JP6314038B2 - キャニスタの内部構造、キャニスタ及びキャニスタ連結体 - Google Patents
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Description
(1)本発明は、循環式呼吸回路に設けられるキャニスタの内部構造であって、筒軸方向の両端部が開口した筒状でかつ透明な外筒の内側に設けられ、外筒と二重管を形成する透明な内筒と、内筒の下端部に形成される流入用開口部と、内筒の内側空間に収容され、流入用開口部を介して下方から内側空間に流入した循環ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収剤と、内筒の上端部に形成され、二酸化炭素吸収剤を通過した循環ガスを上方に流出させる流出用開口部と、内筒の上端部に設けられ、外筒及び内筒の間の環状の隙間部と内側空間を連通させる連通部と、を備え、二酸化炭素吸収剤を通過しかつ水蒸気を含んだ循環ガスを、連通部を介して外筒の内周面に接触させることにより、水蒸気を外筒の内周面で結露させるとともに隙間部に貯留可能としたことを特徴とする。
まず、循環式呼吸回路10の構成を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、この循環式呼吸回路10は、手術の麻酔に用いられる呼吸回路であり、吸気弁11、患者接続端12aを備える人工鼻12、呼気弁13、排気部15及びキャニスタ20を有する。人工鼻12は、必要に応じて使用される。吸気弁11は、人工鼻12(患者側)への麻酔ガス(吸気)の流れは許容するものの、その逆の流れは規制するように作動する。呼気弁13は、人工鼻12(患者側)からの呼気の一部をキャニスタ20へ導く流れ及び残りの一部を余剰ガスとして排気部15に導く流れは許容するものの、その逆の流れは規制するように作動する。そして、キャニスタ20は、患者の呼気から二酸化炭素を吸収除去し、その他の循環ガスを吸気の一部として循環使用する役割を果たす。循環式呼吸回路10では、新たに追加された新鮮ガス16に相当する量の呼気が、余剰ガスとして排気部15から回路外へ排気され、残った呼気がキャニスタ20を通過して再利用される。
次に、キャニスタ20の構成を図2、図3に基づいて説明する。
図2に示すように、キャニスタ20は、筒状(ここでは、円筒状)で透明な外筒30と、この外筒30の内部に設けられる内部構造40とを備える。内部構造40は、筒状(ここでは、円筒状)で透明な内筒41と、内筒41の内側空間42に収容される二酸化炭素吸収剤43と、を備える。なお、外筒30及び内筒41を構成する材料は、透明性を有する材料であれば任意であるが、例えば、PSF(ポリサルフォン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル、PC(ポリカーボネート)などの合成樹脂を用いることができる。
CO2+Ca(OH)2→CaCO3+H2O(1)
以上、説明したキャニスタ20の効果について述べる。
キャニスタ20によれば、外筒30と内筒41とが二重管を形成するため、環状の隙間部48によって、内筒41内の二酸化炭素吸収剤43が室温の影響を受けにくくなる。このため、内筒41の内側空間42と外側の温度差が抑制され、二酸化炭素吸収剤43において過剰な結露が生じない。
次に、本発明の第2実施形態に係るキャニスタ連結体及び接合手段の第1〜第3変形例を図4、図5に基づいて説明する。なお、前述した第1実施形態と共通する要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする(後述する第3・第4実施形態についても同様)。また、以下の説明において、複数のキャニスタ20あるいは複数の外筒30を区別する場合、同一の符号に「U」、「D」を後続させ、まとめて称する場合は、符号のみを用いる。
図4に示すように、第2実施形態に係るキャニスタ連結体60は、筒軸方向に沿って上下に連結可能な複数(この例では、2個)のキャニスタ20を備える。さらに、キャニスタ連結体60は、上下に重なり合う2つの外筒30において上段の外筒30Uの下端部及び下段の外筒30Dの上端部を気密に接続する接合手段61を備える。
また、図5(b)に示すように、上段の外筒30U及び下段の外筒30Dのうち、一方の外筒30の内周面と他方の外筒30の外周面との間に介在される環状のシール部材で接合手段61を構成してもよい。この例では、上段の外筒30Uの下端部に段部62を設け、この段部62の外周面と下段の外筒30Dの内周面との間に、接合手段61(例えば、Oリングなど)を介在させる。
また、図5(c)に示すように、上段の外筒30U及び下段の外筒30Dのうち、一方の外筒30の内周面に設けられる雌ねじ部63と、他方の外筒30の外周面に設けられる雄ねじ部65と、により接合手段61を構成してもよい。この例では、上段の外筒30Uの下端部に段部62を設け、この段部62の外周面に、下段の外筒30D側に縮径するテーパ状の雄ねじ部65を形成する。そして、下段の外筒30Dの内周面に、上段の外筒30U側に拡径するテーパ状の雌ねじ部63を形成し、この雌ねじ部63に雄ねじ部65を噛み合わせて上段の外筒30Uの下端部及び下段の外筒30の上端部を気密に接続する。
また、図5(d)に示すように、上段の外筒30U及び下段の外筒30Dのうち、一方の外筒30の内周面に設けられ他方の外筒30側に拡径する第1のテーパ面66と、他方の外筒30の外周面に設けられ、一方の外筒30側に縮径する第2のテーパ面67と、により接合手段61を構成してもよい。この例では、上段の外筒30Uの下端部に段部62を設け、この段部62の外周面を第2のテーパ面67とし、下段の外筒30Dの内周面を第1のテーパ面66として形成する。そして、第1のテーパ面66に第2のテーパ面67に嵌合させることで、上段の外筒30Uの下端部及び下段の外筒30Dの上端部を気密に接続する。
