JP6316528B1 - 円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器 - Google Patents

円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器 Download PDF

Info

Publication number
JP6316528B1
JP6316528B1 JP2018501375A JP2018501375A JP6316528B1 JP 6316528 B1 JP6316528 B1 JP 6316528B1 JP 2018501375 A JP2018501375 A JP 2018501375A JP 2018501375 A JP2018501375 A JP 2018501375A JP 6316528 B1 JP6316528 B1 JP 6316528B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
accelerator
adjustment mechanism
outer conductor
conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018501375A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018127990A1 (ja
Inventor
智行 岩脇
智行 岩脇
山本 和男
和男 山本
裕次 宮下
裕次 宮下
裕介 坂本
裕介 坂本
啓 井上
啓 井上
大士 永友
大士 永友
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority claimed from PCT/JP2017/029589 external-priority patent/WO2018127990A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6316528B1 publication Critical patent/JP6316528B1/ja
Publication of JPWO2018127990A1 publication Critical patent/JPWO2018127990A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Accelerators (AREA)
  • Radiation-Therapy Devices (AREA)

Abstract

静電容量調整幅に対応して変化する共振周波数の調整帯域を、狭帯域化することなく大幅に変更することを目的とする。本発明の円形加速器の高周波加速装置(2)は、内導体(17)及び内導体(17)を囲む外導体(16)を有し、電極(6,7)に高周波電力を伝送する伝送線路(8)と、加速空洞(42)の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子(11)及び周波数調整機構(43)と、を備える。周波数調整機構(43)は、伝送線路(8)の内導体(17)に接続され、かつ内導体(17)から離れる方向に延伸した調整機構内導体(12)と、伝送線路(8)の外導体(16)に接続され、かつ調整機構内導体(12)を包含する調整機構外導体(14)と、調整機構内導体(12)と調整機構外導体(14)とを電気的に接続し、かつ調整機構内導体(12)と調整機構外導体(14)との接続位置を変更可能に配置された導体で構成される可動ショート板(13)と、を備える。

