[第1の実施形態]
<観察システムの構成>
(観察システムの概要)
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る観察システムは、培養中の細胞、細胞群、組織等を撮影し、細胞又は細胞群の個数、形態等を記録するためのシステムである。観察システム1の外観の概略の一例を模式図として図1に、観察システム1の構成例の概略をブロック図として図2にそれぞれ示し、これらを参照して観察システム1の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、観察システム1は、観察装置100とコントローラ200とを備える。図1に示すように、観察装置100は、おおよそ平板形状をしている。観察装置100の上面には観察対象である試料300が配置され、観察装置100と試料300とは、例えばインキュベータ内に設置される。
以降の説明のため、観察装置100の試料300が配置される面と平行な面内に互いに直交するX軸及びY軸を定義し、X軸及びY軸と直交するようにZ軸(観察軸)を定義する。
図1及び図2に示すように、観察装置100は、筐体101と、透明板102と、画像取得ユニット150と、移動機構160とを備える。筐体101の上面には、透明板102が配置されている。画像取得ユニット150は、筐体101の内部に設けられており、撮像部151と照明部155とを備える。図2に示すように、撮像部151は、撮像光学系152と、撮像素子153とを備える。撮像部151は、撮像光学系152を介して撮像素子153の撮像面に結像した像に基づいて、画像データを生成する。画像取得ユニット150は、移動機構160によって移動させられて試料300との相対位置を変更させられながら、透明板102を介して試料300を照明し、また、撮影して試料300の画像を取得する。一方、コントローラ200は、例えばインキュベータの外部に設置される。観察装置100とコントローラ200とは、通信する。コントローラ200は、観察装置100の動作を制御する。
なお、Z軸方向の撮影位置は、移動機構160によって変更されてもよいし、撮像光学系152の合焦位置が変更されることで変更されてもよい。撮像光学系152は、焦点距離を変更できるズーム光学系であることが好ましい。
以下、撮像光学系152が拡大光学系であり、撮像光学系152の光軸がZ軸(観察軸)と平行である場合を例として説明をする。本実施形態に係る観察装置100は、注目被写体の奥行き情報を取得する3Dスキャン処理と、注目被写体の大きさ、数等を取得するカウントスキャン処理とを行う。
本実施形態に係る撮像光学系152は、少なくとも被写体側に非テレセントリック性を有する光学系である第1の撮像光学系を備える。以下、第1の撮像光学系を用いて撮像された画像を第1の画像と称する。例えば3Dスキャン処理において、観察装置100は、第1の撮像光学系を含む画像取得ユニット150を移動させながら第1の画像を取得する。観察装置100は、それぞれ異なる位置で行われた撮像間の視差に基づいて、試料300に含まれる注目被写体の第1の撮像光学系の光軸方向の位置を奥行き情報として取得する。当該奥行き情報には、注目被写体に係る第1の撮像光学系の光軸方向の位置、立体モデル(3Dモデル)等が含まれる。
また、本実施形態に係る撮像光学系152は、少なくとも被写体側にテレセントリック性を有する光学系である第2の撮像光学系をさらに備える。以下、第2の撮像光学系を用いて撮像された画像を第2の画像と称する。例えばカウントスキャン処理において、観察装置100は、第2の撮像光学系を含む画像取得ユニット150を移動させながら第2の画像を取得する。観察装置100は、それぞれ異なる位置で撮像された第2の画像を合成し、広範囲を撮像して取得されたかのような広範囲の高画素画像を取得する。また、観察装置100は、第2の画像又は当該高画素画像に基づいて、注目被写体の大きさ、数等を取得する。
(撮像光学系について)
ここでは、画像取得ユニット150が移動させられながら行う撮像について、第1の撮像光学系を用いる場合と第2の撮像光学系を用いる場合との各々について図3乃至図6を参照して説明する。本実施形態に係る撮像光学系152は、絞り152aと、少なくとも対物レンズ152b及び結像レンズ152cを含む複数のレンズとを備える。なお、結像レンズ152cの撮像素子153側の焦点距離を焦点距離Ftとする。
まず、本実施形態に係る撮像光学系152として第2の撮像光学系が用いられる場合について説明をする。本実施形態に係る第2の撮像光学系を含む撮像部151と試料300との位置関係の一例を模式図として図3に示す。試料300は、容器310と注目被写体である細胞324とを含む。ここでは、第2の撮像光学系が両側テレセントリック光学系である場合を例として説明をする。図3に示すように、本実施形態に係る第2の撮像光学系は、絞り152aと対物レンズ152bの射出側焦点と結像レンズ152cの入射側焦点との位置を一致させることで、被写体側と像側との両側にテレセントリック性を有する光学系である。このような両側テレセントリック光学系では、光学系の光軸に対して平行に入射した主光線(絞り152aの中心を通過する光線)が、光学系の光軸に対して平行に射出される。
例えば図3に示す状態では、細胞324上の点P1は、第2の撮像光学系の光軸上に位置する。点P1から放射される光線のうち、絞り152aの中心を通るようにして第2の撮像光学系を通過して撮像素子153へと入射できる光線(主光線)は、第2の撮像光学系の光軸に対して平行に対物レンズ152bへ入射する光線R1である。光線R1は、第2の撮像光学系の光軸に対して平行に対物レンズ152bへ入射し、絞り152aの中心と結像レンズ152cとを通過して、撮像素子153上の第2の撮像光学系の光軸上に位置する点Q1へと入射する。
また、図3に示す状態から、第2の撮像光学系の光軸がZ軸(観察軸)と平行に維持されたまま、移動機構160によってΔX1だけX方向に移動させられた後の状態を模式図として図4に示す。
図4に示す状態では、点P1から放射される光線のうち、絞り152aの中心を通るようにして第2の撮像光学系を通過して撮像素子153へと入射できる光線(主光線)は、第2の撮像光学系の光軸に対して平行に対物レンズ152bへ入射する光線R1´である。もちろん、機構構成を傾斜可能なものにしたりすれば、光軸に対して傾きを持たせた移動にする応用も可能である。以下、光線R1´が入射する撮像素子153上の点をQ1´とする。ここで、点P1を対応点とした場合には、撮像素子153の撮像面における像位置の変化量(第2の像移動量)は、点Q1と点Q1´との間の距離である。また、図4に示す状態において、第2の撮像光学系の光軸上であって、当該光軸方向の位置が点P1と等しい点を点P11とする。
次に、本実施形態に係る撮像光学系152として第1の撮像光学系が用いられる場合について説明をする。本実施形態に係る第1の撮像光学系を含む撮像部151と試料300との位置関係の一例を模式図として図5に示す。図3及び図4に示す場合と同様に、試料300は、容器310と注目被写体である細胞324とを含む。ここでは、第1の撮像光学系が被写体側非テレセントリック光学系(像側テレセントリック光学系)である場合を例として説明をする。図5に示すように、本実施形態に係る第1の撮像光学系は、図3又は図4に示す両側テレセントリック光学系において対物レンズ152bの第1の撮像光学系の光軸方向の位置を絞り152a側に移動させて、被写体側のみテレセントリック性を崩した光学系である。このような被写体側非テレセントリック光学系では、当該光学系に入射して対物レンズ152bで偏向された後に絞り152aの中心を通過する光線(主光線)が、光学系の光軸に対して平行に射出される。絞り152aと対物レンズ152bの射出側焦点とを異ならせているため、被写体側非テレセントリック光学系を通過して撮像される光線のうち光軸上以外を通過して入射する主光線(図5中の破線で示す軸外主光線)は、注目被写体と光学系との間において、光学系の光軸と傾きを有することになる。
例えば図5に示す状態では、細胞324上の点P1の位置は第1の撮像光学系の光軸上であるため、点P1から放射される光線のうち、第1の撮像光学系の絞り152aの中心を通過して撮像素子153へと入射できる光線(主光線)は、第1の撮像光学系の光軸上を通過して撮像素子153上の点Q2へと入射する光線R2である。
また、図5に示す状態から、第1の撮像光学系の光軸がZ軸(観察軸)と平行に維持されたまま、移動機構160によってΔX2だけX方向に移動させられた後の状態を模式図として図6に示す。
図6に示す状態では、点P1の位置は第1の撮像光学系の光軸上ではないため、点P1から放射される光線のうち主光線は、当該光軸に対して角度φの傾きを有して対物レンズ152bへ入射する光線R2´である。その後、光線R2´は対物レンズ152bで偏向された後に絞り152aの中心を通過して撮像素子153上の点Q2´へと入射する。ここで、点P1を対応点とした場合には、撮像素子153の撮像面における像位置の変化量(第1の像移動量ΔX)は、点Q2と点Q2´との間の距離である。また、図6に示す状態において、第1の撮像光学系の光軸上であって、当該光軸方向の位置が点P1と等しい点を点P12とする。
図3及び図4を参照して上述したように、第2の撮像光学系を用いる場合に撮像素子153に入射する各主光線は、第2の撮像光学系の光軸に対して平行に第2の撮像光学系へ入射する光線である。そのため、例えば第2の撮像光学系の光軸位置(撮像位置)が位置X1から位置X1´へと移動するように、注目被写体と第2の撮像光学系の光軸位置との相対位置が変化する場合には、第2の撮像光学系が当該光学系の入射端から点P1を見る方向の変化(視差)は生じない。また、第2の像移動量は、第2の画像が取得された撮像位置の間隔(ΔX1)に第2の撮像光学系の倍率を乗じた距離に等しい。被写体に凹凸がある場合でも撮像面上での見え方は変わらない。これは、第2の像移動量は、視差が存在する場合に発生する視差に起因する像移動量を含まないとも表現できる。
このように、第2の撮像光学系を用いた撮像では、瞳が被写体側から見て無限遠となるため、遠方から俯瞰したかのごとき画像(第2の画像)が得られることになる。例えば細胞が凹凸を有する場合のように、細胞324と対物レンズ152bとの相対位置が当該光軸方向に異なる場合でも、第2の撮像光学系の光軸に対して平行に第2の撮像光学系へ入射する光線の光路は変化しない。そのため、撮像位置を変化させながら取得した複数の第2の画像を張り合わせて広範囲の高画素画像を合成する際に、画像間のつなぎ目の処理が容易となる。広範囲の画像に基づけば、その撮像領域内に存在する細胞数のカウントや細胞の大きさの比較が容易であることは言うまでもない。
一方で、細胞324又は細胞群の形状が撮像光学系152の光軸方向に対して凹凸を有している場合等には、注目被写体の奥行き情報を取得したいという需要もある。ところが、上述したように第2の撮像光学系のような被写体側テレセントリック光学系では、注目被写体と当該光学系との相対位置が光軸方向に変化しても、第2の像移動量には視差に起因する像移動量が含まれないため、注目被写体の当該光軸方向の位置の変化量は取得できない。本実施形態に係る観察装置100は、このように奥行き情報を取得したい場合に第1の撮像光学系を用いて撮像を行う。
