以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本技術の主な説明
2.第1の実施の形態(画像符号化装置)
3.第2の実施の形態(画像復号装置)
4.第3の実施の形態(多視点画像符号化・多視点画像復号装置)
5.第4の実施の形態(コンピュータ)
6.応用例
7.スケーラブル符号化の応用例
8.第5の実施の形態(セット・ユニット・モジュール・プロセッサ)
9.MPEG-DASHのコンテンツ再生システムの応用例
10.Wi-Fi規格の無線通信システムの応用例
<1.本技術の主な説明>
<符号化方式>
以下においては、HEVC(High Efficiency Video Coding)方式の画像符号化・復号に適用する場合を例に、本技術を説明する。
<コーディングユニット>
AVC(Advanced Video Coding)方式においては、マクロブロックとサブマクロブロックによる階層構造が規定されている。しかしながら、16画素×16画素のマクロブロックでは、次世代符号化方式の対象となるような、UHD(Ultra High Definition;4000画素×2000画素)といった大きな画枠に対して最適ではない。
これに対して、HEVC方式においては、図1に示されるように、コーディングユニット(CU(Coding Unit))が規定されている。
CUは、Coding Tree Block(CTB)とも呼ばれ、AVC方式におけるマクロブロックと同様の役割を果たす、ピクチャ単位の画像の部分領域である。後者は、16×16画素の大きさに固定されているのに対し、前者の大きさは固定されておらず、それぞれのシーケンスにおいて、画像圧縮情報中において指定されることになる。
例えば、出力となる符号化データに含まれるシーケンスパラメータセット(SPS(Sequence Parameter Set))において、CUの最大サイズ(LCU(Largest Coding Unit))と最小サイズ(SCU(Smallest Coding Unit))が規定される。
それぞれのLCU内においては、SCUのサイズを下回らない範囲で、split-flag=1とすることにより、より小さなサイズのCUに分割することができる。図1の例では、LCUの大きさが128であり、最大階層深度が5となる。2N×2Nの大きさのCUは、split_flagの値が「1」である時、1つ下の階層となる、N×Nの大きさのCUに分割される。
更に、CUは、イントラ若しくはインター予測の処理単位となる領域(ピクチャ単位の画像の部分領域)であるプレディクションユニット(Prediction Unit(PU))に分割され、また、直交変換の処理単位となる領域(ピクチャ単位の画像の部分領域)である、トランスフォームユニット(Transform Unit(TU))に分割される。現在、HEVC方式においては、4×4及び8×8に加え、16×16及び32×32直交変換を用いることが可能である。
以上のHEVC方式のように、CUを定義し、そのCUを単位として各種処理を行うような符号化方式の場合、AVC方式におけるマクロブロックはLCUに相当し、ブロック(サブブロック)はCUに相当すると考えることができる。また、AVC方式における動き補償ブロックは、PUに相当すると考えることができる。ただし、CUは、階層構造を有するので、その最上位階層のLCUのサイズは、例えば128×128画素のように、AVC方式のマクロブロックより大きく設定されることが一般的である。
よって、以下、LCUは、AVC方式におけるマクロブロックをも含むものとし、CUは、AVC方式におけるブロック(サブブロック)をも含むものとする。つまり、以下の説明に用いる「ブロック」は、ピクチャ内の任意の部分領域を示し、その大きさ、形状、および特性等は限定されない。つまり、「ブロック」には、例えば、TU、PU、SCU、CU、LCU、サブブロック、マクロブロック、またはスライス等任意の領域(処理単位)が含まれる。もちろん、これら以外の部分領域(処理単位)も含まれる。サイズや処理単位等を限定する必要がある場合は、適宜説明する。
<モード選択>
ところで、AVCそしてHEVC符号化方式において、より高い符号化効率を達成するには、適切な予測モードの選択が重要である。
かかる選択方式の例として、JM (Joint Model) と呼ばれるH.264/MPEG-4 AVCの参照ソフトウエア (http://iphome.hhi.de/suehring/tml/index.htm において公開されている) に実装されている方法を挙げることが出来る。
JMにおいては、以下に述べる、High Complexity Modeと、Low Complexity Modeの2通りのモード判定方法を選択することが可能である。どちらも、それぞれの予測モードModeに関するコスト関数値を算出し、これを最小にする予測モードを当該ブロック乃至マクロブロックに対する最適モードとして選択する。
High Complexity Modeにおけるコスト関数は、以下の式(1)のように示される。
ここで、Ωは、当該ブロック乃至マクロブロックを符号化するための候補モードの全体集合、Dは、当該予測モードで符号化した場合の、復号画像と入力画像の差分エネルギーである。λは、量子化パラメータの関数として与えられるLagrange未定乗数である。Rは、直交変換係数を含んだ、当該モードで符号化した場合の総符号量である。
つまり、High Complexity Modeでの符号化を行うには、上記パラメータD及びRを算出するため、全ての候補モードにより、一度、仮エンコード処理を行う必要があり、より高い演算量を要する。
Low Complexity Modeにおけるコスト関数は、以下の式(2)のように示される。
ここで、Dは、High Complexity Modeの場合と異なり、予測画像と入力画像の差分エネルギーとなる。QP2Quant(QP)は、量子化パラメータQPの関数として与えられ、HeaderBitは、直交変換係数を含まない、動きベクトルや、モードといった、Headerに属する情報に関する符号量である。
すなわち、Low Complexity Modeにおいては、それぞれの候補モードに関して、予測処理を行う必要があるが、復号画像までは必要ないため、符号化処理まで行う必要はない。このため、High Complexity Modeより低い演算量での実現が可能である。
<階層符号化>
ところで、これまでの、MPEG2、AVCといった画像符号化方式は、スケーラビリティ(scalability)機能を有していた。スケーラブル符号化(階層符号化)とは、画像を複数レイヤ化(階層化)し、レイヤ毎に符号化する方式である。図2は、階層画像符号化方式の一例を示す図である。
図2に示されるように、画像の階層化においては、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータを基準として1の画像が複数の階層(レイヤ)に分割される。つまり、階層化された画像(階層画像)は、その所定のパラメータの値が互いに異なる複数の階層(レイヤ)の画像を含む。この階層画像の複数のレイヤは、他のレイヤの画像を利用せずに自身のレイヤの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースレイヤと、他のレイヤの画像を利用して符号化・復号を行うノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)とによりなる。ノンベースレイヤは、ベースレイヤの画像を利用するようにしても良いし、他のノンベースレイヤの画像を利用するようにしてもよい。
一般的に、ノンベースレイヤは、冗長性が低減されるように、自身の画像と、他のレイヤの画像との差分画像のデータ(差分データ)により構成される。例えば、1の画像をベースレイヤとノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)に2階層化した場合、ベースレイヤのデータのみで元の画像よりも低品質な画像が得られ、ベースレイヤのデータとノンベースレイヤのデータを合成することで、元の画像(すなわち高品質な画像)が得られる。
このように画像を階層化することにより、状況に応じて多様な品質の画像を容易に得ることができる。例えば携帯電話のような、処理能力の低い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)のみの画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の低い、或いは、画質の良くない動画像を再生し、テレビやパーソナルコンピュータのような、処理能力の高い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)に加えて、エンハンスメントレイヤ(enhancement layer)の画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の高い、或いは、画質の高い動画像を再生するといったように、トランスコード処理を行うことなく、端末やネットワークの能力に応じた画像圧縮情報を、サーバから送信することが可能となる。
<スケーラブルなパラメータ>
このような階層画像符号化・階層画像復号(スケーラブル符号化・スケーラブル復号)において、スケーラビリティ(scalability)機能を有するパラメータは、任意である。例えば、図3に示されるような空間解像度をそのパラメータとしてもよい(spatial scalability)。このスペーシャルスケーラビリティ(spatial scalability)の場合、レイヤ毎に画像の解像度が異なる。つまり、図3に示されるように、各ピクチャが、元の画像より空間的に低解像度のベースレイヤと、ベースレイヤの画像と合成することにより元の画像(元の空間解像度)が得られるエンハンスメントレイヤの2階層に階層化される。もちろん、この階層数は一例であり、任意の階層数に階層化することができる。
また、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、他には、例えば、図4に示されるような、時間解像度を適用しても良い(temporal scalability)。このテンポラルスケーラビリティ(temporal scalability)の場合、レイヤ毎にフレームレートが異なる。つまり、この場合、図4に示されるように、互いに異なるフレームレートのレイヤに階層化されており、低フレームレートのレイヤに、高フレームレートのレイヤを加えることで、より高フレームレートの動画像を得ることができ、全てのレイヤを加えることで、元の動画像(元のフレームレート)を得ることができる。この階層数は一例であり、任意の階層数に階層化することができる。
さらに、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、例えば、信号雑音比(SNR(Signal to Noise ratio))を適用しても良い(SNR scalability)。このSNRスケーラビリティ(SNR scalability)の場合、レイヤ毎にSN比が異なる。つまり、図5に示されるように、各ピクチャが、元の画像よりSNRの低いベースレイヤと、ベースレイヤの画像と合成することにより元の画像(元のSNR)が得られるエンハンスメントレイヤの2階層に階層化される。すなわち、ベースレイヤ(base layer)画像圧縮情報においては、低PSNRの画像に関する情報が伝送されており、これに、エンハンスメントレイヤ(enhancement layer)画像圧縮情報を加えることで、高PSNR画像を再構築することが可能である。もちろん、この階層数は一例であり、任意の階層数に階層化することができる。
スケーラビリティ性を持たせるパラメータは、上述した例以外であっても、もちろんよい。例えば、ベースレイヤ(base layer)が8ビット(bit)画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、10ビット(bit)画像が得られるビット深度スケーラビリティ(bit-depth scalability)がある。
また、ベースレイヤ(base layer)が4:2:0フォーマットのコンポーネント画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、4:2:2フォーマットのコンポーネント画像が得られるクロマスケーラビリティ(chroma scalability)がある。
<領域分割>
ところで、HEVCにおいては、AVCにおいても規定されていたスライス(Slice)に加え、タイル(Tile)やウェーブフロントパラレルプロセッシング(Wavefront Parallel Processing)による並列処理を行うことが可能である。
図6は、HEVCにおいて定められているスライス(Slice)の例を示す図である。AVCと同様、スライスは、ラスタスキャン順に符号化処理を行う単位として、ピクチャ内を、図6に示されるように、複数に分割する領域である。但し、HEVCにおいては、スライス分割はLCU単位でのみ可能である。図6において、全体の四角はピクチャを示し、その中の小さな四角はLCUを示している。また、模様分けされたLCUのグループがスライスを示している。例えば、斜線模様で示される上から1行目および2行目のLCUからなるスライスは、このピクチャの1番目のスライス(Slice#1)である。また、白地で示される上から3行目および4行目のLCUからなるスライスは、このピクチャの2番目のスライス(Slice#2)である。さらに、グレー地で示される上から5行目および6行目のLCUからなるスライスは、このピクチャの3番目のスライス(Slice#3)である。また、網目模様で示される上から7行目および8行目のLCUからなるスライスは、このピクチャの4番目のスライス(Slice#4)である。もちろん、ピクチャに形成されるスライスやLCUの数、並びに、スライス分割の仕方は、任意であり、図6の例に限定されない。
図7は、HEVCにおいて定められているタイル(Tile)の例を示すずである。タイルは、上述したスライスと同様に、LCUを単位としてピクチャ内を分割する領域である。ただし、スライスは、各LCUがラスタスキャン順に処理されるようにピクチャを分割する領域であるのに対し、タイルは、図7に示されるように、ピクチャを、任意の矩形に分割する領域である。
図7において、全体の四角はピクチャを示し、その中の小さな四角はLCUを示している。また、模様分けされたLCUのグループがタイルを示している。例えば、斜線模様で示される左上の縦4個x横4個のLCUからなるスライスは、このピクチャの1番目のタイル(Tile#1)である。また、白地で示される右上の縦4個x横4個のLCUからなるタイルは、このピクチャの2番目のタイル(Tile#2)である。さらに、グレー地で示される左下の縦4個x横4個のLCUからなるタイルは、このピクチャの3番目のタイル(Tile#3)である。また、網目模様で示される右下の縦4個x横4個のLCUからなるタイルは、このピクチャの4番目のタイル(Tile#4)である。もちろん、ピクチャに形成されるタイルやLCUの数、並びに、タイル分割の仕方は、任意であり、図7の例に限定されない。
以上のように形成されるそれぞれのタイル内で、各LCUは、ラスタスキャン順に処理される。このようなタイルは、スライスに比べて境界の長さが短くて済むため、画面分割による符号化効率の低下が少なくて済むという特徴を有する。
なお、以上のように分割されたそれぞれのスライスやタイルは、符号化・復号における予測やCABAC等の依存関係が存在しないため、互いに独立に処理を行うことが可能である。つまり、例えば、各スライス(またはタイル)のデータを、互いに異なるCPU(Central Processing Unit)(若しくは互いに異なるコア)を用いて、並列に処理することができる。
<階層符号化における領域分割>
ところで、上述した階層符号化においては、エンハンスメントレイヤの符号化において、ベースレイヤの符号化に関する情報を利用することができる。この符号化に関する情報の内容は任意であるが、例えば、復号画像等のようなテクスチャ情報、動き情報やイントラ予測モード情報等のようなシンタクス情報等がある。
階層符号化においては、ベースレイヤのピクチャの符号化が行われた後、そのベースレイヤの符号化に関する情報を参照するエンハンスメントレイヤの、そのピクチャに対応するピクチャの符号化が行われる。つまり、ベースレイヤの符号化後、得られたベースレイヤの符号化に関する情報がエンハンスメントレイヤの符号化に供給され、適宜利用される。復号も同様の手順で行われる。
しかしながら、従来の方法では、このようにエンハンスメントレイヤの符号化・復号において、符号化に関する情報の参照先とする領域を制御する方法はなかった。つまり、例えば、この符号化に関する情報が、領域毎に異なるようなものであっても、常にベースレイヤのピクチャ全体が参照対象となっていた。そのため、ベースレイヤのピクチャの、明らかに参照先として不要な領域も参照対象とされるため、メモリアクセス数等が不要に増大し、エンハンスメントレイヤの符号化・復号の負荷が不要に増大する恐れがあった。
また、階層符号化においても、上述したようにスライスやタイル等の領域間での処理の依存関係を無くすことにより、その領域毎に処理を独立化し、例えば各領域の処理を並列処理化することができる。つまり、この場合、領域毎に、ベースレイヤの符号化・復号と、エンハンスメントレイヤの符号化・復号とを順次行うことができる。
しかしながら、エンハンスメントレイヤの符号化・復号において、ベースレイヤの符号化に関する情報を参照する場合、従来の方法では、ピクチャ全体が参照対象となってしまい、他の領域との間に依存関係が生じてしまう。そのため、領域毎の並列処理化が困難になる恐れがあった。
<参照対象の制限>
そこで、エンハンスメントレイヤの符号化・復号において、他のレイヤ(例えばベースレイヤ若しくは他のエンハンスメントレイヤ)の、符号化に関する情報の参照対象とする領域を制御するようにする。例えば、符号化に関する情報を参照する領域を、他のレイヤのピクチャの、一部の領域に制限するようにする。
図8は、このような参照対象の制限の様子の例を示す図である。図8の例の場合、ベースレイヤの網目模様で示されるタイルのみが、符号化に関する情報の参照対象に指定されている。この場合、その他の領域(白地の領域)の符号化に関する情報は、参照対象に含まれておらず、エンハンスメントレイヤの符号化・復号において、メモリから読みだされることがない。したがって、その分、エンハンスメントレイヤの符号化・復号の負荷の増大が抑制される。
この制限の方法は任意であるが、例えば、他のレイヤの、符号化に関する情報の参照を許可する領域を指定するようにしてもよい。また、例えば、他のレイヤの、符号化に関する情報の参照を禁止する領域を指定するようにしてもよい。さらに、例えば、他のレイヤの、符号化に関する情報を参照する領域を指定するようにしてもよい。
なお、この符号化に関する情報の参照対象の制御単位を、例えばタイルやスライスといった符号化・復号の処理単位となる領域とすることにより、この領域間の依存関係を低減させることができ、処理の独立化や並列化をより容易にすることができる。
<領域制御の具体例>
このような制御のより具体的な例について説明する。
例えば、図8の例のように、ベースレイヤの符号化の際に、ピクチャをタイルに分割し、その一部のタイルのみ、符号化に関する情報を参照することができるように制御するとする。この場合、例えば、その一部のタイルについて、符号化に関する情報の参照を許可する。例えば、ベースレイヤの符号化において、符号化に関する情報の参照を許可するタイルを指定する制御情報を生成し、それをエンハンスメントレイヤの符号化に提供する。
エンハンスメントレイヤの符号化は、この制御情報に従って実行される。すなわち、エンハンスメントレイヤの符号化においては、この制御情報により許可されたタイルの符号化に関する情報のみ参照することができる。
なお、ベースレイヤの符号化において、どの領域を、符号化に関する情報の参照を許可するかの設定方法は任意である。例えば、ユーザやアプリケーション等が符号化に関する情報の参照を許可する領域を指定するようにしてもよいし、符号化に関する情報の参照を許可する領域が予め定められていても良い。
例えば、動画像の各ピクチャ共通の位置に、レターボックス等のような明らかに参照不要な領域が存在する場合、その領域を「符号化に関する情報の参照を許可する領域」から除外する、すなわち、それ以外の領域を「符号化に関する情報の参照を許可する領域」として、動画像データの各ピクチャを符号化する前に、予め指定するようにしてもよい。
また、例えば、ユーザが、各ピクチャの「符号化に関する情報の参照を許可する領域」を指定するようにしてもよいし、ユーザが画像の特徴を指定し、アプリケーション等が各ピクチャにおいてその特徴を含む領域を、「符号化に関する情報の参照を許可する領域」として指定するようにしてもよい。さらに、アプリケーション等が、各ピクチャにおいて、所定の特徴(若しくはユーザに指定された特徴)を含む領域を形成するように領域分割(例えばタイル分割やスライス分割等)を行うようにしてもよい。
例えば、ベースレイヤの符号化において、入力画像が、人物を含む画像であるとする(図9のA)。アプリケーションは、その画像について顔認識処理を行い、人の顔を含む部分領域を検出する(図9のB)。そして、アプリケーションは、その部分領域をタイルの1つとするように、ピクチャをタイル分割する(図9のC)。そして、アプリケーションは、人の顔を含むタイル(すなわち検出した部分領域)を、「符号化に関する情報の参照を許可する領域」として指定する(図9のDの網目模様のタイル)。
このように、エンハンスメントレイヤの符号化により符号化に関する情報が参照されることを意識して領域分割(タイルやスライスの形成)を行うようにしても良い。このようにすることにより、「符号化に関する情報の参照を許可する領域」を低減させることができる。つまり、エンハンスメントレイヤの符号化において、参照可能なベースレイヤの範囲をより狭くすることができるので、負荷の増大を抑制することができる。
なお、上述したように、符号化に関する情報を参照する領域の制御は、少なくとも領域(タイルやスライス等)より大きな単位で行われる。例えば、ピクチャ毎に行われるようにしてもよい。また、例えば、シーケンス毎に行われるようにしてもよい。さらに、動画像データ毎に行われるようにしても良い。また、このような制御情報を予め用意するようにしてもよい。
なお、以上においては、「符号化に関する情報の参照を許可する領域」を指定するように説明したが、制御方法は、これに限らず、例えば、逆に、「符号化に関する情報の参照を禁止する領域」を指定するようにしてもよい。この場合、参照を禁止された一部のタイル以外のタイルが参照対象とされる。
この場合も、例えば、ベースレイヤの符号化において、符号化に関する情報の参照を禁止するタイルを指定する制御情報を生成し、それをエンハンスメントレイヤの符号化に提供するようにすればよい。
エンハンスメントレイヤの符号化は、参照を許可する場合と同様に、この制御情報に従って実行される。すなわち、エンハンスメントレイヤの符号化においては、この制御情報により禁止されたタイル以外のタイルの符号化に関する情報のみ参照することができる。
もちろん、この場合の設定方法は、参照を許可する場合と同様に任意である。なお、ベースレイヤの、符号化に関する情報の参照を許可する(若しくは禁止する)領域は、単数でも複数でもよい。
なお、このように符号化に関する情報の参照を許可する場合も禁止する場合も、エンハンスメントレイヤの符号化において、ピクチャをタイル(若しくはスライス)に分割するか否かは任意である。また、分割するとしてもどのように分割するかも任意である。仮に、エンハンスメントレイヤを、タイルやスライス等の領域毎に符号化する場合であっても、各領域の符号化は、それぞれ、上述した制御情報に基づいて行われる。つまり、いずれの領域の符号化においても、この制御情報により許可された(若しくは禁止されたタイル(若しくはスライス)以外の)タイル(若しくはスライス)の符号化に関する情報のみ参照することができる。
そして、このようにエンハンスメントレイヤをタイルやスライス等の領域毎に符号化する場合、符号化に関する情報の参照を許可する(若しくは禁止する)領域は、エンハンスメントレイヤの領域毎に設定するようにしてもよい。つまり、ベースレイヤの、符号化に関する情報の参照を許可する(若しくは禁止する)領域が、エンハンスメントレイヤの各領域で統一されていなくてもよい。
例えば、制御情報が、エンハンスメントレイヤの各領域とベースレイヤの各領域との紐付け(シンクロ)を行う情報(対応表等)であってもよい。その場合、エンハンスメントレイヤの各領域の符号化においては、その対応表により紐付けされたベースレイヤの領域の符号化に関する情報のみが参照可能とされる。
このように、エンハンスメントレイヤの領域毎に、符号化に関する情報の参照先を制御することにより、より適切な制御が可能になる。したがって、符号化または復号の負荷の増大を抑制することができる。また、領域間の依存関係を低減させることができる。
例えば、図10のように、エンハンスメントレイヤの各領域が、ベースレイヤの互いに異なる領域の符号化に関する情報の参照を許可されるようにしてもよい。図10の例の場合、エンハンスメントレイヤのタイルE0の符号化における、ベースレイヤの符号化に関する情報の参照先は、ベースレイヤのタイルB0に限定されている。また、エンハンスメントレイヤのタイルE1の符号化における、ベースレイヤの符号化に関する情報の参照先は、ベースレイヤのタイルB1に限定されている。さらに、エンハンスメントレイヤのタイルE2の符号化における、ベースレイヤの符号化に関する情報の参照先は、ベースレイヤのタイルB2に限定されている。そして、エンハンスメントレイヤのタイルE3の符号化における、ベースレイヤの符号化に関する情報の参照先は、ベースレイヤのタイルB3に限定されている。
図10の例のように、エンハンスメントレイヤの各領域が、ベースレイヤの互いに異なる領域の符号化に関する情報を参照するようにすることにより、領域間の依存関係を低減させ、図11に示されるように、並列処理をより容易にすることができる。
図11の例の場合、1番目のCPU#0が、フレーム#0のベースレイヤのタイル#0(B0_0)、フレーム#0のエンハンスメントレイヤのタイル#0(E0_0)、フレーム#1のベースレイヤのタイル#0(B0_1)、フレーム#1のエンハンスメントレイヤのタイル#0(E0_1)、フレーム#2のベースレイヤのタイル#0(B0_2)、フレーム#2のエンハンスメントレイヤのタイル#0(E0_2)のような順で、各フレームのタイル#0についての符号化を行う。
これに並行して、2番目のCPU#1が、フレーム#0のベースレイヤのタイル#1(B1_0)、フレーム#0のエンハンスメントレイヤのタイル#1(E1_0)、フレーム#1のベースレイヤのタイル#1(B1_1)、フレーム#1のエンハンスメントレイヤのタイル#1(E1_1)、フレーム#2のベースレイヤのタイル#1(B1_2)、フレーム#2のエンハンスメントレイヤのタイル#1(E1_2)のような順で、各フレームのタイル#1についての符号化を行うようにすることができる。
また、これらの処理に並行して、3番目のCPU#2が、フレーム#0のベースレイヤのタイル#2(B2_0)、フレーム#0のエンハンスメントレイヤのタイル#2(E2_0)、フレーム#1のベースレイヤのタイル#2(B2_1)、フレーム#1のエンハンスメントレイヤのタイル#2(E2_1)、フレーム#2のベースレイヤのタイル#2(B2_2)、フレーム#2のエンハンスメントレイヤのタイル#2(E2_2)のような順で、各フレームのタイル#2についての符号化を行うようにすることができる。
