JP6343708B1 - 撥水層の厚み計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗値及び誘電率が含水率によって変化しても、その影響が出ないで撥水層厚が測定できること。【解決手段】電極板面積Sの2枚を一対とし、前記極板相互の中心位置までの水平面距離tの比の等比共面電極定数S/tが一定の等比共面電極に高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数の特性を得て、前記一次関数の特性の傾きの(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得る。これによって、塗布したシラン系表面含浸材の浸透深さ等を計測し、シラン系表面含浸材の撥水層厚を測定する【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート表面にコーティングした撥水層の厚みを供試体の内部と表層部との含水率の差を計測する計測方法に関するもので、例えば、撥水層の厚み計測方法に属するものである。
例えば、コンクリートの骨材の配合を行う場合、「表乾状態(表面乾燥飽水状態)」にあることを前提とし、骨材の密度を求め、各種の配合設計に準じて配合している。ここで、「表乾状態」とは、押し固められた骨材の内部の空隙は水分で満たされた状態にあり、骨材の表面は水分を含まない状態にあることが前提となっている。
一般に、骨材の表乾状態を判定するには、JIS A1109に規格化されたフローコーン法が採用されている。これによると、截頭円錐状を呈するフローコーンに骨材を充填し、突き棒で突くことによって所定固さに突き固め、その後、徐々にフローコーンを上方に向かって引上げ、突き固められた骨材が崩れるか、崩れないかの境界付近の状態を表乾状態として判断している。
ところが、これらの表乾状態の判断には、骨材が崩れた正確なデータが必要となる。特に、正確な判断を行うには経験則が必要となる。そのため、不慣れな測定者は、正確な判断ができない場合もある。
特に、上述したフローコーン法は、主に「天然骨材」と呼ばれる砂や砂利等に対して実施されるものであるが、近年、この「天然骨材」の供給量が減少し、多くの代替物が骨材として用いられている。例えば、砕砂、高炉スラグ、ゴミ溶融スラグ、再生骨材等の所謂「低品位」の骨材が多く利用されている。これらの低品位の骨材は、表面がガラス質性状や多孔質性状を呈することがあり、天然骨材とは明らかに異なる表乾特性を有することがある。そのため、フローコーン法では砕砂等の骨材に対して正確な表乾状態を判定することが特に困難となっている。
例えば、JIS規格化されたフローコーンの形状と異なる自立角或いは広径等のサイズによって形成された新しい基準の表乾判定用コーンを用いる方法、赤外線の反射率を利用して水分量を計測するもの(非特許文献1参照)、乾湿状態における電気抵抗の変化を利用するもの(非特許文献2参照)、遠心脱水法を利用するもの(非特許文献3参照)などが知られている。
竹内一真、外3名 「細骨材の表乾判定試験方法に関する基礎的研究」、コンクリート工学年次論文集、Vol.25、No.1、2003、p77−p82 山本大介、外4名 「海砂代替骨材としての砕砂の表乾判定方法に関する検討」、土木学会第59回年次学術講演会、平成16年9月、p491−p492 鈴木一雄、外1名 「細骨材の簡易表乾決定法に関する一検討」、第48回セメント技術大会講演集、1994、p156−p159 特開2006−329801号公報
非特許文献1では、異なる自立角及びサイズによって形成されたフローコーンを利用しており、表乾状態の判断に従来と同様にある程度の経験則が必要となり、精度の良い再現性を求めることが困難であった。また、骨材の種類や性状に応じて、最適なフローコーンを適宜選択する必要があり、複数種類のフローコーンを予め準備しておく必要があった。
特に、非特許文献1の赤外線の反射率を利用するものは、一般に水に吸収されやすい赤外線波長(1.46μm)と、水に吸収され難い赤外線波長(1.6μm)の二種類の波長を利用し、主に骨材として「シラス」を対象として測定したデータによって算出されていたから、その他の低品位骨材に対する作用について開示されていなかった。
また、非特許文献2では、砕砂を測定対象の試料として各種の測定を実施し、種々の結果を総合することにより、フローコーン法が最も妥当性を有する結果が得られ、その他の方法は非特許文献2の測定結果では特に優れた特性を示すものではなかった。
そして、非特許文献3では、高精度に表乾状態を判断することが可能になるが、対象となる骨材を遠心分離装置にセットし、試料に応じて数G〜数千Gの遠心力を与える必要があり、表乾状態の判定のための装置が大がかりとなり、簡易な表乾状態の判定に適さないことがあった。
一方、現今のコンクリート構造物の耐久性の向上は、シラン系表面含浸材を表面に塗布し、浸透させ、コンクリート内部に撥水層を形成させる工法が注目されている。
この撥水層を施すことにより水分の侵入を抑制し、塩分や水分等のコンクリートの劣化因子の浸入を抑制することでコンクリートの耐久性を高めることができる。例えば、『北海道開発局道路設計要領』にはシラン系表面含浸材の製品選定の目安として、凍害対策では、浸透深さが6mm以上あるものと規定している。
しかし、その施工された撥水層厚を確かめるには、コンクリートに穿設して観察する方法がある。このコンクリートに穿設する方法は、施工製品に傷をつけることになり、必ずしも好ましい方法ではなかった。そこで、事前に作製した供試体への塗布量と撥水層厚との関係から、塗布量で管理されているが、その施工実態は不明である。
