JP6346126B2 - 分子量分布測定方法および分子量分布測定装置 - Google Patents

分子量分布測定方法および分子量分布測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、分子量分布測定方法および分子量分布測定装置に関する。
分子量の測定は、化学分析、有機合成、工業的化合物生産、生化学実験操作で基本的に重要である。有機合成や工業的化合物生産では、分子量が合成物の評価の指標である。生化学実験操作では、基本的には直鎖ポリペプチドであるタンパク質、直鎖ポリデオキシリボ核酸であるDNA分子の切断、連結操作に伴う分子量の変化を確認することによって、多段階操作の各段階の成功を確認するためにも分子量は重要である。
また、化学反応による生成物から目的分子を単離するにはクロマトグラフィーを使うことが主流である。クロマトグラフィーでは、分子の大きさとカラム充填剤の網目との相互作用でカラム中を分子が移動する速度が異なる。この結果、保持時間(Retention)が分子量に応じて異なり、インジェクションから溶出までの時間の差に基づいて分子を分離することができる。
一般にクロマトグラフィーでは、分離される分子と、カラム(容器)の壁または充填剤との相互作用によって分子が分離される。例えば、ゲルクロマトグラフィーでは、ゲル(充填剤)の網目の大きさと分離される分子のサイズとによる相互作用によって、小さな分子ほど自由区間体積が大きいために滞留時間が長くなる。その結果、分子量が大きな分子ほど早くカラムを通過するために、分子量による分子の分離を行うことができる(例えば非特許文献1を参照)。
また、ゲル電気泳動法では、電場によって荷電した分子が泳動し、アクリルアミド高分子(充填剤)のマトリクスを分子が通過するときに、大きな分子はマトリクスに阻害されて移動度が小さくなり、小さな分子は移動度が大きくなる。
分子量の異なる複数の分子が混合した混合物のサンプルを、ゲルの一点から泳動させた場合、分子の分子量に応じて移動速度が異なるので、一定の時間だけ電気泳動させると、分子量に応じた位置に分子が停止する。その停止した分子を染色や蛍光法で検出すれば、泳動開始点からの分子の移動距離に基づいて分子量を測定することができる。
分子量を決定するには、分子量が既知のサンプル(以下、これを「分子量マーカー」と呼ぶ。)を同時に泳動させ、その停止位置と、測定対象の分子の停止位置とを比較する。この場合、分子量マーカーおよび測定対象の分子を同じ条件で泳動させ、泳動停止後に停止位置をそれぞれ測定する必要がある。
このように、従来のクロマトグラフィーによる分子の分離では、分離すべき分子(以下、これを「被分離分子」と呼ぶ場合がある。)を含む混合物のサンプルをカラムまたはカラム状の流路に上流から流し、被分離分子と、カラム内に固定された固定相(充填剤)との相互作用による移動速度の差を利用して分子を分離している。
この相互作用が続く限り、分子の移動速度の差が継続するため、長距離または長時間カラム中を移動させると、その分だけ分子量に応じた分子の移動距離の差が長くなるため、その移動距離の差に基づいて分子量差の小さな分子であっても分離できるようになる。その一方で、分子ごとの拡散と移動速度の分散による効果で時間が経過すると同じ分子量であっても溶出時間の分布が広がる。
このため、複数の分子が混合したサンプルをクロマトグラフィーで分離して、複数の分子それぞれの分子量を決定するためには、カラムの長さ、移動速度の分散の効果を考慮して実験条件を決定する必要がある。
クロマトグラフィーにおいては、カラムで生じた分子の濃度分布をカラムの出口に設置したセンサーで検出する。このセンサーには、吸光度、蛍光強度、化学発光強度、屈折率、電気化学活性、電導度を測定する方式がある。
それぞれ被測定分子の性質や、分子に予め標識分子を結合させることによって分子が測定される。標識分子を使うと高感度に分子の濃度分布を測定できるが、被測定分子が未知または標識反応の効率が不明の場合には、標識による測定は困難になる。
吸光による方法では、被測定分子に吸収がある波長を選択する必要があるが、被測定分子によって適する波長が異なるため、広帯域の分光光度計が必要になる。被測定分子によって吸光係数が大きく異なるので、吸光度から濃度を求めるには、あらかじめ目的分子の吸光係数が既知である必要がある。
また、吸光度で感度を上げるためには、光路長を長くする必要があるが、光路長を長くすると、その分だけ体積が必要となり、また長くした光路長分だけ濃度が平均化されるために、カラム中では分離されているが、カラムの出口の検出器の信号ではこれより低い分解能で測定されてしまう。
電気化学的検出方法では、電気化学活性の高い分子は高い感度で検出できるが、それ以外の電気化学活性の低い分子は検出できないため、被測定分子が制限されてしまう。
屈折率測定では、屈折率が溶液の濃度にほぼ比例するために、被測定分子の種類に制限することなく分子の濃度を測定できる。このために、未知の分子を含んで混合したサンプルの分子量分布を測定するために適当である。また、全反射光学系を使った測定では、反射点ごとに濃度を測定できるため、カラム中で分離された分子の情報を欠落させることなく分子量分布を測定できる。
クロマトグラフィーでは、カラムの途中部分で分子の分離が進行するが、その過程は測定されず、出口の一点で溶出した分子の濃度の時間変化を測定し、その波形(クロマトグラム)から分子量分布を測定する。
サンプルが単一の分子であったり、分離の結果、他の分子と十分に分離して溶出時には単一の分子が順に検出器に流れるような場合には、検出器で計測される被測定分子の濃度の時間変化(クロマトグラム)はピーク状になる。電気泳動では、泳動パターンによりピーク状の結果が得られるので、クロマトグラムの場合と同様である。
分子量が近い二つの分子が十分に分離されずにカラムを通過し、検出器に到達する場合には、検出器で記録される濃度パターンは、ピークが重畳したようなクロマトグラムが得られる。
重なりのあるピークでは、分子量の決定が困難になるので、カラムの充填剤、流速、サンプルの体積などを最適化して、ピークが重ならないように、分離操作を行う必要がある。ゲル電気泳動の場合でも、ゲルの組成を変えることで、同様に分離性能を上げる操作が必要となる。
クロマトグラフィーにおいても、ゲル電気泳動においても、充填剤の充填された空間をサンプルが流れる間に分子の分離が行われるため、分解能を上げるにはカラム中の滞留時間を長くする必要があり、分析時間を短縮することができない。
