JP6341088B2 - 細胞判別装置、細胞判別システム、細胞判別方法及び細胞判別用プログラム - Google Patents

細胞判別装置、細胞判別システム、細胞判別方法及び細胞判別用プログラム Download PDF

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Description

本技術は、細胞判別装置、細胞判別システム、細胞判別方法及び細胞判別用プログラムに関する。より詳しくは、複素誘電スペクトルの特徴量に基づく細胞判別方法等に関する。
一般に細胞は、その種類や状態などに応じて、導電率、誘電率及び透電率等の電気的特性を示す物性値が異なることが知られている。また、周波数を掃引して細胞の誘電率を測定すると、細胞の形態に応じて誘電緩和特性が変化することが知られている。そこで、このような細胞の特性を用いて、細胞を分析する装置などが開示されている。
例えば特許文献1には、「1又は複数の血球細胞を含む懸濁液の複素誘電率スペクトルを測定する測定部と、該測定部で測定された複素誘電率スペクトルに基づいて、前記懸濁液の誘電変数及び/又は電気的物性値を算出し、その値から薬剤投与に伴う血球細胞の状態変化を検出する検出部と、を有する血球細胞分析装置」が開示されている。
この血球細胞分析装置では、血球細胞を含む懸濁液の複素誘電率スペクトルを求め、その複素誘電率スペクトルから算出された誘電変数や電気的物性値から血球細胞の状態変化を検出することができる。
特開2011−112497号公報
上記の特許文献1に記載の血球細胞分析装置においては、複素誘電率スペクトルからの誘電変数や電気的物性値の算出には、血球細胞の構造に合わせて適宜数式が選択される。しかし、細胞の種類によって数式を選択することは分析を煩雑にするため、細胞の電気特性を求めるための単純なモデル式が求められてきた。そこで、本技術は、複素誘電スペクトルに基づく細胞判別方法等を提供することを主な目的とする。
本発明者は、核を有する「有核細胞」や、「非球形細胞」などの複雑な構造を有する細胞についても、単純なモデル式に当てはめて得られる物性値によって細胞の分類が可能であることを見出し、本技術に係る細胞判別方法等を完成させた。
即ち、本技術は、細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を1個単位で分類する分類部、を有する細胞判別装置を提供する。
前記分類部は、前記緩和強度、前記緩和周波数及び前記低周波コンダクタンスのうち、いずれか一以上に基づき、前記細胞の細胞直径、膜キャパシタンス、細胞質電気伝導度のうち、何れか一以上を算出してもよい。
また、前記細胞直径は、前記低周波コンダクタンスに基づき算出されてもよく、前記膜キャパシタンスは、前記緩和強度及び前記低周波コンダクタンスに基づき算出されてもよく、前記細胞質電気伝導度は、前記緩和強度、前記緩和周波数及び前記低周波コンダクタンスに基づき算出されてもよい。
前記細胞に、少なくとも白血球が含まれていてもよく、少なくとも心筋細胞が含まれていてもよく、少なくとも循環腫瘍細胞が含まれていてもよい。
前記細胞判別装置は、前記複素誘電スペクトルを測定する測定部を有していてもよく、前記分類部が出力する信号に基づき、前記細胞を2群以上に分ける分取部を有していてもよい。
本技術はまた、前記細胞判別装置と、前記複素誘電スペクトルを測定する測定部を有する細胞分析装置と、を備える細胞判別システムをも提供する。
前記細胞分析装置は、前記分類部が出力する信号に基づき、前記細胞を2群以上に分ける分取部を有していてもよい。
本技術はさらに、分類部が、細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を分類する手順を有する細胞判別方法をも提供する。
本技術はまた、細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を分類する機能を分類部に実行させる細胞判別用プログラムをも提供する。
本技術により、複素誘電スペクトルに基づく物性値によって細胞を分類する細胞判別方法等が提供される。
本技術の第1実施形態に係る細胞判別装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る細胞判別装置に設けられた流路の構成を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る細胞判別装置に設けられた分取部の構成を模式的に示す図である。 本技術に係る細胞判別装置の動作を示すフローチャートである。 細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンスを模式的に示す図面代用グラフである。 判定部における細胞の分類手順を示すフローチャートである。 判定部における細胞の分類手順を示すフローチャートである。 本技術の第2実施形態に係る細胞判別装置の構成を示すブロック図である。 本技術に係る細胞判別システムの構成を示すブロック図である。 A及びBは、細胞直径と膜キャパシタンスに基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 A及びBは、細胞直径と膜キャパシタンスに基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 A及びBは、細胞直径と膜キャパシタンスに基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 A及びBは、2種類の物性値に基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 2種類の物性値に基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 2種類の物性値に基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 2種類の物性値に基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 細胞直径と膜キャパシタンスに基づく白血球の分布を示す図面代用グラフである。 A及びBは、細胞直径と膜キャパシタンスに基づく、心筋細胞を含む細胞の分布を示す図面代用グラフである。 A及びBは、細胞直径と緩和周波数に基づく、正常血液検体に含まれる細胞と、大腸癌由来のH29細胞及びRKO細胞の分布を示す図面代用グラフである。 図19A及び図19Bに示す細胞の分布を重ね、一部を拡大した図面代用グラフである。 細胞直径と細胞質電気伝導度に基づく、正常血液検体と、H29細胞及びRKO細胞の分布を示す図面代用グラフである。 細胞直径と緩和周波数に基づく、正常血液検体に含まれる細胞と腫瘍細胞混合血液検体に含まれる細胞の分布を示す図面代用グラフである。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。
1.本技術の第1実施形態に係る細胞判別装置
(1)前処理部
(2)測定部
(3)検出部
(4)解析部
(5)分取部
2.本技術に係る細胞判別装置の動作
(1)細胞懸濁液の調製手順
(2)複素抵抗の測定手順
(3)細胞由来のシグナルの検出手順
(4)物性値の算出手順
(5)細胞の分類手順
(6)細胞の分取手順
3.本技術の第2実施形態に係る細胞判別装置
4.本技術に係る細胞判別システム
5.細胞判別装置によって分類される細胞の具体例
(1)白血球
(2)心筋細胞
(3)循環腫瘍細胞
6.本技術に係る細胞判別方法及び細胞判別用プログラム
1.本技術の第1実施形態に係る細胞判別装置
図1は、本技術に係る細胞判別装置のブロック図である。図中、符号A1で示す細胞判別装置は、大別すると、前処理部1、測定部2、検出部3、解析部41及び分取部5から構成されている。細胞判別装置A1の各構成について、順に説明する。なお、図1において、矢印は、細胞を含む液体(細胞懸濁液)の送流方向を示す。
(1)前処理部
前処理部1は、試料を処理して、後述する測定部2での複素抵抗の測定に適した状態の細胞懸濁液に調製するための構成である。例えば、測定対象が白血球の場合には、全血に含まれる赤血球や血小板等を除去するための、溶血剤処理や密度勾配遠心に必要な構成が前処理部1に含まれる。この構成には、例えば、試料の温度調節機構、遠心分離機、濾過用のフィルターなどが含まれ得る。なお、本技術に係る細胞判別装置A1において、前処理部1は必須の構成ではなく、細胞判別装置A1における細胞の測定には、ユーザが予め処理した試料を用いることもできる。