図5及び図6を参照して上述したように、第1の撮像光学系を用いる場合に撮像素子153に入射する各主光線のうち、第1の撮像光学系の光軸上に位置しない範囲から放射される主光線は、当該光軸との間に傾きを有している。そのため、例えば第1の撮像光学系の光軸位置(撮像位置)が位置X2から位置X2´へと移動するように、注目被写体と光軸位置との相対位置が変化する場合には、第1の撮像光学系が当該光学系の入射端から点P1を見る方向の変化(視差)が生じる。また、第1の像移動量ΔXは、第1の画像が取得された撮像位置の間隔(ΔX2)に第1の撮像光学系の倍率を乗じた距離に等しい。しかしながら、被写体に凹凸がある場合、対物レンズの被写体側の焦平面(P1を含み光軸に垂直な面)に対して前後する位置にある被写体に対しては撮像面上での倍率が異なる。図6の例では、対物レンズ152bからの距離が遠いほど撮像面上での倍率は小さくなる。つまり、設定する点P1の位置の奥行きの違いにより、ΔX2とΔXとの比は変化する。これは、第1の像移動量ΔXは、視差が存在する場合に発生する視差に起因する像移動量を含んでいるとも表現できる。
このように、第1の撮像光学系を用いた撮像では、同一の対応点を含み、かつ、例えば同一のXY平面上で撮像位置が異なる複数の第1の画像に基づいて、視差に起因する像移動量を含む第1の像移動量ΔXが得られることになる。そのため、本実施形態に係る観察装置100は、例えば第1の像移動量ΔXに基づいて三角測量の原理を利用して、細胞324等の注目被写体について奥行き情報を取得することができる。奥行き情報には、例えば厚み、凹凸等の情報を含む立体情報、立体画像が含まれる。第1の撮像光学系を用いた撮像では、こうした距離分布や各深さ方向の像情報などが得られるので、様々な情報で、対象物の確認が可能となる。つまり観察光学系を用いて試料300の画像を取得する撮像部151と、試料300と撮像部151との相対位置を変更する移動機構160と、異なる撮像部151の位置で取得された複数の画像と、この画像の取得時の各々の撮像位置に係る情報とに基づいてこの試料300について立体情報として取得する立体情報取得部を備える観察装置が提供できる。この観察光学系は、結像作用があればよく、拡大は電子的に拡大するような応用を行ってもよい。
(奥行き情報の取得について)
ここでは、図5に示す状態で取得された第1の画像と、図6に示す状態で取得された第1の画像とに基づく奥行き情報の取得について説明をする。なお、これら第1の画像の取得間隔は、試料300の内部で生じる現象の経時変化と比較して十分に短いものとする。また、簡単のため、図6に示す第1の光学系を通過する光線R2´において、対物レンズ152bの入射側と射出側の光線が同一線上である場合を例として説明をする。したがって、以下の奥行き情報の取得についての説明において、絞り152aの中心を示す点S0と点P1と点P12とから成る三角形は、点S0と光線R2´が通過する結像レンズ152c上の点K1と結像レンズ152cの中心を示す点K0とから成る直角三角形と相似であるとする。なお、対物レンズ152bの入射側と射出側の光線が同一線上でない場合であっても、対物レンズ152bにおける屈折角を考慮すれば以下の説明と同様の処理が可能であることは言うまでもない。
点S0と点K1と点K0とから成る直角三角形において、点K1と点K0との間の距離は、第1の像移動量ΔXに等しい。第1の像移動量ΔXは、少なくとも2枚の第1の画像に基づいた画像処理において、対応点が検出されて像面上の対応点の移動量として算出されるため既知である。また、点S0と点K0との間の距離は、結像レンズ152cの入射側の焦点距離Foであり既知である。一方、点S0と点P1と点P12とから成る直角三角形において、点P1と点P12との間の距離は、光軸間距離ΔX2であり、既知である。
したがって、絞り152aと入射瞳(被写体側から見た絞り152aの像)の位置の差が無視できるとした場合、点S0と点P1との間の第1の撮像光学系の光軸方向の距離Zは、Z=Fo×ΔX2/ΔXとして算出され、細胞324の奥行き情報が取得される。
なお、図3及び図4に示した第2の撮像光学系と、図5及び図6に示した第1の撮像光学系とは、それぞれ像側にテレセントリック性を有する光学系として示されているが、これに限定されない。上述したように、本実施形態に係る観察装置100は、撮像して取得する画像が、細胞324の奥行き情報を含むか否かを切り替えるために撮像光学系152を第1の撮像光学系としたり、第2の撮像光学系としたりする。そのため、第1の撮像光学系又は第2の撮像光学系が像側に非テレセントリック性を有する光学系であっても、同様の効果が得られ得る。
また、第1の撮像光学系は被写体側に非テレセントリック性を有する光学系であるため、例えばピントを合わせるために、第1の撮像光学系を第1の撮像光学系の光軸方向に移動させた場合にも、撮像素子153上の対応点は移動することになる。例えば図6に示す状態から、第1の撮像光学系と撮像素子153とが一体として細胞324から離れる方向(Z−方向)に移動させられた場合を例として説明する。このとき、点P1と点S0とを通る直線と、点P12と点S0とを通る直線とが成す角は小さくなる。したがって、点K1は、光軸側に移動し、点Q2´もまた光軸側に移動することになる。このように、移動させられながら撮像を繰り返す途中で、ピント合わせ等のために第1の撮像光学系が第1の撮像光学系の光軸方向に移動させられた場合でも、対応点の移動を取得することによって、奥行き情報の取得が可能であることは明らかである。
なお、簡単のために、撮像光学系152がX方向に移動させられた場合であって、あるXY平面(点P1を撮像した点)にのみ着目した場合における光軸方向の奥行き情報の取得について説明をしたが、これに限定されない。第1の画像に含まれる複数の対応点について第1の像移動量ΔXが取得され、細胞324について、面での奥行き情報が取得されることは明らかである。
なお、簡単のために、奥行き情報の取得に用いられる第1の画像の一方が撮像された状態として、図5に示すような、点P1が第1の撮像光学系の光軸上に位置する場合を例として説明したが、これに限定されない。例えば奥行き情報の取得に用いられる少なくとも2枚の第1の画像において、各々の撮像時の光軸上に位置しない点が対応点として用いられてもよい。
一般に、例えばオートフォーカスの結果に基づいて、注目被写体上の任意の点について奥行き情報を取得することは容易である。一方で、オートフォーカスの結果に基づいて、注目被写体の任意の面について奥行き情報を取得することは、所望の分解能にも依存するが、当該面に含まれる全ての点に対するオートフォーカス動作が要求される等、困難である。このような中、本実施形態に係る観察装置100において第1の撮像光学系を用いて奥行き情報を取得すれば、当該奥行き情報には注目被写体の面の奥行き情報が含まれており、注目被写体の3Dモデルの取得等が容易となる。
なお、被写体側のいずれの主光線も光軸とのなす角度が4°以下の光学系であれば被写体側テレセントリック光学系とみなしてよい。
被写体側非テレセントリック光学系としては、被写体側のいずれかの主光線と光軸とのなす角度(図6のφ)が6°以上の光学系とみなしてよい。複数の第1の画像間にて十分に視差のある画像を得られる。
さらに周辺(側面)の画像を撮る場合は、被写体側のいずれかの主光線と光軸とのなす角度(図6のφ)を20°以上とすることが好ましい。
(試料について)
観察システム1の測定対象である試料300は、例えば次のようなものである。試料300は、例えば、容器310と、培地322と、細胞324と、反射板360とを含む。容器310内に培地322が入れられ、培地322内で細胞324が培養されている。容器310は、例えばシャーレ、培養フラスコ、マルチウェルプレート等であり得る。このように、容器310は、例えば、生体試料を培養するための培養容器である。容器310の形状、大きさ等は限定されない。培地322は、液体培地でも固体培地でもよい。測定対象は例えば細胞324であるが、これは、接着性の細胞でもよいし、浮遊性の細胞でもよい。また、細胞324は、スフェロイドや組織であってもよい。さらに、細胞324は、どのような生物に由来してもよく、菌等であってもよい。このように、試料300は、生物又は生物に由来する試料である生体試料を含む。反射板360は、透明板102を介して試料300に入射した照明光を反射させて、細胞324を照明するためのものであり、容器310の上面に配置される。
(観察装置について)
観察装置100の筐体101の上面に配置されている透明板102は、例えばガラス等で形成されている。観察装置100は、例えば筐体101と透明板102とを含む部材によってその内部が密閉された状態となっている。試料300は、この透明板102上に静置される。図1には、筐体101の上面の全体が透明な板で形成されている例が示されているが、観察装置100は、筐体101の上面の一部に透明な板が設けられ、上面のその他の部分が不透明であるように構成されてもよい。なお、ここでの透明とは、照明光の波長に対して透明であることを示す。
移動機構160は、支持部165と、支持部165をX軸方向に移動させるためのX送りねじ161と、Xアクチュエータ162とを備える。また、移動機構160は、支持部165をY軸方向に移動させるためのY送りねじ163とYアクチュエータ164とをさらに備える。移動機構160は支持部165をZ軸方向に移動させるためのZ送りねじ及びZアクチュエータ等を備えてもよい。以下の説明のため、支持部165がXアクチュエータ162から離れる方向に移動する方向をX方向の正の向き(X+方向)とし、Yアクチュエータ164から離れる方向に移動する方向をY方向の正の向き(Y+方向)とし、支持部165から試料300に向かう方向をZ方向の正の向き(Z+方向)とする。
図1に示すように、画像取得ユニット150の備える照明部155は、移動機構160の備える支持部165に設けられている。また、照明部155の近傍には撮像部151が設けられている。照明部155は、照明光学系156と光源157とを備える。光源157から放射された照明光は、照明光学系156を介して試料300へと照射される。光源157は、例えばLEDを含む。
図2に示すように、撮像部151は、レンズ切替部154をさらに備える。レンズ切替部154は、例えば撮像光学系152に含まれるレンズを光軸方向へ駆動させ、撮像光学系152を第1の撮像光学系としたり、第2の撮像光学系としたりする。本実施形態に係るレンズ切替部154は、例えば細胞324の数をカウントするカウントスキャン処理、複数の位置で取得した複数の画像を合成して広範囲の高画素画像を取得する撮像処理等が行われる際には撮像光学系152を第2の撮像光学系とする。また、本実施形態に係るレンズ切替部154は、例えば細胞324の奥行き情報を取得する3Dスキャン処理、細胞324の3次元画像を取得する撮像処理等が行われる際には撮像光学系152を第1の撮像光学系とする。