さらに、これらの処理に並行して、4番目のCPU#3が、フレーム#0のベースレイヤのタイル#2(B3_0)、フレーム#0のエンハンスメントレイヤのタイル#3(E3_0)、フレーム#1のベースレイヤのタイル#3(B3_1)、フレーム#1のエンハンスメントレイヤのタイル#3(E3_1)、フレーム#2のベースレイヤのタイル#3(B3_2)、フレーム#2のエンハンスメントレイヤのタイル#3(E3_2)のような順で、各フレームのタイル#3についての符号化を行うようにすることができる。
なお、このような制御情報におけるベースレイヤの領域(タイルやスライス等)の指定は、符号化データ(ビットストリーム)に含まれる各領域のデータの位置(例えば先頭からのオフセット値)によって行うようにしてもよいが、ベースレイヤの各領域に識別番号を割り当て、その識別番号により指定するようにしてもよい。
例えば、図12のように、各領域にラスタスキャン順に識別番号を割り当て、この識別番号を用いて、符号化に関する情報の参照を許可若しくは禁止する領域の指定を行うようにしてもよい。もちろん、この識別番号の割り当て方は任意であり、上述したラスタスキャン順は一例である。
以上においては、符号化の場合を例に説明したが、復号の場合も同様である。
<制御情報の伝送>
なお、以上のような符号化に関する情報の参照を制御する制御情報は、符号化側から復号側に伝送されるようにしてもよい。制御情報を復号側に伝送することにより、復号においてその制御情報を利用することができる。つまり、符号化の場合と同様に、復号の負荷を低減させることができる。なお、その場合、この制御情報は、例えば、ピクチャパラメータセット(PPS(Picture Parameter Set))若しくはスライスヘッダ(SliceHeader)において規定されるようにしてもよい。もちろん、制御情報は任意の方法で伝送することができる。例えば、シーケンスパラメータセットやビデオパラメータセット等において規定されるようにしても良い。また、制御情報を画像データの符号化データとは別のデータとして伝送するようにしても良い。
ピクチャパラメータセットにより制御情報を伝送する場合の、エンハンスメントレイヤのピクチャパラメータセットのシンタクスの例を図13および図14に示す。
この例の場合、図13に示されるように、処理対象であるカレントレイヤ(すなわちエンハンスメントレイヤ)の領域分割が、他のレイヤ(すなわちベースレイヤ)の領域分割と同様であるかを示す情報としてtile_setting_from_ref_layer_flagが伝送される。この値が1である場合、エンハンスメントレイヤにおける領域分割(例えばタイル分割)の仕方が、ベースレイヤにおけるそれと同様であることを示す。
例えば、エンハンスメントレイヤの領域分割がベースレイヤの領域分割と同様である場合、エンハンスメントレイヤの復号において、ベースレイヤの領域分割情報を参照してエンハンスメントレイヤの領域分割を把握することができるので、エンハンスメントレイヤの領域分割に関する情報(例えば、図13のnum_tile_columns_minus1, num_tile_rows_minus1, uniform_spacing_flag等)の伝送が不要になる。したがって、符号化効率の低減を抑制することができる。
また、図14に示されるように、符号化に関する情報を参照する領域を制御するかを示す情報としてinter_layer_tile_prediction_restriction_flagが伝送される。その値が1である時、上述したような符号化に関する情報の参照を制御する制御情報が伝送される(図14の上から2行目乃至9行目)。なお、図14の例の場合、エンハンスメントレイヤが領域毎に符号化され、そのエンハンスメントレイヤの領域毎に、ベースレイヤのどの領域の符号化に関する情報を参照するかを制御する制御情報が伝送される。
このように、符号化に関する情報を参照する領域を制御するかを示す情報を伝送することにより、符号化に関する情報を参照する領域を制御しない場合に制御情報の伝送を省略する(符号化に関する情報を参照する領域を制御する場合のみ、制御情報を伝送するようにする)ことができる。したがって、符号化効率の低減を抑制することができる。
なお、図14の例の場合、エンハンスメントレイヤの処理対象であるカレント領域は、その領域アレイにおける横方向および縦方向の位置(i,j)によって指定される。また、その各領域毎に、参照先となるベースレイヤの領域の数(num_ref_tiles_minus1)とその領域とが指定される。さらに、参照先となるベースレイヤの領域は、識別番号(ref_tile[k])によって指定される。この識別番号は、ベースレイヤの各領域に対して、図12の例のようにラスタスキャン順に割り当てられたものである。
以上のような、エンハンスメントレイヤのカレント領域の指定と、参照先とされるベースレイヤの領域の指定は、上述した例以外の任意の方法で指定することもできる。例えば、エンハンスメントレイヤのカレント領域を、識別番号で指定するようにしてもよい。また、例えば、ベースレイヤの参照先とされる領域を、領域アレイにおける横方向および縦方向の位置(i,j)によって指定するようにしてもよいし、符号化データにおける領域データの位置を示す情報(例えば先頭からのオフセット値)によって指定するようにしてもよい。
スライスヘッダにより制御情報を伝送する場合の、エンハンスメントレイヤのスライスヘッダのシンタクスの例を図15乃至図17に示す。図15乃至図17に示されるように、スライスヘッダの場合も、図13および図14を参照して説明したピクチャパラメータセットの場合と同様の方法によって、制御情報が伝送される。
なお、図13乃至図17の例においては、領域としてタイルを例に説明したが、領域がスライスの場合も同様である。
また、上述したように、符号化に関する情報には、例えば、復号画像等のようなテクスチャ情報、動き情報やイントラ予測モード情報等のようなシンタクス情報が含まれる。つまり、例えば、他のレイヤの情報を参照して予測を行うレイヤ間予測(インターレイヤプレディクション(Inter-layer Prediction)とも称する)には、ベースレイヤの復号画像情報等のテクスチャ情報を予測に用いるレイヤ間テクスチャ予測(インターレイヤテクスチャプレディクション(Inter-layer texture prediction)とも称する)と、ベースレイヤの動き情報やイントラ予測モード情報等のシンタクス情報を予測に用いるレイヤ間シンタクス予測(インターレイヤシンタクスプレディクション(Inter-layer syntax prediction)とも称する)とがある。本技術は、各予測処理における符号化に関する情報の参照先の制御を、互いに独立に行うようにしてもよい。つまり、例えば、テクスチャ情報の参照先領域と、シンタクス領域の参照先領域とを、互いに独立に指定するようにしてもよい。
<2.第1の実施の形態>
<画像符号化装置>
次に、以上のような本技術を実現する装置とその方法について説明する。図18は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である、画像符号化装置を示す図である。図18に示される画像符号化装置100は、階層画像符号化を行う装置である。図18に示されるように、画像符号化装置100は、ベースレイヤ画像符号化部101、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102、および多重化部103を有する。
ベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤ画像を符号化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、エンハンスメントレイヤ画像を符号化し、エンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームを生成する。多重化部103は、ベースレイヤ画像符号化部101において生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102において生成されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとを多重化し、階層画像符号化ストリームを生成する。多重化部103は、生成した階層画像符号化ストリームを復号側に伝送する。
ベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤ画像の符号化において、カレントピクチャに対してタイルやスライス等の領域分割を行い、その領域(タイルやスライス等)毎に符号化を行う。また、ベースレイヤ画像符号化部101は、その符号化において得られたベースレイヤの符号化に関する情報を、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給する。
エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、エンハンスメントレイヤ画像の符号化において、カレントピクチャに対してタイルやスライス等の領域分割を行い、その領域(タイルやスライス等)毎に符号化を行う。その際、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、ベースレイヤの符号化に関する情報の参照先とする領域を制御する。より具体的には、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、エンハンスメントレイヤの各領域と、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域との紐付けを行い、その対応関係を示す制御情報を生成する。
エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、その制御情報の制御に従って、ベースレイヤの符号化に関する情報の参照を適宜行い、エンハンスメントレイヤ画像を符号化する。また、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、その制御情報を、多重化部103を介して(階層画像符号化ストリームとして)、復号側に伝送する。
<ベースレイヤ画像符号化部>
図19は、図18のベースレイヤ画像符号化部101の主な構成例を示すブロック図である。図19に示されるように、ベースレイヤ画像符号化部101は、A/D変換部111、画面並べ替えバッファ112、演算部113、直交変換部114、量子化部115、可逆符号化部116、蓄積バッファ117、逆量子化部118、および逆直交変換部119を有する。また、ベースレイヤ画像符号化部101は、演算部120、ループフィルタ121、フレームメモリ122、選択部123、イントラ予測部124、インター予測部125、予測画像選択部126、およびレート制御部127を有する。さらに、ベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤ領域分割設定部128を有する。
A/D変換部111は、入力された画像データ(ベースレイヤ画像情報)をA/D変換し、変換後の画像データ(デジタルデータ)を、画面並べ替えバッファ112に供給し、記憶させる。画面並べ替えバッファ112は、記憶した表示の順番のフレームの画像を、GOP(Group Of Picture)に応じて、符号化のためのフレームの順番に並べ替え、フレームの順番を並び替えた画像を、演算部113に供給する。また、画面並べ替えバッファ112は、フレームの順番を並び替えた画像を、イントラ予測部124およびインター予測部125にも供給する。
演算部113は、画面並べ替えバッファ112から読み出された画像から、予測画像選択部126を介してイントラ予測部124若しくはインター予測部125から供給される予測画像を減算し、その差分情報を直交変換部114に出力する。例えば、イントラ符号化が行われる画像の場合、演算部113は、画面並べ替えバッファ112から読み出された画像から、イントラ予測部124から供給される予測画像を減算する。また、例えば、インター符号化が行われる画像の場合、演算部113は、画面並べ替えバッファ112から読み出された画像から、インター予測部125から供給される予測画像を減算する。
直交変換部114は、演算部113から供給される差分情報に対して、離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換を施す。直交変換部114は、その変換係数を量子化部115に供給する。
量子化部115は、直交変換部114から供給される変換係数を量子化する。量子化部115は、レート制御部127から供給される符号量の目標値に関する情報に基づいて量子化パラメータを設定し、その量子化を行う。量子化部115は、量子化された変換係数を可逆符号化部116に供給する。
可逆符号化部116は、量子化部115において量子化された変換係数を任意の符号化方式で符号化する。係数データは、レート制御部127の制御の下で量子化されているので、この符号量は、レート制御部127が設定した目標値となる(若しくは目標値に近似する)。
また、可逆符号化部116は、イントラ予測のモードを示す情報などをイントラ予測部124から取得し、インター予測のモードを示す情報や差分動きベクトル情報などをインター予測部125から取得する。さらに、可逆符号化部116は、シーケンスパラメータセット(SPS)、およびピクチャパラメータセット(PPS)等を含むベースレイヤのNALユニットを適宜生成する。
また、可逆符号化部116は、ベースレイヤ領域分割設定部により設定されたベースレイヤの領域(例えばタイルやスライス等)分割に関する情報(ベースレイヤ領域分割情報とも称する)を符号化する。
可逆符号化部116は、これらの各種情報を任意の符号化方式で符号化し、符号化データ(符号化ストリームとも称する)の一部とする(多重化する)。可逆符号化部116は、符号化して得られた符号化データを蓄積バッファ117に供給して蓄積させる。
可逆符号化部116の符号化方式としては、例えば、可変長符号化または算術符号化等が挙げられる。可変長符号化としては、例えば、H.264/AVC方式で定められているCAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)などが挙げられる。算術符号化としては、例えば、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)などが挙げられる。
蓄積バッファ117は、可逆符号化部116から供給された符号化データ(ベースレイヤ符号化データ)を、一時的に保持する。蓄積バッファ117は、所定のタイミングにおいて、保持しているベースレイヤ符号化データを、例えば、後段の図示せぬ記録装置(記録媒体)や伝送路などに出力する。すなわち、蓄積バッファ117は、符号化データを伝送する伝送部でもある。
また、量子化部115において量子化された変換係数は、逆量子化部118にも供給される。逆量子化部118は、その量子化された変換係数を、量子化部115による量子化に対応する方法で逆量子化する。逆量子化部118は、得られた変換係数を、逆直交変換部119に供給する。
逆直交変換部119は、逆量子化部118から供給された変換係数を、直交変換部114による直交変換処理に対応する方法で逆直交変換する。逆直交変換された出力(復元された差分情報)は、演算部120に供給される。
演算部120は、逆直交変換部119から供給された逆直交変換結果である、復元された差分情報に、予測画像選択部126を介してイントラ予測部124若しくはインター予測部125からの予測画像を加算し、局部的に復号された画像(復号画像)を得る。その復号画像は、ループフィルタ121またはフレームメモリ122に供給される。
ループフィルタ121は、デブロックフィルタや適応ループフィルタ等を含み、演算部120から供給される再構成画像に対して適宜フィルタ処理を行う。例えば、ループフィルタ121は、再構成画像に対してデブロックフィルタ処理を行うことにより再構成画像のブロック歪を除去する。また、例えば、ループフィルタ121は、そのデブロックフィルタ処理結果(ブロック歪みの除去が行われた再構成画像)に対して、ウィナーフィルタ(Wiener Filter)を用いてループフィルタ処理を行うことにより画質改善を行う。ループフィルタ121は、フィルタ処理結果(以下、復号画像と称する)をフレームメモリ122に供給する。
なお、ループフィルタ121が、再構成画像に対してさらに、他の任意のフィルタ処理を行うようにしてもよい。また、ループフィルタ121は、必要に応じて、フィルタ処理に用いたフィルタ係数等の情報を可逆符号化部116に供給し、それを符号化させるようにすることもできる。
フレームメモリ122は、供給される復号画像を記憶し、所定のタイミングにおいて、記憶している復号画像を参照画像として、選択部123に供給する。
より具体的には、フレームメモリ122は、演算部120から供給される再構成画像と、ループフィルタ121から供給される復号画像とをそれぞれ記憶する。フレームメモリ122は、所定のタイミングにおいて、若しくは、イントラ予測部124等の外部からの要求に基づいて、記憶している再構成画像を、選択部123を介してイントラ予測部124に供給する。また、フレームメモリ122は、所定のタイミングにおいて、若しくは、インター予測部125等の外部からの要求に基づいて、記憶している復号画像を、選択部123を介して、インター予測部125に供給する。
選択部123は、フレームメモリ122から供給される参照画像の供給先を選択する。例えば、イントラ予測の場合、選択部123は、フレームメモリ122から供給される参照画像(カレントピクチャ内の画素値)をイントラ予測部124に供給する。また、例えば、インター予測の場合、選択部123は、フレームメモリ122から供給される参照画像をインター予測部125に供給する。
イントラ予測部124は、処理対象のフレームの画像であるカレントピクチャについて、予測処理を行い、予測画像を生成する。イントラ予測部124は、この予測処理を、所定のブロック毎に(ブロックを処理単位として)行う。つまり、イントラ予測部124は、カレントピクチャの、処理対象であるカレントブロックの予測画像を生成する。その際、イントラ予測部124は、選択部123を介してフレームメモリ122から参照画像として供給される再構成画像を用いて予測処理(画面内予測(イントラ予測とも称する))を行う。つまり、イントラ予測部124は、再構成画像に含まれる、カレントブロックの周辺の画素値を用いて予測画像を生成する。このイントラ予測に利用される周辺画素値は、カレントピクチャの、過去に処理された画素の画素値である。このイントラ予測には(すなわち、予測画像の生成の仕方には)、複数の方法(イントラ予測モードとも称する)が、候補として予め用意されている。イントラ予測部124は、この予め用意された複数のイントラ予測モードでこのイントラ予測を行う。
イントラ予測部124は、候補となる全てのイントラ予測モードで予測画像を生成し、画面並べ替えバッファ112から供給される入力画像を用いて各予測画像のコスト関数値を評価し、最適なモードを選択する。イントラ予測部124は、最適なイントラ予測モードを選択すると、その最適なモードで生成された予測画像を、予測画像選択部126に供給する。
また、上述したように、イントラ予測部124は、採用されたイントラ予測モードを示すイントラ予測モード情報等を、適宜可逆符号化部116に供給し、符号化させる。
インター予測部125は、カレントピクチャについて、予測処理を行い、予測画像を生成する。インター予測部125は、この予測処理を、所定のブロック毎に(ブロックを処理単位として)行う。つまり、インター予測部125は、カレントピクチャの、処理対象であるカレントブロックの予測画像を生成する。その際、インター予測部125は、画面並べ替えバッファ112から供給される入力画像の画像データと、フレームメモリ122から参照画像として供給される復号画像の画像データとを用いて、予測処理を行う。この復号画像は、カレントピクチャより前に処理されたフレームの画像(カレントピクチャでない他のピクチャ)である。つまり、インター予測部125は、他のピクチャの画像を用いて予測画像を生成する予測処理(画面間予測(インター予測とも称する))を行う。
このインター予測は、動き予測と動き補償よりなる。より具体的には、インター予測部125は、入力画像と参照画像を用いて、カレントブロックについて動き予測を行い、動きベクトルを検出する。そして、インター予測部125は、参照画像を用いて、検出された動きベクトルに応じて動き補償処理を行い、カレントブロックの予測画像(インター予測画像情報)を生成する。このインター予測には(すなわち、予測画像の生成の仕方には)、複数の方法(インター予測モードとも称する)が、候補として予め用意されている。インター予測部125は、この予め用意された複数のインター予測モードでこのようなインター予測を行う。
インター予測部125は、候補となる全てのインター予測モードで予測画像を生成する。インター予測部125は、画面並べ替えバッファ112から供給される入力画像と、生成した差分動きベクトルの情報などを用いて、各予測画像のコスト関数値を評価し、最適なモードを選択する。インター予測部125は、最適なインター予測モードを選択すると、その最適なモードで生成された予測画像を、予測画像選択部126に供給する。
インター予測部125は、採用されたインター予測モードを示す情報や、符号化データを復号する際に、そのインター予測モードで処理を行うために必要な情報等を可逆符号化部116に供給し、符号化させる。必要な情報としては、例えば、生成された差分動きベクトルの情報や、予測動きベクトル情報として予測動きベクトルのインデックスを示すフラグなどがある。
予測画像選択部126は、演算部113や演算部120に供給する予測画像の供給元を選択する。例えば、イントラ符号化の場合、予測画像選択部126は、予測画像の供給元としてイントラ予測部124を選択し、そのイントラ予測部124から供給される予測画像を演算部113や演算部120に供給する。また、例えば、インター符号化の場合、予測画像選択部126は、予測画像の供給元としてインター予測部125を選択し、そのインター予測部125から供給される予測画像を演算部113や演算部120に供給する。
レート制御部127は、蓄積バッファ117に蓄積された符号化データの符号量に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部115の量子化動作のレートを制御する。
ベースレイヤ領域分割設定部128は、ベースレイヤのピクチャについて領域分割(例えば、タイルやスライス等)を設定する。ベースレイヤ領域分割設定部128は、この設定を、ベースレイヤ領域分割情報として、ベースレイヤ画像符号化部101の各部に供給する。ベースレイヤ画像符号化部101の各部は、このベースレイヤ領域分割情報に示される領域毎に処理を実行する。各領域の符号化は互いに独立に処理される。したがって、例えば、複数のCPUを用いて、各領域の符号化を並列処理化することもできる。
なお、ベースレイヤ画像符号化部101は、他のレイヤを参照せずに符号化を行う。つまり、イントラ予測部124およびインター予測部125は、他のレイヤの符号化に関する情報を参照しない。
また、フレームメモリ122は、記憶しているベースレイヤの復号画像の画像データを、ベースレイヤの符号化に関する情報として、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給する。
同様に、イントラ予測部124は、イントラ予測モード情報等を、ベースレイヤの符号化に関する情報として、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給する。
同様に、インター予測部125は、動き情報等を、ベースレイヤの符号化に関する情報として、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給する。
さらに、ベースレイヤ領域分割設定部128は、ベースレイヤ領域分割情報を、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102にも供給する。
<エンハンスメントレイヤ画像符号化部>
図20は、図18のエンハンスメントレイヤ画像符号化部102の主な構成例を示すブロック図である。図20に示されるように、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、図19のベースレイヤ画像符号化部101と基本的に同様の構成を有する。
つまり、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、図20に示されるように、A/D変換部131、画面並べ替えバッファ132、演算部133、直交変換部134、量子化部135、可逆符号化部136、蓄積バッファ137、逆量子化部138、および逆直交変換部139を有する。また、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、演算部140、ループフィルタ141、フレームメモリ142、選択部143、イントラ予測部144、インター予測部145、予測画像選択部146、およびレート制御部147を有する。
これらのA/D変換部131乃至レート制御部147は、図19のA/D変換部111乃至レート制御部127に対応し、それぞれ、対応する処理部と同様の処理を行う。ただし、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102の各部は、ベースレイヤではなく、エンハンスメントレイヤ画像情報の符号化についての処理を行う。したがって、A/D変換部131乃至レート制御部147の処理の説明として、上述した図19のA/D変換部111乃至レート制御部127についての説明を適用することができるが、その場合、処理するデータは、ベースレイヤのデータではなく、エンハンスメントレイヤのデータであるものとする必要がある。また、データの入力元や出力先の処理部は、適宜、A/D変換部131乃至レート制御部147の対応する処理部に置き換えて読む必要がある。
また、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、ベースレイヤ領域分割設定部128を有しておらず、領域シンクロ部148およびアップサンプル部149を有する。
領域シンクロ部148は、エンハンスメントレイヤのピクチャについて領域分割(例えば、タイルやスライス等)を設定する。領域シンクロ部148は、この設定を、エンハンスメントレイヤ領域分割情報として、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102の各部に供給する。
また、領域シンクロ部148は、エンハンスメントレイヤの符号化における、ベースレイヤの符号化に関する情報を参照する領域を制御する。例えば、領域シンクロ部148は、ベースレイヤの符号化に関する情報を参照する領域を制御する制御情報を生成し、その制御情報に応じて、イントラ予測部144やインター予測部145を制御する。つまり、領域シンクロ部148は、イントラ予測部144やインター予測部145がレイヤ間予測を行う際の、符号化に関する情報を参照するベースレイヤの領域を制御する。
さらに、領域シンクロ部148は、その制御情報を可逆符号化部136に供給し、符号化させ、復号側に伝送させる。