表面含浸材により形成される撥水層厚は、コンクリートの含水率に影響されることが報告されている。含水率が高いと浸透深さが小さくなる。施工現場において降雨や日射等の影響で含水率が場所によって異なることが考えられる。このため、現場における撥水層厚は、供試体に塗布した量による推定値とは誤差が生じることも考えられる。また、既存のコンクリート構造物に塗布する場合は、別途作製した供試体が残っていない場合が多く、供試体への塗布量と撥水層厚との関係を求めることができない。
このようなことから、表面含浸工法を適用する場合、形成された撥水層で管理する方が施工品質を高められる。そこで、本発明者らは含水率の高低による電気的変化を利用し、コンクリートの撥水層厚を推定する方法を究明している。
そこで、本発明者らは、特許文献1で比較的簡易な構成の骨材の表乾状態判定法を提供した。即ち、これは絶乾状態の骨材に水を混合して攪拌し、それぞれ所定の含水率に調製する基準試料調製工程と、絶乾状態の骨材に水を混合して攪拌し、それぞれ所定の含水率に調製するとともに、導電性を有するイオン化物質を添加し、更に攪拌するイオン化試料調製工程と、前記基準試料調製工程によって調製された含水率の異なる複数の基準試料及び前記イオン化試料調製工程によって調製された含水率の異なる複数のイオン化試料を、所定形状の測定用容器の中にそれぞれ充填し、試料表面を平滑化する充填平滑工程と、前記測定用容器にそれぞれ充填された前記基準試料及び前記イオン化試料の前記試料表面に高周波容量式水分計の測定部を当接し、高周波容量を測定する高周波容量測定工程と、前記高周波容量式水分計によって示される表示値及び前記基準試料または前記イオン化試料の含水率の関係を示す基準試料及び添加試料を作成し、略比例関係を示す前記基準試料に対し、前記添加試料の傾きが変化する表乾点を特定し、表乾状態を判定する表乾判定工程とを具備するものである。
これにより、コンクリートの含水率を測定する水分計を改良し、静電容量を計測することにより、一対の電極板の距離を変化させることで電極板から発生する電界がコンクリート中に到達する深さを変化させ、電界が撥水層内にあれば静電容量は一定の割合で減少し、電界が含水率の高い模擬非撥水層に到達すれば静電容量の減少割合が変化することから、この変曲点を撥水層と普通層の境界とし、実測値に比較的近い値が得られている。
しかし、特許文献1のコンクリートが含水する水は、純粋のHOは良好な絶縁体であり、その純粋のHOを測定していると、その測定中に抵抗値が低下する。また、それに伴って誘電率も金属イオンによって変化し、含水率によって導電率、誘電率の周波数特性として変化する。また、容積の大きい測定対象であると、電極板の位置、電極板の面積、電界を決定する印加電圧の高さによって電界の広がり、電界密度が変化するから、これらの問題点を介在させた計算が必要になってくる。
そこで、本願発明は、含水率によって結果が異なることなく、抵抗値及び誘電率が含水率によって変化しても、その影響が出現し難く、撥水層の厚み計測方法の提供を目的とするものである。
請求項1の発明の撥水層の厚み計測方法は、電極板面積Sの電極板2枚を一対とし、前記電極板面積Sと前記電極板相互の中心位置までの水平面距離tと各電極板面積Sとの比の等比共面電極定数S/tを有する電極から構成される。一対の等比共面電極の両側に高周波出力を印加し、静電容量Cを測定する。電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する各電極で計測された表示値Cdとの間で特定の一次関数の特性を得て、前記一次関数の特性の傾きaを撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bを表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得るものである。
ここで、上記等比共面電極は、電極板相互の中心位置までの供試体の水平面距離tと電極板面積Sの比が一定であればよい。特に、それを満足するのが等比共面電極定数S/tである。(但し、等比共面電極定数S/tが同一でも、一対の電極板面積が異なるものを除く。)
また、上記等比共面電極定数S/tの水平面距離tは、直線距離上の対向する電極板間の対向平均距離dと同一とすることもできる。しかし、水平面距離tとか、対向平均距離dは、その静電界、電界によって、その形態が決まるので、同一とし、算出式で相殺されるのが望ましい。
そして、上記一次関数の特性の傾きは、その特性の傾きまたはその特性の傾きの逆数1/aとすることができる。いずれにせよ、等比共面電極の両側の前記等比共面電極に高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数の特性を描ければよい。
請求項1にかかる撥水層の厚み計測方法の発明は、電極板面積Sの電極板2枚を一対とし、前記電極板面積Sと前記電極板相互の中心位置までの水平面距離tとの比の等比共面電極定数S/tの等比共面電極に高周波出力を加え、前記電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得る。
