JP6331324B2 - 3dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号の付加および確認を行う方法およびシステム - Google Patents

3dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号の付加および確認を行う方法およびシステム Download PDF

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本発明は、3Dプリンタ出力用データを配信する際に、出力造形物についての著作権保護を行う技術に関する。
現在、様々な電子機器において膨大な数のデジタルコンテンツが利用されており、一般にDRM(Digital Rights Management)と呼ばれているデジタル著作権管理が益々重要になってきている。音声、画像、動画、電子書籍などの形態をとるデジタルコンテンツについては、古くから様々な方法によるDRMが提案されている。
たとえば、暗号化を施した状態でコンテンツの配布や配信を行い、特定の環境においてのみ復号を行い再生を可能にする技術や、いわゆるストリーミング方式で配信し、ユーザの手元にコンテンツデータが残らない状態にする技術などは、既に実用化されている。また、コンテンツデータに電子透かしを埋め込んだ状態で配布や配信を行う方法も利用されている。この方法では、デジタルコンテンツの複製行為自体を制限することはできないが、複製物に電子透かしの情報が残るため、複製物であることの立証が容易になり、違法な複製行為を抑制する効果は得られる。
近年、デジタルコンテンツの形態として、3Dモデリングデータが脚光を浴びるようになってきている。3Dモデリングデータ自体は、古くからCADシステムやCGシステムで利用されてきたコンテンツデータであるが、最近は、3Dプリンタ出力用データとしての利用が注目されている。3Dプリンタは、これまで試作品や模型を高速に作成できるツールとして、一部の企業の業務で利用されるにとどまっていたが、最近は低価格化が進み、一般個人でも導入できるようになってきている。このため、STL(Standard Triangulated Language)なる標準形式のファイルフォーマットで記述された3Dプリンタ出力用のモデリングデータがインターネット上で配信されている。
もちろん、このような3Dモデリングデータについても、音声、画像、動画、電子書籍などのデジタルコンテンツと同様に、デジタル著作権管理を行うことが重要である。そこで、たとえば、下記の特許文献1には、3Dモデリングデータに対して2段階のパスワード認証を行うことにより、データの閲覧を制限する手法が提案されており、特許文献2には、3Dモデリングデータを部品業者に渡すときに、費用の見積もりに必要な最小限部分だけを開示し、全体像および他の部品については閲覧できないようにモザイクを施す手法が提案されている。また、特許文献3には、視点座標や光源位置座標などのレンダリングパラメータの一部のビットを変更することにより、3次元形状に変形が生じないように電子透かしの情報を埋め込む手法が提案されている。
特許第3868284号公報 特許第4806257号公報 特許第4081033号公報
前掲の各特許文献に開示されているように、3Dモデリングデータについても、一般的なデジタルコンテンツと同様のデジタル著作権管理を行う手法が提案されており、これらの手法を利用すれば、音声、画像、動画、電子書籍などのデジタルコンテンツと同様の著作権管理が可能になる。しかしながら、これらの手法では、必ずしも十分な著作権管理を行うことはできない。
たとえば、前掲の特許文献1に記載されている方法では、パスワード認証により閲覧が許可された後は、3Dモデリングデータを無尽蔵にコピーすることができるようになり、特許文献2に記載されている方法でも、閲覧可能な部分に関しては、無尽蔵にコピーすることができるようになり、決して十分な著作権保護を行うことはできない。
これに対して、特許文献3に記載されている手法を利用すれば、コピーした複製物には、常に電子透かしの情報が埋め込まれた状態になるため、違法な複製物を配布するような海賊行為に対しては抑制効果は得られる。しかしながら、3Dプリンタ出力用データの場合、データ自体には電子透かしの情報が埋め込まれているものの、当該データを3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物までには、電子透かしの情報が反映されないため、出力造形物に対する著作権保護を十分に行うことはできない。
今後は、3Dプリンタが一般個人のレベルまで普及してゆき、インターネット上で、3Dプリンタ出力用データの配信が盛んに行われるものと予想される。この場合、データ自体に電子透かしの情報を埋め込んでおけば、データ自体の違法な複製を抑制する効果は得られるが、3Dプリンタから得られた出力造形物自体についての著作権管理は不十分であり、3Dプリンタを利用して、フィギュアなどの造形物が無尽蔵に製造されてしまう可能性がある。また、拳銃などの法規制の対象となる危険物、合鍵などのセキュリティ上の問題がある物品、その他の輸入規制品が、インターネット経由で入手したデータに基づいて3Dプリンタから出力されてしまう問題も指摘されており、出力造形物自体についての著作権管理が急務となってきている。
そこで本発明は、3Dプリンタ出力用データを配信する際に、3Dプリンタから出力された造形物自体についての著作権保護を行うことができるデータ配信方法および著作権保護方法ならびにこれらの方法を実行するためのシステムを提供することを目的とする。また、出力造形物についての著作権保護を行う機能を備えた3Dプリンタ出力用データを作成する方法ならびに当該方法を実行するためのシステムを提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、3Dプリンタ出力用データを配信する際に、出力造形物についての著作権保護を行う3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
コンピュータが、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに著作権保護のために付加する固有符号と、を入力するデータ入力段階と、
コンピュータが、固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成段階と、
コンピュータが、元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成段階と、
コンピュータが、合成データを配信するデータ配信段階と、
合成データを3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物から、3Dバーコードを抽出し、固有符号を検出する符号検出段階と、
を行い、
3Dバーコード合成段階では、内部に凹凸構造面が形成された造形物が出力可能な合成データが得られる合成を行い、
符号検出段階では、出力造形物を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識し、3Dバーコードを抽出するようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
3Dバーコード作成段階で、一次元バーコードもしくは二次元バーコードに基づいて3Dバーコードを作成するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
3Dバーコード作成段階で、所定の符号形成平面上に、固有符号に対応した黒領域および白領域の集合体からなる一次元バーコードもしくは二次元バーコードを作成し、黒領域および白領域のうちの一方を、符号形成平面に対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域および白領域によって凹凸構造面を形成するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1〜第3の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
データ入力段階で、第1の三次元閉空間領域の境界面を示す元データを入力し、
3Dバーコード合成段階で、第1の三次元閉空間領域の内部に含まれ、かつ、その境界面の一部が3Dバーコードとなる凹凸構造面を形成している第2の三次元閉空間領域を定義し、第1の三次元閉空間領域の境界面を外面とし、第2の三次元閉空間領域の境界面を内面とする第3の三次元閉空間領域を定義し、この第3の三次元閉空間領域の外面および内面を示す情報を含んだ合成データを作成するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第1〜第4の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
符号検出段階で、X線CTスキャナ装置を用いて出力造形物を外部からスキャンすることにより、凹凸構造面を認識するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第1〜第5の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
データ配信段階で、合成データに対して暗号化処理を施すことにより配信用データを作成し、合成データを配信用データの形で配信するようにし、配信を受けた者が配信用データに対して復号処理を施した場合に合成データを利用できるようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第1〜第6の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
データ配信段階で、著作権保護のために付加する埋込符号を、合成データに対して電子透かしとして埋め込む埋込処理を施すことにより配信用データを作成し、合成データを配信用データの形で配信するようにし、配信用データから埋込符号を抽出して認識できるようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第7の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法において、
3Dバーコード合成段階で、複数の多角形の各頂点位置を示す座標データと、各多角形の表裏を示す法線ベクトルデータと、を含む合成データを作成し、
データ配信段階で、法線ベクトルデータを構成する一部のビットの値を変更することにより埋込処理を実行するようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第1〜第4の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法における3Dバーコード合成段階を行うことにより合成データを作成するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第1〜第4の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法における3Dバーコード合成段階を行うことにより作成された合成データを3Dプリンタに与えることにより出力造形物を得るようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第1〜第4の態様に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法におけるデータ入力段階、3Dバーコード作成段階、および3Dバーコード合成段階を、コンピュータにプログラムを組み込むことにより実行するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、3Dプリンタ出力用データを配信するとともに、出力造形物についての著作権保護を行うシステムにおいて、
3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに著作権保護のために付加する固有符号と、を入力するデータ入力部と、
固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成部と、
元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成部と、
合成データを配信するデータ配信部と、
合成データを3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物から、3Dバーコードを抽出し、固有符号を検出する符号検出部と、
を設け、
3Dバーコード合成部は、凹凸構造面が内部に形成された出力造形物を出力可能な合成データを作成し、
