以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられ、その周りには、遊技領域5aが形成されている。
図示の通り、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
また、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DISPが配置されている。表示装置DISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。
この表示装置DISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、画像演出として、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出などが実行され、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば、前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
また、表示装置DISPの前面に形成される上側の空間には、図3に示す演出可動体AMUが昇降自在に配置されている。演出可動体AMUは、通常は、図3(a)に示す待機状態であって、表示装置DISPの上部空間(原点位置)に隠れている。そして、所定の遊技状態では、予告演出の一種として、演出可動体AMUが中央開口HOの位置に降下する。
降下後の停止位置は、予告演出の信頼度に応じて適宜に設定され、例えば、図3(b)に示す降下途中で引き返す場合もあれば、図3(c)に示す限界位置まで降下する場合もある。何れにしても、降下した演出可動体AMUは、適宜な画像演出の終了と共に、元の待機位置に上昇する。
図3(a)に示すように、演出可動体AMUは、同期回転する演出モータMOL,MORによって回転駆動される支持腕BAL,BARに保持されている。図示の通り、演出可動体AMUには、支持腕BAL,BARの先端に配置された回転ローラRT,RTを受け入れる収容溝GVが形成されており、支持腕BAL,BARの回転に対応して、回転ローラRT,RTが収容溝GVの中を、左右方向に回転移動するようになっている。また、収容溝GVの両端部には、待機状態や降下限界状態で、回転ローラRT,RTを一時的に保持する保持部RV,RVが形成されている。
左右一対の演出モータMOL,MORは、演出モータMOLの時計回転に同期して、演出モータMORが反時計回転する一方、演出モータMOLの反時計回転に同期して、演出モータMORが時計回転するよう構成されている。図3(a)は、演出可動体AMUが原点領域に位置する待機状態を示しており、この待機状態から、演出モータMOLが時計回転し、これに同期して演出モータMORが反時計回転することで、演出モータMOL,MORの降下回転による演出可動体AMUの降下動作が開始される。
演出モータMOL,MORの降下回転によって、演出可動体AMUが、図3(b)の位置を経て、図3(c)の位置まで降下すると、回転ローラRT,RTが、収容溝GVの保持部RV,RVに収容されて停止する。この状態では、演出可動体AMUの収容溝GVが、回転ローラRT,RTに対するメカストッパとして機能するので、演出モータMOL,MORが、過大に駆動されても、それ以上の降下動作が阻止され、演出可動体AMUは、限界位置で静止する。
その後、停止状態の演出モータMOLが反時計回転し、これに同期して演出モータMORが時計回転することで、演出モータMOL,MORの上昇回転による上昇動作が開始され、演出可動体AMUが、図3(a)に示す原点領域に回収される。この回収状態では、回転ローラRT,RTが、収容溝GVの保持部RV,RVに収容されて安定的に静止する。
演出可動体AMUが原点領域に回収されたか否かは、図6(d)に示す原点検出回路DETによって検出されるので、演出モータMOL,MORの上昇回転は、演出可動体AMUの最適位置で終了する。もっとも、原点検出回路DETが正常に動作せず、演出モータMOL,MORが過大に駆動されたとしても、演出可動体AMUの収容溝GVが、回転ローラRT,RTに対するメカストッパとして機能するので、それ以上の上昇動作が阻止される。
続いて、図4は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1、ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DISPを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27を経由して、画像制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図4の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図4の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23が、表示装置DISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板30に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。
また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
ところで、本実施例のシステムリセット信号は、交流電源に基づく直流電源によって生成されている。そのため、交流電源の投入(通常は電源スイッチのON)を検知してHレベルに増加した後は、直流電源電圧が異常レベルまで低下しない限り、Hレベルを維持する。したがって、直流電源電圧が維持された状態で、交流電源が瞬停状態となっても、システムリセット信号SYSがCPUをリセットすることはない。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源の瞬停状態でも出力される。