したがって、塗布量が少なく形成された撥水層が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなった。また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは略同じであり、撥水層部分の含水率は同一と考えられる。そして、塗布量が少なく形成された撥水層が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなるから、各供試体の回帰直線の傾きの逆数1/aを撥水層厚と表現することもできる。各供試体の回帰直線の傾きの逆数1/aと撥水層厚との関係は、傾きの逆数と撥水層厚には直線関係が得られた。表面含浸材の種類、コンクリートの配合、養生条件の差による影響は現れていなかった。
よって、等比共面電極定数S/tの等比共面電極に高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数方程式の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きの(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得る。これによって、例えば、シラン系表面含浸材の浸透深さ等を計測し、シラン系表面含浸材の撥水層厚を回帰直線として測定する。
図1は本発明の実施の形態の撥水層の厚み計測方法の図示した基本的説明図である。 図2は本発明の実施の形態の基本的構成図である。 図3は本発明の実施の形態で使用する含水率が模擬非撥水層一定の場合の表示値との関係を示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態で使用する模擬供試体によると水平面距離と表示値との関係を示す特性図である。 図5は本発明の実施の形態で使用する回帰直線の傾きと切片の関係を示す説明図である。 図6は本発明の実施の形態で使用する各含水率における切片の関係を示す特性図である。 図7は本発明の実施の形態で使用する各含水率における傾きの逆数の関係を示す特性図である。 図8は本発明の実施の形態で測定するコンクリート供試体の配合を示す説明図である。 図9は本発明の実施の形態で測定するコンクリート供試体の骨材の物性を示す説明図である。 図10は本発明の実施の形態で測定するコンクリート供試体の静電容量の変化を示す特性図である。 図11は本発明の実施の形態で測定する傾きの逆数と撥水層厚を示す特性図である。 図12は本発明の実施の形態で測定する傾斜含水率分布を持つ静置1日の供試体の表示値の特性図である。 図13は本発明の実施の形態で測定する傾斜含水率分布を持つ静置7日の供試体の表示値の特性図である。 図14は本発明の実施の形態で測定した実測値と推定値を示す測定結果図である。
以下、本発明の実施の形態の撥水層の厚み計測方法について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
まず、撥水層の厚み計測方法の基本原理から説明する。
本発明では、一対の電極が平行板で、その間に誘電率εの誘電体を挟んだコンデンサの構成を利用している。平行する電極板の電極板面積Sは、並行に対立する電極板間の対向平均距離dだけ離して配設された状態としている。このときの電極板面積Sの電極板を平行板コンデンサの静電容量Cは、電極板面積Sと電極板間に挟む誘電体の誘電率εに比例し、電極板間の対向平均距離dに反比例するという特性があり、静電容量Cは次式で表される。
C=ε・S/d
ここで、C(F) 静電容量
S(m) 対向する電極板間の電極板面積
d(m) 対向する電極板間の対向平均距離
ε(F/m) 電極板間の誘電体の誘電率
である。
高周波源としては、発明者らが取り扱いに慣れていることから、市販の高周波容量式水分計(HI−520:(株)ケツト科学研究所製、高周波容量式(20MHz))の電極17,18からの高周波出力を用いた。
なお、発明者らの実験では、LCRメータに替えて高周波容量式水分計を用いているが、結果的に、静電容量Cの値を測定するものではなく、その出力を中継するものであり、誘電率εによって供試材料(骨材)の静電容量Cを高周波(20MHz)で測定値を算出するものではない。
一般的なLCRメータを使用すると、電極17,18等の浮遊静電容量の影響を考慮する必要があり、結果的に、市販の高周波容量式水分計の方が有用であると思慮する。
まず、供試材料の骨材に水分を含ませると静電容量Cが水分の増加に伴って増加する現象が生じる。通常、静電容量Cは誘電正接tanδからすれば、
抵抗成分の電流Ir/コンデンサ容量成分の電流Icで現され、式は
tanδ=Ir/Ic
となる。
しかし、水の誘電率80程度は温度の変化に伴って変化するし、印加する周波数によっても変化する、また、化学反応が生じており、その印加時間等によっても変化する。これはイオンによる溶融等の作用によるものが大である。
また、静電容量CをC=ε・S/dとして算出しているが、電極間に挟まれた領域を抵抗体として捉えることもできる。
そこで、現象として、供試材料の骨材に水分を含ませると静電容量Cが水分の増加に伴って増加するから、その事象のみ捉えることとした。
静電容量Cが水分の増加に伴って増加する増加分を予めモルタル、コンクリート等各種供試材料で求めておいた換算式で換算し、水分量として表示する。ここで換算式がない供試材料では、市販の高周波容量式水分計のダイレクトモード(Dモード)に切り替え、静電容量Cと相関のある数値を表示値Cdとして表示している。念のため、発明者らが使用したダイレクトモードの表示値は「0〜2999」の間で表示される。