そのため、クロマトグラフィーでは、液送のための圧力を上げることによって流速を上げている。このために、高圧を発生できるポンプとその圧力に耐えられるカラム、液送用接続部品が必要になる。
電気泳動では、電圧を上げることによって泳動速度を上げることができるが、同時に電流も増え、そのため温度が上昇したり、電極での反応が激しくなり、安定した泳動が困難になる。このように、クロマトグラフィーや電気泳動などにおいては、混合物や未知の試料の分子を分子量で分離したり、その分子の分子量を測定するには多くの時間を要する。
そこで、キャピラリーカラムの内部を充填剤で充填することなく、流路を流し去るフロースルー型の流路で分子量による分子の分離を行う方法が提案されている(非特許文献2を参照。)。
この非特許文献2では、高さ1[um]、幅0.5[mm]、69[mm]長のマイクロ流路を作製し、 直径が155[nm]以下の粒子(分子)と安息香酸とを混合した混合物のサンプルをインジェクターからマイクロ流路に注入し、マイクロ流路の出口に設置した紫外線吸収検出器(UV検出器)で溶出パターンを測定した結果、直径の大きな粒子(分子)から順に流出し、安息香酸が最後に検出されることを示している。
これは、直径の大きな粒子(分子)は壁面に近づけず、線流速の速い、より中心部分を流れるために、先に溶出されるからである。このような、フロースルー型の方法はハイドロダイナミッククロマトグラフィー(HDC)と呼ばれる。
また、非特許文献3では、流路の断面のアスペクト比が1に近いHDCで粒子(分子)を分けるには、粒子(分子)のサイズは、流路高さ、あるいは、HDCのカラムの直径の数パーセントより大きい必要がある。
その一方、アスペクト比が大きい流路では、流路高さや動径方向の拡散の方が粒子(分子)のサイズよりも支配的に働き、外部との化学的な相互作用なしに、拡散と流れの効果だけで分子の分離が起きる。
その結果、単純な理論通りに分子の分離が実際に起こり、例えば内径 150[um]、長さ0.3[m]のキャピラリーカラムで、220[nm]の光吸収検出器を用いてヨウ素イオン(分子量127)と硝酸イオン(分子量62)の分離が100秒程度でできるとしている。また、アスペクト比の大きなHDCでは化学的な相互作用を使わないので、その反応にかかる時間が必要なく、流速を上げることができ、短時間、短距離で分子を分離できるとしている。
このように、HDCを用いて高速な分子の分離が期待されるが、充填カラムを用いる液体クロマトグラフィーと比較すると分離性能が低く、それに比べると実現されたHDCの高速性や簡便性はその分離性能が低いというデメリットをカバーできなかった。
このHDCはいわゆるTaylor dispersionを基本とする測定法である。一方、本出願による特願2014-090269では、流路の壁面での濃度を測定することにより、短時間かつ短い流路で分子量(または拡散係数)を測定できる技術を開示している。
この技術では、拡散係数を測定する従来のTaylor dispersion法が、溶質が平均流速で移動する状態になった後の流れ方向の溶質の空間分散を指標にして測定していたのに対して、流路壁面近傍での溶質の移動速度から拡散係数を測定することができる。
具体的には、溶媒で満たされた流路に溶液を注入すると、流路の中心付近では、溶質は流れにのって移動するので流路断面の中で最も高速に移動する。その後、拡散によって減速し、最終的には中心線流速の2/3の速度で移動する。
一方、流路壁面付近では、ゼロスリップコンディションにより流れの速度がゼロなので、溶質は移動しない。しかし、先行する流路中心部分からの拡散によって濃度が変化するため、溶質が進行し始める。したがって、壁面では溶質の速度は0から加速し、最終的には流路中心と同じ中心線流速の2/3まで加速する。
この濃度変化の過程は拡散に依存するので、壁面で溶質が移動するときの加速度から溶質の拡散係数を求めることができる。また、流路出口には、拡散係数に依存する時間で溶質が到達する。
ここで、拡散係数は、分子量と単純な傾向の相関があり、分子量が小さく拡散係数が大きいと速く拡散し、分子量が大きく拡散係数が小さいと遅く拡散するように、分子量によって流路を流れ去る時間が異なるため、分子量に応じてサンプルの溶出時間が異なると言える。したがってこの技術で、拡散係数を求めれば、HDCの高速性・簡便性を上回る性能を持ちながら、求めた拡散係数に基づいて分子を分子量ごとに分離できる可能性がある。
Giddings, J. C., Unified Separation Science. John Wiley and Sons: 1991. Blom, M. T.; Chmela, E.; Oosterbroek, R. E.; Tijssen, R.; van den Berg, A., On-Chip Hydrodynamic Chromatography Separation and Detection of Nanoparticles and Biomolecules. Analytical Chemistry 2003, 75 (24), 6761-6768.Chmela, E.; Tijssen, R.; Blom, M. T.; Gardeniers, H. J. G. E.; van den Berg, A., A Chip System for Size Separation of Macromolecules and Particles by Hydrodynamic Chromatography. Analytical Chemistry 2002, 74 (14), 3470-3475. 非特許文献Okada, T., HYDRODYNAMIC CHROMATOGRAPHY IN NARROW AND WIDE-BORES; WHETHER RADIAL DIFFUSION IS ESSENTIAL OR NOT. Journal of Liquid Chromatography & Related Technologies 2010, 33 (9-12), 1116-1129. Taylor, G., Dispersion of Soluble Matter in Solvent Flowing Slowly through a Tube. Proceedings of the Royal Society of London. Series A. Mathematical and Physical Sciences 1953, 219 (1137), 186-203.)