(2)測定部
測定部2は、細胞判別装置A1の測定対象である細胞の複素抵抗を測定するための構成である。測定部2には、細胞懸濁液が通流可能な流路と、この流路に配設される一対の電極と、流路に備えられた電極間のインピーダンスを複数周波数で測定するインピーダンスアナライザーなどが含まれる。また、流路には細胞が一個ずつ通過可能な狭窄部が設けられていることが好ましい。
図2は、本実施形態の測定部2に設けられた流路の構成例を示す断面図である。図中の矢印は細胞懸濁液の送流方向を示す。測定部2に設けられた流路21は、厚さ方向の通流位置が相互に異なる2本の流路層23a,23bを、狭窄部26を介して連通する構成とすることができる。具体的には、ポリイミドなどからなる2つのカバー層22,22と、一対の電極25a,25bと、狭窄部26を備えた中間層24と、流路21が形成された2つの流路層23a,23bと、が積層されている。
中間層24における電極対(電極25a,25b)は、狭窄部26を挟む位置で両面設けられている。細胞懸濁液が通流する2つの流路層23a,23bの流路部分(流路21)は、中間層24に形成された狭窄部26を介して連通している。この狭窄部26は、細胞懸濁液に含まれる細胞が、1個ずつ通過する大きさである。一例としては、対象とする細胞の平均直径の2〜3倍程度に設定する事が測定感度、送液安定性の面で適当である。狭窄部26の長さLは、例えば、細胞懸濁液に心筋細胞又は循環腫瘍細胞が含まれる場合には、20〜35μmが好ましく、白血球が含まれる場合には、13〜20μmが好ましい。
測定部2は、流路21へ細胞懸濁液を安定的に送液する送液部(図1、2において送液部は不図示。)と接続されていてもよい。送液部には、細胞懸濁液を流路21へ送る送液ポンプや細胞懸濁液を収容できる容器などが備えられている。送液部は、前記のインピーダンスアナライザーのサンプリング間隔の2倍以上の時間、流路21の狭窄部26に細胞が存在するような流量で、細胞懸濁液を流路デバイスに安定的に送液する。このような速度で流路内の細胞を移動させることにより、流量による測定結果への影響を無視できるようになる。
(3)検出部
検出部3は、前述の測定部2から出力された信号のうち、細胞に由来する信号を検出するための構成である。検出部3は、CPU、メモリ及びハードディスクなどを備える汎用のコンピュータによって構成でき、ハードディスク内にはOSと測定部2によって出力された測定データを処理するコンピュータプログラム等が格納されている。また、検出部3を、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等のハードウェアによって構成してもよい。なお、本技術に係る細胞判別装置A1において検出部3は必須の構成ではなく、例えば、測定部2に設けられたインピーダンスアナライザー等に検出部3の機能が備わるように構成してもよい。
(4)解析部
図1に示す解析部41には、前述の測定部2において測定された複素抵抗からの複素誘電スペクトルの算出や、複素誘電スペクトルの特徴量からの物性値の算出を行う演算部411や、物性値に基づいて、細胞を2群以上に分類する判定部412が含まれている。解析部41は、CPU、メモリ及びハードディスクなどを備える汎用のコンピュータによって構成でき、ハードディスク内にはOSと後述する細胞判別用プログラムなどが格納されている。なお、図1において、演算部411と判定部412とは、同一の解析部41に含まれているが、演算部411と判定部412とは、各々、別体として構成されていてもよい。
(5)分取部
分取部5は、上記の判定部412において、分取対象に分類された細胞と分取対象外に分類された細胞とを、分けるための構成である。例えば、分取部5には、狭窄部26より下流に細胞を分取する為の分岐流路と、通流する細胞を前述の判定部412の判定結果に応じて所定の分岐流路へ選択的に移動させる機構と、分岐流路を通流した細胞を溜めておく細胞貯留部を備えている。この分岐流路と細胞貯留部は、分取部5に複数配置されることで、2種類以上の細胞を、各々、分取することも可能である。なお、本技術に係る細胞判別装置A1において、分取部5は必須の構成でなく、細胞の分類のみに細胞判別装置A1を用いる場合などにおいては、細胞判別装置A1に分取部5が備えられていなくてもよい。
細胞を所定の分岐流路へ選択的に移動させる機構としては、例えば、フローサイトメータなどに用いられている公知の構成を採用することもできる。また、例えば、後述する細胞直径dに基づき分類可能な2種類以上の細胞から分取対象を選択する場合には、分取部5に誘電泳動力を用いて細胞の流動を制御するための構成が設けられていてもよい。
図3Aから図3Cに示す分取部5では、誘電泳動力を発生させるための電極511a,511bを有する電場印加部51が設けられている。分取対象又は分取対象外の細胞Cは、電極511a,511bの間に設けられた流路512を通流した後(矢印F1参照)、分岐流路52を構成する何れか一の流路52a,52bを通流する(矢印F2参照)。
図3Bに示すように、電場印加部51において電場が印加されると、誘電泳動力が働き、所定の細胞直径より細胞直径が大きい細胞C1については、電場印加部51で移動方向が変化し(矢印F3参照)、分岐流路52において所定の流路52aへ通流する(矢印F4参照)。また、図3Cに示すように、所定の細胞直径より細胞直径が小さい細胞C2は、誘電泳動力の影響が小さいため、電場印加部51で移動方向が十分に変化せず(矢印F5参照)、分岐流路52において所定の流路52bへ通流する(矢印F6参照)。
誘電泳動力とは、下記の式(1)〜(2)で表わすことができる。
式中、rは粒子(細胞)の半径を表し、εMは媒質の誘電率を表し、K(ω)はClausius−Mossotti関数を表し、Eは電場強度を表し、aは加速度を表し、ρは媒質密度を表し、μは媒質の粘度を表す。
式(1)に示すように、誘電泳動力は、粒子半径の3乗に比例する形で発生し、液中の粒子の最終速度は、式(2)に示すように粒子半径の2乗に比例するストークの式に達する。このため、誘電泳動力について、同じ作用時間であれば、粒子径の大きい粒子の方がより移動量が大きくなる。従って、誘電泳動力を発生させる交流電圧の電圧を所定の細胞直径未満の粒子(細胞)では十分な移動量を生み出さない範囲に設定にすることで、分取対象の細胞と分取対象外の細胞を、分取部5において分けることができる。
2.本技術に係る細胞判別装置の動作
次に、本技術に係る細胞判別装置A1の動作について、図4に示すフローチャートに則して説明する。本技術に係る細胞判別方法には、フローチャート(図4)に示すように、細胞懸濁液の調製手順S1、複素抵抗の測定手順S2、細胞由来のシグナルの検出手順S3、物性値の算出手順S4、細胞の分類手順S5、細胞の分取手順S6の各手順が含まれる。
(1)細胞懸濁液の調製手順
細胞懸濁液の調製手順S1では、細胞を含む試料を、細胞判別装置A1を用いた複素抵抗の測定に適した状態に調製する。本技術に係る細胞判別装置A1を用いた測定の対象とする細胞は特に限定されないが、例えば、白血球、赤血球等の血球細胞、心筋細胞、線維芽細胞、内皮細胞、循環腫瘍細胞などが挙げられる。また、細胞は培養細胞であってもよい。
細胞が、例えば白血球の場合、本手順S1において、溶血剤処理や、密度勾配遠心法や赤血球凝集試薬による処理を全血に対して行い、測定対象外の赤血球や血小板を取り除く。また、上述した狭窄部26の閉塞を防止するために、本手順S1において、メンブレンやろ紙等の物理フィルターによって、試料から対象の細胞より微小な粒子を取り除くことが好ましい。この他、循環腫瘍細胞を含む血液検体に含まれる細胞を分類する場合には、本手順S1において、抗体等などを利用して赤血球と白血球を予め取り除いてもよい。
細胞は、上述した測定部2において流路21を通流するため、溶媒に分散された「細胞懸濁液」の状態に調製されることが好ましい。溶媒は、後述する複素抵抗の測定手順S2等において測定の妨げとならない組成であれば、特に限定されない。溶媒としては、例えば、生理食塩水などである。また、生理食塩水には、EDTAや2%程度の濃度でウシ胎児血清(FBS)が含まれていてもよい。
(2)複素抵抗の測定手順
複素抵抗の測定手順S2では、上述した測定部2の電極25a,25bに電圧を印加して、細胞懸濁液の調製手順S1で得られた細胞懸濁液に含まれる細胞の1つが狭窄部26を通過することに起因する複素抵抗の変化について、振幅と位相を測定する。測定部2では、流路を流れる一個一個の細胞に対し、細胞の誘電緩和現象が起こる周波数範囲の多点周波数(例えば16点)にわたり、それらの細胞の複素抵抗を測定する。測定で用いる周波数は、例えば、100kHzから100MHzの範囲とすることができる。
