表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。単に「特図保留記憶数」というときには、通常、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数及び合計保留記憶数のいずれも含む概念を指すが、特に、これらの一部(例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数を含む一方で合計保留記憶数は除く概念)を指すこともあるものとする。
始動入賞記憶表示エリアとともに、あるいは始動入賞記憶表示エリアに代えて、特図保留記憶数を表示する表示器を設けるようにしてもよい。図1に示す例では、始動入賞記憶表示エリアとともに、第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bはそれぞれ、例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数のそれぞれにおける上限値(例えば「4」)に対応した個数(例えば4個)のLEDを含んで構成されている。
遊技盤の盤面上に形成された遊技領域2には、画像表示装置5の天辺よりも左側の左遊技領域2A(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域2B(第2遊技領域)とがある。第1遊技領域である左遊技領域2Aと、第2遊技領域である右遊技領域2Bは、例えば遊技領域2の内部における画像表示装置5の端面や釘の配列PLなどにより区分けされていればよい。打球発射装置から発射されて遊技領域2に打ち込まれた遊技球は、第1遊技領域である左遊技領域2Aへと誘導された場合に、例えば釘の配列PLに沿って誘導されることにより、第2遊技領域である右遊技領域2Bへと誘導不可能または誘導困難となる。
左遊技領域2Aには、画像表示装置5の下方に、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6B1とが横方向に並んで設けられている。また、その上には、遊技媒体を振り分ける振分装置200が設けられている。
普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。また、普通可変入賞球装置6Bは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
振分装置200の上部には、遊技球が流入可能な流入口201が設けられる。一方、振分装置200の下部には、流入した遊技球が流出する左側流出口205と右側流出口206とが設けられる。左側流出口205の下方には普通可変入賞球装置6Aによって形成される第1始動入賞口が位置しているので、左側流出口205から流出した遊技媒体は、第1始動入賞口に入賞する。一方、右側流出口206の下方には普通可変入賞球装置6Bによって形成される第2始動入賞口が位置しているので、右側流出口206から流出した遊技媒体は、第2始動入賞口に入賞する。この実施の形態では、流入口201に流入した遊技球が左側流出出口205と右側流出出口206とから交互に流出する(そのための具体的な構成については、後述する図38参照)。そのため、左遊技領域2Aを狙って射出された遊技球は、第1始動入賞口と第2始動入賞口とに交互に入賞可能となる。このため、第1始動入賞口に入賞する遊技媒体の数と第2始動入賞口に入賞する遊技媒体の数とは、略同数となる。
更に、右遊技領域2Bには、普通可変入賞球装置6B2が設けられている。普通可変入賞球装置6B2は、図2に示す普通電動役物用のソレノイド81によって垂直位置となる閉鎖状態と傾動位置となる開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、第2始動入賞口を形成する。一例として、普通可変入賞球装置6B2では、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)しない閉鎖状態にする。その一方で、普通可変入賞球装置6B2では、第2普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となることにより、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)できる開放状態にする。このように、普通可変入賞球装置6B2は、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)不可能な閉鎖状態(第1状態とも言う)または通過(進入)可能な開放状態(第2状態とも言う)といった状態に、変化できるように構成されている。
普通可変入賞球装置6B1が形成する第2始動入賞口と、普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口との何れに遊技球が進入した場合でも、第2特図を用いた特図ゲームの始動条件(第2始動条件)が成立する。このときに当該第2始動条件の成立に基づく第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立しなければ、第2特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。
上述したとおり、左遊技領域2Aを流下する遊技球が入賞する場合には、振分装置200によって第1始動入賞口と第2始動入賞口とに交互に振り分けられる。そのため、遊技者が左遊技領域2Aを狙って遊技球を射出すると、遊技状態に関わらず(即ち、通常状態でも確変状態でも)第1始動条件と第2始動条件とが交互に成立する。一方、左遊技領域2Bに配置された普通可変入賞球装置6B2は、確変状態に制御されている場合には開放状態に、通常状態では閉鎖状態に制御される。
左遊技領域2Aや右遊技領域2Bにおける普通入賞球装置6Aや普通可変入賞球装置6B1及び6B2などの配置により、第1遊技領域である左遊技領域2Aへと誘導された遊技球は、第2遊技領域である右遊技領域2Bに設けられた普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口を通過(進入)したりすることが不可能または困難である。加えて、第2遊技領域である右遊技領域2Bへと誘導された遊技球は、第1遊技領域である左遊技領域2Aに設けられた普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過(進入)することが不可能または困難である。また、左遊技領域2Bには第1始動入賞口は設定されていない。そのため、通常状態では遊技者が右遊技領域2Bを狙って遊技球を射出しても、遊技球は普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口を通過せず第2始動条件は成立しない。一方、確変状態は左遊技領域2Bを狙って遊技球を射出すると、第1始動条件は成立せず、第2始動条件のみが成立する。
なお、これに限らず、普通可変入賞球装置6B1及び普通可変入賞球装置6B2は、普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となることにより開放状態となり所定時間経過を経過すると閉鎖状態に変化する、としてもよい。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6B1に形成された第2始動入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22B1によって検出される。普通可変入賞球装置6B2に形成された第2始動入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22B2によって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球(景品遊技媒体)として払い出され、第1保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22B1又は22B2によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2保留記憶数が所定の上限値以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22B1又は22B2によって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
右遊技領域2Bの、普通可変入賞球装置6B2の下方には、2つの特別可変入賞球装置(上特別可変入賞装置7A、下特別可変入賞装置7B)が設けられている。上特別可変入賞球装置7Aは、図2に示す上大入賞口扉用のソレノイド82Aによって開閉駆動される上大入賞口扉を備え、その上大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する上大入賞口を形成する。一例として、上特別可変入賞球装置7Aでは、上大入賞口扉用のソレノイド82Aがオフ状態であるときに上大入賞口扉が上大入賞口を閉鎖状態にする。その一方で、上特別可変入賞球装置7Aでは、上大入賞口扉用のソレノイド82Aがオン状態であるときに上大入賞口扉が上大入賞口を開放状態にする。上特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す上大入賞口スイッチ23Aによって検出される。
下特別可変入賞球装置7Bは、図2に示す下大入賞口扉用のソレノイド82Bによって開閉駆動される下大入賞口扉71を備え、その下大入賞口扉71によって開放状態と閉鎖状態とに変化する下大入賞口を形成する。一例として、下特別可変入賞球装置7Bでは、下大入賞口扉用のソレノイド82Bがオフ状態であるときに下大入賞口扉71が下大入賞口を閉鎖状態にする。その一方で、下特別可変入賞球装置7Bでは、下大入賞口扉用のソレノイド82Bがオン状態であるときに下大入賞口扉71が下大入賞口を開放状態にする。下特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す下大入賞口スイッチ23Bによって検出される。
上特別可変入賞球装置7Aが形成する上大入賞口や下特別可変入賞球装置7Bが形成する下大入賞口を遊技球が通過(進入)することにより、多数の遊技球が賞球として払い出される。すなわち、特別可変入賞球装置7Aは、上大入賞口扉により上大入賞口を開放状態とすることにより、遊技者にとって有利な第1状態となる。下特別可変入賞球装置7Bは、下大入賞口扉71により下大入賞口を開放状態とすることにより、遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、上特別可変入賞球装置7Aは、上大入賞口扉により上大入賞口を閉鎖状態とすることにより、遊技者にとって不利な第2状態となる。下特別可変入賞球装置7Bは、下大入賞口扉71により下大入賞口を閉鎖状態とすることにより、遊技者にとって不利な第2状態となる。なお、遊技球が上大入賞口や下大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が上大入賞口や下大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
下特別可変入賞球装置7Bの内部には、図3に示すように、下大入賞口扉71により開放状態となった下大入賞口に進入した遊技球が、所定の確変領域を通過して、あるいは通過せずに、下特別可変入賞球装置7Bからの排出経路まで誘導する誘導経路が設けられている。下特別可変入賞球装置7Bに進入した遊技球は、まず入賞した遊技球を検出するための下大入賞口スイッチ23Bが設けられた経路を通過したのち、確変領域への誘導路と、確変領域を通過せず排出経路に誘導する誘導路と、への分岐点に誘導される。分岐路に誘導された遊技球が確変領域への誘導路を流下すると、この遊技球が確変領域スイッチ24Aによって検出されることで、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立する。すなわち、確変領域スイッチ24Aの設置箇所を確変領域とし、この確変領域を遊技球が通過したことに基づいて、所定の確変制御条件を成立させることができる。確変領域は下特別可変入賞球装置7Bの内部にあるので、下特別可変入賞球装置7Bに入賞した遊技球のみが通過可能である。
本実施の形態では、下特別可変入賞装置7Bの内部のうち、少なくとも確変領域の周辺は遊技者に視認不能又は困難となるように構成されている。このため、下特別可変入賞装置7Bに進入した遊技球が確変領域を通過したか否か(確変制御条件が成立したか否か)は、遊技者とって確認が困難または不可能である。このような構成によれば、下特別可変入賞装置7Bが開放状態に変化した場合に、確変領域を遊技球が通過したか否かを隠蔽して、遊技者に確変状態に制御されるか否かの期待感を煽ることができる。
確変領域は、確変領域蓋用のソレノイド82Cによって駆動される確変領域蓋72によって、遊技球が通過可能な開放状態と通過不可能な閉鎖状態とに変化する。一例として、確変領域蓋用のソレノイド82Cがオフ状態であるときに確変領域蓋72が確変領域を塞ぐ(閉鎖する)位置(規制位置)に移動し、確変領域を閉鎖状態にする(図3(A))。その一方で、確変領域蓋用のソレノイド82Cがオン状態であるときに確変領域蓋72が確変領域を塞がない(閉鎖しない)位置(許容位置)に移動し、確変領域を開放状態にする(図3(B))。確変領域が閉鎖状態にあるときに分岐点に到達した遊技球は確変領域を通過せず共通排出経路74に誘導され、下特別可変入賞装置7Bから排出される(図3(A))。この場合、遊技球は共通排出経路74への誘導路に設置された排出スイッチ24Bによって検出される。一方、確変領域が開放状態にある時に分岐点に到達した遊技球は、確変領域を通過し(図3(B))、確変領域に設置された確変領域スイッチ23Bによって検出される。そして、確変領域を通過した遊技球は共通排出経路74に誘導され、下特別可変入賞装置7Bから排出される。下特別可変入賞装置7Bに入賞した遊技球が確変領域を通過することで、確変領域スイッチBが確変領域を通過した遊技球を検出したことに基づいて、後述する確変状態に制御される。このため、遊技球が下特別可変入賞装置7Bに入賞する割合、及び、確変領域蓋73が許容位置にある時間の長さとそのタイミングを調節することで、確変状態に制御する割合を好適に設定することが出来る。
なお、確変領域から共通排出経路74に至る誘導経路には、遊技球の流下速度を減速して共通排出経路への到達を遅延する遅延部73が設けられている。遅延部73は、例えば減速用の突起であればよい。遅延部73によって、異なるタイミングで第1可変入賞装置に入賞した遊技媒体の一方が確変領域を通過し、他方が通過せず、それぞれ共通排出経路74に到達したとしても、到達のタイミングを異ならせることができる。そのため、共通排出経路74で遊技球が球詰まりを起こすことを防止できる。
遊技盤の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域2の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域2の周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域2における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B1及び6B2、上特別可変入賞球装置7A、下特別可変入賞球装置7B等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。
パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域2に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。遊技領域2の下方における所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿が設けられている。例えば上皿の上面における手前側の所定位置には、押下操作などにより遊技者が操作可能な操作ボタン30が設置されている。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。
パチンコ遊技機1では、左遊技領域2Aにおいて振分装置200に流入した遊技球が左側流出口205から流出し、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過(進入)すると、その遊技球が図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことなどにより第1始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始される。次に振分装置200に流入した遊技球は右側流出口206から流出し、普通入賞球装置6B1が形成する第2始動入賞口を通過(進入)すると、その遊技球が図2に示す第2始動口スイッチ22B1によって検出されたことなどにより第2始動条件が成立する。第2始動条件は、右遊技領域2Bにおいて普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)すると、その遊技球が図2に示す第2始動口スイッチ22B2によって検出されたことなどによっても成立する。普通可変入賞球装置6B1が形成する第2始動入賞口と普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口とは何れも遊技球が進入した場合に第2始動条件が成立するため、両者を区別せず単に第2始動入賞口と言う場合がある。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始される。
本実施の形態では、後述する確変状態とは異なる通常遊技状態では、普通可変表示装置6B2は第2可変状態(閉鎖状態)であるので、左遊技領域2Aの第2始動入賞口を遊技球が通過困難または通過不可能である。そこで、未だ確変状態に制御されない通常遊技状態においては、遊技者は遊技球を左遊技領域2Aへと誘導して、第1始動入賞口への入賞に基づく第1特図を用いた特図ゲームの開始と、右遊技領域2Bの第2始動入賞口への入賞に基づく第2特図を用いた特図ゲームの開始と、該特図ゲームの「大当り」を目指すこととなる。第1特図又は第2特図を用いた特図ゲームの結果「大当り」の可変表示結果が導出された事に基づく大当り遊技状態においては、特定のラウンド(5又は6ラウンド)にて下特別可変入賞装置7Bに遊技球が進入し、さらに確変領域を通過することが可能となる。確変領域を遊技球が通過すると、後述する確変確定フラグがセットされ、確変状態に制御される特別遊技状態への移行が確定する。その後大当り遊技状態が終了すると、確変状態に制御され、普通可変表示装置6B2が第1可変状態(開放状態)に変化して、右遊技領域2Bの第2始動入賞口を遊技球が通過可能となる。右遊技領域2Bには第1始動入賞口は設置されていないので、この場合には第1特図ゲームを挟まず第2特図ゲームのみが実行される。後述するように、本実施形態では第2特図ゲームは第1特図ゲームよりも有利である。そのため、遊技者は遊技球を右遊技領域2Bへと誘導して、右遊技領域2Bの第2始動入賞口への入賞に基づく第2特図を用いた特図ゲームの開始と、該特図ゲームの「大当り」を目指すこととなる。このような構成により、遊技状態に応じて変化する多様な遊技体験を遊技者に提供できる。
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターンの決定などが行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図2に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。
こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄の可変表示に対応して、画像表示装置5の表示領域に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、特別図柄とは異なる飾り図柄(演出図柄)の可変表示が行われる。
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」(特定表示結果)となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。
特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果が「大当り」となるときには、画像表示装置5の表示領域において、予め定められた大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示される。一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける所定の有効ライン上に同一の飾り図柄が揃って停止表示されることにより、大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示されればよい。
大当り遊技状態では、上大入賞口または下大入賞口が開放状態となって上特別可変入賞球装置7Aまたは下特別可変入賞球装置7Bが遊技者にとって有利な第1状態となる。そして、所定期間(例えば20秒間、約27秒間、又は、52ミリ秒間)あるいは所定個数(例えば6個)の遊技球が上大入賞口または下大入賞口に進入して入賞球が発生するまでの期間にて、上大入賞口または下大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が実行される。こうしたラウンド遊技の実行期間以外の期間では、上大入賞口や下大入賞口が閉鎖状態となり、入賞球が発生困難または発生不可能となる。上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、その検出ごとに所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出され、同様に所定個の遊技球が払い出される。大当り遊技状態におけるラウンド遊技は、所定の上限回数(例えば「16」)に達するまで繰返し実行される。したがって、大当り遊技状態では、遊技者が多数の賞球をきわめて容易に獲得することができ、遊技者にとって有利な遊技状態となる。なお、パチンコ遊技機1は、賞球となる遊技球を直接に払い出すものであってもよいし、賞球となる遊技球の個数に対応した得点を付与するものであってもよい。
大当り遊技状態が終了した後には、所定の確変制御条件が成立したことに基づいて、可変表示結果が「大当り」となる確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることがある。本実施の形態では、下大入賞口から下特別可変入賞球装置7Bに進入した遊技球の確変領域への通過を、確変領域スイッチ24Aが検出することが確変制御条件となる。この確変状態は、所定回数の可変表示(例えば208回)が実行されるまで継続するように制御される。即ち、所定回数の可変表示の終了が、確変終了条件である。
確変状態では、通常状態では第2可変状態(閉鎖状態)にある普通可変入賞球装置6B2を、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)可能な第1可変状態(開放状態または拡大開放状態)と不可能(又は困難)な第2可変状態(閉鎖状態または通常開放状態)とに変化させる。このように、普通可変入賞球装置6B2を第1可変状態と第2可変状態とに変化させる制御は、電チュー開放制御と称される。本実施形態では、後述するように、遊技球が第2始動入賞口を通過したことに基づき開始される第2特図ゲームが、通常状態でも通過可能な第1始動入賞口を通過したことに基づき開始される第1特図ゲームよりも遊技者にとって有利である。そのため、電チュー開放制御が実行される確変状態は通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態となる。
なお、確変状態にて確変制御が行われるときでも、電チュー開放制御が行われない場合があってもよい。例えば可変表示結果が「大当り」となる場合には、大当り遊技状態にて上大入賞口や下大入賞口が開放状態となる上限時間が短く、遊技球が通過(進入)困難または通過(進入)不可能なラウンド遊技が実行され、大当り遊技状態の終了後には確変状態に制御される場合がある。このような場合は、大当り種別が「突確」(「突然確変」ともいう)であるとも称される。そして、電チュー開放制御が行われていないときに可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となった場合には、大当り遊技状態の終了後に確変状態となり確変制御が行われるものの、電チュー開放制御が行われないようにしてもよい。
パチンコ遊技機1において遊技媒体として用いられる遊技球や、その個数に対応して付与される得点の記録情報は、例えば数量に応じて特殊景品や一般景品に交換可能な有価価値を有するものであればよい。あるいは、これらの遊技球や得点の記録情報は、特殊景品や一般景品には交換できないものの、パチンコ遊技機1で再度の遊技に使用可能な有価価値を有するものであってもよい。
また、パチンコ遊技機1において付与可能となる遊技価値は、賞球となる遊技球の払出しや得点の付与に限定されず、例えば大当り遊技状態に制御することや、確変状態などの特別遊技状態に制御すること、大当りとなった場合により有利な大当り遊技状態(例えば第1大当り遊技状態)が選択される割合が第2割合(例えば1/2)よりも高い第1割合(例えば、1/1)となること、大当り遊技状態にて実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数(例えば「7」)よりも多い第1ラウンド数(例えば「16」)となること、確変状態における大当り確率が第2確率(例えば1/200)よりも高い第1確率(例えば1/100)となること、といった、遊技者にとってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。
この実施の形態では、後述する大当り種別にかかわらず、特定遊技状態にて16回(16ラウンド)のラウンド遊技が実行される。このうち、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「5」、及び、「6」となったときに、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行されて下特別可変入賞球装置7Bが遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「5」及び「6」以外であるときには、上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行されて上特別可変入賞球装置7Aが遊技者にとって有利な第1状態となる。すなわち、可変遊技結果に応じて、大当り遊技状態の開始から特定回数目(「5回目」と「6回目」)に実行されるラウンド遊技にて下特別可変入賞球装置7Bが開放状態に変化する、複数種類の大当り遊技状態に制御される。また、複数の大当り遊技状態のそれぞれにおいて、同数のラウンド遊技が実行される。そのうち、5回目と6回目に実行されるラウンド遊技では、下特別可変入賞球装置7Bが第1状態(開放状態)となり下特別可変入賞球装置7Bに進入した遊技球が確変領域を通過しうるため、これらのラウンド遊技は確変開放ラウンド遊技とも言う。これに対し、ラウンド遊技は、1〜4・7〜16回目の上特別可変入賞球装置7Aが第1状態(開放状態)となるラウンド遊技を、通常開放ラウンド遊技(あるいは上開放ラウンド)とも言う。また、一つのラウンド遊技が実行される期間を1ラウンドとして、一の「大当り」に基づいて実行される大当り遊技状態には複数回のラウンドが含まれる。このうち、第5と第6ラウンド目の、下特別可変入賞装置7Bが開放状態となる2回のラウンドを下開放ラウンド(あるいは確変開放ラウンド)、1〜4回目と7〜16回目に実行される上特別可変入賞装置7Aが開放状態となるラウンドを上開放ラウンド、とそれぞれ表現する。すなわち、可変表示結果が「大当り」であった場合に、その「大当り」に基づいて制御される大当り遊技状態において、下大入賞口扉の作動時間が設けられたラウンド遊技(下開放ラウンドのラウンド遊技)と上大入賞口扉の作動時間が設けられたラウンド遊技(上開放ラウンドのラウンド遊技)とを含む複数回のラウンド遊技を実行する。
本実施の形態では、可変表示結果が「大当り」であった場合の大当り種別として、その「大当り」に基づき制御される大当り遊技状態において、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「5」及び「6」であるとき(第5及び6ラウンド)に、下大入賞口を開放状態とする上限時間が異なる複数種類の大当り種別がある。一例として、大当り種別が「第1大当り」及び「第3大当り」の場合には、下大入賞口を開放状態とする上限時間が約27秒(27秒+52ミリ秒)に設定された大当り遊技状態(第1大当りの場合は「第1大当り遊技状態」、第3大当りの場合には「第3大当り遊技状態」)に制御される。一方、大当り種別が「第2大当り」の場合には、下大入賞口を開放状態とする上限時間が52ミリ秒に設定された「第2大当り遊技状態」に制御される。第2大当り遊技状態では、開放状態となる制御時間が52ミリ秒と短いため、遊技球が実際に下大入賞口に入賞して下特別可変入賞装置7Bに進入できる割合は低い。したがって、大当り種別が「第2大当り」の場合には、下大入賞口を遊技球が通過(進入)する可能性が低く、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立しにくい。一方、第1及び第3大当り遊技状態では、約27秒間開放されるので、下特別可変入賞装置7Bが設置された右遊技領域2Bに遊技球が誘導されれば高い割合で遊技球が下特別可変入賞装置7Bに進入できる。よって、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立しやすい。大当り種別を複数種類のいずれとするかは、例えば特図ゲームの開始時に可変表示結果を「大当り」とする決定がなされたことに対応して、所定割合で決定される。下特別可変入賞装置7Bに遊技球が進入すると、所定個の遊技球が払い出されにとどまらず、確変領域蓋72の位置によっては、確変領域を遊技球が通過し可変表示結果が「大当り」となる確率が非確変状態よりも高い確変状態に制御される。その点で、第2大当り遊技状態は第1大当り遊技状態よりも遊技者にとって有利である。
また、この実施形態では、可変表示結果が「大当り」であった場合の大当り種別として、その「大当り」に基づき制御される大当り遊技状態において、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「1」〜「4」及び「7」〜「16」であるときに、上大入賞口を開放状態に変化させる上開放ラウンドが実行される。そして、「第1大当り」の可変表示結果が導出された場合に実行される「第1大当り遊技状態」ではすべての上開放ラウンドで上大入賞口が開放される上限時間が長いラウンド遊技が実行される。一方、「第2大当り」及び「第3大当り」の可変表示結果が導出された場合は、第1大当りと比して、所定回数の上開放ラウンドでは上大入賞口が開放される上限時間が短いラウンド遊技が実行される。
言い換えると、本実施の形態では、各ラウンド遊技において、下特別可変入賞球装置7B又は上特別可変入賞球装置7Aを、遊技球が進入容易な態様(例えば開放上限時間として20秒又は約27秒といった遊技球が進入容易な時間が設定されるなど)で開放状態に変化させる有利開放制御と、有利開放制御よりも不利な態様(例えば開放上限時間として52ミリ秒といった遊技球が進入不可能又は困難な時間が設定されるなど)で開放状態に変化させる不利開放制御の何れかが実行される。第1大当り遊技状態では、16ラウンドの全てのラウンド遊技で有利開放制御が実行される。一方、第2大当り遊技状態及び第3大当り遊技状態では、所定回数である4回のラウンド遊技においては、有利開放制御が実行される一方、残りの12回のラウンド遊技においては不利開放制御が実行される。そして、有利開放制御が実行される所定回数のラウンド遊技に、下特別可変入賞球装置7Bが開放状態となる特定回数目のラウンド遊技(第5及び第6ラウンドのラウンド遊技)が、第2大当り遊技状態では含まれない一方、第3大当り遊技状態では含まれる。第1大当り遊技状態は、下特別可変入賞球装置7Bが開放状態に変化するラウンド(確変開放ラウンド)のラウンド遊技で有利開放制御が実行されるため確変確定条件が成立しやすいとともに、上特別可変入賞球装置7Aが開放状態に変化するラウンド(上開放ラウンド)を含む全てのラウンド遊技で有利開放制御が実行されるため、払い戻しの賞球の平均値が最も多い。また、第3大当り遊技状態では、第1大当り遊技状態より少ない所定回数(4回)の有利開放制御が実行されるラウンド遊技が実行される。一方、他の12回のラウンド遊技では不利開放制御が実行される。不利開放制御が実行されるラウンド遊技では遊技球が大入賞口に進入することが実質的に不可能なので、第2及び第3大当り遊技状態では払い戻される賞球が第1大当り遊技状態より少ない。このように、大当り種別に応じて、確変制御条件の成立とは異なる観点で、有利さが異なる複数の大当り遊技状態の何れかに制御することで、遊技の興趣を高めている。
また、有利開放制御が実行されるラウンドに確変開放ラウンドが含まれる第3大当り遊技状態では、確変領域を遊技球が通過し、確変成立条件が成立する割合が高い。一方、有利開放制御が実行されるラウンドに確変開放ラウンドが含まれない第2大当り遊技状態では確変領域を遊技球が通過することは実質的に不可能あるいは困難である。このように確変制御状態に制御する条件が成立する割合が異なる複数の大当り遊技状態である第2及び第3大当り遊技状態では、有利開放制御が実行されるラウンド遊技が同数実行される。不利開放制御が実行されるラウンド遊技は、大入賞口が非常に短い間開放されるだけなので、たとえ同数のラウンド遊技を実行するとしても、有利開放制御が実行されるラウンド遊技の回数が異なると、遊技者に確変状態に制御されやすい大当り種別と制御されにくい大当り種別とで、実行されるラウンド数が異なるという印象を与えてしまう。本実施の形態では、確変状態に制御されやすい大当り種別と制御されにくい大当り種別とで、同数のラウンド遊技で有利開放制御を実行することで、遊技者に違和感を与える程度を少なくしている。
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板、タッチセンサ基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えている。
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100やスイッチ回路110、ソレノイド回路111などが搭載されている。スイッチ回路110は、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送する。ソレノイド回路111は、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号を、普通電動役物用のソレノイド81、上大入賞口扉用のソレノイド82A、下大入賞口扉用のソレノイド82B、確変領域蓋用のソレノイド82Cに伝送する。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、スピーカ8L、8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路などが搭載されている。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、遊技効果ランプ9や節電中報知LED9L、9Rなどにおける点灯/消灯駆動を行うランプドライバ回路などが搭載されている。
