JP6323266B2 - 蒸着マスクの検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸着マスクの検査方法に関する。
有機EL素子を用いた製品の大型化或いは基板サイズの大型化にともない、蒸着マスクに対しても大型化の要請が高まりつつある。そして、金属から構成される蒸着マスクの製造に用いられる金属板も大型化している。しかしながら、現在の金属加工技術では、大型の金属板に開口部を精度よく形成することは困難であり、開口部の高精細化への対応はできない。また、金属のみからなる蒸着マスクとした場合には、大型化に伴いその質量も増大し、フレームを含めた総質量も増大することから取り扱いに支障をきたすこととなる。
このような状況下、特許文献1には、スリットが設けられた金属マスクと、金属マスクの表面に位置し蒸着作製するパターンに対応した開口部が縦横に複数列配置された樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクが提案されている。特許文献1に提案がされている蒸着マスクによれば、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができ、また、高精細な蒸着パターンの形成を行うことができるとされている。
特許第5288072号公報
本発明は、樹脂マスクに形成された開口部の形状パターンが正常である否かの検査を正確に行うことができる蒸着マスクの検査方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、蒸着マスクの検査方法であって、前記検査に用いられる蒸着マスクが、スリットが形成された金属マスクと当該スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部が形成された樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクであり、前記樹脂マスクの前記金属マスクと接しない側の面に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層を形成する色材層形成工程と、前記色材層が形成された蒸着マスクに対して可視光を照射し、前記樹脂マスクに形成されている開口部の検査を行う検査工程と、前記検査工程後に、前記色材層を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、蒸着マスクの検査方法であって、前記検査に用いられる蒸着マスクが、スリットが形成された金属マスクと当該スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部が形成された樹脂マスクとが積層され、当該樹脂マスクの波長550nmの光線透過率が40%を超える蒸着マスクであり、前記樹脂マスクの前記金属マスクと接しない側の面に色材層を形成する色材層形成工程と、前記色材層が形成された蒸着マスクに対して可視光を照射し、前記樹脂マスクに形成されている開口部の検査を行う検査工程と、前記検査工程後に、前記色材層を除去する除去工程と、を含み、前記色材層形成工程では、前記樹脂マスクと前記色材層との積層体の波長550nmの光線透過率が40%以下となるように、前記樹脂マスクの前記金属マスクと接しない側の面に色材層を形成することを特徴とする。
本発明の蒸着マスクの検査方法によれば、高精細化と軽量化の双方を満たすことができる蒸着マスクにおいて、樹脂マスクに形成された開口部の形状パターンが正常である否かの検査を正確に行うことができる。
一実施形態の蒸着マスクの検査方法を説明するための工程図であり、(a)〜(d)はともに蒸着マスクの部分概略断面図である。 (a)は、一実施形態の蒸着マスクを金属マスク側からみた正面図であり、(b)は、(a)のA−A断面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 実施形態(B)の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 実施形態(B)の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 (a)、(b)は、樹脂マスクを透過する透過光の状態を模式的に示す蒸着マスクの概略断面図であり、(a)は一実施形態の蒸着マスクであり、(b)は比較の蒸着マスクである。 フレーム付き蒸着マスクの一例を示す正面図である。 フレーム付き蒸着マスクの一例を示す正面図である。 フレームの一例を示す正面図である。
<<蒸着マスクの検査方法>>
以下、本発明の一実施形態の蒸着マスクの検査方法について具体的に説明する。一実施形態の蒸着マスクの検査方法は、スリット15が形成された金属マスク10と当該スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部25が形成された樹脂マスク20とが積層されてなる蒸着マスク100(図1(a)、図2〜図8参照)において、樹脂マスク20に形成されている開口部25の形状パターンが正常である否かを検査する検査方法である。そして、樹脂マスク20に形成されている開口部25の形状パターンが正常である否かを正確に行うことを目的とする一実施形態の蒸着マスクの検査方法は、図1(b)に示すように、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面(図1に示す形態では樹脂マスク20の上面)に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40を形成する色材層形成工程と、図1(c)に示すように、色材層40が形成された蒸着マスク100に対して可視光を照射し、樹脂マスク20に形成されている開口部25の検査を行う検査工程と、図1(d)に示すように、検査工程後に、蒸着マスク100から色材層40を除去する工程を含む。なお、図1は、一実施形態の蒸着マスクの検査方法を説明するための工程図であり、(a)〜(d)はともに蒸着マスクの部分概略断面図である。
<検査に用いられる蒸着マスク>
本発明の一実施形態の蒸着マスクの検査方法(以下、一実施形態の検査方法という場合がある。)を説明するにあたり、当該検査方法に用いられる蒸着マスク100の一例について説明する。図2に示すように、一実施形態の検査方法に用いられる蒸着マスク100は、スリット15が形成された金属マスク10と当該スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部25が形成された樹脂マスク20とが積層された構成をとる。なお、図2(a)は、一実施形態の蒸着マスクを金属マスク10側から見た正面図であり、(b)は、(a)のA−A概略断面図である。
(樹脂マスク)
図2に示すように、樹脂マスク20には、複数の開口部25が設けられている。複数の開口部25は、金属マスク10と樹脂マスク20を積層したときに、金属マスク10のスリット15と重なる位置に設けられている。
樹脂マスク20の材料について限定はなく、例えば、レーザー加工等によって高精細な開口部25の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。この樹脂材料を用いた樹脂マスクとすることで、開口部25の寸法精度を向上させることができ、かつ熱や経時での寸法変化率や吸湿率を小さくすることができる。上記に例示した樹脂マスクの材料の中で、特に好ましい材料はポリイミド樹脂である。
樹脂マスク20の厚みについても特に限定はないが、一実施形態の検査方法に用いられる蒸着マスク100を用いて蒸着を行ったときに、シャドウの発生の抑制効果をさらに向上せしめる場合には、樹脂マスク20の厚みは、10μm未満であることが好ましい。下限値の好ましい範囲について特に限定はないが、樹脂マスク20の厚みが3μm未満である場合には、ピンホール等の欠陥が生じやすく、また変形等のリスクが高まる。特に、樹脂マスク20の厚みを、3μm以上10μm未満、より好ましくは4μm以上8μm以下とすることで、400ppiを超える高精細パターンを形成する際のシャドウの影響をより効果的に防止することができる。また、樹脂マスク20と後述する金属マスク10とは、直接的に接合されていてもよく、粘着剤層を介して接合されていてもよいが、粘着剤層を介して樹脂マスク20と金属マスク10とが接合される場合には、樹脂マスク20と粘着剤層との合計の厚みが上記好ましい厚みの範囲内であることが好ましい。なお、シャドウとは、蒸着源から放出された蒸着材の一部が、金属マスクのスリットや、樹脂マスクの開口部の内壁面に衝突して蒸着対象物へ到達しないことにより、目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる現象のことをいう。
また、各図に示す形態では、開口部25を平面視したときの開口形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、開口部25の開口形状は、台形状、円形状等いかなる形状であってもよい。金属マスク20のスリット15を平面視したときの形状についても同様である。
