JP6334214B2 - レーザーを用いた薬剤放出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薬剤を内包したマイクロカプセルに近赤外レーザー光を照射して微小孔を開ける方法に関し、さらに、近赤外レーザー光により微小孔を開けることによりマイクロカプセルから、任意の場所で任意の時間に薬剤を制御放出させる方法に関する。
コントロールドリリース(制御放出)の実現を目的として、ポリマーカプセルに薬物を内包させ、標的とする部位において薬剤を放出させる方法がいくつか考案されている。それらは受動的な方法と能動的な方法に大別される。
受動的な方法においては、ポリマー粒子に薬剤を均一に溶解若しくは分散させた構造体、又は薬剤をポリマーで被覆した構造体を作製し、体内において薬剤を徐々に放出(徐放)させる(特許文献1及び2を参照)。このとき、この構造体の外部をコーティングすることにより、薬物の放出のタイミングを遅らせることも可能となるが、投与後は放出のタイミングを制御することができない。国内では、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)のマイクロスフィアを長期にわたって生体内で徐々に分解するものが市販されている(リュープリン、武田薬品工業)。
放出するタイミングを制御できる能動的な方法としては、温度、超音波、光によって放出させる方法が報告されている。このうち、光を用いる方法として以下の方法がある(非特許文献1及び2)。
1. 紫外線照射により薬剤を内包しているポリマーカプセルを破壊して、内包していた薬剤を放出する方法。この方法においては、用いるポリマーのほとんどは紫外光のみ吸収するので、可視〜赤外光を使用することができない。
2. ポリマーカプセルに部分的に金属微粒子を埋め込み、金属粒子が光を吸収し、熱によりポリマーカプセルを溶解する方法。
3. 光感受性物質に薬物を内包し、光線力学反応により放出させる方法。
特表2008-511544号公報 特表2002-518349号公報
M. F. Bedard, et al., Advances in Colloid and Interface Science, 158, pp. 2-14 (2010) M. Delcea, et al., Advanced Drug Delivery Reviews," 63, pp. 730-747 (2011)
従来の受動的方法では、ポリマーカプセルから薬剤が徐々に放出されるが、目的の部位で目的の時間に放出させるという放出の空間的及び時間的制御はできなかった。
能動的方法のうち、温度を用いて薬剤の放出を制御する方法は、薬剤放出の空間的制御が困難であり、また、過熱により周囲組織に損傷を与えるおそれがあった。また、能動的方法のうち、超音波を用いて薬剤の放出を制御する方法は、薬剤放出の空間的制御が困難であり、超音波による周囲組織の損傷のおそれもあった。
光を用いて薬剤の放出を制御する方法は、放出を時間的に制御することが可能であるが、例えば、紫外線を用いた方法においては、紫外線により生体組織や細胞が損傷するという問題があり、特にDNAへの吸収によるがん発症のリスクがあった。さらに、紫外線は生体における吸収係数が高いため、十分な光の侵達長を達成することができなかったので、生体の深部に対して紫外線を用いて放出制御することは困難であり、対象部位は表層組織に限られていた。また、金属微粒子を埋め込んだポリマーカプセルを用いた方法では、生体内に金属粒子が残存し、中長期的な副作用が懸念された。さらに、光線力学反応を利用する方法においては、内包し得る薬剤のサイズと量に制限があり、また光線力学的反応により発生する活性酸素により細胞が損傷を受けるおそれがあった。
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、薬剤を内包したマクロカプセルに任意の部位で、かつ任意の時間に微小孔をあけ、薬剤を時間的かつ空間的に制御された状態で放出する方法の提供を目的とする。また、本発明は、生体への侵襲が少ない状態で放出を制御する方法の提供を目的とする。さらに、生体の表層から離れた深部においても制御放出が可能な方法の提供を目的とする。
従来、特定の波長の光に対して透明なポリマーでできたマイクロカプセルは該特定の光の吸収が期待できないと考えられていた。従って、特定の波長の光に対して透明なポリマーでできたマイクロカプセルをその波長の光で破壊することはできないと考えられていた。フェムト秒パルスレーザー等の超短パルスレーザーによる透明材料の加工は広く行われていたが、それらは集光したレーザーにより実施されたものである。
本発明者は、薬剤を内包したマイクロカプセルから時間的かつ空間的に薬剤を放出する方法について鋭意検討を行った。本発明者は、まず、マイクロカプセルに光を照射した場合のマイクロカプセルの殻の内部の電磁界分布を解析し、マイクロカプセルの光が入射した側と反対の側の殻の一端に光が集まることを確認した。次に、生体における減衰が小さい近赤外の光を、近赤外光に対して透明なマイクロカプセルに照射することにより、近赤外光が入射した側と反対の側のマイクロカプセルの殻の一端に光が集まり、その部分の光強度が増強され、その部分のマイクロカプセルが局所的に破壊され、微小孔が形成されることを見出した。