Description

本発明は、粒子線治療用円形加速器の分野に係わり、特に、シンクロサイクロトロン加速器における共振周波数変更により複数のエネルギーに対応させて荷電粒子を加速する高周波加速装置に関するものである。
シンクロサイクロトロン加速器は、偏向電磁石の対向する磁極の隙間である磁極ギャップにおいて、荷電粒子を螺旋軌道を描くように周回させながら高エネルギーまで加速する円形加速器である。荷電粒子はシンクロサイクロトロン加速器の中心より磁極ギャップに入射され、偏向電磁石及び磁極により形成された磁場により、磁極ギャップにおいて周回運動する。高周波加速装置は、荷電粒子の周回周波数に同期した電場を電極部に形成し、荷電粒子にエネルギーを付与する。荷電粒子の周回周波数はエネルギーの増大に伴い低下するので、電極部に形成される電場の周波数をこれに同期させて低下させるために、電極部に電力を供給する高周波加速装置の共振周波数を荷電粒子の加速に伴い低下させる必要がある。荷電粒子の周回周波数は、シンクロサイクロトロン加速器から出射する出射エネルギー、及びシンクロサイクロトロン加速器の偏向電磁石の磁場分布により定まる。
高周波加速装置の共振周波数は、高周波加速装置の静電容量とインダクタンスにより定まる。高周波加速装置は、例えば、電場を形成する電極部であるディー電極、電力をディー電極まで伝える伝送線路、及び共振周波数を変化させる回転コンデンサー等により構成される。特許文献1には、シンクロサイクロトロン加速器のディー電極に高周波(RF)電圧を印加する高周波加速装置に相当するRF構造体が開示されている。特許文献1の高周波加速装置は、共振周波数を調整する可変リアクタンス素子(可変容量性リアクタンス素子)を2つ備えている。第一の可変リアクタンス素子は回転コンデンサーであり、第二の可変リアクタンス素子は内導体とこれに対向するプレートにより形成されるコンデンサーである。このプレートは、高周波加速装置の内導体と外導体との距離を部分的に変更し、静電容量を調整する。このように、特許文献1の高周波加速装置においては、回転コンデンサーによる共振周波数帯域を変更するため、高周波加速装置の静電容量を調整するプレートを使用していた。
特許文献2には、円形加速器であるサイクロトロン加速器におけるディー電極と共振空洞(加速空洞)との静電容量の増大を防止するために、ディー電極に対向する結合コンデンサ体と、結合コンデンサ体に接続された内導体と、ディー電極及び内導体を囲む外導体と、内導体と外導体との間に摺動可能に設けられたショート板とを備えた共振周波数調整機構が開示されている。特許文献2の共振周波数調整機構は、ショート板の位置を変更することにより、結合コンデンサ体とディー電極との静電容量に直列に接続されたインダクタンスを調整し、共振回路の共振周波数を調整していた。
特表2015−532509号公報(0135段〜0138段、図27) 特開平11−354299号公報(0033段〜0036段、図11)
粒子線治療に用いるシンクロサイクロトロン加速器において、治療部位に適したエネルギーの荷電粒子ビームを取り出すために、シンクロサイクロトロン加速器から出射される出射ビームのエネルギーを変更する必要がある。シンクロサイクロトロン加速器から出射される出射ビームのエネルギーを変更する際には、共振周波数を大幅に変更する必要がある。特許文献1の高周波加速装置では、出射ビームのエネルギーを変更する際にプレートによる静電容量を大きくすると、回転コンデンサーによる静電容量調整幅が相対的に小さくなり、高周波加速装置の周波数調整幅が狭帯域化する。その結果、出射ビームのエネルギー変更幅を広くすることが困難となる。すなわち、特許文献1の高周波加速装置を備えたシンクロサイクロトロン加速器は、皮膚からの深さ範囲が広い治療部位等に適したエネルギーの荷電粒子ビームを取り出すことが困難である。
また、特許文献2の共振周波数調整機構は、サイクロトロン加速器のディー電極に対向する結合コンデンサ体が共振空洞(加速空洞)に設けられているので、特許文献2のサイクロトロン加速器は、結合コンデンサ体に接続された内導体が、共振空洞(加速空洞)を囲む磁極及びヨークを荷電粒子が周回する軌道面に垂直な方向に貫通するように配置されることになる。このため、特許文献2のサイクロトロン加速器は、共振空洞(加速空洞)に磁場を形成する磁極及びヨークの形状が複雑になる問題がある。特許文献2の共振周波数調整機構をシンクロサイクロトロン加速器に適用する場合も、共振空洞(加速空洞)に磁場を形成する磁極及びヨークの形状が複雑になる問題がある。
本発明の目的は、磁極及びヨークの形状を複雑化させることなく、静電容量調整幅に対応して変化する共振周波数の調整帯域を、広帯域に変更できる円形加速器の高周波加速装置を得ることを目的とする。
本発明の円形加速器の高周波加速装置は、円形加速器の偏向電磁石が形成する偏向磁場により螺旋軌道に沿って周回する荷電粒子に高周波電場を印加して当該荷電粒子を加速する円形加速器の高周波加速装置である。円形加速器の高周波加速装置は、荷電粒子に高周波電場を印加する電極と、内導体及び内導体を囲む外導体を有し、電極に高周波電力を伝送する伝送線路と、伝送線路と電極とより構成される加速空洞と、加速空洞の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子及び周波数調整機構と、を備える。円形加速器の高周波加速装置の周波数調整機構は、伝送線路の内導体に接続され、かつ内導体から離れる方向に延伸した調整機構内導体と、伝送線路の外導体に接続され、かつ調整機構内導体を包含する調整機構外導体と、調整機構内導体と調整機構外導体とを電気的に接続し、かつ調整機構内導体と調整機構外導体との接続位置を変更可能に配置された導体で構成される可動ショート板と、を備えている。調整機構外導体は、外導体よりも内導体に近い位置に底が配置された外導体凹部と、外導体凹部の底から外周方向に延伸した外導体凸部と、を備えている。
本発明の円形加速器の高周波加速装置は、加速空洞の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子及び周波数調整機構を備え、周波数調整機構の調整機構内導体が伝送線路の内導体に接続され、かつ内導体から離れる方向に延伸しており、周波数調整機構の可動ショート板が調整機構内導体と調整機構外導体とを電気的に接続し、かつ調整機構内導体と調整機構外導体との接続位置を変更可能に配置されるため、静電容量調整幅に対応して変化する共振周波数の調整帯域を、狭帯域化することなく大幅に変更できる。
本発明の実施の形態1による円形加速器の概略構成図を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態1による円形加速器の概略構成図を示す、図1のA1−A1断面における断面模式図である。 図2の高周波加速装置の概略構成図を示す断面模式図である。 図3の調整機構の拡大図である。 図4のA3−A3断面における回転コンデンサーの断面図である。 本発明の実施の形態1による円形加速器における、周回周波数の上限値及び下限値の例を示す図である。 図2の周波数調整機構による周回周波数の変更例を示す図である。 図2の高周波加速装置の特性インピーダンスの分布例を示す図である。 図4のA4−A4断面における調整機構の断面図である。 図4の外導体凹部の必要性を説明する図である。 本発明の実施の形態1による高周波加速装置の共振周波数特性を示す図である。 比較例による高周波加速装置の共振周波数特性を示す図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による円形加速器の概略構成図を示す断面模式図である。