開口部25を形成する樹脂マスクの向かいあう端面同士が略平行であってもよいが、図2(b)に示すように開口部25はその断面形状が、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。換言すれば、樹脂マスク20の面において、金属マスク10と接しない側の面から、金属マスク10と接する側の面に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。具体的には、樹脂マスクの開口部における下底先端と、同じく樹脂マスクの開口部における上底先端を結んだ直線と蒸着マスクの底面とのなす角度、換言すれば、樹脂マスク20の開口部25を構成する内壁面の厚み方向断面において、開口部25の内壁面と、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面(図示する形態では、樹脂マスクの下面)とのなす角度は、5°〜85°の範囲内であることが好ましく、15°〜80°の範囲内であることがより好ましく、25°〜65°の範囲内であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。また、図示する形態では、開口部25を形成する端面は直線形状を呈しているが、これに限定されることはなく、外に凸の湾曲形状となっている、つまり開口部25の全体の形状がお椀形状となっていてもよい。
(金属マスク)
図2(b)に示すように、樹脂マスク20の一方の面上には、金属マスク10が積層されている。金属マスク10は、金属から構成され、縦方向或いは横方向に延びるスリット15が配置されている。スリット15は開口と同義である。スリットの配置例について特に限定はなく、縦方向、及び横方向に延びるスリットが、縦方向、及び横方向に複数列配置されていてもよく、縦方向に延びるスリットが、横方向に複数列配置されていてもよく、横方向に延びるスリットが縦方向に複数列配置されていてもよい。また、縦方向、或いは横方向に1列のみ配置されていてもよい。なお、本願明細書で言う「縦方向」、「横方向」とは、図面の上下方向、左右方向をさし、蒸着マスク、樹脂マスク、金属マスクの長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。例えば、蒸着マスク、樹脂マスク、金属マスクの長手方向を「縦方向」としてもよく、幅方向を「縦方向」としてもよい。また、本願明細書では、蒸着マスクを平面視したときの形状が矩形状である場合を例に挙げて説明しているが、これ以外の形状、例えば、円形状、ひし形形状等としてもよい。この場合、対角線の長手方向や、径方向、或いは、任意の方向を「長手方向」とし、この「長手方向」に直交する方向を、「幅方向(短手方向と言う場合もある)」とすればよい。
金属マスク10の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。
また、一実施形態の蒸着マスク100を用いて、蒸着対象物の被蒸着面へ蒸着を行うにあたり、蒸着対象物の後方に磁石等を配置して、蒸着対象物の前方の蒸着マスク100を磁力によって引きつけることが必要な場合には、金属マスク10を磁性体で形成することが好ましい。磁性体の金属マスク10としては、鉄ニッケル合金、純鉄、炭素鋼、タングステン(W)鋼、クロム(Cr)鋼、コバルト(Co)鋼、コバルト・タングステン・クロム・炭素を含む鉄の合金であるKS鋼、鉄・ニッケル・アルミニウムを主成分とするMK鋼、MK鋼にコバルト・チタンを加えたNKS鋼、Cu−Ni−Co鋼、アルミニウム(Al)−鉄(Fe)合金等を挙げることができる。また、金属マスク10を形成する材料そのものが磁性体でない場合には、当該材料に上記磁性体の粉末を分散させることにより金属マスク10に磁性を付与してもよい。
金属マスク10の厚みについても特に限定はないが、シャドウの発生をより効果的に防止するためには、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが特に好ましい。なお、5μmより薄くした場合、破断や変形のリスクが高まるとともにハンドリングが困難となる傾向にある。
また、図2(a)に示す形態では、スリット15の開口を平面視したときの形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、スリット15の開口形状は、台形状、円形状等いかなる形状であってもよい。
金属マスク10に形成されるスリット15の断面形状についても特に限定されることはないが、図2(b)に示すように蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。換言すれば、金属マスクの面において、樹脂マスク20と接する側の面から、樹脂マスク20と接しない側の面に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。より具体的には、金属マスク10のスリット15における下底先端と、同じく金属マスク10のスリット15における上底先端とを結んだ直線と、金属マスク10の底面とのなす角度、換言すれば、金属マスク10のスリット15を構成する内壁面の厚み方向断面において、スリット15の内壁面と金属マスク10の樹脂マスク20と接する側の面(図示する形態では、金属マスクの下面)とのなす角度は、5°〜85°の範囲内であることが好ましく、15°〜80°の範囲内であることがより好ましく、25°〜65°の範囲内であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。
樹脂マスク上に金属マスク10を積層する方法について特に限定はなく、樹脂マスク20と金属マスク10とを各種粘着剤を用いて貼り合わせてもよく、自己粘着性を有する樹脂マスクを用いてもよい。樹脂マスク20と金属マスク10の大きさは同一であってもよく、異なる大きさであってもよい。なお、この後に任意で行われるフレームへの固定を考慮して、樹脂マスク20の大きさを金属マスク10よりも小さくし、金属マスク10の外周部分が露出された状態としておくと、金属マスク10とフレームとの固定が容易となり好ましい。
以下、本発明の一実施形態の検査方法に用いられる好ましい蒸着マスクについて実施形態(A)、及び実施形態(B)を例に挙げ説明する。なお、一実施形態の検査方法に用いられる蒸着マスク100は、以下で説明する形態に限定されるものではなく、スリット15が形成された金属マスク10と当該スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部25が形成された樹脂マスク20とが積層されているとの条件を満たすものであれば、いかなる形態であってもよい。例えば、金属マスク10に形成されているスリット15は、ストライプ状(図示しない)であってもよい。また、1画面全体と重ならない位置に、金属マスク10のスリット15が設けられていてもよい。いずれの形態であっても、樹脂マスク20の金属マスク15と接しない側の面に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40を形成し、色材層40が形成された蒸着マスク100に対して可視光を照射し、樹脂マスクに形成されている開口部25の検査を行う点を特徴とする本発明の一実施形態の検査方法によれば、樹脂マスク20における可視光の光線透過率にかかわらず、陰影の濃淡のコントラストを高めることができ、樹脂マスク20の開口部25が、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りになっているか否かを正確に検査することができる。
<実施形態(A)の蒸着マスク>
図2に示すように、一実施形態の蒸着マスクの検査方法に用いられる実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、樹脂マスク20の一方の面上に、複数のスリット15が設けられた金属マスク10が積層されてなり、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な開口部25が設けられ、各スリット15が、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられていることを特徴とする。
実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するために用いられる蒸着マスクであり、1つの蒸着マスク100で、複数の製品に対応する蒸着パターンを同時に形成することができる。実施形態(A)の蒸着マスクで言う「開口部」とは、実施形態(A)の蒸着マスク100を用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスクを有機ELディスプレイにおける有機層の形成に用いる場合には、開口部25の形状は当該有機層の形状となる。また、「1画面」とは、1つの製品に対応する開口部25の集合体からなり、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる開口部25の集合体が「1画面」となる。そして、実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成すべく、樹脂マスク20には、上記「1画面」が、所定の間隔をあけて複数画面分配置されている。すなわち、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な開口部25が設けられている。
