JP6320752B2 - 新規ユビキチンリガーゼ及びその利用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規ユビキチンリガーゼ及びそのアダプターコンポーネント並びにそれらの用途に関するものである。
血管新生は、それを促進するシグナルと抑制するシグナルのバランスによって制御されることが知られている。
そして、促進シグナルとしては、VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)シグナル、抑制シグナルとしては、Notchシグナル系が知られている。
しかしながら、その分子レベルでの詳しいメカニズムは、まだまだ未解明の点が多い。
本発明者等は、これまでに、VEGF をリガンドとするレセプター(VEGFR)の一種であるVEGFR2シグナルによって誘導されるBAZF(Bcl-6 associated Zinc finger protein)というタンパク質が、Notchシグナルを阻害し、血管新生を促進することを明らかにした(特開2011-115109号公報)。
つまり、VEGFは、VEGFR2,ERK1/2,ETS-1等を通じて血管新生を促進するアクセルと、BAZFを通じた”Notch-1抑制シグナル”に対するブレーキの、両ルートから、血管新生を(正)に制御していることが分かった。
ところでこのBAZFは、Cullin3(以下CUL3)と複合体を形成し、ユビキチンリガーゼを形成するとともに、Notchシグナルの下流にある転写因子CBF-1のユビキチン化を通じた分解によって、Notchシグナルを遮断していた。
ユビキチンリガーゼとは、下記(1)乃至(3)等からなる複合体であり、種々のアダプターに特異的に結合する基質を、ユビキチン化し分解に導く酵素である。
(1)リガーゼ活性本体及でもあるプラットフォーム部位(CUL3等)
(2)基質を認識するアダプター部位(BAZF等)
(3)その他の部位(Rbox1)
一方、本発明者等のその後の研究によって、CUL3そのものをノックダウンした場合、BAZFのノックダウンの場合に比べて、より重篤な血管形成の破綻を生じることが分かっている(第85回 日本生化学会,福岡,2012.12.16,血管新生におけるE3ユビキチン化酵素Cullin3の多機能性,坂上倫久等)。
これは、CUL3が、BAZFが関与する経路以外にも、別途、血管新生を制御するシグナル伝達系を有する可能性を示唆している。
本発明者等は更に、CUL3ノックダウンした血管内皮細胞では、インテグリンβ1を始めとするインテグリンファミリーや、VEGFR2の著しい発現低下を示すことを突き止めたものの(第85回 日本生化学会,福岡,2012.12.16,血管新生におけるE3ユビキチン化酵素Cullin3の多機能性,坂上倫久等)、インテグリンファミリーやVEGFR2が、具体的にどのようにして血管形成の破綻を生じるのかについては、まだ明らかではなかった。
本発明者等は、まず、CUL3が関連しているということから、インテグリンファミリーやVEGFR2の発現低下には、ユビキチンリガーゼが関与していると考えた。
しかし、インテグリンファミリーやVEGFR2を、ユビキチンリガーゼの基質(ユビキチン化及び分解の対象)と考えると、CUL3のノックダウンによってインテグリンファミリーやVEGFR2の発現量はむしろ増える筈である。
従って、ユビキチンリガーゼの関与を想定した場合、ダイレクトにインテグリンファミリーやVEGFR2をユビキチン化するのでは無く、間に別の分子が関与していることを想定しなければ、つじつまが合わない。
一方、インテグリンファミリーやVEGFR2等の遺伝子が、mRNAを経てタンパク質を発現するまでには、例えばi)乃至iv)等に示されるように、実に様々な調節因子が関与することが知られており、列挙するとキリが無く、しかも想定される新規ユビキチンリガーゼのアダプターも不明であるという状況下、これらの中から、インテグリンファミリーやVEGFR2の発現量低下の原因であり、ユビキチンリガーゼの基質となる物質を特定することは、極めて困難であった。
i)遺伝子のプロモーターに作用するタンパク質
ii)遺伝子の転写調節因子
iii)転写調節因子に作用するタンパク質
iv)遺伝子のリプレッサーに作用するタンパク質
つまり、CUL3が関与する、BAZF以外のアダプターを使用する、新たな制御系の存在の可能性は掴んだものの、関連が予想されるユビキチンリガーゼとしては、アダプター分子もユビキチン化対象基質のいずれもが不明な状態であり、その実態を突き止めるには、予想以上の困難を伴った。
特開2011-115109号公報
本発明者等は、かかる状況下、まずはVEGFR2遺伝子のプロモーター活性を調査したところ、CUL3のノックダウンによっても、VEGFR2遺伝子のプロモーターレベルには殆ど影響が無いことを見出し、上記i)〜iv)等の、通常想定し得る調節因子が原因では無い可能性に思い至り、大胆にもmRNAを不安定化する因子というものの存在を仮定することによって、VEGFR2の発現低下に関与するユビキチンリガーゼの、アダプタータンパク質を同定することに成功し、本発明を完成するに至ったものであって、その目的とするところは、新規ユビキチンリガーゼコンポーネントの特定及びその利用方法の確立にある。