図2は、本発明の実施の形態1による円形加速器の概略構成図を示す、図1のA1−A1断面における断面模式図である。図3は図2の高周波加速装置の概略構成図を示す断面模式図であり、図4は図3の調整機構の拡大図である。図5は、図4のA3−A3断面における回転コンデンサーの断面図である。図6は、本発明の実施の形態1による円形加速器における、周回周波数の上限値及び下限値の例を示す図である。図7は図2の周波数調整機構による周回周波数の変更例を示す図であり、図8は図2の高周波加速装置の特性インピーダンスの分布例を示す図である。図9は図4のA4−A4断面における調整機構の断面図であり、図10は図4の外導体凹部の必要性を説明する図である。図11は本発明の実施の形態1による高周波加速装置の共振周波数特性を示す図であり、図12は比較例による高周波加速装置の共振周波数特性を示す図である。円形加速器であるシンクロサイクロトロン加速器1は、偏向電磁石41と、偏向電磁石41の中央に設置されるイオン源5と、イオン源5から入射された荷電粒子を加速する高周波加速装置2と、加速された荷電粒子を加速器外に取り出す出射ダクト15を備える。なお、荷電粒子を適宜、単に粒子と呼ぶことにする。
偏向電磁石41は、隙間をあけて配置される2つの電気コイル3a、3bと、これら電気コイル3a、3bにて励磁される磁極32a、32bをそれぞれ有する、互いに対向する2つのヨーク4a、4bとを備える。高周波加速装置2は、磁極32aと磁極32bとの隙間(磁極ギャップ)に配置されたディー電極6と、ダミーディー電極7と、ディー電極6及びダミーディー電極7に電力を伝送する伝送線路8と、伝送線路8、ディー電極6及びダミーディー電極7により構成される加速空洞42と、加速空洞42に電力を入力する入力ポート9と、入力カプラー10と、加速空洞42の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子(回転コンデンサー11)及び周波数調整機構43とを備える。可変容量性リアクタンス素子は、例えば回転コンデンサー11である。周波数調整機構43は、調整機構内導体12、導体で構成される可動ショート板13及び調整機構外導体14を備え、可変容量性リアクタンス素子にて変更する共振周波数の変更可能な帯域、すなわち共振周波数帯域を調整する。
高周波加速装置2は同軸構造であり、外導体16と内導体17を有する。高周波加速装置2の外導体16は5つの領域を有し、高周波加速装置2の内導体17は2つの領域を有する。5つの領域における外導体16は、それぞれ磁極側外導体16A、第一伝送外導体16B、第二伝送外導体16C、第三伝送外導体16D、及び第四伝送外導体16Eである。磁極側外導体16Aは破線61aと破線61bの間の領域における外導体16であり、第一伝送外導体16Bは破線61bと破線61cの間の領域における外導体16である。第二伝送外導体16Cは破線61cと破線61dの間の領域における外導体16であり、第三伝送外導体16Dは破線61dと破線61eの間の領域における外導体16であり、第四伝送外導体16Eは破線61eと破線61fの間の領域における外導体16である。2つの領域における内導体17は、それぞれ第一伝送内導体17A、第二伝送内導体17Bである。第一伝送内導体17Aは破線62aと破線62bの間の領域における内導体17であり、第二伝送内導体17Bは破線62bと破線62cの間の領域における内導体17である。
伝送線路8における内導体17は破線62aの位置でディー電極6に接続され、外導体16は破線61aの位置でダミーディー電極7に接続される。電源44からの電力は入力ポート9から入力され、容量的に伝送線路8と結合する入力カプラー10を介して高周波加速装置2へ給電される。ここでは、入力カプラー10が内導体17の第二伝送内導体17Bに容量的に結合する例を示した。周波数調整機構43は、外導体16の第三伝送外導体16Dと、この第三伝送外導体16Dに対向する内導体17の第二伝送内導体17Bとに配置されている。調整機構内導体12は内導体17の第三伝送外導体16Dと接続され、内導体17の第三伝送外導体16Dに対して垂直に設置される。可動ショート板13は、内導体17と外導体16とを調整機構内導体12の位置にて、短絡させるために、すなわち電気的に接続するために使用し、調整機構内導体12に沿って、その位置を調整することが可能である。図3に示すように、可動ショート板13に接続された移動棒48をエアシリンダ等の駆動装置47で駆動することにより、可動ショート板13を任意の位置に移動することができる。
周波数調整機構43の調整機構外導体14は、第二伝送外導体16C及び第四伝送外導体16Eよりも内導体17の近くになるように狭窄された外導体凹部14Aと、外導体凹部14Aの底(内導体側の面)から外側へ離れるように延伸した外導体凸部14Bを有する。調整機構内導体12と外導体凸部14Bとは同軸構造である。
回転コンデンサー11は、図4及び図5に示すように、回転コンデンサー外周導体21、回転ブレード20、回転コンデンサー軸18、及び固定ブレード19を備える。回転コンデンサー外周導体21は、伝送線路8における外導体16と回転可能に接続されている。回転ブレード20は、回転コンデンサー外周導体21に接続され、固定ブレード19は内導体17に接続された回転コンデンサー軸18に接続されている。回転コンデンサー外周導体21は、図3に示すように、回転棒46に接続され、回転棒46はモーターなどの駆動装置45に接続されている。回転ブレード20は、回転コンデンサー外周導体21と共に駆動装置45にて回転コンデンサー軸18を中心に回転する。回転コンデンサー11は、回転ブレード20の回転により、回転ブレード20が固定ブレード19と噛み合う(重なる)につれて、静電容量が増加する。逆に、回転コンデンサー11は、2つのブレード(固定ブレード19、回転ブレード20)が噛み合わなくなるにつれて、静電容量が低下する。回転ブレード20及び固定ブレード19の形状は、必要な静電容量の時間依存性を満たすように機械的に加工されている。
次に、実施の形態1のシンクロサイクロトロン加速器1の動作を説明する。図1、図2にて示した偏向電磁石41により図1の紙面垂直方向に所定の偏向磁場を形成する。この偏向磁場により、イオン源5から入射された粒子が磁極32aと磁極32bとの隙間の軌道面33、すなわち磁極ギャップの間の軌道面33において粒子軌道31のように周回運動する。周回運動する粒子が、ディー電極6とダミーディー電極7との隙間にて構成される加速ギャップ30に到達するタイミングで、加速ギャップ30に加速電場を形成する。粒子は加速ギャップ30を通過するたびに、加速電場により加速され、エネルギーを上昇させる。エネルギーの上昇に伴い、粒子の周回軌道が拡大する。粒子は所定のエネルギーまで到達すると出射ダクト15に到達し、シンクロサイクロトロン加速器1の外へと出射される。所定のエネルギーまで到達した複数の粒子が荷電粒子ビーム22として取り出される。加速ギャップ30は、図1に記載した破線63aと破線63bとの間の隙間(ギャップ)である。なお、図1の破線63aで示した位置は、図3の破線61aで示した位置に相当する。
粒子が加速ギャップ30にて加速されるに従って、粒子の実効的な質量が相対論効果により増加し、周回周波数が低下する。粒子を加速ギャップ30にて加速させ続けるためには、周回周波数の低下に合わせた加速電場を形成する必要がある。そのために、高周波加速装置2の共振周波数と電源44から供給される電力の周波数とを、低下する粒子の周回周波数と一致させ、電源44から伝送線路8を介して加速ギャップ30まで変更した周波数の電力を伝送する。共振周波数は高周波加速装置2のインダクタンスと静電容量にて定まる。粒子がシンクロサイクロトロン加速器1に入射されてから出射されるまでの時間はms程度であるため、高周波加速装置2の可変容量性リアクタンス素子は高速に静電容量を変化させることが可能な回転コンデンサー11等の可変容量性リアクタンス素子を適用する。