図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、始動口スイッチ(第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22B1、第2始動口スイッチ22B2)、大入賞口スイッチ(上大入賞口スイッチ23Aおよび下大入賞口スイッチ23B)、確変領域スイッチ24A、排出スイッチ24Bといった、各種スイッチからの検出信号を伝送する配線が接続されている。なお、各種スイッチは、例えばセンサと称されるものなどのように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4Bなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば画像表示装置5における画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L、8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、遊技効果ランプ9や装飾用LEDさらには節電中報知LED9L、9Rの点灯動作などを制御するために用いられるランプ制御コマンドが含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ100を構成する1チップのマイクロコンピュータは、少なくともCPU103の他にRAM102が内蔵されていればよく、ROM101や乱数回路104、I/O105などは外付けされてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ100(またはCPU103)が実行する(または処理を行う)ということは、具体的には、CPU103がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板11以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
遊技制御用マイクロコンピュータ100では、例えば乱数回路104などにより、遊技の進行を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データが更新可能にカウントされる。遊技の進行を制御するために用いられる乱数は、遊技用乱数ともいう。遊技用乱数は、乱数回路104などのハードウェアによって更新されるものであってもよいし、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103が所定のコンピュータプログラムを実行することでソフトウェアによって更新されるものであってもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられたランダムカウンタや、RAM102とは別個の内部レジスタに設けられたランダムカウンタに、所定の乱数値を示す数値データを格納し、CPU103が定期的または不定期的に格納値を更新することで、乱数値の更新が行われるようにしてもよい。
この実施の形態では、主基板11の側において、図4に示すように、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3のそれぞれを示す数値データが、カウント(更新)可能に制御される。なお、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。
特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かを決定するために用いられる乱数値である。大当り種別決定用の乱数値MR2は、可変表示結果を「大当り」とする場合に、大当り種別を複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値である。変動パターン決定用の乱数値MR3は、飾り図柄の変動パターンを予め用意された複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値である。
図5は、この実施の形態における変動パターンを示している。この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果が「大当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。また、本実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」の場合であって、飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」であるときに選択される変動パターンとして、確変制御が実行されていない通常状態で選択される変動パターン(PA1−1)と、確変制御が実行されている確変状態で選択される変動パターン(PA1−2とPA1−3)と、含む複数の変動パターンが設定されている。さらに、確変状態であっても、その確変制御が開始されてから実行された特別図柄の可変表示の実行回数が所定回数としての8回以下である場合に選択されるPA1−3と、8回より多い場合に選択されるPA1−2と、が設定されている。このような構成により、後述するように遊技の状態に応じて好適な演出を実行することが出来る。
なお、飾り図柄の可変表示態様は、画像表示装置5の表示領域にて停止表示された飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の飾り図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態となることで、「リーチ」になる。具体的な一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が停止表示されているときに未だ停止表示していない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部または一部で飾り図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。また、リーチ状態となったことに対応して、画像表示装置5の表示領域に飾り図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させたり、背景画像の表示態様を変化させたり、飾り図柄の変動態様を変化させたりすることがある。このようなキャラクタ画像の表示や背景画像の表示態様の変化、飾り図柄の変動態様の変化を、リーチ演出表示(あるいは単にリーチ演出)という。こうした「リーチ」にはならない飾り図柄の可変表示態様を、「非リーチ」という。
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ユーザプログラム(ゲーム制御用の遊技制御処理プログラム)を示す制御コードや固定データ等が記憶されている。また、ROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータなどが格納されている。例えば、ROM101には、CPU103が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブルなどを構成するデータが記憶されている。また、ROM101には、CPU103が主基板11から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータや、変動パターンを複数種類格納する変動パターンテーブルを構成するテーブルデータなどが、記憶されている。
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAM102は、その一部または全部が所定の電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM102の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特図プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存されるようにすればよい。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。こうしたRAM102には、パチンコ遊技機1における遊技の進行などを制御するために用いられる各種のデータが記憶される。
一例として、RAM102には、図5に示すような遊技制御用データ保持エリア150が設けられている。図5に示す遊技制御用データ保持エリア150は、第1特図保留記憶部151Aと、第2特図保留記憶部151Bと、合計保留特定情報記憶領部151Cと、遊技制御フラグ設定部152と、遊技制御タイマ設定部153と、遊技制御カウンタ設定部154と、遊技制御バッファ設定部155とを備えている。
第1特図保留記憶部151Aは、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)したものの未だ開始されていない特図ゲーム(第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第1特図保留記憶部151Aは、第1始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過(進入)における第1始動条件の成立に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第1特図保留記憶部151Aに記憶された保留データは、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき所定の遊技価値が付与されるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。
第2特図保留記憶部151Bは、普通可変入賞球装置6B1と6B2とが形成する第2始動入賞口の何れかを遊技球が通過(進入)したものの未だ開始されていない特図ゲーム(第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第2特図保留記憶部151Bは、第2始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過(進入)における第2始動条件の成立に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第2特図保留記憶部151Bに記憶された保留データは、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき所定の遊技価値が付与されるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。
合計保留特定情報記憶領部151Cは、第1特図保留記憶部151Aと第2特図保留記憶部151Bとが記憶する保留データの合計数と、第1及び第2特図保留記憶部(151A及び151B)に保留データが記憶された順を記憶する合計保留特定情報を記憶する。一例として、第1始動入賞口に入賞したことに基づいて第1特図保留記憶部151Aに記憶された第1特図ゲームの保留データに対応して「第1」が、第2始動入賞口に入賞したことに基づいて第2特図保留記憶部151Bに記憶された第2特図ゲームの保留データに対応して「第2」が、「特定情報」として記憶されたタイミングの順番を示す「記憶順」と対応して記憶される。第1特図保留記憶部151Aと第2特図保留記憶部151Bとは、それぞれ対応する始動入賞口に遊技球が入賞した順に保留データを記憶するので、記憶順は遊技球が第1始動入賞口と第2始動入賞口に進入した順番と一致する。合計保留特定情報記憶領部151Cに記憶されたこのような合計保留特定情報を参照すれば、第1特図保留記憶部151Aと第2特図保留記憶部151Bとに記憶された保留データが記憶されたタイミングの順序を特定可能となる。合計保留特定情報記憶部151Cには、第1特図の保留データを記憶する上限値「4」と、第2特図の保留データを記憶する上限値「4」と、の合計値である合計保留記憶上限値(8個)の保留データについてのデータが記憶される。
遊技制御フラグ設定部152には、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況などに応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。例えば、遊技制御フラグ設定部152には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態あるいはオフ状態を示すデータが記憶される。遊技制御タイマ設定部153には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられる各種のタイマが設けられている。例えば、遊技制御タイマ設定部153には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。遊技制御カウンタ設定部154には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられるカウント値を計数するためのカウンタが複数種類設けられている。例えば、遊技制御カウンタ設定部154には、複数種類のカウンタそれぞれにおけるカウント値を示すデータが記憶される。ここで、遊技制御カウンタ設定部154には、遊技用乱数の一部または全部をCPU103がソフトウェアにより更新可能にカウントするためのランダムカウンタが設けられてもよい。遊技制御バッファ設定部155には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。例えば、遊技制御バッファ設定部155には、複数種類のバッファそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるI/O105は、遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送された各種信号を取り込むための入力ポートと、遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成されている。
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU120がROM121から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU120がRAM122に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU120がRAM122に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
演出制御用CPU120、ROM121、RAM122は、演出制御基板12に搭載された1チップの演出制御用マイクロコンピュータに含まれてもよい。演出制御基板12には、画像表示装置5に対して映像信号を伝送するための配線や、音声制御基板13に対して音番号データを示す情報信号としての効果音信号を伝送するための配線、ランプ制御基板14に対してランプデータを示す情報信号としての電飾信号を伝送するための配線などが接続されている。さらに、演出制御基板12には、操作ボタン30に対する遊技者の指示操作(例えば押下操作など)を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、操作検出ユニット31から伝送するための配線も接続されている。
演出制御基板12では、例えば乱数回路124などにより、演出動作を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データが更新可能にカウントされる。こうした演出動作を制御するために用いられる乱数は、演出用乱数ともいう。
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。演出制御基板12に搭載されたRAM122には、演出動作を制御するために用いられる各種データが記憶される。
演出制御基板12に搭載された表示制御部123は、演出制御用CPU120からの表示制御指令などに基づき、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する。例えば、表示制御部123は、画像表示装置5の表示領域内に表示させる演出画像の切換タイミングを決定することなどにより、飾り図柄の可変表示や各種の演出表示を実行させるための制御を行う。一例として、表示制御部121には、VDP(Video Display Processor)、CGROM(Character Generator ROM)、VRAM(Video RAM)、LCD駆動回路などが搭載されていればよい。なお、VDPは、GPU(Graphics Processing Unit)、GCL(Graphics Controller LSI)、あるいは、より一般的にDSP(Digital Signal Processor)と称される画像処理用のマイクロプロセッサであってもよい。CGROMは、例えば書換不能な半導体メモリであってもよいし、フラッシュメモリなどの書換可能な半導体メモリであってもよく、あるいは、磁気メモリ、光学メモリといった、不揮発性記録媒体のいずれかを用いて構成されたものであればよい。
演出制御基板12に搭載されたI/O125は、例えば主基板11などから伝送された演出制御コマンドや操作検出ユニット31から伝送された操作検出信号等の各種信号を取り込むための入力ポートと、演出制御基板12の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。例えば、I/O125の出力ポートからは、画像表示装置5へと伝送される映像信号や、音声制御基板13へと伝送される指令(効果音信号)、ランプ制御基板14へと伝送される指令(電飾信号)などが出力される。
音声制御基板13には、例えば入出力ドライバや音声合成用IC、音声データROM、増幅回路、ボリュームなどが搭載されている。一例として、音声制御基板13では、演出制御基板12から伝送された効果音信号に示される音番号データが入出力ドライバを介して音声合成用ICに入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を生成し増幅回路に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号を、スピーカ8L、8Rに出力する。音声データROMには、音番号データに応じた制御データが格納されており、音声合成用ICが音番号データに応じた制御データを読み出して、音声や効果音が生成される。音声データROMの記憶データは、所定期間における音声や効果音の出力態様を時系列的に示すデータなどから構成されていればよい。
ランプ制御基板14には、例えば入出力ドライバやランプドライバなどが搭載されている。一例として、ランプ制御基板14では、演出制御基板12から伝送された電飾信号が、入出力ドライバを介してランプドライバに入力される。ランプドライバは、電飾信号を増幅して遊技効果ランプ9や装飾用LED、さらには節電中報知LED9L、9Rなどに供給する。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。
主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM101がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
図7は、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103により実行される遊技制御メイン処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する各処理は、遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるCPU103によって実行されるものとする。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるCTCや乱数回路104などで発生した各種の割込み要因に基づく割込み要求は、CPU103に所定の割込み処理を実行させるためのものである。そして、CPU103やCPU103以外の各種回路を含んだ概念を遊技制御用マイクロコンピュータ100ということもあるものとする。図7
に示す遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、まず、割込禁止に設定し(ステップS21)、割込モードの設定を行う(ステップS22)。例えば、ステップS22では、遊技制御用マイクロコンピュータ100の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビットは“0”)とを合成することにより割込アドレスが生成されるマスク可能割込の割込モード[2]が設定される。マスク可能な割込みが発生したときには、CPU103が自動的に割込禁止状態となる設定を行うとともに、プログラムカウンタの内容がスタックにセーブされればよい。
続いて、例えばスタックポインタ指定アドレスの設定など、スタックポインタに関わる設定を行う(ステップS23)。また、内蔵レジスタの設定(初期化)を行う(ステップS24)。ステップS24の処理に続いて、CTCの設定が行われる(ステップS25)。ステップS25の処理を実行した後には、例えば所定の入力ポートにおける端子状態をチェックすることなどにより、電源断信号がオフ状態となっているか否かを判定するようにしてもよい。
その後、RAM102をアクセス可能に設定する(ステップS26)。続いて、電源基板に設置されたクリアスイッチから伝送されるスイッチ信号(クリア信号)の信号状態などに基づき、クリアスイッチがオン操作されたかを判定する(ステップS27)。なお、ステップS27の処理では、クリアスイッチから伝送されるクリア信号を複数回チェックし、連続してオン状態となったときに、クリアスイッチがオン操作されたと判定してもよい。例えば、クリア信号の状態がオフ状態であることを1回確認したら、所定時間(例えば0.1秒)が経過した後に、クリア信号の状態をもう1回確認する。このとき、クリア信号がオフ状態であれば、クリア信号がオフ状態である旨の判定を行うようにする。他方、このときにクリア信号の状態がオン状態であれば、所定時間が経過した後に、クリア信号の状態を再び確認するようにしてもよい。なお、クリア信号の状態を再確認する回数は1回であってもよいし、複数回であってもよい。また、2回チェックして、チェック結果が一致していなかったときに、もう一度確認するようにしてもよい。
ステップS27にてクリアスイッチがオフであるときには(ステップS27;No)、RAM102などに設けられたバックアップフラグがオンとなっているか否かを判定する(ステップS28)。バックアップフラグの状態は、遊技制御用マイクロコンピュータ100への電力供給が停止するときに、RAM102などに設定される。そして、このバックアップフラグの設定箇所がバックアップ電源によってバックアップされることで、電力供給が停止した場合でも、バックアップフラグの状態は保存されることになる。ステップS28では、例えばバックアップフラグの値として「55H」がRAM102に設定されていれば、バックアップあり(オン状態)であると判断される。これに対して、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)であると判断される。
ステップS28にてバックアップフラグがオンであるときには(ステップS28;Yes)、RAM102のデータチェックを行い、チェック結果が正常であるか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29の処理では、例えばRAM102の特定領域における記憶データを用いてチェックサムを算出し、算出されたチェックサムとメインチェックサムバッファに記憶されているチェックサムとを比較する。ここで、メインチェックサムバッファには、前回の電力供給停止時に、同様の処理によって算出されたチェックサムが記憶されている。そして、比較結果が不一致であれば、RAM102の特定領域におけるデータが電力供給停止時のデータとは異なっていることから、チェック結果が正常でないと判断される。
ステップS29におけるチェック結果が正常であるときには(ステップS29;Yes)、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100の内部状態といった主基板11における制御状態や、サブ側の制御基板(例えば演出制御基板12など)の制御状態などを電力供給が停止されたときの状態に戻すための復旧時における設定を行い、電断前の遊技状態を復旧させる(ステップS30)。具体的な一例として、ステップS30の処理では、ROM101に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し、バックアップ時設定テーブルの内容を順次に、RAM102内のワークエリアに設定する。ここで、RAM102のワークエリアはバックアップ電源によってバックアップされており、バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうちで初期化してもよい領域についての初期化データが設定されていてもよい。
ステップS27にてクリアスイッチがオンであるときや(ステップS27;Yes)、ステップS28にてバックアップフラグがオフであるとき(ステップS28;No)、あるいは、ステップS29にてチェック結果が正常ではないときには(ステップS29;No)、停電復旧時でない電源投入時やシステムリセット時に対応した初期化処理を実行する。この初期化処理では、RAM102のクリア(初期化)を行い(ステップS31)、作業領域となるワークエリアを設定する(ステップS32)。なお、ステップS31の処理では、所定のデータ(例えばRAM102に設けられたランダムカウンタにおける格納データなど)が任意の値あるいは予め定められている初期値などに設定されてもよい。また、RAM102の全領域を初期化してもよいし、一部の領域を初期化する一方で所定のデータはそのままにしてもよい。ステップS31の処理が実行されるときには、乱数回路104の動作状態も初期化してもよい。ステップS32の処理により、RAM102などに初期値が設定されればよい。このときには、演出制御基板12等といったサブ側の各制御基板を初期化するための制御コマンド(初期化指定コマンド)を送信する。例えば、演出制御基板12では、初期化指定コマンドの受信に応答して、遊技効果ランプ9を点滅させる、スピーカ8L・8Rから所定のメッセージ音声を放音するなどして、パチンコ遊技機1における制御が初期化されたことを報知するなどの初期化報知が実行されればよい。
ステップS30あるいはS32の処理を実行した後には、割込み許可状態に設定して(ステップS36)、各種割込み要求の発生を待機する。なお、ステップS36の処理も、遊技制御用マイクロコンピュータ100にて実行される初期設定処理に含まれるものとしてもよい。ステップS36の処理を実行した後には、例えばステップS25におけるCTC508の設定に基づき、2ミリ秒ごとに遊技制御用のタイマ割込みが発生するようになればよい。ステップS36の処理を実行した後には、乱数更新処理が繰り返し実行される(ステップS37)。
このような遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図8のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。図8に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路110を介して各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(ステップS11)。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(ステップS12)。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する(ステップS13)。
情報出力処理に続いて、主基板11の側で用いられる遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(ステップS14)。この後、CPU103は、特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS15)。特別図柄プロセス処理では、RAM102の所定領域に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおける表示動作の制御や、上特別可変入賞球装置7A、下特別可変入賞球装置7Bにおける大入賞口(上大入賞口および下大入賞口)の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理に続いて、CPU103は、確変領域蓋72の位置と、確変領域の有効・無効と、を制御するための確変領域ソレノイド制御処理を実行する(S16A)。確変領域ソレノイド制御処理実行した後、CPU103は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる(ステップS17)。一例として、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部155に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O105に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板12に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすることなどにより、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能にする。また、確変フラグがオン状態にセットされたことに基づき、普通電動役物用ソレノイド81に、普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口を開放することを指示する駆動用の制御データを伝送する処理(電チュー開放処理)を実行する。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
図9は、特別図柄プロセス処理として、図8のステップS15にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。図10は、ステップS101にて実行される始動入賞判定処理の一例を示すフローチャートである。
始動入賞判定処理を開始すると、CPU103は、まず、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口に対応して設けられた第1始動口スイッチ22Aからの検出信号に基づき、第1始動口スイッチ22Aがオンであるか否かを判定する(ステップS201)。このとき、第1始動口スイッチ22Aがオンであれば(ステップS201;Yes)、第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第1特図保留記憶数が、所定の上限値(例えば「4」)となっているか否かを判定する(ステップS202)。このとき、CPU103は、例えば遊技制御カウンタ設定部154に設けられた第1保留記憶数カウンタの格納値である第1保留記憶数カウント値を読み取ることにより、第1特図保留記憶数を特定できればよい。ステップS202にて第1特図保留記憶数が上限値ではないときには(ステップS202;No)、例えば遊技制御バッファ設定部155に設けられた始動口バッファの格納値を、「1」に設定する(ステップS203)。
ステップS201にて第1始動口スイッチ22Aがオフであるときや(ステップS201;No)、ステップS202にて第1特図保留記憶数が上限値に達しているときには(ステップS202;Yes)、普通可変入賞球装置6B1が形成する第2始動入賞口に対応して設けられた第2始動口スイッチ22B1、又は普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口に対応して設けられた第2始動口スイッチ22B2からの検出信号に基づき、第2始動口スイッチ22B1又は22B2の何れかがオンであるか否かを判定する(ステップS204)。このとき、第2始動口スイッチ22B1又は22B2の何れか一方がオンであれば(ステップS204;Yes)、第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第2特図保留記憶数が、所定の上限値(例えば「4」)となっているか否かを判定する(ステップS205)。このとき、CPU103は、例えば遊技制御カウンタ設定部154に設けられた第2保留記憶数カウンタの格納値である第2保留記憶数カウント値を読み取ることにより、第2特図保留記憶数を特定できればよい。ステップS205にて第2特図保留記憶数が上限値ではないときには(ステップS205;No)、例えば遊技制御バッファ設定部155に設けられた始動口バッファの格納値を、「2」に設定する(ステップS206)。なお、ステップS204で第2始動口スイッチ22B1と22B2とが共にオフであれば(ステップS204;No)、そのまま始動入賞判定処理を終了する。
ステップS203、S206の処理のいずれかを実行した後には、始動口バッファの格納値である始動口バッファ値に応じて、保留記憶数カウント値を1加算するように更新する(ステップS207)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときには第1保留記憶数カウント値を1加算する一方で、始動口バッファ値が「2」であるときには第2保留記憶数カウント値を1加算する。こうして、第1保留記憶数カウント値は、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第1特図を用いた特図ゲームに対応した第1始動条件が成立したときに、1増加するように更新される。また、第2保留記憶数カウント値は、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第2特図を用いた特図ゲームに対応した第2始動条件が成立したときに、1増加するように更新される。このときには、例えば遊技制御カウンタ設定部154に設けられた合計保留記憶数カウンタの格納値である合計保留記憶数カウント値を、1加算するように更新する(ステップS208)。
また、ステップS208では、図6に示すように、CPU103は保留記憶特定情報記憶部151C(保留特定領域)の、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、始動口バッファ値に応じて「第1」または「第2」を示すデータをセットする。保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されている。なお、図6には、合算保留記憶数カウンタの値が5である場合の例が示されている。図6に示すように、保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されており、第1始動入賞口または第2始動入賞口への入賞にもとづき入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。従って、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、第1始動入賞口および第2始動入賞口への入賞順が記憶される。なお、保留特定領域は、RAM102の所定領域に形成されている。
