JP6311097B2 - 微小管脱重合剤 - Google Patents

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本発明は、ジケトピペラジン骨格を有する新規化合物に関する。より具体的には、本発明は、癌の治療及び真菌感染の治療において有用な化合物及び該化合物を含む医薬組成物に関する。
単一の普遍的細胞メカニズムが真核生物の細胞周期プロセスの調節を制御すると考えられている(非特許文献1)。細胞周期の制御メカニズムに異常が生じると、癌又は免疫障害が起こり得ることも知られている。したがって、抗腫瘍剤及び免疫抑制剤は、細胞周期を調節する物質の中の1つであり得ることから、真核生物の細胞周期を抑制する新規化合物が必要とされている。そして、このような化合物は、化学療法剤、抗腫瘍剤としてヒトの癌治療において有用であると考えられる。
近年、トリプロスタチンA及びB(これらは、プロリン及びイソプレニル化トリプトファン残基からなるジケトピペラジンである)、並びに5つの他の構造的に関連したジケトピペラジンが、M期にて細胞周期の進行を阻害し(非特許文献2)、これらの化合物はまた、微小管構築にも影響を及ぼす(非特許文献3)ことが報告されている。
さらに、チューブリン(これは、2つの50kDaのサブユニット(α−及びβ−チューブリン)から構成される高分子であり、微小管の主要構成成分である)のコルヒチン結合部位(CLC部位)に結合することにより有糸分裂を阻害し、その結果、真核生物の細胞周期を阻害する天然化合物及び合成化合物が報告されている(非特許文献4)。微小管は、軸索輸送、細胞運動性及び細胞形態の決定等の幾つかの必須の細胞機能に関与すると考えられている。したがって、微小管機能の阻害剤は、広範囲の生物活性を有し得るものであり、医療目的及び農薬目的に適用可能である。
本発明者らは、以前より、微生物由来微小管脱重合(チューブリン重合阻害)物質であるフェニラヒスチンに焦点をあてて、抗がん剤(血管遮断剤、VDA)の創薬研究を実施してきた。フェニラヒスチンは、以下の式(3)に示すジケトピペラジン構造を有するが、本発明者らはこの構造の両端を修飾することにより、強いチューブリン重合阻害作用を有する式(4)で表されるPlinabulinの創製に至った(特許文献1)。Plinabulinは、HT−29ヒト大腸がん由来細胞に対して、15nMの殺細胞活性を示した。その後、この化合物は、抗がん剤候補化合物として治験が始まり、第2相臨床試験に供されている。
Plinabulinは癌組織に誘導される幼弱な新生血管を構成する血管内皮細胞でチューブリン重合を阻害することで、当該血管の遮断を起こし、がん組織を兵糧攻めにする薬剤である。
Figure 0006311097
本発明者らは、さらに高い活性を有するPlinabulin誘導体を見出すために、種々の誘導体の供給が可能なPlinabulinの合成ルートを確立し、100以上の誘導体を合成し、これら誘導体の活性をヒト大腸癌由来HT−29細胞に対する殺細胞活性で評価し、より詳細な構造活性相関研究を実施した。
その結果、1)イミダゾール5位のアルキル置換基にはtert−ブチル基などの第4級炭素の存在が高い活性を示すために重要であること、2)イミダゾール環をオキサゾール環に変換しても活性が維持されること、3)ベンジリデン部位のパラ位への置換基の導入は活性の低下を引き起こす一方、メタ位への置換基の導入では活性が維持されることが示された(特許文献2)。また、多くの誘導体については、チューブリンに対する結合定数(K)と殺細胞活性(IC50)との間に正の相関関係があることも示された。
米国特許公開公報20040102454 特表2007−520565号公報
Hartwell, L.H. et al., Science, 1989, 246: 629-34 Cui, C. et al., J Antibiotics, 1996, 49: 527-33 Usui, T. et al., Biochem J, 1998, 333: 543-48 Iwasaki, S., Med Res Rev, 1993, 13: 183-198
本発明は、チューブリン重合阻害活性を有し、抗がん剤として有望な新規化合物を提供することを目的とする。
本発明者らのPlinabulin及びその誘導体に関するこれまでの研究によると、強い活性発現のためにはPlinabulin誘導体の右翼イミダゾール環上の4級炭素(t−Bu基など)の存在が不可欠であった。したがって、t−Bu基に代えてメチル基にすると活性は劇的に低下する。しかしながら、興味深いことに、Plinabulin誘導体の左翼(ベンゼン環側)をベンゾフェノン構造にするとイミダゾール環の置換基は、メチル基であっても、活性が十分に回復することが観察された。すなわち、イミダゾールの側鎖官能基は不必要になる可能性が新たに考察された。これは、ベンゾフェノン部分がチューブリンと新たに強固な相互作用を形成しているためと考えられる。
この結果は、従来必須と思われた側鎖4級炭素は、当該新規骨格では必須ではなくなったことを意味し、さらにイミダゾール環自体も多様性を持って変換できる可能性を示唆していた。
本発明者らは、この知見に基づいて、イミダゾール環そのものをジケトピペラジン環との水素結合に必要なヘテロ原子のみを環上に残した構造に置換したところ、活性は低下せず、むしろ上昇する結果となった。この結果から、チューブリン重合阻害活性を有する新規な骨格の発明に至った。
即ち、本発明は、
[1]以下の式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能な塩。
Figure 0006311097

(式中、
Figure 0006311097

で表されるヘテロアリール基であり
式(1)及び(2)において、Y-----Yは、n−2個の原子からなり、他の環員原子と一緒になって、n個の原子からなるヘテロアリール環を形成し、
nは5又は6の整数であり、
式(3)において、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、ヘテロアリール5員環を形成し、
式(1)及び(2)におけるY-----Yを構成する原子及び式(3)におけるZ、Z、Zは、それぞれ独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子から選択され、当該へテロアリール基の環員原子は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子から選択され、
Rは、水素原子であり
は、ハロゲン、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルケニル基、炭素数3以下のアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択され;アミノ基は、炭素数3以下のアルキル基、アルケニル基、アシル基で置換されていてもよく、
は、ハロゲン、炭素数6以下のアルキル基、炭素数6以下のアルケニル基、炭素数6以下のアルキニル基、炭素数6以下のシクロアルキル基、炭素数6以下のシクロアルケニル基、5または6員環のヘテロ原子を含んでいても良いアリール基、炭素数6以下のアルコキシ基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルケニル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキニル基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アシル基、ホルミル基、チオール基、スルホキシド基、及びスルホン基からなる群から選択され;これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルアルキル基、アルアルケニル基、アルアルキニル基、アミノ基、アシル基、スルホキシド基、スルホン基はさらに置換されていてもよく、
mは、0〜4の整数であり、mが2以上の場合は、Rは同一であっても異なっていてもよく、
lは、0〜5の整数であり、lが2以上の場合は、Rは同一であっても異なっていてもよく、
Xは、C=O、CH−OR、C=NR、C=N−OR、O、NR、C=S又はSであり、
は、水素原子、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアシル基、又は炭素数4以下の脂肪酸を表し、
は、水素原子、炭素数が1から4までのアルキル基、炭素数4以下のアシル基、又は炭素数4以下の脂肪酸を表し、
は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアルコキシ基又はアシル基を表し、
但し、
Figure 0006311097
には、置換又は無置換の4−イミダゾリル基、4−オキサゾリル基、4−チアゾリル基は含まれない。)
[2]前記ヘテロアリール基が、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−ピラジル、3−ピリダジル、4−(1,2,3−トリアジル)、5−(1,2,3−トリアジル)、3−(1、2、4−トリアジル)、5−(1、2、4−トリアジル)、6−(1、2、4−トリアジル)、2−(1、3、5−トリアジル)、2−フリル、2−チエニル、3−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、5−チアゾリル、4−(1,2,3−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5−(1,2,4−トリアゾリル)であ、[1]に記載の化合物。
[3]XがC=Oである、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4]医薬的に有効量の[1]〜[]のいずれか1項に記載の化合物を含む血管増殖を治療又は予防するための医薬組成物。
[5]前記血管増殖は、癌の症状である、[]に記載の医薬組成物。
[6]血管増殖を低減させるのに有効な量、又は血管密度を低減させるのに有効な量の、[1]〜[]のいずれか1項に記載の化合物を含む、動物における状態を治療するための医薬組成物。
[7]前記状態は腫瘍性状態である、[]に記載の医薬組成物。
[8]前記腫瘍性状態は癌である、[]に記載の医薬組成物。
[9]前記状態は、過剰血管新生に関連する状態である、[]に記載の医薬組成物。