複素誘電スペクトルを得るためには、細胞が狭窄部26を通過する時間内に、多点周波数にわたり複素抵抗を測定する必要がある。このため、一般的なIV法に基づいた回路により、複数周波数の入力電圧を重畳合成して電極間に印加し、出力電圧及び出力電流をフーリエ変換することで、各周波数における複素抵抗を見積もる方法を用いてもよい。また、細胞が誘電緩和を示す周波数は、およそ100kHz〜10MHz程度である。本手順S2では、測定された複素抵抗について、シグナルとして検出部3へ出力する。
(3)細胞由来のシグナルの検出手順
細胞由来のシグナルの検出手順S3では、複素抵抗の測定手順S2によって測定部2から検出部3へ出力された複素抵抗の中から、細胞が狭窄部26を通過した際の複素抵抗の変化を検出する。すなわち、測定部2の流路21に細胞懸濁液が通流して、連続的に測定される複素抵抗から、細胞の通過に伴って変化した「細胞の由来のシグナル」に対応する部分を抽出する。
測定された複素抵抗から細胞に由来する部分を抽出するためには、例えば、測定部2における送液条件や狭窄部26の大きさ、検出対象の細胞の種類、細胞懸濁液中の細胞の濃度等を考慮して、複素抵抗に対する閾値を設定してもよい。本手順S3によって検出されたシグナルは、解析部41の演算部411へ出力される。
(4)物性値の算出手順
物性値の算出手順S4では、演算部411において、細胞由来のシグナルの検出手順S3によって検出部3で検出された細胞由来のシグナルから、細胞の物性値を算出する。物性値の算出手順S4は以下の通りである。
本手順S4では先ず、演算部411が、細胞由来のシグナルの検出手順S3で得られた細胞由来の複素抵抗を、公知の方法によって複素誘電率に変換する。次に、複素誘電率から複素誘電スペクトルを求める。さらに演算部411は、この複素誘電スペクトルの特徴量から、物性値を算出する。物性値とは、例えば、細胞直径d、膜キャパシタンスCm、細胞質電気伝導度K、緩和強度De、緩和周波数Fc又は低周波コンダクタンスGlowである。このうち、何れか一以上の物性値を算出する。
本手順S4では、物性値のうち、先ず、緩和強度De、緩和周波数Fc、又は低周波コンダクタンスGlowを複素誘電スペクトルから算出する。図5に、複素誘電スペクトルから得られる緩和強度De、緩和周波数Fc及び低周波コンダクタンスGlowを模式的に示す。低周波コンダクタンスGlowは、低周波数の複素抵抗に基づく電気伝導度である。本技術に係る細胞判別方法において、低周波コンダクタンスGlowの「低周波」とは、測定部2の構成などに合わせて、緩和周波数Fcより低い予め定めた周波数とすることができる。また、本技術に係る細胞判別方法では、低周波は、例えば、500kHz以下とすることが好ましい。なお、図5に示すように、低キャパシタンスの極限値における周波数を「低周波」としてもよい。
次いで、演算部411は、算出された緩和強度De、緩和周波数Fc、又は低周波コンダクタンスGlowのうち、いずれか一以上に基づき、細胞直径d、膜キャパシタンスCm又は細胞質電気伝導度Kのうち、何れか一以上を算出する。これらの物性値は、単純球形細胞をモデルとする単一緩和式によって物性値を算出することもできる。単一緩和式では、例えば、細胞直径dは、低周波コンダクタンスGlowに基づき算出され、膜キャパシタンスCmは、緩和強度De及び前記低周波コンダクタンスGlowに基づき算出され、細胞質電気伝導度Kは、緩和強度De、緩和周波数Fc及び低周波コンダクタンスGlowに基づき算出される。本技術に係る細胞判別方法においては、核を有する「有核細胞」や形状が単純な球形ではない「非球形細胞」の判別においても、この単純球形細胞をモデルとする式を適用する。なお、「非球形細胞」としては、例えば、細胞の一部が陥凹した赤血球や、突起を有するウニ状赤血球などが挙げられる。
上記の単純球形細胞をモデルとする単一緩和式とは、例えば、下記の式(3)〜(5)であり、下記の式(3)〜(5)によって、細胞の細胞直径d、膜キャパシタンスCm及び細胞質電気伝導度Kを算出することができる。
式中、dは細胞直径を表し、Glowは低周波コンダクタンスを表し、Cmは膜キャパシタンスを表し、Deは緩和強度を表し、Kは細胞質電気伝導度を表し、Fcは緩和周波数を表す。数式(3)の定数aと定数bは、測定部2の流路21の構成に依存するパラメータである。このため、狭窄部26の形状から計算することが可能な量である。また、実際に球形直径が厳密に管理されたポリエチレンビーズ等を細胞判別装置A1で測定し、定数a及び定数bの値を算出することもできる。なお、単純球形細胞をモデルとする単一緩和式については、上記の式(3)〜(5)を適宜改変して用いることもできる。
(5)細胞の分類手順
細胞の分類手順S5は、物性値の算出手順S4によって算出された物性値に基づき、判定部412が細胞を1個単位で分類する。具体的には、細胞懸濁液に含まれる2種類以上の細胞の各々の物性値に基づいて、細胞懸濁液に含まれる細胞を2群以上に分ける。
判定部412における細胞の分類について、図6を参照して説明する。図6に示すように、本手順S5では、例えば、何れか一の物性値Pについて所定値を決める。所定値の決定方法については後述する。そして、物性値の算出手順S4で算出された各々の細胞の物性値Pが所定値以上の場合には、その細胞を一つの種類T(又は一つの群)に分類する。一方、細胞の物性値Pが所定値に満たない時は、その細胞を他の種類T(又は他の群)に分類する。
細胞を3種類、又は3群に分類する場合には、2種類の物性値P,Pを用いてもよい。図7に示すように、3種類に細胞を分類する場合、先ず、各々の細胞の物性値Pが所定値以上であるか否かによって、細胞を2群に分類する。その後、何れか一の群の細胞については、別の物性値Pを用いて、物性値Pが所定値以上であるか否かによって、細胞を2群に分ける。この結果、細胞は3群に分類される。細胞の分類手順S5で分類のために用いる物性値の種類は、一種類以上であればよく、特に限定されない。また、細胞を分けるために、選択される二以上の物性値を変数とする関数を用いてもよい。
なお、図6及び図7においては、物性値P,Pの所定値以上と所定値未満とで細胞を2群以上に分けているが、細胞を2群に分ける場合には、所定値より大きい一の群と、所定値以下の一の群としてもよい。また、所定値が2群の何れにも含まれていなくてもよい。
細胞の分類手順S5において、細胞を分類するための物性値の所定値は、例えば、算出される各細胞の物性値の分布から決定してもよい。具体的には、各細胞について算出された物性値を用いて、一の物性値に基づく一次元ヒストグラムや、二の物性値に基づく二次元散布図、又は三の物性値に基づく三次元散布図などを作成し、図に示される細胞の分布に応じて、図中の領域を二以上に区切る物性値の所定の値を決定する。領域を区切るための境界の決定については、従来のフローサイトメータで使用されるゲート設定の技術を用いることができる。
なお、細胞の分類に用いる領域の境界は、細胞判別装置A1の使用毎に決定してもよいが、過去に決定した境界の情報を判定部412に記録しておき、細胞の分類手順S5においてその境界の情報を読み出せるようにしてもよい。これにより同一条件下で細胞を分析、分取する際には判定部412での境界の設定は過去の情報を選んで読み出すだけの作業となり、ユーザの負担を軽減でき、細胞の分類手順S5がより効率的になる。
また、細胞の分類手順S5においては、判定部412による細胞の分類をリアルタイムで行い、分類した細胞が分取対象の場合には、分取部5を作動させるための信号を出力してもよい。
(6)細胞の分取手順
細胞の分取手順S6では、判定部412より出力された分取の信号を受けた分取部5において、分取対象の細胞を所定の分岐流路へ通流させるように作動させる。また、分取対象の細胞を各々別の細胞貯留部に通流させる場合には、前述の細胞の分類手順S5の結果に応じて、分取部5を、各々の細胞を所定の分岐流路に通流させるように作動させる。
本技術に係る細胞判別方法によって、算出された物性値に基づいて細胞を分類することが可能となる。このため、例えば光学系フローサイトメトリの使用に伴う細胞の染色などが不要となる。染色などの細胞の前処理を不要とすることは、細胞への前処理による影響を低減することができるため、本技術に係る細胞判別装置A1による分類後に分取された細胞は、その後の分析や培養に利用しやすくなる。