このように、本実施形態に係る観察装置100は、レンズ切替部154に観察の種類に応じて撮像光学系152を切り替えさせ、また、移動機構160に画像取得ユニット150の位置をX方向及びY方向に撮像光学系152の光軸を観察軸と平行に維持したまま変更させながら繰り返し試料300の撮影を行い、複数の画像を取得する。
観察装置100は、観察側記録回路130をさらに備える。観察側記録回路130は、例えば観察装置100の備える各部で用いられるプログラムや各種パラメータ、観察装置100で得られたデータを記録する。また、観察側記録回路130は、例えば画像データ(画素データ)、記録用の画像データ、表示用の画像データ、動作時の処理データといった各種データを一時的に記録する。
さらに、観察側記録回路130は、撮像光学系152の光軸方向における合焦位置の範囲を、例えばピント位置範囲ΔZとして記録している。ピント位置範囲ΔZは、例えば試料300のサイズ等に応じた値が予め設定されたり、ユーザの入力によって設定されたりする。
観察装置100は、画像処理回路120をさらに備える。画像処理回路120は、撮像部151で得られた画像データに対して各種画像処理を施す。画像処理回路120による画像処理後のデータは、例えば観察側記録回路130に記録されたり、コントローラ200に送信されたりする。また、画像処理回路120は、得られた画像に基づく各種解析を行ってもよい。例えば画像処理回路120は、得られた第1の画像に基づいて、試料300に含まれる細胞324又は細胞群の奥行き情報を取得する。また、例えば画像処理回路120は、得られた第2の画像に基づいて、試料300に含まれる細胞324又は細胞群の画像を抽出したり、細胞又は細胞群の数を算出したりする。このようにして得られた解析結果も、例えば観察側記録回路130に記録されたり、コントローラ200に送信されたりする。
このようなコントローラ200との通信を行うために、観察装置100は、観察側通信装置140をさらに備える。この通信には、例えばWi−Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等を利用した無線通信が利用される。また、観察装置100とコントローラ200とは、有線によって接続されて有線によって通信が行われてもよいし、互いにインターネット等の電気通信回線に接続されてインターネット等の電気通信回線を介して通信が行われてもよい。
観察装置100は、観察側制御回路110と、時計部172とをさらに備える。
観察側制御回路110は、観察装置100の備える各部の動作を制御する。また、観察側制御回路110は、観察装置100の動作に係る各種情報を取得し、観察装置100の動作に係る各種判定を行い、また、当該判定の結果に基づいてユーザに対して通知、警告等を行う。図2に示すように、観察側制御回路110は、位置制御部111、撮像制御部112、照明制御部113、通信制御部114、記録制御部115、測定制御部116及び距離換算部117としての機能を備える。位置制御部111は、移動機構160の動作を制御し、画像取得ユニット150の位置を制御する。撮像制御部112は、画像取得ユニット150の備える撮像部151の動作を制御し、撮像部151に試料300の画像を取得させる。撮像制御部112は、ピント・露出切替部を備える。撮像制御部112は、例えば撮像光学系152に含まれる合焦用レンズを光軸方向に移動させてピント調節を行う。当該合焦用レンズは、例えば液体レンズのような焦点距離が可変のレンズであってもよい。また、合焦用には焦点の異なるレンズが複数用意されてもよい。用意されたレンズが多眼であればリフォーカス技術などを利用することが可能となる。また、ピント・露出切替部は、例えば絞り部152aの動作を制御して露出の調節をしたり、レンズの光軸方向の動作を制御してズームの調整をしたりする。照明制御部113は、画像取得ユニット150の備える照明部155の動作を制御する。通信制御部114は、観察側通信装置140を介したコントローラ200との通信を管理する。記録制御部115は、観察装置100で得られたデータの記録について制御する。測定制御部116は、測定を行うタイミングや回数など、測定全体を制御する。距離換算部117は、注目被写体である細胞324の光軸方向の位置情報、細胞324の有する凹凸に係る情報等を、例えば画像処理回路120の処理結果に基づいて、奥行き情報として取得する。時計部172は、時刻情報を生成して観察側制御回路110へ出力する。当該時刻情報は、例えば取得データの記録時、観察装置100の動作に係る判定に使用される。
なお、上述した、観察側制御回路110と、画像処理回路120と、観察側記録回路130と、観察側通信装置140とは、例えば図1に示すように、回路群104として筐体101の内部に設けられている。
また、本実施形態に係る観察装置100は、立体情報取得部と対応点取得部と立体モデル生成部としての機能を備える。立体情報取得部は、異なる撮像部151の位置で取得された複数の第1の画像と、これら第1の画像の取得時の各々の撮像位置に係る情報とに基づいて試料300について立体情報として取得する。立体情報取得部は、例えば試料300の凹凸等に係る情報を取得する。立体情報取得部は、例えば距離換算部117から第1の画像の取得時の各々の撮像位置に係る情報を取得する。なお、当該立体情報は、例えば距離換算部117の取得する奥行き情報を含む。対応点取得部は、例えば撮像部151が移動機構160に移動させられながら取得した複数の第1の画像間の相関に基づいて、対応点を取得し、第1の像移動量ΔXを取得する。立体モデル生成部は、例えば距離換算部117の取得する奥行き情報に基づいて、注目被写体の立体モデルを構築する。なお、これら立体情報取得部と対応点取得部と立体モデル生成部としての機能は、それぞれ、例えば観察側制御回路110及び/又は画像処理回路120によって実現され得る。
このように、筐体101の内部に、透明板102を介した撮像によって画像データを生成する画像取得ユニット150と、画像取得ユニット150を移動させる移動機構160とを設けることによって、信頼性が高く、取り扱いや洗浄が容易であり、コンタミネーション等を防止できる構造にすることができる。
(コントローラについて)
コントローラ200は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型の情報端末等である。図1には、タブレット型の情報端末を図示している。
コントローラ200には、例えば液晶ディスプレイといった表示装置272とタッチパネルといった入力装置274とを備える入出力装置270が設けられている。入力装置274は、タッチパネルの他に、スイッチ、ダイヤル、キーボード、マウス等を含んでいてもよい。
また、コントローラ200には、コントローラ側通信装置240が設けられている。コントローラ側通信装置240は、観察側通信装置140と通信を行うための装置である。観察側通信装置140及びコントローラ側通信装置240を介して、観察装置100とコントローラ200とは通信を行う。
また、コントローラ200は、コントローラ側制御回路210と、コントローラ側記録回路230とを備える。コントローラ側制御回路210は、コントローラ200の各部の動作を制御する。コントローラ側記録回路230は、例えばコントローラ側制御回路210で用いられるプログラムや各種パラメータ、観察装置100から受信したデータを記録する。
コントローラ側制御回路210は、システム制御部211、表示制御部212、記録制御部213、通信制御部214及びネット連携部215としての機能を有する。なお、コントローラ側制御回路210は、対応点取得部と立体モデル生成部としての機能をさらに有していてもよい。システム制御部211は、試料300の測定のための制御に係る各種演算を行う。表示制御部212は、表示装置272の動作を制御する。表示制御部212は、表示装置272に必要な情報等を表示させる。記録制御部213は、コントローラ側記録回路230への情報の記録を制御する。通信制御部214は、コントローラ側通信装置240を介した観察装置100との通信を制御する。ネット連携部215は、インターネット等の電気通信回線上に設けられたクラウド等の観察システム1の外部にあるネットワークサーバ等と観察システム1との連携を制御する。当該連携において、ネット連携部215は、例えば、観察装置100が取得した画像等の観察結果又はコントローラ200が取得した観察結果を、観察側通信装置140又はコントローラ側通信装置240に、ネットワーク上に設けられたサーバ等に送信させる。ネット連携部215は、例えば、当該ネットワークサーバの有する画像処理回路等に当該観察結果に基づいた細胞カウント、奥行き情報の算出等の処理を行わせ、当該処理の結果を取得する。また、例えばネット連携部215は、インターネットに接続されたインキュベータ、空調設備、照明設備等のIoT機器から情報を取得したり、当該IoT機器を制御したりする。
なお、観察側制御回路110、画像処理回路120及びコントローラ側制御回路210は、Central Processing Unit(CPU)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、又はField Programmable Gate Array(FPGA)等の集積回路等を含む。観察側制御回路110、画像処理回路120及びコントローラ側制御回路210は、それぞれ1つの集積回路等で構成されてもよいし、複数の集積回路等が組み合わされて構成されてもよい。また、観察側制御回路110及び画像処理回路120は、1つの集積回路等で構成されてもよい。また、観察側制御回路110の位置制御部111、撮像制御部112、照明制御部113、通信制御部114、記録制御部115、測定制御部116、及び距離換算部117は、それぞれ1つの集積回路等で構成されてもよいし、複数の集積回路等が組み合わされて構成されてもよい。また、位置制御部111、撮像制御部112、照明制御部113、通信制御部114、記録制御部115、測定制御部116、及び距離換算部117のうち2つ以上が1つの集積回路等で構成されてもよい。同様に、コントローラ側制御回路210のシステム制御部211、表示制御部212、記録制御部213、通信制御部214及びネット連携部215は、それぞれ1つの集積回路等で構成されてもよいし、複数の集積回路等が組み合わされて構成されてもよい。また、システム制御部211、表示制御部212、記録制御部213、通信制御部214及びネット連携部215のうち2つ以上が1つの集積回路等で構成されてもよい。これら集積回路の動作は、例えば観察側記録回路130又はコントローラ側記録回路230や集積回路内の記録領域に記録されたプログラムに従って行われる。
