JP6342546B1 - 人工甘皮用組成物及びネイルケア練習方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】甘皮の処理等のネイルケアの練習を繰り返し行うことができ、ネイルケアの高い技能を習得させる。【解決手段】酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体を63〜67重量%と、イソプロピルアルコールを0.1〜0.5重量%と、酢酸ビニルを0.1〜0.3重量%とを含有し、残りを水とした人工甘皮用組成物である。この人工甘皮用組成物を、人間の手または足の指の模型の爪部に塗布する工程と、爪部に塗布された人工甘皮用組成物を、1〜7分間乾燥させて爪部に人工甘皮を形成する工程と、爪部に形成された人工甘皮を、甘皮処理用具を用いて処理する工程と、を有するネイルケア練習方法である。【選択図】図2
Description
本発明は、人工甘皮用組成物及びネイルケア練習方法に関する。
手や足の爪にネイルカラーを塗布したり、ジェルネイルやスカルプチュア等の人工爪を用いて爪に装飾を施したりするネイルアートが知られている。ネイルアートの愛好者が拡大するのに伴って、ネイルアートの技能の習得や向上を図るための練習用具が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2には、人の手や指を模した模型等の練習用具が開示されている。いわゆるネイリストやネイリストを目指す者は、これらの模型を使用して、顧客の手の扱い方を含めたカラーリングや人工爪の作成等の練習を行うことができる。
一方で、ネイルアートをより美しく仕上げるため、爪の凹凸を整えたり、甘皮を処理したり、痛んだ爪の手入れをしたりするネイルケアも行われている。このネイルケアが不十分な状態であると、ネイルアートの美観や耐久性が低下するだけでなく、爪へのカビや菌の発生を招くこともある。そのため、ネイルケアの高い技能を有する技能者を養成することが必要である。
ネイルケアの中でも、人間の皮膚を剥離したり除去したりする甘皮の処理は、より慎重な作業と高い技能が求められている。高い技能取得のためには、繰り返しの練習が必要であるが、未熟な施術者が甘皮の処理を行うと、甘皮処理用具で爪や皮膚を傷つけてしまうことがある。また、いったん甘皮を除去すると、甘皮が再生するのに時間がかかるため、練習台となる人材の確保も容易ではない。
そのため、人の手足を用いなくても、甘皮の処理等のネイルケアの練習を繰り返し行うことができる技術の開発が切望されている。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、甘皮の処理等のネイルケアの練習を繰り返し行うことができ、ネイルケアの高い技能を習得させることを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の人工甘皮用組成物は、人間の手または足の指の模型の爪部に塗布してネイルケアの練習のために用いられる人工甘皮用組成物であって、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体と、イソプロピルアルコールと、酢酸ビニルと、水と、を含有し、前記酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体を63〜67重量%、前記イソプロピルアルコールを0.1〜0.5重量%、前記酢酸ビニルを0.1〜0.3重量%とし、残りを水としたことを特徴とする。
また、本発明のネイルケア練習方法は、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体を63〜67重量%と、イソプロピルアルコールを0.1〜0.5重量%と、酢酸ビニルを0.1〜0.3重量%とを含有し、残りを水とした人工甘皮用組成物を、人間の手または足の指の模型の爪部に塗布する工程と、前記爪部に塗布された前記人工甘皮用組成物を、1〜7分間乾燥させて前記爪部に人工甘皮を形成する工程と、前記爪部に形成された前記人工甘皮を、甘皮処理用具を用いて処理する工程と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、人間の手または足の指の模型の爪部に、人工甘皮用組成物を塗布し乾燥させることで、人間の甘皮により近い人工甘皮を迅速に得ることができる。この人工甘皮を用いて、ネイルケアの施術者は、甘皮処理の練習を行うことができる。また、人工甘皮を除去した後でも、人工甘皮組成物の爪部への塗布と乾燥を繰り返すことで、甘皮を速やかに再生することができる。そのため、甘皮の処理等のネイルケアの練習を繰り返し行うことができ、施術者にネイルケアの高い技能を習得させることが可能となる。