[10]前記動物はヒトである、[]〜[]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[11]動物における非腫瘍組織血管系よりも腫瘍血管系を優先的に標的として血管系を治療するための医薬組成物であって、前記非腫瘍組織は、皮膚、筋肉、脳、腎臓、心臓、脾臓及び腸から成る群から選択され、[1]〜[]のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
[12]前記腫瘍血管系は、非腫瘍組織血管系よりも、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%優先的に標的とされる、[11]に記載の医薬組成物。
[13]前記動物はヒトである、[11]又は[12]に記載の医薬組成物。
[14]医薬的に許容可能な担体を含む、[]〜[13]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
を、提供するものである。
本発明の化合物は、Plinabulinと同等又はそれ以上のチューブリン重合阻害活性及び殺細胞活性を有する。従って、本発明の化合物を含む医薬組成物は、抗がん剤として有用である。
化合物1によるチューブリン重合阻害作用を示す。
本発明の一つの実施態様は、以下の式(I)で表される化合物又はその塩である。
Figure 0006311097
式(I)において、
Figure 0006311097
で表されるヘテロアリール基である。
即ち、式(I)の化合物においては、ジケトピペラジン環と水素結合することができる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を環上に持つヘテロアリール環を有していることが特徴である。このような構造を有することにより、Plinabulinに比べて活性は低下せずに、むしろ上昇することが可能となる。
式(1)及び(2)において、Y-----Yは、n−2個の原子からなり、他の環員原子と一緒になって、n個の原子からなるヘテロアリール環を形成する。
式(3)において、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、ヘテロアリール5員環を形成する。
式(1)及び(2)におけるY-----Yを構成する環員原子及び式(3)におけるZ、Z、Zは、それぞれ独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子から選択される。
即ち、式(1)〜(3)で表されるヘテロアリール基の環員原子は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子から選択される。
式(1)及び(2)において、nは5又は6の整数である。
Rは、水素原子、ハロゲン、炭素数6以下のアルケニル基、炭素数6以下のアルキニル基、炭素数6以下のシクロアルキル基、環員原子数7以下の脂肪族ヘテロ環基、炭素数6以下のシクロアルケニル基、5または6員環のヘテロ原子を含んでいても良いアリール基、炭素数6以下のアルコキシ基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルケニル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキニル基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アシル基、ホルミル基、チオール基、スルホキシド基、及びスルホン基からなる群から選択される。これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルアルキル基、アルアルケニル基、アルアルキニル基、アミノ基、アシル基、スルホキシド基、スルホン基はさらに置換されていてもよい。また、式(1)〜(3)で表されるへテロアリール基の各環員原子上においてRは複数あってもよく、Rの各々は同一でも異なっていてもよい。
式(1)又は(2)で表されるヘテロアリール基は、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−ピラジル、3−ピリダジル、4−(1,2,3−トリアジル)、5−(1,2,3−トリアジル)、3−(1、2、4−トリアジル)、5−(1、2、4−トリアジル)、6−(1、2、4−トリアジル)、2−(1、3、5−トリアジル)、2−フリル、2−チエニル、3−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、5−チアゾリル、4−(1,2,3−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5−(1,2,4−トリアゾリル)などが挙げられる。本発明においては、好ましくは、ヘテロアリール基は、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−フリル、2−チエニル又は2−イミダゾリルである。
これらヘテロアリール基の各々は、R(水素原子を除く)として規定される置換基を有していてもよい。ヘテロアリール基が2以上の置換基を有する場合は、各々の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
式(1)又は(2)で表されるヘテロアリール基は、更に、置換基を有していてもよい芳香族環あるいは脂肪族環と環員原子を1つ以上共有して縮環構造あるいはスピロ環構造を形成していてもよい。
へテロアリール基が縮合することができる芳香族環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾールなどが挙げられるがこれらに限定されない。
へテロアリール基が縮合することができる脂肪族環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどのシクロアルカン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピラン、ピロリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、キヌクリジンなどの脂肪族ヘテロ環が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族環あるいは脂肪族環との縮環により得られるヘテロアリール基としては、例えば、2−キノリル、2−イソキノリル、2−ベンゾフリルなどが挙げられる。
式(I)の
Figure 0006311097
には、置換又は無置換の4−イミダゾリル基、4−オキサゾリル基、4−チアゾリル基は含まれない。
本発明の一つの好ましい実施形態においては、
Figure 0006311097
水素原子を除くRとして規定される置換基を有していてもよい2−ピリジル、2−ピリミジル、2−フリル、2−チエニル、2−イミダゾリル、2−キノリルである。
式(I)において、Rは、ハロゲン、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルケニル基、炭素数3以下のアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される。アミノ基は、炭素数3以下のアルキル基、アルケニル基、アシル基で置換されていても良い。Rは、好ましくは、フッ素原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基である。
また、式(I)において、mは、0〜4の整数であり、mが2以上の場合は、Rは同一であっても異なっていてもよい。mは、好ましくは0〜1であり、より好ましくは0である。
が存在する場合のベンゼン環上の置換位置としては、好ましくは2位、4位、5位であり、より好ましくは2位、5位であり、最も好ましくは5位である。
Figure 0006311097
式(I)において、Rは、ハロゲン、炭素数6以下のアルキル基、炭素数6以下のアルケニル基、炭素数6以下のアルキニル基、炭素数6以下のシクロアルキル基、炭素数6以下のシクロアルケニル基、5または6員環のヘテロ原子を含んでいても良いアリール基、炭素数6以下のアルコキシ基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルケニル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキニル基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アシル基、ホルミル基、チオール基、スルホキシド基、及びスルホン基からなる群から選択される。これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルアルキル基、アルアルケニル基、アルアルキニル基、アミノ基、アシル基、スルホキシド基、スルホン基はさらに置換されていてもよい。
は、好ましくはハロゲンである。
が存在する場合のベンゼン環上の置換位置としては、好ましくは、3位、4位であり、より好ましくは4位である。
lは、0〜5の整数であり、lが2以上の場合は、Rは同一であっても異なっていてもよい。lは、好ましくは0〜1であり、Rがハロゲンの場合はlが2であってもよい。
式(I)において、Xは、C=O、CH−OR、C=NR、C=N−OR、O、NR、C=S又はSである。
ここで、Rは、水素原子、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアシル基、又は炭素数4以下の脂肪酸を表す。また、Rは、水素原子、炭素数が1から4までのアルキル基、炭素数4以下のアシル基、又は炭素数4以下の脂肪酸を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアルコキシ基又はアシル基を表す。
アルキル基は置換又は無置換であってよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、などが挙げられる。
また、アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシなどが挙げられる。
アシル基としてはアセチル、プロパノイル、ブタノイルなどが挙げられる。
本発明においては、Xは、好ましくはC=O、C=NR、C=NORである。特に好ましくは、C=O、C=NORである。