なお、観察側記録回路130、コントローラ側記録回路230又はこれらの備える各要素は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性メモリであるが、Static Random Access Memory(SRAM)やDynamic Random Access Memory(DRAM)のような揮発性メモリをさらに有していてもよい。また、観察側記録回路130又はこれらの備える各要素と、コントローラ側記録回路230又はこれらの備える各要素とは、それぞれ1つのメモリ等で構成されてもよいし、複数のメモリ等が組み合わされて構成されてもよい。また、観察システム1の外部にあるデータベース等を、そのメモリの一部として利用してもよい。
<観察システムの動作>
コントローラ200との間で通信して観察装置100によって行われる観察装置制御処理の一例をフローチャートとして図7に示し、これを参照して観察システム1の動作について説明をする。
ステップS101において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200がユーザの操作に応じて出力する信号を受信するまで待機する。
ステップS102において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200から観察装置100の電源をオンとする電源ON信号又は観察装置100の電源をオフとする電源OFF信号を受信したか否かを判定する。観察装置制御処理は、電源ON/OFF信号を受信したと判定された場合はステップS103へ進み、受信したと判定されなかった場合はステップS104へ進む。
ステップS103において、観察側制御回路110は、ステップS102において電源ON信号を受信したと判定された場合は観察装置100の各部への電源の供給を開始し、ステップS102において電源OFF信号を受信したと判定された場合は観察装置100の各部への電源の供給を終了する。なお、観察側通信装置140へは、通信を待機するために、何れの場合も電源が供給され続ける。その後、観察装置制御処理はステップS101へ戻る。
細胞培養について観察する場合等、観察物の経時変化が緩やかな場合には、必要に応じた時間間隔で撮像等の観察が行われればよい。そのため、このような電源制御は省エネに貢献するものである。
なお、観察装置100は、制御信号等の送受信用にBluetooth Low Energy(BLE)等の省待機電力の通信装置と、画像を含む観察結果等のデータの送受信用にWi−Fi等の高速の通信装置とを備えていてもよい。この場合には、観察装置100の電源がオフの場合にはBLE等で通信待ちを行い、ステップS103で電源がオンとされるときにWi−Fi等の通信がコントローラ200と確立するようにすればよい。また、コントローラ200の出力する電源ON/OFF信号に基づいて観察装置100の電源がオンとされたり、オフとされたりすると説明したが、これに限定されない。例えば細胞の培養中等は、1分毎など、予め設定された時間間隔で観察装置100の電源がオンとされたり、オフとされたりして撮像等の観察が行われてもよい。
ステップS104において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200から各種設定に係る制御信号を受信したか否かを判定する。観察装置制御処理は、各種設定に係る制御信号を受信したと判定された場合はステップS105へ進み、受信したと判定されなかった場合はステップS101へ戻る。
ステップS105において、観察側制御回路110は、ステップS104において観察側通信装置140が受信した各種設定に係る制御信号に応じて、観察装置100の各部の設定を行う。ここで設定される情報は、例えば、観察装置100が取得した画像等の観察結果又は測定結果の送信先に係る情報、撮影条件、測定条件、各種パラメータを含む。なお、観察装置100が取得した観察結果又は測定結果の送信先は、例えば観察装置100の観察側記録回路130、コントローラ200のコントローラ側記録回路230、ネットワーク上のデータサーバ等である。例えばこのようにネットワーク上に構築されたクラウド等に観察結果又は測定結果を送信すれば、異なるユーザ間での情報共有が容易になるだけでなく、観察システム1の外部で取得画像の解析、画像処理等を行うことができるようになる。
ステップS106において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200からカウントスキャン処理の実行を指示する制御信号を受信したか否かを判定する。観察装置制御処理は、カウントスキャン処理の実行を指示する制御信号を受信したと判定された場合はステップS107へ進み、受信したと判定されなかった場合はステップS108へ進む。なお、カウントスキャン処理は、例えば測定開始時刻等が予め決められており、当該決められた測定開始時刻で測定が開始されてもよい。
ステップS107において、観察側制御回路110は、カウントスキャン処理を実行し、細胞324の数をカウントする。カウントスキャン処理の詳細は後述する。その後、観察装置制御処理はステップS108へ進む。
ステップS108において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200から3Dスキャン処理の実行を指示する制御信号を受信したか否かを判定する。観察装置制御処理は、カウント処理の実行を指示する制御信号を受信したと判定された場合はステップS109へ進み、受信したと判定されなかった場合はステップS110へ進む。
ステップS109において、観察側制御回路110は、3Dスキャン処理を実行し、細胞324の立体情報等の奥行き情報を取得する。3Dスキャン処理の詳細は後述する。その後、観察装置制御処理はステップS110へ進む。
ステップS110において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200がユーザの操作に応じて出力する制御信号に基づいて、観察又は測定に係る処理を終了するか否かを判定する。観察装置制御処理は、終了すると判定された場合はステップS111へ進み、終了しないと判定された場合はステップS104へ戻る。
ステップS111において、観察側制御回路110は、例えばコントローラ200から観察結果又は測定結果を要求する制御信号を受信したか否かを判定する。観察結果又は測定結果は、例えば測定の計測値、取得画像、撮影位置、解析結果等の観察装置100で得られた各種データを含む。撮影位置は、撮影位置のX座標、Y座標及びZ座標を含む。X座標及びY座標は、移動機構160の制御で用いられる値であり、例えば位置制御部111から取得され得る。Z座標は、撮像光学系152の制御に用いられる値であり、例えば撮像制御部112、距離換算部117等から取得され得る。観察装置制御処理は、観察結果又は測定結果を要求する制御信号を受信したと判定された場合はステップS112へ進み、受信したと判定されなかった場合はステップS101へ戻る。
ステップS112において、観察側制御回路110は、例えばステップS105で設定された送信先に、取得画像等の各種観察や測定で取得された結果、当該結果を解析して取得された解析結果等を送信する。その後、観察装置制御処理はステップS101へ戻る。
ここで、観察装置制御処理のステップ107におけるカウントスキャン処理の一例をフローチャートとして図8に示し、これを参照して観察システム1のカウントスキャン処理時の動作について説明をする。
ステップS201において、観察側制御回路110は、レンズ切替部154に撮像光学系152を第2の撮像光学系とさせる。なお、第2の撮像光学系は、上述したように、被写体側にテレセントリック性を有する光学系である。その後、カウントスキャン処理はステップS202へ進む。
ステップS202において、観察側制御回路110は、例えば観察側記録回路130に記録されているカウントスキャン処理情報に基づいて、カウントスキャンを開始するための事前処理を実行する。当該事前処理において、観察側制御回路110は、画像取得ユニット150を移動機構160に移動させてカウントスキャンのXY開始位置に戻す。また、観察側制御回路110は、撮像光学系152及び撮像素子153、又は移動機構160の動作を制御して、Z方向の初期位置からカウントスキャンを開始できるようにする。その後、観察側制御回路110は、カウントスキャンを開始する。
ここで、本実施形態に係るカウントスキャン処理情報として記録される情報の一例を図9に示し、これを参照してカウントスキャン処理情報として記録される情報について説明をする。当該情報は、例えば予め設定されていたり、観察装置制御処理のステップS105で設定されたりする。
図9に示すように、カウントスキャン処理情報は、カウントスキャンパターンに係る情報CSPと、カウントスキャン処理の実行に係る情報CSJと、カウントスキャン処理によって得られた情報CSRとを含む。カウントスキャンパターンに係る情報CSPは、例えばカウントスキャンの開始条件CSP1、開始位置CSP2、終了条件CSP3、第1のX移動ピッチCSP5、第1のY移動ピッチCSP6、X方向の移動からY方向の移動へと切り替える条件である第1のX→Y条件CSP10、Y方向の移動からX方向の移動へと切り替える条件である第1のY→X条件CSP11を含む。ここで、例えば第1のX移動ピッチCSP5はX方向への移動(撮像)間隔であり、第1のY移動ピッチCSP6はY方向への移動(撮像)間隔である。本実施形態に係る画像取得ユニット150は、これら移動ピッチ毎に撮像して第2の画像を取得することになる。カウントスキャン処理の実行に係る情報CSJは、例えば観察不良等を判定する判定条件である第1のNG判定条件CSJ1、例えば第1のNG判定条件CSJ1によって観察不良であると判定された場合等にカウントスキャンを再実施するか否かを判定する判定条件である第1の再トライ判定条件CSJ2を含む。カウントスキャン処理によって得られた情報CSRは、例えばカウントスキャン処理で第2の撮像光学系を用いて取得された各々の画像(第2の画像)に紐付けられて記録される。例えば、第1の結果CSR1は、第1のコマCSR11と、第1のコマCSR11が取得された際の第1の時刻CSR12、第1のAF情報CSR13及び第1の撮影条件CSR14とを含む。なお、撮影条件は、シャッタースピードや絞り等の露出条件その他の撮影条件を含む。ここでいう撮影条件は、撮影毎に異なっていてもよいし、測定毎に異なっていてもよいし、全ての撮影で共通であってもよい。また、当該情報は、第2の画像が取得された位置の情報、細胞324の数をカウントした結果等を含んでいてもよい。
ここで、本実施形態に係るカウントスキャン処理における画像取得ユニット150の移動パターンの一例について模式図として図10に示し、これを参照してカウントスキャンにおける画像取得ユニット150の移動について説明をする。ここでは、画像取得ユニット150が、図10中に示す線CL1上を移動させられながらカウントスキャン処理が実行される場合を例として説明をする。