また、本技術に係る細胞判別方法によれば、細胞の形態的特徴などに合わせて、物性値の算出方法を選択することなく、単純球形細胞をモデルとした式によって細胞の分類に有効な物性値を得られる。このため、細胞の判別が簡便となる。
3.本技術の第2実施形態に係る細胞判別装置
図8は、本技術の第2実施形態に係る細胞判別装置のブロック図である。図1と同様に図8に示す矢印は、細胞を含む液体(細胞懸濁液)の送流方向を示す。図8において符号A2で示す細胞判別装置は、第1実施形態に係る細胞判別装置A1における解析部41の一形態として、分類部42を有する。分類部42は、細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度De、緩和周波数Fc及び低周波コンダクタンスGlow、のいずれか一つに基づいて、細胞を1個単位で分類する。即ち、上述した判定部412の細胞を分類する機能を有する。また、分類部42は、複素誘電スペクトルから得られる緩和強度De、緩和周波数Fc又は低周波コンダクタンスGlowのうち、いずれか一以上に基づき、細胞直径d、膜キャパシタンスCm又は細胞質電気伝導度Kを算出する機能を有していてもよい。即ち、分類部42は、上述した演算部411の物性値を算出する機能を有していてもよい。さらに、予め測定された複素誘電スペクトルやこの複素誘電スペクトルから得られる緩和強度De、緩和周波数Fc又は低周波コンダクタンスGlowが、細胞判別装置A2に保存されていてもよい。分類部42は、細胞判別装置A2に保存されている複素誘電スペクトルや物性値を用いて、細胞の分類を行うこともできる。
第2実施形態に係る細胞判別装置A2は、判別対象である細胞の複素誘電スペクトルを測定する測定部2を有していてもよい。また、細胞判別装置A2は、分類部42が出力する信号に基づき、細胞を2群以上に分ける分取部5を有していてもよい。測定部2と分取部5の構成及び機能は、第1実施形態に係る細胞判別装置A1と同様である。細胞判別装置A1と同様の構成及び機能についての説明は省略する。
前述した本技術の第1実施形態に係る細胞判別装置A1では、解析部41に演算部411と判定部412が設けられていた。しかし、本技術に係る細胞判別装置は、これに限定されるものではなく、第2実施形態に係る細胞判別装置A2のように、分類部42に物性値を算出する機能と該物性値に基づき細胞を分類する機能の両方が備えられていてもよい。
4.本技術に係る細胞判別システム
図9は、本技術に係る細胞判別システムのブロック図である。図9において符号Dで示す細胞判別システムは、複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づき細胞を分類する分類部42を有する細胞判別装置A3と、複素誘電スペクトルを測定する測定部2を有する細胞分析装置Bと、を備える。図1と同様に図9に示す矢印は、細胞を含む液体(細胞懸濁液)の送流方向を示す。また、細胞分析装置Bは、分類部42が出力する信号に基づき、細胞を2群以上に分ける分取部5を有していてもよい。分類部42、測定部2及び分取部5の構成及び機能は、第1実施形態又は第2実施形態に係る細胞判別装置A1,A2と同様であり、その説明は省略する。
前述した細胞判別装置A1,A2では、細胞判別装置A1,A2に測定部2や分取部5が設けられている。しかし、本技術に係る細胞判別装置では、細胞判別システムDのように、測定部2や分取部5を細胞判別装置A3とは別体として構成することもできる。
5.細胞判別装置によって分類される細胞の具体例
上述した本技術に係る細胞判別方法について、白血球、心筋細胞及び循環腫瘍細胞を例として、以下に説明する。
(1)白血球
細胞が白血球の場合、上述した細胞判別方法によって、白血球を種類に応じて分類する。白血球とは、リンパ球、単球、好中球、好酸球及び好塩基球から選択される細胞である。
細胞懸濁液に含まれる細胞が、リンパ球、単球、好中球、好酸球及び好塩基球から選択される白血球であるときには、この白血球を2群に分けるため、上述した細胞の分類手順S5に、少なくとも以下の(i)〜(iv)の何れか一の手順を含むことが好ましい。
(i)細胞直径dの所定値により白血球を2群に分ける手順
(ii)緩和強度Deの所定値により白血球を2種類に分ける手順
(iii)膜キャパシタンスCmの所定値により白血球を2種類に分ける手順
(iv)物性値から選択される二以上を変数とする関数により前記白血球を2群に分ける手順
手順(i)を行うことによって、細胞直径dに基づいて、5種類の白血球について、リンパ球又は好塩基球が含まれる一の群と、単球、好中球又は好酸球が含まれる他の一の群とに分けることができる。
また、手順(ii)によって、緩和強度Deに基づいて、白血球を単球と好中球とに分けることができ、手順(iii)によって、膜キャパシタンスCmに基づいて、白血球をリンパ球と好酸球とに分けることができる。
手順(iv)については、例えば、膜キャパシタンスCmと細胞質電気伝導度Kを変数とする関数を用いることで、この関数に基づいて、白血球をリンパ球と好塩基球とに分けることができる。また、緩和強度Deと緩和周波数Fcを変数とする関数を用いることで、この関数に基づいて、白血球を好中球と好酸球の2種類に、又は好酸球と単球の2種類に分けることができる。
本技術に係る細胞判別方法によって行う白血球の分類では、細胞懸濁液に、リンパ球、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球の5種類の細胞の全てが含まれていなくてもよく、白血球の5種類の細胞のうち、何れか二以上が細胞懸濁液に含まれていればよい。例えば、予め密度勾配遠心などを行って、5種類の白血球のうちの数種類の細胞のみが含まれた細胞懸濁液を、本技術に係る細胞判別方法に用いることもできる。
なお、細胞懸濁液に好中球が含まれている場合には、細胞直径dと膜キャパシタンスCmに基づき、好中球が含まれる領域を基準として決定する手順が、細胞の分類手順S5に含まれていてもよい。この手順S5では、先ず、測定された好中球の細胞直径dと膜キャパシタンスCmを二次元散布図状にプロットし、好中球の分布から好中球の領域を決定する。次に、好中球の領域を規定する、細胞直径dの所定値、膜キャパシタンスCmの所定値又は細胞直径dと膜キャパシタンスCmを変数とする関数等から、好中球以外の細胞を複数の群に分けるための境界を決定する。この手順は、例えば、好中球を含む白血球の分類に好適である。
また、本技術に係る細胞判別方法における白血球の分類については、上記の5種類の白血球の何れかへの分類以外にも、例えば、リンパ球をT細胞、B細胞及びNK細胞の3種類に分類することにも適用できる。
(2)心筋細胞
細胞が、心筋細胞と他の細胞である場合、上述した細胞判別方法によって、各々の細胞の物性値に基づき、細胞を分類する。なお、他の細胞について特に種類は限定されないが、例えば、線維芽細胞や血球細胞、内皮細胞などが挙げられる。
細胞懸濁液に含まれる細胞が、心筋細胞と、線維芽細胞、内皮細胞及び赤血球から選択される一以上の細胞であるときに、上述した細胞の分類手順S5に、少なくとも以下の(i)〜(iii)の何れか一の手順を含むことが好ましい。
(i)細胞直径dの所定値により細胞を2群に分ける手順
(ii)膜キャパシタンスCmの所定値により細胞を2群に分ける手順
(iii)物性値から選択される二以上を変数とする関数により細胞を2群に分ける手順
例えば、上記の手順(i)を行うことによって、細胞直径dに基づいて、心筋細胞を含む一の群と、他の細胞を含む一の群とに、細胞を分けることができる。
(3)循環腫瘍細胞
細胞が、循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell, CTC)と他の細胞である場合、上述した細胞判別方法によって、各々の細胞の物性値に基づき、細胞を分類する。循環腫瘍細胞とは、癌患者の末梢血流を循環する腫瘍細胞と定義され、原発腫瘍又は転移腫瘍から血管内へ浸潤した腫瘍細胞である。循環腫瘍細胞の検出は、転移性悪性腫瘍の早期発見として有効であるとされている。また、腫瘍の発見後や治療後の状態を予測するためのバイオマーカーとしても重要であるとされている。なお、上記の他の細胞については特に種類は限定されないが、例えば、赤血球、白血球などの末梢血に含まれる循環腫瘍細胞以外の細胞が挙げられる。
細胞懸濁液に含まれる細胞が、循環腫瘍細胞と、血液に含まれる細胞から選択される一以上の細胞であるときに、上述した細胞の分類手順S5に、少なくとも以下の(i)〜(iii)の何れか一の手順を含むことが好ましい。