さらに、マイクロカプセルとして、近赤外光に対して透明であるポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)等の生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルを用いた場合も、近赤外光のフェムト秒レーザー光を照射することにより、同様にマイクロカプセルに微小孔が形成されることを示した。
これらの知見より、薬剤を内包した生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルを生体内の特定の標的部位に集積させ、該マイクロカプセルに近赤外光のフェムト秒レーザー光を照射することにより、生体内の特定の標的部位において、マイクロカプセルから薬剤を、時間的かつ空間的に制御した状態で放出させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 近赤外のフェムト秒レーザー光を用いて、近赤外光に対して透明な高分子材料からできた直径300nm〜5μmのマイクロカプセルに微小孔を形成させる方法であって、マイクロカプセルに近赤外のフェムト秒レーザー光を照射し、マイクロカプセルのレーザー光を入射した側と反対側のレーザー光が出射する側のマイクロカプセル表面と外部の境界周辺の光強度を増強させ、マイクロカプセルのレーザー光の入射側と反対側に微小孔を形成させる方法。
[2] 近赤外光に対して透明な高分子材料からできたマイクロカプセルの屈折率が1.4〜1.7である、[1]の方法。
[3] マイクロカプセルの殻の厚さが50nm〜400nmである、[1]又は[2]の方法。
[4] マイクロカプセルがポリスチレンマイクロカプセルである、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] マイクロカプセルがポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及び乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)からなる群から選択される生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルである、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[6] 近赤外のフェムト秒レーザー光の波長が600nm〜1μmである、[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7] 近赤外のフェムト秒レーザー光のピーク強度が、0.5〜2×1013W/cm2である、[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 近赤外のフェムト秒レーザー光の1ショット当たりのフルエンスが0.1〜2J/cm2、であり、繰り返し周波数が0.01〜100kHz、であり、照射パルス数が1〜1000万ショットである、[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 薬剤を内包した近赤外光に対して透明な高分子材料からできた直径300nm〜5μmのマイクロカプセルに、[1]〜[8]のいずれかの方法で微小孔を形成させ、該微小孔から薬剤を放出させる、薬剤放出方法。
[10] 近赤外光に対して透明な高分子材料からできた直径300nm〜5μmの、薬剤を内包したマイクロカプセルであって、近赤外のフェムト秒レーザー光を一方向から照射した場合に、マイクロカプセルのレーザー光を入射した側と反対側のレーザー光が出射する側のマイクロカプセル表面と外部の境界周辺の光強度が増強し、マイクロカプセルのレーザー光の入射側と反対側に微小孔が形成され、該微小孔から薬剤を放出し得る薬剤放出用マイクロカプセル。
[11] 屈折率が1.4〜1.7であり、近赤外光に対して透明である、[10]の薬剤放出用マイクロカプセル。
[12] 殻の厚さが50nm〜400nmである、[10]又は[11]の薬剤放出用マイクロカプセル。
[13] ポリスチレンマイクロカプセルである、[10]〜[12]のいずれかの薬剤放出用マイクロカプセル。
[14] ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及び乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)からなる群から選択される生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルである、[10]〜[12]のいずれかの薬剤放出用マイクロカプセル。