双方の電極板に高周波出力(交流電圧)を印加し、その間に帯状の電界を発生させて、この電界上にある供試材料の静電容量Cを測定した。電界の形状は、境界条件等により円弧状や楕円形状になると考えられるが、「電極間隔に比例した深さまでの誘電物性量の評価は可能(所哲郎:「表面深さ分解能を有する誘電計測による高分子電気絶縁材料の劣化診断技術の開発」平成16−18年度 科学研究費補助金成果報告書」参照)と言われていることから、電極板間の対向平均距離dと電界到達深さが単純に比例する円弧状と仮定した。電極板を並列に配置し、電界が供試材料中を透過するようにし、電極板間の対向平均距離dを変化させることで、電界が到達する深さが変化するように想定した。
また、誘電体の誘電率εは含水率に応じて変化する。また、電極板間の対向平均距離dは円弧状の電界の対向平均距離長になる。電極板間の対向平均距離dが小さいと、電界は模擬撥水層41のみにあり、電極板間の対向平均距離dの増加とともに静電容量Cは減少する。電界が含水率の高い模擬非撥水層42に到達すると誘電率εも変化し、表示値Cdの減少する割合が変化する。
したがって、論理的には、この変曲点が模擬撥水層41と模擬非撥水層42の境界となる。このときの撥水層厚の推定値は、実測で確認した確認値に近い値が得られた。しかし、模擬撥水層41が薄いと変曲点がすぐ現れ、変曲点の判定が困難となる。また、薄い撥水層厚測定用に電極板の幅を狭くした場合には精度が落ちるという欠点がある。即ち、最初から電界が模擬非撥水層42側に影響を与えていると推定される。
次に、本発明の実施の形態で使用する図1に示す電極板21,22,21A,22Aについて検討する。
一方の電極板の中心位置から他方の電極板の中心位置までの水平面距離tと電極板面積Sの比S/tが一定であるような電極を作製した。この水平面距離tと電極板面積Sの比S/tが一定な電極を、ここでは『等比共面電極』と呼ぶこととする。また、電極板21,22,21A,22Aについて、水平面距離tとして定義しているが、垂直面であってもよいし、所定の傾きであってもよい。ここでは、電極板間の対向平均距離dとの違いを明確にするため水平面距離tという。そして、ここでは、S/t=constを『等比共面電極定数』という。
ここで、水平面距離tに円周率πを乗算した値を電極板間の対向平均距離dと設定する。
π・t=d
t=d/π
となる。
したがって、
S/t=S・π/d
となる。円周率πが一定、等比共面電極定数S/dが常に一定となる。
また、静電容量Cは、C=ε・S/dにより、誘電率ε、即ち、含水率が深さ方向に変化しなければ静電容量Cは一定となる。
そして、水平面距離tを順次大きくしていくと、電界が含水率の高い部分に到達したとき、静電容量Cは初めて変化し、その変化した位置の値が模擬撥水層41の深さとなる。
発明者らは、更に、等比共面電極21,22,21A,22A(以下、これらを「等比共面電極20」とまとめて呼ぶこととする)について究明する。
水平面距離tが4、8、12、16、20mmの5種類の等比共面電極20を作製した。等比共面電極20の電極板長は100mmで一定とし、電極板幅を変化させて等比共面電極定数S/t=100とした。この場合、電極板幅は水平面距離tと相殺するため、電極板間の対向平均距離dと等比共面電極20の水平面距離tは同一(電極板間の対向平均距離d=水平面距離t)とした。ここで、一対の等比共面電極20の面積が異なる電極板を除外した。
電極板の材料としては、図2に示すように、プラスチックフィルム11に銅箔テープ10を貼り付け、更に、プラスチックフィルム11を25mmのポリスチレンフォーム12に貼り付けた。電極板としての銅箔テープ10にはビニール被覆銅線15,16を取り付けて延長し、市販の高周波容量式水分計の電極17及び電極18と接触させた。なお、図2においてはリード線としてのビニール被覆銅線15,16の長さが異なるが、試験回路では均一長さとしている。回路的には対称性を持たせ、反対側に引き出している。
特に、両方のビニール被覆銅線15,16を近づけると、静電浮遊容量の影響を受け、出力の表示値Cdに影響するため、お互いに離し、その影響が最小値になるようにした。電極21A(21)及び電極22A(22)の上面と模擬供試体の上面のみを導通とするため、模擬供試体の他の上面を電気的に絶縁するためラップフィルム14を敷いている。
また、銅箔テープ10と供試体を密着させるため2kgの錘13をポリスチレンフォーム12の上に置いた。
このようにして製作した等比共面電極20を用いて、一定の含水率とした模擬供試体を作製し、ケイカル板及びコンクリートの表示値Cdの特性を測定した。ケイカル板は厚さ5mmで加工し易く、また、吸水率も高く、吸水速度も速いため模擬供試体として採用した。
厚さ5mm×縦100mm×幅100mmの模擬供試体を105℃の下で24時間炉乾燥させたものを含水率0%の状態とし、この状態における模擬供試体の質量を下に1枚ずつ所定の含水率となるような質量の水とともにポリ袋に入れ吸水させた後に密閉した模擬供試体を作成した。そして、図3に示すような、模擬供試体の全体を100%としたときの含水率0、6、12%のケイカル板を製作した。なお、コンクリートは含水率0、4、6.4%の立方体を製作した。
ここで、ケイカル板の絶乾密度は約0.7g/cmとコンクリートに比べて1/3程度であるから、含水している水量も同じ含水率ではコンクリートの約1/3になる。同じ含水率のケイカル板を8枚重ねた等比共面電極20を作製し、表示値Cdの値を計測した。