(i)細胞直径dの所定値により細胞を2群に分ける手順
(ii)緩和周波数Fcの所定値により細胞を2群に分ける手順
(iii)細胞直径dと緩和周波数Fcの各々の所定値により細胞を2群に分ける手順
例えば、上記の手順(i)〜(iii)の何れか一の手順を行うことによって、細胞の複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づき、該細胞を循環腫瘍細胞として分類することができる。
本技術に係る細胞判別装置A1,A2,A3を用いて行う細胞判別方法では、複素誘電スペクトルから得られる緩和強度De、緩和周波数Fc及び低周波コンダクタンスGlowの、少なくともいずれか一つに基づいて細胞を1個単位で分類することができる。これは、例えば、循環腫瘍細胞の検出に用いられるCell search systemなどと異なり、循環腫瘍細胞の表面に発現する抗原に対して特異的な抗体を用いる必要がない。従って、抗体を用いた染色など、細胞の前処理を行うことなく、循環腫瘍細胞を検出することが可能となる。このため、分類後に分取された循環腫瘍細胞を、その後の分析や培養に利用することが容易となる。さらに、細胞表面に抗原が発現していない腫瘍細胞のように、抗体に反応しないタイプの循環腫瘍細胞に対しても、本技術に係る細胞判別方法では、検出が可能となる。
また、後述する実施例6に示すように、複素誘電スペクトルに基づく細胞の分類による循環腫瘍細胞の検出では、細胞数以外に、物性値の差異から循環腫瘍細胞をさらに分類することも可能である。循環腫瘍細胞をさらに2群以上に分けることによって、例えば、治療や経過に伴う腫瘍細胞の性質の変化を検出することも可能となる。
6.本技術に係る細胞判別方法及び細胞判別用プログラム
本技術に係る細胞判別方法は、上述した細胞判別装置A1の解析部41に含まれる演算部411及び判定部412や、細胞判別装置A2や細胞判別システムDの分類部42によって実行される動作に対応するものである。また、細胞判別装置A1の解析部41や、細胞判別装置A2や細胞判別システムDの分類部42には、この動作を実行するための細胞判別用プログラムが格納されている。
本技術に係る細胞判別用プログラムは、ハードディスクに格納・保持され、CPU及びOSの制御下でメモリに読み込まれて、上述の算出と分類に係る操作を実行する。また、細胞判別用プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたものとできる。記録媒体としては、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であれば特に制限はないが、具体的には、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM等の円盤形記録媒体が用いられる。また、磁気テープ等のテープ型記録媒体を用いてもよい。また、一部の処理をDSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programing Logic Device)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成し、上記のプログラムと連携させて高速処理を行う構成も採用できる。
なお本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を1個単位で分類する分類部、を有する細胞判別装置。
(2)前記分類部は、前記緩和強度、前記緩和周波数及び前記低周波コンダクタンスのうち、いずれか一以上に基づき、前記細胞の細胞直径、膜キャパシタンス、細胞質電気伝導度のうち、何れか一以上を算出する上記(1)記載の細胞判別装置。
(3)前記細胞直径は、前記低周波コンダクタンスに基づき算出される上記(2)記載の細胞判別装置。
(4)前記膜キャパシタンスは、前記緩和強度及び前記低周波コンダクタンスに基づき算出される上記(2)又は(3)記載の細胞判別装置。
(5)前記細胞質電気伝導度は、前記緩和強度、前記緩和周波数及び前記低周波コンダクタンスに基づき算出される上記(2)〜(4)の何れかに記載の細胞判別装置。
(6)前記細胞に、少なくとも白血球が含まれる上記(2)〜(5)の何れかに記載の細胞判別装置。
(7)前記細胞に、少なくとも心筋細胞が含まれる上記(2)〜(6)の何れかに記載の細胞判別装置。
(8)前記細胞に、少なくとも循環腫瘍細胞が含まれる上記(2)〜(7)の何れかに記載の細胞判別装置。
(9)前記複素誘電スペクトルを測定する測定部を有する上記(1)〜(8)の何れかに記載の細胞判別装置。
(10)前記分類部が出力する信号に基づき、前記細胞を2群以上に分ける分取部を有する上記(1)〜(9)の何れかに記載の細胞判別装置。
<実施例1>
1.物性値の所定値に基づく白血球の分類(1)
複素誘電スペクトルに基づく物性値のうち、細胞直径dによって白血球の分類が可能であるか検証した。
[材料と方法]
ヒトの全血から、リンパ球、単球、好酸球、好中球及び好塩基球の5種類の細胞の各々分離し、何れかを含む細胞懸濁液を調製した。細胞懸濁液については、各々、1×10〜1×10/ml程度の細胞判別装置の測定に適した濃度に希釈した。各々の細胞懸濁液について、別個に複素抵抗を測定し、複素誘電スペクトルを求めた。得られた複素誘電スペクトルから緩和強度Deを得た。また、複素誘電スペクトルから前述した式(3)を用いて細胞直径dを算出し、式(4)を用いて膜キャパシタンスCmを算出した。
[結果]
(1)リンパ球と好中球
図10Aに2種類の物性値におけるリンパ球と好中球の分布図を示す。図10Aの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。図10Aに示すように、リンパ球と好中球は、細胞直径の所定値(d=約8μm)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。細胞直径dの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表1に示す。
表1に示すように、リンパ球は95%が、d<8の領域に存在し、好中球は95%がd>8の領域に存在した。
(2)リンパ球と好酸球
図10Bに2種類の物性値におけるリンパ球と好酸球の分布図を示す。図10Bの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。図10Bに示すように、リンパ球と好酸球は、細胞直径の所定値(d=約8μm)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。細胞直径dの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表2に示す。
表2に示すように、リンパ球は95%が、d<8の領域に存在し、好酸球は97%がd>8の領域に存在した。
(3)リンパ球と単球
図11Aに2種類の物性値におけるリンパ球と単球の分布図を示す。図11Aの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。図11Aに示すように、リンパ球と単球は、細胞直径の所定値(d=約8.2μm)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。細胞直径dの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表3に示す。
表3に示すように、リンパ球は97%が、d<8.2の領域に存在し、単球は84%がd>8.2の領域に存在した。
(4)好中球と好塩基球
図11Bに2種類の物性値における好中球と好塩基球の分布図を示す。図11Bの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。図11Bに示すように、好中球と好塩基球は、細胞直径の所定値(d=約8μm)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。細胞直径dの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表4に示す。
表4に示すように、好中球は95%が、d>8の領域に存在し、好塩基球は95%がd<8の領域に存在した。
(5)好塩基球と好酸球
