(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、画像を符号化する画像符号化装置、又は、画像を復号する画像復号装置に関して、以下の問題が生じることを見出した。
近年、デジタル映像機器の技術進歩が著しく、ビデオカメラ又はテレビチューナから出力された映像信号(時系列順に並んだ複数のピクチャ)が圧縮符号化され、得られた符号化信号がDVD又はハードディスク等の記録メディアに記録される機会が増えている。
画像符号化規格としてはH.264/AVC(MPEG−4 AVC)がある。また、次世代の標準規格としてHEVC(High Efficiency Video Coding)規格(非特許文献1)が検討されている。また、画像符号化規格をどのように運用するかの規定についても検討されている(非特許文献2)。
現在の運用規定(非特許文献2)では、図1に示すように符号化構造が3階層までに制限されており、それによって図2に示すように最大の表示遅延ピクチャ数が2枚に制限されている。図1に示す、TemporalIdは、符号化構造の階層の識別子である。TemporalIdが大きくなるほど深い階層であることを示す。
1つの四角のブロックはピクチャを示し、ブロック内のIxはIピクチャ(画面内予測ピクチャ)、PxはPピクチャ(前方参照予測ピクチャ)、BxはBピクチャ(双方向参照予測ピクチャ)を示す。Ix/Px/Bxのxは表示オーダーを示し、ピクチャを表示する順番を表わす。
ピクチャ間の矢印は参照関係を示す。例えば、ピクチャB1はピクチャI0、ピクチャB2及びピクチャP4を参照画像として用いて予測画像を生成する。また、自らのTemporalIdより大きいTemporalIdを持つピクチャを参照画像として使うことは禁止されている。よって、ピクチャ復号順は、図2に示すようにTemporalIdが小さい順であり、ピクチャI0、ピクチャP4、ピクチャB2、ピクチャB1、ピクチャB3の順である。
ところで、階層を規定することにより、時間スケーラビリティを符号列に持たせることができる。
例えば、60fps(frame per second)の符号列から30fpsの映像を取得したい場合、画像復号装置は、図1のTemporalId0及びTemporalId1のピクチャのみを復号する。これにより、画像復号装置は、30fpsの画像を得ることができる。そして、復号画像は順番に空きがないように出力する必要があるため、画像復号装置は、ピクチャB2の復号後にピクチャI0から順にピクチャを出力する。そのため、表示遅延ピクチャ数は2枚となる。これを時間に換算すると、オリジナルのフレームレートが30fpsの場合の表示遅延時間は2/30秒であり、フレームレートが60fpsの場合の表示遅延時間は2/60秒である。
時間スケーラビリティが高い構造を用いることで、帯域が混雑している場合、又は処理能力が低い画像復号装置が復号処理を行う場合には、画像復号装置は、TemporalIdの小さい階層のピクチャのみを復号し、得られた画像を表示することが可能になる。このように、汎用性が向上する。しかし、深い階層構造を許容すると、表示遅延が増大するという課題がある。
しかしながら、上記のように表示遅延ピクチャ数を予め規定しても、フレームレートによって表示遅延時間は異なる。標準的なフレームレート(例えば30fps)よりも低いフレームレート(例えば24fps)の場合、表示遅延時間は2/24秒であり、30fpsの2/30秒より遅延時間が長くなる。
本発明の一態様に係る画像符号化方法は、画像を階層符号化する画像符号化方法であって、前記階層符号化における階層数が、フレームレートに応じて決定された最大階層数以下になるように、前記階層数を決定する階層数決定ステップと、決定された前記階層数で、前記画像を階層符号化することでビットストリームを生成する符号化ステップとを含む。
これによれば、当該画像符号化方法は、表示遅延時間の増加を抑制しつつ、階層数を増加させることできる。よって、当該画像符号化方法は、画像を効率的に符号化できる。
例えば、前記フレームレートが60fps以下の場合、前記最大階層数は4以下であってもよい。
例えば、前記フレームレートが120fpsの場合、前記最大階層数は5であってもよい。
例えば、前記画像符号化方法は、さらに、画像復号装置において、画像を復号してから出力するまでのピクチャの数である表示遅延ピクチャ数が、前記フレームレートに応じて決定された最大ピクチャ数以下になるように、前記画像のピクチャタイプを決定するピクチャタイプ決定ステップを含み、前記符号化ステップでは、決定されたピクチャタイプで前記画像を符号化してもよい。
例えば、前記ピクチャタイプ決定ステップでは、連続するBピクチャの数であるBピクチャ連続数が、前記フレームレートに応じて決定された最大連続数以下になるように、前記画像の前記ピクチャタイプを決定してもよい。
例えば、前記最大ピクチャ数と、画像符号化装置に前記画像が入力されてから前記ビットストリームが出力されるまでの時間であるエンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大ピクチャ数=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]))
前記最大連続数と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大連続数=int(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]−1)
前記最大階層数と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たしてもよい。
最大階層数=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]))+1
例えば、各階層の最大ピクチャ数[i]と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大ピクチャ数[i]=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]/2(n−i)))
各階層の最大連続数[i]と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大連続数[i]=int(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]/2(n−i)−1)