本発明の方法により、薬剤を内包した、近赤外光に対して透明なマイクロカプセルに、近赤外の超短パルスレーザー光を照射することにより、マイクロカプセルに微小孔を形成させることができる。従来は、ある特定の波長の光に透明なマイクロカプセルにその波長の光を照射しても、吸収されることなく透過してしまうので、マイクロカプセルを部分的にも破壊することはできないと考えられていた。本発明によれば、驚くべきことに、近赤外光に対して透明なマイクロカプセルに近赤外の超短パルスレーザー光を照射した場合に、近赤外光が入射した側と反対の側のマイクロカプセルの殻の一端に光が集まり、その部分の光強度が増強され、その部分のみにおいて多光子イオン化や非線形相互作用が生じる光強度の閾値を上回り、マイクロカプセルの一端に微小孔が形成される。
ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)等の生分解性材料は、その屈折率から近赤外光に対して透明であり、従来の知見からは、近赤外光照射により破壊させることは不可能と考えられていた。しかし、本発明の方法によれば、生分解性材料に、近赤外の超短パルスレーザー光を照射することにより、微小孔を形成させることができるので、近赤外の超短パルスレーザー光を照射して微小孔を形成させるマイクロカプセルの材料として、生分解性材料を用いることができる。
近赤外光は、生体における吸収係数が低いので、生体外から生体に照射した場合でも、生体に吸収されることなく、大きな侵達長を示す。従って、近赤外光は、生体の表層部から離れた内部の部分にも光強度が減衰することなく到達し得る。
すなわち、本発明は、近赤外の超短パルスレーザー光と生分解性材料等の近赤外光に対して透明な材料でできたマイクロカプセルを組合せて用いることにより種々の効果を奏することができる。すなわち、マイクロカプセル全体を溶解させることなく、局所的に微小孔を形成させることができる。また、薬剤を内包したマイクロカプセルに微小孔を形成させ、その微小孔から薬剤を放出することができる。この結果、薬剤を光により分解させることなく微小孔から徐放させることができる。さらに、近赤外光は生体における侵達長が大きいので、生体内の表層部から離れた内部に薬剤内包マイクロカプセルを集積させた上で、生体外部から、あるいはマイクロカプセル集積部から離れた部位から近赤外光を照射しても、光がマイクロカプセルが集積した部位に到達し得るので、生体内のどの部位においても非侵襲的にマイクロカプセルから薬剤を放出させることができる。
従って、本発明の方法を利用したドラッグデリバリーシステム(DDS)は、望ましいタイミングにおいて薬剤を放出することを可能とし、場所と時間を制御して効率的に薬剤を標的部位に送達させることができる。本発明の方法により、疾患治療用薬剤を疾患部位へ、効率的に投与することができ、また、特定の時間及び場所において細胞内に薬物を放出し、細胞機能や細胞小器官への影響を調べることもできる。例えば、後者において、細胞内の特定の場所において本発明の方法を利用して、カルシウムイオンやカリウムイオンを放出し、細胞機能に与える影響を調べることが可能となる。
ポリスチレンマイクロカプセルへのフェムト秒レーザー照射に用いた装置を示す図である。 未処理のポリスチレンマイクロカプセルの形状を示す図である。 フェムト秒レーザー光を照射したポリスチレンマイクロカプセルの状態を示す図である。 直径1μm、内径600nm(殻の厚さ200nm)のマイクロカプセルにレーザー光を照射した場合の、マイクロカプセルの周囲の光強度分布を示すシミュレーションの結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、マイクロカプセルにレーザー光を照射して、マイクロカプセルに微小孔を形成する方法である。本発明において、カプセルとは、球状であり、内部に薬剤等を入れることができる空隙を有し、該空隙が一定の厚みのある殻により密閉されているものをいい、中空カプセルということもできる。また、形状を明確にするために、球状マイクロカプセル、内部に空隙を有するマイクロスフィア又は中空マイクロスフィアということもできる。本発明においては、マイクロカプセルは好ましくは薬剤を内包しており、薬剤を内包したマイクロカプセルにレーザー光を照射して、マイクロカプセルに微小孔を形成させ、該微小孔から薬剤を放出させることができる。本発明は、薬剤を内包したマイクロカプセルにレーザー光を照射して、マイクロカプセルに微小孔を形成させ、該微小孔から薬剤を放出させる方法も包含する。ここで、薬剤を内包するとは、薬剤を封入するともいう。