符号検出部は、出力造形物を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識し、3Dバーコードを抽出するようにしたものである。
上述した第12の態様に係る3Dプリンタ出力用データの配信および著作権保護を行うシステムでは、
3Dバーコード作成部が、一次元バーコードもしくは二次元バーコードに基づいて3Dバーコードを作成するようにできる。
具体的には、3Dバーコード作成部が、所定の符号形成平面上に、固有符号に対応した黒領域および白領域の集合体からなる一次元バーコードもしくは二次元バーコードを作成し、黒領域および白領域のうちの一方を、符号形成平面に対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域および白領域によって凹凸構造面を形成するようにすればよい。
また、上述した第12の態様に係る3Dプリンタ出力用データの配信および著作権保護を行うシステムでは、
データ入力部が、第1の三次元閉空間領域の境界面を示す元データを入力し、
3Dバーコード合成部が、第1の三次元閉空間領域の内部に含まれ、かつ、その境界面の一部が3Dバーコードとなる凹凸構造面を形成している第2の三次元閉空間領域を定義し、第1の三次元閉空間領域の境界面を外面とし、第2の三次元閉空間領域の境界面を内面とする第3の三次元閉空間領域を定義し、この第3の三次元閉空間領域の外面および内面を示す情報を含んだ合成データを作成するようにすることができる。
更に、上述した第12の態様に係る3Dプリンタ出力用データの配信および著作権保護を行うシステムでは、
符号検出部が、出力造形物を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識するX線CTスキャナ装置を有するようにすることができる。
(13) 本発明の第13の態様は、出力造形物について固有符号を付加した3Dプリンタ出力用データを作成する3Dプリンタ出力用データの作成方法において、
コンピュータが、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力段階と、
コンピュータが、固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成段階と、
コンピュータが、元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成段階と、
を行うようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、出力造形物について固有符号を付加した3Dプリンタ出力用データを作成する3Dプリンタ出力用データの作成システムにおいて、
3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力部と、
固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成部と、
元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成部と、
を設けるようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、3Dプリンタを利用して、固有符号が付加された三次元物品を製造する3Dプリンタを用いた三次元物品の製造方法において、
コンピュータが、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力段階と、
コンピュータが、固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成段階と、
コンピュータが、元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成段階と、
コンピュータが、合成データを3Dプリンタに与えることにより出力造形物を得る造形物作成段階と、
を行い、
データ入力段階で、第1の三次元閉空間領域の境界面を示す元データを入力し、
3Dバーコード作成段階で、所定の符号形成平面上に、固有符号に対応した黒領域および白領域の集合体からなる一次元バーコードもしくは二次元バーコードを作成し、黒領域および白領域のうちの一方を、符号形成平面に対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域および白領域によって凹凸構造面を形成し、
3Dバーコード合成段階で、第1の三次元閉空間領域の内部に含まれ、かつ、その境界面の一部が凹凸構造面を形成している第2の三次元閉空間領域を定義し、第1の三次元閉空間領域の境界面を外面とし、第2の三次元閉空間領域の境界面を内面とする第3の三次元閉空間領域を定義し、この第3の三次元閉空間領域の外面および内面を示す情報を含んだ合成データを作成し、
造形物作成段階で、内部に凹凸構造面が形成された出力造形物を3Dプリンタから出力することにより三次元物品を製造するようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、所定の固有符号が付加された三次元物品において、
第1の三次元閉空間領域の境界面を構成する外面と、第1の三次元閉空間領域の内部に含まれる第2の三次元閉空間領域の境界面を構成する内面と、を有し、
外面と内面との間の空間として形成される第3の三次元閉空間領域には固体からなる第1の材料が充填されており、第2の三次元閉空間領域には第1の材料とは異なる材質からなる第2の材料が充填されており、
内面の一部に3Dバーコードを構成する凹凸構造面が形成されており、凹凸構造面は、所定の平面からなる符号形成面上に配置された凹部領域と、符号形成面を所定の段差距離dだけ平行移動して得られるオフセット面上に配置された凸部領域との集合体によって構成され、
符号形成面およびオフセット面に対して平行な位置に配置された所定の投影平面上に、凹部領域および凸部領域を正射影投影したときに、凹部領域の投影像と凸部領域の投影像とによって、固有符号を示す一次元バーコードもしくは二次元バーコードが形成されているようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第16の態様に係る固有符号が付加された三次元物品において、
第1の材料が不透明な固体材料であり、第2の材料が空気であるようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第16の態様に係る固有符号が付加された三次元物品において、
第1の材料が不透明な固体材料であり、第2の材料がこの固体材料を生成するための原材料であるようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第16の態様に係る固有符号が付加された三次元物品を造形物として出力させることが可能な3Dプリンタ出力用データを用意し、これを3Dプリンタに与えて三次元物品を製造するようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、3Dプリンタから出力される出力造形物に固有符号が付加されるようにし、これを確認する3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法において、
コンピュータが、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力段階と、
コンピュータが、固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成段階と、
コンピュータが、元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成段階と、
コンピュータが、合成データを配信するデータ配信段階と、
合成データを3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物から、3Dバーコードを抽出し、固有符号を検出する符号検出段階と、
を行い、
3Dバーコード合成段階では、内部に凹凸構造面が形成された造形物が出力可能な合成データが得られる合成を行い、
符号検出段階では、出力造形物を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識し、3Dバーコードを抽出するようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、3Dプリンタから出力される出力造形物に固有符号が付加されるようにし、これを確認する3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認システムにおいて、
3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力部と、
固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成部と、
元データに3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成部と、
合成データを配信するデータ配信部と、
合成データを3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物から、3Dバーコードを抽出し、固有符号を検出する符号検出部と、
を設け、
3Dバーコード合成部は、凹凸構造面が内部に形成された出力造形物を出力可能な合成データを作成し、
符号検出部は、出力造形物を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識し、3Dバーコードを抽出するようにしたものである。
本発明によれば、3Dプリンタ出力用の元データに、固有符号が3Dバーコードとして組み込まれ、合成データの形式で配信されることになる。この3Dバーコードは、出力造形物の内部に凹凸構造面を形成するデータになっているため、出力造形物の外形には影響を与えることはない。しかも、必要なときには、この出力造形物を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識し、3Dバーコードを抽出することができ、固有符号を読み取ることができる。
合成データの形式で配信された3Dプリンタ出力用データを利用して出力された造形物の内部には、いずれにも上記凹凸構造面が形成されることになる。したがって、本発明を実施するにあたり、固有符号として著作権保護のための符号を用いれば、3Dプリンタ出力用データを配信する場合に、当該データに基づいて3Dプリンタから出力された造形物自体についての著作権保護を効果的に行うことができるようになる。また、出力造形物についての著作権保護を行う機能を備えた3Dプリンタ出力用データを作成することができるようになる。
従来の一般的な3Dプリンタ出力用データの配信形態を示すブロック図である。 本発明による著作権保護のための固有符号の埋込手順を示すブロック図である。 本発明に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法の基本手順を示す流れ図である。 一般的な3Dモデリングデータのデータ構成を示す斜視図である。 三角形の集合体からなる3Dモデリングデータのデータ構成を示す斜視図である。 本発明において情報埋込に用いる3Dバーコード(凹凸構造面)の作成原理を示す図であり、上段の図(a) は符号形成面E上に定義された一次元バーコード21の平面図、下段の図(b) は符号形成面Eとその上方に形成されたオフセット面Fとの間に形成された3Dバーコード(凹凸構造面)30の側断面図である。 本発明によって3Dバーコード(凹凸構造面)が埋め込まれた出力造形物の一例を示す部分断面図である。 元データに3Dバーコードを合成することにより合成データを作成する原理を示す正断面図である。 図8の断面図に対応する3Dモデリングデータのデータ構成を示す図である。 本発明によって作成された出力造形物Hの構造を示す図である((a) は斜視図、(b) は正断面図、(c) は側断面図、(d) は投影平面図である)。 一般的な樹脂タイプの3Dプリンタによる造形物出力プロセスを示す正断面図である。 一般的な石膏タイプの3Dプリンタによる造形物出力プロセスを示す正断面図である。 本発明を適用して樹脂タイプの3Dプリンタによって作成された出力造形物(図(a) )および石膏タイプの3Dプリンタによって作成された出力造形物(図(b) )の内部構造を示す正断面図である。 本発明の変形例に係る3Dプリンタ出力用データの配信形態を示すブロック図である。 図14に示す「電子透かしの埋込処理143」の基本原理を示す図である。 図15に示す基本原理に基づいて3Dモデリングデータに電子透かしを埋め込んだ具体例を示す図である。 本発明に係る3Dプリンタ出力用データの配信および著作権保護を行うシステムの基本構成を示すブロック図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 従来技術の問題点と本発明の基本概念 >>>