ステップS208の処理を実行した後に、CPU103は、乱数回路104や遊技制御カウンタ設定部154のランダムカウンタ等によって更新される数値データのうちから、特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データを、抽出する(ステップS209)。こうして抽出した各乱数値を示す数値データが保留データとして、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭にセットされることで記憶される(ステップS210)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときには保留データが第1特図保留記憶部151Aにセットされる一方で、始動口バッファ値が「2」であるときには保留データが第2特図保留記憶部151Bにセットされる。なお、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データは、第1始動入賞口や第2始動入賞口を遊技球が通過したときに抽出されるものに限定されず、第1特図や第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときに抽出されるようにしてもよい。
ステップS210の処理に続いて、始動入賞時におけるコマンドの送信設定が行われる(ステップS211)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときには、演出制御基板12に対して第1始動口入賞指定コマンドを送信するための設定を行う。これに対して、始動口バッファ値が「2」であるときには、演出制御基板12に対して第2始動口入賞指定コマンドを送信するための設定を行う。第1始動口入賞指定コマンドは、遊技球が第1始動入賞口を通過(進入)したことにより第1始動条件が成立したことを指定する演出制御コマンドである。第2始動口入賞指定コマンドは、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)したことにより第2始動条件が成立したことを指定する演出制御コマンドである。また、演出制御基板12に対して合計保留記憶数を通知する保留記憶数通知コマンドの送信設定が行われてもよい。こうして設定された始動口入賞指定コマンドや保留記憶数通知コマンドは、例えば特別図柄プロセス処理が終了した後、図8に示すステップS17のコマンド制御処理が実行されることなどにより、主基板11から演出制御基板12に対して伝送される。
ステップS211の処理を実行した後には、始動口バッファ値が「1」であるか「2」であるかを判定する(ステップS212)。このとき、始動口バッファ値が「1」であれば(ステップS212;「1」)、始動口バッファをクリアして、その格納値を「0」に初期化してから(ステップS213)、ステップS204の処理に進む。これに対して、始動口バッファ値が「2」であるときには(ステップS212;「2」)、始動口バッファをクリアして、その格納値を「0」に初期化してから(ステップS214)、始動入賞判定処理を終了する。
図8に示すステップS101にて始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部152に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110〜S117の処理のいずれかを選択して実行する。
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部151Aや第2特図保留記憶部151Bに記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄やハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、可変表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果などに基づいて、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。図5に示すように、特別図柄や飾り図柄の可変表示時間は、変動パターンに対応して予め設定されている。したがって、変動パターン設定処理にて変動パターンを決定することにより、特別図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定特別図柄を導出するまでの可変表示時間が決定される。また、変動パターン設定処理は、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かを決定する処理を含んでもよい。あるいは、変動パターン設定処理にて可変表示結果が「ハズレ」となる場合の変動パターンを所定割合で決定することにより、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かが決定されてもよい。さらに、変動パターン設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄の変動を開始させるための設定を行う処理を含んでもよい。変動パターン設定処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
ステップS113の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部152に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、大当りフラグがオンである場合には特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフである場合には、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態において大当り種別に応じたラウンド遊技の実行を開始して上大入賞口または下大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。本実施の形態では、この大当り開放前処理には、開始されるラウンド遊技が下大入賞口を開放状態とする確変開放ラウンドであるか否かを判定し、確変開放ラウンドである場合には、確変領域蓋72の位置制御の開始と、確変領域の有効・無効の制御の開始と、を指示する共通の制御データとして、確変領域ソレノイド制御コードを1に設定する処理が更に含まれる。大当り開放前処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
ステップS115の大当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大当り開放中処理には、上大入賞口または下大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間や上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bによって検出された遊技球の個数などに基づいて、上大入賞口または下大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。本実施の形態では、この大当り開放中処理では、確変開放ラウンドにおいて、図20の下大入賞口検出処理が更に実行される。なお、下大入賞口検出処理は下特別可変入賞球装置7Bに入賞した遊技球の数と下特別可変入賞球装置7Bから排出された遊技球の数とに基づいて下特別可変入賞球装置7B内の遊技球を計数する処理、遊技球の確変領域への通過を検出したか否かを判定する処理、確変領域が有効なときに確変領域の通過を検出した場合に確変確定フラグをセットする処理、を含む。そして、上大入賞口または下大入賞口を閉鎖状態に戻したときには、特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
ステップS116の大当り開放後処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り開放後処理には、上大入賞口または下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技の実行回数が所定の上限回数に達したか否かを判定する処理や、上限回数に達していない場合に次回のラウンド遊技が開始されるまで待機する処理などが含まれている。本実施の形態では、この大当り開放後処理は、確変開放ラウンドにおいて、図20の下大入賞口検出処理が更に実行される。また、大当り開放後処理には下大入賞口検出処理によって計数された下特別可変入賞球装置7B内の遊技球の数に基づいて、実行中のラウンド後の制御の実行(実行中のラウンドが最後のラウンドであれば大当り遊技状態の終了、最後のラウンドで無ければ次のラウンド)を許容する処理が更に含まれる。そして、次回のラウンド遊技が開始されるときには、特図プロセスフラグの値が“4”に更新される一方、ラウンド遊技の実行回数が上限回数に達したときには、特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。
ステップS117の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理には、画像表示装置5やスピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9などといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、確変制御条件の成否に対応して確変状態や時短状態に制御するための各種の設定を行う処理などが含まれている。そして、確変状態や時短状態に制御するための設定が行われたときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
図11は、特別図柄通常処理として、図9のステップS110にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す特別図柄通常処理において、CPU103は、まず、合計保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(ステップS230)。具体的には、合算保留記憶数カウンタのカウント値を確認する。
なお、ステップS230において、CPU103は、合算保留記憶数の値を確認するのではなく、保留特定領域の1番目の領域にデータが設定されているか否かを確認し、設定されていれば保留記憶があると判定してステップS231に移行し、設定されていなければ保留記憶がないと判定してステップS248に移行してもよい。
合算保留記憶数が0でなければ(ステップS231;No)、CPU103は、合計保留特定情報記憶領部151Cが記憶している特定情報のうち1番目のデータが「第1」を示すデータであるか否か確認する(ステップS231)。1番目のデータが「第1」を示すデータでない(すなわち、「第2」を示すデータである)場合(ステップS231;No)、第2特図保留記憶部にて保留番号「1」に対応して記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2を示す数値データをそれぞれ読み出す(ステップS232)。これにより、図9に示すステップS101の始動入賞判定処理で第2始動入賞口における始動入賞(第2始動入賞)の発生に対応して抽出された遊技用乱数が読み出される。のとき読み出された数値データは、例えば変動用乱数バッファ(例えば、RAM102の所定領域に設けられる。)などに格納されて、一時記憶されればよい。
ステップS232の処理に続いて、例えば第2保留記憶数カウント値を1つ減算して更新することなどにより、第2特図保留記憶数を1つ減算させるように更新するとともに、第2特図保留記憶部における記憶内容をシフトさせる(ステップS233)。例えば、第2特図保留記憶部にて保留番号「1」より下位の記憶領域(保留番号「2」〜「4」に対応する記憶領域)に記憶された保留データを、1エントリずつ上位にシフトする(保留番号「1」〜「3」に対応する記憶領域に移動させる。)。また、ステップS233の処理では、合計保留特定情報記憶領部151Cが記憶する合計保留特定情報に記憶された特定情報を、1エントリずつ上位にシフトする(記憶順「2」〜「8」に対応する記憶領域に記憶された特定情報を「1」〜「7」に対応する記憶領域に移動させる。)。そして、RAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部)に設けられた変動特図指定バッファの格納値である変動特図指定バッファ値を、「2」に更新する(ステップS234)。
ステップS231にて保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータである場合(ステップS231;Yes)、例えば第1特図保留記憶部の先頭領域(例えば保留番号「1」に対応する記憶領域)といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データ(最も過去に記憶された保留データ)を読み出す(ステップS236)。これにより、図7に示すステップS101の始動入賞判定処理で第1始動入賞口における始動入賞(第1始動入賞)の発生に対応して抽出された遊技用乱数が読み出される。このとき読み出された数値データは、例えば変動用乱数バッファなどに格納されて、一時記憶されればよい。
ステップS236の処理に続いて、例えば第1保留記憶数カウント値を1つ減算して更新することなどにより、第1特図保留記憶数を1つ減算させるように更新するとともに、第1特図保留記憶部における記憶内容をシフトさせる(ステップS237)。例えば、第1特図保留記憶部にて保留番号「1」より下位の記憶領域(保留番号「2」〜「4」に対応する記憶領域)に記憶された保留データを、1エントリずつ上位にシフトする(保留番号「1」〜「3」に対応する記憶領域に移動させる。)。また、ステップS237の処理では、また、ステップS233と同様に、合計保留特定情報記憶領部151Cが記憶する合計保留特定情報に記憶された特定情報を、1エントリずつ上位にシフトする。そして、変動特図指定バッファ値を「1」に更新する(ステップS238)。
ステップS234、S238の処理のいずれかを実行した後には、特別図柄の可変表示結果である特図表示結果を、「大当り」と「ハズレ」のいずれかに決定する(ステップS239)。一例として、ステップS239の処理では、予めROM101の所定領域に記憶するなどして用意された特図表示結果の決定テーブルを選択し、特図表示結果を決定するための使用テーブルに設定する。特図表示結果の決定テーブルでは、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値(決定値)が、特図表示結果を「大当り」と「ハズレ」のいずれとするかの決定結果に、確変状態における確変制御の有無(遊技状態が確変状態であるか否か)に応じて割り当てられていればよい。CPU103は、ステップS232又はS236で変動用乱数バッファに一時格納した遊技用乱数に含まれる特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データを変動用乱数バッファから読み出し、遊技状態が確変状態であるか否かと、乱数値MR1を示す数値データと、に基づいて、使用テーブルに設定された特図表示結果の決定テーブルを参照することにより、遊技状態が確変状態であるか否かに応じて乱数値MR1に該当する決定値に割り当てられた「大当り」と「ハズレ」のいずれかの決定結果を特図表示結果として図12(A)の割合で決定すればよい。CPU103は、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部)に設けられた後述の確変フラグがオン状態である場合に、確変制御が行われていると判定すればよい。
図12(A)に示すように、確変状態にて確変制御が行われているときには、通常状態にて確変制御が行われていないときよりも高い割合で、特図表示結果が「大当り」に決定される。したがって、例えば図23に示す大当り終了処理により(詳しくは後述する。)、確変フラグがオン状態にセットされたことなどに基づいて、現在、確変制御が行われる確変状態であるときには、通常状態にて確変制御が行われていないときよりも、特図表示結果が「大当り」になりやすく、大当り遊技状態になりやすい。
その後、CPU103は、ステップS239の処理により決定された特図表示結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS240)。特図表示結果が「大当り」に決定された場合には(ステップS240;Yes)、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部)に設けられた大当りフラグをオン状態にセットする(ステップS241)。また、大当り種別を複数種類のいずれかに決定する(ステップS242)。
図12(B)は、ステップS242の処理における決定例を示している。この決定例では、開始条件が成立した特図ゲームにて可変表示される特別図柄(変動特図)が、第1特図であるか第2特図であるかに応じて、大当り種別の決定割合を異ならせている。ここで、変動特図指定バッファ値が「1」であるときには、第1特別図柄表示装置4Aによる特図ゲームの開始条件が成立しており、変動特図が第1特図となる。一方、変動特図指定バッファ値が「2」であるときには、第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームの開始条件が成立しており、変動特図が第2特図となる。図12(B)に示す決定例では、変動特図が第1特図であるときに、大当り種別が「第1大当り」と「第2大当り」と「第3大当り」とのいずれかに決定される。一方、変動特図が第2特図であるときには、大当り種別が「第1大当り」又は「第3大当り」に決定される。すなわち、大当り種別が「第2大当り」に決定されるのは、変動特図が第1特図のときだけになる。このように、特図ゲームにて可変表示される特別図柄に応じて、異なる大当り種別に決定されてもよい。また、大当り種別が「第1大当り」に決定される割合は、変動特図が第1特図のときよりも、変動特図が第2特図のときに高くなる。このように、特図ゲームにて可変表示される特別図柄に応じて異なる割合で、所定の大当り種別に決定されてもよい。
この実施の形態では、大当り種別にかかわらず、16ラウンドのラウンド遊技が実行され、大当り遊技状態における所定の確変開放ラウンド(ラウンド遊技の実行回数が「5」、「6」である第5ラウンドと第6ラウンド)にて下大入賞口を開放状態とする。上開放ランド(第1〜4、7〜16ラウンド)では上大入賞口を開放状態とする。ここで、大当り種別が「第1大当り」の場合よりも、大当り種別が「第1大当り」及び「第3大当り」の場合に、大当り遊技状態における所定の確変開放ラウンドで、大当り種別が「第2大当り」の場合よりも下大入賞口を開放状態とする上限時間が長くなり、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立しやすい。図12(B)に示すような決定割合で大当り種別が決定されることにより、変動特図が第2特図であるときには、第1特図であるときよりも高い割合で、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立する。すなわち、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことに基づく第2特図を用いた特図ゲームで特図表示結果が「大当り」となる場合には、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことに基づく第1特図を用いた特図ゲームで特図表示結果が「大当り」となる場合よりも確変制御条件が成立しやすい。
本実施の形態では、大当り種別が「第2大当り」の場合は、下大入賞口が開放されるラウンド遊技(確変開放ラウンド)で52ミリ秒と短い上限時間で大入賞口を開放する不利開放制御が実行される。つまり、下大入賞口に遊技球が進入する割合は非常に低い。そのため、確変制御条件が成立する割合も非常に低い。一方、「第1大当り」及び「第3大当り」の場合、確変開放ラウンドで約27秒(27秒+52ミリ秒)と長い上限時間で大入賞口を開放する有利開放制御が実行されるため、下大入賞口に遊技球が進入する確率は高い。よって、確変制御条件が成立する割合も高い。本実施の形態では、確変状態で「大当り」となる場合には大当り種別は「第1大当り」及び「第3大当り」の何れかが決定される割合が高いため、通常遊技状態から確変状態に制御される特別遊技状態となる割合(いわゆる初当りで確変する敷居)を低くする一方、一旦確変状態に制御された場合には高い割合で「大当り」が続く(所謂連チャン状態)、といった設定が可能となる。
その仕組みを具体的に説明すると、第1特図を用いた特図ゲームでは、可変表示結果が「大当り」となった場合に、所定の割合(1/2)で「第2大当り」となり、その「大当り」に基づいて制御される大当り遊技状態で確変制御条件(特別条件とも言う)が成立せず、大当り遊技状態が終了した後には、確変状態に制御されない通常遊技状態に移行する。一方、第1特図を用いた特図ゲームで「第1大当り」又は「第3大当り」となると、その「大当り」に基づいて制御される大当り遊技状態において高い割合で確変制御条件(特別条件とも言う)が成立し、大当り遊技状態が終了した後に、確変状態に制御される特別遊技状態(確変状態)に制御される。特別遊技状態では、右遊技領域2Bに設けられた普通可変入賞球装置6B2が開放状態に制御され、第1特図を挟まず第2特図を用いた特図ゲームのみを開始することが可能となる。第2特図を用いた特図ゲームでは、可変表示結果が「大当り」となった場合には必ず第2大当りとなるため、高確率で大当り遊技状態終了後に再び確変状態に制御される。このため、確変状態において所定回数(例えば208回)の特図ゲームが全て「ハズレ」となり確変終了条件が成立するまでは、「大当り」と確変状態とが連続して続くこととなる。このような構成によれば、通常遊技状態で行われる第1特図ゲームで大当り種別が「第1大当り」又は「第3大当り」の可変表示結果となる割合(所謂、初当りで確変する期待度)を下げる一方、一旦「第1大当り」又は「第3大当り」の可変表示結果が導出された後は連続して確変状態と「大当り」が続く割合が高くなる。そのため、メリハリのある刺激的な遊技体験を提供できる。
なお、「第3大当り」は確変制御条件が成立する割合は「第1大当り」と同様に「第2大当り」よりも高いが、上開放ラウンドのうち有利開放制御が実行されるラウンド遊技の数が少ないため、その「大当り」に基づいて払い戻される賞球の数は少なくなる。図12(B)の例では、一旦確変状態に制御された場合には大当り種別として払い戻される賞球の数が少ない「第3大当り」は決定される割合が低いので、遊技者を興ざめさせることなく確変状態に制御されるか否かについて多様な遊技体験を提供できる。
ステップS242の処理を実行した後には、大当り種別を記憶させる(ステップS243)。ステップS243の処理では、例えば遊技制御バッファ設定部155に設けられた大当り種別バッファといったRAM102の所定領域に、大当り種別の決定結果を示すデータを格納することで、大当り種別を記憶させればよい。
ステップS240にて特図表示結果が「大当り」ではない場合(ステップS240;No)か、ステップS243の処理を実行した後には、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を決定する(ステップS246)。一例として、ステップS240にて特図表示結果が「大当り」ではないと判定された場合には、ハズレ図柄として予め定められた特別図柄を確定特別図柄に決定する。一方、ステップS240にて特図表示結果が「大当り」であると判定された場合には、ステップS242における大当り種別の決定結果に応じて、複数種類の大当り図柄として予め定められた特別図柄のいずれかを確定特別図柄に決定すればよい。この実施の形態では、大当り種別が「第1大当り」である場合には「7」の記号を、「第2大当り」である場合には「1」の記号を、「第3大当り」である場合には「5」の記号を、それぞれ示す特別図柄を確定図柄に設定する。
ステップS246の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“1”に更新してから(ステップS247)、特別図柄通常処理を終了する。ステップS247にて特図プロセスフラグの値が“1”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図6に示すステップS111の変動パターン設定処理が実行される。
ステップS230にて合計保留記憶数が「0」である場合には(ステップS230;Yes)、所定のデモ表示設定を行ってから(ステップS248)、特別図柄通常処理を終了する。このデモ表示設定では、例えば演出効果ランプ9を発光させる・スピーカ8L及び8Rから所定の音声を出力させる、画像表示装置5に所定のデモ画像又は動画を表示させる、などによるデモンストレーションの実行を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)が、主基板11から演出制御基板12に対して送信済みであるか否かを判定する。このとき、送信済みであれば、そのままデモ実行設定を終了する。これに対して、未送信であれば、客待ちデモ指定コマンドを送信するための設定を行ってから、デモ表示設定を終了する。客待ちデモ指定コマンドは、コマンド制御処理において演出制御基板12に対して送信される。なお、パチンコ遊技機1が画像表示装置を備えている構成では、ステップS248にて所定のデモンストレーション画像を表示するための演出制御コマンドを送信すればよい。
上述の処理では、乱数値MR1及びMR2に基づいて、可変表示結果を「大当り」とするか否か(大当り遊技状態に制御するか否か)と、大当り種別とが、ステップS239及びS242において、可変表示の表示結果の導出表示前に事前決定されていることになる。
図13は、変動パターン設定処理として、図9のステップS111にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す変動パターン設定処理において、CPU103は、まず、大当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS251)。そして、大当りフラグがオンである場合(ステップS251;Yes)、変動パターンを複数種別のいずれかに決定するための使用テーブルとして、大当り変動パターン決定テーブル(図14(A))を選択してセットする(ステップS252)。
ステップS261にて大当りフラグがオフである場合には(ステップS251;No)、遊技制御フラグ設定部152などに設けられた確変フラグを参照して、確変制御が実行されているか否か判別する(ステップS254)。そして、確変制御が実行されていないと判定すると(ステップS254;No)、変動パターンを複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、ハズレ変動パターン決定テーブルA(図14(B))を選択してセットする(ステップS255)。一方、確変制御が実行されていると判定すると(ステップS254;Yes)、確変回数カウンタを参照し、その確変制御が開始されてから実行された特別図柄の可変表示の回数(確変中可変表示実行回数)が第1保留記憶数の上限値「4」と第2保留記憶数の上限数「4」の和である合計保留記憶上限数「8」以下であるか否か判定する(ステップS256)。確変回数カウンタは、例えば遊技制御カウンタ設定部154といったRAM102の所定領域に設けられ、大当り遊技状態の終了後に確変状態となる場合に、確変制御が行われる特図ゲームの上限回数などに対応するカウント初期値(例えば「208」)が設定される。そして、確変制御を実行中に特別図柄の可変表示を実行するたびに、カウンタの値を1減少させればよい。確変中可変表示実行回数は、カウント初期値である「208」から現在の確変回数カウンタの値を減算して求められる。
ステップS256にて確変中可変表示実行回数が合計保留記憶上限数以下であると判定すると(ステップS256;Yes)、変動パターンを複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、ハズレ変動パターン決定テーブルB(図14(C))を選択してセットする(ステップS257)。一方、ステップS256にて確変中可変表示実行回数が合計保留記憶上限数ではないと判定した場合には(ステップS256;No)、変動パターンを複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、ハズレ変動パターン決定テーブルC(図14(D))を選択してセットする(ステップS258)。そして、変動回数カウント値を1減算(デクリメント)する(ステップS259)。
ステップS252、S255又はS259の処理を実行した後には、変動用乱数バッファなどに格納されている変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データなどに基づき、使用テーブルにセットされた変動パターン決定テーブルを参照することにより、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する(ステップS262)。
ステップS262では、事前決定された可変表示結果と、可変表示時間の決定結果との対応が異なる複数の決定ルール情報である変動パターン決定テーブルの何れかを用いて可変表示時間(変動パターン)を決定する。図14(A)〜(D)は、ステップS262で用いられる変動パターン決定テーブルの例である。各変動パターン決定テーブルでは、変動パターン決定用の乱数値MR3と比較される数値(決定値)が、変動パターンの決定結果に応じて割り当てられている。図14(A)は、可変表示結果が大当りである場合に使用される大当り変動パターン決定テーブルの例を示している。大当り変動パターン決定テーブルでは、ノーマルリーチ演出又はスーパーリーチ演出が実行された後に大当りとなる複数の変動パターンが所定の割合で決定されるように、決定値が割り振られている。
可変表示結果がハズレである場合には、確変状態であるか否か、及び、確変状態となり普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口が開放状態となる制御が開始されてから上限記憶数と同じ回数(合計保留記憶上限数である8回)可変表示が実行されたか否か、に応じて、図14(B)〜(D)のハズレ変動パターン決定テーブルの何れかが使用される。図14(B)のハズレ変動パターン決定テーブルAは、例えば遊技状態が通常状態であるときに使用される。これに対して、図14(C)のハズレ変動パターン決定テーブルBは、遊技状態が確変状態であり、かつ、確変状態となってから可変表示が実行された回数が1〜8回である場合に使用される。図14(D)のハズレ変動パターン決定テーブルCは、遊技状態が確変状態であり、かつ、確変状態となってから可変表示が実行された回数が8回を超えている場合に使用される。図14(B)〜(D)の例では、通常状態で使用されるハズレ変動パターン決定テーブルAでは、特図変動時間が非短縮の変動パターンであるPA1−1、PA2−1、PA3−1が決定される。一方、確変制御が開始され、確変中可変表示実行回数が1〜8回の間で使用されるハズレ変動パターン決定テーブルBでは、ハズレ変動パターン決定テーブルCを使用した場合よりも長い非リーチの変動パターンPA1−3が決定される。確変中可変表示実行回数が9回を超えた場合に使用されるハズレ変動パターン決定テーブルCでは、特図変動時間が短縮された非リーチの変動パターンPA1−2が決定される。このような構成によれば、未だ確変制御が実行されていない場合には、短縮されていない非リーチの特図変動、リーチ演出又はスーパーリーチ演出を所定の割合で実行してハズレ時にも複数の演出態様で遊技者の期待感を煽ると共に、確変状態では特図変動時間を一定にして、後述するバトルモードや確定モード(特別モード)の演出を予め定められたタイミングで実行可能となる。
また、確変制御が開始された後、非確変状態において記憶されている第1特図ゲームの保留データが全て消化する前の8回の可変表示においては、大当り種別が第2大当りの大当りが導出表示され、確変状態がそのまま終了する可能性がある。一方、第1特図ゲームの保留データが全て消費された9回目以降の可変表示では、図12(B)に示すように大当り種別として第2大当りが決定されないと考えられる。上述のように、確変状態となり普通可変入賞球装置6B2が形成する第2始動入賞口が開放状態となる制御が開始されてから上限記憶数と同じ回数(例えば8回)可変表示が実行されたことに応じて、特図変動時間を決定するために用いる決定テーブルを切り替えることで、可変表示の実行中に行う演出を遊技状態に応じて好適に決定できる。
ステップS272にて変動パターンを決定した後には、その変動パターンの決定結果に応じた特別図柄の可変表示時間である特図変動時間を設定する(ステップS263)。特別図柄の可変表示時間となる特図変動時間は、特図ゲームにおいて特別図柄の変動を開始してから可変表示結果(特図表示結果)となる確定特別図柄が導出表示されるまでの所要時間である。
ステップS263の処理を実行した後、変動特図指定バッファ値に応じて、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームのいずれかを開始させるように、特別図柄の変動を開始させるための設定を行う(ステップS264)。一例として、変動特図指定バッファ値が「1」であれば、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の表示を更新させる駆動信号を送信するための設定を行う。一方、変動特図指定バッファ値が「2」であれば、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の表示を更新させる駆動信号を送信するための設定を行う。
ステップS264の処理に続いて、特別図柄の変動開始用となる各種コマンドを送信するための設定を行う(ステップS265)。例えば、変動特図指定バッファ値が「1」である場合に、CPU103は、主基板11から演出制御基板12に対して遊技状態指定コマンド、第1変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド、第1保留記憶数通知コマンド、確変回数カウンタ値通知コマンド、を順次に送信するために、予め用意された第1変動開始用コマンドテーブルのROM101における記憶アドレス(先頭アドレス)を示す設定データを、RAM102に設けられた送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納する。他方、変動特図指定バッファ値が「2」である場合に、CPU103は、主基板11から演出制御基板12に対して遊技状態指定コマンド、第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド、第2保留記憶数通知コマンドを順次に送信するために、予め用意された第2変動開始用コマンドテーブルのROM101における記憶アドレスを示す設定データを、送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納する。その後、特図プロセスフラグの値を特別図柄変動処理に対応した値である“2”に更新してから(ステップS266)、変動パターン設定処理を終了する。
