以下、本発明にかかる冷暖同時運転型空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる冷暖同時運転型空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)冷暖同時運転型空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる冷暖同時運転型空気調和装置1の概略構成図である。冷暖同時運転型空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
冷暖同時運転型空気調和装置1は、複数(ここでは、4台)の利用ユニット3a、3b、3c、3dと複数(ここでは、2台)の熱源ユニット2a、2bと分岐ユニット4a、4b、4c、4d(ここでは、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに対応して4台)とが、3つの冷媒連絡管(液冷媒連絡管7、高低圧ガス冷媒連絡管8、低圧ガス冷媒連絡管9)を介して接続されることによって構成されている。すなわち、冷暖同時運転型空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、熱源ユニット2a、2bと、利用ユニット3a、3b、3c、3dと、分岐ユニット4a、4b、4c、4dと、冷媒連絡管7、8、9とが接続されることによって構成されている。また、冷媒回路10には、冷媒として、R32等の特定条件下で発火の可能性がある冷媒(可燃性冷媒)が封入されている。そして、冷暖同時運転型空気調和装置1は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dが個別に冷房運転又は暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うこと(ここでは、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷暖同時運転を行うこと)が可能になるように構成されている。しかも、冷暖同時運転型空気調和装置1では、上記の熱回収(冷暖同時運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c、3d全体の熱負荷に応じて、複数の熱源ユニット2a、2bの熱負荷をバランスさせるように構成されている。
<利用ユニット>
利用ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。利用ユニット3a、3b、3c、3dは、冷媒連絡管7、8、9及び分岐ユニット4a、4b、4c、4dを介して熱源ユニット2a、2bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、利用ユニット3a、3b、3c、3dの構成について説明する。尚、利用ユニット3aと利用ユニット3b、3c、3dとは同様の構成であるため、ここでは、利用ユニット3aの構成のみ説明し、利用ユニット3b、3c、3dの構成については、それぞれ、利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
利用ユニット3aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、利用側冷媒回路13a(利用ユニット3b、3c、3dでは、それぞれ、利用側冷媒回路13b、13c、13d)を有している。利用側冷媒回路13aは、主として、利用側膨張弁51aと、利用側熱交換器52aとを有している。
利用側膨張弁51aは、利用側熱交換器52aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、利用側熱交換器52aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
利用側熱交換器52aは、冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。ここで、利用ユニット3aは、ユニット内に室内空気を吸入して、熱交換した後に、供給空気として屋内に供給するための室内ファン53aを有しており、室内空気と利用側熱交換器52aを流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。室内ファン53aは、室内ファンモータ54aによって駆動される。
また、利用ユニット3aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、利用ユニット3aからの冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57aと、利用側熱交換器52aの液側における冷媒の温度を検出する液側温度センサ58aと、が設けられている。また、利用ユニット3aは、利用ユニット3aを構成する各部51a、54aの動作を制御する利用側制御部50aを有している。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット2a、2bや分岐ユニット4aとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<熱源ユニット>
熱源ユニット2a、2bは、ビル等の屋上等に設置されており、冷媒連絡管7、8、9及び分岐ユニット4a、4b、4c、4dを介して利用ユニット3a、3b、3c、3dに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、熱源ユニット2a、2bの構成について説明する。尚、熱源ユニット2aと熱源ユニット2bとは同様の構成であるため、ここでは、熱源ユニット2aの構成のみ説明し、熱源ユニット2bの構成については、それぞれ、熱源ユニット2aの各部を示す符号末尾の添字「a」の代わりに、「b」の添字を付して、各部の説明を省略する。
熱源ユニット2aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、熱源側冷媒回路12a(熱源ユニット2bでは、熱源側冷媒回路12b)を有している。熱源側冷媒回路12aは、主として、圧縮機21aと、複数(ここでは、2つ)の熱交切換機構22a、23aと、複数(ここでは、2つ)の熱源側熱交換器24a、25aと、複数(ここでは、2つ)の熱源側膨張弁26a、27aと、高低圧切換機構30aと、液側閉鎖弁31aと、高低圧ガス側閉鎖弁32aと、低圧ガス側閉鎖弁33aとを有している。