本発明のマイクロカプセルは、波長が600nm〜1μm程度の近赤外光に対して透明である材料から構成されているものが好ましい。本発明において、マイクロカプセルが特定の波長の光に対して透明であるとは、マイクロカプセルと特定の波長の光の間に相互作用が起こらず、該特定の波長の光の吸収及び散乱が生じないことをいう。マイクロカプセルが波長600nm〜1μm程度の近赤外光に対して透明である場合、マイクロカプセルに近赤外光を照射すると、光はマイクロカプセル中に入射し、マイクロカプセル中で吸収や散乱が生じることなく進む。進んだ近赤外光は、マイクロカプセルに入射した側とは反対側から出射する。この際、散乱による物理現象のためにマイクロカプセルが微小レンズとして作用し、マイクロカプセルの近赤外光が入射した側の反対側の出射した側の表面周辺に光が集まりその部分の光強度が増強される。従来はマイクロカプセルによる散乱は小さい(ほとんどない)と考えられており(殻の厚みが光の波長に対して小さいため)、微小レンズとして作用するほどの散乱を生じるとは考えられていなかった。本発明においては、マイクロカプセルが散乱による物理現象により微小レンズとして作用することを初めて見出した。光増強場は、図3に示すような分布を示し、マイクロカプセル表面からやや離れた位置で特に光強度が増強される。光強度の増強により、マイクロカプセルの近赤外光が入射した側と反対側の出射側の表面が破壊され、微小孔が形成される。微小孔の形成は、多光子イオン化及び入射したレーザー光の非線形光学効果により生じ得る。マイクロカプセル表面からやや離れた位置における光強度は、入射したレーザー光の光強度の、1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上、特に好ましくは3倍以上になる。
波長が600nm〜1μm程度の赤外光に対して透明である材料としては、屈折率が1.3〜1.8、好ましくは1.4〜1.7の屈折率の高い材料が挙げられる。ここで、屈折率は真空を1とした物質固有の絶対値をいう。通常、試料物質の屈折率は公知の方法で測定される。例えば、空気に対する屈折率を20℃で、光源としてナトリウムスペクトルのD線(589nm)を用いて測定される。絶対屈折率は、試料物質の屈折率と空気の真空に対する屈折率により求めることができる。上記の屈折率を有する材料として、ポリスチレンやスチレン共重合体等の樹脂が挙げられる。また、生体中において利用する場合は、マイクロカプセルは生体適合性高分子から構成されていることが好ましく、さらには生分解性高分子材料で構成されていることが好ましい。生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルを生体内における薬剤放出に用いる場合、薬剤を放出した後のマイクロカプセルは生体内で分解されるために、生体内にマイクロカプセルの破片が残存することもない。生分解性高分子としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)が挙げられる。また、ポリジオキサノン、ポリ-α-シアノアクリル酸エステル、ポリエステルなどのホモポリマー及びこれらの構成モノマーからなるコポリマー等も好適に用いることができる。これらのポリマーの屈折率は1.4〜1.7程度であり、近赤外光に対して透明である。例えば、PLAの屈折率は1.45であり、PLGAの屈折率は重合体の比率により変化するが1.45〜1.65程度である。本発明においては、マイクロカプセルを構成する特に好ましい生分解性高分子材料としては、ポリ乳酸若しくは乳酸とポリグリコール酸若しくはグリコール酸のモル比が50/50〜90/10の共重合体であるポリ乳酸グリコール酸を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、脂質から構成されたリポソームも用いることができる。
本発明のマイクロカプセルの直径は、300nm〜数十μm、好ましくは200nm〜数μm、さらに好ましくは200nm〜5μm、さらに好ましくは500nm〜2μm、さらに好ましくは500nm〜1500nm、さらに好ましくは750nm〜1250nm、さらに好ましくは800〜1100nm、さらに好ましくは900nm〜1100nmである。また、2μm〜5μmのマイクロカプセルも好適に用いることができる。マイクロカプセルの殻の厚さは、50〜400nm、好ましくは100〜400nm、さらに好ましくは150nm〜400nm、さらに好ましくは150〜300nm、さらに好ましくは150nm〜250nmである。カプセルの厚さ(nm)は、好ましくは直径(nm)の5〜40%、好ましくは10〜30%である。例えば、直径約1μm、厚さ約200nmのマイクロカプセルを好適に用いることができる。本発明において、マイクロカプセルとはサイズがサブミクロンから数十マイクロミクロンのカプセルをいい、微小カプセルということもあるし、また、サイズによってはナノカプセルということもある。なお、本発明のマイクロカプセルにレーザー光を照射した場合、照射した光の入射する側の反対側の出射する側のマイクロカプセル表面と外部の境界周辺部において光強度が増強され、マイクロカプセルが部分的に破壊され微小孔が形成されるが、マイクロカプセルと外部の境界周辺部において光強度を増強させるためには、マイクロカプセルの殻は一定以上の厚みを有していることが望ましく、上記の厚さよりも著しく厚さが低下するとマイクロカプセルと外部の境界周辺部における光強度の増強が生じなくなる。
また、マイクロカプセルの形状は球状であるが、真の球状である必要はなく、略球状であってもよい、また、回転楕円体形状であってもよい。本発明においては、略球状も回転楕円体形状も球状に含める。