はじめに、従来技術の問題点を簡単に述べるとともに、これを解決するための本発明の基本概念を説明する。
図1は、従来の一般的な3Dプリンタ出力用データの配信形態を示すブロック図である。図示のとおり、3Dプリンタ出力用データDは、通常、CAD/CGツール110を用いたコンピュータ画面上での作業により作成したり、3Dボディスキャナ120を用いた対象物のスキャンにより取り込んだり、医療用CT/MRIスキャナ130を用いた人体のスキャンにより入手したりして、必要があれば、これらに加工を施すことにより用意される。
こうして用意された3Dプリンタ出力用データDは、インターネットなどのネットワークNを介して配信されるが、このとき、DRM付加処理141が施されるのが一般的である。具体的なDRM付加処理141としては、暗号化処理や電子透かしの埋込処理が利用されている。正規のユーザは、この3Dプリンタ出力用データDをネットワークNを経由して受信し、DRM解除処理142(たとえば、正規の方法で入手した復号用キーを用いた復号処理)を行った上で利用することになる。
現在、3Dプリンタ用のデータ形式としては、STL(Standard Triangulated Language)形式が標準のフォーマットになっており、一般的な3Dプリンタ出力用データDは、このSTL形式の3Dモデリングデータによって構成されている。一般ユーザは、この3Dプリンタ出力用データDを3Dプリンタ150に与えることにより、実体のある出力造形物Mを得ることができる。
このような配信形態を採ると、DRM付加処理141によって、3Dプリンタ出力用データ自体には、暗号化や電子透かしの埋め込みなどの著作権保護対策を施すことができる。したがって、ネットワークNを介して配信したデータが、無尽蔵にコピーされ、不特定多数の者によって利用されることを抑制することは可能である。
また、一般に、電子透かしに対する解除処理は行われないので、DRM付加処理141として電子透かしの埋込処理を施しておけば、DRM解除処理142が行われた後の3Dプリンタ出力用データDには、電子透かしがそのまま残っている状態になるため、正規のユーザが、DRM解除後のデータを無尽蔵にコピーして複製物を配布することも抑制できる(もし、そのような配布行為を行ったとすると、複製物から当該ユーザが特定されてしまうため、十分な抑止力として機能する)。
ところが、3Dプリンタ150から出力された出力造形物Mには、DRM付加処理141によって付加した電子透かしの痕跡は残らないため、正規のユーザが、無尽蔵に出力造形物Mを出力しても、当該出力造形物Mから当該ユーザを特定することはできない。したがって、人気キャラクターのフィギュアなどのデータを正規の方法で入手したユーザが、3Dプリンタ150を用いて多数の出力造形物Mを出力し、これをフィギュアの三次元物品として、私的使用の範囲を越えて大量に販売した場合、十分な著作権保護を行うことができない。このように、図1に示す従来の配信形態の場合、最終的に得られた出力造形物MはDRMの対象外となってしまう。また、3Dプリンタ出力用のデータを入手できないユーザでも、販売された出力造形物Mを入手できれば、3Dボディスキャナ120を用いて出力造形物Mを再スキャンし、出力造形物Mを模倣した出力造形物M′を大量に作成し販売することもでき、同様に著作権保護の管理外になってしまう。
もちろん、3Dプリンタ150からの出力時に出力造形物Mの表面に固有のシリアル番号などが物理的に刻印されるように、予め個々の3Dモデリングデータに当該シリアル番号の情報を組み込んでおけば、特定のユーザが出力した出力造形物Mの表面には、すべて当該ユーザに固有のシリアル番号が刻まれることになるので、上記不正行為をある程度抑制することは可能になる。しかしながら、キャラクターフィギュアなどの表面にシリアル番号を刻印することは、当該フィギュアの外観を損ねることになるので好ましくない。また、刻印部分が削り取られてしまうと著作権保護の効果は失われてしまう。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するための新たな手法を提案するものであり、その基本概念は、著作権保護のための固有符号(たとえば、上述した固有のシリアル番号でよい)を、凹凸構造面からなる3Dバーコードとして表現し、この3Dバーコードが出力造形物Mの内部に形成された状態で3Dプリンタから出力されるように、元の3Dモデリングデータに3Dバーコードを合成して合成データを作成し、これを配信する点にある。
このような合成データの配信を受けたユーザが、3Dプリンタを利用して造形物を出力すると、その内部には、凹凸構造面からなる3Dバーコードが必ず形成されていることになる。凹凸構造面は、出力造形物の内部の構造であるため、その外形に影響を与えることはなく、キャラクターフィギュアなどに利用しても外形が変わることはない。しかも、著作権を侵害するような大量の出力造形物が出回った場合、3Dバーコードは凹凸構造面として表現されているため、X線CTスキャナ装置などを用いて、当該出力造形物を外部からスキャンすれば、非破壊的に凹凸構造面を認識することにより3Dバーコードを抽出することができ、著作権保護のための固有符号を読み取ることができる。よって、出力造形物の外形を維持したまま、当該造形物自体についての著作権保護を効果的に行うことができるようになる。
具体的には、特定の合成データを用いて出力した出力造形物Mから固有符号を読み取ることができれば、当該合成データを利用して違法に3Dプリンタによる出力を行ったという証拠を得ることができる。一方、この出力造形物Mを3Dボディスキャナ120を用いて再スキャンし、この再スキャンによって得られたデータを利用して3Dプリンタから出力された出力造形物M′には、3Dバーコードは埋め込まれていないので、固有符号を読み取ることはできない。しかしながら、本来は内部に存在するはずの3Dバーコードが、3Dボディスキャナ120では読み取れないため、出力造形物M′は出力造形物Mの模造品であるという証拠になり、真贋鑑定の根拠として利用することができる。
図2は、本発明による著作権保護のための固有符号の埋込手順を示すブロック図である。ここでは、まず、図の左中段に示すように、3Dプリンタ出力用データD1が用意されているものとする。このデータD1は、図1に示す従来例における3Dプリンタ出力用データDに対応するものであり、CAD/CGツール110、3Dボディスキャナ120、医療用CT/MRIスキャナ130等を用いて作成された本来の3Dモデリングデータである。この3Dプリンタ出力用データD1を3Dプリンタ150に与えると、出力造形物Mが得られることになる。ここでは、この3Dプリンタ出力用データD1を「元データ」と呼ぶことにする。
一方、図2の左上に示すように、この元データD1に対して、著作権保護のために付加する固有符号10を用意する。この固有符号10は、著作権管理上、配信対象となるデータを識別する機能を果たす符号であれば、数字の羅列からなるシリアル番号でもよいし、アルファベットや文字を含む記号であってもかまわない。この固有符号10は、凹凸構造面から構成される3Dバーコードに変換されるが、ここに示す実施形態の場合、まず、固有符号10を一次元バーコード21もしくは二次元バーコード(QRコード(登録商標))22で表現し、これを凹凸構造面からなる3Dバーコードに変換している。
通常、一次元バーコード21は数字を符号化するために利用され、二次元バーコード22は文字を含んだ記号を符号化するために利用されるので、固有符号10が数字の羅列によって構成されている場合は、これを一次元バーコード21によって表現し、文字を含む記号によって構成されている場合は、これを二次元バーコード22によって表現すればよい。
一次元バーコード21は、図示のように、黒いバーと白いバーとを交互に一次元状に配列したものであり、その実体は、二次元平面上に配置された黒領域および白領域によって構成される平面状パターンである。なお、一般的な一次元バーコード21では、図示の例のように、下にアラビア数字が付記されているが、このアラビア数字部分は付随的なものであり、一次元バーコード21の本体部分は白黒のバーの部分である。
一方、二次元バーコード(QRコード(登録商標))22は、図示のように、黒い部分と白い部分とをまだら状に二次元的に配置したパターンであり、やはりその実体は、二次元平面上に配置された黒領域および白領域によって構成される平面状パターンということになる。結局、一次元バーコード21も二次元バーコード22も、その実体は、二次元平面上に配置された黒領域および白領域によって構成される平面状パターンであり、ここでは、両者を総称して、平面バーコード20と呼ぶことにする。
これに対して、本願における「3Dバーコード」の実体は、凹凸構造面であり、図示の例では、三次元ブロック35の上面が3Dバーコード30ということになる。一般に、「3Dバーコード」や「三次元バーコード」という用語は、現時点では、定着した技術用語としては利用されていない。概念的には、白いサイコロと黒いサイコロとを多数用意し、これらを縦、横、奥行き方向に並べて立体を構成すれば、当該立体は「三次元バーコード」と呼ばれるものになるかもしれないが、そのようなコードは、二次元平面上のコードではなくなるため、物品への添付や読み取りが困難となり、実用性に乏しく、現時点では利用されるに至っていない。
本願にいう「3Dバーコード」とは、このように白黒のサイコロを三次元的に並べたような概念のバーコードではなく、所定の二次元符号形成面上に配置された黒領域および白領域の集合体からなる平面状パターン(たとえば、一次元バーコード21や二次元バーコード22)について、黒領域もしくは白領域を垂直方向に移動させることにより得られる凹凸構造面を指しており、その実体については、§2で詳述する。図2に例示する3Dバーコード30は、三次元ブロック35の上面(凹凸構造面)によって構成されており、一次元バーコードに基づいて作成されたものである(図示の例は、7本のバーからなる単純な一次元バーコードに基づいて作成された凹凸構造面を示しており、左方に図示する一次元バーコード21に対応するものではない)。
こうして、3Dプリンタ出力用データ(元データ)D1と、3Dバーコード30とが用意できたら、前者に後者を合成することにより、3Dプリンタ出力用データD2が得られる。ここでは、データD1を「元データ」と呼ぶのに対応させて、3Dプリンタ出力用データD2を「合成データ」と呼ぶことにする。この合成処理は、2組の3Dモデリングデータを合成する処理であり、具体的な合成方法については§2で説明する。もちろん、同一の元データD1に対して、固有符号が異なる複数の3Dバーコード30を合成し、複数とおりの合成データD2を作成し、配信先ユーザごとに異なる固有符号が埋め込まれた合成データD2を配信することもできる。そうすれば、3Dプリンタから出力された出力造形物の類似品が多数出回った際、どのユーザに配信された合成データD2を使用して作成された類似品かを特定することができる。
こうして得られた合成データD2を、3Dプリンタ150に与えると、図示のような出力造形物Hが得られることになる。ここで、出力造形物Hは、その外形は出力造形物Mと全く同じであるが、内部には、三次元ブロック35が埋め込まれており、その上面に形成された凹凸構造面として、3Dバーコード30が埋め込まれていることになる。出力造形物Hが不透明な樹脂や石膏などの材質で構成されている場合、内部は不透明であるため、外部から観察した限りでは、3Dバーコード30の存在を認識することはできないが、たとえば、X線CTスキャナ装置200のような符号検出装置を利用して出力造形物Hを外部からスキャンすると、凹凸構造面を認識することができ、3Dバーコード30を抽出することができ、固有符号10を読み出すことが可能になる。
結局、本発明では、3Dプリンタ出力用データ(元データ)D1の代わりに、3Dプリンタ出力用データ(合成データ)D2をネットワークNを介して配信することになる。この合成データD2に基づいて3Dプリンタ150から出力された出力造形物Hには、所定の固有符号10が、凹凸構造面からなる3Dバーコード30という形で埋め込まれているため、必要になれば、X線CTスキャナ装置200などを利用した非破壊的な符号検出作業を行うことにより、この固有符号10を読み出すことができる。しかも、本発明に係る出力造形物Hを従来の出力造形物Mと比べても、外形上の差は全くない。
特に、不透明な材質で出力造形物Hを作成すれば、両者の外観上の差は全くなくなり、キャラクターフィギュアなどに利用しても外観を損ねる心配はない。また、肉眼では内部の3Dバーコード30を認識することはできないため、肉眼観察で固有符号10を読み出すことはできず、固有符号10の不正利用を抑止する効果も得られる。よって、出力造形物の外観を損ねることなしに、当該造形物自体についての著作権保護を効果的に行うことができるようになる。