しかしながら、特願2014-090269による技術では、純粋なサンプルを構成する1種類の分子の分子量(拡散係数)を測定するものであり、混合物を構成する複数の分子の分子量分布を測定することはできなかった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、短時間でサンプル(第2液)を構成する複数の分子の分子量分布を測定する分子量分布測定方法および分子量分布測定装置を提案することを目的とする。
本発明に係る請求項1の分子量分布測定方法は、流路形成部材(101)の流路(113)内において、少なくとも第1液と複数の分子(j)が混合された第2液とを接触させた状態で当該第1液および当該第2液を液送させる液液ステップと、前記流路(113)内で接触された前記第1液と前記第2液とが互いに拡散したときの当該第2液の合計濃度分布(Call)を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された前記合計濃度分布(Call)に基づいて前記第2液を構成する複数の分子(j)の分子量分布(A(Q))算出する分子量分布算出ステップとを有するようにする。
請求項1記載の分子量分布測定方法において、前記測定ステップは、前記流路形成部材(101)の流路壁面近傍の前記合計濃度分布(Call)を測定するようにする。
請求項1記載の分子量分布測定方法において、前記流路形成部材(101)は、液送方向とは直交する断面のアスペクト比が1よりも大きいようにする。
本発明に係る請求項4の分子量分布測定装置は、流路(113)が形成された流路形成部材(101)と、前記流路(113)内において、少なくとも第1液と複数の分子(j)が混合された第2液とを接触させた状態で当該第1液および当該第2液を液送させる液送部(106)と、前記流路(113)内で接触された前記第1液と前記第2液とが互いに拡散したときの当該第2液の合計濃度分布(Call)を測定する測定部(102)と、前記測定部(102)で測定された前記合計濃度(Call)に基づいて前記第2液を構成する複数の分子(j)の分子量分布(A(Q))を算出する分子量分布算出部(102)とを備えるようにする。
請求項1および4の本発明によれば、微小な短い流路(113)を用い、少ない手順かつ短時間のうちに、第2液を構成する複数の分子の分子量分布(A(Q))を算出することができる。
請求項2の発明によれば、流路壁面近傍の合計濃度(Call)を測定するので、流れによる影響を最も受けない部分の安定した濃度変化を測定することができる。
請求項3の発明によれば、流路(113)は、その流路断面のアスペクト比が1よりも大きいことにより、第2液が外部との相互作用なしに拡散と流れの効果だけで分子の分離を生じさせることが可能となる。
本発明の実施の形態におけるHDC装置の構成を示す斜視図である。 マイクロ流路チップの構成を示す斜視図である。 屈折率Aから屈折率Bへ流路の中が切り替わる状態の測定結果を示すグラフである。 マイクロ流路の主流路をモデル化したモデル図である。 第1液から第2液へ切り替わるときの初期状態を示すモデル図である。 所定時間経過後における第1液から第2液へ切り替わるときの濃度分布を示すモデル図である。 3種類の相互拡散係数Qで第1液(純物質の液体)と第2液(複数の分子の混合溶液)とが接触し流路を流れていく状態をそれぞれ示す時空間濃度分布を示すモデル図である。 図7の時空間濃度分布を時間微分したときの図である。 図7の時空間濃度分布を空間微分したときの図である。 6個の個別分子を溶解した6種類のサンプル、および、3分子を混合したサンプルの時空間濃度分布を空間微分したときの図、および、3分子を混合したサンプルの分子検出結果を示す図である。 6個の個別分子を溶解した6種類のサンプルの拡散係数分布および分子量分布を示す図である。
以下、本発明の実施の形態における分子量分布測定装置としてのHDC(Hydrodynamic chromatography)装置の概要について説明する。本実施の形態においては、「濃度」を「屈折率」に置き換えて測定するため、「濃度」と「屈折率」との間には一定の比例関係を有するものとして考える。また、「拡散係数」と「分子量」とは、単調で単純な関係であり、所定の関係式に基づいて互いに換算できるものとする。
<HDC装置の概要>
このHDC装置は、流路形成部材に形成された流路の少なくとも一部を満たした第1液に対して、2種類以上の複数の分子を混合した第2液が接触された後、当該第1液および当該第2液が流路を液送されながら互いに拡散したときの第2液に含まれている複数の分子の合計の濃度(以下、これを「合計濃度」と呼ぶ。)を測定し、非負最小二乗法等の所定の成分濃度計算方法によって、第2液に含まれている複数の分子の分子量ごとの濃度の分布(分子量分布)を算出するものである。
<HDC装置の構成>
図1に示すように、拡散係数の測定を行うHDC装置100は、流路形成部材としてのマイクロ流路チップ101と、当該マイクロ流路チップ101を載置した状態で接続された屈折率測定装置102と、FEP(フッ素樹脂)チューブ103によりマイクロ流路チップ101の大気解放された液体導入穴110と接続される注入装置としての液体分注装置104と、当該FEPチューブ103によりマイクロ流路チップ101の液体排出穴111と気密状態のまま接続された気液分離装置105と、当該気液分離装置105とFEPチューブ103により接続された液送開始装置としての圧力制御ポンプ106とによって構成されている。