本発明の化合物として、具体的には、以下の(5)〜(15)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 0006311097
Figure 0006311097
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Figure 0006311097
Figure 0006311097
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Figure 0006311097
Figure 0006311097
Figure 0006311097
Figure 0006311097
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本発明の化合物の合成は、既に報告されているPlinabulin及びその誘導体の全合成を基本に、それらを改変することで容易に成し遂げられる。これらの合成例としては、例えば、特表2007−520565号公報及びYamazaki, Y., Hayashi, Y. et al., J. Med. Chem., 2012, 55, 1056. 及びYamazaki, Y., Hayashi, Y. et al., Bioorg. Med. Chem., 2012, 20, 4279.などに記載されている。
また、式(I)の化合物の医薬的に許容可能な塩及びプロドラッグも本発明の範囲に含まれる。当該プロドラッグについては、例えば、Yakushiji, F., Hayashi, Y. et al., Chem. Eur. J., 2011, 17, 12587.、Yakushiji, F., Hayashi, Y. et al., Chem. Pharm .Bull., 2012, 60, 877. 及びWO2012035436などに記載されている。
「プロドラッグ」という用語は、特に本明細書中に開示する式(I)の化合物のプロドラッグを指す場合、例えば血中での又は組織の内部での加水分解あるいは生体において許容される酸化、還元、炭素−炭素切断反応により、in vivoで迅速に転換されて本発明の化合物を生じる、化合物の化学的誘導体を指す。「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で加水分解あるいは生体において許容される酸化、還元、炭素−炭素切断反応される幾つかの官能基を付加することにより形成される、本明細書中に開示する化合物の誘導体を指す。例えば、エステル結合、オキシム構造などを指す。エステル基を有するプロドラッグの例としては、ピボイルオキシメチル、アセトキシメチル、フタリジル、インダニル及びメトキシメチル、並びに(5−R−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基を含む当該技術分野で既知の他の基が挙げられる。プロドラッグエステル基の他の例は、例えば、T.Higuchi and V.Stella,「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」,Vol.14,A.C.S. Symposium Series,American Chemical Society)(1975)、及び「Bioreversible Carriers in Drug Design:Theory and Application」,E.B.Roche編,Pergamon Press:New York,14−21(1987)(カルボキシル基を含有する化合物のためのプロドラッグとして有用なエステルの例を提供する)に見出され得る。
本明細書中で使用する場合、「エステル型プロドラッグ」という用語はまた、例えば血中での加水分解により、in vivoで迅速に転換されて本発明の化合物を生じる、化合物の化学誘導体を指す。「エステル型プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で加水分解される幾つかのエステル形成基のいずれかを付加することにより形成される、本明細書中に開示する化合物の誘導体を指す。プロドラッグエステル基の例としては、ピボイルオキシメチル、アセトキシメチル、フタリジル、インダニル及びメトキシメチル、並びに(5−R−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基を含む当該技術分野で既知の他の基が挙げられる。プロドラッグエステル基の他の例は、例えば、T.Higuchi and V.Stella,「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」,Vol.14,A.C.S.Symposium Series,American Chemical Society,(1975)、及び「Bioreversible Carriers in Drug Design:Theory and Application」,E.B.Roche編,Pergamon Press:New York,14−21(1987)(カルボキシル基を含有する化合物のためのプロドラッグとして有用なエステルの例を提供する)に見出され得る。
「医薬的に許容可能な塩」という用語は、特に本明細書中に開示する方法により合成される式(I)の化合物の医薬的に許容可能な塩を指す場合、化合物の任意の医薬的に許容可能な塩を指し、好ましくは、化合物の酸付加塩を指す。医薬的に許容可能な塩の好ましい例は、アルカリ金属塩(ナトリウム又はカリウム)、アルカリ土類金属塩(カルシウム又はマグネシウム)、又はアンモニア若しくは医薬的に許容可能な有機アミン、例えば、C1〜C7アルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン又はトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタンにより誘導されるアンモニウム塩である。塩基性アミンである、上記方法により合成される化合物に関して、医薬的に許容可能な塩の好ましい例は、医薬的に許容可能な無機酸又は有機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸、又は脂肪族若しくは芳香族のカルボン酸若しくはスルホン酸、例えば酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸の酸付加塩である。
本明細書中で使用する場合、「医薬的に許容可能な塩」という用語はまた、化合物の任意の医薬的に許容可能な塩を指し、好ましくは、化合物の酸付加塩を指す。医薬的に許容可能な塩の好ましい例は、アルカリ金属塩(ナトリウム又はカリウム)、アルカリ土類金属塩(カルシウム又はマグネシウム)、又はアンモニア若しくは薬学的に許容可能な有機アミン、例えば、C〜Cアルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン又はトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタンにより誘導されるアンモニウム塩である。塩基性アミンである化合物に関して、医薬的に許容可能な塩の好ましい例は、医薬的に許容可能な無機酸又は有機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸、又は脂肪族若しくは芳香族のカルボン酸若しくはスルホン酸、例えば酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸の酸付加塩である。
本明細書中に開示される好ましい医薬組成物は、本明細書中に開示する方法により合成される式(I)の化合物の医薬的に許容可能な塩及びプロドラッグを含む。したがって、医薬処方物の製造が、医薬的な賦形剤及び塩の形態の活性成分を緊密に混合することを含む場合、非塩基性の医薬的賦形剤、すなわち酸性の賦形剤又は中性の賦形剤のいずれかを使用することが好ましい。
医薬組成物
本発明のもう一つの実施態様は、医薬的に有効量の本明細書に開示の化合物を含む医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、保管及びその後の投与用に調製される医薬的に許容可能な担体を含むことができる。
治療用途のための許容可能な担体又は希釈剤は、薬学の技術分野で既知であり、例えば、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」,Mack Publishing Co.(A.R.ゲナーロ(A.R.Gennaro)編.1985)に記載されている。防腐剤、安定剤、色素、さらには香味剤を薬学的組成物に供給してもよい。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを防腐剤として添加してもよい。さらに、酸化防止剤及び懸濁化剤を使用してもよい。
本発明に係る医薬組成物は、経口投与用の錠剤、カプセル又はエリキシル剤、直腸投与用の坐剤、注射可能な投与のための滅菌溶液又は懸濁液、経皮投与用のパッチ、及び皮下沈積物等として処方及び使用されてもよい。注射剤は、液体溶液若しくは懸濁液として、注射若しくは注入の前に液体中の溶液若しくは懸濁液として適切な固体形態として、又はエマルジョンとして、従来の形態で調製することができる。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン及びヒト血清アルブミン等である。さらに、所望される場合には、注射可能な医薬組成物は、少量の無毒性の補助物質、例えば湿潤剤及びpH緩衝剤等を含有してもよい。所望される場合には、吸収を増強する調製物(例えば、リポソーム)を利用してもよい。
非経口投与用の医薬処方物としては、水溶性の形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液が、適切な油性注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒又は媒質としては、ゴマ油のような脂肪油、又はダイズ油、グレープフルーツ油若しくはアーモンド油のような他の有機油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、又はリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランのような、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。任意に、懸濁液はまた、高度に濃縮された溶液の製造を可能にするために、適切な安定剤、又は化合物の溶解度を増大させる作用物質を含有してもよい。