<<< §2. 本発明に係る著作権保護方法の基本手順 >>>
続いて、図3の流れ図を参照しながら、発明に係る3Dプリンタ出力用データの著作権保護方法の基本手順を説明する。この基本手順は、3Dプリンタ出力用データを配信する際に、出力造形物についての著作権保護を行う著作権保護方法の手順であり、基本的にはコンピュータを利用して実行される。
まず、ステップS1のデータ入力段階では、コンピュータが、元データD1と固有符号10を入力する処理が実行される。ここで、元データD1は、図2の左中段に示す3Dプリンタ出力用データD1に対応するものであり、3Dプリンタ150で所定の出力造形物Mを出力可能な形式をもった3Dモデリングデータである。一方、固有符号10は、図2の左上に示す固有符号10に対応するものであり、元データD1に著作権保護のために付加する符号であれば、シリアル番号でもよいし、文字列を含む記号でもかまわない。
元データD1に基づいて出力される出力造形物Mは、任意形状のものでかまわないが、ここでは、説明を簡単にするため、図4に示すような立方体状の三次元構造体50を出力造形物Mとして出力することが可能な3Dプリンタ出力用データが、元データD1として与えられた単純な例について述べることにする。また、説明の便宜上、図示のとおり、原点Oを有するXYZ三次元座標系を定義し、この座標系上に三次元構造体50が配置されているものとする。
立方体からなる三次元構造体50は、幾何学的には、正方形からなる面を6つ組み合わせて構成される。したがって、このような立方体からなる3Dモデリングデータは、6つの正方形の位置座標を示すデータ(具体的には、個々の正方形の4つの頂点について、それぞれXYZ三次元座標系での位置を示す座標値)と、6つの正方形についての法線ベクトルを示すデータと、によって構成することができる。ここで、法線ベクトルは、各面の表裏(構造体の内側/外側)を示すための情報として利用される。
図4には、立方体からなる三次元構造体50の6つの面のうち、手前側にある3つの面a,b,cと、これら各面についての法線ベクトルNa,Nb,Ncが示されている(ベクトル名を示す文字上部に付す矢印は省略する)。図示の例では、法線ベクトルNa,Nb,Ncは、それぞれ面a,b,cの中心点を起点として、Z軸,X軸,Y軸の正方向を向いたベクトルになっており、三次元構造体50の外側を示す役割を果たしている。
このように、任意の三次元構造体の表面形状を示す3Dモデリングデータは、一般に、表面を構成する多角形(図示の例の場合は正方形)の各頂点座標値と、各多角形についての表裏(構造体の内側/外側)を示す法線ベクトルと、によって構成することができる。ただ、前述したように、3Dプリンタ出力用データの場合、STL(Standard Triangulated Language)形式のデータが標準として用いられており、当該形式では、多角形として三角形を用いることが前提とされている。すなわち、STL形式の3Dモデリングデータは、出力造形物Mの表面を三角形の集合体として表現したときの各三角形の頂点座標値と各三角形についての法線ベクトルを示すデータによって構成される。
図5は、図4に示す立方体からなる三次元構造体50を、三角形の集合体からなる3Dモデリングデータで表現した場合のデータ構成を示す斜視図である。正方形からなる6つの面は、それぞれ対角線によって2つの三角形に分けられ、三次元構造体50は、合計12個の三角形の集合体として表現される。ここで、たとえば、図にハッチングを施して示す三角形tの情報は、3つの頂点A,B,Cの位置を示す各座標値と、法線ベクトルNtを示す情報とによって構成される。
具体的には、図の下方のブロックに示すとおり、三角形tの情報は、頂点Aの座標(xa,ya,za)、頂点Bの座標(xb,yb,zb)、頂点Cの座標(xc,yc,zc)、そして法線ベクトルNtを示す情報(xt,yt,zt)によって構成される。ここで、法線ベクトルNtを示す情報(xt,yt,zt)は、三角形tの中心位置を起点としている法線ベクトルNtを、原点Oを起点とした位置まで平行移動したときのベクトルNtの先端点Pの座標値になっている。このような表現方法を採用しているのは、法線ベクトルNtには、位置や長さの情報をもたせる必要はなく、方向の情報のみを表現した単位ベクトルでよいためである。
結局、立方体状の三次元構造体50を、STL形式のデータとして表現した3Dプリンタ出力用データD1は、図示のような三角形tの情報を12組の三角形すべてについて用意したデータによって構成されることになる。一般的な3Dプリンタは、このような出力用データD1に基づいて、立方体状の三次元構造体50を出力造形物として出力する処理を行う。なお、実用上は、3Dプリンタの出力モードにより、内部すべてが材料で充填された立方体ではなく、6枚の正方形状の板を組み合わせたような内部が中空の立方体を出力することも可能である。
さて、図3の流れ図のステップS1のデータ入力段階では、このような立方体状の三次元構造体50を出力するための元データD1とともに、この元データD1に著作権保護のために付加する固有符号10が入力される。ここでは、説明の便宜上、固有符号10が数字からなるデータであり、一次元バーコードによって表現可能な単純な例を考えてみる。ステップS2の3Dバーコード作成段階では、コンピュータが、ステップS1で入力した固有符号10に基づいて、凹凸構造面からなる3Dバーコード30を作成する処理が行われる。
一次元バーコード21は、たとえば、図2の左上に示すような多数の白黒バーの集合体によって構成されるものであるが、ここでは、説明の便宜上、図6(a) に示すような単純な平面パターンによって構成されているものとする。図示の例は、それぞれ幅が異なった4本の黒バー(図では網目状ハッチングを施したバーで示す)と3本の白バーを交互に隣接配置した7本のバーによって一次元バーコード21を構成した例である。別言すれば、この一次元バーコード21は、符号形成面(図6(a) の紙面)上に配置された矩形状の黒領域Bkおよび矩形状の白領域Whの集合体からなる白黒二値パターンということになる。
ここで述べる実施形態の場合、ステップS2の3Dバーコード作成段階では、固有符号10を、一次元バーコード21もしくは二次元バーコード22で表現し、これら平面バーコードに基づいて3Dバーコードを作成する処理が行われる。本発明に用いる3Dバーコードは、必ずしも一次元バーコードや二次元バーコードに基づいて作成する必要はないが、実用上は、規格化された一次元バーコードや二次元バーコードに基づいて作成するのが好ましい。そうすれば、X線CTスキャナ装置などを用いて外部から読み取りを行い、3Dバーコードの深さ方向の断層撮影像を少なくとも1枚取得できれば、従来の規格に準拠したバーコードリーダを用いて、そのまま断層撮影像から固有符号を読み取ることが可能になる。したがって、X線CT撮影時間(コスト)が少なくてすみ、特殊なコード検出装置を新規に開発・準備する必要がないというメリットが得られる。
このように、固有符号10を、一次元バーコード21や二次元バーコード22といった平面バーコード20によって表現した場合、3Dバーコード作成段階では、所定の符号形成平面E上に、固有符号10に対応した黒領域Bkおよび白領域Wkの集合体からなる一次元バーコード21もしくは二次元バーコード22を作成し、黒領域Bkおよび白領域Whのうちの一方を、符号形成平面Eに対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域Bkおよび白領域Whによって凹凸構造面を形成することにより、当該凹凸構造面からなる3Dバーコード30を構成することができる。
図6(b) には、このような方法で構成した3Dバーコードの側断面図が示されている。すなわち、図に太線で示す凹凸構造面が3Dバーコード30であり、黒領域Bk,白領域Wh,垂直壁面Vtによって構成されている。要するに、図6(b) の側断面図上に一点鎖線で示されている符号形成面E上に、図6(a) の平面図に示されている一次元バーコード21を構成する白黒の平面パターンを配置し、白領域Wkの位置をそのままの位置に維持したまま、黒領域Bkだけを図の上方(符号形成平面Eに対して直交する方向)に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、白領域Wkと、移動処理後の黒領域Bkと、黒領域Bkの境界線の移動経路上に形成される垂直壁面Vtと、によって、図6(b) に太線で描かれている凹凸構造面、すなわち、3Dバーコード30が構成されることになる。
この3Dバーコード30を構成する凹凸構造面において、白領域Whはもとの符号形成面E上に位置しており、黒領域Bkはもとの符号形成面Eから段差距離dだけ離れたオフセット面F上に位置している。ここで、オフセット面Fは、符号形成面Eに対して平行な平面である。図2の三次元ブロック35の上面に形成されている3Dバーコード30は、この図6(b) に示す3Dバーコード30に対応するものである。もちろん、逆に、黒領域Bkをもとの符号形成面E上に位置させたまま、白領域Whをオフセット面Fまで移動させてもかまわない。
なお、図6は、一次元バーコード21に基づいて3Dバーコード30を作成した例であるため、図6(b) に太線で示す凹凸構造面の凹凸変化は、一次元方向(図の左右方向)にしか生じていない(紙面に垂直な方向に関しての凹凸変化は生じない)。これは、図6(a) に示す一次元バーコード21の白黒パターンが一次元方向(図の左右方向)にしか白黒の分布変化を生じていないため当然である。しかしながら、図2の右上に示すような二次元バーコード22に基づいて3Dバーコードを作成した場合、二次元バーコード22の白黒パターンの変化は、二次元方向に生じるため、作成される凹凸構造面の凹凸変化も二次元方向に生じることになる。
続くステップS3の3Dバーコード合成段階では、コンピュータが、元データD1に3Dバーコード30を合成することにより、合成データD2を作成する処理が行われる。より具体的には、内部に3Dバーコード30を構成する凹凸構造面が形成された造形物Hが出力可能な合成データD2が得られるような合成処理が行われる。3Dバーコード30は、あくまでも凹凸構造面の情報であり、三次元空間上において、互いに接する2つの領域の境界面を定義する情報である。合成データD2は、3Dバーコード30を構成する凹凸構造面が、2つの領域の境界面を形成するような出力造形物Hが得られるような3Dモデリングデータということになる。
図7は、3Dバーコード(凹凸構造面)30が埋め込まれた出力造形物Hの一例を示す部分断面図である。図示のとおり、この出力造形物Hは、第1材料部41と第2材料部42とが、凹凸構造面30を介して接する構造をなし、凹凸構造面30が両者の境界面として機能している。ここで、第1材料部41と第2材料部42とは、互いに異なる材質(後述するように、空気などの気体や、石膏粉のような粉体であってもかまわない)によって構成されている。このように、互いに異なる材質からなる2つの材料部41,42が、凹凸構造面30を境界面として接する構造になっているため、この出力造形物Hを外部からX線CTスキャナ装置などを用いてスキャンすると、凹凸パターン(すなわち、3Dバーコード30の情報)が画像として認識でき、3Dバーコード30の情報を物理的に抽出できるのである。
図2では、本発明の概念を説明する便宜上、3Dバーコード30を、三次元ブロック35の上面の凹凸構造として具現化し、出力造形物Hの内部に、この三次元ブロック35をそっくり埋め込んだ例を示したが、実際には、三次元ブロック35を1つの三次元閉空間領域として把握し、ステップS3の3Dバーコード合成段階では、当該三次元閉空間領域の内外において材質が異なる出力造形物Hが出力されるような合成データD2が作成できればよい。この3Dバーコード合成段階の具体的手順については、§3において詳述する。
以上、ステップS1のデータ入力段階、ステップS2の3Dバーコード作成段階、ステップS3の3Dバーコード合成段階を順に説明した。通常、これらの各段階は、専用の処理プログラムを組み込んだコンピュータによって実行することができる。
こうして、元データD1に3Dバーコード30を合成することにより合成データD2が作成できたら、ステップS4のデータ配信段階が行われる。すなわち、コンピュータが、合成データD2をインターネットなどのネットワークNを介してユーザに配信する処理が行われる。なお、実用上、このデータ配信段階では、配信対象となるデータに対するDRM付加処理が施されるが、この配信時のDRM付加処理については、本発明を実施する上での必須事項ではないので、後の§5において、本発明の変形例として述べることにする。
続いて、ステップS5のデータ受信段階およびステップS6の造形物作成段階が実行される。これまで述べてきたステップS1〜S4の各段階の処理は、3Dプリンタ出力用データを配信する配信業者によって行われる処理であるのに対して、ステップS5およびS6の処理は、データの配信を受けたユーザによって行われる処理であり、実際には、ユーザが操作するコンピュータによって実行される処理ということになる。