主基板中継基板28は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びDC5V,DC12V,DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板30は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。なお、演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と画像制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって演出制御部22と画像制御部23のワンチップマイコンは、その他のIC素子と共に電源リセットされるようになっている。
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部24には、供給されておらず、各々の回路基板21,24のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。そのため、例えば、接続コネクタC2がガタついたり、或いは、配線ケーブルにノイズが重畳しても、主制御部21や払出制御部24のCPUが異常リセットされるおそれはない。なお、演出制御部22と画像制御部23は、主制御部21からの制御コマンドに基づいて、従属的に演出動作を実行することから、回路構成の複雑化を回避するために、電源基板20から出力されるシステムリセット信号SYSを利用している。
ところで、主制御部21や払出制御部24に設けられたリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,24のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
図4に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部24に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部24からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部24の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から給電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。そして、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
図5に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・演出可動体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声再生出力回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
ワンチップマイコン40には、パラレル入出力ポートPIOが内蔵されている。そして、パラレルポートPIOからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’と共に、演出可動体AMUを機能させる駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’も出力されている。図示の通り、駆動データΦ1〜Φ4は、ドライバ45Aを経由して演出モータMOLに供給され、駆動データΦ1’〜Φ4’はドライバ45Bを経由して演出モータMORに供給されている。
先に説明した通り、演出可動体AMUは、演出モータMOL,MORによって回転駆動される一対の支持腕BAL.BARに支持されている。そして、演出モータMOLと演出モータMORが、互いに逆方向に同期回転するよう、駆動データΦ1〜Φ4と駆動データΦ1’〜Φ4’が適宜に更新されている(図6(b)参照)。
演出モータMOL,MORは、何れもステッピングモータで構成されており、また、演出モータMOL,MORに関連してセンサ基板BD,BDが配置され、各センサ基板BDには、原点スイッチ回路ORGが設けられている。そして、原点スイッチ回路ORGのスイッチ信号(原点センサ信号)SNは、プルアップされた状態で、パラレルポートPIOに入力されている(図6(d)参照)。
ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
図5に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インタフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子INTに供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。
演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(1) 異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2) 図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。
例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、画像制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。また、演出可動体AMUを使用する予告動作時には、役物演出(可動演出)として、演出モータMOL,MORを回転させる。
なお、演出モータMOL,MORは、演出可動体AMUが原点領域に待機している状態では、自由回転可能な非駆動状態に維持されている。そして、待機状態では、回転ローラRT,RTが保持部RV,RVに保持されている。したがって、自由回転可能な非駆動状態とはいえ、演出可動体AMUの荷重程度では、演出可動体AMUが自然に降下移動することはない。但し、強い振動を受けた場合には、原点領域から離脱する可能性もあるが、本実施例では、必要時に、原点検出処理(図8のSS5)が実行されることで、演出可動体AMUが、意味もなく遊技者に露出する不具合が解消されている。
