JP6320577B2 - 合成開口レーダ信号処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、合成開口レーダにおける信号処理装置に関するものである。
合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)信号処理装置は、パルス波を送信し、散乱体からの反射信号を受信する。SAR信号処理装置は、散乱体から反射信号を受信する時間のデータを用いて、SARを搭載するプラットフォーム(例えば、人工衛星)から散乱体までの距離を知ることができ、電波送信方向であるレンジ方向に分解能をもつ。また、SARのプラットフォームは移動しながら電波を送信・受信することで、仮想的に移動方向に大きな開口を持つアンテナとすることができ、プラットフォームの移動方向であるアジマス方向に分解能をもつ。SARの受信信号から作成するSAR画像は、各画素でこの受信信号の位相と振幅のデータを持つ。
図29は、従来技術におけるSARでの干渉位相の概念を示す概念図である。図29に基づき合成開口レーダの干渉位相と高さの関係について説明する。プラットフォームは紙面表側から裏向きに移動しているものとする。すなわち、アジマス方向は紙面表側から裏向きである。また、図29では、電波の照射方向の地表面成分方向(グランドレンジ方向)と高さ方向を示している。
図中のk1、k2のプラットフォームの軌道の位置で、SAR画像をそれぞれ撮像したとすると、2つのSAR画像の各画素の位相差として表される散乱体からの反射信号の受信位相の差と、プラットフォームの2つの軌道の位置k1、k2(k2はk1とは異なる位置)それぞれから散乱体までの距離の差は比例関係にある。ただし、位相の値は2πでラッピングされた値である。ここで、この位相差からそれぞれの位置の軌道縞を引いた値(地形縞と呼ぶ)φzと散乱体の高さzの関係は、
φz=W{(2・π・p・B/λ・R・sinθ)・z} (1)
W{}:2πのラッピング
p:観測方式を表す係数(シングルパスの場合p=1、リピートパスの場合p=2)。
λ:照射電波の波長。
θ:照射電波のオフナディア角。
R:軌道k1、k2の中点から画像中心までの距離。
B:軌道k1、k2の直交ベースラインの長さ。
であり、φzとzは比例する。ただし、位相の値は2πでラッピングされた値である。以降では、直交ベースラインを単にベースラインと呼ぶ。別の散乱体であっても同じ高さzであれば、同じ地形縞の位相φzの値をとるため、観測されたSAR画像の地形縞の位相の値からSAR画像中の散乱体の高さを推定する。さらに、SAR画像の全ての散乱体の高さを推定することでSAR画像を3次元化する。
この地形縞φzと散乱体の高さzの比例関係は、ベースラインの長さ(以下、ベースライン長)Bによって異なる。ベースライン長Bが短いほど、高い高さの散乱体を高さごとに区別するとができるが、高さ分解能が悪い。ベースライン長Bが長いほど、高さ分解能は良いが、ラッピングにより異なる高さの散乱体の干渉位相が同じ値になり、同じ干渉位相の値に対応する散乱体高さzが複数存在する(これを高さのアンビギュイティと呼ぶ)。
そこで、異なるベースラインの複数のSAR画像の干渉位相を用いたMulti Baseline InSAR(Interferometric SAR)の方法では、初めにベースラインBが短い組み合わせのSAR画像間の位相差からSAR画像上の散乱体のおおまかな高さを推定し、次に別のベースラインが長い組み合わせのSAR画像間の位相差から、高さの推定値の精度を向上させる処理を行っていた(例えば、非特許文献1)。また、異なるベースラインの複数のSAR画像を用いたトモグラフィSARのディジタルビームフォーミングの方法によって、高さ方向に仮想的なビームを形成し、分解能を持たせるという方法も提案されている(例えば、非特許論文2)。これらの従来の技術では、この散乱体の高さを推定できる最大の高さzmaxは、
zmax=(λ・R・sinθ)/(p・B) (2)
である。ここで、式(2)でのBは異なるベースライン長の中で最短のベースライン長である。
Douglas G.Thompson他 著, 「Multi−Baseline Interferometric SAR for Iterative High Estimation」、IEEE1999 International1巻、1999年発行、p.251−253. A.Reigber 他 著, 「First demonstration of airborne SAR tomography using multibaseline L−band data」、 IEEE Transactions on Geoscience Remote Sensing 38巻、2000年9月発行、p.2142−2152.
従来の合成開口レーダ信号処理装置では、SAR画像上の散乱体の高さ方向を推定するにあたって、最短ベースライン長に対応する式(2)の高さzmax以下の散乱体の高さまでしか高さを推定できない問題点があった。すなわち、SAR画像上の散乱体の最大高さがzmax以下であることが既知であれば、地形縞φzの値に対し高さzは一意に決まる。しかし、SAR画像上の散乱体の最大高さが未知である場合、もしくは、SAR画像上の散乱体最大高さがzmax以上であることが既知である場合は、地形縞から散乱体を高さごとに区別することが困難となる問題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、SAR画像上の散乱体の高さ方向を推定するにあたって、最短ベースライン長に対応する式(2)の高さzmax以上の高さを持つ散乱体の高さを推定し、その散乱体の画像を抽出することのできる合成開口レーダ信号処理装置を得ることを目的とする。
この発明に係る合成開口レーダ信号処理装置は、第1のベースライン長を有する2つのセンサそれぞれで生成される第1の2つの合成開口レーダ画像を用いて該第1の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる信号の相対位相を複数の画素に対して表した第1の地形縞及び、第2のベースライン長を有する2つのセンサそれぞれで生成される第2の2つの合成開口レーダ画像を用いて該第2の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる信号の相対位相を複数の画素に対して表した第2の地形縞を算出する干渉位相処理部と、特定の高さの散乱体に相当する前記第1の地形縞での位相を示す第1の特定位相及び前記特定の高さの散乱体に相当する前記第2の地形縞での位相を示す第2の特定位相を算出する位相算出部、前記干渉位相処理部で算出された前記第1の地形縞及び前記第2の地形縞の中から前記第1の地形縞で前記第1の特定位相となりかつ前記第2の地形縞で前記第2の特定位相となる前記特定の高さに相当する画素を抽出する画素抽出部、を含む抽出処理部と、を備えたことを特徴とする。
この発明の合成開口レーダ信号処理装置によれば、異なるベースラインのうち最短のベースライン長を有する2つのセンサで測定可能な高さよりも高い散乱体で指定の高さの画素を抽出可能となる。
実施の形態1に係るSAR画像の3次元画像生成部1000の全体構成図。 実施の形態1に係る干渉位相処理部1050の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態1に係る抽出処理部1070の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態1に係る信号合成処理部1090の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態1に係るSAR画像の3次元画像生成部1000の動作を示すフローチャート。 実施の形態1におけるSARの干渉位相の概念を示す概念図。 実施の形態1におけるステップST1050(干渉位相処理)の処理を示すフローチャート。 実施の形態1における2組のSAR画像の組み合わせの地形縞と高さの関係。 実施の形態1において地形縞を複素数として処理をする場合の各画素の信号を複素平面表示例。 実施の形態1におけるフィルタの形状の例。 実施の形態1における各地形縞の画素に対応した配列の例。 実施の形態1におけるステップST1070(抽出処理)の処理を示すフローチャート。 実施の形態1におけるSAR画像のフォアショートニング現象の概念を示す概念図。 実施の形態1における3次元SAR画像の表示例。 実施の形態1におけるステップST1090(信号合成処理)の処理を示すフローチャート。 実施の形態2に係るSAR画像上の散乱体の高さ推定を行う装置の全体構成図。 実施の形態2に係る干渉位相処理部2020の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態2に係る抽出処理部2040の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態2に係るSAR画像の散乱体の高さ推定システム2000の動作を示すフローチャート。 実施の形態2に係る2つのSAR画像で形成した干渉位相、軌道縞の位相、地形縞の位相それぞれのグランドレンジ方向に対する変化例。 実施の形態2におけるステップST2020(干渉位相処理)の処理を示すフローチャート。 実施の形態2におけるステップST2040(抽出処理)の処理を示すフローチャート。 実施の形態3に係るSAR画像上同一高さ散乱体の抽出を行う装置の全体構成図。 実施の形態3に係る抽出処理部3020の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態3に係るGCP高さデータ判断部3030の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態3に係る信号合成処理部3040の機能を示す機能ブロック図。 実施の形態3に係るSAR画像の同一高さ散乱体抽出部3000の動作を示すフローチャート。 実施の形態3に係るステップST3020(抽出処理)の処理を示すフローチャート。 従来技術における合成開口レーダでの干渉位相を示す概念図。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下で説明する実施の形態1〜3において、
実施の形態1.
