JP6341913B2 - 分析物の電気泳動分離 - Google Patents

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Description

分野
本発明は、毛細管電気泳動またはマイクロチップ電気泳動のような電気泳動を用いてサンプル中の分析物を分離および検出するための方法およびこのような操作を行うためのシステムに関する。これらの方法およびシステムは、特に、サンプル中の無機陰イオンおよび無機陽イオンの同時分離および検出に適している。
背景
毛細管電気泳動(CE)、ミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)およびマイクロチップ電気泳動を含む電気泳動は、サンプル中のイオンなどの分析物を分析するための非常に有力な技術である。従来の毛細管電気泳動は、バックグラウンド電解質の存在下で、荷電イオンを電気泳動移動度に応じて異なる速度で分離毛細管を亘って移動させるために、荷電イオンに電圧を印加して、一方の極性を有するイオン(すなわち、陰イオンまたは陽イオン)を分離し、検出する。したがって、このような従来の毛細管電気泳動法は、サンプル中に存在する陽イオンまたは陰イオンのいずれかを検出するために使用される。分析物が中性(非荷電)化学種である場合、バックグラウンド電解質組成の制御たとえば界面活性剤の添加によって、このような分析物を分離することもできる。
サンプル中に存在する陰イオンおよび陽イオンを同時に分析することが有用であることは、認められている。同様に、より一般的には、複数の分離チャネルまたは分離柱による分析物の分離および分析を同時に達成できることは、有用であろう。
陰イオンおよび陽イオンの同時分析は、2つのイオンを別々に分析する必要がないため、その利点は明らかである。従来のCEにおいて、荷電種のうち1つが電気浸透流(EOF)に反して泳動する必要があるため、同時分析は困難である。従来のCEにおいて、EOFが分離電極と逆の極性を有する最速の標的分析物の電気泳動移動度よりも大きい場合に限り、陰イオンおよび陽イオンの両方を分離することは、可能である。実用上、この手法の欠点は、すべての種類の無機イオンの分離に適していないということである。陰極EOFを備える場合、この手法は、すべての種類の陽イオンを分離できるが、低移動度の陰イオンしか分離できない。その逆には、陽極EOFを備える場合、すべての種類の陰イオンを分離できるが、低移動度の陽イオンしか分離できない。co−EOF方法で分離されるイオンの最大容量は、イオンが検出器に到達する速度により損なわれる。
最近では、陽イオンと陰イオンの同時電気泳動検出ための技術を提供しようとする少数の出版物があった。1つのそのような技術は、正電および負電を荷電した化学種を毛細管の両端から注入する「二重両端注入」(DOI−CE)に頼る。EOFが減少された条件の下で行われる電気泳動分析の間に、分析物は、毛細管の各端部から、逆方向で毛細管の中央付近に配置された検出器に向かって泳動する。このDOI−CE技術の欠点は、分離空間が減少されたため、陰イオンおよび陽イオンを同時に検出器に到達しないことを保証するために、タイミングの制御を精確に行わればならないことである。
陰イオンおよび陽イオンの同時分析の別の方法は、陰イオンプローブである陰イオン錯化剤の使用を含む。金属イオンは、EDTAまたは2,6−ジカルボン酸ピリジンジを用いてキレート体に変換され、陰イオン性分離条件の下で他の陰イオン成分から分離される。この方法は、システムを簡素化するが、陰イオン性複合体を形成することができる金属イオンのみに適用するが、アルカリイオンおよびアルカリ土類イオンには適しない。
以前に検討された他の技術は、複数の箇所(すなわち、複数のサンプル貯留槽)でサンプルを投入する必要などの他の欠点を有する。これらの欠点は、分析に必要されたサンプルの用量を増加し、電気泳動装置および電気泳動システムの設計を複雑化する。さらに、このような技術は、装置内の複数の箇所で異なる大きさの正電圧を印加することおよび2箇所で接地することに依存するため、システムの設計をさらに複雑化する。流体力学的抑制は、複雑な設計を有する流体力学的制限装置を用いて達成されるため、市販の設備を使用して装置を作ることができなくなり、コストに影響を与える。
本発明の目的は、サンプル中の陽イオンと陰イオンを同時に分離および検出するための代替技術を提供することである。システムが再現できる結果を生成し、且つ従来の技術を用いてサンプルに対して(陽イオンと陰イオンを分析するために)行われた2つの異なる分析から得られる結果を示すことは、求められている。いくつかの実施形態において、単純かつ頑丈な設計を与えることも求められる。
この分析を完成する過程において、陽イオンと陰イオンの同時分離および検出を可能にする技術が、2つの分離柱を用いて一回の注入で、分析物(陽イオン、陰イオンまたは中性種)の分離および分析により一般的に適用されることは、見出されている。
また、改善された電気泳動方法およびシステムが、新たなバックグラウンド電解質(または緩衝剤)の供給オプションを開発することによって達成できることは、見出されている。したがって、いくつかの実施形態によれば、サンプル中の分析物の分離のための、バックグラウンド電解質の制御に関する新たな自由度を有する新たな電気泳動法およびシステムを提供することを目的とする。この改善された電気泳動方法およびシステムは、イオンの同時分離のために2つ以上の分離チャネル(たとえば、一方のチャンネルで陽イオンを分離し、他方のャンネルで陰イオンを分離する)を使用する技術に特定に有用である。
要約
一般的には、電気泳動を用いて、2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の分析物を同時に分離および検出するための方法が提供される。この方法は、2つ以上の分離チャネルを含む電気泳動システムに、サンプルを2つの分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートから注入するステップと、2つの分離チャネルの各々において分析物を分離するステップと、分離チャネルの各々において分離された分析物を検出するステップとを備える。
一局面によれば、電気泳動を用いて、2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の分析物を同時に分離および検出するための方法が提供される。この方法は、2つ以上の分離チャネルと2つの分離チャネルの入口の間の界面領域に配置された接地電極とを含む電気泳動システムに、サンプルを2つの分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートから注入するステップと、2つの分離チャネルの各々において分析物を分離するステップと、分離チャネルの各々において分離された分析物を検出するステップとを備える。
一実施形態によれば、分析物はイオンである。いくつかの実施形態において、イオンは、陰イオンおよび陽イオンを含む。したがって、いくつかの実施形態において、方法は、2つの分離チャネルのうち第1分離チャネルにおいて陽イオンを分離することおよび2つの分離チャネルうち第2分離チャネルにおいて陰イオンを分離することを含む。そして、陽イオンは、第1分離チャネルにおいて検出され、陰イオンは、第2分離チャネルにおいて検出される。
よって、上記を分析物としての陰イオンと陽イオンに適用される場合を要約すると、第2局面によれば、電気泳動を用いて、2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するための方法が提供される。この方法は、2つの分離チャネルと2つの分離チャネルの入口の間の界面領域に配置された接地電極とを含む電気泳動システムに、サンプルを2つの分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートから注入するステップと、2つの分離チャネルのうち第1分離チャネルにおいて陽イオンを分離し、2つの分離チャネルのうち第2分離チャネルにおいて陰イオンを分離するステップと、分離チャネルの各々において分離された陽イオンおよび陰イオンを検出するステップとを備える。
いくつかの実施形態において、2つの分離チャネルの入口の間の界面領域に接地電極を配置した状態で、第1分離チャネルの両端に正電圧を印加し、第2分離チャネルの両端に負電圧を印加する。
種々の従来技術の方法に比べて、分析物、特に陰イオンおよび陽イオンのような分析物を同時に分離および検出するための本発明の方法は、システムに単一のサンプルの供給または注入および2つの分離チャネルの各々にサンプルの一部の供給に依存している。本明細書に確立された設計は、2つのサンプル注入ではなく、単一のサンプル注入を可能にし、簡単かつ頑丈な構造において単一のサンプル注入を行う。このことは、2つの分離チャネルの入口との間の界面領域内に配置された接地電極、第1分離チャネルの両端に高正電圧を印加するための正電極および第2分離チャネルの両端に高負電圧を印加するための負電極を含む電極の巧妙な配置によって、達成される。陽イオンと陰イオンの組合せ以外の分析物の場合、異なる組合せの電極を選択すればよい。
いくつかの実施形態において、サンプルは、2つの分離チャネルの各々における分析物の分離を同時に行う前に、2つの分離チャネルに流体力学的に投入される。サンプルの流体力学的投入は、流体チャネルに連結されたバルブの開閉制御によって達成される。この流体チャネルは、サンプル注入ポートに連結された入口と、分離チャネルの入口に配置された界面領域と、界面領域の下流に配置された出口とを有する。他の技術を使用することもできる。
上記の電気泳動を用いて2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の分析物を同時に分離および検出するための方法は、以下の特定のステップを含むことができ、すなわち、この方法は、電気泳動システムを提供するステップを含む。この電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域が流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置されており、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルと、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルと、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第1荷電電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第2荷電電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器とを備える。この方法は、バックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域に導入して、バックグラウンド電解質を第1分離チャネルおよび第2分離チャネルに流体力学的に圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、バックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域に導入するステップと、第1分離チャネルにおいてサンプル中の分析物の分離と第2分離チャネルにおいてサンプル中の分析物の分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器および第2検出器を用いて、分離された分析物の存在を検出するステップとを含む。
サンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するためのシステムの場合、分析物は、陰イオンおよび陽イオンを含み、第1荷電電極は、正電を荷電した電極であり、第2荷電電極は、負電を荷電した電極であり、第1検出器は、陰イオンを検出し、第2検出器は、陽イオンを検出する。
よって、電気泳動を用いて、2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するための方法は、以下のステップを含むことができ、すなわち、この方法は、電気泳動システムを提供するステップを含む。この電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域が流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置されており、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルと、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルと、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された正電を荷電した電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する陰イオンを検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された負電を荷電した電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する陽イオンを検出するように配置された第2検出器とを備える。この方法は、バックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域に導入して、バックグラウンド電解質を第1分離チャネルおよび第2分離チャネルに流体力学的に圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、バックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域に導入するステップと、第1分離チャネルにおいてサンプル中の陰イオンの分離と第2分離チャネルにおいてサンプル中の陽イオンの分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器を用いて分離された陰イオンの存在を検出し、第2検出器を用いて分離された陽イオンの存在を検出するステップとを含む。
上述した方法は、マイクロチップ上に設けられた毛細管電気泳動システムまたは別のものにより実施されてもよい。