ランプ演出、音声演出、可動演出などの演出動作に同期した図柄演出を実現するため、演出制御部22は、画像制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インタフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、表示装置に関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インタフェイス基板27に向けて出力する。
上記した演出制御基板22の構成に対応して、演出インタフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路46を経由して、そのまま画像制御基板23に出力される。また、演出インタフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の信号を受け、これを、ランプ接続基板34を経由してLEDランプ群に供給する。その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
また、画像制御部23は、演出インタフェイス基板27を経由して制御コマンドを受信して画像制御動作を実行するワンチップマイコンと、ワンチップマイコンの指示に基づき表示装置DISPを駆動するVDPと、グラフィックROMと、制御用ROMと、ワンチップマイコンを強制リセットさせるウォッチドッグタイマWDTとを有して構成されている。
なお、システムリセット信号SYSは、演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御部22と画像制御部23のワンチップマイコンの内蔵CPUのリセット端子RESETに供給されており、交流電源の投入時には、各CPUが電源リセットされる。
続いて、演出可動体AMUを昇降させる演出モータMOR,MOLや、演出可動体AMUの停止位置を管理する原点スイッチ回路ORGについて、図6を参照しつつ、これらに関連する構成と共に説明する。
先ず、図6(a)に示す通り、演出モータMOR,MOLは、各々、歯合ギアG1,G2を経由して、回転体ROT,ROTを回転駆動しており、各回転体ROTには、図3に示す支持腕BAL,BARが固定されている。また、回転体ROTの外周部は薄板状に形成されて、遮光片SHを構成しており、この遮光片SHを受け入れるよう、発光部Dと受光部TRが対面するフォトインタラプタPHが配置されている。
すなわち、実施例のフォトインタラプタPHは、透過型のフォトセンサ(光電スイッチ)であり、発光部は、図6(d)に示す通り、フォトダイオードDで構成され、受光部は、フォトトランジスタTrで構成されている。
図示の通り、遮光片SHの一部が欠落しており、この欠落部CTでは、発光部Dが放射する検査光が受光部TRに到達するが、欠落部CT以外では、検査光が遮光されるようになっている。そして、本実施例では、欠落部CTが、フォトインタラプタPHの位置に達したときには、演出可動体AMUが、図3(a)の待機状態に位置するよう構成されている。
フォトインタラプタPHは、図6(d)に示す原点検出回路DETを構成する電子素子であり、フォトインタラプタPHと、バイアス抵抗R1,R2と、遮光片SHと、電源Vccとで、原点スイッチ回路ORGを構成している。そして、フォトインタラプタPH(フォトトランジスタTr)の出力が、原点センサ信号SNとして、ワンチップマイコン40のパラレルポートPIOに伝送されている。
図示の通り、原点センサ信号SNは、プルアップされた状態で、パラレルポートPIOに入力されており、センサ基板BDの原点スイッチ回路ORGと、演出制御基板22のプルアップ抵抗R3と、で原点検出回路DETが構成されている。
本実施例の原点検出回路DETは、上記の通りに構成されているので、遮光片SHの欠落部CTによる光通過状態、つまり、演出可動体AMUが原点領域に位置する待機状態(図3(a)参照)では、フォトトランジスタTrがON動作することで、原点センサ信号SNがLレベルとなる。
一方、遮光片SHによる遮光状態、つまり、演出可動体AMUが原点領域に位置しない遊技動作状態(図3(b)(c)参照)では、フォトトランジスタTrがOFF動作することで、原点センサ信号SNがHレベルとなる。また、センサ基板BDの何れかの配線が断線している場合や、原点スイッチ回路ORGの内部素子が故障している場合は、原点センサ信号SNは、プルアップ抵抗R3のためにHレベルとなる。
このように、本実施例の原点センサ信号SNは、センサ基板BDの内部での断線時や、原点スイッチ回路ORGの内部素子の故障時には、原点センサ信号SNがHレベルとなることで、演出可動体AMUが原点領域に位置すると判定されることになる。そのため、断線やセンサ故障などの異常時に、演出可動体AMUが、表示装置DISPの前面に、取り残されるような異常動作を回避することができる。
すなわち、本実施例では、適宜なタイミングで、演出可動体AMUを原点領域に回収する原点検出処理(図8のSS5)が実行されるが、断線やセンサ故障などの異常時には、演出可動体AMUが原点領域に位置しないと判定されるので(原点センサ信号SN=H)、確実に、演出可動体AMUの回収動作が実行される。なお、演出可動体AMUが、もともと原点領域に位置した場合も、演出モータMOL,MORの上昇回転が実行されるが、演出可動体AMUの収容溝GVが、回転ローラRT,RTに対するメカストッパとして機能するので、演出モータMOL,MORが過駆動は問題にならない。
また、原点検出処理(図8のSS5)は、電源リセット時や、変動演出開始時や、大当り遊技開始時や、客待ちデモ演出開始時に、繰り返し実行されるので、万一、センサ故障が生じ、且つ、演出可動体AMUが、表示装置DISPの前面に取り残されたとしても、その異常は早期に解消される。
