JP6355913B2 - アルミニウム成分(Al成分)を含有する廃泥の処理物を含むイオン交換体、イオン交換体の製造方法、及び該イオン交換体を含有する有害元素イオン除去剤 - Google Patents

アルミニウム成分(Al成分)を含有する廃泥の処理物を含むイオン交換体、イオン交換体の製造方法、及び該イオン交換体を含有する有害元素イオン除去剤 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム成分(以下、Al成分ともいう)を含有する廃泥の処理方法、該廃泥の処理物を含むイオン交換体、該イオン交換体の製造方法、及び該イオン交換体を含有する有害元素イオン除去剤等に関する。
泥状の産業廃棄物である廃泥は、工業の発展に伴ってその発生量が年々増加しているが、環境問題が取り沙汰されている近年では、その廃棄方法が問題となっている。特に、Al成分を含有する廃泥は、処理や取り扱いが困難であり、大きな問題となっている。
Al成分を含有する廃泥の一種である赤泥は、アルミニウムの製造法であるバイヤー法によって、ボーキサイトから水酸化アルミニウムやアルミナを製造する際に多量に生じる不純物である。赤泥の発生量は、アルミナ製造量1トンあたり約2トンであり、2012年 The International Aluminum Institute(IAI)によると、バイヤーブロセスによる赤泥は年間では約1億5千万トン発生している。現在、赤泥の利用率は数パーセントと低く、赤泥の大部分が貯泥地への貯め込みや埋め立て、一部は海洋投棄によって処理されている。しかし、貯泥地への貯め込みでは、赤泥の沈殿に長い時間と広い用地が必要であり、地下水汚染や赤泥流出のおそれがある。一方、埋め立てや海洋投棄では、赤泥が強アルカリ性の廃液を含むために環境への影響が大きな問題となっている。さらに、赤泥の全堆積量は、2020年には25億トンに達することが予想されており、赤泥の有効な用途開発が求められている。また、赤泥等の廃泥は、形状が泥状であるため、取り扱いや運搬が困難であり、濾過性が悪いという問題もある。
また、金属アルミニウム表面改質においても、Al成分を含む廃泥が大量に発生する。住宅用、電子機器用、車両用をはじめとした、金属アルミニウムは、その用途及び消費拡大の傾向にあるが、金属アルミニウム表面改質(物性や特性の改善)において通常行なわれている電解法、酸処理法などのエッチングでは、金属アルミニウム表面が酸化、溶解し、アルミニウムイオンを含む廃液が大量に生成する。その廃液の中和廃泥には通常非晶質の水酸化アルミニウムを含むため、濾過、水洗などの処理、取り扱いが困難となっている。
上水道設備から発生する浄水発生土は、無機凝集剤からのAl成分を含有しており、濾過が困難であるため、自然沈降後上澄み液を廃棄して、長期間かけて自然乾燥を行っている。浄水発生土は現在自然乾燥後、主に園芸用土、土木資材などに使用されているが、付加価値の高い用途開拓が望まれている。
粘土鉱物、鉱石などでは有用成分精製、抽出のため、酸処理も行われているが、原料にAl成分を含有する場合、酸性廃液中にはAl成分が含まれ、その中和ケーキにはAl成分が移行して、やはり濾過が困難であり、濾過性の改良や中和ケーキについては付加価値の高い用途開拓が望まれている。
その他、Al成分を含有する産業廃棄物としてはアルミドロス(ALUMINUM DROSS)がある。アルミドロスは地金やスクラップなどの溶解原料に対して約2〜10%発生する。日本アルミニウム協会によると、2010年度代に入り、日本での発生量は少なくなっているが、年間約10万tonのアルミドロスが発生している。再資源化率は90%前後であるが、アルミドロス中に含まれる窒化アルミニウムなどが水と反応してアンモニアガスなどの刺激臭を発生し、さらには自然発火することもあるため、十分な処理(水和反応、もしくは水熱反応)を行い、発生するするアンモニアを回収、中和などの処理が必要である。この水和、水熱反応後の廃泥に含まれる水酸化アルミニウムケーキに関しては付加価値の高い用途開拓が望まれている(特許文献1及び2参照)。
一方、フッ素イオン、ホウ素イオン、Pbイオン、Asイオン等のイオンは、工業廃水に多く含有されているが、これらは人体や環境に対して有害であるため、これらの有害元素イオンを含有する工業廃水の処理方法が求められている。特に、フッ素イオンは、平成20年4月1日環境省告示第42号水質汚濁防止法による廃水基準では、海域において15ppm以下、海域以外では8ppmの濃度に規制されており、平成21年11月30日環境省告示第78号による人の健康の保護に関する環境基準もしくは平成21年11月30日環境省告示第79号による地下水の水質汚濁に係る環境基準では、0.8ppm以下となっており、含有量が厳しく規制されている。さらに、平成20年5月9日環境省告示第48号土壌溶出量では、0.8ppm以下となっている。
工業廃水中のフッ素イオンを除去する方法としては、カルシウム塩を添加し、フッ化カルシウムを生成させ固液分離する方法が一般的である。しかしながら、この方法は、廃液中フッ素量の数十倍から数百倍のアルミニウム塩を要し、発生する大量のゲル状水酸化アルミニウムは汚泥として処分しなければならない。フッ素含有廃液量が増加していく一方で、近年の廃棄物処分場の不足、処理コストの高騰から、この大量の汚泥の処分はフッ素含有廃液処理における最大の問題となっている。従って、汚泥発生量の少ないフッ素含有廃水の処理技術が求められている。
赤泥の有効利用方法として、特許文献3には、赤泥に弱酸性の添加剤を加えて製造した赤褐色状の粉状物が、顔料として利用でき、コンクリートブロック等の建築、土木製品の着色料として利用できることが開示されている。しかしながら、この方法では、得られた粉状物が赤褐色であるため、使用用途が限定されるものであり、さらなる赤泥の利用が望まれる所以である。