図2に示すように、マイクロ流路チップ101は、主流路113の一端に液体導入穴110が形成されるとともに主流路113の他端に液体排出穴111が形成されている。なお、液体導入穴110、主流路113、および、液体排出穴111により、全体として非常に微小な流路(以下、これを「マイクロ流路」と呼ぶ。)112が構成されている。
主流路113の流路形状は、PDMS(ポリジメチルシロキサン)を使った鋳型法で作成されている。具体的には、主流路113は、アスペクト比が1よりも大きい100[μm]×1[mm]程度の単純な直方体形状で、かつ、その流路長は5[mm]程度である。ただし、これに限るものではない。なお、このマイクロ流路チップ101は、ガラス(BK7)の基板とマイクロ流路112とを接着して構成されている。
屈折率測定装置102は、全反射光学系の屈折率測定装置であり、イメージセンサ等のカメラ部120を主流路113の鉛直方向下方に備えている。したがって屈折率測定装置102では、マイクロ流路112の主流路113の中心線に沿った壁面近傍位置の屈折率(濃度)を測定部としてのカメラ部120により測定する。なお、屈折率測定装置102は、主流路113の壁面近傍位置の屈折率(濃度)を測定するため、主流路113の流れによる影響を最も受けない部分の安定した濃度変化を測定することができる。
屈折率測定装置102は、表面プラスモン共鳴(SPR)型または臨界角あるいはブリュースター角測定型の装置を用いることができる。SPR型の場合には、マイクロ流路112の屈折率測定装置102側の壁面に金属膜が必要である。
また、気液分離装置105は、気体と液体とを分離する装置である。液体分注装置104は、液体導入穴110に対して液体を所定のタイミングで供給する装置である。
なお、屈折率測定装置102は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、インタフェース等からなるコンピュータ(ハードウェア)にコンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現され、当該屈折率測定装置102における拡散係数の算出部等の機能部については、コンピュータの各種ハードウェア資源とコンピュータプログラムとが協働することによって実現される。また、コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体や記憶装置に格納された状態で提供されても良く、或いは電気通信回線を介して提供されても良い。
<インジェクション>
このような構成のHDC装置100において、第1液と第2液とを接触させる方法について説明する。HDC装置100では、マイクロ流路112における主流路113の体積の10倍となる水を液体分注装置104により液体導入穴110に滴下し、圧力制御ポンプ106により一定の圧力で吸引すると、主流路113内を所定の圧力状態にすることができ、その圧力状態に応じた液速で液体(水)が主流路113の中を流れ、主流路113を満たした後、気液分離装置105に達する。液体は気液分離装置105の底に溜まり、圧力の制御に必要な気体が圧力制御ポンプ106に達する。
なお、HDC装置100では、気液分離装置105と圧力制御ポンプ106とが分離された状態で用いられているが、これに限るものではなく、液体の圧力も制御可能な圧力制御ポンプが液送開始装置として用いられるようにしても良い。
主流路113を液体(水)が満たした状態で、液体分注装置104によりマイクロ流路112における液体導入穴110に屈折率Aの第1液(溶媒)を滴下する。第1液は、純物質の液体である。ただし、これに限るものではなく、第1液は、混合物、ブロッキング剤を含む溶液であってもよい。
第1液を滴下すると、先にマイクロ流路112の入口まで満たしていた液体(水)と接触し、このため著しく表面張力が低下し、圧力制御ポンプ106の圧力により液送され始める。
液体導入穴110のサンプル(第1液)の体積が徐々に減り、その水面がマイクロ流路112の入り口(液体導入穴110と主流路113との接続点)まで下がると、第1液の表面張力と圧力制御ポンプ106の圧力とがバランスし、それ以上は第1液が動かなくなる。
このときに屈折率測定装置102のカメラ部120により主流路113の屈折率を測定すると、第1液の屈折率Aに相当する値が当該主流路113と平行な測定軸Zに沿って均一に測定される。これは主流路113が第1液で満たされているからである。
<第1液および第2液の接触および液送>
次に、屈折率測定装置102において、1/150秒毎に屈折率の時間変化を測定できるようにカメラ部120を設定する。この設定において、液体分注装置104により液体導入孔110に屈折率Bの第2液を滴下すると、このときも、圧力制御ポンプ106の圧力により第2液の送液が開始される。すなわち、第1液および第2液を接触させた後に当該第1液および第2液を主流路113内で液送させる。なお、主流路113において、第1液を液送している最中に、その主流路113に第2液を滴下し、第1液と第2液とを接触させた状態で液送させるようにしてもよい。
ここで、第2液は、第1液を同じ組成比で含んでいる必要がある。この場合、第2液は、第1液に塩化ナトリウム(Nacl)、アプロチニン(Aprotinin)、免疫グロブリンG(IgG)の3分子を含んだ屈折率Bの溶液とする。