圧縮機21aは、ここでは、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ28aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。
第1熱交切換機構22aは、第1熱源側熱交換器24aを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「放熱運転状態」とする)には圧縮機21aの吐出側と第1熱源側熱交換器24aのガス側とを接続し(図1の第1熱交切換機構22aの実線を参照)、第1熱源側熱交換器24aを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「蒸発運転状態」とする)には圧縮機21aの吸入側と第1熱源側熱交換器24aのガス側とを接続するように(図1の第1熱交切換機構22aの破線を参照)、熱源側冷媒回路12a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。また、第2熱交切換機構23aは、第2熱源側熱交換器25aを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「放熱運転状態」とする)には圧縮機21aの吐出側と第2熱源側熱交換器25aのガス側とを接続し(図1の第2熱交切換機構23aの実線を参照)、第2熱源側熱交換器25aを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「蒸発運転状態」とする)には圧縮機21aの吸入側と第2熱源側熱交換器25aのガス側とを接続するように(図1の第2熱交切換機構23aの破線を参照)、熱源側冷媒回路12a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、第1熱交切換機構22a及び第2熱交切換機構23aの切り換え状態を変更することによって、第1熱源側熱交換器24a及び第2熱源側熱交換器25aは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
第1熱源側熱交換器24aは、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。第1熱源側熱交換器24aは、そのガス側が第1熱交切換機構22aに接続され、その液側が第1熱源側膨張弁26aに接続されている。また、第2熱源側熱交換器25aは、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。第2熱源側熱交換器25aは、そのガス側が第2熱交切換機構23aに接続され、その液側が第2熱源側膨張弁27aに接続されている。ここでは、第1熱源側熱交換器24aと第2熱源側熱交換器25aとが一体の熱源側熱交換器として構成されている。そして、熱源ユニット2aは、ユニット内に室外空気を吸入して、熱交換した後に、ユニット外に排出するための室外ファン34aを有しており、室外空気と熱源側熱交換器24a、25aを流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。室外ファン34aは、回転数制御が可能な室外ファンモータ29aによって駆動される。
第1熱源側膨張弁26aは、第1熱源側熱交換器24aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、第1熱源側熱交換器24aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。また、第2熱源側膨張弁27aは、第2熱源側熱交換器25aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、第2熱源側熱交換器25aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
高低圧切換機構30aは、圧縮機21aから吐出された高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dに送る場合(以下、「放熱負荷運転状態」とする)には、圧縮機21の吐出側と高低圧ガス側閉鎖弁32aとを接続し(図1の高低圧切換機構30aの破線を参照)、圧縮機21aから吐出された高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dに送らない場合(以下、「蒸発負荷運転状態」とする)には、高低圧ガス側閉鎖弁32aと圧縮機21aの吸入側とを接続するように(図1の高低圧切換機構30aの実線を参照)、熱源側冷媒回路12a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
液側閉鎖弁31a、高低圧ガス側閉鎖弁32a及び低圧ガス側閉鎖弁33aは、外部の機器・配管(具体的には、冷媒連絡管7、8及び9)との接続口に設けられた弁である。すなわち、液側閉鎖弁31aは、熱源ユニット2aから引き出される液冷媒連絡管7に接続されており、高低圧ガス側閉鎖弁32aは、熱源ユニット2aから引き出される高低圧ガス冷媒連絡管8に接続されており、低圧ガス側閉鎖弁33aは、熱源ユニット2aから引き出される低圧ガス冷媒連絡管9に接続されている。
また、熱源ユニット2aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、圧縮機21aの吸入側における冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ38aと、圧縮機21aの吐出側における冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ39aと、圧縮機21aの吐出側における冷媒の温度を検出する吐出温度センサ40aとが設けられている。また、熱源ユニット2aは、熱源ユニット2aを構成する各部22a、23a、26a、27a、28a、29a、30aの動作を制御する熱源側制御部20aを有している。そして、熱源側制御部20aは、熱源ユニット2aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側制御部50a、50b、50c、50dとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<分岐ユニット>