実施の形態1では、異なるベースラインの複数のSAR画像(各画素の地図情報を含む)と、すべてのSAR画像を撮像したセンサの軌道の位置情報(緯度経度または地図座標と高さ)を用いて処理を行う合成開口レーダ信号処理装置について説明する。
図1は実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1における3次元画像生成部1000の全体構成図である。図1に基づき、実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1、SAR画像上の3次元画像生成部1000、及び散乱体の高さ推定部1200の概要を説明する。
図1において、合成開口レーダ信号処理装置1は3次元画像生成部1000、SAR画像1010、GCP1020、軌道座標1030、散乱体高さ1040を備える。また、3次元画像生成部1000は、干渉位相処理部1050と抽出処理部1070とを備えた散乱体の高さ推定部1200と信号合成処理部1090を備える。干渉位相処理部1050は軌道縞を除去する処理部であり、複数のSAR画像1010の中から2つのSAR画像とGCP(地上基準点、Ground Control Point)1020、軌道座標1030を入力し、入力された2つのSAR画像の組み合わせごとに地形縞1060を出力する。抽出処理部1070は指定された特定の高さの散乱体を抽出する処理部であり、地形縞1060、軌道座標1030、散乱体高さ1040を入力し、入力された指定高さごとに指定高さの散乱体抽出画像1080を出力する。信号合成処理部1090は3次元SAR画像を生成する処理部であり、散乱体高さ1040、指定高さの散乱体抽出画像1080を入力し、3次元SAR画像1100を出力する。
本実施の形態1では、干渉位相処理部1050に入力されるSAR画像1010は3つ以上で、地形縞1060は2組以上生成される。また、すべてのSAR画像1010は同じモード、同じオフナディア角で同じ領域を撮像されたもので、位置合わせ処理(レジストレーション)がされているものとする。さらに、すべてのSAR画像1010から各画素の地図情報(例えば緯度経度または地図座標)を取得可能である。
GCP1020はSAR画像1010上の3点以上の画素の座標で、地表面にある散乱体で、かつ複数の信号の重なりが無いということが既知であるものである。軌道座標1030はSAR画像1010を撮像したセンサの軌道の位置情報(緯度経度または地図座標と高さ)である。
散乱体高さ1040はユーザが指定する値で抽出する散乱体高さであり、抽出処理部1070では、散乱体高さ1040が指定した高さの散乱体を抽出したSAR画像(指定高さの散乱体抽出画像1080)を出力する。この散乱体高さ1040の値は、例えば、抽出したい散乱体の高さが既知である場合はこの高さを散乱体高さ1040とし、抽出処理部1070でこの高さの散乱体の信号を抽出する。抽出したい散乱体の高さが未知である場合は、複数の高さで散乱体高さ1040を指定し、指定された高さごとに、抽出処理部1070の処理を繰り返し、それぞれ高さの散乱体の信号を抽出する。すなわち、ユーザが指定した散乱体の高さの数だけ、抽出処理部1070から指定高さの散乱体抽出画像1080が出力される。
図2は干渉位相処理部1050の機能を示す機能ブロック図である。図2に基づき、干渉位相処理部1050の機能について説明する。干渉位相処理部1050は、SAR画像入力部1051、相関判定部1052、位相差算出部1053、軌道座標入力部1054、軌道縞算出部1055、位相減算部1056、GCP入力部1057、バイアス除去部1058を備える。SAR画像入力部1051は、同一箇所を異なる軌道に位置する合成開口レーダで撮像した複数のSAR画像(SAR画像上の各画素の信号情報とSAR画像上の各画素の地図情報を含む)1010を入力する。
ここで、SAR画像入力部1051へ入力する複数のSAR画像1010は3つ以上であるが、説明の簡単のため、2つのSAR画像1011とSAR画像1012が入力されたものとして干渉位相処理部1050を説明する。ここで、2つのSAR画像1011とSAR画像1012はベースラインBが次式の臨界ベースラインBc以下の関係にあるとする。
Bc=(λ・R・tanθ)/p・r (3)
r:グランドレンジ分解能
相関判定部1052は、SAR画像入力部1051に入力された複数のSAR画像1010の中から2つのSAR画像を選び、それぞれの組合せで相関処理を行うことで、画素ごとに信号の重なりが無いかを判定して出力する。例えば、相関が高い画素は、画素中の信号が1種類であるとし、相関が低い画素は複数の信号が重なっていると判断する。画素中で信号が重なっている例として、SAR画像中で、レイオーバ等で建物からの反射信号と地表からの反射信号が重なっている場合がある。以下では、信号が1種類であるものを以下の処理の対象とする。
位相差算出部1053は、SAR画像入力部1051に入力された2つのSAR画像1011及びSAR画像1012の各画素で信号情報の位相成分の差(干渉位相)を算出する。このとき、出力されるデータには信号の振幅のデータも含まれる。例えば、SAR画像入力部1051から入力される信号情報が複素数のデータであった場合、一方の複素数と他方の共役複素数との積を出力する。この積の複素数は、大きさがSAR画像の信号の振幅の積、偏角が干渉位相となる。すなわち、位相差算出部1053は、SAR画像1011及びSAR画像1012を入力とし、各画素の干渉位相と信号の振幅を出力とする。
軌道座標入力部1054は、SAR画像1011、SAR画像1012を撮像したそれぞれのセンサの軌道の位置情報(緯度経度または地図座標と高さ)である軌道座標1030を入力する。軌道縞算出部1055は、SAR画像上の各画素の地図情報(緯度経度または地図座標)と、軌道座標入力部1054に入力されたSAR画像1011、SAR画像1012を撮像したそれぞれのセンサの軌道の位置情報から、それぞれの画素で軌道縞の位相を算出する。すなわち、軌道縞算出部1055は、SAR画像上の画素の地図情報とSAR画像1011、SAR画像1012を撮像したセンサの軌道の位置情報を入力として、SAR画像1011、SAR画像1012の組み合わせによるSAR画像の軌道縞を出力とする。
位相減算部1056は、SAR画像の各画素において、位相差算出部1053で算出されたSAR画像1011とSAR画像1012の信号の干渉位相と、軌道縞算出部1055で算出されたSAR画像1011とSAR画像1012の組み合わせの軌道縞とに基づき、干渉位相から軌道縞を差し引いた差分(補正干渉位相)を算出する。すなわち、位相減算部1056は、SAR画像1011とSAR画像1012の組み合わせの干渉位相と、軌道縞を入力として、補正干渉位相を出力とする。この出力される補正干渉位相のデータには、位相差算出部1053で出力される信号振幅データがそのまま含まれる。例えば、位相差算出部1053で複素数と複素共役との積を算出した場合、位相減算部1056は、振幅のデータをそのままとし、位相のみを回転させて変更する。
GCP入力部1057は、SAR画像1011、SAR画像1012上の3点以上の画素(地表面にある散乱体で、かつ複数の信号の重なりが無いということが既知であるもの)の座標であるGCP1020を入力する。バイアス除去部1058は、GCP入力部1057に入力された3点以上の座標と、位相減算部1056で算出された補正干渉位相の分布から、3点以上のGCP座標で、この座標の位相の値をもつ面を形成し、この位相面の値がすべて一定になるように面全体の位相を補正し、地形縞1060を算出する。すなわち、バイアス除去部1058は、GCP1020の座標データと補正干渉位相を入力とし、地形縞1060を出力とする。この出力される地形縞1060には、位相減算部1056で出力される信号振幅データがそのまま含まれる。例えば、位相差算出部1053が複素数と複素共役との積を算出した場合、バイアス除去部1058は複素数の振幅のデータをそのままとし、位相のみを回転させて変更する。
なお、以上は説明の簡単のため、入力するSAR画像が2つとして説明し、出力される地形縞は1種類としたが、実際は、SAR画像を3つ以上使用し、相関判定部1052で選ぶSAR画像の組み合わせを2組以上とし、地形縞1060はSAR画像の組み合わせの数だけ出力する。
図3は抽出処理部1070の機能を示す機能ブロック図である。図3に基づき、抽出処理部1070の機能について説明する。抽出処理部1070は、軌道座標入力部1071、軌道パラメータ算出部1072、散乱体高さ入力部1073、位相算出部1074、地形縞入力部1075、画素抽出部1076を備える。
軌道座標入力部1071は、それぞれのSAR画像を撮像したセンサの軌道の位置情報(緯度経度または地図座標と高さ)である軌道座標1030を入力する。このとき、地形縞入力部1075で入力される各地形縞を形成する各SAR画像の組み合わせに対応したSAR画像の軌道を位置情報として入力する。軌道パラメータ算出部1072は、地形縞入力部1075に入力された地形縞1060と、軌道座標入力部1071に入力されたセンサの位置情報のうち、地形縞1060を形成する2つのSAR画像を撮像したセンサの軌道の位置情報より、散乱体の高さと位相の係数(軌道パラメータ)を算出する。すなわち、軌道パラメータ算出部1072は、地形縞1060と、センサの軌道の位置情報を入力とし、各地形縞でそれぞれの軌道パラメータを出力する。
散乱体高さ入力部1073は、ユーザが決定した抽出する散乱体高さ1040を入力する。この散乱体高さ1040の値は、例えば、抽出したい散乱体の高さが既知である場合はこの高さを散乱体高さ1040とし、抽出処理部1070でこの高さの散乱体の信号を抽出する。抽出したい散乱体の高さが未知である場合は、複数の高さで散乱体高さ1040を指定し、指定された高さごとに、抽出処理部1070の処理を繰り返し、それぞれ高さの散乱体の信号を抽出する。すなわち、ユーザが指定した散乱体の高さの数だけ、抽出処理部1070から指定高さの散乱体抽出画像1080が出力される。この抽出処理部1070の説明では、説明の簡単のため、この高さを散乱体高さ1040を1通り指定したとする。