一実施形態において、方法はさらに、一方の分離チャネルにおいて陽イオンの分離および第2分離チャネルにおいて陰イオンの分離を行う間に、2つの異なるバックグランド電解質を分離チャネルの各々に通過するように導くことを含む。異なるバックグラウンド電解質は、陰イオンに比べて陽イオンの分離に使用することができる一方で、代わりに、複数の分離チャネルにおいて同種の分析物を分離するために、複数の分離チャネルを有する複数電解質システムを使用することができる。具体的には、分析物は、中性荷電種または一種の電荷のみ(すなわち、陽イオンまたは陰イオンの一方のみ)を荷電するイオンであってもよい。分析物は、1つ以上の化学種(中性、陽イオンまたは陰イオン)の組合わせであってもよい。それぞれの中に異なる電解質の存在下で同極性のイオンを分離するための複数の分離チャネルは、サンプル中に存在するイオンの検出および分析を改善することができる。より具体的には、異なる条件(たとえば、バックグラウンド電解質、分離柱型、EOFの極性など)を用いて、単一のサンプル注入から、任意の分析物を同時に分離および分析する能力は、大きな利点があるだろう。
複数の電解質システムに関して、本願は、電気泳動法を用いて、サンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するための方法を提供する。この方法は、電気泳動システムを提供するステップを含む。電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートと、第1バックグラウンド電解質注入ポートと、第2バックグランド電解質注入ポートとを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域は、流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置され、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートは、各々の電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質が流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の一部を同時に通過するように配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルを備え、第1分離チャネルの入口は、第1バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域の一部に配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルを備え、第2分離チャネルの入口は、第2バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域の一部に配置され、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された正電を荷電した電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する陰イオンを検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された負電を荷電した電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する陽イオンを検出するように配置された第2検出器とを備える。この方法は、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入して、第1バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第1分離チャネルに圧送しかつ第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第2分離チャネルに圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入するステップと、第1分離チャネルにおいて分析物の分離と第2分離チャネルにおいて分析物の分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器および第2検出器を用いて、分離された分析物の存在を検出するステップとを含む。
上記の方法に加えて、本願は、電気泳動を実施するために対応するシステム(または設備)を提供する。
第3局面によれば、サンプル中の分析物を同時に分離および検出するための電気泳動システムが提供される。この電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域が流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置されており、バックグラウンド電解質を貯留し、バックグラウンド電解質の液流が流体チャネルを通過することを可能にするように注入システムと流体連通するバックグラウンド電解質貯留槽と、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルと、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルと、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第1荷電電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第2荷電電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器と、注入システムと、流体チャネルを通過するバックグラウンド電解質の液流と、電極に電圧の印加とを制御するための制御装置とを備える。
サンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するためのシステムの場合、分析物は、陰イオンおよび陽イオンを含み、第1荷電電極は、正電を荷電した電極であり、第2荷電電極は、負電を荷電した電極であり、第1検出器は、陰イオンを検出し、第2検出器は、陽イオンを検出する。
したがって、要約すると、サンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するための電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域が流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置されており、バックグラウンド電解質を貯留し、バックグラウンド電解質の液流が流体チャネルを通過することを可能にするように注入システムと流体連通するバックグラウンド電解質貯留槽と、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルと、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルと、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された正電を荷電した電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された負電を荷電した電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器と、注入システムと、流体チャネルを通過するバックグラウンド電解質の液流と、電極に電圧の印加とを制御するための制御装置とを備える。
本明細書中に記載のさらなる局面は、2つ以上の異なる電解質組成物を用いて、サンプル中の(陰イオンおよび陽イオンなどのような)分析物を同時に分離するための分析物の分離および検出のための方法およびシステムを含む。
したがって、第4局面によれば、同時に2つ以上の異なる電解質の存在下で、電気泳動を用いてサンプル中の分析物を分離および検出するための方法が提供される。この方法は、2つ以上の分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートを備えた電気泳動システムを提供するステップと、異なるバックグラウンド電解質を用いて分離チャネルをプライミングするステップと、単一のサンプル注入ポートからサンプルを分離チャネルの各々に注入するステップと、異なるバックグラウンド電解質組成物流が各分離チャネルを通過する間に、各分離チャネルにおいて分析物の分離を行うために、各分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、サンプル中に分析物の存在を検出するステップとを含む。
「異なるバックグラウンド電解質を用いて分離チャネルをプライミングする」という表現は、「一方の分離チャネルを、他方の分離チャネルをプライミングしたバックグラウンド電解質と異なる組成のバックグラウンド電解質を用いてプライミングする」と意味する。異なる組成は、異なる化学組成を意味し、たとえば、バックグラウンド電解質中の化学成分の濃度および/または同一性の差であってもよい。バックグラウンド電解質は、緩衝剤と呼ばれてもよい。
このシステムは、異なるバックグラウンド電解質を用いて、サンプルを同時に分析する能力を提供するため、異なるバックグラウンド電解質がサンプル中に存在するイオンのような異なる分析物の分離に適する場合、非常に有用であり得る。
電気泳動を用いて、2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の分析物を同時に分離および検出するための方法は、電気泳動システムを提供するステップを含む。この電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートと、第1バックグラウンド電解質注入ポートと、第2バックグランド電解質注入ポートとを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域は、流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置され、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートは、各々の電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質が流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の一部を同時に通過するように配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルを備え、第1分離チャネルの入口は、第1バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域の一部に配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルを備え、第2分離チャネルの入口は、第2バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域の一部に配置され、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された荷電電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された荷電電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器とを備える。この方法は、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入して、第1バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第1分離チャネルに圧送しかつ第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第2分離チャネルに圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入するステップと、第1分離チャネルにおいて分析物の分離と第2分離チャネルにおいて分析物の分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器および第2検出器を用いて、分離された分析物の存在を検出するステップとを含む。
サンプルが陰イオンおよび陽イオンを分析物として含む場合には、第1荷電電極は、正電を荷電した電極であってもよく、第2荷電電極は、負電を荷電した電極であってもよい。第1検出器は、陰イオンを検出し、第2検出器は、陽イオンを検出する。
第5局面によれば、サンプル中の分析物を同時に分離および検出するための電気泳動システムが提供される。この電気泳動システムは、第1バックグラウンド電解質を貯留する第1バックグラウンド電解質貯留槽および第2バックグランド電解質を貯留する第2バックグラウンド電解質貯留槽と、単一のサンプル注入ポートと、第1バックグラウンド電解質注入ポートと、第2バックグランド電解質注入ポートとを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域は、流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置され、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートは、各々の電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質が流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の一部を同時に通過するように配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルを備え、第1分離チャネルの入口は、第1バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域の一部に配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルを備え、第2分離チャネルの入口は、第2バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域の一部に配置され、流体チャネルに配置された接地電極と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第1荷電電極と、第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第2荷電電極と、第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器と、注入システムと、流体チャネルを通過する第1バックグラウンド電解質および第2バックグラウンド電解質の液流と、電極に電圧の印加とを制御するための制御装置とを備える。
サンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するためのシステムの場合、分析物は、陰イオンおよび陽イオンを含み、第1荷電電極は、正電を荷電した電極であり、第2荷電電極は、負電を荷電した電極であり、第1検出器は、陰イオンを検出し、第2検出器は、陽イオンを検出する。
(a)は、本発明の一実施形態のSI−CEシステムの概略図である。図中、HV:高電圧電極、CD:容量結合非接触伝導率検出器。(b)は、オンラインサンプリングに適したSI−CEシステムの概略図である。 LPA塗布毛細管に行われた陽イオン(左)および陰イオン(右)の同時抑制EOF分離を示す電気泳動図である。CE条件(両方):毛細管内径50μm、全長40cm(検出器までの長さ25cm)、陽/陰イオンをそれぞれ分離するための電圧+/−30kV、バックグラウンド電解質:pH8.6の下で70mMのTrisと70mMのCHESとを混合して得られたTris/CHES、pH6.1の下で50mMのMESと50mMのヒスチジンとを混合して得られたMES/His、pH4.2下で50mMの酢酸/10mMのヒスチジンとを混合して得られたAA/His。図中、(1)K、(2)NH 、(3)Ca2+、(4)Na、(5)Ca2+、(6)Cl、(7)NO 、(8)SO 2−、(9)ClO 、(10)ClO 、(11)F、(12)PO 2−、および(13)CO 2−を表す。 HDMB塗布毛細管、LPA塗布毛細管およびBFS毛細管において、Tris/CHES緩衝剤に行われた陰イオンの分離を示す電気泳動図である。その他の分離条件および分析物の標記は、すべて図2の場合と同様である。 露出溶融シリカ毛細管およびHDMB塗布毛細管に同時に行われたに陽イオンおよび陰イオンのco−EOF分離を示す電気泳動図である。その他の分離条件および分析物の標記は、すべて図2の場合と同様である。 (a)内標準物を混入した標準分析物、(b)亜鉛製造工場からの処理水および(c)23個の小イオンの分離を示す電気泳動図である。全ての電気泳動図において、陰イオンの信号は、対応する陽イオンの信号と重畳される。電気泳動図に陰イオンおよび陽イオンの信号を確立するために、イオンの同定に注意すべきである。a、bおよびcのCE条件:陽イオン毛細管の場合、内径50μmのLPA塗布毛細管、I/L=35/55cm、陰イオン毛細管の場合、内径50μmのLPA塗布毛細管、I/L=28/50cm、U=−/+30kV(陽イオン/陰イオンをそれぞれ分離する)。バックグランド電解質:pH4.2の下で50mMの酢酸酸と10mMのヒスチジンとを混合して得られた溶液。分析物の標記:(1)K、(2)NH 、(3)Ca2+、(4)Na、(5)Ca2+、(6)Cl、(7)NO 、(8)SO 2−、(9)ClO 、(10)ClO 、(11)F、(12)PO 2−、(13)CO 2−、(14)CHSO (内標準物)、(15)Li(内標準物)、(16)(CrO2−、(17)MoO 2−、(18)CSO 、(19)Mn2+、(20)Zn2+、(21)Sr2+、(22)Cd2+、(23)Cr3+、および(24)Be2+、*:正体不明のイオン。 (a)は、連続50時間にわたって水道水中の分析物の泳動時間(分)の再現性を示すグラフである。図6(a)の右側は、約50時間分離の代表電気泳動図である。LiおよびCHSO は、それぞれ陽イオンの内標準物および陰イオンの内標準物である。(b)は、連続50時間にわたって水道水中の分析物のピーク面積の再現性(mV・分)を示すグラフである。LiおよびCHSO は、それぞれ陽イオンの内標準物および陰イオンの内標準物である。 本発明の一実施形態に従って、2つの分離チャネルの各々に異なるバックグラウンド電解質を供給するためのマイクロチップ電気泳動システムの概略図である。 2つの分離チャネルの各々に行われる分離のために供給した異なるバックグラウンド電解質を使用する図7に示された構成を用いたマイクロチップ電気泳動を介して、イオンを分離および分析するためのプロセスのさまざまなステップのうち、プライミングステップを示す模式図である。図面を簡略化するために、図7に示された装置のいくつかの構成要素は、図8Aに示されていない。 2つの分離チャネルの各々に行われる分離のために供給した異なるバックグラウンド電解質を使用する図7に示された構成を用いたマイクロチップ電気泳動を介して、イオンを分離および分析するためのプロセスのさまざまなステップのうち、サンプルの投入ステップを示す模式図である。図面を簡略化するために、図7に示された装置のいくつかの構成要素は、図8Bに示されていない。 2つの分離チャネルの各々に行われる分離のために供給した異なるバックグラウンド電解質を使用する図7に示された構成を用いたマイクロチップ電気泳動を介して、イオンを分離および分析するためのプロセスのさまざまなステップのうち、流体力学的注入ステップを示す模式図である。図面を簡略化するために、図7に示された装置のいくつかの構成要素は、図8Cに示されていない。 2つの分離チャネルの各々に行われる分離のために供給した異なるバックグラウンド電解質を使用する図7に示された構成を用いたマイクロチップ電気泳動を介して、イオンを分離および分析するためのプロセスのさまざまなステップのうち、緩衝剤洗浄ステップを示す模式図である。図面を簡略化するために、図7に示された装置のいくつかの構成要素は、図8Dに示されていない。 2つの分離チャネルの各々に行われる分離のために供給した異なるバックグラウンド電解質を使用する図7に示された構成を用いたマイクロチップ電気泳動を介して、イオンを分離および分析するためのプロセスのさまざまなステップのうち、分離ステップを示す模式図である。図面を簡略化するために、図7に示された装置のいくつかの構成要素は、図8Eに示されていない。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 本発明のさらなる実施形態に従って、4つの分離チャネルの各々に4つのバックグラウンド電解質を同時に供給するためのマイクロチップ電気泳動システムを示す概略図である。 一実施例に使用され、2つの分離チャネルの各々に異なるバックグラウンド電解質(または緩衝剤)化学物質を供給するためのマイクロチップ電気泳動システムまたは装置を示す模式図である。入口S、B1およびB2は、サンプルの入口、緩衝剤1の入口および緩衝剤2の入口をそれぞれ示し、外部ポンプに共に接続されている。出口W、B1−WおよびB2−Wは、廃棄物、B1およびB2により充満された分離チャネルの端部にそれぞれ対応しており、HV電極に接続されている。Wは、さらに遮断バルブVに接続されている。チャネルB1−WおよびB2−Wは、集積非接触伝導率検出器を備えている。 流体力学的注入後、4500Vの下で90mmのチャネルにおいて5ppmのNH 、NaおよびLiイオンを分離する電気泳動図である。第1のBGEは、50mMの酢酸であり、第2のBGEは、10mMのヒスチジンである。 動電学的注入後、4500Vの下で90mmのチャネルにおいて5ppmのNH 、NaおよびLiイオンを分離する電気泳動図である。第1のBGEは、50mMの酢酸であり、第2のBGEは、10mMのヒスチジンである。
詳細な説明
上述したように、本願は、電気泳動法を用いて、サンプル中の陰イオンおよび陽イオンのような分析物を同時に分離および検出するための方法およびシステムに関する。これらの方法およびシステムは、主に陽イオンと陰イオンを分析物とする例を用いて詳細に説明する。しかしながら、陰イオンおよび陽イオンを言及する場合、より一般的に分析物の分離に適用するように理解すべきであり、必要に応じて任意に変更してもよい。
概括的には、一方法は、2つ以上の分離チャネルを含む電気泳動システムに、サンプルを2つの分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートから注入するステップと、2つの分離チャネルの各々において分析物を分離するステップと、分離チャネルの各々において分離された分析物を検出するステップとを備える。
留意すべきことは、いくつかの実施形態において、一方の分離柱が陽イオンの分離に構成され、他方の分離柱が陰イオンの分離に構成されているが、2つの異なるバックグラウンド電解質の組合わせを使用する場合、この2つの分離柱が同様な電荷(すなわち正電(陽イオン)または負電(陰イオン))を荷電するイオンの分離または中性荷電種の分離に使用されてもよいということである。このような実施形態において、異なる条件を用いて1つのサンプルに対して同時分離の実施を可能にし、サンプル中のイオン成分のような分析物のより良い分析を(同一の装置において)なるべく迅速に得られるように、バックグラウンド電解質の組成を2つの分離柱の間に変更してもよい。
用語「分離チャネル」は、分析物またはイオンの分離を行うことができる分離毛細管、およびマイクロチップ上で微細加工されたマイクチャネルのような他のチャネル構成を含む。このような分離チャネルは、通常、サンプルおよびバックグラウンド電解質を分離チャネルに供給するのに使用される流体主チャネルよりも小さい直径を有する。以下、毛細管電気泳動を言及する場合、同様の構成は、毛細管電気泳動に限定されなく、他の形態の電気泳動、たとえばマイクロチップ電気泳動およびMEKCに適用されてもよいことが理解されるであろう。
図1は、本発明の一実施形態に係る設備、装置またはシステムの1つの可能な構成を概略的に示している。図1を参照して、上記で概説したように、分析物は、陽イオンと陰イオンとを含み、方法に使用される特定の設備および工程は、電気泳動システム10を提供するステップを含み得る。電気泳動システムは、単一のサンプル注入ポートを備える注入システム11(図面には詳細に示されていないが、一般的に数字12を参照)と、一端に配置された流体チャネル入口13と反対側の他端に配置された流体チャネル出口14とを有する流体チャネルとを備え、流体チャネル入口は、サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域15が流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置されており、流体チャネルの界面領域15に配置された入口17と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口18とを有する第1分離チャネル16と、流体チャネルの界面領域15に配置された入口20と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口21とを有する第2分離チャネル19と、流体チャネルに配置された接地電極22(太い黒線により示される)と、第1分離チャネル16の両端に電圧を印加するように配置された正電を荷電した電極23と、第1分離チャネルの検出領域を通過する陰イオンを検出するように配置された第1検出器24と、第2分離チャネル19の両端に電圧を印加するように配置された負電を荷電した電極25と、第2分離チャネルの検出領域を通過する陽イオンを検出するように配置された第2検出器26とを備える。この方法は、(バックグラウンド電解質ポンプ27より送込まれた)バックグラウンド電解質を流体通路28および流体チャネル入口13を介して流体チャネルの界面領域15に導入して、バックグラウンド電解質を第1分離チャネル16および第2分離チャネル19に流体力学的に圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポート12から注入し、(流体通路28および流体チャネル入口13を介して)流体チャネルの界面領域15に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域15に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネル16,19に投入するステップと、バックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域15に導入するステップと、第1分離チャネル16においてサンプル中の分析物の分離と第2分離チャネル19においてサンプル中の分析物の分離とを同時に行うように、2つの分離チャネル16,19の両端に電圧を印加するステップと、第1検出器24を用いて分離された陰イオンの存在を検出し、第2検出器26を用いて陽イオンの存在を検出するステップとを含む。
注入システムは、単一のサンプル注入ポートを備える。このサンプル注入ポートは、装置の操作者によってサンプルを装置に供給するポートであり、操作者が二箇所でサンプルを供給しなければならないシステムを除外する。
注入システムは、典型的には、少なくとも1つのバックグラウンド電解質注入ポートを含む。以下の段落では、単一のバックグラウンド電解質を利用する一実施形態を説明する。さらに以下の段落では、複数のバックグラウンド電解質に基づく第2実施形態を説明する。
サンプル注入システムは、注入バルブをさらに備えてもよい。この注入バルブを操作することにより、サンプルが流体チャネルに進入できるようにサンプル注入ポートへの流体チャネル開度を制御することができ、またはバックグラウンド電解質への流体チャネル開度を制御することができる。図1に示す実施形態において、注入器(または注入)バルブ27は、サンプル注入ポートへの流体チャネル開度を制御する1つの設定(数字2により標記される)と、バックグラウンド電解質への流体チャネル開度を制御する1つの設定(数字6により標記される)とを含む。注入バルブがバックグラウンド電解質貯留槽からの流体が流れることを可能にするように配置されたとき、バックグラウンド電解質は、ポンプまたは任意の他の流体流発生器の動作によって、流体チャネル内に圧送されてもよい。したがって、サンプル注入システムは、流体チャネルを通過するバックグラウンド電解質の液流を生成するために、流体流発生器を含むことができる。