実施形態(A)の蒸着マスクは、樹脂マスクの一方の面上に、複数のスリット15が設けられた金属マスク10が設けられ、各スリットは、それぞれ少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられている点を特徴とする。換言すれば、1画面を構成するのに必要な開口部25間において、横方向に隣接する開口部25間に、スリット15の縦方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分や、縦方向に隣接する開口部間25に、スリット15の横方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在していないことを特徴とする。以下、スリット15の縦方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分や、スリット15の横方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分のことを総称して、単に金属線部分と言う場合がある。
実施形態(A)の蒸着マスク100によれば、1画面を構成するのに必要な開口部25の大きさや、1画面を構成する開口部25間のピッチを狭くした場合、例えば、400ppiを超える画面の形成を行うべく、開口部25の大きさや、開口部25間のピッチを極めて微小とした場合であっても、金属線部分による干渉を防止することができ、高精細な画像の形成が可能となる。なお、1画面が、複数のスリットによって分割されている場合、換言すれば、1画面を構成する開口部25間に金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在している場合には、1画面を構成する開口部25間のピッチが狭くなっていくことにともない、開口部25間に存在する金属線部分が蒸着対象物へ蒸着パターンを形成する際の支障となり高精細な蒸着パターンの形成が困難となる。換言すれば、1画面を構成する開口部25間に金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在している場合には、フレーム付き蒸着マスクとしたときに当該金属線部分が、シャドウの発生を引き起こし高精細な画面の形成が困難となる。
次に、図3〜図6を参照して、1画面を構成する開口部25の一例について説明する。なお、図示する形態において破線で閉じられた領域が1画面となっている。図示する形態では、説明の便宜上少数の開口部25の集合体を1画面としているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、1つの開口部25を1画素としたときに、1画面に数百万画素の開口部25が存在していてもよい。
図3に示す形態では、縦方向、横方向に複数の開口部25が設けられてなる開口部25の集合体によって1画面が構成されている。図4に示す形態では、横方向に複数の開口部25が設けられてなる開口部25の集合体によって1画面が構成されている。また、図5に示す形態では、縦方向に複数の開口部25が設けられてなる開口部25の集合体によって1画面が構成されている。そして、図3〜図5では、1画面全体と重なる位置にスリット15が設けられている。
上記で説明したように、スリット15は、1画面のみと重なる位置に設けられていてもよく、図6(a)、(b)に示すように、2以上の画面全体と重なる位置に設けられていてもよい。図6(a)では、図3に示す樹脂マスク10において、横方向に連続する2画面全体と重なる位置にスリット15が設けられている。図6(b)では、縦方向に連続する3画面全体と重なる位置にスリット15が設けられている。
次に、図3に示す形態を例に挙げて、1画面を構成する開口部25間のピッチ、画面間のピッチについて説明する。1画面を構成する開口部25間のピッチや、開口部25の大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに応じて適宜設定することができる。例えば、400ppiの高精細な蒸着パターンの形成を行う場合には、1画面を構成する開口部25において隣接する開口部25の横方向のピッチ(P1)、縦方向のピッチ(P2)は60μm程度となる。また、開口部の大きさは、500μm2〜1000μm2程度となる。また、1つの開口部25は、1画素に対応していることに限定されることはなく、例えば、画素配列によっては、複数画素を纏めて1つの開口部25とすることもできる。
画面間の横方向ピッチ(P3)、縦方向ピッチ(P4)についても特に限定はないが、図3に示すように、1つのスリット15が、1画面全体と重なる位置に設けられる場合には、各画面間に金属線部分が存在することとなる。したがって、各画面間の縦方向ピッチ(P4)、横方向のピッチ(P3)が、1画面内に設けられている開口部25の縦方向ピッチ(P2)、横方向ピッチ(P1)よりも小さい場合、或いは略同等である場合には、各画面間に存在している金属線部分が断線しやすくなる。したがって、この点を考慮すると、画面間のピッチ(P3、P4)は、1画面を構成する開口部25間のピッチ(P1、P2)よりも広いことが好ましい。画面間のピッチ(P3、P4)の一例としては、1mm〜100mm程度である。なお、画面間のピッチとは、1の画面と、当該1の画面と隣接する他の画面とにおいて、隣接している開口部間のピッチを意味する。このことは、後述する実施形態(B)の蒸着マスクにおける開口部25のピッチ、画面間のピッチについても同様である。
なお、図6に示すように、1つのスリット15が、2つ以上の画面全体と重なる位置に設けられる場合には、1つのスリット15内に設けられている複数の画面間には、スリットの内壁面を構成する金属線部分が存在しないこととなる。したがって、この場合、1つのスリット15と重なる位置に設けられている2つ以上の画面間のピッチは、1画面を構成する開口部25間のピッチと略同等であってもよい。
<実施形態(B)の蒸着マスク>
次に、一実施形態の蒸着マスクの検査方法に用いられる実施形態(B)の蒸着マスクについて説明する。図7に示すように、実施形態(B)の蒸着マスクは、蒸着作製するパターンに対応した開口部25が複数設けられた樹脂マスク20の一方の面上に、1つのスリット(1つの貫通孔16)が設けられた金属マスク10が積層されてなり、当該複数の開口部25の全てが、金属マスク10に設けられた1つの貫通孔と重なる位置に設けられている点を特徴とする。
実施形態(B)で言う開口部25とは、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するために必要な開口部を意味し、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するために必要ではない開口部は、1つの貫通孔16と重ならない位置に設けられていてもよい。なお、図7は、実施形態(B)の蒸着マスクの一例を示す蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。
実施形態(B)の蒸着マスク100は、複数の開口部25を有する樹脂マスク20上に、1つの貫通孔16を有する金属マスク10が設けられており、かつ、複数の開口部25の全ては、当該1つの貫通孔16と重なる位置に設けられている。この構成を有する実施形態(B)の蒸着マスク100では、開口部25間に、金属マスクの厚みと同じ厚み、或いは、金属マスクの厚みより厚い金属線部分が存在していないことから、上記実施形態(A)の蒸着マスクで説明したように、金属線部分による干渉を受けることなく樹脂マスク20に設けられている開口部25の寸法通りに高精細な蒸着パターンを形成することが可能となる。
また、実施形態(B)の蒸着マスクによれば、金属マスク10の厚みを厚くしていった場合であっても、シャドウの影響を殆ど受けることがないことから、金属マスク10の厚みを、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができるまで厚くすることができ、高精細な蒸着パターンの形成を可能としつつも、耐久性や、ハンドリング性を向上させることができる。