分岐ユニット4a、4b、4c、4dは、ビル等の室内に利用ユニット3a、3b、3c、3dとともに設置されている。分岐ユニット4a、4b、4c、4dは、冷媒連絡管7、8、9とともに、利用ユニット3a、3b、3c、3dと熱源ユニット2a、2bとの間に介在しており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、分岐ユニット4a、4b、4c、4dの構成について説明する。尚、分岐ユニット4aと分岐ユニット4b、4c、4dとは同様の構成であるため、ここでは、分岐ユニット4aの構成のみ説明し、分岐ユニット4b、4c、4dの構成については、それぞれ、分岐ユニット4aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
分岐ユニット4aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、分岐側冷媒回路14a(分岐ユニット4b、4c、4dでは、それぞれ、分岐側冷媒回路14b、14c、14d)を有している。分岐側冷媒回路14aは、主として、液接続管61aと、ガス接続管62aとを有している。
液接続管61aは、その一端が利用ユニット3aの利用側膨張弁51aに接続されている。液冷媒管61aの他端は、液冷媒連絡管7に接続されている。
ガス接続管62aは、高圧ガス接続管63aと、低圧ガス接続管64aと、高圧ガス接続管63aと低圧ガス接続管64aとを合流させる合流ガス接続管65aと、を有している。
高圧ガス接続管63aは、その一端が合流ガス接続管65aに接続されている。高圧ガス接続管63aの他端は、高低圧ガス冷媒連絡管8に接続されている。高圧ガス接続管63aには、開閉可能な高圧ガス調節弁66aが設けられている。尚、ここでは、高圧ガス調節弁66aとして、開度調節が可能な電動膨張弁を採用しているが、開閉のみが可能な電磁弁等を採用してもよい。
低圧ガス接続管64aは、その一端が合流ガス接続管65aに接続されている。低圧ガス接続管64aの他端は、低圧ガス冷媒連絡管9に接続されている。低圧ガス接続管64aには、開閉可能な低圧ガス調節弁67aが設けられている。ここでは、低圧ガス調節弁67aとして、開度調節が可能な電動膨張弁を採用しているが、開閉のみが可能な電磁弁等を採用してもよい。
合流ガス接続管65aは、その一端が利用ユニット3aの利用側熱交換器52aのガス側に接続されている。合流ガス接続管65aの他端は、高圧ガス接続管63a及び低圧ガス接続管64aに接続されている。
そして、分岐ユニット4aは、利用ユニット3aが冷房運転を行う際には、低圧ガス調節弁67aを開けた状態にして、液冷媒連絡管7を通じて液接続管61aに流入する冷媒を、利用側膨張弁51aを通じて、利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって蒸発した冷媒を、合流ガス接続管65a、低圧ガス調節弁67a及び低圧ガス接続管64aを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に戻すように機能することができる。また、分岐ユニット4aは、利用ユニット3aが暖房運転を行う際には、低圧ガス調節弁67aを閉止し、かつ、高圧ガス調節弁66aを開けた状態にして、高低圧ガス冷媒連絡管8を通じて高圧ガス接続管63aに流入する冷媒を、高圧ガス調節弁66a及び合流ガス接続管65aを通じて、利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって放熱した冷媒を、利用側膨張弁51a及び液接続管61aを通じて、液冷媒連絡管7に戻すように機能することができる。このような機能は、分岐ユニット4aだけでなく、分岐ユニット4b、4c、4dも同様に有しているため、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dは、分岐ユニット4a、4b、4c、4dによって、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
また、分岐ユニット4aは、分岐ユニット4aを構成する各部66a、67aの動作を制御する分岐側制御部60aを有している。そして、分岐側制御部60aは、分岐ユニット60aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3aの利用側制御部50aとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
以上のように、冷暖同時運転型空気調和装置1は、複数(ここでは、4台)の利用ユニット3a、3b、3c、3dと、複数(ここでは、2台)の熱源ユニット2a、2bと、熱源ユニット2a、2bから引き出される高低圧ガス冷媒連絡管8と、熱源ユニット2a、2bから引き出される低圧ガス冷媒連絡管9と、熱源ユニット2a、2bから引き出される液冷媒連絡管7と、分岐ユニット4a、4b、4c、4dと、を有している。ここで、利用ユニット3a、3b、3c、3dは、利用側膨張弁51a、51b、51c、51dと、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dと、を有している。熱源ユニット2a、2bは、圧縮機21a、21bと、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bと、を有している。分岐ユニット4a、4b、4c、4dは、各利用ユニット3a、3b、3c、3dを高低圧ガス冷媒連絡管8、低圧ガス冷媒連絡管9及び液冷媒連絡管7に接続しており、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに対応する高圧ガス調節弁66a、66b、66c、66d及び低圧ガス調節弁67a、67b、67c、67dを有している。ここでは、冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57a、57b、57c、57dを設けている。