流体チャネルは、流体チャネルの注入システムの端部に位置する入口、および出口を含む。流体チャネルの界面領域は、2つの端部の間に配置されている。流体チャネルは、十字状(X字状)連結部の2つの対向するアームの間に延在しかつ2つの対向するアームを含むチャネルによって形成されてもよい。図1に示す実施形態において、十字状連結部は、数字29で標記される。本実施形態の場合、分離チャネルは、十字状連結部における流体チャネルの界面領域に突出している。2つの分離毛細管(分離チャネル)の先端は、流体チャネルの界面領域に突出してもよい。分離毛細管の先端(すなわち、分離チャネルの入口または開口)は、流体チャネルの中心軸から等距離で離間されている。
接地電極は、流体チャネルの界面領域に設けられている。接地電極は、円筒状電極のような、細長い中空電極にすることができる。図1の実施形態では、接地電極は、黒線22として示されている。円筒状の接地電極は、流体チャネルの出口端から流体チャネルの界面領域内に軸方向に延在することができる。十字状連結部29の一方のアーム内に延在するこのような接地電極の設計は、従来技術に比べて、サンプルをはるかに短い時間で分離チャネル内に導入することを可能にする。従来技術20〜30秒に比べて、この導入時間は、約1秒となる。接地電極の円筒壁は、流体チャネルの一部を画定してもよい。流体チャネルの出口は、円筒状の接地電極の中心部を通ってもよい。
流体チャネルの内径は、50〜1000μm(すなわち、直径が最大1mmである)の範囲に、たとえば50〜800μm、100〜800μmまたは300〜800μmにあってもよい。本実施例で使用された流体チャネルの内径は、500μmであった。
バックグラウンド電解質は、バックグラウンド電解質貯留槽に格納されてもよい。このバックグラウンド電解質貯留槽は、バックグラウンド電解質が流体チャネルを通って流れることを可能にするように、注入システムと流体連通している。分離期間中に、バックグラウンド電解質の流量は、約10〜1000μL/分の範囲にあってよく、代表的には約10〜200μL/分の範囲にある。
バックグラウンド電解質は、従来に知られている任意の適切な組成を有してもよい。バックグラウンド電解質は、1つ以上の緩衝剤および任意の他の代表的な電解質成分を含むことができる。バックグラウンド電解質は、緩衝剤からなることができ、緩衝剤と呼ばれてもよい。バックグラウンド電解質は、高分子電解質、ポリエチレンイミン(PEI)などのポリマー成分を含むことができる。分析物が中性荷電種である実施形態において、バックグラウンド電解質は、荷電した界面活性剤を含んでもよい。荷電した界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウムである。荷電した界面活性剤は、中性に荷電した分析物と相互作用する。分析物は、荷電した界面活性剤と相互作用する程度に基づき、分離チャネルにおいて分離される。このことは、MEKCに応用することもできる。
分離チャネルまたは分離毛細管は、同一の構成を有してもよく、異なってもよい。分離毛細管は、溶融シリカ毛細管であってもよい。分離毛細管はそれぞれ、塗布されてもよく、塗布されなくてもよい。毛細管はそれぞれ、約10〜100μmの内径、たとえば10〜75μmの内径を有してもよい。
分離毛細管の先端(すなわち、分離チャネルの入口)は、好適には、接地電極から等距離に配置されている。この構成は、印加された電磁界が2つの分離毛細管の間に平均になることを保証する。
好ましくは、第1分離チャネルの入口と第2分離チャネルの入口と間の距離は、少なくとも50μmである。両者の入口は、最大500μm離れてもよい。
毛細管内径は、必要な最小分離距離に影響を与える。分離距離を最小でも毛細管内径の1倍、好ましくは2倍、最大20倍にする必要がある。典型的な分離距離は、毛細管内径の約5〜10倍、たとえば約7.5倍である。
短い分離時間を得るために、15cm〜50cmの短い長さを有する毛細管が好まれるが、各分離毛細管の長さを約15cm以上、最大100cmにすることができる。この長さは、分離柱の全長を指す。留意されたいことは、検出領域が一般的に毛細管の出口端から離間され、たとえば毛細管の出口または出口端から約10cm離間されているため、有効長を検出領域に対応する長さだけ短くすることができることである。各毛細管に連結された検出器は、毛細管の長さに沿って任意の適切な位置に配置することができる。いくつかの実施形態において、検出器は、毛細管の入口から約5〜15cmの位置に配置される。
各毛細管は検出領域を含む。検出領域は、毛細管の入口から、分離を行うのに充分な距離で離れて配置される。
各検出器は、分析物の存在(および相対量)を検出するのに適切である任意の検出器であってもよい。いくつかの実施形態において、検出器を使用して、無機イオンの検出を行う。例として、検出器は、光度検出器のような光検出器と、容量結合型非接触伝導率検出器(CD)のような非接触伝導率検出器とを含む。(たとえば、MEKC)電気泳動において分析物を検出するための他の種類の既知検出器を使用してもよい。検出器によって生成された信号は、信号の記録および分析を容易にするために、好適には、制御装置によって視覚画像に変換される。分離チャネル(分離毛細管)の検出領域は、好適には、分離チャネルの出口から5cm〜15cmの距離、たとえば分離チャネルの出口から約10cmの距離におけるように配置される。検出器は、検出領域と整列される。
方法/システムは、興味のある無機イオンを10ppm(百万分の一)以下の濃度で検出することを可能にする。検出は、1ppb(十億分の一)までの濃度で達成することができる。検出の限界は、使用される検出器に部分的に依存するが、CD検出器を使用すれば、このようなレベルを達成することが可能である。システムは、1分間の時間枠以内の検出が可能である。
分析物が無機陰イオンである場合には、方法/システムにより分離できる無機陰イオンは、Cl、SO 2−、SCN、F、PO 2−、CO 2−、NO 、ClO 、N 、ClO3 およびCHSO を含む。分析物が無機陽イオンである場合には、方法/システムにおいて分離できる無機陽イオンは、Ca2+、K、Na、NH4+およびMg2+を含む。上記から選択された陽イオンおよび陰イオンの組合わせを含有するサンプルは、陽イオンおよび陰イオンの同時分離および検出を可能にする本発明の方法/システムにおいて分析することができる。
他の分析物の場合には、分析物は、タンパク質、DNA、アプタマー、炭化水素、有機小分子、医薬品および生物学的に活性分子などの有機化合物を含むことができる。
第1分離チャネル用の荷電電極は、正電を荷電した電極であってもよい。接地電極を界面領域に配置した状態で、(いくつかの実施形態において陰イオンを分離するための)第1分離チャネルに連結された荷電電極は、(毛細管のような)第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置される。荷電電極は、第1分離チャネル(または毛細管)の出口端に向かってまたは出口端に配置されてもよい。電極は、典型的には、高電圧電極である。
第2分離チャネル用の荷電電極は、負電を荷電した電極であってもよい。接地電極を界面領域に配置した状態で、(いくつかの実施形態において陽イオンを分離するための)第2分離チャネルに連結された荷電電極は、(毛細管のような)第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置される。荷電電極は、第2分離チャネル(または毛細管)の出口端に向かってまたは出口端に配置されることができる。電極は、典型的には、高電圧電極である。
高電圧は、バックグラウンド電解質の液流が流体チャネルを通過する間に、分離ステップにおいて分離チャネルまたは毛細管の両端に(長手方向に)印加される。このステップに印加された代表的な電圧は、最大40kVであり、たとえば約30kVまたは25kV(正電圧または負電圧)である。電圧は、時間にわたって変調されてもよい。たとえば、電圧を固定速度または可変速度で印加される最大電圧まで増加してもよく、または段階的に増加してもよい。正電極および負電極によって印加された電圧は、一般的に同一の大きさを有するが、電位が逆である。
サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルは、流体チャネルの界面領域に投入される。この操作は、(以下でさらに詳細に説明する技術により)流体力学的に達成してもよく、または電圧の印加により動電学的に達成してもよい。
サンプルの投入が動電学的に行われた場合、サンプル中に存在するイオンがそれぞれの毛細管を通過させるように、サンプル注入(投入)の最終段階で小さな電位を2つの分離チャネル(毛細管)に短時間で印加する。このようにすれば、毛細管に最小「注入」されたイオンは、十分な感度を提供することができる。この工程に適した印加電圧および印加時間は、約1秒間に約1kV(負電極には負電圧、正電極には正電圧)であり、可能な変動範囲が0.2〜3秒間に0.2kV〜5kV(印加時間が短くなると、印加電圧が高くなる。逆も同様)である。
いくつかの実施形態において、サンプルは、2つの分離チャネルにおいて陽イオンおよび陰イオンの分離を同時に行う前に、2つの分離チャネルに流体力学的に投入される。いくつかの実施形態によれば、流体チャネルは、流体チャネル出口の開閉を制御するためのバルブを備える。流体力学的投入は、このバルブの制御開閉によって達成することができる。たとえば、サンプルを2つの分離チャネルに流体力学的に投入するために、まず、サンプルを界面領域に投入し、流体チャネル出口バルブを閉合する。そして、サンプルは、バルブが閉合されている状態で、サンプル注入ポートから注入され、2つの分離チャネルに流体力学的に圧送される。この巧妙な設計は、分離毛細管へのサンプルおよびバックグラウンド電解質の流体力学的投入を簡単かつ信頼できるようにする。
流体チャネル出口の開閉を制御するバルブの存在下、以下の(1つまたはすべての)ステップは、すなわち、プライミングする間に、流体チャネル出口を閉合して、バックグラウンド電解質を第1分離チャネルおよび第2分離チャネルに流体力学的に圧送するステップと、流体チャネル出口を開放した状態で行われる界面領域へのサンプルの投入ステップと、サンプル流体チャネル出口を閉合し、サンプルをサンプル注入ポートから注入して、2つの分離チャネルに流体力学的に圧送することによって達成される分離チャネルへのサンプルの投入ステップと、流体チャネル出口を開放した状態で、流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域にバックグラウンド電解質を導入するステップと、分析物の分離とを行うように、バックグラウンド電解質の液流が流体チャネルを通過する間に行われる分離チャネルの両端に電圧を印加するステップ、および/または流体チャネル出口を開放した状態で、電圧を2つの分離チャネルに印加するステップとは、方法に利用することができる。
いくつかの実施形態によれば、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを投入するステップの次には、バックグラウンド電解質を界面領域に別々に導入する。これらのバックグラウンド電解質は、分離チャネルに投入されたサンプルを塞ぐプラグとなる。
双電解質システム
上述したように、本願はまた、同時に2つ以上の異なる電解質の存在下で、電気泳動を用いてサンプル中の分析物を分離および検出するための方法およびシステムに関する。一般的に言えば、この方法は、2つ以上の分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートを備えた電気泳動システムを提供するステップと、異なるバックグラウンド電解質を用いて分離チャネルをプライミングするステップと、単一のサンプル注入ポートからサンプルを分離チャネルの各々に注入するステップと、異なるバックグラウンド電解質組成物流が各分離チャネルに通過する間に、各分離チャネルにおいて分析物の分離を行うために、各分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、サンプル中に分析物の存在を検出するステップとを含む。
上述したように、このシステムは、異なるバックグラウンド電解質を用いてサンプルを分析する機能を提供する。このことは、異なるバックグラウンド電解質がサンプル中に存在する異なる分析物の分離に適しているときに、非常に有用であり得る。バックグラウンド電解質は、互いの組成、濃度、pHまたはその他の点で異なる。一実施形態において、分離チャネルのうち1つの分離チャネルは、陽イオンを分離および検出するために構成されてもよく、第2分離チャネルは、陰イオンを分離および検出するために構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、分離チャネルは、陽イオンを分離するための分離チャネルと、陰イオンを分離するための分離チャネルとを含む。追加のは、陽イオンまたは陰イオンを分離するために、分離チャネルを任意に追加してもよい。他の実施形態によれば、分離チャネルは、同様の電荷(すなわち、正電または負電または中性)を有する分析物を分離するために構成される。