位相算出部1074は、軌道パラメータ算出部1072で算出された軌道パラメータ、及び散乱体高さ入力部1073に入力された抽出する散乱体高さ1040をもとに、各地形縞を形成するSAR画像の組み合わせごとに、抽出する散乱体の地形縞の位相を算出する。すなわち、抽出する散乱体高さと、軌道パラメータを入力とし、抽出する散乱体の地形縞の位相を出力とする。
地形縞入力部1075は、干渉位相処理部1050で出力された複数の地形縞1060を入力する。画素抽出部1076では、地形縞入力部1075に入力された地形縞、及び位相算出部1074で算出された抽出する散乱体の地形縞の位相をもとに、指定の高さの散乱体の画素を抽出する。地形縞入力部1075に入力されるそれぞれの複数の地形縞のデータごとに、位相算出部1074が入力する位相付近であるピクセルを取り出す。すべての地形縞で同様の処理を行い、全ての地形縞で取り出されたピクセルを、指定高さの散乱体抽出画像とする。すなわち、地形縞と抽出する散乱体の画素の地形縞の位相を入力とし、指定高さの散乱体抽出画像1080を出力とする。
以上では、説明の簡単のため、散乱体高さ1040を1通り指定し、指定高さの散乱体抽出画像1080を1種類出力したが、実際は、散乱体高さ1040で指定した高さの数だけ指定高さの散乱体抽出画像1080を出力する。
図4は信号合成処理部1090の機能を示す機能ブロック図である。図4に基づき、信号合成処理部1090の機能について説明する。信号合成処理部1090は、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091、散乱体高さ入力部1092、フォアショートニング補正部1093、データ合成部1094を備える。
指定高さの散乱体抽出画像入力部1091は、抽出処理部1070で出力された複数の指定高さの散乱体抽出画像1080を入力する。散乱体高さ入力部1092は、散乱体高さ1040を入力する。この散乱体高さ1040は、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091で入力する指定高さの散乱体抽出画像1080にそれぞれ対応している。フォアショートニング補正部1093は、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091に入力された複数の指定高さの散乱体抽出画像1080、散乱体高さ入力部1092に入力された散乱体高さ1040をもとに、指定高さの散乱体抽出画像1080を、それぞれに対応した散乱体高さ1040ごとにフォアショートニングによって歪んだSAR画像を補正する。すなわち、散乱体高さ1040、指定高さの散乱体抽出画像を入力とし、フォアショートニング補正後の散乱体抽出画像を出力とする。
データ合成部1094は、フォアショートニング補正部1093で補正したフォアショートニング補正後の散乱体抽出画像と、散乱体高さ入力部1092に入力された散乱体高さ1040をもとに、フォアショートニング補正後の散乱体抽出画像を、それぞれに対応した散乱体高さ1040ごとに並べて表示し、3次元SAR画像1100が生成される。すなわち、散乱体高さ、フォアショートニング補正後の散乱体抽出画像を入力とし、3次元SAR画像1100を出力とする。
図5は、実施の形態1に係るSAR画像の3次元画像生成部1000の動作を示すフローチャートである。図5に基づき、実施の形態1に係るSAR画像の3次元画像生成部1000の動作について説明する。
図5に示すように、実施の形態1に係るSAR画像の3次元画像生成部1000は大きく3つのステップからなる。まず、ステップST1050(干渉位相処理)では、干渉位相処理部1050がSAR画像1011、SAR画像1012、及びGCP1020、軌道座標1030を基に、地形縞1060が生成される。次に、ステップST1070(抽出処理)では、抽出処理部1070が地形縞1060、軌道座標1030、散乱体高さ1040を基に、指定高さの散乱体抽出画像1080を出力する。最後に、ステップST1090(信号合成処理)では、指定高さの散乱体抽出画像1080を基に、3次元SAR画像1100を出力する。
図6は本実施の形態1におけるSARの干渉位相の概念を示す概念図である。図6に基づき、ステップST1050(干渉位相処理)の概要について説明する。ステップST1050の目的は、2つのSAR画像から地形縞を生成することである。そこで、SAR画像の各画素の干渉位相と軌道縞、地形縞について説明する。図6で、プラットフォームは紙面表側から裏向きに移動しているものとする。すなわち、アジマス方向は紙面表側から裏向きである。また、矢印の方向は、電波の照射方向の地表面成分方向(グランドレンジ方向)である。
ここで、2つのSAR画像を撮像したSARセンサのプラットフォーム(例えば、衛星)の軌道の位置を、それぞれk1、k2とし、SAR画像上の散乱体αからの反射信号について考える。k2はk1と異なる軌道の位置である。理論的には、2つのSAR画像上の散乱体αからの反射信号の位相の差(干渉位相)φsは、
φs=W{(2・p・π・(r1−r2))/λ} (4)
r1:プラットフォームk1と散乱体αの距離
r2:プラットフォームk2と散乱体αの距離
である。式(4)で示されるように、反射信号の位相の差(干渉位相)φsはプラットフォームk1、k2それぞれから散乱体αまでの距離の差r1−r2と比例関係にある。ただし、位相の値は2πでラッピングされた値である。
ここで、散乱体の位置αの地表面の位置α’に仮想的に散乱体があるとして、同様に2つのSAR画像上で散乱体からの反射信号の位相差φg(軌道縞と呼ぶ)を求める。この軌道縞φgは、
φg=W{(2・p・π・(r’1−r’2))/λ} (5)
r’1:プラットフォームk1と散乱体α’の距離
r’2:プラットフォームk2と散乱体α’の距離
である。軌道座標の位置情報とすべてのSAR画像の地図情報は既知であるため、それらの値からr’1、r’2を算出することができる。したがって、式(5)により、軌道縞φgの値を算出することができる。
図7は、ステップST1050(干渉位相処理)の処理を示すフローチャートである。図7に基づきステップST1050(干渉位相処理)の処理を詳細に説明する。図7に示すように、ステップST1050にはループLP11の繰り返し処理が含まれる。ループLP11では、SAR画像の組み合わせごとに処理を繰り返す。なお、以下で入力するSAR画像1010は3つ以上であり、そのSAR画像の組み合わせは複数ある。すなわち、SAR画像の組み合わせの数だけ、ループLP11の処理を繰り返す。まず、ステップST1052(相関判定)では、SAR画像入力部1051は、同一箇所を異なる軌道に位置する合成開口レーダで撮像した複数のSAR画像を入力する。相関判定部1052は、入力された2つSAR画像の相関処理を行うことで、画素ごとに信号の重なりが無いか判定する。画素の信号が、1つの散乱体からの反射信号であれば、SAR画像ごとにその画素は相関を持つ。画素にレイオーバなどで複数の信号が含まれている場合、その画素はSAR画像ごとに相関を持たない。相関処理で1つの画素に含まれる信号が1種類か2種類以上かを判断し、信号が1種類であるものを以下の処理の対象とし、その画素の座標を出力する。
次に、ステップST1053(位相差算出)では、位相差算出部1053は、ステップST1052(相関判定)で処理の対象とされた画素について、その画素の2つのSAR画像の位相の差分φsを算出し、各画素の干渉位相φsとその画素の信号の振幅を算出する。例えば、SAR画像入力部1051から入力される信号情報が複素数のデータであった場合、一方の複素数と他方の共役複素数との積を出力する。この積の複素数は、大きさがSAR画像の信号の振幅の積、偏角が干渉位相φsとなる。
次に、ステップST1055(軌道縞算出)では、軌道座標入力部1054は、入力した2つのSAR画像を撮像したそれぞれのセンサの軌道の位置情報(緯度経度または地図座標と高さ)を入力とする。軌道縞算出部1055は、入力した2つのSAR画像の各画素の地図情報(緯度経度または地図座標)と、軌道座標入力部1054に入力されたそれぞれのセンサの軌道の位置情報、及び衛星の情報(照射電波の波長λ)から、それぞれの画素で軌道縞φgの位相を式(5)より算出し、各画素の軌道縞φgとする。
次に、ステップST1056(位相減算)では、ステップST1053(位相差算出)で算出された各画素の干渉位相(位相φsとその画素の信号の振幅)、及び、ステップST1055(軌道縞算出)で算出された軌道縞φgを入力とする。位相減算部1056では、これらのうち、位相の差分(φs−φg)を算出し、その値をφcとする。このφcの値と、干渉位相の信号の振幅のデータを用いて、補正干渉位相(位相φcとその画素の信号の振幅)とする。この補正干渉位相のデータには、位相差算出部1053で出力される信号振幅データがそのまま含まれるため、例えば、位相差算出部1053が複素数と複素共役との積を算出した場合、ステップST1056は、複素数の大きさをそのままとし、偏角の値φsのみを(−φg)だけ回転させ出力する。
次に、ステップST1058(バイアス位相成分除去)では、GCP入力部1057はGCP(既知の同じ高さの散乱体のSAR画像上の3点の画素の座標)を入力する。バイアス除去部1058は、補正干渉位相(位相φcとその画素の信号の振幅)を用いて、SAR画像のすべての画素のうち、GCPの座標の3点でGCPの座標の位相φcの値をもつ位相面φbを作成する。GCPの座標の位相の値がすべて同じになるよう、全ての画素で(φc−φb)を算出してこの位相をφzとし、地形縞1060(位相φzとその画素の信号の振幅)を出力する。
地形縞の位相φzの値は、理論的には以下の式(6)のようになる。
φz=W{(2・π・p・B/λ・R・sinθ)・z} (6)
すなわち、地形縞の位相φzと散乱体高さzは比例する。ただし、位相の値は2πでラッピングされた値である。別の散乱体であっても、同じ高さzであれば、同じ補正地形縞の位相φzの値をとる。