粒子の周回周波数の変化を説明する。粒子の周回周波数の変化を簡単に見積もるために、例えば偏向電磁石41による磁場の強さが半径方向(中心から外周方向)に対して一定の6Tとし、荷電粒子の例として陽子を235MeVまで加速することを考える。粒子の周回周波数f1は、偏向電磁石41の磁場B、粒子の電荷q、粒子の質量m、粒子のローレンツ因子γにて、下記の数式(1)により定まる。
f1=qB/(2πγm) ・・・(1)
ただし、粒子のローレンツ因子γは、粒子の速度v、光速cを用いて下記の数式(2)により定まる。
γ=1/√(1−v/c) ・・・(2)
陽子の初期周回周波数は、数式(1)のγに1を代入して91.4MHzと求められる。一方、出射の際における陽子のエネルギー235MeVに対応するローレンツ因子γは1.25であるため、出射時の陽子の周回周波数は、数式(1)より73.2MHzと求められる。このように加速の初期から加速の完了にかけて、周回周波数は20%程度低下する。この周波数の低下に一致した共振周波数を得るために、回転コンデンサー11にて高周波加速装置2の静電容量を高速に変更する。
また、粒子のローレンツ因子γと磁場Bに依存する粒子の軌道半径rは、下記の数式(3)により定まる。なお、適宜、軌道半径rを単に半径rと呼ぶことにする。
r=γmv/qB ・・・(3)
この場合、数式(3)より荷電粒子ビーム22である陽子線をシンクロサイクロトロン加速器1から取り出す位置は、イオン源5を中心とした半径rが0.29mの箇所となる。図1に示す出射ダクト15は、所望のエネルギーまで加速され、加速が完了した粒子が通過する軌道に沿うように設置される。
次に出射エネルギーを変更した場合においても、同一の出射ダクト15を使用することを念頭に、磁場Bの強度を調整することにより粒子の出射エネルギーを変更することを考える。図6に、出射位置を0.29mの半径rの位置にした場合における、磁場Bの強さに対する粒子の出射エネルギー、粒子の周回周波数の上限値及び下限値を示した。粒子の周回周波数の上限値及び下限値は、それぞれ加速初期の周回周波数及び出射時の周回周波数である。
図6を用いて、出射エネルギーを例えば235MeVから68.5MeVまで変化させるためには、高周波加速装置2の共振周波数を最大値の91.4MHzから最小値の42.6MHzまで広帯域に変化させる必要があることが分かる。この場合の共振周波数の範囲は、概ね平均値(中心値)の67.0MHzにおける±40%の範囲になる。したがって、共振周波数を概ね平均値(中心値)の±40%の範囲のように広帯域に変化させる必要があることが分かる。
実施の形態1のシンクロサイクロトロン加速器1では、粒子の出射エネルギーに応じて高周波加速装置2のインダクタンスLを周波数調整機構43にて変更する。高周波加速装置2のインダクタンスLを変更する際には、可動ショート板13から調整機構外導体14の外導体凹部14Aまでの距離d(図9参照)を調整し、共振周波数と、可変容量性リアクタンス(回転コンデンサー11)にて調整する共振周波数帯域と、を変更する。図9の距離dは高周波加速装置2のインダクタンスLを設定する距離なので、図9の距離dを、適宜、インダクタンス設定距離と呼ぶことにする。図7、図9を用いて、共振周波数及び共振周波数帯域を変更する基本概念を説明する。図7の横軸は粒子の加速時間であり、縦軸は粒子の周回周波数である。加速時間t1は、周回周波数が上限値となる加速初期の時間である。加速時間t2は、周回周波数が下限値となる出射時の時間である。
図7には、4つの周回周波数特性、すなわち周回周波数特性51、52、53、54を示した。周回周波数特性51は、粒子の出射エネルギーが235MeVであり、インダクタンス設定距離dが図9のd1の場合の特性である。周回周波数特性52は、粒子の出射エネルギーが170MeVであり、インダクタンス設定距離dが図9のd2の場合の特性である。周回周波数特性53は、粒子の出射エネルギーが114MeVであり、インダクタンス設定距離dが図9のd3の場合の特性である。周回周波数特性54は、粒子の出射エネルギーが68.5MeVであり、インダクタンス設定距離dが図9のd4の場合の特性である。図7に示した4つの周回周波数特性51、52、53、54は、それぞれ図6に示した4つの出射エネルギーに対応した例を示した。
粒子の出射エネルギーが高い場合には、共振周波数帯域の上限周波数及び下限周波数も高い周波数となるため、可動ショート板13と調整機構外導体14の外導体凹部14Aまでの距離dを短く保ち、インダクタンスを低く設定する。逆に、粒子の出射エネルギーが低い場合には、共振周波数帯域の上限周波数及び下限周波数も低い周波数となるため、可動ショート板13と調整機構外導体14の外導体凹部14Aとの距離dを長く保ち、インダクタンスを高く設定する。図7、図9における距離dの関係は、d1<d2<d3<d4である。
図8には、高周波加速装置2における特性インピーダンスの分布例を示した。一般的に、回転コンデンサー11にて加速空洞42の共振周波数を広帯域に変更するために、高周波加速装置2の特性インピーダンスは、高周波加速装置2の中央部(第一伝送外導体16B、第一伝送内導体17Aの部分)にて低く、両端(磁極側外導体16Aの部分と回転コンデンサー11側の部分)に向かって高くなる分布を有する。図8における、容量C、Cはそれぞれ、加速ギャップ30の容量、回転コンデンサー11の容量である。図8に示した破線61a、62a、62b、62cは、図3に示した破線61a、62a、62b、62cと同じである。図8の特性インピーダンスZdeeは、磁極側外導体16Aの部分の特性インピーダンスである。特性インピーダンスZは第一伝送内導体17Aの部分の特性インピーダンスであり、特性インピーダンスZは第二伝送内導体17Bの部分の特性インピーダンスである。図8では、特性インピーダンスZdee、Z、Zが、それぞれ20Ω、5Ω、30Ωである例を示した。
加速空洞42の共振周波数、すなわち高周波加速装置2の共振周波数の調整帯域を周波数調整機構43によって大きく変えるためには、周波数調整機構43からディー電極側(ディー電極6の側)を見た合成インピーダンスZが高い位置に周波数調整機構43を配置する。これは、周波数調整機構43のインピーダンスをZとした場合、周波数調整機構43を含めた合成インピーダンスZが下記の数式(4)により求まるためである。つまり、合成インピーダンスZを高くするためには、特性インピーダンスの高い領域を含めることが効果的である。そのため、周波数調整機構43は回転コンデンサー11に最も近い特性インピーダンスの高い部分の伝送線路8、すなわち第二伝送内導体17Bの部分に配置することが望ましい。
Z=Z/(Z+Z) ・・・(4)
ただし、周波数調整機構43のインピーダンスZは、特性インピーダンスZ、可動ショート板13から外導体凹部14Aまでの距離d、波数(伝搬定数)βを用いて下記の数式(5)により定まる。
=iZ×tan(βd) ・・・(5)
ただし、iは虚数単位である。