経口投与用の医薬調製物は、活性化合物を固体賦形剤と組み合わせること、得られた混合物を任意に粉砕すること、及び所望される場合には、錠剤又はドラジェコアを得るために適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を加工処理することにより得てもよい。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖等の充填剤、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物である。所望される場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム等のその塩のような崩壊剤を添加してもよい。ドラジェコアには、適切なコーティングが施される。この目的で、濃縮糖溶液を使用してもよく、それは任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有してもよい。活性化合物の用量の識別のために、又は活性化合物の用量の種々の組合せを特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又はドラジェコーティングに添加してもよい。この目的で、濃縮糖溶液を使用してもよく、それは任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有してもよい。活性化合物の用量の識別のために、又は活性化合物の用量の種々の組合せを特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又はドラジェコーティングに添加してもよい。このような処方物は、当該技術分野で公知の方法を用いて製造することができる(例えば、米国特許第5,733,888号、同第5,726,181号、同第5,707,641号、同第5,667,809号、同第5,576,012号、同第5,707,615号、同第5,683,676号、同第5,654,286号、同第5,688,529号、同第5,445,829号、同第5,653,987号、同第5,641,515号及び同第5,601,845号を参照)。
さらに、眼内、鼻内及び耳介内の送達を含む用途のための薬学技術分野で公知の様々な医薬組成物を本明細書中に開示する。医薬処方物としては、点眼薬のような水溶性形態での、又はゲランガム(Shedden et al.,2001, Clin Ther,23(3): 440-50)若しくはヒドロゲル(Mayer et al., 1996, Ophthalmologica 210: 101-3)中の、活性化合物の水性眼用溶液、眼用軟膏、眼用懸濁液(例えば、微粒子、液体担体媒質中に懸濁される薬物含有高分子小粒子(Joshi, A., 1994 J Ocul Pharmacol 10: 29-45)、脂質溶解性処方物(Alm et al., 1989 Prog Clin Biol Res 312: 447-58)、及びミクロスフェア(Mordenti, 1999 Toxicol Sci 52: 101-6)、及び眼挿入物が挙げられる。このような適切な医薬処方物は、ほとんどの場合、及び好ましくは、安定性及び快適さのために滅菌され、等張性であり、且つ緩衝化されるように処方される。医薬組成物はまた、正常な繊毛作用の維持を確実にするために、多くの場合、多くの点で鼻分泌を刺激するように製造されるドロップ及びスプレーを包含してもよい。「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」(Mack Publishing、第18版)に開示されるように、また当業者に公知であるように、適切な処方物は、ほとんどの場合、及び好ましくは、等張性であり、pH5.5〜6.5を維持するようにわずかに緩衝化され、またほとんどの場合、及び好ましくは、抗菌防腐剤及び適切な薬物安定剤を含む。耳介内送達用の医薬処方物としては、耳の中での局所塗布のための懸濁液及び軟膏が挙げられる。このような耳用処方物のための通常の溶媒としては、グリセリン及び水が挙げられる。
細胞周期阻害剤又は腫瘍成長阻害として使用する場合、式(I)の化合物は、経口又は非経口経路のいずれかにより投与することができる。経口投与する場合、式(I)の化合物は、カプセル、錠剤、顆粒、スプレー、シロップ又はその他の形態で投与することができる。非経口投与する場合、式(I)の化合物は、水性懸濁液、油性調製物等として、又は点滴、坐剤、軟膏剤、軟膏等として、注射又は注入により投与する場合は、例えば、皮下的に、腹腔内、静脈内、筋内に投与することができる。同様に、式(I)の化合物は、化合物を腫瘍と最適に接触させ、それにより腫瘍の成長を阻害するために、当業者が適切であると考える場合には、局所的、直腸的、又は膣的に投与してもよい。腫瘍の部位での局所投与はまた、制御放出性処方物、デポ処方物及び注入ポンプ送達と同様に、腫瘍の切除前又は切除後のいずれかで意図される。
投与方法
本発明はまた、開示する化合物及び医薬組成物を投与する方法を包含する。このような開示する方法は、特に、(a)カプセル、錠剤、顆粒、スプレー、シロップ、又はその他の形態での投与を含む経口経路による投与、(b)水性懸濁液、油性調製物等として、又は点滴、坐剤、軟膏剤、軟膏等としての投与、注射又は注入により、皮下的に、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内投与を含む、非経口経路による投与、(c)局所投与、(d)直腸投与、又は(e)化合物を生存組織と最適に接触させるために、当業者が適切であると考える場合には、膣投与、及び(f)制御放出性処方物、デポ処方物及び注入ポンプ送達による投与が挙げられる。このような投与様式のさらなる例として、及び投与様式のさらなる開示として、眼内、鼻内及び耳介内経路による投与の様式を含む、開示する化合物及び医薬組成物の様々な投与方法を本明細書中に開示する。
用量として必要とされる式(I)の化合物の医薬的に有効な量は、投与経路、治療されるヒトを含む動物のタイプ、及び対象とする特定の動物の身体特性に応じて様々である。用量は、所望の効果を達成するように適合させて調製できるが、体重、食事、同時投薬等の因子、及び医療技術分野の当業者が認識するであろう他の因子に依存する。
上記方法を実施する際、本発明の化合物又は医薬組成物は、単独で、若しくは互いに組み合わせて、又は他の治療剤又は診断用薬と組み合わせて使用することができる。例えば、本明細書中に開示するように、本明細書中に開示する化合物は、他の活性物、具体的には、他の化学療法剤、例えば生物製剤及び特定の化学療法剤であるCPT−11、タキソテン(ドカタキセル)及びパクリタキセルと併用する場合、癌の治療に有効である。本明細書中に開示する化合物はまた、Erbuitux(イムクローン/ブリストルマイヤーズ)及びIressa(アストラゼネカ)のような抗血管剤、抗血管新生剤、他のVEGF阻害剤及び生物製剤、より具体的には、少なくとも1つの抗VEGF抗体、特にDC101を含むVEGF受容体に対するモノクローナル抗体、マウスVEFG受容体2(flk−1)を阻害するラットモノクローナル抗体を含む他の活性物と併用する場合、癌の治療に有効である。このような組合せは、通常哺乳類において、好ましくはヒトにおいて、in vivoで、又はin vitroで利用され得る。このような組合せをin vivoで使用する際、本発明で開示する化合物は、単独で用いて、又は他の化学療法剤若しくは他の生物製剤生成物と併用されて、各種の投与形態を使用して、非経口的、静脈内、注入又は注射により、皮下的に、筋内に、結腸に、直腸に、膣に、鼻に、又は腹腔内への投与を含む各種の方法で哺乳類に投与されてよい。このような方法は、in vivoでの化学活性の試験にも適用してもよい。
当業者に容易に明らかであるように、投与されるべき有用なin vivoでの投与量、及び特定の投与の様式は、年齢、体重及び治療される哺乳類の種、使用する特定の化合物、並びにこれらの化合物が使用される特定用途に依存して様々である。有効投与量レベル、すなわち所望の結果を達成するのに必要な投与量レベルの決定は、日常的な薬理学的方法を使用して技術分野の当業者により成すことができる。通常、生成物のヒトへの臨床適用は、より低い投与量レベルから始め、所望の効果が達成されるまで投与量レベルを増加させる。或いは、許容可能なin vitro研究を使用して、確立された薬理学的方法を用いる本発明の方法により確認される組成物の有用な用量及び投与経路を確立することができる。
当業者に容易に明らかであるように、投与されるべき有用なin vivoでの投与量、及び特定の投与の様式は、年齢、体重及び治療される哺乳類の種、使用する特定の化合物、並びにこれらの化合物が使用される特定用途に依存して様々である。有効投与量レベル、すなわち所望の結果を達成するのに必要な投与量レベルの決定は、日常的な薬理学的方法を使用して技術分野の当業者により成すことができる。通常、生成物のヒトへの臨床適用は、より低い投与量レベルから始め、所望の効果が達成されるまで投与量レベルを増加させる。或いは、許容可能なin vitro研究を使用して、確立された薬理学的方法を用いる本発明の方法により確認される組成物の有用な用量及び投与経路を確立することができる。
ヒトでない動物の研究では、潜在的な生成物の適用は、より高い投与量レベルで始め、所望の効果がもはや達成されないか、又は不都合な副作用が消滅するまで、投与量を減少させる。投与量は、所望の影響及び治療の徴候に応じて、広範囲に及ぶことがある。通常、投与量は、約10マイクログラム/kg〜100mg/kg(体重)、好ましくは約100マイクログラム/kg〜10mg/kg(体重)であり得る。或いは、投与量は、当業者に理解されるように、患者の表面積に基づいて算出してもよい。投与は、3日おきに、1日おきに、毎日、1日2度、又は1日3度を基準にする経口投与であってよい。