上述の目的は、下記第一の発明から第九の発明によって、達成される。
<第一の発明>
BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする、ユビキチンリガーゼコンポーネント。
<第二の発明>
BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つ以上,及びCUL3又はその誘導体を含むことを特徴とする、ユビキチンリガーゼコンポーネント。
<第三の発明>
第一の発明又は第二の発明記載のコンポーネントを含むことを特徴とする、ユビキチンリガーゼ。
<第四の発明>
BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の、投与対象中の量を制御する物質を含むことを特徴とするユビキチンリガーゼ制御剤。
<第五の発明>
BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体と、CUL3又はその誘導体の結合を制御する物質を含むことを特徴とするユビキチンリガーゼ制御剤。
<第六の発明>
下記のいずれかを含むことを特徴とする、VEGFR2シグナル制御剤。
1)第一の発明又は第二の発明記載のユビキチンリガーゼコンポーネント
2)第三の発明記載のユビキチンリガーゼ
3)第四の発明又は第五の発明記載のユビキチンリガーゼ制御剤
<第七の発明>
VEGFR2シグナル制御が、VEGFR2シグナル伝達の下流に存在するタンパク質の発現量制御であることを特徴とする、第六の発明記載のVEGFR2シグナル制御剤。
<第八の発明>
第六の発明又は第七の発明記載のVEGFR2シグナル制御剤を含むことを特徴とする、血管新生制御剤。
<第九の発明>
第六の発明又は第七の発明記載のVEGFR2シグナル制御剤を含むことを特徴とする、VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤。
本発明の新規ユビキチンリガーゼコンポーネント及びユビキチンリガーゼ及びその制御剤は、VEGFR2シグナルを制御することによって、血管新生制御や、種々の疾患等の予防又は治療に用いることができる他、実験・研究試薬としても、利用価値が高いものである。
CUL3ノックダウンによるVEGFR2 mRNA安定性阻害実験の結果を示す図である。 VRGFR2の発現を制御するBTBドメインタンパク質のスクリーニング結果を示す図である。 CUL3ノックダウンヒト臍帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC)におけるVEGFシグナル伝達関連タンパク質のウェスタンブロット解析の結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[本発明のユビキチンリガーゼコンポーネント]
本発明のユビキチンリガーゼコンポーネントとしては、BTBD3,SPOP,及びCUL3,あるいはこれらの誘導体等が挙げられる。
誘導体としては、アイソフォーム等が挙げられる。
CUL3(Cullin3)とは、ユビキチンリガーゼのリガーゼ活性本体である公知のタンパク質であり、下記のCUL3遺伝子クローン(かずさDNA研究所製)を、プロメガ社から購入し、作製することができる。
Flexi Product ID:FXC00577, Flexi HaloTag Product ID:FHC00577, Original Kazusa Product ID:ORK00577
尚、BTBD3,SPOP,あるいはこれらの誘導体の詳細については、後述する。
本発明者等の研究によって、BTBD3及びSPOPは、CUL3を活性本体とする、ユビキチンリガーゼの、アダプターコンポーネントとして機能する蛋白質であることが判明した。
本発明の「ユビキチンリガーゼコンポーネント」は
コンポーネント単独で(BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体単独
又はBTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体と、CUL3またはその誘導体の組み合わせ),
あるいは、他のコンポーネント(Rbox1等)と共に
ユビキチンリガーゼとして用いることで、下記の本発明のVEGFR2シグナル制御剤や、血管新生制御剤,又はVEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤等として用いることができる。
[本発明のユビキチンリガーゼ]
本発明の「ユビキチンリガーゼ」は、
下記本発明のユビキチンリガーゼコンポーネント1)
又は、
ユビキチンリガーゼコンポーネントの1)と2)
を含むことを特徴とするものである。
つまり、
1)基質を認識するアダプター部位:BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体
2)プラットフォーム部位:CUL3又はその誘導体
を含むものである。
本発明の「ユビキチンリガーゼ」は、この他、ユビキチン結合酵素(E2)と相互作用し、ユビキチン蛋白質を基質に接近させることによってユビキチン化に寄与する部位(Rbox1等)等を含むことができる。
[本発明のユビキチンリガーゼ制御剤]