iは、前記最大階層数以下の整数であり、階層を示し、nは、(前記最大階層数−1)を示してもよい。
また、本発明の一態様に係る画像復号方法は、画像が階層符号化されることで得られたビットストリームを復号する画像復号方法であって、前記ビットストリームから前記画像を復号する画像復号ステップと、前記ビットストリームから前記階層符号化における階層数を示す第1情報を復号する情報復号ステップと、前記第1情報で示される前記階層数を用いて、復号された前記画像を並び替えて出力する並び替えステップとを含み、前記階層数は、前記ビットストリームのフレームレートに応じて予め決定された最大階層数以下である。
これによれば、当該画像復号方法は、効率的に符号化されることで得られたビットストリームを復号できる。
例えば、前記フレームレートが60fps以下の場合、前記最大階層数は4以下であってもよい。
例えば、前記フレームレートが120fpsの場合、前記最大階層数は5であってもよい。
例えば、前記情報復号ステップでは、さらに、画像復号装置において、画像を復号してから出力するまでのピクチャの数である表示遅延ピクチャ数を示す第2情報を、前記ビットストリームから復号し、前記並び替えステップでは、前記第1情報で示される前記階層数と、前記第2情報で示される前記表示遅延ピクチャ数とを用いて、復号された前記画像を並び替えて出力してもよい。
例えば、前記情報復号ステップでは、さらに、連続するBピクチャの数であるBピクチャ連続数を示す第3情報を、前記ビットストリームから復号し、前記並び替えステップでは、前記第1情報で示される前記階層数と、前記第2情報で示される前記表示遅延ピクチャ数と、前記第3情報で示されるBピクチャ連続数とを用いて、復号された前記画像を並び替えて出力してもよい。
例えば、前記最大ピクチャ数と、画像符号化装置に前記画像が入力されてから前記ビットストリームが出力されるまでの時間であるエンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大ピクチャ数=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]))
前記最大連続数と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大連続数=int(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]−1)
前記最大階層数と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たしてもよい。
最大階層数=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]))+1
例えば、各階層の最大ピクチャ数[i]と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大ピクチャ数[i]=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]/2(n−i)))
各階層の最大連続数[i]と、前記エンコーダ送出遅延と、前記フレームレートとは以下の関係を満たし、
最大連続数[i]=int(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]/2(n−i)−1)
iは、前記最大階層数以下の整数であり、階層を示し、nは、(前記最大階層数−1)を示してもよい。
また、本発明の一態様に係る画像符号化装置は、画像を符号化する画像符号化装置であって、処理回路と、前記処理回路からアクセス可能な記憶装置とを備え、前記処理回路は、前記記憶装置を用いて、前記画像符号化方法を実行する。
これによれば、当該画像符号化装置は、表示遅延時間の増加を抑制しつつ、階層数を増加させることできる。よって、当該画像符号化装置は、画像を効率的に符号化できる。
また、本発明の一態様に係る画像復号装置は、画像が符号化されることにより得られたビットストリームを復号する画像復号装置であって、処理回路と、前記処理回路からアクセス可能な記憶装置とを備え、前記処理回路は、前記記憶装置を用いて、前記画像復号方法を実行する。
これによれば、当該画像復号装置は、効率的に符号化されることで得られたビットストリームを復号できる。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る画像符号化装置は、フレームレートが高い場合には、階層数を多くする。これにより、表示遅延時間の増加を抑制しつつ、階層数を増加できる。
<全体構成>
図3は、本実施の形態における画像符号化装置100の構成を示すブロック図である。
図3に示す画像符号化装置100は、入力画像153を符号化することで符号列155(ビットストリーム)を生成する。この画像符号化装置100は、制限値設定部101と、符号化部102とを備える。
<動作(全体)>
次に、図4を参照しつつ、符号化処理全体のフローについて説明する。図4は、本実施の形態に係る画像符号化方法のフローチャートである。
まず、制限値設定部101は、階層符号化における符号化構造に関する符号化構造制限値154を設定する(S101)。具体的には、制限値設定部101は、フレームレート151と送出遅延時間制限値152とを用いて符号化構造制限値154を設定する。
次に、符号化部102は、符号化構造制限値154を符号化すると共に、符号化構造制限値154を用いて入力画像153を符号化することで、符号列155を生成する(S102)。
<制限値設定部101の構成>
図5は、制限値設定部101の内部構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、制限値設定部101は、階層数設定部111と、階層数パラメータ設定部112と、表示遅延ピクチャ数設定部113と、Bピクチャ連続数設定部114と、連続数パラメータ設定部115とを備える。
<動作(符号化構造制限値設定)>
次に、図6を参照しつつ、制限値設定処理(図4のS101)の一例について説明する。図6は、本実施の形態に係る制限値設定処理のフローチャートである。
まず、階層数設定部111は、画像符号化装置100の外部から入力されたフレームレート151及び送出遅延時間制限値152を用いて、符号化構造の階層数161を設定する。例えば、階層数161は下記(式1)によって算出される(S111)。