以下、本発明の人工甘皮用組成物の一実施形態を説明する。本実施形態に係る人工甘皮用組成物は、人間の手または足の指の模型の爪部に塗布してネイルケアの練習のために用いられるものであり、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体をと、イソプロピルアルコールと、酢酸ビニルと、水と、を含有している。
各成分の重量比は、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体を63〜67重量%、イソプロピルアルコールを0.1〜0.5重量%、酢酸ビニルを0.1〜0.3重量%とし、残り(約33〜37重量%、より正確には32.2〜36.8重量%)を水とする。なお、各成分の重量比は厳密なものである必要はなく、ほぼこのような重量比とすればよく、多少の誤差は許容される。また、必要に応じて、他の樹脂材、可塑剤、架橋剤、防腐剤、硬化促進剤、色素等の他の成分を含有させてもよい。
本実施形態の人工甘皮用組成物の製造方法としては、特に限定されることはなく、通常の製造方法を用いることができる。例えば、上記各成分を混合して撹拌することで製造できる。そして、製造された人工甘皮用組成物を、適宜の分量(例えば、5〜20ml、または3〜10g)ずつ、ガラス製や樹脂製等の蓋体つきの容器または遮光容器に小分けして充填し、ネイルケア練習用品として提供することができる。なお、容器の蓋体に塗布用具が一体に取り付けられているものが好ましく、施術者が別個に塗布用具を用意する必要がなくなり、人工甘皮用組成物の爪部への塗布を容易かつ迅速に行うことができる。
また、本実施形態の人工甘皮用組成物を、樹脂製や金属製のチューブ容器に充填してもよい。チューブ容器内の人工甘皮用組成物を爪部に直接に塗布したり、塗布用具を用いて塗布したりすることができる。また、一斗缶等の大きな容器に充填して、大人数が使用するネイル教室や業者等に、業務用として提供することもできる。
本実施形態の人工甘皮用組成物を爪部に塗布する塗布用具としては、刷毛やブラシ等が挙げられる。また、甘皮を処理する甘皮処理用具としては、甘皮を押し上げる(甘皮をしごいて爪の表面から剥離する)プッシャーやコットンスティック、押し上げた甘皮をこそげ落とすガーゼやコットン、爪部の周りに残った甘皮等をカットするニッパー等が挙げられる。
また、本実施形態の人工甘皮用組成物は、ガラスやプラスチック板等に塗布して人工甘皮を形成してもよいが、人間の手や足の指を模した模型の爪部に塗布することが望ましく、実際の作業に即したネイルケア練習ができる。この模型の材料は樹脂、木、金属等いずれでもよいが、樹脂製であれば、人間の手により近い感覚で作業ができる。また、爪部を有する指だけの模型でもよく、携帯性に優れ、より手軽な使用が可能となる。また、手首や掌を含む手や腕の模型や、腕以外の部位も有するマネキン等であってもよく、顧客の手の扱いを含め、より実際の作業の即したネイルケア練習が可能となる。模型の爪部は、キューティクルライン(甘皮の根元)やネイルウォール(爪郭)等が形成されていることが好ましく、よりリアルなネイルケア練習が可能となる。
なお、容器入りの人工甘皮用組成物と、塗布用具や甘皮処理用具をセットにして、さらには、これらと模型とをセットにして、ネイルケア練習用具セットとして提供してもよい。さらには、ネイルケア練習の画像や解説等を記載した冊子、静止画像や動画像、音声解説等を収録したDVD等をセットして提供することもできる。また、これらの画像やテキストをダウンロードできるURLやQRコード(登録商標)等を製品に付して提供することもできる。
以上、本実施形態によれば、凝集等を抑制し、刷毛等の塗布用具に含有させ易く、且つ、模型の爪部の所望の範囲にムラなく塗布することが可能な、適度な粘性と流動性を有する人工甘皮用組成物を得ることができる。また、乾燥性にも優れ、爪部に塗布して乾燥させることで、柔らかさや爪部への貼付き具合等が人間の甘皮により近い人工甘皮を、速やかに形成することができる。そのため、ネイルケアの施術者は、爪部に形成された人工甘皮を用いて、実際の甘皮を処理するときと同様に、甘皮の押し上げやカット等の甘皮処理の練習を行うことができる。
また、人工甘皮を除去した後でも、再度人工甘皮組成物を爪部へ塗布して乾燥させることで、新たな人工甘皮を速やかに再生することができる。そのため、甘皮の処理等のネイルケアの練習を繰り返し行うことができ、施術者にネイルケアの高い技能を習得させることが可能となる。技能習得後は、人間の爪の実際のネイルケアも適切に行うことができ、爪へのカビや細菌の発生を抑制することができる。また、ネイルケアが適切に行われているので、その後にネイルアートを容易に行えるとともに、美観や耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るネイルケア練習方法は、上述のような人工甘皮用組成物を、人間の手または足の指の模型の爪部に塗布する工程(塗布工程)と、爪部に塗布された人工甘皮用組成物を、1〜7分間乾燥させて爪部に人工甘皮を形成する工程(甘皮形成工程)と、爪部に形成された人工甘皮を、甘皮処理用具を用いて処理する工程(甘皮処理工程)と、を有する。