上記で陰イオンおよび陽イオンを分析物として概説したように、方法に使用される特定の設備および工程は、電気泳動システムを提供するステップを含み得る。電気泳動システムは、(チャネル30の形状にした)単一のサンプル注入ポートと、(チャネル31の形状にした)第1バックグラウンド電解質注入ポートと、(チャネル32の形状にした)第2バックグランド電解質注入ポートとを備える注入システムと、一端に配置された流体チャネル入口34と反対側の他端に配置された流体チャネル出口35とを有する流体チャネル33とを備え、流体チャネル入口34は、サンプル注入ポート30と流体連通しており、界面領域35は、流体チャネル入口と流体チャネル出口との間に配置され、第1バックグラウンド電解質注入ポート31および第2バックグラウンド電解質注入ポート32は、各々の電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質(陰影部分を参照。灰色陰影部分36は、第1バックグラウンド電解質を示し、白色部分37は、第2バックグラウンド電解質を示す)が流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の一部を同時に通過するように配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口39と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口40とを有する第1分離チャネル38を備え、第1分離チャネルの入口は、第1バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域35の部分に配置され、流体チャネルの界面領域に配置された入口42と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口43とを有する第2分離チャネル41を備え、第2分離チャネル41の入口は、第2バックグランド電解質注入ポートからのバックグラウンド電解質の液流が通過する界面領域35の部分に配置され、流体チャネル33に配置された接地電極(図面には詳細に示されていないが、数字44により示された領域に配置される)と、第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された正電を荷電した電極45と、第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器46と、第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された負電を荷電した電極47と、第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器48とを備える。この方法は、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入して、第1バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第1分離チャネルに圧送しかつ第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第2分離チャネルに圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、(流体チャネルの界面領域から)サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入するステップと、第1分離チャネルにおいてサンプルに存在する陰イオンの分離と第2分離チャネルにおいてサンプルに存在する陽イオンの分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器を用いて分離された陰イオンの存在および第2検出器を用いて分離された陽イオンの存在を検出するステップとを含む。
本発明の双電解質システム用の装置は、2つのバックグラウンド電解質注入ポート(および2つのバックグラウンド電解質貯留槽)が注入システム内に形成された点を除いて、上記に説明した構成とほぼ同様である。この場合でも、本実施形態は、特にマイクロチップ電気泳動に適している。したがって、以下では、マイクロチップ電気泳動に使用される本発明の双電解質システムをさらに詳述する。
双電解質システム用のマイクロチップの設計は、上述の流体チャネル33(本明細書では「流体主チャネル」または「流体中央チャネル」とも呼ばれる)と、サンプル注入ポートおよび2つのバックグランド電解質注入ポートと流体連通している流体主チャネルの入口端につながる3つのチャネル30,31,32と、流体主チャネルから(垂直方向に対して)横方向の外側に分岐した2つの分離チャネル38,39とを備えるマイクロチップを含むことができる。
マイクロチップから液体を排液するために、流体出口は、流体主チャネルの出口端35および分離チャネル40,43の出口端に設けられている。
3つのチャネル30,31,32を有し、その3つのチャネルがすべてバックグラウンド電解質を供給する構成、または2つの流体チャネルのみを有し、その2つの流体チャネルのうち一方がサンプルを供給し、他方がバックグラウンド電解質を供給する構成にすれば、このようなマイクロチップの設計は、単一の電解質システムの実施形態にも、使用することができる。
流体チャネルの入口端部につながる3つのチャネルは、バックグラウンド電解質が各々のポートに注入され、注入チャネルを介して流体主チャネルに向かって流動するときに、バックグラウンド電解質が混合せず、別々の液流で同時に流体チャネルを通過するように、配置されている。図7に示す構成において、2つの別々のバックグラウンド電解質の液流は、流体チャネルおよび界面領域の各々の部分を同時に通過する。図7に示すように、各々の部分は、界面領域の左側および右側にある。分離チャネルの入口が1種のバックグラウンド電解質のみが通過する界面領域の一部(図7に示すように、一方側)に位置しているため、界面領域のその部分を通過するバックグラウンド電解質のみが(必要な流体力学的力を受けたときに)目的分離チャネルに流入する。図9に示されたように、他の実施形態において、異なるバックグラウンド電解質が通過する界面領域領域の各部分は、流体チャネルの長手部分を構成している。
このような構成を有すれば、各分離チャネルにおいてバックグラウンド電解質の異なる化学性質を制御することができる。
上記でCEに照らして説明した第1構成と同様に、流体チャネル出口は、好ましくは、流体チャネル出口の開閉を制御するためのバルブを備える。
このような特徴を有すれば、以下の一連のステップは、分析物が陽イオンおよび陰イオンである実施形態において、電気泳動分離の実施に使用することができる。具体的には、一連のステップは、まず、流体チャネル出口を開放にした状態で、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入して、次いで、流体チャネル出口を閉合にした状態で、第1バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第1分離チャネルに圧送しかつ第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第2分離チャネルに圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップ(図8Aを参照)と、流体チャネル出口を開放にした状態で、(黒陰影によって示される)サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップ(図8Bを参照)と、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップ(図8Cを参照)と、流体チャネル出口を開放にした状態で、(サンプル流がサンプル注入ポートを同時に通過することなく)第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入するステップ(図8Dを参照)と、第1分離チャネルにおいてサンプルに存在する陰イオンの分離と第2分離チャネルにおいてサンプルに存在する陽イオンの分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップ(図8Eを参照)と、第1検出器を用いて分離された陰イオンの存在および第2検出器を用いて分離された陽イオンの存在を検出するステップとを含む。
通常、2つの異なる組成のバックグラウンド電解質は、第1および第2バックグラウンド電解質として使用される。よって、各分離は、異なるバックグラウンド電解質の存在下で同時に行われる。しかしながら、システムにおいて、同一組成のバックグラウンド電解質を使用することも可能である。
サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップは、流体力学的にまたは電気泳動的に行うことができる。流体力学的に行う場合に、流体チャネル出口が閉合され、バックグラウンド電解質が同時に流れることなく、サンプルがサンプル注入ポートから分離チャネルに注入される。電気泳動的に行う場合に、電圧が印加され、サンプルが分離チャネルに電気泳動的に注入される。分離チャネルへのサンプルの流体力学的投入(すなわち、注入)は、図8Cに概略的に示されている。
一実施形態に係る四方分離用のマイクロチップの設計は、図9に示されている。この設計のマイクロチップは、チップの幅を亘って一方の端部に延在する(図9Aの左側で上方へ延在する)流体主チャネルと、流体主チャネルの一方の端部に設けられたサンプル注入ポート(サンプルは、図9Aに示された流体主チャネルの下端部から注入される)と、流体主チャネルに向かって延在し(図9Aの流体主チャネルの左側に横方向に延在する)かつサンプル注入ポートと流体連通する4つのバックグラウンド電解質入口チャネルと、4つのバックグラウンド電解質チャネル出口(図9Aにおいて、3つのチャネル出口が流体主チャネルから横方向に右側へ延在しており、4つ目のチャネル出口が上方に延在する流体主チャネル出口によって画定される)と、流体主チャネルから(垂直方向に対して)横方向に外側へ延在しかつバックグラウンド電解質チャネル出口の前に配置された4つの分離チャネル(流体主チャネルの右側から離れて延在する細い線で表されている)と、4つの検出器51と、(各々の分離チャネルの入口に位置する黒点で表示される)グランド電極50と、4つの高電圧電極52とを含む。
図9において、各々のバックグラウンド電解質の流体経路は、異なる陰影を用いて示される。よって、示された各々のバックグラウンド電解質の流路は、ジグザグになっている。
マイクロチップから液体を排液するために、流体出口は、分離チャネルの出口端に設けられている。
バックグラウンド電解質チャネルは、各々のバックグラウンド電解質がポートから流体主チャネルに注入されるときに、バックグラウンド電解質が混合せず、別々の液流で同時に流体チャネルを通過するように、配置されている。本実施形態における界面領域は、4つの分離チャネルの入口領域を包含し、異なる電解質流は、別々に流れている分離チャネルの入口の各々を次々に通過して、流体主チャネルの部分を通過する。その構成は、図9Bにおいて陰影付きのバックグラウンド電解質の液流によって示されている。分離チャネルの入口が1種のバックグラウンド電解質のみが通過する界面領域の一部(図7に示された領域の一部)に位置しているため、界面領域のその部分を通過するバックグラウンド電解質のみが(必要な流体力学的力を受けたときに)目的分離チャネルに流入する。
図9Cに示すように、バックグラウンド電解質を分離チャネルに投入した後、サンプルは、サンプル入口から注入され、流体主チャネルを通過する。次いで、図9Dに示すように、サンプルは、分離チャネル内に注入される。図9Dの実施形態において、サンプルの注入は、分離チャネルの両端に電圧を印加することによって電気泳動的に行われる。代わりに、流体力学的注入を使用してもよい。次のステップにおいて、図9Eに示すように、4つのバックグラウンド電解質の液流は、第1、第2、第3および第4のバックグラウンド電解質注入ポートから導入され、(各々のバックグラウンド電解質出口および流体主チャネル出口を開放した状態で)流体主チャネルを通過して、流体チャネルの界面領域の各々の部分に流入する。このことは、サンプル流がサンプル注入ポートを同時に通過することなく行われる。これによって、バックグラウンド電解質は、各分離チャネルに流入したサンプルを塞ぐプラグとなる。その後、図9Fに示すように、各分離チャネル(または分離柱)においてプラグにより塞がれたサンプル中の分析物分離を達成するために、電圧を印加する。分析物は、分離チャネルの検出領域を通過するときに、検出器によって検出される。
上記の実施形態に使用されたマイクロチップは、微細加工、リソグラフィ、一体成型、エンボス加工または類似の技術、またはこれらの技術の組合わせに限定されなく、これらを含む任意の適切な技術によって構築されてもよい。チャネルは、一般に、マイクロチップの一面に設けられ、接着された蓋を有する。
上述した毛細管電気泳動に利用された流体チャネルと比べて、流体チャネルの内径は、典型的には、マイクロチップシステムに使用されたものと同様である。ただし、この場合のチャネルは、断面が(円形ではなく)略矩形または半円形であってもよく、幅よりも小さい深さを有してもよい。マイクロチップがプラスチック基板に支承される場合には、矩形断面のチャネルは好ましいが、基板がガラスである場合には、半球状のチャネルは好ましい。分離チャネルの幅(矩形チャネルの場合、長辺の寸法であり、半円形チャネルの場合、直径の寸法/半径の寸法の2倍である)は、典型的には、上記の断面が円形であるチャンネルの直径とほぼ同じである。このようなマイクロチップの流体主チャネルの典型的な直径は、約300〜500μmの範囲にある(50〜500μmの範囲に変化してもよい)。深さ(半円形チャネルの場合には、半径寸法または最大深さに相当する)は、典型的には約50μmである(約10〜100μmまたは30〜70μmの間にある)。分離チャネルの典型的な直径は、50μmである(10〜100μmの範囲に変化してもよい)。分離チャネルの深さは、流体主チャネルの深さと同様であってもよいが、半円形チャネルの場合には、流体主チャネルの深さよりも小さくてもよい。注意すべきことは、流体主チャネルの直径に比べて、分離チャネルが一般的に流体主チャネル直径の30%未満、たとえば25%未満または20%未満の直径を有するため、流体主チャネルを通過する流体を、流体力学的または動電学的な支援なしに分離チャネルを通過することを防止することに役立つことである。
電極は、任意の適切な種類および設計を有するものにすることができる。電極は、非接触型電極であってもよい。
制御システム
上述した実施形態のすべてにおいて、コンピュータなどの制御システムが、設備または装置を動作させるために使用される。したがって、制御システムは、注入システムの制御(たとえば、バルブ位置など)、ポンプ動作(およびバックグラウンド電解質の流速)の制御、流体チャネル(存在する場合)の出口バルブの制御、および電圧などの印加を含む装置の動作を制御することができる。制御システムはまた、検出器によって受信された信号を処理し、その信号を(表示部にまたはその他に表示される)視覚的表現に変換するように、検出システムを制御することができる。制御システムは、パーソナルコンピュータまたは専用の制御システムを含むことができる。
サンプル中の陰イオンおよび陽イオンを同時に分離および検出するための電気泳動システムにおいて、制御装置は、以下の一連のステップを行うように、注入システム、バックグラウンド電解質の液流および印加される電圧を制御する。一連のステップは、バックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域に導入して、バックグラウンド電解質を第1分離チャネルおよび第2分離チャネルに圧送することにより、バックグラウンド電解質を用いて2つの分離チャネルをプライミングするステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、バックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域に導入するステップと、第1分離チャネルにおいてサンプルに存在する陰イオンの分離と第2分離チャネルにおいてサンプルに存在する陽イオンの分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器を用いて分離された陰イオンの存在および第2検出器を用いて分離された陽イオンの存在を検出するステップとを含む。