実施形態(B)の蒸着マスクにおける樹脂マスク20は、樹脂から構成され、図7に示すように、1つの貫通孔16と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25が複数設けられている。開口部25は、蒸着作製するパターンに対応しており、蒸着源から放出された蒸着材が開口部25を通過することで、蒸着対象物には、開口部25に対応する蒸着パターンが形成される。なお、図示する形態では、開口部が縦横に複数列配置された例を挙げて説明をしているが、縦方向、或いは横方向にのみ配置されていてもよい。実施形態(B)の蒸着マスク100においても、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率は40%以下となっている。
実施形態(B)の蒸着マスク100における「1画面」とは、1つの製品に対応する開口部25の集合体を意味し、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる開口部25の集合体が「1画面」となる。実施形態(B)の蒸着マスクは、「1画面」のみからなるものであってもよく、当該「1画面」が複数画面分配置されたものであってもよいが、「1画面」が複数画面分配置される場合には、画面単位毎に所定の間隔をあけて開口部25が設けられていることが好ましい(実施形態(A)の蒸着マスクの図6参照)。「1画面」の形態について特に限定はなく、例えば、1つの開口部25を1画素としたときに、数百万個の開口部25によって1画面を構成することもできる。
実施形態(B)の蒸着マスク100における金属マスク10は、金属から構成され1つの貫通孔16を有している。そして、実施形態(B)の蒸着マスクでは、当該1つの貫通孔16は、金属マスク10の正面からみたときに、全ての開口部25と重なる位置、換言すれば、樹脂マスク20に配置された全ての開口部25がみえる位置に配置されている。
金属マスク10を構成する金属部分、すなわち貫通孔16以外の部分は、図7に示すように蒸着マスク100の外縁に沿って設けられていてもよく、図8に示すように金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも小さくし、樹脂マスク20の外周部分を露出させてもよい。また、金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも大きくして、金属部分の一部を、樹脂マスクの横方向外方、或いは縦方向外方に突出させてもよい。なお、いずれの場合であっても、貫通孔16の大きさは、樹脂マスク20の大きさよりも小さく構成されている。
図7に示される金属マスク10の貫通孔の壁面をなす金属部分の横方向の幅(W1)や、縦方向の幅(W2)について特に限定はないが、W1、W2の幅が狭くなっていくに従い、耐久性や、ハンドリング性が低下していく傾向にある。したがって、W1、W2は、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができる幅とすることが好ましい。金属マスク10の厚みに応じて適切な幅を適宜設定することができるが、好ましい幅の一例としては、実施形態(A)の金属マスクと同様、W1、W2ともに1mm〜100mm程度である。
また、上記で説明した各実施形態の蒸着マスクにおいて、樹脂マスク20には、開口部25が規則的に形成されているが、蒸着マスク100の金属マスク10側から見たときに、各開口部25を横方向、或いは縦方向に互い違いに配置してもよい(図示しない)。つまり、横方向に隣り合う開口部25を縦方向にずらして配置してもよい。このように配置することにより、樹脂マスク20が熱膨張した場合にあっても、各所において生じる膨張を開口部25によって吸収することができ、膨張が累積して大きな変形が生じることを防止することができる。
また、上記で説明した各実施形態の蒸着マスクにおいて、樹脂マスク20には、樹脂マスク20の縦方向、或いは横方向にのびる溝(図示しない)が形成されていてもよい。蒸着時に熱が加わった場合、樹脂マスク20が熱膨張し、これにより開口部25の寸法や位置に変化が生じる可能性があるが、溝を形成することで樹脂マスクの膨張を吸収することができ、樹脂マスクの各所で生じる熱膨張が累積することにより樹脂マスク20が全体として所定の方向に膨張して開口部25の寸法や位置が変化することを防止することができる。溝の形成位置について限定はなく、1画面を構成する開口部25間や、開口部25と重なる位置に設けられていてもよいが、画面間に設けられていることが好ましい。また、溝は、樹脂マスクの一方の面、例えば、金属マスクと接する側の面のみに設けられていてもよく、金属マスクと接しない側の面のみに設けられていてもよい。或いは、樹脂マスク20の両面に設けられていてもよい。
また、隣接する画面間に縦方向に延びる溝としてもよく、隣接する画面間に横方向に延びる溝を形成してもよい。さらには、これらを組み合わせた態様で溝を形成することも可能である。
溝の深さやその幅については特に限定はないが、溝の深さが深すぎる場合や、幅が広すぎる場合には、樹脂マスク20の剛性が低下する傾向にあることから、この点を考慮して設定することが必要である。また、溝の断面形状についても特に限定されることはなくU字形状やV字形状など、加工方法などを考慮して任意に選択すればよい。実施形態(B)の蒸着マスクについても同様である。
<フレーム付き蒸着マスク>
また、検査に用いる蒸着マスクとして、図10、11に示すように、フレーム付き蒸着マスク200を用いることもできる。検査に用いられる蒸着マスクには、フレーム付き蒸着マスクも含まれるものとする。フレーム付き蒸着マスク200は、フレーム60上に、蒸着マスク100が固定されてなる。蒸着マスク100は、上記で説明した各種の形態の蒸着マスクを適宜選択して用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。なお、各種の形態の蒸着マスクには、上記で説明した好ましい形態の蒸着マスク(実施形態(A)、実施形態(B)の蒸着マスク)も含まれるものとする。
フレーム付き蒸着マスク200は、図10に示すように、フレーム60に、1つの蒸着マスク100が固定されたものであってもよく、図11に示すように、フレーム60に、複数の蒸着マスク100が固定されたものであってもよい。
フレーム60は、略矩形形状の枠部材であり、最終的に固定される蒸着マスク100の樹脂マスク20に設けられた開口部25を蒸着源側に露出させるための貫通孔を有する。フレームの材料について特に限定はないが、剛性が大きい金属材料、例えば、SUS、インバー材、セラミック材料などを用いることができる。中でも、金属フレームは、蒸着マスクの金属マスクとの溶接が容易であり、変形等の影響が小さい点で好ましい。
フレームの厚みについても特に限定はないが、剛性等の点から10mm〜30mm程度であることが好ましい。フレームの開口の内周端面と、フレームの外周端面間の幅は、当該フレームと、蒸着マスクの金属マスクとを固定することができる幅であれば特に限定はなく、例えば、10mm〜70mm程度の幅を例示することができる。
また、図12(a)〜(c)に示すように、蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20の開口部25の露出を妨げない範囲で、貫通孔の領域に補強フレーム65等が設けられたフレーム60を用いてもよい。換言すれば、フレーム60が有する開口が、補強フレーム等によって分割された構成を有していてもよい。補強フレーム65を設けることで、当該補強フレーム65を利用して、フレーム60と蒸着マスク100とを固定することができる。具体的には、上記で説明した蒸着マスク100を縦方向、及び横方向に複数並べて固定するときに、当該補強フレームと蒸着マスクが重なる位置においても、フレーム60に蒸着マスク100を固定することができる。
フレーム60と、蒸着マスク100との固定方法についても特に限定はなく、レーザー光等により固定するスポット溶接、接着剤、ねじ止め、或いはこれ以外の方法を用いて固定することができる。
<検査に用いられる蒸着マスクの製造方法>
以下、一実施形態の蒸着マスクの検査方法に用いられる蒸着マスクの製造方法について一例を挙げて説明する。一実施形態の蒸着マスクの検査方法に用いられる蒸着マスクは、樹脂板の一方の面上にスリット15が設けられた金属マスク10が積層された樹脂板付き金属マスクを準備し、次いで、樹脂板付き金属マスクに対し、金属マスク10側からスリット15を通してレーザーを照射して、樹脂板に蒸着作製するパターンに対応する開口部25を形成することで得ることができる。
樹脂板付き金属マスクの形成方法としては、樹脂板の一方の面上にスリット15が設けられた金属マスク10を積層する。樹脂板は、上記樹脂マスク20で説明した材料を用いることができる。