また、赤泥は高アルカリ廃泥の要因となっているが、その水溶性アルカリ成分を減少させるためには、赤泥スラリーの沈降分離と濾過分離により水溶性アルカリ成分濃度を下げている。しかしそのためには、赤泥粒子の濾過性を改善する必要があり、その方法として、有機合成高分子凝集剤を使用する方法が開示されているが(非特許文献1、非特許文献2)、環境へ与える影響の面で必ずしも満足できるものではない。
有機合成高分子凝集剤は、カチオン(陽イオン)性、アニオン(陰イオン)性およびノニオン(非イオン)性の3種に分類されるが、ノニオン性凝集剤の主体となるポリアクリルアミドは、浄水用に使用するためにはモノマーの含有率に許容限度がある。
アニオン性凝集剤は、無機質懸濁液において使用され、特に重金属水酸化物などカチオン荷電粒子の沈降、浮上分離促進及びろ過を促進する。用途分野としては、紙・パルプ工場廃水、金属・機械工場廃水、選鉱廃水、めっき廃水、選炭廃水などである。特に赤泥用としては、アニオン系のHydroxamated polymer(acrylamide-co-acrylate)が使用されている。
カチオン性凝集剤は、下水や屎尿などの有機質もしくはコロイド懸濁液を凝集する。
このような有機合成高分子凝集剤は有機モノマーを原料とするため、大量生産は容易であるが、原料のモノマーは生物に毒性を有しており、環境に悪い影響を与える。
さらに、有機合成高分子凝集剤は生分解性が遅く、環境での蓄積が問題となっており、近年生分解性が優れており、環境への負荷が少ない天然の有機高分子凝集剤の研究開発例が多くなっているが、生産性や価格の面で解決しなければならない課題は多い。
特開2001−164247号公報 特開2003−246660号公報 特開平5−139727号公報
Light Metals (1991),p167-171 Light Metals (1994),p129-131
本発明は、上記現状に鑑み、廃泥の有効な用途開発、新しい廃泥の工業的に有利な取り扱いや廃泥の濾過性を向上させる手段等を提供することを課題とする。また、本発明は、有害元素イオンを含有する工業排水や地下水等の水から、有害元素イオンを除去する方法を提供することをも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
(1)Al成分を含有する廃泥を、水の存在下に、Ca(OH)と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理して得られる廃泥の処理物は、イオン交換体に使用することができる。
(2)前記廃泥の処理物は、ゲル状の固化体であるため粉砕可能であり、取り扱いや運搬が容易となる。また、該処理物は、微粒子が凝集した固化体となっているため、濾過性が向上して、濾過時間は大幅に短縮され、必要によっては次行程の水洗が容易となり、水洗時間が大幅に短縮される。
(3)前記イオン交換体は、フッ素イオン、ホウ素イオン、Pbイオン、Asイオン、Crイオン等の有害元素イオン除去剤として使用することができる。
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の思いがけない新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のイオン交換体、イオン交換体の製造方法、及びイオン除去剤等に関する。
[1]Al成分を含有する廃泥を、水の存在下に、Ca(OH)と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理して得られる廃泥の処理物を含むことを特徴とするイオン交換体。
[2]Al成分を含有する廃泥が、赤泥である前記[1]に記載のイオン交換体。
[3]Al成分を含有する廃泥の処理物が、式CaAl(SO(OH)12・26HOもしくは3CaO・Al・3CaSO・30〜32HOで表されるエトリンガイト及び/又は式CaAl(OH)6.5HOで表されるハイドロカルマイトを含むことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のイオン交換体。
[4]Al成分を含有する廃泥を、水の存在下に、Ca(OH)と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理することを特徴とするイオン交換体の製造方法。
[5]Al成分を含有する廃泥をCa(OH)及び水で処理する第1工程、ついで第1工程で得られた生成物をCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理する第2工程を含む前記[4]に記載のイオン交換体の製造方法。
[6]Al成分を含有する廃泥が、赤泥である前記[4]又は[5]に記載の製造方法。
[7]赤泥とCa(OH)の重量比が100:5〜100:60である前記[6]に記載の製造方法。
[8]赤泥と水の重量比が100:0〜100:1000である前記[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9]赤泥とCaSO・2H2Oの重量比が100:10〜100:200である前記[6]〜[8]のいずれか一項に記載の製造方法。
[10]赤泥とCaSO・0.5H2Oの重量比が100:8〜100:170である前記[6]〜[8]のいずれか一項に記載の製造方法。
[11]赤泥とCaSOの重量比が100:8〜100:160である前記[6]〜[8]のいずれか一項に記載の製造方法。