上記の一連のステップは、陽イオンおよび陰イオン以外の分析物を分離するために、必要に応じて変更されてもよい。
一実施形態において、システムは、2つのバックグラウンド電解質を貯留するための2つ以上のバックグラウンド電解質貯留槽を含み、制御装置は、2つのバックグラウンド電解質を流体チャネルに導入することおよび2つのバックグラウンド電解質が流体チャネルを通過することを制御する。
2つ以上の異なるバックグラウンド電解質を供給するシステムにおいて、制御装置は、以下の一連のステップを行うように、注入システム、バックグラウンド電解質の液流、および電圧の印加を制御する。一連のステップは、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入して、第1バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第1分離チャネルに圧送しかつ第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を第2分離チャネルに圧送するステップと、サンプルを単一のサンプル注入ポートから注入し、流体チャネルの界面領域に流入させることによって、サンプルを流体チャネルの界面領域に投入するステップと、サンプルを2つの分離チャネルに投入するステップと、第1バックグラウンド電解質注入ポートおよび第2バックグラウンド電解質注入ポートからバックグラウンド電解質を流体チャネルを介して流体チャネルの界面領域の各々の部分に同時に導入するステップと、第1分離チャネルにおいてサンプルに存在する陰イオンの分離と第2分離チャネルにおいてサンプルに存在する陽イオンの分離とを同時に行うように、2つの分離チャネルの両端に電圧を印加するステップと、第1検出器を用いて分離された陰イオンの存在および第2検出器を用いて分離された陽イオンの存在を検出するステップとを含む。
同様に、陰イオンおよび陽イオン以外の分析物を分離する場合、陽イオンおよび陰イオンを言及する箇所は、陽イオンおよび陰イオンの代わりに、分析物を用いて説明してもよい。
それぞれの場合において、制御装置は、連結された表示部に選択された異なる所望のプロファイルをユーザに提示することができる。マウス、キーパッドなどの入力装置を介して行われた選択を受信すると、制御装置は、選択された所望のプロファイルを使用して、制御装置のメモリに格納された検索テーブルから関連する動作パラメータを取得する。一例として、制御装置は、表示部および1つ以上の入力装置を備えるユーザインタフェースとデータ通信している。制御装置は、ユーザに入力の要求を提示し、入力装置からの1つ以上の入力を受信し、およびその入力およびメモリに格納された指令に応じて放射線源を制御するように、連結された有形メモリに格納されたコンピュータ可読指令を処理する処理装置を有する。使用された用語「処理装置」は、一般的に、放射線源を制御するように、格納された指令に応じて入力を処理することができる任意の装置を指し、マイクロ処理装置、マイクロ制御装置、プログラム可能な論理装置または他の計算装置、汎用コンピュータ(たとえばPC)またはサーバを含むことができる。
システムは、装置または設備の形にされてもよい。装置は、1つの部品からなる装置であってもよく、別々の部品からなる装置であってもよい。
この制御システムは、好ましくは1時間当たりに少なくとも10個、または12個または14個のサンプルを実行可能である。以下の実施例に記載のシステムにおいて、1時間あたりに17個のサンプルの実行が達成されている。
実施例
以下の実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明の基礎となる原理および本発明の特定の実施形態を実証する。広く記載された本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施例により示された本発明に対して、多くの変形および/または修飾がなされ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本願の実施形態は、すべての点で、例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。
1 実験
1.1 設備
SI−CEシステム(連続注入毛細管電気泳動システム)は、社内で開発された。この卓上システムの概略図は、図1(a)に示されている。システムにサンプルおよびバックグラウンド電解質(BGE)を供給するために、ダブルシリンジポンプ(型番33、Harvard Apparatus社、米国マサチューセッツ州ホリストン市)を使用した。2つの20mLのプラスチックシリンジ(Livingstone社、米国マサチューセッツ州ホリストン市)またはガラスシリンジ(Hamilton社、米国ネバダ州リノ市)を使用した。サンプルまたはBGEを分離界面領域に交代に供給することを可能にするために、2つの注入位置バルブ(MXP−7980、Rheodyne社、米国ワシントン州オークハーバー市)を使用した。流体径路に2つの毛細管を接続するために、商業PEEK十字形接続部(P−729、Upchurch Scientific社、米国ワシントン州オークハーバー市)を使用された。注入針(内径0.51mm)からカットされた20mm長のステンレスチューブは、出口および接地電極として使用された。十字形部の出口の線上に設けられた遮断バルブ(HP225K021、Nresearch社、米国ニュージャージー州ウェストコードウェル市)は、毛細管の平衡化および洗浄のためのオンライン洗浄を可能にした。
陰イオンおよび陽イオンの分離のために、2つの別体の内径50μmの露出溶融シリカ毛細管(Polymicro社、米国アーカンソー州フェニックス市)を使用した。界面部内の2つの毛細管の先端間の距離は、十字形部の中空アームを通って挿入された毛細管(内径360μm)を使用して固定された。両方の毛細管の出口は、15mLのBGEが入っている20mLのガラスバイアル瓶に挿入された。
オンラインサンプリングのため、サンプル注入器の代わりに、四元HPLCポンプ(Alltech 727、 Grace Division Discovery Science、オーストラリアクイーンズランド州アーチャフィールド市)からの出口ラインは、2つの位置バルブに配管された。四元ポンプは、一方の入口ライン上に配置された溢流性容器および他方の入口ライン上に配置された内標準物容器から直接にサンプリングする。注射器ポンプの容量限界を克服するために、BGEは、milliGATポンプ/MForce制御器(MG−5、GlobalFIA社、米国ワシントン州フォックスアイランド市)を介してシステムに供給された。オンラインサンプリングの構成は、図1(b)に示されている。
2つの市販CD検出器(Tracedec、Innovative Sensor Technologies社、オーストリアStrassahof市)は、使用され、1本の毛細管に1台を配置した。システムの全体に設定された出パラメータは、周波数:高、電圧:−6dB、ゲイン:100%、オフセット:000、フィルター:周波数1/3およびカットオフ0.02であった。
信号の記録および分析のために使用されたAgilent ChemStationソフトウェアに、CD信号を伝送するために、Agilent 35900E A/D変換器(Agilent Technologies社、ドイツ国ヴァルトブロン市)を使用した。各毛細管に行われた分離は、Spellman CZE2000またはCZE1000高電圧電源(Hauppage社、米国ニューヨーク州)により駆動された。この高電圧電源は、陽イオンを分離するために通常の極性(+)の下で動作し、陰イオンを分離するために逆の極性(−)の下で動作する。電極は、それぞれの出口バイアル瓶に浸入された。
システムは、注射器ポンプ用のRS232シリアル接続(milliGATポンプ用RS422シリアル接続)を介して、パーソナルコンピュータにより制御された。注入バルブ、遮断バルブおよび高電圧電源は、NI USB−6212データ収集装置(National Instruments社、米国テキサス州オースティン市)を介してコンピュータに接続された。システムの全面制御およびデータのより少なめの収集は、社内ソフトウェア(Labview 8.1、National Instruments社)を用いて達成された。システムの温度が制御されておらず、すべての実験は、環境温度で行った。
2.1 システムの操作
サンプルの注入は、順次に行われた。代表的な分離シーケンスの手順は、表1に詳細に記載されている。BGEにより完全に充満されている界面部および毛細管の準備済み状態から出発して、界面部にサンプルを充填して、その後、1秒間の高電圧を印加することによって、サンプルの陰イオンおよび陽イオンをそれぞれの分離毛細管に注入した。注入した後、サンプルは、500μL/minの流量で界面部から洗い出され、分離電圧を印加するときに、流速を50μL/minに減少した。洗浄時間および流量は、注入時間および試薬の消費量を最小にするように選択された。最終分離条件の下で、50/55cm×50μm内径の毛細管を使用して、50〜500μL/minの間のBGE流量で分離を行う場合、分析物の泳動時間は、BGE流量に影響されなかった。
流体力学的洗浄手順は、電気泳動分離の間に、毛細管表面を物理的クリーニングするおよび再平衡化するために組込まれた。この洗浄手順は、十字形界面部に十分な圧力を確立して、毛細管を洗浄するために、遮断バルブを閉合し、BGEを500〜1000μL/min流量で5秒間に流すことによって達成された。毛細管の高流量洗浄に続いて、遮断バルブは再び開放され、次のサンプルを注入する前に、5秒間の休止時間を与え、システムを環境気圧に調整した。この洗浄手順は、3つの利点を提供した。まず、この洗浄手順は、次の電気泳動分離を妨害しないように、不要な分析物を検出器から洗い出すことを可能にするように、分析時間の設定機能を可能にした。次に、この洗浄手順は、部分的な閉塞および気泡を除去するために、毛細管の物理的なクリーニングを提供した。最終に、この洗浄手順は、電気泳動分離の間に毛細管表面を再平衡化し、一回の電気泳動分離と次回の電気泳動分離との間のベースラインの安定性を著しく増加した。
2.2 化学物質
すべての試薬は、Sigma-Aldrich社(シドニー、オーストラリア)から入手した分析試薬等級であり、特に明記しない限り、供給されたまま使用した。溶液は、超純水(Millipore社、米国マサチューセッツ州ベッドフォード市)で調製した。陰イオンおよび陽イオンの両方の分離が同時に行われたことを考えて、標準溶液は、興味のあるすべての12個の分析物がほぼ等濃度を達成するように、利用可能な塩から調製した。1000mg/Lの陰イオン標準溶液は、NaClO、KClO、Mg(NO)、NaF、KHPO(BDH社、オーストラリアビクトリア州)、CaCl・2HO(AJAX社、オーストラリアニューサウスウェールズ州)、(NHSO(H&W社、英国エセックス州)を溶解することにより調製した。
興味のある一般的な無機イオンから水の監視、爆発物の分析および共通環境のバックグラウンドイオンまでの広範かつ一般的な研究を可能にするように、分析物を選択した。したがって、PO 3−(5ppm)、F−(5ppm)、SO 2−(5ppm)、ClO (5ppm)、ClO (5ppm)、Ca2+(5ppm)、K(5ppm)、Cl(9ppm)、Na(7ppm)、NH (2ppm)およびMg2+(1ppm)の標準分析物の混合液を調製した。
ナトリウム−1−メチルスルホネート水和物(MSA)およびLiCOを内標準物として使用した。すべてのサンプルは、注入前に、濾過以外の前処理を行わなかった。研究に使用された3つのBGEは、pH8.6の下で70mMの(トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris))と70mMのN−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)を混合して得られた溶液、pH6.1の下で50mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)と50mMのL−ヒスチジン(His)を混合して得られた溶液、およびpH4.2の下で50mMの酢酸(AA)と10mMのHisを混合して得られた溶液であった。臭化ヘキサジメトリン(HDMB)は、必要に応じて電気浸透流を反転させるために、露出溶融シリカ毛細管の壁を塗布するように使用された。
2.3 電気泳動法
一回目の使用の前に、1MのNaOHを用いて0.5μL/minの流量で5分間洗浄してから、超純水を用いて0.5μL/minの流量で5分間洗浄することにより、すべての露出溶融シリカ毛細管をオフラインで調整した。HDMB塗布膜を採用する場合、その後、毛細管を5%のHDMB水溶液で塗布し、続いて水で5分間洗浄した。両方の毛細管を調整/塗布した後、十字形部に組立てられ、陽イオン分離のために使用される露出溶融シリカ毛細管上に任意の陽イオン性界面活性剤の交差汚染を避けるために、BGEで平衡化した。
線状ポリアクリルアミド(LPA)塗布の50μm内径の毛細管は、Polymicro Technologies社から購入した。これらの毛細管は、超純水を用いて0.5μL/minの流量で10分間洗浄することによって調整された。すべての場合において、分離界面部を組立てた後、BGEを用いて5μL/minの流量で30分間毛細管を洗浄することによって、毛細管を平衡化した。
3 結果と考察
上記で概説した装置およびシステムは、陰イオンおよび陽イオンの同時注入および分離を可能にするために開発された。商用の十字形部は、分離毛細管の界面部として使用された。50μmの内径を有する毛細管は、毛細管を通過する任意の流体力学的液流を規制するのに十分な背圧を有するため、使用された。装置の機能は、両方の毛細管が急速に洗浄されるように閉合することができる遮断バルブを設けることによって、向上された。この手法の機能性の実証は、図2に示されている。図2は、C4D検出を利用して、以前研究された3つのBGEにおいて、5つの陽イオン(K、NH 、Ca2+、NaMg 2+ )および8つの陰イオン(Cl、NO 、SO 2−、ClO 、ClO 、F、PO 2−、CO 2−)の同時分離を示している。