本発明の方法で用いるマイクロカプセルは、金属微粒子等の光吸収体を含んでいる必要はない。
マイクロカプセルの製造及びマイクロカプセルへの薬剤の内包は、転動造粒法、流動層造粒法、噴霧層造粒法、撹拌造粒法、解砕造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、液滴固化造粒法等の公知の方法で行うことができる。例えば、液滴固化造粒法であるダブルエマルジョン法、シングルエマルジョン法等により製造することができる。ダブルエマルジョン法は、水相-有機相-水相(W/O/W)の3つの溶液を用いて、薬剤を封入したマイクロカプセルを形成させる方法である。例えば、薬剤の水溶液を生分解性高分子(ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体)の揮発性有機溶媒溶液(例えば、ジクロロメタン)と撹拌し乳化させる。この結果、薬剤を含む内水相が、攪拌によって微小滴に分散され、W/Oエマルジョンが形成される。形成されたW/Oエマルジョンに、ポリビニルアルコール水溶液を添加して撹拌を続けることにより、生分解性高分子が溶解していた揮発性有機溶媒が蒸発し、溶解度が低下する結果、生分解性高分子が内水相をとり囲むように析出してマイクロカプセルを形成する。シングルエマルジョン法は、有機相-水相(O/W)の2つの溶液を用いて、薬剤を有機層に溶解し、薬剤を内包したマイクロカプセルを形成させる方法である。例えば薬剤を生分解性高分子(ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体)の揮発性有機溶媒溶液(例えば、ジクロロメタン)と撹拌し溶解させる。この結果、薬剤は均一なジクロロメタン溶液となる。薬剤を含む有機相に、ポリビニルアルコール水溶液を添加し撹拌する。その結果、薬剤と生分解性高分子を含む有機相が、攪拌によって微小滴に分散され、O/Wエマルジョンが形成される。形成されたO/Wエマルジョンにおいて、生分解性高分子が溶解していた揮発性有機溶媒が蒸発して溶解度が低下し、生分解性高分子が薬剤を含んだまま析出して、薬剤を内包したマイクロカプセルを形成する。
また、例えば、特表2004-505761号公報に記載の方法や、米国特許8293271号公報に記載の方法により薬剤を内包したマイクロカプセルを製造することができる。
マイクロカプセルに内包させる薬剤は、限定されず、高分子ポリマーも低分子化合物も含まれる。一例として、サイトカイン(各種インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、成長因子など)、抗体等のタンパク質やペプチド;グルタミン酸、システイン等のアミノ酸;DNA、cDNA、mRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA等の核酸が挙げられる。また、各種抗癌剤等の薬剤やカルシウムイオンやカリウムイオン等の化合物も含まれるがこれらには限定されない。
これらの薬剤は、水に溶解させてマイクロカプセルに内包させてもよく、脂溶性の場合は油に溶解させてマイクロカプセルに内包させてもよい。水の屈折率は1.33であり、油の屈折率は1.5〜1.6程度であるので、マイクロカプセル内部の空隙に含まれる薬剤溶液を含めたマイクロカプセル全体の屈折率が大きく変化することはなく、波長が600nm〜1μm程度の近赤外光に対して透明を維持し得る。
公知の化合物デリバリーシステムを用いることにより、薬剤を内包したマイクロカプセルを標的組織や細胞に送達することができる。例えば、マイクロカプセルの表面に特定の細胞の表面に発現しているタンパク質や糖に特異的に結合する化合物を結合させればよい。例えば、細胞表面に発現しているタンパク質や糖に対する抗体を用いることができ、標的細胞が癌細胞の場合は、癌特異的抗原に対する抗体等を用いることができる。特定の化合物を表面に結合させたマイクロカプセルは、特定の組織や細胞を標的として、集積し結合し、細胞に取り込まれるか、あるいは細胞周辺に蓄積する。例えば、癌細胞はインテグリンを高発現しており、ベクターの表面にRGD(アルギニン-グリシン-アスパラギン酸)ペプチドを結合させることにより癌細胞を標的とすることが可能である。また、特定の細胞表面に存在するレクチンに結合する糖鎖を結合させてもよい。
上記のデリバリーシステムにより、本発明の薬剤が内包されたマイクロカプセルを標的組織や細胞に送達し、その部位に蓄積させる。その後、レーザー光を照射することにより、マイクロカプセルに局所的に微小孔が形成され、その微小孔から薬剤が放出される。その結果、任意の場所で、任意の時間に薬剤を放出させることができ、薬剤放出を空間的かつ時間的に制御することが可能になる。すなわち、本発明の方法により、任意の標的部位に任意の時間で薬剤をデリバリーすることが可能になる。