周波数調整機構43において、伝送線路8の内導体17と直接接続される調整機構内導体12を用いることにより、製作性が向上し、かつ調整機構内導体12と伝送線路8の内導体17との境界面における熱損失が低減できる。周波数調整機構43を配置する伝送線路8における、特性インピーダンスの高い部分、すなわち第二伝送内導体17Bの部分は、伝送線路8の外導体16の径が内導体17の径に比べて明らかに大きい。これは、例えば円筒同軸管を例にとると、特性インピーダンスZが、外導体16の径aと内導体17の径b、比誘電率εを用いて下記の数式(6)により定まるためである。すなわち、伝送線路8の第二伝送内導体17Bの部分における特性インピーダンスを大きくするために、伝送線路8の第一伝送内導体17Aの部分における、内導体17の径bに対する外導体16の径aの比a/bよりも、伝送線路8の第二伝送内導体17Bの部分における比a/bを大きくするように、外導体16及び内導体17が設計されている。なお、比a/bを計算するための径a、bは、直径でも半径でもよい。
≒(138/√ε)log10(a/b) ・・・(6)
例えば、比誘電率1の真空中にて30Ωの特性インピーダンスを達成するためには、数式(6)から比a/bを1.18とすればよい。外導体16の直径を例えば400mmと設定した場合、内導体17の直径は339mmとなり、内導体17と外導体16との間隔は30.5mmとなる。図10の例を用いて、内導体17と外導体16との間隔が30.5mmとなる部分において、調整機構内導体12と可動ショート板13とにてインダクタンスを変更する場合を考える。図10には、調整機構内導体12の長さが同じ場合における比較例の周波数調整機構を示した。図10の外導体凸部71は、外導体16から延伸した凸部であり、実施の形態1の調整機構外導体14に相当する。図10では30.5mmの隙間に、すなわち外導体凸部71よりも内側に調整機構内導体12が挿入されているものの、外導体凸部71の端部から外導体16までの距離である移動可能距離Dbがインダクタンスの変更可能な移動可能距離となっており、この30.5mmの隙間よりも内側に可動ショート板13が移動してもインダクタンスを変更することができない。図10の比較例では、調整機構内導体12と可動ショート板13にてインダクタンスを変更する場合に、調整機構内導体12における調整できない長い延伸部領域、すなわち外導体16より内側の領域が生じることになる。この延伸部領域は、可動ショート板13にて変更する共振周波数帯域を著しく制限する。
そのため、実施の形態1の周波数調整機構43では、調整機構内導体12の周囲に調整機構外導体14の外導体凹部14Aを設ける。図9の調整機構外導体14における断面図に示した距離Dは、可動ショート板13が移動可能な調整機構内導体12の最短距離に相当する。調整機構内導体12及び外導体凸部14Bによるインダクタンスは、内導体17から可動ショート板13までの距離が長くなるにつれて大きくなる。そのため、距離Dを短くし、可動ショート板13にて調整できないインダクタンスを少なくするために、実施の形態1の周波数調整機構43では調整機構外導体14を設けている。図10には、実施の形態1の周波数調整機構43の外導体凸部14Bと外導体凸部14Bから外導体16までの外導体凹部14Aに相当する部分を破線で示した。比較例の周波数調整機構では、インダクタンスが調整可能な距離、すなわち可動ショート板13が移動可能な移動可能距離はDbである。これに対して、実施の形態1の周波数調整機構43では、インダクタンスが調整可能な距離は移動可能距離Daであり、可動ショート板13が移動可能な移動可能距離Daは、比較例の移動可能距離Dbよりも長いので、インダクタンスの変更範囲を広げることができる。
なお、図10では、外導体凹部14Aを有する調整機構外導体14を備えた周波数調整機構43と、調整機構内導体12の同一の長さの比較例とを比較したが、外導体凹部14Aを備えない周波数調整機構43であっても、調整機構内導体12の長さを長くした周波数調整機構43を適用することができる。外導体凹部14Aを備えることなく、調整機構内導体12の長さを長くした周波数調整機構43であっても、静電容量調整幅に対応して変化する共振周波数の調整帯域を、狭帯域化することなく大幅に変更できる。この場合は、周波数調整機構43の長さが長くなるが、周波数調整機構43における調整機構外導体14が外導体凸部14Bのみになり、構造が簡略化されるメリットがある。一方、外導体凹部14Aを有する調整機構外導体14を備えた周波数調整機構43では、周波数調整機構43の長さが短くなるメリットがある。外導体凹部14Aを有する調整機構外導体14を備えた周波数調整機構43を用いた高周波加速装置2は、ディー電極6の延伸方向に垂直な方向である周方向の長さを短くできる。ディー電極6の延伸方向は図3の横方向であり、周方向は図3の縦方向である。
実施の形態1の高周波加速装置2の効果を、図11、図12を用いて説明する。図11には、実施の形態1の高周波加速装置2の共振周波数特性を示した。比較のため、図12に特許文献1の高周波加速装置に示されている、プレートによる周波数調整機構を適用した場合の結果を示す。図11、図12において、横軸は回転コンデンサーの静電容量であり、縦軸は高周波加速装置の共振周波数である。図11、図12の特性の計算に使用した高周波加速装置の特性インピーダンス分布は同一である。図11に示した共振周波数特性55、56は、それぞれインダクタンス設定距離dを3cm、9cmとした場合の共振周波数の分布である。インダクタンス設定距離dを3cmから9cmと長くすることにより、分布形状を維持しながら共振周波数を20MHz程度低下させることが可能であることが分かる。共振周波数特性55、56における、100pF〜300pFの回転コンデンサー静電容量に対する共振周波数帯域は、それぞれ共振周波数帯域WFB1、WFB2である。共振周波数帯域WFB1は33MHzであり、共振周波数帯域WFB2は27MHzである。共振周波数帯域WFB2は共振周波数帯域WFB1の82%であり、共振周波数特性56の分布形状は共振周波数特性55の分布形状を十分に維持しており、狭帯域化していない。
図12に示した共振周波数特性57、58は、それぞれプレートによる静電容量を0pF、300pFとした場合の共振周波数の分布である。プレートにより静電容量を0pFから300pFと大きくすることにより、共振周波数の調整帯域は低下するものの、その分布形状はプレートの静電容量が0pFの場合と比べて狭帯域化する。具体的には静電容量範囲が100〜300pFにおいて、プレートの静電容量が0pFである場合の共振周波数帯域WFB3は23MHzであるのに対して、プレートの静電容量を300pFとする場合の共振周波数帯域WFB4は3MHzとなる。このように、共振周波数帯域WFB4は共振周波数帯域WFB3の13%であり、プレートによる調整機構では高周波加速装置の共振周波数帯域を変更する際に狭帯域化する。これに対して、実施の形態1の周波数調整機構43では高周波加速装置2の共振周波数帯域を変更する際に、共振周波数帯域を十分に広帯域で維持できる。したがって、シンクロサイクロトロン加速器における、粒子の出射エネルギーを変更する際には、実施の形態1の周波数調整機構43の方が有利となる。
以上のように、実施の形態1の高周波加速装置2は、粒子の出射エネルギーを変更する際に変化させる共振周波数帯域を、周波数調整機構43内に設けた可動ショート板13の位置にて、狭帯域化することなく変更することができる。