ここで、第1変動開始コマンドは、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定するコマンドである。第2変動開始コマンドは、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定するコマンドである。変動パターン指定コマンドは、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示に対応して画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rで可変表示される飾り図柄などの変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドである。可変表示結果通知コマンドは、特別図柄や飾り図柄などの可変表示結果を指定するコマンドである。遊技状態指定コマンドは、確変制御実行中であるか否か、実行中であれば確変回数カウンタの値、を含むパチンコ遊技機1における現在の遊技状態を指定するコマンドである。
ステップS275でのコマンド送信設定に基づいて、変動パターン設定処理が終了してから、上述したコマンド制御処理が実行されるごとに、主基板11から演出制御基板12に対して遊技状態指定コマンド、第1変動開始コマンドまたは第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド、第1保留記憶数通知コマンドまたは第2保留記憶数通知コマンドが、順次に送信されることになる。なお、これらの演出制御コマンドが送信される順番は任意に変更可能であり、例えば可変表示結果通知コマンドを最初に送信してから、第1変動開始コマンドまたは第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、第1保留記憶数通知コマンドまたは第2保留記憶数通知コマンドの順などで送信されるようにしてもよい。
図15(A)は、特別図柄停止処理として、図9のステップS113にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図15(A)に示す特別図柄停止処理において、CPU103は、まず、例えば遊技制御フラグ設定部152といったRAM102の所定領域に設けられた特図確定表示中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS271)。特図確定表示中フラグは、特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)となる確定特別図柄が導出表示されたことに対応して、後述するステップS277の処理によりオン状態にセットされる。
ステップS261にて特図確定表示中フラグがオフであるときには(ステップS271;No)、確定特別図柄を導出表示するための設定を行う(ステップS272)。また、図柄確定時におけるコマンドの送信設定が行われる(ステップS273)。例えば、図柄確定コマンドとして予め用意された演出制御コマンドを、演出制御基板12に対して送信するための設定が行われる。さらに、特図確定表示時間として予め定められた一定時間(例えば1000ミリ秒)を設定する(ステップS274)。そして、特図確定表示中フラグをオン状態にセットしてから(ステップS275)、特別図柄停止処理を終了する。このときには、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに特別図柄停止処理が再び実行される。
ステップS271にて特図確定表示中フラグがオンであるときには(ステップS261;Yes)特図確定表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS276)。このとき、特図確定表示時間が経過していなければ(ステップS276;No)、特別図柄停止処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに特別図柄停止処理が再び実行され、特図確定表示時間が経過するまで待機する。
ステップS276にて特図確定表示時間が経過した場合には(ステップS276;Yes)、特図確定表示中フラグをクリアしてオフ状態とした後に(ステップS277)、大当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS278)。そして、大当りフラグがオンである場合には(ステップS278;Yes)、大当り開始時演出待ち時間として大当り種別に応じた待ち時間を設定する(ステップS279)。さらに、大当り終了時の演出待ち時間として大当り種別に応じた待ち時間を設定する(ステップS279A)。例えば、図15(B)に示すような、ROM102の所定領域に記憶された待ち時間決定テーブルを参照し、大当り種別に応じた大当り開始時演出待ち時間と大当り終了時演出待ち時間を設定すればよい。本実施の形態では、後述するように第2大当りと第3大当りとでファンファーレ演出とエンディング演出とを不利開放制御が実行されるラウンド遊技の実行中に行う。図15(B)のように、大当り開始時待ち時間及び大当り終了時待ち時間を設定することで、不利開放制御が実行されるラウンド遊技の順番が異なる第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態とで、演出実行期間を一致させることができる。
ステップS279Aが終わると、CPU103は大当り開始時におけるコマンド(当り開始指定コマンド)の送信設定を行う(ステップS280)。当り指定コマンドは、例えば大当り遊技状態が開始されること、開始直前の遊技状態(確変状態か否か)、及び、開始される大当り遊技状態の大当り種別(第1〜第3大当りのいずれであるか)、を特定可能なコマンドであれば良い。また、例えば遊技制御フラグ設定部152といったRAM102の所定領域に設けられた大当り開始フラグをオン状態にセットする(ステップS281)。続いて、確変制御を終了するための設定を行う(ステップS282)。例えば、ステップS282の処理として、遊技制御フラグ設定部152などに設けられた確変フラグをクリアしてオフ状態とする処理や、確変制御が行われる特図ゲームの残り回数をカウントするための確変回数カウンタをクリアする処理などが、実行されればよい。
ステップS282の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“4”に更新してから(ステップS283)、特別図柄停止処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“4”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図9に示すステップS114の大当り開放前処理が実行される。
ステップS278にて大当りフラグがオフである場合には(ステップS268;No)、確変制御を終了させるか否かの判定を行う(ステップS284)。一例として、ステップS284の処理では、確変回数カウンタの格納値である確変回数カウント値が「0」以外であるときに、そのカウント値を1減算するなどして更新する。そして、更新後の確変回数カウント値が所定の確変終了判定値(例えば「0」)と合致するか否かの判定を行う。このとき、確変終了判定値と合致すれば、所定の確変フラグをクリアすることなどにより、確変制御を終了すればよい。一方、確変終了判定値と合致しなければ、確変フラグの状態を維持するなどして、ステップS284の処理を終了すればよい。
ステップS284の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“0”に更新してから(ステップS275)、特別図柄停止処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“0”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図9に示すステップS110の特別図柄通常処理が実行される。
図16は、大当り開放前処理として、図9のステップS114にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図16に示す大当り開放前処理において、CPU103は、まず、大当り開始フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS291)。大当り開始フラグは、大当り遊技状態の開始に対応して、図15に示すステップS281の処理によりオン状態にセットされる。
ステップS291にて大当り開始フラグがオンであるときには(ステップS291;Yes)、大当り開始時演出待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS292)。このとき、大当り開始時演出待ち時間が経過していなければ(ステップS292;No)、大当り開放前処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放前処理が再び実行され、大当り開始時演出待ち時間が経過するまで待機する。
ステップS292にて大当り開始時演出待ち時間が経過した場合には(ステップS292;Yes)、大当り遊技状態における最初のラウンド遊技が開始するための処理として、大当り開始フラグをクリアしてオフ状態とした後に(ステップS293)、例えば遊技制御カウンタ設定部154といったRAM102の所定領域に設けられたラウンドカウンタに、ラウンド遊技の実行回数に対応するカウント初期値として「1」を設定する(ステップS294)。
ステップS291にて大当り開始フラグがオフであるときや(ステップS291;No)、ステップS294の処理を実行した後には、大当りとなった可変表示において変動した特別図柄が第1特別図柄と第2特別図柄との何れであるかと、可変表示結果として導出された大当り図柄と、を読み出す(ステップS295)。一例として、RAM102の遊技制御フラグ設定部152又は遊技制御バッファ設定部155を参照して、図10のステップS234又はS238でセットされた変動特図指定バッファの値と、S244で決定された確定特別図柄を示すバッファ値と、を読み出せば良い。
次にCPU103は、ステップS295で読み出したデータに基づき大当り種別が「第1大当り」、「第2大当り」、「第3大当り」の何れであるかに応じて、大当り開放パターンテーブルをセットする(ステップS297)。一例として、大当り種別は判定すれば良い。まず、変動特図指定バッファの値が「1」である場合には第1特別図柄が、「2」であれば第2特別図柄が、それぞれ変動特別図柄であると決定する。そして、図11のステップS242で選択した大当り種別決定テーブルを参照し、変動特別図柄と確定特別図柄に応じた大当り種別を決定して、大当り種別を判定する。
ステップS297では、CPU103は、大当り種別が「第1大当り」であると判定した場合には例えば遊技制御バッファ設定部155といったRAM102の所定領域に、図17(A)の第1大当り開放パターンテーブルを使用開放パターンテーブルとしてセットする。一方、「第2大当り」であると判定した場合には、図17(B)の第2大当り開放パターンテーブルを使用開放パターンテーブルとしてセットする。また、「第3大当り」であると判定した場合には、図17(C)の第3大当り開放パターンテーブルを使用開放パターンテーブルとしてセットする。例えば、開放パターンテーブルは、図17(A)〜(C)に示すように、大当り遊技状態で実行される各ラウンド遊技の情報として、ラウンド数と、そのラウンドで開放される大入賞口を指定する情報と、ソレノイド(上大入賞口扉用のソレノイド82A、下大入賞口扉用のソレノイド82B)を制御して大入賞口を好適なタイミングで開閉するための開放パターン(大入賞口開放パターンテーブル)を指定する情報と、そのラウンドにおける大入賞口開放上限時間を示す情報と、そのラウンドの大入賞口作動時間(ラウンド遊技の開始からそのラウンドにおいて最後に大入賞口扉を閉鎖するまでの時間)を示す情報と、を対応付けて記憶するテーブルであれば良い。
図17(A)〜(C)に示すように、この実施の形態では、ラウンドカウント値が「1」〜「4」、「7」〜「16」のいずれか(通常開放ラウンド)である場合と、「5」又は「6」(確変開放ラウンド)である場合とで、開放する大入賞口が異なる。また、大当り種別に応じて、各ラウンドでの大入賞口開放上限時間と、使用する開放パターンと、大入賞口作動時間と、を異ならせている。図17(A)〜(C)に示すような複数の大当り開放パターンテーブルから、大当り種別に応じて使用するテーブルを選択することで、後述する図32に示すように大当り種別に応じて異なる順でラウンド遊技を実行することが出来る。
大入賞口開放パターンテーブルは、図18(A)〜(D)に示すように、1又は複数の行(レコード)として、大入賞口を開放制御する時間と閉鎖制御する時間とか交互に設定されたテーブルである。レコード番号は、各レコードを使用する順番に対応する。レコード名が「開放時間」を含むレコードを使用中には、大入賞口は開放される。一方、「閉鎖時間」を含むレコードの使用中は、大入賞口は閉鎖される。使用時間は、そのレコードを使用する上限時間を示す。
次に、CPU103は、例えば遊技制御カウンタ設定部154といったRAM102の所定領域に設けられたラウンドカウンタから、今から開始されるラウンド遊技のラウンド数を示すラウンドカウンタ値を読み出す(ステップS299)。そして、ステップS298又はS297でセットされた使用開放パターンテーブルと読み出したラウンドカウンタ値とに基づいて、開始されるラウンド遊技においてラウンド遊技にて開放状態とする大入賞口を、上特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口または下特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口のいずれかに決定する(ステップS300)。図17(A)〜(C)に示すように、ラウンドカウント値が「1」〜「4」、「7」〜「16」のいずれかであるとき(通常開放ラウンドであるとき)に、上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技を実行することに決定される。一方、ラウンドカウント値が「5」または「6」であるとき(確変開放ラウンドであるとき)には、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技を実行することに決定される。したがって、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「5」または「6」となったときに、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行され、下特別可変入賞球装置7Bが遊技者にとって有利な開放状態となる。
ステップS300の処理により開放する大入賞口を決定することにあわせて、遊技球を有効に検出するための検出有効スイッチを設定してもよい。例えば、ラウンドカウント値が「1」〜「4」、「7」〜「16」のいずれかであるときには、上大入賞口が開放状態となることにあわせて、上大入賞口スイッチ23Aによる遊技球の検出を有効にする。一方、ラウンドカウント値が「5」または「6」であるときには、下大入賞口が開放状態となることにあわせて、下大入賞口スイッチ23Bによる遊技球の検出を有効にする。
ステップS300の処理に続いて、例えば大当り種別バッファなどから大当り種別の記憶データを読み出して、ラウンドカウンタ値と大当り種別に応じた大入賞口作動時間を決定する(ステップS301)。大入賞口作動時間は、大当り遊技状態にて実行される各回のラウンド遊技にて、ラウンド遊技の開始から上大入賞口または下大入賞口を開放状態と閉鎖状態とに変化させるためのソレノイドの制御を実行する時間であって、入出力一致待ち状態と入出力エラー状態とを含まないラウンド遊技の継続時間と一致する。
ステップS301の処理を実行した後には、大入賞口(上大入賞口または下大入賞口)を閉鎖状態から開放状態とするための開放開始制御が行われる(ステップS301A)。このときには、ステップS300の処理により決定された開放する大入賞口に応じて、ソレノイド82A、82Bのいずれかに駆動信号を送信するための設定が行われる。一例として、上大入賞口を開放状態とする場合には、上大入賞口扉用のソレノイド82Aに駆動信号を送信するための設定を行う。具体的には、ステップS297でセットした開放パターンテーブルが指定するラウンドカウンタ値に応じた開放パターンを参照するためのアドレス値をRAM103の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部155など)にセットすることで、ラウンド開始からの経過時間に応じてソレノイドをオン又はオフとする制御信号を上大入賞口扉用のソレノイド82Aに送信可能とすればよい。一方、下大入賞口を開放状態とする場合には、同様にステップS298でセットした開放パターンテーブルが指定するラウンドカウンタ値に応じた開放パターンを参照するためのアドレス値をRAM103の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部155など)にセットして、下大入賞口扉用のソレノイド82Bに駆動信号を送信するための設定を行う。また、ステップS302では、RAM102の所定領域(例えば遊技制御タイマ設定部153)に設定された、ラウンド開始からの経過時間を計時するためのラウンドタイマの更新を開始する。
ステップS301Aが終わると、CPU103は演出制御基板12にラウンド開始コマンドを送信するための設定処理を実行する(ステップS301B)。具体例として、CPU103はRAM103の所定領域に設定されたコマンド送信バッファに、開始されるラウンド遊技が何ラウンド目のラウンド遊技であるかを特定可能な情報(現在のラウンドカウンタ値を示す数値情報)と、新たなラウンド遊技が開始されることを示す情報と、を含むラウンド開始コマンドをセットすればよい。セットされたラウンド開始コマンドは、次に実行されるコマンド制御処理(図8のステップS17)にて、中継基板15を介して演出制御基板12に送信されれば良い。そして、CPU103はROM102に記憶された複数の大入賞口開放パターンテーブルのうち、大当り種別と開始されるラウンドのラウンド数に応じた大入賞口開放パターンテーブルを使用パターンとしてセットする(S302)。
次に、CPU103はステップS300で決定した開放する大入賞口が下大入賞口であるか否かを判定し(ステップS303)、下大入賞口である場合には(ステップS303;Yes)、RAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部155など)に設定された確変領域ソレノイド制御コードの値を1に設定する(ステップS304)。なお、確変領域ソレノイド制御コードは、後述する確変領域ソレノイド制御領域にて確変領域ソレノイドを用いた確変領域蓋72の位置制御と、確変領域の有効・無効の制御と、を開始することを指定する制御コードである。このように、確変領域の位置制御と、確変領域の有効・無効の制御と、の開始を共通の制御コード(確変領域ソレノイド制御コード)を用いて開始するので、確変領域の開閉に加えて確変領域の有効・無効の変更を実行するとしても、必要な記憶容量を低減させることができる。ステップS303で下大入賞口を開放するラウンドでないと判定するか(ステップS303;No)、ステップS304の処理を終了すると、PCU103は特図プロセスフラグの値を“5”に更新し(ステップS305)、大当り開放前処理を終了する。ステップS305にて特図プロセスフラグの値が“5”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図8に示すステップS115の大当り開放中処理が実行される。
図19は、大当り開放中処理として、図9のステップS115にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図19に示す大当り開放中処理において、CPU103は、まず、実行中のラウンド遊技が下大入賞口を開放するラウンドであるか否かを判定する(ステップS311)。一例として、ラウンドカウンタ値が確変開放ラウンドを示す「14」又は「16」である場合に、下大入賞口を開放するラウンドであると決定し(ステップS311;Yes)、下大入賞口に進入した遊技球の検出判定のための下大入賞口入賞検出処理を実行する(ステップS316)。
図20は、下大入賞口入賞検出処理として、図19のステップS316にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。下大入賞口入賞検出処理では、まずCPU103は下大入賞口スイッチ23Bがオン状態となったか否かを判定する(ステップS501)。下大入賞口スイッチ23Bが、下特別可変入賞装置7Bが第1状態(開放状態)となったときに下特別可変入賞装置7Bに進入した遊技球を検出して、オン状態となっていた場合には(ステップS501;Yes)、次に後述する下大入賞口スイッチ無効フラグがオンにセットされているか否か判定する(ステップS502)。なお、下大入賞口スイッチ無効フラグは、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部152など)に設けられた、後述する図21のステップS549等でオン状態にセットされるフラグであり、入出力エラー状態において、下大入賞口スイッチ23Bが下特別可変入賞装置7Bに進入した遊技球を検出した場合でも、その検出を無効とする制御を実行するために用いられる。
下大入賞口スイッチ無効フラグがオン状態でないと判定すると(ステップS502;No)、CPU103はRAM102の所定領域(例えば遊技制御カウンタ設定部153など)に設けられた、下特別可変入賞装置7B内の遊技球の数を示すカウンタである役物遊技中入賞個数カウンタを1加算する(ステップS502A)。役物遊技中入賞個数カウンタの値は、下大入賞口スイッチ無効フラグがオンになっていない有効時に下大入賞口スイッチ23Bが検出した遊技球の数から、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを減算した数に制御される。
ステップS502Aを終了するか、ステップS501でNoと判定された場合や、ステップS502でYesと判定された場合、次にCPU103は確変領域スイッチ24Aがオン状態であるか否か判定する(ステップS503)。確変領域スイッチがオン状態である場合には(ステップS503;Yes)、確変領域を通過して特別可変入賞装置7B内から遊技球が排出されたと考えられるので、役物遊技中入賞個数カウンタを1減算する(ステップS504)。次に、役物遊技中入賞個数カウンタが0未満であるか否か判定する(ステップS505)。0未満である場合には(ステップS505;Yes)、下特別可変入賞装置7Bに進入した遊技球を下大入賞口スイッチ23Bが正しく検出できなかったと考えられるので、過排出検出時エラー処理を実行して(ステップS512)、下大入賞口入賞検出処理を終了する。本実施の形態では、過排出検出時エラー処理として役物遊技中入賞個数カウンタを0に設定する。これに加え、ホールの管理コンピュータに対して所定のエラー信号を出力してよい。
役物遊技中入賞個数カウンタが0以上であると判定すると(ステップS505;No)、CPU103は次に確変領域検出有効フラグがオン状態にセットされているか否か判定する(ステップS506)。確変領域検出有効フラグは、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部152など)に設けられた、後述する図24の確変領域ソレノイド制御処理においてオン状態・オフ状態に切り替えられるフラグであり、大当り遊技状態において確変領域の有効・無効を所定のタイミングで切り替える制御を実行するために用いられる。確変領域検出有効フラグがオン状態にセットされていると判定すると(ステップS506;Yes)、CPU103はさらに役物遊技中入賞カウンタが0であるか否か判定する(ステップS507)。役物遊技中入賞個数カウンタが0でない場合には(ステップS507;No)、CPU103はRAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部152)に設定された確変確定フラグをオン状態にセットする(ステップS508)。ステップS508において確変確定フラグをオン状態にセットすることにより、実行中の大当り遊技状態終了後に遊技者に有利な確変状態に制御される。一方、役物遊技中入賞個数カウンタが0であると判定した場合には(ステップS507;Yes)、不正が実行されたと考えられるので、ステップS508をスキップして確変確定フラグをオン状態にしない。
ステップS503でNoと判定するか、ステップS506でNoと判定するか、ステップS507でYesと判定するか、ステップS508の処理を終了した場合、次にCPU103は排出スイッチ24Bがオン状態であるか否か判定する(ステップS509)。排出スイッチがオン状態である場合には(ステップS509;Yes)、役物遊技中入賞個数カウンタを1減算する(ステップS510)。次に、役物遊技中入賞個数カウンタが0未満であるか否か判定する(ステップS511)。0未満である場合には(ステップS511;Yes)、ステップS505でYesと判定した場合と同じく過排出検出時エラー処理を実行して(ステップS512)、下大入賞口入賞検出処理を終了する。また、ステップS509でNoと判定したか、ステップS511でNoと判定した場合には、そのまま下大入賞口入賞検出処理を終了する。
図20の下大入賞口検出処理では、役物遊技中入賞個数カウンタが0未満である場合(下大入賞口スイッチ無効フラグがオンになっていない有効時に下大入賞口スイッチ23Bが検出した遊技球の数が、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを和した数より少ない場合)に、過排出検出時エラー処理(ステップS512)によって役物遊技中入賞個数カウンタを0に戻してエラー状態を回復することができる。また、ステップS507にて役物遊技中入賞個数カウンタが0である場合(下大入賞口スイッチ無効フラグがオンになっていない有効時に下大入賞口スイッチ23Bが検出した遊技球の数が、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを和した数と一致する場合)には、ステップS508をスキップして確変確定フラグをセットしない。そのため、確変領域スイッチ24Aが不正行為によって遊技球を検出した場合でもその検出によっては確変状態に制御しないので、不正行為に対するセキュリティを高めることが出来る。
図19に戻って、ステップS316を終えるか、ステップS311にて下大入賞口を開放するラウンドでないと判定すると(ステップS311;No)、CPU103は開放パターンに基づいて大入賞口を開放するための大入賞口開放制御処理を実行する(ステップS317)。一例として、まず、図16のS302でセットされた開放パターンにおいて、現在のラウンドタイマ値が示すタイミングにおいて大入賞口を開放状態とするか、閉鎖状態とするか、いずれに設定されているか特定する。そして、特定結果に応じて、ステップS311でNoと判定した場合(通常開放ラウンドである場合)には上大入賞口扉用のソレノイド82Aに、Yesと判定した場合(確変開放ラウンドである場合)には下大入賞口扉用のソレノイド82Bに、ソレノイドを特定結果に応じてオン又はオフ状態とするための制御信号を伝達すればよい。この実施の形態では、開放状態とすると特定した場合にはオン状態にする制御信号を、閉鎖状態とすると決定した場合にはオフ状態にする制御信号を、それぞれ伝達すればよい。例えば、CPU103は、ステップS317にて、図16のS302でセットされた使用開放パターンのレコードのうち、現在使用しているレコードの使用時間と、使用中のレコードを使用開始してからの経過時間を比較して、現在使用レコードの使用時間が経過したか否かを判定する。使用時間が経過したと判定すると、使用開放パターンに記憶されているうち、次のレコードを使用レコードとして設定し、その使用レコードが指定する開閉動作に対応する駆動信号を対応するソレノイド(確変開放ラウンドではソレノイド82B、上開放ラウンドではソレノイド82A)に伝達する。設定された次の使用レコードのレコード名が「大入賞口開放時間k(kは任意の整数)」であれば、特別可変入賞装置(上特別可変入賞装置7A又は下特別可変入賞装置7B)を開放状態とする制御信号をソレノイドに伝達する。一方、大入賞口開放時間k(kは任意の整数)」であれば、特別可変入賞装置(上特別可変入賞装置7A又は下特別可変入賞装置7B)を閉鎖状態(出力をオフ)とする制御信号を対応するソレノイドに伝達する。
次に、CPU103は大入賞口開放上限時間が経過したか否かを判定する(ステップS318)。このとき、大入賞口開放上限時間が経過していなければ(ステップS318;No)、上大入賞口スイッチ23Aと下大入賞口スイッチ23Bのうちで、遊技球の検出が有効な大入賞口スイッチから伝送された検出信号がオン状態となったか否かを判定する(ステップS319)。
ステップS319にて大入賞口スイッチがオンである場合には(ステップS319;Yes)、入賞個数カウント値を1加算するように更新する(ステップS320)。入賞個数カウント値は、例えば遊技制御カウンタ設定部154といったRAM102の所定領域に設けられた入賞個数カウンタの格納値であり、1回のラウンド遊技が実行されるあいだに大入賞口スイッチにより検出された遊技球の個数を示すものであればよい。その後、大入賞口スイッチにより遊技球が検出されたことに基づいて、賞球となる遊技球を払い出すための設定を行う(ステップS321)。なお、賞球を直接に払い出すことに代えて、賞球の個数に対応した得点を付与するようにしてもよい。
ステップS319にて大入賞口スイッチがオフである場合や(ステップS319;No)、ステップS321の処理を実行した後には、入賞個数カウント値が予め定められた入賞上限判定値(例えば「6」)に達したか否かを判定する(ステップS322)。このとき、入賞上限判定値に達していなければ(ステップS322;No)、大当り開放中処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの値が更新されないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放中処理が再び実行される。
一方、ステップS318にて大入賞口作動時間が経過した場合や(ステップS318;Yes)、ステップS322にて入賞上限判定値に達したと判定された場合には(ステップS322;Yes)、CPU103は今回のラウンド遊技を終了すると判断して、大入賞口開放終了処理を実行する(ステップS323)。ここでは、図16のステップS302でセットされた開放パターンをクリアして、ラウンド遊技終了後の大入賞口の開閉を制御する(閉鎖状態に維持する)ための開放後パターンを使用パターンとしてセットする。
ステップS323の処理に続いて、入賞個数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS324)。次に、CPU103はラウンドカウンタ値に基づいて、終了するラウンドが下大入賞口を開放する確変開放ラウンドであるか否かを判定する。(ステップS325)。そして、下大入賞口を開放する確変開放ラウンドであると判定すると(ステップS325;Yes)、ラウンド終了後からの経過時間を計時するために、RAM102の所定領域(例えば遊技制御タイマ設定部153)に設定された入出力一致待ちタイマに、所定の入出力一致待ち制限時間に対応する値を設定し(例えば2740ミリ秒)、タイムアップするまでのカウントを開始する(ステップS326)。ステップ325にて下大入賞口を開放するラウンドでないと判定するか(ステップS325;No)、ステップS326の処理を終了すると、CPU103は特図プロセスフラグの値を“6”に更新してから(ステップS321)、大当り開放中処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“6”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図9に示すステップS116の大当り開放後処理が実行される。
図21は、大当り開放後処理として、図9のステップS116にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図21に示す大当り開放後処理において、CPU103は、まず、ラウンドカウンタ値に基づいて、実行されたラウンド遊技において下大入賞口を開放したか(確変開放ラウンドであったか)否かを判定する(ステップS541)。下大入賞口を開放した場合には(ステップS541;Yes)、次にCPU103はRAM102の所定領域(例えば、遊技制御フラグ設定部153)に設けられた次移行許容フラグがオン状態にセットされているか否か判定する(ステップS542)。次移行許容フラグは、後述するステップS547にて、実行されたラウンドを終了して次の状態へ移行する(実行中のラウンド後の制御を実行する)条件が成立した場合にオン状態にセットされるフラグであり、実行中のラウンド後の制御の実行を好適に許容するために用いられる。ここで、次の状態とは、実行されたラウンドが大当り遊技状態の最後のラウンドでない場合には次のラウンド、又は、最後のラウンドである場合には大当り遊技状態の終了及び大当り終了後の遊技状態(確変確定フラグがセットされている場合には確変状態へ制御された特別遊技状態、セットされていない場合には確変状態に制御されない通常遊技状態)を示す。次移行許容フラグがオン状態にセットされていなと判定すると(ステップS542;No)、CPU103はRAM102の所定領域(例えば、遊技制御フラグ設定部152)に設けられた入出力エラー中フラグがオン状態にセットされているか否か判定する(ステップS543)。入出力エラー中フラグは、役物遊技中入賞個数カウンターが入出力一致待ち上限時間を過ぎても0にならず、後述する入出力エラー状態(玉詰まり等が発生されたと推測される状態)が開始されたことに基づいて、後述するステップS552にてオン状態にセットされるフラグであり、後述する異常動作等を実行してエラー状態に制御してエラー状態が解消されるまで待ち受けるために用いられる。
入出力エラー中フラグがオン状態でないと判定すると(ステップS543;No)、次にCPU103は図19のステップS326でカウントを開始した入出力一致待ちタイマがアップしたか否か判定する(ステップS544)。図19のステップS326におけるカウント開始から未だ所定の入出力一致待ち上限時間(例えば2740ミリ秒)が経過していない場合には、CPU103はタイマがアップしていないと判定し(ステップS544;No)、図20に示す下大入賞口検出処理を実行する(ステップS545)。ステップS545では、CPU103は図19のステップS316と同様に、下大入賞口スイッチ23B、確変領域スイッチ24A、排出スイッチ24Bの状態に応じて確変確定フラグや役物遊技中入賞個数カウンタを更新する。