なお、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、他のレイヤ(例えばベースレイヤ)の符号化に関する情報を参照して符号化を行う。
領域シンクロ部148は、ベースレイヤ画像符号化部101から供給されるベースレイヤ領域分割情報を取得する。領域シンクロ部148は、このベースレイヤ領域分割情報を用いて、上述した制御情報を生成する。
アップサンプル部149は、ベースレイヤ画像符号化部101から供給されるベースレイヤの符号化に関する情報を取得する。例えば、アップサンプル部149は、ベースレイヤの復号画像(ベースレイヤ復号画像とも称する)等のテクスチャ情報を、符号化に関する情報として取得する。また、例えば、レイヤ間のシンタクス予測処理(インターレイヤプレディクション)が行われる場合、アップサンプル部149は、ベースレイヤの動き情報やイントラ予測モード情報等のシンタクス情報も符号化に関する情報として取得する。
アップサンプル部149は、このように取得したベースレイヤの符号化に関する情報を、アップサンプル処理する。階層符号化ではレイヤ間で、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータ(例えば解像度等)の値が互いに異なる。そのため、アップサンプル部149は、そのパラメータの値をエンハンスメントレイヤ基準に換算するように、ベースレイヤの符号化に関する情報をアップサンプル処理する(スケーラブルなパラメータの変換処理を行う)。このようにアップサンプル処理されることにより、ベースレイヤの符号化に関する情報は、エンハンスメントレイヤの符号化において利用することができるようになる。
アップサンプル部149は、アップサンプル処理されたベースレイヤの符号化に関する情報を、フレームメモリ142に供給し、記憶させる。このベースレイヤの符号化に関する情報は、例えば参照画像として、イントラ予測部144やインター予測部145に供給される。なお、シンタクス情報も同様に、イントラ予測部144やインター予測部145に供給される。
<領域シンクロ部>
図21は、図20の領域シンクロ部148の主な構成例を示すブロック図である。
図21に示されるように、領域シンクロ部148は、ベースレイヤ領域分割情報バッファ171、エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172、および領域シンクロ設定部173を有する。
ベースレイヤ領域分割情報バッファ171は、ベースレイヤ画像符号化部101から供給されるベースレイヤ領域分割情報を取得し、保持する。ベースレイヤ領域分割情報バッファ171は、所定のタイミングにおいて、若しくは、領域シンクロ設定部173等の外部からの要求に従って、保持しているベースレイヤ領域分割情報を領域シンクロ設定部173に供給する。
エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、エンハンスメントレイヤのピクチャの領域分割(例えば、タイルやスライス等)を設定する。この領域分割の設定方法は任意である。例えば、ユーザやアプリケーション等が設定しても良いし、予め定められていても良い。また、エンハンスメントレイヤの領域分割は、ベースレイヤの領域分割と同様であっても良いし、異なっていても良い。
エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、この設定を、エンハンスメントレイヤ領域分割情報として、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102の各部に供給する。エンハンスメントレイヤ画像符号化部102の各部は、このエンハンスメントレイヤ領域分割情報に示される領域毎に処理を実行する。各領域の符号化は互いに独立に処理される。したがって、例えば、複数のCPUを用いて、各領域の符号化を並列処理化することもできる。
また、エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、生成したエンハンスメントレイヤ領域分割情報を、領域シンクロ設定部173にも供給する。
さらに、エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、生成したエンハンスメントレイヤ領域分割情報を、可逆符号化部136に供給し、符号化させ、復号側に伝送させる。これにより、復号側においてこの情報を参照して復号を行うことができるようになるので、復号の負荷を低減させることができる。
領域シンクロ設定部173は、供給されるベースレイヤ領域分割情報およびエンハンスメントレイヤ分割情報を用いて、レイヤ間の領域の対応付けを行う。つまり、領域シンクロ設定部173は、エンハンスメントレイヤの各領域に対して、その符号化の際にベースレイヤの符号化に関する情報を参照する領域を設定する。
領域シンクロ設定部173は、この設定を示すシンクロ領域情報を生成する。このシンクロ領域情報は、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域を制御するものであれば、どのような仕様の情報であっても構わない。例えば、エンハンスメントレイヤの各領域に対して、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域を対応付ける情報であってもよい。例えば、<1.本技術の主な説明>において上述したシンタクスのような情報であっても良い。
なお、この設定方法は任意である。つまり、イントラ予測部144やインター予測部145にどの領域を参照させるかは、任意の方法により決定される。例えば、ユーザやアプリケーション等が設定しても良いし、予め定められていても良い。
領域シンクロ設定部173は、生成したシンクロ領域情報を用いて、処理対象であるカレント領域が符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域を特定し、フレームメモリ142に記憶されるアップサンプル処理された符号化に関する情報(例えば参照画像等のテクスチャ情報、若しくは、動き情報やイントラ予測モード情報等のシンタクス情報)のデータにおけるその領域のデータの位置(アドレス)を示すシンクロアドレス情報を生成し、そのシンクロアドレス情報をイントラ予測部144やインター予測部145に供給する。
イントラ予測部144やインター予測部145は、このシンクロアドレス情報に従ってレイヤ間予測を行うので、ベースレイヤのピクチャの一部の領域のみを参照先とすることができ、フレームメモリ142へのアクセス数の増大を抑制することができる。つまり、領域シンクロ設定部173は、このような処理を行うことにより、符号化の負荷の増大を抑制することができる。
なお、領域シンクロ設定部173は、生成したシンクロ領域情報を、可逆符号化部136に供給し、符号化させ、復号側に伝送させる。これにより、復号側においてこのシンクロ領域情報を参照して復号を行うことができるようになるので、復号においても同様にメモリへのアクセス数の増大を抑制することができ、復号の負荷を低減させることができる。
<画像符号化処理の流れ>
次に、以上のような画像符号化装置100により実行される各処理の流れについて説明する。最初に、図22のフローチャートを参照して、画像符号化処理の流れの例を説明する。
画像符号化処理が開始されると、ステップS101において、画像符号化装置100のベースレイヤ画像符号化部101は、ベースレイヤの画像データを符号化する。
ステップS102において、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102は、エンハンスメントレイヤの画像データを符号化する。
ステップS103において、多重化部103は、ステップS101の処理により生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、ステップS102の処理により生成されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとを(すなわち、各レイヤのビットストリームを)多重化し、1系統の階層画像符号化ストリームを生成する。
ステップS103の処理が終了すると、画像符号化装置100は、画像符号化処理を終了する。このような画像符号化処理により1ピクチャが処理される。したがって、画像符号化装置100は、このような画像符号化処理を階層化された動画像データの各ピクチャについて繰り返し実行する。
<ベースレイヤ符号化処理の流れ>
次に、図22のステップS101において、ベースレイヤ画像符号化部101により実行されるベースレイヤ符号化処理の流れの例を、図23のフローチャートを参照して説明する。
ベースレイヤ符号化処理が開始されると、ベースレイヤ画像符号化部101のベースレイヤ領域分割設定部128は、ステップS121において、所定の方法でベースレイヤの領域分割を決定し、ベースレイヤ領域分割情報を生成する。また、ベースレイヤ領域分割設定部128は、そのベースレイヤ領域分割情報を、ベースレイヤ画像符号化部101の各部に供給する。
ステップS122において、ベースレイヤ領域分割設定部128は、ステップS121において生成されたベースレイヤ領域分割情報を可逆符号化部116に供給し、伝送させる。
以降の各処理は、ステップS121において設定された領域毎に実行される。つまり、各処理は、その領域、若しくは、その領域よりも小さい所定の単位を処理単位として実行される。
ステップS123において、A/D変換部111は、入力された動画像の各フレーム(ピクチャ)の画像をA/D変換する。
ステップS124において、画面並べ替えバッファ112は、ステップS123においてA/D変換された画像を記憶し、各ピクチャの表示する順番から符号化する順番への並べ替えを行う。
ステップS125において、イントラ予測部124は、イントラ予測モードのイントラ予測処理を行う。
ステップS126において、インター予測部125は、インター予測モードでの動き予測や動き補償等を行うインター予測処理を行う。
ステップS127において、予測画像選択部126は、コスト関数値等に基づいて、予測画像を選択する。つまり、予測画像選択部126は、ステップS125のイントラ予測により生成された予測画像と、ステップS126のインター予測により生成された予測画像のいずれか一方を選択する。
ステップS128において、演算部113は、ステップS124の処理によりフレーム順を並び替えられた入力画像と、ステップS127の処理により選択された予測画像との差分を演算する。つまり、演算部113は、入力画像と予測画像との差分画像の画像データを生成する。このようにして求められた差分画像の画像データは、元の画像データに比べてデータ量が低減される。したがって、画像をそのまま符号化する場合に較べて、データ量を圧縮することができる。
ステップS129において、直交変換部114は、ステップS128の処理により生成された差分画像の画像データを直交変換する。
ステップS130において、量子化部115は、レート制御部127により算出された量子化パラメータを用いて、ステップS129の処理により得られた直交変換係数を量子化する。
ステップS131において、逆量子化部118は、ステップS130の処理により生成された量子化された係数(量子化係数とも称する)を、量子化部115の特性に対応する特性で逆量子化する。
ステップS132において、逆直交変換部119は、ステップS131の処理により得られた直交変換係数を逆直交変換する。
ステップS133において、演算部120は、ステップS132の処理により復元された差分画像に、ステップS127の処理により選択された予測画像を加算することにより、再構成画像の画像データを生成する。
ステップS134においてループフィルタ121は、ステップS133の処理により生成された再構成画像の画像データにループフィルタ処理を行う。これにより、再構成画像のブロック歪み等が除去される。
ステップS135において、フレームメモリ122は、ステップS134の処理により得られた復号画像やステップS133の処理により得られた再構成画像等のデータを記憶する。
ステップS136において、可逆符号化部116は、ステップS130の処理により得られた、量子化された係数を符号化する。すなわち、差分画像に対応するデータに対して、可変長符号化や算術符号化等の可逆符号化が行われる。
また、このとき、可逆符号化部116は、ステップS127の処理により選択された予測画像の予測モードに関する情報を符号化し、差分画像を符号化して得られる符号化データに付加する。つまり、可逆符号化部116は、イントラ予測部124から供給される最適イントラ予測モード情報、または、インター予測部125から供給される最適インター予測モードに応じた情報なども符号化し、符号化データに付加する。
さらに、可逆符号化部116は、各種ナルユニット等のシンタクス要素も設定し、符号化し、符号化データに付加する。
ステップS137において蓄積バッファ117は、ステップS136の処理により得られた符号化データを蓄積する。蓄積バッファ117に蓄積された符号化データは、適宜読み出され、伝送路や記録媒体を介して復号側に伝送される。
ステップS138においてレート制御部127は、ステップS137の処理により蓄積バッファ117に蓄積された符号化データの符号量(発生符号量)に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部115の量子化動作のレートを制御する。また、レート制御部127は、量子化パラメータに関する情報を、量子化部115に供給する。
ステップS139において、フレームメモリ122、イントラ予測部124、インター予測部125、およびベースレイヤ領域分割設定部128は、以上のようなベースレイヤ符号化処理において得られたベースレイヤの符号化に関する情報を、エンハンスメントレイヤの符号化処理に供給する。
ステップS139の処理が終了すると、ベースレイヤ符号化処理が終了し、処理は図22に戻る。
<エンハンスメントレイヤ符号化処理の流れ>
次に、図22のステップS102において、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102により実行されるエンハンスメントレイヤ符号化処理の流れの例を、図24および図25のフローチャートを参照して説明する。
エンハンスメントレイヤ符号化処理が開始されると、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102のベースレイヤ領域分割情報バッファ171は、ステップS151において、ベースレイヤ符号化処理において生成され、供給されるベースレイヤ領域分割情報を取得する。
ステップS152において、アップサンプル部149は、ベースレイヤ符号化処理において生成され、供給されるベースレイヤ復号画像(つまりテクスチャ情報)を符号化に関する情報として取得する。なお、インターレイヤシンタクスプレディクションが行われる場合、アップサンプル部149は、ベースレイヤ符号化処理において生成され、供給されるシンタクス情報も符号化に関する情報として取得する。
ステップS153において、アップサンプル部149は、ステップS152において取得したベースレイヤの符号化に関する情報(例えば、ベースレイヤ復号画像)をアップサンプル処理する。
ステップS154において、フレームメモリ142は、ステップS153の処理によりアップサンプル処理されたベースレイヤの符号化に関する情報(例えば、ベースレイヤ復号画像)を記憶する。
ステップS155において、エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、所定の方法でエンハンスメントレイヤの領域分割を決定し、エンハンスメントレイヤ領域分割情報を生成する。また、エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、そのエンハンスメントレイヤ領域分割情報を、エンハンスメントレイヤ画像符号化部102の各部に供給する。
ステップS156において、領域シンクロ設定部173は、ステップS151において取得されたベースレイヤ領域分割情報と、ステップS155において生成されたエンハンスメントレイヤ領域分割情報とを用いて、所定の方法で、シンクロ領域情報を生成する。つまり、領域シンクロ設定部173は、エンハンスメントレイヤの各領域について、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域を設定する。
ステップS157において、領域シンクロ設定部173は、ステップS156の処理により生成されたシンクロ領域情報を用いて、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域のデータを示すシンクロアドレス情報を生成する。
ステップS158において、領域シンクロ設定部173は、ステップS156の処理により生成されたシンクロ領域情報を可逆符号化部136に供給し、伝送させる。また、エンハンスメントレイヤ領域分割設定部172は、ステップS155の処理により生成されたエンハンスメントレイヤ領域分割情報を可逆符号化部136に供給し、伝送させる。
ステップS158の処理が終了すると、処理は、図25のステップS161に進む。
以降の各処理は、ステップS155において設定された領域毎に実行される。つまり、各処理は、その領域、若しくは、その領域よりも小さい所定の単位を処理単位として実行される。
図25のステップS161乃至ステップS176の各処理は、図23のステップS123乃至ステップS138の各処理に対応し、それらの処理と同様に実行される。
ステップS176の処理が終了すると、エンハンスメントレイヤ符号化処理が終了し、処理は、図22に戻る。
以上のように各処理を実行することにより、画像符号化装置100は、レイヤ間予測において他のレイヤの符号化に関する情報を参照するためのメモリアクセスを低減し、符号化・復号の負荷の増大を抑制することができる。
<3.第2の実施の形態>
<画像復号装置>
次に、以上のように符号化された符号化データの復号について説明する。図26は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である、図18の画像符号化装置100に対応する画像復号装置の主な構成例を示すブロック図である。
図26に示される画像復号装置200は、画像符号化装置100が生成した符号化データを、その符号化方法に対応する復号方法で復号する(すなわち、階層符号化された符号化データを階層復号する)。
図26に示されるように、画像復号装置200は、逆多重化部201、ベースレイヤ画像復号部202、およびエンハンスメントレイヤ画像復号部203を有する。
逆多重化部201は、符号化側から伝送された、ベースレイヤ画像符号化ストリームとエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとが多重化された階層画像符号化ストリームを受け取り、それを逆多重化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームと、エンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームとを抽出する。
ベースレイヤ画像復号部202は、逆多重化部201により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ベースレイヤ画像を得る。その際、ベースレイヤ画像復号部202は、符号化側から供給されるベースレイヤ領域分割情報に基づいて、符号化側において設定された領域(タイルやスライス等)毎に復号を行う。
エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、逆多重化部201により抽出されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームを復号し、エンハンスメントレイヤ画像を得る。その際、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、符号化側から供給されるエンハンスメントレイヤ領域分割情報に基づいて、符号化側において設定された領域(タイルやスライス等)毎に復号を行う。
また、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、符号化側から供給される、エンハンスメントレイヤの各領域の、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域を制御する制御情報であるシンクロ領域情報を利用して、レイヤ間予測を行う。つまり、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、エンハンスメントレイヤの復号において、レイヤ間予測を行う場合、シンクロ領域情報により指定されるベースレイヤの領域の符号化に関する情報を参照する。
<ベースレイヤ画像復号部>
図27は、図26のベースレイヤ画像復号部202の主な構成例を示すブロック図である。図27に示されるようにベースレイヤ画像復号部202は、蓄積バッファ211、可逆復号部212、逆量子化部213、逆直交変換部214、演算部215、ループフィルタ216、画面並べ替えバッファ217、およびD/A変換部218を有する。また、ベースレイヤ画像復号部202は、フレームメモリ219、選択部220、イントラ予測部221、インター予測部222、および予測画像選択部223を有する。
蓄積バッファ211は、伝送されてきた符号化データを受け取る受け取り部でもある。蓄積バッファ211は、伝送されてきた符号化データを受け取って、蓄積し、所定のタイミングにおいてその符号化データを可逆復号部212に供給する。符号化データには、予測モード情報などの復号に必要な情報が付加されている。可逆復号部212は、蓄積バッファ211より供給された、可逆符号化部116により符号化された情報を、その符号化方式に対応する復号方式で復号する。可逆復号部212は、復号して得られた差分画像の量子化された係数データを、逆量子化部213に供給する。
また、可逆復号部212は、最適な予測モードにイントラ予測モードが選択されたかインター予測モードが選択されたかを判定し、その最適な予測モードに関する情報を、イントラ予測部221およびインター予測部222の内、選択されたと判定したモードの方に供給する。つまり、例えば、符号化側において最適な予測モードとしてイントラ予測モードが選択された場合、その最適な予測モードに関する情報がイントラ予測部221に供給される。また、例えば、符号化側において最適な予測モードとしてインター予測モードが選択された場合、その最適な予測モードに関する情報がインター予測部222に供給される。
さらに、可逆復号部212は、例えば、量子化行列や量子化パラメータ等の、逆量子化に必要な情報を逆量子化部213に供給する。
また、可逆復号部212は、符号化側から供給されたベースレイヤ領域分割情報を、ベースレイヤ画像復号部202の各処理部に供給する。ベースレイヤ画像復号部202の各部は、このベースレイヤ領域分割情報に示される領域毎に処理を実行する。各領域の復号は互いに独立に処理される。したがって、例えば、複数のCPUを用いて、各領域の復号を並列処理化することもできる。
逆量子化部213は、可逆復号部212により復号されて得られた量子化された係数データを、量子化部115の量子化方式に対応する方式で逆量子化する。なお、この逆量子化部213は、逆量子化部118と同様の処理部である。つまり、逆量子化部213の説明は、逆量子化部118にも準用することができる。ただし、データの入力元や出力先等は、ベースレイヤ画像復号部202の各処理部に置き換えて読む必要がある。
逆量子化部213は、得られた係数データを逆直交変換部214に供給する。
逆直交変換部214は、逆量子化部213から供給される直交変換係数を、必要に応じて、直交変換部114の直交変換方式に対応する方式で逆直交変換する。なお、この逆直交変換部214は、逆直交変換部119と同様の処理部である。つまり、逆直交変換部214の説明は、逆直交変換部119にも準用することができる。ただし、データの入力元や出力先等は、ベースレイヤ画像復号部202の各処理部に置き換えて読む必要がある。
この逆直交変換処理により差分画像の画像データが復元される。この復元された差分画像の画像データは、画像符号化装置において直交変換される前の差分画像の画像データに対応する。以下においては、この、逆直交変換部214の逆直交変換処理により得られた、復元された差分画像の画像データを、復号残差データとも称する。逆直交変換部214は、この復号残差データを、演算部215に供給する。また、演算部215には、予測画像選択部223を介して、イントラ予測部221若しくはインター予測部222から予測画像の画像データが供給される。
演算部215は、この復号残差データと予測画像の画像データとを用いて、差分画像と予測画像とを加算した再構成画像の画像データを得る。この再構成画像は、演算部113により予測画像が減算される前の入力画像に対応する。演算部215は、その再構成画像をループフィルタ216に供給する。
ループフィルタ216は、供給された再構成画像に対して、デブロックフィルタ処理や適応ループフィルタ処理等を含むループフィルタ処理を適宜施して復号画像を生成する。例えば、ループフィルタ216は、再構成画像に対してデブロックフィルタ処理を行うことにより、ブロック歪を除去する。また、例えば、ループフィルタ216は、そのデブロックフィルタ処理結果(ブロック歪みの除去が行われた再構成画像)に対して、ウィナーフィルタ(Wiener Filter)を用いてループフィルタ処理を行うことにより画質改善を行う。
なお、ループフィルタ216が行うフィルタ処理の種類は任意であり、上述した以外のフィルタ処理を行ってもよい。また、ループフィルタ216が、画像符号化装置から供給されたフィルタ係数を用いてフィルタ処理を行うようにしてもよい。さらに、ループフィルタ216が、このようなフィルタ処理を省略し、入力されたデータをフィルタ処理せずに出力することもできる。
ループフィルタ216は、フィルタ処理結果である復号画像(若しくは再構成画像)を画面並べ替えバッファ217およびフレームメモリ219に供給する。
画面並べ替えバッファ217は、復号画像についてフレームの順番の並べ替えを行う。すなわち、画面並べ替えバッファ217は、画面並べ替えバッファ112により符号化順に並べ替えられた各フレームの画像を、元の表示順に並べ替える。つまり、画面並べ替えバッファ217は、符号化順に供給される各フレームの復号画像の画像データを、その順に記憶し、符号化順に記憶した各フレームの復号画像の画像データを、表示順に読み出してD/A変換部218に供給する。D/A変換部218は、画面並べ替えバッファ217から供給された各フレームの復号画像(デジタルデータ)をD/A変換し、アナログデータとして、図示せぬディスプレイに出力し、表示させる。
フレームメモリ219は、供給される復号画像を記憶し、所定のタイミングにおいて、若しくは、イントラ予測部221やインター予測部222等の外部の要求に基づいて、記憶している復号画像を参照画像として、選択部220を介してイントラ予測部221やインター予測部222に供給する。