ユーザは、まず、ステップS5のデータ受信段階の処理により、インターネットなどのネットワークNを介して、ステップS4で配信された合成データD2を受信する。そして、ステップS6の造形物作成段階の処理により、合成データD2を3Dプリンタに与え、出力造形物Hを作成する。図2に示すとおり、合成データD2に基づいて出力される出力造形物Hの内部には、凹凸構造面からなる3Dバーコード30が埋め込まれているが、出力造形物Hの外形は、元データD1に基づいて出力される出力造形物Mの外形と変わらない。したがって、不透明な材質で出力造形物Hを作成すれば、一般ユーザは、3Dバーコード30の存在を全く意識することはない。
但し、出力造形物Hには固有符号10が3Dバーコード30として埋め込まれているため、必要があれば、これを読み出して検出することができる。ステップS7の符号検出段階は、このような必要性に応じて実行される段階であり、通常、合成データD2の配信を行った配信業者や、著作権管理団体などによって実行されることになる。
ステップS7の符号検出段階では、出力造形物H(合成データD2を3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物)を外部からスキャンすることにより凹凸構造面を認識し、内部に埋め込まれている3Dバーコード30を抽出し、固有符号10を検出する処理が行われる。具体的には、X線CTスキャナ装置等を用いて出力造形物Hを外部からスキャンすることにより、凹凸構造面30を認識すればよい。
たとえば、図7に示すような出力造形物H内の3Dバーコード30の領域を水平方向に切断するように、外部側面の全周をX線CTスキャナ装置でスキャンすれば、図6(a) に示すような一次元バーコード21の白黒パターンが平面画像(断層画像)として得られる。これをバーコード認識プログラムによって認識すれば、もとの固有符号10を読み取ることができる。実際、本願発明者が、樹脂からなる出力造形物Hや石膏からなる出力造形物Hについて、X線CTスキャナ装置でスキャンを行った結果、一次元バーコード21や二次元バーコード22を示す明瞭な平面画像を得ることができた。
もちろん、一般ユーザが、配信業者が許可した範囲内もしくは著作権法に定める私的使用の範囲内で合成データD2を利用して出力造形物Hを出力している限り、ステップS7の符号検出段階を行う必要はない。
しかしながら、市場に大量の出力造形物Hが違法に流通している可能性がある場合は、当該出力造形物Hを入手し、符号検出段階を行うことにより固有符号10を検出し、必要な処置をとることが可能になる。すなわち、固有符号10を検出することにより、当該出力造形物Hの出自が明らかになり、合成データD2の配信を行った配信業者もしくはその関係者が著作権を保有する著作物である旨の立証が容易になる。また、固有符号10が特定されることにより、違法な複製品が生まれる発端となったユーザを特定することも容易になる。
このように、本発明では、ステップS7の符号検出段階が実際に行われる頻度は少ないかもしれないが、ステップS7の符号検出段階の実行を担保しうる形式で3Dプリンタ出力用データを配信することにより、不法行為に対する抑止力を作用させることができ、最終的に得られる出力造形物Hについても適切な著作権保護を行うことが可能になる。
<<< §3. 3Dバーコード合成段階の具体的手順 >>>
続いて、図3の流れ図のステップS3の3Dバーコード合成段階において実行される合成データD2の作成方法の基本原理を、図8および図9を参照しながら説明する。ここでは、図4に示す立方体の三次元構造体50を出力生成物Mとして出力させるための3Dプリンタ出力用データが元データD1として用意され、図6(a) に示す一次元バーコード21に基づいて作成された図6(b) に示す凹凸構造面が3Dバーコード30として用意されている具体的な事例について、両者を合成して合成データD2を作成する処理方法を示す。
図8は、上述した元データD1に3Dバーコード30を合成することにより合成データD2を作成する原理を示す正断面図である。図8(a) は、元データD1によって表現される立方体状の三次元構造体50(出力生成物M)を示す正断面図である。図示のとおり、元データD1は、三次元空間上に配置された立方体からなる三次元閉空間領域G1を定義する3Dモデリングデータということになる。より具体的には、元データD1は、この三次元閉空間領域G1の境界面g1(立方体を構成する6面)を示すデータ(各面を構成する多角形の頂点座標と各面についての法線ベクトルを示すデータ)によって構成されており、3Dプリンタ150に与えれば、図4に示す立方体の三次元構造体50が出力生成物Mとして出力されることになる。
一方、図8(b) は、図6(b) に太線で示された凹凸構造面30(3Dバーコード)が上面に形成された三次元ブロック35を示す正断面図である。この三次元ブロック35は、図2の右上に示すような立体形状をもつブロックであり、上面は一次元バーコード21に対応した凹凸構造面30を形成しているが、他の5面は単純な平面であり、全体的に直方体形状をしている。もちろん、実際には、この三次元ブロック35を示す3Dモデリングデータは、三次元閉空間領域G2の表面g2(凹凸構造面30を含む)を多数の多角形に分割し、個々の多角形の頂点座標と各多角形についての法線ベクトルを示すデータによって構成されることになる。当該データを3Dプリンタ150に与えれば、図2の右上に示す形状をもった三次元ブロック35が出力生成物として出力される。
要するに、この三次元ブロック35を示す3Dモデリングデータは、三次元空間上に配置された三次元閉空間領域G2を定義する3Dモデリングデータということになる。但し、この三次元閉空間領域G2は、「三次元閉空間領域G1の内部に含まれる」という条件を満たす必要がある。これは、凹凸構造面(3Dバーコード)30が、最終的な出力造形物Hの内部に埋め込まれている必要があるためである。図8(b) には、参考のため、三次元閉空間領域G1(元データD1で定義される立方体)の境界面g1の位置を破線で示してある。境界面g2で囲われた三次元閉空間領域G2(三次元ブロック35)が、境界面g1で囲われた三次元閉空間領域G1の内部にすっぽりと収容されていることがわかる。
このように、三次元ブロック35は、元データD1によって定義されている三次元閉空間領域G1の内部に含まれ、かつ、その一面に図6(b) に示す凹凸構造面(3Dバーコード)30が形成されている三次元閉空間領域G2として定義されれば、実際には、どのような立体形状をもったブロックとして定義してもかまわない。もちろん、上記条件を満足させるために、三次元ブロック35のサイズに関しては適切なスケーリングを行い、三次元座標系での配置に関しては適切な位置調整を行う必要がある。
三次元ブロック35のサイズや配置は、「三次元閉空間領域G1の内部に含まれる」という条件が満たされれば、理論的にはどのように設定してもかまわないが、ステップS7の符号検出段階では、X線CTスキャナ装置などを用いて出力造形物Hを外部からスキャンすることにより凹凸構造面30を認識して、内部に埋め込まれている3Dバーコードを抽出する必要があるので、実用上は、十分な解像度をもって3Dバーコードを抽出することができるように、ある程度のサイズが確保され、出力造形物Hの外殻部の強度を確保する上では、三次元閉空間領域G1のできるだけ中央位置に配置されるような設定を行うのが好ましい。
また、図示の例では、三次元ブロック35の上面に凹凸構造面30を形成しているが、凹凸構造面30は、ブロックの側面や下面に形成してもかまわない。ただ、上述した符号検出段階の作業を考えると、実用上は、スキャン操作に便利な面(たとえば、図示のような上面)に形成するのが好ましい。もちろん、三次元ブロック35は、必ずしも図示の例のような直方体状のブロックにする必要はなく、任意の立体形状のものでかまわないが、X線CTスキャナ装置などを用いたスキャン作業を考えると、凹凸構造面30ができるだけ鮮明な平面画像として撮影できるように、他の面は単純な平面によって構成しておくのが好ましい。したがって、実用上は、直方体のブロックの一面に凹凸構造面30を形成した構造を採用するのが好ましい。
さて、こうして図8(b) に示すような三次元ブロック35の立体形状(すなわち、三次元閉空間領域G2)が定義できたら、この三次元ブロック35を図8(a) に示す三次元閉空間領域G1(元データD1によって定義されている閉領域)内に埋め込む合成処理を行い、合成データD2を作成すればよい。図8(c) は、このような合成処理を行うことによって得られた出力造形物Hの構造を示す正断面図である。
図示のとおり、この出力造形物Hは、外面が三次元閉空間領域G1の境界面g1によって構成され、内面が三次元閉空間領域G2の境界面g2によって構成され、内部に空洞部Vを有する三次元閉空間領域G3(ハッチング部分)を形成している。実際の出力造形物Hでは、この三次元閉空間領域G3の部分は樹脂や石膏などの材料によって構成され、空洞部Vの部分には、空気や別の材質が満たされることになる。
結局、ここに示す例の場合、ステップS1のデータ入力段階では、図8(a) に示すように、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1を示す元データD1を入力し、ステップS3の3Dバーコード合成段階では、図8(b) に示すように、第1の三次元閉空間領域G1の内部に含まれ、かつ、その境界面g2の一部が3Dバーコードとなる凹凸構造面30を形成している第2の三次元閉空間領域G2を定義し、図8(c) に示すように、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1を外面とし、第2の三次元閉空間領域G2の境界面g2を内面とする第3の三次元閉空間領域G3を定義し、この第3の三次元閉空間領域G3の外面g1および内面g2を示す情報を含んだ合成データD2を作成する処理を行えばよい。このような合成データD2を3Dプリンタに与えれば、外形は立方体であり、内部に凹凸構造面30が形成された出力造形物Hが出力されることになる。
図9は、図8の断面図に対応する3Dモデリングデータのデータ構成を示す図である。図9(a) は、図8(a) に示す立方体状の出力造形物Mに対応する元データD1のデータ構成を示しており、出力造形物Mの正面図に相当する。上述したように、この元データD1は、第1の三次元閉空間領域G1を定義するためのデータであり、6面を構成する6個の正方形(三次元閉空間領域G1の境界面)についての各頂点座標と法線ベクトルとを示すデータにより構成される。
図には、このうちの5面、すなわち境界面g11,g12,g13,g14,g15と、各法線ベクトルN11,N12,N13,N14,N15とが示されている。境界面g11は立方体の手前側の面であり、法線ベクトルN11は、紙面垂直手前方向を向いたベクトルになる。図には示されていないが、第6番目の面として、背面側に境界面g16と法線ベクトルN16が定義される。6つの境界面はいずれも正方形状をしており、1つの正方形は、その4頂点の座標値によって定義される。たとえば、図示の境界面g11は、4頂点A,B,C,Dの座標値によって定義できる。また、各法線ベクトルは、向きの情報のみが定義できればよいので、たとえば、図5に例示するように、ベクトルの起点が原点Oにくるように平行移動させたときのベクトルの先端点Pの座標値として定義することができる。
一方、図9(b) は、図8(b) に示す三次元ブロック35(3Dバーコード30となる凹凸構造面を有するブロック)のデータ構成を示している。図では三次元ブロック35の位置関係を明確にするため、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1(図9(a) のg12〜g15に対応)を破線で示してある。三次元ブロック35の外形は、図2の右上に示すとおりであるが、実は、この図9(b) に例示された三次元ブロック35を示すデータを単独で3Dプリンタに与えても、図2の右上に示すような物体は出力されない。これは、図示のとおり、各境界面について定義されている法線ベクトル(図の矢印)がすべて内側を向いているためである。
前述したとおり、法線ベクトルは、各面の表裏(構造体の内側/外側)を示すための情報であり、ここに示す例の場合、法線ベクトルの向きは、構造体の外側を示す情報として利用されている。たとえば、図9(a) に示す元データD1に含まれる各法線ベクトルN11〜N16は、境界面g11〜g16の外側(矢印で示す側)が構造体の外側であることを示しており、境界面g11〜g16で囲まれた三次元閉空間領域G1の内側部分が構造体を構成することになる。したがって、この元データD1を3Dプリンタに与えれば、立方体状の造形物Mが出力される。