[12]前記第1工程において、赤泥、Ca(OH)及び水の混合物を、温度50〜100℃で、0.5〜10時間撹拌することを特徴とする前記[6]〜[11]のいずれか一項に記載の製造方法。
[13]前記第2工程において、前記第1工程で得られた生成物、及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の混合物を、温度50〜100℃で、1〜24時間撹拌した後、室温〜100℃で、1〜24時間静置させることを特徴とする前記[6]〜[12]のいずれか一項に記載の製造方法。
[14]前記第2工程が、得られた生成物を解砕する工程をさらに含む前記[6]〜[13]のいずれか一項に記載の製造方法。
[15]前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のイオン交換体を含むことを特徴とする有害元素イオン除去剤。
[16]有害元素がフッ素又はホウ素であることを特徴とする前記[15]に記載のイオン除去剤。
[17]有害元素がPb、As、Crであることを特徴とする前記[15]に記載のイオン除去剤。
本発明によれば、Al成分を含有する廃泥の処理物を、イオン交換体や有害元素イオン除去剤として使用できるため、廃棄方法が問題となっているAl成分を含有する廃泥を有効利用することができる。
本発明によれば、前記廃泥が固化されてゲル状となり流動性がなくなるため、廃泥の取り扱いや運搬が容易となる。さらに、本発明によれば、該廃泥の濾過性が向上し、該廃泥に含有されるNaOHやアルミン酸ソーダ等のアルカリ成分の回収効率が向上するため、該アルカリ成分を有効に再利用することができる。濾過速度の向上にともない、水洗時間が短縮され、水洗工程が容易となる。
また、本発明によれば、廃泥が適度な固形分濃度のゲル状となるため、鉄分、珪砂等の廃泥中に含有される粗粒分の除去が容易になる。
さらに、本発明の有害元素イオン除去剤を使用すれば、フッ素イオン、ホウ素イオン、Pbイオン、Crイオン、Asイオン、Seイオン等の有害元素イオンを含有する工業廃水、地下水、飲料水等に含まれる有害元素イオンを除去することができる。
赤泥(原泥)No.8−1のX線回析チャートである。 赤泥(原泥)No.6のX線回析チャートである。 赤泥(原泥)No.8−1及び赤泥(原泥)No.6のX線回析チャートである。 実施例1〜4の赤泥No.6の処理物のX線回析チャートである。 実施例5〜6の赤泥No.6の処理物のX線回析チャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のイオン交換体は、Al成分を含有する廃泥を、水の存在下に、Ca(OH)と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理して得られる廃泥の処理物を含む。
「イオン交換体」とは、接触している溶液に含まれるイオンを取り込み、代わりに自らの持つ別種のイオンを放出することで、イオン種の入れ換えを行う能力を示す物質をいう。
本発明において、「Al成分を含有する廃泥」とは、通常は、Al成分を含有する泥状の産業廃棄物をいう。本発明のイオン交換体に使用されるAl成分を含有する廃泥は、Al成分を含有する泥状の産業廃棄物であれば特に限定されないが、例えば、建設泥土、浚渫泥土、ボーリング泥土、アルミドロス、赤泥、浄水発生土等、含水比が高いためにそのままでは運搬等の取り扱いができず、固化材を添加する必要があるもの等が挙げられる。
Al成分を含有する廃泥は、好ましくは、赤泥、Al含有廃水中和ケーキ、浄水発生土、アルミドロス等が挙げられる。これらは、従来公知の技術により製造したものを使用することができる。これらの1種であってもよく、2種以上であってもよい。Al成分を含有する廃泥は、より好ましくは、赤泥、浄水発生土、電解コンデンサーやアルミニウムサッシ用金属アルミニウムのエッチング処理に伴い生成する廃液の中和ケーキ、粘土鉱物の酸やアルカリ処理に伴い生成する廃液の中和ケーキ、アルミドロス等である。
前記廃泥の性状は、特に限定されないが、例えば、スラリー状、粘性のある泥状、乾燥粉末状等が挙げられる。
また、前記廃泥のAl成分含有量及び水分含有量は、特に限定されないが、前記廃泥のAl成分含有量は、前記廃泥を内温110℃で3時間乾燥させた廃泥に換算して、20wt%以上であることが好ましい。前記廃泥の水分含有量は、前記廃泥を加熱乾燥することにより、該廃泥の水分含有量を適宜調節して使用することができる。
赤泥とは、バイヤー法においてボーキサイトと苛性ソーダとを加熱反応後、生成したアルミン酸ソーダや未反応の苛性ソーダを除去した後の残渣をいう。赤泥は、本発明で取り扱う廃泥の代表例である。
本発明のイオン交換体に使用される赤泥は、特に限定されないが、通常、従来公知のバイヤー法によって製造されたもの(原泥)を使用することができる。また、赤泥は、バイヤー法によって製造されたものをそのまま使用してもよいし、バイヤー法によって製造されたものの乾燥物でもよい。
本発明のイオン交換体の製造に使用される廃泥に含有されるAl成分は、Alを含むものであれば特に限定されないが、例えば、Al、Al(OH)3、AlO(OH)、AlO(OH)・nHO(nは任意の整数)、Al(SO、AlCl、Al(NO、NaAlO、アルミニウム含有ヒドロゲル、ヒドロゾル等が挙げられる。これらの1種であってもよく、2種以上であってもよい。廃泥に含まれるAl成分は、好ましくは、Al、Al(OH)3、AlO(OH)、AlO(OH)・nHO(nは任意の整数)、Al(SO、NaAlO等であり、より好ましくは、Al、Al(OH)、AlO(OH)・nHO(nは任意の整数)、NaAlO等である。