このとき屈折率測定装置102では、図3(A)に示すように、屈折率Aから屈折率Bに主流路113の中が切り替わる状態を観測することができる。この場合、屈折率A、Bについては、屈折率Aよりも屈折率Bの方が高い。図3(A)では時間をX軸に、主流路113中での上流から下流への位置をY軸に、屈折率の時間変化をZ軸に表示している。
また屈折率測定装置102では、図3(B)に示すように、主流路113の屈折率観測範囲(Y軸)の中心では、最初に第1液の屈折率Aを観測し、屈折率Bの第2液の流れの到着から時間経過とともに屈折率Bを観測するという変化の状態を観測することができる。なお、図3(B)では、屈折率を屈折率に比例するSPR angleと記述する。
<拡散係数と合計濃度時空間分布との関係>
ここで、拡散係数と合計濃度時空間分布との一般的な関係について説明する。この場合、1種類の分子が含まれた第2液を対象とし、図1に示されたようなHDC装置100と同じ形状の流路モデルを構築し、OpenFOAMのInter Mixing Foam(例えば、非特許文献4を参照)を用いて、合計濃度分布(時空間分布)を計算した。
図4に示すように、HDC装置100の主流路113をモデル化した流路200を用い、この流路200の両端に一定の圧力をかけ、かつ、第1液と第2液の相互拡散係数を設定し、溶質濃度の時空間分布を計算した。
初期状態として、流路200に第1液が充填された後に第2液が注入され、当該流路200において停止していた流れが再開した時点から計算を開始し、流路200内で第1液が第2液に切り替わる状態を計算した。ここで、計算対象の形状を簡素化するために、第2液は同じ形の流路に予め入っているものとし、流路入口面201は単一の断面形状の直方体型流路の途中にあるものとする。
計算は効率化のために二次元で行い、流路200の幅が無限大の平行平板であると設定し、流路200の下面での物質濃度勾配が「0」であり、壁面の滑りもない(non slip )境界条件を設定した。また、流路200の上方向では対称性を設定し、当該流路200の半分の厚さ(高さ)で計算するものとする。以下の図では、この半分の厚さの計算結果を示す。
図5(A)に示すように、初期状態では、第1液が流路200の大半を占め、第2液が流路入口面201の上流に配置されている。この場合、第2液と第1液とが流路長手方向(液送方向)に対して垂直な境界面で接していることが分かる。また図5(B)では、屈折率の測定対象となる流路200の下面での第2液の分率(濃度)が示されている。
図6(A)に示すように、時間が経過すると、流路200の両端にかけられた圧力によって第1液と第2液とが流路200の下流方向へ流れていく。その際、相互拡散係数Dmによって溶媒の第1液と溶液の第2液が混合しながら流れていく。この計算では、第1液および第2液しかないので、第1液から第2液への相互拡散係数Dm1と、第2液から第1液への相互拡散係数Dm2とは一致しているものとする。
この計算では、流路200が全長500[μm]と短いとすると、時間についても開始から0.1[s]までの間に流路200を流れ切るので、流路200の断面では第1液と第2液とが均一にはなり切らずに下流方向へ流れていくことが分かる。また、拡散による混合と断面内流速分布のために、流速が最大である流路中心(図6(A)の上方)で先に境界面が下流方向へ移動していることが分かる。
この場合、流路200の下面では、壁面での流速が「0」で滑りがない境界条件を仮定しているので(ゼロスリップを仮定しているので)、図6(A)の下方の流路200の下面(壁面)では液体の移動速度である流速が「0」である。
しかし、流路200の下面でも、液液境界が下流方向へ移動している。これは、流路200の流れ方向とは垂直な方向にも第1液と第2液とが拡散によって混ざりながら流れるからである。図6(B)のグラフでは、流路200の壁面における第2液の濃度分布が広範囲に広がっていることが分かる。
この流路200の流路モデルでは、粘性係数が共通な第1液と第2液とが接触し、その粘性が変化することなく混合され、層流で流路200の下流方向へ流れながら混ざる。
計算では、単純化するために、第1液および第2液は両方とも純粋な溶媒で単一の相互拡散係数Dm(第1液の拡散係数Dm1=第2液の拡散係数Dm2)で混合されるものであるとし、計算により、その混合割合を濃度と読み替えて、その混合割合(濃度)を流路200内の流れ方向の各位置と時間とに基づいて求める。
なお、層流での流速は粘度に依存するが、拡散係数には依存しない。また、この計算では、粘性は不変であるとし、層流で流れるような流路形状を仮定しているので、流速の分布は相互拡散係数Dmの設定にかかわらず同じになる。
粘度は、溶液の濃度を下げることにより、無視できるようになる。また、混合溶媒としての第1液の成分を調整し、第2液の溶質を第1液に溶解させれば、粘度の差を小さくすることができる。さらに、粘度が既知の場合には、数値計算によって、その粘度の場合の濃度分布を求めることができる。
<第2液の合計濃度分布の測定>
一方、同一濃度(f)を有する複数の分子が混合された第2液を対象とした場合に、屈折率測定装置102のカメラ部120により測定される第2液の合計濃度分布について説明する。
ここで、第1液の濃度分布について、第1液の相互拡散係数「Dm1」を用いると、主流路113の各地点(y,z)および各時間(t)での第1液の濃度分布は「c(y,z,t,Dm1)」で表すことができる。