(2)冷暖同時運転型空気調和装置の動作
次に、冷暖同時運転型空気調和装置1の動作について、図2を用いて説明する。
冷暖同時運転型空気調和装置1の冷凍サイクル運転としては、種々の冷凍サイクル運転があるが、特徴的な冷凍サイクル運転として、複数(ここでは、2台)の熱源ユニット2a、2bのうち熱源側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する熱源ユニットが存在し、かつ、熱源側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニットが存在する冷暖同時運転がある。すなわち、この冷暖同時運転は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットと暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う利用ユニットとが混在しており、この利用ユニット全体の熱負荷に対して、熱源側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する熱源ユニットと熱源側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニットとを混在させることでバランスさせる冷凍サイクル運転である。
尚、このような冷凍サイクル運転を含む冷暖同時運転型空気調和装置1の動作は、上記の制御部20a、20b、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。
冷暖同時運転の際、例えば、利用ユニット3a、3bが冷房運転、かつ、利用ユニット3c、3dが暖房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用側熱交換器52c、52dが冷媒の放熱器として機能する運転)を行い、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aが存在し、かつ、熱源側熱交換器24b、25bが冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニット2bが存在する運転を行う際、冷暖同時運転型空気調和装置1の冷媒回路10は、図2に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図2の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
具体的には、熱源ユニット2aにおいては、熱交切換機構22a、23aを放熱運転状態(図2の熱交切換機構22a、23aの実線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24a、25aを冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張弁26a、27aは、開度調節されている。熱源ユニット2bにおいては、熱交切換機構22b、23bを蒸発運転状態(図2の熱交切換機構22b、23bの破線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24b、25bを冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30bを放熱負荷運転状態(図2の高低圧切換機構30aの破線で示された状態)に切り換えている。また、熱源側膨張弁26b、27bは、開度調節されている。分岐ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス調節弁66c、66d、及び、低圧ガス調節弁67a、67bを開状態にし、かつ、高圧ガス調節弁66a、66b、及び、低圧ガス調節弁67c、67dを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bを冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、利用ユニット3c、3dの利用側熱交換器52c、52dを冷媒の放熱器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bと熱源ユニット2aの圧縮機21aの吸入側とが低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3c、3dの利用側熱交換器52c、52dと熱源ユニット2bの圧縮機21bの吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51c、51dは、開度調節されている。
このような冷媒回路10において、熱源ユニット2bの圧縮機21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、高低圧切換機構30b及び高低圧ガス側閉鎖弁32bを通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られる。
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られた高圧のガス冷媒は、2つに分岐されて、分岐ユニット4c、4dの高圧ガス接続管63c、63dに送られる。高圧ガス接続管63c、63dに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス調節弁66c、66d及び合流ガス接続管65c、65dを通じて、利用ユニット3c、3dの利用側熱交換器52c、52dに送られる。
そして、利用側熱交換器52c、52dに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52c、52dにおいて、室内ファン53c、53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって放熱する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3c、3dの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52c、52dにおいて放熱した冷媒は、利用側膨張弁51c、51dにおいて流量調節された後、分岐ユニット4c、4dの液接続管61c、61dに送られる。