以下、本実施形態のネイルケア練習方法の一例を、図1、図2を参照しながら説明する。まず、人間の手または足の指の模型を用意する。ここでは、より実際の作業に即した練習ができるように、図1に示すような人間の手を模した手本体2と、手本体2を支持する支持台5とからなる模型1を使用する。手本体2の5本の指3には、爪部4が形成されている。各爪部4には、キューティクルライン4aやネイルウォール4bが形成され、人間の爪により近い構造となっている。
このような模型1を机等に置いて使用することで、実際の作業と同様に、施術者は顧客と向かい合って、施術する指に応じた適切な姿勢での作業が可能となる。そして、実際の顧客の手の扱いを含めたネイルケアの練習が可能となる。
図2は、人工甘皮用組成物を用いたネイルケア練習方法の手順の一例を示す図である。図2に示される符号10は、ネイルケア練習用具であり、ガラス容器11内に人工甘皮用組成物14が充填されている。ガラス容器11に装着する蓋体12には、塗布用具13としての刷毛が取り付けられている。
そして、ステップS1の塗布工程では、模型1の爪部4の表面に、キューティクルライン4aに沿って人工甘皮用組成物14を塗布する。人工甘皮用組成物14は、2〜3mm幅で1度塗りすればよく、甘皮の処理の練習に十分な幅と厚みの人工甘皮6を形成することができる。しかし、2mm未満、3mm超の幅で塗布してもよいし、2度塗り以上であってもよく、様々な幅や厚みの人工甘皮6を形成することができ、練習の幅を広げることができる。
次のステップS2の甘皮形成工程では、爪部4に塗布された人工甘皮用組成物14を乾燥して、人工甘皮6を形成する。乾燥によって乳白色の人工甘皮用組成物14が、透明または半透明の人工甘皮6に変化する。自然乾燥の場合は、5〜7分程度の乾燥時間で十分に乾燥させることができる。ドライヤーを用いた場合には、1分程度の乾燥時間で乾燥させることができる。これにより、見た目だけでなく、柔らかさ、粘性、貼り付き具合等も実際の人間の甘皮に近い状態の人工甘皮6を形成することができる。なお、本実施形態の人工甘皮用組成物14では、乾燥時間を上記より長くしても乾燥し過ぎることがなく、練習に適した柔らかさや粘度等を保つことができる。
次いで、ステップS3の甘皮処理工程では、爪部4に形成された人工甘皮6を、甘皮処理用具15を用いて処理する。甘皮の処理としては、例えば、甘皮処理用具15としてのプッシャーやコットンスティックによって人工甘皮6をキューティクルライン4aに向かって押し上げる。その後、濡れたガーゼ等で爪部4を拭くことで、剥離した人工甘皮6を除去する。爪部4に残った人工甘皮6は、ニッパー等でカットして除去する。施術者は、実際の顧客の手を扱った場合と同様に、甘皮の処理の練習を行うことができる。また、ステップS1〜ステップS3を繰り返すことで、人工甘皮6を再生し、甘皮の処理の練習を繰り返し行うことができ、ネイルケア技能の習得および技能の向上を図ることができる。
なお、ネイルケア練習方法には、上記工程の他に、長さや形を整えたりするファイリング工程、爪の凹凸を整える爪磨き(バッフィング)工程、ハンドマッサージ工程等も含めることができる。さらには、カラーリング工程、人工爪の作成工程等もネイルケア練習方法に含めることもできる。甘皮の処理が良好に行われていることで、これらの工程についても、より効果的な練習が可能となる。
以上、本願の人工甘皮用組成物およびこの人工甘皮用組成物を用いたネイルケア練習方法を実施形態に基づいて説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
Claims (2)
- 人間の手または足の指の模型の爪部に塗布してネイルケアの練習のために用いられる人工甘皮用組成物であって、
酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体と、イソプロピルアルコールと、酢酸ビニルと、水と、を含有し、
前記酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体を63〜67重量%、
前記イソプロピルアルコールを0.1〜0.5重量%、
前記酢酸ビニルを0.1〜0.3重量%とし、
残りを水としたことを特徴とする人工甘皮用組成物。 - 酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体を63〜67重量%と、イソプロピルアルコールを0.1〜0.5重量%と、酢酸ビニルを0.1〜0.3重量%とを含有し、残りを水とする人工甘皮用組成物を、人間の手または足の指の模型の爪部に塗布する工程と、
前記爪部に塗布された前記人工甘皮用組成物を、1〜7分間乾燥させて前記爪部に人工甘皮を形成する工程と、
前記爪部に形成された前記人工甘皮を、甘皮処理用具を用いて処理する工程と、を有することを特徴とするネイルケア練習方法。
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