図10に示すように、観察側制御回路110は、画像取得ユニット150を開始位置CP1に移動させ、第2の画像を取得させる。観察側制御回路110は、画像取得ユニット150をY方向へ第1のY移動ピッチだけ移動させ、移動後の位置において第2の画像を取得させる。その後、観察側制御回路110は、例えば画像取得ユニット150が点CP2の示す位置に存在するなど、第1のY→X条件CSP11に該当する状態であると判定されるまで、第2の画像の取得と画像取得ユニット150の移動とを繰り返す。観察側制御回路110は、第1のY→X条件CSP11に該当する状態であると判定された場合には、画像取得ユニット150を移動させる方向をY方向からX方向へ切り替える。移動方向がY方向へと切り替えられた後には、観察側制御回路110は、例えば画像取得ユニット150が点CP3の示す位置に存在するなど、第1のX→Y条件CSP10に該当する状態であると判定されるまで、画像取得ユニット150を第1のX移動ピッチだけ移動させて第2の画像を取得させる処理を繰り返す。このようにして、観察側制御回路110は、画像取得ユニット150が点CP10に到達した場合等、終了条件CSP3が満たされたと判定されるまでカウントスキャン処理を続ける。
ここで、再び図8を参照して観察システム1のカウントスキャン処理時の動作について説明を続ける。
ステップS203において、観察側制御回路110は、カウントスキャンの状態を判定する。当該判定では、例えば、画像処理回路120が撮像した画像を解析して観察不良を検出した場合、移動機構160が動作不良を検出した場合等に、カウントスキャンの再実施が必要であると判定される。当該判定の条件は、図9に示すように、カウントスキャン処理情報として例えば観察側記録回路130に記録されている。なお、カウントスキャン時に取得される画像をコントローラ200へ送信して、コントローラ200で行われるライブビュー(LV)表示に基づいてユーザが判断する仕様も考えられる。カウントスキャン処理は、カウントスキャンの再実施が必要であると判定された場合はステップS204へ進み、判定されなかった場合はステップS205へ進む。
ステップS204において、観察側制御回路110は、ステップS203での判定結果に応じて、カウントスキャンにおいて観察不良等が発生している旨、カウントスキャンの再実施が必要である旨等をユーザへ警告させるための制御信号を生成し、コントローラ200へ送信する。その後、カウントスキャン処理はステップS202へ戻る。
なお、ステップS202へ戻った後に行われるカウントスキャン処理は、例えばステップS203における判定の結果に応じて、画像取得ユニット150が開始位置まで戻されて再実施されたり、現在の位置から再実施されたりする。
ステップS205において、観察側制御回路110は、例えば、カウントスキャン処理情報として例えば観察側記録回路130に記録されている終了条件CSP3に基づいて、所定の全域におけるカウントスキャンが終了したか否かを判定する。カウントスキャン処理は、全域終了したと判定された場合はステップS211へ進み、判定されなかった場合はステップS206へ進む。
ステップS206において、観察側制御回路110は、撮像部151に注目被写体である細胞324に対して焦点調節(AF)を行わせ、また、撮像動作を行わせて第2の画像を取得させる。ここで、図3及び図4を参照して上述したように、カウントスキャン処理では被写体側にテレセントリック性を有する光学系である第2の撮像光学系が用いられるため、AFの際に撮像光学系152、撮像素子153等の光軸方向の位置が変化しても、細胞324の大きさや位置は変化しない。また、観察側制御回路110は、図9を参照して上述したように取得した第2の画像等を観察側通信装置140に予め設定された送信先へ送信させる。
ステップS207において、観察側制御回路110は、画像処理回路120に取得された第2の画像を解析させ、細胞324又は細胞群の数をカウントさせ、また、細胞カウントの結果を観察側記録回路130へ記録させたり、コントローラ200へ送信させたりする。その後、カウントスキャン処理はステップS208へ進む。
なお、例えばコントローラ200が第2の画像の送信先であって、コントローラ200が画像処理回路を備える場合には、当該細胞カウントはコントローラ200で行われてもよい。また、例えばクラウド等のネットワーク上のサーバが第2の画像の送信先であって、クラウドが画像処理回路に相当する機能を備える場合には、当該細胞カウントは観察システム1の外部で行われてもよい。また、細胞カウントは、全域のカウントスキャン処理が終了した後に、取得された第2の画像に基づいて合成された広範囲の高画素画像に基づいて行われてもよい。
ステップS208において、観察側制御回路110は、現在の状態がカウントスキャン処理情報として記録されている第1のX→Y条件CSP10又は第1のY→X条件CSP11を満たす状態であるか否かを判定する。カウントスキャン処理は、第1のX→Y条件CSP10又は第1のY→X条件CSP11を満たす状態であると判定された場合はステップS209へ進み、判定されなかった場合はステップS210へ進む。
ステップS209において、観察側制御回路110は、ステップS208での判定の結果に応じて、画像取得ユニット150を移動させる方向を切り替える。その後、カウントスキャン処理はステップS210へ進む。
ステップS210において、観察側制御回路110は、その時点での移動方向に応じて、第1のX移動ピッチ又は第1のY移動ピッチだけ画像取得ユニット150を移動させる。その後、カウントスキャン処理はステップS203へ戻る。
ステップS211において、観察側制御回路110は、ステップS205において全域でカウントスキャンが終了したと判定されたことに応じて、観察側通信装置140にコントローラ200へ終了信号を送信させる。また、観察側制御回路110は、画像処理回路120に、取得された第2の画像に基づいて広範囲の高画素画像を合成させる。その後、カウントスキャン処理は終了し、観察装置制御処理のステップS108へ進む。
ここで、観察装置制御処理のステップ109における3Dスキャン処理の一例をフローチャートとして図11に示し、これを参照して観察システム1の3Dスキャン処理時の動作について説明をする。
ステップS301において、観察側制御回路110は、レンズ切替部154に撮像光学系152を被写体側に非テレセントリック性を有する光学系である第1の撮像光学系とさせる。その後、3Dスキャン処理はステップS302へ進む。
ステップS302において、観察側制御回路110は、例えば観察側記録回路130に記録されている3Dスキャン処理情報に基づいて、3Dスキャンを開始するための事前処理を実行する。当該事前処理において、観察側制御回路110は、画像取得ユニット150を移動機構160に移動させて3DスキャンのXY指定位置に戻す。また、観察側制御回路110は、撮像光学系152及び撮像素子153、又は移動機構160の動作を制御して、Z方向の所定位置から3Dスキャンを開始できるようにする。その後、観察側制御回路110は、3Dスキャンを開始する。
ここで、本実施形態に係る3Dスキャン処理情報として記録される情報の一例を図12に示し、これを参照して3Dスキャン処理情報として記録される情報について説明をする。当該情報は、例えば予め設定されていたり、観察装置制御処理のステップS105で設定されたりする。なお、上述したように、本実施形態に係る3Dスキャン処理は、被写体側非テレセントリック光学系である第1の撮像光学系を用いて実行される。また、本実施形態に係る3Dスキャン処理は、ユーザが指定した特定の位置を含む領域(特定域)に対して実行される処理である。
図12に示すように、3Dスキャン処理情報は、3Dスキャンパターンに係る情報TSPと、3Dスキャン処理の実行に係る情報TSJと、3Dスキャン処理によって得られた情報TSRとを含む。3Dスキャンパターンに係る情報TSPは、指定位置TSP1、範囲設定TSP2、第2のX移動ピッチTSP5、第2のY移動ピッチTSP6、X方向の移動からY方向の移動へと切り替える条件である第2のX→Y条件TSP10、Y方向の移動からX方向の移動へと切り替える条件である第2のY→X条件TSP11を含む。ここで、例えば第2のX移動ピッチTSP5はX方向への移動(撮像)間隔であり、第2のY移動ピッチTSP6はY方向への移動(撮像)間隔である。例えば観察側制御回路110は、指定位置TSP1と範囲設定TSP2とに基づいて特定域を決定し、また、3Dスキャンの開始位置と終了位置とを決定する。3Dスキャン処理の実行に係る情報TSJは、例えば観察不良等を判定する判定条件である第2のNG判定条件TSJ1、例えば第2のNG判定条件TSJ1によって観察不良であると判定された場合等に3Dスキャンを再実施するか否かを判定する判定条件である第2の再トライ判定条件TSJ2を含む。3Dスキャン処理によって得られた情報TSRは、3Dスキャン処理で第1の撮像光学系を用いて取得された各々の画像(第1の画像)に紐付けられて記録される。例えば、第1の結果TSR1は、第1のコマTSR11と、第1のコマTSR11が取得された際の第1の時刻TSR12、第1の奥行き情報TSR13及び第1の3D撮影条件TSR14とを含む。なお、当該奥行き情報には、細胞324の第1の撮像光学系の光軸方向の位置、当該位置の情報に基づいて構築され得る3Dモデルに係る情報等が含まれ得る。
ここで、本実施形態に係る3Dスキャン処理における画像取得ユニット150の移動パターンの一例について模式図として図13に示し、これを参照して3Dスキャンにおける画像取得ユニット150の移動について説明をする。ここでは、画像取得ユニット150が、図13中に示す線TL1上を移動させられながら3Dスキャン処理が実行される場合を例として説明をする。
図13に示すように、観察側制御回路110は、範囲設定TSP2に応じて、点TP0で示されている指定位置TSP1を概ね中心とした領域(特定域)において、画像取得ユニット150を線TL1上で移動させながら撮像させて、各々の位置で第1の画像を取得させる。3Dスキャン時の画像取得ユニット150の移動は、図10を参照して説明したカウントスキャン時の画像取得ユニット150の移動と概ね同様である。画像取得ユニット150は、開始位置TP1から移動を開始し、点TP2で第2のY→X条件TSP11を満たすまでY方向へ移動する。その後、点TP3で第2のX→Y条件TSP10を満たすまでX方向へ移動する。このようにして、観察側制御回路110は、画像取得ユニット150が点TP10に到達するまで3Dスキャン処理を続ける。
ここで、再び図11を参照して観察システム1の3Dスキャン処理時の動作について説明を続ける。
ステップS303において、観察側制御回路110は、カウントスキャン処理のステップS203と同様にして、3Dスキャンの状態を判定する。ここで用いられる判定条件は、第2のNG判定条件TSJ1と第2の再トライ判定条件TSJ2である。3Dスキャン処理は、3Dスキャンの再実施が必要であると判定された場合はステップS304へ進み、判定されなかった場合はステップS305へ進む。
ステップS304において、観察側制御回路110は、ステップS303での判定結果に応じて、3Dスキャンにおいて観察不良等が発生している旨、3Dスキャンの再実施が必要である旨等をユーザへ警告させるための制御信号を生成し、コントローラ200へ送信する。その後、3Dスキャン処理はステップS302へ戻る。