そして、液接続管61c、61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
また、熱源ユニット2aの圧縮機21aで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、熱交切換機構22a、23aを通じて、熱源側熱交換器24a、25aに送られる。熱源側熱交換器24a、25aに送られた高圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器24a、25aにおいて、室外ファン34aによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。熱源側熱交換器24a、25aにおいて放熱した冷媒は、熱源側膨張弁26a、27aにおいて流量調節された後、液側閉鎖弁31aを通じて、液冷媒連絡管7に送られる。
そして、液冷媒連絡管7に送られた冷媒は、その一部が熱源ユニット2bに送られ、残りが利用側熱交換器52c、52dにおいて放熱した冷媒と合流する。
そして、熱源ユニット2bに送られた冷媒は、液側閉鎖弁31bを通じて、熱源側膨張弁26b、27bの両方に送られる。熱源側膨張弁26b、27bに送られた冷媒は、熱源側膨張弁26b、27bにおいて流量調節された後、熱源側熱交換器24b、25bにおいて、室外ファン34bによって供給される室外空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒になり、熱交切換機構22b、23bに送られる。熱交切換機構22b、23bに送られた低圧のガス冷媒は、圧縮機21bの吸入側に戻される。
また、液冷媒連絡管7において合流した冷媒は、2つに分岐されて、各分岐ユニット4a、4bの液接続管61a、61bに送られる。
そして、液接続管61a、61bに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3bの利用側膨張弁51a、51bに送られる。
そして、利用側膨張弁51a、51bに送られた冷媒は、利用側膨張弁51a、51bにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3bの冷房運転が行われる。利用側熱交換器52a、52bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、分岐ユニット4a、4bの合流ガス接続管65a、65bに送られる。
そして、合流ガス接続管65a、65bに送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス調節弁67a、67b及び低圧ガス接続管64a、64bを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られて合流する。
そして、低圧ガス冷媒連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、2つに分岐されて、低圧ガス側閉鎖弁33a、33bを通じて、熱源ユニット2a、2bの圧縮機21a、21bの吸入側に戻される。
このようにして、冷暖同時運転における動作が行われる。尚、ここでは、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aにおいて放熱した冷媒の流量が、熱源ユニット2bに送られる冷媒の流量よりも大きい場合を想定しているため、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aにおいて放熱した冷媒が、液冷媒連絡管7において、その一部が熱源ユニット2bに送られ、残りが利用側熱交換器52c、52dにおいて放熱した冷媒と合流するように流れている。しかし、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aにおいて放熱した冷媒の流量が、熱源ユニット2bに送られる冷媒の流量よりも小さい場合には、液冷媒連絡管7において、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aにおいて放熱した冷媒と利用側熱交換器52c、52dにおいて放熱した冷媒とが合流した後に、その一部が熱源ユニット2bに送られるように流れるような場合もある。
(3)冷媒の漏洩が検知された場合の動作
冷暖同時運転型空気調和装置1では、上記のように、冷媒回路10にR32等の可燃性冷媒が封入されており、その漏洩を検知するための冷媒漏洩検知手段として冷媒センサ57a、57b、57c、57dが設けられている。そして、冷媒センサ57a、57b、57c、57dによって冷媒の漏洩が検知された場合には、利用ユニット3a、3b、3c、3dのうち冷媒の漏洩が検知された利用ユニットから熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収しつつ、他の利用ユニットの冷房運転や暖房運転を継続することが好ましい。
ここで、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットから熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収する際には、冷媒が漏洩していない他の利用ユニットにおける冷房運転や暖房運転を継続しつつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットから送られる冷媒を熱源ユニット2a、2bに溜める必要がある。
そこで、ここでは、複数(ここでは、2台)の熱源ユニット2a、2bのうち熱源側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する熱源ユニットが存在し、かつ、熱源側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニットが存在する冷暖同時運転において、冷媒の漏洩が検知された場合に、以下のような動作を行って、冷媒が漏洩していない他の利用ユニットの運転を継続しつつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットから熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収できるようにしている。
