以下、各実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の医療情報システムは、ハードウェア構成、又はハードウェア資源とソフトウェアとの組合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワーク又は記憶媒体からコンピュータにインストールされ、医療情報システムの機能を当該コンピュータに実現させるためのプログラムが用いられる。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る医療情報システムの構成を示す模式図である。この医療情報システムは、複数のユーザが議論した状況に基づいて医療情報を検索可能となっている。具体的には、医療情報システムは、医療情報DB10、医療情報表示装置11、端末操作取得部12、人物位置取得部13、音声取得部14、ログDB15、共有参照情報取得部16、検索時情報取得部17、重要度決定部18及び重要度条件DB19を備えている。
ここで、医療情報DB(第1記憶手段)10は、複数の医療情報を記憶している記憶部であり、例えば、PACS(picture archiving communication system)が該当する。複数の医療情報は、患者の電子カルテとして医療情報DB10に記憶してもよい。また、医療情報DB10は、患者の医療情報の他に、医療従事者の情報(医療従事者の名前、職種、役割)を記憶してもよい。医療従事者の情報は、図示しない職員データベースに記憶していてもよい。
医療情報表示装置(表示手段)11は、各ユーザの操作に応じて、各医療情報を選択的に表示する表示部である。医療情報表示装置11としては、例えば、PACSのビューア、ワークステーション、電子カルテ、第2ディスプレイとしての携帯端末ビューア等が、適宜、使用可能となっている。医療情報表示装置11は、カンファレンス時に、医療情報を表示して共有するときなどに利用される。また、医療情報表示装置11は、本システムによって得られた検索結果を表示するときにも利用される。
端末操作取得部(操作ログ取得部)12は、医療情報表示装置11の操作に対する操作ログ(操作時間含む)を取得し、当該操作ログをログDB15に書き込む機能をもっている。「端末操作」は「操作」と読み替えてもよい。
操作ログとしては、例えば図2に示すように、医療情報表示装置11の操作毎に、操作端末ID、参照された医療情報ID、操作者ID、日時情報(日付、時刻)及び操作内容を含んでいてもよい。また、図2に示した項目は、全てを含む必要はなく、適宜、省略してもよい。例えば、操作端末ID及び操作者IDは、適宜、省略してもよい。操作内容としては、例えば、参照開始、参照終了、拡大、表示パラメータ変化、内容の編集、などが適宜、使用可能となっている。
人物位置取得部(入力部)13は、カンファレンスに参加した人物の位置ログを取得し、当該位置ログをログDBに書き込む機能をもっている。取得するタイミングは、例えば、一定時間間隔毎、又は移動時(例、部屋の入退出時)毎などが適宜、使用可能となっている。
位置ログとしては、例えば図2に示すように、カンファレンスに参加した対象者毎に、対象者ID、日時情報(日付、時刻)及び位置情報(部屋名)を含んでいてもよい。位置ログとしては、これに限らず、例えば、対象者の情報(職種など)を更に取得してもよい。
人物位置取得部13は、例えば、手動入力により位置ログを取得する方法、又は人物が保持するセンサや端末のネットワーク機能を用いて自動的に位置ログを取得(入力)する方法などにより、実現可能となっている。また、例えば、部屋名は、ドアのセキュリティや部屋内に設置したセンサや、カメラ映像の映像処理から部屋内の人物を特定してもよく、個人が保有する携帯端末のGPS機能から取得してもよい。人物位置取得部13は、各ユーザの位置情報を入力する入力部を構成している。
音声取得部(会話ログ取得部)14は、議論中の音声に対する文字情報を含む会話ログを取得し、当該会話ログをログDB15に書き込む機能をもっている。
会話ログとしては、例えば図2に示すように、人物の発言毎に、マイク等を特定するデバイスID、話者、日時情報(日付、時刻)、文字情報、音声波形(音声ファイルのファイル名)を含んでいてもよい。