ステップS545を終了すると、CPU103はステップS545で更新した役物遊技中入賞口数カウンタのカウンタ値が0であるか否かを判定する(ステップS546)。役物遊技中入賞口数カウンタのカウンタ値が0であると判定した場合には(ステップS546;Yes)、CPU103は次移行許容フラグをセットする(ステップS547)。即ち、下大入賞口スイッチ23Bが検出した下特別可変入賞球装置7Bに進入した遊技球の数と、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数(確変領域を通過して下特別可変入賞球装置7Bから排出された遊技球の数)と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数(確変領域を通過せず下特別可変入賞球装置7Bから排出された遊技球の数)とを和した数と、が一致したことに基づき、実行中のラウンドが大当り遊技状態で実行される最後のラウンドである場合には大当り遊技状態の終了を、最後のラウンドでない場合には次のラウンドへの移行を、許容する制御が実行される。
次に、CPU103は入出力エラー中フラグがオン状態であるか否かを、ステップS543と同様に判定する(ステップS548)。入出力エラー中フラグがオン状態で無いと判定した場合(ステップS548;No)、即ち、入出力エラー状態でない場合には、CPU103は大当り開放後処理を終了する。ステップS546にて役物遊技中入賞カウンタが0でなく、実行中のラウンド後の制御の実行(実行中のラウンドが大当り遊技状態で実行される最後のラウンドである場合には大当り遊技状態の終了、最後のラウンドでない場合には次のラウンドへの移行)が許容されないと判定した場合(ステップS546;No)も同様に大当り開放後処理を終了する。
ステップS544にて、下大入賞口が開放されるラウンド遊技において、実行中のラウンド後の制御の実行が許容されないまま、下特別可変入賞球装置7Bを開放状態に変化させる期間が終了した後に所定の入出力一致待ち上限時間(例えば2740ミリ秒)が経過したと判定された場合には(ステップS544;Yes)、CPU103は下大入賞口スイッチ24Aによる遊技球の検出を一時的に無効にするため、下大入賞口スイッチ無効フラグをオン状態にセットする(ステップS549)。この結果、オフ状態に更新されるまで図20のステップS502にてYesと判定されるようになり、下大入賞口スイッチが遊技球を検出しても役物遊技中入賞カウンタが更新されず、検出は無効となる。また、このとき少なくとも排出スイッチ24Bによる検出は有効であり、排出スイッチ24Bの設置部を遊技球が通過すると、図20の下大入賞口検出処理のステップS510に役物遊技中入賞カウンタが1減算される。
次に、CPU103は画像表示装置5に入出力エラー状態であることを示す画面表示を開始するための処理(エラー表示開始処理)を実行する(ステップS550)。具体的には、RAM102の遊技制御バッファ設定部155に設けられた送信コマンドバッファに、エラー表示開始を指示する演出制御コマンドの送信を指定するバッファ値を設定することで、次に実行されるコマンド制御処理(図17のステップS17)においてエラー表示開始を指定する演出制御コマンドが演出制御基板12に対して送信されるようにすれば良い。
次に、ホールの管理コンピュータといった外部装置に対して、下大入賞口スイッチ23Bが検出した下特別可変入賞球装置7Bに進入した遊技球の数と、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを和した数と、が一致せず入出力一致待ち上限時間を経過したこと(入出力エラーが発生したこと)を伝達するエラー信号を出力する(ステップS551)。エラー信号を出力することにより、エラー信号を受信したホールの管理コンピュータといった外部装置においても入出力エラーの発生を知ることが出来るため、ホールの管理者等が迅速にエラーに対処することができる。
ステップS551が終わると、CPU103は入出力エラー中フラグをオン状態にセットして(ステップS552)、大当り開放後処理を終了する。ステップS549〜S552の処理により、下大入賞口スイッチ23Bが検出した下特別可変入賞球装置7Bに進入した遊技球の数と、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを和した数と、が一致せず入出力一致待ち上限時間を経過したことに基づき、入出力エラー状態に制御される。
入出力エラー状態に制御されている場合には、大当り開放後処理のステップS543にて入出力エラー中フラグがオンであると判定され(ステップS543;Yes)、ステップS544はスキップされる。また、入出力エラー状態に制御されている場合に、例えば後述する入出力エラー状態における確変領域蓋72の異常時動作によって球詰まりが解消する場合がある。また、エラー状態解消のためパチンコ遊技機1の管理者が下大入賞口扉を手で開けて、遊技球を投入する場合がある。このような場合、詰まっていた遊技球や投入された遊技球を排出スイッチ24Bが検出することにより、下大入賞口入賞検出処理(ステップS545)にて役物遊技中入賞個数カウンタが更新される。このときには、ステップS546にて役物遊技中入賞口数カウンタが0と判定され(ステップS546;Yes)、ステップS547にて次移行許容フラグがオン状態にセットされるのみならず、ステップS548にて入出力エラー中フラグがオン状態であると判定され(ステップS548;Yes)、入出力エラー状態を解消するための処理(ステップS553とS555)が実行される。具体的には、CPU103はステップS553にて入出力エラー中フラグをオフ状態にセットし(ステップS553)、その後下大入賞口スイッチ無効フラグをオフ状態にセットし(ステップS555)、大当り開放後処理を終了する。
ステップS541にて実行されたラウンド遊技が下大入賞口を開放しない通常開放ラウンドであるかと判定されたか(ステップS541;No)、ステップS542にて次移行許容フラグがオン状態であると判定された場合には(ステップS542;Yes)、CPU103は、例えば遊技制御フラグ設定部152といったRAM102の所定領域に設けられた次ラウンド待ちフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS561)。次ラウンド待ちフラグは、大当り遊技状態における次回のラウンド遊技が開始されるまで待機することに対応して、後述するステップS564の処理によりオン状態にセットされる。
ステップS561にて次ラウンド待ちフラグがオフであるときには(ステップS561;No)、ラウンドカウント値が予め定められたラウンド上限判定値(例えば「16」)に達したか否かを判定する(ステップS562)。このとき、ラウンド上限判定値に達していなければ(ステップS562;No)、次ラウンド待ち時間として予め定められた一定時間を設定する(ステップS563)。そして、次ラウンド待ちフラグをオン状態にセットしてから(ステップS564)、大当り開放後処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの値が更新されないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放後処理が再び実行される。
ステップS562にてラウンド上限判定値に達したと判定された場合には(ステップS562;Yes)、大当り終了前時間として予め定められた一定時間を設定する(ステップS565)。このときには、ラウンドカウンタをクリアして、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS566)。また、大当りフラグと次移行許容フラグとをクリアしてオフ状態にする(ステップS567)。更に、確変領域ソレノイドコードの値を0にセットして(ステップS567A)、後述する確変領域ソレノイド制御処理における確変領域蓋72の位置制御と確変領域の有効無効の切り替え制御とを停止する。そして、特図プロセスフラグの値を“7”に更新してから(ステップS338)、大当り開放後処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“7”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図9に示すステップS117の大当り終了処理が実行される。
ステップS561にて次ラウンド待ちフラグがオンである場合には(ステップS561;Yes)、次ラウンド待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS569)。そして、次ラウンド待ち時間が経過していなければ(ステップS569;No)、大当り開放後処理を終了する。このときには、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放後処理が再び実行され、次ラウンド待ち時間が経過するまで待機する。
ステップS569にて次ラウンド待ち時間が経過したときには(ステップS569;Yes)、次移行許容フラグと次ラウンド待ちフラグとをクリアしてオフ状態にする(ステップS570)。また、ラウンドカウント値を1加算するように更新する(ステップS571)。更に、確変領域ソレノイドコードの値を0にセットして(ステップS571A)、後述する確変領域ソレノイド制御処理における確変領域蓋72の位置制御と確変領域の有効無効の切り替え制御とを停止する。そして、ラウンド終了コマンドを送信する設定処理を実行する(ステップS571B)。具体例として、CPU103はRAM103の所定領域に設定されたコマンド送信バッファに、終了されるラウンド遊技が何ラウンド目のラウンド遊技であるかを特定可能な情報(現在のラウンドカウンタ値を示す数値情報)と、実行中のラウンド遊技が終了することを示す情報と、を含むラウンド終了コマンドをセットすればよい。セットされたラウンド終了コマンドは、次に実行されるコマンド制御処理(図8のステップS17)にて、中継基板15を介して演出制御基板12に送信されれば良い。そして、特図プロセスフラグの値を“4”に更新してから(ステップS572)、大当り開放後処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“4”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図9に示すステップS114の大当り開放前処理が実行され、新たなラウンド遊技を開始させることができる。
このように、図21・図22の大当り開放後処理においては、ラウンド遊技における大入賞口作動時間が終了した後、所定の入出力一致待ち時間を越えて、実行中のラウンド後の制御の実行が許容されない場合には、下大入賞口スイッチ無効フラグをオン状態にセットして下大入賞口スイッチ23Bによる遊技球の検出を無効にする。また、このとき少なくとも排出スイッチ24Bによる有効であり、排出スイッチ24Bの設置部を遊技球が通過すると、図20の下大入賞口検出処理のステップS510に役物遊技中入賞カウンタが1減算される。そのため、例えば下大入賞口扉71を手で開けて遊技球を下特別可変入賞球装置7Bに進入させると、役物遊技中入賞個数カウンタ値は、下大入賞口スイッチ23Bによる遊技球の検出に基づいては加算されず、排出スイッチ24Bによる検出に基づいて減算される。よって、役物遊技中個数カウンタが0となるまで下大入賞口扉71を手で開けて遊技球を下特別可変入賞球装置7Bに進入させることで、入出力エラー状態を解除することができる。即ち、エラー状態から簡便に復帰することが出来る。
図23は、大当り終了処理として、図9のステップS117にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図23に示す大当り終了処理において、CPU103は、まず、大当り終了前時間(図15のステップS279Aで設定した大当り終了前時間)が経過したか否かを判定する(ステップS361)。このとき、大当り終了前時間が経過していなければ(ステップS361;No)、大当り終了処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り終了処理が再び実行され、大当り終了前時間が経過するまで待機する。
ステップS361にて大当り終了前時間が経過した場合には(ステップS361;Yes)、CPU103は、確変確定フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS363)。
ステップS363にて確変確定フラグがオンであるときには(ステップS363;Yes)、確変制御を開始してパチンコ遊技機1における遊技状態を確変状態とするための設定を行う(ステップS364)。一例として、ステップS364の処理では、確変フラグをオン状態にセットすることに加え、確変状態にて実行可能な特図ゲームの上限回数などに対応するカウント初期値(例えば「50」)を、確変回数カウンタに設定する。その後、確変確定フラグをクリアしてオフ状態にする(ステップS365)。
ステップS363にて確変確定フラグがオフであるときや(ステップS363;No)、ステップS365の処理を実行した後には、特図プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化してから(ステップS336)、大当り終了処理を終了する。特図プロセスフラグが“0”に初期化されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図9に示すステップS110の特別図柄通常処理が実行される。特図表示結果が大当りである場合には、図15のステップS282で確変制御が一旦終了される。そのため、大当り前には確変状態であった場合でも、その大当りに基づいて制御された大当り遊技状態にて、確変制御条件が成立しなかった場合には、ステップS363でNoと判定され、新たな確変制御が開始されないまま通常状態に移行する。そのため、確変制御が開始されたのち、第1特図ゲームにて確変制御条件の成立が困難又は不可能な「第2大当り」の可変表示結果が導出された場合には、そのまま確変制御が終了してしまう事になる。
図24は、図8の遊技制御用タイマ割り込み処理のステップS16Aで実行される確変領域ソレノイド制御処理の一例を示すフローチャートである。この確変領域ソレノイド制御処理において、CPU103は、まず、RAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部155など)に設定された確変領域ソレノイド制御コードの値を読み出す(ステップS601)。そして、読み出された制御コードの値が、前回実行された確変領域ソレノイド制御処理で読み出した制御コードの値と同じか否か判定する(ステップS602)。一例として、前回実行された確変領域ソレノイド制御処理のステップS603(後述)においてRAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部155など)に設定された比較用の制御コード値格納領域に格納された値と、ステップS601で読み出した値と、が一致した場合には前回と同じであると判定し、異なる場合には同じでないと判定すれば良い。
ステップS602にて前回と同じでないと判定された場合には(ステップS602;No)、次の比較のためステップS601で読み出した値をRAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部155など)に設定された比較用の制御コード値格納領域に格納する(ステップS603)。次に、CPU103は確変ソレノイドパターンテーブルを選択するための使用テーブルリストをステップS601で読み出した値に応じて決定する(ステップS604)。ここで、確変ソレノイドパターンテーブルとは、図25のTBL0〜TBL10のように、テーブル毎に、そのテーブル使用時において、確変領域蓋用のソレノイド82Cの出力を指定するデータ(ソレノイド出力指定データ)と、確変領域が有効か無効かを指定するデータ(確変領域有効/無効指定値)と、そのテーブルの使用時間と、を関連付けて記憶するテーブルである。また、使用テーブルリストとは、読み出した確変領域ソレノイドコードの値が0か1かに応じて、使用する順に確変ソレノイドパターンテーブルを記憶したリストである。本実施の形態では、大当り種別にかかわらず同じ確変ソレノイドパターンテーブルを用いるため、確変領域蓋72の位置と確変領域の有効・無効とを制御するにあたって必要な記憶容量を少なくすることができる。
図25は、ステップS604における使用テーブルリストの決定例である。この例では、ステップS601で読み出した確変領域ソレノイド制御コードの値が0の場合は、確変領域蓋用のソレノイド82Cの出力をオフ状態のまま、確変領域を無効のまま保持する確変ソレノイドパターンテーブル(TBL0)のみを継続使用する使用テーブルリストを決定する。一方、確変領域ソレノイド制御コードの値が1である場合には、指定する確変領域蓋用のソレノイド82Cの出力のオン・オフと、確変領域の有効・無効と、テーブル使用時間が異なる複数の確変ソレノイドパターンテーブル(TBL1〜TBL10)を、順に切り替えて使用する使用テーブルリストを決定する。TBL1〜TBL10は図33に示す制御例における期間T1〜T10においてそれぞれ使用される。このうち、TBL1〜TBL5は大入賞口作動時間(T1〜T5)中に、TBL6〜TBL9は入出力一致待ち状態の期間(T6〜T9)に、TBL10は入出力一致待ち状態終了後の入出力エラー状態(T10)に、それぞれ使用される。
ステップS604で使用テーブルリストを決定すると、CPU103は使用テーブルリストの先頭のテーブルを、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとしてセットする(ステップS605)。そして、セットした確変ソレノイドパターンテーブルからソレノイド出力指定データの値と、確変領域有効/無効指定値の値と、を読み取る(ステップS606)。そして、読み取った確変領域有効/無効指定値に応じて、RAM102の所定領域に設定された確変領域検出有効フラグを更新する(ステップS607)。更に、読み取ったソレノイド出力指定データの値に応じて、RAM102の所定領域(例えば、遊技制御バッファ設定部155)に設定された確変領域ソレノイドバッファを更新することで、ソレノイド出力指定データに応じて確変領域蓋用のソレノイド82Cのオン・オフを制御する(ステップS608)。即ち、確変領域蓋72の位置を制御する。なお、確変領域ソレノイドバッファは、確変領域蓋用のソレノイド82Cにオン・オフを指定する制御信号を出力するための出力バッファであり、このバッファに格納された値に応じて、次に実行されるコマンド制御処理(図8のステップS17)で確変領域蓋用のソレノイド82Cに制御信号が出力される。
次に、ステップS605でセットした使用テーブルのテーブル使用時間をRAM102の所定領域(例えば、遊技制御タイマ設定部153)に設定された確変領域ソレノイドタイマにセットし(ステップS609)、計時を開始する。そして、確変領域ソレノイド制御処理を終了する。
確変領域ソレノイド制御コード値は確変開放ラウンドの開始時(図16のステップS304)と終了時(図23のS567AやS571A)とで更新されるため、連続しては更新されない。そのため、ステップS602にて確変領域ソレノイド制御コードの値が前回と異なると判定され使用テーブルリストを決定すると、実行中のラウンドが終了するまで次回以降のループで実行される確変領域ソレノイド制御では、ステップS602にて読出値が前回と同じと判定される(ステップS602;Yes)。この場合、CPU103は確変領域ソレノイドタイマ値を更新し(ステップS610)、次に使用テーブルの使用時間が終了したか否かを判定する(ステップS611)。具体的には、前回以前のループにおいてステップS609においてセットした確変領域ソレノイドタイマが未だアップしていない場合には、使用テーブルの使用時間が終了していないと判定し(ステップS611;No)、確変領域ソレノイド制御処理を終了する。一方、ステップS609においてセットした確変領域ソレノイドタイマがアップしていた場合には、CPU103は使用テーブルの使用時間が終了したと判定し(ステップS611;Yes)、次に使用テーブル番号が0であるか否か(TBL0を使用中であるか)を判定する(ステップS612)。使用テーブル番号が0である場合は(ステップS612;Yes)、確変領域蓋用のソレノイド82Cの出力のオン・オフを切り替えて確変領域蓋72の位置を変化させる制御と、確変領域の有効・無効を切り替える制御と、が開始されていないため、そのまま確変領域ソレノイド制御処理を終了する。
一方、使用テーブル番号が0でない場合には(ステップS612;No)、CPU103は使用テーブル番号が10であるか否か(TBL10を使用中であるか)を判定する(ステップS613)。現在の遊技状態が入出力エラー状態であり、TBL10を使用中である場合には(ステップS613;Yes)、確変領域蓋用のソレノイド82をオフ状態(確変領域蓋72は閉鎖状態)で停止するための処理(確変領域ソレノイド停止処理)を実行して(ステップS615)、確変領域ソレノイド制御処理を終了する。
一方、TBL10を使用中でない場合には(ステップS613;No)、ステップS604で決定した使用テーブルリストにおいて、現在の使用テーブルの次に記録されているテーブルを使用テーブルとしてセットし(ステップS614)、次の使用テーブルのソレノイド出力指定データ・確変領域有効/無効指定データ等についてステップS606〜S609の処理を行って確変領域ソレノイド制御処理を終了する。
確変領域ソレノイド制御処理では、確変領域ソレノイド制御コードの値が0から1に変更されたときに、確変領域蓋用のソレノイド82Cの出力のオン・オフを切り替えて確変領域蓋72の位置を変化させる制御と、確変領域の有効・無効を切り替える制御と、が共に開始される。そのため、確変領域蓋72の位置制御と、確変領域の有効・無効を切り替える制御と、を開始するにあたってRAM102の容量が少なくてすむ。
次に、演出制御基板12における動作を説明する。
演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、所定の演出制御メイン処理を実行する。演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理を実行して、RAM122のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行う。その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行う。タイマ割込みフラグは、例えばCTCのレジスタ設定に基づき、所定時間(例えば2ミリ秒)が経過するごとにオン状態にセットされる。このとき、タイマ割込みフラグがオフであれば、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定処理を繰り返し実行して待機する。
また、演出制御基板12の側では、所定時間が経過するごとに発生するタイマ割込みとは別に、主基板11から演出制御コマンドを受信するための割込みが発生する。この割込みは、例えば主基板11からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みが発生すると、演出制御用CPU120は、自動的に割込み禁止に設定するが、自動的に割込み禁止状態にならないCPUを用いている場合には、割込み禁止命令(DI命令)を発行することが望ましい。演出制御用CPU120は、演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みに対応して、例えば所定のコマンド受信割込み処理を実行する。このコマンド受信割込み処理では、I/O125に含まれる入力ポートのうちで、中継基板15を介して主基板11から送信された制御信号を受信する所定の入力ポートより、演出制御コマンドとなる制御信号を取り込む。このとき取り込まれた演出制御コマンドは、例えばRAM122の所定領域(演出制御バッファ設定部)に設けられた演出制御コマンド受信用バッファに格納する。一例として、演出制御コマンドが2バイト構成である場合には、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)を順次に受信して演出制御コマンド受信用バッファに格納する。その後、演出制御用CPU120は、割込み許可に設定してから、コマンド受信割込み処理を終了する。
タイマ割込みフラグがオンである場合には、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態にするとともに、コマンド解析処理を実行する。コマンド解析処理では、例えば主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御などが行われる。コマンド解析処理では、電断発生時に主基板11が送信する初期化指定コマンドが格納されていた場合には、RAM122の所定領域に設定された電断フラグをセットする。なお、電断発生時に演出制御基板12に対する電力供給が途絶えると、一旦RAM122がフラッシュされ、RAM122に設定された確変状態フラグを含む全てのフラグ値が「0」にクリアされる。また、特別図柄の可変表示の開始時(図13のステップS264等)や大当り遊技状態の終了時(図23のステップS364等)に主基板11が送信する遊技状態指定コマンドとして、確変状態であることを示すコマンドが格納されていた場合には、RAM122の所定領域に設定された確変フラグをセットする。この場合には、遊技状態指定コマンドに含まれる確変回数カウンタの値を、確変中可変表示実行回数を特定可能な情報としてRAM122の所定領域に記憶する。一方、遊技状態として確変状態以外(通常状態など)を指定するコマンドが格納されていた場合には、この確変フラグをクリアする。
コマンド解析処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行する。演出制御プロセス処理では、例えば画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作、遊技効果ランプ9及び装飾用LEDといった装飾発光体における点灯動作、演出用模型における駆動動作といった、各種の演出装置を用いた演出動作の制御内容について、主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定などが行われる。
演出制御プロセス処理に続いて、演出用乱数更新処理が実行され、演出制御に用いる各種の乱数値として、演出制御カウンタ設定部193のランダムカウンタによってカウントされる演出用乱数を示す数値データを、ソフトウェアにより更新する。その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定処理に戻る。
図26は、演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。図26に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用CPU120は、例えばRAM122の所定領域(演出制御フラグ設定部)に設けられた演出プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS170〜S173及びS176〜S178の処理のいずれかを選択して実行する。
ステップS170の可変表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この可変表示開始待ち処理は、主基板11からの第1変動開始コマンドあるいは第2変動開始コマンドなどを受信したか否かに基づき、画像表示装置5における飾り図柄の可変表示を開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。
ステップS171の可変表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この可変表示開始設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおいて特別図柄の可変表示が開始されることに対応して、画像表示装置5における飾り図柄の可変表示や、予告演出、リーチ演出、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類などに応じた確定飾り図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理などを含んでいる。
ステップS172の可変表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この可変表示中演出処理において、演出制御用CPU120は、RAM122の所定領域(例えば演出制御タイマ設定部)に設けられた演出制御プロセスタイマにおけるタイマ値に対応して、演出制御パターンから各種の制御データを読み出し、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行う。また、可変表示中演出処理では、遊技状態に応じて、確変制御が終了するまでの特別図柄の可変表示の最大実行回数を報知する回数報知演出、最大実行回数が増加したことを報知するチャージ報知2演出、を実行するための演出制御を行う。こうした演出制御を行った後、例えば特図変動時演出制御パターンから飾り図柄の可変表示終了を示す終了コードが読み出されたこと、あるいは、主基板11から伝送される図柄確定コマンドを受信したことなどに対応して、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる。そして、特図ゲームにおける特図表示結果が「ハズレ」であった場合には、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。一方、「大当り」出会った場合には、演出プロセスフラグの値が“3”に更新される。
ステップS173の大当り表示処理は、演出プロセスフラグの値が“3”のときに実行される処理である。この特図当り待ち処理において、演出制御用CPU120は、主基板11から伝送された大当り遊技状態の開始を指定するコマンドを受信したことに基づいて、大当り遊技状態が始まることを報知するファンファーレ演出を開始した上で、演出プロセスフラグの値を大当り中演出処理に対応した値である“6”に更新する。
ステップS176の大当り開始時処理は、演出プロセスフラグの値が“6”のときに実行される処理である。この大当り開始時処理において、演出制御用CPU120は、例えば大当り遊技状態の開始時における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を画像表示装置5の画面上に表示させることや、音声制御基板13に対する指令(効果音信号)の出力によりスピーカ8L、8Rから音声や効果音を出力させること、ランプ制御基板14に対する指令(電飾信号)の出力により遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態が開始されることに対応して大当り開始時演出を実行するために、各種の演出制御を行う。大当り開始時処理では、大当り前の遊技状態が確変状態であるか否か、確変状態である場合には確変中可変表示実行回数が合計保留記憶上限数以下であるか否か、に応じて大当り中演出の演出モードを決定する。大当り開始時処理は、大当り遊技状態となることを明確に報知する大当り報知演出を含んでもよいし、大当り遊技状態となることは明確に報知しないが大当り遊技状態となることに対応して実行される任意の演出を含んでもよい。こうした大当り開始時演出の実行が終了することに対応して、演出プロセスフラグの値が大当り中演出処理に対応した値である“7”に更新される。
ステップS177の大当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“7”のときに実行される処理である。この大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば大当り遊技状態における演出内容に対応した演出制御パターン等をラウンド数に応じて設定し、その設定内容に基づく演出画像を画像表示装置5の画面上に表示させることや、音声制御基板13に対する指令(効果音信号)の出力によりスピーカ8L、8Rから音声や効果音を出力させること、ランプ制御基板14に対する指令(電飾信号)の出力により遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態における各種の演出制御を行って、大当り中演出を実行する。例えば、後述するように、大入賞口を52ミリ秒を上限に開放する不利開放制御が行われるラウンド遊技ではファンファーレ演出やエンディング演出を実行する一方、20秒や約27秒を上限に開放する有利開放制御が行われるラウンド遊技では、大当り遊技状態であることを報知する演出(大当り中演出)を実行する。さらに、後述するように、第1大当り確変開放ラウンドのラウンド遊技では、主基板11から確変確定コマンドを受信した事に基づき、再度確変状態に制御されることを報知する特別報知を実行する。一方、確変状態から第3大当り遊技状態に制御されたときには、特別報知とは演出態様が異なる特定報知(例えばチャージ報知など)を実行する。また、大当り中演出処理では、例えば主基板11からの当り終了指定コマンドを受信したことに対応して、遊技状態に応じたエンディング演出を実行するための設定処理を含む大当り中演出設定終了処理を実行した後、演出プロセスフラグの値をエンディング演出処理に対応した値である“8”に更新する。
ステップS178のエンディング演出処理は、演出プロセスフラグの値が“8”のときに実行される処理である。このエンディング演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば大当り遊技状態の終了などに対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を画像表示装置5の画面上に表示させることや、音声制御基板13に対する指令(効果音信号)の出力によりスピーカ8L、8Rから音声や効果音を出力させること、ランプ制御基板14に対する指令(電飾信号)の出力により遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態の終了時における各種の演出制御を行って、エンディング演出を実行する。こうした大当り遊技状態の終了時における演出制御が行われた後には、演出プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化する。
図27は、可変表示開始設定処理として、図26のステップS171にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図27に示す可変表示開始設定処理において、演出制御用CPU120は、まず、例えば主基板11から伝送された可変表示結果通知コマンドにおけるEXTデータを読み取ることなどにより、特図表示結果が「ハズレ」となるか否かを判定する(ステップS521)。このとき、特図表示結果が「ハズレ」となる旨の判定がなされた場合には(ステップS521;Yes)、例えば変動パターン指定コマンドにおけるEXTデータを読み取ることなどにより、指定された変動パターンが飾り図柄の可変表示態様を「非リーチ」とする場合に対応した非リーチ変動パターンであるか否かを判定する(ステップS522)。