正確な処方、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師により選択され得る。例えば、Fingl et al.,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,1975を参照されたい。主治医は、毒性又は臓器機能障害に応じて投与を終結、中断又は調節する方法及び時期を理解するであろうことに留意すべきである。逆に、主治医はまた、臨床反応が適正でない場合(毒性を除く)に、より高レベルに治療を調節することも理解するであろう。目的の障害の管理における投与用量の規模は、治療されるべき症状の重篤性及び投与経路により様々である。症状の重篤性は、例えば、部分的に、標準的な予後評価方法により評価され得る。さらに、用量、及びおそらく用量頻度もまた、個々の患者の年齢、体重及び反応に従って様々である。上記事項と同程度のプログラムを獣医学で使用してもよい。
治療されるべき特定の症状に応じて、このような作用物質は、処方され、全身的に又は局所的に投与され得る。処方及び投与に関する各種技法は、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,ペンシルベニア(1990)に見受けられ得る。適切な投与経路としては、経口、直腸、経皮、膣、経粘膜又は腸投与、筋内、皮下、脊髄内注射、並びに髄腔内、直接脳室内へ、静脈内、注入による、腹腔内、鼻内又は眼内注射を含む非経口送達が挙げられ得る。
注射又は注入に関して、作用物質は、水溶液中、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液又は生理食塩水緩衝液のような生理学的に適合する緩衝液中に処方してもよい。このような経粘膜投与用に、浸透されるバリアに対して適切な浸透剤が処方物中で使用される。このような浸透剤は、一般に当該技術分野で知られている。全身投与に適した投与量中への、本発明の実施のために本明細書中に開示する化合物を処方するための医薬的に許容可能な担体の使用は、本発明の範囲内である。担体の適正な選択及び適切な製造の実施によって、本明細書中に開示する組成物、特に溶液として処方される組成物は、例えば静脈内注射又は注入により、非経口的に投与されてよい。本発明の化合物は、経口投与に適した投与量中へ、当該技術分野で知られている医薬的に許容可能な担体を用いて容易に処方することができる。このような担体により、治療されるべき患者の経口摂取用に、化合物を錠剤、丸剤、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤等に処方することが可能となる。
細胞内投与されるように意図される作用物質は、当業者に知られている技法を用いて投与されてもよい。例えば、このような作用物質は、リポソームに封入された後、上述のように投与されてもよい。リポソーム形成の時点で水溶液中に存在する分子はすべて、水性内部に取り込まれる。リポソームの内容物はともに、外部の微視的環境から保護され、且つ、リポソームが細胞膜と融合するため、細胞質へ効率的に送達される。さらに、リポソームの疎水性に起因して、有機低分子を細胞内に直接投与してもよい。
有効量の決定は、当業者が本明細書中の詳細な開示から決定し得る。有効成分に加えて、これらの医薬組成物は、医薬的に使用することができる調製物への活性化合物の加工処理を容易とする賦形剤及び助剤を含む、適切な医薬的に許容可能な担体を含有してもよい。経口投与用に処方される調製物は、錠剤、ドラジェ、カプセル又は溶液の形態であってよい。医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、粒状化、ドラジェ作製、浮揚化、乳化、封入化、取り込み、又は凍結乾燥プロセスにより、それ自体既知の様式で製造されてもよい。
本明細書中に開示する化合物は、既知の方法を用いて、有効性及び毒性に関して評価することができる。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物、又は化合物のサブセットの毒性学は、哺乳類の細胞系、好ましくはヒト細胞系のような細胞系に対してin vitroで毒性を決定することにより確立され得る。このような研究の結果は、多くの場合、哺乳類、より具体的にはヒトのような動物における毒性の予想に役立つ。或いは、マウス、ラット、ウサギ、又はサルのような動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を用いて決定され得る。特定の化合物の有効性は、in vitroの方法、動物モデル、又はヒト臨床試験のような幾つかの当該技術分野で理解される方法を用いて確立されてよい。当該技術分野で理解されるin vitroモデルは、癌、心血管疾患及び様々な真菌感染を含む、本明細書中に開示する化合物により軽減される症状を含むほぼすべての種類の症状に関して存在する。同様に、許容可能な動物モデルを使用して、このような症状を治療するための化学物質の有効性を確立してもよい。有効性を決定するためにモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、及び投与経路、並びに投与計画を選択するように現在の技術水準により誘導され得る。当然のことながら、ヒトの臨床試験もまた、ヒトにおける化合物の有効性を決定するのに使用することができる。
抗癌剤、又は腫瘍成長阻害化合物として使用する場合、本明細書中に開示する化合物は、経口経路又は非経口経路のいずれかにより投与され得る。経口投与する場合、本明細書中に開示する化合物は、カプセル、錠剤、顆粒、スプレー、シロップ又はその他の形態で投与することができる。非経口投与する場合、本明細書中に開示する化合物は、水性懸濁液、油性調製物等として、又は点滴、坐剤、軟膏剤、軟膏等として投与することができ、注射又は注入により投与する場合、皮下的に、腹腔内、静脈内、筋内、皮内等に投与することができる。同様に、本明細書中に開示する化合物は、化合物を腫瘍と最適に接触させ、それにより腫瘍の成長を阻害するために、当業者が適切であると考える場合には、局所的、直腸、又は膣に投与してもよい。腫瘍の部位又は他の疾患状態での局所投与はまた、腫瘍切除前若しくは後のいずれかで、又は疾患状態の当該技術分野で理解される治療の一部として意図される。制御放出性処方物、デポ処方物及び注入ポンプ送達も同様に意図される。
抗癌剤又は抗腫瘍剤として使用する場合、約0.0007mg/日〜約7,000mg/日の有効成分、より好ましくは約0.07mg/日〜約70mg/日の有効成分の量で、好ましくは1日当たり1回、又はあまり好ましくはないが、1日当たり2回〜約10回で、ヒト患者に経口又は非経口投与してもよい。代替的且つまた好ましくは、化合物は、例えば静脈内点滴により連続的に規定量で好ましく投与してもよい。したがって、70キログラムの体重の患者に関して、有効な抗腫瘍成分の好ましい日用量は、約0.0007mg/kg/日〜約35mg/kg/日(1.0mg/kg/日及び0.5mg/kg/日を含む)、より好ましくは0.007mg/kg/日〜約0.050mg/kg/日(0.035mg/kg/日を含む)であろう。それにもかかわらず、当業者に理解されるように、ある特定の状況では、特に進行した腫瘍又は致死的な腫瘍を効果的且つ積極的に治療するために、上述の好ましい投与量範囲を超える、又は場合によってははるかに超える量で抗腫瘍化合物を投与する必要がある場合もある。
抗真菌剤として使用する場合、特定の真菌病原体の治療又は予防に有効な式(I)の化合物の好ましい量は、真菌の特徴及び感染の程度に幾分応じ、標準的な臨床技法により決定することができる。in vitro又はin vivoアッセイを任意に使用して、最適な投与量範囲を同定する手助けとしてもよい。有効な用量は、in vitro分析、又は好ましくは動物モデルから得られる用量反応曲線から外挿してもよい。正確な投与量レベルは、主治医又は他の医療提供者により決定されるべきであり、投与経路、並びに個体の年齢、体重、性別及び全身の健康状態、感染の性質、重篤性及び臨床病期、併用治療の使用(又は不使用)を含む既知の因子に応じる。
式(I)の化合物の有効な用量は、通常、1日当たり約0.01〜約50mg/kg、好ましくは約0.1〜約10mg/kg(哺乳類体重)の範囲であり、単回用量又は複数回用量で投与される。概して、化合物は、患者1人当たり約1〜約2,000mgの日用量範囲で、このような治療を必要とする患者に投与してもよい。
腫瘍成長阻害化合物として本明細書中に開示する化合物を含む投薬を処方するために、既知の界面活性剤、賦形剤、滑化剤、懸濁剤、並びに医薬的に許容可能な膜形成物質及びコーティング助剤等を使用してもよい。好ましくは、アルコール、エステル、硫酸化した脂肪族アルコール等を界面活性剤として使用してもよく、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース等を賦形剤として使用してもよく、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等を滑化剤として使用してもよく、ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ダイズを懸濁剤又は潤滑剤として使用してもよく、セルロース若しくは糖のような炭水化物の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、又はポリビニルの誘導体としての酢酸メチル−メタクリル酸共重合体を懸濁剤として使用してもよく、フタル酸エステルのような可塑剤等を懸濁剤として使用してもよい。上述の好ましい成分のほかに、特に化合物が経口投与される場合に、甘味剤、芳香剤、着色剤、防腐剤等を化合物の投与処方物に添加してもよい。
本発明の医薬組成物はまた、医薬的に許容可能な担体を含んでもよい。このような組成物は、保管用及びその後の投与用に調製されてもよい。治療用途のための許容可能な担体又は希釈剤は、薬学技術分野で既知であり、例えば、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」,Mack Publishing Co.(A.R.ゲナーロ編(A.R.Gennaro).1985)に記載されている。例えば、このような組成物は、経口投与用の錠剤、カプセル又は溶液、直腸又は膣投与用の坐剤、注射投与用の滅菌溶液又は懸濁液として処方及び使用してもよい。注射剤は、液体溶液又は懸濁液、注射若しくは注入の前に液体中の溶液又は懸濁液に適切な固体の形態として、又はエマルジョン等の従来の形態で調製することができる。適切な賦形剤としては、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、所望される場合、注射可能な医薬組成物は、少量の無毒性補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤等を含有してもよい。所望される場合、吸収増強調製物(例えば、リポソーム)を利用してもよい。