音声取得部14としては、例えば、部屋に設置されたマイク、ヘッドセットのような個別マイク、携帯端末のマイク機能などが適宜、使用可能となっている。音声取得部14は、取得した音声波形の情報を音声ファイルとして記録すると同時に音声認識技術を用いて、当該音声波形から文字情報を抽出し、話者を特定する。なお、音声取得部14は、この文字情報から特定のキーワードを抽出してもよい。また、話者を取得する場合、音声波形に対する個人認証技術を用いてもよい。あるいは、話者を特定する場合、指向性を持つマイクによって特定された音源方向から話者を特定してもよく、又は、カメラによって特定された口の動きから話者を特定してもよい。個人用マイクを使う場合は、当該個人用マイクを特定するデバイスIDから話者を特定可能である。
ログDB15は、各部12〜14,16,17から読出/書込可能な記憶部であり、操作ログ、位置ログ及び会話ログを記憶する。
共有参照情報取得部16は、ログDB15内の操作ログ、位置ログ及び会話ログから共有参照時情報を取得(作成)し、当該共有参照時情報を重要度決定部18に送出する機能をもっている。
共有参照時情報は、複数人が医療情報を共有参照した時の状況(シーン)を示す情報であり、図3に示すように、1つの医療情報の共有参照の開始時から終了時までの期間に対応して取得される。補足すると、共有参照時情報は、共有参照した医療情報を共有参照時の状況から検索するための情報である。また、共有参照時情報は、当該医療情報の重要度を決定するための情報でもある。
このため、共有参照時情報としては、図4に示すように、例えば、医療情報が共有参照される毎に、当該医療情報を識別する医療情報ID、部屋名、共有者、共有者の役割、議論者、議論時間、共有参照時の診療フロー、議論結果、議論のキーワード、議論の音声ファイルを含んでいてもよい。また、図4に示した項目は、全てを含む必要はなく、適宜、省略してもよい。「共有者の役割」は、共有者の担当科(又は職種)、勤続年数、肩書(又は職名)などが適宜使用可能となっており、例えば、図示しない職員データベースから作成してもよく、手動で入力してもよい。また、「共有者の役割」は、検索者が既知の役割であることから、省略してもよい。「診療フロー」及び「議論結果」は、電子カルテに記載される日時と文字の情報から作成してもよく、議論終了時に手動で入力してもよい。「診療フロー」の値としては、用語を統一する観点から、例えば、初期検査、病理検査、確定診断、術前検査、術前治療、術中検査、術後検査、術後治療、などを含むリスト情報から手動で選択して入力してもよい。同様に、「議論結果」の値としては、用語を統一する観点から、例えば、診断確定、治療方針決定、治療方針変更、などを含むリスト情報から手動で選択して入力してもよい。
このような共有参照情報取得部16は、抽出部、入力受付部及び作成部を構成している。抽出部は、議論中の文字情報からキーワードを抽出する。入力受付部は、診療フロー及び議論結果の入力を受け付ける。作成部は、操作ログ、位置ログ、会話ログ、キーワード、診療フロー及び議論結果に基づいて、共有参照時情報(状況情報)を作成する。
また、上述した端末操作取得部12、人物位置取得部13、音声取得部14、ログDB15及び共有参照情報取得部16は、状況情報作成手段を構成している。状況情報作成手段は、医療情報を表示した期間毎に、共有参照時情報(状況情報)を作成する。共有参照時情報(状況情報)は、当該医療情報を識別する医療情報識別情報(医療情報ID)と、各ユーザを識別するユーザ識別情報(例、議論者)と、各ユーザの位置情報(例、部屋名)と、当該医療情報の診療フロー及び議論結果と、議論中の音声から得られたキーワードとを含む。
複数の共有参照時情報には、同一の医療情報が複数含まれる場合があるが、これは議論毎に共有参照時情報が取得されるからである。
また、共有参照情報取得部16により取得(作成)された共有参照時情報(状況情報)は、図示しないメモリ(第2記憶手段)に記憶される。
検索時情報取得部17では、検索時に入力された検索キーを取得する機能をもっている。また、検索時情報取得部17は、入力された検索キーに基づいてメモリ(第2記憶手段)内の共有参照時情報(状況情報)を検索する検索機能をもっている。また、検索時情報取得部17では、検索機能による検索時の状況を示す検索時情報を取得(作成)する機能をもっている。
検索キーは、共有参照時情報に含まれる全ての情報を対象としており、複数指定してもよい。検索キーの指定方法としては、例えば、図5に示すように、キーワードを指定する方法や数値等の条件を指定する方法などが、適宜、使用可能となっている。なお、図5中、「共有者」及び「議論参加者」は発言の有無に対応している。
検索時情報は、検索時の状況(シーン)を示す情報であり、例えば、検索者の役割と、担当患者の現在の診療フローとを含んでいてもよい。検索時情報としては、図6に示すように、例えば、医療情報が検索される毎に、検索者、検索者の役割、担当患者の現在の診療フロー、議論結果、検索場所(部屋)、検索者の参照履歴、会話履歴、検索キーなどを含んでもよい。