ステップS522にて非リーチ変動パターンであると判定された場合には(ステップS522;Yes)、非リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定する(ステップS523)。一例として、ステップS523の処理では、まず、乱数回路124またはRAM122の所定領域(演出制御カウンタ設定部など)に設けられた演出用ランダムカウンタ等により更新される左確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM121に予め記憶されて用意された左確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定飾り図柄のうち画像表示装置5の表示領域における「左」の飾り図柄表示エリア5Lに停止表示される左確定飾り図柄を決定する。次に、乱数回路124または演出用ランダムカウンタ等により更新される右確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM121に予め記憶されて用意された右確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定飾り図柄のうち画像表示装置5の表示領域における「右」の飾り図柄表示エリア5Rに停止表示される右確定飾り図柄を決定する。このときには、右確定図柄決定テーブルにおける設定などにより、右確定飾り図柄の図柄番号が左確定飾り図柄の図柄番号とは異なるように、決定されるとよい。続いて、乱数回路124または演出用ランダムカウンタ等により更新される中確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM121に予め記憶されて用意された中確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定飾り図柄のうち画像表示装置5の表示領域における「中」の飾り図柄表示エリア5Cに停止表示される中確定飾り図柄を決定する。
ステップS522にて非リーチ変動パターンではないと判定された場合には(ステップS522;No)、リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定する(ステップS524)。一例として、ステップS524の処理では、まず、乱数回路124または演出用ランダムカウンタ等により更新される左右確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM121に予め記憶されて用意された左右確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定飾り図柄のうち画像表示装置5の表示領域における「左」と「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rにて揃って停止表示される図柄番号が同一の飾り図柄を決定する。さらに、乱数回路124または演出用ランダムカウンタ等により更新される中確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、ROM121に予め記憶されて用意された中確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、確定飾り図柄のうち画像表示装置5の表示領域における「中」の飾り図柄表示エリア5Cにて停止表示される中確定飾り図柄を決定する。ここで、例えば中確定飾り図柄の図柄番号が左確定飾り図柄及び右確定飾り図柄の図柄番号と同一になる場合のように、確定飾り図柄が大当り組合せとなってしまう場合には、任意の値(例えば「1」)を中確定飾り図柄の図柄番号に加算または減算することなどにより、確定飾り図柄が大当り組合せとはならずにリーチ組合せとなるようにすればよい。あるいは、中確定飾り図柄を決定するときには、左確定飾り図柄及び右確定飾り図柄の図柄番号との差分(図柄差)を決定し、その図柄差に対応する中確定飾り図柄を設定してもよい。
ステップS521にて特図表示結果が「ハズレ」ではないと判定されたときには(ステップS521;No)、大当り種別に応じた大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定する(ステップS527)。一例として、ステップS528の処理では、まず、演出制御カウンタ設定部193のランダムカウンタなどにより更新される大当り確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、続いてROM121などに予め記憶された所定の大当り確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、画像表示装置5の画面上で「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rに揃って停止表示される図柄番号が同一の飾り図柄を決定する。
ステップS523、S524、S525の処理のいずれかを実行した後には、遊技状態に応じた可変表示中における演出の実行設定を行う(ステップS526〜S534)。まず、演出制御用CPU120はRAM122の所定領域に設定された確変フラグを参照して、確変制御が実行されているか否か判定する(ステップS526)。確変フラグがクリアされている(オフ状態)場合には、確変制御中でないと判定して(ステップS526;No)、演出モードとして通常モードを設定する(ステップS527)。一例として、可変表示中に表示する演出用の背景として通常モードの画像を選択し、後述するステップS535で使用する演出制御パターンの決定用テーブルとして、その通常モードに応じた演出制御パターン決定テーブルを選択すればよい。そして、後述するステップS535を実行する。
一方、確変フラグがセットされている(オン状態)場合には、確変制御中であると判定して(ステップS526;Yes)、次に確変中可変表示実行回数が所定回数(8回)以下であるか判定する(ステップS528)。確変中可変表示回数は、予めROM121に記憶した確変状態における可変表示のカウント初期値(例えば「208」)から、上述したコマンド解析処理でRAM122の所定領域に記憶した確変回数カウンタの値を減算して求めればよい。確変中可変表示実行回数が8以下であると判定すると(ステップS528;Yes)、演出モードとして確変中可変表示実行回数が所定回数以下である遊技状態に対応する、確変状態に制御されるか否かを煽るモード(例えばバトルモードなど)を設定する(ステップS529)。一例として、可変表示中に表示する演出用の背景として確変状態に制御されるか否かを煽る画像を選択し、後述するステップS535で使用する演出制御パターンの決定用テーブルとして、その演出モード(バトルモード)に応じた演出制御パターン決定テーブルを選択すればよい。そして、後述するステップS535を実行する。
一方、確変中可変表示実行回数が8以下でないと判定すると(ステップS528;No)、演出モードとして確変中可変表示実行回数が所定回数より多い遊技状態に対応して、演出モードとして確変制御中であることを示唆するモード(特別モード)を設定する(ステップS530)。一例として、可変表示中に表示する演出用の背景として確変中であることを示唆する画像を選択し、後述するステップS535で使用する演出制御パターンの決定用テーブルとして、その演出モードに応じた演出制御パターン決定テーブルを選択すればよい。特別モードでは、他の演出に加えて今から確変制御が終了するまでの特別図柄の可変表示の最大回数を報知する回数報知演出が実行される。ステップS530では、これに応じて、回数報知演出を実行するためのパターンを含む演出制御パターンが決定されるような演出制御パターン決定テーブルを選択する。
ステップS530が終わると、演出制御用CPU120はRAM122の所定領域に設定されたチャージ報知2実行フラグがセットされているか否か判定する(ステップS531)。チャージ報知2実行フラグは、前回以前に実行された第3大当り遊技状態の確変開放ラウンドにて、遊技球が確変領域を通過したが、確変中確変表示実行回数が所定数以下であったために未だチャージ報知演出が実行されていないことを示すフラグである。チャージ報知2実行フラグがセットされていないと判定すると(ステップS531;No)、演出制御用CPU120は、後述するステップS5355を実行する。チャージ報知2実行フラグがセットされていると判定すると(ステップS531;Yes)、演出制御用CPU120は次に確変中可変表示実行回数はチャージ報知2を実行する回数である所定数(例えば50回)であるか否か判定する(ステップS532)。確変中可変表示実行回数が所定数である場合には(ステップS532;Yes)、演出制御用CPU120はチャージ報知2の報知演出を実行するための設定処理を実行する(ステップS533)。具体的には、RAM122の所定領域に設定された、チャージ報知2の報知演出を今回開始される可変表示で実行することを示すフラグをセットする。そして、チャージ報知2実行フラグをクリアして(ステップS534)、ステップS535を実行する。
なお、可変表示中における演出の実行設定として、ステップS526〜S534に加えて、他の演出の実行設定を行っても良い。一例として、所定の変動中予告演出を実行するための設定が行われてもよい。変動中予告演出は、開始条件が成立した特図ゲームに対応して実行される飾り図柄の可変表示中に、その可変表示結果が「大当り」となる可能性などを予告する予告演出であればよい。
変動中予告演出としては、例えば可変表示の開始時や実行中における所定のタイミングにて、スピーカ8L、8Rから所定の効果音(例えばアラーム音やチャイム音、サイレン音など)が出力されるような態様の演出や、遊技効果ランプ9などに含まれるフラッシュランプが光るような態様の演出のうち、一部または全部を含む所定態様の演出を実行することにより、可変表示結果が「大当り」となることを直ちに告知(確定的に報知)する一発告知態様の演出が実行されてもよい。あるいは、変動中予告演出として、可変表示結果が「大当り」となることに対応した特別な演出画像(プレミアム画像)を表示する演出が実行されてもよい。
他の一例として、変表示結果が「大当り」となる可能性などにはかかわらず、例えば賑やかしのために所定態様の演出を実行するための設定が行われてもよい。より具体的には、遊技効果ランプ9に含まれる所定のランプが光るような態様の演出や、ミニキャラとなる所定の演出画像を表示する演出といった、所定態様の演出を実行できればよい。
ステップS527、ステップS529又はステップS534を終えるか、ステップS531にてNoと判定するか、ステップS532にてNoと判定すると、演出制御用CPU120は演出制御パターンを予め用意された複数パターンのいずれかに決定する(ステップS535)。このとき、演出制御用CPU120は、例えば変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンなどに対応して、複数用意された特図変動時演出制御パターンのいずれかを選択し、使用パターンとしてセットする。ステップS533のチャージ報知2実行設定を実行した場合には、チャージ報知2の演出を実行するための演出制御パターン(チャージ報知2演出制御パターン)をさらにセットする。あるいは、ステップS530で設定した演出制御パターン決定テーブルを、チャージ演出2を実行することに応じたテーブルに差し変えた上で、演出制御パターンを選択してもよい。この実施の形態では、ステップS527、ステップS529、ステップS530の何れかで設定した演出制御パターン決定テーブルを用いて今回開始される可変表示で実行される演出の演出制御パターンを決定することで、リーチ演出やスーパーリーチ演出やリーチ成立前の可変表示中の演出といった複数の可変表示中の演出を、遊技状態に応じた演出モードで実行することが出来る。また、演出モードとして特別モードを設定した場合には、リーチ演出といった他の演出モードで実行される演出に加えて、回数報知演出を実行するための演出制御パターンを含むパターンを、使用パターンとして決定すればよい。ここで、ステップS533でチャージ演出2実行設定を実行した場合には、回数報知演出を実行しないとしてもよい。
ステップS535では、次に実行される大当り遊技状態の開始時に、大当りの前の遊技状態を判定可能とする情報として、RAM122の所定領域に設けられた大当り前遊技状態バッファに現在の遊技状態(演出モード等)を特定可能な情報を記憶する。例えば、この可変表示開始設定処理でステップS527を実行した場合には通常状態(非確変状態)、ステップS529を実行した場合には確変状態かつ確変中可変表示実行回数が8以下、S530を実行した場合には確変状態かつ確変中可変表示実行回数が8より大きいことを示す情報を大当り前遊技状態バッファに記憶すれば良い。この実施の形態では、ステップS527を実行した場合には、大当り前の遊技状態が非確変状態であることを示す大当り前非確変状態フラグをセットし、ステップS529又は530を実行した場合には大当り前非確変状態フラグをクリアする。
演出制御パターンは、例えば特図変動時演出制御パターンや各種演出制御パターンといった複数の制御パターンを含む。それぞれの演出制御パターンは、例えば演出制御プロセスタイマ判定値、表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、操作検出制御データ、終了コードといった、各種の演出動作を制御するための制御データから構成され、時系列的に、各種の演出制御の内容や、演出制御の切換タイミング等が設定されていればよい。その他にも、演出制御パターンには、例えば遊技領域の内部または外部に設けられた可動部材における動作制御の内容等を指定する可動部材制御データなどが、含まれていてもよい。演出制御プロセスタイマ判定値は、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵された演出制御用RAMの所定領域に設けられた演出制御プロセスタイマの値(演出制御プロセスタイマ値)と比較される値(判定値)であって、各演出動作の実行時間(演出時間)に対応した判定値が予め設定されている。なお、演出制御プロセスタイマ判定値に代えて、例えば主基板11から所定の演出制御コマンドを受信したことや、演出制御用マイクロコンピュータ120において演出動作を制御するための処理として所定の処理が実行されたことといった、所定の制御内容や処理内容に対応して、演出制御の切換タイミング等を示すデータが設定されていてもよい。
表示制御データには、例えば飾り図柄の可変表示中における各飾り図柄の変動態様を示すデータといった、画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示態様を示すデータが含まれている。すなわち、表示制御データは、画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作を指定するデータである。音声制御データには、例えば飾り図柄の可変表示中における飾り図柄の可変表示動作に連動した効果音等の出力態様を示すデータといった、スピーカ8L、8Rからの音声出力態様を示すデータが含まれている。すなわち、音声制御データは、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作を指定するデータである。ランプ制御データには、例えば遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった、発光体の点灯動作態様を示すデータが含まれている。すなわち、ランプ制御データは、発光体の点灯動作を指定するデータである。操作検出制御データには、所定の操作部に対する操作を有効に検出する期間や、有効に検出した場合における演出動作の制御内容等を示すデータが含まれている。すなわち、操作検出制御データは、操作部に対する操作に応じた演出動作を指定するデータである。なお、これらの制御データは、全ての演出制御パターンに含まれなければならないものではなく、各演出制御パターンによる演出動作の内容に応じて、一部の制御データを含んで構成される演出制御パターンがあってもよい。
演出制御用CPU120は、演出制御パターンに含まれる各種の制御データに従って、演出動作の制御内容を決定する。例えば、演出制御プロセスタイマ値が演出制御プロセスタイマ判定値のいずれかと合致したときには、その演出制御プロセスタイマ判定値と対応付けられた表示制御データにより指定される態様で飾り図柄を表示させるとともに、キャラクタ画像や背景画像といった演出画像を画像表示装置5の画面上に表示させる制御を行う。また、音声制御データにより指定される態様でスピーカ8L、8Rから音声を出力させる制御を行うとともに、ランプ制御データにより指定される態様で遊技効果ランプ9や装飾用LED等の発光体を点滅させる制御を行い、操作検出制御データにより指定される操作有効期間にてスティックコントローラ31Aやプッシュボタン31Bに対する操作を受け付けて演出内容を決定する制御を行う。なお、演出制御プロセスタイマ判定値と対応していても制御対象にならない演出用部品に対応するデータには、ダミーデータ(制御を指定しないデータ)が設定されてもよい。
ステップS535の処理を実行した後には、例えば変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに対応して、RAM122に設けられた演出制御プロセスタイマの初期値を設定する(ステップS536)。続いて、画像表示装置5における飾り図柄などの変動を開始させるための設定を行う(ステップS537)。このときには、例えばステップS529にて使用パターンとして決定された特図変動時演出制御パターンに含まれる表示制御データが指定する表示制御指令を表示制御部123のVDP等に対して伝送させることなどにより、画像表示装置5の画面上に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の変動を開始させればよい。その後、演出プロセスフラグの値を可変表示中演出処理に対応した値である“2”に更新してから(ステップS538)、可変表示開始設定処理を終了する。
図28は、可変表示中演出処理として、図26のステップS172にて実行される可変表示中演出処理の一例を示すフローチャートである。図28に示す可変表示中演出処理において、演出制御用CPU120は、まず、例えば演出制御プロセスタイマ値などに基づいて、変動パターンに対応した可変表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS821)。一例として、ステップS821の処理では、演出制御プロセスタイマ値を更新(例えば1減算)し、更新後の演出制御プロセスタイマ値に対応して演出制御パターンから終了コードが読み出されたときなどに、可変表示時間が経過したと判定すればよい。
ステップS821にて可変表示時間が経過していない場合には(ステップS821;No)、図27で設定した演出モードが特別モードであるか否か判定する(ステップS822)。特別モードである場合には(ステップS822;Yes)、演出制御用CPU120は次に回数報知演出実行期間の開始タイミングであるか否か判定する(ステップS823)。回数報知演出実行期間は、例えば図27の可変表示開始設定処理のステップS530にて演出モードを特別モードに設定したことに基づいてステップS535で選択された演出制御パターンにおいて、予め定められていればよい。ステップS823にて回数報知演出実行期間の開始タイミングであると判定したときには(ステップS823;Yes)、演出制御用CPU120はRAM122の所定領域に設定されたチャージ演出2実行フラグがセットされているか否か判定する(ステップS824)。
チャージ報知2実行フラグがセットされていない場合には(ステップS824;No)、確変回数カウンタが示す実際の残り実行回数を報知する回数報知演出を開始する(ステップS825)。ステップS825の処理では、回数報知演出制御パターンなどから読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による回数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。例えば、確変回数カウンタの数値がnで有る場合に、表示制御部123に対して画像表示装置5の所定領域に図37(C)に示すような「残りn回」を含む演出画面を所定期間(例えば5秒間)表示することを指示する指令を伝送する。これにより、画像表示装置5の画面上に所定の演出画像を表示させること、スピーカ8L、8Rから所定の効果音を出力させること、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させること、もしくは演出用模型を動作させること、または、これらの一部もしくは全部を組み合わせることで、所定の演出装置にて回数報知演出を実行できればよい。
一方、チャージ報知2実行フラグがセットされている場合には(ステップS826;Yes)、新たな確変制御が開始されたが、未だチャージ報知演出を実行していないことに応じて、残り実行回数として、実際の残り実行回数よりも少ない回数(偽残り実行回数)を報知する回数報知演出を開始する(ステップS826)。例えば、実際の残り実行回数がnであり、新たな確変制御が開始される直前の残り実行回数をmとし、それから現在まで実行された特別図柄の可変表示の回数をk回とすると、m−k回を偽残り実行回数として、ステップS825と同様に画像表示装置5の所定領域に表示させればよい。ここで報知する偽残り実行回数(k−m)は、確変中可変表示実行回数が所定回数よりも少ないときに確変領域を遊技球が通過し、チャージ報知の実行を後回しにするため、確変制御条件が成立してから確変回数カウンタが更新されずそのまま減少したと仮定した場合の残り実行回数である。偽残り実行回数は、後述する偽回数カウンタの値を用いれば良い。
ステップS823にて回数報知演出実行開始タイミングではないときや(ステップS823;No)ステップS826又はS825の処理を実行した後には、チャージ報知2演出の実行期間であるか否かを判定する(ステップS827)。実行中の可変表示について、図27のステップS533でチャージ報知2実行設定を実行したことに基づいて、チャージ報知2演出の実行期間は、例えば図27のステップS533でチャージ報知2実行設定を実行したことに基づいてステップS535で選択された演出制御パターンにおいて、予め定められていればよい。実行中の可変表示について、図27のステップS533でチャージ報知2実行設定を実行しており、かつ現在がチャージ報知2演出実行期間中である場合には、演出制御用CPU120はチャージ時報知2演出を実行するための制御処理を行う(ステップS828)。ステップS828では、チャージ報知2演出制御パターンなどから読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様によるチャージ報知2演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。例えば、チャージ2演出が実行される可変表示における、回数報知演出で報知した偽残り実行回数と、実際の残り実行回数と、の差分の回数をN回とする。このNの数値は、図27のステップS532で判定に用いられる所定数回と一致する。この場合、図36の(F)のようにN回(例えば50回)だけ確変制御中の可変表示の実行回数が増加したかのような演出画面を表示することを指示する指令を伝送する。これにより、画像表示装置5の画面上に所定の演出画像を表示させること、スピーカ8L、8Rから所定の効果音を出力させること、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させること、もしくは演出用模型を動作させること、または、これらの一部もしくは全部を組み合わせることで、所定の演出装置にてチャージ報知2演出を実行できればよい。
ステップS828が終わるか、ステップS822でNoと判定するか、ステップS827でNoと判定すると、演出制御用CPU120はその他の演出を実行する制御処理を行う(ステップS829)。例えば、リーチ演出実行期間である場合には、特図変動時演出制御パターンなどから読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様によるリーチ演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。これにより、画像表示装置5の画面上に所定の演出画像を表示させること、スピーカ8L、8Rから所定の効果音を出力させること、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させること、もしくは演出用模型を動作させること、または、これらの一部もしくは全部を組み合わせることで、所定の演出装置にてリーチ演出を実行できればよい。あるいは、ステップS535で決定した演出制御パターンに含まれるその他の演出(例えば予告演出など)を、同様に実行すればよい。
ステップS821にて可変表示時間が経過した場合には(ステップS821;Yes)、主基板11から伝送される図柄確定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS830)。このとき、図柄確定コマンドの受信がなければ(ステップS830;No)、可変表示中演出処理を終了して待機する。なお、可変表示時間が経過した後、図柄確定コマンドを受信することなく所定時間が経過した場合には、図柄確定コマンドを正常に受信できなかったことに対応して、所定のエラー処理が実行されるようにしてもよい。
ステップS830にて図柄確定コマンドの受信があった場合には(ステップS830;Yes)、例えば表示制御部123のVDP等に対して所定の表示制御指令を伝送させることといった、飾り図柄の可変表示において表示結果となる最終停止図柄(確定飾り図柄)を導出表示させる制御を行う(ステップS831)。そして、最終停止図柄が大当り図柄であるかを判定し(ステップS839)、大当り図柄でない場合には(ステップS839;No)、演出プロセスフラグの値を可変表示開始待ち処理に対応した値である“3”に更新してから(ステップS840)、可変表示中演出処理の実行を終了する。一方、大当り図柄である場合には(ステップS839;Yes)、演出プロセスフラグの値を大当り表示処理に対応した値である“3”に更新してから(ステップS841)、可変表示中演出処理の実行を終了する。
演出プロセスフラグの値が大当り表示処理に対応した値に更新された場合、次に実行される演出制御プロセス処理(図26)のステップS173の大当り表示処理にて、演出制御用CPU120は、主基板11から伝送された大当り遊技状態の開始を指定するコマンドを受信したことに基づいて、図27で設定した演出モードに応じたファンファーレ演出を開始する。例えば、ROM121に予めで通常モード、バトルモード、特別モード、のそれぞれに対応したファンファーレ演出制御パターンを記憶しておく。そして、大当り表示処理にて、図27で設定した演出モードに応じたファンファーレ演出制御パターンを使用パターンとして設定し、ファンファーレ演出用の演出タイマのカウントを開始すれば良い。そして、演出プロセスフラグの値が大当り開始時処理に対応した値である“6”に更新される。
図29は、大当り開始時演出処理として、図26のステップS176にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図29に示す大当り開始時演出処理において、演出制御用CPU120は、まず、大当り遊技状態の第1ラウンドが開始されたか否か判定する(ステップS620)。例えば、未だ第1ラウンドの開始を指示するラウンド開始コマンドを受信していない場合には、第1ラウンドが開始されないと判定して(ステップS620;No)、大当り表示処理で開始されたファンファーレ演出を実行する(ステップS621)。一例として、ファンファーレ演出制御パターンなどから読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様によるファンファーレ演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。これにより、画像表示装置5の画面上に所定の演出画像を表示させること、スピーカ8L、8Rから所定の効果音を出力させること、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させること、もしくは演出用模型を動作させること、または、これらの一部もしくは全部を組み合わせることで、所定の演出装置にてファンファーレ演出を実行できればよい。そして、大当り開始時演出処理を終了する。この場合、ラウンド開始コマンドを受信するまで、ステップS541の処理が繰り返される。
一方、図16のステップS301Bにて主基板11から送信される第1ラウンドのラウンド開始コマンドを受信していた場合には、第1ラウンドが開始されたと判定して(ステップS620;Yes)、演出制御用CPU120は開始される大当り遊技状態の前の遊技状態が確変状態であったか否か判定する(ステップS622)。大当り前の遊技状態は、例えば、RAM122の所定領域に記憶された、最後に実行された可変表開始設定処理(図27)にて決定された演出モードを記録する大当り前遊技状態バッファの内容を参照して決定すれば良い。ステップS622にて確変状態でないと決定した場合には(ステップS622;NO)、通常モードで大当り中演出を実行する設定を行う(ステップS623)。一方、確変中である場合には(ステップS622;Yes)、同様に大当り前遊技状態バッファの内容を参照し、確変中可変表示実行回数が8回以下であるか否か判定する(ステップS624)。8回以下である場合には(ステップS624;Yes)、確変状態であるか否か不確定であるかのような演出モード(非確定モード)で大当り中演出を実行する設定を行う(ステップS625)。8回より多い場合には(ステップS624;No)、確変状態であることを報知する演出モード(確変モード)で大当り中演出を実行する設定を行う(ステップS546)。
ステップS623、S625又はS626の処理を終えると、演出制御用CPU120は各ラウンド遊技で実行される演出を設定した演出モードと、大当り種別に応じて実行するため、各ラウンド遊技及びラウンド間の演出の演出制御パターンを設定する(ステップS627)。一例として、予めROM121に大当り種別(「第1大当り」〜「第3大当り」)に応じて、第1ラウンド〜第16ラウンドのラウンド遊技に実行される演出に対応する演出制御プロセスのリストを記憶しておく。以下、簡単のためラウンド間に実行される演出は、直前のラウンド遊技の演出の一部であるとして説明する。そして、図15のステップS280で送信された当り指定コマンドで特定される、これから開始される大当り遊技状態の大当り種別に応じた演出制御プロセスリストを、使用するリストとしてセットすればよい。本実施の形態では、第2大当り遊技状態及び第3大当り遊技状態では、不利開放制御が実行されるラウンド遊技で大当り中演出ではなくファンファーレ演出やエンディング演出が実行される。そのため、不利開放制御が実行されるラウンド遊技(第2大当り遊技状態の第5ラウンド以降、第3大当りの第1、第2、第7〜第16ラウンドのラウンド遊技)については、大当り中演出の演出制御プロセスは不要であるため、設定されない。ステップS627が終わると、演出プロセスフラグの値が大当り中演出処理に対応した値である“7”に更新し(ステップS628)大当り開始時処理は終了する。
図30は、図26のステップS177にて実行される大当り中演出処理の一例を示すフローチャートである。この大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、まず、主基板11から伝送される当り終了指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS641)。このとき、当り終了指定コマンドの受信があれば(ステップS641;Yes)、大当り遊技状態に対応して行われる大当り中演出等を終了するための設定を行い(ステップS642)、演出プロセスフラグの値をエンディング演出処理に対応した“8”に更新してから(ステップS643)、大当り中演出処理を終了する。ステップS642の処理については後述する。
ステップS641にて当り終了指定コマンドの受信がない場合には(ステップS641;No)、大当り遊技状態におけるラウンドの実行回数であるラウンド数が、第1ラウンド又は第2ラウンドであるか否かを判定する(ステップS644)。一例として、ステップS607の処理では、主基板11から最後に伝送されたラウンド開始コマンドなどから、大当り遊技状態におけるラウンド数を特定すればよい。
ステップS644にてラウンド数が「1」又は「2」であるときには(ステップS644;Yes)、次に大当り種別が「第3」であるか否か判定する(ステップS645)。一例として、図15のステップS280で送信される大当り開始時コマンドなどから、大当り種別を特定すれば良い。第3大当りである場合には(ステップS645;Yes)、実行中のラウンド遊技が第3大当りの「第1ラウンド」又は「第2ラウンド」であるか、「第1ラウンド」と「第2ラウンド」のラウンド間であるか、「第2ラウンド」と「第3ラウンド」のラウンド間であるか、何れかであるので、図29の大当り開始時処理で開始したファンファーレ演出を続行するための処理を実行する(ステップS646)。ここでは、図29のステップS541と同様に、演出モードに応じた演出制御プロセスを用いてファンファーレ演出を実行すればよい。
一方、第3大当りでない場合には(ステップS645;No)、ステップS658にスキップして、第1又は第2大当り遊技状態の、第1ラウンドや第2ラウンドといった実行中のラウンド遊技(あるいはラウンド間)のラウンド数に応じた大当り中演出を実行する(S658)。一例として、図29のステップ547で設定した演出制御プロセスリストで、実行中のラウンド遊技の演出(あるいはラウンド間の演出)として設定されている演出プロセスから読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による大当り中演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。これにより、画像表示装置5の画面上に所定の演出画像を表示させること、スピーカ8L、8Rから所定の効果音を出力させること、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させること、もしくは演出用模型を動作させること、または、これらの一部もしくは全部を組み合わせることで、所定の演出装置にて大当り中演出を実行できればよい。
ステップS644でラウンド数が1又は2でないと判定すると(ステップS544;No)、次に演出制御用CPU120は、現在第3または第4ラウンドのラウンド遊技を実行中であるか否か判別する(ステップS646A)。第3又は第4ラウンドのラウンド遊技を実行中である場合には(ステップS646A;Yes)、ステップS658に移行して、大当り種別に応じて、第3又は第4ラウンドのラウンド遊技に対応する大当り中演出を実行し(ステップS658)、大当り中演出処理を終了する。