実施の形態1の高周波加速装置2は、共振周波数帯域を上昇させる際には周波数調整機構43のインダクタンス設定距離dを短くし、共振周波数帯域を低下させる際にはインダクタンス設定距離dを長くする。実施の形態1の高周波加速装置2は、周波数調整機構43の調整機構内導体12の配置位置が高周波加速装置2の中心よりも可変容量性リアクタンス素子(回転コンデンサー11)の側に配置されている。このため、周波数調整機構43を含めた合成インピーダンスZを高くでき、高周波加速装置2の共振周波数の調整帯域を大きく変えることがきる。また、実施の形態1の高周波加速装置2は、周波数調整機構43の調整機構内導体12の配置位置が可変容量性リアクタンス素子(回転コンデンサー11)の側に配置されているので、特許文献2の共振周波数調整機構が加速空洞の直近に配置され、磁極及びヨークの形状が複雑になるのとは異なり、シンクロサイクロトロン加速器1の磁極及びヨークの形状を複雑にすることなく、高周波加速装置2をシンクロサイクロトロン加速器1に搭載することができる。実施の形態1の高周波加速装置2は、周波数調整機構43の調整機構内導体12の配置位置が加速空洞42から離れた位置に配置されているので、特許文献2の共振周波数調整機構と異なり、可動ショート板13を移動させる駆動装置47の設置が容易にでき、かつ駆動装置47の設置位置の自由度を高めることができる。
実施の形態1の高周波加速装置2は、可変容量性リアクタンス(回転コンデンサー11)にて調整する共振周波数帯域を、中心値の±40%の範囲で周波数調整機構43により変更することにより、シンクロサイクロトロン加速器1で加速する粒子のエネルギーを例えば235MeVから68.5MeVまでの広範囲に変更することができる。図6、図7に示した例では、共振周波数帯域を中心値の+36%から中心値の−38%の範囲で変更する例を示したが、インダクタンス設定距離dを一番長いd4よりも長くできる調整機構内導体12を周波数調整機構43に採用すれば、共振周波数帯域を中心値の±40%の範囲で変更することができる。
実施の形態1の高周波加速装置2は、周波数調整機構43が内導体17に直接接続された調整機構内導体12、可動ショート板13及び調整機構外導体14を備えるので、調整機構内導体12の製作性が向上し、調整機構内導体12と伝送線路8の内導体との境界面における熱損失が低減できる。
次に、実施の形態1の高周波加速装置2を、粒子線治療装置に適応する場合、すなわち粒子線治療用円形加速器に適応する場合を考える。実施の形態1の高周波加速装置2を粒子線治療装置に適応する際には、あらかじめシンクロサイクロトロン加速器1から取り出す粒子のエネルギーを複数定めておく。それらのエネルギーに対応するインダクタンス設定距離dもまた、あらかじめ定めておく。治療の際には、患部ごとに最適なエネルギーを、あらかじめ定めたエネルギー群(複数のエネルギー)から選択する。選択されたエネルギーに対応するインダクタンス設定距離dとするために、治療開始前に、エアシリンダ等の駆動装置47にて外部から周波数調整機構43の可動ショート板13を適切な位置に設定する。
以上のように、実施の形態1の高周波加速装置2は、円形加速器(シンクロサイクロトロン加速器1)の偏向電磁石41が形成する偏向磁場により螺旋軌道に沿って周回する荷電粒子に高周波電場を印加して当該荷電粒子を加速する円形加速器の高周波加速装置である。実施の形態1の高周波加速装置2は、荷電粒子に高周波電場を印加する電極(ディー電極6、ダミーディー電極7)と、内導体17及び内導体17を囲む外導体16を有し、電極(ディー電極6、ダミーディー電極7)に高周波電力を伝送する伝送線路8と、伝送線路8と電極(ディー電極6、ダミーディー電極7)とにより構成される加速空洞42と、加速空洞42の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子(回転コンデンサー11)及び周波数調整機構43と、を備えることを特徴とする。実施の形態1の高周波加速装置2の周波数調整機構43は、伝送線路8の内導体17に接続され、かつ内導体17から離れる方向に延伸した調整機構内導体12と、伝送線路8の外導体16に接続され、かつ調整機構内導体12を包含する調整機構外導体14と、調整機構内導体12と調整機構外導体14とを電気的に接続し、かつ調整機構内導体12と調整機構外導体14との接続位置を変更可能に配置された導体で構成される可動ショート板13と、を備えることを特徴とする。実施の形態1の高周波加速装置2は、上記の特徴により、静電容量調整幅に対応して変化する共振周波数の調整帯域を、狭帯域化することなく大幅に変更できる。
実施の形態1の円形加速器(シンクロサイクロトロン加速器1)は、イオン源5から中心に入射された荷電粒子を、偏向磁場により螺旋軌道に沿って周回させながら高周波電場によって加速する円形加速器である。実施の形態1の円形加速器(シンクロサイクロトロン加速器1)は、偏向磁場を形成する偏向電磁石41と、荷電粒子を加速する、高周波加速装置2と、加速された荷電粒子を当該円形加速器外に出射する出射ダクト15と、を備え、高周波加速装置2が荷電粒子に高周波電場を印加する電極(ディー電極6、ダミーディー電極7)と、内導体17及び内導体17を囲む外導体16を有し、電極(ディー電極6、ダミーディー電極7)に高周波電力を伝送する伝送線路8と、伝送線路8と電極(ディー電極6、ダミーディー電極7)とにより構成される加速空洞42と、加速空洞42の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子(回転コンデンサー11)及び周波数調整機構43と、を備えることを特徴とする。実施の形態1の高周波加速装置2の周波数調整機構43は、伝送線路8の内導体17に接続され、かつ内導体17から離れる方向に延伸した調整機構内導体12と、伝送線路8の外導体16に接続され、かつ調整機構内導体12を包含する調整機構外導体14と、調整機構内導体12と調整機構外導体14とを電気的に接続し、かつ調整機構内導体12と調整機構外導体14との接続位置を変更可能に配置された導体で構成される可動ショート板13と、を備えることを特徴とする。実施の形態1の円形加速器(シンクロサイクロトロン加速器1)は、上記の特徴により、高周波加速装置2により静電容量調整幅に対応して変化する共振周波数の調整帯域を、狭帯域化することなく大幅に変更でき、粒子線治療の対象である患部に適したエネルギーの荷電粒子ビーム22を出射することができる。
今まで実施の形態1の高周波加速装置2をシンクロサイクロトロン加速器に適用した例を説明したが、実施の形態1の高周波加速装置2はサイクロトロン加速器にも適用できる。サイクロトロン加速器では高周波加速装置2の共振周波数は固定されている。しかし、サイクロトロン加速器では、共振周波数の固定値が何らかの原因でずれてしまった場合に微調整を行う。サイクロトロン加速器では、この共振周波数の微調整に高周波加速装置の全長を調整することが一般的に行われているので、大規模な調整機構が必要となる。しかし、本発明の実施の形態1の高周波加速装置2では、前述したように小規模な周波数調整機構43で、可動ショート板13の位置を調整するのみで共振周波数が変更できる。例えば図7の加速時間t1における特性51、52、53、54から分かるように、回転コンデンサー11の静電容量が特性51、52、53、54で同一であっても、周波数調整機構43の距離dを変更するだけで共振周波数により決定される周回周波数が変更されている。したがって、本発明の実施の形態1の高周波加速装置2をサイクロトロン加速器に適用しても、本発明の実施の形態1の高周波加速装置2は可動ショート板13の位置を調整するのみで共振周波数を変更できる。
なお、本発明は、矛盾のない範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1…シンクロサイクロトロン加速器(円形加速器)、2…高周波加速装置、5…イオン源、6…ディー電極(電極)、7…ダミーディー電極(電極)、8…伝送線路、11…回転コンデンサー(可変容量性リアクタンス素子)、12…調整機構内導体、13…可動ショート板、14…調整機構外導体、14A…外導体凹部、14B…外導体凸部、15…出射ダクト、16…外導体、17…内導体、41…偏向電磁石、42…加速空洞、43…周波数調整機構、47…駆動装置、WFB1、WFB2…共振周波数帯域