次に、正常動作時の原点センサ信号SNについて更に説明する。演出モータMOL,MORが、各々、時計方向と反時計方向に降下回転を開始して、演出可動体AMUが原点領域から下方に移動すると、原点センサ信号SNは、図6(c)の右向き矢印で示す通り、LレベルからHレベルに変化してHレベルを維持する。
その後、演出可動体AMUが所定位置で停止した後、演出モータMOL,MORが、各々、それまでの逆方向に上昇回転を開始すると、演出可動体AMUが上昇を開始して、原点センサ信号SNは、図6(c)の左向き矢印で示す通りに推移して、HレベルからLレベルに変化する。そして、回転体ROTの回転速度Vと、フォトインタラプタPHや欠落部CTの周方向幅とに対応して、所定の時間(N1+N2)だけLレベルを維持する(図6(c)参照)。
そこで、この実施例では、定速度Vで上昇回転する遮光片SHの欠落部CTが、フォトインタラプタPHの検査光を通過させ始めてから、基準時間N1(逆方向基準時間)だけ経過した位置を原点位置と定義し、原点センサ信号SNがLレベルを維持する領域(N1+N2の時間部分)を原点領域と定義する。
なお、図6(c)では、演出可動体AMUの上昇方向の動作時間N1+N2を経て、原点センサ信号SNが、LレベルからHレベルに復帰するよう記載されているが、図3(a)に示す通り、演出可動体AMUには、適宜に寸法設計された収容溝GVが存在し、この収容溝GVがメカストッパとして機能するので、原点領域を超えて、演出可動体AMUが上昇することはない。
ところで、図5(b)に示す通り、演出モータMOR,MOLは、何れも、例えば、二相励磁されるステッピングモータで構成され、ドライバ回路45A,45Bは、ダーリントン接続されたトランジスタQとダンパーダイオードDpとを有して構成されている。また、駆動パルスΦ1〜Φ4は、例えば、4ビット長の駆動データ0101,1001,1010,0110を順方向に変化させつつ、ドライバ回路45Aに出力することで生成され、駆動パルスΦ1〜Φ4を受けた演出モータMOLは1ステップ角ごとに、例えば、時計方向に歩進する。
一方、また、駆動パルスΦ1’〜Φ4’は、例えば、4ビット長の駆動データ0101,1001,1010,0110を逆方向に変化させつつ、ドライバ回路45Bに出力することで生成され、駆動パルスΦ1’〜Φ4’を受けた演出モータMOLは1ステップ角ごとに、例えば、反時計方向に、歩進する。なお、駆動データが変化しない場合には演出モータMOR,MOLが拘束状態で停止する。一方、非駆動データ(0000)をドライバ回路45A,45Bに出力すると、演出モータMOR,MOLは、演出可動体AMUが自動降下しない程度の非拘束状態となる。
以上、欠落部CTを設けた遮光片SHを、左右の回転体ROT、ROTに各々配置し、これに対応して、二つのフォトインタラプタPH、PHを配置する構成を説明したが、左右何れかの回転体ROTについて、遮光片SHやフォトインタラプタPHは省略することができる。但し、図6(a)に示す実施例の構成を採ることで、左右の回転体ROT,ROTの何れか一方が回転していない異常についても検出することができる。
また、透過型のフォトセンサたるフォトインタラプタPHについて説明したが、これに代えて、反射型のフォトセンサPH’を使用するのも好適である。図6(e)は、このような変形例を図示したものであり、この回転体ROTには、フォトセンサPH’に向けて突出する突出片PRが設けられ、突出片PRの突出表面には、検査光の反射面が形成されている。
そして、演出可動体AMUが原点領域に位置するとき、突出片PRが、フォトセンサPH’に対面するよう構成することで、発光部からの検査光を受光部に伝送する構成を採っている。したがって、この構成においても、演出可動体AMUが原点領域に位置するとき、原点センサ信号SNがLレベルとなり、演出可動体AMUが原点領域から離脱したときや、センサ基板BDに関する異常時にはHレベルとなる。
以上、演出可動体AMUの構造と原点検出回路DETについて説明したので、続いて、演出制御部22の動作について図7〜図12に基づいて説明する。演出制御部22は、主制御部21から受ける制御コマンドに基づいて、演出可動体AMUによる可動演出(役物演出)を含んだ演出動作を実行する。なお、演出可動体AMUを駆動する2つの演出モータMOR,MOLは、本実施例では、常に同期回転するので、以下の説明では、2つの演出モータMOR,MOLを総称して、演出モータMOと称することがある。
以上を踏まえて説明を続けると、図7に示す通り、演出制御部22は、CPUがリセットされて開始されるメイン処理(a)と、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理(b)と、10mS毎に起動される第1タイマ割込み処理(c)と、2mS毎に起動される第2タイマ割込み処理(d)と、を含んで構成されている。
図7(d)に示す通り、第2タイマ割込み処理では、電飾ランプを駆動するランプ演出処理(ST67)と、必要に応じて演出可動体AMUを駆動する演出モータ処理(ST68)と、が2mS毎に実行される。なお、図7(e)は、コマンド解析処理(ST58)の一部を示している。
図7(a)に示す通り、メイン処理(CPUリセット処理)では、ワンチップマイコン40内部の初期設定を実行した後(ST46)、バックアップ判定処理を実行する(ST47)。バックアップ判定処理とは、バックアップ処理(ST63)において保存されたデータの正当性を判定する処理である。
バックアップ処理(ST63)において保存されるデータは、特に限定されないが、例えば、(1) RAM領域の所定データに対するチェックサム演算のサム値、(2) RAM領域に離散的に保存された特定データ、(3) RAM領域の所定データを別の領域に保存したバックアップデータなどを例示することができる。
そして、ステップST48の判定において、正当性が確認できない場合には、RAMの全領域を初期化することで、演出制御部22をコールドスタートさせてステップST52の処理に移行させる(ST51)。
ところで、主制御部21や払出制御部24と異なり、演出制御部22にはバックアップ電源が設けられていないので、バックアップ判定処理(ST47)において、正当データが検出できる可能性がないとも思われる。しかし、CPUがリセットされるのは、電源投入に対応する電源リセット時だけでなく、ノイズやウォッチドッグタイマによってCPUリセット信号がアクティブレベルとなる異常リセット時もある。