これに対して、図9(b) に示す三次元ブロック35を示すデータに含まれる各法線ベクトルは、境界面g2の内側(矢印で示す側)が構造体の外側であることを示しており、境界面g2で囲まれた三次元閉空間領域G2の外側部分が構造体を構成することになる。別言すれば、図9(b) に示す三次元ブロック35を示すデータは、実は、図8(b) に示すような三次元ブロック35という構造物自体を示すデータではなく、図8(c) に示す空洞部V(輪郭形状は三次元ブロック35と同じ)を示すデータということになる。
物理的な構造体としての三次元ブロック35の3Dモデリングデータを、空洞部Vを示す3Dモデリングデータに変更するには、単に、各面についての法線ベクトルの向きを逆転させればよい。したがって、ステップS3の3Dバーコード合成段階では、まず、三次元ブロック35の3Dモデリングデータを作成し、各面の形状および位置を示すデータ(多角形の頂点座標値)はそのままにして、各面についての法線ベクトルの向きを逆転させる処理を行うことにより、図9(b) に示すような空洞部Vを示す3Dモデリングデータを得ることができる。
最後に、図9(a) に示す3Dモデリングデータと図9(b) に示す3Dモデリングデータとを合成すれば、図9(c) に示すような合成データD2が得られる。ここで行う合成処理は、単に、図9(a) に示す3Dモデリングデータ(立方体を構成する各多角形の頂点座標と各法線ベクトルを示すデータ)に、図9(b) に示す3Dモデリングデータ(三次元ブロック35を構成する各多角形の頂点座標と各法線ベクトルを示すデータ)を付加するだけでよい。
図9(c) に示すように、合成データD2には、元データD1に含まれる第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1の情報と、三次元ブロック35を示すデータに含まれる第2の三次元閉空間領域G2の境界面g2の情報との双方が含まれていることになるが、それぞれの面についての法線ベクトルの向きが適切な方向を向いているため、境界面g1を外面とし、境界面g2を内面とする第3の三次元閉空間領域G3を定義することができる。したがって、この合成データD2を3Dプリンタに与えれば、図8(c) にハッチングを施して示すような出力造形物Hが得られることになる。
以上、元データD1が、図4に示す立方体の三次元構造体50を出力生成物Mとして出力させるため、6面を構成する各正方形の頂点座標とこれら各正方形について定義された法線ベクトルを示すデータによって構成されている実施例を述べた。ただ、前述したとおり、3Dプリンタ出力用データとしては、STL(Standard Triangulated Language)形式のデータが標準として用いられている。したがって、実用上、このSTL形式のデータを利用するのであれば、元データD1は、図5に示すように、出力造形物Mの表面を三角形の集合体として表現したときの各三角形の頂点座標値と各三角形についての法線ベクトルを示すデータによって構成されることになる。同様に、三次元ブロック35を示す3Dモデリングデータも、三角形の集合体を用いたデータによって構成されることになり、最終的に得られる合成データD2も、三角形の集合体を用いたデータによって構成されることになる。
<<< §4. 本発明に係る出力造形物(三次元物品) >>>
ここでは、§3で述べた3Dバーコード合成段階によって作成された合成データD2を3Dプリンタに与えることにより出力される出力造形物Hの構造について、より詳細な説明を行う。
図10は、図9(c) に示す合成データD2に基づいて3Dプリンタから出力された出力造形物Hの構造を示す図である。図10(a) は、この出力造形物HをXYZ三次元座標系上のZ軸上に配置して示す外形の斜視図である。前述したとおり、ここに示す例の場合、出力造形物Hの外形は立方体をしており、図10(a) では、上面の中心点Q1および下面の中心点Q2をZ軸が貫通する位置に配置されている。一方、図10(b) は、この出力造形物HをYZ平面に沿って切った正断面図であり、図10(c) は、この出力造形物HをXZ平面で切った側断面図である。
各断面図には、出力造形物Hが、第1材料部H1(ハッチング部分)と第2材料部H2(空白部分)とによって構成されている状態が示されている。第1材料部H1は、図8(c) に示す第3の三次元閉空間領域G3に対応する部分であり、第2材料部H2は、図8(c) に示す空洞部Vに対応する部分である。後述するように、第1材料部H1は、樹脂などの固体によって構成され、第2材料部H2は、空気など、第1材料部H1とは異なる材質によって構成される。
第1材料部H1と第2材料部H2との境界面には、凹凸構造面が形成されており、この凹凸構造面が3Dバーコードとして機能する。図10(d) は、この3DバーコードをXY平面に平行な投影平面U上に投影して得られる一次元バーコード21を示す投影平面図である。ここでは、凹凸構造面の凸部領域を黒領域で示し、凹部領域を白領域で示してあり、図6(a) に示す一次元バーコード21が再現されている。もちろん、実際の凹凸構造面は着色されているわけではないが、X線CTスキャナ装置などを用いて、この出力造形物Hの側面を、図6(b) に示す凹凸構造面を水平方向に切断するように全周スキャンすると、凹凸構造の段差に基づいて、凹凸構造面の凸部領域と凹部領域とが異なる領域として認識され、これらの領域を白と黒とに分けて表示すれば、図示のような一次元バーコード21の白黒パターンが抽出できる。
結局、本発明を利用して3Dプリンタから出力される出力造形物Hを三次元物品として把握すると、当該物品は、著作権保護用の固有符号10が付加された物品であって、図8(c) に示すように、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1を構成する外面と、第1の三次元閉空間領域G1の内部に含まれる第2の三次元閉空間領域G2の境界面g2を構成する内面と、を有する三次元物品ということになる。
ここで、外面と内面との間の空間として形成される第3の三次元閉空間領域G3には固体からなる第1の材料が充填され、第1材料部H1を構成し、第2の三次元閉空間領域G2には第1の材料とは異なる材質からなる第2の材料が充填され、第2材料部H2を構成している。また、内面の一部には、3Dバーコードを構成する凹凸構造面が形成されており、この凹凸構造面は、図6(b) に示すように、所定の平面からなる符号形成面E上に配置された凹部領域(白領域Wh)と、当該符号形成面Eを所定の段差距離dだけ平行移動して得られるオフセット面F上に配置された凸部領域(黒領域Bk)との集合体によって構成されている。
そして、符号形成面Eおよびオフセット面Fに対して平行な位置に配置された投影平面Uを定義し、この投影平面U上に、凹部領域および凸部領域を正射影投影すると、図10(d) に示すように、凹部領域の投影像と凸部領域の投影像とによって、著作権保護用の固有符号10を示す一次元バーコード21(もしくは二次元バーコード22)が形成されることになる。
現在市販されている一般的な3Dプリンタは、樹脂タイプと石膏タイプとに大別される。図11は、一般的な樹脂タイプの3Dプリンタによる造形物出力プロセスを示す正断面図である。このタイプのプリンタは、造形台151の上面に、樹脂吐出ノズル152から微少量の液状の樹脂を吐出させ、これを硬化させる作業を下層から上層に向かってレイヤーごとに繰り返し実行することにより、データで指定された造形物を出力する機能を有している。図は、レイヤーL1,L2,L3の形成処理が完了し、レイヤーL4の形成処理を実行中の状態を示している。樹脂吐出ノズル152を移動させながら、樹脂を吐出させるか否かの制御を行うことにより、樹脂が充填された樹脂部(網目状ハッチング部分)と空気が充填される空洞部(空白部分)とを適宜形成することができる。
一方、図12は、一般的な石膏タイプの3Dプリンタによる造形物出力プロセスを示す正断面図である。このタイプのプリンタは、造形容器153の内側に粉体からなる石膏の原材料(焼石膏)をレイヤーごとに充填し、液体吐出ノズル154から微少量の水を吐出させ、これを焼石膏に浸透させて硬化させる作業を下層から上層に向かってレイヤーごとに繰り返し実行することにより、データで指定された造形物を出力する機能を有している。焼石膏のうち水を吸収した部分は固化するが、水を吸収しなかった部分は粉体の状態のままになる。
図12は、レイヤーL1,L2,L3の形成処理が完了し、レイヤーL4の形成処理を実行中の状態を示している。液体吐出ノズル154を移動させながら、水を吐出させるか否かの制御を行うことにより、原材料の焼石膏が固化した固化石膏部(網目状ハッチング部分)ともとの粉体のまま残った粉体石膏部(ドットによるハッチング部分)とを適宜形成することができる。最後に、粉体石膏部として残った粉状の焼石膏を排出すれば、その部分は空洞部を構成することになる。もちろん、粉体石膏部をそのまま内部に残しておいてもかまわない。
図13(a) は、図11に例示する樹脂タイプの3Dプリンタによって作成された本発明に係る出力造形物Hの内部構造を示す正断面図である。図示のとおり、この出力造形物Hは、固化した樹脂からなる樹脂部Haと、空気が充填された空洞部Hbとによって構成されている。不透明な樹脂を利用すれば、この出力造形物Hは、図10(b) に示す構造体において、第1材料部H1を構成する第1の材料として不透明な固体材料を用い、第2材料部H2を構成する第2の材料として空気を用いた例ということになる。
一方、図13(b) は、図12に例示する石膏タイプの3Dプリンタによって作成された本発明に係る出力造形物Hの内部構造を示す正断面図である。図示のとおり、この出力造形物Hは、原材料となる焼石膏に水を反応させて固化させた固化石膏部Hcと粉状の焼石膏をそのまま残した粉体石膏部Hdとによって構成されている。この出力造形物Hは、図10(b) に示す構造体において、第1材料部H1を構成する第1の材料として不透明な固体材料を用い、第2材料部H2を構成する第2の材料として前記固体材料を生成するための原材料を用いた例ということになる。
このように、図3の流れ図のステップS6における造形物作成段階で作成された出力造形物Hを三次元物品として把握すると、図3の流れ図におけるステップS1,S2,S3,S6の各段階から構成される方法は、3Dプリンタを利用して、著作権保護用の固有符号10が付加された三次元物品を製造する三次元物品の製造方法を構成するプロセスになる。
すなわち、このプロセスは、コンピュータが、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データD1と、この元データD1に著作権保護のために付加する固有符号10と、を入力するデータ入力段階(ステップS1)と、コンピュータが、固有符号10に基づいて、凹凸構造面からなる3Dバーコード30を作成する3Dバーコード作成段階(ステップS2)と、コンピュータが、元データD1に3Dバーコード30を合成することにより、合成データD2を作成する3Dバーコード合成段階(ステップS3)と、コンピュータが、合成データD2を3Dプリンタ150に与えることにより出力造形物Hを得る造形物作成段階(ステップS6)と、によって構成される。
ここで、ステップS1のデータ入力段階では、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1を示す元データD1が入力され、ステップS2の3Dバーコード作成段階では、所定の符号形成平面E上に、固有符号10に対応した黒領域Bkおよび白領域Whの集合体からなる一次元バーコード21もしくは二次元バーコード22を作成し、黒領域Bkおよび白領域Whのうちの一方を、符号形成平面Eに対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域Bkおよび白領域Whによって凹凸構造面を形成する処理が行われる。
また、ステップS3の3Dバーコード合成段階では、第1の三次元閉空間領域G1の内部に含まれ、かつ、その境界面g2の一部が上記凹凸構造面を形成している第2の三次元閉空間領域G2を定義し、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1を外面とし、第2の三次元閉空間領域G2の境界面g2を内面とする第3の三次元閉空間領域G3を定義し、この第3の三次元閉空間領域G3の外面および内面を示す情報を含んだ合成データD3を作成する処理が行われる。そして、ステップS6の造形物作成段階では、内部に上記凹凸構造面が形成された出力造形物Hを3Dプリンタから出力する処理が行われ、当該出力造形物Hとして三次元物品が製造されることになる。
<<< §5. DRM付加処理を行う変形例 >>>
ここでは、本発明に係る著作権保護方法を実施する際に、配信時にDRM付加処理を行う変形例を述べておく。§1では、図1を参照しながら、従来の一般的な3Dプリンタ出力用データの配信形態を説明した。この従来の配信形態では、3Dプリンタ出力用データDをネットワークNを介して配信する際にDRM付加処理141を施し、ユーザによる受信時にDRM解除処理142を行っている。具体的なDRM付加処理141としては、暗号化処理や電子透かしの埋込処理が利用されていることも既に述べたとおりである。