検索者は、例えば、ログインID等から特定される。検索者の役割は、検索者の担当科(又は職種)、勤続年数、肩書(又は職名)などが適宜使用可能となっており、例えば、図示しない職員データベースから作成してもよく、手動で入力してもよい。診療フロー及び議論結果は、医療情報DB10内の電子カルテから取得される。検索場所は、ログDB15内の位置ログから取得される。検索者の参照履歴としては、ログDB15内の操作ログから検索の直前に参照した画像などが取得される。会話履歴としては、ログDB15内の会話ログから検索の直前の会話のキーワードや、会話の相手が取得される。また、会話履歴としては、会話の履歴に限らず、音声の履歴でもよいので、例えば、学会の講聴後での検索の際に、講演の音声から講演内容のキーワードが取得されてもよい。検索キーとしては、検索時に入力されたキーが取得される。
重要度決定部18は、重要度条件DB19内の重要度条件と、共有参照情報取得部16により取得された共有参照時情報と、検索時情報取得部17により取得された検索時情報とに基づき、共有参照された医療情報に対して重要度を決定する。なお、重要度条件は、重要度案件DB19から参照する構成に限らず、予め重要度決定部18のアルゴリズムに含めてもよい。すなわち、重要度決定部18は、検索された共有参照時情報及び取得された検索時情報に基づいて、当該共有参照時情報の重要度を決定してもよい。このような重要度決定部18は、重要度決定手段を構成している。また、重要度は、共有参照時情報及び検索時情報のうち、少なくとも共有参照時情報に基づいて決定してもよい。この例では、重要度は、共有参照時情報の取得時には決定されず、検索時情報の取得時毎に決定される。このため、重要度は、検索時情報の取得時毎に更新され、検索シーンによって異なる値を示す。
また、重要度決定部18は、決定した重要度をもつ共有参照時情報に含まれる医療情報IDに基づいて医療情報DB10内の医療情報を読み出し、当該読み出した医療情報を、決定された重要度の順に医療情報表示装置11に表示させる機能をもっている。このような重要度決定部18は、読出手段及び制御手段を構成している。
重要度条件DB19は、図7に示すように、重要度を決定するための重要度条件を保持する。重要度条件は、例えば、共有参照時情報内の議論者と、検索時情報内の検索者とに関連付けてスコアを示す情報としてもよい。また、重要度条件は、共有参照時情報のみで決まる場合には、共有参照時情報の項目とその値、又は当該項目の値を累積した値に関連付けてスコアを示す情報としてもよい。
また、重要度条件としては、例えば以下の(a)〜(e)に示すように、検索時情報と共有参照時情報とに関連付けてスコアの増加分を示す情報としてもよい。以下は、共有参照時情報が各ユーザの職種又は役割を含んでおり、検索時情報が、検索キーを入力したユーザの職種又は役割と、検索キーにより指定された診療フローと、検索キーを入力したユーザの位置情報とを含む場合に対応する。
(a)検索時情報内の診療フローに関連付けて、スコアが増加される共有参照時情報内の議論時のキーワードが設定される場合(図8参照)。上記(a)の場合、重要度決定部18は、検索時情報内の診療フローと、共有参照時情報内のキーワードとの組合せに応じて、重要度を変更する第2変更部を構成している。
(b)検索時情報内の検索者に関連付けて、スコアが増加される共有参照時情報内の議論参加者の職種及びキーワードが設定される場合(図9参照)。上記(b)の場合、重要度決定部18は、検索時情報内の職種又は役割と、共有参照時情報内の職種又は役割との組合せに応じて、重要度を変更する第1変更部を構成している。
(c)検索時情報内の参照情報履歴に関連付けて、スコアが増加される共有参照時情報内の医療情報の種類が設定される場合(図10参照)。
(d)検索時情報内の会話履歴に関連付けて、スコアが増加される共有参照時情報内の医療情報の種類が設定される場合(図11参照)。
(e)検索時情報内の検索場所に関連付けて、スコアが増加される共有参照時情報内の医療情報の種類が設定される場合(図12参照)。上記(e)の場合、重要度決定部18は、検索時情報内の位置情報と、共有参照時情報内の医療識別情報に基づく医療情報の種類との組合せに応じて、重要度を変更する第3変更部を構成している。
また、上記(a)、上記(b)及び上記(e)の場合、重要度決定部18は、第1変更部、第2変更部及び第3変更部により変更された重要度に基づいて、(重要度の)決定を実行する決定実行部を構成している。