本発明の「ユビキチンリガーゼ制御剤」は、BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の、投与対象中の量を制御する物質を含むことを特徴とするものである。
本発明において、「制御」には、「促進」及び「阻害(抑制)」が含まれる。
従って、「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の、投与対象中の量を制御する物質」としては、「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体そのもの」,「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の発現を、促進する物質」及び「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の発現を、阻害する物質」も含まれる。
(BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体)
BTBD3は、BTB(POZ) Domain Containing 3,あるいは別名: BTB/POZ Domain Containing Protein 3等とも呼ばれる、約522アミノ酸(メジャーアイソフォームの場合)からなる公知のタンパク質であり、例えば、かずさDNA研究所製の「dJ742J24.1,KIAA0952(プロメガ株式会社)」等として、市場から入手可能である。
BTBD3のメジャーアイソフォームのアミノ酸配列は、配列番号1で示されるが、http://genome.ewha.ac.kr/cgi-bin/U2_ECquery_right.py?query=H20C1677.4&organism=human&tag=ttaaatgcaa&confidence=B&confidence_list=1,2,3,4,5,6,7,8,9等にも記載されている。
BTBD3の他のアイソフォームとしては、公知のQ9Y2F9-1,Q9Y2F9-2等が挙げられる。
SPOPは、Speckle type POZ protein,あるいは別名: HIB homolog 1, Roadkill homolog 1, BTBD32, TEF等とも呼ばれる、約374アミノ酸からなる公知のタンパク質であり、下記の遺伝子クローンを、プロメガ社から購入し、作製できる。
FXC00694 (Flexi Product ID), FHC009694 (Flexi Halotag Product ID),FXC06970M (Flexi Product ID), FHC06970M (Flexi Halotag Product ID), FXC28737M (Flexi Product ID), FHC28737 (Flexi Halotag Product ID), ORK02905
SPOPのアミノ酸配列(メジャーアイソフォームの場合)は、配列番号2で示されるが、http://genome.ewha.ac.kr/cgi-bin/U2_ECquery.py?query=H17C10120.6&organism=human&tag=cttcggatgt&confidence=B&confidence_list=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51等にも記載されている。
SPOPのアイソフォームとしては、公知のものが多数知られている。
また、BTBD3やSPOPの誘導体としては、アイソフォームの他、例えばBTB, Rbox1ドメイン等の主要なドメイン以外の部位に、1乃至数個のアミノ酸の置換・欠失・付加・挿入等の変異を加えた変異体も用いることができる。
BTBD3やSPOPの公知の変異体としては、Ser14Leu,Tyr87Cys ,Phe133Leu等が挙げられる。
(BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の発現を、促進する物質)
BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の発現を、促進する物質としては、「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子の産生又はBTBD3又はSPOP蛋白質あるいはこれらの誘導体の産生を、促進する物質」が挙げられる。
「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子の産生又はBTBD3又はSPOP蛋白質あるいはこれらの誘導体の産生を、促進する物質」としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、必ずしもこれらに限られるものでは無い。
(i)DNAの転写を促進し、mRNAを産生させる物質(転写調節因子等)
(ii)BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の遺伝子