スリット15が設けられた金属マスク10の形成方法としては、金属板の表面にマスキング部材、例えば、レジスト材を塗工し、所定の箇所を露光し、現像することで、最終的にスリット15が形成される位置を残したレジストパターンを形成する。マスキング部材として用いるレジスト材としては処理性が良く、所望の解像性があるものが好ましい。次いで、このレジストパターンを耐エッチングマスクとして用いてエッチング法によりエッチング加工する。エッチングが終了後、レジストパターンを洗浄除去する。これにより、スリット15が設けられた金属マスク10が得られる。スリット15を形成するためのエッチングは、金属板の片面側から行ってもよく、両面から行ってもよい。また、金属板に樹脂板が設けられた積層体を用いて、金属板にスリット15を形成する場合には、金属板の樹脂板と接しない側の表面にマスキング部材を塗工して、片面側からのエッチングによってスリット15が形成される。なお、樹脂板が、金属板のエッチング材に対し耐エッチング性を有する場合には、樹脂板の表面をマスキングする必要はないが、樹脂板が、金属板のエッチング材に対する耐性を有しない場合には、樹脂板の表面にマスキング部材を塗工しておく必要がある。また、上記では、マスキング部材としてレジスト材を中心に説明を行ったが、レジスト材を塗工する代わりにドライフィルムレジストをラミネートし、同様のパターニングを行ってもよい。
上記の方法において、樹脂板付金属マスクを構成する樹脂板は、板状の樹脂のみならず、コーティングによって形成された樹脂層や樹脂膜であってもよい。つまり、樹脂板は、予め準備されたものであってもよく、金属板と樹脂板とを用いて樹脂板付き金属マスクを形成する場合には、金属板上に、従来公知のコーティング法等によって、最終的に樹脂マスクとなる樹脂層、或いは樹脂膜を形成することもできる。
開口部25の形成方法としては、上記で準備された樹脂板付き金属マスクに対し、レーザー加工法、精密プレス加工、フォトリソ加工等を用いて、樹脂板を貫通させ、樹脂板に蒸着作製するパターンに対応する開口部25を形成することで、蒸着作製するパターンに対応する開口部25が設けられた樹脂マスク20の一方の面上にスリット15が設けられた金属マスク10が積層された一実施形態の蒸着マスク100を得る。なお、高精細な開口部25を容易に形成することができる点からは、開口部25の形成には、レーザー加工法を用いることが好ましい。
また、樹脂板に開口部25を形成する前の段階で、樹脂板付き金属マスクをフレームに固定してもよい。完成した蒸着マスクをフレームに固定するのではなく、フレームに固定された状態の樹脂板付き金属マスクに対し、後から開口部を設けることで、位置精度を格段に向上せしめることができる。なお、完成した蒸着マスク100をフレームに固定する場合には、開口が決定された金属マスクをフレームに対して引っ張りながら固定するために、開口位置座標精度は低下することとなる。フレーム60と、樹脂板付き蒸着マスクとの固定方法についても特に限定はなく、レーザー光等により固定するスポット溶接、接着剤、ねじ止め、或いはこれ以外の方法を用いて固定することができる。
蒸着対象物の被蒸着面に、上記で説明した蒸着マスク100を用いて蒸着パターンを作製するにあたっては、蒸着対象物の被蒸着面と、蒸着マスク100の樹脂マスク20側の面とを対向させ、蒸着対象物の被蒸着面と、蒸着マスクの樹脂マスク20とを密接させた状態で行われる。そして、蒸着源から放出された蒸着材を、樹脂マスク20に形成されている開口部25を通して蒸着対象物の被蒸着面に付着させることで、蒸着対象物の被蒸着面に、樹脂マスク20に形成されている開口部25に対応する蒸着パターンが作製される。なお、一実施形態の蒸着マスクを用いた蒸着方法についていかなる限定もされることはなく、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法等の物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition)、熱CVD、プラズマCVD、光CVD法等の化学気相成長法(chemical vapor deposition)等を挙げることができる。
上記蒸着対象物の被蒸着面への蒸着パターンの作製方法において、蒸着対象物の被蒸着面に形成される蒸着パターンは、樹脂マスク20に形成されている開口部25の開口パターンによって決定されることとなる。このことから、蒸着マスク100の樹脂マスク20には、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りに、開口部25の開口パターンが形成されていることが重要であり、蒸着マスクの使用前、すなわち、蒸着マスクの製造を行った後には、当該蒸着マスク100の樹脂マスク20に形成されている開口部25の開口パターンが、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りに形成されているか否かを検査することが必要となる。
蒸着マスク100の樹脂マスク20に形成されている開口部25の開口パターンが、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りになっているか否かを判別する検査方法の一つとして、樹脂マスク20に可視光を照射し、樹脂マスク20において当該可視光を透過した領域と、透過しない領域とによって形成される陰影により、樹脂マスク20に形成された開口パターンの検査を行う方法がある。具体的には、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない面側から樹脂マスク20に可視光を照射し、その透過光を金属マスク10の樹脂マスク20と接しない面側からカメラ等の撮像装置を用いて撮像し、或いは、金属マスク10の樹脂マスク20と接しない面側から樹脂マスク20に可視光を照射し、その透過光を樹脂マスク20の金属マスク10と接しない面側からカメラ等の撮像装置を用いて撮像し、撮像された透過光による陰影により、樹脂マスク20に形成された開口パターンの検査を行う方法である。
上記の開口パターンの検査を行う場合において、開口部が形成されているマスクが、可視光を透過しない金属材料から構成されるマスクである場合には、当該マスクに形成された開口部の開口パターンの陰影の濃淡のコントラストは高く、開口パターンの検査を問題なく行うことができる。一方で、開口部が形成されているマスクが、可視光を透過しやすい樹脂材料からなるマスクである場合には、当該マスクに形成された開口部の開口パターンの陰影の濃淡のコントラストは低くなり、開口パターンの検査を十分に行うことができない問題が生ずることとなる。つまり、スリット15が形成された金属マスク10と当該スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部25が形成された樹脂マスク20とが積層された構成をとり、高精細化と軽量化の双方を満たすことができる蒸着マスクにおいては、樹脂マスク20に形成がされている開口部25の開口パターンの検査を正確に行うことができない問題が内在することとなる。しかしながら、高精細化と軽量化の双方を満たすことができる上記の蒸着マスクにおいて、樹脂マスク20に可視光を照射したときの可視光の透過率、具体的には、樹脂マスク20の開口部25が形成されていない領域(以下、開口部非形成領域と言う場合がある。)における可視光の透過率については、何ら考慮されていないのが現状である。撮像された透過光による陰影の濃淡のコントラストを高めるためには、樹脂マスク20の開口部25のみが可視光を透過し、樹脂マスク20の開口部非形成領域においては可視光を透過しない、或いはその透過率が低いことが望ましい。しかしながら、図9(b)に示すように、可視光の透過率について何ら考慮がされていない従来の蒸着マスク100Xにおいては、樹脂マスク20Xの開口部非形成領域においても可視光が透過してしまい、カメラで撮像される陰影の濃淡のコントラストが低くなり、陰影のエッジ部、換言すれば、樹脂マスク20に形成された開口部25の開口パターンにおけるエッジ部を正確に把握することが困難となる。エッジ部を正確に把握できない場合には、蒸着マスク100の樹脂マスク20に形成されている開口部25の開口パターンが、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りになっているか否かを検査することが困難となる。
そこで、本発明の一実施形態の検査方法は、図1(b)に示すように、上記で説明した蒸着マスクにおいて、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40を形成し、図1(c)に示すように、この色材層40が形成された蒸着マスク100に対して可視光を照射し、樹脂マスク20に形成されている開口部25の検査を行うことを特徴とする。また、図1(d)に示すように、検査が終了した後においては、蒸着マスク100から色材層40を除去している点を特徴とする。以下、各工程について説明する。
<色材層形成工程>
色材層形成工程は、図1(b)に示すように、上記で説明した蒸着マスク100において、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40を形成する工程である。