これらの実験において、陽イオンと陰イオンの分離に選択された第1のBGEは、約pH4の下で、さまざまな濃度の18−クラウン−6−エーテルに溶解した10mMのL−ヒスチジン(His)および50mMの酢酸からなる。分離に選択された第2の緩衝剤は、pH6.1の20mMのMES/20mMのHisの緩衝剤からなる。この緩衝剤は、陽イオンの分離によく使用されており、陰イオンおよび陽イオンの両方のマイクロチップCE分離にも使用されてきた。システムの信号応答を高めるために、濃度は、50mMのMES/50mMのHisに調整した。分離に選択された第3のBGE、すなわち最終のBGEは、pH8.6の下で、70mMのTrisおよび70mMのCHESからなる。このBGEは、無機陰イオンおよび低分子量有機酸の分離に有効である。図面から分かるように、陰イオンおよび陽イオン両方の優れた分離、および1つのサンプル注入ポイントから、陰イオンおよび陽イオンを同時に分離するこの手法の単純さは、明瞭である。この手法における制限の1つが同一のBGEが陰イオンおよび陽イオンの両方に使用されなければならないため、最も適切なBGEの選択が特定用途によって異なるであろう。ここで、選択されたイオンを分離するための最良のBGEは、EOFの影響を検討した後、さらに説明する。いずれにしても、本明細書に記載の双電解質システムが使用された場合、この制限が克服されている。
3.1 毛細管壁の塗布膜
本明細書に記載された手法は、1つの分離毛細管の代わりに、2つの分離毛細管を使用する点で、DOI−CEと主に異なる。2つの分離毛細管を使用することにより、さまざまな壁の塗布膜の使用、それによって陰イオンおよび陽イオンの分離のために別々のEOF条件の使用を可能になり、両方の分離を最適化する自由度が与えられる。
異なる表面化学、したがって異なるEOFの影響を評価するために、未変性溶融シリカにおける通常EOF、LPA塗布毛細管における低EOF、およびHDMB塗布毛細管における反転EOFを含む標準分析物の混合物の分離は、3つの異なる分離毛細管を用いて、上述した3つのBGEにおいて行われた。陽イオンの分離は、溶融シリカおよびLPA塗布毛細管のみにおいて行われた。その原因は、(EOFがHDMBの移動度よりも大きいため、)陽イオンの反転EOF分離がHDMB分子を分離界面部に引込む効果を有するため、界面領域および他方の分離毛細管を汚染するからである。
図3から分かるように、異なる表面電荷を有する毛細管を使用する能力は、高pHの下で陰イオンの分離に最も顕著な効果を有する。Clの泳動時間は、未修飾の溶融シリカ毛細管における120秒から、LPA塗布毛細管における45秒およびHDMB塗布毛細管における35秒に変化した。PO 2−の最も遅いピークは、同一の毛細管において、それぞれ530秒、120秒および46秒から変更した。陰イオンの分離のために使用されたHDMB塗布毛細管および陽イオンの分離のために使用された未溶融シリカ毛細管は、co−EOF方法で、同一の注入ポイントから、陰イオンおよび陽イオンの両方を分離するユニークな能力を与える。このことは、CEまたはMEにおける他の手法によっては不可能である。
図4は、3つの異なるBGEにおいて行われた標準的な陰イオンおよび陽イオンの同時co−EOF分離の結果を示している。予想の通りに、すべての陽イオンの泳動時間は、EOFの大きさの増加に起因して、緩衝剤pHとともに増加した。陰イオンの泳動時間に対する影響がわずかであろうと予想されるが、これは必ずしもそうではなかった。両方の毛細管においてco−EOF分離を行う場合には、毛細管の置換によって泳動時間(特に陰イオンの泳動時間)に変動があったことは、特に興味深かった。陽イオンの分離EOFが最大であった(および陰イオン毛細管のEOFがかなり大きかった)場合、この変動は、Tris/CHESバックグラウンド電解質において最も顕著であった。その原因は、陰イオンの泳動時間の変動(最大30%まで)と比べて、回復する間において陽イオンの泳動時間の変動(<15%)が比較的に小さいことがわかった。注入および分離の間には、流体力学的力、電気力学的力およびEOF力が注入界面に存在するが、これらの結果は、泳動時間に影響を与える支配的な力が双方向におけるEOF間の競合に起因したことを示した。Tris/CHES系co−EOFの場合に、露出溶融シリカによって生成されたEOFは、HDMB塗布毛細管によって生成されたpH非依存EOFよりも著しく大きかった。両方の毛細管内の抑制EOF条件、または陽イオン毛細管内のco−EOF条件および陰イオン毛細管内の抑制EOF条件を考慮すると、界面部の回復は、陰イオンまたは陽イオンのいずれかの泳動時間に有意な変動を与えなかった。これらの結果は、界面領域における毛細管の精確な整列(入口を接地電極から等距離の位置に配置することを含む)が双方向の高EOF条件においては重要であることを示している。回復された後は、泳動時間が毛細管壁の塗布膜の寿命において反復可能であった。毛細管を交換する必要があるときだけ、泳動時間に不一致が生じる。毛細管の位置を物理的に規定する方法を改善することは、この問題を軽減する可能性があるが、本明細書ではさらに研究しなかった。
3.2 同時分離の最適条件
選択性およびピーク形状に関して、優れた選択性は、Tris/CHESにおける陽イオンに対して観察された。KおよびNH は、添加剤を使用せずに分離することができる。その原因は、NH イオンが814を超えるpH値の下で部分的な脱イオン化によって解釈できる。AA/Hisバックグラウンド電解質(BGE)およびMES/Hisバックグラウンド電解質(BGE)において、18−クラウン−6エーテル(Kと複合体を形成することによって)を添加することによって、KおよびNH の分離を容易にすることができるが、陰イオン分離への影響が観察されなかった。しかしながら、電解質システムの比較を簡素化するため、このことは、本明細書に含まれなかった。陽イオン分離用のTris/CHES電解質システムの欠点は、おそらく水酸化物の形成により、Ca2+およびMg2+の両方に生じた顕著なテーリングにあった。陽イオンの分離選択性は、AA/Hisにおいて少々良くなった。陽イオンの分離のみが必要とされた場合に、分離選択性は、選択されたBGEによるだろう。
陰イオンの分離に関して、Tris/CHES緩衝剤は、速い泳動時間、良好な信号応答およびすべての3つの緩衝剤の中で最も安定したベースラインを与えたが、NO −およびSO 2−は、最大分離時間3分間をかけても満足な分離度が達成されなかった。さらに、HDMB塗布膜は、第1回の分離に対して最も遅い分析物(HPO 2−)の泳動時間が10%の増加になるまで、80回以上の分離を持続できないだろう。最終的には、陰イオン分離のEOF信号が陰イオン泳動時間の大幅な増加を伴い、完全に消える。このことは、表面塗布膜の著しく劣化を示す。よって、毛細管の完全な交換が必要とされる。HDMBが界面部および陽イオン分離毛細管を汚染することを避けるために、BGEは、あらゆる表面改質添加剤を含有することができず、各分離の間に、界面部を洗浄することができない。すべてのHDMB塗布毛細管は、汚染を避けるために、オフラインで毛細管からHDMBを洗浄した後、界面領域に挿入されべきである。この傾向は、高pHで最も顕著であったが、すべてのBGEについて観察された。HDMB塗布膜が動的であるため、このことは、驚くべきことではない。実際には、このことは、HDMB塗布膜を長期に使用する可能性を制限した。
MES/His緩衝剤において、陰イオンの選択性は、最大分離時間3分間において不良であった。酢酸/ヒスチジン緩衝剤がすべての陰イオン種に対して、適切な分離度を与えたが、HPO 2−の泳動時間が二番目遅い分析物(SO 2−)よりも著しく大きくなり、 イオンがHDMB塗布毛細管において大幅なテーリングが生じた。このことは、正電を荷電したHDMBに塗布された壁との相互作用を示している。SO 2−の選択性も、おそらくHDMBとの相互作用により、BFS毛細管またはLPA塗布毛細管のどちらかに行われた同じ分離から変動した(図4と比較する)。
双方向に行われたco−EOF条件がより高速な分離を与えたが、陰イオンチャネルの毛細管壁塗布膜の短寿命がHDMBを広範囲操作応用から排除した。総分離時間が最終的に最も遅い種(HPO )の泳動時間により決められたことを考えれば、LPAにおける陽イオンの分離に与えられた長い泳動時間が、NaとMg2+とのピークをより良く分離することに役立つ。
上記で概説した理由で、システムの分析性能を評価するために、AA/His/18−クラウン−6−エーテルのBGEを使用する抑制EOFシステム(LPA塗布毛細管)を選択した。
4 性能
4.1 環境サンプルの連続注入分析
上記の条件を出発条件として使用する。50mMのAAと10mMのHisと2.5mMの18−クラウン−6−エーテルとを含有するBGEを用いて、LPA塗布毛細管内のすべてのイオンを完全に分離するために、陽イオン分離用の毛細管の長さを55cm(35cmの有効長)に延長し、陰イオン分離用の毛細管の長さを50cm(28cmの有効長)に延長した。サンプル分析性能を改善するために、2つの内標準物(IS)は、よく知られた電動学的注入により発生するサンプル行列のバイアスの補正を可能にするために、使用した。LiCOのCO 2−イオンがpH4.2の下でプロトン化されることになり、陰イオン分離時に見られないという利点があるため、陽イオンを分離するためのISとして、Li(5ppm)を選択した。陰イオンのISとして、メチルスルホン酸(CSO )(10ppm)を選択した。標準的な分離の代表的な電気泳動図は、図5(a)に示される。
これらの同様な分離条件は、川および湖からのサンプル(図示せず)、水道水(図6に示す)、および亜鉛処理工場のさまざまな製造工程から採取した処理水サンプル(そのうちの1つは図5(b)に示す)を含むさまざまな環境サンプルに対し、非常に良好な分離を与えた。図5(c)は、3分間の総分離時間内において、23個の陰イオンおよび陽イオンの同時分離を示し、システムが本明細書に説明したもの以外の用途に適用可能である潜在性を示している。
泳動時間およびピーク面積の再現性データは、表2に記載されている。これらのデータは、標準分析物の溶液(n=10)に対して、6時間に亘って連続的に行われた101回の連続分離のうち10番目の分離の分析結果に基づいたものである。LODは、標準分析物の溶液を10倍に希釈したサンプル(ほとんどの分析物に対し、約0.5ppmである)を雑音比=3で注入した状況下で計算した。ほとんどの分析物のLODは、0.01〜0.05mg/Lにある。これらの値は、間接吸光度検出により得られた値0.1〜1.7mg/Lより著しく良くなり、CD検出器を備えるCEシステムを用いて得られた値0.04〜0.08mg/Lよりも少し良くなった。
4.2 自動フローインジェクション分析
図1(b)に示されたシステム構成を用いて、実験室で水道水に対して2日間のオンライン分析を行った。こオンライン分析は、3.5分間に1回の分析(1時間あたりに約17回)を行い、900回に連続に行った。サンプルは、流動水道水の貯留槽から四元ポンプに引き出された。図6は、実験期間に亘って5時間ごとの分離結果を示している。内標準物(200ppmのMSA、100ppmのLi)は、第2ポンプ入口ラインを介して貯留槽から引き出された。サンプルとISとは各々、0.9mL/min:0.1mL/minの流量比で混合された。これにより、サンプルは、10%に希釈され、Li用のIS濃度が5mg/mLとなり、MSA用のIS濃度が10mg/mLとなった。サンプル/IS出口ラインは、サンプル注入ポートに直接配管された。実験は、冬季の土曜日の午前9時30分に始まり、週末を亘って行った。建物の内部加熱は、実験前の金曜日の午後4時から次の月曜日の午前8時までの期間にオフにした。図6(a)に見られた泳動時間の大幅な変動は、実験の期間にわたる温度の変化に起因したものである。図6(b)に示すように、これらの泳動時間の変動は、図6(b)の実験期間におけるISピーク面積の変動に与えた影響が無視できる(12個のサンプリング値から計算された両方の標準物の%RSDは、3%よりも小さい)。これらの結果は、分析物のピーク面積に見られた変動が実際環境の変動によるものであり、システムの誤差によるものではないことを示している。実際には、月曜日の朝に仕事が再開したときに、人々が建物全体において水の使用を開始することによって、配管を通って移動するのFe2+の濃度を増加させたため、最後の2つのデータポイントは、Fe2+のピーク面積における大幅な増加率を示した。システムの定量化に関しては、厳密に検討されなかった。システムの断熱および自動データ処理ソフトウェアの開発をさらに考慮すれば、これらの結果は、この安定かつ再現性のあるシステムを数多くの自動化設備に容易に応用できることを示している。
結論
この例では、CEによって単一の注入点からの陰イオンおよび陽イオンを同時に分離するためのこの新しい方法の有効性を実証した。単一のBGEを使用して、陽イオンと陰イオンの両方を分離するためには欠点が残っているが、各毛細管壁の塗布膜および検出器の配置距離を変化させることができるため、陰イオンおよび陽イオン両方の分離の最適化を反対端からのデュアル注入CEよりもはるかに容易に簡素化できる。このシステムは、多くの応用に適用することができ、3.5分間の総分析時間内で少なくとも11個の陰イオンおよび12個の陽イオンを同時に分離することができる。オンラインで直接サンプリングすることは、実験室における陽イオンと陰イオンの同時分析だけではなく、水道水サンプルを用いて実験室において48時間に亘ってオンラインで行われた分析により実証されたように、広範な自動化監視応用にも、このシステムを潜在的に応用できるようにした。以下の実施例において、単一のバックグラウンド電解質の使用に関連した欠点が克服される。
この実施例において、マイクロ流体手法を用いて、サンプル中の分析物を同時分析するための各々のマイクロチャネルに、各々の分離化学物質(バックグラウンド電解質組成物)を供給した。動電学的注入に加えて、2つの分離チャネルに単一のサンプルを流体力学的注入するとともに、染料を使用する新しい方法が開発され、無機陽イオンの分析に適用された。使用された技術は、(i)同時かつ包括的な分析を行うために、層流を使用して、最適な選択性で各々の分離化学物質を自由に導入する技術と、(ii)チップCEに偏向の無い注入を流体力学的制御する技術とを含む。
1.実験