次に、冷媒の漏洩が検知された場合の動作について、利用ユニット3a、3bが冷房運転、かつ、利用ユニット3c、3dが暖房運転を行っており、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aが存在し、かつ、熱源側熱交換器24b、25bが冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニット2bが存在する運転を行っている場合(図2参照)において、利用ユニット3aにおいて冷媒の漏洩が発生した場合を例にして、図3及び図4を用いて説明する。ここで、図3は、冷媒の漏洩が検知された場合の動作のフローチャートであり、図4は、冷暖同時運転時に冷媒の漏洩が検知された場合の動作(冷媒の流れ)を示す図である。尚、冷媒の漏洩が検知された場合の動作についても、制御部20a、20b、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。
まず、ステップST1において、冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57a、57b、57c、57dのいずれかが冷媒の漏洩を検知すると(ここでは、利用ユニット3a用の冷媒センサ57aが冷媒の漏洩を検知すると)、ステップST2の処理に移行する。
次に、ステップST2において、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2に冷媒を回収するために、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)に対応する各種弁の開閉操作を行う。具体的には、利用ユニット3a(漏洩機)に対応する高圧ガス調節弁66a及び利用側膨張弁51aを閉状態にし、低圧ガス調節弁67aを開状態にする。これにより、利用ユニット3a(漏洩機)を他の冷媒回路部分から隔離するとともに、利用ユニット3a(漏洩機)を分岐ユニット4a及び低圧ガス冷媒連絡管9を通じて熱源ユニット2に連通した状態にすることができる。しかも、ここでは、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pc1を冷媒の漏洩を検知する前よりも高くして、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aに冷媒を回収する。例えば、冷媒の漏洩を検知する前の熱源ユニット2aにおける高圧PcaがPcanであったとすると、このPcanより高いPcarにするのである。ここで、熱源ユニット2aにおける高圧Pcaは、吐出圧力センサ39aによって検出される圧力値である。ここでは、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pcaを高くするために(すなわち、PcanからPcarに高めるために)、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aが有する圧縮機21aの回転数Naを、熱源側熱交換器24b、25bが冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニット2bが有する圧縮機21bの回転数Nbに対して、冷媒の漏洩を検知する前よりも相対的に大きくするようにしている。例えば、圧縮機21bの回転数Nbを冷媒の漏洩を検知する前後で変更することなく圧縮機21aの回転数Naを冷媒の漏洩を検知する前よりも大きくしたり、圧縮機21bの回転数Nbに対する圧縮機21aの回転数Naの比(=Na/Nb)を、冷媒の漏洩を検知する前よりも大きくするのである。
これにより、利用ユニット3a(漏洩機)に存在する冷媒は、分岐ユニット4a及び低圧ガス冷媒連絡管9を通じて熱源ユニット2a、2bの圧縮機21a、21bの吸入側に送られる。このようにして、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収する動作が開始される。このとき、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pcaを冷媒の漏洩を検知する前よりも高くすることによって、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aの冷媒を溜める能力が増加している。このため、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに回収される冷媒を、高圧Pcaが高められた熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aに溜めることができる。しかも、ここでは、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aが有する圧縮機21aの回転数Naを大きくすることによって、熱源側熱交換器24b、25bが冷媒の蒸発器として機能する熱源ユニット2bよりも熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aに冷媒を流れやすくすることができる。これにより、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収する際に、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aに冷媒を多く分配することができる。また、利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2に冷媒を回収する動作中においても、他の冷媒の漏洩が検知されていない利用ユニット3b、3c、3dにおいては、冷房運転や暖房運転が継続可能である。