本発明において「遺伝子」とは、アデニン(A),グアニン(G)等のプリン塩基や、チミン(T),ウラシル(U),シトシン(C)等のピリミジン塩基やそれらの修飾塩基を構成要素として含むポリヌクレオチドであり、一本鎖又は二本鎖のDNA,cDNA,一本鎖又は二本鎖のRNA,一本鎖DNAと一本鎖RNAからなるハイブリッド体,RNAとDNAが結合して一本鎖となったキメラ体をも含むものである。
また、BTBD3の遺伝子は、
プロメガ社より市販されている遺伝子クローン:FXC00694 (Flexi Product ID), FHC009694 (Flexi Halotag Product ID)
等として市場から入手可能である。
BTBD3の遺伝子配列は公知であり、
http://genome.ewha.ac.kr/cgi-bin/ECquery.cgi?organism=human&query=BTBD3
等に記載されている。
また、BTBD3の誘導体に対する遺伝子は、上記のBTBD3遺伝子等を用いて、あるいは核酸から適宜合成することができる。
また、SPOPの遺伝子は、
Promega Flexi clone(プロメガ社より市販されている遺伝子クローン)
FXC00694 (Flexi Product ID), FHC009694 (Flexi Halotag Product ID), FXC06970M (Flexi Product ID), FHC06970M (Flexi Halotag Product ID), FXC28737M (Flexi Product ID), FHC28737 (Flexi Halotag Product ID)
Kazusa DNA clone (かずさ研究所より市販されている遺伝子クローン)
ORK02905
等として市場から入手可能である。
SPOPの遺伝子配列は、公知であり
http://genome.ewha.ac.kr/cgi-bin/ECquery.cgi?organism=human&query=SPOP
等に記載されている。
また、SPOPの誘導体に対する遺伝子は、上記のSPOP遺伝子等を用いて、あるいは核酸から適宜合成することができる。
従って、本発明で用いるBTBD3やSPOPの遺伝子には、
i)BTBD3又はSPOPの公知の遺伝子
ii)上記のBTBD3又はSPOPの変異体に対応する遺伝子
iii)i)やii)の遺伝子の一部の核酸を、同じアミノ酸配列を発現し得る他の核酸に変更した変異体も含まれる。
遺伝子は、プラスミド,ウイルスベクター等の形態で用いることができ、その際には、一本鎖であっても二本鎖であっても構わない。
これらの遺伝子は、常法に従い、DNA合成装置や形質転換細胞等を用いて人工的に合成する,天然に存在するポリヌクレオチドを抽出する,天然からの抽出ポリヌクレオチドの塩基の一部を欠失,置換,付加, 挿入する,目的とする配列と相補的な配列を用い、逆転写酵素やDNAポリメラーゼ,RNAポリメラーゼ等によって目的の配列のものを合成させる,これらの方法で得られたポリヌクレオチドの塩基を修飾する等の方法によって製造することができる。
(BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の発現を、阻害する物質)
「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体の発現を、阻害する物質」としては、「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子の産生又はBTBD3又はSPOP蛋白質あるいはこれらの誘導体の産生を、阻害する物質」が挙げられる。
「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子の産生又はBTBD3又はSPOP蛋白質あるいはこれらの誘導体の産生を、阻害する物質」としては、具体的には、「BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子に対するsiRNA遺伝子」等が挙げられるが、必ずしもこれらに限られるものでは無い。
BTBD3あるいはこれらの誘導体遺伝子に対するsiRNA遺伝子としては、例えば配列番号3(sense:5' cacaaUggcccUcgaUgaUTT 3')及び配列番号4(antisense:5' aUcaUcgagggccaUUgUgTT 3')(いずれも小文字はRNA,大文字はDNAを表す。)からなる二本鎖の遺伝子等が挙げられるが、これに限られるものでは無い。
SPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子に対するsiRNA遺伝子としては、例えば配列番号5(sense:5' ggaaaUgggUgaagUcaUUTT 3')及び配列番号6(antisense:5' aaUgacUUcacccaUUUccTT 3')(いずれも小文字はRNA,大文字はDNAを表す。)からなる二本鎖の遺伝子等が挙げられるが、これに限られるものでは無い。
その他のBTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子に対するsiRNA遺伝子は、公知のRNAi技術の知見に基づいて、適宜設計することが可能である。
また、本発明の他のユビキチンリガーゼ制御剤は、「“BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体”と“CUL3あるいはこれらの誘導体”の結合を制御する物質」を含むことを特徴とするものである。