ステップS305において、観察側制御回路110は、特定域における3Dスキャンが終了したか否かを判定する。3Dスキャン処理は、特定域での3Dスキャンが終了したと判定された場合はステップS310へ進み、判定されなかった場合はステップS306へ進む。
ステップS306において、観察側制御回路110は、撮像部151に撮像動作を行わせて第1の画像を取得させる。ここで、図5及び図6を参照して上述したように、3Dスキャン処理では被写体側に非テレセントリック性を有する光学系である第1の撮像光学系が用いられる。また、観察側制御回路110は、取得した第1の画像を観察側通信装置140に予め設定された送信先へ送信させる。
ステップS307乃至ステップS309において、観察側制御回路110は、カウントスキャン処理におけるステップS208乃至ステップS210と同様の処理を行う。観察側制御回路110は、ステップS307において第2のX→Y条件TSP10又は第2のY→X条件TSP11を満たす状態であるか否かを判定し、これらの条件を満たすと判定された場合はステップS308で移動方向を切り替える。その後、観察側制御回路110は、ステップS309において、移動方向と第2のX移動ピッチTSP5又は第2のY移動ピッチTSP6の値とに応じて画像取得ユニット150を移動させる。その後、3Dスキャン処理はステップS303へ戻る。
ステップS310において、観察側制御回路110は、図5及び図6を参照して上述したように、画像処理回路120に第1の画像について画像処理を行わせた結果に基づき、細胞324に係る奥行き情報を取得する。
なお、当該奥行き情報は、第1の撮像光学系の光軸方向における細胞324又は細胞群の有する凹凸等に係る情報を含む。したがって、ここで取得される奥行き情報には、例えば立体モデル生成部が生成する、細胞324又は細胞群の3次元形状を示す3Dモデルを含む。
なお、例えばコントローラ200が第1の画像の送信先であって、コントローラ200が画像処理回路を備える場合には、当該奥行き情報の取得はコントローラ200で行われてもよい。また、例えばクラウド等のネットワーク上のサーバが第1の画像の送信先であって、クラウドが画像処理回路に相当する機能を備える場合には、当該奥行き情報の取得は観察システム1の外部で行われてもよい。
ステップS311において、観察側制御回路110は、観察側通信装置140にコントローラ200へ終了信号を送信させる。その後、3Dスキャン処理は終了し、観察装置制御処理のステップS110へ進む。
コントローラ200で行われるコントローラ制御処理の一例をフローチャートとして図14に示し、これを参照して観察システム1の動作について説明をする。図14のフローチャートに示す処理は、例えば観察装置100が通信待機している状態で開始する。
ステップS401において、コントローラ側制御回路210は、例えば、コントローラ200が備える各種機能をテキスト、アイコン等でユーザに提示する表示情報を生成し、表示装置272に表示させる。
ステップS402において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザの操作結果に応じて入力装置274が出力する制御信号に基づいて、検査アプリの起動が指示されたか否かを判定する。ここで、当該検査アプリは、観察装置100と互いに通信して観察装置100の制御を行うためのプログラムを有するアプリケーションソフトウェアである。コントローラ制御処理は、検査アプリの起動が指示されたと判定された場合はステップS403へ進み、判定されなかった場合はステップS401に戻る。なお、コントローラ200は例えばタブレットPCやスマートフォンであり、本ステップでは、検査アプリの他に、電話アプリやメールアプリが選択され得る。以下の説明では、検査アプリが選択された場合のみを例として説明を行う。
ステップS403において、コントローラ側制御回路210は、指定カメラにアクセスする。当該指定カメラは、例えばステップS402で選択された検査アプリで制御する対象の撮像装置である。以下、本実施形態では、当該指定カメラは観察装置100であるとして説明を続ける。
ステップS404において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザの操作結果に応じて入力装置274が出力する制御信号に基づいて、ユーザが観察装置100の電源をオンとする操作又は観察装置100の電源をオフとする操作(撮像ON/OFF操作)を行ったか否かを判定する。コントローラ制御処理は、撮像ON/OFF操作が行われたと判定された場合はステップS405へ進み、判定されなかった場合はステップS406へ進む。
ステップS405において、コントローラ側制御回路210は、ステップS404で検出したユーザの撮像ON/OFF操作の結果に基づき、観察装置100の電源をオンとする電源ON信号又は観察装置100の電源をオフとする電源OFF信号を、コントローラ側通信装置240に観察装置100へ送信させる。その後、コントローラ制御処理はステップS403へ戻る。なお、本ステップの処理は観察装置制御処理のステップS102乃至ステップS103に対応する。
ステップS406において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザの操作結果に応じて入力装置274が出力する制御信号に基づいて、ユーザによって観察装置100が取得した画像等の観察結果又は測定結果の送信先に係る情報、撮影条件、測定条件、各種パラメータを含む各種設定が行われたか否かを判定する。コントローラ制御処理は、各種設定が行われたと判定された場合はステップS407へ進み、判定されなかった場合はステップS408へ進む。
ステップS407において、コントローラ側制御回路210は、ステップS406で検出した各種設定に係る制御信号を、コントローラ側通信装置240に観察装置100へ送信させる。その後、コントローラ制御処理はステップS408へ進む。なお、本ステップの処理は観察装置制御処理のステップS104乃至ステップS105に対応する。
ステップS408において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザ操作の結果に応じて入力装置274が出力する制御信号に基づいて、ユーザがカウントスキャン処理の実行を指示したか否かを判定する。コントローラ制御処理は、カウントスキャン処理の実行が指示されたと判定された場合はステップS409へ進み、判定されなかった場合はステップS410へ進む。
ステップS409において、コントローラ側制御回路210は、カウントスキャン処理の実行を指示する制御信号を、コントローラ側通信装置240に観察装置100へ送信させる。その後、コントローラ制御処理はステップS410へ進む。なお、本ステップの処理は観察装置制御処理のステップS106乃至ステップS107に対応する。
ステップS410において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザ操作の結果に応じて入力装置274が出力する制御信号に基づいて、ユーザが3Dスキャン処理の実行を指示したか否かを判定する。また、コントローラ側制御回路210は、ユーザによって3Dスキャンを実行する特定域に係る指定位置TSP1、範囲設定TSP2等の設定が行われたか否かの判定も行う。コントローラ制御処理は、3Dスキャン処理の実行が指示された又は特定域に係る設定が行われたと判定された場合はステップS411へ進み、判定されなかった場合はステップS412へ進む。
ステップS411において、コントローラ側制御回路210は、ステップS410で3Dスキャン処理の実行が指示された場合には、3Dスキャン処理の実行を指示する制御信号を、特定域に係る設定が行われたと判定された場合には、当該設定に係る制御信号を、それぞれコントローラ側通信装置240に観察装置100へ送信させる。その後、コントローラ制御処理はステップS412へ進む。なお、本ステップの処理は観察装置制御処理のステップS108乃至ステップS109に対応する。
ステップS412において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザ操作の結果に応じて、測定結果等をコントローラ200の外部から受信するか否かを判定する。コントローラ制御処理は、測定結果を受信すると判定された場合はステップS413へ進み、判定されなかった場合はステップS414へ進む。
ステップS413において、コントローラ側制御回路210は、観察装置100で取得された測定結果等を取得し、表示装置272へ表示する。なお、当該測定結果は、例えばステップS406で設定された観察装置100の測定結果の送信先から取得されることになる。その後、コントローラ制御処理はステップS414へ進む。なお、本ステップの処理は観察装置制御処理のステップS111乃至ステップS112に対応する。
ステップS414において、コントローラ側制御回路210は、例えばユーザの操作結果に応じて、検査アプリを終了するか否かを判定する。コントローラ制御処理は、終了すると判定された場合は当該検査アプリを終了してステップS401へ戻り、終了しないと判定された場合はステップS403へ戻る。
なお、本実施形態に係るレンズ切替部154は、撮像光学系152に含まれるレンズの撮像光学系152の光軸方向に駆動させて、第1の撮像光学系と第2の撮像光学系とを切り替えるとして説明をしたが、これに限定されない。例えば、観察装置100は、第1の撮像光学系と第2の撮像光学系とを、それぞれ別個に備えていてもよい。この場合、レンズ切替部154は、例えば、第1の撮像光学系と第2の撮像光学系とのうち、撮像に使用する撮像光学系の光軸が観察軸と平行となるように移動させたりして撮像光学系を切り替えることになる。
なお、本実施形態に係る照明部155は支持部165に配置されていると述べたが、照明光学系156の光放射部が支持部165に配置されていればよく、例えば光源157は、観察装置100の何れの場所に配置されていてもよい。なお、細胞324等の観察対象へのダメージを軽減するために、例えば照明の強度が観察の種類によって変更されてもよい。また、照明光の制御としては、撮影を行う瞬間のみ試料300を照明するような間欠的な照明とする制御、点灯照明数を増減させる制御方法もあり得る。
なお、カウントスキャン処理及び3Dスキャン処理において、画像取得ユニット150が開始位置からY方向へ移動を開始する場合を例として説明したが、これに限定されず、例えば開始位置からX方向へスキャンが開始されてもよい。
<観察システムの利点>
このように、本実施形態に係る観察装置100は、移動機構160に画像取得ユニット150の位置をX方向及びY方向に撮像光学系152の光軸を観察軸と平行に維持したまま変更させながら繰り返し試料300の撮影を行い、複数の画像を取得する。