マイクロカプセルに照射するレーザー光としては、上記のように、屈折率が1.6前後のマイクロカプセル中で吸収、散乱が生じない波長600nm〜1μm程度の近赤外レーザー光を用いる。該レーザー光は、数フェムト秒(fs)〜数百フェムト秒(fs)のナノ秒未満の時間幅を有するパルスレーザー等の超短パルスレーザーが好ましい。例えば、フェムト秒チタンサファイアレーザー、フェムト秒ファイバーレーザー、フェムト秒イットリビウム(Ytterbium)レーザー等を用いることができる。600nm〜1μm程度の波長のレーザー光は、生体における吸収係数が低いので、生体組織や細胞に吸収されない。従って、生体内に照射した場合、光侵達長が長く、光強度が減衰することなく、マイクロカプセルが集積している深部の組織や細胞に到達し得る。また、フェムト秒レーザーは、パルス幅がフェムト秒レベルのレーザーであり、光のエネルギー強度が高い。フェムト秒レーザー光をマイクロカプセルに照射しただけでは、マイクロカプセルは破壊されないが、マイクロカプセル中を進み、入射側と反対側の出射側付近において光強度がさらに増強されるので、その部位でマイクロカプセルに局所的に微小孔を開け得る。
レーザーの照射強度(ピーク強度)は、0.5〜2×1013W/cm2、好ましくは、0.6〜1.5×1013W/cm2、さらに好ましくは0.66〜1.33×1013W/cm2である。この範囲のレーザー強度は、マイクロカプセル全体を溶解させるほど高い強度ではなく、本発明の方法により、マイクロカプセルのレーザー光の入射側と反対側の出射側に微小孔を形成させるのに、適した強度である。
レーザーの1ショット当たり単位面積当たりのエネルギー(フルエンス)は、0.1〜2J/cm2、好ましくは0.3〜1J/cm2である。
レーザーの繰り返し周波数は、0.01〜100kHz、好ましくは1〜10kHz、さらに好ましくは1〜5kHzである。
レーザーの照射パルス数は、孔を開けようとするマイクロカプセルの量にもよるが、同一箇所に対して、1〜1000万ショット(回)、好ましくは100〜1000ショット、さらに好ましくは100〜500ショットである。
レーザーは、マイクロカプセルの一方向側から照射すればよい。また、複数のマイクロカプセルが存在する場合、マイクロカプセルが集積して存在する部位に対して、レーザー光を一方向から一様に照射すればよい。
薬剤を内包した本発明のマイクロカプセルに上記の条件でレーザーを照射した場合、レーザーを照射した入射側と反対側の出射側のマイクロカプセルの表面と外部との境界周辺におけるレーザー光強度が大きくなる。この際、レーザーを集光してマイクロカプセルの表面の一部に集中的に照射する必要はなく、マイクロカプセルが存在する部位に一様に照射すればよい。この結果、レーザー光強度が大きくなった付近のマイクロカプセルの殻が局所的に破壊され、微小孔が形成される。その結果、微小孔からマイクロカプセルに封入された薬剤が外部に放出される。本発明の方法によれば、標的部位に存在する多数のマイクロカプセルに一様にレーザー光を照射することにより、多数のマイクロカプセルに同時に微小孔を形成させることができるので、多数のマイクロカプセルからの同時薬剤放出が可能となる。微小孔の直径は、マイクロカプセルのサイズやレーザー照射条件により異なるが、数nm〜数百nmである。
薬剤を内包したマイクロカプセルをデリバリーシステムを用いて標的組織等の標的部位に送達し集積させ、さらにマイクロカプセルが標的部位に集積した後に、該標的部位にレーザー光を照射することにより、マイクロカプセルに微小孔が形成され、マイクロカプセル内部に内包された薬剤が外部に放出される。すなわち、本発明の方法により、空間的かつ時間的に薬剤の放出を制御することができる。この際、マイクロカプセル全体は強高度のレーザー光に曝されることはないので、マイクロカプセル全体が溶解したり、破壊されたりすることはなく、あくまでも局所的に開いた数か所、好ましくは1か所の微小孔から、薬剤が放出される。マイクロカプセルのサイズやレーザー照射条件により、微小孔の数や大きさを制御することができ、その結果、マイクロカプセルからの薬剤の放出速度や放出量も制御することが可能である。
生体内の標的部位に薬剤を内包したマイクロカプセルを集積させ、該部位でマイクロカプセルから薬剤を放出させる場合、レーザー光は、生体外から生体内に照射すればよい。波長が600nm〜1μmの近赤外レーザー光は、生体における吸収係数が低いので、生体に吸収されることなく、標的組織等の標的部位に到達し得る。また、生体内にレーザー光を照射するレーザー光照射手段を含む、カテーテルを用いて特定の標的組織等の標的部位に照射してもより。カテーテルは、血管等の生体内の管腔内に挿入される筒であり、レーザー光照射手段を標的部位に移動させるときのガイドとして用いられる。レーザー光照射手段は、レーザー光発生手段(レーザー光源)、レーザー光を生体内に伝送する手段、レーザー光を生体内で照射する手段等を含み、レーザー光を伝送する部分は光伝送用ファイバーである。レーザー光を生体内に照射する手段は、光伝送用ファイバーの遠位端にレーザー光照射部として設けられる。「遠位端部付近」とは、高強度パルス光発生装置と連結された端部(近位端部)の反対側の端部に近い部分を意味し、遠位端部及び遠位端部から数十cm程度の部分を指す。本発明の装置が含むカテーテルは、通常用いられている血管カテーテル等を使用することができ、その径等は限定されず、挿入しようとする管腔の太さに応じて適宜設計することができる。好ましくは、本発明の装置は血管内に挿入され、薬剤が内包されたマイクロカプセルが集積した標的部位にレーザー照射部位が到達する。レーザー光を伝送する光ファイバーは、その一端でレーザー光発生装置と連結し、もう一端でレーザー光照射手段と連結している。本発明で用いられる光ファイバーは、直径0.05〜0.3mm程度のきわめて細いものから、可視的な太さのものまで、種々のものを用いることができる。