Claims (8)

  1. 円形加速器の偏向電磁石が形成する偏向磁場により螺旋軌道に沿って周回する荷電粒子に高周波電場を印加して、当該荷電粒子を加速する円形加速器の高周波加速装置であって、
    前記荷電粒子に高周波電場を印加する電極と、
    内導体及び前記内導体を囲む外導体を有し、前記電極に高周波電力を伝送する伝送線路と、
    前記伝送線路と前記電極とにより構成される加速空洞と、
    前記加速空洞の共振周波数を変更する可変容量性リアクタンス素子及び周波数調整機構と、を備え、
    前記周波数調整機構は、前記伝送線路の前記内導体に接続され、かつ前記内導体から離れる方向に延伸した調整機構内導体と、前記伝送線路の前記外導体に接続され、かつ前記調整機構内導体を包含する調整機構外導体と、前記調整機構内導体と前記調整機構外導体とを電気的に接続し、かつ前記調整機構内導体と前記調整機構外導体との接続位置を変更可能に配置された導体で構成される可動ショート板と、を備え
    前記調整機構外導体は、
    前記外導体よりも前記内導体に近い位置に底が配置された外導体凹部と、前記外導体凹部の前記底から外周方向に延伸した外導体凸部と、を備えることを特徴とする円形加速器の高周波加速装置。
  2. 前記可動ショート板の配置位置を移動する駆動装置をさらに備え、
    前記駆動装置は、
    前記可変容量性リアクタンス素子による前記加速空洞の前記共振周波数の変更可能な帯域である共振周波数帯域を前記共振周波数が高い方向に上昇させる際に、前記可動ショート板を前記調整機構外導体における前記内導体側の端部との距離が短くなるように移動し、
    前記共振周波数帯域を前記共振周波数が低い方向に低下させる際に、前記可動ショート板を前記調整機構外導体における前記内導体側の端部との距離が長くなるように移動することを特徴とする請求項1記載の円形加速器の高周波加速装置。
  3. 前記可動ショート板の配置位置を移動する駆動装置をさらに備え、
    前記駆動装置は、
    前記可変容量性リアクタンス素子による前記加速空洞の前記共振周波数の変更可能な帯域である共振周波数帯域を前記共振周波数が高い方向に上昇させる際に、前記可動ショート板を前記調整機構外導体における前記外導体凹部の前記底との距離が短くなるように移動し、
    前記共振周波数帯域を前記共振周波数が低い方向に低下させる際に、前記可動ショート板を前記調整機構外導体における前記外導体凹部の前記底との距離が長くなるように移動することを特徴とする請求項記載の円形加速器の高周波加速装置。
  4. 前記周波数調整機構は、
    前記加速空洞の前記共振周波数における設定最大値及び設定最小値の中心値に対して、少なくとも−40%から+40%の範囲を含むように、前記可変容量性リアクタンス素子が変更する前記共振周波数帯域を変更することを特徴とする請求項またはに記載の円形加速器の高周波加速装置。
  5. 前記周波数調整機構は、前記電極側から離れた位置で、かつ前記可変容量性リアクタンス素子側に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の円形加速器の高周波加速装置。
  6. 前記周波数調整機構は、前記電極及び前記伝送線路の構造体における、延伸方向の中心位置よりも前記電極から遠方に配置されていることを特徴とする請求項記載の円形加速器の高周波加速装置。
  7. 前記周波数調整機構は、当該円形加速器の高周波加速装置が搭載される前記円形加速器から出射する前記荷電粒子のエネルギーを変更する際に、前記可動ショート板の配置位置が変更されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の円形加速器の高周波加速装置。
  8. イオン源から中心に入射された荷電粒子を、偏向磁場により螺旋軌道に沿って周回させながら高周波電場によって加速する円形加速器であって、
    前記偏向磁場を形成する偏向電磁石と、
    前記荷電粒子を加速する、請求項1からのいずれか1項に記載の円形加速器の高周波加速装置と、
    加速された前記荷電粒子を当該円形加速器外に出射する出射ダクトと、を備えることを特徴とする円形加速器。
JP2018501375A 2017-01-05 2017-08-18 円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器 Active JP6316528B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017000342 2017-01-05
JP2017000342 2017-01-05
PCT/JP2017/029589 WO2018127990A1 (ja) 2017-01-05 2017-08-18 円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6316528B1 true JP6316528B1 (ja) 2018-04-25
JPWO2018127990A1 JPWO2018127990A1 (ja) 2019-01-10