このとき、本実施形態に係る観察装置100は、被写体側テレセントリック光学系である第2の撮像光学系を用いることで、広範囲の高画素画像の合成に適した第2の画像を取得する。なお、当該第2の画像又は高画素画像は、細胞等の注目被写体の形状や数の取得に適する。一方で、本実施形態に係る観察装置100は、被写体側非テレセントリック光学系である第1の撮像光学系を用いることで、異なる撮像位置で取得された複数の第1の画像から視差に起因する像移動量を含む第1の像移動量ΔXを取得し、第1の像移動量ΔXに基づいて細胞等の注目被写体の奥行き情報を取得する。
また、本実施形態に係るレンズ切替部154は、観察の種類に応じて撮像光学系152を切り替えさせる。このように、本実施形態に係る観察装置100は、第1の撮像光学系と第2の撮像光学系とを切り替えるレンズ切替部154を備えることによって、例えば奥行き情報の取得と細胞カウントに適した画像の取得とのように、要求される光学的特徴が異なる観察を実現できる。
したがって、本実施形態に係る観察システム1を使用すれば、ユーザは、所望の観察方法を指定するだけで、細胞の光軸方向の位置、細胞の立体モデル、細胞の形状等が正確に投影された画像、細胞数のカウント結果等を取得できる。
[第2の実施形態]
本発明における第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
第1の実施形態では、目的に応じて第1の撮像光学系と第2の撮像光学系とを切り替えて観察等を行う観察装置において、第1の撮像光学系を用いた場合に、細胞324等の注目被写体の奥行き情報を取得する場合を例として説明をした。第1の撮像光学系を用いる場合に細胞324と対物レンズ152bとの間では、撮像素子153に到達し得る光線は第1の撮像光学系の光軸との間に傾きを有する。そのため、第1の画像は、当該光軸上を除く位置に存在する被写体の側面に係る情報を含む。そこで、本実施形態では、第1の撮像光学系が用いられて取得される第1の画像に基づいて、細胞324の側面を撮像したかのような側面観察画像を生成する観察システム1について説明をする。
<観察システムの構成>
本実施形態に係る観察装置100は、立体画像生成部と、側面情報処理部としての機能をさらに有する。立体画像生成部は、例えば複数の第1の画像と奥行き情報とに基づいて、注目被写体の立体画像を生成する。側面情報処理部は、側面観察処理によって得られた画像データ、位置情報等の各種側面観察に係る情報を取得し、また、第1の画像と奥行き情報とに基づいて、側面観察画像を生成する。なお、これら立体画像生成部と側面情報処理部としての機能は、それぞれ、例えば観察側制御回路110及び/又は画像処理回路120によって実現され得る。なお、立体画像生成部と側面情報処理部としての機能は、それぞれ、コントローラ側制御回路210によって実現されてもよい。
(第1の撮像光学系を用いた細胞の側面観察について)
ここでは、第1の撮像光学系を用いる場合において細胞324上の領域のうち第1の撮像光学系の光軸から所定の閾値以上離れた領域から放射される主光線と当該光軸との間に傾き(視差)が存在することを利用した、細胞324の側面観察について説明をする。
本実施形態に係る第1の撮像光学系を含む撮像部151と試料300との位置関係の一例を模式図として図15に示す。図15に示す状態は、細胞324上の点P1が第1の撮像光学系の光軸上に位置する状態からX+方向へΔX3だけ移動した状態である。すなわち、点P1の像位置を対応点とした場合、当該対応点の位置は点U1から点U1´まで移動した状態である。このようにして複数の第1の画像から取得した第1の像移動量ΔX(点U1と点U1´との間の距離)に基づき、第1の実施形態と同様にして、細胞324上の各々の位置について奥行き情報を取得する。なお、第1の画像に基づいた奥行き情報の取得については第1の実施形態において説明したため、以下の説明では、奥行き情報は既知の情報として扱う。
図15に示す状態では、細胞324上の点P1から放射された光線R10は撮像素子153上の点U1´へ入射し、点P3から放射された光線R30は撮像素子153上の点U3へ入射する。このように、細胞上の領域A1は、撮像素子153上の領域A1´として撮像されることになる。
なお、図15に示す状態では、例えば第1の撮像光学系の光軸方向において、点P1の位置と点P3の位置との間が合焦範囲(焦点深度内)に相当するものとする。すなわち、領域A1に対して合焦している状態であるとする。本実施形態に係る側面観察では、注目被写体のうち合焦している領域A1を特定範囲と称し、また、第1の画像のうち注目被写体の特定範囲を撮像した領域A1´を特定範囲画像と称することとする。
本実施形態に係る観察装置100は、画像処理回路120に、各々の第1の画像から当該特定範囲画像を切り出させる。また、画像処理回路120は、例えば各々の特定範囲画像に含まれる被写体に係る奥行き情報に基づいて、当該特定範囲画像を合成して側面観察画像を取得する。本実施形態に係る観察装置100の備える側面情報処理部は、このようにして取得した複数の特定範囲画像を合成することによって、細胞324を下方から撮像する観察装置でありながら、細胞324を側面から撮像して得られる深度合成画像のような、側面観察画像を取得できる。
ここで、本実施形態に係る側面観察画像の一例を模式図として図16に示す。これは、光軸付近の画像以外、画面周辺部の画像を有効利用したもので、図16に示すように、本実施形態に係る観察装置100は、各々の第1の画像からそれぞれ取得した、第1の特定範囲画像I10と第2の特定範囲画像I11と第3の特定範囲画像I12とを含む複数の特定範囲画像を合成する。ここで、合成される各々の特定範囲画像の側面観察画像における(画像処理後の)Z軸方向の幅Wは、例えば領域A1´が特定範囲画像の場合、点P1と点P3との光軸方向の位置(奥行き情報)に基づいて決定される。この場合、幅Wは奥行きZ3と奥行きZ1との差分である。このように、各々の特定範囲画像の側面観察画像における幅Wは異なり得る。このように拡大光学系で、側面の画像を積極的に活用して側面観察を行うことによって、簡単な構成で、対象物の状況を検査、観察する上で、これまで以上に重要で豊富な画像情報(濃淡や色や構造など立体状況)を得ることが可能となる。拡大光学系を用いて試料(対象物)を撮像して第1の画像を取得する撮像部151を移動させる移動機構160を設けることによって、異なる撮像部151の位置で取得された複数の前記第1の画像のつなぎ合わせや、立体情報取得が出来る、前記第1の画像の取得が可能となる。移動時の各々の撮像位置に係る情報に基づいて、立体情報取得部が試料300の立体情報を取得するが、上記複数の第1の画像のうち少なくとも一つは、上記第1の撮像光学系で得られた画像の上記光学系の光軸上以外の画像であることを特徴としている。
なお、各々の画像のZ軸方向の幅Wは、例えばΔX又は画角θに基づいて決定されてもよいし、焦点距離と合焦範囲の幅とに基づいて決定されてもよい。
なお、光軸近傍の領域が特定範囲画像として切り出される場合を例として説明したが、これに限定されない。特定範囲画像として切り出される第1の画像上の領域は、第1の撮像光学系の光軸から所定の閾値以上離れた領域であればよい。一方で、撮像素子153の周縁部に存在し得る画像の歪みの影響が少ない範囲であることが好ましい。
なお、例えば細胞324の凹凸の程度によって変化し得る合焦範囲内に含まれる細胞324のX方向の幅に応じて、各々の第1の画像における画角θや第1の像移動量ΔX又は領域A1´の幅も変化し得ることは言うまでもない。また、画角θや第1の像移動量ΔX又は領域A1´の幅は図16に示すような側面観察画像の分解能に相当する。また、各々の第1の画像を取得する位置の間の光軸間距離(画像取得ユニット150の移動量)ΔX3もまた、要求される側面観察画像の分解能に応じて変化し得る。このため、本実施形態に係る側面観察の移動量ΔX3は、例えば第1の実施形態で上述した3Dスキャン処理における移動量ΔX2と比較して小さいことが好ましい。
なお、ΔX3が十分に小さく設定されている場合等、複数の第1の画像間に含まれる各々の特定範囲に重複が存在する場合には、取得された各々の第1の画像のうち、細胞324に合焦しており、かつ、光軸から所定の閾値以上離れた領域を特定範囲画像として切り出して画像合成が行われればよい。この場合には、例えば画像と同時に取得された撮像位置の情報を用いて当該画像合成が行われる。また、重複した特定範囲を含む複数の特定範囲画像の各々について、例えば白飛びや黒潰れの有無、細胞324への合焦の程度等に基づいて点数化し、当該点数に応じて画像合成に用いられる特定範囲画像が選択されてもよい。
上述したように、本実施形態に係る側面観察では、第1の画像のうち注目被写体に対して合焦している範囲が特定範囲画像として切り出される。このような側面観察において、観察装置100は、例えば注目被写体のうち撮像する領域を決定して複数の領域に分割し、当該分割された領域に合焦させた撮像を繰り返して第1の画像を取得し、第1の画像のうち当該領域を含む範囲を特定範囲画像として用いる。また、例えば、観察装置100は、撮像素子153上の光軸から所定の閾値以上離れた特定の領域に対応する領域をAFエリアとして使用して、当該AFエリアで合焦するように第1の撮像光学系のZ位置を調整させる。観察装置100は、このようにして第1の画像のうち特定範囲画像が占める領域を固定として、側面観察画像の取得を行ってもよい。また、例えば、観察装置100は、3Dスキャンのように、画像取得ユニット150を予め設定された移動パターンに従ってX方向、Y方向、Z方向の各々の方向へ移動させながら、第1の画像を取得させ、取得された第1の画像から合焦している範囲を特定範囲画像として用いて側面観察画像の取得を行ってもよい。
なお、画像取得ユニット150が移動機構160によってX方向へ移動させられる場合を例として説明したが、これに限定されない。側面観察画像の取得は、設定又は選択された移動パターンに応じて、例えばX方向及びY方向へ移動させられながら行われてもよい。
このようにして、本実施形態に係る観察装置100の備える側面情報処理部は、図15に示す状態におけるX+方向から試料300を観察したような、被写体側テレセントリック光学系を用いた場合では観察できない、細胞324の側面を捉えた側面観察画像を取得できる。
<観察システムの動作>
本実施形態に係る側面観察処理の一例をフローチャートとして図17に示し、これを参照して観察システム1の動作について説明をする。側面観察処理は、例えば、図7を参照して上述した観察装置制御処理におけるステップS205の後からステップS210の前の間に行われる。側面観察処理は、当該観察装置制御処理において、カウントスキャン処理又は3Dスキャン処理と同様にして、例えばユーザの操作結果に応じてコントローラ200が出力する側面観察処理の実行を指示する制御信号を受信したと判定された場合に開始される。なお、側面観察処理において要求されるスキャンパターン、判定条件等の各種情報は、例えば側面観察処理情報として観察側記録回路130に記録されている。また、側面観察処理情報は、側面観察処理において取得される結果を含む。
ステップS501において、観察側制御回路110は、3Dスキャン処理のステップS301と同様にして、レンズ切替部154に撮像光学系152を第1の撮像光学系とさせる。その後、側面観察処理はステップS502へ進む。