なお、ステップST1058は、ステップST1056と同様、この出力されるデータには、位相差算出部1053で出力される信号振幅データがそのまま含まれるため、位相差算出部1053が複素数と複素共役との積を算出した場合、ステップST1058は、複素数の大きさをそのままとし、偏角の値φcのみを(−φb)だけ回転させ出力する。つまり、ステップST1050(干渉位相処理)では、2つのSAR画像の組み合わせごとに、画像の各画素の地形縞の位相と信号の振幅を出力する。以上で、ステップST1050(干渉位相処理)の処理の説明を終了する。
次に、ステップST1070(抽出処理)の概要について説明する。ここでは、説明の簡単のため、2種類の地形縞の特定位相φz1、φz2に対する処理について説明する。図8は2組のSAR画像の組み合わせの地形縞と高さの関係のグラフである。式(6)のように、散乱体の高さzと地形縞の位相φzの関係が成り立つが、従来技術では、以下の式(7)のように、観測されたSAR画像中の散乱体の地形縞の位相φz0の値のデータを用いて、この散乱体の高さz0を推定した。しかし、地形縞の位相φz0は2πでラッピングされているため、複数の高さz0の解(高さのアンビギュイティ)を持つことになる。
φz0=W{(2・π・p・B/λ・R・sinθ)・z0} (7)
これに対して、本実施の形態1では、指定の高さz0を決定してから、この高さに対応する地形縞φz0を求め、SAR画像中の地形縞の位相φzがφz0となる散乱体を抽出する。このz0の値は、例えば、抽出したい散乱体の高さが既知である場合はこの高さをz0とし、以下の処理で指定の高さz0の散乱体の信号を抽出する。また、抽出したい散乱体の高さが未知である場合は、複数の高さz0を指定し、以下の処理で指定の高さz0ごとにそれぞれ高さz0の散乱体の信号を抽出する。
以下、図8(a)、図8(b)、図8(c)により、異なるベースラインB1、B2のSAR画像の組み合わせを用いた指定の高さの散乱体抽出について説明する。
図8(a)は、ベースラインB1の2つのSAR画像の組み合わせの地形縞φz1と高さの関係のグラフであり、この関係は式(6)を満たす。ベースラインB1の組み合わせのSAR画像を用いた場合で、式(7)により高さz0に対応する地形縞φz1の位相の値を算出し、φ01とする。
図8(b)は、ベースラインB1と異なるベースラインB2の2つのSAR画像の組み合わせの地形縞φz2と高さの関係のグラフであり、この関係は式(6)を満たす。ベースラインB2の長さがB1と異なるので、ラッピング周期が図8(a)と異なっていることがわかる。ベースラインB2の組み合わせのSAR画像を用いた場合で、式(7)により高さz0に対応する地形縞φz2の位相の値を算出し、その値をφ02とする。
図8(c)は、図8(a)、図8(b)のグラフのそれぞれ地形縞の値がφ01とφ02の位置になるよう重ね合わせたものである。これより、ベースラインB1の地形縞φz1でφ01の位相となり、なおかつ、ベースラインB2の地形縞φz2でφ02の位相となる散乱体の高さはz0のみになることがわかる。そこで、補正地形縞φz1の全画素のうち位相φ01であることを満たし、かつ、地形縞φz2の全画素のうちの位相φ02であることを満たす画素を取り出す処理を行う。
地形縞のデータに信号のノイズなどによる誤差がある場合は、誤差の幅も含めた位相を取り出すようにして、例えば、全画素から抽出する指定の位相は、φz1がφ01−Δφ1からφ01+Δφ1の範囲、φz2がφ02−Δφ2からφ02+Δφ2の範囲の位相に相当する画素とする。Δφ1、Δφ2の値は、例えば、各地形縞の位相の分散の幅とする。
ステップST1070(抽出処理)では以上の処理を、他の異なるベースラインBのSAR画像の組み合わせの地形縞に対しても同様に行う。
図9は、地形縞を複素数として処理をする場合の各画素の信号を複素平面表示例である。図9に基づき、ステップST1070の実現方法の一例について説明する。説明の簡単のため、2種類の地形縞の処理について考える。
ステップST1050(干渉位相処理)で出力される地形縞1060にはSAR画像の各画素の信号の振幅と位相の情報が含まれるが、この各画素の地形縞を、この振幅を大きさ、位相φzを偏角とした複素数vとして各画素で示す。
ベースラインB1の組み合わせのSAR画像を用いた場合で、式(7)で高さz0に対応する地形縞の特定位相φz1の値を算出し、その値をφ01とする。ここで、ベースラインB1の組み合わせの地形縞の複素数をv1とし、偏角φ01の画素の偏角が固定値φ’になるよう、すべての画素で、地形縞v1の偏角を(φ01−φ’)だけ回転させる。
ベースラインB2の組み合わせのSAR画像を用いた場合で、同様に式(7)で高さz0に対応する地形縞の特定位相φz2の値を算出し、その値をφ02とする。ベースラインB2の組み合わせの地形縞の複素数をv2とし、偏角φ02の画素の偏角がφ’になるよう、すべての画素で、地形縞v2の偏角を(φ02−φ’)だけ回転させる。
偏角の回転の処理後、各ベースラインの地形縞では、図9(a)のように、SAR画像上で指定の高さz0である散乱体からの反射信号である画素の複素数は、偏角がφ’となる。一方、各ベースラインの地形縞で、図9(b)のように、SAR画像上で高さz0でない散乱体からの反射信号である画素の複素数は、偏角がφ’とならず、同じ画素であっても地形縞ごとにその偏角は異なる。
次に、各画素で複数の地形縞の複素数の和をとる。または、さらに地形縞の数で除算を行い、平均をとる。図9(a)のように、SAR画像上で指定の高さz0である散乱体からの反射信号である画素の複素数は、各画素で複数の地形縞では全ての複素数の偏角がφ’であるので、平均をとると、加算をする前のもとの信号とほぼ同じ信号であり、かつ、偏角がφ’付近である。一方、図9(b)のように、SAR画像上で高さz0でない散乱体からの反射信号である画素の複素数は、各画素で複数の地形縞でそれぞれ異なる偏角であるので、加算処理を行うと、お互い打ち消し合い、振幅がもとの信号よりも小さくなり、かつ、偏角はφ’付近になるとは限らない。
最後に、偏角φ’部分の信号を取り出すために、位相のフィルタリングをする。図10は、偏角φ’部分の信号を取り出すフィルタの形状の例である。例えば、フィルタの形状は図10のように、矩形窓、ガウス窓などがある。これにより、図9(a)のように、SAR画像上で高さz0である散乱体からの信号は偏角がφ’付近であるため、フィルタリングをしても信号が残るが、図9(b)のように、SAR画像上で高さz0でなく、偏角がφ’付近でない信号は、フィルタリングにより信号が落とされる。よって、指定の高さz0の散乱体のみが抽出される。
説明の簡単のため、以上の処理は2組の地形縞のデータで行ったが、他の異なるベースラインBのSAR画像の組み合わせの地形縞でも以上同様の処理を行う。
図11は、各地形縞の画素に対応した配列の例である。図11に基づき、ステップST1070の実現方法の異なる一例について、説明する。この方法は、各地形縞で画素数に対応した配列を作成し、配列の各要素で論理積をとる手法である。
地形縞1060にはSAR画像の各画素の信号の位相の情報が含まれるが、まずは、このうち各画素の位相φzの情報のみを使用する。説明の簡単のため、2種類の地形縞の処理について考える。まずは、図11のように、地形縞ごとにSAR画像の画素数をもった2つの配列(配列1、配列2)を作成する。
ベースラインB1の組み合わせのSAR画像を用いた場合で、式(7)で高さz0に対応する地形縞の特定位相φz1の値を画像の各画素で算出し、その値がφ01(位相の誤差がある場合は、例えばφ01−Δφ1からφ01+Δφ1の範囲であるもの)であるSAR画像の画素に対応する位置の配列の要素に1、その範囲内に無い画素に対応する位置の配列の要素に0を格納する(配列1)。同様に、ベースラインB2の組み合わせのSAR画像を用いた場合で、式(7)で高さz0に対応する地形縞の特定位相φz2の値を画像の各画素で算出し、その値がφ02(位相の誤差がある場合は、例えばφ02−Δφ2からφ02+Δφ2の範囲であるもの)であるSAR画像の画素に対応する位置の配列の要素に1、その範囲内に無い画素に対応する位置の配列の要素に0を格納する(配列2)。
さらに、配列1と配列2を要素ごとに乗算をし(論理積)、要素の値が1になったものは、φz1の値がφ01(位相の誤差がある場合は、例えばφ01−Δφ1からφ01+Δφ1の範囲であるもの)、φz2の値がφ02(位相の誤差がある場合は、例えばφ02−Δφ2からφ02+Δφ2の範囲であるもの)の両方を満たすものである。これにより、この配列の要素が1である画素の地形縞の振幅の値を、高さz0である散乱体からの信号として取り出すことができる。説明の簡単のため、以上の処理は2組の地形縞のデータで行ったが、他の異なるベースラインBのSAR画像の組み合わせの地形縞でも以上の同様の処理を行う。
図12は、ステップST1070(抽出処理)の処理を示すフローチャートである。図12に基づき、ステップST1070(抽出処理)の処理を詳細に説明する。図12に示すように、ステップ1070には、2つのループLP12、LP13の繰り返し処理が含まれる。ループLP12は、以下のステップST1073で指定する高さごとに繰り返す。すなわち、ステップST1073で指定する高さの種類の数だけ、ループLP12の処理を繰り返す。ループLP13では、干渉波を作成する2つのSAR画像の組み合わせごとに処理を繰り返す。すなわち、SAR画像の組み合わせの数だけ、ループLP13の処理を繰り返す。
まず、ステップST1073(高さ決定)では、散乱体高さ入力部1073はユーザが決定した抽出する散乱体の高さz0を入力する。このz0の値は、例えば、抽出したい散乱体の高さが既知である場合はこの高さをz0としてループLP12の処理を行う。抽出したい散乱体の高さが未知である場合は、複数の高さz0を指定し、指定された高さごとにループLP12の処理を繰り返し、それぞれ高さz0の散乱体の信号を抽出する。
次に、ステップST1072(軌道パラメータ算出)では、軌道座標入力部1071は、地形縞入力部1075で入力する地形縞を形成した2つのSAR画像を撮像したそれぞれのセンサの軌道の位置情報(緯度経度または地図座標と高さ)を入力する。軌道パラメータ算出部1072は、入力されたセンサの軌道の位置情報から、2つのセンサの軌道の位置の中点から画像中心までの距離R、オフナディア角θ、ベースラインBのパラメータを求め、以下の式(8)により軌道パラメータmをそれぞれ算出する。