また、第2液が同一濃度(f)を有する複数の分子の混合溶液であるため、第2液を構成する各分子(j)の第1液との相互拡散係数を「Dm(j)」とし、この「Dm(j)」が各々独立であるとすると、第2液の合計濃度分布Callは、次の(式1)で表すことができる。なお、各分子(j)において、j=1〜n、nは2以上の整数である。
Call=Σjf*c(y,z,t,Dm(j))……………………………………………………………(式1)
ここで、「f」は分子(j)に依存しない同一の濃度値(固定値)、「y」は主流路113の流れ方向の位置、「z」は主流路113の高さ方向の位置、「t」は時間である。また、c(y,z,t,Dm(j))は、第2液を最高濃度で規格化したときの各地点(y,z)および各時間(t)での各分子(j)の濃度分布である。すなわち、濃度分布c(y,z,t,Dm(j))で表される濃度値は、0〜1までの値となる。
つまり、第2液の合計濃度分布Callは、単一の分子(j)の相互拡散係数Dm(j)で計算した第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,z,t,Dm(j))の総和なる。第1液および第2液の相互拡散係数Dm(j)が異なる溶質間では、相互に拡散係数が影響するので、第2液が高濃度では厳密には成立しない場合があるが、その他の場合の低濃度ではより良く成立する場合が多い。
<分子量分離>
さらに、第2液が濃度の異なる複数の分子(j)(ここで、j=1〜n)の混合物であったり、複数の分子(j)の分子量分布を持ったポリマーであった場合には、単一な分子量の各分子(j)の濃度をA(j)とすると、第2液の合計濃度分布Callは、次の(式2)で表すことができる。なお、分子(j)の濃度A(j)は、非負の値である。この場合、分子(j)の濃度A(j)は、分子の種類(j)によって変化するものとする。
Call=ΣjA(j)*c(y,z,t,Dm(j))…………………………………………………………(式2)
この場合、屈折率測定装置102のカメラ部120により取得される第2液の合計濃度分布Callの測定値と、屈折率測定装置102の算出部により計算される第2液の濃度分布c(y,z,t,Dm(j))の値とに基づいて、非負最小二乗法等の成分濃度計算方法により、分子(j)の濃度A(j)を求めることができる。
ここで、第2液の濃度分布c(y,z,t,Dm(j))が求められると、第2液に含まれている各分子(j)の種類とその分子量は既知なので、各分子(j)を分子量と濃度A(j)との時空間濃度分布で表すことが可能となる。すなわち、第2液の濃度分布c(y,z,t,Dm(j))に基づいて分子(j)を分子量で分離できたことになる。
<分子量分布>
次に、第2液の分子量分布A(Q)を算出する方法について説明する。分子(j)の濃度A(j)は、連続的に分布していると考えてもよく、各分子(j)の種類とその分子量が既知であり、各分子(j)の分子量に基づいて連続的に表すことができるので、第2液の合計濃度分布Callは、次の(式3)で表すことができる。
Call=∫A(Q)*c(y,z,t,Q)dQ…………………………………………………………(式3)
ここで、A(Q)は、第2液の分子量分布であり、非負の値である。また、「Q」は、第2液の分子(j)の相互拡散係数を表す積分変数である。
この(式3)による積分は、第2液に含まれている複数の分子(j)の相互拡散係数Qを用いて行う。(式3)における第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,z,t,Q)は、任意の分子(j)の拡散係数Qに基づいて屈折率測定装置102の算出部による数値計算により求めることが可能である。
第2液の合計濃度分布Callは、上述したように全反射光学系の屈折率測定装置102のカメラ部120によって測定可能な測定値である。(式3)において、第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,z,t,Q)は、主流路113の流路壁面の値であるため、z=0であり、濃度分布c(y,0,t,Q)となる。
この場合、第2液の合計濃度分布Callは、屈折率測定装置102のカメラ部120により2次元の配列(画像)として測定される。その際、各地点(y,z)において測定された1つ1つの画像は、その地点における第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,z,t,Q)である。
したがって、屈折率測定装置102において、カメラ部120による測定時間間隔と主流路113の被測定部分の長さとを調節することにより、第2液の合計濃度分布Callを表す時空間濃度分布(画像)を高分解能で取得することができる。
第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,0,t,Q)と、屈折率測定装置102により取得される第2液の合計濃度分布Callとが既知なので、非負最小二乗法等を用いた所定の成分濃度計算方法(数学的計算手法)により、第2液の分子量分布A(Q)を推定することが可能である。このようにして、第2液の分子量分布A(Q)を算出することができるのである。
具体的には、図7(A)〜(C)に示すように、縦軸yの400の位置で第1液と第2液とが接触し、その後、主流路113を流れていく様子が、拡散係数Qが1e-8[m2/s]、1e-9[m2/s]、1e-10[m2/s]ごとに示されている。