そこで、本実施例では、CPUの異常リセット時に、可能な限り、それまでの遊技動作を継続して、演出制御部22の動作をホットスタートさせるべく、バックアップ判定処理(ST47〜ST48)を設けている。
但し、バックアップ判定処理(ST47)では全てのデータを判定する訳ではないので、CPUが繰り返し異常リセットされる場合には、演出制御部22の動作を初期状態に戻すべきである。そこで、異常リセット回数をカウントするべく異常カウンタをインクリメント(+1)処理し(ST49)、異常カウンタの値が所定値(例えば2)を超えた場合には、コールドスタートさせるべくステップST51のRAMクリア処理に移行させている(ST50)。
以上の通り、CPUが異常リセットされた場合でも、バックアップ判定(ST47)で正当判定され、且つ、異常リセット回数が所定値以下であれば、演出制御部22がホットスタートされて、それまでの遊技動作が継続される。
次に、ホットスタートか、コールドスタートかに拘わらず、演出モータMOのモータ動作フラグFGの値を1に設定する(ST52)。また、演出モータMOの異常状態を示す異常フラグERを正常レベルの0に初期設定すると共に、動作モードMDを0に初期設定する。ここで、動作モードMDは、演出可動体AMUの一連の移動動作を具体的に規定する制御変数であって、これが順次変化することで、往路移動や復路移動を組み合わせた所定の移動動作が実現されるようになっている。
また、モータ動作フラグFGは、演出モータ処理(図7(d)のST68、図8)において、演出可動体AMUを如何に動作させるかを大局的に規定する制御変数である。具体的には、演出可動体AMUを原点領域に回収する原点検出処理(SS5)を規定するFG=1と、演出可動体AMUを原点位置に位置決めする初期動作処理(SS6)を規定するFG=2と、演出可動体AMUによる可動演出であるモータ演出処理(SS7)を規定するFG=3とに大別される。なお、モータ動作フラグFG=0は、モータ動作フラグの初期状態であって、演出可動体AMUは動作しないことを規定する。
このように、本実施例では、モータ動作フラグFGが1に設定されると、その後の演出モータ処理(ST68)において、原点検出処理(SS5)が実行され、演出可動体AMUが原点領域に復帰するべく駆動される。
ところで、原点検出処理(SS5)による原点領域への復帰処理は、コールドスタート時に限らず、ホットスタート時においても実行されるので、ホットスタート時は、演出可動体AMUが演出位置には戻らないことになる。しかし、(1) 比較的稀にしか演出可動体AMUの演出動作が実行されないこと、(2) CPUが異常リセットされることが極めて稀であることから、ホットスタート時に原点復帰動作を実行することに特段の問題は生じない。
むしろ、バックアップ判定処理(ST47)が完璧ではないところ、CPUの異常リセット時に、誤ってホットスタートさせたために演出可動体AMUが回収できない事態が発生すると、不自然な位置に停止した演出可動体AMUが遊技者に不快感を与えてしまうおそれがある。この点を言い換えると、本実施例の構成を採れば、簡易なバックアップ判定処理(ST47)に対応して、バックアップ処理(ST63)についても簡易化することができ、極めて稀にしか発生しないCPU異常リセット時のために、10mS毎に過重な処理を繰り返す無駄を排除できる。
また、遊技機の開発段階における動作実験では、CPUのリセット時に、必ず、原点検出処理(SS5)が実行される構成が非常に有効である。もっとも、破線に示すように、コールドスタート時に限り、ステップST52の処理を実行することが、特に禁止されるものではない。
ステップST52の処理が終われば、音声再生出力回路(音声再生IC)42について、必要な初期設定を実行する(ST53)。その後、ワンチップマイコン40のCPUを割込み許可状態に設定した後(ST54)、乱数値を更新しつつ(ST55)10mS間隔のタイマ割込みを待機する(ST56)。なお、更新される乱数値は、演出動作をランダム化するために演出抽選処理において使用される。
図7(c)に示す通り、10mS間隔でタイマ割込みが生じる毎に、割込みフラグがセットされるので(ST66)、メイン処理のステップST56の処理では、割込みフラグがONになるのを繰り返しチェックする。そして、割込みフラグがONとなると、これをOFFにリセットした後に、タイマ更新処理を実行する(ST57)。タイマ更新処理で更新される各種のタイマは、ゼロになるまでデクリメント(−1)処理によって更新される。
続いて、受信割込み処理(図7(b))で受信された制御コマンド(受信コマンド)について、コマンド解析処理が実行される(ST58)。なお、受信コマンドには、変動パターンコマンドの他に、主制御部21のメモリがクリアされたことを示すRAMクリアコマンドや、主制御部21が電源遮断前の動作を開始したことを示すバックアップ復帰コマンドや、各御基部に初期動作の実行を指示する初期動作コマンドや、客待ちデモ演出を指示するデモ演出コマンドなどが含まれている。
図7(e)は、コマンド解析処理(ST58)の一部を示している。先ず、初期動作コマンドを受けた場合には、これを下流側の画像制御部23に転送すると共に(ST71)、モータ動作フラグFGをFG=2に設定する(ST72)。この設定動作の結果、その後の演出モータ処理(ST68)では、初期動作処理が実行され(図8のSS6)、演出可動体AMUが、確実に、原点位置に回収されて正確に位置決めされる(位置決め動作)。なお、原点検出処理(図8のSS5)でも、同様の処理が実行されるが、原点検出処理(SS5)では、演出可動体AMUが原点領域に回収されるものの、必ずしも、原点位置には位置決めされない点で異なる。
また、演出制御部22が主制御部21から変動パターンコマンドを受けた場合には、演出抽選によって特定された演出コマンドを画像制御部23に送信する(ST74)。また、演出コマンドによって特定される演出動作を開始するべく必要なフラグ設定処理を実行する(ST75)。