また、コンクリートは水とセメントの比55%で作製した100×100×400mmのコンクリート模擬供試体を100mm角の立方体に切断し、水で飽和させ表乾状態(含水率6.4%)としたものと、同じ寸法で含水率4.0%及び0%となるように調整したものをポリ袋に入れ密閉し、水を均一に吸着させて、所定の含水率の模擬供試体を得た。
ここで、模擬供試体の水平面距離tと表示値Cdの関係を図3に示す。
図3に示すように、コンクリートとケイカル板の含水率が一定であれば、水平面距離tを変えても表示値Cdが略一定であることが判る。表示値Cd及びコンクリートまたはケイカル板等の供試体が判れば、供試体の含水率が特定されることになる。ここで、表示値Cdの誤差はケイカル板、コンクリートの全体関に対する含水率分布の特性の違い、個体による含水率の違いによるものと推定される。
また、各含水率における電極板中心位置までの水平面距離tが大きくなっても、小さくなっても表示値Cdの値は変化せず、略一定となっていることが確認された。
そして、等比共面電極定数S/tとして一定であれば、電極中心位置までの水平面距離tを大きくして電界が到達する位置を深くしても、誘電率ε(含水率)が変化しなければ表示値Cdは同じ値となる。そして、含水率が高くなると表示値Cdの値は大きくなるという結果が得られた。これにより表示値Cdが含水率に依存することが判る。
次に、この等比共面電極20を用いて模擬撥水層41の模擬供試体の測定を行う。
図2及び図3に示す含水率6.4%及び4.0%のコンクリート立方体の上に0、6、12%のケイカル板を1枚または2枚または3枚載せて、各電極板の積層状態で表示値Cdを測定した。ケイカル板は含水率が低い模擬撥水層41を、コンクリートは含水率が高い模擬非撥水層42を模擬した2層模擬供試体モデルとした。
図4に示すように、誘電率ε、含水率6.4%のコンクリートの上に含水率0%のケイカル板を1、2、3枚重ねて電極板中心位置までの水平面距離tと各表示値Cdの関係を図示した。
図4に示すように、厚さ5mmのケイカル板が1枚と薄い場合には直線の傾きが大きく、3枚重ねて15mmとした厚い場合には傾きが小さくなっている。
また、ケイカル板の厚さに左右されないx=0のときのy軸と交わるy軸の交点、即ち、表示値Cdの切片bは略同じ値になっている。その値は図3に示した含水率が0%のケイカル板を重ねた場合の表示値Cd=1270に近い値を示した。他の含水率のケイカル板を用いたものでも直線関係、即ち、表示値Cdの一次関数方程式
表示値Cd=ax+b=ax+1270
表示値Cdは縦軸(y)、xは横軸である。
が得られた。表示値Cdの切片bを図5に示す。
コンクリート及びケイカル板の含水率、及び重ねたケイカル板の枚数を変化させて測定して得られた水平面距離tと、表示値Cdの関係を最小自乗法により直線回帰して求めた各直線の傾きaとx=0のy軸(表示値Cd)と交わる交点が表示値Cdとなる。
模擬撥水層41に見立てたケイカル板の含水率と模擬非撥水層42に見立てたコンクリートの含水率の差が大きいほど、回帰直線の傾きが大きくなった。これは、ケイカル板の静電容量Caのインピーダンスとコンクリートの静電容量Cbのインピーダンスが直列接続されていると見做されると、インピーダンスの比較によってCa≫Cbであるとき、直列接続するとコンデンサの容量のインピーダンスが大きいCaに仕事量が依存されることになる。
特に、コンクリートの含水率が4%で上に載せたケイカル板の含水率が12%と、あまり両者の含水量の差が大きくない場合には、ケイカル板の枚数を増やすと傾きがマイナスになり、回帰直線の相関係数も小さくなる。
また、模擬撥水層41の厚さが大となると、即ち、ケイカル板の枚数が増えると傾きが小さくなった。ケイカル板の含水率が同じ場合、図6に示す含水率と切片の関係で示すように、重ねる枚数を変化させても切片bの値は略同じになった。特に、含水率が一定であり、含水量に変化がないので、何枚用いても同じになると推定される。
また、これにより、模擬撥水層41は含水率が非常に小さいことから、望ましい測定方法であると思慮される。
また、ケイカル板が3枚(15mm厚さ)の場合、水平面距離tが4mm、8mmの電極では表示値Cdは変化しないことから、電界が含水率の高い模擬非撥水層42には大きな影響がないと推定される。
模擬非撥水層42に届きはじめる12mm、16mm以上で急激に大きくなると推定していたが、表示値Cdは連続的に増大し、水平面距離tと表示値Cdには直線関係が得られ、不連続点は発生しなかった。電界形状について電極板が対向状態で円弧状になるとも推定されるが、等比共面電極20相互間に直列接続されたインピーダンスとしての静電容量の和と同じで、供試体中での電界の形状や含水率の差の影響調査等の詳しい解析が今後検討課題となる。
コンクリートの含水率が6%及び4%で重ねるケイカル板の含水率が、0%及び12%としたケイカル板の厚さを変化させて得られたそれぞれの回帰直線の傾きの逆数1/aとケイカル板の厚さとの関係を図7に示す。それぞれ傾きの逆数1/aとケイカル板の厚さには一次関数方程式で示すことができる直線関係が得られた。
このことより傾きの逆数1/aと撥水層厚の関係を供試体毎に予め求めておけば、等比共面電極20で測定し得られた水平面距離tと表示値Cdの回帰直線の傾きaまたは傾きの逆数1/aから撥水層厚が推定できることになる。
次に、これら得られた模擬供試体の例を用いて検討する。
まず、模擬撥水層41を形成したコンクリート模擬供試体を等比共面電極20で測定し、模擬供試体で得られたような回帰直線の傾きの逆数1/aと撥水層厚との関係を検討する。