ステップS502において、観察側制御回路110は、3Dスキャン処理のステップS302と同様にして、事前処理を行う。また、観察側制御回路110は、側面観察画像取得のためにスキャンを開始する。その後、側面観察処理はステップS503へ進む。
ステップS503及びステップS504において、観察側制御回路110は、3Dスキャン処理のステップS303及びステップS304と同様にして、事前処理、NG判定条件及び再トライ判定条件に係る判定、必要に応じた警告処理等を行う。側面観察処理は、ステップS503でNG判定条件及び再トライ判定条件を満たさないと判定された場合はステップS505へ進み、ステップS503でNG判定条件及び再トライ判定条件を満たすと判定された場合はステップS504で必要に応じて警告を行った後にステップS502へ戻る。
ステップS505において、観察側制御回路110は、特定域での側面観察画像取得が終了したか否かの判定等を行う。側面観察処理は、終了したと判定された場合はステップS508へ進み、判定されなかった場合はステップS506へ進む。
ステップS506において、観察側制御回路110は、図15を参照して上述したようにして、第1の撮像光学系の光軸からの距離が所定の閾値以上である領域(特定範囲)にAFさせて、特定範囲に合焦した第1の画像を取得する。
ステップS507において、観察側制御回路110は、側面観察処理情報として記録されているスキャンパターンに従って画像取得ユニット150を移動機構160に移動させる。観察側制御回路110は、例えば、特定範囲から放射された主光線の傾きに応じた方向に移動することになる。その後、側面観察処理はステップS503へ戻る。
ステップS508において、観察側制御回路110は、図16を参照して上述したようにして、画像処理回路120に、特定域における側面観察スキャンにおいて取得された各々の第1の画像から、特定範囲を撮像した領域を特定範囲画像として切り出させる。観察側制御回路110は、画像処理回路120に当該複数の特定範囲画像を、それぞれ奥行き情報に基づいて適切な幅Wへと画像処理によって変換し、変換した画像を合成させる。
ステップS509において、観察側制御回路110は、当該側面観察画像を例えば予め設定された送信先へ送信する。なお、送信先は、本ステップにおいてユーザの操作結果に応じてコントローラ200が出力する制御信号に基づいて決定されてもよい。その後、側面観察処理は終了する。
<第2の実施形態に係る利点>
本実施形態に係る観察システム1は、第1の実施形態で得られる利点に加えて、以下のような利点を有する。
本実施形態に係る観察装置100の備える側面情報処理部は、目的に応じて第1の撮像光学系と第2の撮像光学系とを切り替えて観察等を行う観察装置において、細胞324上の領域のうち、第1の撮像光学系の光軸から所定の閾値以上離れた領域から放射される主光線と当該光軸との間に傾きが存在することを利用して、細胞324の側面を撮像した側面観察画像を取得する。
したがって、ユーザは、本実施形態に係る観察装置100を使用すれば、被写体側にテレセントリック性を有している観察装置では取得できない、細胞324の側面を含む第1の画像と、当該画像に基づいた側面観察画像とを取得できる。
さらに、本実施形態に係る観察装置100と第1の実施形態に係る観察装置100とは組み合わせ可能である。例えば、立体画像生成部は、本実施形態で説明したようにして取得される特定範囲画像を、当該特定範囲画像に含まれる各々の対応点に係る奥行き情報に基づいて立体化する処理を行う。観察装置100は、このようにして取得される立体化された特定範囲画像を、第1の実施形態で上述した細胞324の立体モデルの対応する位置に合成して、細胞324の立体画像を取得できる。
<変形例>
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、簡単のために対物レンズ152bと結像レンズ152cとを正レンズを模して示しているが、これに限定されない。例えば、取得される第1の画像間の像移動量ΔXをより小さく、視差を大きくさせるために、対物レンズを負の屈折力を有するレンズ群としてもよい。また、レンズ枚数は、要求される性能に応じて複数枚用いられる得ることは言うまでもない。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る観察装置100は、第1の撮像光学系を用いる場合に視差画像から取得した奥行き情報に基づいてAF動作を行ってもよい。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態では、インキュベータ内で観察装置100が利用される場合を想定し、細胞の観察に注力した用途を強調しているが、観察物の形状、数、大きさ等の取得と、観察物に係る奥行き情報の取得とを実現できる、細部を拡大して確認するための観察装置として一般化できることは言うまでもない。
試料300は、観察装置100の上面に配置されたまま、例えばインキュベータ、クリーンベンチ等への出し入れが行われ得る。このような場合、細胞324は、温度変化の影響を受けることになり、ヒートショックを受ける可能性がある。さらに、出し入れ等に伴ってコンタミネーションの発生も起こり得る。本技術は、例えば細胞又は細胞群等の観察物の形状や大きさと、細胞又は細胞群等の観察物の有する凹凸等の奥行き情報とを、それぞれ適切に取得できる。また、第1の実施形態及び第2の実施形態では観察装置100の取得した画像について、NG判定条件と再トライ判定条件とを用いた判定の結果に応じてユーザに観察不良の発生等を警告する場合を例として説明をしたが、本技術の適用はこれに限定されない。観察物の異常、コンタミネーション等を検出した場合にもユーザへ警告できる。また、本技術は、画像解析の結果に基づいた培地の状態の評価を行う。
第1の実施形態及び第2の実施形態では、観察側制御回路110と、画像処理回路120と、観察側記録回路130と、観察側通信装置140とが回路群104として筐体101の内部に備えられている場合を例として説明したが、これに限定されない。例えば、これらのうち1つ又は複数の機能が画像取得ユニット150に備えられていてもよい。また、例えば観察側通信装置140としての機能は、画像取得ユニット150と、回路群104との両方に備えられていてもよい。また、観察側制御回路110と、画像処理回路120と、観察側記録回路130とのうち1つ又は複数の機能が、コントローラ200に備えられていてもよい。すなわち、例えば上述した各種判定、画像処理等の一部又は全てがコントローラ200で行われてもよい。
また、コントローラ200の備える各部のうち、例えば入出力装置270等、一部の要素が観察装置100に含まれていてもよい。さらに、観察装置100とコントローラ200とが1つの筐体に組み込まれた構成も考えられる。観察装置100とコントローラ200とが一体となった観察システム1は、例えば恒温室等の、ユーザ自身が使用環境に立ち入る場合に使用され得る。
また、観察システム1には、画像解析等の観察結果、ユーザの使用頻度等を含む観察システム1の使い方、インキュベータの設定等を記録して学習して、ユーザに、ユーザが設定する各種条件、パラメータ等を提示するような人工知能(AI)が含まれていてもよい。また、AIは、例えばDSP等に構築されて観察システム1の内部にあってもよいし、インターネット上に構築されて観察システム1の外部にあってもよい。このようなAIを含む観察システム1は、例えば、取得した画像について、サーバ上に用意されたデータベースを参照して細胞の様子、種類、培地の状態、異物混入の有無等を判定できる。
本技術は、例えば監視カメラや内視鏡のように、撮像光学系とユーザとが離れた位置で使用される撮像装置に対して適用しても有効である。ユーザは、撮像の目的に応じて当該撮像装置を交換する手間なく、使用する目的に適した画像等の観察結果を取得できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
<付記>
なお、本発明の上記実施形態には、以下の発明も含まれる。
[1]
拡大光学系、かつ、被写体側非テレセントリック光学系であり、光軸が観察軸と平行である第1の撮像光学系を含み、前記第1の撮像光学系を用いて試料を撮像して第1の画像を取得する撮像部と、
前記第1の撮像光学系の光軸を前記観察軸と平行に維持したまま前記撮像部を移動させて前記試料と前記撮像部との相対位置を変更する移動機構と、
異なる前記撮像部の位置で取得された複数の前記第1の画像と、前記第1の画像の取得時の各々の撮像位置に係る情報とに基づいて、前記試料に含まれる被写体について前記観察軸方向の位置に係る情報を奥行き情報として取得する距離換算部と
を備える、観察装置。
[2]
異なる前記撮像位置で取得された複数の前記第1の画像の各々に含まれる被写体像に基づいて対応点を取得する対応点取得部をさらに備え、
前記距離換算部は、前記対応点の位置の撮像面上での変化量と、各々の前記撮像位置の間隔とに基づいて、前記奥行き情報を取得する、[1]に記載の観察装置。
[3]
前記奥行き情報に基づいて、前記被写体の立体モデルを生成する立体モデル生成部をさらに備える、[1]又は[2]に記載の観察装置。
[4]
前記奥行き情報と前記奥行き情報に対応する前記第1の画像とに基づいて、前記被写体の立体画像を生成する立体画像生成部をさらに備える、[1]又は[2]に記載の観察装置。
[5]
複数の前記第1の画像の各々について、被写体に合焦している領域を特定範囲画像として切り出し、複数の前記特定範囲画像を前記奥行き情報に基づいて合成して前記被写体の側面観察画像を生成する側面情報処理部をさらに備える、[1]又は[2]に記載の観察装置。
[6]
前記撮像部は、被写体側テレセントリック光学系である第2の撮像光学系をさらに含み、
前記第1の撮像光学系と前記第2の撮像光学系とを切り替えるレンズ切替部をさらに備え、
前記撮像部は、前記第2の撮像光学系を用いて前記試料を撮像して第2の画像をさらに取得する、
請求項[1]乃至[5]の何れか1項に記載の観察装置。
[7]
前記レンズ切替部は、撮像光学系に含まれるレンズの光軸方向の位置を制御して、前記撮像光学系を前記第1の撮像光学系又は前記第2の撮像光学系とする、[6]に記載の観察装置。
[8]
[1]乃至[7]の何れか1項に記載の観察装置と、
ユーザの操作結果を取得して前記観察装置へ出力し、前記観察装置の観察結果を取得するコントローラと
を備える観察システム。
[9]
拡大光学系、かつ、被写体側非テレセントリック光学系であり、光軸が観察軸と平行である第1の撮像光学系を含む撮像部を用いて、前記第1の撮像光学系を介して試料を撮像して第1の画像を取得することと、
前記試料に対する前記撮像部の位置を変更するために前記第1の撮像光学系の光軸を前記観察軸と平行に維持したまま前記撮像部を移動させることと、
異なる前記撮像部の位置で取得された複数の前記第1の画像と、前記第1の画像の取得時の各々の撮像位置に係る情報とに基づいて、前記試料に含まれる被写体について前記観察軸方向の位置に係る情報を奥行き情報として取得することと
を含む、観察装置の制御方法。