用量として必要とされる組成物の医薬的に有効な量は、投与経路、治療される動物のタイプ、及び対象とする特定の動物の身体特性に応じる。用量は、所望の効果を達成するように合わせることができるが、体重、食事、併用投薬、及び医療技術分野の当業者が認識する他の因子等の因子に応じる。
上述のような生成物又は組成物は、単独で、又は互いに組み合わせて、又は他の治療剤又は診断用薬と組み合わせて使用することができる。具体的には、本明細書中に開示する化合物生成物は、癌の治療のために、単独で、又は他の化学療法剤又は生物製剤(抗体を含む)と組み合わせて、又は、真菌感染の治療のために、他の抗感染物質と組み合わせて使用してもよい。これらの生成物又は組成物は、in vivoで、又はin vitroで利用され得る。有用な投与量及び最も有用な投与様式は、年齢、体重及び治療される動物、使用する特定の化合物、及びこれらの組成物を使用する特定の用途に応じて様々に変化する。特定の疾病のための管理又は治療における用量の規模は、治療されるべき症状の重篤性及び投与経路により様々であり、疾患状態及びそれらの重篤性に応じて、組成物は処方され、全身的に又は局部的に投与され得る。処方及び投与に関する各種技法は、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)に見受けられる。
細胞周期阻害剤又は腫瘍成長阻害剤として、好ましくは本明細書中に開示する方法により合成的に製造される式(I)の化合物を処方するために、既知の界面活性剤、賦形剤、滑化剤、懸濁剤、並びに医薬的に許容可能な膜形成物質及びコーティング助剤等を使用してもよい。好ましくは、アルコール、エステル、硫酸化された脂肪族アルコール等を界面活性剤として使用してもよく、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース等を賦形剤として使用してもよく、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等を滑化剤として使用してもよく、ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ダイズ等を懸濁剤又は潤滑剤として使用してもよく、セルロース若しくは糖のような炭水化物の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、又はポリビニルの誘導体としての酢酸メチル−メタクリル酸共重合体を懸濁剤として使用してもよく、フタル酸エステルのような可塑剤等を懸濁剤として使用してもよい。上述の好ましい成分に加えて、特に化合物が経口投与される場合に、甘味剤、芳香剤、着色剤、防腐剤等を、上記方法により製造される化合物の投与処方物に添加してもよい。
上記方法により製造され得る細胞周期阻害剤及び抗腫瘍剤は、約0.001mg/kg/日〜約10,000mg/kg/日の活性成分、より好ましくは約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の活性成分の量で、好ましくは周期的に3日おきに1回、1日おきに1回、1日当たり1回、1日当たり2回、又はあまり好ましくはないが、1日当たり2回〜約10回で、ヒト患者に経口又は非経口投与してもよい。代替的に且つ又は好ましくは、上記方法により製造される化合物は、例えば静脈内点滴により連続的に規定量で好ましく投与され得る。したがって、70キログラムの体重の患者に関して、活性な抗腫瘍成分の好ましい日用量は、約0.07mg/日〜約700グラム/日、より好ましくは7mg/日〜約7グラム/日である。それにもかかわらず、当業者に理解されるように、ある特定の状況では、特に進行した腫瘍又は致死的な腫瘍を効果的且つ積極的に治療するために、上述の好ましい投与量範囲を超える、又は場合によってははるかに超える量で、上記方法により製造される抗腫瘍化合物を投与する必要がある場合もある。
生化学試験試薬として上記方法により製造される細胞周期阻害剤を使用する場合、本発明の方法により製造される化合物は、有機溶媒又は含水有機溶媒中に溶解し、且つ様々な培養細胞系のいずれかに直接適用される場合、細胞周期の進行を阻害する。使用可能な有機溶媒としては、例えば、メタノール、メチルスルホキシド等が挙げられる。処方物は、例えば、粉末、顆粒若しくは他の固体阻害剤、又は有機溶媒若しくは含水有機溶媒を用いて調製される液体阻害剤であり得る。細胞周期阻害剤として使用するための本発明の方法により製造される化合物の好ましい濃度は、概して約1〜約100μg/mlの範囲であるが、最も適切な使用量は、当業者に理解されるように、培養細胞系のタイプ及び使用の目的に応じて様々に変化する。同様に、ある特定の用途では、上述の範囲外の量を使用することが、当業者にとって必要であるか、又は好ましい場合がある。
薬学的展望から、ある特定の実施形態は、被験体における真菌感染及び/又は病原性の真菌を予防又は治療する方法を提供し、上記被験体に、デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を含む組成物を投与すること、例えば、目的とする抗真菌効果を提供する量及び様式で、デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を投与することを含む。
他の実施形態は、上述の又は以下に参照する真菌のような病原性の真菌による感染患者の治療又は予防を包含する。
別の実施形態は、1つ以上の他の抗真菌剤、特にデヒドロフェニラヒスチン又はその類似体以外の作用物質(例えば、アンホテリシンB又はその類似体若しくは誘導体(14(s)−ヒドロキシアンホテリシンBメチルエステル、1−アミノ−4−メチルピペラジンとのアンホテリシンBのヒドラジド、及び他の誘導体を含む)を含む)、又は他のポリエンマクロライド系抗生物質(例えば、ナイスタチン、カンジシジン、ピマリシン及びナタマイシン、フルシトシン、グリセオフルビン、エキノカンジン又はオーレオバシジン(天然に存在する類似体及び半合成類似体を含む)、ジヒドロベンゾ[a]ナフタセンキノン、ヌクレオシドペプチド抗真菌物質(ポリオキシン及びニッコーマイシンを含む)、ナフチフィン及び他のスクワレンエポキシダーゼ阻害剤のようなアリルアミン、並びに例えばクロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール、テルコナゾール、イトラコナゾール又はフルコナゾール等のようなアゾール、イミダゾール及びトリアゾールに耐性である病原性の真菌による感染患者の治療又は予防に関する。従来のさらなる抗真菌剤及び開発中の新規作用物質に関しては、例えば、Turner and Rodriguez,1996,Current Pharmaceutical Design,2:209-224を参照されたい。別の実施形態は、患者が1つ以上の他の抗真菌剤にアレルギー性であるか、又はそうでなければ不耐性である、若しくは無反応である場合に、又は他の抗真菌剤の使用が他の場合では禁忌を示す人において、病原性の真菌による感染患者の治療又は予防を包含する。これらの他の抗真菌剤としては、特に、上記に開示する抗真菌剤及び本明細書中の他の箇所に開示する抗真菌剤が挙げられる。
上述の治療又は予防方法において、本明細書に開示の化合物は、有効な抗真菌量で被験体に投与される。
他の実施形態は、例えば、上述の作用物質又は作用物質のタイプのいずれかを含む、1つ以上の他の抗真菌剤の投与と併用して(例えば、好ましくは脂質又はリポソーム処方物中のアンホテリシンB、フルコナゾールのようなアゾール又はトリアゾール、例えばオーレオバシジン、ジヒドロベンゾ[a]ナフタセンキノン、若しくはエキノカルジンによる治療と組み合わせて)、並びに異なるデヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を用いて、デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体の投与による病原性の真菌による感染患者の治療又は予防に関する。
本明細書に開示の化合物は、他の抗真菌剤が投与される前に、後に、又は同時に投与してもよい。ある特定の実施形態では、併用療法により、単独で使用される場合に使用する量に対して、抗真菌剤の一方又は両方を減少させた量で使用することが可能となる。
さらに他の実施形態は、病原性の真菌による感染の治療又は予防のための、被験体へのデヒドロフェニラヒスチン又はその類似体の投与に関し、ここで上記被験体は、例えば、遺伝病、糖尿病のような疾患、又はHIV若しくは他の感染、癌若しくは他の疾患のための化学療法又は放射線治療、又は組織若しくは臓器移植又は自己免疫障害の治療に関連して薬剤により又は他のものにより誘導される免疫抑制の結果として、免疫抑制されるか、又は免疫無防備状態である。患者が、例えば組織又は臓器移植に関連して、免疫抑制剤により治療中であるか、又は治療されるであろう場合、デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体は、免疫抑制剤(複数可)とともに同時投与しても良く、病原性の真菌感染を治療又は予防し得る。
本発明の別の態様は、1つ以上の抗HIV治療薬(例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、又は抗ウイルス剤を含む)の投与と一緒に、抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体の投与による、HIVに感染しているか、又は感染していることが疑われる患者における病原性の真菌による感染の治療又は予防である。デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体は、抗HIV剤(複数可)の投与前に、後に、又は同時に投与してもよい。
本発明の別の態様は、好ましくは細菌感染を治療又は予防するための有効量及びレジメンでの、1つ以上の他の抗生物質化合物、特に1つ以上の抗菌剤の投与と一緒に、抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体の投与による、病原性の真菌による感染患者の治療又は予防である。同様に、デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体は、他の作用物質(複数可)の投与前に、後に、又は同時に投与してもよい。