次に、以上のように構成された医療情報システムの動作について図13乃至図17の模式図を用いて説明する。この例では、図13に示すように、人物位置取得部13として位置特定デバイスを人物毎に用い、音声取得部14としてマイクを人物毎に用いている。また、医療情報DB10、医療情報表示装置11、端末操作取得部12、ログDB15、共有参照情報取得部16、検索時情報取得部17、重要度条件DB18及び重要度決定部18として、PACSビューア20を用いている。
いま、図14の上段に示すように、医療情報の共有参照時(カンファレンス中)であるとする。
ステップST1において、医療情報表示装置11は、ユーザによる端末操作に応じて、医療情報DB10から読み出した医療情報を表示する。
ステップST2において、端末操作取得部12では、医療情報表示装置11の操作ログを取得する。
人物位置取得部13では、カンファレンスの場所を特定するため、カンファレンスに参加した人物の位置ログを取得する。
音声取得部14では、議論内容を特定するため、カンファレンス中の音声から会話ログを取得する。
ステップST3において、ログDB15では、端末操作取得部12、人物位置取得部13及び音声取得部14によって取得された操作ログ、位置ログ及び会話ログを記憶する。
以下、カンファレンス終了時まで、共有参照される医療情報を変更しながら、ステップST1〜ST3が繰り返し実行される。
しかる後、カンファレンスが終了し、共有参照時の状況を記録するステップST1〜ST3が終了する。
次に、図14の下段に示すように、検索者が検索を開始し、医療情報システムが医療情報の検索時に移行したとする。
ステップST4において、端末操作取得部12では、検索者による医療情報表示装置11の操作ログを取得する。
人物位置取得部13では、検索場所を特定するため、検索者の位置ログを取得する。
音声取得部14では、検索直前の会話内容を特定するため、検索直前の音声から会話ログを取得する。
ステップST5において、ログDB15では、端末操作取得部12、人物位置取得部13及び音声取得部14によって取得された操作ログ、位置ログ及び会話ログを記憶する。
ステップST6において、共有参照情報取得部16では、ログDB15内の共有参照時の操作ログ、位置ログ及び会話ログから共有参照時情報を取得する。
ステップST7において、検索時情報取得部17では、ログDB15内の検索時の操作ログ、位置ログ及び会話ログから、検索時に入力された検索キーと、検索時の状況を示す検索時情報とを取得する。
ステップST8において、重要度決定部18は、重要度条件DB19内の重要度条件と、ステップST6,ST7により取得された共有参照時情報及び検索時情報とに基づき、共有参照された医療情報に対して重要度を決定する。
重要度を決定する過程では、始めに図15に示すように、共有参照時情報の各要素にスコアを割り当てる。スコアの割り当てには、例えば図7に示した如き、重要度条件を用いる。
次に、重要度決定部18は、以下の例1〜例5及び図16に示すように、検索時情報に含まれる検索キーに基づいて、共有参照時情報(医療情報)の絞り込みを行う。
[例1]検索キーが共有者を「医師B」と指定した場合、共有者に医師Bを含まない共有参照時情報を除外する。
[例2]検索キーが議論時間を「5分以上」と指定した場合、議論時間が5分未満の共有参照時情報を除外する。
[例3]検索キーが議論結果を「診断確定」と指定した場合、議論結果が診断確定以外の共有参照時情報を除外する。
[例4]検索キーが議論者を「病理医」と指定した場合、議論者の職種に病理医を含まない共有参照時情報を除外する。
[例5]検索キーがキーワードを「リンパ節転移」と指定した場合、キーワードに「リンパ節転移」を含まない共有参照時情報を除外する。
しかる後、重要度決定部18は、各要素のスコアを合計し、共有参照時情報(医療情報)の合計スコアを算出し、重要度を得る。例えば、合計スコアの順位から重要度を順位として算出してもよく、閾値を用いて重要度を[高][中][低]などの段階的に定めてもよい。
なお、以上の処理では、議論毎に共有参照された医療情報に重要度を付けたため、同一の医療情報が複数存在する場合がある。従って、重要度決定部18は、最後に、医療情報毎に重要度を決定する。すなわち、同一の医療情報に複数の重要度がある場合、複数の重要度に基づいて1つの重要度を決定する。決定される重要度は、スコアの最大値、平均値又は中央値としてもよい。
ステップST9において、重要度決定部18は、決定した重要度に関連付けられた医療情報IDに基づいて医療情報DB10を検索し、得られた検索結果を医療情報表示装置11に提示する。検索結果は少なくとも医療情報を含んでいる。