階層数=int(log2(送出遅延時間制限値[s]×フレームレート[fps]))+1 ・・・(式1)
上記(式1)においてint(x)はxの小数部を切り捨てた整数を返す関数を意味し、log2(x)はxの2を底とする対数を返す関数を意味する。送出遅延時間制限値152は、画像符号化装置100に入力画像153が入力されてから、その入力画像153の符号列155が出力されるまでの最大時間を示す。
次に、階層数パラメータ設定部112は、階層数161を用いて、下記(式2)によって、階層数パラメータ163であるsps_max_sub_layers_minus1を設定する(S112)。
sps_max_sub_layers_minus1=階層数−1 ・・・(式2)
次に、制限値設定部101は、TIdに0を設定する(S113)。TIdは階層を識別するための変数であり、以降の階層毎の処理で処理対象の階層を識別するために使用される。
次に、表示遅延ピクチャ数設定部113は、フレームレート151と送出遅延時間制限値152と階層数パラメータ163とを用いて、TemporalIdがTIdの階層の表示遅延ピクチャ数164を設定する(S114)。表示遅延ピクチャ数164は、ピクチャ復号時にピクチャの復号が開始されてからピクチャの表示が開始されるまでのピクチャ数である。表示遅延ピクチャ数164は下記(式3)によって算出される。
TemporalIdがTIdの階層の表示遅延ピクチャ数=int(log2(送出遅延時間制限値[s]×フレームレート[fps]÷2(n−TId))) ・・・(式3)
上記(式3)においてnは最大のTemporalIdを示し、ステップS112で算出されたsps_max_sub_layers_minus1の値である。表示遅延ピクチャ数設定部113は、算出された、TemporalIdがTIdの階層の表示遅延ピクチャ数をsps_max_num_reorder_pics[TId]に設定する。
次に、Bピクチャ連続数設定部114は、フレームレート151と送出遅延時間制限値152と階層数パラメータ163とを用いて、TemporalIdがTIdの階層のBピクチャ連続数162を設定する(S115)。Bピクチャ連続数162は、連続するBピクチャの枚数であり、下記(式4)によって算出される。
TemporalIdがTIdの階層のBピクチャ連続数=int(送出遅延時間制限値[s]×フレームレート[fps]÷2(n−TId)−1) ・・・(式4)
次に、連続数パラメータ設定部115は、TemporalIdがTIdの階層の、Bピクチャ連続数162及び表示遅延ピクチャ数164(sps_max_num_reorder_pics[TId])を用いて、TemporalIdがTIdの階層の連続数パラメータ165を設定する(S116)。TemporalIdがTIdの階層の連続数パラメータ165は、下記(式5)によって設定される。
TemporalIdがTIdの階層の連続数パラメータ=TemporalIdがTIdの階層のBピクチャ連続数−sps_max_num_reorder_pics[TId]+1 ・・・(式5)
算出された連続数パラメータ165はsps_max_latency_increase_plus1[TId]に設定される。
次に、制限値設定部101は、TIdに1を加算することによって処理対象の階層を移す(S117)。TIdが階層数161になるまで、つまり全階層の処理が完了するまでステップS114〜S117が繰り返される(S118)。
なお、ここでは、制限値設定部101は、階層数161を設定してから、各階層における表示遅延ピクチャ数164とBピクチャ連続数162を設定したが、設定順序はこれに限られない。
<符号化部102の構成>
図7は、符号化部102の内部構成を示すブロック図である。図7に示すように、符号化部102は、画像並び替え部121と、符号ブロック分割部122と、減算部123と、変換量子化部124と、可変長符号化部125と、逆変換量子化部126と、加算部127と、フレームメモリ128と、イントラ予測部129と、インター予測部130と、選択部131とを備える。
<動作(符号化)>
次に、図8を参照しつつ、本実施の形態に係る符号化処理(図4のS102)について説明する。図8は、本実施の形態に係る符号化処理のフローチャートである。
まず、可変長符号化部125は、制限値設定部101によって設定されたsps_max_sub_layers_minus1、sps_max_num_reorder_pics[]、sps_max_latency_increase_plus1[]を可変長符号化する(S121)。sps_max_num_reorder_pics[]、sps_max_latency_increase_plus1[]は階層毎に存在するが、可変長符号化部125は、それらを全て符号化する。
次に、画像並び替え部121は、sps_max_sub_layers_minus1、sps_max_num_reorder_pics[]、sps_max_latency_increase_plus1[]に従って入力画像153を並び替えるとともに、入力画像153のピクチャタイプを決定する(S122)。
画像並び替え部121は、この並び替えを、sps_max_num_reorder_pics[sps_max_sub_layers_minus1]とSpsMaxLatencyPicturesを用いて行う。SpsMaxLatencyPicturesは、下記(式6)により算出される。
SpsMaxLatencyPictures=sps_max_num_reorder_pics[sps_max_sub_layers_minus1]+sps_max_latency_increase_plus1[sps_max_sub_layers_minus1]−1 ・・・(式6)
図9A〜図9Dは、この並び替えを示す図である。図9A〜図9Dに示すような並び替えが行われるため、符号化部102は、入力画像153が複数枚入力された後でないと入力画像153の符号化を始めることができない。つまり、1枚目の入力画像153が入力されてから符号列155の出力を開始するまでに遅延が発生する。この遅延が送出遅延時間であり、上述した送出遅延時間制限値152はこの送出遅延時間の制限値である。