m=2・π・p・B/λ・R・sinθ (8)
次に、ステップST1074(高さ位相変換)では、位相算出部1074は、ステップST1072で出力した軌道パラメータm、ステップST1073で指定した抽出する高さz0をもとに、SAR画像の組み合わせごとに、抽出する散乱体の地形縞の位相φz0を決定し、この位相の値φz0を出力する。φz0は、式(7)より、
φz0=W{m・z0} (9)
で求められる。
次に、ステップST1076(画素抽出)では、地形縞入力部1075は、ステップST1050で出力された複数の地形縞1060を入力する。画素抽出部1076は、位相算出部1074、地形縞入力部1075に入力されたデータをもとに、指定の高さの散乱体を抽出する。地形縞入力部1075から入力されるそれぞれの複数の地形縞のデータごとに、前述の図8、図9、図10、図11に示す方法に従い、位相算出部1074から入力される位相φz0付近の位相を持つピクセルを取り出す。すべての地形縞で同様の処理を行い、全ての地形縞で取り出されたピクセルを、指定の高さz0の散乱体とし、指定の高さの散乱体抽出画像1080を出力する。
つまり、ステップST1070(抽出処理)では、ユーザが指定する指定の高さごとに、SAR画像の指定の高さの散乱体のみを抽出した画像を出力する。以上で、ステップST1070(抽出処理)の処理の説明を終了する。
図13は、本実施の形態1におけるSAR画像のフォアショートニング現象の概念を示す概念図である。図13に基づき、フォアショートニングによる散乱体の位置ずれとその補正について説明する。プラットフォームは紙面表側から裏向きに移動しているものとする。すなわち、アジマス方向は紙面表側から裏向きである。また、座標の矢印の方向は、電波の照射方向の地表面成分方向(グランドレンジ方向)である。
図13の通りにオフナディア角θで電波が照射している場合、散乱体の高さをz0、散乱体とセンサ間の長さ(スラントレンジ長さ)をrとすると、SAR画像では地表で同じスラントレンジ長さrの位置にある散乱体としてみなされる。このとき、SAR画像では散乱体がx0だけ地表のセンサ側にずれて表示されるが、このx0は、
x0=z0/tanθ (10)
である。したがって、SAR画像を3次元で示す場合、グランドレンジのセンサ側にx0ずれた長さ分を、散乱体の高さz0に応じてx0だけグランドレンジのセンサの反対側に位置を補正する。
SAR画像の3次元表示の方法としては、例えば図14のようなものがある。図14は、3次元SAR画像の表示例である。例えば、図14(a)のように、レンジ方向、アジマス方向、高さの3次元の軸にプロットする方法がある。もしくは、例えば、図14(b)のように各高さz0ごとに対応する高さごとにSAR画像を順に表示させ、SAR画像のスライス構造のように表示させる方法がある。
図15はステップST1090(信号合成処理)の処理を示すフローチャートである。図15に基づきステップST1090(信号合成処理)の処理を詳細に説明する。ステップST1093(フォアショートニング補正)では、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091は、抽出処理部1070で出力された複数の指定高さの散乱体抽出画像1080を入力する。散乱体高さ入力部1092は、散乱体高さ1040を、複数の指定高さの散乱体抽出画像1080ごとにz0として入力する。フォアショートニング補正部1093は、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091に入力された数の指定高さの散乱体の抽出画像を、各高さz0ごとに、フォアショートニングによって散乱体がSAR画像上でグランドレンジのセンサ側にx0にずれた長さ分を式(10)のように算出し、SAR画像のグランドレンジのセンサの反対方向にx0だけ位置を補正する。
ステップST1094(データ合成)では、データ合成部1094は、ステップST1093で補正した指定高さの散乱体抽出画像のデータを、例えば各高さz0ごとに対応する高さごとに並べて表示するなどして合成し、3次元SAR画像1100を出力する。つまり、ステップST1090(信号合成処理)では、ユーザが指定する指定の高さの散乱体抽出画像、及びそれぞれの抽出画像に対応する高さz0を入力してすべての画像を高さ順に並べ、SAR画像の3次元のデータを出力する。以上で、ステップST1090(信号合成処理)の処理の説明を終了する。
従来技術では、観測された地形縞の位相により散乱体の高さを推定し、その推定可能な高さは最短ベースライン長に対応する式(2)の高さzmax以下の散乱体の高さまでしか高さを推定できない問題点があった。これに対して、本実施の形態1では、指定の位相に対応する高さの散乱体を抽出する。さらに、複数のベースラインのSAR画像の組み合わせを利用し、SAR画像の組み合わせごとに、抽出する高さに対応する複数の位相を指定し、すべての組み合わせで指定の位相となる画素を抽出している。このようにSAR画像の組み合わせに対応する複数の位相を指定し、全ての組合せで指定の位相となる画素を抽出するため、散乱体を従来技術よりも高い範囲で高さ方向に分離することを可能とする。
また、本実施の形態1では複数のベースラインを扱ったが、そのうちの一方を第1のベースライン長、他方を第2のベースライン長と呼ぶことにする。また、複数の地形縞1060のうち第1のベースライン長に対応する地形縞を第1の地形縞、第2のベースライン長に対応する地形縞を第2の地形縞と呼ぶことにする。
すなわち、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は、第1のベースライン長を有する2つのセンサそれぞれで生成される第1の2つの合成開口レーダ画像を用いて第1の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる信号の相対位相を複数の画素に対して表した第1の地形縞と、第2のベースライン長を有する2つのセンサそれぞれで生成される第2の2つの合成開口レーダ画像を用いて該第2の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる信号の相対位相を複数の画素に対して表した第2の地形縞とを算出する干渉位相処理部1050と、指定された特定の高さの散乱体に相当する前記第1の地形縞での位相を示す第1の特定位相φz1及び前記特定の高さの散乱体に相当する前記第2の地形縞での位相を示す第2の特定位相φz2を算出する位相算出部1074と、前記干渉位相処理部1050で算出された前記第1の地形縞及び前記第2の地形縞の中から前記第1の地形縞で前記第1の特定位相となりかつ前記第2の地形縞で前記第2の特定位相となる前記特定の高さに相当する画素を抽出する画素抽出部1076と、を含む抽出処理部1070と、を備えたことを特徴とする。この構成によって、最短ベースライン長を有する2つのセンサで測定可能な高さよりも高い散乱体の高さを推定可能である。
また、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は、前記特定の高さは、前記第1のベースライン長と前記第2のベースライン長のうち短いベースライン長を有する2つのセンサのみで測定な可能な高さより高い、ことを特徴とする。この特定の高さの指定によって、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は従来技術よりも高い散乱体の高さを推定できる。
また、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は、前記干渉位相処理部1050は、前記第1または前記第2の2つの合成開口レーダ画像上の高さが既知で同じ高さを有する散乱体を表す少なくとも3つのGCPの画素を選定し、前記少なくとも3つの画素に含まれる信号の位相が前記2つの合成開口レーダ画像上で同じとなるように前記2つの合成開口レーダ画像上の画素の位相を補正するバイアス除去部を含む、ことを特徴とする。この構成によって、第1または第2のベースライン長を有する2つのセンサの間で同じ散乱体を観測した場合の観測位相の整合性をとることができ、2つのセンサ間で位相バイアスを除去することができる。
また、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は、抽出処理部1070は、前記第1及び前記第2のベースライン長を有する2つのセンサの軌道情報を用いて、前記第1及び前記第2のベースライン長のそれぞれに対応した軌道パラメータを算出する軌道パラメータ算出部を備え、位相算出部は、前記軌道パラメータ算出部で算出された軌道パラメータを用いて前記第1及び前記第2の特定位相を算出することを特徴とする。このようにセンサの軌道情報を用いることで、センサの移動等により生じる観測位相の成分を除去しつつ、地形縞に対応した特定位相を算出することができる。
また、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は、前記第1または前記第2それぞれの組み合わせの2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる位相の差の時間または空間的なばらつきに基づき、前記2つの画素が1種類の反射信号を含むか、複数の種類の反射信号を含むか、を示すことを特徴とする。このような構成により、複数の種類の反射信号を含まない画素を対象として、SAR画像の抽出処理を行うことができる。
また、本実施の形態1に係る合成開口レーダ信号処理装置1は、前記抽出処理部1070において、前記特定の高さは複数の高さであり、前記画素抽出部1076は前記複数の高さのそれぞれに相当する画素を抽出し、前記抽出処理部1070で前記複数の高さの高さごとに抽出された画素を用いて3次元画像を生成する信号合成処理部を備えたことを特徴とする。このような構成により、異なる高さに対して抽出されたSAR画像を用いて3次元画像を生成することができる。
実施の形態2.