図12Aに2種類の物性値における好塩基球と好酸球の分布図を示す。図12Aの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。図12Aに示すように、好塩基球と好酸球は、細胞直径の所定値(d=約8μm)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。細胞直径dの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表5に示す。
表5に示すように、好塩基球は97%が、d<8の領域に存在し、好酸球は95%がd>8の領域に存在した。
(6)好塩基球と単球
図12Bに2種類の物性値における好塩基球と単球の分布図を示す。図12Bの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。図12Bに示すように、好塩基球と単球は、細胞直径の所定値(d=約8.2μm)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。細胞直径dの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表6に示す。
表6に示すように、好塩基球は98%が、d<8.2の領域に存在し、単球は84%がd>8.2の領域に存在した。
本実施例に示すように、式(3)を用いて細胞の複素誘電スペクトルから算出された細胞直径dの所定の値で細胞を2群に分けると、各々の細胞の80%以上が何れか一方の領域に存在した。この結果から、複素誘電スペクトルから算出された物性値を用いて、白血球を種類に応じて分類できることが確認された。
<実施例2>
2.物性値の所定値に基づく白血球の分類(2)
白血球について、細胞直径d以外の物性値に基づく細胞の分類について検証した。細胞の複素誘電スペクトルは、実施例1で得られたデータを使用し、緩和強度Deと緩和周波数Fcを算出した。また、前述の式(4)によって膜キャパシタンスCmを算出した。
[結果]
(1)好中球と単球
図13Aに2種類の物性値における好中球と単球の分布図を示す。図13Aの縦軸は緩和周波数Fcであり、横軸は緩和強度Deである。図13Aに示すように、好中球と単球とは、緩和強度の所定値(De=850)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。緩和強度Deの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表7に示す。
表7に示すように、好中球は93%がDe<850の領域に存在し、単球は68%がDe>850の領域に存在した。
(2)リンパ球と好酸球
図13Bは、2種類の物性値におけるリンパ球と好酸球の分布図である。図13Bの縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。リンパ球と好酸球は、実施例1において、細胞直径dの所定値を用いることで2種類に分類できたが、図13Bに示すように、膜キャパシタンスCmの所定値(Cm= 約1.05E−1)を境界としても2群に分かれて分布していることが確認された。膜キャパシタンスCmの所定値で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表8に示す。
表8に示すように、リンパ球は93%がCm>1.05E−1の領域に存在し、好酸球は93%がCm<1.05E−1の領域に存在した。
本実施例に示すように、細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度Deや、式(4)を用いて複素誘電スペクトルから算出された膜キャパシタンスCmの、各々の所定の値によって、細胞を2群に分けると、各々の細胞の65%以上が何れか一方の領域に存在した。この結果から、複素誘電スペクトルから算出された物性値を用いて、白血球を種類に応じて分類できることが確認された。
<実施例3>
3.2種類の物性値を変数とする関数に基づく白血球の分類
白血球について、何れかの物性値の所定値による判別が適用されなかった白血球の組み合わせについて、2つの物性値を変数とする関数に基づく細胞の分類について検証した。細胞の複素誘電スペクトルには、実施例1で得られたデータを使用し、緩和強度Deと緩和周波数Fcを算出した。また、前述の式(4)によって膜キャパシタンスCmを算出し、式(5)を用いて細胞質電気伝導度Kを算出した。
[結果]
(1)リンパ球と好塩基球
図14に2種類の物性値におけるリンパ球と好塩基球の分布図を示す。図14の縦軸(y軸)は細胞質電気伝導度Kであり、横軸(x軸)は膜キャパシタンスCmである。図14に示すように、リンパ球と好塩基球とは、図中直線で示す関数(y=ax+b、a=−1.82E+7、b=3.67E+6)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。この関数で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表9に示す。
表9に示すように、上記の関数で領域を分けると、リンパ球は89%がy>ax+bの領域に存在し、好塩基球は85%がy<ax+bの領域に存在した。
(2)好中球と好酸球
図15に2種類の物性値における好中球と好酸球の分布図を示す。図15の縦軸(y軸)は緩和周波数Fcであり、横軸(x軸)は緩和強度Deである。図15に示すように、好中球と好酸球とは、図中直線で示す関数(y=ax+b、a=−1.47E+3、b=2.58E+6)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。この関数で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表10に示す。
表10に示すように、上記の関数で領域を分けると、好中球は85%がy<ax+bの領域に存在し、好酸球は75%がy>ax+bの領域に存在した。
(3)好酸球と単球
図16に2種類の物性値における好酸球と単球の分布図を示す。図16の縦軸(y軸)は緩和周波数Fcであり、横軸(x軸)は緩和強度Deである。図16に示すように、好酸球と単球とは、図中直線で示す関数(y=ax+b、a=−9.66E+1、b=1.37E+6)を境界として2群に分かれて分布していることが確認された。この関数で領域を2つに分けた場合の、各々の領域に含まれる細胞の割合(%)を表11に示す。
表11に示すように、上記の関数で領域を分けると、好酸球は85%がy>ax+bの領域に存在し、単球は61%がy<ax+bの領域に存在した。
本実施例の結果から、細胞の複素誘電スペクトルから得られる物性値を変数とする関数によって細胞を2群に分けると、各々の細胞の60%以上が何れか一方の領域に存在することが確認された。また、この結果から複素誘電スペクトルから算出された物性値を変数とする関数を用いることで、白血球を種類に応じて分類できることが示された。
<実施例4>
4.好中球の分布を基準とした細胞の分類
複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づく好中球の分布を基準として用いることによって、好中球を含む白血球の分類が可能であるか検証した。5種類の白血球の複素誘電スペクトルには、実施例1で得られたデータを用いた。複素誘電スペクトルから、前述の式(3)を用いて細胞直径dを算出し、式(4)を用いて膜キャパシタンスCmを算出した。
図17に、2種類の物性値における5種類の白血球の分布図を示す。図17の縦軸は膜キャパシタンスCmであり、横軸は細胞直径dである。また、図17に示された直線は、好中球の分布に基づいて好中球の領域として規定した部分の膜キャパシタンスCmの下限値(Cm=0.095)と、細胞直径dの下限値(d(μm)=8)に対応する。これらの下限値で細胞を2群に分けた場合の、各群に含まれる各々の細胞の割合(%)を表12と表13に示す。
表12は、好中球の領域の細胞直径dの下限値(d(μm)=8)で細胞を2群に分けた結果である。表12に示すように、5種類の白血球は、何れか一方の領域に87%から97%の割合で存在した。この結果から、好中球の領域の細胞直径dの下限値を境界として、白血球の各々の細胞の分布が偏っていることが示された。また、好中球の領域の細胞直径dの下限値を基準として、細胞を2群に分けると、好中球、好酸球及び単球を一の群とし、好塩基球及びリンパ球を他の一の群として、細胞を2群に分けられることが確認された。