また、図9A〜図9Dは、符号化構造制限値154に対応する送出遅延ピクチャ数を示す。図9Aは、sps_max_num_reorder_pics[sps_max_sub_layers_minus1]が1であり、SpsMaxLatencyPicturesが2の場合の送出遅延ピクチャ数を示す。図9Bは、sps_max_num_reorder_pics[sps_max_sub_layers_minus1]が2であり、SpsMaxLatencyPicturesが3の場合の送出遅延ピクチャ数を示す。図9Cは、sps_max_num_reorder_pics[sps_max_sub_layers_minus1]が3であり、SpsMaxLatencyPicturesが7の場合の送出遅延ピクチャ数を示す。図9Bは、sps_max_num_reorder_pics[sps_max_sub_layers_minus1]が4であり、SpsMaxLatencyPicturesが7の場合の送出遅延ピクチャ数を示す。
例えば、図9Aの場合、画像0、画像1、画像2、画像3がこの順で画像符号化装置100に入力され、画像符号化装置100は、これらの画像を、画像0、画像3、画像1、画像2の順に符号化する。画像符号化装置100は、符号列を隙間なく送出する必要があるため、画像3が入力されるまで符号列の送出を開始しない。そのため、画像0が入力されてから符号列の送出を開始するまでに3ピクチャ分の送出遅延が発生する。また、画像並び替え部121は、各画像のピクチャタイプを決定し、各画像がどの画像を参照ピクチャとして用いるかを示す情報をインター予測部130に出力する。ここでピクチャタイプとは、Iピクチャ、Pピクチャ及びBピクチャである。
次に、符号ブロック分割部122は、入力画像153を符号ブロック171に分割する(S123)。
次に、イントラ予測部129は、イントラ予測の予測ブロックを生成し、その予測ブロックのコストを算出する(S124)。インター予測部130は、インター予測の予測ブロックを生成し、その予測ブロックのコストを算出する(S125)。選択部131は、算出されたコスト等を用いて、使用する予測モード及び予測ブロック177を決定する(S126)。
次に、減算部123は、予測ブロック177と符号ブロック171との差分を算出することによって差分ブロック172を生成する(S127)。次に、変換量子化部124は、差分ブロック172に対し周波数変換及び量子化を行うことで変換係数173を生成する(S128)。次に、逆変換量子化部126は、変換係数173に対して逆量子化及び逆周波数変換を行うことによって差分ブロック174を復元する(S129)。次に、加算部127は、予測ブロック177と差分ブロック174とを加算することによって復号ブロック175を生成する(S130)。この復号ブロック175は、フレームメモリ128に格納され、イントラ予測部129及びインター予測部130による予測処理に用いられる。
次に、可変長符号化部125は、使用された予測モード等を示す予測情報178を符号化し(S131)、変換係数173を符号化する(S132)。
そして、次の符号ブロックに処理が移り(S133)、符号化部102は、ピクチャ内の全符号ブロックの処理が完了するまでステップS124〜S133を繰り返す(S134)。
そして、符号化部102は、全ピクチャの処理が完了するまでステップS122〜S134を繰り返す(S135)。
<効果>
以上、本実施の形態に係る画像符号化装置100は、フレームレート151及び送出遅延時間制限値152によって符号化構造を決める。これにより、画像符号化装置100は、フレームレート151が高い場合は、デコーダの表示遅延時間、及びエンコーダの送出遅延時間を延ばすことなく階層を深くできるので、時間スケーラビリティが高めることができる。また、Bピクチャの枚数が増えることにより圧縮性能を高めることが可能となる。
また、様々なフレームレートの場合でも指定したデコーダの表示遅延時間、及びエンコーダの送出遅延時間を超えないようにできる。
このことについて、より具体的に説明する。図10は、フレームレート151及び送出遅延時間制限値152によって算出される、階層数161、表示遅延ピクチャ数164及びBピクチャ連続数162を示す図である。また、図10では、送出遅延時間制限値を4/30秒とした場合の例を示す。
また、図11A〜図11Dは、図10の条件に基づく符号化構造を示す図である。図11Aは、フレームレートが24fpsの場合の構造を示す。図11Bは、フレームレートが30fpsの場合の構造を示す。図11Cは、フレームレートが60fpsの場合の構造を示す。図11Dは、フレームレートが120fpsの場合の構造を示す。
また、符号列の送出遅延ピクチャ数は、フレームレートが24fps、30fps、60fps及び120fpsの場合、それぞれ図9A〜図9Dに示される。また、図12A〜図12Dは、フレームレートが24fps、30fps、60fps及び120fpsの場合の表示遅延ピクチャ数を示す図である。
図10に示すように、全てのフレームレートにおいて、送出遅延時間は、制限値である4/30秒を超えない。また、現在の運用規定(非特許文献2)では、図11Bのように符号化構造は、3階層までに制限されている。つまり、図12Bのように表示遅延ピクチャ数は2までに制限されており、図9Bに示すように符号列の送出遅延ピクチャ数は4までに制限されている。また、30fpsの場合、表示遅延時間は2/30秒であり、送出遅延時間は4/30秒である。本実施の形態では、送出遅延時間制限値を4/30秒に設定した場合、フレームレートに応じて階層数を増減させても送出遅延時間は4/30秒を越えず、表示遅延時間は2/30秒を超えない。
また、本実施の形態では、画像符号化装置100は、表示遅延時間ではなく、送出遅延時間の制限値を用いて符号化構造を決定する。このように送出遅延時間で符号化構造を制限することによって、現在の運用規定(非特許文献2)の表示遅延時間である2/30秒、及び送出遅延時間である4/30秒の双方を超えないように符号化構造を決定できる。より具体的には、現在の運用規定(非特許文献2)の表示遅延時間である2/30秒を超えないように表示遅延ピクチャ数を決定した場合、120fpsでは表示遅延ピクチャ数は8(8/120秒)であり、9階層の符号化構造までが許可される。しかし、9階層の符号化構造を用いた場合、送出遅延ピクチャ数は256(256/120秒)となり、現在の運用規定(非特許文献2)の送出遅延時間4/30秒を大きく超える。一方、送出遅延時間に着目し、4/30秒の送出遅延時間を超えないように送出遅延ピクチャ数を決定した場合、120fpsでは送出遅延ピクチャ数は16(16/120秒)に制限され、符号化構造は、5階層までに制限される。この場合、表示遅延時間は、2/30秒を超えない。このように、送出遅延時間を制限することで、送出遅延時間及び表示遅延時間の双方を適切に制限できる。