本発明のイオン交換体の製造に使用されるAl成分を含有する廃泥の処理方法は、Al成分を含有する廃泥と、水、Ca(OH)、及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理するものであれば特に限定されないが、好ましくは、Al成分を含有する廃泥と、水、Ca(OH)、及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とを混合し、加熱しながら撹拌する方法である。
Ca(OH)、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOは、市販されている化合物を使用することができるし、それをさらに任意の方法で精製して使っても良い。
Ca(OH)は、例えば、和光純薬工業社製試薬、菱光石灰工業株式会社製、河合石灰工業株式会社製のもの等が挙げられる。
CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSO・2H2Oは、吉野石膏株式会社製、チヨダウーテ株式会社製、和光純薬工業社製試薬等が挙げられる。
また、CaSO・0.5H2O及びCaSOは、CaSO・2H2Oを従来公知の方法を用いて加熱することにより製造したものを使用することができる。CaSO・0.5H2Oは、例えば、CaSO・2H2Oを加熱(例えば、約128℃等)することによって製造したものを使用することもでき、CaSOは、例えば、CaSO・2H2Oを加熱(例えば、163℃等)することによって製造したものを使用することもできる。
CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOとして使用する石膏としては、排煙脱硫石膏、石膏ボードからの再生石膏、その他副生石膏等が挙げられる。
前記廃泥の処理方法において、Al成分を含有する廃泥、水、Ca(OH)及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とを混合する順番は、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されないが、Al成分を含有する廃泥、水及びCa(OH)を混合した後に、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とを混合する順番が好ましい。
前記Al成分を含有する廃泥の処理において、本発明の効果を奏することになる限り、前記のCa(OH)、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O、CaSO及び水以外の成分1種又は2種以上さらに含んでもよい。前記のCa(OH)、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O、CaSO及び水以外の成分は、例えば、Al、Al(OH)3、Al(SO、AlCl、Al(NO、NaAlO、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、含鉄ポリ硫酸アルミニウム等の公知のAl成分が挙げられ、より好ましくは、Al、Al(OH)3、Al(SO、NaAlO等である。
Al、Al(OH)3、Al(SO、NaAlO等の上記Al成分は、市販されている化合物を使用することができるし、それをさらに任意の方法で精製して使っても良い。
Al成分を含有する廃泥を上記処理方法により処理することによって得られる処理物は、Al成分を含有する廃泥に上記処理を施したものであれば特に限定されないが、処理物が通常含有する成分として、例えば、カルシウムスルホアルミネート水和物(Calcium sulfoaluminata hydrate)であるエトリンガイト、ハイドロカルマイト(Hydrocalumite)、カルシウムアルミニウムモノサルフェート水和物(Calcium aluminum monosulfate hydrates)であるモルサルフェート等が挙げられる。これらの1種であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。Al成分を含有する廃泥の処理物は、好ましくは、エトリンガイト、ハイドロカルマイト、モノサルフェート等もしくはそれらの混合物であり、より好ましくは、エトリンガイト、ハイドロカルマイト等もしくはそれらの混合物である。
エトリンガイトは、広くはエトリンガイトグループと称されているが、例えば、式CaAl(SO(OH)12・26HO、[CaAl(OH)12・24HO][(SO)・2HO]、3CaO・Al・3CaSO・30〜32HOなどで表される。エトリンガイトは、好ましくは、式CaAl(SO(OH)12・26HO、3CaO・Al・3CaSO・30〜32HO等で表されるものである。
モノサルフェートとしては、例えば、式3CaO・Al・CaSO・12HO等で表されるものが好ましく挙げられる。
ハイドロカルマイトは、カルシウムアルミネート水和物の一つである。カルシウムアルミネートとしては、種々の化合物が知られており、一例として、式3CaO・Al2 3、CaO・Al2 3、CaO・2Al2 3、CaO・6Al2 3、12CaO・7Al2 3などで表されるものが挙げられる。カルシウムアルミネートは、水溶液中ではそれぞれ水和物化合物として存在する。
ハイドロカルマイトとしては、例えば、式CaAl(OH)6.5HO、3CaO・Al2 3 ・6H2 O、CaAl(SO)(OH)12・6HO、CaAl(OH)6HO等で表されるものが挙げられる。ハイドロカルマイトは、好ましくは、式CaAl(OH)6.5HO、CaAl(OH)6HO等で表されるものであり、より好ましくは、式CaAl(OH)6.5HO等で表されるものである。