イントラ予測部221には、イントラ予測モード情報等が可逆復号部212から適宜供給される。イントラ予測部221は、イントラ予測部124において用いられたイントラ予測モード(最適イントラ予測モード)でイントラ予測を行い、予測画像を生成する。その際、イントラ予測部221は、選択部220を介してフレームメモリ219から供給される再構成画像の画像データを用いてイントラ予測を行う。すなわち、イントラ予測部221は、この再構成画像を参照画像(周辺画素)として利用する。イントラ予測部221は、生成した予測画像を予測画像選択部223に供給する。
インター予測部222には、最適予測モード情報や動き情報等が可逆復号部212から適宜供給される。インター予測部222は、可逆復号部212から取得された最適予測モード情報が示すインター予測モード(最適インター予測モード)で、フレームメモリ219から取得した復号画像(参照画像)を用いてインター予測を行い、予測画像を生成する。
予測画像選択部223は、イントラ予測部221から供給される予測画像またはインター予測部222から供給される予測画像を、演算部215に供給する。そして、演算部215においては、その予測画像と逆直交変換部214からの復号残差データ(差分画像情報)とが加算されて再構成画像が得られる。
なお、ベースレイヤ画像復号部202は、他のレイヤを参照せずに復号を行う。つまり、イントラ予測部221およびインター予測部222は、他のレイヤの符号化に関する情報を参照しない。
また、フレームメモリ219は、記憶しているベースレイヤの復号画像の画像データを、ベースレイヤの符号化に関する情報として、エンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給する。
同様に、イントラ予測部221は、イントラ予測モード情報等を、ベースレイヤの符号化に関する情報として、エンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給する。
同様に、インター予測部222は、動き情報等を、ベースレイヤの符号化に関する情報として、エンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給する。
さらに、イントラ予測部221若しくはインター予測部222(または、可逆復号部212等、ベースレイヤ画像復号部202の任意の処理部)は、ベースレイヤ領域分割情報を、エンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給する。
<エンハンスメントレイヤ画像復号部>
図28は、図26のエンハンスメントレイヤ画像復号部203の主な構成例を示すブロック図である。図28に示されるように、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、図27のベースレイヤ画像復号部202と基本的に同様の構成を有する。
つまり、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、図28に示されるように、蓄積バッファ231、可逆復号部232、逆量子化部233、逆直交変換部234、演算部235、ループフィルタ236、画面並べ替えバッファ237、およびD/A変換部238を有する。また、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、フレームメモリ239、選択部240、イントラ予測部241、インター予測部242、および予測画像選択部243を有する。
これらの蓄積バッファ231乃至予測画像選択部243は、図27の蓄積バッファ211乃至予測画像選択部223に対応し、それぞれ、対応する処理部と同様の処理を行う。ただし、エンハンスメントレイヤ画像復号部203の各部は、ベースレイヤではなく、エンハンスメントレイヤ画像情報の符号化についての処理を行う。したがって、蓄積バッファ231乃至予測画像選択部243の処理の説明として、上述した図27の蓄積バッファ211乃至予測画像選択部223についての説明を適用することができるが、その場合、処理するデータは、ベースレイヤのデータではなく、エンハンスメントレイヤのデータであるものとする必要がある。また、データの入力元や出力先の処理部は、適宜、エンハンスメントレイヤ画像復号部203の、対応する処理部に置き換えて読む必要がある。
また、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、領域シンクロ部244およびアップサンプル部245を有する。
領域シンクロ部244は、可逆復号部232から供給されるエンハンスメントレイヤ領域分割情報とシンクロ領域情報とを取得する。これらの情報は、復号側において生成され、復号側から伝送されたものである。さらに、領域シンクロ部244は、また、ベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤ領域分割情報を取得する。
領域シンクロ部244は、これらの情報を用いて、エンハンスメントレイヤの復号における、ベースレイヤの符号化に関する情報を参照する領域を制御する。例えば、領域シンクロ部244は、これらの情報を用いて、イントラ予測部241やインター予測部242がレイヤ間予測を行う際の、符号化に関する情報を参照するベースレイヤの領域を制御する。このようにすることにより、領域シンクロ部244は、符号化の際と同様に、エンハンスメントレイヤの復号における、ベースレイヤの符号化に関する情報を参照する領域を制御することができる。したがって、領域シンクロ部244は、メモリアクセスを低減し、復号の負荷の増大を抑制することができる。
エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、他のレイヤ(例えばベースレイヤ)の符号化に関する情報を参照して符号化を行う。
アップサンプル部245は、ベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤの符号化に関する情報を取得する。例えば、アップサンプル部245は、ベースレイヤの復号画像(ベースレイヤ復号画像とも称する)等のテクスチャ情報を、符号化に関する情報として取得する。また、例えば、レイヤ間のシンタクス予測処理(インターレイヤプレディクション)が行われる場合、アップサンプル部245は、ベースレイヤの動き情報やイントラ予測モード情報等のシンタクス情報も符号化に関する情報として取得する。
アップサンプル部245は、このように取得したベースレイヤの符号化に関する情報を、アップサンプル処理する。階層符号化ではレイヤ間で、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータ(例えば解像度等)の値が互いに異なる。そのため、アップサンプル部245は、そのパラメータの値をエンハンスメントレイヤ基準に換算するように、ベースレイヤの符号化に関する情報をアップサンプル処理する(スケーラブルなパラメータの変換処理を行う)。このようにアップサンプル処理されることにより、ベースレイヤの符号化に関する情報は、エンハンスメントレイヤの復号において利用することができるようになる。
アップサンプル部149は、アップサンプル処理されたベースレイヤの符号化に関する情報を、フレームメモリ239に供給し、記憶させる。このベースレイヤの符号化に関する情報は、例えば参照画像として、イントラ予測部241やインター予測部242に供給される。なお、シンタクス情報も同様に、イントラ予測部241やインター予測部242に供給される。
<領域シンクロ部>
図29は、図28の領域シンクロ部244の主な構成例を示すブロック図である。
図29に示されるように、領域シンクロ部244は、ベースレイヤ領域分割情報バッファ271、エンハンスメントレイヤ領域分割情報バッファ272、およびシンクロ領域情報復号部273を有する。
ベースレイヤ領域分割情報バッファ271は、ベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤ領域分割情報、すなわち、符号化側から供給されたベースレイヤ領域分割情報を取得し、保持する。ベースレイヤ領域分割情報バッファ271は、所定のタイミングにおいて、若しくは、シンクロ領域情報復号部273等の外部からの要求に従って、保持しているベースレイヤ領域分割情報をシンクロ領域情報復号部273に供給する。
エンハンスメントレイヤ領域分割情報バッファ272は、可逆復号部232から供給されるエンハンスメントレイヤ領域分割情報、すなわち、符号化側から供給されたエンハンスメントレイヤ領域分割情報を取得し、保持する。エンハンスメントレイヤ領域分割情報バッファ272は、所定のタイミングにおいて、若しくは、シンクロ領域情報復号部273等の外部からの要求に従って、保持しているエンハンスメントレイヤ領域分割情報をシンクロ領域情報復号部273に供給する。
シンクロ領域情報復号部273は、ベースレイヤ領域分割情報バッファ271からベースレイヤ領域分割情報を取得し、エンハンスメントレイヤ領域分割情報バッファ272からエンハンスメントレイヤ領域分割情報を取得する。また、シンクロ領域情報復号部273は、可逆復号部232から供給されるシンクロ領域情報、すなわち、符号化側から供給されたシンクロ領域情報を取得し、保持する。
このシンクロ領域情報は、エンハンスメントレイヤの各領域の、符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域を制御する情報である。シンクロ領域情報復号部273は、ベースレイヤ領域分割情報とエンハンスメントレイヤ領域分割情報とを用いて、このシンクロ領域情報を復号する。つまり、シンクロ領域情報復号部273は、ベースレイヤ領域分割情報とエンハンスメントレイヤ領域分割情報とを用いてレイヤ同士の領域の位置関係を把握し、その位置関係に従って、シンクロ領域情報が示すレイヤ間の領域の対応関係を解析する。
より具体的には、シンクロ領域情報復号部273は、フレームメモリ239から供給される参照画像等の符号化に関する情報のデータにおける、エンハンスメントレイヤの処理対象であるカレント領域が符号化に関する情報の参照先とするベースレイヤの領域のデータの位置を特定する。シンクロ領域情報復号部273は、そのデータの位置を示す情報であるシンクロアドレス情報を生成し、それをイントラ予測部241若しくはインター予測部242に供給する。
シンクロ領域情報復号部273が利用する情報は全て符号化側から供給された情報であるので、このようにすることにより、シンクロ領域情報復号部273は、領域シンクロ設定部173が生成するのと同様のシンクロアドレス情報を生成することができる。つまり、シンクロ領域情報復号部273は、領域シンクロ設定部173と同様の制御を行うことができる。
イントラ予測部241やインター予測部242は、このシンクロアドレス情報に従ってレイヤ間予測を行うので、ベースレイヤのピクチャの一部の領域のみを参照先とすることができ、フレームメモリ239へのアクセス数の増大を抑制することができる。つまり、シンクロ領域情報復号部273は、このような処理を行うことにより、メモリアクセスを低減し、復号の負荷の増大を抑制することができる。
<画像復号処理の流れ>
次に、以上のような画像復号装置200により実行される各処理の流れについて説明する。最初に、図30のフローチャートを参照して、画像復号処理の流れの例を説明する。
画像復号処理が開始されると、ステップS201において、画像復号装置200の逆多重化部201は、符号化側から伝送される階層画像符号化ストリームをレイヤ毎に逆多重化する。
ステップS202において、ベースレイヤ画像復号部202は、ステップS201の処理により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号する。ベースレイヤ画像復号部202は、この復号により生成されたベースレイヤ画像のデータを出力する。
ステップS203において、エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、ステップS201の処理により抽出されたエンハンスメントレイヤ画像符号化ストリームを復号する。エンハンスメントレイヤ画像復号部203は、この復号により生成されたエンハンスメントレイヤ画像のデータを出力する。
ステップS203の処理が終了すると、画像復号装置200は、画像復号処理を終了する。このような画像復号処理により1ピクチャが処理される。したがって、画像復号装置200は、このような画像復号処理を階層化された動画像データの各ピクチャについて繰り返し実行する。
<ベースレイヤ復号処理の流れ>
次に、図30のステップS202において、ベースレイヤ画像復号部202により実行されるベースレイヤ復号処理の流れの例を、図31のフローチャートを参照して説明する。
ベースレイヤ復号処理が開始されると、ベースレイヤ画像復号部202の可逆復号部212は、ステップS221において、蓄積バッファ211を介して取得した符号化データを復号し、符号化側から供給されたベースレイヤ領域分割情報を取得する。また、可逆復号部212は、そのベースレイヤ領域分割情報を、ベースレイヤ画像復号部202の各部に供給する。
以降の各処理は、ステップS221において設定された領域毎に実行される。つまり、各処理は、その領域、若しくは、その領域よりも小さい所定の単位を処理単位として実行される。
ステップS222において、蓄積バッファ211は、伝送されてきたビットストリーム(符号化データ)を蓄積する。ステップS223において、可逆復号部212は、蓄積バッファ211から供給されるビットストリーム(符号化データ)を復号する。すなわち、可逆符号化部116により符号化されたIピクチャ、Pピクチャ、並びにBピクチャ等の画像データが復号される。このとき、ヘッダ情報などのビットストリームに含められた画像データ以外の各種情報も復号される。
ステップS224において、逆量子化部213は、ステップS223の処理により得られた、量子化された係数を逆量子化する。
ステップS225において、逆直交変換部214は、ステップS224において逆量子化された係数を逆直交変換する。
ステップS226において、イントラ予測部221若しくはインター予測部222は、予測処理を行い、予測画像を生成する。つまり、可逆復号部212において判定された、符号化の際に適用された予測モードで予測処理が行われる。より具体的には、例えば、符号化の際にイントラ予測が適用された場合、イントラ予測部221が、符号化の際に最適とされたイントラ予測モードで予測画像を生成する。また、例えば、符号化の際にインター予測が適用された場合、インター予測部222が、符号化の際に最適とされたインター予測モードで予測画像を生成する。
ステップS227において、演算部215は、ステップS225において逆直交変換されて得られた差分画像に、ステップS226において生成された予測画像を加算する。これにより再構成画像の画像データが得られる。
ステップS228において、ループフィルタ216は、ステップS227の処理により得られた再構成画像の画像データに対して、デブロックフィルタ処理や適応ループフィルタ処理等を含むループフィルタ処理を適宜行う。
ステップS229において、画面並べ替えバッファ217は、ステップS228においてフィルタ処理された再構成画像の各フレームの並べ替えを行う。すなわち、符号化の際に並べ替えられたフレームの順序が、元の表示の順序に並べ替えられる。
ステップS230において、D/A変換部218は、ステップS229においてフレームの順序が並べ替えられた画像をD/A変換する。この画像が図示せぬディスプレイに出力され、画像が表示される。
ステップS231において、フレームメモリ219は、ステップS228の処理により得られた復号画像やステップS227の処理により得られた再構成画像等のデータを記憶する。
ステップS232において、フレームメモリ219、イントラ予測部221、およびインター予測部222は、符号化側から供給されたベースレイヤの符号化に関する情報を、エンハンスメントレイヤの復号処理に供給する。
ステップS232の処理が終了すると、ベースレイヤ復号処理が終了し、処理は図30に戻る。
<エンハンスメントレイヤ復号処理の流れ>
次に、図30のステップS203において、エンハンスメントレイヤ画像復号部203により実行されるエンハンスメントレイヤ復号処理の流れの例を、図32および図33のフローチャートを参照して説明する。
エンハンスメントレイヤ復号処理が開始されると、エンハンスメントレイヤ画像復号部203のベースレイヤ領域分割情報バッファ271は、ステップS251において、ベースレイヤ復号処理においてベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤ領域分割情報を取得する。このベースレイヤ領域分割情報は、符号化側から供給された情報である。
ステップS252において、アップサンプル部245は、ベースレイヤ復号処理においてベースレイヤ画像復号部202から供給されるベースレイヤ復号画像(つまりテクスチャ情報)を符号化に関する情報として取得する。なお、インターレイヤシンタクスプレディクションが行われる場合、アップサンプル部245は、ベースレイヤ復号処理においてベースレイヤ画像復号部202から供給されるシンタクス情報も符号化に関する情報として取得する。この符号化に関する情報は、符号化側から供給された情報、若しくは、符号化側から供給された情報を基に復元された情報である。
ステップS253において、アップサンプル部245は、ステップS252において取得したベースレイヤの符号化に関する情報(例えば、ベースレイヤ復号画像)をアップサンプル処理する。フレームメモリ239は、ステップS253の処理によりアップサンプル処理されたベースレイヤの符号化に関する情報(例えば、ベースレイヤ復号画像)を記憶する。
ステップS254において、エンハンスメントレイヤ領域分割情報バッファ272は、可逆復号部232から供給されるエンハンスメントレイヤ領域分割情報を取得する。このエンハンスメントレイヤ領域分割情報は、符号化側から供給された情報である。
ステップS255において、シンクロ領域情報復号部273は、可逆復号部232から供給されるシンクロ領域情報を取得する。このシンクロ領域情報は、符号化側から供給された情報である。
ステップS256において、シンクロ領域情報復号部273は、ステップS251において取得したベースレイヤ領域分割情報と、ステップS254において取得したエンハンスメントレイヤ領域分割情報とを用いて、ステップS255において取得したシンクロ領域情報を解析し、参照先とするベースレイヤの領域のデータの位置(シンクロアドレス)を設定し、そのシンクロアドレスを示すシンクロアドレス情報を生成する。シンクロ領域情報復号部273は、生成したシンクロアドレス情報を、イントラ予測部241若しくはインター予測部242に供給する。シンクロアドレス情報を供給されたイントラ予測部241やインター予測部242は、そのシンクロアドレス情報を用いてレイヤ間予測を行う。
ステップS256の処理が終了すると、処理は、図33のステップS21に進む。
以降の各処理は、エンハンスメントレイヤ領域分割情報により示される領域毎に実行される。つまり、各処理は、その領域、若しくは、その領域よりも小さい所定の単位を処理単位として実行される。
図33のステップS261乃至ステップS270の各処理は、図31のステップS222乃至ステップS231の各処理に対応し、それらの処理と同様に実行される。
ただし、ステップS265において、レイヤ間予測を行う場合、イントラ予測部241またはインター予測部242は、図32のステップS256において生成されたシンクロアドレス情報に従って処理を行う。つまり、イントラ予測部241またはインター予測部242は、ベースレイヤの、シンクロアドレス情報により指定される領域の符号化に関する情報のみを参照してレイヤ間予測を行う。
ステップS270の処理が終了すると、エンハンスメントレイヤ復号処理が終了し、処理は、図30に戻る。
以上のように各処理を実行することにより、画像復号装置200は、レイヤ間予測において他のレイヤの符号化に関する情報を参照するためのメモリアクセスを低減し、復号の負荷の増大を抑制することができる。
以上においては、スケーラブル符号化により画像データが階層化されて複数レイヤ化されるように説明したが、そのレイヤ数は任意である。また、以上においては、符号化・復号において、エンハンスメントレイヤは、ベースレイヤを参照して処理されるように説明したが、これに限らず、エンハンスメントレイヤが、処理済の他のエンハンスメントレイヤを参照して処理されるようにしてもよい。
例えば、図18の画像符号化装置100の場合、符号化に関する情報を参照されるエンハンスメントレイヤのエンハンスメントレイヤ画像符号化部102のフレームメモリ142、イントラ予測部144、およびインター予測部145(図20)が、フレームメモリ122、イントラ予測部124、およびインター予測部125(図19)と同様に、そのエンハンスメントレイヤの符号化に関する情報を、その符号化に関する情報を参照する他のエンハンスメントレイヤのエンハンスメントレイヤ画像符号化部102に供給するようにすればよい。
また、例えば、図26の画像復号装置200の場合、符号化に関する情報を参照されるエンハンスメントレイヤのエンハンスメントレイヤ画像復号部203のフレームメモリ239、イントラ予測部241、およびインター予測部242(図28)が、フレームメモリ219、イントラ予測部221、およびインター予測部222(図27)と同様に、そのエンハンスメントレイヤの符号化に関する情報を、その符号化に関する情報を参照する他のエンハンスメントレイヤのエンハンスメントレイヤ画像復号部203に供給するようにすればよい。
本技術の適用範囲は、スケーラブルな符号化・復号方式に基づくあらゆる画像符号化装置及び画像復号装置に適用することができる。
また、本技術は、例えば、MPEG、H.26x等の様に、離散コサイン変換等の直交変換と動き補償によって圧縮された画像情報(ビットストリーム)を、衛星放送、ケーブルテレビジョン、インターネット、または携帯電話機などのネットワークメディアを介して受信する際に用いられる画像符号化装置および画像復号装置に適用することができる。また、本技術は、光、磁気ディスク、およびフラッシュメモリのような記憶メディア上で処理する際に用いられる画像符号化装置および画像復号装置に適用することができる。
<4.第3の実施の形態>
<多視点画像符号化・多視点画像復号への適用>
上述した一連の処理は、多視点画像符号化・多視点画像復号に適用することができる。図34は、多視点画像符号化方式の一例を示す。
図34に示されるように、多視点画像は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む。この多視点画像の複数のビューは、他のビューの情報を利用せずに自身のビューの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースビューと、他のビューの情報を利用して符号化・復号を行うノンベースビューとによりなる。ノンベースビューの符号化・復号は、ベースビューの情報を利用するようにしても良いし、他のノンベースビューの情報を利用するようにしてもよい。
つまり、多視点画像符号化・復号におけるビュー間の参照関係は、階層画像符号化・復号におけるレイヤ間の参照関係と同様である。したがって、図34のような多視点画像の符号化・復号において、上述した方法を適用するようにしてもよい。つまり、ノンベースビューの符号化・復号において、符号化に関する情報を参照するベースビュー(若しくは他のノンベースビュー)の領域を制御するようにしてもよい。このようにすることにより、多視点画像の場合も同様に、符号化若しくは復号の負荷の増大を抑制することができる。
<多視点画像符号化装置>
図35は、上述した多視点画像符号化を行う多視点画像符号化装置を示す図である。図35に示されるように、多視点画像符号化装置600は、符号化部601、符号化部602、および多重化部603を有する。
符号化部601は、ベースビュー画像を符号化し、ベースビュー画像符号化ストリームを生成する。符号化部602は、ノンベースビュー画像を符号化し、ノンベースビュー画像符号化ストリームを生成する。多重化部603は、符号化部601において生成されたベースビュー画像符号化ストリームと、符号化部602において生成されたノンベースビュー画像符号化ストリームとを多重化し、多視点画像符号化ストリームを生成する。
この多視点画像符号化装置600の符号化部601としてベースレイヤ画像符号化部101(図19)を適用し、符号化部602としてエンハンスメントレイヤ画像符号化部102(図20)を適用してもよい。つまり、ノンベースビューの符号化において、符号化に関する情報を参照するベースビュー(若しくは他のノンベースビュー)の領域を制御するようにしてもよい。このようにすることにより、多視点画像の場合も同様に、符号化の負荷の増大を抑制することができる。なお、この多視点画像符号化の場合も、この符号化に関する情報を参照する領域を制御する制御情報を復号側に伝送することにより、復号の負荷の増大も抑制することができる。
<多視点画像復号装置>
図36は、上述した多視点画像復号を行う多視点画像復号装置を示す図である。図36に示されるように、多視点画像復号装置610は、逆多重化部611、復号部612、および復号部613を有する。
逆多重化部611は、ベースビュー画像符号化ストリームとノンベースビュー画像符号化ストリームとが多重化された多視点画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースビュー画像符号化ストリームと、ノンベースビュー画像符号化ストリームとを抽出する。復号部612は、逆多重化部611により抽出されたベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ベースビュー画像を得る。復号部613は、逆多重化部611により抽出されたノンベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ノンベースビュー画像を得る。
この多視点画像復号装置610の復号部612としてベースレイヤ画像復号部(図27)を適用し、復号部613としてエンハンスメントレイヤ画像復号部203(図28)を適用してもよい。つまり、ノンベースビューの復号において、符号化に関する情報を参照するベースビュー(若しくは他のノンベースビュー)の領域を制御するようにしてもよい。このようにすることにより、多視点画像の場合も同様に、復号の負荷の増大を抑制することができる。
<5.第4の実施の形態>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図37は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図37に示されるコンピュータ800において、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803は、バス804を介して相互に接続されている。
バス804にはまた、入出力インタフェース810も接続されている。入出力インタフェース810には、入力部811、出力部812、記憶部813、通信部814、およびドライブ815が接続されている。