色材層形成工程を含む本発明の一実施形態の検査方法によれば、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40が形成されていることから、後述する検査工程において、樹脂マスクに可視光を照射したときに、色材層40が、樹脂マスク20が可視光を透過させてしまうことを抑制するバリア層として機能する。つまり、色材層形成工程を含む本発明の一実施形態の検査方法によれば、図9(a)に示すように、検査工程において樹脂マスク20に可視光を照射したときに、樹脂マスク20の開口部25のみが可視光を透過し、樹脂マスク20の開口部非形成領域においては可視光を透過しない、或いはその透過率を低くすることができ、カメラで撮像される陰影の濃淡のコントラストを高くすることができ、陰影のエッジ部、換言すれば、樹脂マスク20に形成された開口部25の開口パターンにおけるエッジ部を正確に把握することが可能となる。これにより、蒸着マスク100の樹脂マスク20に形成されている開口部25の開口パターンが、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りになっているか否かの検査を正確に行うことができる。
特に、本発明の一実施形態の検査方法に用いられる蒸着マスクは、樹脂材料からなるマスクに開口部25が形成されることから、当該マスクにおける開口部25を高精細なものとすることができる。一般的に、開口部25の高精細化が進むにつれ、撮像される陰影の濃淡のコントラストは低くなる傾向にあるが、上記のとおり、本発明の一実施形態の検査方法においては、検査工程において、色材層40が形成された蒸着マスク100に対して可視光を照射し、樹脂マスク20に形成されている開口部25の検査が行われることから、陰影の濃淡のコントラストを十分に高めることができる。したがって、開口部25を高精細化した場合、例えば、400ppiを超える高精細な開口部25が形成された樹脂マスクとした場合であっても、当該開口部25の開口パターンの検査を正確に行うことができる。
本願明細書において色材層40の光線透過率とは、樹脂マスク20の開口部25が形成されていない領域である開口部非形成領域上に位置する色材層40を透過する光の透過率を意味する。
可視光の光線透過率は、(株)島津製作所製の分光光度計(MPC−3100)等を用いて測定することができる。
樹脂マスク20上に形成されている色材層40の可視光の光線透過率を40%以下と規定しているのは、波長550nmは可視光の略中心の波長であり、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40を樹脂マスク20上に形成した状態で、樹脂マスク20に可視光を照射することで、樹脂マスク20の開口部非形成領域において可視光を透過させない、或いはその透過率を低くすることができ、撮像される陰影の濃淡のコントラストを十分に高めることができることによる。より具体的には、入射光である透過光源のスペクトルには可視光の略中心の波長である550nmの波長が含まれることから、波長550nmの光線透過率を40%以下の色材層40を、樹脂マスク20上に形成した状態で、樹脂マスク20に可視光を照射することで、撮像される陰影の濃淡のコントラストを十分に高めることができる。なお、波長550nmの光線透過率が40%を超える場合には、樹脂マスク20の可視光の光線透過率によっては、可視光を照射したときの陰影の濃淡のコントラストを十分に高めることができず、陰影のエッジ部を正確に把握することができない場合が生じ得る。波長550nmの光線透過率は、上記の通り40%以下との条件を満たすものであればよいが、好ましくは、30%以下であり、より好ましくは10%以下である。下限値について特に限定はなく0%である。特に、波長550nmの光線透過率が10%以下の色材層40を樹脂マスク20上に形成した場合には、検査工程において、陰影の濃淡のコントラストをより十分に高めることができるため、検査精度をさらに向上させることができる。
さらには、波長550nmの光線透過率が40%以下であり、かつ波長380nm〜780nmの光線透過率の最大値が55%以下の色材層40を、樹脂マスクの金属マスクと接しない側の面上に形成することが好ましく、波長380nm〜780nmの光線透過率の最大値が40%以下の色材層40を、樹脂マスクの金属マスクと接しない側の面上に形成することがより好ましく、波長550nmの光線透過率が40%以下であり、かつ可視光波長領域の光線透過率の最大値が55%以下の色材層40を、樹脂マスクの金属マスクと接しない側の面上に形成することがさらに好ましく、可視光波長領域の光線透過率の最大値が40%以下の色材層40を、樹脂マスクの金属マスクと接しない側の面上に形成することが特に好ましい。さらには、波長380nm〜780nmの光線透過率の最大値が10%以下、又は可視光波長領域の光線透過率の最大値が10%以下の色材層40を、樹脂マスクの金属マスクと接しない側の面上に形成することが最も好ましい。ここで言う可視光波長領域とは、JIS−Z8120(2001)で規定される波長範囲を意味し、短波長限界360〜400nm、長波長限界760〜830nmである。波長550nmの光線透過率のみならず、波長380nm〜780nm、或いは可視光波長領域の光線透過率が上記好ましい範囲の色材層40を、樹脂マスク上に形成することで、樹脂マスク20の可視光の光線透過率にかかわらず、広い波長において陰影の濃淡のコントラストの偏りを抑制することができ、陰影の濃淡のコントラストをさらに高めることが可能となる。
色材層40は、必須の成分として、色材成分を含有しており、任意の成分として、色材成分を保持するためのバインダー樹脂や、溶媒などを含有している。色材成分について特に限定はなく、結果的に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40とすることができる材料、及び含有量を適宜選択すればよい。色材成分は、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、従来公知の染料や、顔料、これらの微粒子等を適宜選択して用いることができる。また、波長550nmの光線透過率が40%以下とすることができるものであれば、これ以外を用いることもできる。色材成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いることもできる。
色材成分の形状について特に限定はなく、従来公知の形状、例えば、球状、針状、鱗片状等の粒子を用いればよく、また、大きさについても、特に限定はない。一例としては、5μm以下である。
色材成分の一例としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、二酸化チタン、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化マンガン、二酸化マンガン、酸化クロム、二酸化クロム、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、群青、アニリンブラック、活性炭等を挙げることができる。色材成分の含有量についても特に限定はないが、一例としては、色材層40の固形分総量に対し3質量%以上である。
また、波長550nmの光線透過率が40%以下であるとの条件を満たすものであれば、色材層40の厚みについてはいかなる限定もされることはない。一例としては、0.5μm〜10μm程度である。
なお、色材成分の形状、大きさ、含有量等、また、色材層40の厚みについて、いかなる限定もしないとしている理由は、当該色材成分を含有する色材層40は、最終的に蒸着マスク100から除去され、蒸着マスクの強度や、蒸着マスクの欠陥、また、蒸着パターンを形成するときのシャドウの発生に何ら影響を与えないことによる。換言すれば、蒸着マスクを用いて、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するにあたり、色材層40が蒸着パターンの形成の妨げとなることはないことによる。
色材層40の形成位置についても特に限定はなく、検査工程において可視光が照射される照射範囲に応じて適宜設定することができる。つまり、必ずしも、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面の全面、すなわち、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面のうち開口部非形成領域の全域に色材層40を形成することを要しない。なお、樹脂マスク20に形成された開口部25の開口パターンにおけるエッジ部を正確に把握するためには、開口部25を囲むように色材層40を形成することが好ましく、開口部25のエッジ部から20mm程度の範囲に色材層40を形成することが好ましい。