実施の形態1ではセンサ軌道の位置情報から、センサと散乱体間の距離r’1、r’2、R、ベースライン長B、及びオフナディア角θを求め、軌道縞φg及び軌道パラメータmを算出する。この際、r’1、r’2、R、Bの精度はセンサ軌道情報の精度に大きく依存するため、センサ軌道の位置精度が必要となる。これに対して、実施の形態2では、センサの軌道の位置情報の精度が十分でない場合にも、r’1、r’2、B、Rの値を用いる代わりにSAR画像を撮像したセンサの照射電波のオフナディア角θを用いて、軌道縞φg、及び軌道パラメータmを高精度に算出する方法を示す。以下、実施の形態1と同じ入力・出力データ、装置、ステップには同一の番号を付し、説明を省く。
図16は実施の形態2に係る合成開口レーダ信号処理装置1におけるSAR画像上の散乱体の高さ推定を行う装置の全体構成図である。図16に基づき、実施の形態2に係るSAR画像上の3次元画像生成部2000の概要を説明する。この3次元画像生成部2000は、干渉位相処理部2020、抽出処理部2040、信号合成処理部1090を備える。ここで、実施の形態1と異なるのは、干渉位相処理部2020、抽出処理部2040 であり、信号合成処理部1090は実施の形態1と同じ処理構成である。実施の形態1と異なり、抽出処理部2040 は、センサの軌道座標の情報の代わりに、オフナディア角2010を入力する。ここで、オフナディア角2010は、SARのセンサからの電波の照射方向で、入力する全てのSAR画像で同じ値とする。
図17は、干渉位相処理部2020の機能を示す機能ブロック図である。図17に基づき、干渉位相処理部2020の機能について説明する。干渉位相処理部2020は、SAR画像入力部1051、相関判定部1052、位相差算出部1053、軌道縞周期算出部2021、位相減算部1056、GCP入力部1057、バイアス除去部1058を備える。また、軌道縞周期算出部2021はフーリエ変換部2022、BPF部2023、逆フーリエ変換部2024を備える。ここで、実施の形態1と異なるのは、軌道縞周期算出部2021が備えられている点である。軌道座標入力部は備えられていないが、軌道座標の情報の代わりに軌道縞周期算出部2021で効率よく軌道縞周期2030を求める。
軌道縞周期算出部2021において、フーリエ変換部2022は、SAR画像入力部1051に入力された2つのSAR画像の各画素の干渉位相と信号の振幅のうち、位相の分布のデータをSAR画像のレンジ方向に空間でフーリエ変換し、空間の位相の周波数分布を算出する。すなわち、フーリエ変換部2022は、SAR画像1011及びSAR画像1012を入力とし、空間の位相の周波数分布と各画素の振幅のデータを出力とする。
BPF部2023は、BPF(Band Pass Filter)の処理部であり、フーリエ変換部2022で算出された空間の位相の周波数分布と各画素の振幅のデータから、軌道縞の周期をもつ周波数成分を取り出す。すなわち、BPF部2023は、空間の位相の周波数分布と各画素の振幅のデータを入力とし、軌道縞の周期をもつ周波数成分、及び、各画素の振幅のデータもそのまま出力する。
逆フーリエ変換部2024は、BPF部2023で算出された空間の位相の周波数成分と各画素の振幅のデータから、空間の位相の周波数成分を空間方向に逆フーリエ変換する。これにより、位相差算出部1053で出力される各画素の干渉位相のうち、簡易的に軌道縞の位相の分布のみを取り出す。すなわち、逆フーリエ変換部2024は、空間の位相の周波数成分と各画素の振幅のデータからを入力とし、軌道縞の位相の分布、及び、各画素の振幅のデータもそのまま出力する。
次に、図18に基づき、抽出処理部2040の機能について説明する。図18は、抽出処理部2040の機能を示す機能ブロック図である。抽出処理部2040は、軌道縞周期入力部2041、オフナディア角入力部2042、軌道パラメータ算出部2043、散乱体高さ入力部1073、位相算出部1074、地形縞入力部1075、画素抽出部1076を備える。ここで、実施の形態1と異なるのは、軌道縞周期入力部2041、オフナディア角入力部2042が備えられている点である。軌道座標入力部1071、散乱体高さ入力部1073は備えられていないが、軌道パラメータ算出部2043では、軌道座標と散乱体高さの情報の代わりに、軌道縞周期とオフナディア角の情報によって軌道パラメータを算出する。すなわち、軌道パラメータ算出部2043は、実施の形態1の軌道パラメータ算出部1072と同様に、入力値から軌道パラメータを算出するが、異なる入力値なので、軌道パラメータ算出部1072と異なる処理となる。
軌道縞周期入力部2041は、干渉位相処理部2020で出力された複数の軌道縞周期2030を入力する。このとき、地形縞入力部1075で入力される各地形縞を形成する各SAR画像の組み合わせに対応した軌道縞周期として入力する。オフナディア角入力部2042は、SAR画像1010を撮像した電波の照射方向をオフナディア角として入力する。軌道パラメータ算出部2043は、軌道パラメータ入力部2041に入力された各地形縞に対応する軌道周期のデータ、オフナディア角入力部2042に入力されたオフナディア角の値を用いて軌道パラメータをそれぞれ算出する。すなわち、軌道パラメータ算出部2043は、各地形縞に対応する軌道周期とオフナディア角を入力とし、各地形縞に対応する軌道パラメータを出力とする。
図19に基づき、実施の形態2に係るSAR画像の3次元画像生成部2000の動作について説明する。図19は、実施の形態2に係るSAR画像の3次元画像生成部2000の動作を示すフローチャートである。
図19に示すように、実施の形態2に係るSAR画像の3次元画像生成部2000は大きく3つのステップからなる。まず、ステップST2020(干渉位相処理)では、干渉位相処理部2020がSAR画像1010、及びGCP1020を基に、軌道縞周期2030及び地形縞1060を出力する。次に、ステップST2040(抽出処理)では、抽出処理部2040が、軌道縞周期2030、地形縞1060、オフナディア角2010、散乱体高さ1040を基に、指定高さの散乱体抽出画像1080を出力する。最後に、ステップST1090(信号合成処理)では、信号合成処理部1090が、指定高さの散乱体抽出画像1080を基に、3次元SAR画像を出力する。
次に、図20に基づき、ステップST2020(干渉位相処理)の軌道縞推定の概要について説明する。ステップST2020(干渉位相処理)の目的は、2つのSAR画像から軌道縞を推定し、地形縞を生成することである。そこで、この軌道縞の簡易的な推定について説明する。
図20は、2つのSAR画像で形成した干渉位相、軌道縞の位相、地形縞の位相それぞれのグランドレンジ方向に対する変化例のグラフである。図20(a)は、あるアジマス座標でのグランドレンジ方向(電波の照射方向の地表面成分方向)に対する干渉位相φsのグラフである。位相は2πでラッピングされていることで、位相が周期的に変化している。このグランドレンジ方向に対する干渉位相φsの周期的な変化は軌道縞φgの成分であるため、軌道縞φgのグランドレンジ方向に対する変化は図20(b)のようになる。すなわち、干渉位相φsの周期的な変化成分として軌道縞φgを取り出し、その差分(φs−φg)から、図20(c)のように補正干渉位相φcを取り出す。
例えば、SAR画像の画素で、干渉位相φsを偏角、大きさ1の複素数vnを以下のように設定し、
vn=exp(j・φs) (11)
vnを空間のフーリエ変換する。これによって、干渉位相φsの空間の変化を周波数領域に変換し、ピークを持つ周期成分のみをBPF(Band Pass Filter)によって取り出す。例えば、周波領域で、ピークをもつ周波数のみを取り出す。さらに、これを逆フ−リエ変換し、この位相の変化成分を軌道縞φgとする。
次に、図21に基づきステップST2020(干渉位相処理)の処理を詳細に説明する。図21は、ステップST2020(干渉位相処理)の処理を示すフローチャートである。実施の形態2では、各画素の干渉位相の周波数領域から軌道縞の位相を算出するため、ステップST2020(干渉位相処理)はステップST2022、ステップST2023、ステップST2024を含む点が、実施の形態1の図7のステップST1050(干渉位相処理)と異なる。
ステップST2022(フーリエ変換)では、ステップST1053(位相差算出)で算出された各画素の干渉位相(位相φsとその画素の信号の振幅)を入力とする。フーリエ変換部2022は、干渉位相の位相成分φsの分布のデータをSAR画像の空間でフーリエ変換し、各干渉位相空間の周波数分布を算出する。例えば、式(11)のように、干渉位相φsを偏角、大きさ1の複素数vnを設定し、空間のフーリエ変換によって干渉位相φsの空間方向の変化を周波数領域に変換する。
ステップST2023(BPF)では、ステップST2022(フーリエ変換)で算出された干渉位相φsの空間方向の周波数領域の分布を入力する。BPF部2023は、BPFの処理を行う。入力された干渉位相φsの空間方向の周波数領域の分布のうち、空間で主な周期をもつ周波数成分を取り出す。例えば、干渉位相の空間分布を周波数空間で表わしたときのピークの周波数が軌道縞として、ピークとなる周波数のみを取り出す。ステップST1053で算出された干渉位相φsのうち、空間の位相の周期的な分布は軌道縞であるので、BPFの処理で取り出した周波数は、軌道縞φgを構成する周波数となる。
ステップST2024(逆フーリエ変換)では、ステップST2023(BPF)で取り出した干渉位相φsの空間の主な周期をもつ周波数成分を入力する。逆フーリエ変換部2024は、この空間の位相の周波数成分を、空間で逆フーリエ変換する。これにより、位相差算出部1053で出力されるSAR画像の干渉位相φsのうち、簡易的に軌道縞の位相φgを取り出す。さらに、このとき、軌道縞の位相φgの空間方向の変化の周期Δxを出力する。なお、この軌道縞周期Δxは、理論的に、
Δx=(λ・R・cosθ)/(p・B) (12)
と表される。
以降、実施の形態1の図7に記載のステップST1056(位相減算)、ステップST1058(バイアス位相成分除去)と同じ処理を行い、地形縞(位相φzとその画素の信号の振幅)を出力する。本実施の形態では、周波数領域で各画素の干渉位相と軌道縞の位相を算出することにより、効率よく軌道縞を算出することを可能とする。