「“BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体”と“CUL3あるいはこれらの誘導体”の結合を阻害する物質」としては、下記のものが挙げられる。
(i)BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体に対する抗体
(ii)BTBD3およびSPOPあるいはこれらの誘導体のBTBドメイン領域の一部又は全部を含むペプチド
(i)の抗体は、公知の方法に従い、BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体を抗原として、適当な宿主に免疫すること等によって、作製することができるが、公知の抗体として例えば下記のようなものを市場から購入することもできる。
BTBD3抗体
Abcam:ab85841, ab168523, ab50833
SPOP抗体
Novus Biologicals:H00008405-B01P, NBP1-33090, NBP2-13372, NBP2-20477
Abcam:ab168619, ab137537, ab171126, ab81167, ab155163, ab81163, ab90123, ab138630
尚、本発明において抗体とは、モノクローナル、ポリクローナル、もしくはキメラ抗体やヒト化抗体のいずれであっても良く、ファージ抗体であっても良い。
(ii)のBTBD3およびSPOPあるいはこれらの誘導体のBTBドメイン領域を含むペプチドとしては、以下の配列番号7や8の一部又は全部を含むペプチド等が挙げられる。
これらは、BTBD3やSPOPの競合剤として、CUL3との結合を阻害し得るからである。
配列番号7(BTBD3タンパク質の113-220位,108アミノ酸):
MFNNDLMADVHFVVGPPGGTQRLPGHKYVLAVGSSVFHAMFYGELAEDKDEIRIPDVEPAAFLAMLKYIYCDEIDLAADTVLATLYAAKKYIVPHLARACVNFLETSL
配列番号8(SPOPタンパク質の173-297位,125アミノ酸):
QNTMNMVKVPECRLADELGGLWENSRFTDCCLCVAGQEFQAHKAILAARSPVFSAMFEHEMEESKKNRVEINDVEPEVFKEMMCFIYTGKAPNLDKMADDLLAAADKYALERLKVMCEDALCSNL
尚、配列番号7の一部を含むペプチドとしては、BTBD3タンパク質の118-190位の73アミノ酸のもの,120-190位の71アミノ酸のもの等が挙げられる。
また、配列番号8の一部を含むペプチドとしては、SPOPタンパク質の28-90位の63アミノ酸のもの等が挙げられる。
[本発明のVEGFR2シグナル制御剤]
本発明の「VEGFR2シグナル制御剤」は、下記のいずれかを含むことを特徴とするものである。
1)本発明のユビキチンリガーゼコンポーネント
2)本発明のユビキチンリガーゼ
3)本発明のユビキチンリガーゼ制御剤
上記のいずれかを含むことによって、VEGFR2シグナルを促進又は阻害することができ、それによって、後述する「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」として用いることができる他、実験室内における、実験・研究試薬としても利用価値の高いものである。
尚、本発明でいう「VEGFR2シグナル制御剤」とは、VEGFR2mRNAの産生又は安定化制御剤,VEGFR2自体の産生制御剤又は安定化制御剤あるいは活性制御剤のほか、VEGFR2シグナル伝達系における、VEGFR2よりも下流のタンパク質の発現制御剤又は活性制御剤等を意味する。
具体的には例えば、下記のようなものが挙げられる。
Src,Pl3k,Akt
Plcγ,pKc,Erk
[本発明の血管新生制御剤]
本発明の「血管新生制御剤」は、上記発明の「VEGFR2シグナル制御剤」を含むことを特徴とするものである。
尚、本発明の以下の「剤」には、医薬等の薬剤としての用途の他、実験・研究試薬としての用途もある。
ユビキチンリガーゼ制御剤
VEGFR2シグナル制御剤
VEGFR2シグナル伝達の下流に存在するタンパク質の発現制御剤
血管新生制御剤
実験・研究試薬としては、上記の成分の他、一般に実験・研究試薬に用いられている溶媒その他の各種添加剤等を配合することができる。
[本発明のVEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤]
本発明の「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」は、上記発明の「VEGFR2シグナル制御剤」を含むことを特徴とするものである。
この「VEGFR2シグナル制御剤」を含むことによって、VEGFR2シグナルの過剰発現を抑制又は発現を促進し、VEGFR2シグナルの異常に起因する疾患を予防又は治療することができる。
(その他の成分)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」には、上記の、「VEGFR2シグナル制御剤」の他、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の成分を含有させることができ、例えば、以下のようなものが挙げられる。