本発明のイオン交換体は、本発明の効果を奏することになる限り、前記の必須成分(前記の廃泥の処理物)以外の成分1種又は2種以上を含んでもよい。前記の必須成分以外の成分として、例えば、Al成分、Fe成分、Si成分、Cr成分、Mn成分、Ti成分等の公知の配合成分が挙げられる。
すなわち、本発明は、Al成分を含有する廃泥を、水の存在下に、Ca(OH)と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理することを特徴とするイオン交換体の製造方法を含有する。
本発明のイオン交換体の製造方法において、Al成分を含有する廃泥、水、Ca(OH)、及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上を混合する順番は、特に限定されないが、好ましくは、Al成分を含有する廃泥、水、及びCa(OH)とを混合した後に、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上を混合する順番である。
また、本発明の好ましい実施の態様は、Al成分を含有する廃泥をCa(OH)及び水で処理する第1工程、ついで第1工程で得られた生成物をCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理する第2工程を含むイオン交換体の製造方法を含む。
本発明のイオン交換体の製造方法において使用されるAl成分を含有する廃泥、Ca(OH)、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O、CaSOの好ましい態様は、上述したイオン交換体に使用されるものと同様である。
本発明のイオン交換体の製造方法に使用されるAl成分を含有する廃泥は、特に限定されず、上述したイオン交換体に使用されるものと同様であるが、好ましくは、赤泥である。
本発明のイオン交換体の製造方法において、赤泥とCa(OH)の重量比は、好ましくは、約100:5〜100:60であり、より好ましくは、約100:10〜100:50であり、さらに好ましくは、約100:20〜100:40である。
前記赤泥とCa(OH)の重量比の測定に使用する赤泥は、内温110℃で3時間乾燥させた赤泥に換算したものであることが好ましい。
本発明のイオン交換体の製造方法において、赤泥と水の重量比は、好ましくは、約100:0〜100:1000であり、より好ましくは、約100:10〜100:900であり、さらに好ましくは、約100:20〜100:800である。
前記赤泥と水の重量比の測定に使用する赤泥は、内温110℃で3時間乾燥させた赤泥に換算したものであることが好ましい。
本発明のイオン交換体の製造方法において、赤泥とCaSO・2H2Oの重量比は、好ましくは、約100:10〜100:200であり、より好ましくは、約100:20〜100:150であり、さらに好ましくは、約100:50〜100:100である。
本発明のイオン交換体の製造方法において、好ましくは、赤泥とCaSO・0.5HOの重量比は、約100:8〜100:170であり、より好ましくは、約100:17〜100:126であり、さらに好ましくは、約100:42〜100:126である。
本発明のイオン交換体の製造方法において、好ましくは、赤泥とCaSOの重量比は、約100:8〜100:160であり、より好ましくは、約100:16〜100:120であり、さらに好ましくは、約100:40〜100:80である。
前記赤泥とCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O又はCaSOの重量比の測定に使用する赤泥は、内温110℃で3時間乾燥させた赤泥に換算したものであることが好ましい。
本発明のイオン交換体の製造方法において、前記第1工程は、Al成分を含有する廃泥がCa(OH)及び水で処理される方法であれば特に限定されないが、好ましくは、赤泥、Ca(OH)及び水の混合物を、加熱しながら撹拌する方法である。
前記第1工程において、赤泥などのAl成分を含有する廃泥、Ca(OH)及び水を混合する順番は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されない。
前記第1工程における加熱温度は、好ましくは、約50〜100℃であり、より好ましくは、約60〜90℃であり、さらに好ましくは、約60〜80℃である。温度は、特にことわりのない限り、内温(廃泥の内部温度)である。
また、前記第1工程における撹拌時間は、好ましくは、約0.5〜10時間であり、より好ましくは、約2〜8時間であり、さらに好ましくは、約3〜6時間である。
前記第1工程において使用する反応装置は、赤泥、Ca(OH)及び水の混合物を加熱しながら撹拌できるものであれば特に限定されないが、前記混合物の水分含有量が約50wt%以上の場合や約50〜10wt%でありスラリー状として粘性のある性状の場合は、該混合物が固化状態となるため、固化品をある程度解砕できる混練機能付きの装置(例えば、外部加熱が可能な混練・捏和用バッチ式ニーダKDHJ-60やKDHJ-2、連続混練機CKD-40、不二パウダル株式会社製)が好ましく、前記混合物の水分含有量が約10wt%以下であり性状が粉末状である場合は、ボールミル混合と反応を同時に行なうのが好ましい。
また、前記の赤泥、Ca(OH)及び水の混合物の水分含有量は、約50wt%以上が好ましい。