色材層40の形成方法についても特に限定はなく、色材成分、必要に応じて用いられるバインダー樹脂を、適当な溶媒に溶解、或いは分散した色材層用塗工液を調製し、これを、従来公知の各種の塗工法を用いて、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に塗工することで形成することができる。塗工法としては、グラビア印刷法、ダイコート印刷法、バーコート印刷法、スクリーン印刷法、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法などを挙げることができる。なお、ディップコート法などを用いて、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面のみならず、これ以外の領域、例えば、樹脂マスク20の金属マスク10と接する側の面、金属マスク10の樹脂マスク20と接する側の面、金属マスク10の樹脂マスク20と接しない側の面、開口部25の内壁面、スリット15の内壁面上に色材層40を形成してもよい。つまり、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に色材層40を形成するとの条件を満たすものであれば、これ以外の領域上に色材層40を形成してもよい。
色材層40の形成においては、上記色材層用塗工液を塗工後に、乾燥を行って、上記色材層用塗工液に含まれる溶媒を除去してもよく、乾燥を行わずに色材層40中に溶媒を残存させてもよい。つまり、色材層40は、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面上に、溶媒が除去されたドライな状態で存在していてもよく、溶媒が含有されているウェットな状態で存在していてもよい。なお、色材層40が、いずれの状態で存在している場合であっても、当該色材層40の波長550nmの光線透過率は40%以下であることを条件とする。
また、上記で説明した色材層40の形成方法にかえて、上記<検査に用いられる蒸着マスクの製造方法>で説明した、開口部25を形成するためのマスキング部材や、ドライフィルムレジストを色材層40として流用することもできる。つまり、樹脂マスク20に開口部25を形成したのちに、マスキング部材や、ドライフィルムレジストを除去せずにそのまま残存させておき、このマスキング部材や、ドライフィルムレジストを色材層40としてもよい。マスキング部材や、ドライフィルムレジストの550nmの光線透過率が40%以下である場合には、特段の調整を行う必要はないが、マスキング部材や、ドライフィルムレジストの550nmの光線透過率が40%を超える場合には、色材層40となるマスキング部材や、ドライフィルムレジストに色材成分を含有せしめて、波長550nmの光線透過率が40%以下となるように調整すればよい。
なお、上記マスキング部材や、ドライフィルムレジストを色材層40として流用する方法では、検査に用いられる蒸着マスクの製造において、樹脂板にマスキング部材や、ドライフィルムレジストが残された状態で開口部25の形成を行う必要がある。しかしながら、この方法では、樹脂板に、マスキング部材や、ドライフィルムレジストに起因した応力がかかることとなり、樹脂板に寸法精度よく開口部25を形成することが困難となる場合がある。つまり、応力を考慮して、開口部25の寸法等を決定する必要がある。この点を考慮すると、樹脂板に開口部25を形成する前に、マスキング部材や、ドライフィルムレジストを除去しておき、樹脂板に開口部25を形成して樹脂マスク20とした後に、当該樹脂マスク20の金属マスクと接しない側の面に、別途色材層40を形成することが好ましい。
<検査工程>
検査工程は、図1(c)に示すように、色材層40が形成された蒸着マスク100に対して可視光を照射し、前記樹脂マスクに形成されている開口部の検査を行う工程である。具体的には、色材層40が形成された樹脂マスク20に可視光を照射し、樹脂マスク20において当該可視光を透過した領域と、透過しない領域とによって形成される陰影により、樹脂マスク20に形成された開口パターンの検査を行う工程である。図示する形態では、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない面側から樹脂マスク20に可視光を照射し、その透過光を金属マスク10の樹脂マスク20と接しない面側からカメラ等の撮像装置にて撮像し、撮像された透過光による陰影により、樹脂マスク20に形成された開口パターンの検査を行っているが、金属マスク10の樹脂マスク20と接しない面側から樹脂マスク20に可視光を照射し、その透過光を樹脂マスク20の金属マスク10と接しない面側からカメラ等の撮像装置にて撮像し、撮像された透過光による陰影により、樹脂マスク20に形成された開口パターンの検査を行ってもよい。つまり、可視光を照射する方向について特に限定されることはない。
上記色材層形成工程で説明したように、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面には、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40が形成されていることから、樹脂マスク20の可視光の光線透過率にかかわらず、撮像された透過光による陰影の濃淡のコントラストを高めることができ、樹脂マスク20の開口部25が、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りになっているか否かを正確に検査することができる。例えば、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率が40%を超える場合であっても、その表面には、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層40が形成されていることから、樹脂マスク20自体の可視光の光線透過率に何ら影響を受けることなく、樹脂マスク20の開口部25が、蒸着対象物の被蒸着面に形成を所望する蒸着パターン通りになっているか否かを正確に検査することができる。
つまり、検査に用いられる蒸着マスク100において、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率について何ら限定されることはない。なお、波長550nmの光線透過率が40%を超える樹脂マスク20とした場合には、後述する除去工程において、色材層40を除去したのちに、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面から、金属マスク10に形成されているスリット15を容易に視認することができ、スリット15の開口パターンが正常であるか否かの検査を、目視や、可視光の透過光により正確に行うことができる。
特に、波長550nmの光線透過率が40%を超える樹脂マスク20とすることで、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面から照射された可視光を、金属マスク10の表面まで容易に到達させることができる。スリット15は、金属材料から構成されている金属マスク10に形成されており、金属マスク10から構成される金属マスクのスリット非形成領域における可視光の透過率は、その厚みにもよるが、上記で説明した金属マスクの好ましい厚み、具体的には5μm以上とした場合には、金属マスク10のスリット非形成領域における可視光の透過率は極めて低いものとなる。したがって、可視光を透過しやすい樹脂マスク20とすることで、陰影の濃淡のコントラストを十分に満足させた状態で、スリット15の開口パターンが正常であるか否かの検査を行うことができる。この点を考慮すると、蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20は、波長550nmの光線透過率は40%を超える樹脂マスク20であることが好ましい。以下で説明する他の実施形態の蒸着マスクの検査方法においても同様のことがいえる。なお、このことは、一実施形態の検査方法に用いられる蒸着マスク100において、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率を限定するものではなく、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率は40%以下であってもよい。
色材層40や、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率や、これ以外の波長の光線透過率の測定は、(株)島津製作所製の分光光度計(MPC−3100)などを用いて測定することができる。また、陰影の撮像に用いられる装置としては、外観欠陥検査装置(タカノ(株)製、画像処理装置:MP72000)を挙げることができる。
<除去工程>
除去工程は、図1(d)に示すように、検査工程後に、蒸着マスク100から色材層40を除去する工程である。
色材層40の除去方法について特に限定はなく、色材層40に含有されている色材成分や、任意のバインダー樹脂等に応じて適宜選択することができる。例えば、適当な溶媒に、色材層40を接触させて、色材層40を溶解除去してもよい。また、色材層40がウェットな状態である場合には、当該色材層40にエアー等を吹き付けて除去することもできる。
<<他の実施形態の蒸着マスクの検査方法>>