入力部811は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部812は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部813は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部814は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ815は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア821を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU801が、例えば、記憶部813に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース810およびバス804を介して、RAM803にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM803にはまた、CPU801が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
コンピュータ(CPU801)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ815に装着することにより、入出力インタフェース810を介して、記憶部813にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部814で受信し、記憶部813にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM802や記憶部813に、あらかじめインストールしておくこともできる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
上述した実施形態に係る画像符号化装置及び画像復号装置は、例えば、衛星放送、ケーブルTVなどの有線放送、インターネット上での配信、及びセルラー通信による端末への配信などにおける送信機若しくは受信機、光ディスク、磁気ディスク及びフラッシュメモリなどの媒体に画像を記録する記録装置、又は、これら記憶媒体から画像を再生する再生装置などの様々な電子機器に応用され得る。以下、4つの応用例について説明する。
<6.応用例>
<第1の応用例:テレビジョン受像機>
図38は、上述した実施形態を適用したテレビジョン装置の概略的な構成の一例を示している。テレビジョン装置900は、アンテナ901、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、表示部906、音声信号処理部907、スピーカ908、外部インタフェース(I/F)部909、制御部910、ユーザインタフェース(I/F)部911、及びバス912を備える。
チューナ902は、アンテナ901を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ902は、復調により得られた符号化ビットストリームをデマルチプレクサ903へ出力する。即ち、チューナ902は、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームから視聴対象の番組の映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、分離した各ストリームをデコーダ904へ出力する。また、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームからEPG(Electronic Program Guide)などの補助的なデータを抽出し、抽出したデータを制御部910に供給する。なお、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームがスクランブルされている場合には、デスクランブルを行ってもよい。
デコーダ904は、デマルチプレクサ903から入力される映像ストリーム及び音声ストリームを復号する。そして、デコーダ904は、復号処理により生成される映像データを映像信号処理部905へ出力する。また、デコーダ904は、復号処理により生成される音声データを音声信号処理部907へ出力する。
映像信号処理部905は、デコーダ904から入力される映像データを再生し、表示部906に映像を表示させる。また、映像信号処理部905は、ネットワークを介して供給されるアプリケーション画面を表示部906に表示させてもよい。また、映像信号処理部905は、映像データについて、設定に応じて、例えばノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。さらに、映像信号処理部905は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUI(Graphical User Interface)の画像を生成し、生成した画像を出力画像に重畳してもよい。
表示部906は、映像信号処理部905から供給される駆動信号により駆動され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOELD(Organic ElectroLuminescence Display)(有機ELディスプレイ)など)の映像面上に映像又は画像を表示する。
音声信号処理部907は、デコーダ904から入力される音声データについてD/A変換及び増幅などの再生処理を行い、スピーカ908から音声を出力させる。また、音声信号処理部907は、音声データについてノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。
外部インタフェース部909は、テレビジョン装置900と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース部909を介して受信される映像ストリーム又は音声ストリームが、デコーダ904により復号されてもよい。即ち、外部インタフェース部909もまた、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
制御部910は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、プログラムデータ、EPGデータ、及びネットワークを介して取得されるデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、テレビジョン装置900の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部911から入力される操作信号に応じて、テレビジョン装置900の動作を制御する。
ユーザインタフェース部911は、制御部910と接続される。ユーザインタフェース部911は、例えば、ユーザがテレビジョン装置900を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部911は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部910へ出力する。
バス912は、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、音声信号処理部907、外部インタフェース部909及び制御部910を相互に接続する。
このように構成されたテレビジョン装置900において、デコーダ904は、上述した実施形態に係る画像復号装置200(図26)の機能を有する。それにより、テレビジョン装置900での画像の復号に際して、負荷の増大を抑制することができる。
<第2の応用例:携帯電話機>
図39は、上述した実施形態を適用した携帯電話機の概略的な構成の一例を示している。携帯電話機920は、アンテナ921、通信部922、音声コーデック923、スピーカ924、マイクロホン925、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、制御部931、操作部932、及びバス933を備える。
アンテナ921は、通信部922に接続される。スピーカ924及びマイクロホン925は、音声コーデック923に接続される。操作部932は、制御部931に接続される。バス933は、通信部922、音声コーデック923、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、及び制御部931を相互に接続する。
携帯電話機920は、音声通話モード、データ通信モード、撮影モード及びテレビ電話モードを含む様々な動作モードで、音声信号の送受信、電子メール又は画像データの送受信、画像の撮像、及びデータの記録などの動作を行う。
音声通話モードにおいて、マイクロホン925により生成されるアナログ音声信号は、音声コーデック923に供給される。音声コーデック923は、アナログ音声信号を音声データへ変換し、変換された音声データをA/D変換し圧縮する。そして、音声コーデック923は、圧縮後の音声データを通信部922へ出力する。通信部922は、音声データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して音声データを生成し、生成した音声データを音声コーデック923へ出力する。音声コーデック923は、音声データを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
また、データ通信モードにおいて、例えば、制御部931は、操作部932を介するユーザによる操作に応じて、電子メールを構成する文字データを生成する。また、制御部931は、文字を表示部930に表示させる。また、制御部931は、操作部932を介するユーザからの送信指示に応じて電子メールデータを生成し、生成した電子メールデータを通信部922へ出力する。通信部922は、電子メールデータを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して電子メールデータを復元し、復元した電子メールデータを制御部931へ出力する。制御部931は、表示部930に電子メールの内容を表示させると共に、電子メールデータを記録再生部929の記憶媒体に記憶させる。
記録再生部929は、読み書き可能な任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶媒体は、RAM又はフラッシュメモリなどの内蔵型の記憶媒体であってもよく、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカードなどの外部装着型の記憶媒体であってもよい。
また、撮影モードにおいて、例えば、カメラ部926は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、カメラ部926から入力される画像データを符号化し、符号化ストリームを記録再生部929の記憶媒体に記憶させる。
また、テレビ電話モードにおいて、例えば、多重分離部928は、画像処理部927により符号化された映像ストリームと、音声コーデック923から入力される音声ストリームとを多重化し、多重化したストリームを通信部922へ出力する。通信部922は、ストリームを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。これら送信信号及び受信信号には、符号化ビットストリームが含まれ得る。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号してストリームを復元し、復元したストリームを多重分離部928へ出力する。多重分離部928は、入力されるストリームから映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、映像ストリームを画像処理部927、音声ストリームを音声コーデック923へ出力する。画像処理部927は、映像ストリームを復号し、映像データを生成する。映像データは、表示部930に供給され、表示部930により一連の画像が表示される。音声コーデック923は、音声ストリームを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
このように構成された携帯電話機920において、画像処理部927は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100(図18)や画像復号装置200(図26)の機能を有する。それにより、携帯電話機920での画像の符号化および復号に際して、負荷の増大を抑制することができる。
<第3の応用例:記録再生装置>
図40は、上述した実施形態を適用した記録再生装置の概略的な構成の一例を示している。記録再生装置940は、例えば、受信した放送番組の音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録する。また、記録再生装置940は、例えば、他の装置から取得される音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録してもよい。また、記録再生装置940は、例えば、ユーザの指示に応じて、記録媒体に記録されているデータをモニタ及びスピーカ上で再生する。このとき、記録再生装置940は、音声データおよび映像データを復号する。
記録再生装置940は、チューナ941、外部インタフェース(I/F)部942、エンコーダ943、HDD(Hard Disk Drive)944、ディスクドライブ945、セレクタ946、デコーダ947、OSD(On-Screen Display)948、制御部949、およびユーザインタフェース(I/F)部950を備える。
チューナ941は、アンテナ(図示せず)を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ941は、復調により得られた符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。即ち、チューナ941は、記録再生装置940における伝送部としての役割を有する。
外部インタフェース部942は、記録再生装置940と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。外部インタフェース部942は、例えば、IEEE1394インタフェース、ネットワークインタフェース、USBインタフェース、又はフラッシュメモリインタフェースなどであってよい。例えば、外部インタフェース部942を介して受信される映像データおよび音声データは、エンコーダ943へ入力される。即ち、外部インタフェース部942は、記録再生装置940における伝送部としての役割を有する。
エンコーダ943は、外部インタフェース部942から入力される映像データおよび音声データが符号化されていない場合に、映像データおよび音声データを符号化する。そして、エンコーダ943は、符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。
HDD944は、映像および音声などのコンテンツデータが圧縮された符号化ビットストリーム、各種プログラムおよびその他のデータを内部のハードディスクに記録する。また、HDD944は、映像および音声の再生時に、これらデータをハードディスクから読み出す。
ディスクドライブ945は、装着されている記録媒体へのデータの記録および読み出しを行う。ディスクドライブ945に装着される記録媒体は、例えばDVDディスク(DVD-Video、DVD-RAM、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW等)又はBlu-ray(登録商標)ディスクなどであってよい。
セレクタ946は、映像および音声の記録時には、チューナ941又はエンコーダ943から入力される符号化ビットストリームを選択し、選択した符号化ビットストリームをHDD944又はディスクドライブ945へ出力する。また、セレクタ946は、映像及び音声の再生時には、HDD944又はディスクドライブ945から入力される符号化ビットストリームをデコーダ947へ出力する。
デコーダ947は、符号化ビットストリームを復号し、映像データ及び音声データを生成する。そして、デコーダ947は、生成した映像データをOSD948へ出力する。また、デコーダ947は、生成した音声データを外部のスピーカへ出力する。
OSD948は、デコーダ947から入力される映像データを再生し、映像を表示する。また、OSD948は、表示する映像に、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を重畳してもよい。
制御部949は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、記録再生装置940の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部950から入力される操作信号に応じて、記録再生装置940の動作を制御する。
ユーザインタフェース部950は、制御部949と接続される。ユーザインタフェース部950は、例えば、ユーザが記録再生装置940を操作するためのボタンおよびスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部950は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部949へ出力する。
このように構成された記録再生装置940において、エンコーダ943は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100(図18)の機能を有する。また、デコーダ947は、上述した実施形態に係る画像復号装置200(図26)の機能を有する。それにより、記録再生装置940での画像の符号化および復号に際して、負荷の増大を抑制することができる。
<第4の応用例:撮像装置>
図41は、上述した実施形態を適用した撮像装置の概略的な構成の一例を示している。撮像装置960は、被写体を撮像して画像を生成し、画像データを符号化して記録媒体に記録する。
撮像装置960は、光学ブロック961、撮像部962、信号処理部963、画像処理部964、表示部965、外部インタフェース(I/F)部966、メモリ967、メディアドライブ968、OSD969、制御部970、ユーザインタフェース(I/F)部971、およびバス972を備える。
光学ブロック961は、撮像部962に接続される。撮像部962は、信号処理部963に接続される。表示部965は、画像処理部964に接続される。ユーザインタフェース部971は、制御部970に接続される。バス972は、画像処理部964、外部インタフェース部966、メモリ967、メディアドライブ968、OSD969、および制御部970を相互に接続する。
光学ブロック961は、フォーカスレンズ及び絞り機構などを有する。光学ブロック961は、被写体の光学像を撮像部962の撮像面に結像させる。撮像部962は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを有し、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号としての画像信号に変換する。そして、撮像部962は、画像信号を信号処理部963へ出力する。
信号処理部963は、撮像部962から入力される画像信号に対してニー補正、ガンマ補正、色補正などの種々のカメラ信号処理を行う。信号処理部963は、カメラ信号処理後の画像データを画像処理部964へ出力する。
画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを符号化し、符号化データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した符号化データを外部インタフェース部966またはメディアドライブ968へ出力する。また、画像処理部964は、外部インタフェース部966またはメディアドライブ968から入力される符号化データを復号し、画像データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した画像データを表示部965へ出力する。また、画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを表示部965へ出力して画像を表示させてもよい。また、画像処理部964は、OSD969から取得される表示用データを、表示部965へ出力する画像に重畳してもよい。
OSD969は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を生成して、生成した画像を画像処理部964へ出力する。
外部インタフェース部966は、例えばUSB入出力端子として構成される。外部インタフェース部966は、例えば、画像の印刷時に、撮像装置960とプリンタとを接続する。また、外部インタフェース部966には、必要に応じてドライブが接続される。ドライブには、例えば、磁気ディスク又は光ディスクなどのリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアから読み出されるプログラムが、撮像装置960にインストールされ得る。さらに、外部インタフェース部966は、LAN又はインターネットなどのネットワークに接続されるネットワークインタフェースとして構成されてもよい。即ち、外部インタフェース部966は、撮像装置960における伝送部としての役割を有する。
メディアドライブ968に装着される記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリなどの、読み書き可能な任意のリムーバブルメディアであってよい。また、メディアドライブ968に記録媒体が固定的に装着され、例えば、内蔵型ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)のような非可搬性の記憶部が構成されてもよい。
制御部970は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、撮像装置960の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部971から入力される操作信号に応じて、撮像装置960の動作を制御する。
ユーザインタフェース部971は、制御部970と接続される。ユーザインタフェース部971は、例えば、ユーザが撮像装置960を操作するためのボタン及びスイッチなどを有する。ユーザインタフェース部971は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部970へ出力する。
このように構成された撮像装置960において、画像処理部964は、上述した実施形態に係る画像符号化装置100(図18)や画像復号装置200(図26)の機能を有する。それにより、撮像装置960での画像の符号化および復号に際して、負荷の増大を抑制することができる。
<7.スケーラブル符号化の応用例>
<第1のシステム>
次に、スケーラブル符号化(階層(画像)符号化)されたスケーラブル符号化データの具体的な利用例について説明する。スケーラブル符号化は、例えば、図42に示される例のように、伝送するデータの選択のために利用される。
図42に示されるデータ伝送システム1000において、配信サーバ1002は、スケーラブル符号化データ記憶部1001に記憶されているスケーラブル符号化データを読み出し、ネットワーク1003を介して、パーソナルコンピュータ1004、AV機器1005、タブレットデバイス1006、および携帯電話機1007等の端末装置に配信する。
その際、配信サーバ1002は、端末装置の能力や通信環境等に応じて、適切な品質の符号化データを選択して伝送する。配信サーバ1002が不要に高品質なデータを伝送しても、端末装置において高画質な画像を得られるとは限らず、遅延やオーバフローの発生要因となる恐れがある。また、不要に通信帯域を占有したり、端末装置の負荷を不要に増大させたりしてしまう恐れもある。逆に、配信サーバ1002が不要に低品質なデータを伝送しても、端末装置において十分な画質の画像を得ることができない恐れがある。そのため、配信サーバ1002は、スケーラブル符号化データ記憶部1001に記憶されているスケーラブル符号化データを、適宜、端末装置の能力や通信環境等に対して適切な品質の符号化データとして読み出し、伝送する。
例えば、スケーラブル符号化データ記憶部1001は、スケーラブルに符号化されたスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011を記憶するとする。このスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011は、ベースレイヤとエンハンスメントレイヤの両方を含む符号化データであり、復号することにより、ベースレイヤの画像およびエンハンスメントレイヤの画像の両方を得ることができるデータである。
配信サーバ1002は、データを伝送する端末装置の能力や通信環境等に応じて、適切なレイヤを選択し、そのレイヤのデータを読み出す。例えば、配信サーバ1002は、処理能力の高いパーソナルコンピュータ1004やタブレットデバイス1006に対しては、高品質なスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011をスケーラブル符号化データ記憶部1001から読み出し、そのまま伝送する。これに対して、例えば、配信サーバ1002は、処理能力の低いAV機器1005や携帯電話機1007に対しては、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011からベースレイヤのデータを抽出し、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011と同じコンテンツのデータであるが、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011よりも低品質なスケーラブル符号化データ(BL)1012として伝送する。
このようにスケーラブル符号化データを用いることにより、データ量を容易に調整することができるので、遅延やオーバフローの発生を抑制したり、端末装置や通信媒体の負荷の不要な増大を抑制したりすることができる。また、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1011は、レイヤ間の冗長性が低減されているので、各レイヤの符号化データを個別のデータとする場合よりもそのデータ量を低減させることができる。したがって、スケーラブル符号化データ記憶部1001の記憶領域をより効率よく使用することができる。
なお、パーソナルコンピュータ1004乃至携帯電話機1007のように、端末装置には様々な装置を適用することができるので、端末装置のハードウエアの性能は、装置によって異なる。また、端末装置が実行するアプリケーションも様々であるので、そのソフトウエアの能力も様々である。さらに、通信媒体となるネットワーク1003も、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等、有線若しくは無線、またはその両方を含むあらゆる通信回線網を適用することができ、そのデータ伝送能力は様々である。さらに、他の通信等によっても変化する恐れがある。
そこで、配信サーバ1002は、データ伝送を開始する前に、データの伝送先となる端末装置と通信を行い、端末装置のハードウエア性能や、端末装置が実行するアプリケーション(ソフトウエア)の性能等といった端末装置の能力に関する情報、並びに、ネットワーク1003の利用可能帯域幅等の通信環境に関する情報を得るようにしてもよい。そして、配信サーバ1002が、ここで得た情報を基に、適切なレイヤを選択するようにしてもよい。