本発明は、薬剤を内包したマイクロカプセルを包含する。該マイクロカプセルは、レーザー光を一方向から照射することにより、マイクロカプセル内にレーザー光が入射し、レーザー光はマイクロカプセル内を進み、入射した側とは反対の側から出射する。レーザー光が出射した側のマイクロカプセルの表面と外部の境界周辺の光強度が増強され、該境界周辺に微小孔が形成され、形成された微小孔から薬剤が放出されるマイクロカプセルである。該マイクロカプセルは、任意の標的部位において任意の時間に薬剤を放出し得る薬剤のデリバリー用カプセルとして用いることができる。
さらに、本発明は前記の薬剤を内包したマイクロカプセルとレーザー光照射装置を含む、薬剤デリバリーシステムを包含する。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例においては、ポリスチレンマイクロカプセルにレーザー光を照射し、ポリスチレンに局所的に1個の微小孔を開けることを試みた。
ポリスチレンマイクロカプセルは、球形であり、中空で内部に水が充填されたPolybead(登録商標) Hollow Micorspheres (Polyscineces, Inc.)を用いた。ポリスチレンマイクロカプセルの直径は1.00μmであり、殻の厚さは電子顕微鏡を用いて測定したところ、0.2μmであった。ポリスチレンマイクロカプセルの屈折率は1.6であり、内部に充填された水の屈折率は1.33である。
照射するレーザー光の光源としては、チタンサファイアフェムト秒レーザー増幅器システムを使用した。中心波長800 nm、パルス幅80 fs、繰返周波数は1 kHz(1秒間に1000パルス)の条件で、照射実験を行った。ポリスチレンマイクロカプセルを9.5×104個/mlの密度で蒸留水に懸濁させ、シャーレに入れ、上方からレーザー光を照射した。ポリスチレンマイクロカプセルに照射される際の照射領域の直径は300μmとし、1秒間に1 mmの速度で走査して照射した。すなわち1カ所あたりの照射パルス数は300ショットであった。レーザーフルエンス(単位面積当たりの1ショットあたりのエネルギー)は0.53 J/cm2又は1.06 J/cm2とした。これらはレーザー強度にすると6.6× 1012 W/cm2又は1.33 × 1013 W/cm2に相当する。レーザー照射に用いた装置の構造を図1に示す。
照射後、マイクロカプセルを回収し、シリコン基板上に散布して、電子顕微鏡(SEM)により観察を行った。結果を図2−2に示す。図2−2Aは、照射強度が6.6× 1012 W/cm2の場合のマイクロカプセルを示し、上の図と下の図では観察倍率が異なる(図中にスケールバーを示してある)。図2−2Bは、照射強度が1.33 × 1013 W/cm2の場合のマイクロカプセルの状態を示し、上の図と下の図では観察倍率が異なる(図中にスケールバーを示してある)。図2−2に示すように、ポリスチレンマイクロカプセルに微小孔が形成されているのが観察された。
ポリスチレンマイクロカプセル周囲の光強度分布を、Maxwellの方程式を差分化(Finite Difference)し、時間領域(Time Domain)で解く、いわゆる時間領域差分(FDTD: Finite-Difference Time-Domain)法を用いてシミュレーションにより求めた。水中にPLA粒子を孤立させた系とし、入射光は波長800 nmの直線偏光(x軸方向)の平面波とした。求めた光強度分布結果を図3に示す。図3中、中央よりやや上方に認められる二重の円がマイクロカプセルであり、外側の円は外周部を示し、内側の円は内周部を示す。レーザー光は図の上方の細い矢印で示すように図の上方向から照射されている。マイクロカプセルの下方部(レーザー光の入射側と反対側)には炎状の光強度分布が認められる。図3Aは濃淡で示した図である。光強度は強い部分から弱い部分まで赤から青の色で段階的に示される。図3A中太い矢頭で示した部分が特に光強度が高い部分である。モノクロ図においては、強い部分も弱い部分も同じ明度に見えるので、図3Bに模式的に光強度分布を示す。図3Bにおいて、aの点線で囲まれた部分、bの点線で囲まれた部分、cの点線で囲まれた部分の順で光強度が強い。図3A及びBに示すように、レーザー光の入射側と反対側のマイクロカプセルと外部の境界付近において、光強度が高くなっていた。レーザー光の入射側と反対側のカプセル表面における光強度は、照射したレーザー光強度の2.9倍であり、レーザー光の入射側と反対側のカプセル表面(下面)から285nm離れた部位の光強度がピークを示し、ピークにおける光強度は照射レーザー光強度の4.1倍であった。図3A中に、光強度が2.9倍の部分及び光強度が4.1倍の部分をピンポイントで示す。