また、検索結果としては、図17に示すように、医療情報と議論時の情報(議論の言語情報や音声ファイルも含む)を同時に提示してもよく、重要度に応じて表示の順番や表示の形態を変えてもよい。また、医療情報表示装置11は、医療情報毎の詳細情報(議論者、議論回数、合計議論時間、診療フロー一覧、キーワード一覧など)を表示してもよい。
また、医療情報表示装置11は、表示した医療情報が選択された場合に議論毎の詳細情報(議論者、議論時間、診療フロー、キーワード、音声ファイル再生など)を表示してもよい。
また、医療情報表示装置11は、音声ファイルを再生する場合、指定したキーワード付近を再生してもよく、話者の指定を促して当該指定された話者の音声を再生してもよい。
また、検索者がその時の重要度付けの基準を認識できるようにするために、文章などで重要度付けの基準(重要度決定条件)とその理由を提示することが望ましい。
上述したように本実施形態によれば、操作ログ、位置ログ及び会話ログから共有参照時情報を作成し、入力された検索キーに基づいて共有参照時情報を検索し、検索時情報を作成する。また、検索時情報及び状況情報に基づいて、状況情報の重要度を決定し、決定された重要度をもつ状況情報に含まれる医療情報識別情報に基づいて、読み出した医療情報を、重要度の順に表示させる。これにより、検索者が医療情報の内容を記憶しておらず、共有参照時の状況のみを覚えている場合でも、所望の医療情報を表示することができる。
また、カンファレンス等の共有参照時に議論したという記憶から医療情報を検索できると同時に、共有参照と議論に着目した重要度を付けるので、重要度の高い医療情報を効率的に活用できる。また、カンファレンス等の効果を高めることができる。
<第2の実施形態>
図18は第2の実施形態に係る医療情報システムの構成を示す模式図であり、図1と同様の部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、医療情報の表示を携帯端末で行う形態である。
具体的には図18に示すように、PACSサーバ20Aとして、前述した医療情報DB10、ログDB15、共有参照情報取得部16、重要度決定部18及び重要度条件DB19を備えている。
一方、携帯端末ビューア30Aとして、医療情報表示装置11、端末操作取得部12、人物位置取得部13、音声取得部14及び検索時情報取得部17を備えている。
ここで、人物位置取得部13では、部屋以外での議論を検出するために部屋名に代えて、携帯端末ビューア30Aのユーザの近傍にいる近接者のIDを位置情報として取得する。例えば、人物位置取得部13は、Bluetooth(登録商標)や超音波などの近距離通信技術などを用いた端末同士間の無線通信から近接者のIDを取得してもよい。
すなわち、本実施形態では、各ユーザの位置情報(部屋名)に代えて、各ユーザに近接した近接ユーザを識別する近接ユーザ識別情報(近接者のID)を用いている。また、人物位置取得部13は、近距離通信技術を用いて各ユーザに近接した近接ユーザの端末と通信することにより、当該近接ユーザを識別する近接ユーザ識別情報を入力する入力部を構成している。
また、人物位置取得部13は、GPS(global positioning system)機能を用いて端末間の位置の差を計算し、計算結果を位置情報として取得してもよい。
音声取得部14としては、携帯端末付属のマイクを用いて会話ログを取得する。部屋以外での議論の際には、ユーザが保持する携帯端末に医療情報を表示しても、ユーザがその医療情報に無関係の会話をする場合がある。この場合、音声取得部14は、携帯端末のカメラの情報などに基づき、ユーザが画面を見ているか否かを判定し、画面を見ていない状況であれば、会話ログの取得を中止してもよい。
医療情報表示装置11、端末操作取得部12及び検索時情報取得部17は、第1の実施形態で述べた機能を有している。
以上のような構成によれば、図19に示すように、共有参照時に、前述したステップST1〜ST3(医療情報の表示、各ログの取得及び記憶)の処理を携帯端末ビューア30Aが実行する。
検索時には、前述したステップST4,ST5,ST9(各ログの取得及び記憶、検索結果の提示)の処理を携帯端末ビューア30Aが実行する。
従って、例えば、カンファレンス外で立ち話などにより医療情報を共有参照した場合でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3の実施形態>
図20は第3の実施形態に係る医療情報システムの構成を示す模式図である。
第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態の変形例であり、医療情報システムの機能を第1乃至第5装置21〜25に分散配置した形態となっている。