コンクリートは3種類の配合のものを用いた。当該コンクリートの配合及び28日圧縮強度を図8に示す。
水とセメント比(図8ではW/Cと記す)は40、55、70%とした。一般的な構造物に使用されている水とセメント比55%で空気量も5%程度の普通コンクリート、及び比較的高強度を想定した水とセメント比40%のものと、比較的低品質のコンクリートを想定した水セメント比70%の低強度でAE剤(界面活性剤の一種で、コンクリート打設作業能率の向上及び耐凍性を向上させる混和剤)を使用せずに空気量が小さくなるようにしたものとした。使用したセメントは、早強セメントを用いた。
なお、使用した骨材の物性を念のため図9に示した。粗骨材は長良川産の玉砕石を用い、細骨材には長良川産の粗砂と細砂を7:3の割合で混合したものを用いた。
ここで、s/aは細骨材率(全骨材の体積に占める細骨材の体積の割合)で、ここではs/a=40%とした。また、S1は細骨材のうち粗いもの、S2は細骨材のうち細かいもの、Gは粗い骨材である。
養生は、図8に示すように、脱型後28日間水中養生及び気中養生の2種類とした。
100mm×100mm×400mmの角柱の供試体を作製し、養生後、コンクリートカッターを用いて切断し、50mm×100mm×130mmとした。100mm×130mmの切断面に表面含浸材が供試体側面に垂れないように土手を作った後、炉で乾燥させ、絶乾状態にし、更に、表面含浸材を塗布した。
表面含浸材はトーケン樹脂化学株式会社製(製品名 S−7;以下、単に「T社製」という)と、大同塗料株式会社製(製品名 アクアシール1400;以下、単に「D社製」という)を用いた。T社製は液体状であり、D社製はジェル状である。
どちらも成分はシラン系で標準使用量が200g/mとされていた。塗布量は100g/m〜500g/mとし、一部の供試体数は50及び800g/mを塗布した。供試体数は全部で68個であった。
模擬撥水層41が形成されるよう塗布後4日以上静置した後、供試体を容器内に入れて水浸させた。水の深さは供試体の高さとし、供試体の底面と側面から4日間吸水させた。模擬撥水層41は吸水速度が非常に低く、模擬非撥水層42は吸水速度が高いことから模擬供試体と同じく含水率が小さい模擬撥水層41と含水率が高い模擬非撥水層42の2層供試体モデルを構成した。
図10は水とセメント比55%で水中養生したものに、T社製の表面含浸材を100、300、500g/m塗布したものの、電極板中心位置までの水平面距離tと表示値Cdとの関係を示す。模擬供試体と同様に電極板中心位置までの水平距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdには直線関係(線形特性)が得られることを示す。
計測後、各供試体を割裂させ、実際に形成された撥水層厚を測定した。測定は中心部とその両側25mmの位置の部分での値を平均化した。塗布量が少なく形成された模擬撥水層41が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなった。また、切片bは略同じ値になり、撥水層部分の含水率は同一と考えられる。
表面含浸材の塗布量は100、300、500g/mであるが、塗布量が少なく形成された撥水層が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなっている。
このように、図10に示す電極で計測した表示値Cdと電極中心までの距離tとの関係を1次関数として求めた傾きaを求めます。図10の4.8mm、10.2mmや14.0mm)のように、この供試体を割って実際の撥水層厚さを求めておく。
更に、各模擬供試体の回帰直線の傾きの逆数1/aと撥水層厚の実測値との関係を図11に示す。
図11のY軸は実際に供試体を割って測定した撥水層厚さを用い,X軸は傾きaの逆数1/aを用いて、1次関数を求めます。
式としては、
撥水層厚さ=164.5×(1/a)+1.302になります。
撥水層が未知の供試体を電極で測定し、傾きaを求めれば,この式から撥水層が決定できる。
図11において、供試体数はT社製とD社製を塗布した模擬供試体の和が68個である。各模擬供試体の傾きの逆数1/aと、撥水層厚の実測値を切片bとを、表示値Cdと共通させて実測した撥水層厚Xから、傾きの逆数1/aが確認される。
したがって、68個のデータで表現された当該一次関数方程式の直線から傾きの逆数1/aが決定され、傾きの逆数1/aが特定されれば、撥水層厚が特定される。
傾きの逆数と撥水層厚には模擬供試体と同様に直線関係が得られた。表面含浸材の種類、コンクリートの配合、養生条件の差による影響は現れていなかった。
次に、実際の構造物を想定した撥水層の厚み計測方法について説明する。
前述の供試体では、模擬撥水層41は含水率が低く、模擬非撥水層42は表乾状態に近い高含水率とした2層供試体モデルとしてきた。
しかし、現実の構造物では含水率は2層供試体モデルではなく、表面付近が低く中心部に行くほど連続的に高くなる傾斜分布であると推定される。傾斜分布を想定し、水とセメント比55%で水中養生した角柱供試体を2等分し、切断面以外を水分の出入りしないようにゴム系塗料でシールしたものを3日浸水させた後、実験室中に7日及び1日静置した。それをそれぞれ2本ずつ静置した。
この試験を行った7日間の岐阜気象台の記録では、平均気温は6.3℃、平均湿度は62%であった。静置後に切断面にD社製表面含浸材を200g/m塗布した。塗布前と塗布後4日後に電極で表示値Cdを測定した。