表13は、好中球の領域の膜キャパシタンスの下限値(Cm=0.095)で細胞を2群に分けた結果である。表13に示すように、5種類の白血球は、何れか一方の領域に72%から97%の割合で存在した。この結果から、好中球の領域の膜キャパシタンスCmの下限値を境界として、白血球の各々の細胞の分布が偏っていることが示された。また、好中球の領域の膜キャパシタンスの下限値を基準として、細胞を2群に分けると、好中球、好塩基球、リンパ球及び単球を一の群とし、好酸球を他の一の群として、細胞を2群に分けられることが確認された。
本実施例の結果から、細胞直径dと膜キャパシタンスCmに基づく好中球の領域を基準とすることによって、白血球を細胞の種類に応じて2つの群に分けられることが示された。
<実施例5>
5.物性値に基づく心筋細胞を含む細胞の分類
複素誘電スペクトルに基づく物性値によって心筋細胞を含む細胞の分類が可能であるか検証した。
[材料と方法]
心筋細胞には、市販のラット心筋細胞を用い、複素抵抗の測定に適した細胞懸濁液として調製した。また、心臓から回収された心筋細胞が含まれる細胞懸濁液には、赤血球等の血球細胞や、血管内皮細胞、線維芽細胞等の心筋細胞以外の細胞が含まれることが一般的である。そこで、ラット心筋細胞を含む細胞懸濁液に含まれる細胞について、複素抵抗を測定し、複素抵抗から誘電率を算出し、細胞の複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づいて、細胞懸濁液に含まれる細胞の分類を行った。物性値として、本実施例では、細胞直径dと膜キャパシタンスCmを用いた。細胞直径dは、複素誘電スペクトルから前述の式(3)によって算出し、膜キャパシタンスCmは、前述の式(4)によって算出した。
細胞懸濁液に含まれる細胞については、測定に用いるものとは別に、培養用としても用意し、心筋細胞を含む細胞の培養を行った。培養方法については、公知の方法を用いた。培養後1日の時点で細胞をトリプシン処理によって培養用容器から回収し、細胞懸濁液として調製し、この細胞懸濁液に含まれる細胞の複素抵抗を測定した。
また、複素抵抗を測定した細胞については、測定データと対応可能となるように、カメラを用いて動画を撮影し、撮影された細胞を形状から「球形状細胞」、「非球形状細胞」、「赤血球」、細胞片などを含め、分類できなかったものをまとめた「その他」に分類した。また、本実施例に用いた細胞懸濁液に一般的に含まれると考えられる細胞の種類に基づき、「球形状細胞」は主に心筋細胞であり、「非球形状細胞」は主に線維芽細胞であると判断される。
[結果]
図18に2種類の物性値における心筋細胞を含む細胞の分布図を示す。図18A及び図18Bの縦軸(y軸)は膜キャパシタンスCmであり、横軸(x軸)は細胞直径dである。また、図18Aは、培養開始前の細胞の分布を示し、図18Bは、細胞の培養開始後1日における分布を示す。図18A及び図18Bに示すように、細胞は、細胞直径dと膜キャパシタンスCmに基づく2次元のプロットにおいて、偏った分布を示した。以下、培養前の細胞(図18A)と培養後1日の細胞(図18B)について、順に結果を述べる。
〔結果−培養前〕
図18Aに示す細胞の分布において、細胞が集中する領域を領域1〜3とし、各領域の範囲と、各領域に含まれる球形細胞、非球形細胞、赤血球、その他の割合(%)を表14に示す。
表14に示すように、領域1に含まれる細胞の約7割が球形状細胞(心筋細胞)であり、領域2に含まれる細胞の約7割が非球形状細胞(線維芽細胞)であった。また、領域3に含まれる細胞の約5割は、赤血球であった。この結果は、複素誘電スペクトルから得られた膜キャパシタンスCmと細胞直径dに基づく細胞の分布において、細胞の種類によって分布に偏りが生じることを示している。
また、図18Aに示された直線は、各々、細胞直径(x)=8μmを示す直線と、関数(y=ax+b、a=−1.16E−3、b=3.02E−2)である。図18Aに示すように、例えば細胞直径dの所定値(8μm)で細胞が分布する領域を2群に分けると、一の群には、領域1と領域2が含まれ、他の一の群には領域3が含まれる。また、細胞直径dと膜キャパシタンスCmの変数に基づく関数で領域を2群に分けると、一の領域には領域1と領域3が含まれ、他の一の領域には領域2が含まれる。なお、一の領域に領域1と領域2が含まれ、他の一の領域に領域3が含まれるように、膜キャパシタンスCmの所定値を境界とすることもできる。表14に示すように、領域1〜3には、球形状細胞(心筋細胞)、非球形状細胞(線維芽細胞)又は赤血球が高い密度で存在している。このため、細胞直径dや膜キャパシタンスCmの所定値や、細胞直径dと膜キャパシタンスCmの変数に基づく関数を用いることによって、細胞を種類に応じて分類することが可能となる。
〔結果−培養後1日〕
図18Bに示す細胞の分布において、細胞が集中する領域を領域1〜2とし、各領域の範囲と、各領域に含まれる球形細胞、非球形細胞、赤血球、その他の割合(%)を表15に示す。
表15に示すように、領域1に含まれる細胞の約7割近くが球形状細胞(心筋細胞)であり、領域2に含まれる細胞の約9割近くが非球形状細胞(線維芽細胞)であった。この結果は、培養を行った細胞についても、複素誘電スペクトルから得られた膜キャパシタンスCmと細胞直径dに基づく細胞の分布において、細胞の種類によって分布に偏りが生じることを示している。なお、図18Bに示す培養後1日の細胞の分布図において、図18Aの領域3に対応する領域に、細胞培養前に比べ細胞が少ないのは、細胞を培養する過程で、培養用容器に接着しない赤血球等の血球細胞が取り除かれたためであると考えられる。
また、図18Bに示された直線は、細胞直径(x)=7μmを示す直線と、関数(y=ax+b、a=−1.16E−3、b=3.02E−2)である。図18Bに示すように、細胞直径dと膜キャパシタンスCmの変数に基づく関数で領域を2群に分けると、一の領域には領域1が含まれ、他の一の領域には領域2が含まれる。表15に示すように、領域1〜2には、球形状細胞(心筋細胞)又は非球形状細胞(線維芽細胞)が高い密度で存在している。このため、細胞直径dと膜キャパシタンスCmの変数に基づく関数を用いることによって、細胞を種類に応じて分類することが可能となる。
本実施例の結果から、心筋細胞を含む細胞の複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づいて、細胞を種類に応じて分類できることが示された。また、心筋細胞を含む細胞について、細胞直径dの所定値や膜キャパシタンスCmの所定値、又は2種類の物性値を変数とする関数に基づいて、種類に応じた分類が可能であることが確認された。
<実施例6>
6.物性値に基づく癌細胞を含む細胞の分類
複素誘電スペクトルに基づく物性値によって、癌細胞を含む細胞の分類が可能であるか検証した。
[材料と方法]
本実施例では、癌細胞として、ヒト大腸癌由来のHT29細胞とRKO細胞を用いた。これらの癌細胞については、各々、複素抵抗の測定に適した細胞懸濁液として調製した。また、密度勾配遠心と抗CD45抗体又は抗CD235A抗体が結合された磁気ビーズの使用によって、非癌患者の血液から白血球と赤血球の大部分を取り除く処理を行い、処理後の血液を得た。本実施例では、この処理後の血液を正常血液検体と称する。正常血液検体についても、複素抵抗の測定に適した細胞懸濁液として調製した。
上記の3種類の細胞懸濁液に含まれる細胞の各々について、複素抵抗を測定し、複素誘電スペクトルを得た。この複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づき、各々の細胞懸濁液に含まれる細胞の分布を調べた。物性値として、本実施例では、緩和周波数Fc、細胞直径dと細胞質電気伝導度Kを用いた。細胞直径dは、複素誘電スペクトルから前述の式(3)によって算出し、細胞質電気伝導度Kは、前述の式(5)によって算出した。
[結果]
図19から図21に本実施例の結果を示す。図19から図20の縦軸(y軸)は緩和周波数Fcであり、横軸(x軸)は細胞直径dである。また、図21の縦軸(y軸)は細胞質電気伝導度Kであり、横軸(x軸)は細胞直径dである。図19Aは、細胞直径dと緩和周波数Fcにおける上記の正常血液検体に含まれる細胞の分布図を示し、図19Bは、細胞直径dと緩和周波数FcにおけるHT29細胞とRKO細胞の分布図を示す。また、図20は、図19Aと図19Bに示す各々の細胞の分布を重ね合わせた上で、細胞直径dが12.5μmを超える範囲を拡大したものである。