次に、ステップST3において、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bへの冷媒の回収(ここでは、利用ユニット3aから熱源ユニット2a、2bへの冷媒の回収)が終了したかどうかを判定する。具体的には、ステップST2の冷媒回収の開始から所定時間が経過した場合には、冷媒の回収が終了したものとみなすことができる冷媒回収終了条件を満たしているものと判定する。尚、冷媒回収終了条件は、冷媒回収の開始からの時間ではなく、利用ユニット3a(漏洩機)の利用側熱交換器52aにおける冷媒の温度や圧力等を使用してもよい。
次に、ステップST4において、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bへの冷媒の回収を終了するために、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)に対応する各種弁の開閉操作を行う。具体的には、利用ユニット3a(漏洩機)に対応する高圧ガス調節弁66a及び低圧ガス調節弁67aを閉状態にする。そして、冷媒を回収するために高くした熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aの高圧Pcaを冷媒の漏洩が検知される前の状態(元の状態)に戻す操作を行う。ここでは、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aが有する圧縮機21aの回転数Naを冷媒の漏洩が検知される前の回転数(元の回転数)に戻すのである。
これにより、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2aに冷媒を回収することができる。そして、冷媒の回収が終了した後は、利用ユニット3a(漏洩機)を他の冷媒回路部分から隔離した状態にすることができる。また、冷媒回収後においても、上記の冷媒回収時と同様に、他の冷媒の漏洩が検知されていない利用ユニット3b、3c、3dにおける冷房運転や暖房運転を継続することができる。
(4)変形例1
上記の実施形態では、ステップST2において、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pcaを冷媒の漏洩を検知する前よりも高くするために、圧縮機21aの回転数Naを変更する手法を採用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aの熱源側膨張弁26a、27aの開度MVaを、冷媒の漏洩を検知する前よりも小さくすることによって、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pcaを高くするようにしてもよい。
この場合には、上記の熱源側膨張弁26a、27aの開度MVha1、MVha2を冷媒の漏洩を検知する前よりも小さくすることによって、対応する熱源側熱交換器24a、25aに冷媒を溜めやすくすることができる。これにより、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収する際に、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aに分配された冷媒をできるだけ多く溜めることができる。
但し、このように、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aの熱源側膨張弁26a、27aの開度MVha1、MVha2を、冷媒の漏洩を検知する前よりも小さくする手法を採用すると、複数の利用ユニット3a、3b、3c、3d全体の熱負荷と複数の熱源ユニット2a、2bの熱負荷とのバランスが崩れてしまうおそれがある。
このため、ステップST2において、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aの熱源側膨張弁26a、27aの開度MVha1、MVha2を、冷媒の漏洩を検知する前よりも小さくするとともに、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)以外の利用ユニット3b、3c、3dの利用側膨張弁51b、51c、51dの開度MVub、MVuc、MVudを、冷媒の漏洩を検知する前よりも大きくすることが好ましい(図5のステップST12参照)。そして、冷媒回収が終了した後は、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)以外の利用ユニット3b、3c、3dの利用側膨張弁51b、51c、51dの開度MVub、MVuc、MVudを、冷媒の漏洩を検知する前の開度(元の開度)に戻す(図5のステップST14参照)。
これにより、本変形例では、複数の利用ユニット3a、3b、3c、3d全体の熱負荷と複数の熱源ユニット2a、2bの熱負荷とをバランスさせつつ、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収することができる。
尚、本変形例の冷媒の漏洩が検知された場合の動作についても、制御部20、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。また、ステップST1、ST3の処理については、上記の実施形態と同様である。
(5)変形例2
上記の実施形態及び変形例1では、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに回収される冷媒が多い場合には、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pcaを冷媒の漏洩を検知する前よりも高くしただけでは、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aに冷媒を溜めきれない場合がある。
そこで、ここでは、各熱源ユニット2a、2bに冷媒調整容器41a、41bを設けて、冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57a、57b、57c、57dによって冷媒の漏洩が検知された場合には、熱源側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する熱源ユニットの熱源側熱交換器と冷媒調整容器とを併用して、冷媒の漏洩が検知された利用ユニットからの冷媒を溜めるようにしている。