前記第2工程は、第1工程で得られた生成物を、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理する方法であれば特に限定されないが、好ましくは、第1工程で得られた生成物をCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とをまず最初に混合し、加熱しながら混練又は撹拌する方法である。
前記第2工程において、第1工程で得られた生成物、及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とを添加する順番は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されない。
前記第2工程における処理方法は、好ましくは、前記第1工程で得られた生成物及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とを、約50〜100℃で、約1〜24時間混練又は撹拌した後、室温〜約100℃で、約1〜24時間静置させる方法であり、より好ましくは、前記第1工程で得られた生成物及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とを、室温〜約60℃で、約1〜2時間、混練又は撹拌した後、室温〜約60℃で、約1〜24時間静置させる方法である。室温とは、約15℃〜30℃程度である。
前記第2工程において使用する反応装置は、前記第1工程で得られた生成物と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上との混合物を加熱しながら混練又は撹拌できるものであれば特に限定されないが、前記第1工程で使用した装置と同じ装置を使用することが好ましい。
本発明のイオン交換体の製造方法は、前記第2工程で得られた生成物を解砕する工程をさらに含むことが好ましい。解砕する方法は、前記生成物を解砕できる方法であれば特に限定されないが、従来公知の製造機器を使用することが可能であり、前記第1工程及び第2工程で使用した装置と同じ装置を使用することが好ましい。
前記の第2工程で得られた生成物の解砕品は、さらに水洗することが好ましい。水洗の方法は、特に限定されないが、イオン交換を妨げる塩類(例えば、Naイオン、SOイオン等)を除去できる程度に水洗することが好ましい。
上述のようにして製造されたイオン交換体は、後述する有害元素イオン除去剤の製造に好適に用いられる。
また、前記第1工程と前記第2工程の順序を逆にして、該第2工程の後に該第1工程を行なってもよいが、該第1工程を最初に行ない、次いで該第2工程を行なうのが好ましい。
本発明は、本発明のイオン交換体を含む有害元素イオン除去剤を含有する。
有害元素イオン除去剤とは、有害元素を含有する溶液に含まれる有害元素イオンを取り込み、代わりに自らの持つ別種のイオンを放出することで、イオン種の入れ換えを行う能力を示す物質をいう。
本発明の有害元素イオン除去剤が除去できる有害元素イオンは、特に限定されないが、例えば、フッ素イオン、ホウ素イオン、Clイオン、Pbイオン、Asイオン、Crイオン、Seイオン等が挙げられる。前記有害元素イオンは、好ましくは、フッ素イオン、ホウ素イオン、Pbイオン、Asイオン、Crイオンであり、より好ましくは、フッ素イオン、ホウ素イオン、Pbイオン、Asイオンである。
本発明の有害元素イオン除去剤は、フッ素イオン、ホウ素イオン、Pbイオン、Asイオン、Crイオン等の有害元素イオンを含有する工業廃水、地下水、飲料水等に含まれる有害元素イオン除去のために好適に使用できるものである。
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、温度の表示は、特に断りのないかぎり、内温(廃泥の内部温度)である。
<赤泥の分析>
バイヤー法を用いてボーキサイトとカセイソーダとの加熱反応後、生成したアルミン酸ソーダや未反応のカセイソーダを除去した後の残渣である赤泥(原泥)を、2種類入手した。
山東魏橋アルミ電有限公司社より入手した、バイヤー法生成物から常法に従ってアルミン酸ソーダ溶液及び未反応の苛性ソーダ溶液を回収した後の残渣を、赤泥(原泥)No.6(以下、赤泥No.6ともいう)とし、山東盛日環保工程技術有限公司社より入手した、バイヤー法生成物から常法に従ってアルミン酸ソーダ溶液及び未反応の苛性ソーダ溶液を回収した後の残渣を、赤泥(原泥)No.8−1(以下、赤泥No.8−1ともいう)として、両赤泥(原泥)の化学組成を、蛍光X線及びX線回折を用いて測定した。
前記の赤泥(原泥)No.6及び赤泥(原泥)No.8−1に含有される成分の化学組成を、波長分散型蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII、理学電機工業社製)を用いて、常法に従って測定した。水分量の測定は、各赤泥(原泥)2gを、恒温乾燥器(DX402、YAMATO社製)により、110℃で3時間乾燥させたものを使用して測定した。
結果を表1に示す。赤泥(原泥)No.6及び赤泥(原泥)No.8−1ともに、Alを20wt%以上含有した。
前記の赤泥(原泥)No.6及び赤泥(原泥)No.8−1に含有される成分の結晶性化学成分を、ビルドアップ型多機能X線回折装置(RINT-UltimaII、リガク社製)を用いて測定した。赤泥(原泥)No.8−1の測定結果を図1に、赤泥(原泥)No.6の測定結果を図2に、赤泥(原泥)No.8−1及び赤泥(原泥)No.6の測定結果の比較を図3示す。赤泥(原泥)No.6及び赤泥(原泥)No.8−1ともに、結晶性化学成分は、Hematite、Goethite、Quartz、Gibbsite、及びアルミノ珪酸塩であった。