図19Aに示すように、正常血液検体に含まれる細胞については、細胞直径dが12.5μm以下の領域に集中していた。一方、図19B及び図20に示すように、HT29細胞とRKO細胞は、緩和周波数Fcが2.5MHz未満の領域に集中していた(図20に示す直線は、緩和周波数Fc=2.5MHzを示す。)。また、同じ大腸癌由来の細胞であっても、HT29細胞とRKO細胞では、細胞直径dに対する分布は異なっていた。図21は、細胞直径dと細胞質電気伝導度Kにおける、正常血液検体由来の細胞と、HT29細胞及びRKO細胞の分布図を示す。図21に示すように、HT29細胞とRKO細胞は、細胞質電気伝導度Kに基づき領域を区切った場合には、細胞質電気伝導度Kが2.8E10未満の領域に集中していた(図21に示す直線は、細胞質電気伝導度K=2.8E10を示す。)。
以上の結果から、癌細胞と血液に含まれる細胞は、複素誘電スペクトルから得られる細胞直径dと緩和周波数Fc又は細胞質電気伝導度Kに基づく分布において、各々偏りが認められた。従って、細胞直径dと緩和周波数Fc又は細胞質電気伝導度Kに基づき、細胞を癌細胞と他の細胞とに分類できることが示された。また、HT29細胞とRKO細胞では、細胞直径dにおける分布に違いが認められたことから、複素誘電スペクトルから得られる物性値によって、癌細胞をさらに細かく分類することも可能であることが示された。
<実施例7>
7.物性値に基づく循環腫瘍細胞を含む細胞の分類
実施例6において、癌細胞と他の細胞とが、複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づき分類可能であることが示された。本実施例では、この分類が循環腫瘍細胞に適用可能であるか検証した。
[材料と方法]
循環癌細胞を含む血液の代わりに、本実施例では、上記の大腸癌由来の細胞が実施例6の正常血液検体に混合されたものを用意した。本実施例では、これを腫瘍細胞混入血液検体と称する。この腫瘍細胞混入血液検体についても複素抵抗の測定に適した細胞懸濁液として調製した。この細胞懸濁液に含まれる細胞の各々について、複素抵抗を測定し、複素誘電スペクトルを得た。この複素誘電スペクトルから得られる物性値に基づき、細胞の分類を行った。物性値として、本実施例では、緩和周波数Fc、細胞直径dを用いた。細胞直径dは、複素誘電スペクトルから前述の式(3)によって算出した。
[結果]
本実施例の結果を図22に示す。図22の縦軸(y軸)は緩和周波数Fcを示し、横軸(x軸)は、細胞直径dを示す。図22では、細胞直径dと緩和周波数Fcにおける正常血液検体に含まれる細胞と腫瘍細胞混入血液検体に含まれる細胞の各々の分布を重ね合わせて示す。図22に示す領域1は、細胞直径dが12.5μmを超える領域であり、領域2は、細胞直径dが12.5μmを超え、かつ緩和周波数Fcが2.5MHz未満の領域である。表16は領域1と領域2の各々の存在する細胞数(個)を示す。なお、図22に示す正常血液検体に含まれる細胞と腫瘍細胞混入血液検体に含まれる細胞の数は、各々、1475個と2019個である。
表16に示すように、腫瘍細胞混入血液検体に含まれる細胞のうち、領域1には、350個が存在し、領域2には、333個が存在した。一方、正常血液検体に含まれる細胞のうち、領域1には29個が存在し、領域2には3個が存在した。正常血液検体には、腫瘍細胞(HT29細胞、RKO細胞)が含まれていない。このため、正常血液検体に含まれる細胞の各領域における存在数は、これらの領域に含まれる細胞を腫瘍細胞と判定した場合の判定の精度を意味している。
表16に示すように、領域1には、正常血液検体に含まれる細胞の数が全体の約2%であるのに対して、腫瘍細胞混入血液検体に含まれる細胞の数は全体の約17%であった。従って、HT29細胞とRKO細胞が正常血液検体に混合された場合であっても、複素誘電スペクトルから得られる細胞直径dに基づき、腫瘍細胞と他の細胞とに分類できることが確認された。即ち、本技術に係る細胞判別方法によって、循環腫瘍細胞を分類することができることが示された。
さらに、細胞直径dに加えて緩和周波数Fcに基づく領域2では、領域1に比べ、正常血液検体に含まれる細胞の数が10分の1程度に減少した。これは、循環腫瘍細胞の分類においては、細胞直径dと緩和周波数Fcを用いることで、腫瘍細胞以外の細胞を腫瘍細胞として分類することがより低減されることを示している。以上の結果から、本技術に係る細胞判別方法によって循環腫瘍細胞を分類する場合には、2つ以上の物性値を用いることが好ましく、細胞直径dと緩和周波数Fcを組み合わせることが好ましいことが示された。
本技術にかかる細胞判別方法によれば、細胞を染色剤などの試薬で処理することなく、細胞の分類が可能となるため、細胞への試薬の影響を低減することができる。このため、自己の細胞を培養して、特定の種類の細胞のみを再び体内に戻す治療方法や、培養細胞から目的の細胞へ分化したものを選別して利用する再生医療において、本技術に係る細胞判別方法は用いられ得る。
A1,A2,A3:細胞判別装置、B:細胞分析装置、C,C1,C2:細胞、D:細胞判別システム、1:前処理部、2:測定部、21:流路、22:カバー層、23a,23b:流路層、24:中間層、25a,25b:電極、26:狭窄部、3:検出部、41:解析部、42:分類部、411:演算部、412:判定部、5:分取部、51:電場印加部、511a,511b:電極、512:流路、52,52a,52b:分岐流路

Claims (10)

  1. 細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を1個単位で分類する分類部を有し、
    前記分類部は、前記緩和強度、前記緩和周波数及び前記低周波コンダクタンスのうち、いずれか一以上に基づき、前記細胞の細胞直径、膜キャパシタンス、細胞質電気伝導度のうち、何れか一以上を算出し、
    前記細胞直径は、前記低周波コンダクタンスに基づき算出され、
    前記膜キャパシタンスは、前記緩和強度及び前記低周波コンダクタンスに基づき算出され、
    前記細胞質電気伝導度は、前記緩和強度、前記緩和周波数及び前記低周波コンダクタンスに基づき算出され、
    前記算出は、下記計算式(3)〜(5)
    (式中、dは細胞直径を表し、G low は低周波コンダクタンスを表し、Cmは膜キャパシタンスを表し、Deは緩和強度を表し、Kは細胞質電気伝導度を表し、Fcは緩和周波数を表し、aとbは定数である。)によるものである、
    細胞判別装置。
  2. 前記細胞に、少なくとも白血球が含まれる
    請求項1記載の細胞判別装置。
  3. 前記細胞に、少なくとも心筋細胞が含まれる
    請求項1又は2記載の細胞判別装置。
  4. 前記細胞に、少なくとも循環腫瘍細胞が含まれる
    請求項1〜3のいずれか一項記載の細胞判別装置。
  5. 前記複素誘電スペクトルを測定する測定部を有する
    請求項1〜4のいずれか一項記載の細胞判別装置。
  6. 前記分類部が出力する信号に基づき、前記細胞を2群以上に分ける分取部を有する
    請求項1〜5のいずれか一項記載の細胞判別装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の細胞判別装置と、
    前記複素誘電スペクトルを測定する測定部を有する細胞分析装置と、を備える
    細胞判別システム。
  8. 前記細胞分析装置は、前記分類部が出力する信号に基づき、前記細胞を2群以上に分ける分取部を有する
    請求項7記載の細胞判別システム。
  9. 分類部が、細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を分類する手順を有し、
    その手順において、下記計算式(3)〜(5)
    (式中、dは細胞直径を表し、G low は低周波コンダクタンスを表し、Cmは膜キャパシタンスを表し、Deは緩和強度を表し、Kは細胞質電気伝導度を表し、Fcは緩和周波数を表し、aとbは定数である。)を用いる、
    細胞判別方法。
  10. 細胞の複素誘電スペクトルから得られる緩和強度、緩和周波数及び低周波コンダクタンス、のいずれか一つに基づいて、前記細胞を分類する機能を分類部に実行させ、その際、下記計算式(3)〜(5)
    (式中、dは細胞直径を表し、G low は低周波コンダクタンスを表し、Cmは膜キャパシタンスを表し、Deは緩和強度を表し、Kは細胞質電気伝導度を表し、Fcは緩和周波数を表し、aとbは定数である。)を用いる、
    細胞判別用プログラム。
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