開示する方法により治療又は予防され得る病原性の真菌感染としては、特に、アスペルギルス症(侵入性肺アスペルギルス症を含む)、ブラストミセス症(顕著な又は急速進行性の感染及び中枢神経系におけるブラストミセス症を含む)、カンジダ症(例えば腎臓結石、尿路閉塞、腎移植又は抑制の乏しい真性糖尿病の患者における尿路の逆行性カンジダ症を含む)、コクシジオイデス症(他の化学療法に十分に応答しない慢性疾患を含む)、クリプトコックス症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症(例えば、頭蓋顔面ムコール菌症及びムコール肺炎を含む)、パラコクシジオイデス症及びスポロトリクム症が挙げられる。抗真菌量の1つ以上のデヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を含む組成物の投与は、真菌が1つ以上の他の抗真菌療法に耐性であるか、又は1つ以上の他の抗真菌療法が、例えば上述のように禁忌を示す、哺乳類被験体における病原性の真菌感染を治療又は予防するのに特に有用であり得ることに留意すべきである。
開示する方法を実施する際に使用するための、少なくとも1つの抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を含有する抗真菌薬学的組成物もまた提供される。これらの薬学的組成物は、特にそれらの抗真菌的な使用に関する、特に、指示書及び情報を含む適切な添付文書と一緒に包装してもよい。第2の抗真菌剤と一緒に1つ以上のデヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を含有する薬学的組成物もまた提供される。
真菌感染を治療する方法
本明細書中に開示するある特定の実施形態は、例えば、アスペルギルス症(侵入性肺アスペルギルス症を含む)、ブラストミセス症(顕著な又は急速進行性の感染及び中枢神経系におけるブラストミセス症を含む)、カンジダ症(例えば腎臓結石、尿路閉塞、腎移植又は抑制の乏しい真性糖尿病の患者における尿路の逆行性カンジダ症を含む)、コクシジオイデス症(他の化学療法に十分に応答しない慢性疾患を含む)、クリプトコックス症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症(例えば、頭蓋顔面ムコール菌症及びムコール肺炎を含む)、パラコクシジオイデス症及びスポロトリクム症を含む病原性の真菌感染を治療又は予防する方法に関する。上記方法は、真菌感染を治療又は予防するように、上述のような少なくとも1つの抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体をヒト被験体に投与することを包含してもよい。ある特定の実施形態では、デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体は、アンホテリシンB、又は上述したようなイミダゾール若しくはチアゾール作用物質のような1つ以上の非デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体抗真菌剤の投与と併用して投与してもよい。
病原性の真菌感染は、例えば生物の中でも特に、カンジダ属(Candida)、白癬菌属(Trichophyton)、小胞子菌属(Microsporum)又は表皮菌属(Epidermophyton)の種により引き起こされる局所性であることもあり、又は例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)により引き起こされる粘膜性である場合もある(例えば、鵞口瘡及び膣カンジダ症)。感染は、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリピトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオイデス属(Coccidioides)、パラコクシジオイデス属 (Paracoccidioides)、ヒストプラスマ属(Histoplasma)又はブラストミセス属(Blastomyces)種により引き起こされる全身性である場合もある。感染はまた、真菌性菌腫、クロモブラストミコーシス、クリプトコックス髄膜炎又はフィコミコーシスを包含し得る。
さらなる実施形態は、カンジダ属種(C.アルビカンス(C. albicans)、C.トロピカリス(C. tropicalis)、C.ケフィア(C. kefyr)、C.クルセイ(C. krusei)及びC.ガルブラタ(C. galbrata)を含む)、アスペルギルス(Aspergillus)属種(A.フミガーツス(A. fumigatus)及びA.フラブス(A. Flavus)を含む)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ブラストミセス(Blastomyces)属種(ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)を含む)、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、バシジオボラス・ラナルム(Basidiobolus ranarum)、コニディオボルス(Conidiobolus)属種、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、リゾプス(Rhizopus)属種(R.オリザエ(R. oryzae)及びR.ミクロスポルス(R. microsporus)を含む)、クスダマカビ(Cunninghamella)属種、リゾムコール(Rhizomucor)属種、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、シュードアレシェリア・ボイジイ(Pseudallescheria boydii)、リノスポリジウム・シーベリ(Rhinosporidium seeberi)、及びスポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)から成る群から選択される病原性の真菌感染を治療又は予防する方法に関する。同様に、上記方法は、不都合な免疫抑制効果を誘導することなく、真菌感染が治療又は予防されるように、非免疫抑制性抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を、それを必要とする患者に投与することを包含してもよい。
さらなる実施形態は、本明細書中の他の箇所で言及する1つ以上の抗真菌剤(例えば、アンホテリシンB、フルシトシン、イミダゾール及びトリアゾールのうちの1つ(例えば、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、及び他の上述の例を含む)を含む)に耐性である病原性の真菌感染を含む、他の抗真菌療法に耐性である病原性の真菌感染を治療又は予防する方法に関する。上記方法は、被験体における別の抗真菌療法に耐性である真菌感染が治療又は予防されるような量及び投薬計画で、患者に1つ以上の抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を投与することを包含してもよい。
さらなる実施形態は、別の抗真菌療法にアレルギー性であるか、不耐性であるか、若しくは応答性でない患者において、又は本明細書中の他の箇所で言及する1つ以上の他の抗真菌剤(例えば、アンホテリシンB、フルシトシン、イミダゾール及びトリアゾールのうちの1つ(例えば、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、及び他の上述の例を含む)を含む)を含む他の抗真菌剤の使用が他の場合では禁忌を示す人において、病原性の真菌感染を治療又は予防する方法に関する。上記方法は、真菌感染が治療又は予防されるような量で、このような患者に1つ以上の抗真菌デヒドロフェニラヒスチン又はその類似体を投与することを包含してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(2−ピリジルメチレン)−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物1)の合成
アルゴン雰囲気下、(Z)−N−アセチル−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)ピペラジン−2,5−ジオン200mg(0.574mmol)を無水DMF5mLに溶解させる。この溶液に2−ホルミルピリジン92.2mg(0.861mmol、1.5eq.)を加え、真空ポンプを用いてフラスコ内の空気を除き、アルゴン置換する。続いて、炭酸セシウム374mg(1.15mmol、2.0eq.)を加えて再び脱気・アルゴン置換を繰り返す。遮光条件下110℃で攪拌し、反応の進行をTLCにより確認する。反応終了後、溶媒を減圧下留去し、残査をクロロホルムに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により除いた後に溶媒を減圧下留去する。残査をフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:1)で精製し、化合物1を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 12.60 (s, 1H), 10.64 (s, 1H), 8.73 (d, J =4.8 Hz, 1H), 7.95−7.76 (m, 5H), 7.74−7.64 (m, 3H), 7.64−7.56 (m, 3H), 7.41−7.35 (m, 1H), 6.91 (s, 1H), 6.73 (s, 1H);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) 195.49, 156.87, 156.62, 154.62, 148.53, 137.77, 137.37, 136.83, 133.48, 133.23, 132.83, 131.04, 130.35, 129.79, 129.09, 128.83, 128.61, 127.14, 126.53, 122.55, 114.42, 107.74;
HRMS (ESI): m/z 418.1171 [M+Na]+ (Calcd for C24H17N3O3Na: 418.1168).