(実施例1)
前記の赤泥No.6、10gを、ビーカーに入れて水100mlを添加し、室温で30分間撹拌した。その中にCa(OH)、2.69g(和光純薬工業社製、試薬特級)を添加し、60℃で30分間混合した。次に、CaSO・2HO、1.00g(和光純薬工業社製、食品添加物グレード)を添加し、60℃で5時間加熱反応を行った。得られた生成物を、100ml/回の水で3回水洗後、50℃で12時間乾燥し、乳鉢を使用して粉砕し、赤泥の処理物を得た。
得られた赤泥の処理物のX線回折測定を、ビルドアップ型多機能X線回折装置(RINT-UltimaII、リガク社製)を用いて行なった。結果を図4に示す。
実施例1の処理物では、2θ=11°と21.9°のハイドロカルマイトの回折ピークが確認できた。2θ=29.4°の回折ピークはCaCOであり、2θ=26.6°の回折ピークは、Quartzである。
(実施例2〜4)
実施例1において、表2に記載の通り、CaSO・2HOの添加量を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、赤泥の処理物を得た。
得られた赤泥の処理物のX線回折測定を、実施例1と同様の方法を用いて行なった。結果を図4に示す。実施例2〜4の処理物では、2θ=9.1°、15.9°のエトリンガイトの回折ピークが確認できた。2θ=11.6°、23.5°、29.2°の大きな回折ピークは、CaSO4・2H2Oであり、2θ=29.4°の回折ピークはCaCO3、2θ=26.6°の回折ピークは、Quartzである。2θ=11°と21.9°の回折ピークはハイドロカルマイトに相当する。
(実施例5)
赤泥No.6、10gをビーカーに入れて水100mlを添加し、室温で30分間撹拌した。その中にCaSO・2HO、1.00g(和光純薬工業社製、食品添加物グレード)を添加し、60℃で30分間混合した。次に、Ca(OH)、2.69g(和光純薬工業社製、試薬特級)を添加し、60℃で5時間加熱反応を行った。得られた生成物を、100ml/回の水で3回水洗後、50℃で12時間乾燥し、乳鉢を使用して粉砕し、赤泥の処理物を得た。
得られた赤泥の処理物のX線回折測定を、実施例1と同様の方法を用いて行なった。結果を図5に示す。実施例5の処理物では、2θ=11°と22°のハイドロカルマイトの回折ピークが確認された。
(実施例6)
実施例5において、表3に記載の通り、CaSO・2HOの添加量を変更した以外は実施例5と同様の操作を行い、赤泥の処理物を得た。
得られた赤泥の処理物のX線回折測定を、実施例1と同様の方法を用いて行なった。結果を図5に示す。実施例6の処理物においても、2θ=11°と22°のハイドロカルマイトの回折ピークが確認された。
<赤泥の処理物の濾過性比較>
(実施例7〜8)
実施例1及び2において、赤泥No.6を赤泥No.8−1に変更し、赤泥、Ca(OH)、及びCaSO・2HOの添加量を表4に記載の通りに変更した以外は実施例1及び2と同様の操作を行い、実施例7及び8の赤泥の処理物を得た。
得られた赤泥の処理物を、濾紙(ADVANTEC(TOYO)社製、濾紙NO.5C、110mmφ)を使用し、到達真空度-600mmHgで吸引濾過を行い、濾過時間及び濾過後の赤泥の処理物の回収液量を測定した。その結果を表4に示す。表4より、後述の比較例1及び比較例2のスラリー状の赤泥と比較して、実施例7及び8の赤泥の処理物は、濾過時間が大幅に短縮し、濾過後の回収液量が大幅に減少した。実施例7〜8の赤泥処理物は水和しており、水分を大量に保持し、固定化していることがわかる。
以上の結果から、本発明製品が比較例製品に比して、取り扱い性と濾過性に優れていることがわかる。
(比較例1)
赤泥No.8−1、20gと水100mlとを混合し、60℃で6時間攪拌し、スラリー状の赤泥を得た。得られたスラリー状の赤泥の濾過時間及び濾過後の回収液量測定を、実施例7と同様の方法を用いて行なった。その結果を表4に示す。
比較例1のスラリー状の赤泥は濾過時間が長く、濾液量も最大であり、ケーキ中の水分の固定化量は少ないことを示している。
(比較例2)
比較例1において、Ca(OH)、6.72gを添加した以外は比較例1と同様の方法でスラリー状の赤泥を調製し、該赤泥の濾過時間及び濾過後の回収液量測定を、実施例7と同様の方法を用いて行なった。その結果を表4に示す。比較例1と同様に、反応後の固化状態が不十分であり、濾過時間の短縮程度も不十分である。
<イオン吸着試験>
(実施例9)
NaF、221mg(和光純薬工業社製、特級試薬)を、イオン交換水1000ml(AS ONECORPORATION社製、イオン交換純水装置で製造)に溶解させ、フッ素イオン濃度100ppmのフッ素イオン含有水を調整した。該フッ素イオン含有水10mlをイオン交換水90mlに希釈して、トータル100ml溶液、フッ素イオン濃度10ppmとし、その中へ実施例1で得られた赤泥の処理物を1g投入し、マグネチックスターラーを使用して30分間、室温で撹拌を行った後、30分間静置した。その後、濾紙(ADVANTEC(TOYO)社製、濾紙NO.5C、110mmφ)を使用して濾過を行い、濾液を得た。得られた濾液について、液体クロマトグラフ(Shimazu社製)を用いて、JIS K0102-34.3の方法により、残存フッ素イオン濃度の測定を行なった。その結果を表5に示す。
実施例2〜6で得られた赤泥の処理物、及び赤泥(原泥)No.6についても、上述した実施例1で得られた赤泥の処理物を使用した場合と同様の方法を用いて、残存フッ素イオン濃度の測定を行なった。それらの結果を表5に示す。実施例1〜6で得られた赤泥の処理物のフッ素イオン除去能は、赤泥(原泥)No.6と比較して向上した。