なお、レイヤの抽出は、端末装置において行うようにしてもよい。例えば、パーソナルコンピュータ1004が、伝送されたスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011を復号し、ベースレイヤの画像を表示しても良いし、エンハンスメントレイヤの画像を表示しても良い。また、例えば、パーソナルコンピュータ1004が、伝送されたスケーラブル符号化データ(BL+EL)1011から、ベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1012を抽出し、記憶したり、他の装置に転送したり、復号してベースレイヤの画像を表示したりするようにしてもよい。
もちろん、スケーラブル符号化データ記憶部1001、配信サーバ1002、ネットワーク1003、および端末装置の数はいずれも任意である。また、以上においては、配信サーバ1002がデータを端末装置に伝送する例について説明したが、利用例はこれに限定されない。データ伝送システム1000は、スケーラブル符号化された符号化データを端末装置に伝送する際、端末装置の能力や通信環境等に応じて、適切なレイヤを選択して伝送するシステムであれば、任意のシステムに適用することができる。
そして、以上のような図42のようなデータ伝送システム1000においても、図1乃至図33を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<第2のシステム>
また、スケーラブル符号化は、例えば、図43に示される例のように、複数の通信媒体を介する伝送のために利用される。
図43に示されるデータ伝送システム1100において、放送局1101は、地上波放送1111により、ベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を伝送する。また、放送局1101は、有線若しくは無線またはその両方の通信網よりなる任意のネットワーク1112を介して、エンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を伝送する(例えばパケット化して伝送する)。
端末装置1102は、放送局1101が放送する地上波放送1111の受信機能を有し、この地上波放送1111を介して伝送されるベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を受け取る。また、端末装置1102は、ネットワーク1112を介した通信を行う通信機能をさらに有し、このネットワーク1112を介して伝送されるエンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を受け取る。
端末装置1102は、例えばユーザ指示等に応じて、地上波放送1111を介して取得したベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を、復号してベースレイヤの画像を得たり、記憶したり、他の装置に伝送したりする。
また、端末装置1102は、例えばユーザ指示等に応じて、地上波放送1111を介して取得したベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121と、ネットワーク1112を介して取得したエンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122とを合成して、スケーラブル符号化データ(BL+EL)を得たり、それを復号してエンハンスメントレイヤの画像を得たり、記憶したり、他の装置に伝送したりする。
以上のように、スケーラブル符号化データは、例えばレイヤ毎に異なる通信媒体を介して伝送させることができる。したがって、負荷を分散させることができ、遅延やオーバフローの発生を抑制することができる。
また、状況に応じて、伝送に使用する通信媒体を、レイヤ毎に選択することができるようにしてもよい。例えば、データ量が比較的多いベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1121を帯域幅の広い通信媒体を介して伝送させ、データ量が比較的少ないエンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を帯域幅の狭い通信媒体を介して伝送させるようにしてもよい。また、例えば、エンハンスメントレイヤのスケーラブル符号化データ(EL)1122を伝送する通信媒体を、ネットワーク1112とするか、地上波放送1111とするかを、ネットワーク1112の利用可能帯域幅に応じて切り替えるようにしてもよい。もちろん、任意のレイヤのデータについて同様である。
このように制御することにより、データ伝送における負荷の増大を、より抑制することができる。
もちろん、レイヤ数は任意であり、伝送に利用する通信媒体の数も任意である。また、データ配信先となる端末装置1102の数も任意である。さらに、以上においては、放送局1101からの放送を例に説明したが、利用例はこれに限定されない。データ伝送システム1100は、スケーラブル符号化された符号化データを、レイヤを単位として複数に分割し、複数の回線を介して伝送するシステムであれば、任意のシステムに適用することができる。
そして、以上のような図43のようなデータ伝送システム1100においても、図1乃至図33を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<第3のシステム>
また、スケーラブル符号化は、例えば、図44に示される例のように、符号化データの記憶に利用される。
図44に示される撮像システム1200において、撮像装置1201は、被写体1211を撮像して得られた画像データをスケーラブル符号化し、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1221として、スケーラブル符号化データ記憶装置1202に供給する。
スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、撮像装置1201から供給されるスケーラブル符号化データ(BL+EL)1221を、状況に応じた品質で記憶する。例えば、通常時の場合、スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、スケーラブル符号化データ(BL+EL)1221からベースレイヤのデータを抽出し、低品質でデータ量の少ないベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1222として記憶する。これに対して、例えば、注目時の場合、スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、高品質でデータ量の多いスケーラブル符号化データ(BL+EL)1221のまま記憶する。
このようにすることにより、スケーラブル符号化データ記憶装置1202は、必要な場合のみ、画像を高画質に保存することができるので、画質劣化による画像の価値の低減を抑制しながら、データ量の増大を抑制することができ、記憶領域の利用効率を向上させることができる。
例えば、撮像装置1201が監視カメラであるとする。撮像画像に監視対象(例えば侵入者)が写っていない場合(通常時の場合)、撮像画像の内容は重要でない可能性が高いので、データ量の低減が優先され、その画像データ(スケーラブル符号化データ)は、低品質に記憶される。これに対して、撮像画像に監視対象が被写体1211として写っている場合(注目時の場合)、その撮像画像の内容は重要である可能性が高いので、画質が優先され、その画像データ(スケーラブル符号化データ)は、高品質に記憶される。
なお、通常時であるか注目時であるかは、例えば、スケーラブル符号化データ記憶装置1202が、画像を解析することにより判定しても良い。また、撮像装置1201が判定し、その判定結果をスケーラブル符号化データ記憶装置1202に伝送するようにしてもよい。
なお、通常時であるか注目時であるかの判定基準は任意であり、判定基準とする画像の内容は任意である。もちろん、画像の内容以外の条件を判定基準とすることもできる。例えば、収録した音声の大きさや波形等に応じて切り替えるようにしてもよいし、所定の時間毎に切り替えるようにしてもよいし、ユーザ指示等の外部からの指示によって切り替えるようにしてもよい。
また、以上においては、通常時と注目時の2つの状態を切り替える例を説明したが、状態の数は任意であり、例えば、通常時、やや注目時、注目時、非常に注目時等のように、3つ以上の状態を切り替えるようにしてもよい。ただし、この切り替える状態の上限数は、スケーラブル符号化データのレイヤ数に依存する。
また、撮像装置1201が、スケーラブル符号化のレイヤ数を、状態に応じて決定するようにしてもよい。例えば、通常時の場合、撮像装置1201が、低品質でデータ量の少ないベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL)1222を生成し、スケーラブル符号化データ記憶装置1202に供給するようにしてもよい。また、例えば、注目時の場合、撮像装置1201が、高品質でデータ量の多いベースレイヤのスケーラブル符号化データ(BL+EL)1221を生成し、スケーラブル符号化データ記憶装置1202に供給するようにしてもよい。
以上においては、監視カメラを例に説明したが、この撮像システム1200の用途は任意であり、監視カメラに限定されない。
そして、以上の図44のような撮像システム1200においても、図1乃至図33を参照して上述した階層符号化・階層復号への適用と同様に本技術を適用することにより、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
<8.第5の実施の形態>
<実施のその他の例>
以上において本技術を適用する装置やシステム等の例を説明したが、本技術は、これに限らず、このような装置またはシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
<ビデオセット>
本技術をセットとして実施する場合の例について、図45を参照して説明する。図45は、本技術を適用したビデオセットの概略的な構成の一例を示している。
近年、電子機器の多機能化が進んでおり、その開発や製造において、その一部の構成を販売や提供等として実施する場合、1機能を有する構成として実施を行う場合だけでなく、関連する機能を有する複数の構成を組み合わせ、複数の機能を有する1セットとして実施を行う場合も多く見られるようになってきた。
図45に示されるビデオセット1300は、このような多機能化された構成であり、画像の符号化や復号(いずれか一方でもよいし、両方でも良い)に関する機能を有するデバイスに、その機能に関連するその他の機能を有するデバイスを組み合わせたものである。
図45に示されるように、ビデオセット1300は、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314等のモジュール群と、コネクティビティ1321、カメラ1322、およびセンサ1323等の関連する機能を有するデバイスとを有する。
モジュールは、互いに関連するいくつかの部品的機能をまとめ、まとまりのある機能を持った部品としたものである。具体的な物理的構成は任意であるが、例えば、それぞれ機能を有する複数のプロセッサ、抵抗やコンデンサ等の電子回路素子、その他のデバイス等を配線基板等に配置して一体化したものが考えられる。また、モジュールに他のモジュールやプロセッサ等を組み合わせて新たなモジュールとすることも考えられる。
図45の例の場合、ビデオモジュール1311は、画像処理に関する機能を有する構成を組み合わせたものであり、アプリケーションプロセッサ、ビデオプロセッサ、ブロードバンドモデム1333、およびRFモジュール1334を有する。
プロセッサは、所定の機能を有する構成をSoC(System On a Chip)により半導体チップに集積したものであり、例えばシステムLSI(Large Scale Integration)等と称されるものもある。この所定の機能を有する構成は、論理回路(ハードウエア構成)であってもよいし、CPU、ROM、RAM等と、それらを用いて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)であってもよいし、その両方を組み合わせたものであってもよい。例えば、プロセッサが、論理回路とCPU、ROM、RAM等とを有し、機能の一部を論理回路(ハードウエア構成)により実現し、その他の機能をCPUにおいて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)により実現するようにしてもよい。
図45のアプリケーションプロセッサ1331は、画像処理に関するアプリケーションを実行するプロセッサである。このアプリケーションプロセッサ1331において実行されるアプリケーションは、所定の機能を実現するために、演算処理を行うだけでなく、例えばビデオプロセッサ1332等、ビデオモジュール1311内外の構成を必要に応じて制御することもできる。
ビデオプロセッサ1332は、画像の符号化・復号(その一方若しくは両方)に関する機能を有するプロセッサである。
ブロードバンドモデム1333は、インターネットや公衆電話回線網等の広帯域の回線を介して行われる有線若しくは無線(またはその両方)の広帯域通信に関する処理を行うプロセッサ(若しくはモジュール)である。例えば、ブロードバンドモデム1333は、送信するデータ(デジタル信号)をデジタル変調する等してアナログ信号に変換したり、受信したアナログ信号を復調してデータ(デジタル信号)に変換したりする。例えば、ブロードバンドモデム1333は、ビデオプロセッサ1332が処理する画像データや画像データが符号化されたストリーム、アプリケーションプログラム、設定データ等、任意の情報をデジタル変調・復調することができる。
RFモジュール1334は、アンテナを介して送受信されるRF(Radio Frequency)信号に対して、周波数変換、変復調、増幅、フィルタ処理等を行うモジュールである。例えば、RFモジュール1334は、ブロードバンドモデム1333により生成されたベースバンド信号に対して周波数変換等を行ってRF信号を生成する。また、例えば、RFモジュール1334は、フロントエンドモジュール1314を介して受信されたRF信号に対して周波数変換等を行ってベースバンド信号を生成する。
なお、図45において点線1341に示されるように、アプリケーションプロセッサ1331とビデオプロセッサ1332を、一体化し、1つのプロセッサとして構成されるようにしてもよい。
外部メモリ1312は、ビデオモジュール1311の外部に設けられた、ビデオモジュール1311により利用される記憶デバイスを有するモジュールである。この外部メモリ1312の記憶デバイスは、どのような物理構成により実現するようにしてもよいが、一般的にフレーム単位の画像データのような大容量のデータの格納に利用されることが多いので、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような比較的安価で大容量の半導体メモリにより実現するのが望ましい。
パワーマネージメントモジュール1313は、ビデオモジュール1311(ビデオモジュール1311内の各構成)への電力供給を管理し、制御する。
フロントエンドモジュール1314は、RFモジュール1334に対してフロントエンド機能(アンテナ側の送受信端の回路)を提供するモジュールである。図45に示されるように、フロントエンドモジュール1314は、例えば、アンテナ部1351、フィルタ1352、および増幅部1353を有する。
アンテナ部1351は、無線信号を送受信するアンテナおよびその周辺の構成を有する。アンテナ部1351は、増幅部1353から供給される信号を無線信号として送信し、受信した無線信号を電気信号(RF信号)としてフィルタ1352に供給する。フィルタ1352は、アンテナ部1351を介して受信されたRF信号に対してフィルタ処理等を行い、処理後のRF信号をRFモジュール1334に供給する。増幅部1353は、RFモジュール1334から供給されるRF信号を増幅し、アンテナ部1351に供給する。
コネクティビティ1321は、外部との接続に関する機能を有するモジュールである。コネクティビティ1321の物理構成は、任意である。例えば、コネクティビティ1321は、ブロードバンドモデム1333が対応する通信規格以外の通信機能を有する構成や、外部入出力端子等を有する。
例えば、コネクティビティ1321が、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標))、NFC(Near Field Communication)、IrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した信号を送受信するアンテナ等を有するようにしてもよい。また、例えば、コネクティビティ1321が、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の有線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した端子を有するようにしてもよい。さらに、例えば、コネクティビティ1321が、アナログ入出力端子等のその他のデータ(信号)伝送機能等を有するようにしてもよい。
なお、コネクティビティ1321が、データ(信号)の伝送先のデバイスを含むようにしてもよい。例えば、コネクティビティ1321が、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等の記録媒体に対してデータの読み出しや書き込みを行うドライブ(リムーバブルメディアのドライブだけでなく、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、NAS(Network Attached Storage)等も含む)を有するようにしてもよい。また、コネクティビティ1321が、画像や音声の出力デバイス(モニタやスピーカ等)を有するようにしてもよい。
カメラ1322は、被写体を撮像し、被写体の画像データを得る機能を有するモジュールである。カメラ1322の撮像により得られた画像データは、例えば、ビデオプロセッサ1332に供給されて符号化される。
センサ1323は、例えば、音声センサ、超音波センサ、光センサ、照度センサ、赤外線センサ、イメージセンサ、回転センサ、角度センサ、角速度センサ、速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、磁気識別センサ、衝撃センサ、温度センサ等、任意のセンサ機能を有するモジュールである。センサ1323により検出されたデータは、例えば、アプリケーションプロセッサ1331に供給されてアプリケーション等により利用される。
以上においてモジュールとして説明した構成をプロセッサとして実現するようにしてもよいし、逆にプロセッサとして説明した構成をモジュールとして実現するようにしてもよい。
以上のような構成のビデオセット1300において、後述するようにビデオプロセッサ1332に本技術を適用することができる。したがって、ビデオセット1300は、本技術を適用したセットとして実施することができる。
<ビデオプロセッサの構成例>
図46は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図45)の概略的な構成の一例を示している。
図46の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ信号およびオーディオ信号の入力を受けてこれらを所定の方式で符号化する機能と、符号化されたビデオデータおよびオーディオデータを復号し、ビデオ信号およびオーディオ信号を再生出力する機能とを有する。
図46に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、フレームメモリ1405、およびメモリ制御部1406を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、エンコード・デコードエンジン1407、ビデオES(Elementary Stream)バッファ1408Aおよび1408B、並びに、オーディオESバッファ1409Aおよび1409Bを有する。さらに、ビデオプロセッサ1332は、オーディオエンコーダ1410、オーディオデコーダ1411、多重化部(MUX(Multiplexer))1412、逆多重化部(DMUX(Demultiplexer))1413、およびストリームバッファ1414を有する。
ビデオ入力処理部1401は、例えばコネクティビティ1321(図45)等から入力されたビデオ信号を取得し、デジタル画像データに変換する。第1画像拡大縮小部1402は、画像データに対してフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行う。第2画像拡大縮小部1403は、画像データに対して、ビデオ出力処理部1404を介して出力する先でのフォーマットに応じて画像の拡大縮小処理を行ったり、第1画像拡大縮小部1402と同様のフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行ったりする。ビデオ出力処理部1404は、画像データに対して、フォーマット変換やアナログ信号への変換等を行って、再生されたビデオ信号として例えばコネクティビティ1321(図45)等に出力する。
フレームメモリ1405は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、およびエンコード・デコードエンジン1407によって共用される画像データ用のメモリである。フレームメモリ1405は、例えばDRAM等の半導体メモリとして実現される。
メモリ制御部1406は、エンコード・デコードエンジン1407からの同期信号を受けて、アクセス管理テーブル1406Aに書き込まれたフレームメモリ1405へのアクセススケジュールに従ってフレームメモリ1405に対する書き込み・読み出しのアクセスを制御する。アクセス管理テーブル1406Aは、エンコード・デコードエンジン1407、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403等で実行される処理に応じて、メモリ制御部1406により更新される。
エンコード・デコードエンジン1407は、画像データのエンコード処理、並びに、画像データが符号化されたデータであるビデオストリームのデコード処理を行う。例えば、エンコード・デコードエンジン1407は、フレームメモリ1405から読み出した画像データを符号化し、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに順次書き込む。また、例えば、ビデオESバッファ1408Bからビデオストリームを順次読み出して復号し、画像データとしてフレームメモリ1405に順次書き込む。エンコード・デコードエンジン1407は、これらの符号化や復号において、フレームメモリ1405を作業領域として使用する。また、エンコード・デコードエンジン1407は、例えばマクロブロック毎の処理を開始するタイミングで、メモリ制御部1406に対して同期信号を出力する。
ビデオESバッファ1408Aは、エンコード・デコードエンジン1407によって生成されたビデオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。ビデオESバッファ1408Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたビデオストリームをバッファリングして、エンコード・デコードエンジン1407に供給する。
オーディオESバッファ1409Aは、オーディオエンコーダ1410によって生成されたオーディオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。オーディオESバッファ1409Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたオーディオストリームをバッファリングして、オーディオデコーダ1411に供給する。
オーディオエンコーダ1410は、例えばコネクティビティ1321(図45)等から入力されたオーディオ信号を例えばデジタル変換し、例えばMPEGオーディオ方式やAC3(AudioCode number 3)方式等の所定の方式で符号化する。オーディオエンコーダ1410は、オーディオ信号が符号化されたデータであるオーディオストリームをオーディオESバッファ1409Aに順次書き込む。オーディオデコーダ1411は、オーディオESバッファ1409Bから供給されたオーディオストリームを復号し、例えばアナログ信号への変換等を行って、再生されたオーディオ信号として例えばコネクティビティ1321(図45)等に供給する。
多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化する。この多重化の方法(すなわち、多重化により生成されるビットストリームのフォーマット)は任意である。また、この多重化の際に、多重化部(MUX)1412は、所定のヘッダ情報等をビットストリームに付加することもできる。つまり、多重化部(MUX)1412は、多重化によりストリームのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームに変換する。また、例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換する。
逆多重化部(DMUX)1413は、多重化部(MUX)1412による多重化に対応する方法で、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重化されたビットストリームを逆多重化する。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、ストリームバッファ1414から読み出されたビットストリームからビデオストリームとオーディオストリームとを抽出する(ビデオストリームとオーディオストリームとを分離する)。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、逆多重化によりストリームのフォーマットを変換(多重化部(MUX)1412による変換の逆変換)することができる。例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等(いずれも図45)から供給されたトランスポートストリームを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。また、例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321により(図45)各種記録媒体から読み出されたファイルデータを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。
ストリームバッファ1414は、ビットストリームをバッファリングする。例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333(いずれも図45)等に供給する。
また、例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321(図45)等に供給し、各種記録媒体に記録させる。