賦形剤,滑沢剤,結合剤,崩壊剤,安定剤,矯味矯臭剤,希釈剤,界面活性剤,乳化剤,可溶化剤,吸収促進剤,保湿剤,吸着剤,充填剤,増量剤,付湿剤,防腐剤等。
賦形剤としては、有機系賦形剤及び無機系賦形剤等が挙げられる。
(剤形)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」の剤形は、例えば錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,丸剤,トローチ,もしくはシロップ剤,注射剤等の形態が挙げられる。
(有効成分の含有量)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」中の、有効成分(「VEGFR2シグナル制御剤」)の含有量は、剤形によって様々であり、一概に限定できず、各種剤形化が可能な範囲で、投与量との関係で適宜選択すれば良いが、例えば液剤の場合、好ましくは0.0001〜10(w/v%),より好ましくは0.001〜5(w/v%),特に注射剤の場合、好ましくは0.0002〜0.2(w/v%),より好ましくは0.001〜0.1(w/v%),固形剤の場合、好ましくは0.01〜50(w/w%),より好ましくは0.02〜20(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。
(製造方法)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」は、上記の成分を用いて、周知の方法で製剤化することができる。
《その他の合剤》
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」は、他の公知の「VEGFR2シグナル制御剤」との合剤として用いることができる。
公知の「VEGFR2シグナル制御剤」としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
[中和抗体]
RSD社 商品番号MAB3571、クローン名: 89115
RSD社 商品番号MAB3572、クローン名: 89106
RELIATECH GMBH社 商品番号102-PA18S
[VEGFR2キナーゼ阻害剤]
カルビオケム社 商品名SU5614 商品番号572632
カルビオケム社 商品名SU1498 商品番号572888
カルビオケム社 商品名CBO-P11 商品番号676496
カルビオケム社 商品名Je-11 商品番号676494
カルビオケム社 商品名V1 商品番号676495
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor 2 kinase inhibitor I 商品番号676480
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor 2 kinase inhibitor II 商品番号676485
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor 2 kinase inhibitor III 商品番号676487
カルビオケム社 商品名InSolution VEGF Receptor 2 kinase inhibitor III 商品番号676498
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor 2 kinase inhibitor IV 商品番号676489
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor 2/3 Tyrosin kinase inhibitor I 商品番号676499
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor Tyrosin kinase inhibitor II 商品番号676481
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor Tyrosin kinase inhibitor III 商品番号676482
カルビオケム社 商品名VEGF Receptor Tyrosin kinase inhibitor IV 商品番号676483
カルビオケム社 商品名SU1498 商品番号572888
(投与経路)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」の投与経路としては、全身投与と局所投与があり、いずれでも良く、具体的には、経口投与,静注等の静脈投与,筋注等の筋肉内投与, 経皮投与,経鼻投与,皮内投与,皮下投与,腹腔内投与,直腸内投与,粘膜投与,吸入,関節腔内投与等が挙げられ、治療目的の疾患,症状等に応じて、適宜選択することができる。