このようなDRM付加処理は、配信対象となる3Dプリンタ出力用データそれ自身に対する著作権保護を行う処理であるのに対して、本発明は、データそれ自身に対する著作権保護ではなく、3Dプリンタから出力された実体のある出力造形物に対する著作権保護を目的とするものである。したがって、データ配信時における暗号化処理や電子透かしの埋込処理といったDRM付加処理は、本発明の作用効果に直接関係するものではないが、実用上は、データ自身が不正利用されることを防ぐため、配信時にDRM付加処理を行うようにするのが好ましい。
図14は、このような配信時のDRM付加処理を付加した本発明の変形例に係る3Dプリンタ出力用データの配信形態を示すブロック図である。ここに示す配信形態の基本手順は、§2で述べた基本的実施形態と同様である。まず、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データD1に、著作権保護のための固有符号を凹凸構造面として表現した3Dバーコード30を合成することにより、3Dプリンタ出力用の合成データD2を作成する。ここで行われる3Dバーコード30の合成処理は、いわば、出力造形物用のDRM付加処理ということになる。
続いて、この合成データD2をインターネットなどのネットワークNを介して配信するデータ配信段階を行うことになるが、その際に、配信用DRM付加処理143を実行する。この処理は、具体的には、合成データD2を暗号化する暗号化処理と、著作権保護のために付加する埋込符号を合成データD2に対して電子透かしとして埋め込む埋込処理である。図示の配信用データD3は、合成データD2に対して、この暗号化処理および埋込処理を施すことにより得られるデータであり、合成データD2は、このような配信用データD3の形で配信されることになる。
一方、ユーザは、こうして配信された配信用データD3を受信した後、配信用DRM解除処理144を実行する。この処理は、配信用データD3に対して復号処理を施し、合成データD2′を得る処理である。埋め込まれた電子透かしを取り除く処理は行われないので、合成データD2′は、配信前の合成データD2とは若干異なり、内部に電子透かしが埋め込まれた状態になっているデータということになる。
配信用データD3は暗号化されているため、復号用キーを用いた復号処理を行うことが可能な正規のユーザのみに利用が許可されることになる。しかも、配信用データD3や合成データD2′は、所定の埋込符号が電子透かしとして埋め込まれた状態になっているので、この埋込符号を抽出して認識すれば、配信用データD3や合成データD2′の出自を確認することができ、データ自身に対する著作権保護の機能が働くことになる。
ユーザが、こうして得られた合成データD2′を3Dプリンタ150に与えると、出力造形物Hが出力される。この出力造形物Hの内部には、凹凸構造面として3Dバーコード30が埋め込まれている点は既に述べたとおりである。この3Dバーコード30は、出力造形物用DRMとして機能することになる。
なお、合成データD2′は、所定の埋込符号が電子透かしとして埋め込まれた状態になっており、その状態のまま3Dプリンタ150に与えられることになる。したがって、配信用DRM付加処理143において電子透かしの埋込処理を行う際には、3Dプリンタ150によって出力造形物Hを出力する際に支障が生じないような形で埋込処理を行う必要がある。そのような埋込処理の一手法として、ここでは、法線ベクトルデータに埋込符号を埋め込み方法を説明しておく。
§2において図5を参照して説明したように、一般的な3Dプリンタで用いられているSTL形式の3Dモデリングデータは、出力造形物Hの表面を多数の三角形の集合体により表現したときの各三角形の頂点座標値と各三角形についての法線ベクトルを示すデータによって構成される。たとえば、図15にハッチングを施して示す三角形tの情報は、3つの頂点A,B,Cの位置を示す各座標値と、法線ベクトルNtを示す情報とによって構成される。
具体的には、図の下方のブロックに示すとおり、三角形tの情報は、頂点Aの座標(xa,ya,za)、頂点Bの座標(xb,yb,zb)、頂点Cの座標(xc,yc,zc)、そして法線ベクトルNtを示す情報(xt,yt,zt)によって構成される。ここで、法線ベクトルNtを示す情報(xt,yt,zt)は、図5で説明したとおり、三角形tの中心位置を起点としている法線ベクトルNtを、原点Oを起点とした位置まで平行移動したときのベクトルNtの先端点Pの座標値になっている。
STL形式のデータは、元来、コンピュータグラフィックス分野における3Dモデリングデータのデータ交換に利用されていたデータである。このSTL形式のデータでは、法線ベクトルNtが必須の情報とされているが、これは、コンピュータグラフィックス分野の照明計算において、三角形tの輝度値を算出する上で法線ベクトルNtの情報が必要になるためである。しかしながら、3Dプリンタの用途では、法線ベクトルNtは、出力造形物Hに対して、三角形tのいずれの面が外側面であるかを示す役割を果たすにすぎない。
このような役割を考慮すると、少なくとも3Dプリンタにより造形物を出力する上では、法線ベクトルNtの方向を若干変化させても、得られる出力造形物Hには何ら影響がないことがわかる。すなわち、法線ベクトルNtは、三角形tに直交するベクトルであり、三角形tに対して90°の角度をなすベクトルであるが、当該角度が89°になったり、91°になったとしても、三角形tの外側面を示す機能が損なわれることはない。別言すれば、図15に示す法線ベクトルNtを微小角θだけ傾斜させたベクトルNt(0)を法線ベクトルNtの代わりに用いたとしても、三角形tの外側面を示す機能に変わりはない。
そこで、ここでは、法線ベクトルNtを示すデータ(原点Oを起点とした位置まで平行移動したときの先端点Pの座標値)を増減することにより、この三角形tの情報に1ビットの符号を埋め込むことにする。具体的には、図示のとおり、ビット0を埋め込む場合は、座標値(xt,yt,zt)で示される法線ベクトルNtの代わりに、座標値(xt+δ,yt,zt−δ)で示される法線ベクトルNt(0)を用いるようにし、ビット1を埋め込む場合は、座標値(xt+δ,yt+δ,zt−2δ)で示される法線ベクトルNt(1)を用いるようにする。
ここで、δは微小値であり、通常、各座標値を示すビット列のLSBのビット値1をδに設定すればよい。たとえば、「xt+δ」は、元の座標値xtのLSBに1ビット加算することを示し、「zt−δ」は、元の座標値ztのLSBに1ビット減算することを示す。加算とともに減算を行っているのは、法線ベクトルが単位ベクトルであるため、ベクトル長が変わらないような調整を行うためである。
座標値(xt,yt,zt)で示される元の法線ベクトルNtは三角形tに直交する正しい法線ベクトルであるのに対して、座標値(xt+δ,yt,zt−δ)で示される法線ベクトルNt(0)や座標値(xt+δ,yt+δ,zt−2δ)で示される法線ベクトルNt(1)は、三角形tには直交しないベクトルであるため、厳密には「法線ベクトル」と呼ぶことはできないが、上述したとおり、法線ベクトルの役割は、三角形tのいずれの面が外側面であるかを示すためのものであるから、法線ベクトルNtを法線ベクトルNt(0)やNt(1)に置き換えても何ら支障は生じない。
なお、このような置き換えを行ったデータを、コンピュータグラフィックス分野のレンダリングに用いる場合は、支障をきたすことがあるので留意が必要である。コンピュータグラフィックス分野においては、スムーズシェーディング、バンプマッピングなどのレンダリング効果の目的で、法線ベクトルNtを三角形tと直交する方向から意図的にずらす手法がとられる場合があり、本願手法とは別の目的で法線ベクトルを変位させる操作が施される(元来、三角形の3頂点から法線ベクトルは一意に決定できるが、コンピュータグラフィックス分野においては、法線ベクトルのみ変位させたいという要望に応じ、STL形式では個々の三角形ごとに3頂点とは別に法線ベクトルを定義できるようになっている。)。
図16は、図15に示す基本原理に基づいて3Dモデリングデータに電子透かしを埋め込んだ具体例を示す図である。図示の例は、ASCII形式STLデータの例であり、1つの三角形について定義された法線ベクトルNtおよび当該三角形の3頂点A,B,Cのx,y,z座標値を示すものである(記号eの前の数字は実数部、記号eの後ろの数字は指数部を示す)。
このような三角形の情報にビット0を埋め込む場合は、法線ベクトルNtのデータを図示のような法線ベクトルNt(0)のデータに置き換えればよい。具体的には、x座標値の実数部の末尾ビットに1が加算され、z座標値の実数部の末尾ビットから1が減算されている。同様に、ビット1を埋め込む場合は、法線ベクトルNtのデータを図示のような法線ベクトルNt(1)のデータに置き換えればよい。具体的には、x座標値の実数部の末尾ビットに1が加算され、y座標値の実数部の末尾ビットに1が加算され、z座標値の実数部の末尾ビットから2が減算されている。
ここでは、1つの三角形を示す情報に1ビットの情報を埋め込む処理を示したが、複数の三角形についても同様の処理を行えば、任意ビットの情報を電子透かしとして埋め込むことが可能になる。もちろん、3Dモデリングデータは必ずしも三角形を用いる形式のデータである必要はなく、任意の多角形を用いる形式のデータであってもかまわない。
要するに、ここに示す埋込方法を採る場合は、3Dバーコード合成段階で、複数の多角形の各頂点位置を示す座標データと、各多角形の表裏を示す法線ベクトルデータと、を含む合成データを作成し、データ配信段階で、法線ベクトルデータを構成する一部のビットの値を変更することにより埋込処理を実行するようにすればよい。
<<< §6. 本発明に係るデータの配信および著作権保護を行うシステム >>>
最後に、本発明を、3Dプリンタ出力用データの配信および著作権保護を行うシステムとして把握した説明を行う。図17は、そのようなシステムの基本構成を示すブロック図である。このシステムは、3Dプリンタ出力用データを配信するとともに、出力造形物についての著作権保護を行う機能をもったシステムである。
まず、このシステムにおける3Dプリンタ出力用データの配信を行う部分は、図示のとおり、データ入力部160、3Dバーコード作成部170、3Dバーコード合成部180、データ配信部190によって構成され、実際には、1台もしくは複数台のコンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって構成される。
ここで、データ入力部160は、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データD1と、この元データD1に著作権保護のために付加する固有符号10と、を入力する処理を行う。
一方、3Dバーコード作成部170は、固有符号10に基づいて、凹凸構造面からなる3Dバーコード30を作成する。具体的には、§2で説明したとおり、まず、固有符号10を一次元バーコード21もしくは二次元バーコード22によって表現する。これら平面バーコード20は、所定の符号形成平面上に形成された黒領域および白領域の集合体から構成されている。そこで、黒領域および白領域のうちの一方を、符号形成平面に対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域および白領域によって凹凸構造面を形成すればよい。
また、3Dバーコード合成部180は、元データD1に3Dバーコード30を合成することにより、上記凹凸構造面が内部に形成された出力造形物を出力可能な合成データD2を作成する。この合成処理は、図8を参照しながら§3で詳述したように、元データD1で示される第1の三次元閉空間領域G1の内部に含まれ、かつ、その境界面g2の一部が3Dバーコードとなる凹凸構造面30を形成している第2の三次元閉空間領域G2を定義し、第1の三次元閉空間領域G1の境界面g1を外面とし、第2の三次元閉空間領域G2の境界面g2を内面とする第3の三次元閉空間領域G3を定義し、この第3の三次元閉空間領域G3の外面および内面を示す情報を含んだ合成データD2を作成する処理になる。
データ配信部190は、作成された合成データD2をインターネットなどのネットワークNを介して配信する処理を行う。このとき、データ配信部190は、§5で述べたように、合成データD2に対して、暗号化処理や電子透かしの埋込処理などのDRM付加処理を施し、配信用データD3の形で配信を行う機能を有している。
一方、データ受信部195は、配信されたデータを利用するユーザのコンピュータによって構成され、3Dプリンタ150は、このユーザのコンピュータに接続されたプリンタということになる。データ受信部195は、ネットワークNを介して配信用データD3を受信し、DRM解除処理により復号を行い、合成データD2′を出力する。この合成データD2′は、内部に電子透かしが埋め込まれた状態のデータであるが、前述したとおり、3Dプリンタ150でのプリント作業には支障は生じない。ユーザが、この合成データD2′を3Dプリンタ150に与えると、3Dプリンタ150から出力造形物Hが出力される。