ここで、第1装置21は、前述した医療情報DB10を備えている。第1装置21は、例えば、PACSにより実現してもよい。
第2装置22は、前述した医療情報表示装置11及び端末操作取得部12を備えている。第2装置22は、例えば、PACS、ワークステーション、電子カルテ又は携帯端末ビューアにより実現してもよい。
第3装置23は、前述した人物位置取得部13及び音声取得部14を備えている。第3装置23は、例えば、外部ハードウェア(マイク、位置計測センサ)又は携帯端末ビューアにより実現してもよい。
第4装置24は、前述したログDB15、共有参照情報取得部16、重要度決定部18及び重要度条件DB19を備えている。第4装置24は、例えば、PACS、ワークステーション、電子カルテ又はクラウドにより実現してもよい。
第5装置25は、前述した検索時情報取得部17を備えている。第5装置25は、例えば、PACS、ワークステーション、電子カルテ又は携帯端末ビューアにより実現してもよい。
また、各装置21〜25は、それぞれ上記システム又はデバイス等により実現する場合、上記システム又はデバイス等の全ての組合せで運用可能となっている。
以上のような構成によれば、医療情報システムの機能を各装置21〜25に分散配置したとしても、第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、第2の実施形態と同様の効果を得たい場合、立ち話の際の操作ログ、位置ログ及び会話ログを記憶する観点から、少なくとも第2装置22及び第3装置23を携帯端末ビューアとして実現する必要がある。
<第4の実施形態>
図21は第4の実施形態に係る医療情報システムの構成を示す模式図である。
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、遠隔地と病院との間で医療情報を共有参照した時の状況を示す共有参照時情報を取得するために、遠隔地と病院との間の通信ログを取得する形態となっている。
これに伴い、医療情報システムは、図13に示したPACSビューア20に代えて、携帯端末ビューア30Bに通信可能なPACSビューア20Bと、当該携帯端末ビューア30Bとを備えている。
PACSビューア20Bは、医療情報DB10、医療情報表示装置11、端末操作取得部12、ログDB15B、共有参照情報取得部16B、検索時情報取得部17、重要度決定部18及び重要度条件DB19を備えている。
ここで、医療情報DB10、医療情報表示装置11、端末操作取得部12、検索時情報取得部17、重要度決定部18及び重要度条件DB19は、第1の実施形態で述べた機能を有している。但し、PACSビューア20B内の重要度決定部18は、カンファレンス中に、携帯端末ビューア30Bから受けた要求に基づいて、医療情報表示装置11に表示中の医療情報を携帯端末ビューア30Bに送信する機能をもっている。また、人物位置取得部13及び音声取得部14も同様に、第1の実施形態で述べた機能をもっている。
ログDB15Bは、前述した操作ログ、位置ログ及び会話ログに加え、携帯端末ビューア30Bから受信した通信ログを記憶する。
共有参照情報取得部16Bは、前述した機能に加え、ログDB15B内の通信ログにも基づいて、共有参照時情報を取得(作成)する機能をもっている。
一方、携帯端末ビューア30Bは、医療情報表示装置11B、端末操作取得部12B、人物位置取得部13B、音声取得部14B及び通信ログ取得部31Bを備えている。
ここで、医療情報表示装置11B、端末操作取得部12B、人物位置取得部13B及び音声取得部14Bは、それぞれ第1の実施形態の医療情報表示装置11、端末操作取得部12、人物位置取得部13及び医療情報表示装置14と同様の機能をもっている。
但し、医療情報表示装置11Bは、医療情報表示装置11が表示する医療情報と同一の医療情報を表示するための表示部(第2表示手段)を有している。また、医療情報表示装置11Bは、重要度決定部18との間で通信を実行し、重要度決定部18から受信した医療情報を表示部(第2表示手段)に表示させる通信手段を構成している。
通信ログ取得部31Bは、病院に配置された医療情報システムの要素と通信したときの通信ログを医療情報表示装置11Bから取得し、当該通信ログをログDB15Bに書き込む機能をもっている。
ここで、通信ログは、例えば日時情報及び通信先デバイスID(PACSビューア20BのID)などを含んでいる。通信ログは、操作ログ、位置ログ及び会話ログとの時間的な照合により、遠隔地にいる共有者やその会話を同一の共有参照時情報として取得可能とする情報である。また、医療情報一つについて共有参照時情報を決定する場合、病院と遠隔地の両方で参照が終了するまでを一つの共有参照時情報としてもよい。