(実施例10)
ホウ酸575mg(和光純薬試薬社製、特級)を、イオン交換水1000mL(AS ONECORPORATION社製、イオン交換純水装置で製造)に溶解させ、ホウ素イオン濃度100ppmのホウ素イオン含有水を調整した。該ホウ素イオン含有水10mlをイオン交換水90mlに希釈して、トータル100ml溶液、ホウ素イオン濃度10ppmとし、その中へ実施例1で得られた赤泥の処理物を2g投入し、マグネチックスターラーを使用して30分間、室温で撹拌を行った後、5時間30分間静置した。その後、濾紙(ADVANTEC(TOYO)社製、濾紙NO.5C、110mmφ)を使用して濾過を行い、濾液を得た。得られた濾液について、液体クロマトグラフ(Shimazu社製)を用いて、JIS K0102-47.4(ICP質量分析法)の方法により、残存ホウ素イオン濃度の測定を行なった。その結果を表6に示す。
実施例2〜8で得られた赤泥の処理物、及び赤泥(原泥)No.6についても、上述した実施例1で得られた赤泥の処理物を使用した場合と同様の方法を用いて、残存ホウ素イオン濃度の測定を行なった。それらの結果を表6に示す。実施例1〜8で得られた赤泥の処理物のホウ素イオン除去能は、赤泥(原泥)No.6と比較して向上した。
本発明のイオン交換体は、Al成分を含有する廃泥の処理物を、イオン交換体や有害元素イオン除去剤に使用できるため、Al成分を含有する廃泥を有効利用することができる。また、本発明のイオン交換体及び該イオン交換体の製造方法によれば、Al成分を含有する廃泥の取り扱いや運搬が容易となり、濾過性も向上する。さらに、本発明の有害元素イオン除去剤は、有害元素イオンを含有する工業廃水、地下水等から有害元素イオンを除去することができる。
本発明は、上記イオン交換体の製造方法のみならず、Al成分を含有する廃泥処理、特に赤泥そのものの処理に関する大幅な改善方法を提起するものである。

Claims (14)

  1. 赤泥であるAl成分を含有する廃泥を、水の存在下に、Ca(OH)と、CaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理することを特徴とする3価および6価クロムを含まないイオン交換体の製造方法であり、前記イオン交換体が、式Ca Al (SO (OH) 12 ・26H Oもしくは3CaO・Al ・3CaSO ・30〜32H Oで表されるエトリンガイト及び/又は式Ca Al(OH) 6.5H Oで表されるハイドロカルマイトを含む廃泥の処理物を含む、製造方法
  2. Al成分を含有する廃泥をCa(OH)及び水で処理する第1工程、ついで第1工程で得られた生成物をCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上とで処理する第2工程を含む請求項1に記載のイオン交換体の製造方法。
  3. イオン交換体がゲル状である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 赤泥とCa(OH)の重量比が100:5〜100:60である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 赤泥と水の重量比が100:10〜100:1000である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 赤泥とCaSO・2H2Oの重量比が100:10〜100:200である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 赤泥とCaSO・0.5H2Oの重量比が100:8〜100:170である請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 赤泥とCaSOの重量比が100:8〜100:160である請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記第1工程において、赤泥、Ca(OH)及び水の混合物を、温度50〜100℃で、0.5〜10時間撹拌することを特徴とする請求項〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記第2工程において、前記第1工程で得られた生成物、及びCaSO・2H2O、CaSO・0.5H2O及びCaSOからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の混合物を、温度50〜100℃で、1〜24時間撹拌した後、室温〜100℃で、1〜24時間静置させることを特徴とする請求項〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記第2工程が、得られた生成物を解砕する工程をさらに含む請求項〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. イオン交換体が、イオン交換体を含む有害元素イオン除去剤の製造に用いられるものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 有害元素がフッ素又はホウ素であることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  14. 有害元素がPb、As、Crであることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
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