符号検出部200は、出力造形物Hを外部からスキャンすることにより、内部に埋め込まれていた凹凸構造面を認識し、3Dバーコード30を抽出する処理を行う装置であり、具体的には、X線CTスキャナ装置によって構成される。抽出された3Dバーコード30からは、固有符号10を読み取ることができる。
結局、この図17に示す各構成要素のうち、データ入力部160、3Dバーコード作成部170、3Dバーコード合成部180、データ配信部190、符号検出部200によって構成される部分は、3Dプリンタ出力用データの配信および著作権保護を行うシステムとして機能することになる。
<<< §7. 固有符号の用途 >>>
これまでの実施形態では、本発明を著作権保護を目的とする発明として捉え、3Dプリンタ出力用の元データに付加する固有符号の用途として著作権保護の用途を前提に説明を行ってきた。しかしながら、本発明の利用目的は、必ずしも著作権保護のみに限定されるものではない。本発明において元データに付加される固有符号は、当該元データの出自を示す役割を果たすことができるので、本発明は、たとえば、意匠権保護の目的に利用することも可能であるし、不正競争防止法に規定されている不正競争行為(模倣行為など)を防止する目的に利用することも可能である。
要するに、本発明において、3Dプリンタ出力用の元データに付加する固有符号は、当該元データに基づいて3Dプリンタから出力される三次元物品(出力造形物)に、何らかの認証コードとして埋め込まれる符号であればよく、この三次元物品から当該符号を読み出すことにより、何らかの確認や認証を行うことができればよい。本発明は、このような固有符号を、3Dプリンタから出力される出力造形物に付加するとともに、これを出力造形物から読み出して確認することが可能な方法およびシステムを提案するものであり、そのような観点では、3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法および固有符号付加確認システムを提案するものである。
10:固有符号
20:平面バーコード
21:一次元バーコード
22:二次元バーコード(QRコード(登録商標))
30:3Dバーコード(凹凸構造面)
35:三次元ブロック(三次元閉空間領域)
41:第1材料部
42:第2材料部
50:三次元構造体
110:CAD/CGツール
120:3Dボディスキャナ
130:医療用CT/MRIスキャナ
141:DRM付加処理
142:DRM解除処理
143:配信用DRM付加処理
144:配信用DRM解除処理
150:3Dプリンタ
151:造形台
152:樹脂吐出ノズル
153:造形容器
154:液体吐出ノズル
160:データ入力部
170:3Dバーコード作成部
180:3Dバーコード合成部
190:データ配信部
195:データ受信部
200:符号検出部(X線CTスキャナ装置)
A:三次元構造体50の頂点
a:三次元構造体50を構成する面
B:三次元構造体50の頂点
Bk:黒領域
b:三次元構造体50を構成する面
C:三次元構造体50の頂点
c:三次元構造体50を構成する面
d:段差距離
D:3Dプリンタ出力用データ
D1:3Dプリンタ出力用データ(元データ)
D2:3Dプリンタ出力用データ(合成データ)
D2′:3Dプリンタ出力用データ(合成データ:電子透かし埋込状態)
D3:配信用データ
E:符号形成面
F:オフセット面
G1:第1の三次元閉空間領域
g1:第1の三次元閉空間領域の境界面
G2:第2の三次元閉空間領域
g2:第2の三次元閉空間領域の境界面
G3:第3の三次元閉空間領域
g11〜g15:第1の三次元閉空間領域G1の境界面
H:出力造形物(合成データに基づくもの)
H1:第1材料部
H2:第2材料部
Ha:樹脂部
Hb:空洞部
Hc:固化石膏部
Hd:粉体石膏部
L1〜L4:各レイヤー
M:出力造形物(元データに基づくもの)
N:ネットワーク(インターネット)
N11〜N15:法線ベクトル
Na:面aについての法線ベクトル
Nb:面bについての法線ベクトル
Nc:面cについての法線ベクトル
Nt:三角形tについての法線ベクトル
Nt(0):三角形tについての法線ベクトル(ビット0を埋込済)
Nt(1):三角形tについての法線ベクトル(ビット1を埋込済)
O:三次元座標系の原点
P:法線ベクトルの先端点
Q1,Q2:中心点
S1〜S7:流れ図の各ステップ
t:三次元構造体を構成する三角形
U:投影平面
V:空洞部
Vt:垂直壁面
Wh:白領域
X:三次元座標系の座標軸
xa,xb,xc,xt:X座標値
Y:三次元座標系の座標軸
ya,yb,yc,yt:Y座標値
Z:三次元座標系の座標軸
za,zb,zc,zt:Z座標値
δ:微小値
θ:法線ベクトルの角度差

Claims (9)

  1. 3Dプリンタから出力される出力造形物に固有符号が付加されるようにし、これを確認する固有符号付加確認方法あって、
    コンピュータが、3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力段階と、
    コンピュータが、前記固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成段階と、
    コンピュータが、前記元データに前記3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成段階と、
    コンピュータが、前記合成データを配信するデータ配信段階と、
    符号検出装置が、3Dプリンタが前記合成データに基づいて出力した出力造形物から、前記3Dバーコードを抽出し、前記固有符号を検出する符号検出段階と、
    を有し、
    前記固有符号は、前記データ配信段階での配信先ユーザごとに異なる符号であり、前記3Dバーコード合成段階では、同一の元データに対して、固有符号が異なる複数の3Dバーコードを合成することにより、複数とおりの合成データを作成し、前記データ配信段階では、配信先ユーザごとに異なる固有符号が埋め込まれた合成データが配信されるようにし、
    前記データ入力段階では、第1の三次元閉空間領域の境界面と、前記第1の三次元閉空間領域の内側/外側を示すためにその境界面に立てた法線ベクトルと、を示す元データを入力し、
    前記3Dバーコード合成段階では、前記第1の三次元閉空間領域の内部に含まれ、かつ、その境界面の一部が前記3Dバーコードとなる凹凸構造面を形成している第2の三次元閉空間領域を定義し、前記第1の三次元閉空間領域の境界面を外面とし、前記第2の三次元閉空間領域の境界面を内面とする第3の三次元閉空間領域を定義し、この第3の三次元閉空間領域の外面および内面を示す情報を含んだ合成データを作成し、
    前記3Dバーコード合成段階において、前記第2の三次元閉空間領域の境界面と、前記第2の三次元閉空間領域の内側/外側を示すためにその境界面に立てた法線ベクトルと、を示す三次元ブロックのデータを作成した上で、前記三次元ブロックのデータについて法線ベクトルの向きを逆転させることにより空洞部を示すデータを作成し、前記元データと前記空洞部を示すデータとを合成することにより前記合成データを作成するようにし、
    前記符号検出段階では、出力造形物を外部からスキャンすることにより前記凹凸構造面を認識し、前記3Dバーコードを抽出することを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  2. 請求項1に記載の固有符号付加確認方法において、
    3Dバーコード作成段階で、一次元バーコードもしくは二次元バーコードに基づいて3Dバーコードを作成することを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  3. 請求項2に記載の固有符号付加確認方法において、
    3Dバーコード作成段階で、所定の符号形成平面上に、固有符号に対応した黒領域および白領域の集合体からなる一次元バーコードもしくは二次元バーコードを作成し、黒領域および白領域のうちの一方を、前記符号形成平面に対して直交する方向に所定の段差距離dだけ移動させる移動処理を行い、当該移動処理後の黒領域および白領域によって凹凸構造面を形成することを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の固有符号付加確認方法において、
    符号検出段階で、X線CTスキャナ装置が、出力造形物を外部からスキャンすることにより、凹凸構造面を認識することを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の固有符号付加確認方法において、
    データ配信段階で、合成データに対して暗号化処理を施すことにより配信用データを作成し、合成データを前記配信用データの形で配信するようにし、配信を受けた者が前記配信用データに対して復号処理を施した場合に前記合成データを利用できるようにしたことを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の固有符号付加確認方法において、
    データ配信段階で、著作権保護のために付加する埋込符号を、合成データに対して電子透かしとして埋め込む埋込処理を施すことにより配信用データを作成し、合成データを前記配信用データの形で配信するようにし、前記配信用データから前記埋込符号を抽出して認識できるようにしたことを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  7. 請求項6に記載の固有符号付加確認方法において、
    3Dバーコード合成段階で、複数の多角形の各頂点位置を示す座標データと、各多角形の表裏を示す法線ベクトルデータと、を含む合成データを作成し、
    データ配信段階で、前記法線ベクトルデータを構成する一部のビットの値を変更することにより埋込処理を実行することを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の固有符号付加確認方法におけるデータ入力段階、3Dバーコード作成段階、および3Dバーコード合成段階をコンピュータに実行させるプログラム。
  9. 3Dプリンタから出力される出力造形物に固有符号が付加されるようにし、これを確認する固有符号付加確認システムであって、
    3Dプリンタで所定の造形物を出力可能な形式をもった3Dプリンタ出力用の元データと、この元データに付加する固有符号と、を入力するデータ入力部と、
    前記固有符号に基づいて、凹凸構造面を有する3Dバーコードを作成する3Dバーコード作成部と、
    前記元データに前記3Dバーコードを合成することにより、合成データを作成する3Dバーコード合成部と、
    前記合成データを配信するデータ配信部と、
    前記合成データを3Dプリンタに与えることにより得られた出力造形物から、前記3Dバーコードを抽出し、前記固有符号を検出する符号検出部と、
    を備え、
    前記固有符号は、前記データ配信部の配信先となる配信先ユーザごとに異なる符号であり、前記3Dバーコード合成部は、同一の元データに対して、固有符号が異なる複数の3Dバーコードを合成することにより、複数とおりの合成データを作成し、前記データ配信部は、配信先ユーザごとに異なる固有符号が埋め込まれた合成データを配信し、
    前記データ入力部は、第1の三次元閉空間領域の境界面と、前記第1の三次元閉空間領域の内側/外側を示すためにその境界面に立てた法線ベクトルと、を示す元データを入力し、
    前記3Dバーコード合成部は、前記第1の三次元閉空間領域の内部に含まれ、かつ、その境界面の一部が前記3Dバーコードとなる凹凸構造面を形成している第2の三次元閉空間領域を定義し、前記第1の三次元閉空間領域の境界面を外面とし、前記第2の三次元閉空間領域の境界面を内面とする第3の三次元閉空間領域を定義し、この第3の三次元閉空間領域の外面および内面を示す情報を含んだ合成データを作成し、
    前記3Dバーコード合成部は、前記第2の三次元閉空間領域の境界面と、前記第2の三次元閉空間領域の内側/外側を示すためにその境界面に立てた法線ベクトルと、を示す三次元ブロックのデータを作成した上で、前記三次元ブロックのデータについて法線ベクトルの向きを逆転させることにより空洞部を示すデータを作成し、前記元データと前記空洞部を示すデータとを合成することにより前記合成データを作成し、
    前記符号検出部は、前記出力造形物を外部からスキャンすることにより前記凹凸構造面を認識し、前記3Dバーコードを抽出することを特徴とする3Dプリンタから出力される出力造形物についての固有符号付加確認システム。
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