次に、他の実施形態の蒸着マスクの検査方法について説明する。他の実施形態の蒸着マスクの検査方法は、スリット15が形成された金属マスク10と当該スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部25が形成された樹脂マスク20とが積層され、当該樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率が40%を超える蒸着マスク100において、樹脂マスク20に形成されている開口部25の形状パターンが正常である否かを検査する検査方法である。そして、他の実施形態の蒸着マスクの検査方法は、樹脂マスク20の金属マスク15と接しない側の面に色材層40を形成する色材層形成工程と、色材層40が形成された蒸着マスク100に対して可視光を照射し、樹脂マスク20に形成されている開口部25の検査を行う検査工程と、検査工程後に、色材層40を除去する除去工程とを含む。さらに、他の実施形態の蒸着マスク検査方法は、色材層形成工程において、樹脂マスク20と色材層40との積層体の波長550nmの光線透過率が40%以下となるように、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に色材層40を形成することを特徴とする。
他の実施形態の蒸着マスクの検査方法は、蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20が、波長550nmの光線透過率が40%を超える樹脂マスク20に限定されている点、色材層形成工程において、波長550nmの光線透過率が40%以上の樹脂マスク20と、色材層40とを積層してなる積層体の波長550nmの光線透過率が40%以下となるように色材層40を形成している点においてのみ、上記で説明した一実施形態の蒸着マスクの検査方法と相違している。要約すれば、樹脂マスクの波長550nmの光線透過率が40%を超える点、色材層の波長550nmの光線透過率を規定するのではなく、波長550nmの光線透過率が40%を超える樹脂マスクと色材層40とを積層した積層体の波長550nmの光線透過率を40%以下に規定している点で、上記で説明した一実施形態の蒸着マスクの検査方法と相違している。
以下、他の実施形態の蒸着マスクの検査方法について、相違点を中心に説明する。また、以下、特に断りがない限り、相違点以外の構成については、上記一実施形態の蒸着マスクの検査方法で説明した構成を適宜選択して用いることができる。
他の実施形態の蒸着マスクの検査方法で用いられる蒸着マスク100は、当該蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20が、波長550nmの光線透過率が40%を超える樹脂マスク20となっている。したがって、他の実施形態の蒸着マスクの検査方法に用いられる蒸着マスクは、後述する除去工程において、色材層40を除去したのちに、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面から、金属マスク10に形成されているスリット15を容易に視認することができ、スリット15の開口パターンが正常であるか否かの検査を、目視検査、或いは透過光を用いて行うことができる。
他の実施形態の蒸着マスクの検査方法における色材層形成工程では、樹脂マスク20と色材層40とを積層してなる積層体の波長550nmの光線透過率が40%以下となるように、色材層40を形成すればよく、色材層40自体の波長550nmの光線透過率は40%以下でなくともよい。つまりは、樹脂マスク20の波長550nmの光線透過率との関係に応じて、適宜色材層40の厚みや、色材層40が含有する色材成分の材料、形状、大きさ、含有量等を決定し、結果的に、樹脂マスク20と色材層40とを積層してなる積層体の波長550nmの光線透過率が40%以下となるように、色材層40を形成すればよい。
(有機半導体素子の製造方法)
次に、一実施形態の有機半導体素子の製造方法について説明する。一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、フレームに蒸着マスクが固定されたフレーム付き蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を含み、蒸着パターンを形成する工程で、フレームに固定される蒸着マスクは、スリットが形成された金属マスクと当該スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部が形成された樹脂マスクとが積層されてなる。
フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により蒸着パターンを形成する工程を有する一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、基板上に電極を形成する電極形成工程、有機層形成工程、対向電極形成工程、封止層形成工程等を有し、各任意の工程においてフレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により基板上に蒸着パターンが形成される。例えば、有機ELデバイスのR,G,B各色の発光層形成工程に、フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法をそれぞれ適用する場合には、基板上に各色発光層の蒸着パターンが形成される。なお、一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、これらの工程に限定されるものではなく、蒸着法を用いる従来公知の有機半導体素子の製造における任意の工程に適用可能である。
一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、上記蒸着パターンを形成する工程において用いられるフレームに蒸着マスクが固定されたフレーム付き蒸着マスクが、上記で説明した蒸着マスクの検査方法により、樹脂マスク20に形成されている開口部25の開口パターンが正常であるか否かの検査が行われたフレーム付き蒸着マスクである。フレーム付き蒸着マスクについては、上記検査で用いられるフレーム付き蒸着マスクで説明した、フレーム付き蒸着マスクをそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。フレーム付き蒸着マスクを用いた有機半導体素子の製造方法によれば、高精細なパターンを有する有機半導体素子を形成することができる。一実施形態の有機半導体素子の製造方法で製造される有機半導体素子としては、例えば、有機EL素子の有機層、発光層や、カソード電極等を挙げることができる。特に、一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、高精細なパターン精度が要求される有機EL素子のR、G、B発光層の製造に好適に用いることができる。
100…蒸着マスク
10…金属マスク
15…スリット
16…貫通孔
20…樹脂マスク
25…開口部
40…色材層
60…フレーム
200…フレーム付き蒸着マスク

Claims (2)

  1. 蒸着マスクの検査方法であって、
    前記検査に用いられる蒸着マスクが、スリットが形成された金属マスクと当該スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部が形成された樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクであり、
    前記樹脂マスクの前記金属マスクと接しない側の面に、波長550nmの光線透過率が40%以下の色材層を形成する色材層形成工程と、
    前記色材層が形成された蒸着マスクに対して可視光を照射し、前記樹脂マスクに形成されている開口部の検査を行う検査工程と、
    前記検査工程後に、前記色材層を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする蒸着マスクの検査方法。
  2. 蒸着マスクの検査方法であって、
    前記検査に用いられる蒸着マスクが、スリットが形成された金属マスクと当該スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する開口部が形成された樹脂マスクとが積層され、当該樹脂マスクの波長550nmの光線透過率が40%を超える蒸着マスクであり、
    前記樹脂マスクの前記金属マスクと接しない側の面に色材層を形成する色材層形成工程と、
    前記色材層が形成された蒸着マスクに対して可視光を照射し、前記樹脂マスクに形成されている開口部の検査を行う検査工程と、
    前記検査工程後に、前記色材層を除去する除去工程と、
    を含み、
    前記色材層形成工程では、前記樹脂マスクと前記色材層との積層体の波長550nmの光線透過率が40%以下となるように、前記樹脂マスクの前記金属マスクと接しない側の面に色材層を形成することを特徴とする蒸着マスクの検査方法。
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