実行中のラウンド遊技が、第5ラウンド以降である場合には、ステップS646AでNoと判定し(ステップS646A;No)、次に演出制御用CPU120は実行中の大当り遊技状態の大当り種別が第2大当りであるか判定する(ステップS647)。第2大当りである場合には(ステップS647;Yes)、図32(B)に示すように、以後全てのラウンド遊技にて不利開放制御が実行されるため、遊技者にとって意味のある(大入賞口に遊技球が進入できる割合が大きい)ラウンド遊技は終了していることになる。そこで、大当り遊技状態が終了したかのように、エンディング演出Cの実行処理を行う(ステップS660)。例えば、実行中の大当り遊技状態で初めてステップS660を実行するにあたって、確変制御条件が成立しない第2大当り遊技状態が終了し、通常状態に制御されることを報知するエンディング演出Cに対応する演出制御プロセスを設定する。同時に、エンディング演出用の演出制御プロセスタイマを初期値にセットし、カウンタを開始する。2度目以降にステップS660を実行する場合には、現在の演出制御プロセスタイマ値に応じて、演出制御プロセスから読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様によるエンディング演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに対して伝送させればよい。
実行中の大当り遊技状態の大当り種別が「第1」又は「第3」である場合には、ステップS647でNoと判定し(ステップS647;No)、次に演出制御用CPU120は、現在確変開放ラウンドに対応する、第5または第6ラウンドのラウンド遊技を実行中であるか否か判別する(ステップS648)。第5又は第6ラウンドのラウンド遊技を実行中である場合には(ステップS648;Yes)、次に報知演出(特別報知又は特定報知)を実行するか否か、実行する場合には何れの態様で実行するかを決定する(ステップS649〜S652)。
まず、演出制御用CPU120は、主基板11が送信する確変確定コマンドを受信したか否か判定する(ステップS649)。未だ受信していない場合には(ステップS649;No)、ステップS658にスキップして、第1又は第3大当り遊技状態の、第5又は第6ラウンドというラウンド数に応じた大当り中演出実行して(ステップS658)、大当り中演出実行処理を終了する。
一方、確変確定コマンドとして、確変開放ラウンドで下大入賞口に進入した遊技球が確変領域を通過したことに基づき、図20のステップS508Aで主基板11から送信される確変領域通過コマンドを受信した場合は、ステップS649でYesと判定し(ステップS649)、次に演出制御用CPU120はRAM122の所定領域に設定された確変確定フラグがオン状態にセットされているか否か判定する(ステップS650)。確変確定フラグは、その大当り遊技状態で確変確定コマンドをすでに受信したことを示すフラグであり、後述するステップS656でセットされる。すでにオン状態にセットされている場合には(ステップS650;Yes)、重複して報知演出を実行することを避けるため、ステップS658に移行して、ステップS649でNoと判定した場合と同様にラウンド数に応じた大当り中演出を実行して(ステップS658)、大当り中演出実行処理を終了する。
一方、実行中の大当り遊技状態で始めて確変確定フラグを受信した場合など、未だ演出制御基板12側の確変確定フラグがセットされていない場合には、ステップS650でNoと判定し(ステップS650;No)、何れかの態様で確変確定条件が成立した事に基づく報知演出を実行する。報知演出の実行態様を決定するため、演出制御用CPU120はまず実行中の大当り遊技状態が「第1大当り」であるか否か判定する(ステップS651)。第1大当りである場合には(ステップS651;Yes)、演出制御用CPU120は新たに(大当り前に確変状態に制御されていた場合には再度)確変制御が開始されることを報知する特別報知の態様で報知演出を実行するための処理を行う(ステップS653)。例えば、ROM121の所定領域に予め記憶した、図34(F)に示すような特別報知演出用の演出画面を所定期間表示させるための指令を、表示制御部123に伝達すれば良い。あるいは、特別報知演出用の演出制御プロセスを設定して、所定期間の間、実行中の演出制御用プロセスを特別報知演出用の演出制御プロセスと差し替えることで、特別報知態様の報知演出を実行しても良い。
次に、大当り前非確変フラグを参照するなどして、大当り前の遊技状態が非確変状態であったか否か判定する(ステップS652)。大当り前非確変フラグがオン状態にセットされている場合には、大当り前は非確変状態であり(ステップS652;No)、実行中の大当り遊技状態が終了すると新たに確変状態に制御される。このことを遊技者に報知するため、ステップS651でYesと判定したと同様にステップS653を実行して特別報知態様で報知演出を実行する(ステップS653)。
一方、大当り前非確変状態フラグがオフ状態にクリアされているなど、大当り前は非確変状態であることが明らかな場合には、ステップS652でYesと判定し(ステップS652;Yes)、次に確変中可変表示実行回数が所定数(例えば50回)以下であるか否か判定する(ステップS654)。ステップS654で用いられる閾値としての所定回数は、少なくとも第1特図と第2特図の上限保留記憶数の合計(ここでは8回)より大きいという条件で、後述するようなチャージ演出で増加する可変表示の残り実行回数が遊技者にとって価値あるものとなるような数値であれば良い。
ステップS655で、確変中可変表示実行回数が所定数(例えば50回)より多いと判定すると(ステップS654;No)、演出制御用CPU120は特別報知態様とは異なり、確変制御が終了するまでの可変表示の上限実行回数が増加したことを報知する特定報知1の態様の報知演出(チャージ報知1)を実行するための処理を行う(ステップS655)。例えば、ROM121の所定領域に予め記憶した、図35(E)に示すようなチャージ報知1の報知演出用の演出画面を所定期間表示させるための指令を、表示制御部123に伝達すれば良い。あるいは、チャージ報知1の報知演出用の演出制御プロセスを設定して、所定期間の間、実行中の演出制御用プロセスを特別報知演出用の演出制御プロセスと差し替えることで、特定報知1の態様の報知演出を実行しても良い。なお、ここで報知される加算回数は、確変回数カウンタの初期値(208回)から、現在の確変回数カウンタの値を減算した数値(即ち、大当り演出終了後に実際に確変回数カウンタが増加する量)であればよい。
一方、確変中可変表示実行回数が所定数(例えば50回)より少ないと判定すると(ステップS654;Yes)、演出制御用CPU120は、特定報知1とも特別報知とも異なる特定報知2の態様の報知演出を実行するための処理を行う(ステップS656)。特定報知2の態様とは、例えば図36(E)のように特別報知演出で表示される画像を小さく表示する、小さな音を放音する、遊技効果ランプを一瞬点灯される、といった、確変制御条件が成立したことを遊技者に過度に煽らない、あるいは、成立したことが認識困難又は不可能な態様の演出であれば良い。ステップS657では、このような演出を実行するための指令を、表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14などに伝達すればよい。ステップS656が終わると、次にRAM122の所定領域にセットされたチャージ報知2実行フラグをセットする(ステップS657)。ステップS657では、演出制御用CPU120は、RAM122の所定領域に、後に実行される可変表示中演出(図28のステップS826)で実際より少ない回数を報知する回数報知演出で用いる偽残り回数と、チャージ報知2演出で報知されるチャージ回数(図28のステップS828で用いる、偽残り実行回数からの増加数)と、を特定可能な情報をセットする。例えば、図30のステップS657を実行した段階(更新前)の確変中可変表示実行回数をRAM122の所定領域に設けられた偽回数カウンタにコピーし、大当り遊技状態終了後も初期値(208回)に更新せず、チャージ報知2演出が実行されるまで特別図柄の可変表示が1回実行される毎に、確変回数カウンタと同期して1ずつ減少するようにすればよい。偽回数カウンタは、チャージ報知2実行カウンタがセットされている間に、回数報知演出で報知される、確変状態が終了するまでに実行される可変表示の最大残り回数(偽残り回数)を特定することに用いることが出来る。
ステップS653、S655又はS657が終わると、演出制御用CPU120は確変確定フラグをセットし(ステップS657A)、第1又は第3大当り遊技状態の第5又は第6ラウンドというラウンド数に応じた大当り中演出を実行するための処理を行い(ステップS658)、大当り中演出処理を終了する。
一方、ステップS648で現在のラウンド実行回数が7以上であると判定すると(ステップS648;No)、演出制御用CPU120は実行中の大当り遊技状態の大当り種別が「第3大当り」であるか否か判定する(ステップS661)。第1大当りであり、第3大当りでない場合には(ステップS661;No)、図32(A)に示すように、第7ラウンド以降も有利開放制御が実行されるためステップS658に移行して、第1大当りの第7〜第16ラウンドというラウンド数に応じた大当り中演出を実行するための処理を行い(ステップS658)、大当り中演出処理を終了する。
一方、第3大当りであると判別すると(ステップS661;Yes)、演出制御用CPU120は確変確定フラグがオン状態にセットされているか判定する(ステップS662)。セットされている場合には(ステップS662;Yes)、確変状態が終了するまでの残り可変表示実行回数が増加する事を示すエンディング演出(エンディング演出A)を実行するための処理を行い(ステップS663)、大当り中演出処理を終了する。ステップS663の処理は、エンディング演出の態様が異なるほかは、上述したステップS660の処理と同様である。一方、セットされていない場合には(ステップS662;No)、ステップS660を実行して大当り終了後に確変状態に制御されないことを示すエンディング演出Cを実行するための処理を行い(ステップS660)、大当り中演出処理を終了する。
大当り中演出処理では、一旦ステップS653〜657で報知演出を実行し、ステップS657Aで確変確定フラグをセットした場合には、ステップS650でYesと判定して、報知演出を実行するための処理を重複しないようにした。本実施の形態では、パチンコ遊技機1に対する電力供給が遮断されると(電断発生)、RAM122の情報が全てフラッシュされ、確変確定フラグを含む全てのフラグ・バッファがクリアされる。この場合、ステップS658では、遊技状態が不明なため、「しばらくお待ち下さい」といった電断からの復帰中であることを示す画像を表示する。このとき、たとえ実行中の大当り遊技状態で一度確変確定コマンドを受信し、演出制御基板12側の確変確定フラグがセットされたとしても、電断発生後に再び遊技球が確変領域を通過した場合には、ステップS650でNoと判定され報知演出が実行される。このため、電断復帰待ち状態でも、大当り終了後に確変状態に制御されることが遊技者にわかりやすい。また、わかりやすく報知するための演出を、複雑な判定処理の必要なく実行することが出来る。また、大当り前非確変状態フラグもクリアされるため、実際に大当り前が確変状態であったか否かに関わらず、電断復旧後はステップS652でNoと判定される。そのため、確変状態から第3大当り遊技状態に制御された場合であっても、確変領域を遊技球が通過した場合には特別報知を行うため、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されることを、複雑な判定処理の必要なく遊技者にわかりやすく報知することができる。
図31は、図30のステップS642で実行される大当り中演出終了設定処理の一例を示すフローチャートである。図31の大当り中演出終了設定処理では、演出制御用CPU120はまずRAM122の所定領域に設定された電断フラグがオン状態にセットされているか否か判別する(ステップS670)。電断フラグは、パチンコ遊技1に対する電力供給が一時停止する電断状態が発生し電力供給が再開されたときに、図7のステップS32などで主基板11から伝達される初期化指定コマンドを受信したときにオン状態にセットされればよい。電断フラグがオン状態である場合には、エンディング演出として、つぎの可変表示開始時に伝達される遊技状態を特定可能なコマンドを送信するまで演出を中断して待機することを報知する、電断状態から復帰中であることを示す演出画面を表示するための処理(電断終了時演出実行処理)を行い(ステップS676)、大当り中演出終了設定処理を終える。
一方、大当り遊技状態中に電断が発生しなかった場合には、演出制御用CPU120はステップS670でNoと判定し(ステップS670;No)、次に終了する大当り遊技状態の大当り種別が「第1大当り」であるか否か判定する(ステップS671)。第2大当りや第3大当りの大当り遊技状態であった場合には、演出制御用CPU120はステップS671でNoと判定し、図30のステップS660やS663で開始したエンディング演出を続行するための設定処理を行い(ステップS672)、大当り中演出終了設定処理を終える。ここでは、その大当りで最初に実行されたステップS660又はS663でセットしたエンディング演出の演出制御パターンを続けて使用して、演出を実行すれば良い。
一方、第1大当りであった場合には(ステップS671;Yes)、演出制御用CPU120は確変確定フラグがオン状態にセットされているか否かを判別し(ステップS673)、セットされている場合には(ステップS673;Yes)、新たに(あるいは再度)確変状態に制御されることに対応したエンディング演出(エンディング演出Aなど)を実行するための処理(ステップS674)を実行する。一方、大当り遊技状態で確変制御条件が成立しなかった場合など、確変確定セットされていない場合には(ステップS673;No)、確変状態に制御されないことを示すエンディング演出(エンディング演出Bなど)を実行する(ステップS674)。ステップS674とS675では、エンディング演出の態様が違うことを除き、図30のステップS660と同様の処理を実行すれば良い。ステップS676、S674、S675又はS672を終了すると、演出制御用CPU120は大当り中演出終了設定処理を終える。その後、この処理で設定された内容でエンディング処理が、図26のステップS178で実行される。
以下、パチンコ遊技機1における具体的な制御の一例について説明する。パチンコ遊技機1では、例えば遊技領域に打ち込まれた遊技球が第1始動入賞口や第2始動入賞口を通過(進入)して第1始動入賞や第2始動入賞といった始動入賞が発生した後、特別図柄や飾り図柄の可変表示の開始を許容する開始条件の成立に基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおいて特別図柄の可変表示が開始される。画像表示装置5の画面上では、特別図柄の可変表示に対応して、飾り図柄の可変表示が行われる。そして、特図ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が導出され、特別図柄の可変表示結果である特図表示結果が「大当り」となったときには、大当り遊技状態に制御されて大入賞口が開放状態に変化するラウンド遊技が行われることで、遊技者が多数の賞球(または対応する得点)を得られる有利な状態となる。
ラウンド遊技にて開放状態となる大入賞口としては、図1に示す右遊技領域2Bに設けられた特別可変入賞球装置7Aにより形成される上大入賞口と、上大入賞口の下方に設けられた特別可変入賞球装置7Bにより形成される下大入賞口とがある。大当り遊技状態にて実行される複数回のラウンド遊技にて、いずれの大入賞口を開放状態とするかは、図16に示すステップS297の処理にて、図17(A)〜(C)に示すようなラウンドカウント値に応じて決定される。また、図16に示すステップS301の処理では、図17(A)〜(C)に示すような大当り種別やラウンドカウント値に応じた大入賞口開放上限時間が決定される。
大当り遊技状態の終了後には、所定の確変制御条件が成立したことに基づいて、通常状態よりも特図表示結果が「大当り」となりやすい確変状態に制御されることがある。一例として、確変領域スイッチ24Aの設置箇所を遊技球が通過し、その遊技球が確変領域スイッチ24Aにより検出されたときに、確変制御条件が成立する。このとき、図20に示すステップS503の処理にて確変領域スイッチ24Aがオンであるか否かが判定される。そして、確変領域スイッチ24Aがオンであると判定された場合には、ステップS508の処理により確変確定フラグがオン状態にセットされる。大当り遊技状態の終了時には、図23に示すステップS363の処理により確変確定フラグがオンであると判定された場合に、ステップS364の処理により確変制御を開始するための設定が行われる。こうして、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行中に確変領域スイッチ24Aにより遊技球が検出されたことに基づいて、大当り遊技状態の終了後には確変状態に制御することができる。
なお、通常開放ラウンドにおいて上特別可変入賞球装置7Aにより形成される上大入賞口に進入した遊技球(上大入賞口入賞球)は、上大入賞口スイッチ23Aにより検出される。確変開放ラウンドでも、下特別可変入賞球装置7Bにより形成される下大入賞口に進入した遊技球(上大入賞口入賞球)は、下大入賞口スイッチ23Bにより検出される。いずれの場合でも、検出した遊技球1個につき、所定個数(例えば16個)の賞球が払い戻される。通常開放ラウンドは、大当り種別によって、20秒を上限に上大入賞口が開放状態に変化する有利開放制御が実行されるラウンドと、52ミリ秒を上限に開放状態に変化する不利開放制御が実行されるラウンドと、を含む。また、確変開放ラウンドは、大当り種別によって、約27秒を上限に下大入賞口が開放状態に変化する有利開放制御が実行されるラウンドと、52ミリ秒を上限に開放状態に変化する不利開放制御が実行されるラウンドと、を含む。
図32は、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行例を示す説明図である。この実施の形態では、大当り種別が「第1大当り」〜「第3大当り」のいずれに決定された場合でも、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の最大実行回数は「16」になる(第16ラウンドまで)。そして、ラウンド遊技の実行回数が「1」〜「4」・「7」〜「16」である第1ラウンド(1R)〜第4ラウンド(4R)及び第7ラウンド(7R)〜第16ラウンド(16R)では、図32(A)〜(C)に示すように、上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行される(通常開放ラウンド)。一方、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「5」と「6」である第5ラウンド(5R)及び第6ラウンド(6R)では、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行される(確変開放ラウンド)。この確変開放ラウンドにて下大入賞口を開放状態とする上限時間(大入賞口開放上限時間)は、大当り種別が「第2大当り」である場合に、大当り種別が「第1大当り」又は「第3大当り」である場合よりも極めて短い時間(52ミリ秒)となる。即ち、第2大当り遊技状態では、確変開放ラウンドで不利開放制御が実行されるため、下大入賞口に遊技球を進入させることが極めて困難または不可能であり、確変制御条件が成立しにくい。
本実施の形態では、第1大当りでは第1ラウンドから第16ラウンドに至る全てのラウンド遊技において、有利開放制御が実行される(図32(A))。そのため、遊技者からすれば、上又は下大入賞口に遊技球が進入容易な、実質的に意味のあるラウンド遊技が16回実行されることになる。このため、第1大当り遊技状態を実行するに当たっては、大当りラウンドの開始前(時刻T0の前)にファンファーレ演出が実行され、最後のラウンド遊技(16R)のラウンド遊技が終了するタイミング(Te)の後にエンディング演出が実行される。そして、有利開放制御が実行される確変開放ラウンド(第5R、第6R)では、最初に遊技球が確変領域を通過したことに基づいて、特別報知演出が実行される(図32(A)黒矢印)。
一方、第2大当り遊技状態では、全16Rのうち4回のラウンド遊技でのみ有利開放制御が実行され、他の12回のラウンド遊技で不利開放制御が実行される(図32(B))。そして、有利開放制御が実行されるラウンドには、下大入賞口が開放される確変開放ラウンドは含まれないため、第2大当り遊技状態では確変制御条件が成立不可能又は困難である。そのため、例え大当り前に確変制御が実行されていた場合であっても、第2大当り遊技状態に制御された場合には、その大当り遊技状態が終了した後には通常状態に制御される。そのため、大当り前の確変遊技状態で多数の可変表示実行回数が実行可能であっても(残り実行回数が多くても)、第2大当り遊技状態を経ると確変制御は終了する。第2大当り遊技状態では、第1ラウンドから有利開放制御が行われるため、ファンファーレ演出は第1大当り遊技状態と同様に第1ラウンドの前に実行される。一方、第4ラウンドが終わると、不利開放制御が実行されるラウンド遊技が第5ラウンドから最後の第16ラウンドまで連続して実行される。これらのラウンドは、単に52ミリ秒と大変短期間だけ大入賞口が開放される、遊技者にとって実質的に無意味なラウンド遊技であるので、本実施の形態ではこの間にエンディング演出を開始している。
また、第3大当り遊技状態では、第2大当りと遊技状態と同様に、全16Rのうち4回のラウンド遊技でのみ有利開放制御が実行され、他の12回のラウンド遊技で不利開放制御が実行される(図32(C))。そして、有利開放制御が実行されるラウンドには、下大入賞口が開放される確変開放ラウンドは含まれるため、第3大当り遊技状態では確変制御条件が成立する割合は、第1大当り遊技状態と同様に高い。一方、有利開放制御が実行されるラウンドの数は第1大当り遊技状態と比べて少ないため、第3大当り遊技状態に制御されることで得られる賞球の数は、第1大当り遊技状態より少ない。この点では、第3大当り遊技状態は第1大当り遊技状態よりも遊技者にとって不利である。一方、20秒と約27秒という差は合っても、有利開放制御が実行されるラウンド遊技の数という点では、第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態で遊技者に近い印象を与えることが出来る。
第3大当り遊技状態では、大当り前に確変制御が実行されていた場合には、有利開放制御が実行される確変開放ラウンド(第5R、第6R)で、最初に遊技球が確変領域を通過したことに基づいて、特定報知演出(チャージ演出)が実行される場合がある(図32(C)斜線矢印)。第3大当りは、得られる賞球と言う点では第1大当りと比べて少ないため、遊技者にとっては確変状態の継続が主な利益となる。そこで、特別報知とは異なり、確変状態が継続する可変表示の回数が増える(チャージされた)かのような演出を実行することで、遊技の状態に応じた報知演出を実行できる。
第3大当りでは、第1ラウンドと第2ラウンドとで不利開放制御が行われるため、ファンファーレ演出を第1ラウンドと第2ラウンドのラウンド遊技でも継続する。また、第7ラウンドが終わると、不利開放制御が実行されるラウンド遊技最後の第16ラウンドまで連続して実行される。そこで、この間にエンディング演出を開始している。
上述したように、第3大当り遊技状態では、大当り遊技状態のラウンド遊技の最初の2回でファンファーレ演出を実行する。そのため、第3大当り遊技状態の開始時には、大当り開始時待ち時間はファンファーレ演出の実行時間よりも第1・第2ラウンドの実行時間分短く設定される。一方、第1及び第2大当り遊技状態では、第1ラウンドの開始時点でファンファーレ演出は終了するため、大当り開始時待ち時間はファンファーレ演出の実行時間と略一致する。さらに、第2及び第3大当り遊技状態では、有利開放制御を行うラウンド遊技が最後に終了したタイミングでエンディング演出を開始する。よって、16ラウンドのラウンド遊技が終了した後のエンディング演出実行時間(大当り終了時待ち時間)は、エンディング演出の実行時間より有利開放制御を行うラウンド遊技の終了後のラウンド遊技を実行する時間分だけ短く設定される。
図15(B)は、不利開放制御を行うラウンド遊技の実行時間(ラウンド間の待ち時間を含む)を1秒とした場合に、第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態について、同じ実行時間(例えば10秒)のファンファーレ演出と、同じ実行時間(例えば20秒)のエンディング演出と、を行う場合の大当り開始時待ち時間と大当り終了時待ち時間との設定例を示している。この例では、第3大当り遊技状態では第1ラウンドと第2ラウンドでもファンファーレ演出を実行するため、第2大当り遊技状態の開始時よりも2回の不利開放制御を実行するラウンド遊技分(2秒間)短い大当り開始時待ち時間に設定される。また、大当り終了時待ち時間についても、大当りラウンド遊技中に実行されるエンディング演出の実行時間が、第3大当り遊技状態では第7ラウンドから第16ラウンドの10秒間である一方、第2大当り遊技状態では第5ラウンドから第16ラウンドの12秒間であることに対応し、第2大当り遊技状態の終了後の待ち時間が第3大当り遊技状態よりも2秒間長く設定されている。大当り中に遊技者にとって有意義でないラウンド遊技を実行すると、遊技者を興ざめさせてしまう怖れがあるが、このような構成によれば、不利開放制御を実行するラウンド遊技でファンファーレ演出やエンディング演出をスケジュールに合わせて好適に実行して、不利開放制御の実行タイミングを大当り遊技の期間外であるかのように好適に演出できる。そのため、遊技の興趣を高めることが出来る。
大当り種別は、図12(B)に示すような変動特図に応じて異なる割合で決定される。第1特図を用いた特図ゲームは、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことに基づいて実行される。一方、第2特図を用いた特図ゲームは、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことに基づいて実行される。本実施の形態では、未だ確変制御が実行されていない場合には、左遊技領域2Aに設置された第1始動入賞口と第2始動入賞口とに(ほぼ)交互に遊技球が進入する。そのため、確変制御が実行されない通常状態では、第1特図を用いた特図ゲームと、第2特図を用いた特図ゲームと、が(ほぼ)交互に実行される。この状態は、確変制御が開始された後、通常状態で記憶された特図ゲームの保留データ(最大8個)が消化仕切るまで継続される可能性がある。一方、確変制御が実行される確変状態では、左遊技領域2Bに設置された普通可変入賞球装置6B2の可動翼片が開放状態または拡大開放状態になることで遊技球が通過(進入)しやすくなり、第2特図を用いた特図ゲームが、第1特図を用いた特図ゲームを挟まず連続して実行される。普通可変入賞球装置6B2は、第1特図を用いた特図ゲームにおける可変表示結果が「大当り」となり、50/100の割合で第1又は第3大当りとなり下大入賞口に進入した遊技球が確変領域を通過したことにより確変制御条件が成立し、確変状態に制御されたときに開放状態または拡大開放状態になる。この場合、大当り種別が所定割合(50/100)で「第2大当り」に決定されることで、確変制御条件が成立しにくい。したがって、通常状態にて特図表示結果が「大当り」となる場合には、大当り遊技状態の終了後に確変状態となる可能性(いわゆる「連チャン率」)が抑制される。
通常状態にて特図表示結果が「大当り」となる場合に、大当り種別が所定の割合(50/100)で確変制御条件が成立しにくい「第2大当り」とすることで、連チャン率を抑制する一方、確変状態では特図表示結果が「大当り」となると必ず確変制御条件が成立しやすい「第1大当り」又は「第3大当り」となることで、通常状態にて特図表示結果が「大当り」となる場合に連チャン率を抑制しつつ、一旦確変状態に制御された場合の連チャン率を高め、メリハリのある遊技体験を提供できる。
また、この実施の形態では、第1特図の保留データと第2特図の保留データとを、遊技球が始動入賞口を通過した順(保留データが記憶された順)で消費するため、一旦確変状態に制御されても通常状態で記憶された保留データで「第2大当り」となると、その時点で確変状態が終了してしまう場合がある。一旦確変状態に制御されることを報知した後、直ぐに確変状態が終了すると、遊技者が落胆し、かえって遊技の興趣を削いでしまう。そこで、確変状態が開始され左遊技領域2Bに設置された普通可変入賞球装置6B2の可動翼片が開放状態または拡大開放状態になった後、合計保留記憶上限数だけ可変表示が実行されるまで、即ち、第1特図ゲームの保留情報が記憶されていないと判定できるまで、可変表示中、あるいは大当り遊技中に実行される演出の態様を、確変状態に制御されるか否かを煽るような態様(バトルモードの態様)として、遊技の興趣を高めている。
図33は、下大入賞口を開放するラウンド遊技(ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「5」・「6」である第14ラウンド(5R)及び第16ラウンド(6R))における、下大入賞口扉71の開閉制御(開放パターンB)と、確変領域蓋用のソレノイド82Cのオン・オフ制御と、確変領域の有効/無効の制御と、の実行例を示す図である。大当り遊技状態において、確変開放ラウンド(第5及び6ラウンド)のラウンド遊技が開始されると、まず下大入賞口扉が52ミリ秒だけ開放状態に制御される(T1)。このとき、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL1がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は無効状態に、それぞれ制御される。期間T1が終わると、下大入賞口扉は閉鎖状態となる。T1における開放は非常に短いので、このときに遊技球が下大入賞口に進入する割合は低い。そして、T1の次の52ミリ秒(T2)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL2がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオン(確変領域蓋は許容位置)に、確変領域は有効状態に、それぞれ制御される。このように、T2にて確変領域蓋が許容位置に制御されるので、T1における下大入賞口扉の開放時に下大入賞口に進入した遊技球は、T2で確変領域を通過できる場合もある。
期間T2が終わると、次の1000ミリ秒(T3)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL3がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は有効状態に、それぞれ制御される。このため、T2で確変領域蓋の設置箇所を通過した遊技球が遅れて確変領域スイッチ24Aの設置箇所を通過した場合でも、確実に検出することができる。
期間T3が終わると、次の1600ミリ秒(T4)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL4がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は無効状態に、それぞれ制御される。T4の後には下大入賞口扉がこのラウンドで2回目の開放状態となり、遊技球が進入可能となる。T1にて初回の開放を行い、T2にて確変領域蓋を許容位置に制御した後、次の期間T5にて2度目に下大入賞口扉を開放状態とし、確変領域蓋を許容位置とし確変領域を有効にする前に、T4にて1.6秒間は確変領域蓋を規制位置とし、確変領域を無効状態にしたまま待機する待機期間を設けることにより、T2で進入した遊技球はT5で進入した遊技球が共通排出経路74に誘導されるタイミングでは既に共通排出経路74を通過して下特別入賞球装置7Bより排出される。そのため、二つの経路から同時に共通排出経路74に遊技球が到達することにより発生する、球詰まり等の物理的障害を防ぐことが出来る。また、期間T4においては、確変領域蓋を規制位置に制御したのち1000ミリ秒が経過しているため、遅れ玉も既に通過ずみであり、遊技球が正常に確変領域を通過することは考えられない。そこで、確変領域を無効にすることで、本来通過するはずもない遊技球を検出したことにより確変状態に制御されることを防止して、不正行為に対するセキュリティを高めることが出来る。
期間T4が終わると、下大入賞口が27秒間を上限に開放状態に制御される。さらに、次の27356ミリ秒(T5)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL5がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオン(確変領域蓋は許容位置)に、確変領域は有効状態に、それぞれ制御される。T4の後には下大入賞口扉がこのラウンドで2回目の開放状態となり、遊技球が進入可能となる。大当り種別が「第2大当り」の場合は、T5で下大入賞口が開放されるときに、遊技球が下大入賞口に進入し、確変制御条件が成立する割合が高い。また、下大入賞口が上限の27秒間開放状態に制御された場合でも、その後の1908ミリ秒間は確変領域蓋を許容位置に制御すると共に確変領域を有効とするため、下大入賞口が閉鎖状態に制御される直前に入賞した遊技球についても、確実に確変領域を通過し、該通過に基づいて確変状態に制御することが出来る。
期間T5が終わると、次の1000ミリ秒(T6)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL6がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は有効状態に、それぞれ制御される。期間T5の終了間際に確変領域蓋設置箇所を通過した遊技球についても、該通過に基づいて確実に確変状態に制御することが出来る。
期間T6が終わると、次の500ミリ秒(T7)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL7がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は無効状態に、それぞれ制御される。期間T7においては、確変領域蓋を規制位置に制御したのち1000ミリ秒が経過しているため、遅れ玉も既に通過ずみであり、遊技球が正常に確変領域を通過することは考えられない。そこで、確変領域を無効にすることで、本来通過するはずもない遊技球を検出したことにより確変状態に制御されることを防止して、不正行為に対するセキュリティを高めることが出来る。
期間T7が終わると、次の240ミリ秒(T8)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL8がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオン(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は無効状態に、それぞれ制御される。第2大当り遊技状態において、ラウンド遊技の開始から大当入賞口扉の作動時間(31612ミリ秒)が経過した後所定時間が経過しても、下大入賞口スイッチ無効フラグがオンになっていない有効時に下大入賞口スイッチ23Bが検出した遊技球の数が、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを和した数が一致しない場合は、確変領域蓋に遊技球が挟まった等の物理的な要因で遊技球の移動(流下)が阻害されていることが考えられる。期間T8でTBL8を用いて確変領域蓋を制御することにより、確変領域蓋72を開閉する異常時動作を実行して、球詰まりを解消することができる。