また、画像符号化装置100は、各階層で符号化構造の制限値を設定する。これにより、TemporalIdが小さい階層のピクチャのみしか復号しない画像復号装置においても、表示遅延時間が指定された時間を超えないようにできる。
なお、上記説明では、画像符号化装置100は、算式によって階層数等の符号化構造制限値を算出しているが、図10に示すテーブルを予めメモリに保存しておき、当該テーブルを参照して、フレームレート151と送出遅延時間制限値152とに応じた符号化構造制限値を設定してもよい。また、画像符号化装置100は、テーブル及び算式の両方を用いてもよい。例えば、画像符号化装置100は、フレームレートが24fps以下の場合はテーブルを用いて符号化構造制限値を設定し、フレームレートが24fpsを超える場合は算式を用いて符号化構造制限値を設定してもよい。
また、上記説明では、画像符号化装置100は、外部から入力された送出遅延時間制限値152及びフレームレート151を用いているが、その限りではない。例えば、画像符号化装置100は、送出遅延時間制限値152及びフレームレート151の少なくとも一方として予め定められた固定値を使用してもよい。また、画像符号化装置100は、バッファメモリ等の内部の状態に応じて送出遅延時間制限値152及びフレームレート151の少なくとも一方を決定してもよい。
また、図11A〜図11Dに示す符号化構造は一例であり、これに限らない。例えば、参照画像を示す矢印はこの限りではなく、各ピクチャが、自らのTemporalIdより大きいTemporalIdを持つピクチャを参照画像として使わなければよく、例えば、図11Bに示す画像B1は画像P4を参照画像として使用してもよい。
また、上述した符号化構造の制限値(階層数、Bピクチャ連続数及び表示遅延ピクチャ数)はあくまで最大値であり、状況に応じて制限値より小さい値が使用されもよい。例えば、図10でフレームレートが30fpsの場合、階層数は3、Bピクチャ連続数は3[2]、表示遅延ピクチャ数は2[2]であり、図11Bのような符号化構造が示されているが、階層数は3以下であればよく、Bピクチャ連続数及び表示遅延ピクチャ数は、3以下の階層数に対応する値であればよい。例えば、階層数が2であり、Bピクチャ連続数が2[1]であり、表示遅延ピクチャ数が2[2]であってもよい。この場合、例えば、図11Aに示す符号化構造が使用される。その場合、図8に示すステップS121の符号化構造符号化では、その使用された符号化構造を示す情報が符号化される。
また、上記説明では、sps_max_num_reorder_picsに表示遅延ピクチャ数が設定されているが、sps_max_num_reorder_picsは、順番が変更されるピクチャの数を表わす変数であってもよい。例えば、図9Cに示す例では、入力画像8、入力画像4及び入力画像2は、入力順(表示順)の位置より前になるように並び替えられて符号化される。この場合、順番が変更されるピクチャ数は3であり、この値3が、sps_max_num_reorder_picsに設定されてもよい。
また、上記説明では、連続数パラメータがsps_max_latency_increase_plus1に設定され、sps_max_num_reorder_pics+sps_max_latency_increase_plus1−1の値(SpsMaxLatencyPictures)をBピクチャ連続数として扱っているが、SpsMaxLatencyPicturesはピクチャ復号完了後にそのピクチャがバッファに格納されてから表示可能となるまでの間に復号されるピクチャの数であるピクチャデコード回数の最大値を示してもよい。例えば、図12Bの画像P4の場合、画像P4の復号が完了してから画像B2、画像B1及び画像B3の3枚の画像が復号された後に、画像P4が表示可能な状態になる。また、画像B2、画像B3、及び画像P4が順に表示される。この最大のピクチャデコード回数である3がSpsMaxLatencyPicturesに設定されてもよい。
また、本実施の形態では各階層に対してsps_max_num_reorder_pics、及びsps_max_latency_increase_plus1が設定され、これらが符号化されているが、その限りではない。例えば、時間スケーラビリティを使わないシステムの場合は最も深い階層(TemporalIdが最も大きい階層)のsps_max_num_reorder_pics、及びsps_max_latency_increase_plus1の値のみが設定され、これらが符号化されてもよい。
また、上記説明では、フレームレートは24fps、30fps、60fps及び120fpsの4種類であるが、それ以外のフレームレートが用いられてもよい。また、フレームレートは、29.97fps等、小数を含んだ数値でもよい。
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布してもよい。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した画像符号化装置に対応する画像復号装置について説明する。
<全体構成>
図13は、本実施の形態における画像復号装置200の構成を示すブロック図である。
図13に示す画像復号装置200は、符号列251を復号することで出力画像263を生成する。符号列251は、例えば、実施の形態1における画像符号化装置100により生成された符号列155である。この画像復号装置200は、可変長復号部201と、逆変換量子化部202と、加算部203と、フレームメモリ204と、イントラ予測ブロック生成部205と、インター予測ブロック生成部206と、制限値復号部208と、画像並び替え部209と、符号化構造確認部210とを備える。
<動作(全体)>
次に、図14を参照しつつ、本実施の形態に係る画像復号処理について説明する。