測定後、割裂して擬水層深さを測定した。塗布前と塗布後の電極中心までの水平面距離tと表示値Cdの関係を例示する。
1日乾燥させたものは、図12に示すように塗布前の表示値Cdは水平面距離tが4mmでも、表乾状態(含水率5.2%)の表示値Cd=1900に近い値となっており、殆ど水分は蒸発しておらず、飽和した状態であると推定される。塗布後でも表示値Cdは減少したが、ほぼ一定の値であり明確な傾きが得られず、撥水層厚は推定できなかった。
実際の構造物を想定した傾斜がある含水率分布での撥水層厚の推定は、実験例が少ないこともあり今後を補正することも必要となる可能性がある。今後、含水率を変化させるなど、更に、検討が必要である。
また、7日間静置させたものは、図13に示したように、塗布前の表示値Cdは、水平面距離tが4mmで、表示値Cdが1900弱と低く、8mm以上では略同じ値になっている。8mm以上での表示値Cdは図3に示した表乾状態(含水率6.4%)のコンクリートの表示値に近い値となっており、内部は飽和した状態と考えられる。
塗布後は4、8、12mmで表示値Cdが低下し、16mm以上で塗布前の値に近い値となった。塗布後の表示値Cdの増加がほぼ無くなる16mmまでの値を用いて直線回帰を行い傾きaを求めた。この傾きaを用いた傾きの逆数1/aと撥水層厚との関係から撥水層厚の推定を行った、推定値と実測値を図14に示す。推定値と実測値は比較的近い値を示している。
上記実施の形態の撥水層の厚み計測方法は、同一の電極板面積Sの2枚を一対とし、電極板相互の中心位置までの水平面距離tの比の等比共面電極定数S/tの等比共面電極20と、両側の等比共面電極20に高周波を印加し、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと高周波に基づく静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数方程式Y=aX+Cd特性を得て、前記一次関数の特性の傾きaまたは逆数1/aを撥水層厚に関係する傾き情報として出力を得るものである。
ここで、石膏ボード、コンクリート、ALAコンクリート(人工軽量骨材コンクリート)、ALC、モルタル、ケイ酸カルシウム板、Dモード、Sモード特性を測定することにより、表層付近の含水率と関係する初期情報として表示値Cdの切片bが算出される。
また、前記一次関数方程式の特性における傾きの逆数1/aは、撥水層厚に関係する傾き情報とし、既知の前記一次関数方程式の特性の傾きの逆数1/aを標準として設定すれば、かつ、静電容量Cに依存する表示値Cdが一致する点を決定すれば、撥水層厚が算出できる。
上記実施の形態の撥水層の厚み計測方法は、電極板面積Sの2枚を一対とし、前記電極板面積Sと前記電極板相互の中位置心までの水平面距離tの比の等比共面電極定数S/tの等比共面電極に、例えは、20MHz高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報として、また、静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは、表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得る出力を得る。
このとき、前記高周波の前記20MHzは、前記20MHzに限定されるものではなく、交流であればよい。しかし、周波数が低いと水の電気分解等の化学反応が生じるし、周波数が高いと誘電体の内部に磁界ができず、外表面の磁界が高くなるので、通常、5〜30MHz程度が良い。
また、一次関数方程式の特性は、線形が好ましいが、非線形でも使用できないものではない。よって、塗布量が少なく形成された模擬撥水層41が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなれば良い。
また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは略同じであり、撥水層部分の含水率は同一と考えられる。そして、塗布量が少なく形成された模擬撥水層41が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなるから、各供試体の回帰直線の傾きの逆数1/aを撥水層厚と表現することもできる。各供試体の回帰直線の傾きの逆数1/aと撥水層厚との関係は、傾きの逆数と撥水層厚には直線関係が得られた。表面含浸材の種類、コンクリートの配合、養生条件の差による影響は現れていなかった。
よって、等比共面電極定数S/tが一定の等比共面電極に高周波電力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数方程式の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得る。これによって、例えば、シラン系表面含浸材の浸透深さ等を計測し、シラン系表面含浸材の撥水層厚を回帰直線として測定する。
上記実施の形態の撥水層の厚み計測方法の等比共面電極定数S/tの水平面距離tは、対向する電極板間の対向平均距離dと同一としたものであるから、等比共面電極定数S/tを充足する水平面距離tと、水平面距離tに円周率πを乗算した値を電極板間の対向平均距離離dとが同一であるから、電界が円弧を描き、その円弧の中心位置に電極板間の対向平均距離dを回帰直線として算出することができる。