具体的には、図6及び図7に示すように、本変形例では、各熱源ユニット2a、2bが、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの液側から冷媒を分岐するように接続された冷媒調整管42a、45a、42b、45bを有しており、冷媒調整管42a、45a、42b、45bには、冷媒を溜めることが可能な冷媒調整容器41a、41bが設けられるとともに、冷媒調整容器41a、41bの入口側に冷媒調整入口弁43a、43bが設けられている。
冷媒調整管42a、45a、42b、45bは、第1冷媒調整管42a、42bと第2冷媒調整管45a、45bとを有している。第1冷媒調整管42a、42bは、その一端が熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの液側から冷媒を分岐するように熱源側冷媒回路12a、12bに接続されており、その他端が冷媒調整容器41a、41bの入口に接続されている。第2冷媒調整管45a、45bは、その一端が冷媒調整容器41a、41bの出口に接続されており、その他端が圧縮機21a、21bの吸入側に合流するように熱源側冷媒回路12a、12bに接続されている。冷媒調整管42a、45a、42b、45bにおいて、冷媒調整容器41a、41bの入口側、すなわち、第1冷媒調整管42a、42bには、開閉可能な冷媒調整入口弁43a、43bが設けられており、冷媒調整容器41a、41bの出口側、すなわち、第2冷媒調整管45a、45bには、開閉可能な冷媒調整出口弁46a、46bが設けられている。ここでは、冷媒調整入口弁43a、43b及び冷媒調整出口弁46a、46bとして、電磁弁を採用しているが、開度調節が可能な電動膨張弁を採用してもよい。また、第1冷媒調整管42a、42bには、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの液側から冷媒調整容器41a、41bに向かう冷媒の流れのみを許容する入口逆止弁44a、44bが設けられている。また、第2冷媒調整管45a、45bには、第2冷媒調整管45a、45bを流れる冷媒を減圧して流量を制限するための出口キャピラリチューブ47a、47bが設けられている。
冷媒調整容器41a、41bは、冷媒を溜めることが可能な容器であり、冷媒調整管42a、45a、42b、45bを介して熱源側冷媒回路12a、12bに接続されている。第1冷媒調整管42a、42bは、冷媒調整容器41a、41bの上部から冷媒を流入させるように接続されており、第2冷媒調整管45a、45bは、冷媒調整容器41a、41bの下部から冷媒を流出させるように接続されている。また、冷媒調整容器41a、41bには、満液近くの所定液面L1の位置から冷媒を流出させるように液面検知管48a、48bの一端が接続されている。液面検知管48a、48bの他端は、第2冷媒調整管45a、45bの途中部分に合流するように接続されている。液面検知管48a、48bには、開閉可能な液面検知弁49a、49bが設けられている。ここでは、液面検知弁49a、49bとして、電磁弁を採用しているが、開度調節が可能な電動膨張弁を採用してもよい。
そして、ここでは、上記の実施形態のステップST2、ST4に冷媒調整容器に液溜めするための操作を加えて、図8に示すステップST22、ST24の操作を行うようにしている。すなわち、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aにおける高圧Pcaを冷媒の漏洩を検知する前よりも高くするとともに、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aの冷媒調整入口弁43aを開状態にするようにしている。
そうすると、図9に示すように、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2aに回収される冷媒は、熱源側熱交換器24a、25aの液側から冷媒調整管42aによって分岐されて、熱源側熱交換器24a、25aが冷媒の放熱器として機能する熱源ユニット2aの冷媒調整容器41aに溜めることができる。これにより、冷媒の漏洩が検知された利用ユニット3a(漏洩機)から熱源ユニット2a、2bに冷媒を回収する際に、回収される冷媒が多い場合であっても、熱源側熱交換器24a、25aと冷媒調整容器41aとを併用して溜めることができる。
尚、本変形例の冷媒の漏洩が検知された場合の動作についても、制御部20、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。また、ステップST1、ST3の処理については、上記の実施形態と同様である。また、ここでは、上記の実施形態のステップST2、ST4に冷媒調整容器に液溜めするための操作を加えるようにしているが、上記の変形例1のステップST12、ST14に冷媒調整容器に液溜めするための操作を加えるようにしてもよい。
(6)他の変形例
上記の実施形態及び変形例では、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器が2つの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば1つの熱源側熱交換器から構成されていてもよいし、3つ以上の熱源側熱交換器から構成されていてもよい。
上記の実施形態及び変形例では、複数の利用ユニット3a、3b、3c、3dのそれぞれに対応する分岐ユニット4a、4b、4c、4dが接続されているが、これに限定されるものではなく、分岐ユニットが複数の利用ユニット毎にまとまった構成であってもよい。
上記の実施形態及び変形例では、冷媒漏洩検知手段としての冷媒センサ57a、57b、57c、57dを利用ユニット3a、3b、3c、3dに設けているが、これに限定されるものではなく、冷媒センサ57a、57b、57c、57dを利用ユニット3a、3b、3c、3dが設置される室内空間に設けてもよい。また、上記の実施形態及び変形例では、冷媒漏洩検知手段として冷媒センサ57a、57b、57c、57dを使用しているが、これに限定されるものではなく、冷凍サイクル運転の状態(高圧の時間変化など)によって冷媒の漏洩の有無を検知してもよい。