まず、可変長復号部201は、符号列251から符号化構造制限値257を復号する。この符号化構造制限値257は、sps_max_sub_layers_minus1、sps_max_num_reorder_pics、及びsps_max_latency_increase_plus1を含む。なお、これらの情報の意味は実施の形態1と同様である。次に、制限値復号部208は、sps_max_sub_layers_minus1に1加算することによって階層数を取得し、sps_max_num_reorder_pics+sps_max_latency_increase_plus1−1の算式によってBピクチャ連続数を取得し、sps_max_num_reorder_picsによって表示遅延ピクチャ数を取得する(S201)。また、制限値復号部208は、外部から入力されたHighestTId252の値に対応するTemporalIdの階層のsps_max_num_reorder_pics、及びsps_max_latency_increase_plus1から符号化構造262(階層数、表示遅延ピクチャ数及びBピクチャ連続数)を取得し、取得された符号化構造262を画像並び替え部209及び符号化構造確認部210へ出力する。ここで、HighestTId252は、復号される最大階層のTemporalIdを示す。
次に、符号化構造確認部210は、符号化構造262の各値が運用規定に準拠しているかを確認する(S202)。具体的には、符号化構造確認部210は、外部から入力された送出遅延時間制限値253と、符号列251を可変長復号することで得られたフレームレート256とを用いて、下記(式7)〜(式9)により各制限値を算出し、符号化構造が、算出した制限値以下かどうかを判定する。
階層数=int(log2(送出遅延時間制限値[s]×フレームレート[fps]))+1 ・・・(式7)
表示遅延ピクチャ数[TId]=int(log2(送出遅延時間制限値[s]×フレームレート[fps]÷2(n−TId))) ・・・(式8)
Bピクチャ連続数[TId]=int(送出遅延時間制限値[s]×フレームレート[fps]÷2(n−TId)−1) ・・・(式9)
符号化構造確認部210は、符号化構造が制限値より大きい場合(S203でYes)は、その旨をエラー表示し(S204)、復号処理を終了する。
次に、可変長復号部201は、符号列251から予測モードを示す予測情報255を復号する(S205)。予測モードがイントラ予測の場合(S206でYes)、イントラ予測ブロック生成部205は、イントラ予測で予測ブロック261を生成する(S207)。一方、予測モードがインター予測の場合(S206でNo)、インター予測ブロック生成部206は、インター予測で予測ブロック261を生成する(S208)。
次に、可変長復号部201は、符号列251から変換係数254を復号する(S209)。次に、逆変換量子化部202は、変換係数254に対して逆量子化及び逆周波数変換を行うことによって差分ブロック258を復元する(S210)。次に、加算部203は、差分ブロック258と予測ブロック261と加算することによって復号ブロック259を生成する(S211)。この復号ブロック259は、フレームメモリ204に格納されて、イントラ予測ブロック生成部205及びインター予測ブロック生成部206による予測ブロック生成処理に用いられる。
そして、画像復号装置200は、次の符号ブロックに処理を移し(S212)、ピクチャ内の全符号ブロックの処理が完了するまでステップS205〜S212を繰り返す(S213)。
なお、ステップS205〜S212の処理は、外部から入力されるHighestTId252以下のTemporalIdを有するピクチャのみに対して実施される。
次に、画像並び替え部209は、外部から入力されるHighestTId252の階層の符号化構造262に従って復号ピクチャを並び替え、並び替えた後の復号ピクチャを出力画像263として出力する(S214)。
そして、画像復号装置200は、全ピクチャの処理が完了するまでステップS205〜S214を繰り返す(S215)。
<効果>
以上、本実施の形態に係る画像復号装置200は、効率的な符号化により生成された符号列を復号できる。また、画像復号装置200は、符号化構造が運用規定に準拠しているかを調べ、準拠していない場合は復号処理を停止し、エラー表示を行うことができる。
なお、上記説明では、画像復号装置200は、外部から入力されたHighestTId252に従い、HighestTId252以下の階層のピクチャしか復号しないようにしているが、その限りではない。画像復号装置200は、常に全階層のピクチャを復号してもよい。また、画像復号装置200は、HighestTId252として予め定められた固定値を用い、常にHighestTId252で示される予め定められた階層以下のピクチャのみを復号してもよい。
また、上記説明では、画像復号装置200は、符号化構造262が運用規定に準拠しているかどうかを調べているが、この機能は必須ではなく、符号化構造262を確認しなくてもよい。
また、上記説明では、画像復号装置200は、外部から入力された送出遅延時間制限値253を用いているが、送出遅延時間制限値253として予め定められた固定値を使用してもよい。
その他は実施の形態1と同じであるため、省略する。
なお、各フローの順序については符号化側と同様に上記に限られない。
以上、実施の形態1及び実施の形態2で説明したように、実施の形態1に係る画像符号化装置100は、入力画像153を階層符号化することで符号列155(ビットストリーム)を生成する画像符号化装置であって、図15に示す処理を行う。
まず、画像符号化装置100は、階層符号化における階層数161が、フレームレートに応じて予め決定された最大階層数以下になるように、階層数161を決定する(S301)。ここで、最大階層数は、図10に示す階層数であり、例えば、フレームレートが24fpsの場合には2であり、フレームレートが30fpsの場合には3であり、フレームレートが60fpsの場合に4であり、フレームレートが120fpsの場合には5である。言い換えると、フレームレートが60fps以上の場合、最大階層数は4以上である。また、フレームレートが60fps以下の場合、最大階層数は4以下である。また、フレームレートが30fpsより大きい場合、最大階層数は3より大きい。
なお、画像符号化装置100は、さらに、表示遅延ピクチャ数164が、フレームレートに応じて予め決定された最大ピクチャ数以下になるように、入力画像153のピクチャタイプを決定する。ここで、表示遅延ピクチャ数164とは、画像符号化装置100により生成された符号列155を画像復号装置が復号する際に、当該画像復号装置が画像の復号を開始してから出力(表示)するまでのピクチャの数である。また、ピクチャタイプとは、Iピクチャ、Pピクチャ又はBピクチャである。ここで、最大ピクチャ数は、図10に示す表示遅延ピクチャ数であり、例えば、フレームレートが24fpsの場合には1であり、フレームレートが30fpsの場合には2であり、フレームレートが60fpsの場合に3であり、フレームレートが120fpsの場合には4である。言い換えると、フレームレートが60fps以上の場合、最大ピクチャ数は3以上である。また、フレームレートが60fps以下の場合、最大ピクチャ数は3以下である。また、フレームレートが30fpsより大きい場合、最大ピクチャ数は2より大きい。