また、上記実施の形態の前記一次関数方程式の特性の傾きは、その特性の傾きの逆数1/aとしたものであるから、前記一次関数方程式の特性の傾きの逆数1/aを撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得るものである。
上記実施の形態の撥水層の厚み計測方法は、電極板面積Sの2枚を一対とし、前記電極板相互の中心位置までの水平面距離tの比の等比共面電極定数S/tが一定で、一対の等比共面電極の面積が異なるものを除く等比共面電極と、両側の前記等比共面電極に高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数方程式の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報として出力を得るものである。
前記等比共面電極から一対の等比共面電極の面積が異なるものを除くとは、等比共面電極定数S/tを満足するものでも、2枚の等比共面電極の電極板面積Sが互いに異なることを意味する。
上記実施の形態の撥水層の厚み計測方法の発明は、電極板面積Sの2枚を一対とし、前記電極板面積Sと前記電極板相互の中心位置までの水平面距離tの比の等比共面電極定数S/tの等比共面電極に高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する初期情報として出力を得る。
前記静電容量Cに依存する表示値Cdを特定し、その特定した表示値Cdから、撥水層厚が算出される。
したがって、塗布量が少なく形成された模擬撥水層41が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなった。また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは略同じであり、撥水層部分の含水率は同一と考えられる。そして、塗布量が少なく形成された撥水層が薄い場合には傾きaが大きく、厚い場合には小さくなるから、各供試体の回帰直線の傾きaの逆数1/aを撥水層厚と表現することもできる。各供試体の回帰直線の傾きaの逆数1/aと撥水層厚との関係は、傾きの逆数と撥水層厚には直線関係が得られた。表面含浸材の種類、コンクリートの配合、養生条件の差による影響は現れていなかった。
よって、等比共面電極定数S/tの等比共面電極に高周波出力を加え、電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数方程式の特性を得て、前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報として出力を得る。これによって、例えば、シラン系表面含浸材の浸透深さ等を計測し、本実施の形態では、シラン系表面含浸材の撥水層厚を回帰直線として測定した。
特に、静電容量Cは電極板間の対向平均距離dに反比例するという特性、即ち、
C=ε・S/d
を使用したが、静電容量Cの領域を抵抗体として確認すると、この供試体の内部と表層部との含水率の差を計測する計測電極及びその計測電極を用いた計測方法の確認を行うことができる。
なお、前記静電容量Cに依存する表示値Cdは、周波数に依存する静電容量Cとすること、単に、周波数に依存する静電容量Cとすることもできる。
本実施の形態では、シラン系表面含浸材を塗布する事例で説明したが、本発明を実施する場合には、シラン系表面含浸材は水分の含浸がないことを前提とする測定であるから、シラン系表面含浸材に限定されることなく汎用可能である。
また、コンクリート中に模擬撥水層41を形成させた供試体に吸水させ模擬供試体と同じ2層模擬供試体モデルに近い条件とした場合、模擬非撥水層42と同様に回帰直線の傾きの逆数と撥水層厚とには直線関係が得られた。
そして、発明者らの実験によれば、模擬供試体として供試体の特性を予め石膏ボード、コンクリート、ALAコンクリート(人工軽量骨材コンクリート)、ALC、モルタル、ケイ酸カルシウム板、Dモード、Sモード特性として使用する必要があった。また、表面含浸材の製造メーカによって撥水層厚を推定したところ、近い値を示したもののあったが、異なっている可能性もあり、含水率分布による撥水層厚の推定方法は含水率を変化させるなどをしてさらに検討が必要であると考えられる。
10 銅箔テープ(電極)
11 プラスチックフィルム
12 ポリスチレンフォーム
14 ラップフィルム
15,16 ビニール被覆銅線
17,18 高周波容量式水分計の電極
20 等比共面電極
21,22,21A,22A 電極板
31,32,33 模擬撥水層
41 模擬撥水層
42 模擬非撥水層
t 水平面距離
d 対向する電極板間の対向平均距離
S 対向する電極板間の電極板面積
C 静電容量
ε 電極板間の誘電体の誘電率
S/t 等比共面電極定数

Claims (1)

  1. 複数対の四角形状の電極板面積Sの2枚で一対の電極板からなり、前記2枚で一対の電極板相互の中心位置から2枚の各々の電極板幅の中心位置までの水平面距離tと前記電極板面積Sの比からなる等比共面電極定数S/tが互いに一定の等比共面電極に高周波を印加し、
    前記電極板相互の中心位置までの水平面距離tと静電容量Cに依存する表示値Cdとの間で一次関数方程式の特性を得て、
    前記一次関数方程式の特性の傾きa(逆数1/a)を撥水層厚に関係する傾き情報とし、また、前記静電容量Cに依存する表示値Cdの切片bは表層付近の含水率と関係する情報として出力することを特徴とする撥水層の厚み計測方法
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