期間T8が終わると、次の1000ミリ秒(T9)は、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL9がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は無効状態に、それぞれ制御される。期間T9においては、下大入賞口が開放されてから1740ミリ秒が経過しているため、遊技球が正常に確変領域を通過することは考えられない。そこで、確変領域を無効にすることで、本来通過するはずもない遊技球を検出したことにより確変状態に制御されることを防止して、不正行為に対するセキュリティを高めることが出来る。
期間T9が終わると、入出力一致待ち状態の上限時間が経過したことに基づき、図21のステップS544にてYesと判定され、下大入賞口スイッチ無効フラグと入出力エラー中フラグとがオン状態にセットされることにより入出力エラー状態に制御される。そして、入出力エラー状態が解除されるまで、使用する確変ソレノイドパターンテーブルとして図25のTBL10がセットされたことに応じて、確変領域蓋用のソレノイド82Cはオフ(確変領域蓋は規制位置)に、確変領域は無効状態に、それぞれ制御された状態が保持される。この状態では、下大入賞口スイッチ23Bの検出が無効状態(スイッチがオン状態となっても役物遊技中入賞個数カウンタが更新されない)に制御される一方、確変領域スイッチ24Aと排出スイッチ24Bとのうち少なくとも一方は有効状態(スイッチがオン状態となった場合に役物遊技中入賞個数カウンタが更新される)となる。そのため、下大入賞口スイッチ23Bが検出した遊技球の数と、確変領域スイッチ24Aが検出した遊技球の数と排出スイッチ24Bが検出した遊技球の数とを和した数と、が一致するまで
手動で下大入賞口に遊技球を投入することで、入出力エラー状態を解除して通常の遊技に復帰することが出来る。即ち、入出力エラー状態からの復帰が容易である。
期間T1の開始からT4の途中までが、大当り種別が「第1大当り」における下大入賞口扉の作動時間(1960ミリ秒)であり、この期間が終わると第1大当りにおける入出力一致待ち状態に制御される。第2大当りでは、下大入賞口は期間T1(52ms)においてのみ開放状態となる上、開放されるタイミングと、確変領域蓋72が許容位置となる期間(期間T2)とが異なるため、遊技球が確変領域を通過して確変制御条件が成立する割合はきわめて低い。一方、期間T1の開始からT5の最後までが、大当り種別が「第2大当り」における大当入賞口扉の作動時間(31612ミリ秒)であり、この期間が終わると第1及び第3大当りにおける入出力一致待ち状態に制御される。第1及び第3大当りでは、期間T1(52ms)のみならず期間T5において最大27秒間にわたって下大入賞口が開放状態となるため、高い割合で遊技球が下大入賞口に進入(入賞)する。さらに、期間T5において下大入賞口が開放状態となる全ての期間において、さらにその後閉鎖状態となったあとも約2秒間(期間T5後半)は確変領域蓋72が許容位置に保持される。そのため、第2大当り遊技状態においては、下大入賞口に進入(入賞)した遊技球は、下大入賞口の閉鎖直前に入賞し閉鎖後に分岐点に到達する遊技球(所謂遅れ球)も含めて余さず確変領域を通過する。また、確変領域蓋72が規制位置に変化させた後も1秒間(期間T6)は確変領域を有効とするので、確変領域の閉鎖直前に通過し閉鎖後に確変領域を通過する遊技球(所謂遅れ球)も含めて、余さず検出し、該検出に基づいて確変状態に制御される。このように、第1大当り遊技状態〜第3大当り遊技状態とで、確変制御条件が成立する割合を異にしてメリハリのある遊技を実現できる。
ここで、第1大当り〜第3大当りとで、下大入賞口扉の開閉を共通の開放パターン(開放パターンB)を用いて実行するため、複数種別の大当り遊技状態にて、下大入賞口を開放する上限時間を異にするとしても、必要な記憶容量を削減することができる。また、第1大当り〜第3大当りと、において共通の確変ソレノイドパターンテーブル(TBL1〜TBL10)を用いて確変領域ソレノイドの制御と確変領域の有効/無効の制御とを実行する。そのため、複数種別の大当り遊技状態にて、確変領域蓋の制御と変領域の有効/無効の制御とを実行するとしても、必要な記憶容量を削減することができる。
次に、本実施の形態のパチンコ遊技機1で実行される演出について説明する。図34は、第1大当り遊技状態で表示される演出画面の例である。第1大当りでは、実行される16回のラウンド遊技で全て有利開放制御が実行されるので、第1〜第4ラウンドを含む各ラウンド遊技で実際のラウンド回数を表示して、遊技者にラウンド遊技を楽しめるようにしている(図34(A)〜(D))。そして、下大入賞口が開放され確変制御条件が成立可能な確変ラウンドが開始されると、遊技者にチャンスであることを報知する演出を実行し(図34(E))、確変領域を遊技球が通過すると、新たに(大当り前に確変状態であった場合には再度)確変状態に制御されることを報知する特別報知演出が実行される(図34(F))。ここでは、「V」マークを示す画像を遊技者が容易に認識できるように大きく表示することで、遊技者に確変状態に制御されることを報知している。なお、特別報知演出で、「208回!」といった、確変状態が終了するまでに実行可能な可変表示回数を表示しても良い。
図35は、第3大当り遊技状態で表示される演出画面の例である。第3大当りでは、不利開放制御が実行される第1、第2ラウンドではファンファーレ演出が継続して実行される(図35(A))。そして、有利開放制御が実行される最初のラウンドである、第3ラウンド〜第6ラウンドでは、残りの有利開放制御が実行されるラウンド回数(4回)を報知する演出が実行される(図35(B)〜(D))。また、確変開放ラウンドでは、第1大当りと同様に確変制御状態が成立するか否かのチャンスであることを煽る演出を実行し(図35(D))、確変領域を遊技球が通過すると、特別報知とは異なり、確変状態に制御される間に実行可能な特別図柄の可変表示回数が増加したかのような報知演出(チャージ報知演出)が実行される(図35(E))。なお、このときは確変中可変表示実行回数が所定回数より多い(図35の例では108回実行)ので、図30のステップS654でNoと判定され、チャージ報知1の報知演出が実行されている(ステップS655)。
図36では、同様に第3大当り遊技状態の確変開放ラウンドで、確変領域を遊技球が通過したが、そのときの確変中可変表示実行回数が所定回数以下であった場合に実行される演出の例である。第1〜第5ラウンドの各演出では、図35と同様の演出が実行されるが、確変領域を遊技球が通過した場合でも、そのときには特定報知2演出として、確変状態に制御されることを示す画像(「V」)が特別報知演出よりも小さく表示されるのみである(図36(E))。そして、そのまま特別図柄の可変表示が所定回数実行されるまで、回数報知演出として実際の残り回数よりも少ない回数が報知され、その後にチャージ報知2演出が実行される(図36(F))。このように、遊技状態によっては、報知演出で確変状態が終了するまでの特別図柄の可変表示の残り回数を、実際の回数よりも少なく報知することで、特定演出で所定数より少ない増加回数を報知することを防ぐことが出来る。チャージ演出であまり少ない増加回数を報知すると、かえって遊技者を興ざめさせ、遊技の興趣が低下する恐れがあるが、このような構成により遊技の興趣の低下を防ぐことが出来る。
図37は、特別図柄の可変表示中に実行される演出画面の例である。図37では、特図1の保留データをAを含んだ丸で、特図2の保留データをBを含んだ丸で、それぞれ示している。非確変状態では、右遊技領域2Bに設置された普通可変入賞球装置6B2が閉鎖状態で保持されるので、左遊技領域に設置された通常状態でも遊技球が進入可能な第1及び第2始動入賞装置に交互に遊技球が進入する。その結果、特図1の保留データと特図2の保留データとが、合計最大保留記憶数である8個まで記憶された状態で、遊技が進行する(図37(A))。
この状態で、可変表示結果が第1又は第3大当りとなり、確変状態に制御されたとする。このときから、右遊技領域2Bに設置された普通可変入賞球装置6B2が開放状態で保持されるので、例えば遊技者に右遊技領域を狙って遊技球を射出させるように促す演出画面を表示することで、特図2の保留データが特図1を挟まず記憶され始める。しかし、特図1の保留データが全て消費されるまでは、特図1で第2大当りとなりそのまま確変制御が終了してしまう可能性が残る。そこで、通常状態で記憶されていた保留データが全て消費されるように、その確変制御が開始されてから合計保留記憶数と一致する数だけ特別図柄の可変表示が実行されるまでは、実行された後とは異なり、確変状態に制御されるか否かを煽るかのような演出モード(バトルモードなど)で可変表示中の演出を実行する(図37(B))。このときは、回数報知演出は実行しなくても良い。
そして、その確変制御が開始されてから、合計保留記憶数と一致する数より多く特別図柄の可変表示が実行された後は、もはや特図1の保留データは記憶されていないと判断できるので、確変状態に制御されていることを報知する演出モード(特別モード)で可変表示中の演出を実行する(図37(C))。このときは、今から実行中の確変制御が終了するまでに実行される可変表示の最大数(n回)を報知する回数報知演出として、「止めをさせ! (残りn回)」と表示された画像を表示している。このような構成により、遊技者に現在の遊技状態に応じた内容で、報知演出を実行することが出来る。
ここで、振り分け装置200が流入口201に流入した遊技球を振り分ける具体的構成について説明する。振分装置200内部には、図38に示すように、流入口201から振分装置200内に流入した遊技球を左側通路203と右側通路204とのいずれかに振り分けるための振分部材202が設けられている。また、振分装置200の下部には、左側通路203を通過した遊技球が振分装置200から流出可能な左側流出口205と、右側通路204を通過した遊技球が振分装置200から流出可能な右側流出口206とが設けられている。
図38(a)に示す例では、振分部材202によって振分装置200内の右側通路204が遮蔽され、遊技球が左側通路203を通過可能な状態が示されている。図38(a)に示す状態において遊技球が流入口201から振分装置200内に流入すると、図38(b)に示すように、流入口201から流入した遊技球は振分部材202によって左側通路203に振り分けられ、左側通路203を通過して左側流出口205から流出する。そして、左側流出口205の下方には、普通入賞球装置6Aによって形成される第1始動入賞口が位置しているので、左側流出口205から流出した遊技球は、第1始動入賞口に入賞する。振分部材202による振分時、振分部材202の回転軸部分に設けられている羽根部202aに遊技球があたり、遊技球の自重によって羽根部202aが押されることによって、図38(a)および図38(b)に示すように、振分部材202が右側に倒れている状態から左側に倒れている状態に変化する。そして、振分部材202が左側に倒れている状態に変化すると、振分部材202によって振分装置200内の左側通路203が遮蔽され、遊技球は右側通路204を通過可能となる。
次いで、そのような状態において、図38(c)に示すように、遊技球が流入口201から振分装置200内に流入すると、図38(d)に示すように、流入口201から流入した遊技球は振分部材202によって右側通路204に振り分けられ、右側通路204を通過して右側流出口206から流出する。そして、右側流出口206の下方には普通可変入賞球装置6B1によって形成される第2始動入賞口が位置しているので、右側流出口206から流出した遊技球は、第2始動入賞口に入賞する。振分部材202による振分時、振分部材202の回転軸部分に設けられている羽根部202aに遊技球があたり、遊技球の自重によって羽根部202aが押されることによって、図38(c)および図38(d)に示すように、振分部材202が左側に倒れている状態から右側に倒れている状態に変化する。そして、振分部材202が右側に倒れている状態に変化すると、振分部材202によって振分装置200内の右側通路204が遮蔽され、遊技球は左側通路203を通過可能となる。このような構成によれば、モータなどの動力源を要しない簡便な構成で遊技球を好適に第1始動入賞口と第2始動入賞口とに振り分けることが出来る。
なお、振分装置200は、上記の例に限らず、第1始動入賞口と第2始動入賞口とに遊技球を振り分け可能な任意の構成で代替できる。例えば、振分部材をモータによって動作させる構成や、第1始動入賞口と第2始動入賞口とへの通路を所定の期間で交互に開閉する開閉装置を備えた構成などを用いても良い。あるいは、振分装置を設置する代わりに、第1始動入賞口を通過した遊技球が第2始動入賞口に進入可能になるように普通入賞球装置6Aを普通入賞球装置6B1の上流に設けるなど、第1特図を用いた特図ゲームの始動条件と、第2特図を用いた特図ゲームの始動条件と、が交互に成立可能な他の構成を用いても良い。
以上説明したとおり、本実施の形態のパチンコ遊技機1では、第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態とで、同数の16回のラウンド遊技が実行され、共にそのうち4回のラウンド遊技において有利開放制御が実行される。そして、第2大当り遊技状態で有利開放制御が実行されるラウンド遊技には、確変開放ラウンドは含まれない一方、第3大当り遊技状態では含まれる。
このような構成によれば、下大入賞口が遊技球が進入容易な態様で開放状態に変化する第3大当り遊技状態と、進入困難又は不可能な態様で開放に変化する第2大当り遊技状態と、を遊技者に与える印象の差が小さい態様で実行することが出来る。そのため、遊技の興趣が高い。
また、図32(B)と(C)に示すように、第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態とで、複数のラウンド遊技が実行される順番を、有利開放制御が実行される所定回数(4回)のラウンド遊技の間に、不利開放制御が実行される残りのラウンド遊技が実行されない順に制御している。
このような構成によれば、第2大当り遊技状態と、第3大当り遊技状態と、が遊技者に与える印象の差を小さくして遊技の興趣を高めることが出来る。また、有利開放ラウンドで大入賞口が開放され、大当りの中で遊技者にとって有意義なラウンド遊技の間に、52ミリ秒と非常に短く開放されるラウンド遊技が実行されると、遊技者が興ざめして、遊技の興趣が低下する恐れがある。このような構成によれば、遊技の興趣が低下することを防止出来る。
また、図32(B)と(C)に示すように、第2大当り遊技状態において、複数のラウンド遊技が実行される順番を、有利開放制御が実行される所定回数(4回)のラウンド遊技を、第1回目から第4回目で実行し、所定回数以後(5回目以降)に実行されるラウンド遊技で不利開放制御が実行される残りのラウンド遊技が実行されない順に制御している。
このような構成によれば、第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態とにおいて、遊技者にとって有意義なラウンド遊技である有利開放制御が実行されるラウンド遊技が実行される順を類似させることが出来る。このように、第2大当り遊技状態と第3大当り遊技状態とが遊技者に与える印象の差を小さくして遊技の興趣を高めることが出来る。また、52ミリ秒と非常に短く開放される不利開放制御が実行されるラウンド遊技を、第2大当り遊技状態の後半でまとめて実行することで、遊技者が感じる興ざめ感を減少させることができる。
さらに、第2大当り遊技状態では、不利開放制御が実行される所定回数としての5回目以降のラウンド遊技の実行中に、エンディング演出を実行する。
このような構成によれば、不利開放制御が実行される所定回数目以降のラウンド遊技における演出を、遊技者にとって違和感が少ない態様にすることができる。
また、第3大当り遊技状態において、複数のラウンド遊技が実行される順番を、該第1特定遊技状態の1回目から第2回目に実行される各ラウンド遊技で不利開放制御が実行され、確変開放ラウンドである第5と第6ラウンドで実行されるラウンド遊技で有利開放制御が実行される順に制御する。
このような構成によれば、第2大当り遊技状態と、第3大当り遊技状態と、が遊技者に与える印象の差を小さくして遊技の興趣を高めることが出来る。
また、第3大当り遊技状態において、不利開放制御が実行される1回目から2回目に実行されるラウンド遊技の実行中にファンファーレ演出を実行する。このような構成によれば、不利開放制御が実行される所定回数目以降のラウンド遊技における演出を、遊技者にとって違和感が少ない態様にすることができる。
また、本実施の形態のパチンコ遊技機では、第1始動入賞口に遊技球が進入したことに基づき記憶された第1特図の保留データと、第2始動入賞口に遊技球が進入したことに基づき記憶された第2特図の保留データと、を記憶された順に消費する。また、第1特図ゲームでは、確変開放ラウンドで有利開放制御が実行される第1又は第3大当りが、第2特図ゲームと比べて低い割合で決定される。ここで、第1特図の保留データが記憶されているか否か(例えば、確変状態開始から合計保留記憶上限数と一致する数の可変表示が実行されたか否か)に応じて、特定報知1演出(チャージ報知1演出)を実行するか、特定報知2演出とチャージ報知2演出を実行するか、を決定する。
このような構成によれば、報知演出の実行態様を遊技の状況に応じて好適に決定することが出来るため、遊技の興趣が高めることが出来る。具体的には、可変表示結果として、確変制御条件が成立不可能又は困難な第2大当りが決定される割合が特図2よりも高い特図1の保留データが記憶されている場合には、確変状態に制御されて直ぐに確変状態が終了してしまう恐れがある。そこで、このような構成によりその恐れが高い状態と少ない場合とで、報知内容を好適に設定している。
また、チャージ報知1では図35(E)のように報知演出として所定の報知画像(「V」の報知画像)を画像表示装置5に表示させる。一方、第1特図の保留データが記憶されている場合には、記憶している場合よりも小さく該報知画像を表示させる(図36(E)参照)。
このような構成によれば、第1可変表示手段の可変表示が実行される場合には小さく報知画像を表示することで、直ぐに確変状態が終了する恐れが有る間は、確変状態に入ったことを遊技者に過度に強調しないですむ。即ち、遊技の状況に応じた態様で報知演出を実行できる。
また、普通可変入賞球装置6B2を、確変制御状態が成立した大当り遊技状態が終了したことを条件に、閉鎖状態から開放状態に変化させる(所謂電チューサポート状態)。ここで、普通可変入賞球装置6B2を開放状態に制御する確変状態を開始してから、第1特図の保留データの上限記憶数(4個)と第2特図の保留データの上限記憶数(4個)の合計である合計上限保留記憶数と同じ回数、特別図柄の可変表示が実行されたことに基づき、報知演出の演出態様を、確変状態に制御されることを示唆する確定モードの態様に切り替えている。また、同様の根拠に基づき、特定報知2演出から特定報知1演出に、報知演出の演出態様を変換する。
このような構成によれば、第1特図の可変表示が実行されない場合には、報知演出にて確変状態に制御することを示唆できるので、遊技の状況に応じた態様で報知演出を実行できる。
一方、普通可変入賞球装置6B2を開放状態に制御する確変状態を開始してから、合計上限保留記憶数と同じ回数、特別図柄の可変表示が実行されるまでは、確定モードよりも確変状態に制御される割合が低いことを報知する、非確定モードの態様(不利態様)で報知演出を実行する。また、確変状態に制御されることを、遊技者に認識し辛い特定報知2の態様で報知する。
このような構成によれば、第1特図の可変表示が実行される可能性が有る場合には、不利態様で報知演出を実行することで、過度に確変状態に制御されることを煽らず、遊技の状況に応じた態様で報知演出を実行できる。
また、図14(B)及び(C)に示すように、普通可変入賞球装置6B2を開放状態に制御する確変状態を開始してから、合計上限保留記憶数と同じ回数、特別図柄の可変表示が実行される前と後で、使用する変動パターン決定テーブルを変更している。
このような構成によれば、遊技の状況に応じて好適な演出を実行できる。
また、大当り遊技状態におい特定領域を通過した遊技球を検出しなかった場合に、エンディング演出Cやエンディング演出B、あるいは第5ラウンド・第6ラウンドの大当り中演出を実行する。このとき、第1特図の保留データを記憶しているか否かに関わらず、特定報知や特別報知のように演出態様を区別することなくエンディング演出や大当り中演出を実行する。
このような構成によれば、遊技の状況に応じて好適な演出を実行できる。また、不要な判別処理を減らし、処理負担を軽減することが出来る。
また、本実施の形態のパチンコ遊技機1では、有利開放制御が実行されるラウンド遊技の数が異なる、遊技者にとっての有利度が異なる第1大当りと第2大当りの大当り遊技状態が実行される。また、確変制御が開始されてから、208回といった所定回数の識別図柄の可変表示が実行されると確変制御を終了する。そして、回数報知や特別報知、チャージ報知といった報知演出によって、確変制御が終了するまでの特別図柄の可変表示の残り実行回数を報知することができる。
ここで、その大当り前に確変状態に制御されていた状態から、第1大当り遊技状態に制御され、その確変開放ラウンドで確変制御状態が成立した場合には特別報知演出を実行する。一方、その大当り前に確変状態に制御されていた状態から、第3大当り遊技状態に制御され、その確変開放ラウンドで確変制御状態が成立した場合には特定報知演出を実行する。そして、特別報知演出と特定報知演出とは、共に特定領域スイッチ24Aが遊技球を検出したことに基づいて実行する。単に第1大当り遊技状態や第3大当り遊技状態に制御されると決定しただけで、確変状態に制御される事を報知する報知演出を実行してしまうと、実際には確変領域を遊技球が通過しなかった場合に矛盾が生じる。このような構成によれば、報知結果と遊技状態とが矛盾することを防止して遊技の興趣を高めることが出来る。
また、特定報知として、チャージ報知演出を実行する。このような構成によれば、有利度が異なる複数の特定遊技状態(第1大当り遊技状態と第3大当り遊技状態)に応じた報知を実行して遊技の興趣を高めることが出来る。
また、回数報知演出として、残り実行回数として、実際の残り実行回数よりも少ない回数を報知することで、実際の実行回数にとらわれず好適な内容を報知することで、遊技の興趣を高めることが出来る。具体的には、あまりに少ない数がチャージされたことを報知するチャージ演出を実行するよりも、チャージされた回数を多く見せることで、遊技者に実際よりも大きい利益があったかのような印象を与えて、遊技の興趣を向上させることが出来る。
また、大当り前が確変状態であった場合の第3大当り遊技状態で、その確変制御が開始されてから所定回数の可変表示が実行される前に特定報知を行う場合には、特定報知1とは異なる特定報知2演出とチャージ報知2演出とを実行する。このような構成によれば、状況に応じて好適な内容を報知することで、遊技の興趣を高めることが出来る。具体的には、その場でチャージ回数が少ない特定報知を行う代わりに、特定報知2演出とチャージ報知2演出とを実行することで、遊技者の興ざめを防止することが出来る。
また、遊技機への電力の供給停止が発生した後に確変領域スイッチ24Aが遊技球を検出した場合には、第1大当り遊技状態と第3大当り遊技状態との何れに制御されたかに関わらず特別報知演出を行う。
このような構成によれば、電力の供給停止が発生した場合に必要な処理が複雑になることを防止することが出来る。
また、確変領域スイッチ24Aが遊技球を検出した後に遊技機への電力の供給停止が発生し、さらに確変領域スイッチ24Aが遊技球を検出した場合には、再び特別報知演出を実行する。
このような構成によれば、電力の供給停止が発生した場合でも特定領域を遊技球が通過したか否かが遊技者にわかりやすい。
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形および応用が可能である。例えば、上記実施の形態では、特図1の保留データが記憶されているか否かを判定するに当たって、その確変制御の開始から特別図柄の可変表示が実行された回数が合計保留記憶上限数である8回以下か否かを判定した。これに限定されず、保留データとして実際に第1特図の保留データが記憶されているか否かを判定しても良い。このためには、例えば可変表示の実行開始時に主基板11から合計保特定情報記憶部151Cの記憶内容を示すコマンドを送信し、演出制御基板12の側で、このコマンドを解析し、特定情報として「第1」が含まれていれば、特別図柄の可変表示が8回以下であった場合と同様の処理を実行すればよい。
また、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行内容は、上記の例に限られない。例えば、第3と第4ラウンドを確変開放ラウンドとして設定し、第2大当り遊技状態では、第1と第2ラウンド、及び第5と第6ラウンドで有利開放制御を実行するラウンド遊技を行い、第3と第4ラウンドで不利開放制御を実行する。一方、第3大当り遊技状態では、第1と第2ラウンド、及び第5と第6ラウンドで不利開放制御を実行するラウンド遊技を行い、第3と第4ラウンド、及び、第7と第8ラウンドで不利開放制御を実行する、といった構成も可能である。
また、大当り遊技状態における演出の制御方法は、上記実施の形態に限定されない。例えば、上記実施の形態では、大当り開始時処理(図29)で第1ラウンドの開始コマンドを受信したことに応じて、演出モードと、演出モードに応じたラウンド間の演出制御プロセスを決定した。しかしこれに限らず、大当り遊技状態の開始を指定するコマンドを受信したときに、ファンファーレ演出と共に、各ラウンド遊技で使用される演出制御プロセスなどを決定しても良い。具体的には、大当り遊技状態の開始を指定するコマンドを受信したときに、図29のステップS622〜S624と同様に、大当り前に確変状態であったか否か、及び、確変状態であった場合には確変中可変表示実行回数が所定回数としての8回以下であるか否か、に応じて演出モードを決定した上で、大当り種別に応じて演出モードに応じたファンファーレ演出と、各ラウンド遊技で実行される演出と、で使用する演出制御プロセスを決定すればよい。
また、ファンファーレ演出の開始時にエンディング演出の内容を決定しても良い。決定するにあたっては、確変開放ラウンドで有利開放制御を行う大当り遊技状態(第1及び第3大当り遊技状態)については確変制御条件が成立したことを報知するエンディング演出に、不利開放制御を行う大当り種別(第2大当り遊技状態)については確変制御条件が成立しなかったことを報知するエンディング演出に、それぞれ対応する演出制御プロセスを使用することを決定すればよい。この場合には、エンディング演出の開始時に確変制御条件が成立したか否かを判定し、不成立であれば確変制御条件が成立しなかったことを報知するエンディング演出の演出制御プロセスに差し替えた上で、エンディング演出を実行すればよい。
また、上記実施の形態では、不利開放制御を実行するラウンドと、有利開放制御を実行するラウンドと、で同じラウンド開始コマンドを送信することを前提に、大当り中演出処理(図30)にてラウンド数と大当り種別とを判定して、大当り中演出の内容を決定した。大当り中演出の実行方法として、これに代わり、不利開放制御を実行するラウンド遊技の開始コマンドと、有利開放制御を実行するラウンド遊技の開始コマンドと、を区別可能な異なるラウンド開始コマンドとして送信する構成も可能である。例えば、図16のステップS301Bにて、ステップS301にて決定した大入賞口作動時間が有利開放制御に対応する値(例えば20秒以上)であるか、不利開放制御に対応する値(例えば、1052ミリ秒や52ミリ秒)であるか、を判定する。そして、判定結果に応じて、有利開放制御のラウンド開始コマンド又は不利開放制御のラウンド開始コマンドを演出制御基板12に向けて送信する。演出制御基板12の側では、有利開放制御のラウンド開始コマンドを受信した場合には、大当り中演出処理で、大当り種別と、大当り前の遊技状態(確変状態か否か)と、ラウンド数と、に応じた大当り中演出を実行すればよい。一方、不利開放制御のラウンド開始コマンドを受信した場合には、ラウンド遊技に対応した演出を実行する代わりに、実行中の他の演出(ファンファーレ演出又はエンディング演出)を続行すればよい。例えば、上記実施の形態又はその変形例と同様に、第1ラウンドの開始以前にファンファーレ演出を開始すると共に、図32(C)のように最初の所定回のラウンド遊技で不利開放制御を実行する大当り種別の大当り遊技状態では、最初の有利開放制御のラウンド開始コマンドを受信するまでは、不利開放制御のラウンド開始コマンドを無視してファンファーレ演出を続行する。そのため、最初の所定回(第1ラウンド〜第nラウンド)のラウンド遊技で不利開放制御を実行する場合には、ラウンド遊技開始前にファンファーレ演出を実行時間する時間としての大当り開始時待ち時間を、第1〜第nラウンド遊技の実行時間分だけファンファーレ演出の実行期間よりも短く設定する(図15(B)参照)。
また、有利開放制御を実行する回数を記憶しておき、有利開放制御のラウンド開始コマンドの数を計数した上で、最後の有利開放制御のラウンド終了コマンドを受信したことに基づきエンディング演出を開始する。そして、その後は不利開放制御のラウンド遊技(第mラウンド〜第16ラウンド)については、ラウンド開始コマンドを無視してエンディング演出を続行すればよい。そのため、大当り遊技状態のラウンド遊技終了後の待ち時間を、最後の有利開放制御のラウンド終了後に不利開放制御を行うラウンド遊技(第m〜第16ラウンド)の実行時間分だけエンディング演出の実行期間より短く調整する(図15(B)参照)。
さらに、上記実施の形態では、特別図柄の変動表示結果が「ハズレ」の場合に、確変中可変表示実行回数が所定回数(合計保留記憶上限数である8回)以下であるか否かに応じて異なる変動パターン決定テーブルを用いて特別図柄の変動時間を決定した。これに加え、特別図柄の変動表示結果が「大当り」の場合でも、確変中可変表示実行回数が所定回数以下であるか否かに応じて異なる変動パターン決定テーブルを用いて特別図柄の変動時間を決定しても良い。例えば、変動パターンとして、確変中可変表示実行回数が所定回数より多い場合の演出モードに応じた変動中の演出(リーチ演出やスーパーリーチ演出)に対応した変動パターンと、所定回数以下の演出モードに応じた変動中の演出に対応した変動パターンと、を設定する。そして、変動パターン設定処理(図13)において、大当りフラグがオンである場合にも、ステップS254・S256の判定処理を行い、判定結果に応じた変動パターン決定テーブルを用いて、演出モードに応じた変動中の演出に対応した変動パターンを決定すれば良い。このような構成によれば、「ハズレ」時のみならず、「大当り」が導出表示される可変表示中にも、第1特図の特図ゲームの結果として「第2大当り」が導出表示され確変制御が突然終了する怖れがある場合と無い場合に対応して、遊技状態に応じたリーチ演出やスーパーリーチ演出を好適に実行できる。
また、上記実施の形態では、確変状態に制御されることを報知する演出が実行された後、直ぐに確変状態が終了するなど、遊技の状況にそぐわない演出が実行される場合があるという課題が生じる構成として、左遊技領域2Aに振分装置200と普通可変入賞球装置6B1とを設けたパチンコ遊技機1を例に説明した。同様の課題は、確変状態に制御されてから所定回数の可変表示が実行されるまで、確変制御条件が成立不可能又は困難な大当り種別が決定される場合がある特図1の保留データに基づく可変表示が実行される他のパチンコ遊技機でも生じる。一例として、入賞順に保留データを消費する場合には、上記実施の形態のパチンコ遊技機1の左遊技領域2Aに、振分装置200と普通可変入賞球装置6B1を設置せず、普通可変入賞球装置6Aだけを配置した構成が挙げられる。この構成でも、普通可変入賞球装置6Aに遊技球が通過したことに基づく特図1の可変表示結果として、第1又は第3大当りの特別図柄が導出表示され、確変条件に制御されたとしても、その時点でも特図1の保留データが最大4個記憶されている場合があるため、同様の課題が生じる。そこで、この例のパチンコ遊技機でも、特図1の保留データが記憶されているか否か(例えば、確変状態開始から特図1の保留記憶上限数と一致する数の可変表示が実行されたか否か)に応じて、特定報知1演出(チャージ報知1演出)を実行するか、特定報知2演出とチャージ報知2演出を実行するか、を決定する実施の形態で説明した構成を採用することで、遊技の状況に応じた演出を実行する。その結果、遊技の興趣を向上できる。
さらに、振分装置200と普通可変入賞球装置6B1を設置せず、普通可変入賞球装置6Aだけを配置した構成では、入賞順ではなく、特図2の保留データを特図1よりも優先して消化する構成でも同様の課題が生じる。例えば、非確変状態で左遊技領域2Aを狙って遊技球を射出することで特図1の保留データのみが記憶され、確変状態に制御された時点では特図1の保留データが最大4個記憶されており、この保留データに基づく可変表示結果として確変成立条件が成立不可能又は困難な大当り種別の大当りとなる場合が考えられるからである。このような特図2の保留データを優先消化する構成でも、特図1の保留データが記憶されているか否かに応じて、特定報知1演出を実行するか、特定報知2演出とチャージ報知2演出を実行するか、を決定することで、この課題を解決し、遊技の興趣を向上できる。
また、特別図柄の大当り種別の決定例は、上記実施の形態で説明した図14(B)に限られない。例えば、上述した振分装置等により、通常状態で特図1と特図2の特図ゲームが実行される構成では、特図1の可変表示結果が「大当り」である場合の大当り種別として、確変制御条件が成立する有利な大当り種別(第1及び第3大当り)が決定されず、確変制御条件が成立不可能又は困難である不利な大当り種別(第2大当り)のみが決定される、としてもよい。あるいは、特図2の可変表示結果が「大当り」である場合の大当り種別として、確変制御条件が成立する有利な大当り種別(第1及び第3大当り)が特図1よりも低い割合で決定される、としてもよい。このように、通常状態では、不利な大当り種別が決定される特図ゲームが確変状態よりも高い割合で実行される、という条件の範囲で、大当り種別の決定割合を遊技者の嗜好に合わせて自由に設定することが出来る。
上記実施の形態においては、変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御基板12に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御基板12に通知する様にしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ100は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信する様にしてもよい。この場合、演出制御基板12は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間にもとづいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。尚、遊技制御用マイクロコンピュータ100の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御基板12の方で選択を行う様にしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信する様にしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信する様にしてもよい。尚、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
本発明を実現するためのプログラム及びデータは、例えばパチンコ遊技機1といった、遊技機に含まれるコンピュータ装置などに対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置などの有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。