次に、図22に基づきステップST2040(抽出処理)の処理を詳細に説明する。図22は、ステップST2040(抽出処理)の処理を示すフローチャートである。実施の形態2の図22は軌道パラメータ算出ステップST2043を含む点で実施の形態1の図12と異なる。
ステップST2043(軌道パラメータ算出)では、軌道周期入力部2041は、干渉位相処理部2020から出力される軌道パラメータΔxを入力し、オフナディア角入力部2042は、SAR画像を撮像した電波の照射方向をオフナディア角θとして入力し、軌道パラメータ算出部2043は、軌道パラメータmを算出する。具体的には、実施の形態1の式(8)で軌道パラメータmは
m=2・π・p・B/λ・R・sinθ
で与えられたが、実施の形態2では式(12)で出力された軌道縞周期Δxを用いて、軌道パラメータmを次式で表す。
m=1/(Δx・tanθ) (13)
ステップST2043(軌道パラメータ算出)では、式(13)の計算により、軌道パラメータmを算出する。
本実施の形態では、式(13)の計算により軌道パラメータmを算出しているので、必要とされるのは軌道縞周期Δxとオフナディア角θである。軌道縞周期ΔxはSAR画像から得られる値であり、本実施の形態では高精度なセンサの軌道の位置情報を必要とすることなく、高さ情報を指定の位相に変換する軌道パラメータを算出することができる。
実施の形態1では、高精度なセンサの軌道の位置情報が必要であったが、フーリエ変換によって求めたSAR画像の軌道縞の情報を使用することで、センサの情報は軌道位置の誤差の影響が小さい照射電波のオフナディア角のみを使用し、高精度なセンサの軌道の位置情報は必要なく処理することができる。
また、実施の形態2においても実施の形態1と同様に複数のベースラインのうちの一方を第1のベースライン長、他方を第2のベースライン長、複数の地形縞のうち第1のベースライン長に対応する地形縞を第1の地形縞、第2のベースライン長に対応する地形縞を第2の地形縞と呼ぶことにする。
すなわち、本実施の形態2に係る合成開口レーダ信号処理装置1では、干渉位相処理部2020は、前記第1及び前記第2の2つの合成開口レーダ画像から軌道縞周期を算出する軌道縞周期算出部2021を備え、抽出処理部2040は、軌道縞周期算出部2021で算出された軌道縞周期と前記合成開口レーダ画像を生成するために合成開口レーダから照射された電波のオフナディア角とを用いて、前記第1及び前記第2のベースライン長のそれぞれに対応した軌道パラメータを算出する軌道パラメータ算出部2043を備え、前記位相算出部1074は、該軌道パラメータ算出部2043で算出された軌道パラメータを用いて前記第1及び第2の特定位相を算出することを特徴とする。このような構成により、合成開口レーダ信号処理装置1は、高精度なセンサの軌道の位置情報を用いなくても特定位相を算出することが可能となる。
また、本実施の形態2に係る合成開口レーダ信号処理装置1では、軌道縞周期算出部2021は、前記第1または前記第2の2つの合成開口レーダ画像上の2つの画素に含まれる信号の相対位相の空間的な変化の度合いを表す周波数スペクトルの中から周波数成分の電力分布に基づき周波数を選択し、該選択された周波数を前記軌道縞周期の周波数として抽出することを特徴とする。また、周波数スペクトルの中から周波数成分の電力分布に基づき周波数を選択する一例としては、周波数スペクトルのピークを持つ周波数を選択する構成がある。このような構成により、合成開口レーダ信号処理装置1は、前記第1または前記第2の2つの合成開口レーダ画像を用いて効率的に軌道縞周期を抽出することができる。
実施の形態3.
実施の形態1、2では、SAR画像を撮像したセンサの軌道の位置情報や(例えば、衛星の軌道座標)や照射電波のオフナディア角など、センサの情報が必要であるのに対し、実施の形態3では、センサの情報が無い場合にも処理を可能とする方法として、センサの情報の代わりに、異なるベースラインの複数のSAR画像に加えて、指定の高さのGCP(地上基準点、Ground Control Point)データを用いて、SAR画像から指定の高さのGCPの散乱体と同じ高さの散乱体を抽出する形態について説明する。以下、実施の形態1、実施の形態2と同じ入力・出力データ、装置、ステップには同一の番号を付し、説明を省く。
図23は、実施の形態3に係るSAR画像上同一高さ散乱体の抽出を行う装置の全体構成図である。図23に基づき、実施の形態3に係るSAR画像上の同一高さ散乱体抽出部3000の概要を説明する。
SAR画像上の同一高さ散乱体抽出部3000は、実施の形態1、2と異なり、干渉位相処理部、抽出処理部、信号合成処理部に加えて、GCP高さデータ判断部を備えており、干渉位相処理部2020、抽出処理部3020、GCP高さデータ判断部3030、抽出信号合成部3040を備える。干渉位相処理部2020は、実施の形態2と同じであるが、抽出処理部3020、GCP高さデータ判断部3030は実施の形態1、実施の形態2と異なる処理構成である。
本実施の形態では、実施の形態1、実施の形態2と異なり、抽出処理部3020は、各干渉位相の地形縞1060に加えて、センサの情報の代わりに、指定高さのGCP3010を入力する。さらに、GCP高さデータ判断部3030へ、指定高さの散乱体抽出画像1080に加えて、指定高さのGCP3010が再度入力される。GCP高さデータ判断部3030では、指定高さのGCP3010のデータに散乱体の高さ情報が含まれるか否かを判断する。指定高さのGCP3010のデータに散乱体の高さ情報が含まれない場合には、指定高さの散乱体抽出画像1080を出力して同一高さ散乱体抽出部3000を終了する。指定高さのGCP3010のデータに散乱体の高さ情報が含まれる場合には、指定高さの散乱体抽出画像1080を出力し、このデータを抽出信号合成部3040に入力する。その場合、最後に、抽出信号合成部3040へ指定高さの散乱体抽出画像1080、指定高さのGCP3010が入力される。抽出信号合成部3040は、3次元SAR画像1100を出力する。
指定高さのGCP3010は、ユーザが選ぶ抽出したい高さの散乱体のSAR画像の画素の座標である。ただし、その画素の散乱体は、レイオーバ等による複数の信号が重なっていないものとする。さらに、その画素の散乱体の高さが既知である場合は、指定の高さのGCP3010のデータにはその高さの情報も含まれる。指定の高さのGCP3010の画素の散乱体の高さが未知である場合は、指定の高さのGCP3010には散乱体の高さ情報は含まれない。
図24は、抽出処理部3020の機能を示す機能ブロック図である。図24に基づき、抽出処理部3020の機能について説明する。抽出処理部3020は、指定高さのGCP入力部3021、抽出位相決定部3022、地形縞入力部1075、画素抽出部1076を備える。ここで、実施の形態2と異なるのは、指定高さのGCP入力部3021、抽出位相決定部3022が備えられている点である。軌道縞周期入力部、オフナディア角入力部、散乱体高さ入力部、軌道パラメータ算出部、位相算出部は備えられていない。実施の形態1と実施の形態2では、指定の高さの値を、式(9)により軌道パラメータmの値を用いて指定の位相の値に変換したが、抽出処理部3020では、指定の高さのGCPの画素の位相の値により直接指定の位相を選択するため、軌道パラメータの算出や、式(9)の高さ情報から位相情報への変換の処理が不要である。
指定高さのGCP入力部3021は、指定の高さのGCP3010を入力する。なお、指定高さのGCP3010には、SAR画像の画素の座標データが含まれ、その座標の散乱体の高さが既知であれば、その高さのデータも含まれる。抽出位相決定部3022は、指定の高さGCP入力部3021に入力されたSAR画像の画素のGCPの座標から、各地形縞を形成するSAR画像の組み合わせごとにその画素の地形縞の位相の値を読み取り、その位相を画素抽出部1076で抽出する位相とする。すなわち、指定の高さGCP3021を入力とし、その画素の地形縞の位相の値を出力とする。
図25は、GCP高さデータ判断部3030の機能を示す機能ブロック図である。図25に基づき、GCP高さデータ判断部3030の機能について説明する。GCP高さデータ判断部3030は、指定高さのGCP入力部3031、指定高さの散乱体抽出画像入力部3032、高さデータ有無判断部3033を備える。
指定高さのGCP入力部3031は、指定高さのGCP3010を入力する。なお、指定高さのGCP3010には、SAR画像の画素の座標データが含まれ、その座標の散乱体の高さが既知であれば、その高さのデータも含まれる。指定高さの散乱体抽出画像入力部3032は、抽出処理部3020で出力された複数の指定高さの散乱体抽出画像1080を入力する。高さデータ有無判断部3033は、指定の高さGCP入力部3031に入力されたGCP3010、指定高さの散乱体抽出画像入力部3032に入力された指定高さの散乱体抽出画像1080をもとに、指定高さのGCP3010の画素のデータの散乱体高さが既知で、散乱体高さの情報が含まれているかどうかを判断する。散乱体の高さが既知の場合、すなわち指定高さのGCP3010に散乱体の高さ情報が含まれている場合は、指定高さの散乱体抽出画像1080のデータを出力し、次の信号合成処理部3040の処理に進む。散乱体の高さが未知の場合、すなわち指定高さのGCP3010に散乱体の高さ情報が含まれていない場合は、散乱体抽出画像1080のデータを出力し、同一高さ散乱体抽出部3000を終了する。
図26は、信号合成処理部3040の機能を示す機能ブロック図である。図26に基づき、信号合成処理部3040の機能について説明する。抽出信号合成部3040は、GCP高さデータ判断部3030から指定高さの散乱体抽出画像1080のデータが入力された場合に処理を行う。
信号合成処理部3040は、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091、フォアショートニング補正部1093、指定高さのGCP入力部3041、データ合成部1094を備える。ここで、実施の形態1の図4と異なるのは、散乱体高さ入力部1092の代わりに指定高さのGCP入力部3041が備えられている点である。
指定高さのGCP入力部3041は、指定高さのGCP3010の画素の座標に含まれる散乱体の高さを入力する。この指定高さのGCP3010の画素の座標のデータに含まれる散乱体の高さのデータは、指定高さの散乱体抽出画像入力部1091で入力する指定高さの散乱体の抽出画像1080にそれぞれ対応している。