(投与方法)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」が、siRNA等を含む遺伝子治療剤の形態を取っている場合には、例えば、プラスミドを用いる場合、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチン法), リポソーム法, リポフェクチン法, マイクロインジェクション法, リン酸カルシウム法, エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法, リポソーム法が好ましい。
ウイルスベクターを用いる場合、公知の方法に従って、ウイルスに、目的とする遺伝子を組み込むことによって行うことができる。
ウイルスベクターに用いるウイルスとしては、例えば、無毒化した、レトロウイルス,アデノウイルス,アデノ関連(随伴)ウイルス,ヘルペスウイルス,センダイウイルス,ワクシニアウイルス,ポックスウイルス,ポリオウイルス,シンビスウイルス,SV40,免疫不全症ウイルス(HIV)等の、各種DNAウイルス又はRNAウイルスが挙げられる。
ウイルスの中では、レトロウイルス,アデノウイルス,アデノ関連ウイルス,ワクシニアウイルス等が好ましく、特に感染効率が高いアデノウイルスが好ましい。
遺伝子を実際に医薬として作用させるには、当該遺伝子を直接体内に導入する「in vivo法」の他、ヒトから採集した細胞に当該遺伝子を導入し、その後、遺伝子導入細胞を体内に戻すという、「ex vivo法」等がある。
「in vivo法」は費用や手間が少なく、簡便である点で好ましく、「ex vivo法」は、遺伝子の細胞内への導入効率が良いという点で好ましい。
「in vivo法」により投与する場合は、治療目的の疾患,症状等に応じた適当な投与経路を選択することができる。投与経路としては、例えば、静脈,動脈,皮下,皮内,筋肉内等が挙げられる。
「in vivo法」によって投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとることができる。一般的には遺伝子を含有する注射剤等の形態が好ましく、必要に応じて、注射剤等に常用されている各種の成分等を加えることもできる。
また、遺伝子を含有するリポソーム又は膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤,凍結剤,遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態として用いることができる。
(投与量)
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」の投与量は、投与経路,症状,年齢,体重,制御剤や予防又は治療剤の形態等によって異なるが、例えば、「制御剤」や「予防又は治療剤」中の有効成分の量が、処置を必要としている対象体重1kg当たり好ましくは0.005〜500mg,より好ましくは、0.1〜100mg,但し、成人に対して1日あたり、下限として好ましくは0.01mg(より好ましくは0.1mg),上限として、好ましくは20g(より好ましくは2000mg,更に好ましくは500mg,特に好ましくは100mg)となるように、1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
尚、本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」中の有効成分が、遺伝子の場合、例えば、遺伝子として0.0001〜100mg,好ましくは、0.001〜10mg等を、数日乃至数ヶ月に1回程度等投与するのが好ましい。
《対象疾患》
本発明の「血管新生制御剤」や「VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤」の、適用対象となる疾患としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
(VEGFR2シグナル不足による疾患)
虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞等),糖尿病性四肢虚血疾患,閉塞性動脈硬化症,褥瘡
(VEGFR2シグナル過剰による疾患)
癌,糖尿病性網膜症,尋常性乾癬,角膜血管新生,加齢黄斑変性症,血管新生緑内障
[実施例1〜4:ユビキチンリガーゼ促進剤]
BTBD3遺伝子(実施例1),BTBD3(実施例2),SPOP遺伝子(実施例3),SPOP(実施例4)等からなる、「ユビキチンリガーゼ促進剤」を製造する。
これらの「ユビキチンリガーゼ促進剤」を投与することによって、生体内でユビキチンリガーゼ複合体の生成が促進され、(おそらくはVEGFR2のmRNAを不安定化する因子の、ポリユビキチン化及び分解を通じて)VEGFR2産生を促進し、血管新生の促進,及びVEGFR2シグナルの不足に起因する疾患の予防又は治療が可能と考えられる。
[実施例5〜8:ユビキチンリガーゼ阻害剤]
BTBD3遺伝子に対するsiRNA分子(実施例5:配列番号3,4),BTBD3抗体(実施例6:配列番号5,6),SPOP遺伝子に対するsiRNA分子(実施例7),又はSPOP抗体(実施例8)からなる、「ユビキチンリガーゼ阻害剤」を製造する。
これらの「ユビキチンリガーゼ阻害剤」によって、(おそらくはVEGFR2のmRNAを不安定化する因子の、ポリユビキチン化及び分解の阻害を通じて)血管の過剰新生の抑制,及びVEGFR2シグナルの過剰に起因する疾患の予防又は治療が可能と考えられる。