また、画像符号化装置100は、さらに、連続するBピクチャの数であるBピクチャ連続数162が、フレームレートに応じて予め決定された最大連続数以下になるように、入力画像153のピクチャタイプを決定する。ここで、最大連続数は、図10に示す表示遅延ピクチャ数であり、例えば、フレームレートが24fpsの場合には2であり、フレームレートが30fpsの場合には3であり、フレームレートが60fpsの場合に7であり、フレームレートが120fpsの場合には15である。言い換えると、フレームレートが60fps以上の場合、最大連続数は7以上である。また、フレームレートが60fps以下の場合、最大連続数は7以下である。また、フレームレートが30fpsより大きい場合、最大連続数は3より大きい。
また、画像符号化装置100は、図10に示すように、フレームレートに応じて、最大階層数、最大ピクチャ数及びBピクチャ連続数を決定してもよい。つまり、画像符号化装置100は、フレームレートが高いほど最大階層数、最大ピクチャ数及びBピクチャ連続数を多く設定してもよい。
また、上述したように、階層数161、表示遅延ピクチャ数164及びBピクチャ連続数162は、フレームレート151及び送出遅延時間制限値152を用いて、上記(式1)、(式3)及び(式4)により算出される。つまり、最大ピクチャ数と、画像符号化装置100に入力画像153が入力されてから符号列155が出力されるまでの時間であるエンコーダ送出遅延(送出遅延時間)と、フレームレートとは以下の関係を満たす。
最大ピクチャ数=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]))
また、最大連続数と、エンコーダ送出遅延と、フレームレートとは以下の関係を満たす。
最大連続数=int(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]−1)
最大階層数と、エンコーダ送出遅延と、フレームレートとは以下の関係を満たす。
最大階層数=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]))+1
また、各階層の最大ピクチャ数[i]と、エンコーダ送出遅延と、フレームレートとは以下の関係を満たす。
最大ピクチャ数[i]=int(log2(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]/2(n−i)))
各階層の最大連続数[i]と、エンコーダ送出遅延と、フレームレートとは以下の関係を満たす。
最大連続数[i]=int(エンコーダ送出遅延[s]×フレームレート[fps]/2(n−i)−1)
ここで、iは、最大階層数以下の整数であり、階層を示す。nは、(最大階層数−1)を示す。
次に、画像符号化装置100は、決定された階層数161及びピクチャタイプで、入力画像153を階層符号化することで符号列155を生成する(S302)。また、画像符号化装置100は、決定された階層数161、表示遅延ピクチャ数164及びBピクチャ連続数162を示す第1情報(sps_max_sub_layers_minus1)、第2情報(sps_max_num_reorder_pics)及び第3情報(sps_max_latency_increase_plus1)を符号化する。
また、実施の形態2に係る画像復号装置200は、画像が階層符号化されることで得られた符号列251(ビットストリーム)を復号することで出力画像263を生成する画像復号装置であって、図16に示す処理を行う。
まず、画像復号装置200は、符号列251から画像を復号する(S401)。
次に、画像復号装置200は、符号列251から、階層符号化における階層数を示す第1情報(sps_max_sub_layers_minus1)を復号する(S402)。例えば、この階層数は、符号列251のフレームレートに応じて予め決定された最大階層数以下である。
さらに、画像復号装置200は、表示遅延ピクチャ数を示す第2情報(sps_max_num_reorder_pics)を、符号列251から復号する。また、画像復号装置200は、さらに、Bピクチャ連続数を示す第3情報(sps_max_latency_increase_plus1)を、符号列251から復号する。
次に、画像復号装置200は、第1情報で示される階層数と、第2情報で示される表示遅延ピクチャ数と、第3情報で示されるBピクチャ連続数とを用いて、復号された画像を並び替えて出力する(S403)。
なお、階層数の最大値である最大階層数、表示遅延ピクチャ数の最大値である最大ピクチャ数及びBピクチャ連続数の最大値である最大連続数の具体例及び制限は、画像符号化装置100の場合と同様である。また、最大階層数、最大ピクチャ数及び最大連続数と、フレームレート及びエンコーダ送出遅延との関係も画像符号化装置100の場合と同様である。
以上、実施の形態に係る画像復号装置及び画像符号化装置ついて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
また、上記実施の形態に係る画像復号装置又は画像符号化装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
言い換えると、画像復号装置及び画像符号化装置は、処理回路(processing circuitry)と、当該処理回路に電気的に接続された(当該処理回路からアクセス可能な)記憶装置(storage)とを備える。処理回路は、専用のハードウェア及びプログラム実行部の少なくとも一方を含む。また、記憶装置は、処理回路がプログラム実行部を含む場合には、当該プログラム実行部により実行されるソフトウェアプログラムを記憶する。処理回路は、記憶装置を用いて、上記実施の形態に係る画像復号方法又は画像符号化方法を実行する。
さらに、本発明は上記ソフトウェアプログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、上記の画像復号方法又は画像符号化方法に含まれるステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