図7(e)には、特に、演出可動体AMUのよる可動演出時を記載しているが、このような場合には、モータ動作フラグFG=0、且つ、リトライフラグRT=0であって、演出モータMOが異常状態(モータエラー)ER=1でないことを条件に(ER=0)、演出モータMOのモータ動作フラグFGを、FG=3に設定する(ST75)。その結果、その後の演出モータ処理(ST68)では、演出可動体AMUを回転させるモータ演出(図8のSS7)が実行される。
ここで、モータエラー(ER=1)とは、リトライ処理(図8のSS4)を経ても演出モータMOが回転しない異常、或いは、モータ演出処理(図8のSS7)において、演出モータMOが正常に機能しない異常を意味し、何れの場合にも異常フラグER=1とされる。そして、この場合には、モータ動作フラグFGが、FG=3に設定されないことで、演出可動体AMUによるモータ演出(図8のSS7)がスキップされる。
ところで、ステップST52の処理でモータ動作フラグFGが1に設定された後も、必要に応じて、演出モータMOのモータ動作フラグFGが1に設定される。具体的に説明すると、FG=1から初期状態(FG=0)に戻されたモータ動作フラグFGは、変動パターンコマンドに基づいて実行される変動演出の開始時や、変動演出終了後の大当りゲームの開始時や、遊技客が遊技を終了してから所定時間後に実行される客待ちデモ開始時には、改めてFG=1に設定される(図7の破線枠)。
また、上記何れの場合も、このモータ動作フラグFG=1の設定処理に合わせて、異常フラグERが、正常状態を示す0に初期設定される。これは、「変動演出の開始時」、「大当りゲームの開始時」、又は「客待ちデモ開始時」において、改めて、原点検出処理(図8のSS5)を実行することで、演出モータMOの異常解消を図るためである。
すなわち、演出可動体AMUが、表示装置DISPの前面に取り残される異常事態が仮に発生したとしても、それが早期に解消され、また、センサ異常やセンサ基板BD内の断線などの異常についても、早期に発見することができる。なお、センサ異常時に、演出可動体AMUが取り残されることもない。この点については、図9に基づいて更に説明する。
以上説明した図7(e)に示すコマンド解析処理(ST58)が終われば、エラー処理が実行される(ST59)。エラー処理では、異常フラグERが1であるか否かが判定され、異常フラグER=1の場合には、所定の異常報知動作が開始される。
次に、必要に応じて、チャンスボタン11についての入力処理が実行される(ST60)。また、ランプ演出(ST67)や演出モータ処理(ST68)や音声演出(ST62)についての演出シナリオを、作成又は更新する(ST61)。次に、作成または更新された演出シナリオに基づいた音声演出が実行される(ST62)。なお、音声演出には、モータエラーの音声報知動作も含まれている。
異常報知処理も含む音声演出(ST62)が終われば、最後に、バックアップ処理や、ウォッチドッグタイマWDTのクリア処理(ST63)を実行した後にステップST54の処理に移行する。
続いて、2mS毎に実行される演出モータ処理(図7(d)のST68)について、図8〜図9に基づいて説明する。図8に示す通り、演出モータ処理(ST68)では、最初に異常フラグERの値が判定され(SS1)、もし異常フラグER=1であれば、非駆動データをドライバ回路45A,45Bに出力して処理を終える(SS9)。先に説明した通り、非駆動データは、この実施例では、4ビット長の0000である。
ステップSS1の判定で異常フラグER=0であれば、次に、リトライフラグRTの値を判定する(SS2)。リトライフラグRTは、原点検出処理(SS5)や初期動作処理(SS6)などにおいて、例えば、演出モータMOの空回転によって、演出可動体AMUが原点領域に戻れない異常時にRT=1とされる。
そして、リトライフラグRT=1の状態で実行されるリトライ処理(SS4)でも異常が改善されない場合には、異常フラグERを1にセットして異常終了する。一方、異常が改善されて正常終了する場合には、リトライフラグRT=0となる。ここで、リトライ処理(SS3)は、例えば、演出モータMOの空回転などを解消するための回復回転動作であり、回転トルクを高めるための低速回転や、往復移動などが適宜に組み合わせて構成されている。
このようなリトライ処理(SS4)に成功してリトライフラグRT=0となったか、或いは、もともと、リトライフラグRT=0であったような場合には、ステップSS2の処理に続いて、モータ動作フラグFGの値が判定される(SS3)。先に説明した通り、モータ動作フラグFGは、原点検出処理が実行されるFG=1、初期動作処理が実行されるFG=2、モータ演出処理が実行されるFG=3に大別される。
そして、何れの処理においても駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’が適宜に更新されるので、更新後の駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’をドライバ回路45A,45B出力することで、演出モータMOの歩進動作が実現される(SS8)なお、異常フラグER=1や、モータ動作フラグFG=0の場合には、非駆動データがドライバ回路45A,45Bに出力されることは(SS9)、先に説明した通りである。
原点検出処理(SS5)は、その詳細を図9に示す通りであるが、動作内容を要約すると、原点領域外に位置する演出可動体AMUが原点位置に回収された後、モータ動作フラグがFG=1からFG=0に変更される。なお、演出可動体AMUが、もともと原点領域に位置していた場合は、その位置を維持した状態で、モータ動作フラグがFG=1からFG=0に変更される。
一方、原点検出処理(SS5)において正常な動作が確認できない異常時には、リトライフラグRT=1に設定して異常終了し、その後の演出モータ処理(ST68)では、リトライ処理(SS4)が実行される。リトライフラグRT=1の状態で実行されるリトライ処理(SS3)の内容は前記した通りであり、動作成功時にはリトライフラグRTがRT=0となる。