[実施例2]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(6−ブロモ−(2−ピリジルメチレン))−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物2)の合成
6−ブロモ−2−ホルミルピリジンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 11.69 (br s, 1H), 10.75 (br s, 1H), 7.91−7.75 (m, 5H), 7.75−7.65 (m, 3H), 7.65−7.54 (m, 4H), 6.92 (s, 1H), 6.71 (s, 1H)
HRMS (ESI): m/z 496.0275 [M+Na]+ (calcd for C24H16BrN3O3Na: 496.0273)
[実施例3]
(3Z,6Z)−3−(3−(4−フルオロベンゾイル)ベンジリデン)−6−(2−ピリジルメチレン)−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物3)の合成
(Z)−N−アセチル−3−((4−フルオロベンゾイル)ベンジリデン)ピペラジン−2,5−ジオンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 12.61 (br s, 1H), 10.66 (br s, 1H), 8.01−7.84 (m, 4H), 7.84−7.75 (m, 1H), 7.73−7.53 (m, 4H), 7.46−7.35 (m, 3H), 6.91 (s, 1H), 6.74 (s, 1H)
HRMS (ESI): m/z 414.1259 [M+H]+ (calcd for C24H17FN3O3Na: 414.1254)
[実施例4]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(2−フリルメチレン)−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物4)の合成
2−ホルミルフランを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d 10.57 (br s, 1H), 9.56 (br s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.90−7.75 (m, 5H), 7.75−7.63 (m, 3H), 7.63−7.53 (m, 3H), 6.87 (s, 1H), 6.67 (s, 1H)
HRMS (ESI): m/z 385.1188 [M+H]+ (calcd for C23H17N2O4: 385.1188)
[実施例5]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(2−イミダゾリルメチレン)−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物5)の合成
2−ホルミルイミダゾールを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 12.64 (br s, 1H), 11.92 (s, 1H), 10.32 (br s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.86−7.79 (m, 3H), 7.76 (d, 1H), 7.70 (tt, J =7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.65 (dt, J =7.7, 1.4 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.59−7.54 (m, 3H), 6.82 (s, 1H), 6.67 (s, 1H)
HRMS (ESI): m/z 385.1313 [M+H]+ (calcd for C22H17N4O2: 385.1301)
[実施例6]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(6−ヒドロキシ−(2−ピリジルメチレン))−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物6)の合成
6−ホルミル−2−ピリドンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d 12.17 (br s, 1H), 10.60 (br s, 1H), 7.97-7.75 (m, 5H), 7.75-7.54 (m, 7H), 7.06 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.58 (s, 1H)
HRMS (ESI): m/z 412.1293 [M+H]+ (calcd for C24H18N3O4: 412.1297)
[実施例7]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(2−ピリミジルメチレン)−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物7)の合成
2−ホルミルピリミジンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
HRMS (ESI): m/z 397.1294 [M+H]+ (calcd for C23H17N4O3: 397.1301)
[実施例8]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(3−ブロモ−(2−ピリジルメチレン))−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物8)の合成
3−ブロモ−2−ホルミルピリジンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
HRMS (ESI): m/z 474.0453 [M+H]+ (calcd for C24H17BrN3O3: 474.0453)
[実施例9]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(2−キノリルメチレン))−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物9)の合成
2−ホルミルキノリンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
HRMS (ESI): m/z 446.1512 [M+H]+ (calcd for C28H20N3O3: 446.1505)
[実施例10]
(3Z,6Z)−3−(3−ベンゾイルベンジリデン)−6−(2−ピラジルメチレン)−ピペラジン−2,5−ジオン(化合物10)の合成
2−ホルミルピラジンを用いて実施例1と同様の操作により合成した。
HRMS (ESI): m/z 397.1308 [M+H]+ (calcd for C23H17N4O3: 397.1301)
[実施例11]
チューブリン重合阻害活性と殺細胞活性の評価
チューブリン重合阻害活性測定は、豚脳から精製したチューブリンをRB緩衝液(100mM MES、1mM EGTA、0.5mM MgCl、pH6.8)に1mg/mlになるように希釈し、薬剤を加えて氷上に5分置いた後、1mMのGTPと1MのGlutamateを加え、37℃に加温することで重合反応を開始した。チューブリン重合度は350nmの吸光度で判定した。
殺細胞活性はHeLa細胞、A549細胞及びHT−29細胞を用いて評価した。10%の牛胎児血清を含むDMEM培地で継代し、37℃、5%CO下で培養したそれぞれの細胞を、各穴3x10cells/ml、100μlずつ96穴プレートに播いた後、18時間後に各薬剤を添加した。薬剤添加48時間後にWST−8試薬を用いて生細胞数を定量した。
Figure 0006311097
Figure 0006311097
表1、表2及び図1に示す通り、化合物1は、細胞レベルの評価およびチューブリンに対する評価において、Pinabulinと同等程度またはそれ以上の殺細胞活性およびチューブリン重合阻害作用を発揮することが確認された。
従って、本発明の化合物は、がん細胞への直接的な殺細胞効果と新生血管への血管遮断効果による腫瘍兵糧攻めの効果を併せ持つ抗がん化合物として有用であると考えられる。

Claims (14)

  1. 以下の式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能な塩。
    Figure 0006311097

    (式中、
    Figure 0006311097

    で表されるヘテロアリール基であり
    式(1)及び(2)において、Y-----Yは、n−2個の原子からなり、他の環員原子と一緒になって、n個の原子からなるヘテロアリール環を形成し、
    nは5又は6の整数であり、
    式(3)において、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、ヘテロアリール5員環を形成し、
    式(1)及び(2)におけるY-----Yを構成する原子及び式(3)におけるZ、Z、Zは、それぞれ独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子から選択され、
    当該へテロアリール基の環員原子は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子から選択され、
    Rは、水素原子であり
    は、ハロゲン、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルケニル基、炭素数3以下のアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択され;アミノ基は、炭素数3以下のアルキル基、アルケニル基、アシル基で置換されていてもよく、
    は、ハロゲン、炭素数6以下のアルキル基、炭素数6以下のアルケニル基、炭素数6以下のアルキニル基、炭素数6以下のシクロアルキル基、炭素数6以下のシクロアルケニル基、5または6員環のヘテロ原子を含んでいても良いアリール基、炭素数6以下のアルコキシ基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルケニル基、鎖状部位炭素数3以下のアルアルキニル基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アシル基、ホルミル基、チオール基、スルホキシド基、及びスルホン基からなる群から選択され;これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルアルキル基、アルアルケニル基、アルアルキニル基、アミノ基、アシル基、スルホキシド基、スルホン基はさらに置換されていてもよく、
    mは、0〜4の整数であり、mが2以上の場合は、Rは同一であっても異なっていてもよく、
    lは、0〜5の整数であり、lが2以上の場合は、Rは同一であっても異なっていてもよく、
    Xは、C=O、CH−OR、C=NR、C=N−OR、O、NR、C=S又はSであり、
    は、水素原子、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアシル基、又は炭素数4以下の脂肪酸を表し、
    は、水素原子、炭素数が1から4までのアルキル基、炭素数4以下のアシル基、又は炭素数4以下の脂肪酸を表し、
    は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアルコキシ基又はアシル基を表し、
    但し、
    Figure 0006311097
    には、置換又は無置換の4−イミダゾリル基、4−オキサゾリル基、4−チアゾリル基は含まれない。)
  2. 前記ヘテロアリール基が、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−ピラジル、3−ピリダジル、4−(1,2,3−トリアジル)、5−(1,2,3−トリアジル)、3−(1、2、4−トリアジル)、5−(1、2、4−トリアジル)、6−(1、2、4−トリアジル)、2−(1、3、5−トリアジル)、2−フリル、2−チエニル、3−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、5−チアゾリル、4−(1,2,3−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5−(1,2,4−トリアゾリル)であ、請求項1に記載の化合物。
  3. XがC=Oである、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 医薬的に有効量の請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含む血管増殖を治療又は予防するための医薬組成物。
  5. 前記血管増殖は、癌の症状である、請求項に記載の医薬組成物。
  6. 血管増殖を低減させるのに有効な量、又は血管密度を低減させるのに有効な量の、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含む、動物における状態を治療するための医薬組成物。
  7. 前記状態は腫瘍性状態である、請求項に記載の医薬組成物。
  8. 前記腫瘍性状態は癌である、請求項に記載の医薬組成物。
  9. 前記状態は、過剰血管新生に関連する状態である、請求項に記載の医薬組成物。
  10. 前記動物はヒトである、請求項8〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 動物における非腫瘍組織血管系よりも腫瘍血管系を優先的に標的として血管系を治療するための医薬組成物であって、前記非腫瘍組織は、皮膚、筋肉、脳、腎臓、心臓、脾臓及び腸から成る群から選択され、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
  12. 前記腫瘍血管系は、非腫瘍組織血管系よりも、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%優先的に標的とされる、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記動物はヒトである、請求項11又は12に記載の医薬組成物。
  14. 医薬的に許容可能な担体を含む、請求項13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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