すなわち、図7では、濃淡が濃度の違いを表しており、拡散係数Qが大きいほど第2液の合計濃度分布Callの空間濃度勾配が緩くなり、拡散係数Qが小さいほど第2液の合計濃度分布Callの空間濃度勾配が急峻になることが分かる。
このように、1e-8[m2/s]、1e-9[m2/s]、1e-10[m2/s]の拡散係数Qごとに、第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,0,t,Q)を計算により求めることが可能である。この場合、第2液の各分子(j)の全拡散係数範囲で拡散係数Qを設定して濃度分布c(y,0,t,Q)を幾らでも細かく計算することができ、事実上、濃度分布c(y,0,t,Q)は拡散係数Qに関して連続な関数として計算できる。これにより、第2液の分子量分布A(Q)を高い分解能で求めることができる。
なお、上述したように、(式3)から第2液の分子量分布A(Q)を求める際には、その前に、(式3)を時間変数tまたは主流路113の流路方向の位置変数y、あるいは、その両方で、1階微分しても高階微分(時間変数tでn(nは2以上の整数)階微分、位置変数yでn階微分等)してもよい。これにより、第1液と第2液とが接触する境界面を協調することができる。
図8(A)〜(C)は、(式3)の濃度分布c(y,0,t,Q)を時間微分した第2液の時空間濃度分布であり、濃淡は濃度の時間微分の結果を表している。図9(A)〜(C)は、(式3)の濃度分布c(y,0,t,Q)を、時間変数tおよび主流路113の流路方向の位置変数yで空間微分した結果の第2液の時空間濃度分布である。
このように、濃度分布c(y,0,t,Q)を時間微分または空間微分した場合、第1液と第2液とが接触する境界面を協調するとともに、計算処理量を低減しながら第2液の分子量分布A(Q)を高い分解能で測定することができる。
<3分子の混合物に対する分子量分布の推定>
次に、計算によるのではなく、実験的により得た第2液の各分子(j)の濃度分布c(y,0,t,Q)を使って3分子の混合物の第2液からそれぞれの分子(j)の濃度A(j)の分子量分布を算出(推定)した実験の結果について説明する。
この場合、例えば、ブロックエース溶液を第1液とし、塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、アプロチニン、ヒトアルブミン(HSA)、ヒトIgG(hIgG)の6分子をそれぞれ個別にブロックエース溶液に溶解した6種類の溶液を第2液とした場合の第2液の屈折率(濃度)の変化をそれぞれ測定した。また、上記の6分子のうち、塩化ナトリウム、アプロチニン、ヒトIgGの3分子を混合したサンプルの屈折率(濃度)の変化を同様に測定した。
この6個の個別分子におけるそれぞれの屈折率(濃度)の変化を空間微分した結果と、3分子を混合したサンプルにおける屈折率(濃度)の変化を空間微分した結果とを図10(A)に示す。この図10(A)では、第1液と第2液との接触前0.1秒の時点から、接触後0.67秒の時点までの測定データを用いた。すなわち、この場合の分子量分布の測定に必要な時間は、0.77秒になる。
3分子を混合したサンプルの屈折率(濃度)の変化は、相当する3個の個別分子の屈折率(濃度)の変化の和となっている。ここで、非負最小二乗法により、(式3)の右辺と左辺の差の2乗和が最小となる第2液の分子量分布A(Q)を計算すると、図10(B)に示す結果が得られた。
実際に、サンプルに混合されているとおり、塩化ナトリウム、アプロチニン、ヒトIgGが検出され、サンプルには混合されていないグルコース、スクロース、ヒトアルブミン(HSA)は検出されなかった。この場合、検出された3分子の濃度比は、本来1:1:1になるはずであるが、この例では、第2液の合計濃度分布Callの測定値に含まれるノイズと、測定中に主流路113の両端の圧力差を一定に保持できなかったため、高精度に濃度比を決められていない。
しかしながら、サンプルに混合されている分子(塩化ナトリウム、アプロチニン、ヒトIgG)が、サンプルに混合されていない分子(グルコース、スクロース、ヒトアルブミン(HSA))から正確に分離できていることが分かる。
6分子の拡散係数Qと6分子の分子量とは、既知なので、この値を使って図10(B)を拡散係数、分子量に対応させてグラフにすると、図11(A)、(B)に示すように、サンプルの拡散係数分布および分子量分布を得ることができる。すなわち、この方法でクロマトグラフィーを行うことができることが分かる。
このように、屈折率測定装置102では、例えば塩化ナトリウム(Nacl)から免疫グロブリンG(IgG)までの分子量範囲(50〜15万)の無機塩、糖、タンパク質の混合物を1回の操作で約0.77秒という短時間の間に分離することができる。
この場合、HDC装置100は、特別な充填カラム、ゲル、流路内部の特別な構造は必要なく、単に中空の長さ5mm程度の主流路113があればよく、また、送液のための高圧なポンプ類が不要で、100[Pa]以下の極めて小規模なポンプだけで実現することができる。
<効果>
HDC装置100は、第2液を構成する複数の分子の分子量分布を、微小な主流路113からなる極めて単純な装置、手順により、短時間のうちに高速かつ高精度に測定することができる。
また、このHDC装置100において実現する主流路113は、背圧の低い短流路であり、そこに液送する圧力は、表面張力で実現されるほど極めて低くて済むため、低圧のポンプでよく、かつシールも容易である。サンプルを主流路113にインジェクションする際も、液送する圧力が低いため、特別なインジェクターは不要であり、液体導入穴110と主流路113との接続点からサンプルを単に供給するだけでよい。