これらの結果は、マイクロカプセルに、フェムト秒レーザー光を照射することにより、レーザー光が入射した側と反対側のマイクロカプセル表面での光強度が高くなり、その結果、光強度が高くなった部分で、マイクロカプセルが破壊され微小孔が開いたことを示している。
本実施例で用いたポリスチレンカプセルの屈折率は約1.6であり、ポリ乳酸やポリグリコール酸から構成される生分解性高分子(PLA、PLGA)と同等の屈折率である。従って、生分解性高分子からできたPLAカプセルやPGLAカプセルにおいてもポリスチレンカプセルで得られた結果と同等の結果が得られることが予測される。
本発明の方法により、薬剤を内包したマイクロカプセルに近赤外のフェムト秒レーザー光を照射することにより、微小孔を形成させ、微小孔から薬剤を放出させることができ、薬剤を生体の任意の部位に任意の時間にデリバリーすることができる。

Claims (14)

  1. 近赤外のフェムト秒レーザー光を用いて、近赤外光に対して透明な高分子材料からできた直径300nm〜5μmのマイクロカプセルに微小孔を形成させる方法であって、マイクロカプセルに近赤外のフェムト秒レーザー光を照射し、マイクロカプセルのレーザー光を入射した側と反対側のレーザー光が出射する側のマイクロカプセル表面と外部の境界周辺の光強度を増強させ、マイクロカプセルのレーザー光の入射側と反対側に微小孔を形成させる方法。
  2. 近赤外光に対して透明な高分子材料からできた前記マイクロカプセルの屈折率が1.4〜1.7である、請求項1記載の方法。
  3. 前記マイクロカプセルの殻の厚さが50nm〜400nmである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記マイクロカプセルがポリスチレンマイクロカプセルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記マイクロカプセルがポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及び乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)からなる群から選択される生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記近赤外のフェムト秒レーザー光の波長が600nm〜1μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記近赤外のフェムト秒レーザー光のピーク強度が、0.5〜2×1013W/cm2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記近赤外のフェムト秒レーザー光の1ショット当たりのフルエンスが0.1〜2J/cm2、であり、繰り返し周波数が0.01〜100kHz、であり、照射パルス数が1〜1000万ショットである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 薬剤を内包した近赤外光に対して透明な高分子材料からできた直径300nm〜5μmのマイクロカプセルに、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法で微小孔を形成させ、該微小孔から薬剤を放出させる、薬剤放出方法。
  10. 近赤外光に対して透明な高分子材料からできた直径300nm〜5μmの、薬剤を内包したマイクロカプセルであって、近赤外のフェムト秒レーザー光を一方向から照射することにより、マイクロカプセルのレーザー光を入射した側と反対側のレーザー光が出射する側のマイクロカプセル表面と外部の境界周辺の光強度が増強し、マイクロカプセルのレーザー光の入射側と反対側に微小孔が形成され、該微小孔から薬剤を放出するための薬剤放出用マイクロカプセル。
  11. 屈折率が1.4〜1.7であり、近赤外光に対して透明である、請求項10記載の薬剤放出用マイクロカプセル。
  12. 殻の厚さが50nm〜400nmである、請求項10又は11に記載の薬剤放出用マイクロカプセル。
  13. ポリスチレンマイクロカプセルである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の薬剤放出用マイクロカプセル。
  14. ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及び乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)からなる群から選択される生分解性高分子材料でできたマイクロカプセルである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の薬剤放出用マイクロカプセル。
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