続いて、このキャニスタ連結体60を用いた実験例について述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
キャニスタ連結体60を備える循環式呼吸回路10に、低流量麻酔を想定して新鮮ガス16を流量1L/分で供給し、約5時間経過後(下段のキャニスタ20Dの二酸化炭素吸収剤43の略全てが消耗した時点)の下段のキャニスタ20D及び上段のキャニスタ20Uのそれぞれの内部の状態を調べた。
図6に示すように、下段のキャニスタ20Dにおいて、循環ガスの余剰な水分が外筒30Dの内周面に結露しており、水53が隙間部48の底部に溜まっていた。また、内筒41内の二酸化炭素吸収剤43が過剰に浸漬しておらず、二酸化炭素吸収剤43の色変化も正常でかつ明瞭であった。上段のキャニスタ20Uにおいても、通過する循環ガスの余剰な水分が外筒30Uの内周面にしっかりと結露としてトラップされていた。なお、臨床的には、この時点(下段のキャニスタ20Dの二酸化炭素吸収剤43が消耗した時点)で、下段のキャニスタ20Dを取り外し、上段のキャニスタ20Uを下側に移動して、その上に未使用の二酸化炭素吸収剤43を入れたキャニスタ20を載せることが好適である。
次に、本発明の第2実施形態に係るキャニスタ70及び貫通部の変形例を図7、図8に基づいて説明する。
また、図8に示すように、内筒41の上端部の周壁を厚み方向に貫通する切り欠きで連通部(貫通部)72を形成することもできる。この例では、切り欠きからなる複数の連通部72を内筒41の上端部に周方向に略等間隔に配置する。この変形例においても、連通部72により、前述した第1実施形態に係る連通部47(図3参照)と同様の作用効果を得ることができ、簡素な構造で循環ガスに含まれる水蒸気を良好に除去することができる。
次に、本発明の第4実施形態に係るキャニスタ80及びシール部材の第1・第2変形例を図9〜図11に基づいて説明する。
図10に示すように、隙間部48の底部に嵌合可能な断面略U字状のパッキン材でシール部材83を構成してもよい。
また、図11に示すように、隙間部48の底部において内筒41の外周面と外筒30の外周面との間をシールする複数の鍔状のフィンでシール部材85を構成してもよい。
20 キャニスタ
20U キャニスタ
20D キャニスタ
30 外筒
30U 外筒
30D 外筒
32 下端開口部
33 通気構造
35 上端開口部
40 内部構造
41 内筒
42 内側空間
43 二酸化炭素吸収剤
45 流入用開口部
46 流出用開口部
47 連通部
48 隙間部
60 キャニスタ連結体
61 接合手段
70 キャニスタ
71 連通部
72 連通部
80 キャニスタ
81 カートリッジ
82 シール部材
83 シール部材
85 シール部材
H1 内筒の流出用開口部の高さ
H2 外筒の上端開口部の高さ
Claims (8)
- 循環式呼吸回路に設けられるキャニスタの内部構造であって、
筒軸方向の両端部が開口した筒状でかつ透明な外筒の内側に設けられ、前記外筒と二重管を形成する透明な内筒と、
前記内筒の下端部に形成される流入用開口部と、
前記内筒の内側空間に収容され、前記流入用開口部を介して下方から前記内側空間に流入した循環ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収剤と、
前記内筒の上端部に形成され、前記二酸化炭素吸収剤を通過した前記循環ガスを上方に流出させる流出用開口部と、
前記内筒の上端部に設けられ、前記外筒及び前記内筒の間の環状の隙間部と前記内側空間を連通させる連通部と、を備え、
前記二酸化炭素吸収剤を通過しかつ水蒸気を含んだ前記循環ガスを、前記連通部を介して前記外筒の内周面に接触させることにより、前記水蒸気を前記外筒の内周面で結露させるとともに前記隙間部に貯留可能としたことを特徴とするキャニスタの内部構造。 - 前記流入用開口部には、前記循環ガスが通過可能でかつ前記二酸化炭素吸収剤が通過不能な通気構造が設けられることを特徴とする請求項1に記載のキャニスタの内部構造。
- 前記内筒の前記流出用開口部の高さが前記外筒の上端開口部の高さよりも低く設定され、
前記流出用開口部と前記上端開口部の高低差により、前記連通部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャニスタの内部構造。 - 前記連通部が前記内筒の上端部を厚み方向に貫通する貫通部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャニスタの内部構造。
- 前記外筒の内側に着脱可能であり、前記二酸化炭素吸収剤が前記内筒に収容されたカートリッジであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のキャニスタの内部構造。
- 前記内筒の下端部の外周面と前記外筒の下端部の内周面との間には、前記循環ガスが下方から前記隙間部に流入することを阻止し、前記循環ガスを前記内側空間に導くシール部材が介在されることを特徴とする請求項5に記載のキャニスタの内部構造。
- 循環式呼吸回路に設けられるキャニスタであって、
筒軸方向の両端部が開口した筒状でかつ透明な外筒と、
前記外筒の内部に設けられる請求項1ないし6のいずれか1項に記載のキャニスタの内部構造と、を備えることを特徴とするキャニスタ。 - 請求項7に記載のキャニスタを筒軸方向に沿って上下に複数連結可能なキャニスタ連結体であって、
上下に重なり合う2つの前記外筒のうち上段の前記外筒の下端部と下段の前記外筒の上端部とを気密に接続する接合手段を備えることを特徴とするキャニスタ連結体。
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