さらに、HDC装置100は、マイクロ流路112の主流路113の液送方向に対して直交する流路断面のアスペクト比が1よりも大きいことにより、第2液が外部との相互作用なしに拡散と流れの効果だけで分子の分離を生じさせることが可能となる。
さらに、HDC装置100は、主流路113に溶質と相互作用する物質は全く存在せず、単なる中空でありながら、混合物のサンプルにおける50以下の分子量から16万を超える分子量までの範囲内で分離することができる。
なお、HDC装置100では、第2液の合計濃度Callの測定には、全反射光学系からなる屈折率測定装置102を用い、光源からの反射光をマイクロ流路112の下方からカメラ部120により撮像する構成であるため、カメラ部120を移動させる可動部品が不要であり、全体の構成を簡素化できると共に低コストで実現することができる。
<他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、非負最小二乗法等の成分濃度測定方法により第2液の分子量分布A(Q)を求めるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、屈折率測定装置102により測定された第2液の合計濃度Callの時空間分布と、既に過去に求めておいた合計濃度Callの時空間分布(教師データ)とを照合することにより、教師有り学習法で第2液の分子量分布を求めるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、非負最小二乗法等の成分濃度測定方法(計算手法)により第2液の分子量分布A(Q)を求めるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他の疑似逆行列やスペクトル分解、一般調和解析等の成分濃度測定方法(計算手法)を用いて、第2液の分子量分布A(Q)を求めるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、分子の拡散係数Qが一定であることを前提として第2液の分子量分布A(Q)を求めるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、分子の拡散係数Qが第1液と第2液との混合過程で変化するような場合であっても適用することができる。この場合、HDC装置100では、非常に短い主流路113で短時間のうちに流れ切るので、分子の拡散係数Qが変化する前に第2液の分子量分布A(Q)を求めることができる。
さらに、上述した実施の形態においては、第2液の液送に定圧の圧力制御ポンプ106を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ろ紙、または、ピラー構造を使った表面張力により第2液を液送するようにしても良い。
本願の分子量分布測定方法および分子量分布測定装置は、測定の自動化も容易であり、測定時間の短さを利用した連続測定などに適する。特に、拡散係数が大きくなる化学反応の初期過程を測定することができるという特徴を有するため、化学反応の反応時間の長い測定の時間短縮化を図るのに適する。したがって、このような生化学、医療、食品、化学工学分野での利用価値が高い。
100…HDC測定装置(分子量分布測定装置)、101…マイクロ流路チップ、102…屈折率測定装置(算出部)、103…FEPチューブ、104…液体分注装置(注入装置)、105…気液分離装置、106…圧力制御ポンプ(液送部)、110…液体導入穴、111…液体排出穴、112…マイクロ流路チップ、113…主流路(流路)、120……カメラ部、200…流路、201…流路入口面、202…流路出口。

Claims (4)

  1. 流路形成部材の流路内において、少なくとも第1液と複数の分子が混合された第2液とが接触した状態で当該第1液および当該第2液を液送させる液送ステップと、
    前記流路内で接触された前記第1液と前記第2液とが互いに拡散したときの当該第2液の合計濃度分布を測定する測定ステップと、
    前記測定ステップで測定された前記合計濃度分布に基づいて前記第2液を構成する前記複数の分子の分子量分布を算出する分子量分布算出ステップと
    を有することを特徴とする分子量分布測定方法。
  2. 請求項1記載の分子量分布測定方法において、
    前記測定ステップは、前記流路形成部材の流路壁面近傍の前記合計濃度分布を測定する
    ことを特徴とする分子量分布測定方法。
  3. 請求項1記載の分子量分布測定方法において、
    前記流路形成部材は、液送方向とは直交する断面のアスペクト比が1よりも大きい
    ことを特徴とする分子量分布測定方法。
  4. 流路が形成された流路形成部材と、
    前記流路内において、少なくとも第1液と複数の分子が混合された第2液とを接触させた状態で当該第1液および当該第2液を液送させる液送部と、
    前記流路内で接触された前記第1液と前記第2液とが互いに拡散したときの当該第2液の合計濃度分布を測定する測定部と、
    前記測定部で測定された前記合計濃度分布に基づいて前記第2液を構成する前記複数の分子の分子量分布を算出する分子量分布算出部と
    を備えることを特徴とする分子量分布測定装置。
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