図27に基づき、実施の形態3に係るSAR画像の同一高さ散乱体抽出部3000の動作について説明する。図27は、実施の形態3に係るSAR画像の同一高さ散乱体抽出部3000の動作を示すフローチャートである。図27に示すように、実施の形態3に係るSAR画像の同一高さ散乱体抽出部3000は大きく4つのステップからなる。このうち、ステップST2020は実施の形態2の図21に記載の処理であり、ST1090は実施の形態1の図15に記載の処理であるため、詳細な説明は省略する。
ステップST3020(抽出処理)では、抽出処理部3020が、指定高さのGCP3010、地形縞1060を基に、指定高さのGCPと同一高さの散乱体を抽出し、指定高さの散乱体抽出画像1080を出力する。次に、ステップ3030(GCPの散乱体の高さ情報の有無判断)では、指定高さのGCP3010の画素にある散乱体の高さ情報の有無を判断する。散乱体の高さ情報が有る場合はステップST3040に進み、散乱体の高さ情報が無い場合は同一高さ散乱体抽出部3000を終了する。
次に、図28に基づきステップST3020(抽出処理)の処理を詳細に説明する。図28は、ステップST3020(抽出処理)の処理を示すフローチャートである。実施の形態3では、指定の高さのGCPから直接抽出する位相φz0を決定するため、位相抽出処理ステップは、高さ決定ステップ、軌道パラメータ算出ステップ、高さ位相変換ステップが無く、代わりに指定高さGCP決定ステップ(ST3021)、抽出位相決定ステップ(ST3022)を含む点で実施の形態1の図12の位相抽出処理と異なる。
ステップST3021(指定高さGCP決定)では、指定高さのGCP入力部3021でユーザが入力した指定高さのGCPの座標を入力する。ステップST3022(抽出位相決定)では、各SAR画像の組み合わせで、ステップ3021で選ばれたGCPの座標からその画素の位相の値φz0を読み取り、その位相φz0を画素抽出部1076での抽出する位相φz0とする。すなわち、指定高さGCPの座標を入力することにより、SAR画像で指定の高さに対する位相φz0を、軌道パラメータによる変換の処理なしで直接決定する。
以上のように、複数のベースラインのSAR画像の干渉位相と振幅を利用し、2つのSAR画像の組み合わせごとに、高さに対する位相のピクセルを選択しているので、同一高さの散乱体を抽出することができる。指定高さのGCP3010の散乱体の高さが未知である場合は、同一高さ散乱体抽出部3000では指定高さのGCP3010と同じ高さの散乱体のみを抽出する効果となる。一方、指定高さのGCP3010の散乱体の高さが既知である場合は、その高さごとに指定高さ散乱体抽出画像1080を並べて合成するので、実施の形態1、実施の形態2の効果と同様、3次元のSAR画像を得ることができる。
また、SAR画像の複数の高さのGCPを複数使っているため実施の形態1、実施の形態2と違い、指定の高さを抽出する位相φz0に変換する軌道パラメータの算出が必要なく、センサの軌道の位置情報は使用せずに処理することができる。
すなわち、本実施の形態3に係る合成開口レーダ信号処理装置1において、前記抽出処理部1070は、高さが既知の散乱体を表す少なくとも1つの画素を選択し、前記選択された画素に含まれる前記高さが既知の散乱体と同じ高さの散乱体を抽出することを特徴とする。特に、前記少なくとも1つの画素はGCPの画素として構成することができる。このような構成により、合成開口レーダ信号処理装置1は、センサの軌道の位置情報は使用せずに指定された高さのSAR画像を抽出することができる。
1:合成開口レーダ信号処理装置、1000:3次元画像生成部、1010、1011、1012:SAR画像、1020:GCP、1030:軌道座標、1040:散乱体高さ、1050:干渉位相処理部1050、1051:SAR画像入力部、1052:相関判定部、1053:位相差算出部、1054:軌道座標入力部、1055:軌道縞算出部、1056:位相減算部、1057:GCP入力部、1058:バイアス除去部、1060:地形縞、1070:抽出処理部、1071:軌道座標入力部、1072:軌道パラメータ算出部、1073:散乱体高さ入力部、1074:位相算出部、1075:地形縞入力部、1076:画素抽出部、1080:指定高さの散乱体抽出画像、1090:信号合成処理部、1091:指定高さの散乱体抽出画像入力部、1092:フォアショートニング補正部、1093:データ合成部、1094:データ合成部、1100:3次元SAR画像、1200:散乱体の高さ推定部、2000:3次元画像生成部、2010:オフナディア角、2020:干渉位相処理部1050、2021:軌道縞周期算出部、2022:フーリエ変換部、2023:BPF部、2024:逆フーリエ変換部、2030:軌道縞周期、2040:抽出処理部、2041:軌道縞周期入力部、2042:オフナディア角入力部、2043:軌道パラメータ算出部、3010:指定高さのGCP、3020:抽出処理部、3021:指定高さのGCP入力部、3022:抽出位相決定部、3030:GCP高さデータ判断部、3031:指定高さのGCP入力部、3032:指定高さの散乱体抽出画像入力部、3033:高さデータ有無判定部、3040:信号合成処理部、3041:指定高さのGCP入力部

Claims (9)

  1. 第1のベースライン長を有する2つのセンサそれぞれで生成される第1の2つの合成開口レーダ画像を用いて該第1の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる信号の相対位相を複数の画素に対して表した第1の地形縞及び、第2のベースライン長を有する2つのセンサそれぞれで生成される第2の2つの合成開口レーダ画像を用いて該第2の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる信号の相対位相を複数の画素に対して表した第2の地形縞を算出する干渉位相処理部と、
    特定の高さの散乱体に相当する前記第1の地形縞での位相を示す第1の特定位相及び前記特定の高さの散乱体に相当する前記第2の地形縞での位相を示す第2の特定位相を算出する位相算出部、前記干渉位相処理部で算出された前記第1の地形縞及び前記第2の地形縞の中から前記第1の地形縞で前記第1の特定位相となりかつ前記第2の地形縞で前記第2の特定位相となる前記特定の高さに相当する画素を抽出する画素抽出部、を含む抽出処理部と、
    を備えたことを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。
  2. 前記特定の高さは、前記第1のベースライン長と前記第2のベースライン長のうち短いベースライン長を有する2つのセンサのみで測定な可能な高さより高い、
    ことを特徴とする請求項1に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  3. 前記干渉位相処理部は、前記第1または前記第2の2つの合成開口レーダ画像上で高さが既知で同じ高さを有する散乱体を表す少なくとも3つの画素を選定し、前記少なくとも3つの画素に含まれる信号の位相が前記2つの合成開口レーダ画像上で同じとなるように前記2つの合成開口レーダ画像上の画素の位相を補正するバイアス除去部を含む、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  4. 前記抽出処理部は、前記第1及び前記第2のベースライン長を有する2つのセンサの軌道情報を用いて、前記第1及び前記第2のベースライン長のそれぞれに対応した軌道パラメータを算出する軌道パラメータ算出部を備え、
    前記位相算出部は、前記軌道パラメータ算出部で算出された軌道パラメータを用いて前記第1及び前記第2の特定位相を算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  5. 前記干渉位相処理部は、
    前記第1及び前記第2の2つの合成開口レーダ画像から軌道縞周期を算出する軌道縞周 期算出部を備え、
    前記抽出処理部は、
    前記軌道縞周期算出部で算出された軌道縞周期と前記合成開口レーダ画像を生成するた めに合成開口レーダから照射された電波のオフナディア角とを用いて、前記第1及び前 記第2のベースライン長のそれぞれに対応した軌道パラメータを算出する軌道パラメー タ算出部を備え、
    前記位相算出部は、該軌道パラメータ算出部で算出された軌道パラメータを用いて前記 第1及び前記第2の特定位相を算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  6. 前記軌道縞周期算出部は、前記第1または前記第2の2つの合成開口レーダ画像上の2つの画素に含まれる信号の相対位相の空間的な変化の度合いを表す周波数スペクトルの中から周波数成分の電力分布に基づき周波数を選択し、該選択された周波数を前記軌道縞周期の周波数として抽出することを特徴とする請求項5に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  7. 前記抽出処理部は、高さが既知の散乱体を表す少なくとも1つの画素を選択し、前記選択された画素に含まれる前記高さが既知の散乱体と同じ高さの散乱体を抽出する
    ことを特徴とする請求項3に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  8. 前記第1または前記第2の2つの合成開口レーダ画像上の同じ散乱体を表す2つの画素に含まれる位相の差の時間または空間的なばらつきに基づき、前記2つの画素が1種類の反射信号を含むか、複数の種類の反射信号を含むか、
    を示すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  9. 前記特定の高さは複数の高さであり、前記画素抽出部は前記複数の高さのそれぞれに相当する画素を抽出し、
    前記画素抽出部で前記複数の高さの高さごとに抽出された画素を用いて三次元画像を生成する信号合成処理部
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の合成開口レーダ信号処理装置。
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