[試験例1:CUL3ノックダウンによるVEGFR2 mRNA安定性阻害実験]
Control siRNA(Sigma Aldrich製,MISSION siRNA Universal Negative Control,SIC-001-50)およびCUL3 siRNA(配列番号9,10)をトランスフェクションし、72時間EGM-2培地中で培養したHUVECに、mRNA新規合成阻害化合物であるActinomycin Dを培地中に投与した。その後2時間および4時間で細胞を回収し、残存する(A)GAPDH、(B)VEGFR1および(C)VEGFR2 mRNAをそれぞれリアルタイムRT-PCRを用いて定量解析した。
配列番号9:gagUgUaUgagUUccUaUUtt
配列番号10:aaUaggaacUcaUacacUctt
(いずれも小文字はRNA,大文字はDNAを表す。)
上記の結果を図1に示す。
尚、CUL3 siRNA群ではActinomycin D添加によって70%程度のVEGFR2 mRNAの発現低下が認められるが、VEGFR1 mRNAの発現は低下しなかったことから、CUL3はVEGFR2 mRNAを、特異的に安定化する機能を有することが示唆された。
そしてこの結果は、CUL3ノックダウンによるVEGFR2発現量の低下は、CUL3を含むユビキチンリガーゼのユビキチン化対象となる基質が、VEGFR2遺伝子のプロモーター活性を調整する因子や、VEGFR2遺伝子に対する転写調節因子等では無く、VEGFR2のmRNA自体を不安定化するなんらかの物質であることを示している。
[試験例2:VRGFR2の発現を制御するBTBドメインタンパク質のスクリーニング試験]
(A)ヒト臍帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC)をControl siRNA(Sigma Aldrich製,MISSION siRNA Universal Negative Control,SIC-001-50), CUL3 siRNA(配列番号9,10)および各BTBドメインタンパク質に対するsiRNAで処理し、EGM-2培地中で、72時間培養を行ったのち、ウェスタンブロッティング法を用いてVEGFR2を検出した結果を図2に示す。
(B)はVEGFR2のバンド強度を定量化したものである。
この結果、CUL3のノックダウン時の発現低下を、みごとなまでに再現する物質として、BTBD3及びSPOPが見いだされた。
尚、BTBD3,SPOPに対するsiRNA分子としては、以下のものを使用した。
BTBD3:(配列番号3,4)
SPOP:(配列番号5,6)
[試験例3:CUL3ノックダウンHUVECにおけるVEGFシグナル伝達関連タンパク質のウェスタンブロット解析試験]
(A)HUVECにcontrol siRNA(Sigma Aldrich製,MISSION siRNA Universal Negative Control,SIC-001-50)およびCUL3 siRNA(配列番号9,10)をトラスフェクションし、60時間後にserum starvationを行い、72時間後にVEGF-A(50 ng/ml)(対象実験としてBSA(ウシ血清アルブミン)を添加)を、EBM-2培地からなる培養溶液中に添加した。刺激後10分および30分でそれぞれの細胞を回収し、VEGFR2, Akt, Erkのタンパク質およびこれらのリン酸化タンパク質についてウェスタンブロッティング法を用いて解析した。また同時にVEGFR1およびCUL3についても検出を行った結果を図3に示す。
(B−F)は検出されたバンド強度をそれぞれImage-Jソフトウェアを用いて定量化したものである。CUL3ノックダウンしたHUVECでは、control群に比べてVEGF-A刺激に伴って起こるAktやErkのリン酸化が70%程度抑制された。
前記試験例2の結果等から、BTBD3やSPOPのノックダウンが、CUL3のノックダウンと同程度にVEGFR2の発現を低下させることが分かっているため、上記試験例3の結果は、BTBD3やSPOPの発現を制御する物質が、VEGFR2のシグナル伝達下流の、少なくともSrc,Pl3k,Akt,Plcγ,pKc,Erk等の発現制御剤としても使用可能であることを示している。
本発明の新規ユビキチンリガーゼコンポーネント及びユビキチンリガーゼ及びその制御剤は、VEGFR2シグナルを制御することによって、血管新生制御や、種々の疾患等の予防又は治療に用いることができる他、実験・研究試薬としても、利用価値が高いものである。

Claims (3)

  1. BTBD3又はSPOPあるいはこれらの誘導体遺伝子に対するsiRNA遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする、VEGFR2シグナル制御剤
  2. 請求項1記載のVEGFR2シグナル制御剤を含むことを特徴とする、血管新生制御剤
  3. 請求項1記載のVEGFR2シグナル制御剤を含むことを特徴とする、VEGFR2シグナル伝達系の異常に起因する疾患の予防又は治療剤
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