また、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよいし、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、分散処理を行ってもよい。
また、本発明は、受信する端末の機能が多様である、多くのエンドユーザに向けた放送などの場合に特に効果的である。例えば、上述したデータ構造の信号が放送される。4k2kテレビのような端末はフル階層のデータを解くことができる。一方、スマートフォンは2階層までを解くなどができる。また、送信装置は、帯域の混雑状況によっては、フル階層ではなく、上位の階層のみを送ることができる。これにより、柔軟な放送及び通信が可能になる。
以上、本発明の一つ又は複数の態様に係る画像復号装置及び画像符号化装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
図17は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
しかし、コンテンツ供給システムex100は図17のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、図18に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
図19は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を図20に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
図21に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば図19に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
図22Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
さらに、携帯電話ex114の構成例について、図22Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
図23は、多重化データの構成を示す図である。図23に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
図24は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
図25は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。図25における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。図25の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
図26は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには図26下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
図27はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
多重化データ情報ファイルは、図28に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
多重化データ情報は図28に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
ストリーム属性情報は図29に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを図30に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、図31に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。このようなプログラマブル・ロジック・デバイスは、典型的には、ソフトウェア又はファームウェアを構成するプログラムを、ロードする又はメモリ等から読み込むことで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法、又は動画像復号化方法を実行することができる。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(実施の形態6)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。図32は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、図31のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、図31の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態4で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態4で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、図34のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
図33は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
(実施の形態7)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を図35Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明の一態様は、階層符号化に特徴を有していることから、例えば、逆量子化については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外のエントロピー復号、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
また、処理を一部共有化する他の例を図35Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。