マイクロ流体チャネルにおいて、低レイノルズ数は、層流領域を決定する。層流は、異なる流体が互いに拡散による混合することなく、並列に流動することを可能にする。
層流実験に使用されたチップの設計は、図10に示される。チャネル(深さ15μm)は、PDMSマスターを用いて、厚さ1.5mmのPMMAにおいて熱エンボス加工によって構築され、業務用ラミネーターを用いて厚さ1.5mmのPMMA基板で密封した。チャネルS、B1およびB2は、幅450μmである。チャンネルB1−WおよびB2−Wは、幅50μmである。タップトレッドを有するPMMAポートは、貯留槽と流体連通するように、標準なアップチャーチ金具を用いて貯留槽に取付けられた。サンプルと2つのBGEとしてのB1およびB2とは、Milligatポンプを用いて装置にポンピングされた。ポンピングされた流体は、Wに配置された遮断バルブを閉合することにより、B1−WおよびB2−Wに向わせることができる。HV電極がアップチャーチ金具に接続された。
溶融金属合金を用いてマイクロチャネルを充填することによって、容量結合非接触伝導率検出器(CD)用の電極を集積化するために、新しい方法を開発した。簡単に説明すると、PMMA装置は、80℃に加熱された後、接合された。低金属融点合金であるウッド合金は、貯留槽の上方に配置され、真空を用いてマイクロチャネル内に引込まれた。チップは、電極を固化するように、室温まで冷却された。検出電極は、TraceDEC検出器のチップヘッドに接続され、CDに使用された。データの収集と、ポンプおよびバルブの制御と、HV電源とは、NI Labviewを用いて制御された。
2.結果と考察
設計されたチップは、3つの入口S、B1およびB2を含み、これらの3つの入口は各々、milliGATポンプに接続されている。バルブVを開放したた場合に、液流は、Wからチップを離れた。幅50μmのチャネル内のB1−WおよびB2−W液流は、それらの高流体力学的抵抗によって制限された。バルブVを閉合した場合に、高くなった圧力は、液体をチャンネルB1−WおよびB2−Wに圧送した。この現象は、これらのチャネルをBGEで充填し、サンプルを塞ぐ小さなプラグを注入するために使用される。
この新しい注入プロトコルを研究するために、食用色素は、BGE1(B1、黄色)、サンプル(S、赤)およびBGE2(B2、青)を可視化するために使用された。B1とB2をポンピングしてチップを通過するときに、遮断バルブを閉合することによって、B1およびB2をそれぞれチャンネルB1−WおよびB2−Wに圧送した。その後、サンプルは、Sからチップに導入した。バルブVを短時間に閉合している(B1およびB2のポンピングを停止した)間に、小さなプラグが両方の分離チャネルに進入した。バルブVを再開してB1およびB2を再流動させると、サンプルプラグは、チャンネルB1−WおよびB2−Wの各々に維持された。このことは、目視で観察された分離チャネルの一方において赤いサンプルプラグとともにサンプルプラグの前方および後方に存在する黄色いBGE、および分離チャネルの他方において赤いサンプルプラグとともにサンプルプラグの前方および後方に存在する青いBGEから明らかであった。HV電源をオンに切替えると、B1−WおよびB2−Wに向った分離を始める。
上述の技術によって用意された溶融金属電極は、CD検出電極として使用された。金属ピンは、外部検出電子回路との接続のために使用された。電極の連続性は、LEDを有する回路に接続することによって確認した。
図10に示された設計は、分離チャネルを90mmに延長することによって、変更された。基板の設置面積(5×7.5cm)が変化されなかったため、分離チャネルを延長された寸法に合わせて湾曲した。CD用の集積電極は、注入ポイントから70mm離れて配置された。電極チャネルは、分離チャネルとともにリソグラフィにより規定されたため、さらなる位置合わせが不要である。図11(a)は、流体力学的注入後、5ppmのNH 、NaおよびLiの分離を示す電気泳動図である。液流制御システムの汎用性を実証するために、システムを動電学的検出にも適用した。上述したように、これらの条件下で、チャネルB1−WおよびB2−WにBGEを充填した。サンプルは、Sからチップに導入した(B1およびB2のポンピングを停止した)。電極B1−WおよびB2−Wに電圧を印加することによって、分離チャネルに小さなサンプルゾーンを注入した。図11(b)は、フロースルーチップに動電学的注入をした後に得られた電気泳動図を示している。動電学的注入により得られた分離効率および分離度は、流体力学的注入よりわずかに高くなっている。より重要なことは、流体力学的注入および動電学的注入の両方の感度は、ピンチ注入を用いた同様な幾何形状の検出器を備える標準のクロス装置により達成された感度よりも高い。
この実施例は、個別の分離化学物質を用いて、同時補完電気泳動分析のために層流を用いたフロースルーマイクロチップの有効性を示す。流体制御は、2つの別体の分離チャネルに小さい(60μmの長さ)サンプルプラグを流体力学的に注入するための新しい方法を可能にし、動電学的なバイアスを排除した。フロースルー装置を用いて流体力学的注入および動電学的注入後に、導電性検出のために、溶融金属電極を使用した。動電学的注入は、より高分離度および高効率を達成した。
理解すべきことは、本明細書において先行技術の刊行物を言及した場合、その出版物が当該技術分野において、オーストラリアまたはその他の国において、共通の一般知識の一部を形成することを認めないことである。
文脈上言語の表現または必要な暗示によって他の意味に解釈すべき場合を除いて、本発明に従って前述した特許請求項において、用語「含む」または変形は、包括的な意味で使用されており、すなわち、説明される特徴の存在を特定するが、本発明の種々の局面にさらなる特徴を含むまたは追加することを排除していない。

Claims (20)

  1. 電気泳動を用いて、2つ以上の分離チャネルを通過するサンプル中の分析物を同時に分離および検出するための方法であって、
    2つ以上の分離チャネルと前記2つの分離チャネルの入口の間の界面領域に配置された接地電極とを含む電気泳動システムに、前記サンプルを前記2つの分離チャネルと流体連通する単一のサンプル注入ポートから注入するステップと、
    前記2つの分離チャネルの各々において分析物を分離するステップと、
    前記分離チャネルの各々において分離された分析物を検出するステップとを備え、
    前記電気泳動システムは、一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルを備え、
    前記流体チャネル入口は、前記サンプル注入ポートと流体連通しており、
    前記界面領域を前記流体チャネル入口と前記流体チャネル出口との間に配置し、
    前記2つ以上の分離チャネルは、前記流体チャネルの前記界面領域に位置する入口を備える、方法。
  2. 前記分析物は、陰イオンおよび陽イオンを含み、
    前記分離チャネルの各々において分析物を分離するステップと、前記分離チャネルの各々において分離された分析物を検出するステップとは、前記2つの分離チャネルのうち第1分離チャネルにおいて陽イオンを分離し、前記2つの分離チャネルのうち第2分離チャネルにおいて陰イオンを分離することと、前記第1分離チャネルにおいて陽イオンを検出し、前記第2分離チャネルにおいて陰イオンを検出することとを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分析物は、サンプル注入後1分以内に検出される、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 2つの異なるバックグラウンド電解質は、前記第1分離チャネルおよび第2分離チャネルにおいて前記分析物の分離を行う間に、前記分離チャネルの各々を通って供給される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記分離チャネルのうち第1分離チャネルの両端に正電圧を印加し、前記分離チャネルのうち第2分離チャネルの両端に負電圧を印加する、請求項2に記載の方法。
  6. 記接地電極は、前記流体チャネルの前記出口端から前記流体チャネルの前記界面領域内に軸方向に延在する、請求項2から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記分離チャネルの入口は、前記接地電極から等距離に配置される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記第1分離チャネルの前記入口と前記第2分離チャネルの前記入口との間の距離間隔は、50〜500μmである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記サンプルは、前記2つの分離チャネルの各々における分析物の分離を同時に行う前に、前記2つの分離チャネルに流体力学的に投入される、請求項2から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記流体力学的投入は、流体チャネルに連結されたバルブの開閉制御によって達成され、
    前記流体チャネルは、前記サンプル注入ポートに連結された入口と、前記分離チャネルの入口に配置された界面領域と、前記界面領域の下流に配置された出口とを有する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記サンプルの流体力学的投入は、
    前記流体チャネル出口バルブを閉合して、前記バックグラウンド電解質を前記第1分離チャネルおよび第2分離チャネルに流体力学的に圧送することによって、前記分離チャネルをプライミングするステップと、
    前記流体チャネル出口を開放にした状態で、界面領域に前記サンプルを投入するステップと、
    前記流体チャネル出口を閉合にした状態で、前記サンプル注入ポートから前記サンプルを注入して、前記サンプルを前記2つの分離チャネルに流体力学的に圧送することによって、前記サンプルを前記分離チャネルに投入するステップと、
    前記流体チャネル出口を開放にした状態で、バックグラウンド電解質を前記流体チャネルを介して前記流体チャネルの前記界面領域に導入するステップと、
    前記バックグラウンド電解質の液流が前記分離チャネルを通過する間に、前記分析物の分離を行うように、前記分離チャネルの両端に電圧を印加するステップとを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 2つの異なるバックグラウンド電解質は、1つの分離チャネルにおいて陽イオンの分離および前記第2分離チャネルにおいて陰イオンの分離を行う間に、前記分離チャネルの各々を通って供給される、請求項2から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. サンプル中の分析物を同時に分離および検出するための電気泳動システムであって、
    単一のサンプル注入ポートを備える注入システムと、
    一端に配置された流体チャネル入口と反対側の他端に配置された流体チャネル出口とを有する流体チャネルとを備え、前記流体チャネル入口は、前記サンプル注入ポートと流体連通しており、界面領域が前記流体チャネル入口と前記流体チャネル出口との間に配置されており、
    バックグラウンド電解質を貯留し、前記バックグラウンド電解質の液流が前記流体チャネルを通過することを可能にするように前記注入システムと流体連通するバックグラウンド電解質貯留槽と、
    前記流体チャネルの前記界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第1分離チャネル出口とを有する第1分離チャネルと、
    前記流体チャネルの前記界面領域に配置された入口と反対側の他端に配置された第2分離チャネル出口とを有する第2分離チャネルと、
    前記流体チャネルの前記界面領域に配置された接地電極と、
    前記第1分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第1荷電電極と、
    前記第1分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第1検出器と、
    前記第2分離チャネルの両端に電圧を印加するように配置された第2荷電電極と、
    前記第2分離チャネルの検出領域を通過する分析物を検出するように配置された第2検出器と、
    前記注入システムと、前記流体チャネルを通過するバックグラウンド電解質の液流と、前記電極に電圧の印加とを制御するための制御装置とを備える、システム。
  14. 前記分析物は、陰イオンおよび陽イオンを含み、
    前記第1荷電電極は、正電を荷電した電極であり、前記第2荷電電極は、負電を荷電した電極であり、
    前記第1検出器は、陰イオンを検出し、前記第2検出器は、陽イオンを検出する、請求項13に記載のシステム。
  15. 前記接地電極は、前記2つの分離チャネルの前記入口の間の前記界面領域に配置される、請求項13から14のいずれか1項に記載のシステム。
  16. 前記接地電極は、円筒形である、請求項13から15のいずれか1項に記載のシステム。
  17. 前記接地電極は、前記流体チャネルの前記出口端から前記流体チャネルの前記界面領域内に軸方向に延在する、請求項13から16のいずれか1項に記載のシステム。
  18. 前記分離チャネルの入口は、前記接地電極から等距離に配置される、請求項13から17のいずれか1項に記載のシステム。
  19. 前記第1分離チャネルの前記入口と前記第2分離チャネルの前記入口との間の距離間隔は、50〜500μmである、請求項18に記載のシステム。
  20. 前記バックグラウンド電解質貯留槽は、注入ポートをそれぞれ有する第1バックグラウンド電解質貯留槽と第2バックグラウンド電解質貯留槽とを含み、前記注入ポートは、各注入ポートから注入されたバックグラウンド電解質が同時に前記流体チャネルを介して前記流体チャネルの前記界面領域を通過するように配置され、
    前記第1分離チャネルの前記入口は、第1バックグランド電解質注入ポートからの前記バックグラウンド電解質の液流が通過する前記界面領域の一部に配置され、
    前記第2分離チャネルの前記入口は、第2バックグランド電解質注入ポートからの前記バックグラウンド電解質の液流が通過する前記界面領域の一部に配置される、請求項13から19のいずれか1項に記載のシステム。
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