Family

ID=62069293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018501375A Active JP6316528B1 (ja) 2017-01-05 2017-08-18 円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6316528B1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS548676Y1 (ja) * 1970-09-07 1979-04-20
JP2005286618A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Nihon Koshuha Co Ltd 無停波切替装置
JP2015532509A (ja) * 2012-09-28 2015-11-09 メビオン・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド 粒子ビームのエネルギーの調整

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS548676Y1 (ja) * 1970-09-07 1979-04-20
JP2005286618A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Nihon Koshuha Co Ltd 無停波切替装置
JP2015532509A (ja) * 2012-09-28 2015-11-09 メビオン・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド 粒子ビームのエネルギーの調整

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2018127990A1 (ja) 2019-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
USRE48317E1 (en) Interrupted particle source
US4286192A (en) Variable energy standing wave linear accelerator structure
US4181894A (en) Heavy ion accelerating structure and its application to a heavy-ion linear accelerator
US6864633B2 (en) X-ray source employing a compact electron beam accelerator
US20140320006A1 (en) Rf device for synchrocyclotron
US11596051B2 (en) Resonator, linear accelerator configuration and ion implantation system having toroidal resonator
US20150084548A1 (en) Circular accelerator
JPH0325920B2 (ja)
JP2018006196A (ja) 円形加速器
US2582186A (en) Apparatus for accelerating charged particles, especially electrons, to very high-velocity
CN109148244B (zh) 一种轴向可调谐相对论磁控管
WO2018127990A1 (ja) 円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器
JP6316528B1 (ja) 円形加速器の高周波加速装置及び円形加速器
Lee et al. Investigation of X-band coaxial magnetron using three-dimensional particle-in-cell simulation
CN208767251U (zh) 一种轴向可调谐相对论磁控管
Ding et al. Research progress on X-band multibeam klystron
CN107211523B (zh) 射频腔
KR20240089779A (ko) 회전 여자기를 갖는 공진기, 선형 가속기 구성 및 이온 주입 시스템
JP2015133241A (ja) 円形加速器、円形加速システム及び粒子加速方法
KR102213474B1 (ko) 고출력 마그네트론
US2484549A (en) Electron injection apparatus
TW201927366A (zh) 加速器及粒子線治療裝置
WO2019020160A1 (en) CYCLOTRON COMPACT WITH CLOVER-SHAPED ELECTRODES
KR101672429B1 (ko) 전자파 발생기
GB2597783A (en) A new high-power RF source with analogue RF frequency filter

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180112

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180112

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180112

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180327

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6316528

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250