一方、初期動作処理(SS6)は、主制御部から初期動作コマンドを受けることを条件に実行されるが、その動作内容は、原点検出処理とほぼ同じである。但し、原点検出処理(SS5)は、主制御部21から受ける制御コマンドとは、必ずしも直接関係せず、適当なタイミングで繰り返し実行されるのに対して、初期動作処理(SS6)は、主制御部21から、専用の初期動作コマンドを受けた場合に限り実行される点で相違する。
また、原点検出処理(SS5)は、その動作開始時に、演出可動体AMUが原点領域に位置すれば、それ以上の回収動作をしないのに対して、初期動作処理(SS6)は、その動作開始時に、演出可動体AMUが原点領域に位置するか否かに拘らず、所定の往復動作を経て、演出可動体AMUを、所定の原点位置に回収する(位置決め動作)。
すなわち、初期動作処理(SS6)では、演出可動体AMUが原点領域に位置している場合でも、一度、演出可動体AMUを原点領域外に往路移動させた後、原点領域に復路移動させ、更に原点位置に移動させる位置決め動作を実行する。原点検出処理(SS5)は、要するに、演出可動体AMUを原点領域に隠す意義があるのに対して、初期動作処理(SS6)は、演出可動体AMUを所定の原点位置に回収する点に意義がある。
以上、原点検出処理(SS5)と初期動作処理(SS6)について対比説明したが、モータ演出処理(SS7)は、図8に示す通り、リトライフラグRT=0、モータ動作フラグFG=0、及び、異常フラグER=0であることを条件に開始され、演出可動体AMUの可動演出が実行される。そして可動演出が正常に終了するとモータ動作フラグFG=0とされる。なお、可動演出が正常に継続できない場合には、異常フラグER=1として処理を終える。そして、異常フラグER=1となったことによって、その後のモータ演出は、異常が復旧されない限り禁止される。
以上、演出モータ処理(ST68)の概要を説明したので、原点検出処理(SS5)の具体的な処理内容を、図9に基づいて説明する。なお、プログラムで使用する変数を整理すると、図8の下欄に示す通りである。すなわち、計数カウンタCNTは、演出モータMOの回転角度を規定し、方向フラグDRは、演出モータMOの回転方向(上昇/降下)を規定し、動作モードフラグMDは、制御動作の進行を管理する。
原点検出処理(SS5)では、最初に、フォトインタラプタPHからの原点センサ信号SNが取得される(SS10)。次に、動作モードMDを判定し(SS11)、初期状態のままでMD=0であれば、原点センサ信号SNのレベルが判定される(SS12)。
図6に関して説明した通り、原点センサ信号SNは、演出可動体AMU(回転体ROT)が原点領域に位置する場合はLレベルであり、演出可動体AMUが原点領域外に位置する場合や原点検出回路DETに異常がある場合にはHレベルとなる。したがって、原点センサ信号SN=Lであって、演出可動体AMUが原点領域に位置している場合には、モータ動作フラグFGを、初期状態のFG=0に戻して処理を正常終了させる(SS13)。この場合、演出可動体AMUは、正確な原点位置には位置しない可能性もあるが、少なくとも、遊技者の目に触れない位置に収容されている。
以上の通り、図9の実施例では、CPUリセット時に演出可動体AMUが原点領域に位置する限り、演出可動体AMUが駆動されることはない。しかし、ステップSS13の正常終了処理に先行して、演出可動体AMUを正確に原点位置に位置決めしても良い(SS30)。位置決め動作は、例えば、演出可動体AMUを原点領域から原点領域外に、一旦、強制移動させた後、原点領域の原点位置に回収することで実行される。
ステップSS12に戻って説明を続けると、ステップSS12の判定時に原点センサ信号SN=Hであって、演出可動体AMUが原点領域外に位置していると判定される場合には、計数カウンタCNTの値を、十分な余裕をもって初期設定する(SS14)。また、本実施例では、原点検出回路DETの異常時にも、原点センサ信号SN=Hとなるので、計数カウンタCNTが適宜な値に初期設定される(SS14)。
そして、何れの場合も、方向フラグDRを0に設定して演出モータMOを上昇回転させることを規定し、動作モードMDを1とする(SS14)。以上の処理は、次回以降のタイマ割込みによって、演出可動体AMUを原点領域に戻すための処理である。
動作モードMD=1となったことにより、次回以降のタイマ割込みでは、ステップSS11→SS15→SS16の経路を経て、原点センサ信号SNがLレベルとなったか否かが判定される(SS16)。そして、未だ、演出可動体AMUが原点領域に戻っておらず、原点センサ信号SN=Hであれば、所定時間毎に、駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’をDR方向(上昇回転方向)に1ステップ進め、これに対応して計数カウンタCNTをデクリメントする(SS18)。なお、更新された駆動データΦ1〜Φ4,Φ1’〜Φ4’は、図8のステップSS8の処理で演出モータMOに供給されることで、演出可動体AMUが上昇方向に回転駆動される。
このようにして、ステップSS18の処理を繰り返して回転体ROTを歩進させていると、やがて、演出可動体AMUが原点領域に戻り、原点センサ信号SN=Lとなる筈である。そこで、その場合には、計数カウンタCNTを、図6(c)に示す逆方向基準時間N1に対応する値(N1/τ)に、新たに初期設定する(SS19)。図6(c)に関して説明した通り、逆方向基準時間N1は、定速度Vで回転する回転体ROTが、原点領域に戻ってから、所定の原点位置に達するまでの経過時間である。
また、方向フラグDRを0に維持した状態で、動作モードMDを2とする(SS19)。以上の処理は、次回以降のタイマ割込みによって、原点領域に突入した演出可動体AMUを、正確に原点位置に戻す位置決め動作のための処理である。
そして、ステップSS19の処理が実行された後のタイマ割込みでは、ステップSS11→SS15→SS21の経路を経て、計数カウンタCNTの値が判定される(SS21)。そして、計数カウンタCNT≠0であれば、所定時間毎に駆動データをDR方向に進め、これに対応して、計数カウンタCNTをデクリメントする(SS22)。