さらに、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等(いずれも図45)を介して取得したトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
また、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321(図45)等において各種記録媒体から読み出されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
次に、このような構成のビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321(図45)等からビデオプロセッサ1332に入力されたビデオ信号は、ビデオ入力処理部1401において4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式のデジタル画像データに変換され、フレームメモリ1405に順次書き込まれる。このデジタル画像データは、第1画像拡大縮小部1402または第2画像拡大縮小部1403に読み出されて、4:2:0Y/Cb/Cr方式等の所定の方式へのフォーマット変換および拡大縮小処理が行われ、再びフレームメモリ1405に書き込まれる。この画像データは、エンコード・デコードエンジン1407によって符号化され、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに書き込まれる。
また、コネクティビティ1321(図45)等からビデオプロセッサ1332に入力されたオーディオ信号は、オーディオエンコーダ1410によって符号化され、オーディオストリームとして、オーディオESバッファ1409Aに書き込まれる。
ビデオESバッファ1408Aのビデオストリームと、オーディオESバッファ1409Aのオーディオストリームは、多重化部(MUX)1412に読み出されて多重化され、トランスポートストリーム若しくはファイルデータ等に変換される。多重化部(MUX)1412により生成されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333(いずれも図45)等を介して外部ネットワークに出力される。また、多重化部(MUX)1412により生成されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321(図45)等に出力され、各種記録媒体に記録される。
また、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333(いずれも図45)等を介して外部ネットワークからビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。また、例えばコネクティビティ1321(図45)等において各種記録媒体から読み出され、ビデオプロセッサ1332に入力されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。つまり、ビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームまたはファイルデータは、逆多重化部(DMUX)1413によりビデオストリームとオーディオストリームとに分離される。
オーディオストリームは、オーディオESバッファ1409Bを介してオーディオデコーダ1411に供給され、復号されてオーディオ信号が再生される。また、ビデオストリームは、ビデオESバッファ1408Bに書き込まれた後、エンコード・デコードエンジン1407により順次読み出されて復号されてフレームメモリ1405に書き込まれる。復号された画像データは、第2画像拡大縮小部1403によって拡大縮小処理されて、フレームメモリ1405に書き込まれる。そして、復号された画像データは、ビデオ出力処理部1404に読み出されて、4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式にフォーマット変換され、さらにアナログ信号に変換されて、ビデオ信号が再生出力される。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、エンコード・デコードエンジン1407に、上述した各実施形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、エンコード・デコードエンジン1407が、上述した実施の形態に係る画像符号化装置100(図18)や画像復号装置200(図26)の機能を有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、エンコード・デコードエンジン1407において、本技術(すなわち、上述した各実施形態に係る画像符号化装置や画像復号装置の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
<ビデオプロセッサの他の構成例>
図47は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図45)の概略的な構成の他の例を示している。図47の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオデータを所定の方式で符号化・復号する機能とを有する。
より具体的には、図47に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、制御部1511、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、および内部メモリ1515を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、コーデックエンジン1516、メモリインタフェース1517、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518、ネットワークインタフェース1519、およびビデオインタフェース1520を有する。
制御部1511は、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516等、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御する。
図47に示されるように、制御部1511は、例えば、メインCPU1531、サブCPU1532、およびシステムコントローラ1533を有する。メインCPU1531は、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御するためのプログラム等を実行する。メインCPU1531は、そのプログラム等に従って制御信号を生成し、各処理部に供給する(つまり、各処理部の動作を制御する)。サブCPU1532は、メインCPU1531の補助的な役割を果たす。例えば、サブCPU1532は、メインCPU1531が実行するプログラム等の子プロセスやサブルーチン等を実行する。システムコントローラ1533は、メインCPU1531およびサブCPU1532が実行するプログラムを指定する等、メインCPU1531およびサブCPU1532の動作を制御する。
ディスプレイインタフェース1512は、制御部1511の制御の下、画像データを例えばコネクティビティ1321(図45)等に出力する。例えば、ディスプレイインタフェース1512は、デジタルデータの画像データをアナログ信号に変換し、再生されたビデオ信号として、またはデジタルデータの画像データのまま、コネクティビティ1321(図45)のモニタ装置等に出力する。
ディスプレイエンジン1513は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、その画像を表示させるモニタ装置等のハードウエアスペックに合わせるように、フォーマット変換、サイズ変換、色域変換等の各種変換処理を行う。
画像処理エンジン1514は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、例えば画質改善のためのフィルタ処理等、所定の画像処理を施す。
内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516により共用される、ビデオプロセッサ1332の内部に設けられたメモリである。内部メモリ1515は、例えば、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516の間で行われるデータの授受に利用される。例えば、内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516から供給されるデータを格納し、必要に応じて(例えば、要求に応じて)、そのデータを、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516に供給する。この内部メモリ1515は、どのような記憶デバイスにより実現するようにしてもよいが、一般的にブロック単位の画像データやパラメータ等といった小容量のデータの格納に利用することが多いので、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような比較的(例えば外部メモリ1312と比較して)小容量だが応答速度が高速な半導体メモリにより実現するのが望ましい。
コーデックエンジン1516は、画像データの符号化や復号に関する処理を行う。このコーデックエンジン1516が対応する符号化・復号の方式は任意であり、その数は1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、コーデックエンジン1516は、複数の符号化・復号方式のコーデック機能を備え、その中から選択されたもので画像データの符号化若しくは符号化データの復号を行うようにしてもよい。
図47に示される例において、コーデックエンジン1516は、コーデックに関する処理の機能ブロックとして、例えば、MPEG-2 Video1541、AVC/H.2641542、HEVC/H.2651543、HEVC/H.265(Scalable)1544、HEVC/H.265(Multi-view)1545、およびMPEG-DASH1551を有する。
MPEG-2 Video1541は、画像データをMPEG-2方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。AVC/H.2641542は、画像データをAVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.2651543は、画像データをHEVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Scalable)1544は、画像データをHEVC方式でスケーラブル符号化したりスケーラブル復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Multi-view)1545は、画像データをHEVC方式で多視点符号化したり多視点復号したりする機能ブロックである。
MPEG-DASH1551は、画像データをMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)方式で送受信する機能ブロックである。MPEG-DASHは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を使ってビデオのストリーミングを行う技術であり、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択し伝送することを特徴の1つとする。MPEG-DASH1551は、規格に準拠するストリームの生成やそのストリームの伝送制御等を行い、画像データの符号化・復号については、上述したMPEG-2 Video1541乃至HEVC/H.265(Multi-view)1545を利用する。
メモリインタフェース1517は、外部メモリ1312用のインタフェースである。画像処理エンジン1514やコーデックエンジン1516から供給されるデータは、メモリインタフェース1517を介して外部メモリ1312に供給される。また、外部メモリ1312から読み出されたデータは、メモリインタフェース1517を介してビデオプロセッサ1332(画像処理エンジン1514若しくはコーデックエンジン1516)に供給される。
多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、符号化データのビットストリーム、画像データ、ビデオ信号等、画像に関する各種データの多重化や逆多重化を行う。この多重化・逆多重化の方法は任意である。例えば、多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、複数のデータを1つにまとめるだけでなく、所定のヘッダ情報等をそのデータに付加することもできる。また、逆多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、1つのデータを複数に分割するだけでなく、分割した各データに所定のヘッダ情報等を付加することもできる。つまり、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、多重化・逆多重化によりデータのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、ビットストリームを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームや、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換することができる。もちろん、逆多重化によりその逆変換も可能である。
ネットワークインタフェース1519は、例えばブロードバンドモデム1333やコネクティビティ1321(いずれも図45)等向けのインタフェースである。ビデオインタフェース1520は、例えばコネクティビティ1321やカメラ1322(いずれも図45)等向けのインタフェースである。
次に、このようなビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333(いずれも図45)等を介して外部ネットワークからトランスポートストリームを受信すると、そのトランスポートストリームは、ネットワークインタフェース1519を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、例えば、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321(図45)等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてファイルデータに変換され、ビデオインタフェース1520を介して例えばコネクティビティ1321(図45)等に出力され、各種記録媒体に記録される。
さらに、例えば、コネクティビティ1321(図45)等により図示せぬ記録媒体から読み出された、画像データが符号化された符号化データのファイルデータは、ビデオインタフェース1520を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321(図45)等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてトランスポートストリームに変換され、ネットワークインタフェース1519を介して例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333(いずれも図45)等に供給され図示せぬ他の装置に伝送される。
なお、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の間での画像データやその他のデータの授受は、例えば、内部メモリ1515や外部メモリ1312を利用して行われる。また、パワーマネージメントモジュール1313は、例えば制御部1511への電力供給を制御する。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、コーデックエンジン1516に、上述した各実施形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、コーデックエンジン1516が、上述した実施の形態に係る画像符号化装置100(図18)や画像復号装置200(図26)を実現する機能ブロックを有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、コーデックエンジン1516において、本技術(すなわち、上述した各実施形態に係る画像符号化装置や画像復号装置の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
以上にビデオプロセッサ1332の構成を2例示したが、ビデオプロセッサ1332の構成は任意であり、上述した2例以外のものであってもよい。また、このビデオプロセッサ1332は、1つの半導体チップとして構成されるようにしてもよいが、複数の半導体チップとして構成されるようにしてもよい。例えば、複数の半導体を積層する3次元積層LSIとしてもよい。また、複数のLSIにより実現されるようにしてもよい。
<装置への適用例>
ビデオセット1300は、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオセット1300は、テレビジョン装置900(図38)、携帯電話機920(図39)、記録再生装置940(図40)、撮像装置960(図41)等に組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、ビデオセット1300は、例えば、図42のデータ伝送システム1000におけるパーソナルコンピュータ1004、AV機器1005、タブレットデバイス1006、および携帯電話機1007等の端末装置、図43のデータ伝送システム1100における放送局1101および端末装置1102、並びに、図44の撮像システム1200における撮像装置1201およびスケーラブル符号化データ記憶装置1202等にも組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、図48のコンテンツ再生システムや、図54の無線通信システムにおける各装置にも組み込むことができる。
なお、上述したビデオセット1300の各構成の一部であっても、ビデオプロセッサ1332を含むものであれば、本技術を適用した構成として実施することができる。例えば、ビデオプロセッサ1332のみを本技術を適用したビデオプロセッサとして実施することができる。また、例えば、上述したように点線1341により示されるプロセッサやビデオモジュール1311等を、本技術を適用したプロセッサやモジュール等として実施することができる。さらに、例えば、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314を組み合わせ、本技術を適用したビデオユニット1361として実施することもできる。いずれの構成の場合であっても、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
つまり、ビデオプロセッサ1332を含むものであればどのような構成であっても、ビデオセット1300の場合と同様に、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオプロセッサ1332、点線1341により示されるプロセッサ、ビデオモジュール1311、または、ビデオユニット1361を、テレビジョン装置900(図38)、携帯電話機920(図39)、記録再生装置940(図40)、撮像装置960(図41)、図42のデータ伝送システム1000におけるパーソナルコンピュータ1004、AV機器1005、タブレットデバイス1006、および携帯電話機1007等の端末装置、図43のデータ伝送システム1100における放送局1101および端末装置1102、並びに、図44の撮像システム1200における撮像装置1201およびスケーラブル符号化データ記憶装置1202等に組み込むことができる。さらに、図48のコンテンツ再生システムや、図54の無線通信システムにおける各装置にも組み込むことができる。そして、本技術を適用したいずれかの構成を組み込むことにより、その装置は、ビデオセット1300の場合と同様に、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えば、後述するMPEG DASH等のようなHTTPストリーミングのコンテンツ再生システムやWi-Fi規格の無線通信システムにも適用することができる。
<9.MPEG-DASHの応用例>
<コンテンツ再生システムの概要>
まず、図48乃至図50を参照し、本技術を適用可能なコンテンツ再生システムについて概略的に説明する。
以下では、まず、このような各実施形態において共通する基本構成について図48および図49を参照して説明する。
図48は、コンテンツ再生システムの構成を示した説明図である。図48に示したように、コンテンツ再生システムは、コンテンツサーバ1610、1611と、ネットワーク1612と、コンテンツ再生装置1620(クライアント装置)と、を備える。
コンテンツサーバ1610、1611とコンテンツ再生装置1620は、ネットワーク1612を介して接続されている。このネットワーク1612は、ネットワーク1612に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。
例えば、ネットワーク1612は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク1612は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
コンテンツサーバ1610は、コンテンツデータを符号化し、符号化データおよび符号化データのメタ情報を含むデータファイルを生成して記憶する。なお、コンテンツサーバ1610がMP4形式のデータファイルを生成する場合、符号化データは「mdat」に該当し、メタ情報は「moov」に該当する。
また、コンテンツデータは、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、文書、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトウエアなどであってもよい。
ここで、コンテンツサーバ1610は、同一コンテンツに関し、異なるビットレートで複数のデータファイルを生成する。またコンテンツサーバ1611は、コンテンツ再生装置1620からのコンテンツの再生要求に対して、コンテンツサーバ1610のURLの情報に、コンテンツ再生装置1620で当該URLに付加させるパラメータの情報を含めてコンテンツ再生装置1620に送信する。以下、図49を参照して当該事項について具体的に説明する。
図49は、図48のコンテンツ再生システムにおけるデータの流れを示した説明図である。コンテンツサーバ1610は、同一のコンテンツデータを異なるビットレートで符号化し、図49に示したように例えば2MbpsのファイルA、1.5MbpsのファイルB、1MbpsのファイルCを生成する。相対的に、ファイルAはハイビットレートであり、ファイルBは標準ビットレートであり、ファイルCはロービットレートである。
また、図49に示したように、各ファイルの符号化データは複数のセグメントに区分されている。例えば、ファイルAの符号化データは「A1」、「A2」、「A3」、・・・「An」というセグメントに区分されており、ファイルBの符号化データは「B1」、「B2」、「B3」、・・・「Bn」というセグメントに区分されており、ファイルCの符号化データは「C1」、「C2」、「C3」、・・・「Cn」というセグメントに区分されている。
なお、各セグメントはMP4のシンクサンプル(たとえば、AVC/H.264の映像符号化ではIDR−ピクチャ)で始まる単独で再生可能な1または2以上の映像符号化データおよび音声符号化データより構成サンプルで構成されてもよい。例えば、一秒30フレームのビデオデータが15フレーム固定長のGOP(Group of Picture)にて符号化されていた場合、各セグメントは、4GOPに相当する2秒分の映像ならびに音声符号化データであっても、20GOPに相当する10秒分の映像ならびに音声符号化データであってもよい。
また、各ファイルにおける配置順番が同一のセグメントによる再生範囲(コンテンツの先頭からの時間位置の範囲)は同一である。例えば、セグメント「A2」、セグメント「B2」、およびセグメント「C2」の再生範囲は同一であり、各セグメントが2秒分の符号化データである場合、セグメント「A2」、セグメント「B2」、およびセグメント「C2」の再生範囲は、いずれもコンテンツの2秒乃至4秒である。
コンテンツサーバ1610は、このような複数のセグメントから構成されるファイルA乃至ファイルCを生成すると、ファイルA乃至ファイルCを記憶する。そして、コンテンツサーバ1610は、図49に示したように、異なるファイルを構成するセグメントをコンテンツ再生装置1620に順次に送信し、コンテンツ再生装置1620は、受信したセグメントをストリーミング再生する。
ここで、本実施形態によるコンテンツサーバ1610は、各符号化データのビットレート情報およびアクセス情報を含むプレイリストファイル(以下、MPD:Media Presentation Description)をコンテンツ再生装置1620に送信し、コンテンツ再生装置1620は、MPDに基づき、複数のビットレートのうちのいずれかのビットレートを選択し、選択したビットレートに対応するセグメントの送信をコンテンツサーバ1610に要求する。
図48では、1つのコンテンツサーバ1610のみが図示されているが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。
図50は、MPDの具体例を示した説明図である。図50に示したように、MPDには、異なるビットレート(BANDWIDTH)を有する複数の符号化データに関するアクセス情報が含まれる。例えば、図50に示したMPDは、256Kbps、1.024Mbps、1.384Mbps、1.536Mbps、2.048Mbpsの各々の符号化データが存在することを示す共に、各符号化データに関するアクセス情報を含む。コンテンツ再生装置1620は、かかるMPDに基づき、ストリーミング再生する符号化データのビットレートを動的に変更することが可能である。
なお、図48にはコンテンツ再生装置1620の一例として携帯端末を示しているが、コンテンツ再生装置1620はかかる例に限定されない。例えば、コンテンツ再生装置1620は、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。また、コンテンツ再生装置1620は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器などの情報処理装置であってもよい。
<コンテンツサーバ1610の構成>
以上、図48乃至図50を参照し、コンテンツ再生システムの概要を説明した。続いて、図51を参照し、コンテンツサーバ1610の構成を説明する。
図51は、コンテンツサーバ1610の構成を示した機能ブロック図である。図51に示したように、コンテンツサーバ1610は、ファイル生成部1631と、記憶部1632と、通信部1633と、を備える。