次に、以上のように構成された医療情報システムの動作について図22及び図23の模式図を用いて説明する。この例では、病院には、PACSビューア20B、人物位置取得部13及び音声取得部14が配置されているとする。また、当該病院に対して遠隔地にある施設内では、携帯端末ビューア30Aが使用されるとする。
いま、図22の上段に示すように、病院と遠隔地とが医療情報の共有参照時(カンファレンス中)であるとする。また、病院の医療従事者と、遠隔地の医療従事者との間では、電話を通じて会話が行われるとする。
病院内のPACSビューア20B、人物位置取得部13及び音声取得部14は、第1の実施形態と同様に、ステップST1〜ST3を実行する。
一方、遠隔地の携帯端末ビューア30Aでは、ステップST1において、医療情報表示装置11Bが、ユーザによる端末操作に応じて、医療情報DB10から読み出した医療情報を表示する。
ステップST2Bにおいて、端末操作取得部12Bでは、医療情報表示装置11Bの操作ログを取得する。
人物位置取得部13Bでは、近傍にいる近接者のIDを位置情報として取得する。
音声取得部14Bでは、議論内容を特定するため、カンファレンス中の音声から会話ログを取得する。
通信ログ取得部31Bは、医療情報表示装置11Bから通信ログを取得する。
ステップST3Bにおいて、ログDB15Bでは、端末操作取得部12B、人物位置取得部13B、音声取得部14B及び通信ログ取得部Bによって取得された操作ログ、位置ログ、会話ログ及び通信ログを記憶する。
以下、カンファレンス終了時まで、PACSビューア20Bでは、共有参照される医療情報を変更しながら、ステップST1〜ST3が繰り返し実行される。
同様に、カンファレンス終了時まで、携帯端末ビューア30Bでは、共有参照される医療情報を変更しながら、ステップST1,ST2B,ST3Bが繰り返し実行される。
しかる後、カンファレンスが終了し、共有参照時の状況を記録するステップST1〜ST3,ST1〜ST3Bが終了する。
次に、図22の下段に示すように、検索者が検索を開始し、医療情報システムが医療情報の検索時に移行したとする。
PACSビューア20Bは、前述同様に、ステップST4,ST5を実行する。
ステップST6Bにおいて、共有参照情報取得部16Bでは、ログDB15B内の共有参照時の操作ログ、位置ログ、会話ログ及び通信ログから共有参照時情報を取得する。
例えば図23に示すように、共有参照情報取得部16Bは、通信ログに基づいて、携帯端末ビューア30BとPACSビューア20Bとの間の通信期間(t4〜t11)を導出する。また、共有参照情報取得部16Bは、得られた通信期間内の操作ログ、位置ログ及び会話ログを選択する。さらに、共有参照情報取得部16Bは、選択した操作ログ、位置ログ及び会話ログと、前述したキーワード、診療フロー及び議論結果とに基づいて、共有参照時情報を取得(作成)する。
例えば、共有参照情報取得部16Bでは、病院と遠隔地との一方の参照開始時(t5)から、病院と遠隔地との両方での参照終了時(t10)までの期間に応じて1つの共有参照時情報を取得する。
以下、前述同様に、PACSビューア20Bは、ステップST7〜ST9を実行する。
上述したように本実施形態によれば、病院と遠隔地との間で通信を介して医療情報を共有する場合でも、通信ログに基づいて共有参照時情報を取得する構成により、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、操作ログ、位置ログ及び会話ログから共有参照時情報を作成し、当該共有参照時情報に基づいて医療情報を検索する構成により、検索者が医療情報の内容を記憶しておらず、共有参照時の状況のみを覚えている場合でも、所望の医療情報を表示することができる。
なお、上記の各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
さらに、各実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記の各実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
なお、各実施形態におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記の各実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
また、各実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。