その後、計数カウンタCNT=0となったタイミングで、動作モードMD=0とすると共に、モータ動作フラグFG=0として、原点検出処理を正常終了させる(SS23)。
以上、正常の動作する場合を説明したが、原点検出回路DETの異常時も含め、原点センサ信号SN=Hが維持される場合には、ステップSS19に至ることなく、ステップSS17〜SS18の処理を更に繰り返すことになる。そして、ステップSS14で初期設定された計数カウンタCNTが0に達した場合には、リトライフラグRT=1に設定すると共に、動作モードMD=0として処理を終える(SS20)。
これは、演出モータMOを十分に駆動動作を実行したにも拘らず、回転体ROTが原点領域に戻れない異常が検出されたことになる。そこで、このような場合には、次回のタイマ割込みでは、モータ動作フラグFG=1を維持した状態で、リトライ処理(SS4)が実行される(図8参照)。そして、リトライ処理に成功すれば、リトライフラグRT=0、MD=0となるよう構成されているので、ステップSS12の動作から原点検出処理が再開される。
一方、リトライ処理(SS4)に成功しない場合には、リトライフラグRT=1を維持したまま、異常フラグER=1としてリトライ処理を終える。なお、原点検出回路DETの断線時やセンサ故障時には、リトライ処理(SS4)に成功する筈がないが、演出モータMOの過大に駆動されても、演出可動体AMUの収容溝GVがメカストッパとして機能するので、特段の問題は生じない。
何れにしても、リトライ処理(SS4)に失敗して、異常フラグER=1となると、エラー処理(図7のST59)において所定の異常報知動作が開始される。このように、本実施例では、原点検出回路DETの故障時には、演出可動体AMUが必ず原点領域に回収されることになり、遊技者は遊技を継続することもできるので、遊技者にそれほどの不信感を与えない。
これに対して、本実施例の構成を採らない場合には、原点検出回路DETの故障時に、原点センサ信号SNは、演出可動体AMUが原点領域に位置する場合と同一レベルとなるので、遊技者に大きな不信感を与えてしまう。
具体的に確認すると、先行文献の構成では、原点センサ信号SN=Hに対応して、露出状態の演出可動体AMUであっても、これが原点領域に位置すると誤認されてしまうので、異常報知が何もされない状態で、遊技者が遊技できない状態が継続され、遊技者に与える不信感は大きい。
また、先行文献の構成では、原点検出処理(SS5)のステップSS30の位置決め動作や、初期動作(SS6)の位置決め動作に類似する動作において、演出可動体AMUを、原点領域から脱出させる方向に駆動するが、幾ら脱出方向に駆動しても、原点センサ信号SNがLレベルに変化しないことで、異常事態が把握されることになる。しかし、この異常検出時には、演出可動体AMUは、既に限界位置まで降下した状態で表示装置DISPの前面を塞いでいるので、遊技者は遊技を継続することができず、遊技者に与える大きな不信感は避けられない。
これに対して、本実施例では、原点検出回路DETの異常時には、原点検出処理(SS5)のステップSS30の位置決め動作や、初期動作(SS6)の位置決め動作において、演出可動体AMUが、原点領域外に向けて駆動されることはなく、演出可動体AMUは、必ず原点領域への回収方向に駆動されるので、上記の弊害が生じない。すなわち、本実施例の構成の場合には、回収方向に幾ら駆動しても、原点センサ信号SNがLレベルに変化しないことで異常報知動作が開始されるが、その時には、演出可動体AMUは、確実に原点領域に回収されている。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。先ず、可動演出を実行する遊技機は、弾球遊技機に限定されないのは勿論であり、スロットマシン(回胴式遊技機)などにも本発明は好適に適用可能である。
また、実施例の演出可動体AMUは、待機状態において、表示装置DISPの上部に設けられた原点領域に収容されるが、原点領域を表示装置の下部や左右に設け、必要な可動演出時に、演出可動体AMUを原点領域から露出させても良いのは勿論である。
図11は、このような実施例を示しており、上下左右に配置された4個の演出可動体AMU1〜AMU4が、全て露出された状態を示している。このような構成において、原点センサの異常のために、演出可動体AMU1〜AMU4の全部又は一部を回収できない異常が継続されると、正常に遊技できない遊技者の感じる不快感は極めて大きいが、本発明によれば、そのような事態を確実に回避することができる。
また、図6では、演出可動体AMUが、支持腕BAL,BARに保持される構成を例示したが、必ずしも、このような実施態様に限定されず、本発明は、ラック及びピニオンによって演出可動体AMUを往復運動させる構成にも好適に適応できる。
図10は、可動部材MVと演出モータMOとの関係を説明する図面である。この構成には、ピニオンを回転させると、ピニオンに歯合したラックが移動して、可動部材MVが演出可動体AMUと共に移動する。
そして、可動部材MVの左端には、反射片RFが配置され、可動部材MVの移動経路の両端には、それ以上の移動を阻止するストッパ機構(メカロック)が配置されている。また、左側(例えば、垂直上方)のメカロックに近接して、反射型のフォトインタラプタPHが配置され、ここに反射片RFが進入すると検査光の反射が開始されるよう構成されている。
可動部材MVの可動範囲は、可動部材MVの垂直上方に位置する上側メカロックに当接される位置から、可動部材MVの下方に位置する下側メカロックに当接される位置までである。
この構成でも実施例では、反射型フォトインタラプタPHが、反射片RFで反射された検査光の受光を維持する領域を原点領域とし、定速度Vで逆方向に移動する反射片RFが、反射型フォトインタラプタPHの検査光を反射し始めてから基準時間Nだけ経過した位置を原点位置と定義することができる。
そして、この構成でも、フォトインタラプタPHの異常時には、反射片RFが原点領域から離脱した時と同一レベルのセンサ出力が得られるので、演出可動体AMUが降下状態を維持して、表示装置DISPの前面を覆い続ける異常事態を回避することができる。