ファイル生成部1631は、コンテンツデータを符号化するエンコーダ1641を備え、同一のコンテンツでビットレートが異なる複数の符号化データ、および上述したMPDを生成する。例えば、ファイル生成部1631は、256Kbps、1.024Mbps、1.384Mbps、1.536Mbps、2.048Mbpsの各々の符号化データを生成した場合、図50に示したようなMPDを生成する。
記憶部1632は、ファイル生成部1631により生成されたビットレートが異なる複数の符号化データおよびMPDを記憶する。この記憶部1632は、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、およびMO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどがあげられる。また、光ディスクとしては、CD(Compact Disc、DVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)およびBD(Blu-Ray Disc(登録商標))などがあげられる。
通信部1633は、コンテンツ再生装置1620とのインタフェースであって、ネットワーク1612を介してコンテンツ再生装置1620と通信する。より詳細には、通信部1633は、HTTPに従ってコンテンツ再生装置1620と通信するHTTPサーバとしての機能を有する。例えば、通信部1633は、MPDをコンテンツ再生装置1620に送信し、HTTPに従ってコンテンツ再生装置1620からMPDに基づいて要求された符号化データを記憶部1632から抽出し、HTTPレスポンスとしてコンテンツ再生装置1620に符号化データを送信する。
<コンテンツ再生装置1620の構成>
以上、本実施形態によるコンテンツサーバ1610の構成を説明した。続いて、図52を参照し、コンテンツ再生装置1620の構成を説明する。
図52は、コンテンツ再生装置1620の構成を示した機能ブロック図である。図52に示したように、コンテンツ再生装置1620は、通信部1651と、記憶部1652と、再生部1653と、選択部1654と、現在地取得部1656と、を備える。
通信部1651は、コンテンツサーバ1610とのインタフェースであって、コンテンツサーバ1610に対してデータを要求し、コンテンツサーバ1610からデータを取得する。より詳細には、通信部1651は、HTTPに従ってコンテンツ再生装置1620と通信するHTTPクライアントとしての機能を有する。例えば、通信部1651は、HTTP Rangeを利用することにより、コンテンツサーバ1610からMPDや符号化データのセグメントを選択的に取得することができる。
記憶部1652は、コンテンツの再生に関する種々の情報を記憶する。例えば、通信部1651によりコンテンツサーバ1610から取得されるセグメントを順次にバッファリングする。記憶部1652にバッファリングされた符号化データのセグメントは、FIFO(First In First Out)で再生部1653へ順次に供給される。
また記憶部1652は、後述のコンテンツサーバ1611から要求された、MPDに記述されているコンテンツのURLへのパラメータの付加指示に基づき、通信部1651でURLにパラメータを付加して、そのURLへアクセスするための定義を記憶する。
再生部1653は、記憶部1652から供給されるセグメントを順次に再生する。具体的には、再生部1653は、セグメントのデコード、DA変換、およびレンダリングなどを行う。
選択部1654は、MPDに含まれるいずれのビットレートに対応する符号化データのセグメントを取得するかを同一コンテンツ内で順次に選択する。例えば、選択部1654がネットワーク1612の帯域に応じてセグメント「A1」、「B2」、「A3」を順次に選択すると、図49に示したように、通信部1651がコンテンツサーバ1610からセグメント「A1」、「B2」、「A3」を順次に取得する。
現在地取得部1656は、コンテンツ再生装置1620の現在の位置を取得するものであり、例えばGPS(Global Positioning System)受信機などの現在地を取得するモジュールで構成されていても良い。また現在地取得部1656は、無線ネットワークを使用してコンテンツ再生装置1620の現在の位置を取得するものであってもよい。
<コンテンツサーバ1611の構成>
図53は、コンテンツサーバ1611の構成例を示す説明図である。図53に示したように、コンテンツサーバ1611は、記憶部1671と、通信部1672と、を備える。
記憶部1671は、MPDのURLの情報を記憶する。MPDのURLの情報は、コンテンツの再生を要求するコンテンツ再生装置1620からの求めに応じ、コンテンツサーバ1611からコンテンツ再生装置1620へ送信される。また記憶部1671は、コンテンツ再生装置1620へのMPDのURLの情報を提供する際に、当該MPDに記述されているURLにコンテンツ再生装置1620でパラメータを付加させる際の定義情報を記憶する。
通信部1672は、コンテンツ再生装置1620とのインタフェースであって、ネットワーク1612を介してコンテンツ再生装置1620と通信する。すなわち通信部1672は、コンテンツの再生を要求するコンテンツ再生装置1620から、MPDのURLの情報の要求を受信し、コンテンツ再生装置1620へMPDのURLの情報を送信する。通信部1672から送信されるMPDのURLには、コンテンツ再生装置1620でパラメータを付加させるための情報が含まれる。
コンテンツ再生装置1620でMPDのURLに付加させるパラメータについては、コンテンツサーバ1611およびコンテンツ再生装置1620で共有する定義情報で様々に設定することが出来る。一例を挙げれば、コンテンツ再生装置1620の現在位置、コンテンツ再生装置1620を使用するユーザのユーザID、コンテンツ再生装置1620のメモリサイズ、コンテンツ再生装置1620のストレージの容量などの情報を、コンテンツ再生装置1620でMPDのURLに付加させることが出来る。
以上のような構成のコンテンツ再生システムにおいて、図1乃至図33を参照して上述したような本技術を適用することにより、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、コンテンツサーバ1610のエンコーダ1641が、上述した実施形態に係る画像符号化装置100(図18)の機能を有するようにする。また、コンテンツ再生装置1620の再生部1653が、上述した実施形態に係る画像復号装置200(図26)の機能を有するようにする。それにより、画像の符号化および復号に際して、負荷の増大を抑制することができる。
また、コンテンツ再生システムにおいて、本技術により符号化されたデータを送受信することにより、符号化効率の低減を抑制することができる。
<10.Wi-Fi規格の無線通信システムの応用例>
<無線通信装置の基本動作例>
本技術を適用可能な無線通信システムにおける無線通信装置の基本動作例について説明する。
最初に、P2P(Peer to Peer)接続を確立して特定のアプリケーションを動作させるまでの無線パケット送受信がなされる。
次に、第2層で接続する前に、使用する特定のアプリケーションを指定してからP2P接続を確立して特定のアプリケーションを動作させるまでの無線パケット送受信がなされる。その後、第2層での接続後に、特定のアプリケーションを起動する場合の無線パケット送受信がなされる。
<特定のアプリケーション動作開始時における通信例>
図54および図55は、上述したP2P(Peer to Peer)接続を確立して特定のアプリケーションを動作させるまでの無線パケット送受信の例であり、無線通信の基礎となる各装置による通信処理例を示すシーケンスチャートである。具体的には、Wi-Fi Allianceにおいて標準化されているWi-Fiダイレクト(Direct)規格(Wi-Fi P2Pと呼ばれることもある)での接続に至るダイレクト接続の確立手順の一例を示す。
ここで、Wi-Fiダイレクトでは、複数の無線通信装置が互いの存在を検出する(Device Discovery、Service Discovery)。そして、接続機器選択を行うとその選択された機器間において、WPS(Wi-Fi Protected Setup)で機器認証を行うことによりダイレクト接続を確立する。また、Wi-Fiダイレクトでは、複数の無線通信装置が親機(Group Owner)または子機(Client)の何れとしての役割を担うかを決定して通信グループを形成する。
ただし、この通信処理例では、一部のパケット送受信については省略して示す。例えば、初回接続時には、上述したように、WPSを使うためのパケット交換が必要であり、AuthenticationRequest/Responseのやり取り等においてもパケット交換が必要となる。しかしながら、図54および図55では、これらのパケット交換についての図示を省略し、2回目以降の接続についてのみを示す。
なお、図54および図55では、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間における通信処理例を示すが、他の無線通信装置間における通信処理についても同様である。
最初に、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間においてDevice Discoveryが行われる(1711)。例えば、第1無線通信装置1701は、Probe request(応答要求信号)を送信し、このProbe requestに対するProbe response(応答信号)を第2無線通信装置1702から受信する。これにより、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702は、互いの存在を発見することができる。また、Device Discoveryにより、相手のデバイス名や種類(TV、PC、スマートフォン等)を取得することができる。
続いて、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間においてService Discoveryが行われる(1712)。例えば、第1無線通信装置1701は、Device Discoveryで発見した第2無線通信装置1702が対応しているサービスを問い合わせるService Discovery Queryを送信する。そして、第1無線通信装置1701は、Service Discovery Responseを第2無線通信装置1702から受信することにより、第2無線通信装置1702が対応しているサービスを取得する。すなわち、Service Discoveryにより、相手が実行可能なサービス等を取得することができる。相手が実行可能なサービスは、例えば、service、protocol(DLNA(Digital Living Network Alliance) DMR(Digital Media Renderer)等)である。
続いて、ユーザにより接続相手の選択操作(接続相手選択操作)が行われる(1713)。この接続相手選択操作は、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702の何れか一方のみに発生することもある。例えば、第1無線通信装置1701の表示部に接続相手選択画面が表示され、この接続相手選択画面において接続相手として第2無線通信装置1702がユーザ操作により選択される。
ユーザにより接続相手選択操作が行われると(1713)、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間においてGroup Owner Negotiationが行われる(1714)。図54および図55では、Group Owner Negotiationの結果により、第1無線通信装置1701がグループオーナー(Group Owner)1715になり、第2無線通信装置1702がクライアント(Client)1716になる例を示す。
続いて、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間において、各処理(1717乃至1720)が行われることにより、ダイレクト接続が確立される。すなわち、Association(L2(第2層) link確立)(1717)、Secure link確立(1718)が順次行われる。また、IP Address Assignment(1719)、SSDP(Simple Service Discovery Protocol)等によるL3上でのL4 setup(1720)が順次行われる。なお、L2(layer2)は、第2層(データリンク層)を意味し、L3(layer3)は、第3層(ネットワーク層)を意味し、L4(layer4)は、第4層(トランスポート層)を意味する。
続いて、ユーザにより特定のアプリケーションの指定または起動操作(アプリ指定・起動操作)が行われる(1721)。このアプリ指定・起動操作は、第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702の何れか一方のみに発生することもある。例えば、第1無線通信装置1701の表示部にアプリ指定・起動操作画面が表示され、このアプリ指定・起動操作画面において特定のアプリケーションがユーザ操作により選択される。
ユーザによりアプリ指定・起動操作が行われると(1721)、このアプリ指定・起動操作に対応する特定のアプリケーションが第1無線通信装置1701および第2無線通信装置1702間において実行される(1722)。
ここで、Wi-Fi Direct規格以前の仕様(IEEE802.11で標準化された仕様)の範囲内で、AP(Access Point)−STA(Station)間の接続を行う場合を想定する。この場合には、第2層で接続する前(IEEE802.11用語ではassociation前)には、どのようなデバイスと繋ごうとしているのかを事前に知ることができなかった。
これに対して、図54および図55に示すように、Wi-Fi Directでは、Device discoveryやService Discovery(option)において、接続候補相手を探す際に、接続相手の情報を取得することができる。この接続相手の情報は、例えば、基本的なデバイスのタイプや、対応している特定のアプリケーション等である。そして、その取得された接続相手の情報に基づいて、ユーザに接続相手を選択させることができる。
この仕組みを拡張して、第2層で接続する前に特定のアプリケーションを指定して、接続相手を選択し、この選択後に、自動的に特定のアプリケーションを起動させる無線通信システムを実現することも可能である。このような場合の接続に至るシーケンスの一例を、図57に示す。また、この通信処理において送受信されるフレームフォーマット(frame format)の構成例を図56に示す。
<フレームフォーマットの構成例>
図56は、本技術の基礎となる各装置による通信処理において送受信されるフレームフォーマット(frame format)の構成例を模式的に示す図である。すなわち、図56には、第2層での接続を確立するためのMAC frameの構成例を示す。具体的には、図57に示すシーケンスを実現するためのAssociation Request/Response(1787)のフレームフォーマットの一例である。
なお、Frame Control(1751)からSequence Control(1756)までは、MACヘッダである。また、Association Requestを送信する際には、Frame Control(1751)において、B3B2="0b00"、かつ、B7B6B5B4="0b0000"が設定される。また、Association Responseをencapsulateする際には、Frame Control(1751)において、B3B2="0b00"、かつ、B7B6B5B4="0b0001"が設定される。なお、「0b00」は、2進法で「00」であることを示し、「0b0000」は、2進法で「0000」であることを示し、「0b0001」は、2進法で「0001」であることを示す。
ここで、図56に示すMAC frameは、基本的には、IEEE802.11-2007仕様書section7.2.3.4節と7.2.3.5節に記載のAssociation Request/Responseframe formatである。ただし、IEEE802.11仕様書内で定義されているInformation Element(以下、IEと省略)だけでなく、独自に拡張したIEを含めている点が異なる。
また、Vendor Specific IE(1760)であることを示すため、IE Type(Information Element ID(1761))には、10進数で127がセットされる。この場合、IEEE802.11−2007仕様7.3.2.26節により、Lengthフィールド(1762)と、OUIフィールド(1763)が続き、この後にvendor specific content(1764)が配置される。
Vendor specific content(1764)の内容としては、最初にvendor specific IEのtypeを示すフィールド(IE type(1765))を設ける。そして、この後に、複数のsubelement(1766)を格納することができる構成とすることが考えられる。
subelement(1766)の内容として、使われるべき特定のアプリケーションの名称(1767)や、その特定のアプリケーション動作時のデバイスの役割(1768)を含めることが考えられる。また、特定のアプリケーション、または、その制御のために使われるポート番号等の情報(L4セットアップのための情報)(1769)や、特定のアプリケーション内でのCapabilityに関する情報(Capability情報)を含めることが考えられる。ここで、Capability情報は、例えば、指定する特定のアプリケーションがDLNAの場合に、音声送出/再生に対応している、映像送出/再生に対応している等を特定するための情報である。
以上のような構成の無線通信システムにおいて、図1乃至図33を参照して上述したような本技術を適用することにより、図1乃至図33を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、画像の符号化および復号に際して、負荷の増大を抑制することができる。また、上述した無線通信システムにおいて、本技術により符号化されたデータを送受信することにより、符号化効率の低減を抑制することができる。
また、本明細書では、各種情報が、符号化ストリームに多重化されて、符号化側から復号側へ伝送される例について説明した。しかしながら、これら情報を伝送する手法はかかる例に限定されない。例えば、これら情報は、符号化ビットストリームに多重化されることなく、符号化ビットストリームと関連付けられた別個のデータとして伝送され又は記録されてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、ビットストリームに含まれる画像(スライス若しくはブロックなど、画像の一部であってもよい)と当該画像に対応する情報とを復号時にリンクさせ得るようにすることを意味する。即ち、情報は、画像(又はビットストリーム)とは別の伝送路上で伝送されてもよい。また、情報は、画像(又はビットストリーム)とは別の記録媒体(又は同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されてもよい。さらに、情報と画像(又はビットストリーム)とは、例えば、複数フレーム、1フレーム、又はフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられてよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 複数レイヤよりなる画像データのカレントレイヤについて、ピクチャを複数に分割する所定の領域毎に符号化された他のレイヤの、符号化に関する情報を参照する前記領域を制御する制御情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記制御情報の制御に従って、前記他のレイヤの一部の領域の前記符号化に関する情報を参照し、前記画像データのカレントレイヤを符号化する符号化部と、
前記符号化部により生成された前記画像データの符号化データと、前記生成部により生成された前記制御情報とを伝送する伝送部と
を備える画像符号化装置。
(2) 前記制御情報は、前記他のレイヤの、前記符号化に関する情報の参照を許可する領域を指定するか、前記符号化に関する情報の参照を禁止する領域を指定するか、若しくは、前記符号化に関する情報を参照する領域を指定することにより、前記符号化に関する情報を参照することができる領域を制限する情報である
(1)、(3)乃至(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(3) 前記制御情報は、前記領域を、ラスタスキャン順に割り当てられた識別番号、ピクチャ内における前記領域の縦方向および横方向の位置を示す情報、若しくは、前記符号化データにおける前記領域のデータの位置を示す情報により指定する
(1)、(2)、(4)乃至(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(4) 前記伝送部は、前記符号化に関する情報を参照する領域を制御するかを示す情報をさらに伝送する
(1)乃至(3)、(5)乃至(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(5) 前記符号化に関する情報は、前記画像データの符号化の際に利用される予測画像の生成に用いられる情報である
(1)乃至(4)、(6)乃至(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(6) 前記予測画像の生成に用いられる情報は、前記画像データのテクスチャ予測に用いられる情報と、前記画像データのシンタクス予測に用いられる情報とを含み、
前記制御情報は、前記テクスチャ予測に用いられる情報を参照する領域と、前記シンタクス予測に用いられる情報を参照する領域とを、互いに独立に制御する情報である
(1)乃至(5)、(7)乃至(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(7) 前記生成部は、前記画像データの前記カレントレイヤの、ピクチャを複数に分割する所定の領域毎に前記制御情報を生成し、
前記符号化部は、前記画像データの前記カレントレイヤを前記領域毎に、前記生成部が生成した各領域の前記制御情報の制御に従って、前記他のレイヤの一部の領域の前記符号化に関する情報を参照し、符号化する
(1)乃至(6)、(8)、(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(8) 前記伝送部は、前記カレントレイヤの領域分割が前記他のレイヤの領域分割と同様であるかを示す情報をさらに伝送する
(1)乃至(7)、(9)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(9) 前記領域は、前記画像データのスライス若しくはタイルである
(1)乃至(8)のいずれかに記載の画像符号化装置。
(10) 複数レイヤよりなる画像データのカレントレイヤについて、ピクチャを複数に分割する所定の領域毎に符号化された他のレイヤの、符号化に関する情報を参照する前記領域を制御する制御情報を生成し、
生成された前記制御情報の制御に従って、前記他のレイヤの一部の領域の前記符号化に関する情報を参照し、前記画像データのカレントレイヤを符号化し、
前記画像データが符号化されて生成された符号化データと、生成された前記制御情報とを伝送する
画像符号化方法。
(11) 複数レイヤよりなる画像データのカレントレイヤの符号化データと、前記画像データの、ピクチャを複数に分割する所定の領域毎に符号化された他のレイヤの、符号化に関する情報を参照する前記領域を制御する制御情報とを受け取る受け取り部と、
前記受け取り部により受け取られた前記制御情報の制御に従って、前記他のレイヤの一部の領域の前記符号化に関する情報を参照し、前記符号化データを復号する復号部と
を備える画像復号装置。
(12) 前記制御情報は、前記他のレイヤの、前記符号化に関する情報の参照を許可する領域を指定するか、前記符号化に関する情報の参照を禁止する領域を指定するか、若しくは、前記符号化に関する情報を参照する領域を指定することにより、前記符号化に関する情報を参照することができる領域を制限する情報である
(11)、(13)乃至(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(13) 前記制御情報は、前記領域を、ラスタスキャン順に割り当てられた識別番号、ピクチャ内における前記領域の縦方向および横方向の位置を示す情報、若しくは、前記符号化データにおける前記領域のデータの位置を示す情報により指定する
(11)、(12)、(14)乃至(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(14) 前記受け取り部は、前記符号化に関する情報を参照する領域を制御するかを示す情報をさらに受け取る
(11)乃至(13)、(15)乃至(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(15) 前記符号化に関する情報は、前記符号化データの復号の際に利用される予測画像の生成に用いられる情報である
(11)乃至(14)、(16)乃至(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(16) 前記予測画像の生成に用いられる情報は、前記画像データのテクスチャ予測に用いられる情報と、前記画像データのシンタクス予測に用いられる情報とを含み、
前記制御情報は、前記テクスチャ予測に用いられる情報を参照する領域と、前記シンタクス予測に用いられる情報を参照する領域とを、互いに独立に制御する情報である
(11)乃至(15)、(17)乃至(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(17) 前記受け取り部は、前記画像データのカレントレイヤの、ピクチャを複数に分割する所定の領域毎に符号化された符号化データと、前記領域毎の前記制御情報とを受け取り、
前記復号部は、前記受け取り部により受け取られた前記符号化データを前記領域毎に、各領域の前記制御情報の制御に従って、前記他のレイヤの一部の領域の前記符号化に関する情報を参照し、復号する
(11)乃至(16)、(18)、(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(18) 前記受け取り部は、前記カレントレイヤの領域分割が前記他のレイヤの領域分割と同様であるかを示す情報をさらに受け取る
(11)乃至(17)、(19)のいずれかに記載の画像復号装置。
(19) 前記領域は、前記画像データのスライス若しくはタイルである
(11)乃至(18)のいずれかに記載の画像復号装置。
(20) 複数レイヤよりなる画像データのカレントレイヤの符号化データと、前記画像データの、ピクチャを複数に分割する所定の領域毎に符号化された他のレイヤの、符号化に関する情報を参照する前記領域を制御する制御情報とを受け取り、
受け取られた前記制御情報の制御に従って、前記他のレイヤの一部の領域の前記符号化に関する情報を参照し、前記符号化データを復号する
画像復号方法。